JP2002209954A - 片麻痺者用車椅子の走行補助制御方法と片麻痺者用車椅子の走行補助装置ならびに片麻痺者用車椅子 - Google Patents

片麻痺者用車椅子の走行補助制御方法と片麻痺者用車椅子の走行補助装置ならびに片麻痺者用車椅子

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JP2002209954A JP2001010725A JP2001010725A JP2002209954A JP 2002209954 A JP2002209954 A JP 2002209954A JP 2001010725 A JP2001010725 A JP 2001010725A JP 2001010725 A JP2001010725 A JP 2001010725A JP 2002209954 A JP2002209954 A JP 2002209954A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 片麻痺患者の身体の左右いずれか片側の手足
に残存する運動能力によって自分が乗った車椅子を楽に
駆動・操舵することができ、狭い床面においても進行方
向の転換ができるように車椅子のピボットターンを可能
とし、既存の標準型車椅子にも容易にそれらの車椅子走
行補助機能を付加できるようにする。 【解決手段】 車椅子の健体側車輪の回転角を目標値と
して、車椅子の患体側車輪の回転を健体側車輪の回転に
追従させるように制御し、健体側車輪と患体側車輪を同
方向に同回転数で回転させることにより車椅子を前後に
直進させ、両車輪を逆方向に同回転数で回転させること
により車椅子をピボットターンさせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、片麻痺者の方々
(脳出血、脳梗塞などの脳血管障害や、脳外傷、脳腫瘍
などの傷病によって身体の左右いずれか片側が麻痺状態
になった方々)が、自力で動かせる片手で走行操作しな
がら使用する標準型(汎用型)の車椅子の走行を助ける
ための走行補助制御方法と、その制御方法によって作動
する走行補助装置、ならびにその走行補助装置を装備し
た片麻痺者用車椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、片麻痺者を対象にした片手駆動車
椅子として、ダブルハンドリム方式やレバー方式の車椅
子が周知である。例えば現状で多くの片麻痺者は、標準
型(日本工業規格:JIS T9201-1998で規格されている手
動車椅子・自走用標準型)の車椅子を使用し、健体側の
手でハンドリムを回して駆動し健体側の足で操舵(車の
方向付け)を行っている。しかしこのような従来の標準
型車椅子では、旋回する場合、ピボットターン(旋回し
たい地点での点旋回動作)が不可能で旋回半径が大き
く、また総じて過大な操作力を要して片麻痺者の操作負
担が大きいという難点がある。また駆動・操舵力の大部
分を電動に頼る電動式車椅子も周知であるが、片麻痺者
介護の基本の一つとして、片麻痺者の身体の残存能力を
活かし身体の機能回復を図る自立支援が重要であること
から、安易に電動式車椅子に全てを頼ることが好ましく
ない場合も多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、片麻痺者
(片麻痺患者)の身体の左右いずれか片側の手足に残存
する運動能力によって、片麻痺者自身で自分が乗った車
椅子を駆動・操舵することを基本にし置きながら、片麻
痺者に対し走行操作上の過大な労力負担が掛からないよ
うすると共に、楽な操作で車椅子のピボットターンを可
能にして狭い床面においても車椅子の方向転換ができる
ようにしようとするものである。またそのために、既存
の標準型車椅子に着脱自在に容易に付加できる走行補助
制御手段を具現化しようとするものである。
【0004】そしてこの発明の車椅子走行補助制御手段
は言うまでもなく駆動補助機能(パワーアシスト)と操
舵補助機能(操舵アシスト)を備えるが、特に操舵補助
