JP2002184654A - 電解コンデンサ用電解液 - Google Patents

電解コンデンサ用電解液

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JP2002184654A
JP2002184654A JP2000384372A JP2000384372A JP2002184654A JP 2002184654 A JP2002184654 A JP 2002184654A JP 2000384372 A JP2000384372 A JP 2000384372A JP 2000384372 A JP2000384372 A JP 2000384372A JP 2002184654 A JP2002184654 A JP 2002184654A
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polyhydric alcohol
electrolytic solution
electrolytic
boric acid
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JP2000384372A
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Makoto Shimizu
誠 清水
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Nippon Chemi Con Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温寿命特性が良好で、かつ難燃性の高い電
解コンデンサ用電解液を提供する。 【解決手段】 エチレングリコールを主体とする溶媒中
に、硼酸と多価アルコールから得られる、硼酸の多価ア
ルコール錯化合物あるいはその塩を10〜30重量%溶
解した電解液に、1,6−デカンジカルボン酸等から選
ばれる、少なくとも1種以上の有機カルボン酸化合物あ
るいはその塩を前記硼酸の総量の1〜15重量%添加
し、さらにモノアルキルリン酸エステル化合物を添加し
かつ含水率を9〜30重量としているので、この電解コ
ンデンサ用電解液を用いることによって、高温寿命特性
が良好で、かつ難燃性の高い電解コンデンサを提供する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解コンデンサ用
電解液に関し、更に詳しくは中高圧用の電解液に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサ用電解液は、アルミニウ
ムまたはタンタルなどの表面に絶縁性の酸化皮膜が形成
された弁金属を陽極電極に使用し、前記酸化皮膜層を誘
電体とし、この酸化皮膜層の表面に電解質層となる電解
液を接触させ、さらに通常陰極と称する集電用の電極を
配置して構成されている。
【0003】電解コンデンサ用電解液は、上述のように
誘電体層に直接に接触し、真の陰極として作用する。即
ち、電解液は電解コンデンサの誘電体と集電陰極との間
に介在して、電解液の抵抗分が電解コンデンサに直列に
挿入されていることになる。故に、その電解液の特性が
電解コンデンサ特性を左右する大きな要因となる。
【0004】電解コンデンサの従来技術においては、中
高圧用の電解液として、火花電圧が比較的高く得られる
ことから、エチレングリコールを溶媒とし、セバシン
酸、やアゼライン酸等の有機カルボン酸が用いられるこ
ともあるが、これらは溶解性が低いため、低温において
結晶が析出しやすくコンデンサの低温特性を劣化させる
という欠点を免れ得なかった。さらに、特公昭60−1
3296号公報に示されているようにブチルオクタン二
酸を溶質として用いる例や特公昭63−15738号公
報に示されているように5,6−デカンジカルボン酸を
溶質として用いた例がある。これらの有機カルボン酸あ
るいはその塩を用いた電解液では、火花電圧および電導
度が高く、溶解性も高いので、低温特性も良好である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
スイッチング電源を使用した電子機器が一般家庭で汎用
されるようになり、アルミ電解コンデンサの安全性に対
する要求が高まっている。すなわち、電解コンデンサの
故障によって、電解液が外部に漏れ出た際の難燃性の高
い電解コンデンサ用電解液が求められており、前記の有
機カルボン酸あるいはその塩を用いた電解液は、この難
燃性が十分なものではないという問題があった。
【0006】そこで、本発明は、中高圧用の高温での寿
命特性が良好で、かつ、難燃性の高い電解コンデンサ用
電解液を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の電解コンデンサ用電解液は、エチレングリ
