JP2002273844A - 電気絶縁用二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents

電気絶縁用二軸配向積層ポリエステルフィルム

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JP2002273844A
JP2002273844A JP2001078147A JP2001078147A JP2002273844A JP 2002273844 A JP2002273844 A JP 2002273844A JP 2001078147 A JP2001078147 A JP 2001078147A JP 2001078147 A JP2001078147 A JP 2001078147A JP 2002273844 A JP2002273844 A JP 2002273844A
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biaxially oriented
polyethylene
layer
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Hiroshi Kusume
博 楠目
Koji Furuya
幸治 古谷
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエチレン−2,6−ナフタレートの優れ
た耐熱劣化性とオリゴマー抑制効果を維持しつつ、層状
剥離や接着剤に起因した問題を解消した、電気絶縁用フ
ィルムの提供。 【解決手段】 ポリエチレンテレフタレートからなる層
(中間層)の両表面に、ポリエチレン―2,6―ナフタ
レンジカルボキシレートからなる層(表層)を積層し、
中間層は、エチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシ
レート成分を0.05重量%以上15重量%未満含有
し、その両表面から厚み方向に少なくとも1μmの部分
がエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート成
分を1重量%以上30重量%未満または70重量%を超
えて99重量%以下含有し、それぞれの表層は、その厚
さが少なくとも2μm以上で、且つ、積層フィルムの厚
みを基準として、それぞれの表層の厚みが10%未満で
ある電気絶縁用二軸配向積層ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気絶縁用二軸配向
積層ポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは、冷
凍機モータのスロット絶縁やウエッジに好適な、オリゴ
マーの抽出が少なく、自動装入時に層状剥離(デラミネ
ーション)し難い電気絶縁用二軸配向積層ポリエステル
フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】電気絶縁用フィルムとしては二軸配向ポ
リエチレンテレフタレートフイルムとその加工品が主と
して用いられ、近年では、耐熱劣化性がより優れ、オリ
ゴマーの抽出量が少ない二軸配向ポリエチレン―2,6
―ナフタレンジカルボキシレートフィルムも使用されだ
してきた。これらフィルムには、その特性として、高
温度に長時間さらしても機械特性が劣化して脆くなった
り、絶縁性能が低下して絶縁破壊特性が損なわれないこ
と、フィルムの使用時に層状剥離(デラミネーショ
ン)を起こさぬこと、フィルム表面から冷媒等に抽出
される低分子量物(オリゴマー)が少ないこと、などが
要求される。特に冷凍機用モータのように、冷媒中で絶
縁材を使用する機器に用いる場合、特には重要であ
る。
【0003】二軸配向ポリエチレン―2,6―ナフタレ
ンジカルボキシレートフィルムの耐熱劣化性向上および
抽出されるオリゴマー量の抑制は、延伸倍率を上げて分
子配向を向上させる方法が有効であり、現実にこの方法
が採用されている。しかし、この方法では面配向性が向
上する結果としてフィルムが層状剥離を起こし易くなる
という新たな問題が生じ、延伸倍率を上げるにも限界が
ある。また、層状剥離を起こりにくくするためには上記
とは逆に面配向を低下させる方法もあるが、これは耐熱
劣化性の低下とオリゴマー発生量の増大をもたらす。
【0004】また、特開平11−92577号公報で
は、ポリエチレンテレフタレートの両面に熱安定性に優
れたポリエチレン−2,6−ナフタレートを耐熱性ポリ
ウレタンなどの接着剤を介して積層した積層フィルムも
提案されている。しかしながら、接着剤自体が冷媒等に
抽出されやすく、ポリエチレン−2,6−ナフタレート
を表層に存在させる効果が損なわれるという問題のほ
か、接着剤の劣化によって経時にしたがって、表層が剥
離しやすくなるという問題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
エチレン−2,6−ナフタレートの優れた耐熱劣化性と
オリゴマー抑制効果を維持しつつ、層状剥離や接着剤に
起因した問題を解消した、電気絶縁用として、特に冷媒
中での使用に好適な電気絶縁用フィルムを提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決しようと鋭意研究した結果、ポリエチレン―2,
6―ナフタレンジカルボキシレートフィルムを表層に配
し、中間層にポリエチレン―2,6―ナフタレンジカル
ボキシレートを特定の割合で含有させたたポリエチレン
テレフタレートを用いれば、接着剤などを介さなくても
耐層間剥離性に優れながらも、オリゴマー抽出量の少な
い電気絶縁用フィルムが得られることを見出し、本発明
に到達した。
【0007】かくして本発明によれば、ポリエチレンテ
レフタレートからなる層(中間層)の両表面に、ポリエ
チレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートからな
る層(表層)を積層した積層フィルムであって、中間層
は、エチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート
成分を0.05重量%以上15重量%未満含有し、且
つ、その両表面から厚み方向に少なくとも1μmの部分
(中間層表面部)がエチレン―2,6―ナフタレンジカ
ルボキシレート成分を1重量%以上30重量%未満また
は70重量%を超えて99重量%以下含有すること、お
よび、それぞれの表層は、その厚さが少なくとも2μm
以上で、且つ、積層フィルムの厚みを基準として、それ
ぞれの表層の厚みが10%未満である電気絶縁用二軸配
向積層ポリエステルフィルムが提供される。
【0008】また、本発明によれば、本発明の好ましい
態様として、積層フィルムの中間層と表層との間の耐剥
離性が、JIS K5400−1990の評価で、少な
くとも10である電気絶縁用二軸配向積層ポリエステル
フィルム、少なくとも片面の表面中心線平均粗さ(R
a)が、5〜50nmの範囲にある電気絶縁用二軸配向
積層ポリエステルフィルム、ヘーズ値が少なくとも20
%である電気絶縁用二軸配向積層ポリエステルフィル
ム、中間層が平均粒径0.01〜0.5μmの2酸化チ
タン粒子を0.1〜1重量%含有する電気絶縁用二軸配
向積層ポリエステルフィルムも提供される。
【0009】さらにまた、本発明によれば、本発明の電
気絶縁用二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ポリエ
チレンテレフタレートを主とする溶融状態のポリマーの
両面に、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキ
シレートを主とする溶融状態のポリマーを積層した状態
で共押出しすることによって得られた二軸配向積層ポリ
エステルフィルムであることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の電気絶縁用二軸配向積層
ポリエステルフィルムは、主としてポリエチレンテレフ
タレートからなる層(中間層)の両表面に、主としてポ
リエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートか
らなる層(表層)が積層された少なくとも3層からなる
積層フィルムである。そして、前述の中間層は、ポリエ
チレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートを0.
