JP2002180977A - スクロール流体機械 - Google Patents

スクロール流体機械

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JP2002180977A
JP2002180977A JP2000380821A JP2000380821A JP2002180977A JP 2002180977 A JP2002180977 A JP 2002180977A JP 2000380821 A JP2000380821 A JP 2000380821A JP 2000380821 A JP2000380821 A JP 2000380821A JP 2002180977 A JP2002180977 A JP 2002180977A
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scroll
axial direction
fluid machine
locking pin
ring groove
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JP2000380821A
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Masaru Tsuchiya
勝 土屋
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Anest Iwata Corp
Original Assignee
Anest Iwata Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固定スクロールにおける固定ラップと、旋回
スクロールにおける旋回ラップを噛み合わせ状に嵌合
し、かつピン・リング溝方式の旋回スクロール自転防止
機構を設けたスクロール流体機械において、旋回スクロ
ールの軸線方向の変位もしくは変形を防止する。 【解決手段】 固定スクロール20、30、または旋回
スクロール40のいずれかの一方に設けた係止ピン4
6、47と、同じく他方に設けた前記係止ピン46、4
7の先端が係合しうるリング溝26、36の少なくとも
いずれか一方を、軸線方向へ弾性的に移動もしくは変形
可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スクロール圧縮
機、スクロール真空ポンプ、スクロール膨張機、スクロ
ール送風機等のスクロール流体機械であって、固定スク
ロールと対向して旋回する旋回スクロールを、ピン・リ
ング溝方式の自転防止機構を介して配設したものに関す
る。
【0002】
【従来の技術】スクロール流体機械における自転防止機
構には、ピンクランク方式のものと、ピン・リング溝方
式のものとがある。
【0003】本発明は、ピン・リング溝方式の自転防止
機構を備えるスクロール流体機械に関するものであり、
かかるスクロール流体機械自体については、関係技術者
に公知であるが、念のため、その概要を、特開昭57−
203801号公報を参照して説明しておく。なお次の
説明において、各要素に付した符号は、上記公報におい
て付されているものの前に、0を付加したものである。
【0004】駆動シャフト(013)と一体をなす偏心筒内
に、可動スクロール(01)の中心に設けたシャフト(02)
を、ニードルベアリング(015)を介して枢支し、かつ固
定スクロール(08)の側板(端板)(08a)の外周付近に設
けた複数のリング状溝(09)に、可動スクロール(01)の基
板(端板)(01a)の外周部に軸受(04)を介して枢支した、
駆動シャフト(013)と平行をなす係止ピン(010)の先端
を、滑動自在に嵌合してある。
【0005】前記リング溝(09)の半径は、駆動シャフト
(013)の中心軸と、前記シャフト(02)の中心軸との偏心
量(e)に等しい。
【0006】駆動シャフト(013)を回転させると、可動
スクロール(01)のシャフト(02)は、偏心量(e)を半径と
する軌道円を描いて揺動するが、可動スクロール(01)に
枢支されている係止ピン(010)は、固定スクロール(08)
の側板(08a)に設けたリング状溝(09)内のみを動きうる
ので、可動スクロール(01)は、自転することなく、前記
