JP2002265940A - 希土類賦活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体の製造方法 - Google Patents

希土類賦活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体の製造方法

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JP2002265940A
JP2002265940A JP2001069291A JP2001069291A JP2002265940A JP 2002265940 A JP2002265940 A JP 2002265940A JP 2001069291 A JP2001069291 A JP 2001069291A JP 2001069291 A JP2001069291 A JP 2001069291A JP 2002265940 A JP2002265940 A JP 2002265940A
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phosphor
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oxygen
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Hiroshi Matsumoto
宏志 松本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼成工程を経ても、消去特性及び残像特性が
悪化することがない希土類賦活弗化ハロゲン化バリウム
系蛍光体の製造方法を提供する。 【解決手段】 焼成炉内に蛍光体原料混合物を投入し、
これを焼成して焼成後の焼成物を取り出し、次の蛍光体
原料混合物の投入に備えるバッチ式の焼成工程を有する
希土類賦活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体の製造方法
であって、ある1の焼成工程と、その次の焼成工程との
間に、前記焼成炉内に付着した付着物を除去又は不活性
化するクリーニング工程を設けた希土類賦活弗化ハロゲ
ン化バリウム系蛍光体の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線像変換パネ
ル用の輝尽性蛍光体として有用な希土類賦活弗化ハロゲ
ン化バリウム系蛍光体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の放射線写真法に代わる方法とし
て、輝尽性蛍光体(以下、単に「蛍光体」という場合が
ある。)を用いる放射線像記録再生方法が知られてい
る。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換
パネル(蓄積性蛍光体シート)を利用するもので、被写
体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線を
該パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、そののちに輝尽性
蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時
系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積
されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)とし
て放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号を
得、次いで得られた電気信号に基づいて被写体あるいは
被検体の放射線画像を可視像として再生するものであ
る。読み取りを終えた該パネルは、残存する画像(残
像)の消去が行われた後、次の撮影のために備えられ
る。すなわち、放射線像変換パネルは繰り返し使用する
ことができる。
【0003】上記の放射線像記録再生方法によれば、従
来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放
射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝
線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができると
いう利点がある。さらに、従来の放射線写真法では一回
の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対し
て、この放射線像記録再生方法では放射線像変換パネル
を繰返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも
有利である。
【0004】輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励
起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用
上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光
によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示
す蛍光体が一般的に利用される。従来から放射線像変換
パネルに用いられてきた輝尽性蛍光体の例としては、希
土類賦活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体を挙げること
ができる。
【0005】希土類賦活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光
体は、一般に、以下の方法により製造される。まず、蛍
光体原料を乾燥状態で均一に混合することにより(乾式
法)又は蛍光体原料を均一に混合したスラリー状態とし
た後、乾燥することにより(湿式法)、蛍光体原料混合
物の調製を行う。
【0006】次いで、通常、得られた蛍光体原料混合物
を、焼成炉に入れ、母体結晶(BaFX等)の融点に近
い温度で、ほぼ大気圧下にある中性又は弱酸化性雰囲気
中で数時間かけて焼成する(焼成工程)。所望により、
一旦得られた焼成物を再焼成してもよい。焼成工程によ
り、蛍光体の母体結晶が成長すると同時に、母体結晶中
に賦活剤元素(Eu等)が拡散し、さらに輝尽中心の源
となるF+中心も生成される。従って、焼成工程は、蛍
光体の発光特性に影響を及ぼす重要な工程である。そし
て、焼成後の焼成物は、冷却されて、必要に応じて洗
浄、分級等の処理が施され蛍光体となる。
【0007】一方、蛍光体を量産するには、一般に、一
の焼成炉で、蛍光体原料混合物を焼成炉内に投入し、焼
成し、焼成後の焼成物を焼成炉から取り出し、次の蛍光
体原料混合物の投入への備える、というバッチ式の焼成
工程を繰り返すことによって行われる。このとき、焼成
中に昇華したハロゲン化物等が焼成炉の内壁、特にその
低温部に付着する場合がある。かかる付着物は、後の焼
成時において、導入される微量酸素を吸収し、蛍光体原
料混合物に行き渡る酸素の量を減少させる原因となる。
蛍光体の消去特性及び残像特性は、焼成時の酸素の量に
左右されると考えられており、蛍光体原料混合物に供給
される酸素の量が減少すると、消去特性及び残像特性が
悪化してしまうこととなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とす
る。即ち、焼成工程を経ても、消去特性及び残像特性が
悪化することがない希土類賦活弗化ハロゲン化バリウム
系蛍光体の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。即ち、 <1> 焼成炉内に蛍光体原料混合物を投入し、これを
焼成して焼成後の焼成物を取り出し、次の蛍光体原料混
合物の投入に備えるバッチ式の焼成工程を有する希土類
賦活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体の製造方法におい
て、ある1の焼成工程と、その次の焼成工程との間に、
前記焼成炉内に付着した付着物を除去又は不活性化する
クリーニング工程を設けたことを特徴とする希土類賦活
弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体の製造方法である。
【0010】<2> 前記クリーニング工程が、一定温
度以上に保持した前記焼成炉内に酸素含有ガスを流し込
む工程であることを特徴とする前記<1>に記載の希土
類賦活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体の製造方法であ
る。 <3> 前記クリーニング工程が、前記焼成炉内を真空
排気する工程であることを特徴とする前記<1>に記載
の希土類賦活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体の製造方
法である。 <4> 前記クリーニング工程が、前記焼成炉の内壁を
摺擦手段によって摺擦する工程であることを特徴とする
前記<1>に記載の希土類賦活弗化ハロゲン化バリウム
系蛍光体の製造方法である。
【0011】<5> 前記クリーニング工程が、次のA
〜Cの工程の2つ以上を任意に組み合わせて行われるこ
とを特徴とする前記<1>に記載の希土類賦活弗化ハロ
ゲン化バリウム系蛍光体の製造方法である。 A 一定温度以上に保持した前記焼成炉内に酸素含有ガ
スを流し込む工程 B 前記焼成炉内を真空排気する工程 C 前記焼成炉の内壁を摺擦手段によって摺擦する工程
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態を挙げ
て詳細に説明する。本発明の希土類賦活弗化ハロゲン化
バリウム系蛍光体の製造方法(以下、単に「本発明の製
造方法」という)は、消去特性及び残像特性に優れた該
蛍光体を製造し得る製造方法である。前記希土類賦活弗
化ハロゲン化バリウム系蛍光体(以下、単に、蛍光体と
呼ぶ場合がある。)としては、例えば、以下の基本組成
式(1)で表されるものである。 (Ba1-a,MII a)FX:zLn・・・(1) (MIIは、SrおよびCaのうち少なくとも一種のアル
カリ土類金属を表し、Lnは、Ce、Pr、Sm、E
u、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、TmおよびYbか
らなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表
す。Xは、Cl、Br、Iからなる群より選ばれる少な
くとも一種のハロゲン元素を表す。aは0≦a<1の数
値を表し、zは0<z≦0.2の数値を表す。)
【0013】基本組成式(1)中のaは、0≦a≦0.
