JP2002219787A - 光学用被覆フィルム - Google Patents

光学用被覆フィルム

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JP2002219787A
JP2002219787A JP2001016089A JP2001016089A JP2002219787A JP 2002219787 A JP2002219787 A JP 2002219787A JP 2001016089 A JP2001016089 A JP 2001016089A JP 2001016089 A JP2001016089 A JP 2001016089A JP 2002219787 A JP2002219787 A JP 2002219787A
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resin
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particles
coating layer
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JP2001016089A
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Hiroshi Taki
博 多喜
Chikao Morishige
地加男 森重
Masaya Higashiura
真哉 東浦
Masayoshi Sato
昌由 佐藤
Naoki Mizuno
直樹 水野
Mikio Matsuoka
幹雄 松岡
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、接着性、耐水性、回収性に優れ、プ
リズムレンズ加工やハードコート加工等の後加工工程に
おいて優れた加熱白化防止性及び耐スクラッチ性を有す
る光学用被覆フィルムを提供する。 【解決手段】 実質的に粒子を含有しない二軸延伸ポリ
エステルフィルムを基材とし、該基材の少なくとも片面
に高分子樹脂及び粒子から主として構成された被覆層を
設けてなる被覆フィルムであって、前記被覆フィルムは
耐水性値が90以上、加熱後の変色値が10以下、加熱
後のヘイズ値の変化が20%以下、全光線透過率が90
%以上、さらに前記被覆層表面の三次元中心面平均表面
粗さ(SRa)が0.008〜0.030μmであるこ
とを特徴とする光学用被覆フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学用被覆フィル
ムに関し、詳しくは、接着性、耐水性、回収性、加熱白
化防止性、透明性、耐スクラッチ性に優れた光学用被覆
フィルムに関するものである。
【0002】
【従来技術】二軸配向ポリエステルフィルムは優れた透
明性、寸法安定性、耐薬品性から各種光学用フィルムの
基材として多く利用されている。
【0003】特に、液晶表示装置に用いられるプリズム
レンズシート用のベースフィルムやタッチパネル用ベー
スフィルム、バックライト用ベースフィルム、AR(ア
ンチリフレクション)フィルム用のベースフィルムやC
RT用の破砕防止フィルムの用途は、優れた強度、寸法
安定性が要求されるため、基材フィルムとして厚みが1
00μm以上の比較的厚手のフィルムが好適に用いられ
ている。
【0004】このような光学用フィルムの基材として用
いられるフィルムには、下記のような特性が要求されて
いる。 1)透明性に優れていること 2)プリズムレンズ加工やハードコート加工、AR加工
などの後加工処理時に、基材上に設けられる樹脂との接
着性に優れていること 3)前記の接着性が高温・高湿度下でも低下しないこと
(優れた耐水性) 4)後加工工程での加熱処理時にフィルムの白化が少な
いこと 5)光学的な欠点となるフィルム表面の微小なキズが極
力少ないこと 6)環境保全の観点から、屑フィルムの回収利用が可能
なこと
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、一般に二軸
配向ポリエステルフィルムは、概して他の材料、例えば
アクリル系樹脂を主成分とするプリズムレンズ層やハー
ドコート層などとの接着性が悪いことが知られている。
このため、ポリエステルフィルムの表面に、ポリエステ
ルフィルムにアンカーコート層を設け接着性を改良する
ことが一般的に行なわれている。
【0006】アンカーコート用樹脂として、多数の樹脂
がこれまで提案されている。例えば、ポリエステルに代
表される比較的極性が高いフィルムに対しては、水溶性
あるいは水分散性のポリエステル系樹脂あるいはアクリ
ル系樹脂を用いることが、特開昭54−43017号公
報、特公昭49−10243号公報、特開昭52−19
786号公報、特開昭52−19787号公報、特開昭
58−124651号公報等で提案されている。しかし
ながら、これら従来の技術では接着性の改良効果が十分
ではない。
【0007】そこで、ポリエステルフィルムの接着性を
改良するために、グラフト変性を中心とした種々の変性
ポリエステル樹脂をアンカーコート用樹脂として使用す
ることが、例えば特開平2−3307号公報、特開平2
−171243号公報、特開平2−310048号公
報、特開平3−273015号公報、特公平3−676
26号公報等で提案されている。しかしながら、このグ
ラフト変成ポリエステル樹脂をアンカーコート用樹脂と
して用いることにより、接着性は向上するが、湿潤下で
の接着性に乏しいという問題がある。
【0008】このため、架橋剤を併用することにより湿
潤下での接着性を向上させることが、特公平5−744
633号公報、特公平6−24765号公報、特公平6
−39154号公報、特公平6−39548号公報等で
提案されている。
【0009】しかしながら、架橋剤を併用することによ
り湿潤下での接着性は改良されるが、ポリエステルフィ
ルム製造時に製品とならない屑フィルムは、ペレット状
に溶融成型しフィルム原料として再利用する場合に、得
られるフィルムは品位が低く、実用上再利用することが
できない。
【0010】したがって、たとえ耐水性及び接着性に優
れる被覆ポリエステルフィルムであっても、フィルム製
造時に製品とならない屑フィルムは廃棄されるか、ある
いは用途や混合量を限定して使用されているのが現状で
ある。そのため、製造コストが高く、かつ廃棄に伴う環
境負荷の観点からも問題となっている。
【0011】さらに、光学用途等においてはフィルム加
工時または加工後での高温環境下において、フィルムが
白化して透明性が低下することや微小な表面突起が形成
されるという問題がある。前記のフィルムの白化や微小
な表面突起の形成は、フィルム中のポリエステルオリゴ
マーの結晶が表面へ析出することで発生する。
【0012】フィルム表面へのオリゴマー析出を抑制す
る方法として、固相重合により製造したオリゴマー含有
量の少ないポリエステルを使用する方法(特開昭55−
89330号公報、特開昭55−189331号公
報)、フィルム表面をオリゴマー含有量の少ないポリエ
ステルで被覆する方法(特開平11−300918号公
報)等が提案されている。
【0013】しかしながら、これらの方法のみでは接着
性、耐水性、及び回収性をすべて改善することはでき
ず、また公知のコーティングフィルムの技術と組み合わ
せたとしても、接着性、耐水性、回収性、加熱白化防止
性のすべてに優れたポリエステルフィルムは得られてい
ない。
【0014】また、二軸延伸ポリエステルフィルムは、
滑り性、巻き性、耐ブロッキング性などのハンドリング
性を付与するために、フィルム中に不活性粒子を含有さ
せ、フィルム表面に微小な凹凸を形成させることが一般
的に行なわれている。
【0015】しかしながら、一般に粒子とポリエステル
の屈折率の差は大きく、さらにフィルム延伸時に粒子周
囲に発生するボイドにより、ポリエステルフィルム中に
粒子を含有させることはフィルムの透明性を悪化させる
原因となる。
【0016】さらに、基材フィルム中に不活性粒子を含
有させないか、または透明性を阻害しない程度に少量し
か含有させない場合には、ハンドリング性が悪化する。
そのため、被覆層に粒子を含有させる必要がある。
【0017】その際に、フィルムの透明性を維持するた
めに、被覆層中の粒子として可視光線の波長以下の極め
て平均粒径が小さい微粒子を用いる必要がある。しか
し、このような平均粒径の小さい微粒子のみでは、透明
性は維持できるものの、プリズムレンズ加工工程等の後
加工工程において、ロールと接触することによってフィ
ルム表面に傷がつき(以下、スクラッチ性という)、光
学欠点の原因となるという問題もある。すなわち、透明
性を維持しながら耐スクラッチ性に優れた光学用フィル
ムも要望されている。
【0018】すなわち、本発明の目的は、前記従来の問
題点を解消し、透明性、接着性、耐水性、回収性に優
れ、プリズムレンズ加工やハードコート加工等の後加工
工程において優れた加熱白化防止性及び耐スクラッチ性
を有する光学用被覆フィルムを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決す
ることができた光学用被覆フィルムとは、以下のとおり
である。
【0020】即ち、本発明の第1の発明は、実質的に粒
子を含有しない二軸延伸ポリエステルフィルムを基材と
し、該基材の少なくとも片面に高分子樹脂及び粒子から
主として構成された被覆層を設けてなる被覆フィルムで
あって、前記被覆フィルムは耐水性値が90以上、加熱
後の変色値が10以下、加熱後のヘイズ値の変化が20
%以下、全光線透過率が90%以上、さらに前記被覆層
表面の三次元中心面平均表面粗さ(SRa)が0.00
8〜0.030μmであることを特徴とする光学用被覆
フィルムである。
【0021】第2の発明は、前記高分子樹脂が、芳香族
ポリエステル系樹脂または酸価200eq/t以上のア
クリル系樹脂から選ばれる単独樹脂、2種以上の樹脂混
合物、または共重合体樹脂であることを特徴とする第1
の発明に記載の光学用被覆フィルムである。前記水溶性
または水分散性樹脂が水性芳香族ポリエステル系樹脂ま
たは酸価が200eq/t以上の水性アクリル系樹脂か
ら選ばれる単独樹脂、2種以上の樹脂混合物、または共
重合体樹脂であることを特徴とする第1の発明に記載の
光学用易接着フィルムである。
【0022】第3の発明は、第2の発明に記載の高分子
