JP2002217746A - 軟判定復号アルゴリズムにおいて使用されるブランチ・メトリックを計算する方法および装置 - Google Patents
軟判定復号アルゴリズムにおいて使用されるブランチ・メトリックを計算する方法および装置Info
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Abstract
ット数を削減する計算手法を提供すること。 【解決手段】 本発明によれば、まず、アンテナからの
受信シンボル(d)を復調してNビットで表現される復調シ
ンボル(x)を生成する。次に、複数の復調シンボル(x)
に基づいて最大電力値(Pmax)を定める。最大電力値
と、M(M<N)ビットで表現することが可能な軟判定最大値
(Bmax)との比に基づいてスケール因子(α)を求め
る。復調シンボルにスケール因子を乗算し、軟判定最大
値を超える復調シンボルの値は軟判定最大値とみなし、
復調シンボルのNビットのうちのN-Mビットを切り捨てる
ことによって、Mビットの出力シンボル(y)を求める。
そして、出力シンボルと予め定められているシンボル
(C)との間の距離に基づいてブランチ・メトリック(B
M)を計算する。
Description
おけるブランチ・メトリックの計算手法に間し、特に、
復号器の性能劣化を抑制しつつ回路規模の小型化を図る
ことが可能な手法に関する。
に、ディジタル伝送では、送信する情報ビットに対して
畳み込み符号化その他の符号化が行われる。これは、例
えば受信時の誤り訂正能力を与えるためである。符号化
された情報ビットは、変調されて伝送路を介して伝送さ
れ、あるいは、記憶媒体に記憶される。受信側または情
報を抽出する側は、伝送路または記憶媒体から得られた
信号を復調し、ビタビ(viterbi)復号アルゴリズムのよ
うなアルゴリズムを利用して復調信号を復号し、情報ビ
ットを抽出する。
(ステート)から出発して、遷移することが可能な状態
への遷移を繰り返し、所定の最終状態にたどり着き、そ
して、トレース・バック(trace back)を行うことによっ
て送信時になされたであろう状態遷移を把握する。この
場合における状態遷移図は、トレリス・ダイヤグラムま
たはトレリス線図と呼ばれる。ある1つの状態に遷移す
ることが可能な状態は、一般に1つではなく、複数の状
態が存在する。また、1つの状態から遷移することが可
能な状態も複数存在するのが一般的である。送信側では
状態遷移は一義的に定まっているのであるが、受信側で
はこれを一義的に確定できないためである。受信側で
は、復号する際に、状態遷移毎に、各状態および状態間
の経路(パス)に対して尤度またはメトリック(metric)
という量を計算し、そのメトリックの大小に基づいて、
可能性のある複数の状態の中から1つの状態を選択す
る。選択された状態およびパスに関するメトリックは、
パス・メモリに保存されトレース・バックの際に使用され
る。メトリックには、各状態に対して計算されるステー
ト・メトリックと、状態間のパスに対して計算されるブ
ランチ・メトリックとがある。ステート・メトリックは、
ブランチ・メトリックの和として計算することができ
る。
1つの状態Cに至る過程を示す。状態Aおよび状態C間
のパスに対してブランチ・メトリックMacが計算され、状
態Bおよび状態C間のパスに対してブランチ・メトリッ
クMbcが計算される。状態Aに対するステート・メトリッ
クMaおよびブランチ・メトリックMacの和と、状態Bに対
するステート・メトリックMbおよびブランチ・メトリック
Mbcの和とを比較して、メトリックの量が小さい方を選
択する。以上の処理が、順次得られる受信データに対し
て逐次行われ、最終状態に至るまで次々と実行される。
このように、メトリックの和を計算し(add)、比較(comp
are)および選択(select)を行う演算は、ACS演算と呼
ばれる。ACS演算を行う回路と、そのためのメトリッ
クを格納するメモリは、ビタビ復号器の中で最も大きな
回路部分となる。
号に使用されるアルゴリズムに依存して各種存在する
が、軟判定アルゴリズムにおけるブランチ・メトリック
は、復調したシンボル点と期待される点との間のユーク
リッド距離の二乗で与えられる。例えば、QPSKを採
用する通信システムにおいて、復調シンボルが(-0.7,
0.5)であり、期待されるシンボル点が(-1.0, 1.0)であ