5の数値であることが好ましい。Lnとしては、Euま
たはCeの希土類元素であることが好ましい。また、基
本組成式(1)はその組成物が化学量論的にモル比が
F:X=1:1であることを示しているのではなく、
(Ba1-a,MII a)FXで表わされるPbFCl型結晶
構造の化合物であることを示している。一般に、BaF
X結晶においてX-イオンの空格子点であるF+(X-
中心が多く生成された状態が600〜700nmの光に
対する輝尽効率を高める上で好ましい。このときFはX
よりもやや過剰にあることが多い。
【0014】なお、基本組成式(1)では省略されてい
るが、必要に応じて、混合工程において種々の添加物を
加えて、下記基本組成式(2)で表される輝尽性蛍光体
としてもよい。 (Ba1-a,MII a)FX・wNI・xNII・yNIII・bA:zLn ・・・(2)
【0015】基本組成式(2)中、MII、Ln、Xおよ
びa、zは、それぞれ基本組成式(1)の場合と同様で
ある。NIはLi、Na、K、RbおよびCsからなる
群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属化合物を
表し、NIIはMgおよびBeからなる群より選ばれる少
なくとも一種のアルカリ土類金属化合物を表す。NII I
はAl、Ga、In、Tl、Sc、Y、La、Gdおよ
びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金
属化合物を表す。前記三価金属化合物としては特開昭5
9‐75200号公報に記載のようなハロゲン化物を用
いることが好ましいが、それらに限定されるものではな
い。また、AはAl23、SiO2、ZrO2等の金属酸
化物を表わす。BaFX粒子同士の焼結を防止する上で
は一次粒子の体積平均粒径が0.1μm以下の超微粒子
で(Ba1-a,MII a)FXとの反応性が低いものが好ま
しく、特にAl23が好ましい。
【0016】さらに、b、w、xおよびyは、それぞ
れ、(Ba1-a,MII a)FXのモル数を1としたときの
仕込添加量(モル量)であり、0≦b≦0.5、0≦w
≦2、0≦x≦0.3、0≦y≦0.3の各範囲内の数
値をそれぞれ表す。これらの数値は焼成やその後の洗浄
処理によって減量する添加物に関しては最終的な組成物
に含まれる元素比を表わしているわけではない。また、
最終的な組成物において添加されたままの化合物として
残留するものもあれば、BaFXと反応する、あるいは
取り込まれてしまうものもある。
【0017】図1は、本発明の製造方法に使用し得る製
造装置の一例を示している。図1において、10は焼成
炉であって、内部に焼成部分である炉芯管12が、図面
上左右方向に貫通する状態で配されている。焼成炉10
内部であって、炉芯管12の外部には熱源14が配さ
れ、該熱源14によって焼成炉10内部が加熱され、炉
芯管12内に投入されるボート(焼成容器)16に収容
された蛍光体原料混合物18が焼成できるように構成さ
れている。
【0018】炉芯管12には、内部にガスを導入および
排気し得るように、ガス導入排気管20がバルブ22を
介して連通し、炉芯管12内部雰囲気が適宜調整できる
ようになっている。炉芯管12内部雰囲気を調整するた
めに、ガス導入排気管20からガスを導入する際には、
マスフローコントローラー等、精密にガスの流量を測定
できる機器を用いて行うことが望ましい。
【0019】炉芯管12の図面上左端の開口部は、焼成
時の炉芯管12内部密閉性を確保しつつ、ボート(焼成
容器)16を投入可能なようにサンプル給排口蓋24に
より閉止されている。
【0020】なお、ボート(焼成容器)16は、石英ボ
ート、アルミナルツボ、石英ルツボ、炭化ケイ素容器等
の耐熱性容器で構成されている。また、熱源14として
は、従来公知のあらゆる熱源を使用することができ、例
えば公知の電気ヒーターを採用することができる。
【0021】炉芯管12の図面上右端の開口部には、密
閉蓋30が固定されており、この密閉蓋30によって焼
成時の炉芯管12の内部密閉性が確保される。密閉蓋3
0の材料としては、ステンレス等の金属や石英、アルミ
ナ等のセラミックスが一般的であるが、断熱素材からな
ることが好ましい。ここで断熱素材とは、例えば、熱伝
導率の小さいセラミックス(ジルコニア、マイカ等)
や、多孔質セラミックス、またはこれらを多層構造化し
たもの等が挙げられる。
【0022】炉芯管12の形状としては、円筒状、角筒
状等いずれでもよい。炉芯管12の大きさとしては、目
的に応じて適宜設定されるが、断面の直径(円筒状でな
い場合には、断面の面積に相当する円の直径)が、大方
50〜2000mm程度の範囲から選択され、100〜
1200mm程度の範囲が好ましい。また、炉芯管12
としては、焼成対象となる蛍光体原料混合物1kgに対
し、2〜500リットルの焼成部分の容積を確保するこ
とが望まれ、5〜50リットルの焼成部分の容積とする
ことが好ましい。前記焼成部分の容積が、蛍光体原料混
合物1kgに対し、2リットル未満であると、狭い空間
に密に蛍光体原料混合物を詰め込んだ状態となり、全体
的に均一な焼成を行うことが困難となる場合があり、5
00リットルを超えると、揮発するハロゲン雰囲気が低
すぎて、得られる輝尽性蛍光体の輝尽発光量や消去特性
