JP2002160127A - ワイヤ放電加工シミュレーション・システム - Google Patents

ワイヤ放電加工シミュレーション・システム

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JP2002160127A
JP2002160127A JP2001272581A JP2001272581A JP2002160127A JP 2002160127 A JP2002160127 A JP 2002160127A JP 2001272581 A JP2001272581 A JP 2001272581A JP 2001272581 A JP2001272581 A JP 2001272581A JP 2002160127 A JP2002160127 A JP 2002160127A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ワイヤ振動を考慮した放電点探索アルゴリズム
をベースにした、放電加工のシミュレーション・システ
ムの提供 【解決手段】本発明におけるシミュレーションは、実際
の放電加工現象に忠実に、単純なルーチンの繰り返しと
して、放電加工を計算機上でモデル化するものである。
まず、工作物110の側面に沿ってメッシュ分割する。
放電点の決定(S210)は、ワイヤ電極120とメッ
シュの節点の距離が絶縁破壊長さ以下であり、かつ最も
ワイヤ電極120との距離が接近した節点に放電を発生
させる。次にその節点を中心に工作物の除去を行い(S
220)、除去した工作物110に対して新しい節点の
配置を行う(S230)。放電に伴う加工反力や静電力
をワイヤに付与する(S240)。また、必要があれば
ワイヤの除去も行う。そのあと電極を送り(S25
0)、次の放電点を探索する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤ放電加工に
関し、特にワイヤ放電加工におけるシミュレーションに
関する。
【0002】
【技術的背景】ワイヤ放電加工は、材料の硬さにかかわ
らず、非常に複雑な形状を高精度に加工できるため、金
型などの加工に広く使用されている。図1に、ワイヤ加
工の例を示す。図1において示すように、ワイヤ加工
は、工作物110とワイヤ電極120との間に高電圧を
加えて、加工液(一般に導電率を低下させた水を使用す
る)中で放電を行わせることにより、工作物110(正
の電圧を印加)を加工するものである。工作物110は
2軸制御が行われている加工テーブル(図示せず)上に
乗せられており、上部のワイヤガイド125と加工テー
ブルとを制御することにより、複雑な3次元形状(ター
ビン・ブレードなど)の加工を行うことができる。ワイ
ヤ電極120には、上給電子123および下給電子12
4から負の電圧が印加されている。ワイヤ電極120
は、上下にあるリール121,122により張力を得
て、たるみがないように張られている。
【0003】ワイヤ放電加工の加工精度は、工作物上下
のワイヤガイド125,126の間でのワイヤの振動や
たわみによって影響を受ける。つまり、放電点では、加
工液の蒸発や解離に伴い、気泡が急激に膨張するため、
気泡中や周辺の加工液中には大きな圧力が生じる。これ
によって衝撃的な力がワイヤに作用し、ワイヤの振動を
もたらす。また、電圧が印加された工作物とワイヤの間
には静電力が作用し、ワイヤが工作物に引きつけられる
ことによりワイヤにたわみが生じる。このワイヤの振動
やたわみが影響して、NCデータどおりに切断は行われ
ないことが多い。例えば、図2(a)に示すように、ワ
イヤの振動やたわみにより切断溝はタイコ状となるの
で、切断面の板厚方向の真直度が低下する。また、ワイ
ヤの送り方向には加工反力を受けるので、図2(b)に
示すように、送りと反対方向にワイヤがたわむ。このよ
うに、ワイヤガイドに近い位置ではNCデータどおりに
加工が行われるが、工作物の板厚の中央部ではワイヤが
ワイヤガイドに遅れて追随する。従って、特にコーナや
エッジの加工では、中央部のワイヤは角の頂点に達する
前に折り返す軌跡をたどってしまうため、大きな加工誤
差が生じる。
【0004】また、一度だけの切断では誤差が大きいた
め、一般には最初の荒加工(ファーストカット)の後、
放電のエネルギを小さくした上で、数十μm〜数μmと
いうオーダーの、ワイヤ径(200μm程度)と比べて
もごくわずかの切り込みで何度も切断面の仕上げを繰り
返す。これをセカンドカットと称している。このセカン
ドカットを何度も繰り返して初めて数μmという高い加
工精度が実現できる。しかし、このセカンドカットの際
にもワイヤの振動やたわみの問題は避けられない。セカ
ンドカットではファーストカットと違い、ワイヤの進行
方向に対し左右どちらかにしか工作物は存在せず、工作
物の存在する側からのみ加工反力を受けるので、かえっ
て真直度が低下する場合がある。また、放電ギャップも
ファーストカット時とは異なるので、高精度な仕上げを
行うにはかなりのノウハウを必要とする。
【0005】ワイヤの振動やギャップの変動には、多く
の因子が作用している。放電エネルギの大きさによっ
て、放電の衝撃力、ギャップが異なる。ギャップが異な
ると静電力も変化する。また、工作物の板厚によってワ
イヤ振動やたわみの程度が変化する。さらに、ワイヤの
送り速度が異なると、十分加工しないうちにワイヤが通
り過ぎたり、逆にワイヤの送りが遅すぎて放電が断続的
