JP2002176186A - 太陽電池及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池及び太陽電池モジュール

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JP2002176186A
JP2002176186A JP2000370085A JP2000370085A JP2002176186A JP 2002176186 A JP2002176186 A JP 2002176186A JP 2000370085 A JP2000370085 A JP 2000370085A JP 2000370085 A JP2000370085 A JP 2000370085A JP 2002176186 A JP2002176186 A JP 2002176186A
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electrode
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silicon
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JP2000370085A
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Mitsunori Nakatani
光徳 中谷
Hiroaki Morikawa
浩昭 森川
Satoshi Arimoto
智 有本
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 n層中のシリコンと表銀電極の反応を十分安
定した状態で行うことができ、電気的特性及び寿命を向
上させることができる。 【解決手段】 太陽電池若しくは太陽電池モジュール
を、n層3のシート抵抗を80Ω/□以下とし、かつ、
表銀電極10によるn層3を侵食する深さを5nm以上
40nm以下の範囲として構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池及び太陽
電池モジュールに係り、太陽電池システムの発電を司る
シリコン太陽電池の発電効率と寿命を向上させるため、
太陽光の受光面側表電極とシリコン基板の状態に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】環境に優しくエネルギーを有効利用する
ため、近年、シリコン基板を主材料とする太陽電池シス
テムは、住宅用や高層ビル用等への普及が著しくなって
きている。今後、太陽電池システムは、さらに普及が予
測されているが、そのキーとなる技術開発項目として
は、低価格製造プロセスの開発や発電効率の向上、寿命
向上等が挙げられる。
【0003】太陽電池システムの設置面積が限定される
場合には、発電効率の高い太陽電池システムが有効であ
る。また、消費者サイドにおける購入コストペイバック
の観点からは、太陽電池システム自体における低価格化
を図ることと、その寿命向上を図ることも重要である。
以下に、従来の太陽電池について、具体的に図面を用い
て説明する。
【0004】図10は従来の住宅用等に使用されるシリ
コン太陽電池の表面、裏面側の概略図であり、図10
(A)はそのシリコン太陽電池の表面側の概略図、図1
0(B)はそのシリコン太陽電池の裏面側の概略図であ
る。図11は図10(A)に示すA1−A2線における
シリコン太陽電池の断面図、図12、13は図11に示
すシリコン太陽電池の主な製造工程を示す断面構造図で
ある。
【0005】図10〜13において、101はp型シリ
コン基板であり、102はp型シリコン基板101上部
に形成されたテクスチャーであり、103はp型シリコ
ン基板101とテクスチャー102間に形成されたn層
である。104はテクスチャー102上に形成された反
射防止膜であり、110はn層103と接続されるよう
に形成された焼結後の表銀グリッド電極である。
【0006】111は反射防止膜104上に形成された
スクリーン印刷後の表銀グリッド電極用ペーストであ
り、112はn層103と接続されるように形成された
表銀バス電極である。120はp型シリコン基板101
裏面側に形成された焼結後の裏アルミ電極であり、12
1はp型シリコン基板101裏面に形成されたスクリー
ン印刷後の裏アルミ電極用ペーストである。
【0007】122はp型シリコン基板101と裏アル
ミ電極120間に形成されたp+層であり、130はp
+層122と接続されるように形成された焼結後の裏銀
バス電極である。40は表銀グリッド電極110表面に
形成されたハンダであり、tはn層103の厚みを示し
ており、dは表銀グリッド電極110におけるn層10
3への侵食深さを示している。
【0008】図10(A)に示す太陽電池の表側では、
p型シリコン基板101上に太陽光をできるだけ多く発
電に寄与させるべく、通常、入射される光の反射を抑制
させるために、反射防止膜104を設けている。更に、
太陽電池の表側には、シリコン基板101中で発電され
た電気を局所的に集電するための表銀グリッド電極11
0と、表銀グリッド電極110で集電された電気を取り
出すための表銀バス電極112とが配置されている。
【0009】ここで、太陽電池の表側電極となる表銀グ
リッド電極110と表銀バス電極112は、太陽電池の
表側に入射される太陽光を遮ってしまうため、太陽電池
の表側に可能な限り小さく配置することが、太陽電池に
おける発電効率の向上の観点で望ましい。
【0010】そこで、太陽電池の表側に太陽光を多く入
射させることを考慮すると、例えば、図10(A)のよ
うな櫛型のグリッド電極110とバス電極112を、太
陽電池の表面に配置して構成するのが一般的である。ま
