JP2002129285A - バーリング加工性に優れる加工誘起変態型複合組織鋼板およびその製造方法 - Google Patents

バーリング加工性に優れる加工誘起変態型複合組織鋼板およびその製造方法

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JP2002129285A
JP2002129285A JP2000330190A JP2000330190A JP2002129285A JP 2002129285 A JP2002129285 A JP 2002129285A JP 2000330190 A JP2000330190 A JP 2000330190A JP 2000330190 A JP2000330190 A JP 2000330190A JP 2002129285 A JP2002129285 A JP 2002129285A
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ferrite
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Tatsuo Yokoi
龍雄 横井
Manabu Takahashi
学 高橋
Hiroyuki Okada
浩幸 岡田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バーリング加工性に優れた加工誘起変態型複
合組織鋼板およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 C:0.01〜0.3%、Si:0.0
1〜2%、Mn:0.05〜3%、P:≦0.1%、
S:≦0.01%、Al:0.005〜1%を含む鋼で
あって、ミクロ組織が、体積分率5%以上25%以下の
残留オーステナイトを含み、残部が主にフェライト及び
ベイナイトからなる複合組織であり、フェライト平均粒
径が2μm以上20μm以下、残留オーステナイト平均
粒径をフェライト平均粒径で除した値が0.05以上
0.8以下且つ、残留オーステナイトの炭素濃度が0.
2%以上3%以下であることを特徴とするバーリング加
工性に優れる加工誘起変態型複合組織鋼板、および上記
成分の鋼を、Ar3変態点温度以上Ar3変態点温度+1
00℃以下で熱間仕上圧延を終了した後、Ar1変態点
温度以上Ar3変態点温度以下の温度域で1〜20秒間
滞留し、その後、20℃/s以上の冷却速度で冷却し
て、350℃超450℃未満の温度範囲の巻取温度で巻
き取ることを特徴とする上記鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バーリング加工性
に優れた引張強度540MPa以上の加工誘起変態型複
合組織鋼板およびその製造方法に関するものであり、特
に、自動車の足廻り部品やロードホイール等のバーリン
グ加工性や延性と耐久性の両立が求められる素材として
好適なバーリング加工性に優れた加工誘起変態型複合組
織鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の燃費向上などのために軽
量化を目的として、Al合金等の軽金属や高強度鋼板の
自動車部材への適用が進められている。ただし、Al合
金等の軽金属は比強度が高いという利点があるものの鋼
に比較して著しく高価であるためその適用は特殊な用途
に限られている。従って、より広い範囲で自動車の軽量
化を推進するためには安価な高強度鋼板の適用が強く求
められている。
【0003】このような高強度化の要求に対してこれま
では車体重量の1/4程度を占めるホワイトボティーや
パネル類に使用される冷延鋼板の分野において強度と深
絞り性を兼ね備えた鋼板や焼付け硬化性のある鋼板等の
開発が進められ、車体の軽量化に寄与してきた。ところ
が現在、軽量化の対象は車体重量の約20%を占める構
造部材や足廻り部材にシフトしてきており、これらの部
材に用いる高強度熱延鋼板の開発が急務となっている。
ただし、高強度化は一般的に成形性(加工性)等の材料
特性を劣化させるため、材料特性を劣化させずに如何に
高強度化を図るかが高強度鋼板開発のカギになる。特
に、構造部材や足廻り部材用鋼板に求められる特性とし
てはバーリング加工性、延性、疲労耐久性および耐食性
等が重要であり高強度とこれら特性を如何に高次元でバ
ランスさせるかが重要である。