05重量%以上15重量%未満含有し、且つ、それぞれ
の表層に隣接する中間層部分(中間層表面部)は、厚さ
方向に少なくとも1μmの範囲でポリエチレン―2,6
―ナフタレンジカルボキシレートを1重量%以上30重
量%未満含有することが必要である。また、それぞれの
表層は、その厚さが2μm以上で、且つ、それぞれの表
層の厚さの割合が、積層フィルムの厚みを基準として、
10%未満であることが必要である。
【0011】本発明の電気絶縁用二軸配向積層ポリエス
テルフィルムについて、以下に詳述する。
【0012】[表層]本発明の電気絶縁用二軸配向積層
ポリエステルフィルムにおいて、両表層を形成するポリ
エステルは、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカル
ボキシレートを主たる成分とする。具体的にはエチレン
―2,6―ナフタレンジカルボキシレートを繰り返し単
位とする成分が97モル%以上のポリマーを指し、好ま
しくは99モル%以上である。共重合成分の例として
は、2個のエステル形成性官能基を有する化合物、例え
ば蓚酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸、ドデカン
ジカルボン酸、コハク酸、5―ナトリウムスルホイソフ
タル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2―カリウムス
ルホテレフタル酸、2,7―ナフタレンジカルボン酸、
1,4―シクロヘキサンジカルボン酸、4,4'―ジフ
ェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、
ジフェニルエ―テルジカルボン酸及びこれらの低級アル
キルエステル、p―オキシエトキシ安息香酸等の如きオ
キシカルボン酸及びその低級アルキルエステル、プロピ
レングリコ―ル、1,2―プロパンジオ―ル、1,3―
ブタンジオ―ル、1,4―ブタンジオ―ル、1,5―ペ
ンタンジオ―ル、1,6―ヘキサンジオ―ル、1,2―
シクロヘキサンジメタノ―ル、1,3―シクロヘキサン
ジメタノ―ル、1,4―シクロヘキサンジメタノ―ル、
p―キシリレングリコ―ル、ビスフェノールAのエチレ
ンオキサイド付加物、ビスフェノールスルホンのエチレ
ンオキサイド付加物、トリエチレングリコール、ポリエ
チレンオキシドグリコール、ポリテトラメチレンオキシ
ドグリコール、ネオペンチルグリコール等を挙げること
ができる。これらの中では、イソフタル酸を1〜3モル
%共重した共重合ポリエステルが好ましく、特にポリエ
チレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートのホモ
ポリマーからなるフィルムも好ましい。
【0013】また、本発明においては、ポリエチレン―
2,6―ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分と
するポリマーは、ジエチレングリコール成分の共重合量
が3モル%以下(全グリコール成分に対して)であるこ
とが好ましい。このジエチレングリコール成分は、ポリ
マー製造時に共重合成分として添加しなくても、製造反
応の過程で副生されたりするもので、少ないほど好まし
い。ジエチレングリコール成分の共重合量が3モル%を
超えると、フィルムとしたときの耐層状剥離性の改良効
果は大きくなるが、ポリマーの結晶性が損なわれるため
機械的強度が大幅に低下する。ジエチレングリコール成
分の共重合割合は、好ましくは2.5モル%以下であ
り、更に好ましくは2モル%以下である。製造反応中で
ジエチレングリコールの副生を押さえるには、原料とな
るエチレングリコールのモル量をジカルボン酸のモル量
に対し、2.0〜3.0倍の範囲で多くすることや、で
きる限りエステル交換反応に要する時間を短縮するのが
好ましい。また、該ポリエチレン―2,6―ナフタレン
ジカルボキシレートは、例えば安息香酸、メトキシポリ
アルキレングリコール等の1官能性化合物によって、末
端の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または
全部を封鎖したものであってもよく、あるいは例えば極
少量のグリセリン、ペンタエリスリトールなどの如き3
官能以上のエステル形成化合物で実質的に線状のポリマ
ーが得られる範囲内で変性されたものであってもよい。
【0014】ところで、該ポリエチレン―2,6―ナフ
タレンジカルボキシレートは、例えば、前述のエチレン
グリコールと2,6―ナフタレンジカルボン酸ジメチル
とをエステル交換反応させ、その後、得られたエステル
化物を重縮合反応させることで得られる。この際、エス
テル交換反応触媒としては、マンガン化合物が好まし
く、マンガン化合物としては、酸化物、塩化物、炭酸
塩、カルボン酸塩等が挙げられる。これらの中、酢酸塩
が特に好ましく用いられる。なお、エステル交換反応が
実質的に終了した時点で燐化合物を添加し、エステル交
換触媒を失活させることが好ましい。燐化合物として
は、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、トリ−n−ブチルホスフェート及び正燐酸が好まし
く使用でき、これらの中、トリメチルホスフェートが特
に好ましい。また、重縮合触媒としては、アンチモン化
合物が好ましく用いられ、アンチモン化合物としては三
酸化アンチモンが特に好ましく用いられる。
【0015】本発明において、マンガン化合物、燐化合
物およびアンチモン化合物を用いてポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレートを製造する場合は、