た、グリッド電極110とバス電極112の電極材料と
しては、例えば、銀を主成分として構成する場合がコス
ト及び性能の観点で一般的である。
【0011】図10(B)に示す太陽電池の裏側では、
裏側で発生した電気が抵抗によるロスで低減してしまう
ことを抑制するために、裏アルミ電極120を広範囲に
設け、裏アルミ電極120で発電された電気を集電させ
るために裏銀バス電極130を更に配置して構成してい
る。
【0012】裏アルミ電極120は、BSF(Back Su
rface Field)効果による発電能力を改善するために、
一般にアルミ材料を使用する場合が多い。裏銀バス電極
130は、裏アルミ電極120で発電された電気を引き
出すための電気引き出し導線として機能させる場合、半
田付き銅線を利用するのが一般的であるが、ここでは、
例えば、裏アルミ電極120との接着加工性が良好な裏
バス電極として、銀電極を用いて構成している。
【0013】次に、図11に示す太陽電池ついて説明す
る。図11に示す太陽電池において、入射された太陽光
によりシリコン中で電子とホールが発生するが、短波長
光は、シリコン表層で大半が吸収されるが、長波長光
は、シリコン深くまで透過して吸収される特性がある。
また、シリコン中で発生した電子は、シリコン中で拡散
して移動できる距離が長い傾向があり、一方、シリコン
中で発生したホールは、シリコン中で拡散移動できる距
離が短い傾向がある。
【0014】太陽電池は、シリコン中の不純物や欠陥等
に電子やホールが吸収されると発電性能が落ちる。光電
池の場合は、pn接合を有する半導体に光を照射して、
発生した電子とホールを分離する構造となっているのに
対し、太陽電池の場合は、太陽光のスペクトルに対応し
て、半導体側で発電効率が最適になるように構造を合わ
せなければならない。
【0015】そこで、太陽電池は、太陽光のスペクトル
に対応して半導体側で発電効率を最適にすることを考慮
して、p+層122側のホール濃度を高め、n層103
側の電子濃度を高めるように適宜構造設計するとよい。
これにより、太陽電池は、そのホール濃度を高めたp+
層122と電子濃度を高めたn層103によるpn接合
により、電子とホールを効率よく分離させることができ
る。
【0016】一般的に、低価格の太陽電池は、シリコン
基板を使用して単純なpn接合で太陽光を発電させ、数
百μm厚程度のp型シリコン基板101にリン(P)等
のV族元素による拡散等を行うことにより、数百nm厚
程度のn層103を形成する。 ここでは、 p型シリコ
ン基板101は単結晶、多結晶のいずれであってもよい
が、以下の説明では(100)面方位の単結晶基板を例
示して説明する。
【0017】図11に示す太陽電池では、比抵抗0.1
〜5Ω・cm程度のp型シリコン101表面に、n層1
03と基板101側の光を閉じ込める凹凸構造のテクス
チャー102を設け、そのテクスチャー102上に反射
防止膜104を配置する。基板101裏側には裏アルミ
電極120を配置し、 BSF(Back Surface Fiel
d)効果を期待してp+層122を設けてp+層122
中の電子が消滅しないように、バンド構造の電界でp+
層122の電子濃度を高めるように構成する。
【0018】また、裏アルミ電極120には、シリコン
基板101を通過する長波長光を反射させて発電に再利
用するBSR(Back Surface Reflection)効果も期
待している。但し、裏アルミ電極120は、シリコン基
板101の反りが顕著になる傾向があり、これに伴い基
板101の割れを誘発する。このため、裏アルミ電極1
20は、基板101の割れを考慮して、熱処理でP+層
22を形成した後に除去する場合も多い。
【0019】ここで、シリコン基板101が反る理由に
ついて説明する。シリコン基板101裏面に裏アルミ電
極120用のアルミニウム(Al)膜を形成すると、シ
リコン基板101中のSiとAl膜中のAlによるAl
−Si合金化反応が生じる。その後、577℃程度の再
凝固を行ってAl膜を焼結して裏アルミ電極120を形
成する。この熱処理により、熱膨張係数の異なるシリコ
ン基板101と裏アルミ電極120間で熱膨張差を生じ
て、裏アルミ電極120側で凹となるようにシリコン基
板101が反る。
【0020】次に、図11に示す太陽電池の製造プロセ
スについて、図12、13を用いて説明する。この図1
2、13は、技術的にはハードルが高いと言われるプロ
セスであり、低コスト化を考慮して製造工程数が少ない
太陽電池の製造プロセスを例示したものである。ここで
は、表銀グリッド電極110、表銀バス電極112は反
射防止膜104上に銀ペーストをスクリーン印刷法で付
着乾燥させ、さらに、裏アルミ電極120、裏銀バス電
極130もスクリーン印刷法で付着乾燥させる。
【0021】続いて、表裏各電極ペーストを同時に焼成
することにより、各電極110、112、120、13
0を形成する。この焼成により、表銀電極110、11
2は反射防止膜104を貫通してn層103の中で留ま
る。また、裏アルミ電極120とシリコン基板101
は、この焼成により溶融かつ再凝固することにより、裏
アルミ電極120とシリコン基板101間にp+層12
2を形成する。以下に、この太陽電池の製造方法を具体
的に説明する。
【0022】まず、図12(A)に示すp型シリコン基
板101を用い、鋳造インゴットからスライスした際に
発生するシリコン基板101表面のダメージ層を、例え
ば数〜20wt%苛性ソーダや炭酸苛性ソーダで10〜2
0μm厚程度除去した後、同様のアルカリ低濃度液にI
PA(イソプロピルアルコール)を添加した溶液でシリ
コン基板101表面の異方性エッチングを行ない、シリ
コン(111)面が出るようにテクスチャー102をシ
リコン基板101表面に形成する(図12(B))。
【0023】続いて、例えばオキシ塩化リン(POCl