【0004】例えば、ロードホイールディスク用鋼板に
求められる特性としてはバーリング加工性と疲労耐久性
が特に重要視されている。これは、ロードホイールディ
スクの成形工程の中でもハブ穴成形でのバーリング加工
(穴拡げ加工)が特に厳しく、また、ホイールの部材特
性で最も厳しい基準で管理されているのが疲労耐久性で
あるためである。
【0005】現在、これらロードホイールディスク用高
強度熱延鋼板として部材での疲労耐久性を重視して疲労
特性に優れる590MPa級のフェライト−マルテンサ
イトの複合組織鋼板(いわゆるDual Phase
鋼)が用いられているが、これら部材用鋼板に要求され
る強度レベルは590MPa級から780MPa級へと
さらなる高強度化へ向かいつつある。一方、高強度化に
伴ってバーリング加工性は低下する傾向を示すばかりで
なく、複合組織鋼板はその不均一な組織のためにバーリ
ング加工性に関しては不利であると言われている。従っ
て、590MPa級で問題とはならなかったバーリング
加工性が780MPa級では問題となる可能性がある。
【0006】すなわち、ロードホイール等足廻り部品へ
の高強度鋼板の適用にあたっては疲労耐久性や延性に加
えてバーリング加工性も重要な検討課題となる。ところ
が、疲労耐久性を向上させるためにミクロ組織をフェラ
イト−マルテンサイト等の複合組織とし、かつバーリン
グ加工性にも優れる高強度鋼板について記述した発明は
一部の例外を除いてほとんど見受けられないのが現状で
ある。例えば、特開平5−179396号公報にはミク
ロ組織をフェライトとマルテンサイトまたは残留オース
テナイトとして疲労耐久性を確保し、フェライトをTi
CやNbCの析出物で強化することでフェライト粒とマ
ルテンサイト相との強度差を小さくし、フェライト粒へ
の局所的な変形の集中を抑制して穴拡げ性(バーリング
加工性)を確保する技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ロード
ホイールのディスク等一部の部品用鋼板においては、バ
ーリング加工性や延性等の成形性と疲労耐久性の高いレ
ベルでのバランスが大変に重要であり、上記従来技術で
は、満足する特性が得られない。また、例え両特性が満
足されたとしても安価に安定して製造できる製造方法を
提供することが重要であり、上記従来技術では、不十分
であると言わざるを得ない。すなわち、上記特開平5−
179396号公報はフェライト粒を析出強化している
ために伸びが十分得られない。また、Ti、Nbの添加
は製造コストの増加を招くために好ましくない。そこ
で、本発明は、上記従来技術の課題を有利に解決でき
る、疲労特性とバーリング加工性(穴拡げ性)に優れた
引張強度540MPa以上の熱延鋼板およびその鋼板を
安価に安定して製造できる製造方法を提供することを目
的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、現在通常
に採用されている連続熱間圧延設備により工業的規模で
生産されている熱延鋼板の製造プロセスを念頭におい
て、熱延鋼板のバーリング加工性や延性と疲労特性の両
立を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、ミクロ組
織が、体積分率5%以上25%以下の残留オーステナイ
トを含み、残部が主にフェライト、ベイナイトからなる
複合組織であり、フェライト平均粒径が2μm以上20
μm以下、残留オーステナイト平均粒径をフェライト平
均粒径で除した値が0.05以上0.8以下且つ、残留
オーステナイトの炭素濃度が0.2%以上3%以下であ
ることがバーリング加工性向上に非常に有効であること
を新たに見出し、本発明をなしたものである。
【0009】すなわち、本発明の要旨は、以下の通りで
ある。 (1)質量%にて、C:0.01〜0.3%、Si:
0.01〜2%、Mn:0.05〜3%、P:≦0.1
%、S:≦0.01%、Al:0.005〜1%、を含
み、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼であっ
て、そのミクロ組織が、体積分率5%以上25%以下の
残留オーステナイトを含み、残部が主にフェライト及び
ベイナイトからなる複合組織であり、フェライト平均粒
径が2μm以上20μm以下、残留オーステナイト平均
粒径をフェライト平均粒径で除した値が0.05以上
0.8以下且つ、残留オーステナイトの炭素濃度が0.
