JP2002153147A - オウトウ果実の裂果防止装置及びオウトウ用加温施設 - Google Patents

オウトウ果実の裂果防止装置及びオウトウ用加温施設

Info

Publication number
JP2002153147A
JP2002153147A JP2000355226A JP2000355226A JP2002153147A JP 2002153147 A JP2002153147 A JP 2002153147A JP 2000355226 A JP2000355226 A JP 2000355226A JP 2000355226 A JP2000355226 A JP 2000355226A JP 2002153147 A JP2002153147 A JP 2002153147A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cherry
temperature
humidity
fruit
heating facility
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000355226A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihiko Sugiura
俊彦 杉浦
Daiyu Ito
大雄 伊藤
Haruyuki Kuroda
治之 黒田
Makoto Kudo
信 工藤
Kyoichi Noguchi
協一 野口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Agricultural Research Organization
Yamagata Prefecture
Original Assignee
National Agricultural Research Organization
Yamagata Prefecture
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Agricultural Research Organization , Yamagata Prefecture filed Critical National Agricultural Research Organization
Priority to JP2000355226A priority Critical patent/JP2002153147A/ja
Publication of JP2002153147A publication Critical patent/JP2002153147A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/10Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
    • Y02A40/25Greenhouse technology, e.g. cooling systems therefor
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P60/00Technologies relating to agriculture, livestock or agroalimentary industries
    • Y02P60/14Measures for saving energy, e.g. in green houses

Landscapes

  • Cultivation Of Plants (AREA)
  • Greenhouses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 オウトウ果実の裂果を確実に防止することが
でき、優れた生産性を可能とする。 【解決手段】 オウトウ用加温施設内の温度を測定し、
該オウトウ用加温施設内の温度を調節する温度調節手段
と、上記オウトウ用温室内の湿度を測定する湿度計と、
上記湿度計で測定した上記オウトウ用温室内の湿度に基
づいて、上記温度調節手段を制御する制御手段とを備
え、上記温度調節手段は、上記オウトウ用加温施設内の
温度を調節することにより、上記オウトウ用加温施設内
の昼間における温湿度を、オウトウ果実を含む樹体から
の水分の蒸散可能な範囲、及びオウトウ果実に結露を生
じさせない値以下に調節する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オウトウ用加温施