3)、窒素、酸素の混合ガス雰囲気で800〜900℃
/数十分程度の熱処理を行うことにより、シリコン基板
101表面全面に一様にn層103を形成する。この
時、シリコン基板101表面に形成されたn層103に
おけるシート抵抗の範囲は、30〜80Ω/□程度と太
陽電池として良好な電気特性が得られる。
【0024】このシリコン基板101表面からリン
(P)濃度がリン(P)濃度1E16/cm3になって
いる所まで、シリコン基板101中にリン(P)が進入
しているシリコン基板101の深さ(t)について、n
層103をSIMS(Secondary-Ion-Mass-Spectroscop
y)分析評価した。その結果、シート抵抗が30、6
0、80Ω/□の各々のn層103では、その深さ
(t)がシリコン基板101表面から各々450、35
0、250nmであった。
【0025】次に、受光面として必要な受光面側のn層
103を保護するために、その受光面部分のn層103
を覆うように、高分子レジストペーストをスクリーン印
刷法で付着して乾燥させる。この時、受光面部分のn層
103を覆うようにレジストマスクが選択的に形成され
るとともに、受光面部分以外の部分のn層103が露出
される。
【0026】その後、受光面部分のn層103を覆った
レジストマスクを用い、シリコン基板101裏面等の所
望以外(受光面部分以外)のシリコン基板101表面に形
成されたn層103を、例えば、20wt%水酸化カリウ
ム溶液中へ数分間浸漬を施して選択的に除去した後、マ
スクとして使用したレジストを有機溶剤で除去する(図
12(C))。これにより、受光面部分のn層103が
残り、受光面部分以外のn層103が除去されてシリコ
ン基板101が露出される。
【0027】さらに、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜
や酸化チタン膜などからなる反射防止膜104を、残さ
れた受光面部分のn層103表面に一様な厚みで形成す
る(図13(A))。例えば、反射防止膜104をシリコ
ン酸化膜で形成する場合は、プラズマCVD法でSiH
4ガス及びNH3ガスを原材料にして300℃以上、減
圧下でシリコン酸化膜を成膜形成する。
【0028】ここで形成されるシリコン酸化膜からなる
反射防止膜104の屈折率は、2〜2.2程度であり、
最適な反射防止膜104の厚さとしては、70〜90n
m程度である。そして、このようにして形成されるシリ
コン酸化膜からなる反射防止膜104は、絶縁体として
機能するため、この絶縁体の反射防止膜104上に表面
電極を単に形成しただけでは、太陽電池として動作させ
ることができない。そこで、以下に述べるような配線接
続等の工程を行う。
【0029】次に、表銀グリッド電極110形成用と表
銀バス電極112形成用の銀ペーストをスクリーン印刷
法で反射防止膜104上に付着して乾燥させる。これに
より、反射防止膜104上に表銀グリッド電極用ペース
ト111及び表銀バス電極用ペーストが選択的に形成さ
れる。図13(B)では、表銀グリッド電極用ペースト
111が反射防止膜104上に形成されていることを示
している。なお、表銀バス電極用ペーストは、断面箇所
の都合上、図13(B)に図示されていない。
【0030】さらに、裏アルミ電極120、裏銀バス電
極130を形成する場合も同様に、スクリーン印刷法で
裏アルミ電極120形成用のアルミペーストと裏銀バス
電極130形成用の銀ペーストを、シリコン基板101
裏面に各々付着して乾燥させる。これにより、シリコン
基板101裏面に裏アルミ電極形成用ペースト121と
裏銀バス電極形成用ペーストが選択的に形成される。
【0031】図13(B)では、裏アルミ電極用ペース
ト121がシリコン基板101裏面に形成されているこ
とを示している。なお、裏銀バス電極用ペーストは、断
面箇所の都合上、図13(B)に図示されていない。ス
クリーン印刷では、通常、メッシュ数200〜400番
手のメッシュを用いる。通常、乾燥前のペースト厚み
は、十〜数十μm厚程度であるが、このペースト厚み
は、乾燥や焼成などで数割減少する。
【0032】そして、最後に、表銀グリッド電極用ペー
スト111、表銀バス電極用ペースト、裏アルミ電極用
ペースト121及び裏銀バス電極用ペーストを含む表裏
電極用ペーストを、同時に600℃〜900℃程度で数
分間程度、焼成する。この焼成により、シリコン基板1
01の表側では、表銀グリッド電極用ペースト111と
表銀バス電極用ペーストを含む表銀ペースト中に含まれ
ているガラス材料によって、反射防止膜104が溶融し
ている間に、銀ペースト中の銀材料がシリコン基板10
1上部のn層103中のシリコンと接触して再凝固す
る。
【0033】以上の焼成工程により、上記表裏電極用ペ
ーストが焼成されて、表銀グリッド電極110、表銀バ
ス電極112、裏アルミ電極120及び裏銀バス電極1
30が形成される。図13(C)では、表銀グリッド電
極110と裏アルミ電極120が形成されていることを
示しており、表銀バス電極112と裏銀バス電極130
は、断面箇所の都合上、図13(C)に図示されていな
い。
【0034】また、上記焼成工程により、表銀グリッド
電極110/表銀バス電極112による表銀電極とシリ
コンのn層103の導通が確保される。このようなプロ
セスは、ファイヤースルー法と呼ばれている。また、こ
の焼成工程により、裏アルミ電極用ペースト121もシ
リコン基板101中のシリコンと反応して、裏アルミ電
極120が形成されるとともに、シリコン基板101と
裏アルミ電極120間にp+層122が形成される。
【0035】ここで、ファイヤースルー法で重要なの
は、反射防止膜104が数十nm厚程度で形成され、n
層103が数百nm厚程度でしか形成されないことであ
る。焼成中に銀ペースト中のガラスが反射防止膜104