2%以上3%以下であることを特徴とする、バーリング
加工性に優れる加工誘起変態型複合組織鋼板。
【0010】(2)前記鋼が、さらに、質量%にて、C
u:0.2〜2%を含有することを特徴とする、(1)
に記載のバーリング加工性に優れる加工誘起変態型複合
組織鋼板。 (3)前記鋼が、さらに、質量%にて、B:0.000
2〜0.002%を含有することを特徴とする、(1)
または(2)に記載のバーリング加工性に優れる加工誘
起変態型複合組織鋼板。
【0011】(4)前記鋼が、さらに、質量%にて、N
i:0.1〜1%を含有することを特徴とする、(1)
ないし(3)のいずれか1項に記載のバーリング加工性
に優れる加工誘起変態型複合組織鋼板。 (5)前記鋼が、さらに、質量%にて、Ca:0.00
05〜0.002%、REM:0.0005〜0.02
%の一種または二種を含有することを特徴とする、
(1)ないし(4)のいずれか1項に記載のバーリング
加工性に優れる加工誘起変態型複合組織鋼板。
【0012】(6)前記鋼が、さらに、質量%にて、T
i:0.05〜0.5%、Nb:0.01〜0.5%、
Mo:0.05〜1%、V:0.02〜0.2%、C
r:0.01〜1%、Zr:0.02〜0.2%の一種
または二種以上を含有することを特徴とする、(1)な
いし(5)のいずれか1項に記載のバーリング加工性に
優れる加工誘起変態型複合組織鋼板。
【0013】(7)(1)ないし(6)のいずれか1項
に記載の成分を有する鋼片の熱間圧延に際し、Ar3
態点温度以上Ar3変態点温度+100℃以下で熱間仕
上圧延を終了した後、Ar1変態点温度以上Ar3変態点
温度以下の温度域で1〜20秒間滞留し、その後、20
℃/s以上の冷却速度で冷却して、350℃超450℃
未満の温度範囲の巻取温度で巻き取り、そのミクロ組織
が、体積分率5%以上25%以下の残留オーステナイト
を含み、残部が主にフェライト及びベイナイトからなる
複合組織であり、フェライト平均粒径が2μm以上20
μm以下、残留オーステナイト平均粒径をフェライト平
均粒径で除した値が0.05以上0.8以下且つ、残留
オーステナイトの炭素濃度が0.2%以上3%以下であ
る鋼板を得ることを特徴とする、バーリング加工性に優
れる加工誘起変態型複合組織鋼板の製造方法。 (8)前記熱間圧延に際し、粗圧延終了後、高圧デスケ
ーリングを行い、Ar3変態点温度以上Ar3変態点温度
+100℃以下で熱間仕上圧延を終了することを特徴と
する(7)記載のバーリング加工性に優れる加工誘起変
態型複合組織鋼板の製造方法にある。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に至った基礎研究
結果について説明する。まず、バーリング加工性に及ぼ
すフェライト平均粒径および残留オーステナイト平均粒
径の影響を調査した。そのための供試材は、次のように
して準備した。すなわち、0.07%C−1.6%Si
−2.0%Mn−0.01%P−0.001%S−0.
