JP2002273771A - 樹脂用射出成形金型及び樹脂成形方法 - Google Patents
樹脂用射出成形金型及び樹脂成形方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高品質の樹脂成形品を、短い成形サイクルで
生産することができる樹脂用射出成形金型の提供及びそ
の金型を用いた樹脂成形方法の提供。 【解決手段】 金型温度調節手段を備えた樹脂用射出成
形金型において、前記樹脂用射出成形金型は、成形品キ
ャビティ部の樹脂注入口側から当該成形品キャビティ部
の樹脂流入末端側にかけて次第に低下する温度勾配を保
持可能な金型温度調節手段を備えたことを特徴とする
又、樹脂成形方法において、成形品キャビティ部の樹脂
流入末端側から成形品キャビティ部の樹脂注入口側へと
次第に樹脂を固化させてから型開することを特徴とす
る。
生産することができる樹脂用射出成形金型の提供及びそ
の金型を用いた樹脂成形方法の提供。 【解決手段】 金型温度調節手段を備えた樹脂用射出成
形金型において、前記樹脂用射出成形金型は、成形品キ
ャビティ部の樹脂注入口側から当該成形品キャビティ部
の樹脂流入末端側にかけて次第に低下する温度勾配を保
持可能な金型温度調節手段を備えたことを特徴とする
又、樹脂成形方法において、成形品キャビティ部の樹脂
流入末端側から成形品キャビティ部の樹脂注入口側へと
次第に樹脂を固化させてから型開することを特徴とす
る。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂用射出成形金
型及びその金型を用いた樹脂成形方法に関し、詳しく
は、熱可塑性樹脂の射出成形品の外装部品、外板、精密
部品等の成形品において、高品質の表面及び寸法精度、
更には、短時間で成形できる樹脂用射出成形金型及びそ
の金型を用いた樹脂成形方法に関する。
型及びその金型を用いた樹脂成形方法に関し、詳しく
は、熱可塑性樹脂の射出成形品の外装部品、外板、精密
部品等の成形品において、高品質の表面及び寸法精度、
更には、短時間で成形できる樹脂用射出成形金型及びそ
の金型を用いた樹脂成形方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】偏肉部を有する樹脂射出成形品は、その
外形が型どられた金型に、溶融樹脂を射出注入して冷却
する方法で得られるものであるが、従来の成形方法で
は、金型に設けられた金型温度調節装置は金型全体の温
度を均一に保つために用いられ、その機能を果たすよう
構成されていた。こうして、全体が均一温度に保たれた
金型に、高温の溶融樹脂が注入（充填）されると、当然
金型温度は一時的に上昇(昇温)した後、自然と緩やかに
全体的に低下(降温)して行く。この低下して行く段階
で、溶融樹脂が固化されて行く。即ち、成形品キャビテ
ィ部に充填された溶融樹脂は、金型全体が均一温度を保
ちつつ全体として一定温度へと自然に低下して行くのに
伴って、溶融樹脂全体が比較的緩やかに固化されて行く
ことになる。
外形が型どられた金型に、溶融樹脂を射出注入して冷却
する方法で得られるものであるが、従来の成形方法で
は、金型に設けられた金型温度調節装置は金型全体の温
度を均一に保つために用いられ、その機能を果たすよう
構成されていた。こうして、全体が均一温度に保たれた
金型に、高温の溶融樹脂が注入（充填）されると、当然
金型温度は一時的に上昇(昇温)した後、自然と緩やかに
全体的に低下(降温)して行く。この低下して行く段階
で、溶融樹脂が固化されて行く。即ち、成形品キャビテ
ィ部に充填された溶融樹脂は、金型全体が均一温度を保
ちつつ全体として一定温度へと自然に低下して行くのに
伴って、溶融樹脂全体が比較的緩やかに固化されて行く
ことになる。
【０００３】しかし、このように、金型全体を均一温度
に保ちつつ行う従来の成形方法による樹脂成形では、成
形品の外観品質の改善は或る程度見込めるものの、金型
の昇温・降温に時間が掛かり過ぎ、所謂成形サイクルが
例えば３乃至６分もの時間を要し、これが生産性向上の
障害となっていた。
に保ちつつ行う従来の成形方法による樹脂成形では、成
形品の外観品質の改善は或る程度見込めるものの、金型
の昇温・降温に時間が掛かり過ぎ、所謂成形サイクルが