のみならず、n層103中のシリコンとも反応するのが
一般的であり、ガラス及び銀電極110、112をn層
103内で留めるように焼成温度、時間を制御しなけれ
ばならない。
【0036】また、反射防止膜104が表面銀電極11
0、112直下及びその近傍だけ予め除去しておく製造
方法や、反射防止膜104を後で形成する製造方法で
も、同様に焼成時の制御性は重要である。焼成温度が低
い、若しくは焼成時間が短い場合は、n層103中のシ
リコンと銀電極110、112の接触が不十分で接触抵
抗が高くなる不具合が発生する。
【0037】逆に、焼成温度が高い、若しくは焼成時間
が長い場合は、n層103をガラス成分や銀電極11
0、112が突き抜けて、太陽電池における電気的特性
の劣化を招き易い。また、表銀電極110、112直下
が一様にn層103中のシリコンと導通がとれていない
と、太陽電池における初期の電気的特性が劣化する。
【0038】更には、樹脂やガラス等で太陽電池を密封
してモジュール化しても、長期間の使用中に封止樹脂を
透過した水分が太陽電池まで到達して、表銀電極11
0、112とシリコン界面を、酸化等の反応で劣化させ
てしまい、太陽電池の寿命を短くすることがあった。
【0039】そこで、その対策の1つとして、銀電極1
10、112の耐湿性向上を図るために、200〜25
0℃程度の鉛・スズ共晶ハンダ溶融槽に上記太陽電池を
浸漬処理して、図11に示すように、表銀電極110、
112上にハンダ140で被覆処理を行っている。これ
により、表銀電極110、112における耐湿性の向上
を図ることができる。
【0040】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来の
シリコン太陽電池では、表銀電極110、112と、シ
リコン基板101上部に形成されたn層103中のシリ
コンとの反応が十分に考慮されておらず、表銀電極11
0、112とその一部材料であるガラスがシリコンによ
るn層103へ必要以上に侵食すると、n層103をガ
ラス成分や銀電極110、112が突き抜けて、太陽電
池における電気的特性の低下を招くことがあるという問
題があった。また、逆に、n層103中のシリコンと銀
電極110、112の接触が不十分で接触抵抗が高くな
り、太陽電池の寿命を短縮することがあるという問題が
あった。
【0041】また、上記したような従来のシリコン太陽
電池では、表銀電極110、112直下が不均一にしか
侵食反応されないと、表銀電極110、112がn層1
03中のシリコンと一様に導通がとれなくなり、太陽電
池の電気的特性の低下を生じることがあるという問題が
あった。
【0042】そこで、本発明は、n層中のシリコンと表
銀電極の反応を十分安定した状態で行うことができ、電
気的特性及び寿命を向上させることができる太陽電池及
び太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【0043】
【課題を解決するための手段】本発明による太陽電池
は、第1導電型のシリコン基板と、前記第1導電型のシ
リコン基板の受光面に形成された第2導電型の半導体層
と、前記第2導電型の半導体層を侵食して前記第2導電
型の半導体層と接触するように形成された金属電極とを
有する太陽電池において、前記第2導電型の半導体層の
シート抵抗を80Ω/□以下とし、かつ、前記金属電極
による前記第2導電型の半導体層を侵食する深さを5n
m以上40nm以下の範囲とするものである。
【0044】上記太陽電池において、上記金属電極が上
記第2導電型の半導体層を侵食する面積は、上記金属電
極の面積の30%以上であるものである。
【0045】本発明による太陽電池モジュールは、第1
導電型のシリコン基板と、前記第1導電型のシリコン基
板の受光面に形成された第2導電型の半導体層と、前記
第2導電型の半導体層を侵食して前記第2導電型の半導
体層と接触するように形成された金属電極とを有する複
数の太陽電池から構成する太陽電池モジュールにおい
て、前記第2導電型の半導体層のシート抵抗を80Ω/
□以下とし、かつ、前記金属電極による前記第2導電型
の半導体層を侵食する深さを5nm以上40nm以下の
範囲とするものである。
【0046】上記太陽電池モジュールにおいて、上記金
属電極が上記第2導電型の半導体層を侵食する面積は、
上記金属電極の面積の30%以上であるものである。
【0047】
【発明の実施の形態】以下に、本発明における実施の形
態を、図面を参照して説明する。 実施の形態1.図1は本発明に係る実施の形態1におけ
るシリコン太陽電池を示す断面構造図である。図1にお
いて、1はp型シリコン基板であり、2はp型シリコン
基板1上部に形成されたテクスチャーであり、3はp型
シリコン基板1とテクスチャー2間に形成されたn層で
ある。
【0048】4はテクスチャー2上に形成された反射防
止膜であり、10は反射防止膜4を突き破ってn層3と
接続されるように形成された焼結後の表銀グリッド電極
である。表銀バス電極は、前述した従来例と同様、断面
箇所の都合上、図1には図示されていない。20はp型
シリコン基板1裏面側に形成された焼結後の裏アルミ電
極であり、22はp型シリコン基板1と裏アルミ電極2
0間に形成されたp+層である。
【0049】裏銀バス電極は、前述した従来例と同様、
断面箇所の都合上、図1には図示されていない。40は
表銀グリッド電極10表面に形成されたハンダであり、
tはn層3の厚みを示しており、dは表銀グリッド電極
10におけるn層3への最大侵食深さである。なお、表
銀グリッド電極10、表銀バス電極、裏アルミ電極20
及び裏銀バス電極は、前述した従来例と同様、銀、アル
ミのペーストを印刷技術により選択的に形成した後、焼
成することにより形成する。
【0050】表銀グリッド電極10、表銀バス電極は、
