JP2002181823A - 微生物の検出方法 - Google Patents

微生物の検出方法

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JP2002181823A
JP2002181823A JP2000375605A JP2000375605A JP2002181823A JP 2002181823 A JP2002181823 A JP 2002181823A JP 2000375605 A JP2000375605 A JP 2000375605A JP 2000375605 A JP2000375605 A JP 2000375605A JP 2002181823 A JP2002181823 A JP 2002181823A
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Motomi Nakada
元巳 中田
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料中の目的微生物の迅速な検出方法を提供
すること。 【解決手段】 微生物を含む試料とビーズとを接触させ
る工程、及びフローサイトメトリーにより該ビーズに結
合した微生物を検出する工程を含む、微生物の検出方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微生物の検出方法に
関する。さらに詳細には、本発明は、ビーズとフローサ
イトメトリーを利用した高感度の微生物の検出方法に関
する。本発明の微生物の検出方法は、食品の微生物検
査、保健所、病院及び臨床検査センターにおける便中の
微生物検査の分野で有用である。
【0002】
【従来の技術】目的試料中に存在する微生物を検出する
ことは、広い技術分野において大変重要な課題である。
例えば、病原微生物による食材の汚染や伝染病感染者の
種々の検査、あるいは赤潮の原因となる有毒プランクト
ンの調査等が挙げられる。従来からの微生物の検出及び
同定は、検体を前培養し、その前培養液から種々の選択
培地で分離培養を行い、最終的に分離した微生物の生理
試験、遺伝子解析、免疫学的試験を経て行われている。
【0003】検体の前培養は目的試料中に微生物の数が
少ない場合には必ず行うことが必要な過程である。この
前培養においては、ある目的の微生物のみが選択的に増
殖させることが目的の選択培養とは違い、試料中に含ま
れる微生物の量を増やすことが第一の目的となる。この
前培養は試料自体の量及び試料中に含まれている微生物
の量にもよるが、おおむね1日〜2日の培養を行うのが
通常である。この前培養により、試料に含まれていた微
生物の絶対量が増えることから、次のステップとなる選
択培養が容易となる。
【0004】選択培養では、試料に複数の微生物が混入
する場合に用いられる培養方法で、通常は検出(分離、
同定)したい微生物のみが増殖することができるような
培地を使用する。この選択培養では、検出したい微生物
の増殖速度に依存するが、約2日〜3日の培養により、
コロニーの出現が認められる。その際に、シングルコロ
ニーとして分離が可能であれば、コロニーをピックアッ
プし詳細な解析用に別途ストック培養するとともに、顕
微鏡観察、その他生理試験を実施し、試料中の微生物の
同定が行われることとなる。一方、選択培養によりシン
グルコロニーが分離できない場合は、さらに別の選択培
地で分離するか、あるいは同一培地で試料の濃度を変え
て、シングルコロニーが得られるまで行うこととなる。
【0005】以上が従来から行われている選択培地の培
養による微生物の検出(分離、同定)の操作であるが、
近年のバイオテクノロジーの進歩とともに微生物の検
出、分離、同定の操作にも遺伝子操作の手法によるアプ
ローチや免疫学的反応を利用したアプローチが実用化さ
れ、それぞれキットにより簡便な微生物の検出法が利用
されている。
【0006】例えば、遺伝子操作の手法の応用例として
は、PCRを利用した目的の微生物の検出法や、微生物
由来の毒素等の検出法が実際に実用化されている。ま
た、免疫学的反応においても、抗原−抗体反応を利用し
たELISAキットや凝集テストが微生物の同定、毒素
の検出等で実用化されている。しかし、遺伝子操作の手
法及び免疫学的反応を用いた手法は、微生物の検出、同
定の確定検査としては従来の生理試験、顕微鏡観察に比
べて精度があるものの、測定したい試料中に極微量の微
生物のみ存在する場合は前培養が必須となり、場合によ
っては選択培養も必要となる点では、従来法と何ら変わ
りがない。
【0007】従って、最終的な微生物の検出、同定法と
してはバイオテクノロジー技術を利用した遺伝子の解析
法や抗原抗体反応が利用されつつあるものの、微生物の
検出あるいは同定に要する時間はほとんど変わらないの
が現状であり、おおむね検体の処理を開始後、数日〜1
週間要するのが現状である。1996年の大阪・堺市で
起きた大腸菌O−157による集団食中毒をはじめ、保
健所、病院、検査センター等で行う検査においては、で
きる限り早く検査が終了することが求められている。
【0008】しかし、既存の方法では、検体中に検出す
べき微生物が少なければ、検出不可能であるため、前培
養に1日要すること、また、目的以外の微生物の混入が
多く、目的の微生物を分離できないため、選択培地によ
る分離培養に1日要することが必要であり、迅速な検査
の妨げとなっている。すなわち、ELISA等の免疫学