等が劣化することがある。
【0023】蛍光体原料混合物18を焼成するに際して
は、まず蛍光体原料混合物18をボート(焼成容器)1
6に収容し、サンプル給排口蓋24を開放状態にして炉
芯管12内部の所定の位置に置く。そして、サンプル給
排口蓋24を密閉状態にして、ガス導入排気管20によ
りガスを適宜排気および/または導入し、炉芯管12内
部の雰囲気を所定の状態にしつつ、熱源14から熱を与
え、焼成を行う。このときの焼成条件(雰囲気、温度、
時間、焼成温度・雰囲気の段数等)は、目的に応じて適
宜設定すればよい。
【0024】焼成後、蛍光体原料混合物18が収容され
たボート(焼成容器)16は、サンプル給排口蓋24を
開放状態として、取り出され、所望の希土類賦活アルカ
リ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体が製造される。
【0025】以上の製造装置を用いた蛍光体の製造は以
下のようにして行う。以下に、混合工程、焼成工程、及
び冷却工程からなる一連の工程を示すが、本発明の製造
方法においては、これら一連の工程に限定されることは
なく、いずれかの工程を省略したり、他の工程を追加し
たりすることができる。例えば、洗浄工程、乾燥工程、
篩分工程等の一般的な各種工程を設けることもできる。
以下、各工程に分けて説明する。
【0026】<混合工程>混合工程は、蛍光体原料を混
合して蛍光体原料混合物を調製する工程である。前記蛍
光体原料としては、下記原料(1)〜(5)を挙げるこ
とができる。 (1)BaF2、BaCl2、BaBr2、BaI2、Ba
FBr、BaFClおよびBaFIからなる群より選ば
れる少なくとも一種のハロゲン化バリウム。ただし、少
なくとも1つはFを含む材料である。 (2)CaF2、CaCl2、CaBr2、CaI2、Sr
2、SrCl2、SrBr2、SrI2、MgF2、Mg
Cl2、MgBr2及びMgI2からなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ土類金属ハロゲン化物。 (3)CsCl、CsBr、CsI、NaCl、NaB
r、NaI、KCl、KBr、KI、RbCl、RbB
r、RbI、RbF、CsF、NaF、KF、LiF、
LiCl、LiBr及びLiIからなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ金属のハロゲン化物。 (4)Al23、SiO2及びZrO2からなる群より選
ばれる少なくとも一種の金属酸化物。 (5)ハロゲン化物、酸化物、硝酸塩、硫酸塩等の希土
類元素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の
化合物。所望により、さらにハロゲン化アンモニウム
(NH4X’,但し、X’はF、Cl、Br又はIを表
す。)等をフラックスとして使用してもよい。
【0027】蛍光体原料混合物の調製方法としては、公
知の混合方法の中から適宜選択して行うことができ、例
えば、下記(i)〜(iv)の方法により、蛍光体原料混
合物を調製してもよい。 (i)前記蛍光体原料(1)〜(5)を秤量し、単に混
合する調製方法。 (ii)前記蛍光体原料(1)〜(4)を秤量、混合し、
この混合物を100℃以上の温度で数時間加熱した後、
得られた熱処理物に前記蛍光体原料(5)を混合する調
製方法。 (iii)前記蛍光体原料(1)〜(5)を混合し、この
混合物を100℃以上の温度で数時間加熱して調製する
調製方法。 (iv)前記蛍光体原料(1)〜(4)を懸濁液の状態で
混合し、この懸濁液を加温下で、好ましくは50〜20
0℃の下で減圧乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥等により乾燥
した後、得られた乾燥物に前記蛍光体原料(5)を混合
する調製方法。
【0028】また、前記調製方法(iv)の変法として、
前記蛍光体原料(1)〜(5)を懸濁液の状態で混合
し、この懸濁液を乾燥する調製方法(iv−2)、前記蛍
光体原料(1)及び(5)を含有する懸濁液を、加温、
好ましくは50〜200℃に加温した後又は前記加温下
で減圧乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥等により乾燥した後、
得られた混合物中に前記蛍光体原料(2)〜(4)を添
加混合する調製方法(iv−3)、等も好適に挙げること
ができる。
【0029】また、特開平7−233369号公報及び
特開平10−195431号公報に記載の、粒子形状と
粒子アスペクト比を制御した14面体型の希土類賦活ア
ルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の製
造方法、即ち、前記蛍光体原料混合物の調製方法(i)
〜(iv−4)に加えて、さらに、蛍光体原料の混合に際
して、剪断力を付与しうる手段を利用した調製方法
(v)、各蛍光体原料の添加、混合のタイミング等の種
々条件を制御しうる手段を利用した調製方法(vi)によ
り調製することもできる。
【0030】前記調製方法(v)及び(vi)での混合に
用いる混合装置としては、公知の混合装置の中から適宜
選択して行うことができ、例えば、各種ミキサー、V型
ブレンダー、ボールミル、ロッドミル等を挙げることが
