JP2002173740A - 形状平坦度に優れた析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼帯及びその製造方法 - Google Patents

形状平坦度に優れた析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼帯及びその製造方法

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JP2002173740A
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Naoto Hiramatsu
直人 平松
Hiroki Tomimura
宏紀 冨村
Hiroshi Fujimoto
廣 藤本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 形状平坦度に優れた高硬度のマルテンサイト
系ステンレス鋼帯又は鋼板を提供する。 【構成】 この析出硬化型マルテンサイト系ステンレス
鋼は、C:0.15%以下,Si:2.0%以下,M
n:2.0%以下,Ni:3.0〜10.0%,Cr:
12.0〜20.0%,Mo:4.0%以下,N:0.
05%以下,Ti:0.50%以下を含み、式(1)で
定義されるMd(N)値が100以上であり、逆変態オ
ーステナイトから生成したマルテンサイトがマトリック
スに分散している組織をもっている。溶体化処理後又は
冷間圧延後にマルテンサイトが生じたステンレス鋼帯を
550〜650℃で逆変態処理した後、時効処理するこ
とにより製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、形状平坦度に優れ、ビ
ッカース硬さ350以上の析出硬化型マルテンサイト系
ステンレス鋼帯及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビッカース硬さが350以上の高強度ス
テンレス鋼として、マルテンサイト系ステンレス鋼,加
工硬化型ステンレス鋼,析出硬化型ステンレス鋼等が知
られている。マルテンサイト系ステンレス鋼は、高温の
オーステナイト状態から急冷してマルテンサイト変態さ
せることによって硬質化した材料であり、SUS41
0,SUS420J2等の鋼種がある。マルテンサイト
系ステンレス鋼の製造では、焼入れ−焼戻しの調質処理
によってビッカース硬度350以上に調整することか
ら、焼入れ−焼戻しの熱処理工程を必須とする。また、
鋼帯でマルテンサイト変態を起こさせようとすると、焼
入れ後の靭性低下や完全にマルテンサイト変態すること
に起因した形状変化が大きいため、製造条件にかなりの
制約が加わる。
【0003】そこで、形状変化が問題となる場合、加工
硬化型オーステナイト系ステンレス鋼が通常使用されて
いる。加工硬化型オーステナイト系ステンレス鋼は、S
US301,SUS304に代表され、溶体化処理状態
でオーステナイト相を呈し、その後の冷間圧延で加工誘
起マルテンサイトを生成することにより高強度が付与さ
れる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】冷間圧延によって鋼帯
の形状も矯正されるが、硬度の圧延温度依存性が大き
く、且つコイル長手方向でも形状が種々変動しているた
め、冷間圧延によって工業的に且つ安定的に形状矯正す
ることは困難である。たとえば、SUS301,SUS
304等のステンレス鋼を冷間圧延するとオーステナイ
トが加工誘起マルテンサイトに変態するが、同一圧延率
での変態量は圧延時の温度に依存する。具体的には、圧
延時の温度が高いと加工誘起マルテンサイトが生成しに
くく硬度が低くなり、逆に圧延時の温度が低いと加工誘
起マルテンサイトが生成しやすく硬度が上昇する。ま
た、硬度上昇に応じて変形抵抗が大きくなり、形状矯正
が困難になる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、マルテンサイト
からオーステナイトへの逆変態を利用することにより、
マルテンサイト変態に伴った形状悪化を抑え、形状平坦
度に優れた高硬度のマルテンサイト系ステンレス鋼帯又
は鋼板を提供することを目的とする。
【0006】本発明の析出硬化型マルテンサイト系ステ
ンレス鋼は、その目的を達成するため、C:0.15質
量%以下,Si:2.0質量%以下,Mn:2.0質量
%以下,Ni:3.0〜10.0質量%,Cr:12.
