JP2002131542A - 位相差板、円偏光板、及び位相差板の製造方法 - Google Patents

位相差板、円偏光板、及び位相差板の製造方法

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JP2002131542A
JP2002131542A JP2000324334A JP2000324334A JP2002131542A JP 2002131542 A JP2002131542 A JP 2002131542A JP 2000324334 A JP2000324334 A JP 2000324334A JP 2000324334 A JP2000324334 A JP 2000324334A JP 2002131542 A JP2002131542 A JP 2002131542A
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polymer film
retardation
retardation plate
polymer
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JP2000324334A
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Masahiko Murayama
雅彦 村山
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一枚のポリマーフィルムで、可視光域の全体
にわたりλ/4またはλ/2を達成し、取り扱いの際に
ゴミの発生の少ない位相差板を提供すること。 【解決手段】 引掻き強度が1g以上であるポリマーフ
イルムからなり、ポリマーフイルムの、波長450nm
で測定したレターデーション値(Re450)が100
乃至125nmの範囲にあり、波長590nmで測定し
たレターデーション値(Re590)が120乃至16
0nmの範囲にあり、そしてRe590−Re450≧
2nmの関係を満足し、さらにポリマーフイルムの、面
内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方
向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、1≦
(nx−nz)/(nx−ny)≦2の関係を満足する
ことを特徴とする位相差板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、位相差板、円偏光
板、及び位相差板の製造方法とに関する。特に本発明
は、液晶表示装置において使用されるλ/4板またはλ
/2板、光ディスクの書き込み用のピックアップに使用
されるλ/4板、あるいは反射防止膜として利用される
λ/4板として有効な位相差板に関する。
【0002】
【従来の技術】λ/4板およびλ/2板は、反射防止膜
や液晶表示装置に関連する多くの用途を有しており、既
に実際に使用されている。しかし、λ/4板あるいはλ
/2板と称していても、ある特定波長でλ/4やλ/2
を達成しているものが大部分であった。特開平5−27
118号および同5−27119号の各公報には、レタ
ーデーションが大きい複屈折性フイルムと、レターデー
ションが小さい複屈折率フイルムとを、それらの光軸が
直交するように積層させた位相差板が開示されている。
二枚のフイルムのレターデーションの差が可視光域の全
体にわたりλ/4またはλ/2であれば、位相差板は理
論的には、可視光域の全体にわたりλ/4板またはλ/
2板として機能する。特開平10−68816号公報
に、特定波長においてλ/2となっているポリマーフイ
ルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/
2となっているポリマーフイルムとを積層させて、広い
波長領域でλ/4が得られる位相差板が開示されてい
る。特開平10−90521号公報にも、二枚のポリマ
ーフイルムを積層することにより広い波長領域でλ/4
を達成できる位相差板が開示されている。以上のポリマ
ーフイルムとしては、ポリカーボネートのような合成ポ
リマーの延伸フイルムが使用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上のポリマーフイル
ムからなる位相差板を製造する際、ポリマーフイルムの
引掻強度が低いと、製造工程で擦り傷やゴミを発生しウ
ェブハンドリングしにくいという問題があった。ポリマ
ーフイルムからなる位相差板は、偏光板と貼り合わされ
る。そして偏光板と貼り合わされた位相差板は、液晶表
示装置に貼り合わされる。このような貼り合わせの工程
においても、フイルムロール搬送時に擦り傷やゴミ付着
の問題があった。擦り傷や付着したゴミは、液晶表示装
置上で、欠陥として見えるという問題があった。本発明
の目的は、引掻強度に優れ、ゴミ発生が改善された位相
差板、およびそれを用いた円偏光板、さらに位相差板の
処理方法、製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(5)の位相差板、下記(6)の製造方法、下
記(7)の処理方法、および下記(8)の円偏光板によ
り達成された。 (1)引掻き強度が1g以上であるポリマーフイルムか
らなり、ポリマーフイルムの、波長450nmで測定し
たレターデーション値(Re450)が100乃至12
5nmの範囲にあり、波長590nmで測定したレター
デーション値(Re590)が120乃至160nmの
範囲にあり、そしてRe590−Re450≧2nmの
関係を満足し、さらにポリマーフイルムの、面内の遅相
軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折
率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、1≦(nx−n
z)/(nx−ny)≦2の関係を満足することを特徴
とする位相差板。
【0005】(2)前記のポリマーフイルムが、ポリマ
ーと、平均粒子径が1.0μm以下の微粒子を含有し、
ポリマーフイルムのヘイズが2.0%以下であることを
特徴とする(1)に記載の位相差板。 (3)前記のポリマーフイルム表面の動摩擦係数が0.
40以下であることを特徴とする(1)もしくは(2)
に記載の位相差板。 (4)前記のポリマーフイルムが、フイルムの少なくと
も片面にハードコート層を塗設してなるハードコートフ
イルムであり、引掻強度が20g以上である(1)乃至
(3)のうちのいずれかに記載の位相差板。
【0006】(5)前記のポリマーフイルムが、芳香族
環を少なくとも二つ有し、二つの芳香族環の立体配座を
立体障害しない分子構造を有する化合物を含むセルロー
スエステルフイルムであることを特徴とする(1)乃至
(4)のうちのいずれかに記載の位相差板。 (6)前記のポリマーフイルムが、酢化度が57.0〜
61.5%の範囲にあるセルロースアセテートからなる
ことを特徴とする(1)乃至(5)のうちのいずれかに
記載の位相差板。 (7)(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載の位相
差板を製造する方法において、ポリマーフイルムが共流
延法または逐次流延法により形成され、平均粒子径が
1.0μm以下の微粒子を含む層を少なくとも一層有
し、該層におけるポリマーに対する微粒子の添加量が、
ポリマーフイルムの内部よりも外部の層の方が多いこと
を特徴とする位相差板の製造方法。 (8)(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載の位相
差板を製造する方法において、位相差板を形成するポリ
マーフイルムとして、溶剤の残留量が5質量%未満であ
る可塑剤の添加されたセルロースエステルフイルムを用
い、位相差板を100乃至160℃の温度で加熱し、こ
れにより位相差板の表面部分に含まれている可塑剤の量
を減少させることを特徴とする位相差板の製造方法。 (9)位相差板と偏光膜とが、位相差板の面内の遅相軸
と偏光膜の偏光軸との角度が実質的に45゜になるよう
に積層されている円偏光板であって、位相差板が、
(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載の位相差板ま
たは(7)もしくは(8)に記載の製造方法で製造され
た位相差板であることを特徴とする円偏光板。
【0007】
【発明の効果】本発明者は、引掻強度特性に優れるポリ
マーフイルムからなる位相差板、円偏光板、およびその
処理方法と製造方法を提供し、ゴミ付着のない位相差板
(およびそれを用いた円偏光板)を作製することに成功
した。本発明の位相差板あるいは円偏光板を液晶表示装
置に用いることにより、表示画面に発生する欠陥を著し
く減少させることができる。位相差板に用いるポリマー
(好ましくはセルロースアセテートフイルム)への添加
剤(具体的には、二つの芳香族環を有する芳香族化合
物)の種類と量あるいは製造条件(例えば、フイルムの
延伸条件)を調節することによって、適切な光学特性
(Re450,Re590値:詳細は後述する)を有す
るポリマーフイルム(好ましくはセルロースアセテート
フイルム)が得られる。このポリマーフイルム(好まし
くはセルロースアセテートフイルム)は、広帯域でλ/
4板としての性質を保持する。従って、一枚のポリマー
フイルム(好ましくはセルロースアセテートフイルム)
のみからなる位相差板が得られる。偏光板の保護膜は、
一般にセルロースアセテートフイルムからなる。上記の
ポリマーフイルム(好ましくはセルロースアセテートフ
イルム)を偏光板の一方の保護膜として用いると、偏光
板の構成要素の数を増加することなく、偏光板に位相差
板の機能を追加する、すなわち円偏光板を提供すること
ができる。さらに、ポリマーフイルムが、ポリマーおよ
び1.0μm以下の平均粒子径を有する微粒子を含有す
ることで、ヘイズが2.0%以下であり、かつ表面の動
摩擦係数が0.40以下である、引掻強度に優れ、ゴミ
付着のない位相差板を実現することができる。なお、酢
化度が57.0未満のセルロースアセテートを使用する
と、上記の光学的異方性を容易に達成できるが、セルロ
ースアセテートフイルムとしての物性が低下する。本発
明では、酢化度が57.0乃至61.5%であるセルロ
ースアセテートを使用し、他の手段(上記の添加剤や製
造条件の調節)で上記のレターデーション値を達成する
ことにより、光学的異方性と物性との双方が優れたセル
ロースアセテートフイルムを得ている。上記のポリマー
フイルム(好ましくはセルロースアセテートフイルム)
のみからなる位相差板は、反射型液晶表示装置の1/4
波長板として特に有利に用いることもできる。
【0008】
【発明の実施の形態】[位相差板]位相差板をλ/4板
として使用する場合は、波長450nmで測定したレタ
ーデーション値(Re450)が100乃至125nm
であり、かつ波長590nmで測定したレターデーショ
ン値(Re590)が120乃至160nmであり、そ
して、Re590−Re450≧2nmの関係を満足す
る。Re590−Re450≧5nmであることがさら
に好ましく、Re590−Re450≧10nmである
ことが最も好ましい。波長450nmで測定したレター
デーション値(Re450)が108乃至122nmで
あり、波長550nmで測定したレターデーション値
(Re550)が125乃至142nmであり、波長5
90nmで測定したレターデーション値(Re590)
が130乃至152nmであり、そして、Re590−
Re550≧2nmの関係を満足することが好ましい。
Re590−Re550≧5nmであることがさらに好
ましく、Re590−Re550≧10nmであること
が最も好ましい。また、Re550−Re450≧10
nmであることも好ましい。
【0009】位相差板をλ/2板として使用する場合
は、波長450nmで測定したレターデーション値(R
e450)が200乃至250nmであり、かつ波長5
90nmで測定したレターデーション値(Re590)
が240乃至320nmであり、そして、Re590−
Re450≧4nmの関係を満足する。Re590−R
e450≧10nmであることがさらに好ましく、Re
590−Re450≧20nmであることが最も好まし
い波長450nmで測定したレターデーション値(Re
450)が216乃至240nmであり、波長550n
mで測定したレターデーション値(Re550)が25
0乃至284nmであり、波長590nmで測定したレ
ターデーション値(Re590)が260乃至304n
mであり、そして、Re590−Re550≧4nmの
関係を満足することが好ましい。またRe590−Re
550≧10nmであることがさらに好ましく、Re5
90−Re550≧20nmであることが最も好まし
い。また、Re550−Re450≧20nmであるこ
とも好ましい。λ/2板として使用する場合も、引掻き
強度、1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦2の関係
はλ/4板と同じである。レターデーション値(Re)
は、下記式に従って算出する。 レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d 式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率
(面内の最大屈折率)であり;nyは、位相差板の面内
の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり;そして、dは、
位相差板の厚さ(nm)である。
【0010】さらに、本発明の位相差板は、下記式を満
足する。 1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦2 式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率で
あり;nyは、位相差板の面内の遅相軸に垂直な方向の
屈折率であり;そして、nzは、厚み方向の屈折率であ
る。本発明の位相差板は、1.2≦(nx−nz)/
(nx−ny)≦1.8の関係を満足することがさらに
好ましく、1.4≦(nx−nz)/(nx−ny)≦
1.6の関係を満足することが最も好ましい。
【0011】以上のような光学的性質を有する位相差板
は、レターデーション調整剤(後述のレターデーション
上昇剤)を含むポリマーフイルム(好ましくはセルロー
スエステルフイルム)一枚で得られる。位相差板のレタ
ーデーション値とその波長依存性は、(1)ポリマーフ
イルム(好ましくはセルロースエステル)の組成(セル
ロースエステルを用いる場合は特に酢化度(結合酢酸