る場合、ブランチ・メトリックは(-0.7-(-1.0))2+(0.5-
(1.0))2=0.34 となる。このように、復号器に入力され
る復調シンボルはメトリック計算の基礎になる。したが
って、軟判定ビタビ復号アルゴリズムにおいて、ブラン
チ・メトリックおよびステート・メトリックを適切に求
めるには、その精度が劣化しない程度のビット数(復調
シンボル)を、ビタビ復号器に入力する必要がある。さ
もなくばBER特性のような信号品質その他の性能劣化を
引き起こすことが懸念される。
多くなると回路規模は極めて大きくなる。たとえば、拘
束長n(符号器を構成するビット数+1)が9で畳み込
み符号化された信号をビタビ復号する場合、2n-1=25
6の状態(ステート)がある。これら総ての状態に対し
て入力ビットに応じた処理が必要になる。移動通信環境
下では、フェージング現象に起因して、受信シンボルの
振幅は30〜40dBにわたって短期間に変動する。こ
の数十段階にわたる振幅変化を適切に表現するには6ビ
ット程度の入力ビット数を必要とする。したがって、2
56*6=1536ビットもの情報を格納するステート
・メトリック・メモリおよびACS演算が必要になって
しまう。
ビタビ復号器への入力ビット数を削減する計算手法を提
供することを目的とする。
可能な通信システム200の概略図である。送信すべき
情報ビットは、畳み込み符号器202において符号化さ
れ、変調器204において変調され、変調された送信シ
ンボルDとして出力される。この送信シンボルDは高周波
変換器206において高周波信号に変換され、アンテナ
208を介して送信される。送信信号は、伝送路上でフ
ェージングの影響hを受けて伝播し、アンテナ218を
介して受信される。受信信号は、ベースバンド変換器2
16においてベースバンド信号dに変換され、復調器2
14で復調され、推定された復調シンボルDeとして出力
される。この推定復調シンボルDeはビタビ復号器212
に入力されて復号され、所望の情報ビットが得られる。
ャネル・ゲインをhとし、このチャネルゲインの推定値
(チャネル推定値)をheとすると、ベースバンド信号d
は、 d= he・D (10) となる。推定復調シンボルDeは、 De=d/he (12) となる。実際には、伝送路上ではフェージングの他にも
様々な影響を受けて、受信信号中に雑音が導入されてし
まうのであるが、レイリーフェージングの影響が特に顕
著である。そこで、レイリーフェージング以外の影響を
無視して議論を進める。
ランチ・メトリックBMは、 BM=|he|2・|De−C|2 (14) と表現される。ここで、Cは、例えばQPSKにおける
シンボル点(1.0, 1.0)のような期待されるシンボル値で
ある。式(14)で表現される量のうち、ACS計算に
必要な項のみを抽出すると、ブランチ・メトリックBM
は、 BM=-Ci・Re(x)-Cq・Im(x) (16) と表現できる。ただし、x=d・he*である。ここで、Ci,Cq
は期待されるシンボル点の実数成分および虚数成分を表
す。記号「*」は、複素共役であることを示す。Reおよび
Imは、それぞれ実数成分および虚数成分を取ることを意
味する。Ci,Cqは予め定められた値であるので、ブラン
チ・メトリックの精度に寄与する量は、x=d・he*であり、
このxに基づいて復号器212で復号が行われる。このx
は、 x=d・he*=De|he|2 (20) と表現することができる。すなわち、x=d・he*は、送信
シンボルDeにチャネル推定値の電力ゲイン|he|2を乗じ
たものであり、x=d・he*の絶対値は電力ゲインに相当す
る。
布に従う場合、電力Pの分布関数(累積確率分布関数)F
(P)は、平均電力を1に正規化すると、 F(P)=1-exp(-P) (22) と表現できる。すなわち、ブランチ・メトリックの計算
に直接関与するx=d・he*の大きさ(電力)は、式(2
2)の分布に従う。したがって、例えば平均電力以下の
信号の得られる確率は、F(1)≒0.632であり、平均電力
の3倍よりも小さい信号の得られる確率は、F(3)≒0.95
8であり、ほとんど総ての信号はこの範疇におさまるこ
とがわかる。
接関与するx=d・he*の大きさが、式(22)の分布に従
うことを利用してx=d・he*を近似し、本来必要とされる
ビット数(N)より少ないビット数(M)でx=d・he*を表現す
