JP2002263406A - 凝集剤及びその製造方法 - Google Patents

凝集剤及びその製造方法

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JP2002263406A JP2001070657A JP2001070657A JP2002263406A JP 2002263406 A JP2002263406 A JP 2002263406A JP 2001070657 A JP2001070657 A JP 2001070657A JP 2001070657 A JP2001070657 A JP 2001070657A JP 2002263406 A JP2002263406 A JP 2002263406A
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Tomomi Tanabe
智実 田辺
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YASHIO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩化カルシウムの粉末に有機高分子凝集剤の
粉末を付着させたものを使うことで、凝集速度が大きく
て、かつ、環境汚染の少ない凝集剤とする。 【解決手段】 塩化カルシウムの粉末の表面に塩化カル
シウムよりも平均粒径の小さい有機高分子凝集剤の粉末
を付着させた状態の粉末状の物質を主凝集剤とする。こ
の主凝集剤にフロック形成助剤の粉末と中和剤の粉末と
を混合して凝集剤として完成させる。塩化カルシウムと
有機高分子凝集剤の粉末は、それぞれ、粒径が均一にな
らないようにする。これにより、投入直後から凝集効果
を発揮して、しかも、その凝集効果が比較的長い時間持
続する。従来の凝集剤と比較して、きわめて短時間でフ
ロックが形成されて、懸濁液が迅速に清澄化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は塩化カルシウムに
有機高分子凝集剤を付着させたものを主凝集剤として用
いる凝集剤に関し、また、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】汚濁水中の懸濁物質を凝集させるために
有機高分子凝集剤の粉末を使うことは周知である。この
有機高分子凝集剤の粉末をそのまま汚濁水に一度に投入
すると、「ままこ」状態になりやすい。そこで、凝集剤
の溶解性を高めるために、100メッシュ以下の有機高
分子凝集剤と5メッシュ以下の吸湿性の水溶性無機塩
(好ましくは塩化カルシウム)とをあらかじめ均一に混
合したものを凝集剤として利用することが知られている
(特開昭56−139109号)。また、100メッシ
ュ以下の有機高分子凝集剤と5メッシュ以下の水溶性無
機塩を混合した凝集剤を使う場合において、この混合凝
集剤を100メッシュ以上の有機高分子凝集剤の溶解補
助剤として利用することも知られている(特開昭57−
63109号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の凝集剤
は、懸濁物質の凝集速度がまだ不十分である。また、有
機高分子凝集剤の必要量が多いので、環境汚染の恐れが
ある。さらに、凝集沈殿物間の結合力が不十分で、生成
するフロックの大きさが小さい。このため、フロックの
沈殿に長時間を要し、さらにフロックを液相から分離す
ることが難しい。したがって、大型の処理液貯槽やシッ
クナーを設けて長時間かけて沈殿させる必要があり、ま
た、フロックと液とを分離するためにフィルタープレス
や遠心分離機などの機械装置が必要である。
【0004】この発明の目的は、凝集速度が大きくて、
かつ、環境汚染の少ない凝集剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の凝集剤は、塩
化カルシウムの粉末の表面に塩化カルシウムよりも平均
粒径の小さい有機高分子凝集剤の粉末を付着させた状態
の粉末状の物質を主凝集剤とするものである。この主凝
集剤にフロック形成助剤の粉末と中和剤の粉末とを混合
して凝集剤として完成させている。
【0006】塩化カルシウムと有機高分子凝集剤の粉末
は、それぞれ、粒径が均一にならないようにしており、
いろいろな粒径に分散させている。塩化カルシウムの粉
末は、10メッシュを超えて18メッシュ以下の範囲の