機能(操舵アシスト)に重点を置くものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題・目的を達す
るために、この発明は、車椅子の健体側車輪(片麻痺者
が運動能力の残存する方の手で回転駆動できる片側の車
輪)の回転角を目標値として、車椅子の患体側車輪(片
麻痺者の麻痺した半身の側の車輪で片麻痺者が自力で回
転駆動できない他方の片側の車輪)の回転を健体側車輪
の回転に追従させるように制御し、健体側車輪と患体側
車輪を同方向に同回転数で回転させることにより車椅子
を前後に直進させ、両車輪を逆方向に同回転数で回転さ
せることにより車椅子をピボットターンさせる。
【0006】またこの発明は、内部モデル制御(IMC
=Internal Model Control )と最適レギュレータ(L
Q=Linear Quadratic )の極限的性質を併用した制御
方式を車椅子の駆動・操舵制御に応用することにより、
患体側車輪の目標追従と外乱(外力)推定が同時に精度
良く行えるよう制御する。すなわち、2次形式評価関数
を最小とする最適レギュレータの極限性質と内部モデル
制御を組み合わせることにより、また状態フィードバッ
クによる制御の外乱分離特性を、逆システムをコントロ
ーラとした内部モデル制御と併用することにより、外乱
推定特性や目標値追従特性を相乗効果で向上させ、精度
の高い目標値追従制御と外乱推定機能を備えた制御系を
得る。
【0007】またこの発明は、健体側車輪の回転角度変
位を計測する健体側エンコーダと、患体側車輪の回転角
度変位を計測する患体側エンコーダと、健体側エンコー
ダの読み取り回転方向を正逆に切り換える切換スイッチ
と、この切換スイッチを介して出力される健体側エンコ
ーダの出力信号と患体側エンコーダの出力信号を比較演
算して制御信号を生成するマイクロコンピュータと、そ
の制御信号によって回転制御され患体側車輪を駆動する
サーボモータと、そのサーボモータの回転を患体側車輪
に伝達する減速ギア群を主要部として構成した走行補助
装置を、標準型車椅子に着脱自在に付加する。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明の基本的な実施形態の一
つは、健体側車輪の回転角を検知し、その健体側車輪の
回転角を目標値として患体側車輪を駆動するサーボモー
タの回転を制御することにより、患体側車輪の回転を健
体側車輪の回転に追随させ、健体側車輪と患体側車輪を
同方向に同回転数で回転させることにより車椅子を前後
に直進させ、健体側車輪と患体側車輪を逆方向に同回転
数で回転させることにより車椅子をピボットターンさせ
る片麻痺者用車椅子の走行補助制御方法である。
【0009】この発明の他の基本的な実施形態は、健体
側車輪の回転角を検知し、内部モデル制御と最適レギュ
レータの極限的性質を併用して、健体側車輪の回転角を
目標値として患体側車輪を駆動するサーボモータの回転
を制御することにより、患体側車輪の回転を健体側の回
転に追随させ、健体側車輪と患体側車輪を同方向に同回
転数で回転させることにより車椅子を前後に直進させ、
健体側車輪と患体側車輪を逆方向に同回転数で回転させ
ることにより車椅子をピボットターンさせる片麻痺者用
車椅子の走行補助制御方法である。
【0010】この発明の他の基本的な実施形態は、健体
側車輪の回転角度変位を計測する健体側エンコーダと、
患体側車輪の回転角度変位を計測する患体側エンコーダ
と、健体側エンコーダの読み取り回転方向を正逆に切り
換える切換スイッチと、この切換スイッチを介して出力
される前記健体側エンコーダの出力信号と前記患体側エ
ンコーダの出力信号を比較演算して制御信号を生成する
マイクロコンピュータと、その制御信号によって回転制
御され患体側車輪を駆動するサーボモータと、そのサー
ボモータの回転を患体側車輪に伝達する減速ギア群を主
要部とする片麻痺者用車椅子の走行補助装置である。
【0011】この発明の他の基本的な実施形態は、健体
側車輪の回転角度変位を計測する健体側エンコーダと、
患体側車輪の回転角度変位を計測する患体側エンコーダ
と、健体側エンコーダの読み取り回転方向を正逆に切り