反射防止膜4を突き破ってn層3を侵食してn層3と接
触するように形成されている。本実施の形態におけるn
層3のシート抵抗は、80Ω/□以下である。ここで、
n層3のシート抵抗を80Ω/□以下としたのは、シー
ト抵抗を80Ω/□よりも大きくすると、太陽電池のセ
ル特性(セルファクターの低下など)が劣化して実用上
好ましくないので、80Ω/□以下としている。
【0051】本実施の形態における表銀グリッド電極1
0、表銀バス電極によるn層3を侵食する深さは、5n
m以上40nm以下の範囲としている。ここで、銀電極
によるn層3の侵食深さの下限を5nmとしたのは、侵
食深さを5nmより小さくすると、銀電極によるn層3
への侵食が不十分となり、銀電極がn層3から剥離し易
くなって実用上好ましくないからである。
【0052】また、銀電極によるn層3の侵食深さの上
限を40nmとしたのは、侵食深さを40nmより大き
くなると、銀電極によるn層3への侵食が極端に進ん
で、銀電極がn層3を突き抜けたりして太陽電池のセル
特性が劣化して実用上好ましくないからである。
【0053】従って、銀電極によるn層3への侵食が不
十分となり、銀電極がn層3から剥離してしまうことを
抑える点と、銀電極によるn層3への侵食が極端に進ん
で、銀電極がn層3を突き抜けたりして太陽電池のセル
特性が劣化してしまうことを抑える点を考慮して、電極
によるn層3を侵食する深さは、5nm以上40nm以
下の範囲であればよい。この侵食深さについては、実験
結果を基に後述する。
【0054】表銀グリッド電極10、表銀バス電極がn
層3を侵食する面積は、上記銀電極の面積の30%以上
にして構成することが好ましい。銀電極によるn層3の
侵食面積を、銀電極の面積の30%以上にすると好まし
いのは、銀電極によるn層3の侵食面積を、銀電極の面
積の30%よりも小さくすると、銀電極におけるn層3
との接触面積が小さくなって抵抗成分が大きくなり、太
陽電池のセル特性が劣化し易くなり好ましくないからで
ある。この接触面積の関係についても、実験結果を基に
後述する。
【0055】表銀グリッド電極10及び表銀バス電極
は、n層3に対して均一になるように侵食することが好
ましい。このように、銀電極によりn層3を均一に侵食
させると、銀電極がn層3と一様に導通をとることがで
きるので、太陽電池のセル特性の低下を抑えることがで
きる。
【0056】一般的に、銀ペースト中のガラス材は、S
i,Pb,B,O元素を主成分とし、他にBi,Zn,
Ti,Al,Mg等が微量に入っており、組成変更で軟
化温度を自由に調整することができる。通常、ガラス軟
化温度は、400〜650℃であり、その量も数wt%
である。ガラス軟化温度とガラス量は、表銀電極直下の
材料、図1では反射防止膜4の材料とのマッチングや焼
成条件で決定される。
【0057】図2は実際に検討を行った4種類の表銀電
極用ペーストに対するセル特性、ガラス侵食深さ及び侵
食面積率の関係を示す図である。以下に、この図2を用
いて、実際に検討を行なった4種類の表銀電極用ペース
トA〜Dについて説明する。各ペーストA〜Dにおける
主な成分の変更点は、ガラス材料の量と軟化温度であ
る。
【0058】比較例の表銀ペーストCは、ガラス軟化温
度が550℃で、ガラス量が7wt%の従来品であり、
前述した図11に示す従来の太陽電池における銀ペース
トの構成と相当で、図11と相当の構造を形成する。こ
の比較例の表銀ペーストCによれば、n層3のシリコン
最大侵食深さdが75nmと、n層3へのペースト中の
ガラス成分、銀の侵食が極端に進んで、銀電極によるn
層3の突き抜けが起こり易い。
【0059】比較例の表銀ペーストDは、比較例の表銀
ペーストCと比較して、ガラス量を変更せずに7wt%
と同じにし、ガラス軟化温度を350℃と低下させた場
合である。この比較例の表銀ペーストDによれば、n層
3のシリコン最大侵食深さdが150nmと、比較例の
表銀ペーストCのもの(75nm)と比較して、更にガ
ラス成分と銀がn層3を侵食して、銀電極がn層3を貫
通する構造を形成する。
【0060】これに対し、本発明の表銀ペーストBは、
比較例の表銀ペーストCと比較して、組成を反射防止膜
4とマッチングを取るように組成を変更しており、ガラ
ス軟化温度を500℃として構成している。また、本発
明の表銀ペーストBは、ファイヤースルーができる下限
界のガラス量を1wt%以下にまで変更したものであ
る。
【0061】この本発明の表銀ペーストBによれば、比
較例の表銀ペーストC、Dと比較して、銀電極によるn
層3への侵食深さdが40nmと、小さくなっており、
銀電極によるn層3への突き抜けが生じないことが判っ
た。しかも、侵食深さdが40nmあるので、侵食が不
十分になることに伴う銀電極の剥離も生じなかった。な
お、この本発明の表銀ペーストBは、ファイヤースルー
ができる下限界のガラス量を1wt%以下にまで変更し
たものであるので、焼結時の反応がやや不安定であり、
表銀電極直下が局所的にしかシリコンと導通しない構造
となり易い。
【0062】本発明の表銀ペーストAは、ペーストBの
ガラス量を最適化して3wt%まで増量したペーストで
あり、ガラス軟化温度を500℃とペーストBと同じに
して構成している。この本発明の表銀ペーストAによれ
ば、比較例の表銀ペーストC、Dと比較して、銀電極に
よるn層3への侵食深さdが35nmと、小さくなって
おり、銀電極によるn層3への突き抜けが生じないこと
が判った。しかも、侵食深さdが35nmあるので、侵
食が不十分になることに伴う銀電極の剥離も生じなかっ
た。
【0063】図3は太陽電池における光照射時の電気特
性を示す図である。図3において、Vは電圧を示してお
り、Jは電流密度を示している。電流密度で示すのは、
太陽電池の大きさ(面積)による影響を除いて電気特性