それらの触媒や触媒失活剤が、以下の一般式(1)、
(2)および(3)を満足する量含有させるが好まし
い。
【0016】
【数1】30≦Mn≦100………(1)
【0017】
【数2】150≦Sb≦450……(2)
【0018】
【数3】P/Mn≧1………………(3) ここで式中の、Mnはポリエチレン―2,6―ナフタレ
ンジカルボキシレート中のマンガン元素の量(pp
m)、Sbはポリエチレン―2,6―ナフタレンジカル
ボキシレート中のアンチモン元素の量(ppm)、Pは
ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート
中の燐元素の量(ppm)をそれぞれ表す。
【0019】ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレート中のマンガン元素の含有量が30ppm未
満では、エステル交換反応が不充分であり、一方100
PPmを超えるとフィルムの体積抵抗率が低下し、電気
絶縁用フィルムとして適さなくなることがある。また、
アンチモン元素の含有量が150ppm未満では重縮合
反応性が低下して生産性が悪くなり、一方450ppm
を超えると熱安定性が劣り、フィルム製膜時の工程切断
や機械的強度の低下を招くことがある。さらに、P/M
nが1未満では固有粘度の低下を引き起こすことがあ
る。
【0020】本発明で使用するポリエチレン−2,6−
ナフタレンジカルボキシレート中のアルカリ金属の含有
量は10ppm以下であることが好ましい。アルカリ金
属の含有量が10ppmを超えるとフィルムの体積抵抗
率が低下し、電気絶縁用フィルムとして適さなくなるこ
とがある。
【0021】ところで、本発明の積層フィルムは、少な
くとも片面のフィルム表面中心線平均粗さ(Ra)が3
〜50nmであることが好ましく、特に5〜20nmで
あることが好ましい。表面粗さRaが3nm未満ではフ
ィルム間の滑りが悪く、良好な巻き取りができなくな
り、他方、表面粗さRaが50nmを超えると層状剥離
(他層との界面剥離ではなく、この層自体が剥離する)
が発生し易くなる。このような表面中心線平均粗さ(R
a)を達成するには、表層を形成するポリエチレン―
2,6―ナフタレンジカルボキシレートに、不活性粒子
を少量含有するのが好ましい。かかる不活性粒子として
は、例えば球状シリカ、多孔質シリカ、炭酸カルシウ
ム、シリカアルミナ、アルミナ、二酸化チタン、カオリ
ンクレー、硫酸バリウム、ゼオライトのごとき無機粒
子、あるいは架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレ
ン粒子のごとき有機粒子をあげることができる。無機粒
子は粒径が均一であることなどの理由で天然品よりも、
合成品であることが好ましく、あらゆる結晶形態、硬
度、比重、色の無機粒子を使用することができる。
【0022】上記の不活性微粒子の平均粒径は0.05
〜3.0μmの範囲であることが好ましく、0.1〜
2.0μmであることが更に好ましい。また、不活性微
粒子の含有量は0.001〜1.0重量%であることが
好ましく、0.03〜0.5重量%であることが更に好
ましい。なお、フィルムに添加する不活性粒子は上記に
例示した中から選ばれた単一成分系でもよく、二成分以
上を含む多成分系でもよい。
【0023】不活性粒子の添加時期は、ポリエチレン―
2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルムを製膜
するまでの段階であれば特に制限はなく、例えば重合段
階で添加してもよく、また製膜の際に添加してもよい。
【0024】本発明において、それぞれの表層の厚みは
2μm以上を必要とし、好ましくは3μm以上である。
該表層の厚みが2μm未満では、オリゴマーの冷媒中へ
の抽出量が多く、冷媒気化ノズルが詰まることがあり、
冷凍機用モータ絶縁に不適である。一方、表層の厚み
は、積層フィルム全体の総厚みを基準として、高々10
%、好ましくは7%以下であることが必要である。該表
層の厚みが積層フィルム全体の総厚みの10%を超える
と、加工時の層状剥離や割れが多くなる。例えば、積層
フィルム全体の総厚みが188μmのフィルムの場合、
それぞれの表層の厚みは高々18.8μmである。
【0025】[中間層]本発明の二軸配向積層ポリエステ
ルフィルムを構成する中間層は、ポリエチレンテレフタ
レートを主たる成分とし、該中間層全体としては、エチ
レン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート成分を
0.05重量%以上15重量%未満含有することが必要
である。該中間層全体に含有されるエチレン―2,6―
ナフタレンジカルボキシレート成分の含有量が0.05
重量%未満だと、表層と中間層との界面または中間層内
で剥離を生じやすく、他方、該含有量が15重量%以上
だと、中間層全体の結晶性が乏しく、積層フィルム全体
の強度が低下し易い。
【0026】また、該中間層の表層に隣接する部分(中
間層表面部)、すなわち、厚み方向において、該中間層
の表面から少なくとも1μmの領域は、エチレン―2,
6―ナフタレンジカルボキシレート成分を1重量%以上
30重量%未満または70重量%を超えて99重量%以
下、好ましくは3〜25重量%または75〜97重量%
含有する。該中間層表面部におけるエチレン―2,6―
ナフタレンジカルボキシレート成分の含有量が1重量%
未満または99重量%を超えると、表層と中間層との界
面または中間層内で剥離を生じやすく、他方、含有量が