偏心量(e)を半径とする軌道円上を公転する。
【0007】このようなピン・リング溝方式の自転防止
機構は、ピン・クランク方式のものに比べて、軸受およ
び係止ピンの数が少なくて済むので、旋回重量を軽減さ
せることができ、駆動力の低減を図ることができるとと
もに、構造が簡素化され、かつ部品点数も、少くて足り
るので、安価に製造しうるという利点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ピン・リング
溝方式の自転防止機構を備えるスクロール流体機械にお
いては、次のような問題がある。
【0009】(a)1個の固定スクロールと旋回スクロー
ルを備えるシングルラップ式のスクロール流体機械にお
いては、固定スクロールにおける固定ラップと、旋回ス
クロールにおける旋回ラップとにより形成されている密
閉室内の圧力が、なんらかの理由により一定限度以上に
上昇して、旋回スクロールに軸線方向の異常な圧力が作
用すると、旋回スクロールの端板の外周部が湾曲もしく
は傾斜し、固定スクロールにおける固定ラップと接触す
るに至る。そのため、異常音を発生したり、かじりを生
じたりし、駆動効率は低下する。また、旋回スクロール
全体が軸方向に移動して、旋回スクロールに対する軸受
の荷重が大となって、温度上昇をきたし、補給されてい
る潤滑用グリース等が劣化するとともに、遂にはこの軸
受が破損するに至ることがある。
【0010】(b)対向する2個の固定スクロールの間に
旋回スクロールを設けたダブルラップ式のスクロール流
体機械においては、関係部材や各部の加工誤差や組立誤
差によって、また旋回スクロールの両側における密閉室
の僅かな圧力差によって、旋回スクロールが対向する2
個の固定スクロールの軸線方向の中央からやや偏位する
ことがある。そのため、旋回ラップが固定ラップと接触
したり、各部の軸受が、異常に摩耗したり、過熱したり
して、作動が不円滑となったり、動力損失が大となった
りする。
【0011】(c)同じくダブルラップタイプのものにお
いて、例えば一方の密閉室を低圧室、他方の密閉室を高
圧室とした場合、旋回スクロールには、軸線方向の大き
な推力が常態的に作用するため、上記した問題はさらに
顕著となる。
【0012】(d)固定ラップおよび(または)旋回ラッ
プの先端面にチップシールを装着したスクロール流体機
械においては、旋回スクロールの軸線方向の推力によ
り、一方のスクロールのラップの先端のチップシールの
対向するスクロールの端板に対する圧接力が過大もしく
は過小となることがある。圧接力が過大であると、摺動
抵抗が増加して、駆動力を無駄にするとともに、チップ
シールを過熱させてその摩耗を早め、シール機能を阻害
するに至り、また上記圧接力が過小であると、安定した
シール効果を得ることはできず、スクロール流体機械と
しての性能が低下することは、言うまでもない。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、ピン・リング
溝方式の自転防止機構を備えるスクロール流体機械にお
ける上記した問題点を解消することを目的とするもの
で、その具体的手段は次の通りである。 (1)主軸の偏心部へ枢支した旋回スクロールにおける旋
回ラップと、固定スクロールにおける固定ラップとを噛
み合わせ状に嵌合することによって、両ラップ間に密閉
室を形成し、かつ旋回スクロールの自転を防止するた
め、旋回スクロールと固定スクロールのいずれか一方よ
り、他方へ向けて突設した係止ピンを、同じく他方に設
けた、前記偏心部の主軸に対する偏心量と等しい半径を
有するリング溝へ係止してなるピン・リング溝式自転防
止機構を設けてなるスクロール流体機械において、前記
リング溝または係止ピンの少なくともいずれか一方を、
主軸の軸線方向に弾性的に移動もしくは変形可能とす
る。
【0014】(2)上記(1)項において、 いずれかのス
クロールの一部に、主軸の軸線方向に弾性的に移動もし
くは変形可能な部分を設け、この部分にリング溝を形成
する。
【0015】(3)上記(1)項または(2)項において、い
ずれかのスクロールの一部に、主軸の軸線方向に弾性的
に移動もしくは変形可能な部分を設け、この部分に係止
ピンを設ける。
【0016】(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおい
て、リング溝を、いずれかのスクロールに設けた保持孔
へ、軸線方向へ弾性的に移動もしくは変形しうるように
して嵌合したガイドプラグの表面に形成する。
【0017】(5)上記(4)項において、ガイドプラグの
背後に緩衝弾性体を設けることにより、ガイドプラグを
軸線方向へ弾性的に移動しうるようにする。
【0018】(6)上記(4)または(5)項において、ガイ
ドプラグの全体もしくは一部を、軸線方向へ弾性的に変
形可能な材料からなるものとする。
【0019】(7)上記(4)項〜(6)項のいずれかにおい
て、ガイドプラグの軸線方向の位置を変化させるための
調節手段を設ける。
【0020】(8)上記(1)〜(7)項のいずれかにおい
て、係止ピンの背後に緩衝弾性体を設けることにより、
係止ピンを、軸線方向へ弾性的に移動しうるようにす
る。
【0021】(9)上記(1)〜(8)項のいずれかにおい
て、係止ピンの全体もしくは一部を、軸線方向に弾性的
に変形しうるものとする。
【0022】(10)上記(1)〜(9)項のいずれかにおい
て、係止ピンおよびリング溝の相互接触部を、自己潤滑
性樹脂からなるものとする。
【0023】(11)上記(1)〜(10)のいずれかにおいて、
ダブルラップタイプのものにおいて、係止ピンとそれが
係合しているリング溝との組の一方の軸線方向の弾性力
を、他方の組のそれと異なるものとする。
【0024】
【発明の実施の形態】次に本発明を、ダブルラップタイ
プのスクロール流体機械の一例であるスクロール圧縮機
に適用した例について、図1を参照して説明する。なお
本発明は、シングルラップタイプを含むあらゆる種類の
ピン・リング溝方式のスクロール流体機械に等しく適用
しうるものであることは、関係技術者には明らかである
と思う。
【0025】左右に対向し、かつボルト(1)をもって締
結されたハウジング蓋板(2)とハウジング(3)には、中
央部に偏心部(4)を有する主軸(5)が貫挿され、主軸
(5)の左端部は、ニードルベアリング(6)を介して、ハ
ウジング蓋板(2)に枢支され、主軸(5)の右端部は、ボ
ールベアリング(7)を介してハウジング(3)に枢支され
ている。
【0026】なお主軸(5)に対する偏心部(4)の偏心量
は(e)である。ハウジング蓋板(2)は、左側の固定スク
ロール(20)の固定端板(21)と一体をなし、ハウジング
(3)は、右側の固定スクロール(30)の固定端板(31)と一
体をなし、両固定端板(21)(31)の対向面には、それぞ
れ、円形もしくはインボリュート形の固定ラップ(22)(3
2)が、軸線方向に向けて突設されている。
【0027】各固定ラップ(22)(32)の先端面には、嵌溝
(23)(33)が設けられ、各嵌溝(23)(33)内にはチップシー
ル(24)(34)が嵌合固定されている。
【0028】チップシール(24)(34)を含む各固定ラップ
(22)(32)の軸線方向の高さは、後述する旋回スクロール
の旋回端板に適正に摺動しうるように定められている。
【0029】各固定端板(21)(31)の対向面の外周部に
は、軸線方向を向く3個の有底の保持孔(25)(35)が、等
角度間隔をもって設けられ、各保持孔(25)(35)内には、
前記偏心部(4)の偏心量(e)と等しい半径を有するリン
グ溝(26)(36)を対向面に刻設した円形のガイドプラグ(2
7)(37)が、環状板ばね、皿ばね、コイルばね、ゴム塊、
プラスチック塊、あるいは密封した空気等からなる緩衝
弾性体(28)(38)を介して、軸線方向に摺動しうるように
して嵌合されている。
【0030】保持孔(25)(35)およびガイドプラグ(27)(3
8)等の数は、3個に限らず、2個以上であればよい。
【0031】主軸(5)の偏心部(4)には、左右の固定ス
クロール(20)(30)の中間に正しく位置する旋回スクロー
ル(40)における旋回端板(41)が、ニードルベアリング
(8)を介して嵌挿されている。
【0032】旋回端板(41)の両面には、円形もしくはイ
ンボリュート形の旋回ラップ(42)が、軸線方向へ向けて
突設され、その先端面に刻設された嵌溝(43)には、チッ
プシール(44)が嵌合固定されている。
【0033】前記固定ラップ(22)(32)と旋回ラップ(42)
とは互いに噛み合わせ状に嵌合されて、求心方向へ順次
小容量となる密閉室が形成されている。なおこの際、旋