粒度のものを5〜25重量%、18メッシュを超えて5
0メッシュ以下の範囲の粒度のものを45〜65重量
%、50メッシュを超えて200メッシュ以下の範囲の
粒度のものを20〜40重量%だけ含んでいる。また、
有機高分子凝集剤の粉末は、18メッシュを超えて50
メッシュ以下の範囲の粒度のものを40〜60重量%、
50メッシュを超えて200メッシュ以下の範囲の粒度
のものを20〜40重量%、200メッシュを超えて3
90メッシュ以下の範囲の粒度のものを10〜30重量
%だけ含んでいる。これからわかるように、塩化カルシ
ウムの粉末の平均粒径は、有機高分子凝集剤の粉末の平
均粒径よりも大きい。
【0007】なお、この発明において、例えば「18メ
ッシュ以下」という場合は、18メッシュの粒度に等し
いか、それよりも「メッシュ番号が小さい」ことを意味
する。すなわち、メッシュ番号で粒度を表した場合の
「以下」「超えて」と表現した場合は、メッシュ番号の
数字について「以下」「超えて」となる。したがって、
粉末の粒径の大小関係は、メッシュ番号の大小関係とは
逆になる。例えば、粒度が18メッシュ以下の粉末とい
うのは、18メッシュと同じ粒度の粉末と、それよりも
粒径の大きい(メッシュ番号が小さい)粉末を意味す
る。
【0008】この発明で用いる塩化カルシウムは、無水
物でも水和物(含水物)の形でもよい。水和物として
は、1水和物、2水和物のいずれでもよい。通常は2水
和物を使用する。この塩化カルシウムは、その表面に有
機高分子凝集剤を担持することができて、有機高分子凝
集剤を溶液中に均一に分散させる機能がある。
【0009】有機高分子凝集剤としては、公知のアニオ
ン系、ノニオン系、カチオン系の有機高分子凝集剤の1
種、または2種以上の混合物、とすることができる。例
えばアニオン系としてはアルクリアミドとアクリル酸ソ
ーダの共重合物を、ノニオン系としてはアクリルアミド
を、カチオン系としてはアルリルアミドとジメチルアミ
ノエチルアクリラートメチルクロリド塩の共重合物を用
いることができる。有機高分子凝集剤の材質はこれに限
定されない。この有機高分子凝集剤は、公知のように、
溶液中の懸濁粒子を凝集させる機能がある。
【0010】塩化カルシウムの粉末の表面に有機高分子
凝集剤の粉末を付着させて主凝集剤とすることによっ
て、有機高分子凝集剤の使用量を減らすことができる。
有機高分子凝集剤を多量に使用すると環境汚染の恐れが
あるが、塩化カルシウムの表面に有機高分子凝集剤を付
着させることで、少量の有機高分子凝集剤を均一に広く
懸濁液中に分布させることが可能になる。なお、塩化カ
ルシウムは有機高分子凝集剤よりも速く溶解するために
有機高分子凝集剤の機能には影響を与えない。さらに、
塩化カルシウムと有機高分子凝集剤は、それぞれ、粒径
が均一にならないようにしているので、後述するよう
に、投入直後から凝集効果を発揮して、しかも、その凝
集効果が比較的長い時間持続する。これにより、従来の
凝集剤と比較して、きわめて短時間でフロックが形成さ
れて、懸濁液が迅速に清澄化する。
【0011】この発明では上述の主凝集剤に中和剤の粉
末を混合している。一般に、懸濁液中の懸濁粒子の表面
には負電荷があり、懸濁粒子間にはこの負電荷による電
気的な反発力が働いている。この反発力が凝集を妨げて
いて、懸濁粒子は液中で分散している。中和剤は懸濁粒
子表面の負電荷を中和する働きがあり、正電荷を有する
重合体を形成する。この発明における中和剤としては、
ポリ塩化アルミニウムを使用できる。中和剤の粒度は5
0〜200メッシュ程度が好ましい。
【0012】この発明におけるフロック形成助剤として
は、炭酸カルシウムの粉末と「その他の粉末」との混合
物を使うことができる。上述の「その他の粉末」として
は、酸化ケイ素を主成分とする無機質の粉末、アルミナ
を主成分とする無機質の粉末、植物質の粉末のうちの1
種類または2種類以上を使うことができる。例えば、上
述の「その他の粉末」としては、(イ)酸化ケイ素を主
成分とする無機質の粉末、(ロ)アルミナを主成分とす
る無機質の粉末、(ハ)酸化ケイ素を主成分とする無機
質の粉末及びアルミナを主成分とする無機質の粉末、
(ニ)植物質の粉末、(ホ)植物質の粉末及び酸化ケイ
素を主成分とする無機質の粉末、(ヘ)植物質の粉末及
びアルミナを主成分とする無機質の粉末、などが考えら
れる。フロック形成助剤における炭酸カルシウムの粉末
と上述の「その他の粉末」の混合割合は、炭酸カルシウ
ムの粉末の重量1に対して、その他の粉末の重量が1.