換える切換スイッチと、この切換スイッチを介して出力
される前記健体側エンコーダの出力信号と前記患体側エ
ンコーダの出力信号を比較演算して制御信号を生成する
マイクロコンピュータと、その制御信号によって回転制
御され患体側車輪を駆動するサーボモータと、そのサー
ボモータの回転を患体側車輪に伝達する減速ギア群を含
む走行補助装置を着脱自在に装着し、その減速ギア群を
介して患体側車輪の軸とサーボモータを連結し、健体側
エンコーダならびに患体側エンコーダをそれぞれ健体側
車輪ならびに患体側車輪に対応させて配し、且つ前記サ
ーボモータ、マイクロコンピュータの電源装置を搭載し
た片麻痺者用車椅子である。
【0012】
【実施例】以下この発明の一実施例を図面を参考に説明
する。図1は、この発明の実施例の片麻痺者用車椅子の
基本構成とその走行補助制御方法を示すブロック図であ
る。図1において、1aは片麻痺者が車椅子に乗車した状
態における車椅子の健体側車輪、1bは同車椅子の患体側
車輪で、片麻痺者は自力運動機能が残っている健体側の
手で健体側車輪1aを回転させ車椅子を前後に走行させ
る。なお、車椅子は通常多用されている標準型の車椅子
(日本工業規格:JIS T9201-1998で規定されている標準
型車椅子)である。2aは健体側車輪1aの回転角度変位を
計測する健体側エンコーダ(この実施例では光学式ロー
タリーエンコーダ)、2bは患体側車輪1bの回転角度変位
を計測する患体側エンコーダ(この実施例では光学式ロ
ータリーエンコーダ)である。3は片麻痺者がその健体
側の足で切り換え操作する切換スイッチ(フット切換ス
イッチ)で、車椅子を前後に走行させる直進制御状態に
置くか、車椅子をその場で旋回させるピボットターン制
御状態に置くか、の制御選択をするための切換スイッチ
である。4はカウンターボード、5はマイクロコンピュ
ータ、6はD/Aコンバータ、7は増幅器である。8
は、患体側車輪1bを健体側1aの回転に追従させて回転駆
動するサーボモータ(患体側車輪駆動用サーボモータ)
である。9は、サーボモータ8の回転を減速して患体側
車輪に伝える減速ギア群(ギアボックス)である。10
は電源(バッテリー電源)で、サーボモータ8、増幅器
7、D/Aコンバータ6、マイクロコンピュータ5、カ
ウンターボード4、健体側エンコーダ1a 、患体側エン
コーダ1bなどの電源として車椅子に搭載される。そし
て、健体側エンコーダ2a 、患体側エンコーダ2b 、切換
スイッチ3、カウンターボード4、マイクロコンピュー
タ5、D/Aコンバータ6、増幅器7、サーボモータ
8、減速ギア群9などで片麻痺者用車椅子の走行補助装
置Wが構成され、走行補助装置Wが標準型の車椅子に着
脱自在に取り付けられる。
【0013】次にこの片麻痺者用椅子の走行補助制御方
法について説明する。片麻痺者が健体側車輪1aを前転
(前進方向の回転)あるいは後転(後進方向の回転)さ
せると、その健体側車輪1aの回転角を健体側エンコーダ
2aが検知して読み取り、その健体側車輪1aの回転角検知
信号が切換スイッチ3とカウンターボード4を介してマ
イクロコンピュータ5に入力される。一方、車椅子の患
体側車輪1bの回転角は患体側エンコーダ2bで検出され読
み取られて、その患体側車輪1bの回転角検知信号がマイ
クロコンピュータ5に入力される。マイクロコンピュー
タ5は、前記健体側車輪1aの回転角検知信号と患体側車
輪1bの回転角検知信号をもとに演算して、健体側車輪1a
の回転角を目標値として患体側車輪1bの回転を健体側車
輪1aの回転に追従させるためのサーボモータ制御信号を
出力する。このサーボモータ制御信号は、D/Aコンバ
ータ6および増幅器7を介してサーボモータ8に伝達さ
れ、そのサーボモータ制御信号によって、患体側車輪1b
が健体側車輪1aの回転に追従して回転するようサーボモ
ータ8の回転が制御される。そして、患体側車輪1bの回
転変位は患体側エンコーダ2bで検出されマイクロコンピ
ュータ5にフィードバックされ患体側車輪1bの追従回転
制御演算が継続する。
【0014】そして切換スイッチ3を直進制御状態に入
れると、患体側車輪1bは健体側車輪1aの回転に追従して