回スクロール(40)におけるチップシール(44)が、固定ス
クロール(20)(30)における固定端板(21)(31)に適正に摺
接するようにしてあることは言うまでもない。
【0034】旋回スクロール(40)の旋回端板(41)の外周
端には、等角度間隔をもって径方向に突出する3個の支
杆(45)が一体的に形成され、各支杆(45)には、軸線方向
を向き、かつ先端が前記リング溝(26)(36)へ滑動自在に
嵌合しうる係止ピン(46)(47)を両側面に備えるボス(48)
が、嵌合固定されている。
【0035】前記ガイドプラグ(27)(37)と、そのリング
溝(26)(36)に嵌合されている前記ピン(46)(47)とによ
り、自転防止機構が形成されている。
【0036】上記した自転防止機構は、なんらかの原因
により、旋回スクロール(40)が側方に変位もしくは変形
しようとしたときに、旋回スクロール(40)に取り付けら
れている係止ピン(46)または(46)が、リング溝(26)また
は(36)が形成され、かつ弾性力を付与されているガイド
プラグ(27)または(37)により押し返えされるようになっ
ている。
【0037】すなわち本発明は、旋回スクロールが軸線
方向に変位もしくは変形しようとしたときに、これを弾
性的に押し返えすようにしたことを、基本的な技術思想
としており、このような技術思想を達成させるために、
次のように変形して実施することもできる。
【0038】(a) 係止ピンを固定スクロール側に、リ
ング溝を、旋回スクロール側に設ける。詳言すると、例
えば図2に示すように、固定スクロール(20)(30)の固定
端板(21)(31)の対向面の適所に設けた複数の保持孔(25)
(35)内に、それぞれ、内面に係止ピン(46)(47)を備える
ガイドプラグ(27)(37)を、緩衝弾性体(28)(38)を介し
て、軸線方向に摺動しうるようにして嵌合し、旋回スク
ロール(40)の旋回端板(41)の外周部の対応個所の両側面
に設けた主軸の偏心量の偏心室と等しい半径を有するリ
ング溝(26)(36)に、それぞれ前記各係止ピン(46)(47)の
先端を嵌合係止する。
【0039】(b) ガイドプラグの全体もしくは一部
を、軸線方向に弾性的に変形可能な材質からなるものと
する。これにより、保持孔の底部とガイドプラグとの間
に設けた緩衝弾性体を、伸縮度の小さいものとするか、
または全く省略することができる。
【0040】(c) いずれかのスクロールの一部に、軸
線方向に弾性的に変形可能な材質からなる部分を設け、
この部分に、リング溝を設ける。例えば図3に示すよう
に、固定スクロールの固定端板(31)の要所に設けた保持
孔(35)に、軸線方向に弾性的に変形可能な硬質合成樹脂
等からなり、かつ内面にリング溝(50)を刻設したプラグ
(51)を固嵌する。
【0041】(d) いずれかのスクロールの一部に、軸
線方向に弾性変形可能な部分を設け、この部分に係止ピ
ンを設ける。例えば図4に示すように、旋回スクロール
の旋回端板(41)の外周要所に設けた支杆(45)に、弾性変
形可能な硬質合成樹脂等からなるソケット(52)を被せて
固定し、その外周面の要所に、軸線方向を向く係止ピン
(53)の基部を固着する。
【0042】(e) 調節ボルト等により、ガイドプラグ
の位置を、軸線方向に変化させうるようにする。
【0043】図5はこの例を示し、図1における例えば
保持孔(35)の底部に押圧板(54)を設け、固定スクロール
(30)の外面から保持孔(35)の底部中心へ向かって穿設し
た軸線方向のねじ孔(55)に、調節ボルト(56)を螺入す
る。
【0044】(f) 係止ピンの背後に緩衝弾性体を設け
る。図6はこの例を示し、旋回端板(41)の外周要所に設
けた支杆(45)の外面に環溝(57)を設け、この環溝(57)と
合致する環溝(58)を内面に有するとともに、この環溝(5
8)の要所より、その幅よりも小径の放射方向を向く支持
孔(59)を穿設し、かつこの支持孔(59)に、基端にやや大
径の係止鍔(60)を有する係止ピン(61)を内方から嵌挿し
て、係止鍔(60)を支持孔(59)の内端において環溝(58)に
係止させ、さらに、環溝(58)に、内周部が内方へ突出す
る緩衝弾性体(62)を嵌合した支筒(63)を、前記支杆(45)
に嵌合し、前記緩衝弾性体(62)が、互いに合致する内外