例えば３乃至６分もの時間を要し、これが生産性向上の
障害となっていた。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決し、高品質の樹脂成形品を、短い成形サイクルで生
産できる生産性の高い樹脂用射出成形金型の提供、及び
その金型を用いた樹脂成形方法の提供を目的とする。
解決し、高品質の樹脂成形品を、短い成形サイクルで生
産できる生産性の高い樹脂用射出成形金型の提供、及び
その金型を用いた樹脂成形方法の提供を目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】請求項１の樹脂用射出成
形金型の発明は、金型温度調節手段を備えた樹脂用射出
成形金型において、前記樹脂用射出成形金型は、成形品
キャビティ部の樹脂注入口側から当該成形品キャビティ
部の樹脂流入末端側にかけての金型の温度が次第に低く
なる温度勾配を保持したまま、当該温度勾配を全体的に
昇温或いは降温させる金型温度調節手段を備えたことを
特徴とする。
形金型の発明は、金型温度調節手段を備えた樹脂用射出
成形金型において、前記樹脂用射出成形金型は、成形品
キャビティ部の樹脂注入口側から当該成形品キャビティ
部の樹脂流入末端側にかけての金型の温度が次第に低く
なる温度勾配を保持したまま、当該温度勾配を全体的に
昇温或いは降温させる金型温度調節手段を備えたことを
特徴とする。
【０００６】請求項２の発明は、請求項１の樹脂用射出
成形金型において、金型温度調節手段は、樹脂注入口側
に加熱装置を、樹脂流入末端側に加熱兼冷却装置を配設
した構成であることを特徴とする。
成形金型において、金型温度調節手段は、樹脂注入口側
に加熱装置を、樹脂流入末端側に加熱兼冷却装置を配設
した構成であることを特徴とする。
【０００７】請求項３の発明は、請求項１又は請求項２
の何れかに記載の樹脂用射出成形金型において、温度勾
配は比例的であることを特徴とする。
の何れかに記載の樹脂用射出成形金型において、温度勾
配は比例的であることを特徴とする。
【０００８】請求項４の発明は、請求項１乃至請求項３
の何れかに記載の樹脂用射出成形金型において、前記金
型は、少なくとも、成形品キャビティ部に充填される溶
融樹脂に温度を作用させる加熱装置と加熱兼冷却装置と
を備えた、熱容量の小さい構成としたことを特徴とす
る。
の何れかに記載の樹脂用射出成形金型において、前記金
型は、少なくとも、成形品キャビティ部に充填される溶
融樹脂に温度を作用させる加熱装置と加熱兼冷却装置と
を備えた、熱容量の小さい構成としたことを特徴とす
る。
【０００９】請求項５の発明は、請求項１乃至請求項４
の何れかに記載の金型温度調節手段を備えた樹脂用射出
成形金型を用いた樹脂成形方法において、前記金型温度
調節手段により、少なくとも溶融樹脂を固化させる工程
において、成形品キャビティ部の樹脂注入口側の金型温
度を当該樹脂の固化温度以下とすると共に当該成形品キ
ャビティ部の樹脂流入末端側の金型温度を前記樹脂注入
口側の金型温度より低い温度とした温度勾配を保持させ
たまま、当該温度勾配を全体的に昇温或いは降温させて
成形することを特徴とする。
の何れかに記載の金型温度調節手段を備えた樹脂用射出
成形金型を用いた樹脂成形方法において、前記金型温度
調節手段により、少なくとも溶融樹脂を固化させる工程
において、成形品キャビティ部の樹脂注入口側の金型温
度を当該樹脂の固化温度以下とすると共に当該成形品キ
ャビティ部の樹脂流入末端側の金型温度を前記樹脂注入
口側の金型温度より低い温度とした温度勾配を保持させ
たまま、当該温度勾配を全体的に昇温或いは降温させて
成形することを特徴とする。
【００１０】請求項６の発明は、請求項５に記載の樹脂
成形方法にいて、温度勾配は比例的である特徴とする。
成形方法にいて、温度勾配は比例的である特徴とする。
【００１１】請求項７の発明は、請求項５又は請求項６
に記載の樹脂成形方法において、成形品キャビティ部の
樹脂流入末端側から成形品キャビティ部の樹脂注入口側
へと次第に樹脂を固化させてから型開することを特徴と
する。
に記載の樹脂成形方法において、成形品キャビティ部の
樹脂流入末端側から成形品キャビティ部の樹脂注入口側
へと次第に樹脂を固化させてから型開することを特徴と
する。
【００１２】