的手法ではサンプル1ml中に1×104個以上の目的
とする微生物が含まれていなければ、検出できない状況
であった。大腸菌O−157においてはサンプル中に1
000個の大腸菌O−157が存在すれば、発症すると
いわれており、高感度検出方法の開発が望まれている。
【0009】開発のアプローチの一つとして試料中に検
出したい微生物の数が少ない場合であっても前培養を行
うことなく選択培養できる方法や培養液に特殊な試薬を
添加することにより、微生物を分離しつつ選択培養が可
能な特殊培地の開発が進められつつある。また、試料に
含まれる微生物の絶対量が不足する場合は、磁石に吸着
するビーズに目的微生物と反応する抗体を結合し、試料
中に磁気ビーズを入れ、試料に含まれている微生物を磁
気ビーズで濃縮し、その後そのビーズごと選択培地で培
養する方法等も開発が進められている。しかし、これら
の新しい方法を用いても前培養あるいは選択培養をある
程度短縮できるに過ぎず、検査期間は検体入手後数日間
である。
【0010】また、目的試料に培養等の前処理を行わず
に微生物を検出する方法では、目的試料中に検出すべき
微生物が少なくとも1×104 個/mlの割合で含まれ
ていること、及び夾雑物をできるだけ少なくしなければ
微生物の遺伝子の検出や抗原抗体反応による微生物の検
出はできず、目的試料中からの遺伝子操作を利用した手
法または免疫学的手法を利用した方法では目的試料から
の直接検出は事実上、実用レベルにはなかった。
【0011】フローサイトメトリーは細胞の表面分子に
特異的な蛍光色素を結合した抗体と反応させることで、
細胞の分離、同定等ができることを特徴とする。しか
し、現状では、フローサイトメトリーによる検出はヒト
の末梢血単核細胞等動物由来の細胞の検出がほとんどで
あり、微生物の検出にはほとんど利用されていない。そ
の理由は、フローサイトメトリーで検出するには被検体
のサイズが1μm以上であることが必要であるが、大腸
菌O−157等の微生物のサイズはほとんど1μm以下
であるためである。また、便や食品中の微生物の検出に
おいては、サイズ的に微生物と同程度の夾雑物が存在す
れば、これらが検出感度を低下させる原因となり目的の
微生物が1%以下であれば、感度よく測定することがで
きなかった。すなわち、便等のサンプル1ml中に目的
の微生物が1×106 個以下の場合には、フローサイト
メトリーでは検出することができなかった。以上の理由
から、微生物の検出にフローサイトメトリーの利用は古
くから行われてはいたが、実験室の研究用途にのみ利用
されているのが現状であった。
【0012】上記のように、目的試料中に存在する微生
物を迅速に検出する方法が求められているが、特殊な選
択培地による微生物の選択培養や磁気ビーズによる検体
の濃縮方法と遺伝子操作等のバイオテクノロジー技術を
組み合わせても数日間の短縮が達成できるに過ぎず、微
生物の迅速に同定できる手法の確立が依然として求めら
れていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、本発明は、
試料中の目的微生物の迅速な検出方法を提供することを
課題とする。より具体的には、本発明は、前培養を行う
ことなく検体試料から直接微生物を検出することができ
る微生物の迅速な検出方法を提供することを課題とす
る。さらに、本発明は、検体試料中の微生物濃度が1×
103 個/mlにおいても検出可能である微生物の検出
方法を提供することを課題とする。さらに、本発明は、
検体試料の処理の開始から微生物の検出までを数時間以
内に終了することができるような微生物の検出方法を提
供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、磁気ビーズに目的と
する微生物と特異的に反応する抗体を結合し、その磁気
ビーズを試料中に加えることで夾雑物が多く含まれてい
る試料中から目的微生物のみを磁気ビーズに吸着させ、
その磁気ビーズ−微生物結合体に対して蛍光色素で標識
した抗体を反応させ、その磁気ビーズ−微生物−蛍光標
識抗体の複合体をフローサイトメトリーで検出すること
により、試料を入手後わずか数時間で目的微生物を高感
度で検出できることを見出した。本発明はこれらの知見
に基づいて完成したものである。
【0015】即ち、本発明によれば、微生物を含む試料
とビーズとを接触させる工程、及びフローサイトメトリ
ーにより該ビーズに結合した微生物を検出する工程を含
む、微生物の検出方法が提供される。
【0016】本発明の第1の態様によれば、微生物を含
む試料と、当該微生物と親和性を有する第1の物質を結
合した磁気ビーズとを接触させる工程、ビーズに吸着し
た微生物に蛍光標識物質を結合させた当該微生物と親和
性を有する第2の物質を結合させる工程、及びビーズ/
微生物/蛍光標識物質の複合体をフローサイトメトリー
により検出する工程を含む、微生物の検出方法が提供さ
れる。
【0017】本発明の第2の態様によれば、微生物を含
む試料と、当該微生物と親和性を有する第1の物質を結
合した磁気ビーズとを接触させる工程、ビーズに吸着し
た微生物に、蛍光標識物質を結合させた当該微生物の細
胞内に存在する物質と親和性を有する第3の物質を結合
させる工程、及びビーズ/微生物/蛍光標識物質の複合
体をフローサイトメトリーにより検出する工程を含む、
微生物の検出方法が提供される。
【0018】本発明の第3の態様によれば、微生物を含
む試料と、当該微生物と親和性を有する第1の物質を結
合した磁気ビーズとを接触させる工程、ビーズに吸着し
