JP2002212616A - 溶銑脱リンの制御方法 - Google Patents

溶銑脱リンの制御方法

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JP2002212616A
JP2002212616A JP2001002765A JP2001002765A JP2002212616A JP 2002212616 A JP2002212616 A JP 2002212616A JP 2001002765 A JP2001002765 A JP 2001002765A JP 2001002765 A JP2001002765 A JP 2001002765A JP 2002212616 A JP2002212616 A JP 2002212616A
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Shinya Kitamura
信也 北村
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハロゲン化物を用いることなく処理後の溶銑
中リン濃度を適正濃度に安定して制御させることが可能
とする溶銑脱リン方法を提供する。 【解決手段】 上底吹き機能を有する精錬装置で、石灰
および酸化ガス、または、石灰、酸素ガスおよび酸化鉄
を用いることによる溶銑脱リン方法において、脱リン処
理後の目標溶銑中リン濃度(Pf;質量%)、脱リン処
理前溶銑ケイ素濃度(Si;質量%)、上吹き酸素ガス
原単位(G:m3(Normal)/t)、酸化鉄中酸
素原単位(S:m3(Normal)/t)および酸素
ガス有効利用率(η)により計算される補正酸素原単位
(O:m3(Normal)/t)で精錬用酸素原単位
を定めることを特徴とする溶銑脱リンの制御方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、事前に脱珪処理を
施していない溶銑の転炉型溶銑予備処理における脱リン
の制御方法に関し、特にハロゲン化物を用いることなく
処理後の溶銑中リン濃度を適正濃度に安定して制御する
ための溶銑脱リンの制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、溶銑を石灰と酸化剤を用いて脱リ
ンする方法は広く用いられている。特に上底吹き機能を
有した精錬炉による方法が特開昭58−16007号公
報に開示されており、それにおいて塩基度が2以上で酸
化鉄が15%という高融点スラグを生成するため、蛍石
を多量に使用して滓化を促進している。また、特開昭6
3−93813号公報に開示されている2基の転炉形式
の炉を用いた方法においても、「脱リン炉で使用される
精錬剤としては上記転炉滓と生石灰以外に酸化鉄及び蛍
石を基本の副成分として配合するのが良い」とされてお
り、実施例でも蛍石を使用している。これらの場合、蛍
石はハロゲンを含み、耐火物に多大な悪影響を与えると
いう問題がある。
【0003】従来から、蛍石のようなハロゲン化物を用
いずに溶銑脱リンの反応効率を向上させる試みがなされ
ている。
【0004】例えば、特開平2−11712号公報で
は、酸化鉄、CaO、SiO2を混合して溶融あるいは
焼結した脱リン剤が開示されている。特開昭56−93
806号公報では、塩基度が1.8〜2.3となるよう
にCaO/SiO2を混合し、2CaO・SiO2になる
粉末原料を焼結した脱リン剤が開示されている。これら
の場合、溶融または焼結に要する費用が高いため実用化
には至っていない。また、特開平7−70626号公報
には、スラグ塩基度を0.6〜2.5、トータルFe
(以降、T・Feとする)を10〜30重量%、温度を
1200〜1450℃にする方法が開示されており、実
施例において蛍石は使用されていない。さらに、特開平
8−157921号公報には、転炉滓と酸化鉄を主成分
とする転炉での溶銑脱リンにおいて、塩基度=1.2〜
2.0、Al23=2〜16%、スラグ中T・Fe=7
〜30%にする方法が開示されている。この場合、スラ
グ中フッ素含有量と耐火物溶損指数の関係は記載されて
いるが、Al23の影響についての記載はない。一般に
Al23を多量に添加する場合には、スラグのMgO溶
解度が増加し、蛍石を使った場合以上に耐火物溶損を引
き起こすという問題がある。
【0005】また一般的に、脱炭炉での脱炭スラグにも
脱リン能があることが知られている。そこで脱リン後の
溶銑中リン濃度(以降、[P]とする)は、脱炭炉での
脱リン率を考慮した上で脱炭後に必要とされる[P]よ
りも高い濃度で処理を終了させることがコスト的に有利
となる。つまり、ともに脱リン能を有する、脱リン炉お
よび脱炭炉の2つの容器(2炉)で脱リン負荷を適正に
分担させた場合に始めて、スラグ発生量も低下し、必要
な生石灰原単位も低下する。これに対して、脱リン炉を
持たずに脱炭炉のみで脱リンする場合(すなわち1
炉)、スラグ発生量が多く、生石灰原単位も多いという
問題があり、これが溶銑予備処理プロセスを工業化した
大きな理由である。一方、脱リン後の[P]を脱炭後の
[P]と同程度まで低下させることは、脱リン炉でのみ
脱リンを実施し、脱炭炉を脱リンには用いないことを意
味する。従って、脱リンという視点では1炉方式と同等
であり、スラグ発生量が多く、生石灰原単位も多いとい
う問題がある。本発明者の詳細な計算によれば、最適な
脱リン後の[P]は、脱炭炉での脱リン能を支配する吹
き止めの温度、炭素濃度によって、0.020%〜0.
