JP2002161049A - 血管内膜肥厚抑制剤 - Google Patents

血管内膜肥厚抑制剤

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JP2002161049A
JP2002161049A JP2000361047A JP2000361047A JP2002161049A JP 2002161049 A JP2002161049 A JP 2002161049A JP 2000361047 A JP2000361047 A JP 2000361047A JP 2000361047 A JP2000361047 A JP 2000361047A JP 2002161049 A JP2002161049 A JP 2002161049A
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egf
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vascular
intimal hyperplasia
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Tetsuya Ishikawa
哲也 石川
Hiroshi Terai
博 寺井
Takashi Kitajima
隆 北嶋
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Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】PTA(PTCAを含む)後、ステント留置
後、バイパス手術後、虚血後などの血管内膜肥厚および
再狭窄の予防・治療に有用な薬剤を提供する。 【解決手段】上皮成長因子ファミリー(EGFファミリ
ー)に属し、上皮成長因子レセプターへの結合能を有す
る細胞成長因子、あるいは該細胞成長因子と相同または
1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは
付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドを含有す
る血管内膜肥厚抑制剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PTA(PTCA
を含む)またはステント留置による血管形成術、バイパ
ス手術または虚血後に生じる再狭窄の防止に有用な血管
内膜肥厚抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、冠動脈狭窄の治療法として、バル
ーンカテーテルを用いた経皮的冠状動脈形成術(PTC
A)またはステントを用いた血管形成術が行われている
が、これら処置により起きる血管内膜肥厚による再狭窄
が問題になっている。施術後6ヶ月において、再狭窄の
発生率は、通常、PTCA術の場合で30−50%程
度、ステントを用いた血管形成術の場合で10−30%
程度の割合で生じる。また経皮的動脈形成術(PTA)
後またはバイパス手術後の吻合部付近の血管内膜肥厚も
問題になっている。さらに虚血後にも血管内膜肥厚によ
る再狭窄が起きる。
【0003】上記血管内膜肥厚は、カテーテルの擦過あ
るいはステントの留置などにより、血管内皮が損傷し、
血栓形成に続いて内膜における血管平滑筋細胞が異常増
殖することによって起こると考えられている。このよう
な血管内膜肥厚およびこれによる再狭窄を抑制する方策
は、血栓形成または血管平滑筋細胞の増殖を抑制し、血
管内膜肥厚を抑制することであり、また一方、血管内皮
の速やかな再生により、血管内膜肥厚を抑制することで
ある。
【0004】現在まで、主として、血栓形成または血管
平滑筋細胞増殖の抑制の方策に沿って血管内膜肥厚(再
狭窄)の抑制方法が研究されており、その結果、再狭窄
抑制剤として、種々の血栓形成または血管平滑筋細胞増
殖を阻害する物質が考案されている。このようなタイプ
の再狭窄抑制剤として、種々の合成低分子化合物が考案
されている。
【0005】合成化合物の他に細胞成長因子を利用した
ものも考案されており、たとえば繊維芽細胞成長因子
(FGF)のレセプターへの結合性を増加させ、細胞増
殖活性を減少させた繊維芽細胞成長因子ムテイン(WO
9955861A2 )が考案されている。また細胞成長因子を、
血管平滑筋細胞の増殖を阻害する物質(細胞傷害性薬)
のレセプターへのターゲティングリガンドとして利用し
た接合体も考案されている。たとえば繊維芽細胞成長因
子(FGF)と、細胞傷害性薬(サポリンなどのリボソ
ーム不活化タンパク質)との接合体が考案されている
(US5308622 、WO9211872A1 )。上皮成長因子(E
GF)とチロシンキナーゼ阻害剤であるジェニステイン
(Genistein )との接合体(WO00002576A3、WO0000
2576A2) 、EGFとイソフラボン(Isoflavone)との接
合体(US06034053)、ヘパリン結合性EGF様成長因
子(HB−EGF) と細胞傷害性薬(リボソーム不活化
タンパク質、アンチセンス核酸などの治療核酸)との接
合体(WO09608274A3、WO09608293A2、WO09608274
A2)も考案されている。
【0006】しかしながら上記細胞成長因子と細胞傷害
性薬との接合体のうち、EGFまたはHB−EGFを含
む接合体は、血管平滑筋細胞だけでなくEGFレセプタ
ーを発現している血管内皮細胞にも同様に結合し、連結
された細胞傷害性薬が作用して増殖阻害を引き起こして
傷害を来すと考えられる。このためEGFまたはHB−
EGFと細胞傷害性薬との接合体は、血管内皮細胞の増
殖による正常な血管内膜再生の観点から見て再狭窄抑制
剤としては不都合であると考えられる。
【0007】血管内皮の再生促進による再狭窄抑制方法
として、血管内皮細胞成長因子(VEGF)および肝細
胞成長因子(HGF)の利用が提案されている。VEG
Fは動物実験モデルで再狭窄抑制に有効であることが報
告されている(US5,830,876 )。ただしVEGFは血
管透過性を増加させる活性も有することから、出血傾向
や血管の浮腫の原因となる問題があることが指摘されて
いる。HGFはin vitroにおいて、内皮細胞への特異的
な増殖活性を示し、一方平滑筋細胞には増殖抑制作用を
示すことが開示されている(特開平8-295634号)。
【0008】さらに他の細胞成長因子の血管細胞に対す
る増殖活性あるいは増殖阻害活性が知られている。塩基
性FGFは、動物モデル実験で血管内皮細胞増殖活性が
あることが報告されている(Linder et al, J. Clin. In
vest. 1990;85:2004-2008 )が、顕著な血管平滑筋細胞
増殖活性も報告されている(Linder et al、Cir. Res.