【発明の実施の形態】実施の形態１．実施の形態１は、
金型温度調節手段が、成形品キャビティ部の樹脂注入口
側から当該成形品キャビティ部の樹脂流入末端側にかけ
て、成形品キャビティ部に充填された溶融樹脂に対する
金型の温度勾配が次第に、例えば比例的に低下する温度
勾配を保持したままで、加熱及び冷却の何れにも調節可
能に構成された樹脂用射出成形金型である。以下、これ
を図１に基づいて説明する。図１は、構成の概要を示す
縦断面図である。
金型温度調節手段が、成形品キャビティ部の樹脂注入口
側から当該成形品キャビティ部の樹脂流入末端側にかけ
て、成形品キャビティ部に充填された溶融樹脂に対する
金型の温度勾配が次第に、例えば比例的に低下する温度
勾配を保持したままで、加熱及び冷却の何れにも調節可
能に構成された樹脂用射出成形金型である。以下、これ
を図１に基づいて説明する。図１は、構成の概要を示す
縦断面図である。
【００１３】図１において、符号１は樹脂用射出成形金
型（以下、金型ともいう）、２は意匠面側を形成する第
１の金型部材、３は局部的な偏肉部６１を有する第２の
金型部材、４は樹脂注入口７側に配設された加熱装置、
５は成形品キャビティ部６に充填された溶融樹脂に対す
る金型の温度を調節する加熱兼冷却装置である。図示の
通り、この成形品キャビティ部６は、第１の金型部材２
と第２の金型部材３とによって構成されている。尚、７
はランナーである。又、成形品キャビティ部６には射出
成形機(非図示)から溶融樹脂が注入される。
型（以下、金型ともいう）、２は意匠面側を形成する第
１の金型部材、３は局部的な偏肉部６１を有する第２の
金型部材、４は樹脂注入口７側に配設された加熱装置、
５は成形品キャビティ部６に充填された溶融樹脂に対す
る金型の温度を調節する加熱兼冷却装置である。図示の
通り、この成形品キャビティ部６は、第１の金型部材２
と第２の金型部材３とによって構成されている。尚、７
はランナーである。又、成形品キャビティ部６には射出
成形機(非図示)から溶融樹脂が注入される。
【００１４】上記の加熱手段４及び加熱兼冷却手段５に
よって、金型１の温度を調節する金型温度調節手段が構
成されている。加熱手段４は成形品キャビティ部６の樹
脂注入口７側に、加熱兼冷却手段５はその成形品キャビ
ティ部６の樹脂流入末端８側に配置されるが、その配置
は、成形品キャビティ部６に充填された溶融樹脂に対し
て、樹脂注入口７側から樹脂流入末端８側にかけて、金
型の温度勾配が次第に低下する配置とされている。
よって、金型１の温度を調節する金型温度調節手段が構
成されている。加熱手段４は成形品キャビティ部６の樹
脂注入口７側に、加熱兼冷却手段５はその成形品キャビ
ティ部６の樹脂流入末端８側に配置されるが、その配置
は、成形品キャビティ部６に充填された溶融樹脂に対し
て、樹脂注入口７側から樹脂流入末端８側にかけて、金
型の温度勾配が次第に低下する配置とされている。
【００１５】この場合、例えば、加熱手段４としては、
高周波、マイクロ波、又は超音波を用いた装置、或いは
電気ヒータ装置等を適宜用い(非図示)、加熱兼冷却手段
５としては、金型内に適宜配設された循環路に、熱媒体
としての水を温度制御しながら循環させる装置等を用い
る(非図示)。これら既存の装置等を適宜用いて金型温度
調整手段を構成する。尚、金型の材質は、鉄系、亜鉛、
ベリリウムー銅、アルミニウムの何れか、又は鉄系、亜
鉛、ベリリウムー銅、アルミニウムの何れかを主成分と
する合金、又はプリハードン鋼の何れかを用いるとよ
い。
高周波、マイクロ波、又は超音波を用いた装置、或いは
電気ヒータ装置等を適宜用い(非図示)、加熱兼冷却手段
５としては、金型内に適宜配設された循環路に、熱媒体
としての水を温度制御しながら循環させる装置等を用い
る(非図示)。これら既存の装置等を適宜用いて金型温度
調整手段を構成する。尚、金型の材質は、鉄系、亜鉛、
ベリリウムー銅、アルミニウムの何れか、又は鉄系、亜
鉛、ベリリウムー銅、アルミニウムの何れかを主成分と
する合金、又はプリハードン鋼の何れかを用いるとよ
い。
【００１６】第１の金型部材２と第２の金型部材３とか
らなる金型１は、上記の金型温度調節手段（加熱装置４
及び加熱兼冷却装置５）によって、樹脂充填時には昇温
され、型開時には降温される。この形態１の樹脂用射出