た微生物に、蛍光標識物質を結合させた当該微生物と親
和性を有する第2の物質と蛍光標識物質を結合させた当
該微生物の細胞内に存在する物質と親和性を有する第3
の物質とを結合させる工程、及びビーズ/微生物/蛍光
標識物質の複合体をフローサイトメトリーにより検出す
る工程を含む、微生物の検出方法が提供される。
【0019】好ましくは、微生物と親和性を有する第1
の物質は、当該微生物に対する抗体であり、さらに好ま
しくは該抗体はポリクローナル抗体である。好ましく
は、蛍光標識物質を結合させた物質は、蛍光色素で標識
した抗体であり、さらに好ましくは、蛍光色素で標識し
た抗体はモノクローナル抗体である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施方法及び実施
態様について詳細に説明する。本発明による微生物の検
出方法は、微生物を含む試料とビーズとを接触させる工
程、及びフローサイトメトリーにより該ビーズに結合し
た微生物を検出する工程を含む。微生物を含む試料の種
類は特に限定されない。細菌の検出が必要な場合として
は、食中毒,病院の院内感染などの細菌感染症の原因と
なる細菌の同定を行う場合や、食品工場などでの用水等
の汚染細菌の同定を行う場合などが挙げられる。より具
体的には、例えば、細菌の検出が求められる環境水や環
境空気、食品や上下水、病院、精密機器製造工場等にお
いて、存在が忌避される細菌を検出する場合が挙げられ
る。さらには、伝染病感染者等の患者由来来の試料(例
えば、便、尿、血液など)中の病原微生物(特にはO−
157など)を検出する場合が挙げられる。本発明で検
出すべき微生物の種類は特に限定されず、大腸菌、黄色
ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎菌、シュードモナス属、バ
チルス属、クロストリジウム属などの細菌や、酵母、カ
ビ、放線菌などの微生物一般に適用できる。
【0021】本発明で用いるビーズは、検出すべき微生
物を特異的に吸着できるものであればその種類は特に限
定されない。本発明で用いるビーズとしては、通常のビ
ーズに、検出すべき微生物と親和性を有する物質(例え
ば、検出すべき微生物に対する抗体など)を結合させた
ものを用いることが好ましい。ビーズに結合する抗体と
しては、検出すべき目的微生物に特異的な抗体であれば
モノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよい
が、この過程では微生物の吸着を強固に行う必要がある
ことからポリクローナル抗体であることが好ましい。ビ
ーズに抗体を結合する方法は当業者に公知であり、ビー
ズの種類に応じて適宜選択することができる。例えば、
ビーズを適当な方法で活性化し(トシル活性化など)、
これを抗体のアミノ基と結合させる方法などが挙げられ
る。
【0022】本発明で用いるビーズの種類としては、プ
ラスチック製ビーズでも磁石に吸着する磁気ビーズでも
よいが、分離操作の容易性、並びに検出感度の観点か
ら、本発明では磁気ビーズを用いることが好ましい。
【0023】本発明で用いるビーズのサイズは、夾雑物
の混入を回避して検出すべき目的微生物を単離できるよ
うなサイズであり、かつ高感度での測定を可能にするサ
イズであれば特に限定されない。このような観点から、
本発明で用いるビーズのサイズは好ましくは、1μmか
ら10μmであり、より好ましくは2.8μmから6μ
mである。ビーズのサイズが1μm以下ではノイズレベ
ルと同程度であり、夾雑物が完全に取り除けない場合に
は夾雑物とノイズの区別がつかない。一方、10μmの
ビーズを使用する場合は、夾雑物の混入は問題とならな
いが、ビーズ自体のサイズにばらつきがあるため、得ら
れる蛍光量もばらつきが大きくなり、その結果、高感度
での測定が不可能となる。
【0024】本発明による微生物の検出方法の好ましい
態様は、微生物を含む試料と、当該微生物と親和性を有
する第1の物質を結合した磁気ビーズとを接触させる工
程、ビーズに吸着した微生物に、蛍光標識物質を結合さ
せた当該微生物と親和性を有する第2の物質を結合させ
る工程、及びビーズ/微生物/蛍光標識物質の複合体を
フローサイトメトリーにより検出する工程を含む。蛍光
標識物質を結合させた当該微生物と親和性を有する第2
の物質としては、蛍光色素で標識した抗体が好ましい。
このような蛍光標識抗体としては、検出目的の微生物に
特異性のある抗体であれば、モノクローナル抗体でもポ
リクローナル抗体でもよい。この過程では微生物に対す
る非特異的結合を回避する必要があることから、ここで
用いる蛍光標識抗体としてはモノクローナル抗体が好ま
しい。
【0025】即ち、本発明の特に好ましい態様によれ
ば、微生物を含む試料と、当該微生物に対するポリクロ
ーナル抗体を結合した磁気ビーズとを接触させ、次い
で、ビーズに吸着した微生物に蛍光標識物質を結合させ
た当該微生物に対するモノクローナル抗体を結合させ
る。試料中から目的微生物のみを捕捉することが磁気ビ
ーズには要求されるが、これを緩やかにすれば目的微生
物を逃すことはないが、他の微生物も磁気ビーズにより
捕捉される可能性がある。一方、これを厳格にすれば他
の微生物の捕捉率は限りなく小さくできるが目的微生物
を捕捉し損う危険性がある。そこで、微生物吸着過程で
はポリクローナル抗体でやや広く微生物を吸着し、蛍光
標識抗体として特異性が厳しいモノクローナル抗体を使
用することが、本発明では好ましい。