量))の調整、(2)レターデーション調整剤の種類と
使用量の調整、(3)フイルムの厚さにより制御でき
る。特に(2)のレターデーション調整剤の使用によっ
て、従来は光学的等方性と考えられていたセルロースエ
ステルフイルムを、位相差板として使用できるようにな
る。位相差板(好ましくはセルロースエステルフイル
ム)の厚さは、5乃至1000μmの範囲にあることが
好ましく、10乃至500μmの範囲にあることがさら
に好ましい。
【0012】[セルロースエステル]ポリマーフイルム
に用いるポリマーに特に限定はないが、セルロースエス
テルを用いることが好ましい。セルロースエステルとし
ては、セルロースの低級脂肪酸エステルを用いることが
好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪
酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテー
ト)、3(セルロースプロピオネート)または4(セル
ロースブチレート)であることが好ましい。セルロース
アセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロ
ピオネートやセルロースアセテートブチレートのような
混合脂肪酸エステルを用いてもよい。セルロースアセテ
ートの酢化度(結合酢酸量)は、45.0乃至62.5
%の範囲にあることが好ましく、57.0乃至61.5
%の範囲にあることがさらに好ましい。
【0013】[レターデーション上昇剤]各波長におけ
るレターデーション値を調整するため、レターデーショ
ン上昇剤をポリマーフイルム(好ましくはセルロースエ
ステルフイルム)に添加することができる。レターデー
ション上昇剤は、ポリマー100質量部に対して、0.
05乃至20質量部の範囲で使用することが好ましく、
0.1乃至10質量部の範囲で使用することがより好ま
しく、0.2乃至5質量部の範囲で使用することがさら
に好ましく、0.5乃至2質量部の範囲で使用すること
が最も好ましい。二種類以上のレターデーション上昇剤
を併用してもよい。レターデーション上昇剤は、250
乃至400nmの波長領域に最大吸収を有することが好
ましい。レターデーション上昇剤は、可視領域に実質的
に吸収を有していないことが好ましい。
【0014】レターデーション上昇剤としては、少なく
とも二つの芳香族環を有する化合物を用いることが好ま
しい。さらに二つの芳香族環の立体配座を立体障害しな
い分子構造を有する化合物であることが好ましい。本明
細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加
えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、
6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ま
しい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環であ
る。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環
であることが好ましく、5員環または6員環であること
がさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の
二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸
素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ま
しい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェ
ン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール
環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール
環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラ
ン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラ
ジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳
香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン
環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミ
ダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン
環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ま
しい。
【0015】レターデーション上昇剤が有する芳香族環
の数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至12
であることがより好ましく、2乃至8であることがさら
に好ましく、2乃至6であることが最も好ましい。芳香
族環の少なくとも1つは、1,3,5−トリアジン環で
あることが好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、
(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する
場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類で
きる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。
結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
【0016】(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮
合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン
環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン
環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン
環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベン
ゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベ
ンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミ
ダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダ
ゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、
キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサ
リン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール
環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン
環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイ
ン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれ
る。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾ
オキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾ
ール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ま
しい。(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間
の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの
芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環ま
たは非芳香族性複素環を形成してもよい。
【0017】(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素
原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン
基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O
−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせである
ことが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下
に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆に
なってもよい。 c1:−CO−O− c2:−CO−NH− c3:−アルキレン−O− c4:−NH−CO−NH− c5:−NH−CO−O− c6:−O−CO−O− c7:−O−アルキレン−O− c8:−CO−アルケニレン− c9:−CO−アルケニレン−NH− c10:−CO−アルケニレン−O− c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO
−アルキレン− c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−
CO−アルキレン−O− c13:−O−CO−アルキレン−CO−O− c14:−NH−CO−アルケニレン− c15:−O−CO−アルケニレン−
【0018】芳香族環および連結基は、置換基を有して
いてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、C
l、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シア
ノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファ
モイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキ
ニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アル
コキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボ
ニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル
基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族
置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換
スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香
族性複素環基が含まれる。
【0019】アルキル基の炭素原子数は、1乃至8であ
ることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル
基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。
アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボ
キシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有して
いてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例
には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2
−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メト
キシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれ
る。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であること
が好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基
の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。
アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。ア
ルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセ
ニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2乃至
8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖
状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が
特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有して
いてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブ
チニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
【0020】脂肪族アシル基の炭素原子数は、1乃至1
0であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、ア
セチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。脂
肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10である
ことが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセ
トキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1乃
至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置