成形金型では、成形に当って、成形品キャビティ部６の
樹脂注入口７側を樹脂流入末端８側よりも高い温度に維
持しつつ、同時に、温度勾配が樹脂注入口７側から樹脂
流入末端８側にかけて、例えば比例的に低下するよう
に、上記の金型温度調節手段（４，５）を用いて温度勾
配を保たせる。
らなる金型１は、上記の金型温度調節手段（加熱装置４
及び加熱兼冷却装置５）によって、樹脂充填時には昇温
され、型開時には降温される。この形態１の樹脂用射出
成形金型では、成形に当って、成形品キャビティ部６の
樹脂注入口７側を樹脂流入末端８側よりも高い温度に維
持しつつ、同時に、温度勾配が樹脂注入口７側から樹脂
流入末端８側にかけて、例えば比例的に低下するよう
に、上記の金型温度調節手段（４，５）を用いて温度勾
配を保たせる。
【００１７】例えば、その加熱兼冷却手段５において
は、高温の水を樹脂注入口７側に近い方から樹脂流入末
端８側へと流したり、循環路（５）を例えば複数系統配
置して、樹脂流入末端８側に近い順に温度の低い水を流
すと共に、樹脂注入口７側の加熱手段４を前記加熱兼冷
却手段５の高温の水より更に高い温度とすることで、樹
脂注入口７側から樹脂流入末端８側にかけて温度勾配を
つけることができる。成形サイクル即ち樹脂充填から型
開まで、基本的にはこの温度勾配を保持したままで行
う。この場合、例えば、射出される樹脂や成形品の形態
によって異なるが、少なくとも溶融樹脂を固化させる工
程（型開工程）において、成形品キャビティ部６の樹脂
注入口７側の金型温度を当該樹脂の固化温度以下とする
と共に当該成形品キャビティ部６の樹脂流入末端８側の
金型温度を前記樹脂注入口７側の金型温度より適宜低い
温度とした温度勾配を保持させたまま、当該温度勾配を
全体的に昇温或いは降温させて成形する。
は、高温の水を樹脂注入口７側に近い方から樹脂流入末
端８側へと流したり、循環路（５）を例えば複数系統配
置して、樹脂流入末端８側に近い順に温度の低い水を流
すと共に、樹脂注入口７側の加熱手段４を前記加熱兼冷
却手段５の高温の水より更に高い温度とすることで、樹
脂注入口７側から樹脂流入末端８側にかけて温度勾配を
つけることができる。成形サイクル即ち樹脂充填から型
開まで、基本的にはこの温度勾配を保持したままで行
う。この場合、例えば、射出される樹脂や成形品の形態
によって異なるが、少なくとも溶融樹脂を固化させる工
程（型開工程）において、成形品キャビティ部６の樹脂
注入口７側の金型温度を当該樹脂の固化温度以下とする
と共に当該成形品キャビティ部６の樹脂流入末端８側の
金型温度を前記樹脂注入口７側の金型温度より適宜低い
温度とした温度勾配を保持させたまま、当該温度勾配を
全体的に昇温或いは降温させて成形する。
【００１８】この形態１によれば、上記の温度勾配が保
持された状態において、樹脂注入口７側での固化が最も
遅くなる。このため、成形品キャビティ部６には、樹脂
流入末端８側から始まる固化が樹脂注入口７側の溶融樹
脂が固化するに到るまで、樹脂圧がかかるので、成形品
の転写性が向上する。又、成形品キャビティ部６周囲の
金型温度が、成形品キャビティ部６の樹脂流入末端８側
から樹脂注入口７側まで、均一でなく、温度勾配を持つ
ので、溶融樹脂の固化が、樹脂流入末端８側から樹脂注
入口７側に向って次第に進むことになり、従来のよう
に、成形品キャビティ部６周囲の金型温度を均一に降温
させることによって生じていた、リブの根元部分や厚肉
部分等の偏肉部のひけの発生を抑制することができる。
所謂ひけは、周囲が先に固化した後、従って溶融樹脂の
補給(流入)が断たれた後に、固化する部分（溶融樹脂の
不足）に発生し易いため、温度勾配によって、一方側か
ら他方側へと溶融樹脂が次第に固化される場合には、ひ
けが発生し難くなる。
持された状態において、樹脂注入口７側での固化が最も
遅くなる。このため、成形品キャビティ部６には、樹脂
流入末端８側から始まる固化が樹脂注入口７側の溶融樹
脂が固化するに到るまで、樹脂圧がかかるので、成形品
の転写性が向上する。又、成形品キャビティ部６周囲の
金型温度が、成形品キャビティ部６の樹脂流入末端８側
から樹脂注入口７側まで、均一でなく、温度勾配を持つ
ので、溶融樹脂の固化が、樹脂流入末端８側から樹脂注
入口７側に向って次第に進むことになり、従来のよう
に、成形品キャビティ部６周囲の金型温度を均一に降温