同方向に同回転数で回転し車椅子は前方あるいは後方に
直進する。また切換スイッチ3をピボットターン制御状
態に選択すると、健体側エンコーダ2aによる健体側車輪
1aの回転方向の読み取りが逆方向に転換され、患体側車
輪1bは健体側車輪1aの回転に逆方向に追従して逆方向に
同回転数で回転する。その結果、車椅子をその場でピボ
ット旋回させることができる。
【0015】図2ないし図5は車椅子への走行補助装置
Wの取り付け状態を示すものである。すなわち、標準型
の車椅子Mの座席Sの下方空間に、健体側エンコーダ2a
、患体側エンコーダ2b 、サーボモータ8、減速ギア群
9などからなる走行補助制御装置Wを電源(図示省略)
と共に着脱自在に装着している。減速ギア群9は、サー
ボモータ8の回転軸に取り付けた平歯車91、平歯車9
1と噛み合った平歯車92、平歯車92と同軸上にある
ウォーム93、ウォーム93と噛み合ったウォームホイ
ール94、ウォームホイール94と同軸上にある螺子歯
車95、螺子歯車95と噛み合った螺子歯車96などか
らなり、最終段の螺子歯車96から減速ギア群9の出力
9aが突出している。そして別途着脱自在のカップリング
11によって、減速ギア群9の出力軸9aと患体側車輪1b
の回転軸1cを連結している。したがってカップリング1
1を取り外せば、走行補助装置Wが患体側車輪1bから切
り離されて通常の標準型車椅子の機能となり、介護者が
その車椅子Mを押したり操作する場合に、患体側車輪1b
に走行補助装置Wの負荷が掛からないことから、車椅子
Mを軽く動かすことができる。
【0016】また切換スイッチ3は、車椅子Mの前部に
あるフットレストMaの上に、支軸12で矢印P方向P
に回動自在に取り付けられている。そして片麻痺者が健
体側の足で切換スイッチ3を踏み込みその状態で矢印P
方向に回動させることにより切換スイッチ3を切換操作
し、車椅子Mの直進と旋回を切り換える。このように切
換スイッチ3が踏み込まれている状態でのみ矢印P方向
の回動を可能にしたのは、片麻痺者が車椅子の直進と旋
回の切り換えを間違えないように配慮したためである。
なお、切換スイッチ3は健体側の手で切換操作するスイ
ッチであっても勿論良いが、フット切換スイッチであれ
ば健体側の手と足で車椅子をより機敏に走行操作するこ
とができる。
【0017】この発明に係る片麻痺者用車椅子の走行補
助制御方法と補助制御装置における基本的特徴は、車椅
子Mの直進、ピボットターン、方向変換の制御方式とし
て、健体側車輪の回転角を目標値とする目標値追従方式
を採用し、その目標値追従方式に内部モデル制御と2次
形式評価関数を最小とする最適制御の極限的性質を併用
したことである。そして健体側車輪の回転角を目標値と
する目標値追従方式は、内部モデル制御と状態フィード
バックによる制御の性質を併用したものである。一般に
内部モデル制御(IMC=Internal Model Control )
に最適レギュレータ(LQ=Linear Quadratic)を併用
する制御方式によって良好な目標追従系が得られること
は既に知られており、実際のメカニカルシステムの制御
においてもその有効性が確認されているが、この発明は
その制御方式を片麻痺者用車椅子の制御に用いて優れた
効果を得るものである。
【0018】次に内部モデル制御(IMC)に最適レギ
ュレータ(LQ)の極限的性質を併用した制御方式を片
麻痺者車椅子の制御に応用する有効性について検証す
る。そこで次式の線形システムを考える。
【0019】
【数1】
【0020】このシステムに対して次式の2次形式評価
関数Jを考える。
【0021】
【数2】 ここでQ , Rは重み行列で、Rは正定な対称行列、Qは非
負定な対称行列とする。
【0022】この評価関数Jを最小にする制御入力uは、
式(1),(2)の線形システム(A, B , C)が可安
定、可検出であるとき、次式に示されるフィードバック
解で与えられることは良く知られている。
【0023】
【数3】
【0024】特に、
【数4】 としたときに得られる極限フィードバックゲインF
性質として、次式の外乱除去特性が知られている。
【0025】
【数5】 式(7), (8)の外乱印加系に式(4),(5)の極