換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコ
キシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキ
シ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含ま
れる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至
10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の
例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニル
が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子
数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカ
ルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ
およびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0021】アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至1
2であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メ
チルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8である
ことが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタ
ンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。、脂
肪族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが
好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含
まれる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃
至8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の
例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド
およびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。脂肪族
置換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが
好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミ
ノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノ
が含まれる。脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数
は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カル
バモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチ
ルカルバモイルが含まれる。脂肪族置換スルファモイル
基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂
肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモ
イルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。脂肪族
置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であること
が好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウ
レイドが含まれる。非芳香族性複素環基の例には、ピペ
リジノおよびモルホリノが含まれる。レターデーション
上昇剤の分子量は、揮散性と相溶性の両立のため、30
0乃至800であることが好ましい。レターデーション
上昇剤の例として、特開2000−111914号およ
び特開2000−275434号の各明細書に記載の化
合物を挙げることができる。
【0022】[赤外線吸収剤]各波長におけるレターデ
ーション値を調整するため、赤外線吸収剤をポリマーフ
イルムに添加することができる。赤外線吸収剤は、ポリ
マー100質量部に対して、0.01乃至5質量部の範
囲で使用することが好ましく、0.02乃至2質量部の
範囲で使用することがより好ましく、0.05乃至1質
量部の範囲で使用することがさらに好ましく、0.1乃
至0.5質量部の範囲で使用することが最も好ましい。
二種類以上の赤外線吸収剤を併用してもよい。赤外線吸
収剤は、750乃至1100nmの波長領域に最大吸収
を有することが好ましく、800乃至1000nmの波
長領域に最大吸収を有することがさらに好ましい。赤外
線吸収剤は、可視領域に実質的に吸収を有していないこ
とが好ましい。
【0023】赤外線吸収剤としては、赤外線吸収染料ま
たは赤外線吸収顔料を用いることが好ましく、赤外線吸
収染料を用いることが特に好ましい。赤外線吸収染料に
は、有機化合物と無機化合物が含まれる。有機化合物で
ある赤外線吸収染料を用いることが好ましい。有機赤外
線吸収染料には、シアニン化合物、金属キレート化合
物、アミニウム化合物、ジイモニウム化合物、キノン化
合物、スクアリリウム化合物およびメチン化合物が含ま
れる。赤外線吸収染料については、色材、61〔4〕2
15−226(1988)、および化学工業、43−5
3(1986、5月)に記載がある。
【0024】赤外線吸収機能あるいは吸収スペクトルの
観点で染料の種類を検討すると、ハロゲン化銀写真感光
材料の技術分野で開発された赤外線吸収染料が優れてい
る。ハロゲン化銀写真感光材料の技術分野で開発された
赤外線吸収染料には、ジヒドロペリミジンスクアリリウ
ム染料(米国特許5380635号明細書および特願平
8−189817号明細書記載)、シアニン染料(特開
昭62−123454号、同3−138640号、同3
−211542号、同3−226736号、同5−31
3305号、同6−43583号の各公報、特願平7−
269097号明細書および欧州特許0430244号
明細書記載)、ピリリウム染料(特開平3−13864
0号、同3−211542号の各公報記載)、ジイモニ
ウム染料(特開平3−138640号、同3−2115
42号の各公報記載)、ピラゾロピリドン染料(特開平
2−282244号記載)、インドアニリン染料(特開
平5−323500号、同5−323501号の各公報
記載)、ポリメチン染料(特開平3−26765号、同
4−190343号の各公報および欧州特許37796
1号明細書記載)、オキソノール染料(特開平3−93
46号明細書記載)、アントラキノン染料(特開平4−
13654号明細書記載)、ナフタロシアニン色素(米
国特許5009989号明細書記載)およびナフトラク
タム染料(欧州特許568267号明細書記載)が含ま
れる。
【0025】[セルロースエステルフイルムの製造]ポ
リマーフイルムの製造を、ポリマーフイルムとして最も
好ましいセルロースアセテートフイルムを例にして説明
する。ソルベントキャスト法によりセルロースエステル
フイルムを製造することが好ましい。ソルベントキャス
ト法では、ポリマーを有機溶媒に溶解した溶液(ドー
プ)を用いてフイルムを製造する。有機溶媒は、炭素原
子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12
のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルおよび炭
素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる
溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンおよびエ
ステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケ
トンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−C
O−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化
合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒
は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有してい
てもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場
合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合
物の規定範囲内であればよい。
【0026】炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメ
チルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至
12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピ
ルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテー
ト、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含ま
れる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、
2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノー
ルおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン
化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好
ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化
水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲ
ン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている
割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、3
0乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至
65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60
モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリド
が、代表的なハロゲン化炭化水素である。二種類以上の
有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0027】一般的な方法でポリマー溶液を調製でき
る。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高
温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常
のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法およ
び装置を用いて実施することができる。なお、一般的な
方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特
にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。ポリマ
ーの量は、得られる溶液中に10乃至40質量%含まれ
るように調整する。ポリマーの量は、10乃至30質量
%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中
には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0乃至40℃)でポリマーと有機溶媒と
を攪拌することにより調製することができる。高濃度の
溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体
的には、ポリマーと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉
し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が
沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温
度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至2
00℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃であ
る。
【0028】各成分は予め粗混合してから容器に入れて
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0029】冷却溶解法により、溶液を調製することも
できる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させ
ることが困難な有機溶媒中にもポリマーを溶解させるこ
とができる。なお、通常の溶解方法でポリマーを溶解で
きる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な
溶液が得られるとの効果がある。冷却溶解法では最初
に、室温で有機溶媒中にポリマーを撹拌しながら徐々に
添加する。ポリマーの量は、この混合物中に10乃至4
0質量%含まれるように調整することが好ましい。ポリ
マーの量は、10乃至30質量%であることがさらに好
ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を
添加しておいてもよい。
【0030】次に、混合物を−100乃至−10℃(好
ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50
乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に
冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール
浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液
(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷
却すると、ポリマーと有機溶媒の混合物は固化する。冷
却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/
分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上で
あることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好まし
いが、10000℃/秒が理論的な上限であり、100
0℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が
実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始す
る時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始して
から最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値で
ある。
【0031】さらに、これを0乃至200℃(好ましく
は0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、
最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒
中にポリマーが溶解する。昇温は、室温中に放置するだ
けでもよし、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4
℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上である
ことがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最
も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、100
00℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技
術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限
である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と
最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な
加温温度に達するまでの時間で割った値である。以上の
ようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充
分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。
溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を
観察するだけで判断することができる。
【0032】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。た
だし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの
平均酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機
溶媒により異なる。
【0033】調製したポリマー溶液(ドープ)から、ソ
ルベントキャスト法によりポリマーフイルムを製造す
る。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を
蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固
形分量が18乃至35%となるように濃度を調整するこ
とが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態
に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法
における流延および乾燥方法については、米国特許23
36310号、同2367603号、同2492078
号、同2492977号、同2492978号、同26
07704号、同2739069号、同2739070
号、英国特許640731号、同736892号の各明
細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、
特開昭60−176834号、同60−203430
号、同62−115035号の各公報に記載がある。ド
ープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上
に流延することが好ましい。流延した2秒以上風に当て
て乾燥することが好ましい。得られたフイルムをドラム
またはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃
まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発
させることもできる。以上の方法は、特公平5−178
44号公報に記載がある。この方法によると、流延から
剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この
方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンド
の表面温度においてドープがゲル化することが必要であ
る。本発明に従い調製した溶液(ドープ)は、この条件
を満足する。製造するフイルムの厚さは、40乃至12
0μmであることが好ましく、70乃至100μmであ
ることがさらに好ましい。
【0034】[可塑剤]ポリマーフイルム(好ましくは
セルロースエステルフイルム)には、機械的物性を改良
するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を
添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステ
ルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エス
テルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)
およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれ
る。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルお
よびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステ
ルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチル
フタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DB
P)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフ
タレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート
(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、
O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)および
O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含ま
れる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン
酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジ
ブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フ
タル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、D
OP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DE
PおよびDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セ
ルロースエステルの量の5乃至30質量%であることが
好ましく、5乃至20質量%であることがさらに好まし
く、5乃至15質量%であることが最も好ましい。本発
明においては、ポリマーフイルム(好ましくはセルロー
スエステルフイルム)の表面部分に含まれている可塑剤
の量を、フイルム全体の平均に対して少なくして用い
る。フイルムの表面部分に含まれている可塑剤の量は、
全体の平均に対して5乃至90質量%であることが好ま
しく、10乃至85質量%であることが更に好ましい。
これを実現する具体的な方法としては、フイルムを積層
体にする方法や、加熱処理をする方法などを用いるのが
好ましい。
【0035】[微粒子]本発明の位相差板を形成するポ
リマーフイルム(好ましくはセルロースアセテートフイ
ルム)には、ポリマー中に1.0μm以下の平均粒子径
を有する微粒子を添加することが好ましい。ポリマーフ
イルムに微粒子が含有する形態に特に制限はなく、ポリ
マーフイルム中に微粒子が均一に含まれていてもよい
し、ポリマーフイルム(微粒子を含んでいてもよい)の
少なくとも一方の面に1.0μm以下の平均粒子径を有
する微粒子を含む層が設けられていてもよい。この微粒
子を含む層は、ポリマーフィル(微粒子を含んでいても
よい)の少なくとも一方の面に、微粒子が添加されたポ
リマーを共流延法あるいは逐次流延法を用いて形成する
ことができる。またポリマーフイルムの表面に、ポリマ
ーと微粒子を含む溶液を塗布することにより、微粒子を
含む層を設けてもよい。微粒子は滑り剤として機能し
て、フイルムの動摩擦係数を改善し、引掻強度を改善す
る。微粒子としては、無機化合物を用いることが好まし
い。無機化合物の例には、二酸化ケイ素、二酸化チタ
ン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリ
ン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケ
イ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カ
ルシウムが含まれる。二酸化ケイ素、二酸化チタンおよ
び酸化ジルコニウムが好ましく、二酸化ケイ素が特に好
ましい。無機化合物の微粒子は、表面処理により粒子表
面にメチル基を導入することができる。例えば、酸化ケ
イ素の微粒子をジクロロジメチルシランやビス(トリメ
チルシリル)アミンで処理すればよい。
【0036】二酸化ケイ素の微粒子は、既に市販されて
いる(例、アエロジルR972TM、R972DTM、R9
74TM、R812TM、日本アエロジル(株)製)。ま
た、酸化ジルコニウムの微粒子にも市販品がある(例、
アエロジルR976TM、R811TM、日本アエロジル
(株)製)。微粒子の平均粒径は、1.0μm以下であ
ることが好ましい。平均粒径は0.1乃至1.0μmで
あることがさらに好ましく、0.1乃至0.5μmであ
ることが最も好ましい。微粒子は、ポリマー(好ましく
はセルロースアセテート)に対して、0.005乃至
0.3質量%の量で使用することが好ましく、0.01
乃至0.1質量%の量で使用することがさらに好まし
い。本発明においては、ポリマーフイルム(好ましくは
セルロースエステルフイルム)の表面部分に含まれてい
る微粒子の量を、フイルム全体の平均に対して少なくし
て用いる。これにより、フイルムのヘイズが小さく、か
つフイルム表面の優れた引掻強度を達成することができ
る。フイルムの表面部分に含まれている微粒子の量は、
全体の平均に対して5乃至90質量%であることが好ま
しく、10乃至85質量%であることが更に好ましい。
これを実現する具体的な方法としては、フイルムを積層
体にする方法や、加熱処理をする方法などを用いるのが
好ましい。
【0037】[動摩擦係数]フイルムの表面の動摩擦係
数は、0.40以下であることが好ましい。動摩擦係数
は、0.35以下であることがより好ましく、0.30
以下であることがさらに好ましく、0.25以下である
ことが最も好ましい。動摩擦係数は、低いほど好ましい
が0.10程度が下限値である。動摩擦係数は、JIS
やASTMが規定する方法に従い、鋼球を用いて容易に
測定できる。
【0038】[引掻強度]本発明の位相差板の引掻き強
度は1g以上の値をとる。これにより位相差板を取り扱
う際のゴミの発生など種々の問題を解決することができ
る。この引掻き強度の値は大きいほど好ましいが、10
0g以下の値であるのが一般的である。引掻き強度の値
は1.5乃至50gの範囲にあることがさらに好まし
い。引掻き強度の値は、円すい頂角が90度で、先端の
直径が0.25mmのサファイア針を用いてポリマーフ
イルム(位相差板)の表面を引掻き、引掻跡が目視で認
められた時の加重(g)を測定することにより得られ
る。フイルムが後述のハードコート層を有する場合、引
掻き強度の値は20乃至100gであることが好まし
く、21乃至50gであることがさらに好ましい。
【0039】[積層フイルム]本発明の位相差膜は、ポ
リマーフイルム(好ましくはセルロースエステルフイル
ム)上に共流延法または逐次流延法により、微粒子の少
ない層(以下、「内層」と呼ぶ)の外側に、微粒子の多
い層(以下、「外層」と呼ぶ)を積層して製造すること
ができる。外層は片側のみ設けても構わないし、両側に
設けても構わない。内層側の微粒子の添加量は、ポリマ
ー(好ましくはセルロースエステル)の量の0乃至0.
01質量%であることが好ましく、0乃至0.001質
量%であることがさらに好ましい。外層側の可塑剤の添
加量は、内層よりも多く、かつセルロースエステルの量
の0乃至0.05質量%であることが好ましく、0乃至
0.02質量%であることがさらに好ましい。内層と外
層のポリマー(好ましくはセルロースエステル)の種類
は同じであっても構わないし、異なっていても構わな
い。外層の厚みは0.2乃至50μmが好ましく、0.