させることによって生じていた、リブの根元部分や厚肉
部分等の偏肉部のひけの発生を抑制することができる。
所謂ひけは、周囲が先に固化した後、従って溶融樹脂の
補給(流入)が断たれた後に、固化する部分（溶融樹脂の
不足）に発生し易いため、温度勾配によって、一方側か
ら他方側へと溶融樹脂が次第に固化される場合には、ひ
けが発生し難くなる。
【００１９】尚、上記金型１の昇温及び降温に要する時
間の短縮は、成形サイクルの時間の短縮に大きく影響を
及ぼすため、金型１はできるだけ熱容量を小さく形成す
る方がよい。例えば、金型１を成形品キャビティ部６の
入れ駒程度に小型化する。これを図４に示して比較す
る。図４は「金型はできるだけ熱容量を小さく形成す
る」という発想の無いまま、在来の思考方法に基づいて
構成されるた金型例を示したもので、図１は「金型はで
きるだけ熱容量を小さく形成する」という発想に基づい
た金型例を示したものである。
間の短縮は、成形サイクルの時間の短縮に大きく影響を
及ぼすため、金型１はできるだけ熱容量を小さく形成す
る方がよい。例えば、金型１を成形品キャビティ部６の
入れ駒程度に小型化する。これを図４に示して比較す
る。図４は「金型はできるだけ熱容量を小さく形成す
る」という発想の無いまま、在来の思考方法に基づいて
構成されるた金型例を示したもので、図１は「金型はで
きるだけ熱容量を小さく形成する」という発想に基づい
た金型例を示したものである。
【００２０】図１と図４とを比較して分かるように、要
するに、金型は図１に示すように、少なくとも、成形品
キャビティ部６とその成形品キャビティ部６に充填され
る溶融樹脂に温度を作用させる加熱装置４と加熱兼冷却
装置５とを備えるに必要最小限の容積を持ち、できるだ
け熱容量が小さくなる構成とした方がよい。このよう
に、金型１を小型化することにより、樹脂充填から型開
までの温度変化を急速に行なわせることができるので、
成形サイクルを短縮させることができる。
するに、金型は図１に示すように、少なくとも、成形品
キャビティ部６とその成形品キャビティ部６に充填され
る溶融樹脂に温度を作用させる加熱装置４と加熱兼冷却
装置５とを備えるに必要最小限の容積を持ち、できるだ
け熱容量が小さくなる構成とした方がよい。このよう
に、金型１を小型化することにより、樹脂充填から型開
までの温度変化を急速に行なわせることができるので、
成形サイクルを短縮させることができる。
【００２１】尚、この形態１の樹脂用射出成形金型を用
いて成形できる樹脂は、ポリオレフィン樹脂、ポリスチ
レン樹脂、ＡＢＳ樹脂等の汎用性樹脂やポリカーボネー
ト樹脂、ポリアミド樹脂、各種の樹脂を混合したものや
補強材を混合したもの等、何れでもよく、特に制限はな
い。
いて成形できる樹脂は、ポリオレフィン樹脂、ポリスチ
レン樹脂、ＡＢＳ樹脂等の汎用性樹脂やポリカーボネー
ト樹脂、ポリアミド樹脂、各種の樹脂を混合したものや
補強材を混合したもの等、何れでもよく、特に制限はな
い。
【００２２】
【実施例】実施例１．上記実施の形態１の樹脂用射出成
形金型を用いて、ＡＢＳ樹脂を成形樹脂とした射出成形
を行った（このＡＢＳ樹脂は、溶融温度が１５０℃、固
化温度が１３０℃である）。加熱手段４を用いて、樹脂
注入口７側の領域の金型温度を上記樹脂の溶融温度１５
０℃より２０℃低い１３０℃に加熱保持し、加熱兼冷却
手段５を用いて、成形品末端８側の金型温度を上記樹脂
の固化温度１３０℃より６０℃低い７０℃とし、図２に
示す成形品、即ち製品裏面に厚さ１ｍｍ、高さ５ｍｍの
リブを有し、製品寸法１００×５０ｍｍ、肉厚１ｍｍの
板状の製品を成形した。図２は、こうして得られた成形
品の断面図である。図中の符号９は意匠面である。成形
品の意匠面９にはひけが発生しなかった。成形サイクル
は５５秒であった。
形金型を用いて、ＡＢＳ樹脂を成形樹脂とした射出成形
を行った（このＡＢＳ樹脂は、溶融温度が１５０℃、固
化温度が１３０℃である）。加熱手段４を用いて、樹脂
注入口７側の領域の金型温度を上記樹脂の溶融温度１５
０℃より２０℃低い１３０℃に加熱保持し、加熱兼冷却
手段５を用いて、成形品末端８側の金型温度を上記樹脂
の固化温度１３０℃より６０℃低い７０℃とし、図２に
示す成形品、即ち製品裏面に厚さ１ｍｍ、高さ５ｍｍの