設内に配設される裂果防止装置及びこの裂果防止装置を
備えるオウトウ用加温施設に関する。
【0002】
【従来の技術】オウトウは、降雨の影響により裂果する
ことが知られており、これを回避するために雨除け施設
を用いて生産されている。この雨除け施設は、オウトウ
果実を含む樹体の上方を覆うような屋根を備え、雨水が
オウトウ果実に付着することを防止するものである。こ
の雨除け施設によれば、表面に付着した雨水をオウトウ
果実が吸水することが防止され、水膨れによる裂果を防
止することができる。したがって、この雨除け施設は、
投資効果が大きく広く普及している。しかしながら、こ
の雨除け施設は、促成栽培を行うことができず、収益率
の点で十分なものとは言えない。
【0003】そこで、近年、オウトウ果実の促成栽培を
可能にし、収益率を向上させる目的で、オウトウ育成用
の加温施設が普及しだしている。この加温施設は、日照
可能な温室内を昇温させる暖房装置、天窓及び側窓の開
閉装置及び換気扇装置を備え、これら各装置を駆動する
ことによってオウトウ果実の育成温度を調節するもので
ある。
【0004】この加温施設において暖房装置は、主とし
て、冷涼な日に駆動することによってオウトウ果実の促
成栽培に寄与している。また、天窓及び側窓の開閉装置
及び換気扇装置を手動で制御したり、温室内の温度を計
測する温度センサにより制御して、温室内の温度を調節
する際に駆動する。例えば、昼間の高温時に天窓及び側
窓を開き、換気扇を駆動することによって、温室内の温
度を低下させる。
【0005】このように、従来のオウトウの栽培におい
ては、温室内の温度調節を制御することにより促成栽培
が行われてきた。しかしながら、従来の方法では、上述
したような温度調節により促成栽培を可能としてるが、
育成したオウトウ果実に裂果が多発してしまうことがあ
った。このため、従来の方法では、裂果に起因して歩留
まりが悪く、生産性が悪いといった問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
述したような実状に鑑みてなされたものであり、オウト
ウ果実の裂果を確実に防止することができ、優れた生産
性を可能とする裂果防止装置及びオウトウ用加温施設を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ため、本発明者が鋭意検討した結果、加温施設内のオウ
トウが裂果する原因を追及し、オウトウの裂果多発期に
おいて連続して低温高湿度状態になるとオウトウ果実を
含む樹体からの水分の蒸散が抑制され、該果実内の水分
量が限界量を超えると裂果を生じることを明らかにし
た。さらに、オウトウ果実表面に結露が生じると、当該
果実内に水分が進入して裂果を生じることも明らかにし
た。そして、加温施設の温湿度を制御することによっ
て、オウトウの裂果を効果的に防止できることを見出し
本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、オウトウ用加温施設
内の温度を測定し、該オウトウ用加温施設内の温度を調
節する温度調節手段と、上記オウトウ用温室内の湿度を
測定する湿度計と、上記湿度計で測定した上記オウトウ
用温室内の湿度に基づいて、上記温度調節手段を制御す
る制御手段とを備え、上記温度調節手段は、上記オウト
ウ用加温施設内の温度を調節することにより、上記オウ
トウ用加温施設内の温湿度を、オウトウ果実を含む樹体
からの水分の蒸散可能な範囲、及びオウトウ果実に結露
を生じさせない値以下に調節することを特徴とする裂果
防止装置である。
【0009】また、本発明に係る裂果防止装置におい
て、上記温度調節手段は、上記オウトウ用温室内を昇温
する暖房装置と、上記オウトウ用温室の側壁及び/又は
天井に設けられ、開閉可能に制御された窓とを有するも
のであってもよい。さらに、本発明に係る裂果防止装置
において、上記制御手段は、上記オウトウ用加温施設内
の昼間の湿度を70%以下に制御し、夜間の湿度を95
%以下に制御することが好ましい。さらにまた、本発明
は、請求項1乃至3いずれか1項に記載の裂果防止装置
を備えるオウトウ用加温施設である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0011】本発明に係る裂果防止装置1は、図1に示
すような加温施設2に適用される。加温施設2は、降雨
を避けることができ、且つ、外部との気温差を維持でき
る施設である。加温施設2としては、例えば、ビニール
ハウスを例示することができる。裂果防止装置1は、加