30重量%を超えるか70重量%以下であると、中間層
表面部の結晶性が著しく低下し、積層フィルム全体の強
度が低下する。また、該中間層表面部の厚みが1μm未
満だと、表層と中間層との界面で剥離を生じやすくな
る。
【0027】このようなエチレン―2,6―ナフタレン
ジカルボキシレート成分の含有量を満足する中間層とし
ては、中間層表面部にエチレン―2,6―ナフタレンジ
カルボキシレート成分を1重量%以上30重量%未満ま
たは70重量%を超えて99重量%以下含有させたポリ
エチレンテレフタレートを、また、中間層から中間層表
面部を除いた部分にエチレン―2,6―ナフタレンジカ
ルボキシレートの含有量を0重量%または中間層全体と
して高々15重量%になるような非常に少量含有するポ
リエチレンテレフタレートを用いればよく、この場合、
中間層は少なくとも3つの層からなる。もちろん、中間
層は単一層であってもよく、その場合は、中間層にエチ
レン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート成分を1
重量%以上15重量%未満含有するポリエチレンテレフ
タレートを用いればよい。これらは、製造工程が簡略化
できる点から、後者の中間層が単一層のが好ましく、ま
た、ポリエチレンテレフタレートの強度を高度に発現さ
せやすい点から、前者の中間層表面部を介して中間層の
中央部分が実質ポリエチレンテレフタレートホモポリマ
ーからなるものが好ましい。
【0028】なお、本発明でいう含有とは、共重合でも
混合でもよく、好ましくは共重合である。エチレン―
2,6―ナフタレンジカルボキシレート成分をポリエチ
レンテレフタレートに混合または共重合させる手段は何
等制限されないが、工場のクリーン室内で本発明の積層
フィルムの製品化されなかった部分を粉砕、乾燥、再溶
融、裁断したペレットとして用いるのが好ましい。クリ
ーン室内で処理した再生品は清浄度が新品と変わらず、
資源の有効活用を図るためにも使用することが望まし
い。但し重合度が幾分低下するので、新しいポリエチレ
ンテレフタレートを追加すると良い。このように、再溶
融を繰返すと、ポリエチレンテレフタレートとエチレン
―2,6―ナフタレンジカルボキシレート成分は、ほぼ
共重合している。
【0029】ところで、本発明でいう、中間層がポリエ
チレンテレフタレートからなるとは、エチレンテレフタ
レート成分が中間層の80重量%以上を占めること意味
する。なお、中間層を構成するポリエチレンテレフタレ
ートは、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
ート成分の含有量が前述の範囲にあるなら、他の成分を
共重合したものであっても良い。共重合成分としては、
ジカルボン酸成分でもジオール成分でもよい。ジカルボ
ン酸成分としてはイソフタル酸、フタル酸等の如き芳香
族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、
シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸
等が例示でき、またジオール成分としては1,4−ブタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレング
リコール等の如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノールの如き脂環族ジオール、ビスフェノー
ルAの如き芳香族ジオールが例示できる。これらは単独
または二種以上を使用することができる。これらの中で
も、イソフタル酸を共重合したものが引裂き強度が高い
ことから好ましく、その共重合量は、熱収縮率を過度に
高めないことから、高々3モル%であることが好まし
い。
【0030】共重合成分の割合は、その種類にもよるが
結果として、ポリマーの融点が少なくとも250℃にな
る割合であることが好ましい。融点が250℃未満では
耐熱性が劣ることになる。なお、ポリエチレンテレフタ
レートホモポリマーの融点は、通常258℃である。こ
こで、ポリエチレンテレフタレートを主たる成分とする
ポリエステルの融点測定は、Du Pont Inst
ruments 910 DSCを用い、昇温速度20
℃/分で融解ピークを求める方法による。なおサンプル
量は約20mgとする。
【0031】該中間層を構成するポリエチレンテレフタ
レートの固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)
は、0.52〜1.50であることが好ましく、さらに
好ましくは0.57〜1.00、特に好ましくは0.6
0〜0.80である。この固有粘度が0.52未満の場
合には引裂き強度が不足することがあり、他方、固有粘
度が1.50を超える場合には、原料製造工程およびフ
ィルム製膜工程における生産性が損なわれる。
【0032】本発明で使用する中間層を構成するポリエ
チレンテレフタレートホモポリマーまたは共重合ポリエ
チレンテレフタレートは、その製法により限定されるこ
とはないが、テレフタル酸およびエチレングリコール
を、共重合ポリエステルの場合は更に共重合成分を加え
てエステル化反応させ、次いで得られた反応生成物を目
的とする重合度になるまで重縮合反応させてポリエチレ
ンテレフタレート、または共重合ポリエチレンテレフタ
レートとするか、テレフタル酸ジメチルエステルおよび
エチレングリコールを、共重合ポリエステルの場合は更
に共重合成分を加えてエステル交換反応させ、ついで得
られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合
反応させてポリエチレンテレフタレートまたは共重合ポ
リエチレンテレフタレートとすればよい。また、上記の
方法(溶融重合)により得られたポリエチレンテレフタ
レートおよび共重合ポリエチレンテレフタレートは、必
要に応じて固相状態での重合方法(固相重合)により、
さらに重合度の高いポリマーとしてもよい。なお、前記
共重合ポリエステルには、必要に応じて、酸化防止剤、
熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良剤、滑剤、核
剤などの添加剤を加えることができる。また、前記重縮
合反応に使用する触媒としては、アンチモン化合物(S
b化合物)、チタン化合物(Ti化合物)、ゲルマニウ
ム化合物(Ge化合物)などが好ましく挙げられる。
【0033】ところで、中間層を構成するポリエチレン
テレフタレートには、滑剤微粒子を添加してフィルムの
不透明性を確保することが好ましい。滑剤微粒子として
は任意のものが選べるが、無機系滑剤としては、シリ
カ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バ
リウム等が例示でき、有機系滑剤としてはシリコーン樹
脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等が例示できる。かかる
粒子添加により、積層フィルム全体のヘーズ値は、20
%以上になることが好ましい。ヘーズ値が20%未満で
あると、モータスロットにスロットライナーやウエッジ
として装填した後の目視点検で、装填ミスを見落とすこ
とがある。このようなヘーズ値は、例えば、平均粒径が
0.01〜0.5μmの二酸化チタン粒子を0.1〜
1.0重量%添加することによって得られる。なお、前
述の範囲を超えた大径粒子や多量の添加は、機械強度や
絶縁特性の低下を招くので避けるのが好ましい。しか
し、積層フィルム全体のヘーズ値は、20%未満であっ
ても、本質的な欠陥ではなく、本発明に包含される。
【0034】つぎに、本発明の2軸配向積層ポリエステ
ルフィルムの好ましい態様について、詳述する。
【0035】本発明の2軸配向積層ポリエステルフィル
ムは、JIS K5400−1990の付着性碁盤目評
価に準じて、測定された剥離性能の評価値が、10以上
であることが好ましい。なお、該評価による層間だけで
なく層内で剥離する場合も層間剥離とみなす。層間剥離
力が本性能を満たしていないと、折り曲げ加工時に剥離
し易く、剥離部分は使用中にコロナ放電劣化し、焼損事
故を生じる惧れがある。このような高度の耐剥離性は、
前述の特定割合でエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレート成分を表面に含有する溶融状態のポリエチ
レンテレフタレートと溶融状態の前述の表層を構成する
ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート
とを積層した状態で共押出し法によって製膜した後、2
軸方向に延伸すればよい。
【0036】また、本発明の2軸配向積層ポリエステル
フィルムは、電気絶縁材料であるという観点から、絶縁
破壊電圧(BDV)が260V/μm以上であることが
好ましい。また、本発明の電気絶縁用フィルムの体積抵
抗率は1×1015Ω・cm以上であることが好ましく、
1×1016Ω・cmであることがより好ましい。
【0037】さらにまた、本発明の2軸配向積層ポリエ
ステルフィルムの厚みは、50〜350μmの厚みであ
ることが、用途に応じて適用できる。特に、モータスロ
ット用としては、ウエッジ用に、170〜350μm、
スロットライナー用に100〜250μm、相間絶縁に
75〜125μmの厚みのフィルムが用いられることが
多い。
【0038】続いて、本発明の電気絶縁用二軸配向積層
ポリエステルフィルムの製造方法について、詳述する。
本発明の電気絶縁用二軸配向積層ポリエステルフィルム
は、基本的には従来から知られている、あるいは当業界
に蓄積されている方法で製造することができる。例え
ば、先ず未配向積層フィルムを製造し、次いで該フィル
ムを二軸配向させることで得ることができる。この未配
向積層フィルムは、例えば、両表層を形成するポリエチ
レン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート層と、中
間層を形成するポリエチレンテレフタレート層とを、ポ
リエステルの溶融状態又は冷却固化された状態で積層す
る方法を用いることができ、具体的には、例えば共押出
しやエクストルージョンラミネート等の方法で製造でき
る。これらの中で、安定した各層間の密着力が得やすい
共押出しが好ましい。共押出しダイには、マルチマニホ
ールドダイとフィードブロックダイがあり、いずれも使
用できるが各層溶融物の接触時間が長いフィードブロッ
クダイが好ましい。
【0039】また、厚み配分を考慮して上述の方法で積
層された見延伸積層フィルムは、更に従来から蓄積され
た二軸配向フィルムの製造法に準じて行ない、二軸配向
フィルムとすることができる。例えば、厚み150μm
以上のフィルムを製造する場合、融点(Tm:℃)ない
し(Tm+70)℃の温度でポリエステルを溶融・共押
出して未延伸積層フィルムを得、該未延伸積層フィルム
を一軸方向(一般に縦方向)に(Tg−10)〜(Tg
+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエステルのガラス
転移温度)で2.0倍以上、好ましくは2.5倍以上4.