5〜4.0程度が好ましい。その他の粉末の重量がこの
比率より少なくても多くても、結合の弱いフロックとな
る。フロック形成助剤の粒度は50〜200メッシュ程
度が好ましい。
【0013】炭酸カルシウムの粉末は、中和剤による懸
濁粒子の中和を調整する緩衝剤の働きと、その他の粉末
とともに巨大で重いフロック(すなわち、脱水性が良好
で、沈殿速度の速いフロック)を形成する働きがある。
酸化ケイ素を主成分とする無機質の粉末としては、例え
ば、砕石粉や、ベントナイト粉末、ゼオライト粉末、フ
ライアッシュが利用できる。アルミナを主成分とする無
機質の粉末としては、例えば、ボーキサイト粉末やアル
ミナセメントが利用できる。植物質の粉末としては、例
えば、コーンスターチ、とうもろこし粉、米ぬか、小麦
粉、そば粉、きなこ、コーヒーカスが利用できる。
【0014】上述のフロック形成助剤は、フロックを巨
大化して、フロックの沈殿または浮上を助ける働きをす
る。この発明の凝集剤で懸濁液を処理をしたあとのスラ
ッジは、水切れがよく、フィルターで脱水しやすい。ま
た、フロック形成助剤として植物質のものを使うと、凝
集分離後のスラッジを処理する場合に、微生物処理によ
ってコンポスト化や減量化ができ、また、乾燥後に焼却
処理することもできる。
【0015】この発明の凝集剤の投入量は、懸濁液に対
して200〜1000ppm程度の投入割合になるよう
にするのが好ましい。懸濁液の粒子の性質と濃度とによ
って、その投入量を適宜調整すればよい。なお、この発
明の凝集剤は、凝集効果を発揮する投入割合についての
許容範囲が広いので、投入量を厳密に調整しなくても優
れた凝集効果を発揮する。
【0016】次に、この発明の凝集剤の製造方法につい
て説明する。この凝集剤は、塩化カルシウムと有機高分
子凝集剤とからなる主凝集剤の製造方法に特に工夫があ
る。塩化カルシウムの粉末と有機高分子凝集剤の粉末は
これらを単に混合しただけでもある程度の凝集効果は発
揮するが、塩化カルシウムの粉末の表面に有機高分子凝
集剤の粉末を付着させた状態の粒子とすることで、より
優れた凝集効果を発揮する。
【0017】まず、市販の有機高分子凝集剤(比較的大
きなフレーク状をしている)を微粉砕して、18〜39
0メッシュ程度の粒径範囲に広く分布した粉末を作る。
具体的には、18メッシュを超えて50メッシュ以下の
範囲の粒度のものを40〜60重量%、50メッシュを
超えて200メッシュ以下の範囲の粒度のものを20〜
40重量%、200メッシュを超えて390メッシュ以
下の範囲の粒度のものを10〜30重量%だけ含むよう
にする。
【0018】一方、塩化カルシウム(市販のものは比較
的大きな粒状をしている)についても、これを微粉砕し
て、10〜200メッシュ程度の粒径範囲に広く分布し
た粉末を作る。具体的には、10メッシュを超えて18
メッシュ以下の範囲の粒度のものを5〜25重量%、1
8メッシュを超えて50メッシュ以下の範囲の粒度のも
のを45〜65重量%、50メッシュを超えて200メ
ッシュ以下の範囲の粒度のものを20〜40重量%だけ
含むようにする。したがって、それぞれの材料の平均的
な粒径を比較すると、塩化カルシウムの方が有機高分子
凝集剤よりも粒径が大きい。塩化カルシウムの粉末は、
その表面に有機高分子凝集剤の粉末を担持するものであ
るから、当然ながら、塩化カルシウムの粉末の平均粒径
を有機高分子凝集剤よりも大きくする必要がある。
【0019】次に、上述のように微粉砕した塩化カルシ
ウムと有機高分子凝集剤を、有機高分子凝集剤の粉末の
重量1に対して塩化カルシウムの粉末の重量を0.7〜