温施設2内の温度を測定するとともに該加温施設2内の
温度を調節する温度調節部3と、加温施設2内の温湿度
を測定する温湿度計4と、上記温度調節部3を制御する
制御部5とを備えている。
【0012】温度調節部3とは、加温施設2内の温度を
所定の温度に調節する機能を有する手段を意味する。温
度調節部3としては、例えば、図2に示すように、暖房
装置7と、天窓及び側窓を開閉操作する窓開閉装置8と
換気扇9とを備えるものが挙げられる。暖房装置7を駆
動することによって、加温施設2内を昇温することがで
き、窓開閉装置8が天窓及び側窓を開放するとともに換
気扇9を駆動することによって、加温施設2内の温度を
下げることができる。したがって、暖房装置7の駆動、
窓開閉装置8及び換気扇9の稼働を適宜組み合わせるこ
とによって、加温施設2内を所望の温度に維持すること
ができる。
【0013】また、温度調節部3としては、冷暖房装置
等を備えるものであってもよい。この場合、冷暖房装置
を適宜駆動することによって、加温施設内を所望の温度
に維持することができる。温湿度計4は、加温施設2内
の温湿度を測定するものであり、加温施設2内の温湿度
を示す湿度信号を制御部5に対して出力するものであ
る。
【0014】制御部5は、所定のプログラムを実行して
温度調節部3を制御することのできるものであり、入力
操作部10及び演算部11を備えている。操作者は、入
力操作部10を操作することによって、加温施設2内を
所望の温湿度に維持するための設定温湿度を入力するこ
とができる。演算部11は、例えば、マイクロコンピュ
ータ装置からなり、加温施設2内が入力操作部10に入
力された温湿度となるように、温度調節3を制御する制
御信号を出力する。また、演算部11には、温湿度計4
から出力された湿度信号及び温度信号が入力する。演算
部11では、これら湿度信号及び温度信号に基づき、加
温施設2内の湿度及び温度を所定の値とするように温度
調節部3に対して制御信号を出力する。
【0015】この裂果防止装置は、図3に示すフローチ
ャートに従って加温施設2内の温湿度を制御する。すな
わち、先ず、ステップS1にて、加温施設2内の昼間湿
度と該湿度を維持する昼間時間と夜間湿度と加温施設2
内の上限温度とを設定する。これらの設定は、操作者が
入力操作部10を操作することによって行われる。具体
的には、オウトウ果実の着色開始期から収穫に至るまで
の期間において、オウトウ樹体から水分が蒸散可能であ
る昼間時間、すなわち、7時から16時までの加温施設
2内の相対湿度を70%以下、好ましくは50%以下に
設定する。また、オウトウ果実の着色開始期から収穫に
至るまでの期間において、オウトウ樹体から水分が蒸散
しないが果実表面に結露が発生する虞のある時間、すな
わち、16時から翌7時までの夜間時間の加温施設2内
の相対湿度を95%以下に設定する。また、加温施設2
内の上限温度としては、28℃、好ましくは25℃に設
定する。
【0016】次に、ステップS2にて、現状の時間がス
テップS1で設定した昼間時間か否かを判断する。判断
時が昼間時間である場合にはステップS3へ進み、判断
時が昼間時間でない場合にはステップS4へ進む。次
に、ステップS3又はS4にて、加温施設2内の湿度が
ステップS1で設定した湿度よりも高いが否かを判定
し、加温施設2内の湿度が設定した湿度よりも高い場合
には、それぞれステップS5又はS6に進む。ステップ
S3又はS4では、温湿度計4からの湿度信号に基づい
て制御部5が判定し、温湿度計4からの湿度信号が設定
された湿度値よりも高い場合には、制御部5が加温施設
2内を昇温させるための制御信号を温度調節部3に対し
て出力する。
【0017】ステップS5又はS6では、制御部5から
出力された信号に基づいて、暖房装置7を駆動させると
ともに、窓開閉装置8を駆動して側窓を閉じる。ステッ
プS5又はS6によれば、加温施設2内を昇温させるこ
とによって相対湿度を低下させることができる。ステッ
プS5に従って加温施設2内を昇温させた場合には、次
にステップS7に進み、ステップS6に従って加温施設
2内を昇温させた場合には、次にステップS8に進む。
【0018】ステップS7では、加温施設2内の温度が
ステップS1で設定した上限温度よりも高いか否かを判
定する。加温施設2内の温度が設定した上限温度よりも
高い場合にはステップS9に進み、加温施設2内の温度
が設定した上限温度以下の場合にはステップS10に進
む。ステップS7では、温湿度計4からの温度信号に基
づいて制御部5が判定し、温湿度計4からの温度信号が