040%と大きく変化するため、脱リン後の[P]を適
正に制御する技術が必要となる。
【0006】しかし、上記のような公知文献には、処理
前溶銑中ケイ素濃度(以降、[Si]とする)や目標と
する処理後[P]に応じて、酸素ガス、酸化鉄原単位を
制御するという技術思想は何ら開示されていない。例え
ば、特開平8−157921号公報の実施例に記載され
ている脱リン後[P]は0.010%と極めて低い。ま
た、特開平7−70626号公報の実施例では、脱リン
後[P]が脱炭後[P]と同等まで低下している。これ
らは脱リン炉での処理後[P]が適正に制御できていな
いことを示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特開昭58
−16007号公報や特開昭63−93813号公報の
蛍石使用による耐火物溶損という問題、特開平2−11
712号公報や特開昭56−93806号公報の溶融ま
たは焼結に要する費用が高いという問題、特開平7−7
0626号公報や特開平8−157921号公報の脱リ
ン炉での処理後[P]が適正に制御できないという問題
を解決するためになされたものであり、かつハロゲン化
物を用いることなく処理後[P]を適正に安定して制御
することのできる方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】従って、本発明の要旨
は、(1)上底吹き機能を有する精錬装置で、石灰およ
び酸化ガス、または、石灰、酸素ガスおよび酸化鉄を用
いることによる溶銑脱リン方法において、脱リン処理後
の目標溶銑中リン濃度(Pf;質量%)、脱リン処理前
溶銑ケイ素濃度(Si;質量%)、上吹き酸素ガス原単
位(G:Nm3/t)、酸化鉄中酸素原単位(S:Nm3
/t)および酸素ガス有効利用率(η)により計算され
る補正酸素原単位(O:Nm3/t)で精錬用酸素原単
位を定めることを特徴とする溶銑脱リンの制御方法、
(2)脱リン処理される溶鉄の前記Pfおよび前記Si
を基にして、前記Oの範囲を式1;
【0009】
【数3】
【0010】(式中、αは6.5〜9.0である)によ
って決定し、前記Oの範囲に式2;
【0011】
【数4】
【0012】(式中、ηは0.4〜0.6である)で表
されるOが適合するように前記Gおよび前記Sを決定す
る、請求項1に記載の制御方法、(3)石灰、酸化鉄も
しくは酸素ガスからなる脱リン剤、または、石灰、酸化
鉄もしくは酸素ガスとともにSiO2、Al23および
MgOからなる群より選択される1種または2種以上を
混合した脱リン剤を用い、ハロゲン化物を用いないこと
を特徴とする、(1)または(2)に記載の制御方法。
【0013】(4)溶銑脱リン処理後のスラグの塩基度
(質量%CaO/質量%SiO2)が1.2〜1.9で
あり、スラグ中トータルFeが5〜20質量%である、
(1)〜(3)のいずれか一項に記載の制御方法。であ
る。ここで、単位であるNm3とは、常温常圧での気体
の体積を示し、以下、同様に用いられる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳し
く説明する。
【0015】本発明は、上底吹き機能を有する精錬装置
を用いた、生石灰と酸素ガス、または、生石灰と酸素ガ
スと酸化鉄とによる溶銑脱リン方法であって、脱リン速
度が補正酸素供給速度に比例することに基づく。
【0016】一般に溶銑脱リン速度は式3で示される。
【0017】
【数5】
【0018】ここで、kP’は脱リン速度(質量%/m
in)、Aは反応界面積(m2)、kは総括物質移動定
数(m/min)、Vは溶銑体積(m3)、tは時間
(min)、および[P]eは平衡リン濃度(質量%)
である。
【0019】[P]eは処理中のリン濃度に比べて小さ