【0026】本発明で用いる蛍光標識物質の種類は、フ
ローサイトメトリーで検出できるものであれば特に限定
されず、例えば、フィコエリスリン(PE)、FITC
が挙げられるが、この他にも、エチジウムブロマイド
(Ethidium bromide)、プロピジウムアイオダイド(Pr
opidium iodide)、ヘキスト(Hoechst)33258/33342、
DAPI、アクリジンオレンジ(Acridine orange) 、クロモ
マイシン(Chromomycin) 、ミトラマイシン(Mithramyci
n) 、オリボマイシン(Olivomycin)、パイロニン(Pyroni
n) Y 、チアゾールオレンジ(Thiazole orange) 、ロー
ダミン(Rhodamine) 101 イソチオシアネート(isothiocy
anate)、BCECF 、BCECF-AM、C.SNARF-1 、C.SNARF-1-AM
A 、エクオリン(Aequorin)、Indo-1、Indo-1-AM 、Fluo
-3、Fluo-3-AM 、Fura-2、Fura-2-AM 、オキソノール(O
xonol)、ローダミン(Rhodamine) 123 、 10-N-ノニ−ア
クリジンオレンジ(nony-acridine orange)、フルオレセ
イン(Fluorescein) 、フルオレセインジアセテート(Flu
orescein diacetate) 、カルボキシフルオレセイン(Car
boxyfluorescein)(CF)、カルボキシフルオレセインジア
セテート(Carboxyfluorescein diacetate)(CFDA)、カル
ボキシジクロロフルオレセイン(Carboxydichlorofluore
scein)(CDCF)、カルボキシジクロロフルオレセインジア
セテート(Carboxydichlorofluorescein diacetate)(CDC
FDA)などが挙げられる。フローサイトメトリーで検出す
る時に用いる蛍光標識抗体は、抗体に直接上記蛍光物質
を結合させてもよいし、抗体にはビオチンを標識してお
き、蛍光物質にはアビジンを結合させてもよい。これら
の標識化のプロトコールは、プロトコール集である「Cu
rrent Protocols in Cytometry」(ISAC(The Internatio
nal Society for Analytical Cytology))の4.2.章
Conjugation of fluorochromes to monoclonal antibod
yに記載されている。また、同様の内容はインターネッ
ト上からも見ることが可能であり、アドレス( HYPERLI
NK "http://www.drmr.com/abcon/" http://www.drmr.co
m/abcon/)のConjugation of monoclonal antibodies
にも詳しく記載されているので、この方法に従って標識
化可能である。
【0027】本発明の好ましい実施態様について、検出
微生物が大腸菌O−157である場合を例に挙げて以下
に説明する。先ず磁気ビーズに大腸菌O−157と特異
的に反応する抗体を結合させる。次に、この抗体結合磁
気ビーズを目的試料中に入れ、よく混合し、抗体結合磁
気ビーズに大腸菌O−157を吸着させ、磁石により磁
気ビーズのみを吸着しつつ、残りの試料をそのまま廃棄
する。その後、リン酸緩衝液等で抗体結合磁気ビーズに
非特異的に吸着した夾雑物(大腸菌O−157以外の微
生物等)を、洗い流した後、フィコエリスリン(PE)
で標識した大腸菌O−157に特異的な抗体を反応さ
せ、このフィコエリスリン標識抗体−大腸菌O−157
−磁気ビーズの複合体をフローサイトメトリーにて検出
する。
【0028】フローサイトメトリーは、単離した細胞を
浮遊液にし、高速でフローセル中を通過させ、光学的な
手法によって細胞の計測を行う方法である。フローサイ
トメトリーでは、蛍光色素によって微生物を染色するこ
とが必要であり、試料が微細管を通過する過程で発する
蛍光を高感度検出器によって測定する。即ち、フローサ
イトメトリーでは、通常、数十μm〜数百μm内径程度
の微細な管状のフローセルに被検液を流しながらこれに
励起光を照射し、流動する被検液中で発せられる蛍光を
受光し検出する。
【0029】さらに本発明によれば、微生物を含む試料
と、当該微生物と親和性を有する第1の物質を結合した
磁気ビーズとを接触させる工程、ビーズに吸着した微生
物に、蛍光標識物質を結合させた当該微生物の細胞内に
存在する物質と親和性を有する第3の物質を結合させる
工程、及びビーズ/微生物/蛍光標識物質の複合体をフ
ローサイトメトリーにより検出する工程を含む、微生物
の細胞内に存在する物質の検出方法が提供される。
【0030】微生物の中には、特殊な毒素を生産する微
生物がある。このような毒素は生産後に菌体外に放出さ
れるのではなく、菌体内に蓄えられるものもある。この
ような菌体内の毒素を検出することができれば、特殊な
毒素を産生する微生物を直接検出することが可能とな
る。また、同じ種類の微生物であっても毒素を産生する
菌と毒素を産生しない菌が存在する場合がある。このよ
うな、場合は、上述した本発明による微生物の検出方法
で陽性と判断された場合でも、、毒素を作らない菌を検
出している可能性もある。従って、細菌等の微生物内の
毒素を直接検出することは臨床診断上きわめて重要であ
る。
【0031】本発明で用いる、蛍光標識物質を結合させ
