JP2002161874A

JP2002161874A - スクロールポンプ

Info

Publication number: JP2002161874A
Application number: JP2000360230A
Authority: JP
Inventors: Suehisa Kishimoto; 季久岸本; Toshiaki Minamino; 利明南野; Koichi Hirai; 康一平井
Original assignee: Matsushita Electric Works Ltd
Current assignee: Panasonic Electric Works Co Ltd
Priority date: 2000-11-27
Filing date: 2000-11-27
Publication date: 2002-06-07

Abstract

(57)【要約】【課題】簡単な構造でポンプの後負荷の変化に対応し
た背圧を可動スクロールに与えるスクロールポンプを提
供する。【解決手段】渦巻状ラップ１ｄ，２ｂを夫々の鏡板１
ｃ，２ａの対向面上に立設した固定スクロール１及び可
動スクロール２を有するスクロールポンプにおいて、可
動スクロール２を固定スクロール１に押付ける背圧を与
える為の背圧付与手段として、可動スクロール２の背面
側に吐出ガスを導入する為のガス封入室５２を設けると
ともに、導入したガスを封止する為のシール７を配し、
且つ、上記シール７には背圧付与の為の撓みを与えてお
く。シール７の断面形状としてはリップ型が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ガス圧縮用のスク
ロールポンプに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】スクロールポンプとは、固定スクロール
及び可動スクロールを有し、上記固定スクロール及び可
動スクロールにて立設した固定スクロールラップ１ｄ及
び可動スクロールラップ２ｂを図４に示すように噛合わ
せて中央ガス室５１及び複数のガス圧縮室５０を形成す
るとともに、固定スクロールラップ１ｂを固定し、且
つ、可動スクロールラップ２ｄには自転をさせずに旋回
運動つまり公転を行わせることで、上記ガス圧縮室５０
の容積を減少させつつ中心ガス室５１側へと移動させ、
圧縮したガスを中心ガス室５１と連通した吐出口より吐
出させてガス圧縮用ポンプとして利用するものである。

【０００３】上記したスクロールポンプにおいては、ガ
ス圧縮室５０と中央ガス室５１において、その内部ガス
圧によって固定スクロールと可動スクロールの距離を隔
てようとする離反力が生じる。しかし、固定スクロール
と可動スクロールの隙間が広がると、ガス圧縮室５０の
密閉性を保持できなくなる為に吐出するガス圧が低下
し、更には、可動スクロールが公転中にがたつきを生じ
る為に摺動面で摩擦やかじり、振動、騒音等が発生し
て、運転効率や寿命の低下を生じる。

【０００４】そこで、従来のスクロールポンプには、中
央ガス室５１内のガスを可動スクロール背面側に形成し
たガス封入室に導入して、そのガス圧により可動スクロ
ールを固定スクロールに押付けたり、若しくは、ばねを
利用して可動スクロールを押付けるといった仕組みの背
圧付与手段を有したものが多い。

【０００５】しかし、ポンプの吐出口における後負荷を
大気開放状態から閉鎖状態まで変化させる場合を考慮し
た場合には、上記背圧付与手段では不都合が生じる。と
いうのも、閉鎖状態での離反力はガス圧縮室５０内のガ
ス圧と中央ガス室５１内のガス圧によって生じるのに対
して、大気開放状態で働く離反力はガス圧縮室５０内の
ガス圧によってのみ生じる。従って、ばねを利用した背
圧付与手段を備えたスクロールポンプでは、ばねの初期
位相に応じた一定の背圧しか得ることができず、上記し
たような離反力の変化に対応することができない。ま
た、ガス圧を利用した背圧付与手段を備えたスクロール
ポンプにおいては、背圧が離反力に対応して変化すると
いう利点はあるものの、後負荷が大気開放状態のときに
は、中央ガス室５１内のガス圧が大気圧となってしまう
為にガス圧縮室５０内のガス圧も大気圧となり、従っ
て、離反力はガス圧縮室５０内のガス圧により生じるの
に対して、離反力に対抗する背圧を得ることができない
という課題がある。