03%Alに成分調整し溶製した鋳片をAr3変態点温
度以上のいずれかの温度で熱間仕上圧延を終了して後、
Ar1変態点温度以上Ar3変態点温度以下のいずれかの
温度域で1〜15秒間滞留し、その後、20℃/s以上
の冷却速度で冷却して、550℃〜常温で巻き取った。
【0015】これらの鋼板について穴拡げ試験を行った
結果をフェライト平均粒径および残留オーステナイト粒
径のフェライト粒径に対する相対的な大きさについて整
理したものを図1に示す。この結果より、フェライト平
均粒径Dfおよび残留オーステナイト粒径のフェライト
粒径に対する相対的な大きさ(残留オーステナイト平均
粒径dmをフェライト平均粒径Dfで除した値)と穴拡
げ値には強い相関があり、フェライト平均粒径Dfおよ
び残留オーステナイト粒径dmのフェライト粒径Dfに
対する相対的な大きさがそれぞれ2μm以上20μm以
下および0.05以上0.8以下で穴拡げ値が著しく向
上することを新規に知見した。
【0016】このメカニズムは必ずしも明らかではない
が、残留オーステナイト粒径のフェライト粒径に対する
相対的な大きさが大きすぎると残留オーステナイトと母
相の界面にボイドが生じやすく穴拡げの際にクラックの
起点となり、小さすぎると穴拡げ率と相関がある局部延
性が低下するため、最適なサイズと間隔において穴拡げ
率が向上すると推測される。また、フェライト平均粒径
が小さすぎると降伏応力が上昇し打抜き穴の破断面の面
積が大きくなり、打抜き面の粗度が上昇し穴拡げ値が低
下する恐れがあり、大きすぎるとミクロ組織の均一性が
失われ穴拡げ率と相関がある局部延性が低下するためと
考えられる。なお、フェライト平均粒径の測定法はJI
S G 0552鋼のフェライト結晶粒度試験法に記載
の切断法に準じた。また、残留オーステナイト平均粒径
については平均円相当径と定義し、画像処理装置等より
得られる値を採用した。
【0017】次に、本試験の結果において図1にに示す
ようにフェライト平均粒径Dfが2μm以上20μm以
下で残留オーステナイト粒径dmのフェライト粒径Df
に対する相対的な大きさが0.05以上0.8以下を満
たしても穴拡げ値が低いものが認められたので、さら
に、穴拡げ値に及ぼす残留オーステナイトの炭素濃度の
影響を調査した。上記鋼板について穴拡げ値を残留オー
ステナイトの炭素濃度で整理したものを図2に示す。こ
の結果より、残留オーステナイトの炭素濃度と穴拡げ値
には強い相関があり、フェライト平均粒径Dfが2μm
以上20μm以下で残留オーステナイト粒径dmのフェ
ライト粒径Dfに対する相対的な大きさが0.05以上
0.8以下を満たし,更に残留オーステナイトの炭素濃
度が0.2%以上3%以下で穴拡げ値が著しく向上する
ことを新規に知見した。
【0018】このメカニズムは必ずしも明らかではない
が、残留オーステナイトの炭素濃度が高すぎると残留オ
ーステナイトもしくは加工誘起変態後のマルテンサイト
と母相との強度差が大きくなり、打ち抜き時にその界面
にボイドが生じやすく、穴拡げの際にクラックの起点と
なる。一方、残留オーステナイトの炭素濃度が低すぎる
と必然的にフェライト相の炭素濃度が上昇するために、
延性が低下し穴拡げ率と相関がある局部延性が低下する
ため、穴拡げ率が低下する。従って最適な残留オーステ
ナイトの炭素濃度において穴拡げ率が向上すると推測さ
れる。
【0019】ただし、残留オーステナイトの炭素濃度が
2.4%超であるとスポット溶接等の溶接不良が著しく
なる可能性があるので、残留オーステナイトの炭素濃度
は0.2%以上2.4%以下の範囲が更に望ましい。な
お、穴拡げ性(バーリング加工性)については日本鉄鋼
連盟規格JFS T1001−1996記載の穴拡げ試
験方法に従って穴拡げ値にて評価した。
【0020】次に本発明における鋼板のミクロ組織およ
び残留オーステナイトの炭素濃度について詳細に説明す
る。鋼板のミクロ組織は、疲労特性や延性とバーリング
加工性(穴拡げ性)を両立させるために体積分率5%以
上25%以下の残留オーステナイトを含み、残部が主に
フェライト及びベイナイトからなる複合組織とした。た
だし、不可避的なパーライト、マルテンサイトを含むこ