を横並びに、比較するために一般的に利用される。通常
の性能が得られる太陽電池は、電圧を掃引すると、図3
に示すP点を通る太線と、Q点を通る細線になる。曲線
とJ軸との交点を短絡電流:Jscと表し、V軸との交
点を開放電圧:Vocで表すとする。
【0064】P点、Q点は各曲線のJとVを掛けた値、
即ち電力が最大となる点を示している。図3で示してい
る曲線因子:FFは、この最大電力が(Jsc×Vo
c)に対する割合を示している。太陽電池の電気特性と
して優れているのは、図3では細線よりも太線の方であ
る。一般的に、最適な表銀電極のガラス量を増加させ、
ガラス軟化温度を低下させると、太線→細線にシフトす
る。それは開放電圧VocやFFに顕著に現れる傾向が
ある。
【0065】表銀電極とそのガラス成分が、n層3のシ
リコンへ侵食するその侵食深さは、図1の構造におい
て、テクスチャー2構造のない平坦な構造サンプルで、
50%硝酸溶液で1分間、銀電極とガラスをエッチング
し、さらに、反射防止膜4を50%フッ酸溶液で5分エ
ッチングして、シリコン段差を断面SEMなどで観察し
て評価した。
【0066】図4、5に本発明における表銀ペースト
A、Bの光学顕微鏡による上方観察写真の模式図を示
す。図4が本発明の表銀ペーストAであり、図5が本発
明の表銀ペーストBである。図4、5において、60は
銀電極パターンのない部分であり、61は銀電極パター
ンがあり、エッチング除去された部分であり、62は銀
電極がシリコンに侵食して、エッチングでその深さまで
除去された部分である。
【0067】図6は各表銀ペーストA〜Dを用いた場合
の表銀電極除去されたシリコン侵食深さと開放電圧Vo
cとの関係図である。前述したように、ペーストの組成
を色々変更して構成することにより、表銀電極及びガラ
スのn層3のシリコンへの最大侵食深さ(d)と開放電
圧Vocは、相関関係が強いことがを判った。
【0068】この図6から、銀電極によるn層3の侵食
深さdが小さくなればなる程、開放電圧Vocは大きく
なり、銀電極によるn層3の侵食深さdが大きくなれば
なる程、開放電圧Vocは小さくなることが判った。ま
た、侵食深さが比較例の表銀ペーストC、Dよりも小さ
い本発明の表銀ペーストA、Bでは、開放電圧が比較例
よりも大きくなっていることが判った。
【0069】図4、5に示す凸字型表銀電極直下部分の
画像データから、表銀電極直下のn層3部分のシリコン
が侵食されている面積を、50%スレッショルド法によ
る簡便な2値化処理により、シリコン侵食面積割合を求
めた。そのシリコン侵食面積率は、図2にも示したよう
に、本発明の銀ペーストAで80%であり、本発明の銀
ペーストBで30%であった。
【0070】この本発明の銀ペーストA、Bによれば、
侵食面積率を80%、30%として構成したので、銀電
極によるn層3との接触面積が十分となり、抵抗成分を
低減することができることが判った。また、両者におけ
る本発明の銀ペーストA、Bの構成上の差異は、図2か
ら判るように、ガラス量である。
【0071】本発明の銀ペーストAは、ガラス量が3w
t%と、本発明の銀ペーストB(1wt%より小さい)
よりも大きして構成している。本発明の銀ペーストA、
Bのシリコン侵食最大深さdは、図2、6に示すように
40nm以下と同等レベルであり、太陽電池の初期電気
特性を得るペーストとしては両者とも良好であった。
【0072】また、本発明における銀ペーストAを用い
ても、太陽電池形成条件を変更すると、シリコン侵食最
大深さdを制御性良く変えることができる。例えば、銀
ペーストAの焼成条件を、最高温度850℃、保持時間
60secから、最高温度750℃、保持時間5sec
へと変更すると、シリコン侵食最大深さdは35nmか
ら5nmまで抑制することができる。このシリコン侵食
最大深さdが5nmであっても、太陽電池の電気特性及
び信頼性は確保できていることを確認した。
【0073】次に、太陽電池の耐湿性について検討した
結果を述べる。本発明における銀ペーストA、Bを用
い、図1に示す構造と相当な太陽電池を各々構成した。
銀ペーストA、Bを用いた表銀グリッド電極10と表銀
バス電極上には、半田40の被覆も設けている。図7は
このまま裸の状態で、「JIS C 8917」に準拠
して耐湿性試験を実施した結果を示す図である。
【0074】このJIS試験では、初期特性からの劣化
を1000時間試験後で5%以下と定義している。本発
明における銀ペーストBは、合格と不合格の境であった
が、本発明における銀ペーストAは、合格であることが
判った。更に、本発明における銀ペーストA、Bの中間
的なガラス量を変更して耐湿性試験を実施した結果、シ
リコン侵食面積率は、30%以上でJIS試験に合格す
ることが判った。
【0075】実施の形態2.上記実施の形態1では、図
1に示すように、太陽電池単体の場合を説明したが、本
発明における銀ペーストA、Bなどを用いた太陽電池を
複数個用いて、太陽電池モジュールを構成すれば、その
太陽電池モジュールにおいても、実施の形態1と同様な
効果を得ることができる。実施の形態1では、例えば、
高温多湿雰囲気で耐湿性試験を実施した結果などについ
て説明したが、本実施の形態は、図1に示すような太陽
電池を、複数個を用いて樹脂封止や強化ガラスなどで作
製した太陽電池モジュールの耐湿性試験結果について以
下に説明する。
【0076】図8は本発明に係る実施の形態2における
太陽電池モジュールを示す図、図9は図8に示すB1−
B2線における太陽電池モジュールの断面図である。図
8、9において、51は太陽電池であり、52は太陽電
池51の裏側に配置される耐湿性バックシート(例え
ば、PVFなど)であり、53は太陽電池51を相互接
続するための太陽電池相互接続タブ配線である。太陽電
池51は、実施の形態1で説明した本発明における銀ペ