コールを主体とする溶媒中に、硼酸と多価アルコールか
ら得られる、硼酸の多価アルコール錯化合物あるいはそ
の塩を10〜30重量%溶解した電解液に、1,6−デ
カンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸、1,
7−オクタンジカルボン酸、7−メチル−7−メトキシ
カルボニル−1,9−デカンジカルボン酸、7,9−ジ
メチル−7,9−ジメトキシカルボニル−1,11−ド
デカンジカルボン酸、7,8−ジメチル−7,8−ジメ
トキシカルボニル−1,14−テトラデカンジカルボン
酸、セバシン酸、アゼライン酸から選ばれる、少なくと
も1種以上の有機カルボン酸化合物あるいはその塩を、
前記硼酸の総量の1〜15重量%添加し、さらに(化
2)で示されるモノアルキルリン酸エステル化合物を添
加し、かつ含水率が9〜30重量%としたことを特徴と
する。
【化2】 (式中、Rは、炭素数6〜12のアルキル基である。)
【0008】さらに、前記モノアルキルリン酸エステル
化合物のアルキル基が分枝鎖状であることを特徴とす
る。
【0009】また、硼酸の多価アルコール錯化合物にお
ける多価アルコールが、エリトリット、アラビット、ア
ドニット、ソルビット、マンニット、ズルシット、タリ
ットのうちから選ばれるシス位の糖アルコールであるこ
とを特徴とする。
【0010】そして、非イオン性界面活性剤、多価アル
コールに酸化エチレン及び/または酸化プロピレンを重
合させてえられるポリオキシアルキレン多価アルコール
エーテル化合物を1種以上添加したことを特徴とする。
【0011】また、前記電解液に、芳香族ニトロ化合物
を一種以上を添加したことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の電解コンデンサ用電解液
は、硼酸と多価アルコールから得られる、硼酸の多価ア
ルコール錯化合物あるいはその塩(以下、硼酸の多価ア
ルコール錯化合物類)を主たる溶質とし、電解液中に1
0〜30重量%含有している。そして、硼酸の多価アル
コール錯化合物における多価アルコールとしては、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、トリメチロー
ルプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリッ
ト、ポリビニルアルコール等、さらには、トリット、テ
トリット、ペンチット、ヘキシット、へプチット、オク
チット、ノニット、デシット、ドデシット等の糖アルコ
ールがあげられる。
【0013】ここで、硼酸の多価アルコール錯化合物類
は、硼酸と多価アルコールとを合成して得るが、電解液
を混合、作成する際に、エチレングリコール中に硼酸及
び多価アルコールを所定量混合し、加熱溶解させて、電
解液中で合成して得ることもできる。合成の際に、硼酸
1モルに対して多価アルコールの4つの水酸基が反応し
て3モルの水と硼酸の多価アルコール錯化合物が生成さ
れる。
【0014】そして、1,6−デカンジカルボン酸、
5,6−デカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカル
ボン酸、7−メチル−7−メトキシカルボニル−1,9
−デカンジカルボン酸、7,9−ジメチル−7,9−ジ
メトキシカルボニル−1,11−ドデカンジカルボン
酸、7,8−ジメチル−7,8−ジメトキシカルボニル
−1,14−テトラデカンジカルボン酸、セバシン酸、
アゼライン酸から選ばれる、少なくとも1種以上の有機
カルボン酸化合物あるいはその塩(以下、有機カルボン
酸類)を前記硼酸の総量の1〜15重量%添加する。こ
こで、前記硼酸の総量とは、前述したように、硼酸の多
価アルコール錯化合物類は硼酸と多価アルコールから作
成されるが、その時に用いる硼酸の総量を示す。
【0015】さらに、本発明の電解コンデンサ用電解液
は、(化2)で示されるモノアルキルリン酸エステル化
合物を添加し、かつ含水率が9〜30重量%である。こ
こで、(化2)で示されるモノアルキルリン酸エステル
化合物はアルキル基が炭素数6〜12からなるものであ
るが、炭素数が6未満であると加水分解しやすくなって
効果の持続性が低下し、13以上であると疎水性が低下
して電解液に溶解しなくなる。
【0016】以上の本発明の電解コンデンサ用電解液は
火花電圧が高く、高温寿命特性が良好で、かつ、高い難
燃性を有している。その理由は以下のようであると推察
される。
【0017】本発明の電解液の主溶質である、硼酸と多
価アルコールから得られる、硼酸の多価アルコール錯化
合物類は、有機カルボン酸のようにエチレングリコール
とのエステル化反応によって電導度が低下するというよ
うなことがない。また、アルミニウムとの錯体を形成す
るということもないので、静電容量が低下するというこ