になったりする。つまり、ワイヤの送り速度によって削
り代が異なるのでギャップも変動する。また、放電の頻
度が異なると同じ送り速度でもギャップは変化する。こ
れらの現象はコーナやエッジ部でさらに複雑な様相を呈
する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】高精度な加工を行うた
めには、放電エネルギ、放電頻度、ワイヤ送り速度、工
作物板厚、ワイヤ径、ワイヤ張力などの諸因子が、ワイ
ヤの振動やたわみ、ならびに放電ギャップ長に与える影
響の解明が重要な課題となる。そこで、本発明の目的
は、このような課題を解決するために、ワイヤ振動を考
慮した放電点探索アルゴリズムをベースにした、放電加
工のシミュレーション・システムの提供である。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、ワイヤ放電加工シミュレーション・シス
テムであって、工作物の側面に沿ってメッシュに分割
し、ワイヤ電極とメッシュの節点との距離が狭く、最も
絶縁破壊が生じやすい節点を探索することによりその節
点に放電を発生させるように放電点の位置探索を行い、
前記放電点における工作物の除去を行うとともに、新し
い節点を配置し、放電衝撃力によるワイヤ電極への力積
および工作物とワイヤ電極との静電力を計算し、力積お
よび静電力に伴うワイヤ電極の3次元的な振動変位を解
析し、その結果を、次の放電における放電点の位置探索
の際に反映させることを特徴とするワイヤ放電加工シミ
ュレーション・システムである。前記工作物とワイヤ電
極との静電力は、放電点だけではなく工作物と対向する
ワイヤ電極上のすべてのメッシュに対して作用するとと
もに、ワイヤ電極の軸方向のギャップ分布に対応して作
用し、静電力を作用させるタイミングは、放電パルスの
休止時間を除き、かつ絶縁破壊が生じるまでの放電遅れ
時間の間だけ作用するとして計算することができる。
【0008】また、放電点の位置探索で選ばれた節点の
ギャップ長が大きいほど、前記放電遅れ時間が長くなる
ようにして、時間の概念を取り入れることも可能にな
る。前記放電点の位置探索において、ギャップ長の関数
として表される放電遅れ時間に乱数を掛け合わせた値が
最小である節点を放電点に選び、確率論的に放電点を決
定するメカニズムを取り入れていることが可能となる。
前記放電点での工作物の除去において、ワイヤ電極の放
電による除去も考慮し、さらに、放電点に熱流束を与
え、ワイヤ電極に沿った温度分布の熱伝導解析を行い、
ワイヤ電極の断線を予測することもできる。実験とシミ
ュレーションとの誤差を用いて、シミュレーションに用
いるパラメータを同定して、同定したパラメータを用い
て、工作物の加工面の形状をシミュレーションすること
もできる。このときに、実験とシミュレーションの複数
組の誤差を用いることができる。そして、パラメータの
同定には、パターン探索法を用いることができる。これ
らのワイヤ放電加工シミュレーション・システムをワイ
ヤ放電加工機に搭載すると、加工中にインプロセスで検
出される放電点位置を入力することにより、オンライン
・シミュレーションが可能となる。ワイヤ放電加工シミ
ュレーション・システムを、コンピュータ・システムに
実装することができるプログラムやそのプログラムを記
憶した記憶媒体、ワイヤ放電加工シミュレーション・シ
ステムで実行している方法も本発明である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を、図面を参照
して詳細に説明する。本発明におけるシミュレーション
は、実際の放電加工現象に忠実に、図3に示すような単
純なルーチンの繰り返しとして、放電加工を計算機上で
モデル化するものである。図4に示すように、まず、工
作物110の側面に沿ってメッシュ分割する。図3にお
ける放電点の決定(S210)は、ワイヤ電極120と
メッシュの節点の距離が絶縁破壊長さ以下であり、か
つ、ワイヤ電極120との距離が最近である節点に放電
を発生させる。次にその節点を中心に工作物の除去を行
い(S220)、除去した工作物110に対して新しい
節点の配置を行う(S230)。放電に伴う加工反力や
静電力をワイヤに付与する(S240)。また、必要が
あればワイヤの除去も行う。そのあと電極を送り(S2
50)、次の放電点を探索する。工作物とワイヤとの静
電力については、放電点だけではなくすべてのメッシュ
に対して、ギャップの大きさに応じて変化するワイヤ軸
に沿った分布力として作用させる。また、静電力を作用
させるタイミングは、パルスの休止時間を除き、かつパ
ルスがオンされてから絶縁破壊が生じるまでの放電遅れ
時間の間だけとする。何故ならば、放電が生じていない
ときの無負荷電圧は百ボルト以上であるのに対し、放電
中のギャップ電圧は約20ボルトに低下するからであ
る。このシミュレーション処理の各ステップについて、
以下に詳しく説明する。
【0010】<放電点の決定(S210)>ワイヤ電極
120とメッシュの節点の距離(ギャップ)が絶縁破壊
長さ以下であり、かつ最もワイヤ電極120との距離
(ギャップ)が接近した節点に放電を発生させる。これ
を計算する場合、各メッシュの節点とワイヤ中心の距離
からワイヤ半径を引いた値をその節点のギャップと定義
する。放電点の決定には、ギャップの最小の節点で決定
論的に放電を発生させる方法と、ギャップの値に乱数を