とを許容するものである。なお、良好な疲労特性を確保
するためには、パーライトの体積分率は5%以下が望ま
しい。さらに、良好な延性を得るためにはフェライトの
体積分率は40%以上が望ましく、マルテンサイトの体
積分率は5%未満が望ましい。
【0021】ここで、残留オーステナイト,フェライ
ト、ベイナイト、パーライト及びマルテンサイトの体積
分率とは鋼板板幅の1/4Wもしくは3/4W位置より
切出した試料を圧延方向断面に研磨し、ナイタール試薬
および特開平5−163590号公報で開示されている
試薬を用いてエッチングし、光学顕微鏡を用い200〜
500倍の倍率で観察された板厚の1/4tにおけるミ
クロ組織の面積分率で定義される。
【0022】一方、オーステナイトはフェライトと結晶
構造が違うため結晶学的に容易に識別できる。従って、
残留オーステナイトの体積分率はX線回折法によっても
実験的に求めることができる。すなわち、MoのKα線
を用いてオーステナイトとフェライトとの反射面強度の
違いより次式を用いてその体積分率を簡便に求める方法
である。 Vγ=(2/3){100/(0.7×α(211)/
γ(220)+1)}+(1/3){100/(0.7
8×α(211)/γ(311)+1)} ただし、α(211)、γ(220)およびγ(31
1)は、それぞれフェライト(α)オーステナイト
(γ)のX線反射面強度である。残留オーステナイトの
体積分率は光学顕微鏡観察およびX線回折法のいずれの
方法を用いてもほぼ一致した値が得られたので、いずれ
の測定値を用いても差し支えない。
【0023】また、残留オーステナイトの炭素濃度はX
線回折法やメスバウアー分光法により実験的に求めるこ
とができる。例えば、X線回折法では進入型固溶元素で
あるCがオーステナイトの結晶格子に配位されるために
起こる格子定数の変化と炭素濃度との関係より残留オー
ステナイトの炭素濃度が測定可能である。すなわち、格
子定数の測定はCo、Cu、FeのKα線を用いて、オ
ーステナイトの(002)、(022)、(113)、
(222)面の反射角度を測定し、文献(「X線回折概
論」:B.D.Cullity著(松村源太郎訳)、株
式会社アグネ)記載の反射角度から格子定数を計算する
方法にて得ることができる。
【0024】ここで、cos2θ(ただし、θは反射角
度)と格子定数aには直線関係があることから、真の格
子定数a0は、この直線をcos2θ=0に外挿して得ら
れる。さらに、この真の格子定数a0の値から、オース
テナイトの格子定数とオーステナイト中の炭素濃度との
関係、例えば文献(R.C.Ruhl and M.C
ohen、Transaction of the M
etallurgical Society of A
IME、vol 245(1969)pp241)記載
のa0=3.572+0.033%C(炭素濃度)を用
いて得ることができる。
【0025】続いて、本発明の化学成分の限定理由につ
いて説明する。Cは、所望のミクロ組織を得るのに必要
な元素である。ただし、0.3%超含有していると加工
性が劣化するので、0.3%以下とする。また、0.2
%超含有すると溶接性が劣化するので0.2%以下が望
ましい。一方、0.01%未満であると強度が低下する
ので0.01%以上とする。また、良好な延性を得るた
めの十分な残留オーステナイト量を安定的に得るために
は0.05%以上が望ましい。
【0026】Siは、所望のミクロ組織を得るのに必要
であるとともに固溶強化元素として強度上昇に有効であ
る。所望の強度を得るためには、0.01%以上含有す
る必要がある。しかし、2%超含有すると加工性が劣化
する。そこで、Siの含有量は0.01%以上、2%以
下とする。Mnは、固溶強化元素として強度上昇に有効
である。所望の強度を得るためには、0.05%以上必
要である。また、Mnはオーステナイト安定化元素であ
り、良好な延性を得るための十分な残留オーステナイト
量を安定的に得るためその添加量は0.05%以上が望
ましい。一方、3%超添加するとスラブ割れを生ずるた
め、3%以下とする。
【0027】Pは、不純物であり低いほど好ましく、
0.1%超含有すると加工性や溶接性に悪影響を及ぼす