ることを考える。具体的には、平均電力値のような基準
値に基づいて最大電力値を定める。少ないビット数で表
現できる最大値をこの最大電力値に合わせ、これより大
きいものは最大電力値であるとみなす。少ないビット数
で表現できる最小値以下のものは0であるとみなす。こ
のようなスケーリングおよびクリッピングを適切に行う
ことによって、より少ないビット数であっても顕著な性
能劣化を導入することなく、ブランチ・メトリックを計
算することが可能になる。
る信号処理の一部を示す機能ブロック図を示す。図示さ
れているように、アンテナ301で受信された信号は、
ベースバンド変換器302に入力され、受信シンボルd
が生成される。この受信シンボルdはシンボル復調器3
03に入力される一方、チャネル推定器304にも入力
される。チャネル推定器304では、フェージングの影
響を表すチャネル推定値heを算出する。シンボル復調器
303は、受信シンボルdおよびチャネル推定値heに基
づいて復調シンボルx=d・he*を出力する。この復調シン
ボル(x)は、所定のビット数であるNビットで表現され
る。基準値設定器305は、複数の復調シンボルに基づ
いて基準値を設定する。この基準値は、所定数の復調シ
ンボルに関する平均電力値(Pav)である。平均化を行う
区間内の復調シンボルは、シンボル・メモリ306に格
納される。スケール因子演算器307では、基準値であ
る平均電力値(Pav)に基づいて最大電力値Pmaxを設定
し、Bmax/Pmaxに従ってスケール因子αを計算する。こ
こで、Bmaxは、Nより少ない所与のビット数Mで表現する
ことが可能な最大値を表す。また、平均電力値のβ倍が
最大電力値であるとすると、Pmax=β・Pavである。スケ
ーラ308は、スケール因子αを利用して、シンボル・
メモリ306から得られるNビットの復調シンボルx=d・h
e*をスケーリング(尺度変更)する。クリップ309で
は、最大電力値より大きいシンボルの電力値を最大電力
値Pmaxに置換する。さらに、所与のビット数で表現でき
る最小値以下のシンボルの電力を0とする。すなわち、
NビットのうちN-Mに相当するビットが切り捨てられる。
1.8倍(β)が最大電力値(Pmax)であり、所与のビット数
が4ビット符号付であるとする。この場合、4ビットの
うち1ビットは符号を表すので、最大値Bmaxは7にな
る。したがって、スケール因子αは、α=Bmax/(Pav*β)
=7/(2.4*1.8)=1.62となる。このスケール因子を使用し
て復調シンボルxがスケーリングされ、最大値レベル7
を超えるものは7にクリッピングされる。さらに、例え
ば復調シンボルx=d・he*が6ビットで表現されていた場
合は、2ビット切り捨てられて、4ビットの復調シンボ
ルyが生成される。このことは、最小値レベル1を下回
るもの(すなわちスケール前の電力レベルが1/α(=1/1.
62=0.617)より小さいもの)の電力を0とすることに相
当する。
グおよびビット切捨が行われ、Nより少ないビット数Mで
表現された復調シンボルy=(yi, yq)がブランチ・メトリ
ック演算器311に入力される。yi, yqは、近似された
復調シンボルyの実数成分および虚数成分を表現する。
ブランチ・メトリック演算器311では、 BM=-Ci・yi-Cq・yq (24) に基づいてブランチ・メトリックBMが計算され、以後、
ACS計算が行われる。
準値を設定する際、所定数の復調シンボルに関する平均
電力値(Pav)を基準値とした。しかしながら、この基準値
は、必ずしも平均電力値である必要はない。例えば、そ
の区間内における中央値(median)を採用し、累積確率分
布関数F(P)が0.5となるような電力値を基準値とするこ
とも可能である。振幅の小さなS/N比の悪い信号であっ
てもスケーリングおよびクリッピングを適切に行う観点
からは、基準値として中央値を採用することが好まし
い。
08)を行った後でクリッピング(309)が行われて
いたが、必ずしもこの順序で処理をしなければならない
わけではない。スケーリングする前に、オーバーフロー
するようなシンボルの値を所定の最大値に置換すること
も可能である。
能劣化を抑制しつつ、軟判定ビタビ復号器への入力ビッ
ト数を削減することが可能になる。シュミレーションの
具体的なパラメータの値によっても異なるが、例えば0.