できる。
【0031】前記蛍光体の製造の際、輝尽発光量、消去
特性等をさらに改良する目的で、下記のような種々添加
成分を添加することもできる。例えば、特開昭57−2
3673号公報に記載のB、特開昭57−23675号
公報に記載のAs、特開昭59−27980号公報に記
載のテトラフルオロホウ酸化合物、特開昭59−472
89号公報に記載のヘキサフルオロ化合物、特開昭59
−56480号公報に記載のV,Cr,Mn,Fe,C
o,Ni等の遷移金属、又は特開昭59−75200号
公報に記載のBeX”2(但し、X”は、F、Cl、B
r及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロ
ゲン原子を表す)を挙げることができる。
【0032】前記添加成分を添加する場合、該添加成分
は蛍光体原料を秤量、混合する際又は焼成前に添加し、
混合される。
【0033】<焼成工程>焼成工程は、添付の図1を用
いて説明する。ただし、本発明は、図1に示す装置によ
るものに限られない。焼成工程は、焼成部分である炉芯
管12内に蛍光体原料混合物18を投入することで行わ
れる。詳しくは、蛍光体原料混合物18をボート(焼成
容器)16に収容し、これを炉芯管12内に投入し、熱
源14からの熱により焼成炉10内部を高温にして、蛍
光体原料混合物18の焼成を行い、蛍光体原料混合物1
8の焼成物を得るものである。
【0034】焼成温度としては、500〜1100℃の
範囲とすることが好ましく、700〜1000℃の範囲
とすることがより好ましく、また当該範囲中で一定温度
とすることがさらに好ましい。前記焼成温度が、500
℃未満では、母体結晶中での賦活剤元素の拡散や輝尽中
心の源となるF+の生成が不十分となることがあり、1
100℃を超えると、母体結晶が溶融してしまうことが
ある。
【0035】前記焼成時の焼成時間としては、蛍光体原
料混合物の充填量、焼成温度又は炉からの取出温度等に
よっても異なるが、一般に、1〜10時間が好ましく、
1〜5時間がより好ましい。前記焼成時間が、1時間未
満では、母体結晶中での賦活剤元素の拡散や輝尽中心の
源となるF+の生成が不十分となることがあり、10時
間を超えて焼成を行っても、蛍光体のそれ以上の特性上
の変化は少なく、生産性を低下させることになる場合が
ある。
【0036】前記焼成時における炉芯管12内の雰囲気
としては、中性又は僅かに酸化性の雰囲気ガスを用いた
雰囲気とすることが好ましい。前記中性の雰囲気ガスと
しては、例えば、He、Ne、Ar、N2等の不活性ガ
スが挙げられる。前記僅かに酸化性の雰囲気ガスは、焼
成炉の焼成部分容積1リットルに対し、焼成温度室温下
で0.1〜200ml、好ましくは1〜100mlの酸
素をガス導入排気管20から導入してつくる。残りの部
分は、例えば、He、Ne、Ar、N2等の不活性ガス
を導入する。前記酸素導入量が、0.1ml未満である
と、輝尽性蛍光体の消去特性に対する改良効果を十分に
得ることができないことがあり、200mlを超える
と、輝尽発光量が著しく低下することがある。
【0037】中性ガス中への酸素の導入方法としては、
特に限定されるものではなく、公知の導入方法の中から
適宜選択できるが、中でもガス導入排気管20により、
一旦、炉芯管12内を真空に近い状態まで排気した後、
酸素及び中性ガスを所定量導入し、焼成部分を弱酸化性
雰囲気として焼成を行うことが好ましい。このように行
うと、必要な酸素量を正確に導入できると同時に、他の
気体の影響を最小限に抑えることができる。
【0038】即ち、焼成する蛍光体原料混合物1kg当
りの焼成炉の焼成部分容積及び焼成部分容積1リットル
に対する酸素の導入量を特定することにより、蛍光体原
料混合物の焼成工程で、輝尽性蛍光体の消去特性を改善
するのに必要な量の酸素を導入することができる。ま
た、炉芯管12内の気体を所定量の酸素を含有する気体
で置換することにより、炉芯管12内の酸素量を段階的
又は連続的に変化させるようにして導入することもでき
る。
【0039】例えば、下記のような操作により所望量の
酸素を導入することができる。まず、焼成温度に達した
焼成炉12に蛍光体原料混合物18が収容されたボート
(焼成容器)16を投入した後、直ちに数分間ガス導入
排気管20により真空排気を行って、炉芯管12内の空
気を除去する。この場合、真空度としては、真空状態に
近い状態であれば焼成を行うことができるが、雰囲気中
の酸素存在量を正確な量とする点で、0.13hPa
(0.1torr)以下とすることが好ましい。
【0040】次に、炉芯管12内に所定量の酸素を供給
し、所望の気圧まで充填する。この時の酸素導入量とし
ては、前述の通り、炉芯管の焼成部分容積1リットルに
対し、0.1〜200mlが好ましく、この酸素の導入
量は、焼成温度での体積で示している。所定量の酸素を
正確に炉芯管12内に導入した後、さらに前記中性ガス
を炉芯管12内に充填して、炉芯管12内の気圧を約1
013hPa(1気圧)、即ち、大気圧近傍とし、弱酸
化性雰囲気とすることができる。
【0041】炉芯管12内を弱酸化性雰囲気に調整する
際、酸素の代りに、例えば、空気等の酸素を含む気体又
は不活性ガスを用いて、酸素を導入してもよい。前記空
気等の酸素を含む気体の導入量としては、一般に、酸素