リブを有し、製品寸法１００×５０ｍｍ、肉厚１ｍｍの
板状の製品を成形した。図２は、こうして得られた成形
品の断面図である。図中の符号９は意匠面である。成形
品の意匠面９にはひけが発生しなかった。成形サイクル
は５５秒であった。
【００２３】比較例１．上記実施例１において、成形品
キャビティ部６の周囲の金型温度を７０℃で均一とした
以外は、上記実施例１と同じ条件でＡＢＳ樹脂を用いて
成形した。図３はこうして得られた成形品の断面図であ
る。成形品の意匠面９には、図３に示すように、ひけ１
０が発生した。成形サイクルは４０秒であった。
キャビティ部６の周囲の金型温度を７０℃で均一とした
以外は、上記実施例１と同じ条件でＡＢＳ樹脂を用いて
成形した。図３はこうして得られた成形品の断面図であ
る。成形品の意匠面９には、図３に示すように、ひけ１
０が発生した。成形サイクルは４０秒であった。
【００２４】比較例２．上記実施の形態１の樹脂用射出
成形金型１と同じ内部構造（加熱手段４、加熱兼冷却手
段５、成形品キャビティ部６）ではあるが、金型１の大
きさを、通常の金型と同サイズ（従って、実施の形態１
の樹脂用射出成形金型１より大きい）とした、図４に示
す樹脂用射出成形金型を用いて、上記実施例１と同じ条
件で、ＡＢＳ樹脂を成形樹脂として成形品を得た。図２
は、こうして得られた成形品でもある。この成形品の意
匠面９には、実施例１と同様、ひけが発生しなかった
が、成形サイクルは１００秒もかかった。
成形金型１と同じ内部構造（加熱手段４、加熱兼冷却手
段５、成形品キャビティ部６）ではあるが、金型１の大
きさを、通常の金型と同サイズ（従って、実施の形態１
の樹脂用射出成形金型１より大きい）とした、図４に示
す樹脂用射出成形金型を用いて、上記実施例１と同じ条
件で、ＡＢＳ樹脂を成形樹脂として成形品を得た。図２
は、こうして得られた成形品でもある。この成形品の意
匠面９には、実施例１と同様、ひけが発生しなかった
が、成形サイクルは１００秒もかかった。
【００２５】実施例２．上記実施の形態１の樹脂用射出
成形金型１と同じ内部構造ではあるが、金型１の材質
を、通常の材質である鉄系より低熱伝導率のアルミ材を
用い、上記実施例１と同様の条件で、ＡＢＳ樹脂を成形
樹脂として用いて成形した。図２はこうして得られた成
形品でもある。この成形品の意匠面９には、実施例１と
同様、ひけが発生しなかったが、成形サイクルは４５秒
であった。
成形金型１と同じ内部構造ではあるが、金型１の材質
を、通常の材質である鉄系より低熱伝導率のアルミ材を
用い、上記実施例１と同様の条件で、ＡＢＳ樹脂を成形
樹脂として用いて成形した。図２はこうして得られた成
形品でもある。この成形品の意匠面９には、実施例１と
同様、ひけが発生しなかったが、成形サイクルは４５秒
であった。
【００２６】上記の実施例及び比較例で得られた各成形
品について、ひけや成形サイクルについて評価した結果
を下記の「表１」に示す。
品について、ひけや成形サイクルについて評価した結果
を下記の「表１」に示す。
【００２７】
【表１】
【００２８】
【発明の効果】請求項１乃至請求項７の各発明によれ
ば、何れも、リブやボス等の偏肉部を持つ成形品であっ
ても、その転写性に優れ、高品質の樹脂成形品を、従来
に比べて短い成形サイクルで効率よく生産することがで
きる。
ば、何れも、リブやボス等の偏肉部を持つ成形品であっ
ても、その転写性に優れ、高品質の樹脂成形品を、従来
に比べて短い成形サイクルで効率よく生産することがで
きる。
【００２９】請求項２の発明によれば、成形品キャビテ
ィ部の樹脂注入口側及び樹脂流入末端側の温度を任意に
操作することができるので、温度勾配の設定や保持、及
び温度勾配を保持したままでの、成形品キャビティ部の
樹脂注入口側と樹脂流入末端側との昇温や降温を短時間
で任意且つ自在に行わせることができる。
ィ部の樹脂注入口側及び樹脂流入末端側の温度を任意に
操作することができるので、温度勾配の設定や保持、及
び温度勾配を保持したままでの、成形品キャビティ部の
樹脂注入口側と樹脂流入末端側との昇温や降温を短時間
で任意且つ自在に行わせることができる。
【００３０】請求項５乃至請求項７の各発明によれば、
何れも、成形品キャビティ部周囲の金型温度が、成形品
キャビティ部６樹脂流入末端側から樹脂注入口側まで、