設定した上限温度値よりも高い場合には、制御部5が加
温施設2内の温度を低下させるための制御信号を温度調
節部3に対して出力する。
【0019】ステップS9では、制御部5から出力され
た信号に基づいて、暖房装置7を停止させるとともに、
窓開閉装置8を駆動して側窓を開く。ステップS9によ
れば、加温施設2内に外気を導入することによって室温
を低下させることができ、且つ、内気を放出することに
よって樹体からの蒸散により上昇した加温施設2内の絶
対湿度を低下させることができる。なお、このステップ
S9においては、換気扇9を稼働して室内を換気しなが
ら室温を低下させることもできる。ステップS10で
は、ステップS1で設定した昼間時間を超えたか否かを
判定する。ステップS1で設定した昼間時間を超えてい
ない場合には、ステップS7に戻り、加温施設2内を暖
房し続ける。また、ステップS1で設定した昼間時間を
超えた場合には、ステップS9に進む。
【0020】一方、ステップS8では、加温施設2内の
温度がステップS1で設定した夜間下限湿度よりも低い
か否かを判定する。加温施設2内の温度が設定した夜間
下限湿度以下の場合にはステップS9に進み、加温施設
2内の温度が設定した夜間下限湿度よりも高い場合には
加温施設2内を暖房し続ける。ステップS8では、温湿
度計4からの温度信号に基づいて制御部5が判定し、温
湿度計4からの温度信号が設定した夜間下限湿度よりも
高い場合には、制御部5が加温施設2内の湿度を低下さ
せるための制御信号を温度調節部3に対して出力する。
【0021】上述したように、ステップS2以降のフロ
ーチャートに従えば、オウトウ果実の着色開始期から収
穫に至るまでの期間において、オウトウ樹体から水分が
蒸散する昼間時間(7時から16時)、加温施設2内を
所望の相対湿度に制御することができ、暖房装置7の駆
動による温度上昇と併せてオウトウ樹体からの水分の蒸
散を促進することができる。また、樹体から蒸散した水
蒸気をステップS9において、加温施設2外へ放出する
ことができる。このため、上述した湿度制御下において
は、オウトウ果実内に水分を過剰に含有することなく、
オウトウ果実の裂果を確実に防止することができる。
【0022】また、上述したように、ステップS4以降
のフローチャートに従えば、オウトウ果実の着色開始期
から収穫に至るまでの期間において、オウトウ樹体から
水分が蒸散する時間(16時から翌7時)、加温施設2
内を所望の湿度に制御することができ、オウトウ果実に
結露水の付着を防止することができる。このため、上述
した湿度制御下においては、オウトウ果実に付着した結
露水に起因する裂果を確実に防止することができる。さ
らに、上述したようなフローチャートに従えば、ステッ
プS5において、加温施設2内の温度を28℃以下に維
持しているため、着色不良や傷害等を与えることなくオ
ウトウ果実を栽培することができる。
【0023】ところで、上述した加温施設2に配設され
る裂果防止装置1は、降雨センサを設け、加温施設2外
の降雨を感知することが好ましい。降雨センサを有する
裂果防止装置1は、オウトウ果実の着色開始期から収穫
に至るまでの期間において、降雨に起因する湿度の上昇
を検出することができる。そして、降雨センサが降雨を
感知した場合、制御部5に対して信号を出力し、加温施
設2内を昇温して相対湿度を低下させることも可能であ
る。すなわち、この場合には、加温施設2外の気候条件
を反映して該加温施設2内を所望の湿度に維持すること
ができる。また、降雨時には、天窓を自動で開閉するこ
とも可能である。
【0024】
【実施例】以下、本発明について実施例に基づいて詳細
に説明する。 <実験例1>本例では、先ず、樹体の蒸散量が著しく低
下するような環境条件下において、加温施設のオウトウ
果実が水膨れを引き起こし、その結果、裂果する事実を
次のようにして明らかにした。除湿を行わずに加温施設
を用いてオウトウ“佐藤錦”を栽培し、果実の横径を計
測装置を用いて数日間に亘って計測した。計測装置は、
計測対象の果実を挟み込む板材と、この板材に対向して
配設されたレーザ変位計とを備え、果実の径変化に応じ
て変位する板材の位置をレーザー変位計により計測する
ものである。すなわち、計測装置は、板材の微細な変動
を計測でき、果実径の日変化を計測することができる。
【0025】計測結果を図4に示す。図4から判るよう
に、晴天日において日中にいったん果実は収縮し、主に
夜間、肥大するのに対し、曇天や雨天では果実は昼夜を
問わず肥大していた。晴天日における果実肥大速度は0.