樹脂が、2重結合を有する酸無水物を含有する少なくと
も1種のモノマーからなるラジカル重合体を5重量%以
上含有することを特徴とする光学用被覆フィルムであ
る。
【0023】第4の発明は、前記被覆層が、平均粒径2
0nm以上150nm未満の粒子A、及び平均粒径15
0nm以上600nm以下の粒子Bを含有していること
を特徴とする第1、2、または3のいずれかの発明に記
載の光学被覆フィルムである。
【0024】第5の発明は、前記粒子A及び粒子Bがい
ずれもシリカであることを特徴とする第4の発明に記載
の光学用被覆フィルムである。
【0025】
【作用】本発明の光学用被覆フィルムは、耐水性値が9
0以上であることが必要であり、好ましくは95%以上
である。耐水性値が90%未満では、ポリエステルフィ
ルムの被覆層にインキ層を形成させた際に、湿潤下での
接着性が不良となる。
【0026】本発明で定義する耐水性値とは、UVシー
ルインキをポリエステルフィルムの被覆層に塗布し、U
V硬化させた後、加圧ボイル処理を120℃で1時間の
行ない、次いでフィルムの被覆層面をJIS−K540
0記載の方法で剥離試験を行なった際に、剥離せずに残
ったインキの残存面積率(%)のことである。すなわ
ち、湿潤下での被覆層の接着性の強さを示すパラメータ
である。
【0027】また、本発明の光学用被覆フィルムは、溶
融成型後の変色値が10以下であることが必要である。
変色値が10を越えると、回収ペレットをフィルム原料
として使用する際にポリエステルフィルムの品位の低下
が著しくなる。
【0028】本発明で定義する溶融成型後の変色値と
は、被覆層を有するポリエステルフィルムを溶融成型し
たペレットと、溶融成型前の被覆層を有するポリエステ
ルフィルムとのカラーb値の差で表わされるパラメータ
である。
【0029】具体的には、被覆層を有するポリエステル
フィルムを短冊状に切断し減圧乾燥した後、モデル試験
機により280℃の温度で溶融押出しし、水中で冷却
し、次いで切断してペレットに成形する。このペレット
を回収ペレットと略記する。回収ペレットとテスト前の
易接着ポリエステルフィルムとのカラーb値を測定し、
両者の差を溶融成型後の変色値と定義する。カラーb値
とは、光電色度計で測定されるLab空間によるb値を
意味する。
【0030】本パラメータを用いたバックグラウンドに
ついて説明する。ポリエステルフィルムを製造する際
に、テンターでの横延伸時にクリップで把持された両端
部、スリット時に所定の製品幅に満たない両端部、品質
面で格落ちしたロール状フィルム、製膜開始時及び終了
時、条件変更時、トラブルなどにより、製品とならない
屑フィルムが必ず発生する。一般的には、前記の屑フィ
ルムは、フレーク状に砕いた後押出し機で溶融され、ダ
イスからストランド状に水中へ吐出され、次いでペレッ
ト状にカットされ、回収ペレットとして再成形しフィル
ム原料として再利用される。
【0031】ところが、被覆層を有するポリエステルフ
ィルムからなる回収ペレットを使用したフィルムは、回
収ペレット製造時の熱履歴により被覆層が変質し、フィ
ッシュアイの原因となる異物が存在したり、または着色
等により品位が低くなる。そのため、透明性、異物に起
因する粗大突起、フィッシュアイなどの欠点が問題とな
る光学用途では、製品とならない屑フィルムをフィルム
原料として再利用することができない。
【0032】この現象を詳しく解析し、モデルテストに
より被覆層を有するポリエステルフィルムを再溶融して
ペレットに再成型し、該ペレットをフィルム原料とし二
軸延伸した際のフィルムの変色値(溶融成型後の変色
値)をパラメータとして用いることにより、実際に回収
ペレットを含むフィルム原料を用いてポリエステルフィ
ルムを製造した際のフィルムの品位が把握できることを
見い出した。その結果、回収ペレットを使用したフィル
ムの品位の低下を小さくするためには、すなわち、回収
可能な被覆層を有するポリエステルフィルムであるため
には、溶融成型後の変色値を10以下とすることが必要
である。
【0033】さらに、本発明の被覆ポリエステルフィル
ムは、加熱後のヘイズ値の変化が20%以下であること
が必要である。好ましくは15%以下であり、特に好ま
しくは10%以下である。ヘイズ値の変化が20%を越
えるとフィルムの白化が著しくなり、後加工工程で熱処
理が行なわれる光学用途に本発明のフィルムを基材とし
て使用した際に、外観及び性能への影響が無視できなく
なる。
【0034】加熱後のヘイズ値の変化とは、150℃で
30分間加熱した後のヘイズ値と、加熱する前の被覆ポ
リエステルフィルムのヘイズ値との差を意味する。この
パラメータは、本発明の被覆ポリエステルフィルムが後
加工工程で熱処理される際のフィルムの加熱白化をフィ
ルム段階で予見し品質を管理するために用いられるもの
である。
【0035】本発明の光学用被覆フィルムは、光学用部
材の基材として使用されるため、被覆ポリエステルフィ
ルムの全光線透過率が90%以上であることが必要であ
る。好ましくは91%以上であり、特に好ましくは92
%以上である。全光線透過率が90%未満であると、本
発明のフィルムを基材とする光学用部材において、画面
の鮮明度が低下するので好ましくない。
【0036】さらに、前記光学用被覆フィルムは、被覆
層表面の三次元中心面平均表面粗さ(SRa)が0.0
08〜0.030μmであることが必要である。好まし
くは、0.010〜0.025μmであり、特に好まし
くは0.010〜0.020μmである。SRaが0.
008μm未満の表面が平滑すぎるフィルムでは、耐ス
クラッチ性が悪化し好ましくない。一方、SRaが0.
030μmを超えるような表面粗度の大きいフィルムで
は、全光線透過率が低下し透明性が悪化するため、光学
用フィルムとしては好ましくない。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光学用被覆フィル
ムにおける実施の形態を詳細に説明する。
【0038】(基材フィルム用ポリエステル樹脂)本発
明で基材フィルムとして用いられる二軸延伸ポリエステ
ルフィルムは、フィルムを構成する樹脂として、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリエチレン−2,6−ナフタレート又はこれらの樹脂
の構成成分を主成分とする共重合体が用いられるが、な
かでもポリエチレンテレフタレートが特に好適である。
【0039】ポリエステル樹脂の重合方法としては、ジ
カルボン酸とグリコールをエステル化反応させ、次いで
重縮合反応を行う直接重合法、あるいはジカルボン酸塩
とグリコールをエステル交換反応させ、次いで重縮合反
応を行なうエステル交換法、など公知の方法を適用する
ことができる。
【0040】上記ポリエステル樹脂には、重縮合触媒
(エステル交換法の場合には、エステル交換反応触媒も
使用される)、燐酸または燐酸化合物などの熱安定剤が
必須成分として用いられる。これら以外に、アルカリ金
属塩やアルカリ土類金属塩も適性量含有させ、これらの
金属塩とリン原子のモル比を制御することで、シート状
の溶融ポリエステル樹脂を回転冷却ロール上に静電印加
法により密着固化させ、厚みの均一な未延伸シートを安
定して得ることができる。
【0041】本発明の光学用被覆フィルムの全光線透過
率を90%以上にするためには、基材フィルム中に粒子
を実質上含有させないことが好ましい。粒子が実質上含
有しないとは、原子吸光分析法や発光分析法など予め他
の分析法で定量分析し作成した蛍光X線分析法の検量線
を用いて粒子に起因する元素を定量した際に、その含有
量が検出限界以下となることを意味する。
【0042】しかしながら、例えばエステル交換触媒に
用いられる酢酸カルシウムと炭酸カルシウム粒子、燐酸
カルシウム粒子などでは、元素としてカルシウムが共通
しており、カルシウム元素が触媒なのか粒子なのかの判
別が困難な場合がある。このような場合には、ポリエス
テル樹脂またはポリエステルフィルムをヘキサフルオロ
イソプロパノール/クロロホルム(=2/3;体積比)
で溶解し、次いで遠心分離して粒子を分離した後、デカ
ンテーションを行ない、原子吸光分析法や発光分析法な
どで上澄み液中の触媒起因のカルシウム元素量を定量す
る。そして、ポリエステル中の総カルシウム含有量と触
媒に用いたカルシウム元素量との差異より、粒子起因の
カルシウム元素量を算出することができる。
【0043】また、ポリエステル樹脂の固有粘度は、
0.45〜0.80dl/gの範囲が好ましい。固有粘
度が0.45dl/g未満であると、フィルム製造時に
破断が多発しやすくなる。一方、固有粘度が0.80d
l/gを超えると、濾圧上昇が大きくなり高精度濾過が
困難となる。さらに、フィルムの熱収縮率も悪化する。
【0044】本発明において、ポリエステル樹脂を製造
した後、低オリゴマー化処理、及び触媒失活処理あるい
はオリゴマー再生抑止処理を行うことは、加熱後のヘイ
ズ値の変化を20%以下とするための重要な手段の1つ
である。ポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフ
タレート樹脂を例に挙げて説明する。
【0045】ポリエチレンテレフタレートフイルム中に
含有されている、環状3量体に代表されるオリゴマー量
を低減するためには、まず原料レジンを窒素などの不活
性ガス雰囲気下、1.0MPaより高く2.0MPa以
下、より好ましくは1.0MPaより高く1.4MPa
以下の加圧下で、180℃以上250℃以下、より好ま
しくは200℃以上230℃以下に加熱し、12時間以
上36時間以下の低オリゴマー化処理を行うことが有効
である。
【0046】このとき、雰囲気に酸素が存在すると酸化
反応による着色などの障害が発生し、水蒸気が存在する
と加水分解反応によってポリエチレンテレフタレートの
重合度が低下しフイルムの強度低下などの障害が発生す
る。不活性雰囲気の気圧が1.0MPaより低い場合に
は、外気とともに酸素や水蒸気が侵入しないよう特別に
設計された装置が必要となり、2.0MPa気圧より高
い気圧下で処理をしても低オリゴマー化の効果は変わら
ない。
【0047】低オリゴマー化処理の温度が250℃より
高いと、レジンの融着や溶融、変色などの障害を招き、
180℃より低いと十分な低オリゴマー化効果が得られ
ない。処理時間が12時間より短いときも十分な低オリ
ゴマー化効果が得られず、36時間より長く処理を続け
ても、フイルムの熱処理によるヘイズ上昇に及ぼす効果