いとすると、脱リン速度(kP’)は式4で示される。
【0020】
【数6】
【0021】しかし本発明者らは、実際の脱リン速度
(kP’)は式5のように[P]の関数とはならないこ
とを見出した。
【0022】
【数7】
【0023】脱リン反応がスラグ中またはメタル中のリ
ンの物質移動律速であることは化学的に間違いがないの
で、素反応としては式3が成り立つ。しかし、上底吹き
機能を有する精錬装置を用いた、生石灰と酸素ガス、ま
たは、生石灰と酸素ガスと酸化鉄とによる溶銑脱リン方
法においては、(Ak/V)の項が[P]に反比例する
ため、結果として見掛け上式5が成立する。
【0024】以下にその理由を示す。
【0025】1)本発明の溶銑脱リン方法の場合、(A
k/V)は脱リンと同時に起こる脱炭反応により生成す
るCOガスによって、スラグの攪拌の影響を受ける。
【0026】2)スラグを有効に攪拌できるCOガス
は、スラグ中酸化鉄(以降、(FeO)とする)と溶銑
中炭素(以降、[C]とする)との反応により発生した
COガスであり、上吹き酸素との反応により直接発生し
たCOガスは寄与しない。従って、酸化鉄の形態で供給
された酸素に比べて、酸素ガスの形態で供給された酸素
は、スラグ攪拌に対する有効寄与率が低い。
【0027】3)供給された酸素により生成される(F
eO)はCOガスの発生と脱リン反応に消費されるが、
脱リンの進行に伴い式3の原理により脱リン速度が低下
するため、逆にCOガスの発生速度は増加し、スラグの
攪拌率が大きくなる。
【0028】4)実験的に整理した結果、(Ak/V)
と(FeO)と[C]との反応により発生したCOガス
の発生速度(Q;m3(Normal)/min/t)
との関係は比例関係で示され、Qは[P]に反比例する
ことが見出された。従って、(Ak/V)は[P]に反
比例することになり、その結果、式5が成立する。
【0029】この結果、式5は式6のように示され、処
理後のリン濃度(P)は、処理前のリン濃度をP0、処
理時間をtt(min)とすると式7のように示され
る。
【0030】
【数8】
【0031】(ここで、b’は定数である。) 次に、(FeO)と[C]との反応により発生したCO
ガスの発生速度(Q;Nm3/min/t)について詳
細に述べる。
【0032】I)処理前溶銑に含まれる[Si]の酸化
に消費された酸素はCOガスの発生には寄与しないた
め、[Si]+O2=スラグ中SiO2の反応に従い化学
量論的に計算される量の酸素分を差し引く。
【0033】II)前述のように、上吹き酸素との反応に
より直接発生したCOガスはスラグ攪拌に寄与しないた
め、酸素ガスの形態で供給された酸素はスラグ攪拌に対
する有効寄与率は、酸化鉄の形態で供給された酸素に比
べて低い。この酸素ガスの有効寄与率を酸素ガス有効利
用率(η)とする。
【0034】ここで、Qは酸素ガスの有効寄与率を考慮
した酸素供給速度(F;Nm3/min/t)に比例す
るため、式7は式8のように示される。
【0035】
【数9】
【0036】(ここで、a、bは定数である。) 従って、前記(1)に記載の発明は、上記の知見に基づ
いたものであり、上底吹き機能を有する精錬装置を用い
た、生石灰と酸素ガス、または、生石灰と酸素ガスと酸
化鉄とによる溶銑脱リン方法において、脱リン処理後の
目標溶銑中リン濃度(Pf;質量%)と、脱リン処理前
溶銑ケイ素濃度(Si;質量%)、上吹き酸素ガス原単
位(G:Nm3/t)、酸化鉄中酸素原単位(S:Nm3
/t)と酸素ガス有効利用率(η)により計算される補
正酸素原単位(O:Nm3/t)とにより、精錬用酸素
原単位を定めることを特徴とする溶銑脱リンの制御方法
である。ここで、精錬用酸素とは、酸素ガス、および/
または、酸化鉄中の酸素を示しており、さらに脱炭滓、
脱リン滓、脱珪滓、ダスト、ミルスケール等に含まれる