の環溝(57)(58)にまたがって充填状態となるようにす
る。
【0045】(g) 係止ピン自体を、軸線方向に弾性的
に変形しうるものとする。図7はその例を示し、係止ピ
ン(64)を、ソケット(65)と、圧縮ばねその他適宜の緩衝
弾性体(66)を介して、ソケット(65)に嵌入した摺動ピン
(67)とからなるものとしてある。
【0046】(h) 係止ピンとリング溝の相互接触部
を、自己潤滑性樹脂からなるものとする。自己潤滑性樹
脂で被ってもよい。
【0047】(i) ダブルラップタイプのものにおい
て、係止ピンとリング溝の組合せの一方における軸線方
向弾性力を、他のものと異ならせる。これについては、
後で詳しく述べる。
【0048】ハウジング(3)の側胴部には吸入孔(9)
が、同じく固定端板(31)には、前記密閉室の中心部と外
気とを連通する径方向の吐出孔(10)が設けられている。
【0049】ハウジング蓋板(2)およびハウジング(3)
の外側に近接して主軸(5)には、冷却ファン(11)(12)が
一体回転しうるように取付けられ、冷却を図っている。
【0050】主軸(5)を、図示を省略した適宜の駆動手
段で回転させると、旋回スクロール(40)の旋回に伴い、
ガスは吸入孔(9)から吸入され、固定ラップ(22)(32)と
旋回ラップ(42)とが噛み合って形成されている密閉室内
において、圧縮されつつ中心方向へ向かい、吐出孔(10)
から吐出されることは、通常のスクロール圧縮機と同様
である。
【0051】次に作用について説明する。旋回スクロー
ルの左右における密閉室内の圧力バランスの不良、もし
くは各部の摩擦力の不均一等により、旋回スクロールに
軸線方向に変位もしくは変形しようとする力が作用した
場合、この力は、係止ピンとリング溝の底部により受止
められて押し返えされ、旋回スクロールは、常に正常な
位置に保持される。
【0052】前述したように、本発明は、ピン・リング
溝方式のあらゆる種類のスクロール流体機械に等しく適
用しうることは明らかであるが、念のためにその例のい
くつかを、図示してあげておく。
【0053】図8は、シングルラップタイプのスクロー
ル圧縮機に本発明を適用した例を示す。
【0054】1個の固定スクロール(20)の固定ラップ(2
2)と、1個の旋回スクロール(40)の旋回ラップ(42)を、
互いに噛み合わせ状に嵌合して、外周付近の吸入孔(9)
から、中心部の吐出孔(10)へ向かって順次小容量となる
密閉室が形成されていることは、通常のものと変わると
ころはない。
【0055】旋回ラップ(42)の反対側において、旋回ス
クロール(40)の外周付近に、主軸(5)の軸線方向を向く
複数(通常は3個)の筒孔(70)を設け、各筒孔(70)内
に、軸線方向を向く係止ピン(46)と一体をなす拡径頭(7
1)を固嵌してある。
【0056】旋回スクロール(40)を被うハウジング(3)
の外周付近の前記筒孔(70)と対応する個所には、軸線方
向の保持孔(25)を設け、その中に、緩衝弾性体(28)を介
して、内側面にリング溝(26)を有するガイドプラグ(27)
を、軸線方向に摺動可能に嵌合してある。
【0057】このものにおいても、旋回スクロール(40)
の軸線方向の変位もしくは変形に伴う衝撃等は、弾性的
に摺動するガイドプラグ(27)により吸収されることは明
らかである。
【0058】図9は、作動に伴い、旋回スクロールの両
側における圧力が必然的に相違するタイプのダブルラッ
プ方式のスクロール圧縮機に本発明を適用した例を示
す。
【0059】基本的な全体構成は、図1に示したものと
同様であるが、図9に示すものにおいては、左側の固定
スクロール(20)の外周付近に設けた吸入孔(80)より吸引
したガスを、旋回スクロール(40)の旋回端板(41)の左側
において、圧縮しつつ中心部へ導き、旋回端板(41)に穿
設した連通孔(81)を経て、旋回端板(41)の右側の圧縮室
の外周付近へ導き、再度圧縮しつつその中心部へ導いた
後、右側の固定スクロール(30)の固定端板(31)に穿設し
た径方向を向く吐出孔(82)の内端より外周方向へ吐出さ
せるようになっている。
【0060】この場合、旋回スクロール(40)の右側の圧
力は左側よりも大となるので、旋回スクロール(40)に
は、恒常的に左方を向く推力が作用することとなる。
【0061】そのため、旋回スクロール(40)の外周部の