を導入する場合と同量の酸素量とするのに必要な気体量
を導入することが好ましいが、炉芯管の焼成部分容積1
リットルに対し0.5〜1000mlがより好ましく、
5〜500mlが最も好ましい。
【0042】炉芯管12内への酸素の導入は、必ずしも
真空状態まで排気した後に行う必要はなく、大気圧(1
013hPa、1気圧)の中性ガス又は弱酸化性雰囲気
下にある炉芯管12内に、単に微量の酸素を導入しても
よいし、空気等の酸素を含む気体を炉芯管12内に導入
しながら、炉芯管12内の酸素量を増加させるように導
入してもよい。
【0043】また、焼成を二回以上行う場合には、例え
ば、蛍光体原料混合物18を一旦焼成した後、その焼成
物を焼成炉から取り出して放冷し、必要に応じて乳鉢、
ボールミル、チューブミル、遠心ミル等の公知の粉砕機
を用いて微粉末状に粉砕した後に、その粉砕物を再度焼
成炉に入れて焼成を繰り返し、最後の焼成(最終焼成
時)の焼成条件を前記焼成条件に調整して行うことが好
ましい。
【0044】中でも、蛍光体原料混合物を一旦900〜
1300℃の焼成温度の下で焼成した後(一回目の焼
成)、その焼成物を取り出して前記同様に粉砕し、この
粉砕物を前記焼成温度よりも低い温度で、好ましくは4
00〜1000℃の温度でさらに焼成することがより好
ましい。前記のように焼成を行うことにより、粉末状の
輝尽性蛍光体を得ることができる。
【0045】<冷却工程>冷却工程では、焼成炉10の
内部で温度低下させても、焼成炉10から取り出して温
度低下させてもよく、いずれの場合も、放置により温度
低下させる方法でも、水冷手段等の冷却手段を用いて温
度制御しながら強制的に温度低下させる方法であっても
よい。但し、冷却時間を短縮し、十分な特性を有する輝
尽性蛍光体を安定に製造しうる点で、所望の温度に制御
して冷却する方法が好ましい。
【0046】さらに、冷却工程の初期段階として、焼成
炉10の内部で徐冷する過程を設けることも好ましい。
前記徐冷は、蛍光体原料混合物18を焼成した直後に行
ってもよいが、さらに一定温度に維持しつつ、雰囲気の
除去、置換を行いながら一定時間経過した後に行うこと
が好ましい。
【0047】徐冷は、開始から所定の温度に達するまで
緩やかな温度勾配に制御して温度を下げる。特に、徐冷
は、輝尽性蛍光体の発光特性を向上させる点から、0.
2〜5℃/minの降温速度で、前記焼成終了時の温度
より20〜300℃低い温度となるまで行うことが好ま
しい。
【0048】冷却工程では、最終的に焼成物の温度が2
00℃以下になるまで行うことが好ましく、100℃以
下になるまで行うことがより好ましい。
【0049】以上の製造方法により製造した蛍光体は、
十分な輝尽発光量を有するとともに、十分な消去特性を
有し、高画質な画像を安定に形成することができる等、
蛍光体に本来求められる各種特性を何ら低下させること
がない。
【0050】蛍光体を量産する場合は、以上の、混合工
程、焼成工程、及び冷却工程からなる一連の工程を何度
も繰り返すことによって行われる。この場合、焼成工程
においては、蛍光体原料混合物を投入し、これを焼成
し、焼成後の焼成物を取り出し、次の蛍光体原料混合物
の投入に備えるというバッチ式の焼成工程が繰り返し行
われる。そして、各焼成工程では、蛍光体原料混合物に
含まれるハロゲン化物等が昇華し、焼成炉(炉芯管)の
内壁部に付着する。この付着物を放置すると、後の焼成
工程において、該付着物が焼成時に導入される酸素を吸
収し、蛍光体原料混合物に供給すべき酸素の量が減少す
るため、製造される蛍光体の消去特性及び残像特性が悪
化し好ましくない。そこで、ある1の焼成工程と、その
次の焼成工程との間に、以下のクリーニング工程を設け
ることによって、該付着物を除去又は不活性化する。
【0051】<クリーニング工程>クリーニング工程
は、前述の通り、焼成炉10(炉芯管12)の内壁に付
着した付着物を除去又は不活性化する工程である。クリ
ーニング工程は、例えば、以下のA〜Cの工程から選択
される少なくとも1つの工程によって行うことができ
る。以下のA〜Cの工程はいずれも、ボート16(焼成
物)を焼成炉10から取り出した後に行う。 A 一定温度以上に保持した焼成炉内に酸素含有ガスを
流し込む工程(以下、「工程A」と呼ぶ) B 前記焼成炉内を真空排気する工程(以下、「工程
B」と呼ぶ) C 前記焼成炉の内壁を摺擦手段によって摺擦する工程
(以下、「工程C」と呼ぶ) 上記工程A〜Cのいずれかの工程により、前記付着物を
除去又は不活性化することができ、少なくとも次の焼成
工程において、導入された酸素を付着物が吸収するとい
う前述の問題は発生せず、新たな(次の)蛍光体原料混
合物に十分な酸素を供給することができる。このような
クリーニング工程を設けることにより、消去特性及び残
像特性の良好な蛍光体を得ることができる。
【0052】工程Aでは、熱源14によって焼成炉10
を一定温度以上に保持し、サンプル給排口蓋24を開け
た状態で、一端がエアコンプレッサに接続され、他端に
噴出口が設けられたハステロイ管(図示せず)の他端を
炉芯管12の内部に配置し、エアコンプレッサを稼動さ
せ、ハステロイ管の噴出口から空気(酸素含有ガス)を
炉芯管12内に流し込む。焼成炉10内に導入された酸
素含有ガスは高温となり、この酸素含有ガスによって、
炉芯管12の内壁に付着したハロゲン化物等(付着物)