かけた値が最小の節点を探索することにより確率論的に
放電点を決定する方法がある。上述のように、単にギャ
ップが狭い箇所を決定論的に放電点に選ぶことばかりで
はなく、ギャップ長の関数として表される放電遅れ時間
に乱数を掛け合わせた値が最小であるメッシュを放電点
に選ぶこともできる。これにより、確率論的に放電点を
決定するメカニズムを取り入れることが可能である。確
率論的に放電点を決定することにより、現実の絶縁破壊
が本質的に確率的な現象であることを考慮に入れること
ができ、シミュレーション精度が向上する。
【0011】<工作物の除去と新節点の配置(S22
0,S230)>図5に示すように放電点として選ばれ
た節点Pi(xi,yi,zi)とその高さでのワイヤ12
0の中心Pw(xw,yw,zi)を結ぶ直線の方向に新節
点Pi’(xi’,yi’,zi)を決定する。このとき、
i(xi,yi,zi)と同じz座標上で隣接した2節点
i-1(xi-1,yi-1,zi),Pi+1(xi+1,yi+1
i)及び新節点Pi’(xi’,yi’,zi)でつくら
れる4辺形の面積に、z軸方向のメッシュ幅Δzをかけ
て得られる体積が、実験から得られる放電一回あたりの
除去体積に等しくなるようにxi’,yi’を決定する。
ワイヤ電極120の消耗も考慮に入れる場合は、メッシ
ュをワイヤ120の円周上に切って、工作物と同様に節
点を移動すればよい。このように、本発明のシミュレー
ションでは、工作物の除去だけではなく、ワイヤの除去
も考慮できる。これにより、ワイヤが工作物の板厚内に
入り込み、放電の繰り返しによりワイヤが消耗し、ワイ
ヤ径が細くなって工作物の板厚内から出ていく様子がシ
ミュレーションできる。従って、ワイヤの消耗が加工精
度に及ぼす影響がシミュレーションできる。また、ワイ
ヤ径の減少に伴うワイヤ断線の発生を予知できる。ワイ
ヤの断線は局所的な熱的負荷によって、もたらされるこ
とが知られている。特に、同じ点に放電が続けて生じた
場合は、その点の温度が上昇しワイヤが断線する確率が
高くなる。そこで、放電点に熱流束を与え、ワイヤに沿
った温度分布の熱伝導解析を行い、ワイヤの断線に及ぼ
す加工条件の影響をシミュレーションすることもでき
る。ワイヤ断線を防止することは加工機の無人運転を実
現するために必要である。
【0012】<放電衝撃力と静電力の負荷(S240)
>放電衝撃力に相当する力積を放電点においてワイヤに
与える。また、静電力はギャップ電圧が高い状態、つま
り放電が生じていない放電遅れ時間中に作用すると考
え、工作物に対向するワイヤ上のメッシュすべてに負荷
する。静電力は、工作物とワイヤとの静電力は放電点だ
けではなく、工作物と対向するワイヤ上のすべてのメッ
シュに対して作用させるために、図6に示す様な静電界
の有限要素法解析によって正確に求めることができる。
静電力はギャップによって変化するので、ワイヤ軸に沿
って静電力の大きさも方向も一定ではない。このことを
厳密に考慮してシミュレーションを行えるが、計算時間
がかかりすぎる場合は平均的な値と方向を使用すればよ
い。また、静電力を作用させるタイミングは、パルスの
休止時間を除き、かつ絶縁破壊が生じるまでの放電遅れ
時間の間だけとする。これらの外力を受けたと考え、次
の放電までの間のワイヤ挙動を非定常解析する。
【0013】ワイヤ放電加工では、良い面粗さを得るた
めに、単発の放電パワーを十分小さく設定しなければな
らない。このような加工では、単発の加工パワーが小さ
いため、ワイヤの振動の原因である放電衝撃力よりも、
静電力の方が加工精度に及ぼす影響が支配的であると考
えられる。従って、有限要素法などを用いて静電力を求
め、静電力によるワイヤのたわみを解析し、そのたわみ
を考慮したシミュレーションを行うことが有効である。
【0014】<放電遅れ時間の決定と電極の送り(S2
50)>放電遅れ時間tgは、放電点として選ばれた節
点でのギャップ長hgから次のように決められると仮定
した。
【数1】 tg=c1・exp(c2・hg) (1) ただし、c1,c2は正の係数である。この関数はギャッ
プ長が長いほど放電が生じにくい事実を式で表現したも
のであり、この事実を正確に表現する式であれば式
(1)に代えて使用することが可能である。ワイヤの送
りは、今回のシミュレーションでは定速送り方式を採用
した。つまり、放電毎のワイヤの送り長さLwは放電毎
に異なり、次式から求められる。
【数2】 Lw=(tg+t0+te)Vw (2) ここで、Vwは送り速度,t0は休止時間,teは放電持
続時間であり、tg以外はいずれも一定値である。ただ
し、シミュレーションは定速送りの場合だけではなく、
極間電圧が一定になるようにワイヤを送る方法、すなわ
ち適応制御を用いた加工に対しても適用可能である。こ
の場合は、式(1)の放電遅れ時間を用いて計算される
極間のある時間内の平均電圧が、ある基準電圧以上であ
ればギャップが離れすぎていると判断しワイヤを送る。
逆に基準電圧以下であれば接近しすぎていると判断し
て、ワイヤを経路に対して逆戻りさせる。
【0015】このように、本発明のシミュレーション
は、放電点に選ばれたメッシュでのギャップ長が大きい
ほど放電遅れ時間が長くなるようにして、時間の概念を
取り入れたシミュレーションである。例えば、定速送り
の場合に削り代が小さければギャップが大きくなり、放
電遅れ時間が長くなる。このことによって、単位時間あ
たりの放電頻度が減少する。また、適応制御の場合に
は、放電頻度が一定となるように、つまり平均的な放電