07mm/dayであったのに対し、曇天・雨天では0.46mm/day
と約6倍の肥大を示した。これは曇天・雨天日が長く続
くと、果実が急速に肥大してしまい、果実の肥大に果実
組織の生長が追いつかず、裂果に至ることを示唆してい
る。
【0026】<実験例2>また、上記と同じ計測装置を
用いて、以下のようにして、明期と暗期とにおけるオウ
トウ“佐藤錦”果実の果実径変動を測定した。先ず、オ
ウトウ“佐藤錦”果実に7時間光を当て、その後4日間、
暗黒にし、樹体からの蒸散を強制的に停止させた。この
ときの果実径変動を図5に示す。図5から判るように、
暗期には果実は徐々に肥大速度を落としながらも終始、
肥大を続けた。これは、暗黒状態では光合成が行われな
いので、果実肥大は主に水分吸収によって行われると考
えられる。また、この図5より、蒸散を停止させると果
実は数日間にわたって吸水による肥大を続けることが示
され、蒸散が止まった状態が長引くほど裂果率が高まる
ことが示唆された。
【0027】<実験例3>次に、オウトウ“佐藤錦”樹
体の蒸散が妨げられる環境での実際の裂果率を検証し
た。果実が着色したオウトウ“佐藤錦”を、異なる条件
の3つの人工気象室にそれぞれ入れ、各人工気象室内に
おける果実の裂果率を算出した。人工気象室の条件は、
高湿度区(湿度70-100%)、高湿度+遮光区(湿度80-1
00%)、対照区(湿度60-80%)とした。ここで、湿度
が高いほど蒸散量は低下し、光が少ないほど蒸散量は低
下する。すなわち蒸散量は対照区>高湿度区>高湿度+
遮光区となる。3日後の裂果率は対照区が1.1%であった
のに対し、高湿度区は4.9%、高湿度+遮光区は25.7%
となり、蒸散量が最も少ない高湿度+遮光区は著しく裂
果した。
【0028】<実験例4>次に、加温施設内を図3に示
すフローチャートに従って加温と除湿した場合と慣行の
管理をした場合とにおける温度及び湿度の変動を検証し
た。ここで、慣行の管理とは、暖房装置を停止し、天窓
を閉じ、側窓を開いた状態である。結果を図6に示す。
なお、図6において、加温施設内を図2に示すフローチ
ャートに従って除湿した場合を「除湿区」と称し、慣行
の管理を行った場合を「対照区」と称する。
【0029】対照区では、時々降雨のある曇天日におい
て常に湿度が70-80%であった。これに対し、除湿区で
は、暖房開始とともに気温が上昇し、湿度が低下した。
除湿区では、あまり高い温度が続くと果実に傷害が生ず
る虞があるため、28℃になると暖房装置を停止した。1
回目の暖房では暖房停止とともに、側窓を開け、換気扇
を回して換気を行った。暖房停止及び換気開始に伴って
気温は低下し、湿度もいったん低下したがすぐに上昇し
た。また、除湿区では、気温が25℃以下になると再度、
暖房を開始した。2回目の暖房では気温が28℃になると
暖房装置を停止した。2回目の暖房では暖房停止10分
後に側窓を開け、換気扇を回して換気を行った。2回目
の暖房によって湿度は再び低下した。暖房停止後、湿度
は上昇したが、換気によっていったん低下しすぐに急上
昇した。気温が25℃以下になると再度、暖房を開始
し、これによって湿度は低下した。この間の対照区の平
均湿度は75%であったが、除湿区では加温開始20分
以降、平均50%の湿度を維持できた。
【0030】なお、暖房中において、気温は上昇を続け
るが、湿度はある程度下降したところで平衡状態とな
る。これは、樹体からの蒸散による水蒸気が加温施設内
の空気中にとどまり、湿度を低下させないためである。
換気により加温施設内部の空気を放出することは、樹体
内部の水分を外気に放出することとなる。
【0031】<実験例5>加温施設内の暖房と除湿がオ
ウトウの蒸散速度に及ぼす影響を検証した。結果を表1
に示す。なお、表1における「蒸散速度」は、オウトウ
樹体の葉1枚あたりの蒸散速度(mg/h)を示している。
【0032】
【表1】
【0033】この表1から判るように、雨天や曇天日に
暖房によって湿度を低下させると、蒸散量は除湿前に比
べ概ね5倍程度の増加となる。晴天日の蒸散量はその日
の気温や湿度あるいは樹体の状態によってある程度のば
らつきはあるが、除湿を行わなければ雨天日や曇天日の
蒸散は晴天日の10%程度である。しかし、雨天、曇天
日であっても除湿を行えば、晴天日の60%程度の蒸散
量が確保できる。
【0034】実際にオウトウ“佐藤錦”の加温施設にお
いて、曇天、雨天日に上述した暖房と換気による除湿を
行って栽培した樹体と除湿を行わないで栽培した樹体の
裂果率を調査した、除湿を行った加温施設においては、
裂果率が1.7%であったのに対し、除湿を行わなかっ
た加温施設においては裂果率が14.2%であった。
【0035】<実験例6>オウトウ“佐藤錦”が栽培さ