酸化鉄中の酸素をも包含している。すなわち、前記精錬
用酸素原単位とは、上記の精錬用酸素の合計量の溶銑1
トンに対する供給量であり、酸素ガスについては、酸素
ガスの分子量から質量換算した値を用いる。このような
精錬用酸素の供給方法としては、インジェクション、上
吹き、上添加のいずれでも良い。
【0037】本発明において上底吹き機能を有する精錬
装置を用いた理由は、底吹き攪拌によりメタル側が十分
に攪拌されている場合にのみ、(Ak/V)が、脱リン
と同時に起こる脱炭反応により生成するCOガスによる
スラグ攪拌の影響を受ける条件が成立するためである。
また、底吹きによる酸素ガスは(FeO)の生成に全く
寄与しないため、上吹きによる酸素供給が必要である。
尚、上吹きを用いないで酸化鉄のみを用いても原理的に
は実施できるが、温度低下が大きいため現実的には操業
できない。
【0038】精錬装置炉としては上底吹き転炉が望まし
いが、スラグが溢れない程度の内容積があれば取鍋形状
でもよい。また上吹きガスは純酸素が望ましく、底吹き
ガスは、酸素、不活性ガスまたは炭化水素ガスが望まし
い。
【0039】本発明の溶銑脱リン方法において、石灰と
酸素ガス、または、石灰と酸素ガスと酸化鉄を用いた理
由は以下の通りである。脱リン反応は酸化反応であるた
め、酸化剤として酸素、酸化鉄の両方、または、いずれ
か一方が必要である。さらに、生成したリン酸の活量を
低下させるため塩基性酸化物が必要であり、そこで最も
安価な石灰が有利である。石灰としては、生石灰、石灰
石があげられるが、それ以外にも、脱炭滓や脱リン滓に
含まれるCaOを再利用する場合も包含する。
【0040】本発明において、精錬用酸素原単位を、脱
リン処理後の目標溶銑中リン濃度(Pf;質量%)と、
脱リン処理前溶銑ケイ素濃度(Si;質量%)、上吹き
酸素ガス原単位(G:Nm3/t)、酸化鉄中酸素原単
位(S:Nm3/t)と酸素ガス有効利用率(η)によ
り計算される補正酸素原単位(O:Nm3/t)とによ
り定めることにより、精度良く適正な値にPを制御する
ことが可能である。
【0041】次に、前記(2)に記載の発明は、具体的
な制御指標を規定したものであり、式1より求められる
補正酸素原単位Oの範囲に式2より求められる補正酸素
原単位Oが収まるようにGとSを定めることを特徴とす
る溶銑脱リンの制御方法である。
【0042】
【数10】
【0043】(ここで、αは6.5〜9.0である。)
【0044】
【数11】
【0045】(ここで、ηは0.4〜0.6である。) 前述のように、PはOにより式8のように示されるが、
工業上は式1のように示す方が有意義である。つまり、
まず、この処理をする対称鋼種から決定される最適脱リ
ン後リン濃度をPfとし、そのPfを得るためのOを計
算する。次に、Oは、処理前の溶銑組成として知ること
が出来る脱リン処理前溶銑ケイ素濃度(Si;質量%)
と、上吹き酸素ガス原単位(G:Nm3/t)と、酸化
鉄中酸素原単位(S:Nm3/t)と、酸素ガス有効利
用率(η)とから計算できるため、これらから上吹き酸
素ガス原単位(G:Nm3/t)および酸化鉄中酸素原
単位(S:Nm3/t)を計算し、吹錬条件を決定する
ことができる。ここで、GとSは独立変数ではなく、処
理後の温度が適正になるように、当該処理でのスクラッ
プ使用量、処理前溶銑温度等に基づき、上吹き酸素によ
る脱炭、脱珪および脱リンの各反応に伴う発熱量と、酸
化鉄による脱炭、脱珪および脱リンの各反応に伴う発熱
量または吸熱量、生石灰や酸化鉄等の脱リン剤の顕熱等
を考慮して熱バランスを計算し、処理後溶銑温度が目標
値になるようにその比率を決定することが好ましい。
【0046】図1はPとOの関係を示したものである
が、式1の範囲内で良く整理できることがわかる。式1