遅れ時間が一定となるように、実際の加工機ではワイヤ
の送りが制御される。従って、削り代が小さいのに送り
速度が小さければ、ギャップが拡がって放電遅れ時間が
長くなり、放電頻度が低下するので、送り速度が増大す
る制御がなされて放電頻度が一定に保たれる。上述のよ
うに、本発明のシミュレーションでは、ギャップ長が大
きいほど放電遅れ時間が長くなることを考慮に入れてい
るので、加工機のワイヤ送りにおける実際の動作と同様
にシミュレーションを行うことが可能である。
【0016】本発明の放電加工におけるシミュレーショ
ンは、放電ごとにワイヤ軸に沿って放電点が移り変わ
り、それに伴って放電衝撃力の作用点もワイヤ軸に沿っ
て移動することを考慮したシミュレーションである。特
に本発明のシミュレーションでは、ワイヤ軸に垂直な平
面内で、ワイヤの周上にも放電点は分布するので、衝撃
力のベクトルの方向がワイヤ軸に垂直な平面内で放電ご
とに変動すること、および、静電力についてはワイヤ軸
に沿って工作物と対向した部分全体に作用するが、ワイ
ヤ軸に垂直な平面内での静電力のベクトルの方向は、加
工中の工作物面形状と、工作物とワイヤの位置的関係に
依存して変動することを考慮して、3次元的なワイヤ振
動やたわみを計算し放電点の決定に反映させている。
【0017】<定性的なシミュレーション結果> (ワイヤに垂直な平面内のギャップ分布)さて、まずワ
イヤの振動を考慮せずにシミュレーションを行った。図
7(a)は、絶縁破壊長さ以下のギャップ長を持つ節点
の中から、決定論的に最小ギャップを探し、放電点とし
て選んだ場合の結果である。図7(b)は、絶縁破壊長
さ以下のギャップ長を持つ節点について、式(3)のよ
うに放電遅れ時間に乱数を掛けて評価関数とし、その評
価関数の最小値である節点を放電点として選んだ場合の
シミュレーション結果である。
【数3】 g=random・{c1・exp(c2・hg)} (3) 決定論的に選んだ場合は、図7(a)に示すように、ギ
ャップ分布がワイヤの周上で均一である。それに対し
て、確率的に放電点を決定する方法では、図7(b)に
示すように、ワイヤの進行方向のギャップが側面ギャッ
プより小さいことがわかる。これは、例えば、「形彫り
放電加工における工作物形状シミュレーション」(電気
加工学会誌,Vol.28,No.59,p21(19
94))に示されるように理論的にも妥当であり、実際
に測定されたギャップ分布の傾向とも一致する。よっ
て、放電点の決定は、確率論的に選ぶことがよい。
【0018】<ワイヤ振動解析を組み込んだ3次元シミ
ュレーション>ワイヤは3次元的に振動することを考慮
してシミュレーションを行った。モデルを図8に示す。
ワイヤガイド125,126間のワイヤ120も、z軸
方向に等メッシュで分割し、各節点に位置座標(x,
y,z)を与える。ワイヤの振動を弦振動と仮定したと
きのワイヤ電極変位y(z,t),x(z,t)の波動
方程式は次式となる。
【数4】 ただし、Tは張力、cは粘性による減衰係数、ρは弦の
線密度である。ワイヤ電極の上下ガイドが固定端である
と仮定したときの境界条件は、以下の通りである。
【数5】 x(0,t)=0, y(0,t)=0 (6) x(L,t)=0, y(L,t)=0 (7) また、fx(z,t),fy(z,t)は加工反力のx,
y成分である。加工反力としては前述の放電衝撃力と静
電力を考慮した。加工反力の作用線は、ワイヤの中心軸
を通り、反力のz方向成分は0と仮定した。また、放電
衝撃力は0.005Nのピーク値で10μsの間、パル
ス状に作用すると仮定した。
【0019】<3次元シミュレーション結果>工作物板
厚40mm、ガイド間距離60mm、休止時間20μ
s、放電持続時間2μs、切り込み量0μmの条件でシ
ミュレーションを行った。図9に、定速送り速度が20
mm/minと、1mm/minの場合のシミュレーシ
ョン結果を示す。図9で横軸0の位置は加工前の工作物
面を表す。図9に示すように、送り速度が速い時の加工
形状は凸、遅い時の加工形状は凹となる結果が得られ
た。これは実際の加工と定性的に一致し、シミュレーシ
ョン方法が妥当と考えられる。図10は、加工中のワイ
ヤ挙動のシミュレーション結果である。放電衝撃力の方
向とその作用点の位置が放電ごとに変動するので、複雑
な振動をしていることが分かる。図11は、図10にお
いて、放電点に選ばれたメッシュを含み、ワイヤ軸に垂
直な断面を表示したものである。放電点に選ばれたメッ
シュにアーク柱が表示されている。また、この断面以外
のワイヤ軸に沿ったすべてのワイヤ中心の座標をプロッ
トしてある。
【0020】<定量的なシミュレーション>上述のワイ
ヤ放電加工のシミュレーションは、加工反力,放電遅れ
時間,加工液の粘性係数,加工液の誘電率などを仮定し
て行っているために,定性的なシミュレーションであ
る。定量的にシミュレーションを行うには、これらのパ
ラメータを同定する必要がある。パラメータの中の加工
反力については、逆問題法で単発放電の加工反力を求め
ることが提案されている(例えば 山田ら,精密工学会
誌,63,11,1548 (1997)参照)。しかし、連続放電加工
の場合には気泡が極間の中に多数存在するので、連続放
電中の加工反力は、単発の加工反力と違うと考えられ
る。また、静電力の計算に必要な誘電率も、極間の気泡
の存在によって単純に加工液の誘電率と等しいとは言え
ないと報告されている(小原ら,電気加工学会誌,Vol.