0〜20.0質量%,Mo:4.0質量%以下,N:
0.05質量%以下,Ti:0.50質量%以下,残部
が実質的にFeで、式(1)で定義されるMd(N)値
が100以上の組成をもち、逆変態オーステナイトから
生成したマルテンサイトがマトリックスに分散している
組織をもつことを特徴とする。 Md(N)=580−520C−2Si−16Mn−16Cr−23Ni−300N−10Mo・・・(1)
【0007】この析出硬化型マルテンサイト系ステンレ
ス鋼は、更にCu:5.0質量%以下,Nb:0.50
質量%以下,Al:2.0質量%以下,B:0.015
質量%以下,REM(希土類元素):0.2質量%以
下,Y:0.2質量%以下,Ca:0.1質量%以下,
Mg:0.10質量%以下の1種又は2種以上を含むこ
とができる。この場合、式(2)で定義されるMd
(N)値が100以上となるように成分調整される。 Md(N)=580−520C−2Si−16Mn−16Cr−23Ni−26Cu−300N−10Mo ・・・(2)
【0008】この析出硬化型マルテンサイト系ステンレ
ス鋼は、所定組成に調整されたステンレス鋼帯を溶体化
処理した後、450〜550℃で加熱する時効処理、次
いで550〜650℃に加熱してマトリックス中に3体
積%以上のオーステナイトを生成させる逆変態処理の2
段熱処理を施すことにより製造される。2段熱処理に先
立って、溶体化処理されたステンレス鋼を冷間圧延する
ことにより加工誘起マルテンサイトを生成させ、該加工
誘起マルテンサイトをオーステナイトに逆変態させるこ
とも可能である。逆変態処理では、8g/cm2以上の
負荷を加えた状態で加熱すると、鋼帯の平坦度が更に向
上する。
【0009】
【作用】本発明者等は、マルテンサイト系ステンレス鋼
板の製造条件が硬度及び形状平坦度に及ぼす影響を種々
調査検討した。その結果、溶体化処理後の冷却過程で生
成するマルテンサイト及び冷間圧延時に生成する加工誘
起マルテンサイトを加熱するとオーステナイトに逆変態
するが、このとき体積変化が形状平坦度の向上に利用で
きることを見出した。なお、本件明細書では、鋼板を包
含する意味で「鋼帯」を使用しているが、鋼板の熱処理
にあっても同様に逆変態オーステナイトが生じることは
勿論である。
【0010】本発明に従った熱処理工程では、溶体化処
理されたステンレス鋼帯を冷間圧延した後、時効処理
し、更に逆変態処理を施す(図1)。冷却過程でオース
テナイトからマルテンサイトに変態すると体積膨張が起
こり、早く冷却された部分で生じたマルテンサイト変態
に起因して鋼帯形状が崩れる。そこで、時効処理後にス
テンレス鋼帯を再加熱することによって加工誘起マルテ
ンサイトをオーステナイトに逆変態させる。この逆変態
により約10%の体積収縮が生じ、マルテンサイト変態
時の鋼帯形状の崩れが解消される。また、逆変態時に外
力を加えると、拘束を受け継ぐ状態で変態が進行するた
め、鋼帯形状が更に改善される。
【0011】溶体化処理後の冷却過程及び冷間圧延過程
でマルテンサイトを生成させ、更に逆変態処理でオース
テナイトを生成させることによりマルテンサイト系ステ
ンレス鋼帯の形状平坦度が改善される。本発明では、こ
のようなマルテンサイト変態及び逆変態が形状平坦度に
及ぼす効果及び高硬度を維持する上で、次の合金設計を
採用した。
【0012】C:0.15質量%以下 オーステナイト形成元素であり、マルテンサイト相の強
化に極めて有効である。また、逆変態を低温側に下げる
ことによって逆変態オーステナイト量が制御しやすくな
り、形状矯正や高強度化に有効に作用する。しかし、C
含有量の増加に伴って溶体化処理後の冷却過程や時効処
理中にCr系炭化物が粒界に析出し、耐粒界腐食や疲労
特性を低下させる原因になりやすい。そこで、Cr系炭
化物の粒界析出が熱処理条件や冷却速度で抑制できるよ
うに、C含有量の上限を0.15質量%に設定した。
【0013】Si:2.0質量%以下 フェライト形成元素であり、マルテンサイト相に固溶し
て硬質化し、冷間加工後の強度を向上させる作用を呈す
る。時効処理に際しては、歪時効を促進させることによ
って時効硬化能を向上する。しかし、過剰量のSi添加
は高温割れを誘発し、製造上で種々のトラブルを発生さ
せることから、Si含有量の上限を2.0質量%に設定
した。
【0014】Mn:2.0質量%以下 高温域でのδフェライトの生成を抑制すると共に、Cと
同様に逆変態開始温度を低温側に下げる作用があるた
め、逆変態オーステナイト量を制御しやすくなる。しか