5乃至20μmが更に好ましく、0.5乃至5μmが特
に好ましい。流延するための装置は、共流延の場合は、
内部合流ダイ、先端合流ダイ等があり、逐次流延の場合
は、エクストルージョンダイ等がある。以上の様に、ポ
リマーフイルムの表面に、共流延法または逐次流延法に
よりポリマーフイルムの内部よりも多い量の微粒子が含
まれた層を積層する製造方法を用いることで、位相差板
表面の掻き強度の値を大きくすることができる。
【0040】[加熱処理]一般に位相差に用いられるポ
リマーフイルムには、機械的性質を改良するために可塑
剤が添加される。可塑剤の添加されたフイルムの引掻き
強度は低く、本発明の目的を達成することができない
(このようなフイルムを液晶表示装置などに用いる場
合、引掻き強度が低いためにゴミが発生し易い)。引掻
き強度を改善する別の方法として、フイルム表面に含ま
れる可塑剤の量を減少させる方法が挙げられる。これに
より、ポリマーフイルムの機械的性質を維持したまま、
表面の引掻き強度を改善することができる。また、この
方法と、上記の微粒子を添加する方法とを同時に行って
もよい。引掻き強度が低いと、引掻きにより表面が削ら
れ切削ゴミが発生し易くなるため、このゴミの付着によ
り面状が悪化するだけでなく、これによりさらに新たな
引掻きによる切削傷が発生するため、ゴミ付着が多くな
る。このためゴミ付着性が悪化すると考えられる。フイ
ルムの表面部分に含まれている可塑剤の量を、全体の平
均に対して少なくするために、ポリマー(好ましくはセ
ルロースエステルフイルム)を100乃至160℃の温
度で加熱する処理工程を用いることができる。加熱温度
は、110乃至150°の範囲であることが更に好まし
い。また、加熱温度は、ポリマーフイルム(好ましくは
セルロースエステルフイルム)の軟化点との関係で、軟
化点±20℃の範囲であることが好ましく、軟化点±1
0℃の範囲内であることが更に好ましい。ポリマーフイ
ルム(好ましくはセルロースエステルフイルム)の加熱
時間は、1秒乃至60分の範囲内であることが好まし
く、1分乃至30分の範囲内であることが更に好まし
く、5分乃至20分の範囲内であることがもっとも好ま
しい。
【0041】加熱手段については、特に制限はない。オ
ーブンやホットプレートなどの様々な加熱手段を利用で
きる。但し、一般に揮発性を有する可塑剤を除去するた
めに加熱するのであるから、フイルムの表面が空気に開
放された状態で加熱することが好ましい。加熱処理は、
ポリマーフイルム(好ましくはセルロースエステルフイ
ルム)を製造してから、使用するまでの間に実施すれば
良い。但し、加熱処理をポリマーフイルム(好ましくは
セルロースエステルフイルム)の製造方法を最後の工程
として実施するか、あるいは、偏光板と貼り付けられる
直前に実施することが実用的には好都合である。加熱処
理をポリマーフイルム(好ましくはセルロースエステル
フイルム)の製造方法の最後の工程として実施する場合
は、溶剤の残留量が5質量%未満となるようにドープを
乾燥してから実施する。以上の加熱処理により、ポリマ
ーフイルム(好ましくはセルロースエステルフイルム)
の表面部分の可塑剤の量を選択的に減少させることがで
きる。フイルムの表面部分の可塑剤の量は、例えば、赤
外線吸収スペクトル分析により測定することができる。
本加熱処理方法により、表面部分の可塑剤の量を選択的
に10〜65%程度減少させることができる。一方、ポ
リマーフイルム(好ましくはセルロースエステルフイル
ム)に含まれる可塑剤の総量は、1〜5%程度しか減少
しない。以上の様に、位相差板を形成するポリマーフイ
ルムとして、溶剤の残留量が5質量%未満である可塑剤
の添加されたポリマーフイルム(好ましくはセルロース
エステルフイルム)を用い、加熱により表面部分に含ま
れている可塑剤の量を減少させる処理方法を用いること
により、位相差板表面の掻き強度の値を大きくすること
ができる。
【0042】[劣化防止剤]ポリマーフイルム(好まし
くはセルロースエステルフイルム)には、劣化防止剤
(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、
金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよ
い。劣化防止剤については、特開平3−199201
号、同5−1907073号、同5−194789号、
同5−271471号、同6−107854号の各公報
に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液
(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好まし
く、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好ま
しい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止
剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を
越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードアウ
ト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい
劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン
(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げるこ
とができる。
【0043】[延伸処理]ポリマーフイルム(好ましく
はセルロースエステルフイルム)は、さらに延伸処理に
より屈折率(面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅
相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率
nz)を調整することが好ましい。固有複屈折率が正で
あると、ポリマー鎖が配向した方向に屈折率が高くな
る。このような固有複屈折率が正のポリマーを延伸する
と、通常、屈折率は、nx>ny≧nzとなる。これ
は、面内の方向に配向したポリマー鎖が、延伸によって
x成分が多くなり、z成分が最も小さくなるためであ
る。これにより、1≦(nx−nz)/(nx−ny)
の関係を満足することができる。さらに、(nx−n
z)/(nx−ny)≦2の関係を満足するためには、
一軸延伸の延伸倍率を制御するか、あるいはアンバラン
スな二軸延伸を実施して屈折率を調整すればよい。具体
的には、最大の延伸倍率SAと、その延伸方向に垂直な
方向の延伸倍率SBとが、1<SA/SB≦3の関係を
満足するように、一軸延伸またはアンバランス二軸延伸
を実施すればよい。延伸倍率は、延伸する前の長さを1
とする場合の相対的な値である。SBは、1未満の値と
なる(言い換えると収縮する)場合もある。上記式の関
係を満足すれば、SBは1未満の値であってもよい。さ
らに、延伸倍率は、正面レターデーションがλ/4また
はλ/2となるように調整する。延伸処理は、同時処理
であっても、逐次処理であってもよい。
【0044】[円偏光板]λ/4板と偏光膜とを、λ/
4板の面内の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度が実質的
に45゜になるように積層すると円偏光板が得られる。
実質的に45゜とは、40乃至50゜であることを意味
する。λ/4板の面内の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角
度は、41乃至49゜であることが好ましく、42乃至
48゜であることがより好ましく、43乃至47゜であ
ることがさらに好ましく、44乃至46゜であることが
最も好ましい。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染
料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨ
ウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニル
アルコール系フイルムを用いて製造する。偏光膜の偏光
軸は、フイルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。偏
光膜のλ/4板とは反対側の面には、透明保護膜を設け
ることが好ましい。
【0045】ポリマーフイルムには、界面活性剤や導電
性微粒子分散物などを用いて、透明導電膜を設けても構
わないし、ポリマーフイルム全体または一部分に導電性
が付与されていても構わないが、帯電防止性付与のため
には、透明導電膜を設ける方がより好ましい。透明導電
膜は、塗布によって設けても構わないし、フイルム流延
時に共流延することによって設けても構わない。また、
スパッタリング、真空蒸着法、イオンプレーティング法
などの真空成膜法によって透明導電膜を成膜しても構わ
ない。フイルムの片面に透明導電膜を設けても構わない
し、両面に設けても構わない。また、これらの方法を併
用することも可能である。さらに本発明の微粒子層と併
用(あるいは兼用)しても構わない。本発明の微粒子層
と透明導電膜の積層順序に特に制限はないが、最表層に
微粒子層を設けることが、引掻き強度を付与するために
好ましい。透明導電膜として使用される界面活性剤とし
ては、ノニオン性、イオン性(アニオン、カチオン、ベ
タイン)いずれも使用できる。さらにフッ素系界面活性
剤も有機溶媒中での塗布剤としたり、帯電防止剤として
好ましく用いられる。
【0046】界面活性剤は、界面活性剤の応用(幸書
房、刈米孝夫著、昭和55年9月1日発行)に記載されてい
る。界面活性剤の使用量に特に限定はなく、目的とする
界面活性特性が得られる量であればよい。なお、界面活
性剤の塗設量は、1m2 当り0.02〜1000mgが
好ましく、0.05〜200mgが好ましい。
【0047】導電性微粒子分散物を塗布する方法として
は、基本的には少なくとも1種以上の金属および、また
は金属酸化物、金属窒化物からなる微粒子を含有する層
からなる。1種以上の金属からなる微粒子としては、
金、銀、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、パラジウ
ム、プラチナ等の金属あるいはこれらの合金が挙げられ