2.0の割合にして、空気中で、できれば高湿度(好ま
しくは、相対湿度が70%以上。例えば、相対湿度が7
5〜85%)の雰囲気において、3〜6分間、撹拌、混
合する。これにより、塩化カルシウムが自然吸水すると
ともに、その表面に有機高分子凝集剤が付着する。その
際、高湿度であれば生産性が向上する。その後、この粉
末を密封容器に入れて、有機高分子凝集剤が変質しない
範囲の温度(好ましくは、50〜75℃の範囲内。例え
ば、65〜70℃)で、水の飽和蒸気圧以下に減圧した
状態で、20〜40分間乾燥させる。水の飽和蒸気圧以
下にすると沸点が下がり、水分を短時間で蒸発させるこ
とができる。以上の処理によって、塩化カルシウムの表
面に有機高分子凝集剤が付着した状態の粒子からなる主
凝集剤ができあがる。なお、塩化カルシウムと有機高分
子凝集剤の混合比率が上述の数値範囲から外れると、出
来上がった凝集剤は凝集が起こりにくくなる。
【0020】最後に、この主凝集剤にフロック形成助剤
の粉末と中和剤の粉末とを混合して、この発明の凝集剤
ができあがる。
【0021】次に、この発明の凝集剤の原理について考
察する。懸濁液中への凝集剤の最適投入量は、懸濁粒子
の濃度等に依存し、投入量が適切でなければ、良好な凝
集は発生しない。すなわち、懸濁液中の凝集剤の濃度、
とりわけ有機高分子凝集剤の濃度が所定範囲内にある状
態が一定時間維持されなければ、良好な凝集は得られな
い。この発明では、凝集剤の粒度分布を工夫することに
よって凝集剤の溶解速度をコントロールし、有機高分子
凝集剤の濃度が、凝集を発生させる濃度範囲にすみやか
に達するようにして、しかも、できるだけその濃度範囲
に長くとどまるようにしている。
【0022】一般に、凝集剤の溶解速度は、粒径が小さ
い方が、粒径が大きいものよりも、溶解速度が大きいと
考えられる。図1は懸濁物質の含まれていない水に水溶
性の凝集剤を投入したときの、凝集剤の溶解濃度の時間
変化を模式的に示したグラフである。横軸は凝集剤を投
入してからの経過時間、縦軸は凝集剤の溶解濃度であ
る。ここで、凝集剤の「溶解濃度」とは、「液体中で溶
解した状態になっていて、かつ、まだ懸濁粒子とくっつ
いていない状態」の凝集剤の濃度(単位質量の液体に含
まれる溶解凝集剤の質量)をいうものとする。図1で
は、3種類の粒径の凝集剤をそれぞれ同じ量だけ投入し
たときの溶解濃度の時間変化を比較している。「粒径:
大」と示されている曲線は、粒径の大きい凝集剤を投入
した場合である。この場合、凝集剤の溶解速度はゆっく
りであり、溶解濃度は徐々に上昇する。「粒径:小」と
示されている曲線は、粒径の小さい凝集剤を投入した場
合である。この場合、凝集剤の溶解速度は大きく、溶解
濃度は急激に上昇し、全量が溶解したあとは、濃度は横
ばいとなる。「粒径:大+小」と示されている曲線は、
粒径の大きい凝集剤と小さい凝集剤を混合して投入した
場合である。この場合、最初に、粒径の小さい凝集剤が
溶解して、溶解濃度が急に上昇する。そのあとで、粒径
の大きい凝集剤が徐々に溶解していって、溶解濃度がそ
の後、徐々に上昇していく。このように、粒径の異なる
凝集剤を混合すると、溶解濃度の時間的変化を制御する
ことが可能になる。なお、懸濁物質が含まれている懸濁
液に凝集剤を投入すると、溶解した凝集剤が凝集効果を
発揮して懸濁粒子にくっつきフロックを形成して沈殿す
るので、溶解濃度の曲線は、凝集が進むにつれて下がっ
ていくことになる。
【0023】図2は3種類の粒径の粉末を混合した凝集
剤を懸濁液に投入したときの溶解濃度の時間的変化を模
式的に示すグラフである。最初に比較例(破線で示した