れている施設内において、夜間における果実表面の飽差
の計測及び朝における裂果調査を毎日実施した。結果を
図7に示す。図7から判るように、夜間における果実表
面の平均飽差がゼロに近いほど、翌朝の裂果率が高くな
っている。すなわち、夜間において結露が発生しやすい
温湿度であると、翌朝に裂果が発生しやすいことが明ら
かになった。このことから、裂果防止装置を用いること
によって、夜間における果実表面の結露を防止すること
ができ、裂果をより効果的に防止できることが明らかに
なった。
【0036】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係る裂果防止装置は、加温施設内の温湿度を測定し、加
温施設内の温度を制御することによって室内を所望の温
湿度に制御する。これにより、裂果防止装置は、昼間に
おいてオウトウ樹体からの蒸散を促進して水分を排出
し、夜間において果実表面の結露を防止することによっ
て、オウトウ果実の裂果の原因を排除することができ
る。したがって、この裂果防止装置によれば、オウトウ
の裂果を確実に防止し、オウトウ果実の生産性を大幅に
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る裂果防止装置が用いられる加温施
設の概略構成図である。
【図2】裂果防止装置の構成を説明するためのブロック
図である。
【図3】裂果防止装置を用いて加温施設内の湿度を制御
する工程を説明するためのフローチャートである。
【図4】天候と加温施設(除湿なし)内におけるオウト
ウ“佐藤錦”の果実径変動との関係を示す特性図であ
る。
【図5】明期、暗期におけるオウトウ“佐藤錦”果実の
果実径変動を示す特性図である。
【図6】除湿を行った場合と除湿を行わなかった場合と
における、湿度及び温度の推移を示す特性図である。
【図7】オウトウ“佐藤錦”における夜間の果実表面の
平均飽差と翌朝の裂果率との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 裂果防止装置、2 加温施設、3 温度調節部、4
湿度計、5 制御部、6 温度計、7 暖房装置、8
窓開閉装置、9 換気扇、10 入力操作部、11
演算部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒田 治之 茨城県つくば市並木2−8−123−203 (72)発明者 工藤 信 山形県天童市大字下荻野戸747 (72)発明者 野口 協一 山形県東村山郡山辺町大字山辺649 Fターム(参考) 2B022 AA01 AB20 DA17 2B029 AA01 AB10 MA04 MA08 NA01 SA00 SF08 TA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オウトウ用加温施設内の温度を測定し、
    該オウトウ用加温施設内の温度を調節する温度調節手段
    と、 上記オウトウ用温室内の湿度を測定する湿度計と、 上記湿度計で測定した上記オウトウ用温室内の湿度に基
    づいて、上記温度調節手段を制御する制御手段とを備
    え、 上記温度調節手段は、上記オウトウ用加温施設内の温度
    を調節することにより、上記オウトウ用加温施設内の温
    湿度を、オウトウ果実を含む樹体からの水分の蒸散可能
    な範囲、及びオウトウ果実に結露を生じさせない値以下
    に調節することを特徴とする裂果防止装置。
  2. 【請求項2】 上記温度調節手段は、上記オウトウ用温
    室内を昇温する暖房装置と、上記オウトウ用温室の側壁
    及び/又は天井に設けられ、開閉可能に制御された窓と
    を有することを特徴とする請求項1記載の裂果防止装
    置。
  3. 【請求項3】 上記制御手段は、上記オウトウ用加温施
    設内の昼間の湿度を70%以下に制御し、夜間の湿度を
    95%以下に制御することを特徴とする請求項1記載の
    裂果防止装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3いずれか1項に記載の裂
    果防止装置を備えるオウトウ用加温施設。
JP2000355226A 2000-11-22 2000-11-22 オウトウ果実の裂果防止装置及びオウトウ用加温施設 Pending JP2002153147A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000355226A JP2002153147A (ja) 2000-11-22 2000-11-22 オウトウ果実の裂果防止装置及びオウトウ用加温施設