【０００６】このように、上記した従来のスクロールポ
ンプでは、摩擦等のエネルギーロスによる運転効率や寿
命の低下という問題点を解決することは依然としてでき
ていない。また、図５に示すように背圧付与手段として
ガス封入室５２におけるガス圧とばね１１の両方を利用
することで上記問題点を解決することはできるが、この
場合には部品点数が多くなる為に、結果として安価でス
クロールポンプを提供することが困難となってしまう。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
みてなされたものであり、簡単な構造でポンプの後負荷
の変化に対応した背圧を可動スクロールに与えることで
きる、安価で運転効率の良いスクロールポンプを提供す
ることを課題とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明に係るスクロールポンプを、渦巻状ラップを夫
々の鏡板の対向面上に立設した固定スクロール及び可動
スクロールと、可動スクロールを固定スクロールに対し
て公転させる為の駆動源及び偏心機構と、可動スクロー
ルの自転を防止する為の自転防止手段と、可動スクロー
ルに背圧を与える為の背圧付与手段を具備し、固定スク
ロールと可動スクロールの両ラップが噛合うことで形成
されるガス圧縮室を可動スクロールの公転に伴いラップ
の内側に移動させながらガス圧縮室の容積を減少させる
スクロールポンプにおいて、上記背圧付与手段として、
圧縮したガスが導入されるガス封入室を可動スクロール
背面側に設けるとともに、導入したガスを封止する為の
シールをガス封入室に配し、且つ、上記シールには背圧
付与の為の撓みを与えておくことを特徴とするスクロー
ルポンプとすることで、簡単な構成によって、ガス封入
室内のガス圧による背圧と、シールの復元力による背圧
の両方を可動スクロールに対して付与する。

【０００９】また、シールの断面形状をリップ形状とす
ることで、一般的なシールであるＯリング等と比較して
ばね定数を小さくし、背圧の調節を容易とする。

【００１０】また、シールの断面形状をガス封入室側に
対して開いたリップ形状とすることで、圧縮したガスの
圧力変化に伴ってシールの押付け力を変化させる。

【００１１】また、シールの断面形状を可動スクロール
近傍において左右対照な形状とすることで、可動スクロ
ールの公転に対してシールに大きな屈曲が生じることを
防止する。

【００１２】また、シールをゴム材料によって形成する
ことで、シールに高い弾性を与えて変形を容易にする。

【００１３】また、シールと可動スクロールの間に摺動
部材を介在させることで、シールと可動スクロールが直
接接触することを回避する。

【００１４】また、摺動部材が所定量だけシール側に押
込まれたときに当接する位置に受け部を設けることで、
可動スクロールが固定スクロールから所定量以上離れる
ことを防止する。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に示す実
施の形態に基づいて説明する。図１は本発明の実施の形
態における一例の断面図である。固定スクロール１は、
円盤状の鏡板１ｃに渦巻状の固定スクロールラップ１ｄ
を立設したものであり、更に、鏡板１ｃの固定スクロー
ル１ｄを設けた側と反対側の面には、吸込口１ｂ及び吐
出口１ａを設けている。

【００１６】可動スクロール２には、円盤状の鏡板２ａ
に渦巻状の可動スクロールラップ２ｂを立設したもので
あり、上記鏡板２ａの略中央部には駆動軸受け２ｃを形
成している。上記可動スクロールラップ２ｂは固定スク
ロール１ｄと図４に示すように噛合うことで複数のガス
圧縮室５０と中央ガス室５１を形成しており、該中央ガ
ス室５１は吐出口１ａと連通している。

【００１７】更に、可動スクロール２の背面側にはハウ
ジング３を設け、固定スクロール１及び可動スクロール
２の位置決めを行っている。ハウジング３の中央に設け
た開口部３ｅにはモータ６から延設したモータ軸６ａが
挿入され、該モータ軸６ａの先端に圧入された偏心カム
４は駆動軸受け２ｃに回転自在に挿入されている。

【００１８】可動スクロール２とハウジング３の間には
リング状のオルダムリング５を介在させている。該オル
ダムリング５のハウジング３側の面には、リング中心を
通る直線方向にキー５ａ立設しており、更に、可動スク
ロール２側の面にも上記キー５ａと垂直でリング中心を
通る直線方向にキー（図示せず）を立設している。ハウ
ジング３側のキー５ａをハウジング３に設けたキー溝３
ｂと噛合わせることでハウジング３に対するオルダムリ
ング５の一方向の移動を自在とし、且つ、可動スクロー
ル２側のキーをハウジング３のキー溝３ｂと直交するよ
うに可動スクロール２に設けたキー溝（図示せず）と噛
合わせることで、オルダムリング５に対する可動スクロ
ール２の一方向の移動を自在としている。上記した二つ
の移動方向は互いに直交しているので、可動スクロール
２はハウジング３に対して二次元上を自由に移動可能で
あるとともに、可動スクロール２自身が自転をすること
は防止される。