し、2.0質量%を超える過剰量のMnが含まれると、
焼鈍後の残留オーステナイト量が多くなり、強度低下の
原因になる。Ni:3.0〜10.0質量% Mnと同様に高温域でのδフェライトの生成を抑制する
作用を呈する。また、Cと同様に逆変態開始温度を低温
側に下げる作用があるため、逆変態オーステナイト量を
制御しやすくなる。Niは、析出硬化能を向上させる上
でも有効な成分である。このような作用は、3.0質量
%以上のNi量で顕著になる。しかし、10.0質量%
を超えるNiの過剰添加は、残留オーステナイト量の増
加を招き、強度低下の原因となる。
【0015】Cr:12.0〜20.0質量% 耐食性向上に有効な合金成分であり、12.0質量%以
上のCr量で意図する耐食性が確保される。しかし、フ
ェライト形成元素であることから、過剰なCr含有は高
温域でδフェライト相が多量に生成する原因となり、δ
フェライト相抑制のために必要なC,N,Ni,Mn,
Cu等のオーステナイト形成元素の増量を招く。オース
テナイト形成元素の多量添加は室温でオーステナイトを
安定化させ、時効処理による高強度化に支障をきたす。
そのため、オーステナイト形成元素の増量が必要とされ
ないように、Cr含有量の上限を20.0質量%に設定
した。
【0016】Mo:4.0質量%以下 耐食性向上に有効な成分であり、逆変態処理時に炭窒化
物を微細に分散させる作用を呈する。また、形状矯正に
利用される逆変態処理では、加熱温度が通常の時効処理
温度よりも高く設定されるが、Moを添加していると高
温時効による急激な歪の解放が抑制される。このような
作用は、1.5質量%以上のMo添加で顕著になる。し
かし、4.0質量%を超える過剰量のMoが含まれる
と、高温域でδフェライトが生成しやすくなる。
【0017】N:0.05質量%以下 Cと同様にオーステナイト形成元素であり、逆変態開始
温度を低温側に下げるため逆変態オーステナイト量を制
御しやすく、形状矯正及び高強度化に有効に作用する。
しかし、Tiを添加している合金系では非金属介在物を
生成しやすい成分であることから、N含有量の上限を
0.05質量%に設定した。Ti:0.50質量%以下 析出硬化に有効な合金成分であり,逆変態処理時に強度
を上昇させる作用も呈する。しかし、0.50質量%を
超える過剰量のTiが含まれると、スラブ表面に疵が発
生しやすくなり、製造面での問題が大きくなる。
【0018】Cu:5.0質量%以下 必要に応じて添加される合金成分であり、オーステナイ
ト形成元素として働き、逆変態開始温度を低温側に下げ
ると共に、逆変態時に時効硬化作用を発現する。しか
し、5.0質量%を超えるCuの過剰添加は、熱間加工
性を劣化させ、割れ発生の原因になる。Nb:0.50質量%以下 必要に応じて添加される合金成分であり、逆変態時の強
度上昇に有効である。しかし、高温強度上昇に起因して
熱間加工性を低下させる成分であることから、Nbを添
加する場合には上限を0.50質量%に設定する。
【0019】Al:2.0質量%以下 必要に応じて添加される合金成分であり、製鋼段階での
脱酸剤として働くと共に、Ti,Nbと同様に析出硬化
能を上昇させる。しかし、2.0質量%を超えてAlを
添加しても、析出硬化能上昇に及ぼす効果が飽和するば
かりでなく、溶接性低下,表面欠陥の頻発等の弊害が現
れる。B:0.015質量%以下 必要に応じて添加される合金成分であり、熱間圧延温度
域においてδフェライト相とオーステナイト相の変形抵
抗の差に起因してエッジクラックが熱延鋼帯に発生する
ことを防止する作用を呈する。しかし、0.015質量
%を超える過剰量のBを添加すると、低融点硼化物が生
成しやすくなり、却って熱間加工性が低下する。
【0020】REM(希土類元素):0.2質量%以下 Y:0.2質量%以下 Ca:0.1質量%以下 Mg:0.10質量%以下 必要に応じて添加される合金成分であり、何れも熱間加
工性を向上させる作用を呈し、耐酸化性の向上にも有効
である。しかし、これら作用は、REM(希土類元
素):0.2質量%,Y:0.2質量%,Ca:0.1
質量%,Mg:0.10質量%で飽和し、それ以上添加
しても鋼材の清浄度が悪くなる。
【0021】その他、P,S,O等が含まれることがあ
る。Pは、固溶強化能の大きな成分ではあるが、靭性に
悪影響を及ぼすことから、通常許容されている0.06
0質量%に上限を設定することが好ましい。Sは、熱間
圧延時に耳割れ発生の原因となる有害元素であることか
ら低いほど好ましい。S起因の悪影響はB添加によって