は変わらない。
【0048】レジンの低オリゴマー化処理に引き続き、
触媒活性を低下させる失活処理、例えば、酸化、還元、
水和などの化学処理、およびまたは音波、電磁波照射な
どの物理処理により、触媒活性を低下または失わせる処
理を行っても良い。また、ポリエステルの末端OH基
に、例えばエーテル化などの化学修飾を施して環状3量
体などのオリゴマー再生反応を抑止しても良い。
【0049】(被覆層)本発明において、被覆層形成の
ために使用する塗布液は、溶媒、高分子樹脂、粒子を主
たる構成成分とする。溶媒としては、水系溶媒または有
機溶媒のいずれも使用できるが、作業環境、環境保護、
生産性などの点から水系溶媒が好適である。
【0050】本発明で基材フィルムの被覆層に用いる高
分子樹脂は、特に限定されるものではないが、例えばポ
リエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等が
挙げられる。なかでも、芳香族ポリエステル系樹脂また
は酸価が200eq/t以上のアクリル系樹脂から選ば
れる1種以上の樹脂または2種以上の共重合体が好まし
い。この共重合体にはブロック体及びグラフト体が含ま
れる。
【0051】芳香族ポリエステル系樹脂とは、ポリエス
テルの酸成分中、芳香族ジカルボン酸成分が30モル%
以上含有する樹脂をいう。芳香族ジカルボン酸成分が3
0モル%未満であると、ポリエステル樹脂の加水分解性
が顕著となり耐水性が悪化する。
【0052】前記のアクリル系樹脂における酸価とは、
樹脂溶液等を100Paの減圧下、80℃で2時間乾燥
させた後の固形分を、濃度既知のエタノール性水酸化カ
リウム溶液で滴定して求めた値である。
【0053】前記のアクリル系樹脂の酸価が200eq
/t未満では、本願発明で規定した特性値を満足するこ
とが不十分となる。
【0054】酸価を200eq/t以上とするために
は、分子中に極性基を含有させる必要がある。しかしな
がら、スルホン酸ナトリウムのように、加熱しても変化
せず安定な極性基は、かえって被覆層の耐水性を悪化さ
せるため好ましくない。
【0055】被覆層の耐水性を悪化させない極性基とし
ては、加熱後に分解して極性が低下するカルボン酸のア
ミン塩が例示される。使用することができるアミンは、
塗膜の乾燥条件で気化することが必要であり、例えばア
ンモニウム、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が挙
げられる。
【0056】さらに好ましくは、芳香族ポリエステル系
樹脂または酸価が200eq/t以上のアクリル系樹脂
から選ばれる1種以上の樹脂または2種以上の共重合体
が、2重結合を有する酸無水物を含有する少なくとも1
種のモノマーからなるラジカル重合体を5重量%以上含
有することである。5重量%未満では耐水性の効果が不
十分となりやすい。
【0057】前記の酸無水物を樹脂中に導入することに
より、樹脂分子間で架橋反応を行なうことが可能とな
る。すなわち、樹脂中の酸無水物はコート液中では加水
分解等によりカルボン酸に変化し、乾燥及び製膜中の熱
履歴により、分子間で酸無水物または他の分子の活性水
素基と反応してエステル基等を生成し、塗布層の樹脂の
架橋を行い、耐水性及び加熱白化防止性等を発現するこ
とができる。
【0058】2重結合を有する酸無水物を含有するモノ
マーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、2,
5−ノルボネンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル
酸等が挙げられる。また、ラジカル重合体は、他の重合
性不飽和単量体との共重合体であってもよい。
【0059】他の重合性不飽和単量体としては、(1)
フマル酸、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フ
マル酸ジブチルなどのフマル酸のモノエステルまたはジ
エステル、(2)マレイン酸、マレイン酸モノエチル、
マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイ
ン酸のモノエステルまたはジエステル、(3)イタコン
酸、イタコン酸のモノエステルまたはジエステル、
(4)フェニルマレイミド等のマレイミド等、(5)ス
チレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ク
ロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体、(6)ビニ
ルトルエン、ジビニルベンゼンなど、(7)アルキルア
クリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基とし
てはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2
−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、
ベンジル基、フェニルエチル基等)などのアクリル重合
性単量体、(8)2−ヒドロキシエチルアクリレート、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ
プロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタク
リレートのヒドロキシ含有アクリル単量体、(9)アク
リルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリル
アミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールア
クリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,
N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチル
アクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミ
ド、N−フェニルアクリルアミドのアミド基含有アクリ
ル単量体、(10)N,N−ジエチルアミノエチルアク
リレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレー
トのアミノ基含有アクリル単量体、(11)グリシジル
アクリレート、グリシジルメタクリレートのエポキシ基
含有アクリル単量体、(12)アクリル酸、メタクリル
酸、及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アン
モニウム塩)、などのカルボキシル基またはその塩を含
有するアクリル単量体、などが挙げられる。
【0060】また、被覆層の耐水性をさらに向上させる
ために、塗布液調整時に酸化合物を添加することが特に
好ましい。この酸化合物の添加により、樹脂中のカルボ
ン酸基の酸無水化及びエステル化反応を促進させて樹脂
の架橋を向上させることができるため、本発明の被覆フ
ィルムにおける重要な構成要件である耐水性値を90%
以上とするのに好適である。
【0061】酸化合物の添加量は、樹脂に対して1〜1
0重量%の範囲が好ましい。また、酸化合物として種々
の化合物を使用することが可能であるが、製膜時の熱で
気化しやすく、被覆層中に残留量が少なくかつ残留時の
悪影響が小さい、低沸点のカルボン酸が好ましい。低沸
点のカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、
酪酸、吉草酸、ヘプタン酸等を挙げることができる。
【0062】本発明において、耐水性値及び変色値を満
足するためには、前記の酸無水物を用いた架橋反応を行
なう際に、窒素原子またはフェノール類を含まない架橋
剤を使用することが好ましい。
【0063】窒素原子またはフェノール類を含む架橋剤
は、熱等により酸化・分解し、窒素原子及び芳香環を中
心とした共役構造を有する化合物を生成する。その結
果、着色が著しくなる。しかしながら、本発明におい
て、これらの架橋剤の使用を完全に否定するものではな
く、本発明の耐水性値及び変色値が満足されれば、架橋
剤(硬化用樹脂)の種類に応じて適量使用することが可
能である。
【0064】架橋剤としては、例えば、(1)尿素、メ
ラミン、ベンゾグアナミンなどとホルムアルデヒドとの
付加物、(2)これらの付加物と炭素原子数が1〜6の
アルコールからなるアルキルエーテル化合物などのアミ
ノ樹脂、(3)多官能性エポキシ化合物、(4)多官能
性イソシアネート化合物、(5)ブロックイソシアネー
ト化合物、(6)多官能性アジリジン化合物、(7)オ
キサゾリン化合物、などが挙げられる。
【0065】前記(2)記載のアミノ樹脂としては、例
えば、メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロー
ルN,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシア
ンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ
化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロール
メラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなど
が挙げられる。この中でも、メトキシ化メチロールメラ
ミン、ブトキシ化メチロールメラミン、およびメチロー
ル化ベンゾグアナミンなどが好適である。
【0066】前記(3)記載の多官能性エポキシ化合物
としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエ
ーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールA
のジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソ
フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシ
ジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p