のαが9.0よりも大きい場合には、過剰に酸素を供給
するためPが最適値(Pf)よりも過剰に低下し、一方
で、αが6.5よりも小さい場合には、酸素供給が不足
するためPが最適値まで低下しないうちに吹錬を終了し
てしまうので好ましくない。
【0047】一方、G/(S+G)を気酸比とした場
合、気酸比が90%を越えた場合および気酸比が10%
未満の場合の脱リン処理において、酸素原単位および処
理後リン濃度の関係より酸素ガス有効利用効率が見積も
られるが、図2の試験結果(Siは一定条件)より、同
一の処理後リン濃度の場合、気酸比が大きい方が、より
多くの酸素原単位が必要となっており、酸素ガスの方が
脱リン反応に対する有効寄与率が低いことがわかる。こ
の結果に基づき、例えば、処理後リン濃度を0.03%
とするために、気酸比が90%を越える場合は、気酸比
が10%未満の場合の約2倍の酸素原単位であり、酸素
ガスの有効寄与率は約0.5と見積もられる。このよう
な方法で計算した結果、ηは0.4〜0.6と決定さ
れ、ここでηが0.4よりも小さい場合には、酸素ガス
の寄与率を小さく見積もり過ぎていることになり、過剰
な脱リンを引き起こしてしまう。一方でηが0.6より
も大きい場合には酸素ガスの寄与率を大きく見積もり過
ぎるためPfが最適値まで低下しないうちに吹錬を終了
してしまい、いずれも好ましくない。
【0048】表1に本発明によりαとηを適正にした場
合の実験結果を示す。
【0049】
【表1】
【0050】前記(3)に記載の発明は、適正な脱リン
剤組成を規定したものである。本発明によれば、過剰に
低いリン濃度まで脱リンさせる必要がないことからハロ
ゲン化物を使用する必要がないため、石灰、酸化鉄もし
くは酸素ガスからなる脱リン剤、または、石灰、酸化鉄
もしくは酸素ガスとともにSiO2、Al23およびM
gOからなる群より選択される1種または2種以上を混
合した脱リン剤を用いることが好ましい。SiO2、A
23およびMgOからなる群より選択される1種また
は2種以上を混合したものの例としては、リサイクル脱
炭滓がある。ここで、SiO2、Al23およびMgO
の混合比は、脱リンスラグの脱リン能を低下させないた
めに、全脱リン剤の15%を越えないことが好ましい。
また、ハロゲン化物を使用するとスラグの融点が必要以
上に低下する上にスラグ中のMgO溶解度が増すため耐
火物溶損が大きくなり好ましくない。
【0051】前記(4)に記載の発明は、適正な脱リン
スラグ組成を規定したものである。式3を式4のように
変換するためには、[P]eを非常に小さくすることの
できるスラグ組成を用いる必要がある。また式6を成立
させるには、脱リンスラグが十分な流動性を有する必要
がある。この両者を満足させる組成として、溶銑脱リン
処理後のスラグの塩基度が1.2〜1.9であり、トー
タルFe(以下、T・Feとする)が5〜20質量%で
あることが必要である。スラグの塩基度はスラグ中のC
aOおよびSiO2の質量比(質量%CaO/質量%S
iO2)で規定される。この値が1.2よりも低い場合
にはスラグの脱リン能が低下し、1.9よりも高い場合
にはスラグの流動性が損なわれ好ましくない。また、T
・Feが5%よりも低いとスラグの脱リン能が低下し、
20質量%よりも大きい場合にはスロッピングが発生し
操業が困難となり好ましくない。尚、スラグの塩基度
は、処理前溶銑中ケイ素濃度、脱リン剤の組成および量
により制御され、T・Feは、酸素供給速度、酸素原単
位、攪拌力および気酸比により制御される。
【0052】
【実施例】本実施例は、300トン規模の上底吹き転炉
を用いて実施された。組成がC:4.1〜4.5%、S
i:0.25〜0.85%、P:0.098〜0.10
5%、S:0.025〜0.032%であり、温度が1
340〜1380℃である溶銑とスクラップとを装入し