とがなく、したがって、高温での寿命特性は良好であ
る。ここで、硼酸のみであると、高温試験において、電
導度が低下し、漏れ電流が上昇するという問題がある
が、硼酸の多価アルコール錯化合物類は、このような欠
点を有することがない。それは、電解液中で硼酸陰イオ
ンとなった硼酸は、高温下では、陽極酸化皮膜中にとり
こまれて、電解液中の硼酸陰イオンの濃度が低下して、
電解液の電導度が低下し、さらには、酸化皮膜に取り込
まれた硼酸陰イオンが酸化皮膜と反応して、酸化皮膜が
溶解し、漏れ電流が上昇する。しかしながら、本発明の
硼酸の多価アルコール錯化合物類は、分子サイズが大き
いので、酸化皮膜中に取り込まれることがなく、したが
って、電導度が低下することもなく、また、漏れ電流が
上昇することもないということによるものであると考え
られる。
【0018】そして、本発明の電解コンデンサ用電解液
は、硼酸の多価アルコール錯化合物あるいはその塩を1
0〜30重量%含有し、含水率が9〜30重量%である
ので、これらの相乗作用によって高い難燃性を有してい
る。さらに、含水率が高いにもかかわらず、(化2)に
示されるモノアルキルリン酸エステル化合物を添加して
いるので、電極箔の水和劣化が抑制されることによるも
のと思われるが、前述した良好な高寿命特性が低下する
ことがない。また、本発明の硼酸の多価アルコール錯化
合物類を主溶質とした電解液では、過電圧が印加される
と当初から陽極酸化反応が進行し電流が増大して発熱及
び水素ガスの発生がおこる。そして、この発熱と発生し
たガスによって、安全弁が作動し電解液が蒸発してオー
プン状態になるので、高い安全性を有することができ
る。そして、本発明の電解液において、理由は明らかで
はないが、有機カルボン酸類を前記硼酸の総量の1〜1
5重量%の範囲で添加することによってこの過電圧特性
が低下することはない。
【0019】以上のように、硼酸の多価アルコール錯化
合物あるいはその塩の含有率は10〜30重量%、好ま
しくは15〜30重量%、この範囲未満では難燃性が低
下し、この範囲を越えると電解液の粘性が上昇して含浸
性が低下する。また、含水率は9〜30重量%、好まし
くは10〜30重量%、この範囲未満では難燃性が低下
し、この範囲を越えると寿命特性が低下する。
【0020】そして、(化2)で示されるモノアルキル
リン酸エステル化合物の添加量は、0.01〜5.0重
量%、好適には0.1〜3.0重量%である。この範囲
未満では効果が低下し、この範囲を越えると火花電圧が
低下する。さらにモノアルキルリン酸エステルのアルキ
ル基が分枝鎖状であると、立体障害によって加水分解が
おこりにくくなり効果の持続性が向上するので好まし
い。なかでも、モノデシルホスフェートが好ましい。
【0021】そして、前述の有機カルボン酸類を前記硼
酸の総量の1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%
添加している。したがって、電解液の酸化皮膜修復能力
すなわち化成性が向上して火花電圧及び漏れ電流特性が
向上し、また、長時間にわたって良好な化成性を維持す
るので寿命試験での漏れ電流特性はさらに向上する。こ
のように有機カルボン酸類がされてなるものであるが、
これまでに述べたような状況であるので、この範囲未満
では初期及び寿命試験中の漏れ電流特性向上の効果が小
さくなる。そして、この範囲を越えると火花電圧が低下
し、寿命試験中での有機カルボン酸類のエチレングリコ
ールとのエステル化反応による陰イオンの減少によって
電導度が低下するので寿命特性が悪化する。
【0022】そして、これらの硼酸の多価アルコール錯
化合物類と有機カルボン酸類からなる溶質の電解液中の
含有量は11〜35重量%、好ましくは16〜35重量
%である。この範囲未満ではイオン濃度が低いため、ま
たこの範囲を越えると電解液の粘性が高くなることによ
るイオンの移動度低下のため、電導度が著しく低下す
る。
【0023】そして、このようにして形成した電解質溶
液にアンモニアガスを注入、添加してpHを調整し、本
発明の電解液が形成される。
【0024】ここで、硼酸の多価アルコール錯化合物に
おける多価アルコールとしてエリトリット、アラビッ
ト、アドニット、ソルビット、マンニット、ズルシッ
ト、タリットのようなシス位の水酸基をもつ糖アルコー
ルを用いると、さらに高温下での電導度の低減を抑制す
ることができる。これはシス位の水酸基をもつ糖アルコ
ールを用いると、このシス位の二つの水酸基が硼酸と結
合して高温下においてより安定な硼酸錯化合物が形成さ
れるためと思われる。また、理由は明らかではないが、
火花電圧を上昇させることができる。ここで、これらの
シス位の水酸基をもつ糖アルコールのうち最も好ましい
のはマンニットである。そして、シス位の水酸基をもつ
糖アルコールの含有量は、重量比で硼酸1に対して0.