−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイド
ロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタ
ル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエス
テル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジ
グリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジル
エーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテ
ル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、
1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよび
ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、ト
リメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジル
イソシアネート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼ
ン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグ
リシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシ
ジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエ
ーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のト
リグリシジルエーテル、などが挙げられる。
【0067】前記(4)記載の多官能性イソシアネート
化合物としては、例えば、低分子または高分子の芳香
族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシ
アネート、などが挙げられる。
【0068】ポリイソシアネートとしては、テトラメチ
レンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、および
これらのイソシアネート化合物の3量体などが例示され
る。
【0069】さらに、これらのイソシアネート化合物の
過剰量と、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトー
ル、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性
水素化合物、またはポリエステルポリオール類、ポリエ
ーテルポリオール類、ポリアミド類などの高分子活性水
素化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基
含有化合物、などが挙げられる。
【0070】前記(5)記載のブロックイソシアネート
は、上記イソシアネート化合物とブロック化剤とを公知
の方法より付加反応させて合成することができる。
【0071】イソシアネートブロック化剤としては、例
えば、(a)フェノール、クレゾール、キシレノール、
レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール
などのフェノール類、(b)チオフェノール、メチルチ
オフェノールなどのチオフェノール類、(c)アセトキ
シム、メチルエチケトオキシム、シクロヘキサノンオキ
シムなどのオキシム類、(d)メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、
(e)エチレンクロロヒドリン、1,3−ジクロロ−2
−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、
(f)t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級
アルコール類、(g)ε−カプロラクタム、δ−バレロ
ラクタム、ν−ブチロラクタム、β−プロピルラクタム
などのラクタム類、(h)芳香族アミン類、(i)イミ
ド類、(j)アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、
マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、
(k)メルカプタン類、(l)イミン類、(m)、尿素
類、(n)ジアリール化合物類、(o)重亜硫酸ソー
ダ、などを挙げることができる。
【0072】フェノール類を含む架橋剤としては、例え
ば、アルキル化フェノール類、クレゾール類などのホル
ムアルデヒドとの縮合物のフェノールホルムアルデヒド
樹脂が挙げられる。
【0073】フェノールホルムアルデヒド樹脂として
は、例えば、アルキル化(メチル、エチル、プロピル、
イソプロピルまたはブチル)フェノール、p−tert
−アミルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンフ
ェノール、p−tert−ブチルフェノール、o−クレ
ゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−シクロ
ヘキシルフェノール、4,4’−イソプロピリデンフェ
ノール、p−ノニルフェノール、p−オクチルフェノー
ル、3−ペンタデシルフェノール、フェノール、フェニ
ルo−クレゾール、p−フェニルフェノール、キシレノ
ールなどのフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物
が挙げられる。
【0074】窒素原子またはフェノール類を含まない架
橋剤として、多官能性エポキシ化合物が挙げられる。し
かしながら、多官能性エポキシ化合物は窒素原子を含む
アミン系の架橋触媒を用いることが多いため、触媒起因
の着色が起こるという問題がある。また、触媒量を低減
させたり、あるいはアミン等を含まない触媒を用いるこ
とにより、着色を押さえることが可能ではあるが、架橋
が不十分であったり、回収時にゲル状の混合物が増加す
るため好ましくない。
【0075】前記記載の多官能性エポキシ化合物として
は、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル
およびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグ
リシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル
酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエ
ステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキ
シ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタ
ル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジ
グリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、
アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシ
ジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,
4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘ
キサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキ
レングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット
酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌ
レート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリ
シジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエ
ーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテ
ル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、グ
リセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジ
ルエーテル、などが挙げられる。
【0076】多官能エポキシ化合物の触媒として、トリ
エチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチル
アンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ベン
ジルジメチルアミン、トリブチルアミン、トリス(ジメ
チルアミノ)メチルフェノール等の3級アミン、2−メ
チル−4−エチルイミダゾール、2ーメチルイミダゾー
ル等のイミダゾール化合物、ピリジン、メチルピリジン
等の含窒素複素環化合物、また、アミン等を含まない触
媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強
塩基、ほうふっ化亜鉛、四塩化すず等の金属化合物など
が挙げられる。
【0077】また、水系塗布液を用いて被覆層を形成さ
せる場合には、基材フィルム表面に塗布する際に、基材
フィルムへの濡れ性を向上させ、塗布液を均一にコート
するために、公知のアニオン系界面活性剤やノニオン系
界面活性剤を適量添加することが好ましい。
【0078】また、塗布液中には、性能向上のために、
複数の他の樹脂等を塗布液に添加してもよい。
【0079】さらに、塗布液中には、ハンドリング性、
帯電防止性、抗菌性など、他の機能性をフィルムに付与
するために、無機及び/または有機粒子、帯電防止剤、
紫外線吸収剤、有機潤滑剤、抗菌剤、光酸化触媒などの
添加剤を含有させることができる。
【0080】本発明の光学用被覆フィルムは、透明性の