0倍以下の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直角方
向にTg〜(Tg+70)℃の温度で2.0倍以上、好
ましくは2.5倍以上4.0倍以下の倍率で延伸するのが
好ましい。この際、縦方向と横方向の延伸倍率を掛けた
面積延伸倍率は、6倍以上が好ましく、8〜14倍がさ
らに好ましい。さらにまた、二軸配向フィルムは、(T
g+70)℃〜(Tm−10)℃の温度で熱固定するこ
とができ、例えば180〜250℃で熱固定するのが好
ましい。熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
【0040】なお、上記未延伸フィルムを得る工程にお
いてフィルム状溶融物と回転冷却ドラムの密着性を高め
る目的で、フィルム状溶融物に静電荷を付与する静電密
着法が知られている。しかし、ポリエチレン―2,6―
ナフタレンジカルボキシレートは溶融物の電気抵抗が高
いため、上記静電密着が不十分である場合があり、この
対策として、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカル
ボキシレートに2官能性カルボン酸成分のモル数を基準
として、0.1〜40mmol%のエステル形成性官能
基を有するスルホン酸4級ホスホニウムを含有させるこ
とが好ましい。
【0041】また、上記未延伸フィルムを得る工程にお
いて、最終厚み150μm以上のフィルムの場合、フィ
ルム状溶融物の回転冷却ドラムが密着する面とフィルム
状溶融物の空気に晒される面との間に冷却速度差が生
じ、厚み方向に物性差を生じることがある。そして、こ
のような物性差があると、これが耐層間剥離力(層内剥
離を含む)を弱めることになるので、フィルム状溶融物
の空気に晒される面には、冷却風を吹き付けたり、冷却
ローラーを接触させたりするのが好ましい。
【0042】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。なお、実施例において、各種特性値は下記の
方法で測定および評価した。 (1)各層の厚み ミクロトームでフィルム表面に垂直に断面観察用試料を
切り出し、目盛り付き顕微鏡で各層の厚みを読み取る。
また、全厚みは外付きマイクロメータで測定する。
【0043】(2)ポリエチレンテレフタレート中のエ
チレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート成分の
存在割合 層の厚みが10μm未満の場合は、ポリエチレンテレフ
タレートとポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボ
キシレートを混合割合を変化させた樹脂組成物を作成
し、それぞれの樹脂組成物をX線光電子分光装置(VG
社、ESCALB−200)によってベンゼン環とナフ
タレン環の存在比を求め、エチレン―2,6―ナフタレ
ンジカルボキシレート成分の混合割合とベンゼン環とナ
フタレン環の存在比との検量線を作成した。
【0044】そして、サンプルであるフィルムの各層を
スライシングで削り取り、削り取った樹脂組成物中のベ
ンゼン環とナフタレン環の存在比をX線光電子分光装置
(VG社、ESCALB−200)によって測定し、前
述の検量線からポリエチレンテレフタレート中のポリエ
チレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートの存在
割合(重量%)を求めた。
【0045】また、層の厚みが10μm以上の場合は、
ポリエチレンテレフタレートとポリエチレン―2,6―
ナフタレンジカルボキシレートを混合割合を変化させた
樹脂組成物を作成し、それぞれの樹脂組成物をJASC
O製FT−IR/700によってベンゼン環とナフタレ
ン環の存在比を求め、エチレン―2,6―ナフタレンジ
カルボキシレート成分の混合割合とベンゼン環とナフタ
レン環の存在比との検量線を作成した。
【0046】そして、サンプルであるフィルムの各層を
スライシングで削り取り、削り取った樹脂組成物中のベ
ンゼン環とナフタレン環の存在比を、JASCO製FT
−IR/700によって測定し、前述の検量線からポリ
エチレンテレフタレート中のエチレン―2,6―ナフタ
レンジカルボキシレートの存在割合(重量%)を求め
た。
【0047】(3)密度 硝酸カルシウム水溶液を溶媒として用いた密度勾配管
に、25℃で浮沈法により測定した値である。
【0048】(4)抽出オリゴマー量 フィルム(38mm×38mm)を139℃のキシレン
20cc中で2時間煮沸し、徐冷したのちフィルムを取
出し、該キシレン中のオリゴマー量を測定波長240n
mの吸光度より求める。なお、オリゴマーの濃度と吸光
度との関係は予め検量線を作成して用いた。また、吸光
度の測定はSHIMADZU製UV−VIS−NIR分
光光度計UV−3101PCを用いる。
【0049】(5)層間剥離評価 JIS K5400−1990の付着性碁盤目評価で剥
離力を評価する。下記の評点もJIS規格通りである。 10: 切り傷の交点と升目に剥離が全くない。 8: 切り傷の交点にわずかな剥がれがあり、升目の欠
損部分が全升目の5%以下。 6: 切り傷の両側と交点に剥がれがあって、升目の欠
損部分が全升目の5%を超え15%以下。 4: 切り傷による剥がれの幅が広く、升目の欠損部分
が全升目の15%を超え35%以下。 2: 切り傷による剥がれの幅は上記4より広く、升目
の欠損部分が全升目の35%を超え65%以下。 0: 升目の欠損部分が全升目の65%を超える。 なお、層内で剥離した場合も層間剥離力とみなす。