4〜3.0、好適には0.5〜2.0の範囲である。こ
の範囲未満では高温下での電導度が上昇し、またこの範
囲をこえると初期の電導度が低下する。
【0025】本発明における硼酸の多価アルコール錯化
合物の塩、有機カルボン酸化合物の塩としては、アンモ
ニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩および環状ア
ミジン化合物の四級アンモニウム塩があげられる。アミ
ン塩を構成するアミンとしては、一級アミン(メチルア
ミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、
エチレンジアミン、モノエタノールアミン等)、二級ア
ミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルア
ミン、エチルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジエタ
ノールアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、ト
リエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビ
シクロ(5,4,0)−ウンデセン−7、トリエタノー
ルアミン等)があげられる。これらのうちで好ましいの
は、アンモニウム塩である。
【0026】溶媒はエチレングリコールを主体とし水を
含んでいるが、低温度特性の改善、比抵抗の低減等の目
的でプロトン性極性溶媒、非プロトン性溶媒、あるいは
水を添加することもできる。プロトン性極性溶媒として
は、一価アルコール(メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノー
ル、シクロペンタノール、ベンジルアルコール、等)、
多価アルコール及びオキシアルコール化合物類(プロピ
レングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチ
ルセロソルブ、1,3−ブタンジオール、メトキシプロ
ピレングリコール等)などがあげられる。非プロトン性
溶媒としては、アミド系(N−メチルホルムアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセト
アミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクト
ン類、環状アミド類、カーボネート類(γ−ブチロラク
トン、N−メチル−2−ピロリドン、エチレンカーボネ
ート、プロピレンカーボネート等)、ニトリル類(アセ
トニトリル)オキシド類(ジメチルスルホキシド等)な
どが代表としてあげられる。
【0027】以上のように、本発明の電解コンデンサ用
電解液は、火花電圧が高く、高温下での電解液の特性が
安定で、かつ、高い難燃性を有している。したがって、
本発明の電解コンデンサ用電解液を用いることによっ
て、耐電圧が高く、高温での寿命特性が良好で、かつ難
燃性の高い電解コンデンサを得ることができる。
【0028】そして、前記電解液に非イオン性界面活性
剤、多価アルコールに酸化エチレン及び/または酸化プ
ロピレンを重合して得られるポリオキシアルキレン多価
アルコールエーテル化合物を添加することにより、電解
液の火花電圧を向上させることができる。このことによ
って、再化成時での、ショート率を低減することがで
き、高圧コンデンサ用電解液として、好適なものとな
る。また、非イオン性界面活性剤は含浸の際に発泡する
性質があるので、含浸時の作業性を考慮すると、多価ア
ルコールに酸化エチレン及び/または酸化プロピレンを
重合して得られるポリオキシアルキレン多価アルコール
エーテル化合物の方が好ましい。
【0029】非イオン性界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒ
ド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレ
ンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、グリセリン
脂肪酸エステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビ
タン脂肪酸エステルのポリオキシエチレンエーテル、ソ
ルビトール脂肪酸エステルのポリオキシエチレンエーテ
ル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、親水性
シリコンオイル等があげられる。
【0030】多価アルコールに酸化エチレン及び/また
は酸化プロピレンを重合して得られるポリオキシアルキ
レン多価アルコールエーテル化合物の多価アルコールと
しては、エチレングリコール、プロピレングリコール、
グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ポリ
グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロール
エタン等があげられる。これらのうちで、グリセリン、