点から、基材のポリエステルフィルム中に不活性粒子を
実質上含有させていないので、フィルムのハンドリング
性や耐スクラッチ性を向上させるために、被覆層中に適
切な大きさの粒子を塗布液中に適性量含有させ、被覆層
表面に凹凸を形成させることが必要である。
【0081】かかる粒子の例としては、(1)炭酸カル
シウム、リン酸カルシウム、シリカ、シリカーアルミナ
複合酸化物粒子、カオリン、タルク、二酸化チタン、ア
ルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチ
ウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、
(2)架橋ポリスチレン、架橋ポリメチルメタクリレー
ト、架橋アクリル、などの架橋高分子粒子、(3)シリ
コン樹脂粒子、ポリイミド粒子、フッ素系樹脂粒子、な
どの耐熱性高分子粒子、(4)シュウ酸カルシウム等の
有機粒子を挙げることができる。なかでも、シリカ粒子
はポリエステル樹脂と屈折率が比較的近く、高透明のフ
ィルムを得やすいため最も好適である。
【0082】本発明では、被覆層中に2種類の粒子(粒
子A及び粒子B)を含有させることが好ましい。粒子A
と粒子Bの平均粒径、含有量及びその比率、さらに塗布
量を前記範囲内にすることは、本発明で規定したSRa
及び全光線透過率の範囲内にするのに好適であり、透明
性と耐スクラッチ性を両立させるのに有効である。
【0083】粒子Aの平均粒径は20nm以上150n
m未満が好ましく、さらに好ましくは30〜100nm
である。粒子Aの平均粒径が20nm未満であると、耐
スクラッチ性が悪化する傾向がある。一方、粒子Aの平
均粒径が150nm以上になると、全光線透過率が低く
なる傾向がある。
【0084】本発明では、耐スクラッチ性をさらに向上
させるために、粒子A以外に粒子Aよりも平均粒径が大
きい粒子Bを併用することが好ましい。粒子Bの平均粒
径は150〜600nmが好ましく、さらに好ましくは
200〜500nmである。粒子Bの平均粒径が150
nm未満であると、耐スクラッチ性が悪化する傾向があ
る。一方、粒子Bの平均粒径が600nmを超えると、
全光線透過率が低くなる傾向がある。
【0085】さらに、粒子Bと粒子Aとの平均粒径の差
を、好ましくは100nm以上、特に好ましくは150
nm以上とすることで、透明性と耐スクラッチ性を両立
させるのにさらに有効である。
【0086】さらに、被覆層中の粒子Aと粒子Bの重量
比(A/B)を3〜30とし、かつ粒子Bの含有量を被
覆層の樹脂組成物に対し0.1〜3重量%とすること
は、被覆層表面の三次元中心面平均表面粗さ(SRa)
を0.008〜0.030μmとするのに好適であり、
上記範囲を満足するように各粒子の含有量を設定するこ
とが必要である。 特に、被覆層の樹脂組成物に対し、
粒子Bの含有量が3重量%を超えると、全光線透過率の
低下が著しくなる。ここで、被覆層の樹脂組成物とは、
樹脂、粒子A、及び粒子Bの固形分重量の総和を意味す
る。
【0087】塗布液に用いる溶媒として水系溶媒を用い
た場合、水以外にエタノール、イソプロピルアルコー
ル、ベンジルアルコールなどのアルコール類を、全塗布
液に対し50重量%未満の範囲で混合しても良い。さら
に、10重量%未満であれば、アルコール類以外の有機
溶剤を溶解可能な範囲で混合してもよい。但し、塗布液
中のアルコール類とその他の有機溶剤との合計量は、5
0重量%未満とすることが好ましい。
【0088】有機溶剤の添加量が50重量%未満であれ
ば、塗布乾燥時に乾燥性が向上するとともに、水のみの
場合と比べ被覆層の外観が向上するという効果がある。
50重量%以上では、溶剤の蒸発速度が速くなるため塗
工中に塗布液の濃度変化が起こり、塗布液の粘度が上昇
して塗工性が低下する。その結果、被覆層の外観不良が
起こりやすくなる。さらに、環境面、作業者の健康面、
火災の危険性などからも好ましくない。
【0089】本発明の光学用被覆フィルムは、後加工工
程で被覆層にプリズムレンズ層、ハードコート層、反射
防止(AR)層などが積層され光学部材となる。プリズ
ムレンズ層、ハードコート層、反射防止(AR)層など
はアクリル系樹脂を主成分としているため、本発明の被
覆フィルムの被覆層は特にアクリル系樹脂との接着性に
優れていることが必要である。すなわち、後述の方法に
したがって測定したときの光硬化型アクリル樹脂層と前
記被覆層との接着性は85%以上あることが必要であ
り、好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95
%以上である。ここで、接着性とはJIS−K5400
の8.5.1に準拠したクロスカット法を用い下記式か
ら求めた値を意味する。 接着性(%)=(1−剥離したマス目の数/マス目の総
数)×100
【0090】(易接着フィルムの製造方法)次に、本発
明の光学用被覆フィルムの好適な製造方法について、ポ
リエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)
を例にして説明するが、当然これに限定されるものでは
ない。
【0091】不活性粒子を実質的に含有していないPE
T樹脂ペレットを十分に真空乾燥した後、押出し機に供
給し、Tダイから約280℃の溶融PET樹脂を回転冷
却金属ロールにシート状に溶融押出しし、静電印加法に
より冷却固化せしめて未延伸PETシートを得る。前記
未延伸PETシートは、単層構成でもよいし、共押出し
法による複層構成であってもよい。
【0092】前記のフィルム原料として使用するPET
樹脂は、低オリゴマー処理、及び触媒失活処理あるいは
オリゴマー再生抑止処理を行っておくことが、フィルム
加熱後のヘイズ値の変化を低減するのに特に有効であ
る。
【0093】前記の触媒の失活処理あるいはオリゴマー
再生抑止処理を行わない場合には、低オリゴマー処理を
行ったPET樹脂でも、メルトライン中で時間の経過と
ともにオリゴマーが再生しやすくなる。したがって、P
ETを押出し機へ投入後Tダイからシート状に溶融押出
しするまでの滞留時間を20分以内、より好ましくは1
2分以内に制御することにより、フィルム製膜後のフィ
ルム中の環状3量体含有量を5000ppm以下にする
ことができ、フィルム加熱後のヘイズ値の変化を低減す
るのに有効である。
【0094】さらに、基材フィルムの原料PET樹脂中
に含まれている異物を除去するために、溶融押出しの際
に溶融樹脂が約280℃に保たれたメルトライン中の任
意の場所で、高精度濾過を行う。
【0095】溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材
は、特に限定はされないが、ステンレス焼結体の濾材の
場合、触媒起因の凝集物、重縮合反応缶の気液界面に析
出したスケールの脱落物、外部から混入したコンタミ物
及び高融点ポリエステルなどのゲルの除去性能に優れ好
適である。
【0096】溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材の
濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は15μm以下
が好ましい。濾材の濾過粒子サイズが15μmを超える
と、20μm以上の異物の除去が不十分となりやすい。
濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μm以下
の濾材を使用して溶融樹脂の高精度濾過を行うことによ
り生産性が低下する場合があるが、全光線透過率が高
く、光学欠点が少ない光学用フィルムを得るには極めて
好適である。
【0097】溶融樹脂の押出し工程において濾材を通過
する微細な異物であっても、シート状の溶融PETの冷
却過程において異物の周囲で結晶化が進み、これが延伸
工程において延伸の不均一性を引き起こし、微小な厚み
の差異を生じせしめレンズ状態となる。ここでは光はレ
ンズがあるかの様に屈折又は散乱し、肉眼で観察した時
には実際の異物より大きく見えるようになる。
【0098】この微小な厚みの差は、凸部の高さと凹部
の深さの差として観測することができる。凸部の高さが
1μm以上で、凸部に隣接する凹部の深さが0.5μm
以上であると、レンズ効果により、大きさが20μmの
形状の物でも肉眼的には50μm以上の大きさとして認
識され、さらには100μm以上の大きさの光学欠点と
して認識される場合もある。
【0099】高透明なフィルムを得るためには、基材フ
ィルム中に粒子を含有させない方が好ましいが、粒子含
有量が少なく透明性が高いほど、微小な凹凸による光学
欠点はより鮮明となる傾向にある。
【0100】また、厚みが200μm以上の厚手の二軸
延伸PETフィルムを製造する場合、未延伸PETシー
トは回転冷却ロールとの接触面とは反対側の表面が急冷
させにくいため、該表面で結晶化が進む傾向にある。そ
のため、未延伸PETシートの透明性が不十分となりや
すいため、未延伸PETシート製造時にフィルム厚み方
向を均一に急冷することが必要となる。
【0101】未延伸PETシートを厚み方向に均一に冷
却する方法としては、溶融PET樹脂を回転冷却ドラム
上にダイスからシート状に押し出し、シート状の溶融P
ETを回転冷却ドラムに密着させる際に、冷却ドラムと
の接触面とは反対側の表面に、例えば高速気流を吹きつ
けて冷却する方法、スプレーノズルで蒸散する液体を塗
布する方法、槽内の冷却用液体に接触させる方法、など
を併用することにより未延伸PETシートの両面を急冷
する方法が、被覆フィルムの全光線透過率を90%以上
にするのに有効である。
【0102】得られた未延伸PETシートを、80〜1
20℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍
延伸して、一軸延伸PETフィルムを得る。さらに、フ
ィルムの端部をクリップで把持して、70〜140℃に
加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後幅方向に2.5〜
5.0倍に延伸する。引き続き160〜240℃の熱処
理ゾーンに導き、1〜60秒間の熱処理を行い、結晶配
向を完了させる。
【0103】このフィルム製造工程中の任意の段階で、
PETフィルムのどちらか片面に、前記の高分子樹脂を
主たる構成成分とする塗布液を塗布する。塗布液中の固
形分濃度は、5〜30重量%であることが好ましく、特