抑制されるので、許容できるS量を0.020質量%以
下とする。Oは、酸化物系の非金属介在物となり鋼材の
清浄度を低下させ、プレス成形性や曲げ加工性に悪影響
を及ぼすことから0.02質量%以下にすることが好ま
しい。
【0022】Md(N)値:100以上 Md(N)=580−520C−2Si−16Mn−16Cr−23Ni−26Cu−300
N−10Mo 本発明の高強度マルテンサイト系ステンレス鋼帯では、
溶体化処理後又は冷間圧延後の逆変態処理によって逆変
態オーステナイトを生成させ、該逆変態オーステナイト
を再度マルテンサイト変態することにより形状矯正をし
ている。そのため、加工に対するオーステナイトの安定
度を示す指標であるMd(N)値を100以上とするこ
とにより、Mf点(冷却中にオーステナイトがマルテン
サイトの完全に変態する終了温度)が0〜50℃とな
り、室温でほぼマルテンサイト単相の組織が得られる。
【0023】以上のように成分調整されたステンレス鋼
は、逆変態を利用して形状矯正される。逆変態処理は、
溶体化処理後の冷却過程で生成するマルテンサイト及び
冷延工程で生成する加工誘起マルテンサイトを逆変態オ
ーステナイトにする処理であり、連続熱処理炉又はバッ
チ式加熱炉が使用される。逆変態処理では、マルテンサ
イトがオーステナイトに逆変態する温度域にステンレス
鋼帯が加熱される。
【0024】適正な速度で逆変態オーステナイトを生成
させる上では、加熱温度を550〜650℃の範囲に設
定する。550℃未満の加熱温度では、逆変態オーステ
ナイトの生成反応が著しく遅く、工業生産上で不利にな
る。逆に650℃を超える加熱温度では、逆変態オース
テナイトの生成反応が極端に早くなり、マルテンサイト
も軟質化するため、350以上のビッカース硬度を安定
して確保することが困難になる。高すぎる加熱温度は、
炭化物析出に起因した鋭敏化によって耐食性を低下させ
る虞もある。
【0025】マルテンサイトからオーステナイトに逆変
態する際、収縮変形による形状矯正効果が発現し、コイ
ル間の張力によって鋼帯の形状が良好に確保され、或い
は鋼板自体の自重によって良好な鋼板形状が確保され
る。本発明者等の調査・研究によるとき、3%以上の逆
変態オーステナイトを生成させると逆変態処理の効果が
顕著になることを見出した。また、押し板等によって鋼
板に荷重を加えた状態で逆変態処理すると、鋼板形状が
更に改善される。この場合、逆変態時の高温強度を考慮
すると、単位面積当り8g/cm2以上の荷重を加える
ことが好ましい。
【0026】
【実施例】表1の組成をもつステンレス鋼を真空溶解炉
で250kg溶製し、鍛造,熱延,焼鈍,冷延を経て板
厚1.0〜1.5mmの冷延板を製造した。表中、1〜
7が本発明で規定した条件を満足するステンレス鋼、8
〜14が本発明で規定した条件を外れるステンレス鋼で
ある。
【0027】
【0028】各ステンレス鋼帯を1050℃×1分で焼
鈍した後、一部の鋼帯を冷間圧延し、更に全鋼帯を時効
処理し、次いで600秒の逆変態処理を施した。冷間圧
延,時効処理及び逆変体処理の条件を表2に示す。製造
された各鋼帯について、冷却中300℃近傍でフェライ
ト含量計を用いた磁気的測定法で保持時間600秒の逆
変態処理で生成した逆変態オーステナイト量を測定し
た。逆変態処理された鋼帯の幅方向両側10mmを切り
落として板幅200mm、長さ1500mmの鋼板を切
り出し、最大耳高さで鋼帯の平坦度を評価した。測定結
果を、表面ビッカース硬度(荷重10kg)と共に、表
2に併せ示す。
【0029】表2にみられるように、試験番号1〜11
(本発明例)では、平均ビッカース硬度が350以上、
逆変態処理された鋼帯の最大耳高さが3.0mm以下に
なっていた。他方、試験番号12〜14は、本発明で規
定した組成を満足するものではあるが、時効処理温度が
450〜550℃外れる試験番号12,13や逆変態処
理温度が650℃を超える試験番号14では、材料の軟
化が著しく進行し、350未満のビッカース硬度を示し
た。本発明で規定した組成を外れる試験番号15〜20
では、ビッカース硬度350以上で且つ優れた形状の鋼
帯が得られなかった。また、試験番号12,17.18
では、TiNやAlNに起因する表面欠陥が発生し、炭
素含有量の多い試験番号20では逆変態処理後の放置期
間に部分的な錆が発生した。
【0030】
【0031】鋼板形状を更に矯正するため、鋼帯幅方向
両側10mmをカットして切り出した幅200mm,長
さ300mmの鋼板に表3に示す各種押え圧で厚板を挟
み込んだ。この条件下で600秒の逆変態処理し、鋼板