限フィードバックゲインを施した閉ループ系の外乱ξか
ら出力yまでの伝達関数は次式となり、その極限におい
て外乱が除去される。
【0026】
【数6】
【0027】また、外乱の影響を除去する手法に外乱分
離制御がある。これは式(1),(2)のシステムが、
次式の条件のもとでの制御である。
【0028】
【数7】 とする制御である。しかし一般に外乱の情報を入手する
のは困難であることから、式(11)のフィードバック
ゲインFを最適レギュレータによって求め、外乱ξを内
部モデル制御(IMC)で推定し外乱を除去する。
【0029】一般的に、メカニカルシステムは入力端か
ら外乱が印加されることが多いため、式(7),(8)
の外乱印加系を次式のように表す。
【0030】
【数8】
【数9】
【0031】この式(13),(14)のシステムに対
して、図6のような構成を考える。このとき、外乱から
出力までの伝達関数は、次式のようになる。
【0032】
【数10】
【0033】次に車椅子の片側の車輪の簡易モデルを図
7に示す。同図において、各パラメータは次の通りであ
る。 m[kg] : 車輪の質量 Mξ[kg] : 質量誤差 r[m] : 車輪の半径 τ[Nm] : 車輪に加わるトルク φ[rad] : 車輪の角度変位 c[Ns/m]: 車輪に加わる粘性抵抗 μ : 車輪と地面間の摩擦係数 g[m/s2] : 重力加速度
【0034】ここで上記粘性係数cは、車椅子に基準体
重(この例では50kgとする)の人が乗車していると仮
定した場合の片側の車輪に加わる等価粘性抵抗である。
また、車輪の各パラメータを計測した結果は次の通りで
ある。 m[kg] : 2.30 r[m] : 0.285 c[Ns/m]: 59.41
【0035】前記図6に示した制御方式において、入力
φin に目標値としての健体側車輪の回転角を与え、出
力φoutとして患体側車輪の回転角を出力することによ
って、車椅子の直進が可能となり、入力φinの正・負の
符号を反転させることによって、車椅子のピボットター
ンが可能になる。
【0036】ここで図7の点Oの周り(車輪軸周り)の
釣り合いを考えて運動方程式を求めると次式のようにな
る。
【0037】
【数11】 ここで質量誤差Mξは基準体重からのずれを表し、基準
体重と異なる人が乗車した場合を考慮している。
【0038】また制御対象の数式モデルは次式のように
なる。
【0039】
【数12】
【0040】次に最適レギュレータを利用して、システ
ムにu=Fx+vとする状態フィードバック則 F=
[f1112]を施すと、システムは次の式(20)
(21)となり、伝達関数は次の式(22)となり逆シ
ステムの伝達関数は次の式(23)のようになる。
【0041】
【数13】
【0042】
【数14】
【0043】そしてこのシステムの最小実現を求めるこ
とで、近似逆システムは次式(25)(26)(27)
(28)(29)(30)のように構成でき、図6に示
した制御系の構成が可能になる。
【0044】
【数15】
【0045】なお上記の簡易モデルでは、R=I ,Q=700I
とした極限フィードバックゲインFを用いてフィード
バックFを設計し、式(27)(28)(29)(3
0)の近似逆システムのパラメータはε=0.08とした。
【0046】図8および図9は基準体重50kgの人が片
麻痺者用車椅子Mに乗車して健体側車輪1aを操作した実
験結果を示し、図10は体重65kgの人が操作した実験
結果を示している。図8,9,10には、制御時間(操
作時間)10秒間における、健体側車輪1aと患体側車輪
1bの水平変位[単位m]と、健体側車輪1aに対する患体
側車輪1bの追従誤差[単位m]を、サンプリングタイム
0.01秒間隔で測定した結果を示している。
【0047】図8は車椅子Mが前進して約5.0秒後に後
退した結果を示し、図9は車椅子Mが前進後180°右旋
回して約6.3秒後に停止した結果を示している。また図
10は車椅子Mが前進して約4.5秒後にある段差を乗り
越えて約6.9秒後に停止した結果を示している。そして
車椅子Mの直進動作時において、健体側車輪1aの回転