左右に設けた係止ピン(46)(47)がそれぞれ係合している
ガイドプラグ(27)(37)の中、左方のもの(27)に大きな荷
重がかかるので、このガイドプラグ(27)を弾性的に支持
する緩衝弾性体(28)の弾性を、右方のもの(38)のそれよ
りも大きくしておく。
【0062】このように、左右の緩衝弾性体(28)(38)の
強さに、適切な差異を付与しておくことにより、旋回ス
クロールが、作動に伴う左右の圧力差によって、一方向
に偏位するのが防止され、円滑かつ軽快な作動を行わせ
ることができる。
【0063】
【発明の効果】請求項1記載の発明: 旋回スクロール
が軸線方向に変位しようとすると、弾性的抵抗が反作用
として加えられるので、旋回スクロールが変位するのが
防止される。
【0064】請求項2および3記載の発明: リング溝
または係止ピンに軸線方向の弾性力を与えるための構造
が簡単となる。
【0065】請求項4記載の発明: ガイドプラグの材
質等を選択することにより、リング溝が妄りに摩耗した
り変形したりしないようにすることができ、また万一摩
耗したり変形したりした場合には、ガイドプラグを簡単
に交換することができる。
【0066】請求項5記載の発明: ガイドプラグを耐
摩耗性の硬質のものとしても、軸線方向の推力を適切に
受けうるようにすることができる。
【0067】請求項6記載の発明: ガイドプラグの背
後に緩衝弾性体を設ける必要はなくなり、構造が簡単と
なる。
【0068】請求項7記載の発明: リング溝による弾
性的受止力を任意所望に調節することができる。
【0069】請求項8記載の発明: リング溝を設けて
ある部材もしくは部分に、格別の配慮をする必要はない
ので、構造的に簡単となる。
【0070】請求項9記載の発明: リング溝を、軸線
方向に不動のものとすることができるので、構造が簡単
となる。
【0071】請求項10記載の発明: 作動が軽快かつ
円滑になるとともに、耐摩耗性が増大する。
【0072】請求項11記載の発明: ダブルラップ方
式のスクロール流体機械においては、旋回スクロールの
各側において、圧力に差が生じ、旋回スクロールに常態
的に一定方向の推力が作用して、作動抵抗が増し、ひい
ては作動が不円滑となることがあるが、このようなおそ
れはなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスクロール圧縮機を、旋回スクロール
の両面に旋回ラップを設けたダブルラップタイプのスク
ロール圧縮機として具体化した例を示す縦断側面図であ
る。
【図2】係止ピンを固定スクロール側に、リング溝を旋
回スクロール側に設けた例を示す要部の拡大縦断側面図
である。
【図3】固定スクロールに、軸線方向に弾性的に変形可
能な材質からなる部分を設け、この部分にリング溝を設
けた例を示す要部の拡大縦断側面図である。
【図4】旋回スクロールに軸線方向に弾性変形可能な部
分を設け、この部分に係止ピンを設けた例を示す要部の
拡大縦断側面図である。
【図5】ガイドプラグの軸線方向の位置を、調節ボルト
により変化させるようにした例を示す要部の拡大縦断側
面図である。
【図6】係止ピンの背後に緩衝弾性体を設けた例を示す
要部の拡大縦断側面図である。
【図7】係止ピン自体を、軸線方向に変形しうるように
した例を示す要部の拡大縦断側面図である。
【図8】本発明を、シングルラップタイプのスクロール
圧縮機に適用した例を示す縦断側面図である。
【図9】本発明を、作動に伴い旋回スクロールの両面に
圧力差が生じるタイプのダブルラップ方式のスクロール
圧縮機に適用した例を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