もの)を説明する。曲線Aは第1の粒径(小さい粒径)
の粉末を単独で懸濁液に投入したときの溶解濃度の時間
的変化を示したものである。このとき、溶解濃度は急速
に上昇する。曲線Bは第2の粒径(中くらいの粒径)の
粉末を単独で懸濁液に投入したときの溶解濃度の時間的
変化を示したものである。このときは、溶解濃度はゆっ
くりと上昇する。曲線Cは第3の粒径(大きい粒径)の
粉末を単独で懸濁液に投入したときの溶解濃度の時間的
変化を示したものである。このときは、溶解濃度はさら
にゆっくりと上昇していく。
【0024】次に、曲線12は、第1の粒径と第2の粒
径と第3の粒径を混合した凝集剤の溶解濃度の変化を示
している。この凝集剤の投入直後は、第1の粒径の粉末
が溶解することが寄与して、曲線部分14に示すよう
に、溶解濃度は急速に上昇する。第1の粒径の粉末の溶
解がほぼ終了すると、そのあとの溶解速度は主として第
2の粒径の粉末が溶解することに依存する。すなわち、
曲線部分16に示すように、溶解濃度はゆっくりと上昇
する。
【0025】図2において斜線で示した領域18は凝集
濃度範囲を示している。凝集濃度範囲とは、凝集剤によ
り懸濁粒子が凝集して沈殿を生ずる溶解濃度の範囲であ
る。この凝集濃度範囲は、凝集剤の組成と懸濁物質の組
成との組み合わせに依存する。曲線12がこの凝集濃度
範囲18の下限値に達すると、凝集・沈殿が始まる。そ
して、この凝集濃度範囲18の間を、曲線部分16で示
すように、溶解濃度曲線12がゆっくりと上昇するの
で、溶解濃度曲線12は凝集濃度範囲18に比較的長く
とどまり、懸濁物質は効果的に凝集・沈殿する。これに
より、懸濁粒子のほとんどはフロックとなって沈殿す
る。そして、第1の粒径と第2の粒径の凝集剤は、溶解
後に凝集濃度範囲18において凝集効果を発揮すること
によって、ほとんどがフロックとして沈殿する。その結
果、溶解濃度曲線12は、曲線部分20に示すように低
下していく。
【0026】ところが、曲線Cに示すように、第3の粒
径の粉末は溶解を続けており、これによって、溶解濃度
曲線12は、ある程度まで溶解濃度が下がったあとは、
曲線部分22に示すようにゆるやかに上昇していく。こ
の曲線部分22が2次的な凝集濃度範囲24の下限値に
達すると、再び凝集が始まる。この2次的な凝集濃度範
囲24は、上澄み液中に浮遊残存する極微小なフロック
や懸濁粒子が凝集するときのものである。この2次的な
凝集により、より清澄な上澄み液が得られる。
【0027】このように、粒径の異なる粉末を混合した
場合を仮定して考察してみると、投入直後に凝集効果を
発揮するものと、投入後しばらくたってから凝集効果を
発揮するものとが、それぞれの段階で効果を発揮するこ
とがわかる。
【0028】これに対して、例えば、溶解速度の大きい
第1の粒径の粉末だけを一度に大量に投入すると、曲線
10に示すように溶解濃度が急速に上昇してしまう。こ
れでは、溶解濃度が凝集濃度範囲18の上限をすぐに大
幅に超えてしまい、部分的に凝集が発生するだけで、凝
集現象はほとんど止まってしまう。
【0029】上述の図2は、凝集剤の粒径が大・中・小
の3種類の場合を想定して、模式的に溶解濃度の変化を
示したものであるが、実際の凝集では、凝集剤の粒径は
さまざまに分布しているので、必ずしも図2のような溶
解濃度曲線となるとは限らない。しかし粒径の異なる凝
集剤を混合させたことによる定性的な効果は図2から理
解できる。
【0030】
【実施例】次に、実際に製造して使用した凝集剤の実施
例を説明する。まず、以下の各実施例で共通に使用して
いる「主凝集剤」の組成とその製造方法を説明する。塩