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000355226A JP2002153147A (ja) 2000-11-22 2000-11-22 オウトウ果実の裂果防止装置及びオウトウ用加温施設

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002153147A true JP2002153147A (ja) 2002-05-28

Family

ID=18827672

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000355226A Pending JP2002153147A (ja) 2000-11-22 2000-11-22 オウトウ果実の裂果防止装置及びオウトウ用加温施設

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002153147A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2325946A1 (es) * 2008-01-14 2009-09-24 S.A.T Edoa 1446 Cat Procedimiento de cultivo de cerezas en invernadero.
WO2012060282A1 (ja) * 2010-11-02 2012-05-10 シャープ株式会社 植物工場の温度管理システム、植物工場、温度管理方法、温度管理プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
CN102499001A (zh) * 2011-11-15 2012-06-20 天津市林业果树研究所 一种防治马牙枣裂果的方法
KR101913398B1 (ko) 2017-02-24 2018-10-30 한국과학기술연구원 작물 결로 방지 시스템
CN109328835A (zh) * 2018-11-16 2019-02-15 山西果信农业科技发展有限公司 一种大樱桃设施大棚室温管理方法
JP2020103043A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 グローブライド株式会社 魚釣用リール
CN112449975A (zh) * 2020-11-30 2021-03-09 杭州市农业科学研究院 基于物联网技术的防治甜樱桃裂果的方法
CN113487037A (zh) * 2021-06-25 2021-10-08 大连大学 一种熵权算法和机器学习技术的甜樱桃裂果率评估方法
CN115334874A (zh) * 2020-04-09 2022-11-11 松下控股株式会社 温度控制方法、温度控制装置、温度控制程序以及温度控制***

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS594264U (ja) * 1982-06-30 1984-01-12 積水化学工業株式会社 栽培ハウス
JPS6274551U (ja) * 1985-10-30 1987-05-13
JPH0529013Y2 (ja) * 1989-09-18 1993-07-26
JPH0762543B2 (ja) * 1991-11-22 1995-07-05 ネポン株式会社 施設園芸における温風暖房機による除湿方法
JPH09298958A (ja) * 1996-05-13 1997-11-25 Masayoshi Matsuda 果 樹 覆 い 具

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS594264U (ja) * 1982-06-30 1984-01-12 積水化学工業株式会社 栽培ハウス
JPS6274551U (ja) * 1985-10-30 1987-05-13
JPH0529013Y2 (ja) * 1989-09-18 1993-07-26
JPH0762543B2 (ja) * 1991-11-22 1995-07-05 ネポン株式会社 施設園芸における温風暖房機による除湿方法
JPH09298958A (ja) * 1996-05-13 1997-11-25 Masayoshi Matsuda 果 樹 覆 い 具

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2325946A1 (es) * 2008-01-14 2009-09-24 S.A.T Edoa 1446 Cat Procedimiento de cultivo de cerezas en invernadero.