る。特に銀が好ましく、さらに耐候性の観点からパラジ
ウムと銀の合金が好ましい。パラジウムの含有量として
は5〜30質量%が好ましく、パラジウムが少ないと耐
候性が悪く、パラジウムが多くなると導電性が低下す
る。金属微粒子の作成方法としては、低真空蒸発法によ
る微粒子の作製方法や金属塩の水溶液を鉄(II)、ヒド
ラジン、ボロンハイドライド、ヒドロキシエチルアミン
等のアミン等の還元剤で還元する金属コロイド作製方法
が挙げられる。金属酸化物としてはIn2 3 系(Sn
などドープ品含む)、SnO2 系(F、Sbなどドープ
品含む)、ZnO系(Al、Gaなどのドープ品含
む)、TiO2 、Al2 3 、SiO2 、MgO、Ba
O、MoO3 、V2 5 、またはこれらの複合品などが
挙げられる。金属窒化物としてはTiNなどが挙げられ
る。
【0048】これら導電性微粒子の平均粒径は1.0〜
700nmが好ましく、2.0〜300nmが更に好ま
しく、5.0〜100nmが最も好ましい。粒径が大き
すぎると、導電性微粒子による光の吸収が大きくなり、
このために粒子層の光透過率が低下すると同時にヘイズ
が大きくなる。また、これら導電性微粒子の平均粒径が
1nm未満の場合には微粒子の分散が困難になること、
微粒子層の表面抵抗が急激に大きくなるため、低抵抗値
を有する被膜を得ることができない。スパッタなどでポ
リマーフイルム上に成膜する際にはその表面をフッ素系
樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、プロピレン系
樹脂、ビニル系樹脂などの高分子や、SiO2 、TiO
2 、ZrO2 、SnO2 などの無機物でコートすること
が好ましい。コートする膜厚としては10nm以上10
0μm以下が好ましく、さらに好ましくは10nm以上
50μm以下であり、特に好ましくは10nm以上10
μm以下である。スパッタなどの際には基板を冷却する
ことが好ましい。好ましくは−30℃以上30℃以下で
あり、さらに好ましくは−30℃以上20℃以下であ
り、特に好ましくは−30℃以上10℃以下である。ス
パッタ法により酸化インジウムを主として含む膜を成膜
する方法としては、インジウムを主成分とする金属ター
ゲット、または酸化シンジウムを主成分とする焼結体で
あるターゲットを用いた反応性スパッタリングなどを例
として挙げることができる。反応の制御上、後者のター
ゲットを用いることが好ましい。反応性スパッタリング
法における、スパッタリングガスとしてはアルゴンなど
の不活性ガスを用い、反応性ガスとしては酸素を用い
る。放電形式としてはDCマグネトロンスパッタ、RF
マグネトロンスパッタなどが利用できる。また、酸素の
流量を制御する方法としてはプラズマエミッションモニ
ター法で行うことが好ましい。
【0049】ポリマーフイルムの光の透過率は、50%
以上であることが好ましく、60%以上であることがさ
らに好ましく、70%以上であることが特に好ましく、
80%以上であることが最も好ましい。ヘイズは5%以
下が好ましく、2%以下が更に好ましく、1.5%以下
が最も好ましい。ヘイズの値は低いほど好ましいが、
1.0%以上であるのが一般的である。
【0050】[ポリマーフイルムの表面処理]ポリマー
フイルムを偏光板の透明保護膜として使用する場合、ポ
リマーフイルムを表面処理することが好ましい。表面処
理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処
理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理を実施
する。酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロース
アセテートに対するケン化処理を実施することが特に好
ましい。
【0051】[ハードコート]本発明の位相差板はその
少なくとも一方の面にハードコートを有していてもよ
い。ハードコート層は、ポリマーフイルム(前記の微粒
子を含んでいてもよい)の少なくとも一方の面に直接設
けても良いし、前記の位相差板(少なくとも一方の面に
微粒子を含む層が設けられたポリマーフイルム)の少な
くとも一方の面に設けてもよい。ハードコートは、公知
の硬化性樹脂を用いることができる。硬化性樹脂として
は、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線重合性樹脂等があ
るが、活性エネルギー線重合性樹脂が好ましい。熱硬化
性樹脂としてはメラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ
樹脂等のプレポリマーの架橋反応を利用するものがあ
る。活性エネルギー線としては、放射線、ガンマー線、
アルファー線、電子線、紫外線等が挙げられるが、紫外
線が好ましい。活性エネルギー線硬化樹脂層は、架橋し
ているポリマーを含む。架橋しているポリマーを含む活
性エネルギー線硬化層は、多官能モノマーと重合開始剤
を含む塗布液を上記のポリマーフイルム上に塗布し、多
官能モノマーを重合させることにより形成できる。官能
基としては、重合性不飽和二重結合基が好ましい。重合
性不飽和二重結合の例としては、アクリレート基、メタ
クリレート基、ビニル基を挙げることができる。反応性
の観点よりアクリレート基が好ましく用いられる。
【0052】多官能モノマーの具体例としては、エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロール
プロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリアク
リレート類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの
ジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジグリシジ
ルエーテルのジ(メタ)アクリレート等のエポキシアク
リレート類、ポリイソシナネートとヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート等の水酸基含有アクリレートの反
応によって得られるウレタンアクリレート等を挙げるこ
とができる。
【0053】多官能モノマーに、弾性率の調整のため、
密着性を改良するため等、必要に応じて単官能のモノマ
ーを添加することも可能である。単官能のモノマーとし
ては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリ
レート等のアクリル酸のアルキルエステル、ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート等の極性基含有のアクリル酸エステ
ル、アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニル、無水マレ
イン酸、アクリル酸等の既存のモノマーが挙げられる。
モノマーとしては、ジペンタエリスリトールペンタ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート等の五官能性以上のモノマーが好まし
い。また柔軟性制付与のために、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート等の五官能性未満のモノマーを適
宜併用することも好ましい。
【0054】光重合開始剤の例としては、アセトフェノ
ン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイ
ルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエス
テル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチ
オキサントン等が含まれる。光重合開始剤に加えて、光
増感剤を用いてもよい。光増感剤の例には、n−ブチル
アミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィ
ン、およびチオキサントン等が含まれる。光重合開始剤
は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1乃至
15質量部の範囲で使用することが好ましく、1乃至1
0質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。
【0055】本発明の位相差板に用いられる基材は、フ
イルム状のプラスチックフイルムであり、ポリエチレン
テレフタレート,ポリエチレンナフタレート等のポリエ
ステル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、
ジアセチルセルロース等のセルロース樹脂等のフイルム
が好ましい。フイルムの厚みは20〜500μmが好ま
しく、薄すぎると膜強度が弱く、厚いとスティフネスが
大きくなり過ぎ、80〜200μmがより好ましい。
【0056】活性エネルギー線硬化塗布液は、ケトン
系、アルコール系、エステル系等の有機溶剤に、上記の
多官能モノマーと重合開始剤を主体に溶解して調製す
る。さらに、表面修飾した無機微粒子分散液を添加して
調製する。ハードコートの作製は、透明基材フイルム
(本発明で用いるポリマーフイルム)上に活性エネルギ
ー線硬化塗料をディッピング法、スピナー法、スプレー
法、ロールコーター法、グラビア法、ワイヤーバー法等
の公知の薄膜形成方法で形成、乾燥、活性エネルギー線
照射して作製することができる。さらに、透明基材との
ハードコート層の密着性を向上させる目的で、所望によ
り片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等により表面処理
を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロ
ナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、
火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げ
らる。更に、透明基材には一層以上の下塗り層を設ける
ことができる。下塗り層の素材としては塩化ビニル、塩
化ビニリデン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステ
ル、ビニルエステル等の共重合体或いはラテックス、低
分子量ポリエステル、ゼラチン等の水溶性ポリマー等が
挙げられる。ハードコート層は、複数層構成でも可能で
あり、無機微粒子の充填率の異なる層を硬度の順に適宜
積層して作製することもできる.これらの作製したハー
ドコート層の上に、反射防止層、紫外線・赤外線吸収
層、選択波長吸収性層、電磁波シールド層や防汚性層等
の機能を有する膜を設けることができ、高硬度の機能性
フイルムとすることもできる。これらの機能膜は、公知
の材料の溶液を塗布したり、またスパッターや蒸着等の
真空製膜により作製することができる。
【0057】[偏光板]偏光板は、偏光膜およびその両
側に配置された二枚の透明保護膜からなる。一方の保護
膜として、上記のポリマーフイルムを用いることができ
る。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフイ
ルムを用いてもよい。
【0058】
【実施例】(引掻強度)温湿度25℃、60%RH条件
下で引掻強度を測定した。このうち実用に耐えるもの
は、引掻強度が1gを越えるものである。 [実施例1] (位相差板の作製)室温において、平均酢化度59.7
%のセルロースアセテート120質量部、下記のレター
デーション上昇剤1.2質量部、トリフェニレンホスフ
ェート11.7質量部、ビフェニルジフェニルホスフェ
ート5.85質量部、トリベンジルアミン2.0質量
部、メチレンクロリド538.2質量部、メタノール4
6.8質量部を混合して溶液(ドープA)を調整した。
【0059】同様にして、平均酢化度59.7%のセル
ロースアセテート120質量部、下記のレターデーショ
ン上昇剤1.2質量部、トリベンジルアミン2.0質量
部、二酸化珪素微粒子(平均粒径:0.1μm)0.0
07質量部、メチレンクロリド538.2質量部、メタ
ノール46.8質量部を混合して溶液(ドープB)を調
整した。得られた各ドープを、ドープAを内層、ドープ
Bを外層として、ステンレス製バンド上に内部合流型ダ
イで共流延し、内層の両面に外層を設けた。自己支持性
を持つまでフイルムを乾燥した後バンドから剥ぎ取っ
た。その時の残留揮発分は30質量%であった。その
後、フイルムを120℃で15分乾燥し、残留揮発分を
2質量%以下にした後、130℃で流延方向とは平行な
方向に延伸した。延伸方向と垂直な方向は、自由に収縮
できるようにした。延伸後、そのままの状態で120℃
で30分間乾燥した後、延伸フイルムを取り出した。延
伸後の溶剤残留量は0.1質量%であった。
【0060】
【化1】
【0061】得られたフイルムの全体の厚みは、100
μmであり、内層の厚みは80μm、外層の厚みはそれ
ぞれ10μmであった。得られたセルロースアセテート
フイルム(位相差板)について、エリプソメーター(M
−150、日本分光(株)製)を用いて、波長450n
m、550nm、および590nmにおけるレターデー
ション値(Re)を測定したところ、それぞれ、12
0.5nm、137.5nm、143.4nmであっ
た。したがって、このセルロースアセテートフイルムは
広い波長領域でλ/4を達成していた。さらに、アッベ
屈折率計による屈折率測定と、レターデーションの角度
依存性の測定から、波長550nmにおける面内の遅相
軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折
率nyおよび厚み方向の屈折率nzを求め、(nx−n
z)/(nx−ny)の値を計算したところ、1.50
であった。
【0062】[実施例2] (位相差板の作製)室温において、平均酢化度59.7
%のセルロースアセテート120質量部、実施例1で使
用したレターデーション上昇剤1.2質量部、二酸化珪
素微粒子(平均粒径:0.1μm)0.07質量部、ト
リフェニレンホスフェート9.36質量部、ビフェニル
ジフェニルホスフェート4.68質量部、トリベンジル
アミン2.0質量部、メチレンクロリド538.2質量
部、メタノール46.8質量部を混合して溶液(ドー
プ)を調整した。得られたドープを、ステンレス製バン
ド上に流延し、自己支持性を持つまでフイルムを乾燥し
た後バンドから剥ぎ取った。その時の残留揮発分は30
質量%であった。その後、フイルムを120℃で15分
乾燥し、残留揮発分を2質量%以下にした後、130℃
で流延方向とは平行な方向に延伸した。延伸方向と垂直
な方向は、自由に収縮できるようにした。延伸後、その
ままの状態で120℃で30分間乾燥した後、延伸フイ
ルムを取り出した。延伸後の溶剤残留量は0.1質量%
であった。得られたフイルムの全体の厚みは、100μ
mであった。得られたセルロースアセテートフイルム
(位相差板)を130℃のオーブンに入れ、10分間加
熱した。このようにして、本発明の位相差板を得た。得
られたセルロースアセテートフイルム(位相差板)につ
いて、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)
製)を用いて、波長450nm、550nmおよび59
0nmにおけるレターデーション値(Re)を測定した
ところ、それぞれ、120.8nm、137.0nm、
142.0nmであった。したがって、このセルロース
アセテートフイルムは広い波長領域でλ/4を達成して
いた。さらに、アッベ屈折率計による屈折率測定と、レ
ターデーションの角度依存性の測定から、波長550n
mにおける面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相
軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率n
zを求め、(nx−nz)/(nx−ny)の値を計算
したところ、1.50であった。
【0063】[実施例3] (位相差板の作製)室温において、平均酢化度59.7
%のセルロースアセテート117.87質量部、実施例
1で用いたレターデーション上昇剤1.18質量部、ト
リフェニルホスフェート11.49質量部、ビフェニル
ジフェニルホスフェート5.75質量部、トリベンジル
アミン2.36質量部、酢酸メチル529.90質量
部、エタノール99.4質量部、ブタノール33.1質
量部を攪拌して混合した。混合溶液を−70℃の冷凍庫
に入れて冷却し、再度40℃まで温度を上げてセルロー
スアセテートを溶解させた。この溶液をドープAと呼
ぶ。同様にして、平均酢化度59.7%のセルロースア
セテート117.87質量部、実施例1で用いたレター
デーション上昇剤1.18質量部、二酸化珪素微粒子
(平均粒径:0.1μm)0.007質量部、トリベン
ジルアミン2.36質量部、酢酸メチル529.90質
量部、エタノール99.4質量部、ブタノール33.1
質量部を攪拌して混合した。混合溶液を−70℃の冷凍
庫に入れて冷却し、再度40℃まで温度を上げてセルロ
ースアセテートを溶解させた。この溶液をドープBと呼
ぶ。得られた各ドープを、ドープAを内層、ドープBを
外層として、実施例1と同様にして共流延し、延伸フイ
ルムを作製した。その後、実施例1と同様にして下塗り
層、バック層を設けた。得られたフイルムの全体の膜厚
は100μmであり、内層、外層の厚みはそれぞれ80
μm、10μmであった。得られたセルロースアセテー
トフイルム(位相差板)について、エリプソメーター
(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長45
0nm、550nm、および590nmにおけるレター
デーション値(Re)を測定したところ、それぞれ、1
15.1nm、135.9nm、141.7nmであっ
た。したがって、このセルロースアセテートフイルムは
広い波長領域でλ/4を達成していた。さらに、アッベ
屈折率計による屈折率測定と、レターデーションの角度
依存性の測定から、波長550nmにおける面内の遅相
軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折
率nyおよび厚み方向の屈折率nzを求め、(nx−n
z)/(nx−ny)の値を計算したところ、1.62
であった。
【0064】[比較例1] (位相差板の作製)室温において、平均酢化度59.7
%のセルロースアセテート120質量部、実施例1で使
用したレターデーション上昇剤1.2質量部、トリフェ
ニレンホスフェート9.36質量部、ビフェニルジフェ
ニルホスフェート4.68質量部、トリベンジルアミン
2.0質量部、メチレンクロリド538.2質量部、メ
タノール46.8質量部を混合して溶液(ドープ)を調
整した。
【0065】得られたドープを、ステンレス製バンド上
に流延し、自己支持性を持つまでフイルムを乾燥した後
バンドから剥ぎ取った。その時の残留揮発分は30質量
%であった。その後、フイルムを120℃で15分乾燥
し、残留揮発分を2質量%以下にした後、130℃で流
延方向とは平行な方向に延伸した。延伸方向と垂直な方
向は、自由に収縮できるようにした。延伸後、そのまま
の状態で120℃で30分間乾燥した後、延伸フイルム
を取り出した。延伸後の溶剤残留量は0.1質量%であ
った。得られたフイルムの全体の厚みは、100μmで
あった。得られたセルロースアセテートフイルム(位相
差板)について、エリプソメーター(M−150、日本
分光(株)製)を用いて、波長450nm、550nm
および590nmにおけるレターデーション値(Re)
を測定したところ、それぞれ、121.2nm、13
7.5nm、142.7nmであった。したがって、こ
のセルロースアセテートフイルムは広い波長領域でλ/
4を達成していた。さらに、アッベ屈折率計による屈折
率測定と、レターデーションの角度依存性の測定から、
波長550nmにおける面内の遅相軸方向の屈折率n
x、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み
方向の屈折率nzを求め、(nx−nz)/(nx−n
y)の値を計算したところ、1.50であった。
【0066】[実施例4] (円偏光板の作製)透明保護膜、偏光膜および実施例1
で作製した位相差板を、この順に積層して円偏光板を得
た。位相差板の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度は、4
5゜に調整した。得られた円偏光板の光学的性質を調べ
たところ、広い波長領域(450〜590nm)におい
て、ほぼ完全な円偏光が達成されていた。同様に、実施
例2および実施例3で作製した位相差板を用いて円偏光