199;68:106-113, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 1991;
88:3739-3743)。酸性FGFは、動物モデル実験で血管
平滑筋細胞増殖阻害活性があることが報告されている
が、血管内皮細胞修復については報告されていない(Bjo
rnsson etal, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1991;8
8:8651-8655)。
【0009】血小板由来成長因子(PDGF)、HB−
EGFおよびTGF−βなどは血管内膜肥厚の増悪因子
として考えられている。上記以外にも、血管平滑筋細胞
および血管内皮細胞に増殖活性を示す多くの細胞成長因
子およびサイトカインがあるが、これらの血管内膜肥厚
および再狭窄への影響は明らかになっていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、PTA(P
TCAを含む)、ステント留置、バイパス手術または虚
血後の血管内膜肥厚を抑制し、傷害を受けた血管を再生
させることができ、再狭窄防止剤として有用な血管内膜
肥厚抑制剤を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、血管外膜
の繊維芽細胞や血管中膜の血管平滑筋細胞の増殖を抑制
し、一方血管内皮の再生を促進する血管内膜肥厚抑制
剤、再狭窄防止剤として有用な薬剤となりうる物質を探
索したところ、細胞成長因子のうちでも上皮成長因子
(以下EGF)ファミリーに属する成長因子であって、
EGFレセプター(EGFR、別称ErbB1)に結合
性を有するポリペプチドが、血管外膜繊維芽細胞、血管
中膜平滑筋細胞および血管内膜内皮細胞に作用して、血
管内膜の過形成を抑制し、正常な血管内膜を再生させる
活性を有し、上記課題を解決することを考案し、本発明
を完成するに至った。即ち本発明の課題は、以下の1)
〜8)によって解決される。
【0012】なお後述するようにEGFは、培養条件下
では血管平滑筋細胞の増殖促進活性を有することから、
一般的にはむしろ血管内膜肥厚の増悪因子として捉えら
れており、したがってEGFを血管内膜肥厚抑制の有効
成分とすることは従来のEGFに対する評価から見れば
予想外のことといえる。また血管内膜肥厚におけるEG
F投与の影響については従来注目されておらず、動物モ
デルなどにより血管内膜肥厚抑制効果を報告した例も見
当たらない。
【0013】1)上皮成長因子ファミリー(EGFファ
ミリー)に属し、上皮成長因子レセプターへの結合能を
有する細胞成長因子、あるいは該細胞成長因子と相同ま
たは1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もし
くは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドを含
有する血管内膜肥厚抑制剤。該細胞成長因子はバイパス
手術による血管または人工血管移植後、ステント留置
後、虚血後またはPTA(PTCAを含む)後などの血
管内膜肥厚の抑制剤として好適である。該細胞成長因子
はPTA(PTCAを含む)後の血管内膜肥厚抑制剤と
してさらに好適である。なお上記ポリペプチドを含有す
る血管内膜肥厚抑制剤は、上記ポリペプチドのみからな
っていてもよく、またあるいは該ポリペプチドとともに
他の物質を含んでいてもよい。
【0014】2)前記細胞成長因子がヘパリン親和性を
示さない細胞成長因子である上記1)に記載の血管内膜
肥厚抑制剤。このようなポリペプチドとして、具体的に
は上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング成長
因子−α(TGF−α)、エピレグレン(epiregulin:
ER)が挙げられる。
【0015】3)前記細胞成長因子が上皮成長因子(E
GF)である上記1)または2)に記載の血管内膜肥厚
抑制剤。EGFはヒト型が好適である。
【0016】4)該細胞成長因子が分泌型細胞成長因子
である1)〜3)のいずれかに記載の血管内膜肥厚抑制
剤。成熟型分子の分子量が5〜7kDの単一ポリペプチ
ドであることが好ましい。
【0017】5)1)〜4)に記載の該細胞成長因子の
遺伝子を含有することを特徴とする血管内膜肥厚抑制
剤。 6)前記遺伝子を含む発現ベクターを含有することを特
徴とする血管内膜肥厚抑制剤。 7)該遺伝子を含む形質転換体を含有することを特徴と
する血管内膜肥厚抑制剤。形質転換体は細胞が好適であ
る。
【0018】8)上記1)〜7)に記載の血管内膜肥厚
抑制剤の使用法。 上記血管内膜肥厚抑制剤は、カテーテルなどによる局所
投与、ステントなどおの器具に付加して投与、または血
管内への注射で使用する方法などがある。
【0019】
【発明の実施の形態】細胞成長因子およびサイトカイン
の多くは、血管平滑筋細胞および血管内皮細胞に増殖、
遊走の促進活性または抑制活性を示すが、血管内膜肥厚