【００１９】ハウジング３内面には凹部３ｄを設けると
ともに、該凹部３ｄの外周部には可動スクロール２と摺
動自在に当接するリング状の摺動リング９を配してい
る。更に摺動リング９とハウジング３の間にはゴム材料
を用いて形成したシール７を介在させ、円周上に複数配
したシール固定ボス３ｃによって固定している。上記シ
ール７は凹部３ｄ側に開口したリップ形状の断面を有
し、且つ、図２（ａ）、（ｂ）に示すように、組込み前
の開口部の寸法ｌ₁、ｌ₂に比べて組込み後の開口部の寸
法Ｌ₁、Ｌ₂がいずれもＬ₁＜ｌ₁、Ｌ₂＜ｌ₂となるように
充分な撓みを持たして配している。上記撓みによりシー
ル７は摺動リング９を介して可動スクロール２を押込む
背圧を生じるが、該背圧に抗して摺動リング９が可動ス
クロールに想定以上の離反力で押込まれた場合に、所定
の位置で摺動リング９を係止するように、ハウジング３
に受け部３ａを形成している。

【００２０】モータ軸６ａの周りには軸シール８を配し
ており、このように凹部３ｄと可動スクロール２の背面
とで囲まれる領域をシール７及び軸シール８で確実に密
閉することで、ガス封入室５２を形成している。また、
偏心カム４には背圧導入口４ａを設けており、該背圧導
入口４ａを介して中央ガス室５１とガス封入室５２は連
通している。

【００２１】上記構成のスクロールポンプにおいて、モ
ータ６によりモータ軸６ａを回転させることで、偏心カ
ム４を介して可動スクロール２を公転させることができ
る。但し、既述したように可動スクロール２が自転をす
ることはない。これにより吸入口１ｂより吸入されたガ
スはガス圧縮室５０内にて容積の縮小により圧縮され、
中央ガス室５１に送り込まれる。

【００２２】例えば吐出口１ａが閉鎖状態のときは、ガ
ス圧縮室５０及び中央ガス室５１内のガス圧により固定
スクロール１と可動スクロール２の距離を隔てようとす
る離反力が生じる。しかし、背圧導入口４ａを介して中
央ガス室５１内のガスがガス封入室５２内に導入される
ことで、そのガス圧により可動スクロール２を固定スク
ロール１に押付ける背圧が生じ、且つ、撓みを持たせて
配したシール７は、そのガス封入室５２側に開口した断
面リップ型の形状により確実にガス封入室５２内のガス
を封止するとともに、可動スクロール２の公転に追従し
つつも自身の復元力により可動スクロール２を固定スク
ロール１に押付ける背圧を生じる。

【００２３】また、吐出口１ａが大気開放状態のとき
は、中央ガス室５１及びガス封入室５２内のガス圧が大
気圧となるので、離反力はガス圧縮室５０内のガス圧に
より生じ、これに対抗するように可動スクロール２にか
かる背圧はシール７の復元力により生じる。

【００２４】このように本例のスクロールポンプはシー
ル７を用いた簡単な構成により、ポンプの後負荷に対応
した背圧を可動スクロール２に付与することのでき、且
つ、大気開放状態であっても背圧がなくなることのない
仕組みになっている。

【００２５】更に、上記背圧は摺動リング９を介して付
与しており、これによって、シール７が公転する可動ス
クロール２と直接当接した場合に生じるであろう磨耗や
変形を防止している。また、固定スクロール１と可動ス
クロール２の間に想定以上の離反力が生じた場合にも、
押込まれた摺動リング９が受け部３ａにて係止されるこ
とで、固定スクロール１と可動スクロール２が所定量以
上隔てられることを防止する。

【００２６】次に、本発明の実施の形態における他の例
について、図３に基づいて説明する。本例の構成は上記
した一例の構成と略同一であるが、本例においてはシー
ル７と可動スクロール２との間に摺動リング９を備え
ず、且つ、シール７としては断面形状が左右対照な菱形
状のものを用いている。このようにすることで、摺動リ
ング９を介さなくとも、可動スクロール２の揺動運動に
伴ってシール７が大きな屈曲を生じることを防止し、長
寿命を図っている。