た当該微生物の細胞内に存在する物質と親和性を有する
第3の物質としては、蛍光色素で標識した抗体が好まし
い。このような蛍光標識抗体としては、検出目的である
細胞内の物質に特異性のある抗体であれば、モノクロー
ナル抗体でもポリクローナル抗体でもよいが、モノクロ
ーナル抗体が好ましい。また、ここで言う蛍光標識物質
の種類は、フローサイトメトリーで検出できるものであ
れば特に限定されず、具体例としては、本明細書中上記
したものが挙げられる。
【0032】このような細菌とそれにより産生される毒
素の組み合わせの例としては、大腸菌O−157とそれ
により産生されるベロ毒素が挙げられる。大腸菌O−1
57により産生されるベロ毒素を検出する場合を例に挙
げて、本発明の方法を以下に具体的に説明する。先ず、
磁気ビーズに大腸菌O−157と特異的に反応する抗体
を結合させ、この抗体結合磁気ビーズを、予め加熱処理
にて大腸菌等の微生物の細胞膜に孔をあける処理をした
目的試料中に入れ、よく混合し、抗体結合磁気ビーズに
大腸菌O−157を吸着させ、磁石により磁気ビーズの
みを吸着しつつ、残りの試料をそのまま廃棄する。次い
で、リン酸緩衝液等で抗体結合磁気ビーズに非特異的に
吸着した夾雑物(大腸菌O−157以外の微生物等)
を、洗い流した後、フィコエリスリン(PE)で標識し
たベロ毒素に特異的な抗体を反応させ、このフィコエリ
スリン標識抗ベロ毒素抗体−大腸菌O−157−磁気ビ
ーズの複合体をフローサイトメトリーにて検出する。
【0033】さらに本発明においては、蛍光標識物質を
結合させた当該微生物と親和性を有する第2の物質と一
緒に、蛍光標識物質を結合させた当該微生物の細胞内に
存在する物質と親和性を有する第3の物質とを併用する
ことにより、当該微生物の検出と同時に当該微生物の細
胞内の物質の検出を行なうことも可能である。この場
合、微生物と親和性を有する第2の物質の蛍光標識と、
毒素等に細胞内に存在する物質と親和性を有する第3の
物質の蛍光標識とは異なるが、同一の波長のレーザにて
直接同時に検出することが可能であることが好ましい。
【0034】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に
説明する。なお、本実施例では大腸菌O−157を検出
対象としたが、抗体を選択することで大腸菌O−157
以外の菌の検出も同様に可能である。即ち、以下の実施
例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神か
ら逸脱しない限り適宜変更することができ、本発明の範
囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0035】実施例1:予備検討 (1)ビーズの最適サイズの検討 フローサイトメトリーで測定できるビーズの最適サイズ
を検討した。すなわち、1μm、2.8μm、3μm、
6μm、10μmのポリスチレンビーズ及び磁気ビーズ
をフローサイトメトリーで測定し、FSC(前方散乱
光:細胞、ビーズの大きさに相関する)、SSC(側方
散乱光:細胞、ビーズの形状を反映する)を測定し、フ
ローサイトメトリーの測定に適したビーズのサイズを求
めた。
【0036】なお、実施例で用いたフローサイトメトリ
ーの装置は、FACScan(登録商標)(Becton Dic
kinson社製)を用いて測定した。従って、励起波長48
8mの空冷アルゴンレーザー(出力15mW)で励起
し、PMTにて検出する系である。測定条件は、FLUID
controlをLowに設定し、10,000サンプルを取り込
むと測定終了する設定で、蛍光(FL1〜FL3)−散
乱光(FSC、SSC)の設定は以下の通りとした。
【0037】その結果を図1に示す。図1の結果から分
かりように、2.8μm、3μm、6μmがビーズのC
Vもよく、まとまりのある集団として検出できることが
判明した。
【0038】(2)ビーズの種類の検討 微生物を捕捉するビーズとしてプラスチック製ビーズ、
磁石に吸着する磁気ビーズ等いろいろな種類のビーズが
あるが、これらのビーズが多数の夾雑物の中から目的の
微生物を感度よく検出できるかどうかを調べた。 <プラスチック製ビーズを用いる方法>サンプル(10
%サスペンジョン)に抗O−157抗体固定3μmビー
ズを添加し、遠心洗浄し、FITC抗O−157抗体
(PoAb)を添加し、遠心洗浄したビーズをPBSに
懸濁した。サンプルは大腸菌O−157:H7(1×1
7、1×106、1×105、1×104個/ml)であ
り、混在菌はSalmonella typhimrium(1×109個/m
l)である。
【0039】方法の概要と結果を図2に示す。ポリスチ
レン等のプラスチックビーズではサンプル中の微生物等
の夾雑物とビーズの区別は付くもののそのままデータを
取り込めば夾雑物によるノイズが大きくサンプル中に存
在する大腸菌O−157の数がビーズのみにゲートを設
定した後にデータを取り込む必要があった。この方法で
はサンプル中に目的の微生物1×105 個以上存在しな
ければ検出することができなかった(図2)。
【0040】<磁気ビーズを用いる方法>サンプル(1
0%サスペンジョン)に抗O−157抗体結合磁気ビー
ズを添加し、磁石で吸着し、FITC抗O−157抗体
(PoAb)を添加し、磁石で吸着したビーズをPBS
に懸濁した。サンプルは大腸菌O−157:H7(1×
106、1×105、1×104個/ml)であり、混在
菌はSalmonella typhimrium(1×109個/ml)であ