て脱リン精錬を実施した。脱リン処理中には上吹きラン
スより酸素を0.8〜2.5m3(Normal)/m
in/tの速度で約5〜10分間吹き付けると共に、生
石灰を約10〜15kg/t、鉄鉱石を約10〜15k
g/t添加した。ここで、蛍石等のハロゲン化物は添加
されなかった。処理後成分はC:3.8〜4.0%、S
i:0.01%以下、P:0.016〜0.038%で
あり、温度は1340〜1370℃であり、スラグ塩基
度は1.3〜1.6、T・Feは11〜18%であっ
た。
【0053】目標とする処理後溶銑中リン濃度(Pf)
に従い、処理前の溶銑中ケイ素濃度(Si)を考慮した
上で酸素ガス原単位(G)と酸化鉄中原単位(S)を制
御した結果、実績の処理後溶銑中リン濃度のPfに対す
るバラツキは±0.007%であった。さらに、表1に
示すようにαとηを適正にすることで、±0.003%
となった。
【0054】<比較例>実施例に対して、目標の処理後
溶銑中リン濃度(Pf)、処理前の溶銑中ケイ素濃度
(Si)を考慮せずに、酸素ガス原単位(G)と酸化鉄
中原単位(S)を一定で吹錬した結果、バラツキは±
0.015%と極めて大きかった。
【0055】
【発明の効果】本発明によりハロゲン化物を用いること
なく処理後のリン濃度を適正濃度に安定して制御させる
ことが可能となり、石灰原単位、スラグ発生量を低下さ
せることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】処理後溶銑中リン濃度と補正酸素原単位との関
係を示したグラフである。
【図2】酸素原単位と処理後溶銑中リン濃度との関係を
示すグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上底吹き機能を有する精錬装置で、石灰
    および酸化ガス、または、石灰、酸素ガスおよび酸化鉄
    を用いることによる溶銑脱リン方法において、脱リン処
    理後の目標溶銑中リン濃度(Pf;質量%)、脱リン処
    理前溶銑ケイ素濃度(Si;質量%)、上吹き酸素ガス
    原単位(G:Nm3/t)、酸化鉄中酸素原単位(S:
    Nm3/t)および酸素ガス有効利用率(η)により計
    算される補正酸素原単位(O:Nm3/t)で精錬用酸
    素原単位を定めることを特徴とする溶銑脱リンの制御方
    法。
  2. 【請求項2】 脱リン処理される溶鉄の前記Pfおよび
    前記Siを基にして、前記Oの範囲を式1; 【数1】 (式中、αは6.5〜9.0である)によって決定し、
    前記Oの範囲に式2; 【数2】 (式中、ηは0.4〜0.6である)で表されるOが適
    合するように前記Gおよび前記Sを決定する、請求項1
    に記載の制御方法。
  3. 【請求項3】 石灰、酸化鉄もしくは酸素ガスからなる
    脱リン剤、または、石灰、酸化鉄もしくは酸素ガスとと
    もにSiO2、Al23およびMgOからなる群より選
    択される1種または2種以上を混合した脱リン剤を用
    い、ハロゲン化物を用いないことを特徴とする、請求項
    1または2に記載の制御方法。
  4. 【請求項4】 溶銑脱リン処理後のスラグの塩基度(質
    量%CaO/質量%SiO2)が1.2〜1.9であ
    り、スラグ中トータルFeが5〜20質量%である、請
    求項1〜3のいずれか一項に記載の制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101675261B1 (ko) * 2015-08-21 2016-11-11 주식회사 포스코 탈인 정련 방법

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