ーストA、Bなどを用いて、図1と相当な構造で構成す
る。
【0077】54は太陽電池51を相互接続する横タブ
配線であり、55は太陽電池モジュールのプラス取り出
し電極であり、56は太陽電池モジュールのマイナス取
り出し電極である。57は太陽電池51の表側に配置さ
れる強化カバーガラスであり、58は太陽電池51を保
護するように耐湿性バックシート52と強化カバーガラ
ス57間に配置される太陽電池密封材(EVA:Ethyle
ne-Vinyl-Acetateなど)である。
【0078】太陽電池51は、受光面側がマイナス電
極、裏面側がプラス電極となって構成されるので、図8
では、横方向に隣接する太陽電池51の上下を銅が主成
分のタブ配線53で相互接続を行なう。同様に、横方向
に連なる太陽電池アレイも横タブ線54で電気的に接続
し、最終的にプラス取り出し電極55、マイナス取り出
し電極56で電気を取り出せるように構成する。
【0079】また、太陽電池モジュールは、長期信頼性
が要求されるため、図8、9に示すように、太陽電池ア
レイは、最表面に太陽光を透過させながら、雨等の侵入
を防ぎ、落下物等の衝撃を吸収する機能を備えた強化カ
バーガラス57で覆うように構成する。
【0080】また、太陽電池アレイの裏面側は、耐水性
等に優れたバックシート52を設ける。太陽電池51と
強化カバーガラス57やバックシート52の間隙は、密
封材58で充填されており、耐湿性向上を図っている。
密封材58は一般的には、EVA(Ethylene-Vinyl-Ace
tate)などという光透過性が高い熱硬化型樹脂が用いら
れる。EVA剤は、作業性の良いシート状のものが好ま
しい。
【0081】ここで、本実施の形態における太陽電池モ
ジュールの作製工程について説明する。まず、太陽電池
51に相互接続タブ線53を接続して、横方向の太陽電
池アレイを作製する。次に、太陽電池アレイに横タブ配
線54とプラス、マイナス取り出し電極55、56を接
続する。
【0082】そして、最後に、太陽電池51を2枚のE
VA等のシートで挿み、更に、太陽電池51の上下に配
置された強化ガラス57とバックシート52で挿み込ん
で、脱泡と同時に加熱を行うと、図9に示すような間隙
のない構造の太陽電池モジュールを得ることができる。
【0083】この作製された太陽電池モジュールを用
い、信頼性試験を実施した結果、前述した実施の形態1
の図2に示す本発明におけるペーストA、B、及びAと
Bの中間的な組成のいずれのペーストにおいても、実施
の形態1と同様、JIS試験を充分にクリアする結果を
得た。
【0084】この結果及び実施の形態1における各結果
から、表銀電極表面をハンダ被覆したシリコン太陽電池
においては、プロセス条件、表銀電極材料直下での反射
防止膜の有無と反射防止膜材料種類や厚み等と、表銀電
極材料の成分と組成と量が複雑に絡み合い、最適な材
料、プロセスの組合せは多数あるが、表銀電極とそのガ
ラスがシリコンのn層3へ侵食する深さとその面積割合
には、次のような最適な範囲が存在することを見出し
た。
【0085】(イ)銀電極がn層3から剥離してしまう
ことを抑えることができ、かつ銀電極がn層3を突き抜
けてしまうことを抑えることができるなどの点を考慮す
ると、シリコン表面n層3のシート抵抗は80Ω/□以
下とし、表銀電極がn層3に拡散侵食する最大深さは、
5nm以上40nm以下の範囲で構成すればよい。
【0086】(ロ)銀電極におけるn層3との接触面積
が小さくなって抵抗成分が大きくなるなることを抑える
ことができ、かつシリコン界面における酸化が生じ易く
なることを抑えることができるなどの点を考慮すると、
銀電極がシリコン表面のn層3に侵食する面積率は30
%以上になるように構成することが好ましい。
【0087】上記実施の形態1、2では、(100)面
方位の単結晶基板を例示して説明したが、他の面方位の
単結晶あるいは、様々な面方位のグレインを有する多結
晶シリコンにおいても、同等の効果を奏することを確認
している。また、p型基板の受光面側にn層を配置した
が、n型基板にp層を配置した構造でも構わない。
【0088】さらに、上記実施の形態1、2では、受光
面側電極形成において、焼成前にシリコンと電極の間に
反射防止膜4を設けた場合を説明したが、反射防止膜4
がない構造であっても、電極のシリコン侵食最大深さや
侵食面積率の最適な範囲は、前述した範囲と同じである
ことを確認している。
【0089】
【発明の効果】本発明おける太陽電池によれば、第1導
電型のシリコン基板と、前記第1導電型のシリコン基板
の受光面に形成された第2導電型の半導体層と、前記第
2導電型の半導体層を侵食して前記第2導電型の半導体
層と接触するように形成された金属電極とを有する太陽
電池において、第2導電型の半導体層のシート抵抗を8
0Ω/□以下として構成することにより、太陽電池のセ
ル特性(セルファクターの低下など)の劣化を抑えるこ
とができる。更に、金属電極による第2導電型の半導体
層を侵食する深さを5nm以上40nm以下の範囲とし
て構成することにより、金属電極による半導体層への侵
食が不十分で金属電極が半導体層から剥離してしまうこ
とを抑えることができるとともに、金属電極による半導
体層への侵食が極端に進んで金属電極が半導体層を突き
抜けたりして太陽電池のセル特性が劣化してしまうこと
を抑えることができる。従って、金属電極が半導体層か
ら剥離し難い安定した接続状態で、かつ良好なセル特性
の太陽電池を得ることができる。
【0090】また、上記太陽電池において、上記金属電
極が上記第2導電型の半導体層を侵食する面積を、上記
金属電極の面積の30%以上にして構成することによ
り、金属電極における半導体層との接触面積を大きくし
て、抵抗成分を小さくしフィルファクターを低減して太
陽電池のセル特性を向上させることができる。しかも、