化カルシウムとしては、粒状またはフレーク状の、塩化
カルシウムの2水和物を使用した。有機高分子凝集剤と
しては、アニオン系の凝集剤として、アクリルアミド・
アクリル酸ソーダ・共重合物を使用した。塩化カルシウ
ム粉末と有機高分子凝集剤粉末のそれぞれの粒度分布は
図7の表1に示す通りである。メッシュ番号はJISに
規定するメッシュ番号である。
【0031】図3と図4は図7の表1に示した塩化カル
シウムと有機高分子凝集剤のそれぞれの粒度分布をグラ
フ表示したものである。これらの粉末を以下のように処
理して主凝集剤を製造した。まず、上述の粒度分布の塩
化カルシウムと有機高分子凝集剤を、有機高分子凝集
剤:塩化カルシウム=1:1.5の重量割合にして、密
封容器に入れて、相対湿度を75〜85%に調節して、
4分間撹拌した。次に、この混合体を密封容器に入れ
て、約0.2気圧(約2万Pa)に減圧して、65〜7
0℃で30分間乾燥した。70℃における水の飽和蒸気
圧は約3万Paなので、上述の減圧圧力は水の飽和蒸気
圧以下である。以上の処理によって、塩化カルシウムの
表面に有機高分子凝集剤が付着した粒子からなる主凝集
剤を得た。以下の実施例は、すべて、この主凝集剤を用
いている。また、以下の実施例では、各成分の比率はす
べて、凝集剤の全体の重量に対する各成分の重量%であ
る。
【0032】「実施例1」主凝集剤5%、ポリ塩化アル
ミニウム粉5%、炭酸カルシウム粉30%、コーンスタ
ーチ30%、砕石粉30%の割合でこれらを混合して凝
集剤を作った。この凝集剤を、顔料を含む染色排水に1
000ppmの重量割合で投入して、1分間撹拌した
後、3分間静置したところ、フロックの生成・沈殿がほ
ぼ完了して、懸濁液が清澄化した。
【0033】「実施例2」主凝集剤5%、ポリ塩化アル
ミニウム粉5%、炭酸カルシウム粉30%、砕石粉60
%の割合でこれらを混合して凝集剤を作った。この凝集
剤を、砕石工場の石粉を含む排水に200ppmの重量
割合で投入して、30秒間撹拌した後、2分間静置した
ところ、フロックの生成・沈殿がほぼ完了して、懸濁液
が清澄化した。
【0034】「実施例3」主凝集剤5%、ポリ塩化アル
ミニウム粉5%、炭酸カルシウム粉20%、フライアッ
シュ70%の割合でこれらを混合して凝集剤を作った。
この凝集剤を、印刷用インクの懸濁液に1000ppm
の重量割合で投入して、1分間撹拌した後、3分間静置
したところ、フロックの生成・沈殿がほぼ完了して、懸
濁液が清澄化した。
【0035】「実施例4」主凝集剤10%、ポリ塩化ア
ルミニウム粉10%、炭酸カルシウム粉30%、コーン
スターチ30%、ベントナイト粉20%の割合でこれら
を混合して凝集剤を作った。この凝集剤を、牛乳の懸濁
液に1000ppmの重量割合で投入して、1分間撹拌
した後、3分間静置したところ、フロックの生成・沈殿
がほぼ完了して、懸濁液が清澄化した。
【0036】「実施例5」主凝集剤5%、ポリ塩化アル
ミニウム粉5%、炭酸カルシウム粉20%、砕石粉50
%、アルミナセメント20%の割合でこれらを混合して
凝集剤を作った。この凝集剤を、土木工事排水に500
ppmの重量割合で投入して、30秒間撹拌した後、2
分間静置したところ、フロックの生成・沈殿がほぼ完了
して、懸濁液が清澄化した。
【0037】「実施例6」主凝集剤10%、ポリ塩化ア
ルミニウム粉10%、炭酸カルシウム粉30%、ベント
ナイト粉50%の割合でこれらを混合して凝集剤を作っ
た。この凝集剤を、研削廃液に1000ppmの重量割
合で投入して、1分間撹拌した後、3分間静置したとこ