る。
【0041】方法の概要と結果を図3に示す。磁気ビー
ズにおいてはサンプルと抗O−157抗体結合磁気ビー
ズを反応させた後、磁石で磁気ビーズを吸着することに
より1×104 個以上サンプル中に大腸菌O−157が
存在すれば検出可能であることがわかった(図3)。し
かし、磁気ビーズを用いてもビーズの分画にゲートを設
定することが感度を上げる条件であることを明らかにし
た(図3)。
【0042】実施例2:磁気ビーズを用いた大腸菌O−
157の検出 (1)磁気ビーズへの抗体の結合 サンプル中の大腸菌O−157を捕捉するために磁気ビ
ーズに大腸菌O−157と特異的に反応する抗体を固定
することが必要となるが、固定に利用する抗体として、
ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の何れが適
しているのかを検討した。すなわちポリクローナル抗体
(抗O−157抗体)としてKPL社の抗体を磁気ビー
ズ(トシル活性化磁気ビーズ:2.8μm、ダイナビー
ズ)に結合したものと、モノクローナル抗体(抗O−1
57抗体)(ATCC HB−10452)を磁気ビー
ズ(トシル活性化磁気ビーズ:2.8μm、ダイナビー
ズ)に結合したものを作製し、大腸菌O−157をどの
程度捕捉できるのかを検討した。固定化方法としてはト
シル活性化磁気ビーズと抗体のアミノ基を結合した。測
定条件は、大腸菌O−157:H7(1×106、1×
105、1×104、1×103個/ml)であり、ビー
ズ濃度は5×105個/mlである。
【0043】得られた結果を図4に示す。図4に示すよ
うにサンプル中から大腸菌O−157を捕捉するのには
ポリクローナル抗体を用いる方が約1000倍高感度で
検出可能であった。
【0044】(2)検出用蛍光標識抗体の蛍光色素、抗
体種の検討 サンプル中から大腸菌O−157を確実に捕捉するには
ポリクローナル抗体を結合した磁気ビーズを用いた方が
高感度であることがわかったが、最終的に大腸菌O−1
57を捕捉している磁気ビーズを検出するための抗体と
して好ましいものを検討した。先ず、検出のための抗体
としてモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体の何
れか好適なのかを検討した。また、蛍光色素としてFI
TC、フィコエリスリン(PE)についても検討した。
検討用抗体としては、ポリクローナル抗体(抗O−15
7抗体)としてはKPL社の抗体を使用し、モノクロー
ナル抗体(抗O−157抗体)としてはATCC HB
−10452を使用した。測定条件は、大腸菌O−15
7:H7(1×107、1×106、1×105、1×1
4、1×103個/ml)であり、ビーズ濃度は5×1
5個/mlである。
【0045】得られた結果を図5に示す。図5に示すよ
うに感度的には検出用抗体もポリクローナル抗体の方が
高感度であり、蛍光色素としてはPEが高感度であるこ
とが判明した。しかし、大腸菌O−157の捕捉にポリ
クローナル抗体を用い、検出にもポリクローナル抗体を
用いることは陰性を陽性と判定することに繋がりかねな
い。検出用としてモノクローナル抗体を用いればポリク
ローナル抗体に比べて感度が落ちるものの特異性は高
い。また、蛍光色素をPEとすればモノクローナル抗体
でも高感度に検出が可能である。従って、検出用標識抗
体としてはPE標識モノクローナル抗体(ATCC:H
B−10452)が好ましいことが分かった。
【0046】実施例3:検出反応諸条件の検討 (1)サンプル量の検討 検体の種類によってはサンプル量が少ししか取れない場
合や十分に取れる場合がある。そこで、実際大腸菌O−
157を検出するにはどれくらいのサンプルが必要であ
るかを検討した。大腸菌O−157を10%サスペンジ
ョン(ウサギの便をPBS(リン酸緩衝液)で10%に
薄めた後、100μmのフィルターで濾過したもの)に
1×103 個/ml〜1×107 個/mlとなるように
添加し、ポリクローナル抗体を結合させた磁気ビーズ及
びPE標識モノクローナル抗体を用いて反応した。サン
プル液量は0.25ml、0.5ml、1.0ml、
2.0mlおよび4.0mlとした。得られた結果を図
6に示す。図6に示すようにサンプル量が250μlあ
れば4mlのサンプルがある場合と変わらないことがわ
かり、本方法は微量サンプルをもとに検査しなければな
らない場合にも有効な方法であるといえる。
【0047】(2)反応時間の検討 検体から大腸菌O−157を捕捉するのに要する時間と
蛍光標識抗体の反応時間を調べた。サンプルは大腸菌O
−157:H7(1×106個/ml)であり、ビーズ
は抗O−157抗体結合磁気ビーズ(2.5×104
/サンプル)であり、検出用の抗体は、FITC標識抗
O−157抗体(PoAb)であり、反応時間は0.5
分から90分とした。得られた結果を図7に示す。検体
中の大腸菌O−157は抗体結合磁気ビーズと結合する
のに要する時間は図7に示すように30分あれば十分で
あり、検出用の蛍光標識抗体の反応時間は図8に示すよ
うに20分以上で十分であることがわかった。
【0048】(3)攪拌の検討 検体から磁気ビーズを用いて大腸菌O−157を捕捉す
るとき磁気ビーズの比重が大きいため(1.45g/c
3 )、反応中に静置したままではすぐに磁気ビーズが
沈殿してしまう。そこで、ローテート(サンプルを回転
しつつ攪拌する方式)、ピペットで液の吸引・吐出を行
うピペッティングを5分間隔で実施する方式、静置で比