への影響は明らかになっていない。また、IL−8、I
L−4、PD−ECGF、アンジオジェニン、インテグ
リンαvβ3、アンジオポエチン−1、プレイオトロフ
ィン、ミッドカイン、組織因子、TNF−α(低濃
度)、IGF、CYR61、PDGF、HGFのNK
1、HGFのNK2、エフリンB2、マトリックスメタ
ロプロティナーゼ、G−CSF、成長ホルモンなどは血
管新生活性を有するが、これらの投与による血管内膜肥
厚への影響も明らかになっていない。
【0020】Cohen (J.Biol.Chem.,237,15555(1962))
によって発見された最初の細胞成長因子であるEGFに
ついて、これまで数多くの研究が報告されており、EG
Fの生体内の分布、そして作用は多様であることが示さ
れている。EGFは、ほとんどすべての体液および分泌
液にその存在が確認されている。EGFの生物活性につ
いても、細胞増殖活性以外に非常に多様な活性が報告さ
れている(Carpenter et al : “Peptide Growth Facto
rs and Receptors I. ”pp69-171, Springer-Verlag, 1
990 )。
【0021】EGFは血管内皮細胞の増殖、遊走促進活
性および血管平滑筋細胞の増殖促進活性の両方を有して
いるとされている(Raines and Ross;Clinical Applica
tionof Cytokines 37章,Oxford University Press(199
3))が、その活性は殆どが培養条件下で調べられたもの
である。血管内皮細胞への増殖活性については、他の細
胞成長因子FGF、VEGF、HGFなどと比べると弱
いとされている。たとえばEGFの内皮細胞増殖活性は
FGFに比べて低く、内皮細胞の種類によっては増殖が
殆ど促進されないこともある(Gospodarowicz ら、J.Ce
ll Boil.,77,774(1978) )。それ故に、PTA(経皮的
動脈形成術、PTCAを含む)後、バイパス手術などの
血管移植後、ステント留置後、または虚血後などに生じ
る血管内膜肥厚におけるEGF投与の影響については注
目されていなかった。
【0022】そしてEGFは、VEGF、HGFと異な
り、少なくとも培養条件下では、PDGFやbFGFと
同様に血管平滑筋細胞の増殖促進活性を有しており(Th
yberg ら、Arteriosclerosis 10,966(1990) )、血管内
膜肥厚の増悪因子という先入観で捉えられていた。現在
までに、血管内膜肥厚の動物モデルなどにより、EGF
投与による血管内膜肥厚抑制効果を報告した例はない。
このような状況の中、本発明者らはEGFを損傷血管へ
適用することにより、血管外膜繊維芽細胞、血管中膜平
滑筋細胞および血管内膜内皮細胞に適度に作用して、新
生内膜の過形成を抑制し、血管内膜肥厚抑制および再狭
窄防止効果を示すことを見出した。
【0023】これまでにEGFと配列的に、また構造的
に類似した分子が数多く知られ、EGFファミリーとし
て分類されている。これらの分子も血管平滑筋細胞の異
常増殖を原因とする様々な疾患、たとえばPTCA後の
血管再狭窄、動脈硬化、虚血性血管障害後の内膜肥厚、
末梢動脈閉塞、結節性動脈周囲炎又は移植臓器において
見られる血管炎などの細胞増殖性血管炎に対する予防
薬、治療薬および血管壁肥厚抑制剤として有用である可
能性が考えられる。
【0024】EGFファミリーに属し、かつEGFレセ
プターに結合する細胞成長因子としては、EGF(Sava
geら、J.Biol.Chem.,247,7612(1972) )、TGF−α
(Marquardt ら、Science 223,1079(1984))、エピレグ
リン(Toyodaら、J.Biol.Chem.,270,7495(1995) )、ヘ
パリン結合性EGF様成長因子(HB−EGF:Higash
iyama ら、Science 251,936(1991) )、アンフィレグリ
ン(amphiregulin、AR:Shoyabら、Science 243,1074
(1989))、ベータセルリン(betacellulin 、BTC:Sh
ing ら、Science 259,1604(1993)) などが挙げられる。
これらの分子は、EGFと同様にC末端側に3つのジス
ルフィド結合で特徴づけられるEGFドメインを有し、
EGFと25−40%の配列相同をもつ。これらはいず
れもEGFRに結合することから、EGFに類似した活
性を示す。なおニューレグリンズ(neuregulins 、NR
G:Holmesら、Science 256,1205(1992)、Wen ら、Cell
69,559(1992) 、Nakanoら、J.Biochem.127,925(2000)
)は、EGFファミリーに属する細胞成長因子である
が、EGFレセプターには結合しない。
【0025】EGFファミリーに属する細胞成長因子
は、前駆型(ジャクスタクリン機構で作用)および分泌