半導体の界面における酸化を抑えることができ、太陽電
池の信頼性を向上させることができる。
【0091】本発明おける太陽電池モジュールによれ
ば、第1導電型のシリコン基板と、前記第1導電型のシ
リコン基板の受光面に形成された第2導電型の半導体層
と、前記第2導電型の半導体層を侵食して前記第2導電
型の半導体層と接触するように形成された金属電極とを
有する太陽電池において、第2導電型の半導体層のシー
ト抵抗を80Ω/□以下として構成することにより、太
陽電池のセル特性(セルファクターの低下など)の劣化
を抑えることができる。更に、金属電極による第2導電
型の半導体層を侵食する深さを5nm以上40nm以下
の範囲として構成することにより、金属電極による半導
体層への侵食が不十分で金属電極が半導体層から剥離し
てしまうことを抑えることができるとともに、金属電極
による半導体層への侵食が極端に進んで金属電極が半導
体層を突き抜けたりして太陽電池のセル特性が劣化して
しまうことを抑えることができる。従って、金属電極が
半導体層から剥離し難い安定した接続状態で、かつ良好
なセル特性の太陽電池を得ることができる。
【0092】また、上記太陽電池モジュールにおいて、
上記金属電極が上記第2導電型の半導体層を侵食する面
積を、上記金属電極の面積の30%以上にして構成する
ことにより、金属電極における半導体層との接触面積を
大きくして、抵抗成分を小さくしフィルファクターを低
減して太陽電池のセル特性を向上させることができる。
しかも、半導体の界面における酸化を抑えることがで
き、太陽電池の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係る実施の形態1におけるシ
リコン太陽電池を示す断面構造図である。
【図2】 実際に検討を行った4種類の表銀電極用ペー
ストに対するセル特性、ガラス侵食深さ及び侵食面積率
の関係を示す図である。
【図3】 太陽電池における光照射時の電気特性を示す
図である。
【図4】 本発明における表銀ペーストA(表銀電極除
去後のシリコン表面状態)の光学顕微鏡による上方観察
写真の模式図である。
【図5】 本発明における表銀ペーストB(表銀電極除
去後のシリコン表面状態)の光学顕微鏡による上方観察
写真の模式図である。
【図6】 各表銀ペーストA〜Dを用いた場合の表銀電
極除去されたシリコン侵食深さと開放電圧Vocとの関
係図である。
【図7】 表銀電極A、Bにおける信頼性試験結果を示
す図である。
【図8】 本発明に係る実施の形態2における太陽電池
モジュールを示す図である。
【図9】 図8に示すB1−B2線における太陽電池モ
ジュールの断面構造を示す図である。
【図10】 従来の住宅用等に使用されるシリコン太陽
電池の表面(A)、裏面(B)側の概略図である。
【図11】 図10(A)に示すA1−A2線における
シリコン太陽電池の断面図である。
【図12】 図11に示すシリコン太陽電池の主な製造
工程を示す断面構造図である。
【図13】 図11に示すシリコン太陽電池の主な製造
工程を示す断面構造図である。
【符号の説明】
1 p型シリコン、2 テクスチャー、3 n層、4
反射防止膜、10 表銀グリッド電極、20 裏アルミ
電極、22 p+層、40 ハンダ、51 太陽電池、
52 バックシート、53 太陽電池相互接続タフ゛配
線、54 横タブ配線、55 プラス取り出し電極、5
6 マイナス取り出し電極、57 強化カバーガラス、
58 太陽電池密封材。
フロントページの続き (72)発明者 有本 智 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 5F051 AA03 BA17 CB27 CB29 FA10 FA13 FA30 GA04 HA03 HA07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型のシリコン基板と、前記第1
    導電型のシリコン基板の受光面に形成された第2導電型
    の半導体層と、前記第2導電型の半導体層を侵食して前
    記第2導電型の半導体層と接触するように形成された金
    属電極とを有する太陽電池において、前記第2導電型の
    半導体層のシート抵抗を80Ω/□以下とし、かつ、前
    記金属電極による前記第2導電型の半導体層を侵食する
    深さを5nm以上40nm以下の範囲とすることを特徴
    とする太陽電池。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の太陽電池において、上
    記金属電極が上記第2導電型の半導体層を侵食する面積
    は、上記金属電極の面積の30%以上であることを特徴
    とする太陽電池。
  3. 【請求項3】 第1導電型のシリコン基板と、前記第1
    導電型のシリコン基板の受光面に形成された第2導電型
    の半導体層と、前記第2導電型の半導体層を侵食して前
    記第2導電型の半導体層と接触するように形成された金
    属電極とを有する複数の太陽電池から構成する太陽電池
    モジュールにおいて、前記第2導電型の半導体層のシー
    ト抵抗を80Ω/□以下とし、かつ、前記金属電極によ
    る前記第2導電型の半導体層を侵食する深さを5nm以
    上40nm以下の範囲とすることを特徴とする太陽電池
    モジュール。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の太陽電池モジュールに
    おいて、上記金属電極が上記第2導電型の半導体層を侵
    食する面積は、上記金属電極の面積の30%以上である
    ことを特徴とする太陽電池モジュール。
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