均一でなく、温度勾配を持つので、溶融樹脂の固化が、
樹脂流入末端側から樹脂注入口側に向って次第に進むこ
とになり、従来のように、成形品キャビティ部周囲の金
型温度を均一に降温させることによって生じていた偏肉
部のひけの発生を抑制することができ、外観良好な成形
品を提供することができる。
何れも、成形品キャビティ部周囲の金型温度が、成形品
キャビティ部６樹脂流入末端側から樹脂注入口側まで、
均一でなく、温度勾配を持つので、溶融樹脂の固化が、
樹脂流入末端側から樹脂注入口側に向って次第に進むこ
とになり、従来のように、成形品キャビティ部周囲の金
型温度を均一に降温させることによって生じていた偏肉
部のひけの発生を抑制することができ、外観良好な成形
品を提供することができる。
【図１】 実施の形態１の樹脂用射出成形金型の構成図
である。
である。
【図２】 実施例により得られた成形品の断面図であ
る。
る。
【図３】 比較例により得られた成形品の断面図であ
る。
る。
【図４】 比較例としての金型の構成図である。
１ 樹脂用射出成形金型、２ 第１の金型部材、３ 第
２の金型部材、４ 加熱手段、５ 加熱兼冷却手段、６
成形品キャビティ部、６１ 偏肉部、７ 樹脂注入
口、８ 成形品末端、９ 成形品意匠面、１０ ひけ。
２の金型部材、４ 加熱手段、５ 加熱兼冷却手段、６
成形品キャビティ部、６１ 偏肉部、７ 樹脂注入
口、８ 成形品末端、９ 成形品意匠面、１０ ひけ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤本 隆光 東京都千代田区丸の内二丁目２番３号 三 菱電機株式会社内 Ｆターム(参考） 4F202 AM34 AP05 AR06 CA11 CB01 CK06 CN01 CN05 CN15 CN22 4F206 AP054 AR064 JA07 JM16 JN44 JP13 JP17 JQ81
Claims (7)
- 【請求項１】 金型温度調節手段を備えた樹脂用射出成
形金型において、前記樹脂用射出成形金型は、成形品キ
ャビティ部の樹脂注入口側から当該成形品キャビティ部
の樹脂流入末端側にかけての金型の温度が次第に低くな
る温度勾配を保持したまま、当該温度勾配を全体的に昇
温或いは降温させる金型温度調節手段を備えたことを特
徴とする樹脂用射出成形金型。 - 【請求項２】 金型温度調節手段は、樹脂注入口側に加
熱装置を、樹脂流入末端側に加熱兼冷却装置を配設した
構成であることを特徴とする請求項１の樹脂用射出成形
金型。 - 【請求項３】 温度勾配は比例的であることを特徴とす
る請求項１又は請求項２の何れかに記載の樹脂用射出成
形金型。 - 【請求項４】 金型は、少なくとも、成形品キャビティ
部に充填される溶融樹脂に温度を作用させる加熱装置と
加熱兼冷却装置とを備えた、熱容量の小さい構成とした
ことを特徴とする請求項１乃至請求項３の何れかに記載
の樹脂用射出成形金型。 - 【請求項５】 請求項１乃至請求項４の何れかに記載の
金型温度調節手段を備えた樹脂用射出成形金型を用いた
樹脂成形方法において、前記金型温度調節手段により、
少なくとも溶融樹脂を固化させる工程において、成形品
キャビティ部の樹脂注入口側の金型温度を当該樹脂の固
化温度以下とすると共に当該成形品キャビティ部の樹脂
流入末端側の金型温度を前記樹脂注入口側の金型温度よ
り低い温度とした温度勾配を保持させたまま、当該温度
勾配を全体的に昇温或いは降温させて成形することを特
徴とする樹脂成形方法。 - 【請求項６】 温度勾配は比例的である特徴とする請求
項５に記載の樹脂成形方法。 - 【請求項７】 成形品キャビティ部の樹脂流入末端側か
ら成形品キャビティ部の樹脂注入口側へと次第に樹脂を
固化させてから型開することを特徴とする請求項５又は
請求項６に記載の樹脂成形方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001076573A JP2002273771A (ja) | 2001-03-16 | 2001-03-16 | 樹脂用射出成形金型及び樹脂成形方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001076573A JP2002273771A (ja) | 2001-03-16 | 2001-03-16 | 樹脂用射出成形金型及び樹脂成形方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2002273771A true JP2002273771A (ja) | 2002-09-25 |