較検討した。サンプルは大腸菌O−157:H7(1×
107、1×105、1×103個/ml)であり、ビー
ズは抗O−157抗体結合磁気ビーズ(5×105個/
ml)であり、検出用の抗体は、FITC標識抗O−1
57抗体(PoAb)であり、反応液容量は4mlであ
る。得られた結果を図9に示す。図9に示すように静置
だと検出感度が悪くなるが、ローテートとピペッティン
グでは良好な検出感度であることがわかり、どちらかの
方法で攪拌することで感度よく検出することができるこ
とを明らかにした。
【0049】(4)洗浄液の検討 サンプル中に磁気ビーズを加えて反応させた後、磁石で
磁気ビーズのみ吸着し、他のサンプル液は廃棄(ピペッ
トによる吸引除去)し、次いで検出用の蛍光標識抗体を
添加することとなる。この蛍光標識抗体を添加する前に
洗浄する必要があるのか、どのような洗浄液で洗浄すれ
ばよいのか、洗浄が必要ならば何回洗浄する必要がある
のかに関して、検討した。サンプルは大腸菌O−15
7:H7(1×106、1×105、1×104個/m
l)であり、ビーズは抗O−157抗体結合磁気ビーズ
(2.5×104個/サンプル)であり、検出用の抗体
は、FITC標識抗O−157抗体(PoAb)であ
る。洗浄回数の検討ではPBSを使用して洗浄回数は0
回、1回又は2回とした。洗浄液種の検討では、洗浄液
としてPBS、0.05%Tween20−PBS、
0.1%BSA−PBSを使用した。
【0050】得られた結果を図10及び図11に示す。
図10及び図11に示すように、洗浄は必要で、洗浄液
としては洗浄力のある界面活性剤(Tween20等)
やタンパク質(BSA)を加えた液が洗浄力があり、洗
浄回数は1回で十分であることを明らかにした。
【0051】実施例4:検出プロトコール 実施例1から3の結果をもとに大腸菌O−157を高感
度で検出するプロトコールを以下に示す。 (1)サンプルを分注する。サンプル量は250μl以
上であれば検出可能である。 (2)抗体標識磁気ビーズを添加する。ポリクローナル
抗体を結合したものを使用し、濃度は2×104 個/サン
プルとする。 (3)反応を行なう。攪拌はローテートまたはピペッテ
ィングどちらでも可であり、反応時間は30分以上とす
る。 (4)洗浄する(0.01%のBSAまたは0.05%
のTween20が入ったPBSを用いて1回以上洗浄
する。 (5)サンプルをPBSにサスペンド(250μl〜1
ml)する。 (6)蛍光標識抗体を添加する。 (7)反応を行なう。攪拌はローテートまたはピペッテ
ィングどちらでも可であり、反応時間は20分以上とす
る。 (8)洗浄する。0.01%のBSAまたは0.05%
のTween20が入ったPBSを用いて1回以上洗浄
する。 (9)PBSにサスペンド(200μl)する。 (10)フローサイトメトリーで測定する。
【0052】実施例5:細菌内毒素(ベロ毒素)のフロ
ーサイトメトリー検出 大腸菌O−157の特徴はベロ毒素と呼ばれる毒素を生
産することである。このベロ毒素は生産された後は次々
と菌体外に放出されるのではなく、一旦菌体内に蓄えら
れるとの報告もある。この菌体内のベロ毒素を検出でき
れば毒素産生の大腸菌O−157の直接検出が可能とな
る。また、大腸菌O−157の中やその類遠菌には毒素
を産生しない菌もある。仮に先述の大腸菌O−157の
検出方法により陽性となっても、毒素を作らない菌であ
る可能性もある。したがって、細菌内の毒素を直接検出
することは臨床診断上きわめて重要である。そこで、先
述の菌の検出方法を改変して菌体内のベロ毒素を検出す
ることが可能かどうか検討した。
【0053】菌体内にあるベロ毒素は何の処理もしなけ
れば抗体は反応することができない。しかし、菌体とし
て形状は維持しつつ、菌体に抗体が浸透するような穴を
あけることが可能であれば菌体内のベロ毒素を抗体で検
出することは可能である。そこで、菌体の形状を維持し
つつベロ毒素に抗体が反応する手段として、菌体の熱処
理(95℃、5分間)を行ったサンプルを用いて検出し
た。検出プロトコールはサンプルとしてあらかじめ熱処
理を行った大腸菌を用い、抗大腸菌O−157を結合し
た磁気ビーズで大腸菌O−157を捕捉した後、蛍光標
識抗ベロ毒素抗体にて大腸菌内のベロ毒素を検出する方
法で検討した。
【0054】測定条件としては、サンプルは大腸菌O−
157:H7(1×106個/ml)であり、磁気ビー
ズは5×105個/mlで使用し、抗体としては抗VT
1,2モノクローナル抗体(クローン19)とFITC
標識抗マウスIg抗体(PharMingen)を使用した。得ら
れた結果を図12に示す。図12に示すようにベロ毒素
を産生する大腸菌O−157を検出可能であった。
【0055】実施例6:大腸菌O−157の検出感度に
ついて 上記検討結果を踏まえてウサギ便の10%サスペンジョ
ン中に種々の量の大腸菌O−157を加えたものをサン
プルとして検出感度を測定した。サンプルは大腸菌O−
157:H7(10%サスペンジョン中)(1×1
7、1×106、1×105、1×104、1×103
1×102個/ml)であり、磁気ビーズは5×105
/mlで使用し、反応液容量は1mlであり、反応時間
は60分間とした。得られた結果を図13に示す。図1
3から分かるように、大腸菌O−157の濃度が1×1
3 個/mlでも陽性である見分けることができた。
【0056】これに関し、同一サンプルにて市販のキッ
ト(VIP:グンゼ産業、TECRA:セフティーリミ
ティッド)を用いて比較検討した。VIP FOR E