ペンタエリスリトール、ソルビット、ポリグリセリン、
トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンが好ま
しい。
【0031】非イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキ
レン多価アルコールエーテル化合物の添加量は、0.1
〜15重量%、好適には0.5〜10重量%である。こ
の範囲未満では、効果が低下し、この範囲を越えると、
電導度が低下する。ここで、ポリオキシアルキレン多価
アルコールエーテル化合物においては、平均分子量が1
000以上の場合は効果が高いので、添加量は少なくて
良い。これらの中でもポリオキシエチレングリセリンが
好ましい。
【0032】また、前記電解液に芳香族ニトロ化合物を
添加することにより、コンデンサ内部圧力の上昇を抑制
することができ、コンデンサの寿命特性の改善が図るこ
とができる。これは、コンデンサ内部に発生した水素ガ
スとの間でニトロ基の還元反応がおこることによるもの
と思われる。芳香族ニトロ化合物の添加量は、0.01
〜7.0重量%、好適には0.1〜5.0重量%であ
る。この範囲未満では、効果が低下し、この範囲を越え
ると電解液の電導度が低下する。
【0033】芳香族ニトロ化合物の具体例としては、ニ
トロフェノール、ジニトロフェノール、ニトロ安息香
酸、ニトロトルエン、ジニトロトルエン、ニトロキシレ
ン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ニトロベンジ
ルアルコール、ニトロアセトフェノン、ニトロアニソー
ル、ジメトキシニトロベンゼン、ニトロアニリン、ニト
ロフェネトール、ニトロフタル酸、2−(ニトロフェノ
キシ)エタノール等をあげることができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0035】(表1)、(表2)は、本発明例の実施
例、比較例、及び、従来例について、電解コンデンサ用
電解液の組成と火花電圧および電導度を示したものであ
る。ここで、電解液の作成は(表1)示される組成物を
用いて常法により行い、アンモニアガスを注入してpH
を調整した。そして、この際に水を生成するので、調整
後の含水率を示した。また、火花電圧はコンデンサ素子
(定格:550V−120μF)を用い、室温において
10mAの定電流を流して測定した値である。なお、表
における脂肪族カルボン酸Aは、1,7−オクタンジカ
ルボン酸(51%)、7−メチル−7−メトキシカルボ
ニル−1,9−デカンジカルボン酸(14%)、7,9
−ジメチル−7,9−ジメトキシカルボニル−1,11
−ドデカンジカルボン酸(13%)、7,8−ジメチル
−7,8−ジメトキシカルボニル−1,14−テトラデ
カンジカルボン酸(22%)の混合物である。
【0036】そして、(表3)には、(表1)、(表
2)における実施例、比較例、従来例の電解液を用い
た、450V−180μFの電解コンデンサの燃焼試験
の結果を示す。燃焼試験は電解コンデンサ用電解紙に電
解液を含浸し、これに着火し、消火にいたるまでの時間
を測定した。(表3)には3回試験を行ったその平均値
を示す。また、(表4)には、この電解コンデンサの初
期特性及び、95℃、2000時間の高温負荷試験の結
果を示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】(表3)から明らかなように、硼酸の多価
アルコール錯化合物の添加量の少ない、比較例1、2、
及び従来例は完全燃焼にいたっており、含水率の低い比
較例3においても消火に時間がかかっている。これに比
べて、本発明の電解コンデンサ用電解液を用いた電解コ
ンデンサの難燃性は良好で、自己消火性があることがわ
かる。
【0042】また、(表1)、(表2)、(表4)から
明らかなように、本発明の電解コンデンサ用電解液は火
花電圧が高く、電導度特性に優れており、これを用いた
電解コンデンサの特性も良好である。これに比べて(化
2)で示されるモノアルキルリン酸エステルを添加して
いない比較例4では試験後のtanδ及び漏れ電流が増
大している。
【0043】次に、シス位の水酸基を有する糖アルコー
ルを用いた実施例を示す。(表5)に実施例の電解液の
組成と火花電圧、電導度を示した。電解液の作成はこれ
までと同様である。また、(表6)には(表5)におけ
る実施例の電解液を用いた450V−220μFの電解
コンデンサの初期特性及び、105℃、2000時間の
高温負荷試験の結果を示した。
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】(表5)〜(表6)から明らかなように、
実施例4、5の電解液を用いた電解コンデンサでは、シ
ス位の水酸基を有することのない糖アルコールであるエ
チレングリコールを用いた実施例6の電解液を用いた電
解コンデンサと比較して、火花電圧は高く、さらに寿命
試験後のtanδ変化が小さくより高温度下での寿命特
性に優れていることがわかる。
【0047】次に、本発明の芳香族ニトロ化合物を用い