【0050】(6)引張り強伸度 引張試験機(東洋ボールドウィン製、テンシロン)を用
い、強度はJIS C2318に準じて、温度20℃、
相対湿度50%に調節された室内において、巾10m
m、長さ150mm短冊状の試料(試料の長手方向がフ
ィルムの製膜方向に沿ったものと試料の巾方向がフィル
ムの製膜方向に沿ったものの2種類を準備)をサンプリ
ングし、該短冊状の試料を、チャック間100mm、引
張速度10mm/分にて引っ張り、得られた応力-歪み
曲線から破断時の応力と伸度を求めた。そして、試料の
長手方向がフィルムの製膜方向に沿ったものと試料の巾
方向がフィルムの製膜方向に沿ったものとをそれぞれ測
定し、両者の平均を、破断応力と破断伸度とした。
【0051】(7)加工性 小田原エンジニアリング(株)製モータ加工機のウエッ
ジ成形部分を用い、250μm厚みの試料を、幅12m
m、長さ60mmのウエッジに25℃50%RHの雰囲
気下で加工速度2ケ/秒で加工し、目視で層間剥離(層
内剥離を含む)の発生したものを不良品とし、不良品発
生率で表す。なお、加工個数は各試料20個ずつとす
る。
【0052】[実施例1]2,6―ナフタレンジカルボ
ン酸ジメチル100部、エチレングリコール60部の混
合物に、酢酸マンガン・4水塩0.03部を添加し、1
50℃から240℃に徐々に昇温しながらエステル交換
反応を行った。途中反応温度が170℃に達した時点で
三酸化アンチモン0.024部を添加し、さらに平均粒
径1.7μmの多孔質シリカを0.08重量%添加し
て、次いで220℃に達した時点で3,5―ジカルボキ
シベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.
042部(2mmol%に相当)を添加した。引き続い
てエステル交換反応を行い、エステル交換反応終了後燐
酸トリメチル0.023部を添加した。その後反応生成
物を重合反応器に移し、290℃まで昇温し、0.2m
mHg以下の高真空下にて重縮合反応を行って25℃の
o―クロロフェノール溶液で測定した固有粘度が0.6
1dl/g、DEG共重合量1.1モル%のポリエチレ
ン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートポリマーを
得た。このポリマーを170℃において6時間乾燥させ
た後、押出機に供給し、溶融温度300℃で溶融し、線
径13μmのステンレス細線よりなる平均目開き24μ
mの不織布型フィルターで濾過し、3層押出しダイの第
1層および第3層に、即ち両表層を形成するように導い
た。
【0053】これとは別に、ジメチルテレフタレートと
エチレングリコールとを、エステル交換触煤として酢酸
マンガンを、重合触媒として三酸化アンチモンを、安定
剤として亜燐酸を、さらに顔料として平均粒径0.3μ
mの酸化チタン粒子をポリマーに対して0.1重量%に
なるように添加して常法により重合し、固有粘度(オル
ソクロロフェノール、35℃)0.65のポリエチレン
テレフタレートを得た。これに前述のポリエチレン―
2,6―ナフタレンジカルボキシレートポリマーペレッ
トを10重量%混合し、170℃で3時間乾燥後、別の
押出機ホッパーに供給し、溶融温度300℃で溶融し、
線径13μmのステンレス細線よりなる平均目開き24
μmの不織布型フィルターで濾過し、上記3層ダイの第
2層即ち中間層へ導いた。
【0054】そして、それぞれの層に導かれたポリマー
が積層された、3層積層ポリマーを開度2mmのスリッ
ト状ダイを通して、表面仕上げ0.3S、表面温度30
℃の回転ドラム上に押出し、未延伸フィルムを得た。な
お、溶融ポリマーが冷却ドラムと接する付近に直流の電
圧6.5KVを印加した線電極を近接させ、静電気によ
るドラムへの密着を促進した。また、ドラム上のポリマ
ーに約10℃に冷却した空気を吹き付けて空気側の冷却
を促進した。こうして得られた未延伸フィルムを140
℃で縦方向に3.0倍に延伸し、次いで140℃で横方
向に2.8倍延伸し、さらに230℃で5秒間熱固定処
理し、厚み250μm、両表層のポリエチレン―2,6
―ナフタレンジカルボキシレート層が各5μmである二
軸配向3層ポリエステルフィルムを得た。得られた2軸
配向積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0055】[実施例2]5層ダイを用い、表層である
第1および第5層は、実施例1のポリエチレン―2,6
―ナフタレンジカルボキシレートを導き、中間層表面部
である第2および第4層は、実施例1のポリエチレンテ
レフタレートとポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレートとの重量比75:25の混合物を導き、
中間層表面部を除いた中間層である第3層は実施例1の
ポリエチレンテレフタレートを導き、それぞれの表層の
厚みを各5μm、それぞれの中間層表面部の厚みを各1
2μm、積層フィルム全体の厚みを250μmとなるよ
うに変更した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返し
た。得られた2軸配向積層ポリエステルフィルムの特性
を表1に示す。
【0056】[実施例3〜7]表1に示すように変更し
た以外は、実施例1と同様にして厚み250μmの二軸
配向3層ポリエステルフィルムを得た。得られた2軸配
向積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0057】[実施例8]表1に示すように変更した以