は、酸化され不活性化する、又は/及び、再昇華して排
気される。
【0053】導入する酸素含有ガスとしては、空気、あ
るいは酸素を含有する混合ガスを使用することができ
る。酸素を含有する混合ガスを調製する場合は、酸素含
有ガス中の酸素濃度は、20〜100%とすることが好
ましい。酸素含有ガスの導入は、圧力調節弁を取付けた
酸素含有ガスボンベ等によって行うことができる。導入
する酸素含有ガスの流量としては、5〜5000l/m
inとすることが好ましい。
【0054】前述の通り、工程Aを行う際、焼成炉10
の内部温度を一定温度以上に保持するが、該一定温度と
しては、特に限定はなく、例えば、前述の焼成工程にお
いて設定した温度(焼成時の温度)に対してマイナス1
0℃以上とすることができる。該温度以上とすること
で、炉芯管12の内壁に付着したハロゲン化物等の酸
化、不活性化、又は/及び再昇華が促進される。該一定
温度は、より好ましくは、焼成時の温度以上であり、さ
らに好ましくは、焼成時の温度に対してプラス10℃以
上の温度である。焼成時の温度に対してマイナス10℃
未満であっても、一定のクリーニング効果は得られる
が、酸素との反応性が低くなるためクリーニング効率が
低下することがある。
【0055】また、焼成炉10の内部温度は1200℃
以下とすることが好ましく、1000℃以下とすること
がより好ましい。前記内部温度が1200℃を超える
と、焼成炉10の熱源14(電気ヒーター等)の負荷が
大きくなるため、熱源寿命の短縮、及び製造コスト(電
気代等)の増加を招くことがある。
【0056】工程Aの実行時間としては、焼成炉内に付
着した付着物の量によって異なるが、0.1〜50時間
が好ましく、0.5〜20時間がより好ましい。前記実
行時間が、0.1時間未満では、付着物の除去又は不活
性化が不十分となることがあり、50時間を超えると、
それ以上付着物を除去する効果はなく生産性が低下する
場合がある。
【0057】以上の工程Aは、サンプル給排口蓋24を
開けた状態で、酸素含有ガスをハステロイ管から導入
し、炉芯管12のサンプル給排口蓋24側の開口部から
排出したが、サンプル給排口蓋24を閉めた状態で酸素
含有ガスを炉芯管12内に導入し、炉芯管12内に停留
させそのまま放置してもよい。このようにしても、炉芯
管12内に停留した高温酸素により、付着物を不活性化
させることができる。
【0058】工程Bでは、焼成炉10(炉芯管12)を
密閉し、ガス導入排気管20から真空排気することによ
って焼成炉10(炉芯管12)の内壁に付着した付着物
を吸引し除去する。
【0059】焼成炉10(炉芯管12)の真空度として
は、0.13hPa(0.1torr)以下とすること
が好ましい。0.13hPaを超えると、付着物を吸引
することができないことがある。また、真空吸引時の焼
成炉10内の温度は、焼成温度以上、1200℃以下と
することが好ましい。
【0060】工程Bの実行時間としては、焼成炉内に付
着した付着物の量によって異なるが、0.1〜50時間
が好ましく、0.5〜20時間がより好ましい。前記実
行時間が、0.1時間未満では、付着物の除去が不十分
となることがあり、50時間を超えると、それ以上付着
物を除去する効果はなく生産性が低下する場合がある。
【0061】工程Cでは、焼成炉10(炉芯管12)の
内壁を、摺擦器具(摺擦手段)によって摺擦して付着物
を焼成炉10の外部に排出する。
【0062】焼成炉10(炉芯管12)の内壁を摺擦す
るための摺擦器具としては、ブラシ等を挙げることがで
きる。また、吸引ノズルと組み合わせて、付着物除去の
効率を上げることができる。また、摺擦に際し、研磨剤
等を用いて摺擦することができる。
【0063】クリーニング工程は、焼成工程後毎回行っ
てもよく、あるいは、焼成工程をn回(n:自然数)行
う毎に1回の頻度で行ってもよい。例えば、1回の焼成
工程では前記付着物の付着が微量の場合においては、ク
リーニング工程を毎回行わなくてもよく、製造効率の点
から、付着物が除去すべき量に達する毎にクリーニング
工程を行うことができる。つまり、付着物が除去すべき
量に達する焼成工程の回数を測定し、nをその回数に設
定すると、蛍光体の製造を効率よく行うことができる。
例えば、付着物が除去すべき量に達するのが、3回の焼
成工程を経た後である場合、焼成工程を3回(n=3)
行う毎にクリーニング工程を1回行うなど適宜設定する
ことができる。焼成条件等にもよるが、前記nとしては
1〜10が好ましい。
【0064】一方、一の蛍光体原料混合物に対して、焼
成工程を2段階以上に分けて行う場合においても、ある
1の焼成工程と、その次の焼成工程との間にクリーニン
グ工程を設けることができる。1回の焼成工程において
も、経時的に付着物の発生があると考えられることか
ら、一の焼成物を製造する過程における途中でクリーニ
ング工程を行うと、同様に、焼成炉内に付着する付着物
を除去又は不活性化することができ、消去特性及び残像
特性に優れた蛍光体を製造することができる。より具体
的には、焼成工程の途中でボート10(焼成物)を焼成
炉10から取り出し、クリーニング工程を行い、その
後、ボート10を焼成炉10に投入し再度焼成工程を行
う。
【0065】各クリーニング工程は毎回同一の工程(A
〜C)とせず、クリーニング工程毎に異ならせてもよ