型(パラクリン機構で作用)ともに活性を示す。ヒト・
EGFは前駆体で1207個のアミノ酸、分泌型で53
個のアミノ酸からなるポリペプチドである。ヒト・TG
F−αは前駆体で160個のアミノ酸、分泌型で50個
のアミノ酸からなる。ヒト・ERは前駆体で163個の
アミノ酸、分泌型で46個のアミノ酸からなる。ヒト・
HB−EGFは、前駆体で208個のアミノ酸、分泌型
で75〜87個のアミノ酸からなる。ヒト・ARは、前
駆体で252個のアミノ酸、分泌型で78〜84個のア
ミノ酸からなる。ヒト・BTCは、前駆体で177個の
アミノ酸、分泌型で80個のアミノ酸からなる。
【0026】上記EGFファミリー分子のうち、EG
F、TGF−αおよびERは成熟分子(分泌型)の分子
量が5〜7kDと小さい分子で、ヘパリン親和性の配列
モチーフを持たない点で共通している。すなわちこれら
の分子は非常によく似た生理活性を示し、血管内膜肥厚
および再狭窄に対しても同じような抑制作用を示すと考
えられる。これに対してHB−EGF、ARおよびBT
Cはヘパリンに親和性を示し、ヘパリン結合性EGFサ
ブファミリーとしてさらに分類される。
【0027】本発明では、EGFファミリーに属し、E
GFレセプターに結合する細胞成長因子または該細胞成
長因子と相同であるかまたは1ないし数個のアミノ酸が
欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列から
なるポリペプチドを有効成分として含有する血管内膜肥
厚抑制剤が提供される。ここで数個のアミノ酸は、通常
連続した3以下のアミノ酸である。
【0028】上記のうちでも、ヘパリンに親和性をもた
ないEGFファミリーに属する細胞成長因子が好まし
い。また分泌型であることが好ましい。具体的にはEG
F、TGF−αおよびERが好ましく、ヒト型であるこ
とが好ましい。特にヒト型EGFが好ましい。
【0029】本発明の細胞成長因子(以下単に細胞成長
因子EGFと称することもある)はそのままで、あるい
はそれ自体公知の薬理学に許容される他の成分とともに
医薬組成物を形成し、血管内膜肥厚抑制剤として使用す
ることができる。使用法としては、血管内膜損傷部に直
接、注射器、カテーテルなどで注入あるいは塗布する方
法、あるいは血管周囲に注入する方法、さらには、ステ
ントなどの器具に付加して患部に留置するなどの方法が
可能である。
【0030】上記の医薬組成物(血管内膜肥厚抑制剤)
も、公知の溶液または固体製剤調製方法を特に限定する
ことなく採用し、投与形態の必要に応じて製剤分野にお
いて通常用いられる担体、賦形剤などを用いて調製する
ことができる。溶液製剤は、細胞成長因子EGFを、た
とえば注射剤に用いられた無菌の水溶液に溶解するか、
上記の担体、賦形剤などと混合・懸濁して調製すること
ができ、さらには乳化してリポソームに包埋させた状態
に調製することができる。固体製剤は、細胞成長因子E
GFに、マンニトール、トレハロース、ソルビトール、
ラクトース、グルコース、マルトース、サッカロース、
澱粉、ステアリン酸マグネシウムなどの賦形剤を加え、
凍結乾燥物として調製することができる。さらにこれを
粉体化して用いることもできる。ゲル化剤としては、細
胞成長因子EGFを、グリセリン、ポリエチレングリコ
ール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などの増粘剤あ
るいは多糖に溶解することにより調製することができ
る。
【0031】本発明の血管内膜肥厚抑制剤は、本発明の
目的を損なわない範囲であればさらに他の成分を含有す
ることができ、ヒト血清アルブミン、ヒト免疫グロブリ
ン、α2マクログロブリン、アミノ酸など安定化剤、分
散剤、アルコール、糖アルコール、イオン界面活性剤、
非イオン界面活性剤などの吸収促進剤、微量金属、有機
酸塩なども必要に応じて含有することができる。
【0032】さらに本発明の血管内膜肥厚抑制剤は、本
発明の目的を損なわない範囲であれば、細胞成長因子E
GFに加えて他の細胞増殖因子を有効成分として含有す
ることができる。たとえば内皮細胞特異的増殖因子(V
EGF)などを本発明の目的を損なわない範囲で含むこ
とにより細胞成長因子EGFと相乗的な効果が期待でき
る。さらにEGFをデリバリーする方法として、EGF
の融合蛋白質を利用することが考えられる。遺伝子工学
的手法によってEGFに血管組織への親和性を付与する
ように設計し、融合蛋白質の形として製造することが可
能である。たとえば、コラーゲン結合性やフィブリン親
和性のあるペプチド配列との融合蛋白質は、血管損傷部
に存在するコラーゲンやフィブリンに結合して、長期に
わたるEGFの効果を発揮する可能性がある。
【0033】本発明に係る血管内膜肥厚抑制剤は、患者
の年齢、体重、投与対象疾患、症状、投与形態、投与ル
ートなどに応じて投与量が適宜決定されるが、一般的に
は、血管損傷部当りの細胞成長因子EGF量として、
0.001〜1μg(投与剤のEGF濃度としては0.