外は、実施例2と同様にして厚み250μmの二軸配向
5層ポリエステルフィルムを得た。得られた2軸配向積
層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0058】[比較例1]実施例1のポリエチレン―
2,6―ナフタレンジカルボキシレートの多孔質シリカ
の添加量を1重量%に変更し、該ポリマーを単層ダイを
用いて単層フィルムとした以外は実施例1と同様な操作
を繰り返した。得られた2軸配向ポリエステルフィルム
の特性を表1に示す。
【0059】[比較例2]実施例1のポリエチレンテレ
フタレートを単層ダイを用いて単層フィルムとした以外
は実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた2軸配
向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0060】[比較例3〜5]表1に示すように変更し
た以外は、実施例1と同様にして厚み250μmの二軸
配向3層ポリエステルフィルムを得た。得られた2軸配
向積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】上記表中の、ENはエチレン−2,6−ナ
フタレート成分を示す。
【0063】
【発明の効果】本発明の2軸配向積層ポリエステルフィ
ルムは、次のような優れた効果を持ち、特に冷凍機モー
タの電気絶縁用フィルムとして好適に用いられる。 (1)耐熱劣化性に優れ、電気機器の小形化が高い信頼
性を保持しながら図れる。 (2)耐デラミネーション性に優れ、スリット時の破
断、回転機のスロットライナやウエジ装填時の層状剥
離、粘着テープ引き剥がし時の層状剥離などの少ないフ
ィルムを提供できる。 (3)オリゴマー抽出量が少なく、エアコン冷凍機用モ
ータ絶縁に適する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 3/42 H01B 3/42 F 5G333 17/56 17/56 A // B29K 67:00 B29K 67:00 105:34 105:34 B29L 7:00 B29L 7:00 9:00 9:00 Fターム(参考) 4F071 AA46 AB18 AF39 AH12 BA01 BB06 BC01 4F100 AA20 AA21B AA29 AK41 AK41A AK41B AK41C AK41J AK42B AL01 AL05B BA03 BA10A BA10C BA16 BA44 DD07A DD07C DE01B EH20 EJ38 GB41 JG04 JJ03 JK06 JN01 YY00 YY00A YY00B YY00C 4F210 AA26 AB16 AG01 AG03 AH33 QC05 QC06 QG01 QG15 QG18 4J002 CF00 CF061 DE136 FA086 5G305 AB40 BA25 CA11 5G333 AA03 AB07 BA01 DA03 DA19

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレートからなる層
    (中間層)の両表面に、ポリエチレン―2,6―ナフタ
    レンジカルボキシレートからなる層(表層)を積層した
    積層フィルムであって、 中間層は、エチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシ
    レート成分を0.05重量%以上15重量%未満含有
    し、且つ、その両表面から厚み方向に少なくとも1μm
    の部分(中間層表面部)がエチレン―2,6―ナフタレ
    ンジカルボキシレート成分を1重量%以上30重量%未
    満または70重量%を超えて99重量%以下含有するこ
    と、および、 それぞれの表層は、その厚さが少なくとも2μm以上
    で、且つ、積層フィルムの厚みを基準として、それぞれ
    の表層の厚みが10%未満であることを特徴とする電気
    絶縁用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 積層フィルムの中間層と表層との間の耐
    剥離性が、JISK5400−1990の評価で、少な
    くとも10である請求項1記載の電気絶縁用二軸配向積
    層ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 少なくとも片面の表面中心線平均粗さ
    (Ra)が、3〜50nmの範囲にある請求項1記載の
    電気絶縁用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 ヘーズ値が少なくとも20%である請求
    項1記載の電気絶縁用二軸配向積層ポリエステルフィル
    ム。
  5. 【請求項5】 中間層が、平均粒径0.01〜0.5μ
    mの2酸化チタン粒子を0.1〜1重量%含有する請求
    項4記載の電気絶縁用二軸配向積層ポリエステルフィル
    ム。
  6. 【請求項6】 ポリエチレンテレフタレートを主とする
    溶融状態のポリマーの両面に、ポリエチレン―2,6―
    ナフタレンジカルボキシレートを主とする溶融状態のポ
    リマーを積層した状態で共押出しすることによって得ら
    れた請求項1〜5のいずれかに記載の電気絶縁用二軸配
    向積層ポリエステルフィルム。
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