に好ましくは7〜15重量%である。
【0104】この塗布液中には、特定粒径の微粒子を特
定量含有させ、被覆層表面に凹凸を形成させることが好
ましい。さらに、被覆層を構成する高分子樹脂が芳香族
ポリエステル系樹脂または酸価が200eq/t以上の
アクリル系樹脂から選ばれる単独樹脂、樹脂混合物また
は共重合体樹脂である場合には、2重結合を有する酸無
水物を含有する少なくとも1種のモノマーからなるラジ
カル重合体を5重量%以上含有させ、塗布液中に酸化合
物を樹脂に対して1〜10重量%添加することが好まし
い。
【0105】さらに、塗布液中の異物を除去すること
は、本発明の被覆フィルムの全光線透過率を90%以上
にするために有効である。
【0106】塗布液を精密濾過するための濾材は、濾過
粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が25μm以下で
あることが好ましい。濾過粒子サイズが25μmを超え
ると、粗大凝集物の除去が不十分となりやすい。そのた
め、濾過で除去できなかった粗大凝集物は、塗布乾燥後
の一軸延伸又は二軸延伸工程での延伸応力により広がっ
て、100μm以上の凝集物として認識され、フィルム
の全光線透過率を低下させる原因となる。
【0107】塗布液を精密濾過するための濾材のタイプ
は、上記性能を有していれば特に限定はなく、例えば、
フィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられ
る。塗布液を精密濾過するための濾材の材質は、上記性
能を有しかつ塗布液に悪影響を及ばさない限り特に限定
はなく、例えば、ステンレス、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ナイロン等が挙げられる。
【0108】この塗布液を塗布するには、公知の任意の
方法で行うことができる。例えば、リバースロール・コ
ート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロール
ブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート
法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含
浸・コート法およびカーテン・コート法などが挙げら
れ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うこ
とができる。
【0109】被覆層は、二軸延伸PETフィルム基材に
上記塗布液を塗布しても良いし(オフラインコート
法)、未延伸あるいは一軸延伸後のポリエステルフィル
ム基材に上記塗布液を塗布した後、乾燥し、さらに一軸
延伸あるいは二軸延伸を行なった後、熱固定を行っても
良いが(インラインコート法)、本発明の効果の点から
後者のインラインコート法が好ましい。該塗布液が塗布
されたフィルムは、延伸および熱固定のためにテンター
に導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定な
被膜を形成することができる。
【0110】未延伸あるいは一軸延伸後のポリエステル
フィルム基材に上記塗布液を塗布した後、乾燥、延伸す
る、いわゆるインラインコート法の場合、塗布後の乾燥
工程では水等の溶剤分のみを取り除き、かつ被覆層の架
橋反応が進行しない温度及び時間を選定する必要があ
る。
【0111】乾燥温度は70〜140℃ で行うことが
好ましく、乾燥時間は塗布液の固形分濃度及び塗布量に
応じて調整するが、温度(℃)と時間(秒)の積として
3,000以下とすることが好ましい。積が3,000
を越えると、被覆層が延伸前に架橋反応を起こし、被覆
層に割れ等が生じるため、本発明の目的を達成すること
が困難となる。
【0112】また、被覆層は延伸後、フィルム幅長が変
化しない様にフィルムを固定した状態で、赤外線ヒータ
ーにより被覆層を250〜260℃で0.5〜1秒間の
短時間で加熱処理することが架橋反応を促進する上で好
ましい。
【0113】この際、塗布液中に酸化合物を高分子樹脂
に対して1〜10重量%添加していると、架橋反応がさ
らに促進され被覆層がより強固となる。そのため、フィ
ルムを加熱した際にフィルム表面に析出してくるオリゴ
マーを被覆層によりブロックし、被覆層表面にオリゴマ
ーが析出するのを抑制することができる。その結果、フ
ィルム加熱後のヘイズ値の変化を低減するのに特に有効
である。
【0114】但し、この方法を適用する場合、基材フィ
ルム中のオリゴマーの析出を被覆層によりブロックする
という作用の点から、基材フィルムの両面に被覆層を設
けることが好ましい。
【0115】延伸後のフィルムは通常2〜10%程度の
弛緩処理を行うが、本発明においては被覆層の歪みが少
ない状態、すなわちフィルム幅長が変化しないように固
定した状態で、赤外線ヒーターで被覆層を加熱すること
が好ましい。このような方法を採用することにより、被
覆層内の架橋が促進されより強固となり、本発明の効果
を発現しやすくなる。加熱温度または時間が前記条件よ
り大きいと、フィルムの結晶化または溶解が起こりやす
くなるため好ましくない。また、逆に条件が加熱温度ま
たは時間が前記条件より小さいと、被覆層の架橋が不十
分となり、本発明の効果が不十分となりやすい。
【0116】最終的に得られる被覆フィルム表面の被覆
層の乾燥後塗布量(フィルム単位面積当りの固形分重
量)は、0.04〜0.50g/m2が好ましく、特に
好ましくは0.2〜4.0g/m2である。乾燥後の塗
布量が0.04g/m2未満であると、接着性が不十分
となる。塗布量が0.50g/m2を超えると、光学欠
点となる被覆層中の異物の数が相対的に増加するととも
に、全光線透過率が低下し、好ましくない。
【0117】本発明の被覆フィルムは、被覆層と該被覆
層に積層される各種材料との接着性をさらに向上させる
ために、必要に応じて、該被覆層にコロナ処理、火炎処
理、電子線照射等による表面処理を行ってもよい。
【0118】なお、未延伸フィルム作成後から塗布工程
における空気中のクリーン度(0.5μ以上の粒子数/
ft3)を、クラス100,000となるようヘパフィ
ルターによりコントロールすることは、フィルム表面に
付着する異物を低減させるのに有効である。
【0119】本発明における被覆フィルムの厚みは、5
0〜300μmが好ましく、特に好ましくは100〜2
50μmである。フィルム厚みが50μm未満では、剛
性が不十分となり好ましくない。一方、フィルム厚みが
300μmを超えると、フィルム中に存在する光学欠点
となる異物が増加し、全光線透過率を低下させるので好
ましくない。
【0120】
【実施例】次に、本発明の光学用被覆フィルムを実施例
及び比較例により詳しく説明するが、当然これらに限定
されるものではない。また、本実施例で得られたフィル
ムの特性の評価は下記の方法により行った。
【0121】(1)全光線透過率 ヘイズメーター(東京電色工業社製、モデルTC−H3
DP)を用いて測定した。
【0122】(2)三次元中心面平均表面粗さ(SR
a) 被覆層表面の三次元中心面平均粗さ(SRa)は、小坂
研究所社製の触針式三次元表面粗さ計(SE−3AK)
を用い、触針先端半径2μm、触針荷重30mg、カッ
トオフ値0.25mm、X倍率は200倍、Y倍率は5
00倍、Z倍率は20,000倍とした。フィルムの長
手方向に測定長1mmにわたって触針の送り速さ0.1
mm/秒で測定し、送りピッチ2μmで500点に分割
し、各点の高さを三次元粗さ解析装置(TDA−21)
に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向
について2μm間隔で連続的に150回、即ちフィルム
の幅方向0.3mmにわたって行い、解析装置にデータ
を取り込ませ、三次元平均表面粗さSRaを求めた。
【0123】(3)接着性 フィルムの被覆層面に、紫外線硬化型アクリル樹脂を主
成分とするハードコート剤(大日精化社製、セイカビー
ムEXF01(B))を#8ワイヤバーにより塗布し、
70℃で1分間乾燥し溶剤を除去した。次いで、フィル
ムを送り速度5m/分で走行させながら、高圧水銀灯を
用いて照射エネルギー200mJ/cm 2、照射距離1
5cmの条件下で、厚み3μmのハードコート層を形成
させた。
【0124】得られたフィルムをJIS−K5400の
8.5.1記載に準じた試験方法で接着性を求める。具
体的には、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、
ハードコート層と被覆層を貫通して基材フィルムに達す
る100個のマス目状の切り傷をつける。次いで、セロ
ハン粘着テープ(ニチバン社製、405番;24mm
幅)をマス目状の切り傷面に貼り付け、消しゴムでこす
って完全に付着させる。その後、垂直にセロハン粘着テ
ープをフィルムから引き剥がして、フィルムから剥がれ
たマス目の数を目視で数え、下記の式から接着性を求め
る。なお、マス目の中で部分的に剥離しているものも剥
がれたマス目として数える。 接着性(%)=(1−剥がれたマス目の数/100)×
100
【0125】(4)耐水性 前記(3)に記載の方法で作成した、厚み3μmのハー
ドコート層を被覆層面に形成させたポリエステルフィル
ムを、60℃、95%RHの雰囲気下で静置した。50
0時間経過後、フィルムを取りだし、23℃、60RH
%の雰囲気下で12時間放置した。
【0126】その後、前記(3)と同様にJIS−K5
400の8.5.1記載に準じた試験方法で接着性を求
めた。
【0127】(5)耐水性値 フィルムの被覆層面に、オフセットインキ(ティーアン
ドケイ東華社製、ベストキュア161)をRIテスター
(明製作所社製、RI−3)により転写させた。次い
で、フィルムを送り速度5m/分で走行させながら、高
圧水銀灯を用いて照射エネルギー200mJ/cm2
照射距離15cmの条件下で、厚み1μmのインキ層を
形成させた。
【0128】得られたフィルムを水の入ったオートクレ
ーブ(トミー精工社製、SR−240)に入れ、120
℃で1時間加圧ボイル処理した。ボイル処理後、オート
クレーブを常圧に戻し、オートクレーブ内からフィルム
を取りだした。フィルム表面に付着した水を取り除き、
室温で12時間放置した。
【0129】ボイル処理後のフィルムのインキ層側表面
に対し、前記(3)と同様にJIS−K5400の8.