1〜100μg/ml)、好ましくは0.01〜0.1
μg(濃度として1〜10μg/ml)の範囲の量であ
ることが望ましい。
【0034】細胞成長因子EGFは、バイパス手術など
の血管移植後、ステント留置後、PTA(PTCAを含
む)後または虚血後に、血管外膜繊維芽細胞、血管中膜
平滑筋細胞の過増殖を抑制し、血管内皮の再生を促進す
ることにより血管内膜の肥厚を抑制し、血管再狭窄を防
止する効果を有する。また細胞成長因子EGFは、血管
内膜の正常な再生を促すことから、閉塞性動脈硬化症、
結節性動脈周囲炎または移植臓器の血管炎に対する該細
胞成長因子を有効成分とする予防・治療薬も提供され
る。
【0035】このような細胞成長因子EGFの血管内膜
肥厚抑制効果、正常血管内膜の再生効果は、細胞成長因
子EGFまたはこれを含む医薬組成物を、カテーテルな
どによる局所投与、全身投与または留置ステントなどの
器具に付加するなどして確認することができる。
【0036】たとえばラットなどの頸動脈をバルーン擦
過し(PTCA後再狭窄の動物モデル)、細胞成長因子
EGFまたはプラセボを局所投与または全身投与し、処
置後14日目に、処置頸動脈を剖検し、血管断面の病理
切片を作成して比較評価することができる。血管内皮再
生に対する効果は、血管内腔面の血管内皮細胞による被
覆率(血管内皮細胞に対するvon Willebrannd Factorの
免疫染色で判定)や、中膜層における増殖状態の平滑筋
細胞の頻度(PCNAの免疫染色で判定)により判断す
ることができる。すなわち被覆率の上昇や、PCNA陽
性率の減少は、正常な内膜再生の指標となる。
【0037】本発明では、上記細胞成長因子EGFをコ
ードする遺伝子を含む血管内膜肥厚抑制剤、また該遺伝
子を含む発現ベクター、具体的にレトロウイルス、アデ
ノウイルス、アデノ随伴ベクター等のウイルスベクター
またはリポソーム法等を用いたベクターに組み込むこと
で血管内膜肥厚抑制用遺伝子治療ベクターが提供され
る。さらに該ベクターが細胞などに導入されることで該
細胞成長因子EGFまたはその遺伝子を含む形質転換体
である細胞医薬も提供される。
【0038】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 (実施例1)動物モデルでのバルーン傷害(擦過)血管の作製と血管
内膜肥厚抑制剤の投与 (i) 以下を使用した。 使用動物:SDラット、オス11週齢、体重400g前
後 血管内膜肥厚抑制剤:ヒト・EGF:分泌型、53アミ
ノ酸(Peprotech 製)(2μM EGF、50mM NaC
l 含有10mMリン酸バッファー溶液) プラセボ:50mM NaCl 含有10mMリン酸バッファ
ー溶液 使用カテーテル:2Fr. Fogarty catheter(Baxter製)
【0039】(ii)PTCA施術による血管内膜肥厚(再
狭窄)動物モデルの作製 Reidy とClowesによって確立された血管内膜肥厚動物モ
デル実験に準じて行った(Reidy et al, Lab. Invest.