い。別言すると、各クリーニング工程において、工程A
〜Cを任意に選択して行うことができる。また、1回の
クリーニング工程において、工程A〜Cの2つ以上を任
意に組み合わせて行うことができる。例えば、工程Aの
後に、工程Cを行ったり、工程A、工程B、及び工程C
をこの順に行ったりすることができる。このように工程
A〜Cの2以上を任意に組み合わせることのより、焼成
炉の内壁に付着した付着物をより十分に除去又は不活性
化することができる。
【0066】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明は以下の実施例に限定されるものではない。 (実施例1) <混合工程>予め調製したBaFBr:Eu、及びBa
FI:Eu生粉(Eu賦活量5×10-3モル、添加物と
して、K、Cs、Caをそれぞれ1×10-3モル含む)
を、BrとIとの組成比が85:15となるように混合
し、さらに焼成時の燒結防止のため、アルミナ超微粒子
を1質量%添加し、ミキサーで十分に混合し、蛍光体原
料混合物Aを得た。
【0067】<焼成工程>蛍光体原料混合物A3kgを
石英製ボート(焼成容器)16に入れ、焼成炉10(炉
芯管12)を用いて、微量酸素含有窒素雰囲気で、炉内
温度を830℃に保ち、2時間焼成した。焼成後、石英
製ボート16(焼成物)を、予め微量酸素含有雰囲気と
した冷却室28へ移動し、30分間冷却した。冷却後、
石英製ボート16(焼成物)を冷却室28から取り出し
た。
【0068】<クリーニング工程>その後、焼成炉10
の炉内温度を830℃に保持したまま、サンプル給排口
蓋24を開けた状態で、一端がエアコンプレッサに接続
されたハステロイ管の他端を炉芯管12の奥まで差しこ
み、エアー(酸素含有ガス)を導入した。エアー量は、
エアー流が炉内に十分行き渡るように調整した。その状
態で1時間放置した。
【0069】その後、ハステロイ管を焼成炉10から取
り出し、新たな蛍光体原料混合物を石英製ボート18に
収容し、焼成炉10を用いて同様に焼成を行った。以上
の一連の工程を繰り返し、10回の連続焼成を行った。
【0070】(実施例2)本実施例では、混合工程と焼
成工程は実施例1と同様に行い、その後、以下のクリー
ニング工程を行った。 <クリーニング工程>焼成後、焼成炉を830℃に保持
したままサンプル給排口蓋24を閉め、バルブ22を開
け、ガス導入排気管20を介して真空ポンプにより炉芯
管12内を排気しながら、1時間放置した。排気開始後
10分で真空度変化は見られなくなり、到達真空度は
0.013hPa(0.01torr)であった。その
後、バルブ22を閉め、ガス導入排気管20の接続を真
空ポンプからN2ガスボンベに切り換え、再びバルブ2
2を開けN2ガスを導入し炉芯管12内を大気圧に戻し
た。その後、サンプル給排口蓋24を開け、新たな蛍光
体原料混合物を石英製ボート18に収容し、焼成炉10
を用いて同様に焼成を行った。以上の一連の工程を繰り
返し、10回の連続焼成を行った。
【0071】(実施例3)本実施例では、混合工程と焼
成工程は実施例1と同様に行い、その後、以下のクリー
ニング工程を行った。 <クリーニング工程>焼成後、焼成炉10を830℃に
保持したまま、サンプル給排口蓋24を開け、金属製の
耐熱性ブラシ(摺擦手段)で炉芯管12(焼成炉10)
の内壁を摺擦して付着物を擦り落とした。炉芯管12内
に貯留した付着物は吸引チューブを介して除去した。そ
の後、サンプル給排口蓋24を開け、新たな蛍光体原料
混合物を石英製ボート18に収容し、焼成炉10を用い
て同様に焼成を行った。以上の一連の工程を繰り返し、
10回の連続焼成を行った。
【0072】(比較例1)前記クリーニング工程を行わ
なかったことを除き、実施例1と同様に、10回の焼成
を行った。
【0073】実施例1〜3、比較例1ともに、作製した
蛍光体に対して以下に示す消去特性評価、及び残像特性
評価を行った。
【0074】<消去特性評価>以下の消去値を測定して
消去特性を評価した。 (消去値)輝尽発光量を測定した蛍光体粒子に、可視光
(消去光)を照射し、その後再度二次励起を行った際の
残存発光量(消去後の輝尽発光量)について、初期輝尽
発光量で規格化した値をいう。同一評価条件では、値が
小さい方が消去特性が優れている。 (評価方法)蛍光体粒子200mgを、黒色の円筒状ホ
ルダー(凹部開口10mmφ、深さ1mm)に均一に詰
めた。該ホルダー開口部の蛍光体面に対し、暗室内にて
X線発生装置(フィリップス社製:MG164)により
管電圧80kVpのX線を、3mm厚のAlフィルタを
通して1R照射した。20秒後に、波長660nmの半
導体レーザー(三菱電機社製:ML−1016R)光
を、蛍光体面に均一に広げて、励起エネルギー4.3J
/m2で照射し、その際該蛍光体面から放射された輝尽
発光光を、光学フィルター(HOYA社製:B−41
0)を通して光電子増倍管(浜松ホトニクス社製:R−
1848)により受光して輝尽発光量(初期)を測定し
た。続いて、三波長型電球色蛍光灯(プリンス電機社
製:FLR505T5EX−L)を用いて、30万lx
・secの光量を照射後、さらに480nmより短波の
光をカットするシャープカットフィルタ(日東樹脂社
製:N−039)を通して、20万lx・secの光量