HTC(E.coli O157)(グンゼ産業)を使用する場合
は、 サンプルは大腸菌O−157:H7(10%サス
ペンジョン中)(1×10 8、1×107、1×106
1×105、1×104、1×103個/ml)であり、
液量は0.1mlであり、反応時間は10分間である。
TECRA E.coli O157 VISUAL IMMUNOASSAY(セフテ
ィーリミティッド)を使用する場合は、サンプルは大腸
菌O−157:H7(10%サスペンジョン中)(1×
108、1×107、1×106、1×105、1×1
4、1×103、1×102個/ml)であり、液量は
0.2mlであり、反応時間は2時間である。
【0057】VIPを用いた場合、1×108、1×1
7、1×106個/mlでは陽性となったが、それ以下
では陽性とならなかった。また、TECRAでは、1×
10 8〜1×105個/mlではO−157の濃度依存的
な発色が認められ、陽性と判定できたが、1×104
/mlでは陰性コントロールと同じ発色で陽性とは認め
られなかった。
【0058】
【発明の効果】本発明の方法は以下の利点を有する。 (1)前培養を行うことなく検体試料から直接微生物を
検出することができる。即ち、被験者から直接採取した
便又は食物を試料として使用でき、試料を予め前培養、
選択培養に付して検出すべき目的微生物を増殖させるこ
とが不要である。 (2)試料中の微生物濃度が1×103 個/mlにおい
ても検出可能である。 (3)試料の処理の開始から微生物の検出までを数時間
以内に終了することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、フローサイトメトリーで用いるビーズ
の最適サイズの検討した結果を示す。
【図2】図2は、プラスチック製ビーズを用いる方法の
概要とその結果を示す。
【図3】図3は、磁気ビーズを用いる方法の概要とその
結果を示す。
【図4】図4は、ビーズ固定用抗体の検討の結果を示
す。
【図5】図5は、O−157検出用抗体の検討の結果を
示す。
【図6】図6は、サンプル液量の検討の結果を示す。
【図7】図7は、サンプルと磁気ビーズとの反応時間の
検討の結果を示す。
【図8】図8は、蛍光標識抗体の反応時間の検討の結果
を示す。
【図9】図9は、攪拌の有無及び攪拌条件の検討の結果
を示す。
【図10】図10は、洗浄条件(洗浄回数)の検討の結
果を示す。
【図11】図11は、洗浄条件(洗浄液の種類)の検討
の結果を示す。
【図12】図12は、ベロ毒素の検出の検討の結果を示
す。
【図13】図13は、磁気ビーズ凝集法の評価の結果を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/569 G01N 33/569 Z

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物を含む試料とビーズとを接触させ
    る工程、及びフローサイトメトリーにより該ビーズに結
    合した微生物を検出する工程を含む、微生物の検出方
    法。
  2. 【請求項2】 微生物を含む試料と、当該微生物と親和
    性を有する第1の物質を結合した磁気ビーズとを接触さ
    せる工程、ビーズに吸着した微生物に、蛍光標識物質を
    結合させた当該微生物と親和性を有する第2の物質を結
    合させる工程、及びビーズ/微生物/蛍光標識物質の複
    合体をフローサイトメトリーにより検出する工程を含
    む、請求項1に記載の微生物の検出方法。
  3. 【請求項3】 微生物を含む試料と、当該微生物と親和
    性を有する第1の物質を結合した磁気ビーズとを接触さ
    せる工程、ビーズに吸着した微生物に、蛍光標識物質を
    結合させた当該微生物の細胞内に存在する物質と親和性
    を有する第3の物質を結合させる工程、及びビーズ/微
    生物/蛍光標識物質の複合体をフローサイトメトリーに
    より検出する工程を含む、請求項1に記載の微生物の検
    出方法。
  4. 【請求項4】 微生物を含む試料と、当該微生物と親和
    性を有する第1の物質を結合した磁気ビーズとを接触さ
    せる工程、ビーズに吸着した微生物に、蛍光標識物質を
    結合させた当該微生物と親和性を有する第2の物質と蛍
    光標識物質を結合させた当該微生物の細胞内に存在する
    物質と親和性を有する第3の物質とを結合させる工程、
    及びビーズ/微生物/蛍光標識物質の複合体をフローサ
    イトメトリーにより検出する工程を含む、請求項1に記
    載の微生物の検出方法。
  5. 【請求項5】 微生物と親和性を有する第1の物質が、
    当該微生物に対する抗体である、請求項2から4の何れ
    かに記載の微生物の検出方法。
  6. 【請求項6】 微生物に対する抗体がポリクローナル抗
    体である、請求項5に記載の微生物の検出方法。
  7. 【請求項7】 蛍光標識物質を結合させた物質が、蛍光
    色素で標識した抗体である、請求項2から4の何れかに
    記載の微生物の検出方法。
  8. 【請求項8】 蛍光色素で標識した抗体がモノクローナ
    ル抗体である、請求項7に記載の微生物の検出方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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