34, No.75, 30(2000)参照)。ギャップと放電遅れ時間
の関係について,単発放電によって実験からギャップ長
と無負荷電圧をパラメータにとった関係式を求めること
ができる(小原ら,電気加工学会誌,Vol. 29, No. 62,
40 (1995)参照)。しかし、この式も、連続放電の場合
には気泡や加工屑などの存在によって変わってくると考
えられる。さらに加工液の粘性係数についても、加工液
中でワイヤを振動させワイヤの変位を測定して、逆問題
法で粘性係数を求めることができる(小原ら,電気加工
学会誌,Vol. 29, No. 62, 40 (1995)参照)。しかし、
同じく極間の気泡の存在により、連続放電の場合は粘性
係数も通常の加工液の粘性係数と変わってくると考えら
れる。従って、定量的にシミュレーションをするには、
連続放電中のパラメータの正しい値を同定しなければな
らない。そこで以下に、連続放電に対して逆問題法を適
用し、多数パラメータを同時に同定する方法を説明す
る。
【0021】<パラメータの同定>さて、逆問題法によ
り多数のパラメータを同定するには、実験から得た形状
結果とシミュレーションから得た形状結果の誤差を最小
になるように、各パラメータについて最適値を探索して
いく。しかし、この方法は次の二つの大きな問題点が挙
げられる。ひとつはパラメータに関するモデルの正確
さ、もう一つは最適パラメータの探索法の効率である。
同定するパラメータは、放電遅れ時間,加工反力,加工
液の粘性係数,加工液の誘電率に関するパラメータであ
り、それぞれのモデルは次のように仮定した。放電遅れ
時間については、先ず板厚40mmの工作物の表面で単
発放電を行い、測定した放電遅れ時間とギャップの関係
を図12のように求めた。図12から放電遅れ時間td
[μs]とギャップ長hg[μm]の近似式を次のよう
に求めた。
【数6】 この単発放電から得た特性式の係数を未知パラメータと
考え,連続放電時の放電遅れ時間のモデルを次式で与え
た.
【数7】 加工反力については、加工液で満たされた円盤隙間内の
気泡の解析を行ったことが報告されている(安達ら,電
気加工学会誌,Vol. 31, No. 67, 23 (1997)参照)。得
られた加工反力とギャップ長の関係を図13に示す。図
13により、加工反力f[N]とギャップh[μm]
の近似式が次式で与えられる。
【数8】 そこで、加工反力のモデルは式(10)の係数を未知パ
ラメータとし、次のように仮定した。
【数9】 加工液の粘性係数と誘電率については,未知の常数と仮
定し、それぞれパラメータc,cとした。以上か
ら、同定するパラメータはc〜cである。
【0022】(パラメータの探索法)パラメータを探索
する方法として、この実施形態では、パターン探索法
(例えば、 ディクソン,非線形最適化計算法,培風館
(1974)を参照)を用いた。この探索法は直接的に効率よ
く最適なパラメータを探索する方法であり、探索移動と
パターン移動の二つの段階からなっている。探索移動は
それぞれのパラメータを順次探索し,現在の点の近くの
目的関数の様子を探って"谷"或いは"峰"の方向にあたり
をつけ、パターン移動でその方向に移動するという手続
きを反復する。この探索法を、図14のフローチャート
を用いて、以下に詳しく説明する。図14において、探
索するパラメータを、ベクトルx=(x,x,・・
・,x)とする。nは探索するパラメータの数であ
る。n個の互いに直交する単位ベクトルの組e(i)
探索する座標軸に平行に選ぶ。探索の繰り返しを開始す
るために、最初のステップk(1)とベクトルx(0)
を指定する。ベクトルx(0)を基点と呼ぶ(S30
2)。探索の繰り返しは、ベクトルx(1)からスター
トする。ベクトルx(1)を探索移動のスタート点と呼
ぶ。ここでは、探索の繰り返しを開始する時、探索移動
のスタート点は、基点と同じベクトルに設定した。つま
り、ベクトルx(1)=ベクトルx(0)とした。ま
た、Simulation(x)はシミュレーション形状結果と実
験から得た形状結果の誤差であり、ここでは、この誤差
は次のように定義している。
【数10】 ここで,zs(j)はシミュレーションから得られた形
状の工作物高さ方向の形状寸法,zm(j)は実験から
得られた形状の工作物高さ方向の形状寸法,mは誤差評
価するために工作物高さ方向の分割点数である。上述の
誤差を求める式12においては、シミュレーションと実
験とは1組の場合を示している。しかしながら、条件の
大きく異なる2つのシミュレーションと実験との組を用
いて、誤差を求めることも可能である。この場合の誤差
を求める式は、次のようになる。
【数11】 また、この誤差は、上述と同様に、3つ以上の条件によ
るシミュレーションと実験との組により求めることも可
能である。
【0023】次に探索移動とパターン移動をそれぞれ説
明する。 (i) 探索移動 点x(1)より、まず、1つのパラメータi(最初はi
=1)の方向に対して、ステップk分移動する(S3
04)。そして、次に示す比較計算を行う(S30
6)。
【数12】 Simulation(x(i)+ke(i))<Simulation(x(i)) (14) この比較計算が成立すれば(即ち、誤差が小さく(谷方
向)なれば)、探索移動は成功(S306でyes)
で、探索点を移動するために、x(i+1) =x
(i)+ke(i)とする(S332)。式(14)の
比較が成立しない場合(S306でno)、前と逆の方