49;5:569-575,Clowes et al, Lab. Invest. 49;3:327-3
33)。ラット腹腔内にペントバルビタールナトリウム溶
液を注射して麻酔し(40mg/kg)、頸部を切開して左
頸動脈を確保した。総頸動脈を止血鉗子で止血し、外頸
動脈を糸で結紮後、内頸動脈を止血鉗子により止血し
た。外頸動脈の一部を切開した部位からカテーテル(2
Fr. Fogarty catheter)を総頸動脈内に挿入し、総頸動
脈の止血鉗子を除いて大動脈方向に進展した。バルーン
拡張後、総頸動脈内を約3cmに渡り引き抜き、血管内
膜を擦過した。この擦過操作を3回実施した。
【0040】(iii) 血管内膜肥厚抑制剤(EGF)また
はプラセボの投与 外頸動脈切開部より、約2cmの位置で、総頸動脈を止
血鉗子にて止血し、外頸動脈切開部から、シリンジの先
端に付加したシリコンチューブを挿入した。擦過総頸動
脈内はシリコンチューブを介して生理食塩水で洗浄後
(止血鉗子より大動脈側擦過総頸動脈内は洗浄されな
い)、2μM EGF溶液またはプラセボを10μl注
入して5分間インキュベートした。挿入部外頸動脈を結
紮した後、総頸動脈および内頸動脈の鉗子を除いて血流
を再開し、頸部を縫合閉鎖した。EGF処置群、プラセ
ボ群各3個体とも、副作用は見られず麻酔作用消去後は
食餌と水を取り、正常に活動した。
【0041】(iv)処置血管の摘出・病理標本作製 ラットは、バルーン擦過処置後14日経過したところ
で、エーテル麻酔下、腹部大動脈より血管内にヘパリン
添加生理食塩水(2単位/ml)を灌流して脱血させた。
さらに10%中性緩衝ホルマリン溶液で灌流固定した
後、EGFおよびプラセボ処置血管部位を摘出した。摘
出した血管は定法に従い、透徹、パラフィン包埋し、血
管断面の病理標本を作製した。
【0042】(実施例2)動物モデルでの血管内膜肥厚抑制および再狭窄防止効果
の評価 実施例1において、作製された標本をヘマトキシリン・
エオジンにより染色し観察した。EGF処置、プラセボ
処置それぞれの血管の組織像を図1に示す。EGF処置
血管は、プラセボに比べ明らかに血管内膜肥厚が抑制さ
れており、再狭窄抑制の効果が確認された。
【0043】EGFによる血管内膜肥厚抑制効果をさら
に定量的に評価するために、上記(i) の染色標本の顕微
鏡画像から、画像解析用ソフトウェアーWin Roof Ver.
2.1(MITANI製)により血管中膜面積(M)および新生
内膜面積(I)を測定した。そして中膜面積に対する内
膜面積の比(I/M比)を算出し、内膜肥厚度とした。
図2にその値を示す(3個体の平均値±SE)。EGF
処置群ではプラセボに比べ、新生内膜の面積が1/2程
度となっており抑制効果が明らかである。
【0044】(実施例3)血管内皮再生効果の評価 (i) 実施例1の標本を用いて、血管内皮細胞のマーカー
であるvWF(von Willebrand factor )に対する染色
を行った。パラフィン切片を脱パラフィン後100%エ
タノールに3回浸した。0.3%過酸化水素メタノール
溶液に30分浸し、水で3回洗った後、ペプシン溶液
(ZYMED 社)で20分処理した。PBSで3回洗浄し、
5%正常ブタ血清のリン酸緩衝生理食塩溶液(PBS)
で30分間ブロッキングした。抗vWF抗体(Dako製,
1:100希釈)で30分反応させた。PBSで3回洗
浄後、ビオチン標識抗ウサギ抗体(1:500希釈)で
30分反応させた。PBSで3回洗浄した後ペルオキシ
ダーゼ標識ストレプトアビジン(1:700希釈)で3
0分反応させた。PBSで3回洗浄した後、0.02%
3, 3'- ジアミノベンチジン四塩酸塩(DAB, 0.0
07%過酸化水素, 50mMトリス緩衝溶液)に浸して
発色した。
【0045】(ii)上記のようにvWF染色された標本を
用い、血管内皮の再生率を測定した。再生率は、各検体
の血管断面における内腔全周の長さに対するvWF陽性
部位の長さの割合として算出した。図3にはその平均値
±SEが示されている。14日後には、EGF処置血管
において、内腔面の90%以上が内皮細胞に覆われ、プ
ラセボ処置群に比較して有意に血管内皮の再生が進行し
ていた。
【0046】(実施例4)血管平滑筋細胞増殖に対する抑制効果の評価 細胞の増殖状態の指標として、PCNA(Proliferatin
g Cell Nuclear Antigen;増殖細胞核抗原)が陽性であ
る血管平滑筋細胞の頻度を、実施例1の標本を用いて以
下のように観察した。 (i) PCNAの免疫染色 パラフィン切片を脱パラフィン後100%エタノールに
3回浸した。0.3%過酸化水素メタノール溶液に30
分浸し、水で3回洗浄後、80−90℃の10mMクエ
ン酸バッファーで10分処理した。5%正常ウサギ血清
のPBSで30分ブロッキングした。PBSで3回洗浄
し、抗PCNA抗体(Dako製, 1:100希釈)で30