(目標値)に対し患体側車輪1bの回転が良好に追従して
いることが、図8から確認できる。また図9からも、健
体側車輪1aの回転に対し患体側車輪1bが良好に追従して
いることが分かる。すなわち旋回時では、健体側1aの回
転変位を健体側2aで逆方向に読み取っているので、患体
側車輪1bの回転が健体側車輪1aの回転に対して逆方向で
同期しており、ピボットターンが実現されていることが
分かる。さらにまた図10により、基準体重以外の人が
乗車しても、段差の乗り越えがあっても、患体側車輪1b
は健体側車輪1aの動きに良好に追従しており、この程度
の外乱やパラメータの変動に対しも良好な目標追従制御
が実現されていることが確認できる。
【0048】
【発明の効果】上記の実施例からも明らかなように、こ
の発明によれば、片麻痺者の健体側の片手で車椅子の健
体側車輪を回転操作することにより、片麻痺者に過大の
労力負担を加えることなく、両手による操作の場合と同
様に、車椅子の走行・操舵操作をすることができる上
に、車椅子をその場で反転させるピボットターンが可能
となる。またその直進とピボットターンは、健体側の手
足で操作する切換スイッチの切り換え操作によって簡単
に選択できる。
【0049】またこの発明は、健体側エンコーダ、患体
側エンコーダ、健体側エンコーダの読み取り回転方向を
正逆に切り換える切換スイッチ、マイクロコンピュー
タ、患体側車輪を駆動するサーボモータ、減速ギア群な
どからなる走行補助装置を標準型の車椅子に着脱自在に
装着するものであるから、既存の標準型車椅子を片麻痺
者用車椅子に簡単に改良することができる。一方一旦車
椅子にこの発明の走行補助装置を付加した後であって
も、患体側車輪と減速ギア群の結合カップリングを外す
ことにより、患体側車輪と減速ギア群の結合を簡単に切
り離して通常一般の車椅子として用いることができ、そ
の場合、患体側車輪に走行補助装置からの負担が加わら
ないので車椅子の動きは軽くなる。
【0050】またこの発明の車椅子走行補助制御方法
は、健体側車輪の回転角を目標値として患体側車輪を健
体側車輪の回転角に追随させるものであるが、内部モデ
ル制御に最適レギュレータの極限的性質を併用した制御
方式を採っているので、患体側車輪の追随性が高くな
り、直進走行ならびにピボットターンの特性が良好であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の片麻痺者用車椅子の構成とその走行
補助制御方法の一例を示すブロック図。
【図2】同片麻痺者用車椅子の概略背面図。
【図3】同片麻痺者用車椅子の部分上面図。
【図4】同片麻痺者用車椅子の患体側車輪周りの要部上
面図。
【図5】同患体側車輪周りの要部側面図。
【図6】同片麻痺者用車椅子に適用する制御システムの
ブロック図。
【図7】同片麻痺者用車椅子の片側の車輪の簡易モデル
図。
【図8】同片麻痺者用車椅子の走行実験特性図。
【図9】同片麻痺者用車椅子の他の走行実験特性図。
【図10】同片麻痺者用車椅子の他の走行実験特性図。
【符号の説明】
1 : 車椅子 1a: 健体側車輪 1b: 患体側車輪 1c: 患体側車輪の回転軸 2a: 健体側エンコーダ 2b: 患体側エンコーダ 3 : 切換スイッチ 4 : カウンターボード 5 : マイクロコンピュータ 6 : D/Aコンバータ 7 : 増幅器 8 : サーボモータ(患体側車輪駆動用サーボモー
タ) 9 : 減速ギア群(ギアボックス) 9a: 減速ギア群の出力軸 91: 平歯車 92: 平歯車 93: ウォーム 94: ウォームホイール 95: 螺子歯車 96: 螺子歯車 10: 電源 11: カップリング 12: 支軸 M : 車椅子 Ma: フットレスト S : 座席 W : 走行補助装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神戸 康有 石川県石川郡野々市町住吉町1丁目33番地 ウィールハイツ D−105号室 Fターム(参考) 3D052 AA01 AA02 DD00 EE02 FF03 GG00 HH03 JJ32