向に移動するとともに移動方向を逆にして(S30
8)、式(14)と同じ比較計算を行う(S310)。
再度比較が成立しない場合は、次のパラメータに移るた
めに、x(i+1) = x(i)とする(S31
2)。このようにして、すべてのパラメータに関して探
索移動を行う(S314でyes)。 (ii) パターン移動 パターン移動は、探索移動が最終的に成功であるかどう
かを判断することから始まる。探索移動が最終的に成功
であるとき,すなわち Simulation(x(n+1))<Simulatio
n(x(0)) の場合(S316でyes)には パターン移
動、つまり次の探索移動のスタート点をx(1) =x
(n+1)+(x(n+1)−x(0))とし,新しい
基点をベクトルx(0)=ベクトルx(n+1)にお
く。探索移動が最終的に成功ではないとき(S316で
no)、 パターン移動が失敗であるので、x(1)
(0)とが等しくないとき(S336でno)、探索
移動のスタート点をx(1) = x(0)として(S
320)、探索移動に戻る。x(1)とx(0)とが等
しいとき(S336でyes)は、ステップの大きさk
(i)を縮小して、k(i) = k(i)/2として
探索移動に入る(S322)。ステップの大きさk
(i)が、あらかじめ決めた値より小さくなったとき
に、探索停止する(S324)。
【0024】以上に説明した探索法を理解するために、
パラメータを2個、即ち、x=(x ,x)にしたと
きの探索例を、図15に示す。図の中に四角は基点と意
味し、丸は探索失敗とする。矢印は探索の成功と、パタ
ーン移動を示す。図15において、点1はパラメータx
を表し、最初の基点、すなわち、探索移動のスタート
点である。探索移動は最初、点1(パラメータx)か
らスタートする。点1からxの正方向へ移動した点2
は探索失敗であり、方向を変えて、点3に探索する。点
3で探索成功し、次にパラメータxを探索する,点3
からxの正方向に移動して点4に探索し、探索が成功
したので、点4で探索移動が終了し、探索移動が最終的
に成功したかどうかを、点4と基点1とを比較すること
により判断する。点4が基点1より低いので、探索移動
が成功したとする。次にパターン移動を行う。点4から
のパターン移動は、探索移動が最終的に成功した点4の
ベクトルから基点1のベクトルを引いて得たベクトルR
を、点4のベクトルに足すことにより行い、点5に移
動する。点4を新しい基点とする。次の探索移動は点5
からスタートする。つまり、点5は次の探索移動のスタ
ート点になる。点5からxの負方向への点6の探索移
動は失敗し、反対方向の点7に探索移動する。点7で探
索移動が成功し、次にxの正方向の点8に探索移動す
る。点8で探索移動が成功し、ここで、2回目の探索移
動が終了し、探索移動が最終的に成功した点8と基点4
と比較し、探索移動は成功したので、2回目のパターン
移動を行う。パターン移動は、探索移動が最終的に成功
した点8のベクトルから基点4のベクトルを引いて得た
ベクトルRを、点8のベクトルと足して点9に移動す
る。また、点8を新しい基点とし、次の探索は点9から
スタートする。以上のことを繰り返して探索を行い、点
16まで到達することができる。次に、点16から点1
7はパターン移動である。点16を新しい基点とする。
点17から点20は探索移動である。探索移動が最終的
に成功した点20と基点16と比較を行い、その結果、
二つの点が同じ等高線にあるので、探索移動は最終的に
失敗と判断する。この場合は、パターン移動を行わず、
次の探索移動のスタート点を点16に戻す。点16から
順次に点21,22,23,24に探索移動するが、全
部失敗したので、この場合は、探索のステップの長さを
半分にして、点16から再度探索移動する。点25,2
6,27への探索移動は失敗するが,点28への探索移
動は、成功する。このように探索し,ステップの長さが
予め決めた値より小さければ,探索が停止する。
【0025】<パラメータの同定の結果>実験から工作
物の加工形状を得るための実験条件を表1に示す。
【表1】 実験において、加工は定速送りで行った。送り速度2.5m
m/minの時に得られた加工形状の測定結果は、図16に
◆で示している。図17は、パラメータ(c〜c)の
探索の過程を示す。図17において、太い線はシミュレ
ーション形状結果と実験形状結果の誤差を示している。
各パラメータの初期値は適当に与えた。探索順番1〜1
1までには探索移動、12でパターン移動を行い、13
からまた探索移動に入った様子が示されている。ただ
し、今回の探索では最初の10回目の探索移動で実験結
果とシミュレーション結果との誤差が0.5μm以下と
なったために、パターン移動の効果が現われなかった。
また,パラメータの同定が完了した後の形状シミュレー
ションの結果を図16の△で示している。 <放電加工の定量的シミュレーションの結果>上述の探
索の結果、同定することができたパラメータを用いて、
表1の実験条件の中の送り速度を5.0mm/minに
変え、シミュレーションを行った。得られたシミュレー
ション形状結果と実験によって得られた加工形状の比較
を図18に示す。形状は両方とも凸であり、平均誤差は
約1.5μmである。ただし、シミュレーションの形状
結果は工作物の上面と下面の付近で実験結果と約3μm
の差が生じている。
【0026】実際のワイヤ放電加工機の加工条件は、メ
ーカ側からユーザに提供されている。加工条件はワーク