を照射し(合計50万lx・sec)、消去した。これ
を半導体レーザーにて上記同条件で読み取り、その際の
輝尽発光量(消去後)を測定した。消去後輝尽発光量を
初期輝尽発光量で規格化した値を消去値として表した。
【0075】<残像特性評価>以下の残像値を測定して
残像特性を評価した。 (残像値)X線照射、輝尽発光量測定、及び消去まで行
った蛍光体粒子を、所定の温度で所定の時間経過させた
後、再度二次励起を行った際の発光量(残像経時後の輝
尽発光量)について、初期輝尽発光量で規格化した値を
いう。同一評価条件では、値が小さい方が残像特性が優
れている。 (評価方法)消去値を測定した蛍光体粒子ホルダーを、
60℃の恒温槽内で2時間経過させた。これを半導体レ
ーザーで、消去測定の際と同条件で読み取り、その際の
輝尽発光量(残像経時後)を測定した。残像経時後輝尽
発光量を初期輝尽発光量で規格化した値を残像値として
表した。
【0076】実施例1〜3及び比較例1における、消去
値及び残像値の測定結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】表1より、実施例1〜3の蛍光体では、消
去値及び残像値は、10回の焼成工程を行っても大きな
変化は見られず、つまり、消去特性及び残像特性の大き
な変化は見られず、良好な結果が得られた。これに対し
て比較例1では、各回毎に消去値、残像値がともに悪化
し(大きくなり)、4回目の焼成では、消去値、残像値
ともに1回目の2倍以上まで悪化した。さらに10回目
まで毎回悪化し続けた。以上より、本発明の製造方法に
よると、焼成工程を繰り返し行っても、消去特性及び残
像特性が悪化しないことが明らかである。
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、焼成工程を経ても、消
去特性及び残像特性が悪化することがない希土類賦活弗
化ハロゲン化バリウム系蛍光体の製造方法を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法を適用し得る希土類賦活弗
化ハロゲン化バリウム系蛍光体の製造装置の概略を示す
図である。
【符号の説明】
10 焼成炉 12 炉芯管 14 熱源 16 ボート(焼成容器) 18 蛍光体原料混合物 20 ガス導入排気管 22 バルブ 24 サンプル給排口蓋 30 密閉蓋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G21K 4/00 G21K 4/00 L Fターム(参考) 2G083 AA03 BB01 CC02 DD20 EE04 4H001 CA08 XA03 XA04 XA09 XA11 XA12 XA13 XA17 XA19 XA20 XA21 XA31 XA35 XA37 XA38 XA39 XA49 XA53 XA55 XA56 XA57 XA64 XA71 XA81 YA58 YA59 YA60 YA62 YA63 YA65 YA66 YA67 YA68 YA69 YA70

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼成炉内に蛍光体原料混合物を投入し、
    これを焼成して焼成後の焼成物を取り出し、次の蛍光体
    原料混合物の投入に備えるバッチ式の焼成工程を有する
    希土類賦活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体の製造方法
    において、 ある1の焼成工程と、その次の焼成工程との間に、前記
    焼成炉内に付着した付着物を除去又は不活性化するクリ
    ーニング工程を設けたことを特徴とする希土類賦活弗化
    ハロゲン化バリウム系蛍光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記クリーニング工程が、一定温度以上
    に保持した前記焼成炉内に酸素含有ガスを流し込む工程
    であることを特徴とする請求項1に記載の希土類賦活弗
    化ハロゲン化バリウム系蛍光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記クリーニング工程が、前記焼成炉内
    を真空排気する工程であることを特徴とする請求項1に
    記載の希土類賦活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記クリーニング工程が、前記焼成炉の
    内壁を摺擦手段によって摺擦する工程であることを特徴
    とする請求項1に記載の希土類賦活弗化ハロゲン化バリ
    ウム系蛍光体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記クリーニング工程が、次のA〜Cの
    工程の2つ以上を任意に組み合わせて行われることを特
    徴とする請求項1に記載の希土類賦活弗化ハロゲン化バ
    リウム系蛍光体の製造方法。 A 一定温度以上に保持した前記焼成炉内に酸素含有ガ
    スを流し込む工程 B 前記焼成炉内を真空排気する工程 C 前記焼成炉の内壁を摺擦手段によって摺擦する工程
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