た実施例を示す。(表7)に、実施例の電解液組成を、
(表8)には400V−180μFの電解コンデンサの
95℃の2000時間後の寿命試験結果を、(表9)に
は製品高さ寸法の変化を示した。
【0048】
【表7】
【0049】
【表8】
【0050】
【表9】
【0051】(表7)〜(表9)から明らかなように、
本発明の芳香族ニトロ化合物を用いた実施例7はこれら
を用いない実施例8に比べて、2000時間後の製品高
さ寸法変化は小さくコンデンサの内圧上昇が抑制され、
その他の寿命特性も良好で寿命特性が向上している。
【0052】
【発明の効果】以上のように、本発明の電解コンデンサ
用電解液は、エチレングリコールを主体とする溶媒中
に、硼酸と多価アルコールから得られる、硼酸の多価ア
ルコール錯化合物あるいはその塩を10〜30重量%溶
解した電解液に、1,6−デカンジカルボン酸、5,6
−デカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン
酸、7−メチル−7−メトキシカルボニル−1,9−デ
カンジカルボン酸、7,9−ジメチル−7,9−ジメト
キシカルボニル−1,11−ドデカンジカルボン酸、
7,8−ジメチル−7,8−ジメトキシカルボニル−
1,14−テトラデカンジカルボン酸、セバシン酸、ア
ゼライン酸から選ばれる、少なくとも1種以上の有機カ
ルボン酸化合物あるいはその塩を、前記硼酸の総量の1
〜15重量%添加し、さらに(化2)で示されるモノア
ルキルリン酸エステル化合物を添加し、かつ含水率が9
〜30重量%とした電解コンデンサ用電解液であり、火
花電圧が高く、高温長寿命特性が良好であり、かつ高い
難燃性を有している。したがって、本発明の電解液を用
いることによって、耐電圧が高く寿命特性が良好で、か
つ難燃性の高い電解コンデンサを得ることができる。
【0053】さらに、(化2)で示されるモノアルキル
リン酸エステル化合物のアルキル基が分枝鎖状であると
効果の持続性が向上する。
【0054】また、前記電解液の硼酸の多価アルコール
錯化合物の多価アルコールとして、エリトリット、アラ
ビット、アドニット、ソルビット、マンニット、ズルシ
ット、タリットのうちから選ばれるシス位の水酸基を有
する糖アルコールを用いると、高温下での電導度の安定
性、及び火花電圧はより向上する。
【0055】そして、前記電解液に非イオン性界面活性
剤、多価アルコールに酸化エチレン及び/または酸化プ
ロピレンを重合させて得られるポリオキシアルキレン多
価アルコールエーテル化合物を添加した場合は、電解液
の火花電圧をさらに上昇させることができ、電解コンデ
ンサの再化成性が向上して、高圧用電解コンデンサには
好適である。
【0056】また、前記電解液に芳香族ニトロ化合物を
添加した場合は、コンデンサ内部のガス発生が抑制され
るので、電解コンデンサの寿命特性は向上する。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレングリコールを主体とする溶媒中
    に、硼酸と多価アルコールから得られる、硼酸の多価ア
    ルコール錯化合物あるいはその塩を10〜30重量%溶
    解した電解液に、1,6−デカンジカルボン酸、5,6
    −デカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン
    酸、7−メチル−7−メトキシカルボニル−1,9−デ
    カンジカルボン酸、7,9−ジメチル−7,9−ジメト
    キシカルボニル−1,11−ドデカンジカルボン酸、
    7,8−ジメチル−7,8−ジメトキシカルボニル−
    1,14−テトラデカンジカルボン酸、セバシン酸、ア
    ゼライン酸から選ばれる、少なくとも1種以上の有機カ
    ルボン酸化合物あるいはその塩を、前記硼酸の総量の1
    〜15重量%添加し、さらに(化1)で示されるモノア
    ルキルリン酸エステル化合物を添加し、かつ含水率が9
    〜30重量%である電解コンデンサ用電解液。 【化1】 (式中、Rは、炭素数6〜12のアルキル基である。)
  2. 【請求項2】(化1)で示されるモノアルキルリン酸の
    アルキル基が分枝鎖状である請求項1記載の電解コンデ
    ンサ用電解液。
  3. 【請求項3】硼酸の多価アルコール錯化合物における多
    価アルコールが、エリトリット、アラビット、アドニッ
    ト、ソルビット、マンニット、ズルシット、タリットの
    うちから選ばれるシス位の糖アルコールである、請求項
    1記載の電解コンデンサ用電解液。
  4. 【請求項4】非イオン性界面活性剤、多価アルコールに
    酸化エチレン及び/または酸化プロピレンを重合させて
    えられるポリオキシアルキレン多価アルコールエーテル
    化合物を1種以上添加した、請求項1記載の電解コンデ
    ンサ用電解液。
  5. 【請求項5】芳香族ニトロ化合物を一種以上添加した、
    請求項1記載の電解コンデンサ用電解液。
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