ろ、フロックの生成・沈殿がほぼ完了して、懸濁液が清
澄化した。
【0038】次に、主凝集剤として別の粒度分布のも
の、すなわち、塩化カルシウムと有機高分子凝集剤のそ
れぞれの粒度分布が図7の表2のものも作成した。図5
と図6は表2の粒度分布をそれぞれグラフ表示したもの
である。この主凝集剤を用いて上述の実施例1〜6と同
様の凝集剤を作った場合にも、図7の表1の粒度分布の
主凝集剤を使った場合と同様の凝集効果が得られた。
【0039】
【発明の効果】この発明の凝集剤は次のような効果があ
る。 (1)有機高分子凝集剤の量が非常に少なくて済む。全
体の凝集剤(主凝集剤と中和剤とフロック形成助剤の合
計)に対する主凝集剤の重量割合は、5〜10%程度が
最適であり、主凝集剤のうちの有機高分子凝集剤の占め
る重量割合は40%程度であるから、全体の凝集剤に占
める有機高分子凝集剤の重量割合は2〜4%程度であ
る。したがって、きわめて少量の有機高分子凝集剤を用
いるだけで、優れた凝集効果を得ることができる。
【0040】(2)塩化カルシウムと有機高分子凝集剤
について、それぞれ、粒径が均一にならないようにして
いるので、凝集剤の投入直後から凝集効果を発揮しはじ
め、しかも、比較的長い時間凝集効果を維持して、従来
の凝集剤と比較して、短時間で凝集でき、また、より多
くの懸濁粒子の凝集ができる。
【0041】(3)フロック形成助剤を用いることで、
大きくまた結合力の高いフロックが形成され、フロック
はすみやかに沈殿または浮上する。このため、凝集処理
後の固液分離が容易で、簡単なフィルターを透過させる
だけで固液分離ができる。したがって、固液分離設備が
簡単になり設備費が安価になる。
【0042】(4)フロック形成助剤として、各種産業
の副産物や廃棄物を積極的に利用できる。また、フロッ
ク形成助剤として植物質のものを使用すると、凝集後の
スラッジを微生物処理による減量化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】凝集剤の溶解濃度の時間的変化を模式的に示し
たグラフである。
【図2】粒径の異なる粉末を混合した凝集剤を懸濁液に
投入したときの凝集剤の溶解濃度の時間的変化を示した
グラフである。
【図3】塩化カルシウムの粒度分布を示したグラフであ
る。
【図4】有機高分子凝集剤の粒度分布を示したグラフで
ある。
【図5】塩化カルシウムの別の粒度分布を示したグラフ
である。
【図6】有機高分子凝集剤の別の粒度分布を示したグラ
フである。
【図7】塩化カルシウムと有機高分子凝集剤の粒度分布
を示す表である。
【符号の説明】
A 第1の粒径(小さい粒径)の粉末の溶解濃度曲線 B 第2の粒径(中くらいの粒径)の粉末の溶解濃度曲
線 C 第3の粒径(大きい粒径)の粉末の溶解濃度曲線 10 第1の粒径の粉末を一度に大量に投入したときの
溶解濃度曲線 12 異なる粒径の粉末を混合した凝集剤の溶解濃度曲
線 18 凝集濃度範囲 24 2次的な凝集濃度範囲

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の特徴を備える凝集剤。 (a)塩化カルシウムの粉末の表面に塩化カルシウムよ
    りも平均粒径の小さい有機高分子凝集剤の粉末を付着さ
    せた状態の粉末状の物質を主凝集剤とする。 (b)前記主凝集剤にフロック形成助剤の粉末と中和剤
    の粉末とを混合したものを凝集剤とする。 (c)前記塩化カルシウムの粉末は、10メッシュを超
    えて18メッシュ以下の範囲の粒度のものを5〜25重
    量%、18メッシュを超えて50メッシュ以下の範囲の