001である所与のビット・エラー・レート(BER)を得るため
のEb/Noの理想状態(6ビット演算または浮動小数点演
算をおこなった場合)からのずれ(性能劣化)を算出し
たところ、従来の4ビット復号器を使用した場合の性能
劣化は6dB以上になるのに対して、本実施例による4ビ
ット復号器を使用した場合は0.2dBに過ぎなかった。言い
換えれば、従来6ビット復号器で達成していた程度の性
能は、本実施例のような信号処理を行えば、4ビット復
号器で達成できる。したがって、例えば、拘束長(符号
化前のビット数)が9の256の状態が存在する先の例
の場合、復号器への入力ビット数を6ビットから4ビッ
トに削減できる。したがって、ステート・メトリック・
メモリおよびACS演算は、従来の2/3程度の回路規
模で行うことが可能になる。
示す。
200の概略ブロック図を示す。
の一部を示すブロック図を示す。
Claims (4)
- 【請求項1】 軟判定復号アルゴリズムにおいて使用さ
れるブランチ・メトリックを計算する方法であって、 アンテナから受信した受信シンボル(d)を復調してNビッ
トで表現される復調シンボル(x)を生成し、 複数の復調シンボル(x)に基づいて最大電力値(Pma
x)を定め、 最大電力値(Pmax)と、Nビットより少ないMビットで表
現することが可能な軟判定最大値(Bmax)との比に基づ
いてスケール因子(α)を求め、 復調シンボル(x)にスケール因子(α)を乗算し、軟
判定最大値(Bmax)を超える復調シンボルの値は軟判定
最大値とみなし、復調シンボル(x)のNビットのうちのN-
Mビットを切り捨てることによって、Mビットの出力シン
ボル(y)を求め、 出力シンボル(y)と予め定められているシンボル(C)
との間の距離に基づいてブランチ・メトリック(BM)を
計算することを特徴とする方法。 - 【請求項2】 前記最大電力値(Pmax)が、複数の復調
シンボルに関する電力の平均値(Pav)または中央値(P
m)に基づいて定められることを特徴とする請求項1記
載の方法。 - 【請求項3】 軟判定復号アルゴリズムにおいて使用さ
れるブランチ・メトリックを計算する方法であって、当
該方法は、 アンテナから受信した受信シンボル(d)を復調してNビッ
トで表現される復調シンボル(x)を求めるステップと、 復調シンボル(x)を、Nビットより少ないMビットの出
力シンボル(y)として表現する近似ステップと、 出力シンボル(y)と予め定められているシンボル(C)
との間の距離に基づいてブランチ・メトリック(BM)を
計算するステップより成り、前記近似ステップは、 複数の復調シンボルに関する電力平均値(Pav)を求め
るステップと、 電力平均値(Pav)に基づいて最大電力値(Pmax)を定
めるステップと、 最大電力値(Pmax)と、Mビットで表現することが可能
な軟判定最大値(Bmax)との比に基づいてスケール因子
(α)を求めるステップと、 シンボル・メモリ(306)に格納された復調シンボル(x)
にスケール因子(α)を乗算し、軟判定最大値(Bmax)
を超える復調シンボルの値は軟判定最大値とみなし、復
調シンボル(x)のNビットのうちのN-Mビットを切り捨て
ることによって、Mビットの出力シンボル(y)を求める
ステップより成ることを特徴とする方法。 - 【請求項4】 軟判定復号アルゴリズムにおいて使用さ
れるブランチ・メトリックを計算する装置であって、 アンテナ(301)から受信した受信シンボル(d)を復調
してNビットで表現される復調シンボル(x)を生成する
手段(303)と、 復調シンボル(x)を格納するシンボル・メモリ(306)
と、 複数の復調シンボル(x)に基づいて最大電力値(Pma
x)を定め、最大電力値(Pmax)と、Nビットより少ない
Mビットで表現することが可能な軟判定最大値(Bmax)
との比に基づいてスケール因子(α)を求めるスケール
因子演算器(305,307)と、 復調シンボル(x)にスケール因子(α)を乗算し、軟
判定最大値(Bmax)を超える復調シンボルの値は軟判定
最大値とみなし、復調シンボル(x)のNビットのうちのN-
Mビットを切り捨てることによって、Mビットの出力シン
ボル(y)を求めスケーラ(308,309,310)と、 出力シンボル(y)と予め定められているシンボル(C)
との間の距離に基づいてブランチ・メトリック(BM)を
計算するブランチ・メトリック演算器(311)を備えること
を特徴とする装置。
Priority Applications (1)
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JP2000394831A JP4629223B2 (ja) | 2000-12-26 | 2000-12-26 | 軟判定復号アルゴリズムにおいて使用されるブランチ・メトリックを計算する方法および装置 |
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