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 健体側車輪の回転角を検知し、その健体
    側車輪の回転角を目標値として患体側車輪を駆動するサ
    ーボモータの回転を制御することにより、患体側車輪の
    回転を健体側車輪の回転に追随させ、健体側車輪と患体
    側車輪を同方向に同回転数で回転させることにより車椅
    子を前後に直進させ、健体側車輪と患体側車輪を逆方向
    に同回転数で回転させることにより車椅子をピボットタ
    ーンさせることを特徴とする片麻痺者用車椅子の走行補
    助制御方法。
  2. 【請求項2】 健体側車輪の回転角を検知し、内部モデ
    ル制御と最適レギュレータの極限的性質を併用して、前
    記健体側車輪の回転角を目標値として患体側車輪を駆動
    するサーボモータの回転を制御することにより、患体側
    車輪の回転を健体側の回転に追随させ、健体側車輪と患
    体側車輪を同方向に同回転数で回転させることにより車
    椅子を前後に直進させ、健体側車輪と患体側車輪を逆方
    向に同回転数で回転させることにより車椅子をピボット
    ターンさせることを特徴とする片麻痺者用車椅子の走行
    補助制御方法。
  3. 【請求項3】 健体側車輪の回転角度変位を計測する健
    体側エンコーダと、患体側車輪の回転角度変位を計測す
    る患体側エンコーダと、前記健体側エンコーダの読み取
    り回転方向を正逆に切り換える切換スイッチと、この切
    換スイッチを介して出力される前記健体側エンコーダの
    出力信号と前記患体側エンコーダの出力信号を比較演算
    して制御信号を生成するマイクロコンピュータと、前記
    制御信号によって回転制御され前記患体側車輪を駆動す
    るサーボモータと、前記サーボモータの回転を患体側車
    輪に伝達する減速ギア群を含んで成ることを特徴とする
    片麻痺者用車椅子の走行補助装置。
  4. 【請求項4】 健体側エンコーダの読み取り回転方向を
    正逆に切り換える切換スイッチが、車椅子の健体側フッ
    トレストに配設され片麻痺者の健体側脚の回動操作で切
    換えるフット切換スイッチであることを特徴とする請求
    項3に記載の片麻痺者用車椅子の走行補助装置。
  5. 【請求項5】 健体側車輪の回転角度変位を計測する健
    体側エンコーダと、患体側車輪の回転角度変位を計測す
    る患体側エンコーダと、前記健体側エンコーダの読み取
    り回転方向を正逆に切り換える切換スイッチと、この切
    換スイッチを介して出力される前記健体側エンコーダの
    出力信号と前記患体側エンコーダの出力信号を比較演算
    して制御信号を生成するマイクロコンピュータと、前記
    制御信号によって回転制御され前記患体側車輪を駆動す
    るサーボモータと、前記サーボモータの回転を患体側車
    輪に伝達する減速ギア群を含んで成る走行補助装置を着
    脱自在に装着し、前記減速ギア群を介して患体側車輪の
    軸と前記サーボモータを連結し、前記健体側エンコーダ
    ならびに患体側エンコーダをそれぞれ健体側車輪ならび
    に患体側車輪に対応させて配し、且つ前記サーボモー
    タ、マイクロコンピュータの電源装置を搭載したことを
    特徴とする片麻痺者用車椅子。
  6. 【請求項6】 健体側エンコーダの読み取り回転方向を
    正逆に切り換える切換スイッチが車椅子の健体側フット
    レスト上に装着され、片麻痺者の健体側脚の回動操作で
    切り換えることを特徴とする請求項5に記載の片麻痺者
    用車椅子
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015001640A1 (ja) * 2013-07-04 2015-01-08 ヤマハ発動機株式会社 車椅子用電動装置、当該車椅子用電動装置を備えた電動車椅子、および電動車椅子の駆動監視方法
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