WO2012060282A1 (ja) * 2010-11-02 2012-05-10 シャープ株式会社 植物工場の温度管理システム、植物工場、温度管理方法、温度管理プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
CN102499001A (zh) * 2011-11-15 2012-06-20 天津市林业果树研究所 一种防治马牙枣裂果的方法
KR101913398B1 (ko) 2017-02-24 2018-10-30 한국과학기술연구원 작물 결로 방지 시스템
CN109328835A (zh) * 2018-11-16 2019-02-15 山西果信农业科技发展有限公司 一种大樱桃设施大棚室温管理方法
JP2020103043A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 グローブライド株式会社 魚釣用リール
JP7057274B2 (ja) 2018-12-26 2022-04-19 グローブライド株式会社 魚釣用リール
CN115334874A (zh) * 2020-04-09 2022-11-11 松下控股株式会社 温度控制方法、温度控制装置、温度控制程序以及温度控制***
CN115334874B (zh) * 2020-04-09 2024-02-09 松下控股株式会社 温度控制方法、温度控制装置、温度控制程序以及温度控制***
CN112449975A (zh) * 2020-11-30 2021-03-09 杭州市农业科学研究院 基于物联网技术的防治甜樱桃裂果的方法
CN113487037A (zh) * 2021-06-25 2021-10-08 大连大学 一种熵权算法和机器学习技术的甜樱桃裂果率评估方法
CN113487037B (zh) * 2021-06-25 2024-05-31 大连大学 一种熵权算法和机器学习技术的甜樱桃裂果率评估方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002153147A (ja) オウトウ果実の裂果防止装置及びオウトウ用加温施設
KR101780112B1 (ko) 비닐하우스의 개폐시스템 및 개폐방법
JP7157940B2 (ja) 植物の栽培施設の管理制御装置および管理制御方法
KR101817706B1 (ko) 비닐하우스 환경 조절시스템
KR20170046882A (ko) 온실 공기 순환 장치 및 이를 포함하는 시스템
CN109997566B (zh) 一种自动铺盖农用薄膜装置
JP2007330119A (ja) 海ぶどうの養殖装置及び海ぶどうの養殖方法
JP2014103856A (ja) 空調システム及び栽培方法
KR20110125508A (ko) 비닐하우스 환기장치 및 그 작동제어방법
JP7493743B2 (ja) 農業用ハウスの換気窓制御システム及び換気窓制御方法
KR20150068657A (ko) 복합환경 제어시스템 및 그의 제어방법
JPH04278031A (ja) 温室の環境制御装置
KR200487259Y1 (ko) 자동 습도 조절기능을 갖는 온실 하우스
JP2906330B2 (ja) 複合環境制御方法
JP6853497B2 (ja) 養液栽培システム
KR200168700Y1 (ko) 하우스의 전동식 차광장치
CN213153142U (zh) 一种烟叶新品种智能化温控苗棚
EP0195373A2 (en) A method and an apparatus for climatic regulation in connection with the pollination of hothouse plants
NL2024022B1 (en) Method of cultivating plants and system therefor
JPS6214245B2 (ja)
KR101684570B1 (ko) 비닐하우스의 개폐 제어 장치
KR20010035792A (ko) 천창 완전 개폐형 간이 비가림 하우스
CN115968692B (zh) 一种带自动遮阳的大棚结构及其控制方法
CN208739715U (zh) 一种温室大棚降温/升温换气窗
CN213485823U (zh) 一种马铃薯种薯储窖放风***