板を作製し、光学的性質を調べたところ、広い波長領域
(450〜590nm)において、ほぼ完全な円偏光が
達成されていた。
【0067】[フイルム(位相差板)の評価]透明保護
膜、ヨウ素を吸着させたポリビニルアルコール偏光膜の
片側に透明保護膜を貼り付けた。もう一方の面に、実施
例1、実施例2、実施例3および比較例1で得られた位
相差板を、それぞれ、ポリビニルアルコール系の接着剤
を用いて貼り合わせ、偏光板を作製した。その結果、比
較例1で得られた位相差膜を用いた偏光板には引掻傷や
ゴミ付着が発生して、偏光板としての使用には問題が生
じた。一方、実施例1、実施例2および実施例3で得ら
れた位相差膜を用いた偏光板には引掻傷やゴミ付着が認
められなかった。実施例1、実施例2、実施例3および
比較例1で得られた位相差板について、塗設前の表面の
引掻強度を測定した。その結果、実施例1、実施例2、
実施例3および比較例1で得られたフイルムの引掻強度
は、それぞれ1.6g、1.7g、1.6g、0.4g
であった。また、ヘイズはそれぞれ1.4、1.8、
1.3、1.3%であった。透過率はそれぞれ94、9
2、94、94%であった。さらに動摩擦係数を測定し
たところ、それぞれ、0.38、0.36、0.37、
0.42であった。以上の結果から明らかなように、本
発明に従うと、ヘイズを悪化させることなく、引掻強度
を改善することができる。言い換えると、透明性を悪化
させることなく、耐傷性やゴミ付着性を大幅に改善でき
る。
【0068】[実施例5] (位相差板の作製)フイルム全体の乾燥膜厚が200μ
mとなるように、ドープの塗布量(流延量)を変更した
以外は、実施例1と同様にしてセルロースアセテートフ
イルムを作製した。得られたセルロースアセテートフイ
ルム(位相差板)について、エリプソメーター(M-1
50、日本分光(株)製)を用いて、波長450nm、
550nmおよび590nmにおけるレターデーション
値(Re)を測定したところ、それぞれ、225.6n
m、275.1nmおよび190.2nmであった。し
たがって、このセルロースアセテートフイルムは広い波
長領域でλ/2を達成していた。さらに、アッベ屈折率
計による屈折率測定と、レターデーションの角度依存性
の測定から、波長550nmにおける面内の遅相軸方向
の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率ny
および厚み方向の屈折率nzを求め、(nx−nz)/
(nx−ny)の値を計算したところ、1.60であっ
た。さらに引掻き強度を測定したところ、1.6gであ
った。
【0069】[実施例6] (ハードコートフイルムの作製)実施例1の位相差板上
に、下記の様にさらにハードコートを施し実施例6の位
相差を作製した。メチルイソブチルケトン300gに、
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタ
エリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPH
A、日本化薬(株)製)284gとメチルイソブチルケ
トンを329g加えて溶解した。さらに、光重合開始剤
(イルガキュア184、チバガイギー社製)16.8g
加えて溶解した。混合液を30分間攪拌した後、孔径1
μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して活性エネ
ルギー線硬化層用各塗布液を調製した。実施例1の位相
差板上にグロー放電処理した後、無機微粒子分散液を混
合した活性エネルギー線硬化層用各塗布液を乾燥膜厚が
10μmになるようにワイヤーバーで塗布、乾燥し、紫
外線照射することによって、活性エネルギー線硬化層を
積層したハードコートフイルム(位相差板)を作製し
た。得られたハードコートフイルムについて、エリプソ
メーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、
波長450nm、550nm、および590nmにおけ
るレターデーション値(Re)を測定したところ、それ
ぞれ、120.5nm、137.5nm、143.4n
mであった。したがって、このフイルムは広い波長領域
でλ/4を達成していた。さらに、アッベ屈折率計によ
る屈折率測定と、レターデーションの角度依存性の測定
から、波長550nmにおける面内の遅相軸方向の屈折
率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび
厚み方向の屈折率nzを求め、(nx−nz)/(nx
−ny)の値を計算したところ、1.50であった。作
製した位相差板について、表面の引掻強度を測定した。
その結果、引掻強度は、22gであった。また位相差板
のヘイズを測定したところ、1.5%であった。さらに
位相差板表面の動摩擦係数を測定したところ、0.32
であった。位相差板の透過率はそれぞれ93%であっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 1/12 C08L 1/12 5D119 G02F 1/13363 G02F 1/13363 G11B 7/135 G11B 7/135 A 7/22 7/22 Fターム(参考) 2H049 BA03 BA06 BA07 BA25 BA26 BA27 BB03 BB24 BB25 BB33 BB43 BB44 BB49 BB62 BB67 BC03 BC05 BC09 BC10 BC14 BC21 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA11Y FA11Z FA12X FA12Y FA12Z FB02 FC08 FD06 FD10 LA02 LA12 4F006 AA02 AB24 BA02 CA05 4F071 AA09 AB26 AD02 AE11 AF14 AF14Y AF28 AF28Y AF30 AF30Y AF31 AF31Y AH16 BA02 BB02 BB07 BC01 BC02 4J002 AA001 AB021 DE096 DE136 DE146 DE236 DH046 DJ006 DJ016 DJ036 DJ046 FA086 FB096 FD020 FD030 FD176 GP00 5D119 AA38 BA01 JA31 NA05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 引掻き強度が1g以上であるポリマーフ
    イルムからなり、ポリマーフイルムの、波長450nm
    で測定したレターデーション値(Re450)が100
    乃至125nmの範囲にあり、波長590nmで測定し
    たレターデーション値(Re590)が120乃至16
    0nmの範囲にあり、そしてRe590−Re450≧
    2nmの関係を満足し、さらにポリマーフイルムの、面
    内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方
    向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、1≦
    (nx−nz)/(nx−ny)≦2の関係を満足する
    ことを特徴とする位相差板。
  2. 【請求項2】 前記のポリマーフイルムが、ポリマー
    と、平均粒子径が1.0μm以下の微粒子を含有し、ポ
    リマーフイルムのヘイズが2.0%以下であることを特
    徴とする請求項1に記載の位相差板。
  3. 【請求項3】 前記のポリマーフイルム表面の動摩擦係
    数が0.40以下であることを特徴とする請求項1もし
    くは2に記載の位相差板。
  4. 【請求項4】 前記のポリマーフイルムが、フイルムの
    少なくとも片面にハードコート層を塗設してなるハード
    コートフイルムであり、引掻強度が20g以上である請
    求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の位相差板。
  5. 【請求項5】 前記のポリマーフイルムが、芳香族環を
    少なくとも二つ有し、二つの芳香族環の立体配座を立体
    障害しない分子構造を有する化合物を含むセルロースエ
    ステルフイルムであることを特徴とする請求項1乃至4
    のうちのいずれかの項に記載の位相差板。
  6. 【請求項6】 前記のポリマーフイルムが、酢化度が5
    7.0〜61.5%の範囲にあるセルロースアセテート
    からなることを特徴とする請求項1乃至5のうちのいず
    れかの項に記載の位相差板。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のうちのいずれかの項に
    記載の位相差板を製造する方法において、ポリマーフイ
    ルムが共流延法または逐次流延法により形成され、平均
    粒子径が1.0μm以下の微粒子を含む層を少なくとも
    一層有し、該層におけるポリマーに対する微粒子の添加
    量が、ポリマーフイルムの内部よりも外部の層の方が多
    いことを特徴とする位相差板の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至6のうちのいずれかの項に
    記載の位相差板を製造する方法において、位相差板を形
    成するポリマーフイルムとして、溶剤の残留量が5質量
    %未満である可塑剤の添加されたセルロースエステルフ
    イルムを用い、位相差板を100乃至160℃の温度で
    加熱し、これにより位相差板の表面部分に含まれている
    可塑剤の量を減少させることを特徴とする位相差板の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 位相差板と偏光膜とが、位相差板の面内
    の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度が実質的に45゜に
    なるように積層されている円偏光板であって、位相差板
    が、請求項1乃至6のうちのいずれかの項に記載の位相
    差板または請求項7もしくは8に記載の製造方法で製造
    された位相差板であることを特徴とする円偏光板。
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