Family
ID=18933481
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001076573A Pending JP2002273771A (ja) | 2001-03-16 | 2001-03-16 | 樹脂用射出成形金型及び樹脂成形方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2002273771A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR100631336B1 (ko) | 2006-05-25 | 2006-10-04 | (주)폴리텍 | 성형물의 공동성 기포 제거방법 |
| EP2266777A1 (en) | 2009-06-23 | 2010-12-29 | The Japan Steel Works, Ltd. | Method of operating injection molding machine and injection molding machine |
| WO2016147231A1 (ja) * | 2015-03-17 | 2016-09-22 | 三菱重工業株式会社 | 羽根車の製造方法 |
| US10330309B2 (en) | 2015-03-24 | 2019-06-25 | Mitsubishi Hitachi Power Systems, Ltd. | Boiler |
-
2001
- 2001-03-16 JP JP2001076573A patent/JP2002273771A/ja active Pending
Cited By (8)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| KR100631336B1 (ko) | 2006-05-25 | 2006-10-04 | (주)폴리텍 | 성형물의 공동성 기포 제거방법 |
| WO2007139292A1 (en) * | 2006-05-25 | 2007-12-06 | Polytec Co., Ltd | The method of void free for molding product |
| EP2266777A1 (en) | 2009-06-23 | 2010-12-29 | The Japan Steel Works, Ltd. | Method of operating injection molding machine and injection molding machine |
| US8329076B2 (en) | 2009-06-23 | 2012-12-11 | The Japan Steel Works, Ltd. | Method of operating injection molding machine and injection molding machine |
| WO2016147231A1 (ja) * | 2015-03-17 | 2016-09-22 | 三菱重工業株式会社 | 羽根車の製造方法 |
| JP2016172342A (ja) * | 2015-03-17 | 2016-09-29 | 三菱重工業株式会社 | 羽根車の製造方法 |
| US11161290B2 (en) | 2015-03-17 | 2021-11-02 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Method for manufacturing impeller |
| US10330309B2 (en) | 2015-03-24 | 2019-06-25 | Mitsubishi Hitachi Power Systems, Ltd. | Boiler |
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