分反応した。PBSで3回洗浄後ビオチン標識抗マウス
抗体(1:500希釈)で30分反応した。PBSで3
回洗浄した後ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン
(1:700希釈)で30分反応した。PBSで3回洗
浄した後、0.02%DAB(0.007%過酸化水
素, 50mMトリス緩衝溶液)に浸して発色した。
【0047】(ii)上記のように病理組織切片上でPCN
A免疫染色された増殖型血管平滑筋細胞の頻度を観察し
た。 14日後のEGF処置血管では、内膜におけるPCNA
陽性細胞の頻度は低く、一方プラセボ処置の血管では多
数の陽性細胞が認められた。この結果は、EGF処置に
より、血管内膜肥厚の原因とされる新生内膜における平
滑筋細胞の異常増殖が抑制されたことを示唆する。
【0048】(実施例5)バルーン血管傷害(5回擦過)モデルでの血管内膜肥厚
抑制剤(EGF)の投与 (i) 材料及び方法 材料・器具・試薬 使用動物:SDラット、オス11週齢、体重400g前
後 血管障害用カテーテル:2Fr. Fogarty catheter (Baxt
er社製) 投与サンプル: ・EGF(Peprotech 社製);EGFは生理食塩溶液と
した。 ・プラセボ (生理食塩水)
【0049】(ii)PTCA施術による血管内膜肥厚(再
狭窄)動物モデルの作製 実施例1と同様に、Reidy とClowesによって確立された
血管内膜肥厚動物モデル実験を改良して行った。ただし
本実施例では、バルーン傷害度をより高めるために、擦
過操作を5回繰り返した(実施例1は3回)。
【0050】(iii) 血管内膜肥厚抑制剤(EGF)の投
与 外頸動脈切開部より約1.5〜2cmの位置で総頸動脈
を止血鉗子にて止血し、外頸動脈切開部から、留置針を
挿入した。擦過総頸動脈内を生理食塩水で洗浄後、血管
内膜肥厚抑制剤(EGF)またはプラセボ(生理食塩
水)を投与して(約10μl)5分間インキュベーション
した。挿入部外頸動脈を結紮後、総頸動脈および内頸動
脈の鉗子を除き、血流を再開し、頸部を縫合閉鎖した。
EGF処置群のラットはプラセボ処置群と同様に、副作
用は見られず、麻酔作用消失後は、食餌と水を摂り、正
常に活動した。
【0051】(iv)処置血管の摘出と病理標本作製 処置して14日経過後、エーテル麻酔下、腹部大動脈よ
り血管内にヘパリン添加生理食塩液(2単位/ml)を
灌流して脱血させ、10%中性緩衝ホルマリン溶液で灌
流固定し、バルーン擦過した左総頸動脈のうちEGFま
たはプラセボを処置した部分を摘出した。摘出した血管
は末端より2〜3mm毎に切断し、各断片を定法に従っ
て各々透徹・パラフィン包埋し血管断面の病理標本を作
製した。
【0052】(実施例6)バルーン血管傷害(5回擦過)モデルでの血管内膜肥厚
抑制および再狭窄防止効果 実施例5において作成された血管標本のうち、擦過部位
のほぼ中央部に相当する2つの血管断片から組織切片を
作成しヘマトキシリンおよびエオジンにより染色した。
染色標本を顕微鏡観察下、画像解析用ソフトウェアー W
in ROOF Ver. 2.1(MITANI製)を用いて血管中膜面積に
対する新生内膜面積の比(I/M比)を算出して内膜肥
厚抑制効果を評価した。同一個体の2つの血管断片にお
ける内膜肥厚度(I/M比)はほぼ近似しており、その
平均値を求めて図4に示す。プラセボ群は、ほとんどの
断面で内膜肥厚程度の大きな偏りは見られず、ほぼ全周
性に内膜肥厚していた。プラセボ群の血管と比較し、E
GF1μg/ml投与及びEGF10μg/ml投与さ
れた血管は共に有意に肥厚度が低く、血管内膜肥厚が抑
制されていた(I/M比±SE:1.965 ±0.078 /プラ
セボに対し1.137 ±0.228 /EGF1μg/ml[p<
0.05]、および 1.157±0.203 /EGF10μg/ml
[p<0.05])。
【0053】以上の結果は、EGF投与が統計学的にも
有意な血管内膜肥厚抑制効果および再狭窄防止効果を示
す事を意味している。なお、EGF濃度が1〜10μg
/ml(重量としては0.01〜0.1μg)の範囲で
は肥厚抑制に濃度依存性はなく、さらに広範囲の濃度で
内膜肥厚の抑制効果があると考えられた。すなわちEG
Fの1回の投与量としては、血管損傷部1カ所当たりで
0.001〜1μg、より好ましくは0.01〜0.1
μgが適当である。
【0054】(実施例7)バルーン血管傷害(5回擦過)モデルでの血管内皮再生
への効果 実施例5のパラフィン切片を脱パラフィン後、100%
エタノールに3回浸した。0.3%過酸化水素メタノー
ル溶液に30分浸し、水で3回洗った後、ペプシン溶液
(ZYMED 社)で20分処理した。PBS(リン酸緩衝生
理食塩溶液)で3回洗浄し、5%正常ブタ血清を含むP
BSで30分間ブロッキングした。抗vWF(von Will