(1)ボルト (2)ハウジング蓋板 (3)ハウジング (4)偏心部 (5)主軸 (6)ニードルベアリング (7)ボールベアリング (8)ニードルベアリング (9)吸入孔 (10)吐出孔 (11)(12)冷却ファン (20)固定スクロール (21)固定端板 (22)固定ラップ (23)嵌溝 (24)チップシール (25)保持孔 (26)リング溝 (27)ガイドプラグ (28)緩衝弾性体 (30)固定スクロール (31)固定端板 (32)固定ラップ (33)嵌溝 (34)チップシール (35)保持孔 (36)リング溝 (37)ガイドプラグ (38)緩衝弾性体 (40)旋回スクロール (41)旋回端板 (42)旋回ラップ (43)嵌溝 (44)チップシール (45)支杆 (46)(47)係止ピン (48)ボス (50)リング溝 (51)プラグ (52)ソケット (53)係止ピン (54)押圧板 (55)ねじ孔 (56)調節ボルト (57)(58)環溝 (59)支持孔 (60)係止鍔 (61)係止ピン (62)弾性係止体 (63)支筒 (64)係止ピン (65)ソケット (66)緩衝弾性体 (67)摺動ピン (70)筒孔 (71)拡径頭 (80)吸入孔 (81)連通孔 (82)吐出孔

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主軸の偏心部へ枢支した旋回スクロール
    における旋回ラップと、固定スクロールにおける固定ラ
    ップとを噛み合わせ状に嵌合することによって、両ラッ
    プ間に密閉室を形成し、かつ旋回スクロールの自転を防
    止するため、旋回スクロールと固定スクロールのいずれ
    か一方より、他方へ向けて突設した係止ピンを、同じく
    他方に設けた、前記偏心部の主軸に対する偏心量と等し
    い半径を有するリング溝へ係止してなるピン・リング溝
    式自転防止機構を設けてなるスクロール流体機械におい
    て、前記リング溝または係止ピンの少なくともいずれか
    一方を、主軸の軸線方向に弾性的に移動もしくは変形可
    能としたことを特徴とするスクロール流体機械。
  2. 【請求項2】 いずれかのスクロールの一部に、主軸の
    軸線方向に弾性的に移動もしくは変形可能な部分を設
    け、この部分にリング溝を形成したことを特徴とする請
    求項1記載のスクロール流体機械。
  3. 【請求項3】 いずれかのスクロールの一部に、主軸の
    軸線方向に弾性的に移動もしくは変形可能な部分を設
    け、この部分に係止ピンを設けたことを特徴とする請求
    項1または2記載のスクロール流体機械。
  4. 【請求項4】 リング溝を、いずれかのスクロールに設
    けた保持孔へ、軸線方向へ弾性的に移動もしくは変形し
    うるようにして嵌合したガイドプラグの表面に形成した
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスク
    ロール流体機械。
  5. 【請求項5】 ガイドプラグの背後に緩衝弾性体を設け
    ることにより、ガイドプラグを軸線方向へ弾性的に移動
    しうるようにしたことを特徴とする請求項4記載のスク
    ロール流体機械。
  6. 【請求項6】 ガイドプラグの全体もしくは一部を、軸
    線方向へ弾性的に変形可能な材料からなるものとしたこ
    とを特徴とする請求項4または5に記載のスクロール流
    体機械。
  7. 【請求項7】 ガイドプラグの軸線方向の位置を変化さ
    せるための調節手段を設けたことを特徴とする請求項4
    〜6のいずれかに記載のスクロール流体機械。
  8. 【請求項8】 係止ピンの背後に緩衝弾性体を設けるこ
    とにより、係止ピンを、軸線方向へ弾性的に移動しうる
    ようにしたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに
    記載のスクロール流体機械。
  9. 【請求項9】 係止ピンの全体もしくは一部を、軸線方
    向に弾性的変形しうるものとしたことを特徴とする請求
    項1〜8のいずれかに記載のスクロール流体機械。
  10. 【請求項10】 係止ピンおよびリング溝の相互接触部
    を、自己潤滑性樹脂からなるものとしたことを特徴とす
    る請求項1〜9のいずれかに記載のスクロール流体機
    械。
  11. 【請求項11】 ダブルラップタイプのものにおいて、
    係止ピンとそれが係合しているリング溝との組の一方の
    軸線方向の弾性力を、他方の組のそれと異なるものとし
    たことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の
    スクロール流体機械。
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