【００２７】

【発明の効果】上記のように請求項１記載の発明にあっ
ては、簡単な構成によって、ガス封入室内のガス圧によ
る背圧とシールの復元力による背圧の両方を可動スクロ
ールに付与することができるので、後負荷に対応して背
圧の付与を行い、且つ、大気開放状態であっても背圧の
なくなることのないスクロールポンプを、安価で提供す
ることができるという効果がある。

【００２８】請求項２記載の発明にあっては、請求項1
記載の発明の効果に加えて、一般的なシールであるＯリ
ング等と比較してばね定数を小さくすることができるの
で、初期背圧の調節が容易になるという効果がある。

【００２９】請求項３記載の発明にあっては、請求項２
記載の発明の効果に加えて、圧縮したガスの圧力変化に
伴ってシールの押付け力が変化することにより、過大な
押付け力による摩擦ロスや、過小な押付け力によるガス
漏れロスを防止することができるという効果がある。

【００３０】請求項４記載の発明にあっては、請求項1
記載の発明の効果に加えて、可動スクロールの公転に伴
ってシールに大きな屈曲を生じにくくさせることで、シ
ールの寿命を延ばすことができるという効果がある。

【００３１】請求項５記載の発明にあっては、請求項１
〜４のいずれか記載の発明の効果に加えて、シールの弾
性変形により、一般的にマイクロメートルオーダーの高
精度が要求されるスクロールポンプ構成部品において、
高精度とする必要なくシールを形成することができると
いう効果がある。

【００３２】請求項６記載の発明にあっては、請求項１
〜５のいずれか記載の発明の効果に加えて、シールと可
動スクロールが直接接触することを回避することでシー
ルの寿命を延ばすことができるという効果がある。

【００３３】請求項７記載の発明にあっては、請求項６
記載の発明の効果に加えて、可動スクロールが固定スク
ロールから所定量以上離れることがなくなるので、運転
効率の大きな低下を防止して信頼性の高いスクロールポ
ンプを提供することができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態における一例の断面図であ
る。

【図２】同上のシールを示しており、（ａ）は組込み前
の断面形状の説明図、（ｂ）は組込み後の断面形状の説
明図である。

【図３】本発明の実施の形態における他の例の断面図で
ある。

【図４】固定スクロールと可動スクロールの噛合い状態
を示す説明図である。

【図５】従来例の断面図である。

【符号の説明】

１固定スクロール１ａ吐出口１ｃ鏡板１ｄ固定スクロールラップ２可動スクロール２ａ鏡板２ｂ可動スクロールラップ３ａ受け部３ｂキー溝４偏心カム５オルダムリング５ａキー６モータ７シール９摺動リング

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者平井康一大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株式会社内Ｆターム(参考） 3H039 AA06 AA12 BB02 BB04 BB15 BB28 CC02 CC24 CC25 CC31 CC35

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】渦巻状ラップを夫々の鏡板の対向面上に
立設した固定スクロール及び可動スクロールと、可動ス
クロールを固定スクロールに対して公転させる為の駆動
源及び偏心機構と、可動スクロールの自転を防止する為
の自転防止手段と、可動スクロールに背圧を与える為の
背圧付与手段を具備し、固定スクロールと可動スクロー
ルの両ラップが噛合うことで形成されるガス圧縮室を可
動スクロールの公転に伴いラップの内側に移動させなが
らガス圧縮室の容積を減少させるスクロールポンプにお
いて、上記背圧付与手段として、圧縮したガスが導入さ
れるガス封入室を可動スクロール背面側に設けるととも
に、導入したガスを封止する為のシールをガス封入室に
配し、且つ、上記シールには背圧付与の為の撓みを与え
ておくことを特徴とするスクロールポンプ。
【請求項２】シールの断面形状がリップ形状であるこ
とを特徴とする請求項１記載のスクロールポンプ。
【請求項３】シールの断面形状がガス封入室側に対し
て開いたリップ形状であることを特徴とする請求項２記
載のスクロールポンプ。
【請求項４】シールの断面形状が可動スクロール近傍
において左右対照な形状であることを特徴とする請求項
１記載のスクロールポンプ。
【請求項５】シールをゴム材料によって形成すること
を特徴とする請求項１〜４のいずれか記載のスクロール
ポンプ。
【請求項６】シールと可動スクロールの間に摺動部材
を介在させることを特徴とする請求項１〜５のいずれか
記載のスクロールポンプ。
【請求項７】摺動部材が所定量だけシール側に押込ま
れたときに当接する位置に受け部を設けることを特徴と
する請求項６記載のスクロールポンプ。