brand Factor)抗体(Dako製、1:100希釈)で30
分反応させた。PBSで3回洗浄後ビオチン標識抗ウサ
ギ抗体(1:500希釈)で30分反応させた。PBS
で3回洗浄した後ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビ
ジン(1:700希釈)で30分反応させた。PBSで
3回洗浄した後、0.02% 3, 3'-ジアミノベンチジ
ン四塩酸塩(DAB、0.007%過酸化水素、50m
Mトリス緩衝溶液)に浸して発色させた。
【0055】実施例6で内膜肥厚度を検討したのと同位
置および近傍の位置の組織切片を、vWFをマーカーと
して免疫組織染色し、血管内腔全周長に対するvWF陽
性部位の長さの百分率を求めてこれを血管内皮の再生率
とした。各個体の各再生率を図5に示す。図5中、各血
管2箇所(a,b)の切片における再生率を示す。vW
F像が認められた断面は少なかったが、これは5回擦過
モデルでは血管の障害度が高いために、内皮の再生に遅
れが生じているためと考えられる。にもかかわらず、血
管内皮が確認された断面はいずれもEGF投与群の血管
であり(1μg/ml群:2/4例、10μg/ml
群:2/4例)プラセボ群の血管では認められなかっ
た。また、血管内皮の再生は擦過部位の辺縁部から進行
していることが認められた。
【0056】以上の実施例の結果より、EGF投与によ
る血管内膜肥厚抑制および再狭窄防止効果は、単に正常
な血管内膜の再生にのみに起因するのではなく、血管中
膜平滑筋細胞および血管外膜繊維芽細胞の血管内膜への
遊走または増殖への抑制作用にも起因している事を裏付
けている。この事は、現在までに広く一般的に認識され
ている事からは著しく予想困難な発見であった。なぜな
ら、EGFがHGFやVEGFと大きく異なる点は、培
養血管平滑筋細胞や培養繊維芽細胞に対する増殖促進活
性を有しており、生体内でも血管中膜平滑筋細胞および
血管外膜繊維芽細胞の増殖を促進すると考えられてきた
からである。ところが、本発明により、特に生体の血管
内においては、培養条件下とは異なり、血管平滑筋細胞
や血管繊維芽細胞に抑制的に働き、その結果、血管内膜
肥厚抑制および再狭窄防止効果を示す事が初めて明らか
にされたのである。
【0057】
【発明の効果】PTA(PTCAを含む)、ステント留
置後の血管再狭窄、動脈硬化、バイパス手術による血管
または人工血管移植後後、虚血後などの血管内膜肥厚抑
制、血管炎などの細胞増殖性血管に対する予防薬、治療
薬および血管内膜肥厚抑制剤として有用な薬剤を提供す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラセボ処置群およびEGF処置群のヘマト
キシリン・エオジン染色血管断面を示す図である。
【図2】 プラセボ処置群およびEGF処置群の血管内
膜肥厚度(平均値±SE)を示す図である。
【図3】 プラセボ処置群およびEGF処置群の血管内
皮再生率(平均値±SE)を示す図である。
【図4】 プラセボ処置群およびEGF処置群の血管内
膜肥厚度(平均値±SE)を示す図である(5回擦過モ
デル)。
【図5】 プラセボ処置群およびEGF処置群の血管内
皮再生率(平均値±SE)を示す図である(5回擦過モ
デル)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北嶋 隆 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 Fターム(参考) 4C084 AA02 BA19 BA20 BA22 BA44 CA18 DB52 DB53 NA14 ZA361 ZB212 4H045 AA30 BA20 CA40 DA20 EA23 EA50

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上皮成長因子ファミリー(EGFファミリ
    ー)に属し、上皮成長因子レセプターへの結合能を有す
    る細胞成長因子、あるいは該細胞成長因子と相同または
    1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは
    付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドを含有す
    る血管内膜肥厚抑制剤。
  2. 【請求項2】前記細胞成長因子がヘパリン親和性を示さ
    ない細胞成長因子である請求項1に記載の血管内膜肥厚
    抑制剤。
  3. 【請求項3】前記細胞成長因子が上皮成長因子(EG
    F)である請求項1または2に記載の血管内膜肥厚抑制
    剤。
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