材料、板厚、要求する精度、面粗さなどによって膨大な
データベースになっている。一つの要求に対する加工条
件を得るため、何回ものテスト加工が必要である。従っ
て、ワイヤ放電加工機メーカは、加工条件表を作るため
に多くの人手と長い時間を掛けている。そこで、振動や
たわみによる真直度の低下、コーナやエッジの切断精度
の低下などを、本発明のシミュレーションを用いること
により、実加工の前にオフラインで加工条件を自動決定
することが可能となり、工程設計の効率化、加工精度、
表面性状の向上に利用できる。その上、本発明のシミュ
レーションを用いることにより、加工現象の時間変化
や、加工時間の見積もりなどを行える。
【0027】また、本発明のシミュレーションとワイヤ
放電加工機の制御系のモデルと組み合わせることによ
り、加工全体のシミュレータを構築することができる。
これにより放電加工機の送り制御、加工電源、機械構造
などの設計ツールとしての使用が可能である。本発明の
シミュレーションを放電加工機に組み込むことにより、
加工中にインプロセスで検出される放電点位置を入力す
ることで、加工現象のオンライン・シミュレーションも
行える。このオンライン・シミュレーションにより、放
電点分布、ワイヤの振動、ワーク表面の温度分布、加工
形状などの加工現象を可視化できるようになり、適応制
御の効果の確認、加工現象の解明に大きな方便を与え
る。上記のオンライン・シミュレーションの成果を踏ま
え、シミュレーションから獲得した放電位置、加工形
状、ワイヤの振動などの情報をフィードバック情報とし
て利用し、放電点位置の制御も可能になる。放電点位置
制御は、高速のスイッチング素子を用いて、ナノ秒オー
ダの立ち上がり速さの高圧パルスをワイヤ電極の上下の
給電子にそれぞれ印加する。その瞬間、極間のワイヤ電
極に存在するインダクタンス成分により、過渡的に電位
の不均一分布が生じる。この現象を利用してギャップ中
で最も高電界になる、高電圧重畳個所近傍における放電
発生確率を増大させることより放電位置を制御する。こ
うして、今までに放電位置制御ができないという常識を
うち破り、最も高精度な加工も可能になる。
【0028】本発明は、スタンド・アローンのコンピュ
ータ・システムばかりではなく、複数のシステムから構
成される例えばクライアント・サーバ・システム等に適
用してもよい。本発明に関するプログラムを格納した記
憶媒体から、プログラムをシステムで読み出して実行す
ることにより、本発明の構成を実現することができる。
この記録媒体には、フロッピー(登録商標)・ディス
ク、CD−ROM、磁気テープ、ROMカセット等があ
る。
【0029】
【発明の効果】放電加工は加工結果に影響する因子が多
く、しかも、それらがお互いに複雑に影響し合うので、
従来は加工条件と加工結果との相関が取りにくく、加工
条件の決定には経験データを利用するしかなかった。一
方、本シミュレーションは、ごく簡単なルーチンの繰り
返しにも関わらず、放電加工現象そのものが忠実にコン
ピュータ上で再現でき、振動やたわみによる真直度の低
下、コーナやエッジの切断精度の低下などがシミュレー
ションできる。シミュレーションに使用するパラメータ
を同定することにより、定量的なシミュレーションも可
能である。また、実加工の前にオフラインで加工条件を
自動決定することが可能となり、工程設計の効率化、加
工精度、表面性状の向上にも大きな効果が期待できる。
シミュレーションは、時間軸を考慮した非定常解析であ
るので、加工現象の時間変化や、加工時間の見積もりな
どが可能である。ワイヤ放電加工機の制御系のモデルと
組み合わせることにより、加工全体のシミュレータが完
成し、放電加工機の送り制御、加工電源、機械構造など
の設計支援ツールとしての使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワイヤ放電加工を説明するための図である。
【図2】ワイヤの振れやたわみを示す図である。
【図3】本発明のシミュレーション処理を示すフローチ
ャートである。
【図4】メッシュに分割した例を示す図である。
【図5】放電点における工作物の除去を説明するための
図である。
【図6】ワイヤに対する静電力の有限要素法による解析
を示す図である。
【図7】ギャップの分布を示す図である。
【図8】ワイヤの3次元振動解析モデルを示す図であ
る。
【図9】工作物形状のシミュレーション結果を示す図で
ある。
【図10】ワイヤの動きに対するシミュレーション結果
を示す図である。
【図11】ワイヤ軸に垂直な断面で見た工作物の形状と
放電点を示す図である。
【図12】単発放電の放電遅れ時間特性を示す図であ
る。
【図13】加工反力とギャップの関係を示す図である。
【図14】パラメータの探索処理を示すフローチャート
である。
【図15】探索処理を説明する図である。
【図16】実験とシミュレーションとの差を示す図であ
る。
【図17】パラメータの探索過程を示す図である。
【図18】前の実験とは異なる条件によるシミュレーシ
ョンと実験との差を示す図である。
【符号の説明】
110 工作物 120 ワイヤ電極 121,122 リール 123 上給電子 124 下給電子 125,126 ワイヤガイド

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ワイヤ放電加工シミュレーション・システ