5.1記載に準じた試験方法で接着性を求め、耐水性値
とする。なお、マス目の中で部分的に剥離しているもの
も剥がれたマス目として数える。 耐水性値(%)=(1−剥がれたマス目の数/100)
×100
【0130】(6)色相 色差計(日本電色社製、Z−1001DP)によりLa
b値を測定し、黄色度の尺度であるb値を使用した。b
値が高いほど、黄色度が強いことを示す。ポリエステル
の場合、熱劣化していることを示す尺度となる。
【0131】(7)溶融成型後の変色値 被覆層を有するポリエステルフィルムを短冊状に裁断
し、133Paの減圧下で135℃で6時間乾燥した
後、押出し機(池具鉄工社製、PCM−30)に投入
し、吐出量200g/分、シンリンダ温度280℃、回
転数80rpmで溶融樹脂を直径5mmのノズルからス
トランド状に押し出しした後、水槽中で冷却し、次いで
切断することによって回収ペレットを得た。前記押出し
機への短冊状フィルムの供給開始から、ノズルからの溶
融樹脂の流出開始までの経過時間は130秒であった。
【0132】この回収ペレットのb値(b)、およびテ
スト前の被覆フィルムのb値(b0)を色差計により測
定し、これらの差を溶融成型後の変色値と定義する。 変色値=b−b0
【0133】(8)回収原料を用いたフィルム中の異物 フィルム原料ポリマーとして、固有粘度が0.62dl
/gで、かつ粒子を実質上含有していないPET樹脂ペ
レットと前記(7)で作成した回収ペレットを60:4
0の重量比で混合し、133Paの減圧下、135℃で
6時間乾燥した。
【0134】その後、ペレット混合物を押出し機(池貝
鉄工社製、PCM−30)に供給し、シリンダ温度28
0℃、吐出量250g/分、回転数150rpmでTダ
イよりシート状に溶融押し出しして、表面温度20℃に
保った回転冷却金属ロール上で静電印加法により急冷固
化し、厚さ1400μmの未延伸シートを得た。前記押
出し機への短冊状フィルムの供給開始から、Tダイから
の溶融樹脂の流出開始までの経過時間は310秒であっ
た。
【0135】次に、この未延伸シートを加熱されたロー
ル群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周
速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して一軸
配向PETフィルムを得た。続いて、フィルムの端部を
クリップで把持して、130℃に加熱された熱風ゾーン
に導き乾燥した後、幅方向に4.0倍に延伸し、厚さ1
00μmの二軸延伸PETフィルムを得た。
【0136】得られたフィルムを250mm×250m
mのフィルム片にし、スケール付き顕微鏡で、フィルム
面に対して垂直方向から観察した時の20μm以上の直
径を有する異物の数を250mm×250mm(0.0
625m2)の範囲すべてについて計測する。これをフ
ィルム片10枚に対して行い、得られた異物の総数を総
観察面積(0.625m2)で除し、単位面積1m2当た
りの異物の個数(個/m2)に換算し、小数第1位の桁
を四捨五入した。単位面積1m2当たりの異物の個数を
次の基準でランク分けをする。 ◎:0個/m2 ○:1〜3個/m2 △:4〜6個/m2 ×:7個以上/m2
【0137】(9)フィルム外観 得られたフィルムを透過光及び反射光により観察し、目
視でフィルムの状態を観察し、下記の基準でランク分け
をする。なお、観察は該評価に精通した5名で行ない、
最も多いランクを評価ランクとする。仮に、2つのラン
クで同数となった場合には、3つに分かれたランクの中
心を採用した。例えば、◎と○が各2名で△が1名の場
合は○を、◎が1名で○と△が各2名の場合には○を、
◎と△が各2名で○が1名の場合には○を、それぞれ採
用する。
【0138】 ◎:着色がなく、透明で均一である ○:僅かに着色しているが、透明で均一である △:着色しており、少し濁りが観察される ×:著しく着色しており、濁りや不透明な部分が観察さ
れる
【0139】(10)加熱後のヘイズ値の変化 フィルムを8cm×10cmの短冊状に2枚切り取り、
ヘイズメーター(東京電色社製、TC−H3DP)で各
8点を2回測定する。計16点の測定値の平均値を初期
ヘイズ値H0(%)とする。これらの短冊状のフィルム
をクリップで保持し、150℃の熱風オーブン中で30
分間加熱した。フィルムを放冷した後、上記初期ヘイズ
値H0の測定方法と同様にして、加熱後のヘイズ値H
1(%)を測定する。これらのヘイズ値の差(H1
0)を加熱後のヘイズ値の変化と定義する。
【0140】(11)耐スクラッチ性 被覆フィルムを幅1000mmにスリットし、フィルム
走行性試験機を使用して、直径220mm、回転抵抗
9.8Nのハードクロムメッキ処理されたフリーロール
(表面粗度:Raで100nm)に、フィルムの被覆層
表面を接触させ走行させる。この時の走行条件は、走行
速度10m/分、巻き付け角60゜、走行張力98Nと
した。走行後フィルムの被覆層表面に入った傷を、白金
蒸着後顕微鏡で観察し、幅3μm以上でかつ長さ500
μm以上の傷の本数を単位面積当たりに換算し、小数第
1位の桁を四捨五入して、下記のランクにより判定し
た。◎が好ましいが、○でも実用的には使用可能であ
る。 ◎:10本未満/m2 ○:10本以上20本未満/m2 ×:20本以上/m2
【0141】(12)ポリエステル樹脂の固有粘度 フェノール60重量%と1,1,2,2−テトラクロロ
エタン40重量%の混合溶媒にポリエステル樹脂を溶解
し、固形分をガラスフィルターで濾過した後、30℃に
て測定した。
【0142】(共重合ポリエステルの調製)撹拌機、温
度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレスス
チール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート3
45重量部、1,4−ブタンジオール211重量部、エ
チレングリコール270重量部、およびテトラ−n−ブ
チルチタネート0.5重量部を仕込み、160℃から2
20℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。
次いで、フマル酸14重量部およびセバシン酸160重
量部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇
温し、エステル化反応を行った。次いで255℃まで昇
温し、反応系を徐々に減圧した後、29.3Paの減圧
下で1時間30分反応させ、ポリエステル(a−1)を
得た。得られたポリエステルは、淡黄色透明であった。
【0143】同様の方法で、別の共重合組成のポリエス
テル樹脂(a−2)を得た。得られたポリエステル樹脂
(a−1)及び(a−2)の、NMRで測定した組成及
び重量平均分子量を表1に示す。
【0144】
【表1】
【0145】実施例1 (グラフト樹脂の調整)撹拌機、温度計、還流装置と定
量滴下装置を備えた反応器に共重合ポリエステル樹脂
(a−1)75重量部、メチルエチルケトン56重量部
およびイソプロピルアルコール19重量部を入れ、65
℃で加熱、撹拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解
した後、無水マレイン酸15重量部をポリエステル溶液
に添加した。
【0146】次いで、スチレン10重量部、およびアゾ
ビスジメチルバレロニトリル1.5重量部を12重量部
のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.1ml/分
でポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続
けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、
メタノール5重量部を添加した。次いで、水300重量
部とトリエチルアミン15重量部を反応溶液に加え、1
時間撹拌した。その後、反応器内温を100℃に上げ、
メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰の
トリエチルアミンを蒸留により留去し、水分散性グラフ
ト樹脂(b−1)を得た。この水分散性グラフト樹脂
(b−1)は淡黄色透明であった。この樹脂の酸価は1
400eq/tであった。
【0147】(塗布液の調整)得られた水分散性グラフ
ト樹脂(b−1)の25重量%水分散液を40重量部、
水を24重量部およびイソプロピルアルコールを36重
量部、それぞれ混合し、さらにアニオン系界面活性剤の
10重量%水溶液を0.6重量部、プロピオン酸を1重
量部、イオン交換水中でホモジナイザ−により分散処理
したコロイダルシリカ粒子A−1(日産化学工業社製、
スノーテックスOL、平均粒径40nm)の20重量%
水分散液を1.8重量部、イオン交換水中でホモジナイ
ザ−により分散処理した乾式法シリカ粒子B−1(日本
アエロジル社製、アエロジルOX50、平均凝集粒径2
00nm、平均一次粒径40nm)の4重量%水分散液
を1.1重量部添加し、塗布液(以下、塗布液c−1と
略記)とした。粒子A−1と粒子B−1の重量比は8、
粒子Bの含有量は被覆層の樹脂組成物に対して0.42
重量%である。
【0148】(被覆ポリエステルフィルムの製造)テレ
フタル酸とエチレングリコールを出発原料とする公知の
PETの連続重合法で得られた、粒子を実質的に含有し
ていない、固有粘度が0.62dl/gのPET樹脂を
フィルム原料樹脂とした。
【0149】このPET樹脂を133Paで減圧下13
5℃で6時間乾燥した後、押し出し機に供給し、280
℃で再溶融した。メルトライン中で溶融樹脂を濾過粒子
サイズ(初期濾過効率95%)が15μmのステンレス
製焼結濾材を用いて濾過し、滞留時間6分でTダイのス
リットからシート状に押し出し、表面温度が30℃の回
転冷却ロール上で静電印加法を用いて急冷固化し、厚さ
1400μmの未延伸シートを得た。
【0150】次に、この未延伸シートを加熱されたロー
ル群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周
速差のあるロール群で長手方向に二段階に分け総縦延伸
倍率3.5倍で延伸して縦一軸延伸PETフィルムを得
た。
【0151】次いで、前記塗布液を濾過粒子サイズ(初
期濾過効率95%)が25μmのフェルト型ポリプロピ
レン製濾材で精密濾過し、リバースロール法により縦一
軸延伸PETフィルムの両面に塗布した。塗布後引き続
いて、フィルムの端部をクリップで把持して、130℃
に加熱された熱風ゾーンに導き1秒間乾燥した後、幅方
向に4.0倍に延伸し、さらにフィルムの幅方向の長さ
を固定した状態で赤外線ヒーターにより250℃で0.