に加えた荷重が鋼板平坦度に及ぼす影響を調査した。調
査結果を、逆変態オーステナイト量及び表面平均ビッカ
ース硬度(荷重10kg)と共に表3に示す。表3にみ
られるように、逆変態処理中の鋼板に荷重を加えること
により、最大耳高さが1.0mm以下と更に小さくなっ
た。加えた荷重と最大耳高さとの関係から、8g/cm
2以上の荷重で鋼板が効果的に形状矯正されることが判
る。
【0032】
【0033】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のマルテ
ンサイト系ステンレス鋼帯は、成分を適正に管理すると
共に逆変態オーステナイトに由来するマルテンサイトを
分散させることにより形状平坦度が良好である。ビッカ
ース硬度も350以上の高い値を示し、耐食性にも優れ
ていることから、プレスプレート,ステンレスフレー
ム,板バネ,フラッパーバルブ,メタルガスケット,ラ
ッピングキャリア材,キャリアプレート,ステンレスミ
ラー,ダンパースプリング,ディスクブレーキ,ブレー
キマスターキー,スチールベルト,メタルマスク等の各
種バネ材や高強度材として広範な分野で使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従った熱処理工程を示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤本 廣 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社ステンレス事業本部内 Fターム(参考) 4K037 EA01 EA02 EA04 EA05 EA06 EA09 EA12 EA13 EA14 EA15 EA17 EA18 EA19 EA20 EA21 EA27 EA28 EA36 EB11 EB13 FL02 FM01 HA05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.15質量%以下,Si:2.0
    質量%以下,Mn:2.0質量%以下,Ni:3.0〜
    10.0質量%,Cr:12.0〜20.0質量%,M
    o:4.0質量%以下,N:0.05質量%以下,T
    i:0.50質量%以下,残部が実質的にFeで、式
    (1)で定義されるMd(N)値が100以上の組成を
    もち、逆変態オーステナイトから生成したマルテンサイ
    トがマトリックスに分散している組織をもつことを特徴
    とする形状平坦度に優れたビッカース硬さHV350以
    上の析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼。 Md(N)=580−520C−2Si−16Mn−16Cr−23Ni−300N−10Mo・・・(1)
  2. 【請求項2】 更にCu:5.0質量%以下,Nb:
    0.50質量%以下,Al:2.0質量%以下,B:
    0.015質量%以下,REM(希土類元素):0.2
    質量%以下,Y:0.2質量%以下,Ca:0.1質量
    %以下,Mg:0.10質量%以下の1種又は2種以上
    を含み、式(2)で定義されるMd(N)値が100以
    上である請求項1記載の析出硬化型マルテンサイト系ス
    テンレス鋼。 Md(N)=580−520C−2Si−16Mn−16Cr−23Ni−26Cu−300N−10Mo ・・・(2)
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の組成をもつステンレス
    鋼を溶体化処理した後、450〜550℃で加熱する時
    効処理、次いで550〜650℃に加熱してマトリック
    ス中に3体積%以上のオーステナイトを生成させる逆変
    態処理の2段熱処理を施すことを特徴とする形状平坦度
    に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法。
  4. 【請求項4】 溶体化処理と2段熱処理との間で冷間圧
    延する請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 8g/cm2以上の負荷を加えた状態で
    逆変態処理し、最大耳高さ1.0mm以下とする請求項
    3又は4記載の製造方法。
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