    ムであって、 工作物の側面に沿ってメッシュに分割し、 ワイヤ電極とメッシュの節点との距離が狭く、最も絶縁
    破壊が生じやすい節点を探索することによりその節点に
    放電を発生させるように放電点の位置探索を行い、 前記放電点における工作物の除去を行うとともに、新し
    い節点を配置し、 放電衝撃力によるワイヤ電極への力積および工作物とワ
    イヤ電極との静電力を計算し、 力積および静電力に伴うワイヤ電極の3次元的な振動変
    位を解析し、 その結果を、次の放電における放電点の位置探索の際に
    反映させることを特徴とするワイヤ放電加工シミュレー
    ション・システム。
  2. 【請求項2】請求項1記載のワイヤ放電加工シミュレー
    ション・システムにおいて、 前記工作物とワイヤ電極との静電力は、放電点だけでは
    なく工作物と対向するワイヤ電極上のすべてのメッシュ
    に対して作用するとともに、ワイヤ電極の軸方向のギャ
    ップ分布に対応して作用し、 静電力を作用させるタイミングは、放電パルスの休止時
    間を除き、かつ絶縁破壊が生じるまでの放電遅れ時間の
    間だけ作用するとして計算することを特徴とするワイヤ
    放電加工シミュレーション・システム。
  3. 【請求項3】請求項2記載のワイヤ放電加工シミュレー
    ション・システムにおいて、 放電点の位置探索で選ばれた節点のギャップ長が大きい
    ほど、前記放電遅れ時間が長くなるようにして、 時間の概念を取り入れることを特徴とするワイヤ放電加
    工シミュレーション・システム。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のワイヤ放
    電加工シミュレーション・システムにおいて、 前記放電点の位置探索において、ギャップ長の関数とし
    て表される放電遅れ時間に乱数を掛け合わせた値が最小
    である節点を放電点に選び、 確率論的に放電点を決定することを特徴とするワイヤ放
    電加工シミュレーション・システム。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載のワイヤ放
    電加工シミュレーション・システムにおいて、 前記放電点での工作物の除去において、ワイヤ電極の放
    電による除去も考慮することを特徴とするワイヤ放電加
    工シミュレーション・システム。
  6. 【請求項6】請求項5に記載のワイヤ放電加工シミュレ
    ーション・システムにおいて、 さらに、放電点に熱流束を与え、ワイヤ電極に沿った温
    度分布の熱伝導解析を行い、 ワイヤ電極の断線を予測することを特徴とするワイヤ放
    電加工シミュレーション・システム。
  7. 【請求項7】請求項1〜5のいずれかに記載のワイヤ放
    電加工シミュレーション・システムにおいて、 実験とシミュレーションとの誤差を用いて、シミュレー
    ションに用いるパラメータを同定し、 同定したパラメータを用いて、工作物の加工面の形状を
    シミュレーションすることを特徴とするワイヤ放電加工
    シミュレーション・システム。
  8. 【請求項8】請求項7に記載のワイヤ放電加工シミュレ
    ーション・システムにおいて、 前記実験とシミュレーションとの誤差を用いるときに、
    実験とシミュレーションの複数組の誤差を用いることを
    特徴とするワイヤ放電加工シミュレーション・システ
    ム。
  9. 【請求項9】請求項7又は8に記載のワイヤ放電加工シ
    ミュレーション・システムにおいて、 パラメータの同定には、パターン探索法を用いることを
    特徴とするワイヤ放電加工シミュレーション・システ
    ム。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれかに記載のワイヤ
    放電加工シミュレーション・システムを搭載し、加工中
    にインプロセスで検出される放電点位置を入力すること
    により、オンライン・シミュレーションが可能なワイヤ
    放電加工機。
  11. 【請求項11】請求項1〜9のいずれかに記載のワイヤ
    放電加工シミュレーション・システムを、コンピュータ
    ・システムに実装することができるプログラムを記憶し
    た記憶媒体。
  12. 【請求項12】請求項1〜9のいずれかに記載のワイヤ
    放電加工シミュレーション・システムを、コンピュータ
    ・システムに実装することができるプログラム。
  13. 【請求項13】ワイヤ放電加工シミュレーション方法で
    あって、 工作物の側面に沿ってメッシュに分割し、 ワイヤ電極とメッシュの節点との距離が狭く、最も絶縁
    破壊が生じやすい節点を探索することによりその節点に
    放電を発生させるように放電点の位置探索を行い、 前記放電点の工作物の除去を行うとともに、新しい節点
    を配置し、 放電衝撃力によるワイヤ電極への力積および工作物とワ
    イヤ電極との静電力を計算し、 力積および静電力に伴うワイヤ電極の3次元的な振動変
    位を解析し、 その結果を、次の放電における放電点の位置探索の際に
    反映させることを特徴とするワイヤ放電加工シミュレー
    ション方法。
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