6秒間熱処理して、両面に被覆層を有する厚さ100μ
mの二軸延伸PETフィルムを得た。被覆層の最終塗布
量は固形分量で0.10g/m2であった。得られた結
果を表2及び3に示す。
【0152】実施例2 塗布液の調整において、粒子A−1と粒子B−1の重量
比を20、粒子Bの含有量を被覆層の樹脂組成物に対し
て0.17重量%とした以外は、実施例1と同様の方法
で光学用被覆フィルムを得た。なお、塗布液中の固形分
濃度は実施例1と同様になるよう、水及びイソプロピル
アルコールの添加量を両者の添加量比を一定にしながら
調整した。得られた結果を表2及び3に示す。
【0153】実施例3 塗布液の調整において、粒子A−1と粒子B−1の重量
比を12、粒子Bの含有量を被覆層の樹脂組成物に対し
て0.41重量%とした以外は、実施例1と同様の方法
で光学用被覆フィルムを得た。なお、塗布液中の固形分
濃度は実施例1と同様になるよう、水及びイソプロピル
アルコールの添加量を両者の添加量比を一定にしながら
調整した。得られた結果を表2及び3に示す。
【0154】実施例4 水分散性グラフト樹脂の調整において、ポリエステル樹
脂(a−1)の代わりにポリエステル樹脂(a−2)を用
いる以外は実施例1と同様にして、塗布液(c−2)を
得た。このグラフト樹脂の酸価は1370eq/tであ
った。この塗布液(c−2)を用いた以外は、実施例1
と同様の方法で光学用被覆フィルムを得た。得られた結
果を表2及び3に示す。
【0155】実施例5 実施例1で使用したPET樹脂を、1.1MPaの窒素
気流下220℃で24時間熱処理を行ない、固有粘度が
0.62dl/g、環状3量体の含有量が3000pp
mの低オリゴマー化処理をした、PET樹脂を得た。フ
ィルム原料として、この低オリゴマー化処理をしたPE
T樹脂を使用し、被覆層をフィルムの片面にのみ形成し
たこと以外は実施例1と同様にして光学用被覆フィルム
を得た。得られた結果を表2及び3に示す。
【0156】比較例1 塗布液の調整において、水分散性グラフト樹脂(b−
1)の代わりにポリエステル樹脂(a−2)の水分散体
を添加し、塗布液(c−3)を得た。この塗布液を、プ
ロピオン酸の添加及び赤外線ヒーターによる加熱工程が
ない以外は、実施例1と同様の方法で被覆フィルムを得
た。塗布液調整時の粒子Aと粒子Bの重量比は8、粒子
Bの含有量は被覆層の樹脂組成物に対して0.42重量
%であった。なお、塗布液中の固形分濃度は実施例1と
同様になるよう、水及びイソプロピルアルコールの添加
量を両者の添加量比を一定にしながら調整した。得られ
た結果を表2及び3に示す。
【0157】比較例2 塗布液の調整において、粒子Aとして平均粒径1400
nm(富士シリシア社製、サイリシア#310)の凝集
体シリカ粒子を用い、プロピオン酸の添加及び赤外線ヒ
ーターによる加熱工程がない以外は、実施例1と同様の
方法で被覆フィルムを得た。塗布液調整時の粒子Aと粒
子Bの重量比は8、粒子Bの含有量は被覆層の樹脂組成
物に対して0.42重量%であった。なお、塗布液中の
固形分濃度は実施例1と同様になるよう、水及びイソプ
ロピルアルコールの添加量を両者の添加量比を一定にし
ながら調整した。得られた結果を表2及び3に示す。
【0158】比較例3 塗布液の調整において、粒子Aと粒子Bの重量比を2、
粒子Bの含有量を被覆層の樹脂組成物に対して1.60
重量%とし、プロピオン酸の添加及び赤外線ヒーターに
よる加熱工程がない以外は、実施例1と同様の方法で被
覆フィルムを得た。なお、塗布液中の固形分濃度は実施
例1と同様になるよう、水及びイソプロピルアルコール
の添加量を両者の添加量比を一定にしながら調整した。
得られた結果を表2及び3に示す。
【0159】比較例4 塗布液の調整において、粒子Aと粒子Bの添加とプロピ
オン酸の添加及び赤外線ヒーターによる加熱工程がない
こと以外は、実施例1と同様の方法で被覆フィルムを得
た。なお、塗布液中の固形分濃度は実施例1と同様にな
るよう、水及びイソプロピルアルコールの添加量を両者
の添加量比を一定にしながら調整した。得られた結果を
表2及び3に示す。
【0160】比較例5 塗布液(c−1)100重量部に対してメラミン樹脂
(住友化学製:スミマールM40W)10重量部、p-
トルエンスルホン酸0.02重量部を加えた以外は、実
施例1と同様にして被覆フィルムを得た。得られた結果
を表2及び3に示す。
【0161】比較例6 塗布液(c−3)100重量部に対してブロックイソシ
アネート樹脂(第一工業製薬製:エラストトロンBN−
11)50重量部を加え、プロピオン酸の添加及び赤外
線ヒーターによる加熱工程がない以外は、実施例1と同
様の方法で被覆フィルムを得た。得られた結果を表2及
び3に示す。
【0162】
【表2】
【0163】
【表3】
【0164】
【発明の効果】本発明の被覆層を有する光学用フィルム
は、次のような作用効果がある。第1に、被覆層の架橋
を強固とすることで被覆層の耐水性値を高くすることが
でき、耐水性に優れるという効果が得られる。
【0165】第2に、強固な架橋を有する被覆層を基材
フィルムの両面に設けることで、表面層へのオリゴマー
の析出を防止し、加熱後のヘイズ値の変化を低減するこ
とができる。また、基材フィルムの原料ポリエステルを
低オリゴマー化処理し、かつメルトライン中での溶融樹
脂の滞留時間を短縮することで、フィルム中のオリゴマ
ー量を低減し、加熱後のヘイズ値の変化を低減すること
ができる。その結果、後加工工程でフィルムの加熱白化
を防止することができる。
【0166】第3に、基材フィルム中に粒子を実質的に
含有させずに、被覆層中に平均粒径の異なる2種類の粒
子を特定量含有させ、さらに基材フィルムの製造時及び
塗布液を高精度濾過することで、三次元中心面平均表面
粗さ(SRa)を特定範囲とし、全光線透過率を維持し
ながら耐スクラッチ性を改善することができる。
【0167】第4に、被覆層樹脂を架橋させる際に、窒
素原子及び芳香環を中心とした共役構造を有する化合物
を使用しないことで、製品とならなかった被覆層を有す
るポリエステルフィルムを回収・再利用する際、加熱後
の変色が小さく、かつ異物の析出も少ないという効果が
得られる。
【0168】すなわち、本発明の光学用被覆フィルム
は、二軸延伸ポリエステルフィルムを基材とし、該基材
の少なくとも片面に水溶性または水分散性樹脂を主たる
構成成分とする被覆層を設けてなる被覆フィルムであ
り、前記被覆フィルムの耐水性値、加熱後の変色値、お
よび加熱後のヘイズ値の変化が小さく、かつ高い全光線
透過率を維持しながら、被覆層表面の三次元中心面平均
表面粗さ(SRa)を特定範囲とすることで、易接着
性、耐水性、耐スクラッチ性、回収性、加熱白化防止
性、透明性に優れるという特徴を有している。
【0169】そのため、本発明のフィルムの用途は光学
用フィルムの全般にわたり、プリズムレンズシート、A
R(アンチリフレクション)フィルム、ハードコートフ
ィルム、拡散板、破砕防止フィルムなどのLCDやフラ
ットTV、CRTなどの光学用部材のベースフィルム、
プラズマディスプレイ用の前面板に部材である近赤外線
吸収フィルタ、タッチパネルやエレクトロルミネッセン
スなどの透明導電性フィルム、などに好適に使用するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東浦 真哉 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社フィルム開発研究所堅田フィル ムセンター内 (72)発明者 佐藤 昌由 大阪府大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡績株式会社本社内 (72)発明者 水野 直樹 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社フィルム開発研究所敦賀フィルムセ ンター内 (72)発明者 松岡 幹雄 大阪府大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡績株式会社本社内 Fターム(参考) 2K009 AA15 BB24 CC09 CC24 CC34 EE00 4F100 AA20B AK24B AK25B AK41A AK41B AK42 AL01B AL05B BA02 CA18 CA23B CC01 DE01B DE04B EH46 EJ38A GB41 JB07 JN01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に粒子を含有しない二軸延伸ポリ
    エステルフィルムを基材とし、該基材の少なくとも片面
    に高分子樹脂及び粒子から主として構成された被覆層を
    設けてなる被覆フィルムであって、前記被覆フィルムは
    耐水性値が90以上、加熱後の変色値が10以下、加熱
    後のヘイズ値の変化が20%以下、全光線透過率が90
    %以上、さらに前記被覆層表面の三次元中心面平均表面
    粗さ(SRa)が0.008〜0.030μmであるこ
    とを特徴とする光学用被覆フィルム。
  2. 【請求項2】 前記高分子樹脂が、芳香族ポリエステル
    系樹脂または酸価200eq/t以上のアクリル系樹脂
    から選ばれる単独樹脂、2種以上の樹脂混合物、または
    共重合体樹脂であることを特徴とする請求項1記載の光
    学用被覆フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の高分子樹脂が、2重結
    合を有する酸無水物を含有する少なくとも1種のモノマ
    ーからなるラジカル重合体を5重量%以上含有すること
    を特徴とする光学用被覆フィルム。
  4. 【請求項4】 前記被覆層が、平均粒径20nm以上1
    50nm未満の粒子A、及び平均粒径150nm以上6
    00nm以下の粒子Bを含有していることを特徴とする
    請求項1、2、または3のいずれかに記載の光学被覆フ
    ィルム。
  5. 【請求項5】 前記粒子A及び粒子Bが、いずれもシリ
    カであることを特徴とする請求項4記載の光学用被覆フ
    ィルム。
JP2001016089A 2001-01-24 2001-01-24 光学用被覆フィルム Pending JP2002219787A (ja)

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