    粒度のものを45〜65重量%、50メッシュを超えて
    200メッシュ以下の範囲の粒度のものを20〜40重
    量%だけ含んでいる。 (d)前記有機高分子凝集剤の粉末は、18メッシュを
    超えて50メッシュ以下の範囲の粒度のものを40〜6
    0重量%、50メッシュを超えて200メッシュ以下の
    範囲の粒度のものを20〜40重量%、200メッシュ
    を超えて390メッシュ以下の範囲の粒度のものを10
    〜30重量%だけ含んでいる。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の凝集剤において、前記
    中和剤はポリ塩化アルミニウムであることを特徴とする
    凝集剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の凝集剤におい
    て、前記フロック形成助剤は、炭酸カルシウムの粉末及
    び次の(イ)〜(ハ)の少なくとも1種類を含むことを
    特徴とする凝集剤。 (イ)酸化ケイ素を主成分とする無機質の粉末。 (ロ)アルミナを主成分とする無機質の粉末。(ハ)植
    物質の粉末。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の凝集剤におい
    て、前記フロック形成助剤は、炭酸カルシウムの粉末と
    その他の粉末との混合物であり、その混合割合は、炭酸
    カルシウムの粉末の重量1に対して、その他の粉末の重
    量が1.5〜4.0であることを特徴とする凝集剤。
  5. 【請求項5】 次の段階を備える凝集剤の製造方法。 (a)10メッシュを超えて18メッシュ以下の範囲の
    粒度のものを5〜25重量%、18メッシュを超えて5
    0メッシュ以下の範囲の粒度のものを45〜65重量
    %、50メッシュを超えて200メッシュ以下の範囲の
    粒度のものを20〜40重量%だけ含んでいる塩化カル
    シウムの粉末を作る段階。 (b)18メッシュを超えて50メッシュ以下の範囲の
    粒度のものを40〜60重量%、50メッシュを超えて
    200メッシュ以下の範囲の粒度のものを20〜40重
    量%、200メッシュを超えて390メッシュ以下の範
    囲の粒度のものを10〜30重量%だけ含んでいる有機
    高分子凝集剤の粉末を作る段階。 (c)前記有機高分子凝集剤の粉末の重量1に対して前
    記塩化カルシウムの粉末の重量を0.7〜2.0の割合
    にして、その両者を空気中で撹拌、混合して、前記塩化
    カルシウムに自然吸水させるとともに、前記塩化カルシ
    ウムの粉末の表面に前記有機高分子凝集剤の粉末を付着
    させる段階。 (d)前記(c)の段階で得られた粉末を密封容器に入
    れて、50〜75℃の温度範囲内で、水の飽和蒸気圧以
    下に減圧した状態で乾燥させて、塩化カルシウムの粉末
    の表面に有機高分子凝集剤の粉末を付着させた状態の粉
    末状の主凝集剤を作る段階。 (f)前記主凝集剤にフロック形成助剤の粉末と中和剤
    の粉末とを混合して凝集剤を作る段階。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020217841A1 (ja) * 2019-04-26 2020-10-29 デクセリアルズ株式会社 水浄化剤、及び水浄化方法

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