とともに疲労特性も低下させるので、0.1%以下とす
る。Sは、不純物であり低いほど好ましく、多すぎると
局部延性やバーリング加工性を劣化させるA系介在物を
生成するので極力低減させるべきであるが、0.01%
以下ならば許容できる範囲である。Alは、溶鋼脱酸の
ために0.005%以上添加する必要があるが、コスト
の上昇を招くため、その上限を1.0%とする。また、
あまり多量に添加すると、非金属介在物を増大させ伸び
を劣化させるので好ましくは0.5%以下とする。
【0028】Cuは、固溶状態で疲労特性を改善する効
果があるので必要に応じ添加する。ただし、0.2%未
満では、その効果は少なく、2%を超えて含有しても効
果が飽和する。そこで、Cuの含有量は0.2〜2%の
範囲とする。Bは、Cuと複合添加されることによって
疲労限を上昇させる効果があるので必要に応じ添加す
る。ただし、0.0002%未満ではその効果を得るた
めに不十分であり、0.002%超添加するとスラブ割
れが起こる。よって、Bの添加は、0.0002%以
上、0.002%以下とする。
【0029】Niは、Cu含有による熱間脆性防止のた
めに必要に応じ添加する。ただし、0.1%未満ではそ
の効果が少なく、1%を超えて添加してもその効果が飽
和するので、0.1〜1%とする。CaおよびREM
は、破壊の起点となったり、加工性を劣化させる非金属
介在物の形態を変化させて無害化する元素である。ただ
し、0.0005%未満添加してもその効果がなく、C
aならば0.002%超、REMならば0.02%超添
加してもその効果が飽和するのでCa:0.0005〜
0.002%、REM:0.0005〜0.02%添加
することが望ましい。
【0030】さらに、強度を付与するために、Ti、N
b、Mo、V、Cr、Zrの析出強化もしくは固溶強化
元素の一種または二種以上を添加しても良い。ただし、
それぞれ、0.05%、0.01%、0.05%、0.
02%、0.01%、0.02%未満ではその効果を得
ることができない。また、それぞれ、0.5%、0.5
%、1%、0.2%、1%、0.2%を超え添加しても
その効果は飽和する。なお、Snを添加しても本発明の
効果を得ることができ、その含有量は特に定める必要は
ないが熱間圧延時に疵が発生する恐れがあるので0.0
5%以下が望ましい。
【0031】次に、本発明の製造方法の限定理由につい
て、以下に詳細に述べる。本発明では、目的の成分含有
量になるように成分調整した溶鋼を鋳込むことによって
得たスラブを、高温鋳片のまま熱間圧延機に直送しても
よいし、室温まで冷却後に加熱炉にて再加熱した後に熱
間圧延してもよい。再加熱温度については特に制限はな
いが、1400℃以上であると、スケールオフ量が多量
になり歩留まりが低下するので、再加熱温度は1400
℃未満が望ましい。また、1000℃未満の加熱はスケ
ジュール上操業効率を著しく損なうため、再加熱温度は
1000℃以上が望ましい。
【0032】熱間圧延工程は、粗圧延を終了後、仕上げ
圧延を行うが、最終パス温度(FT)をAr3変態点温
度以上Ar3変態点温度+100℃以下の温度域で終了
する必要がある。これは、熱間圧延中に圧延温度がAr
3変態点温度を下回るとひずみが残留して延性が低下し
てしまい加工性が劣化し、仕上げ温度がAr3変態点温
度+100℃超では仕上げ圧延後のオーステナイト粒径
が大きくなってしまうために後の冷却工程において行う
二相域でフェライト変態の促進が不十分になり、目的と
するミクロ組織が得られない。従って仕上げ温度はAr
3変態点温度以上Ar3変態点温度+100℃以下とす
る。ここで、粗圧延終了後に高圧デスケーリングを行う
場合は、鋼板表面での高圧水の衝突圧P(MPa)×流
量L(リットル/cm2)≧0.0025の条件を満た
すことが望ましい。
【0033】鋼板表面での高圧水の衝突圧Pは以下のよ
うに記述される。(「鉄と鋼」1991 vol.77
No.9 p1450参照) P(MPa)=5.64×P0×V/H2 ただし、 P0(MPa):液圧力 V(リットル/min):ノズル流液量 H(cm):鋼板表面とノズル間の距離 流量Lは以下のように記述される。 L(リットル/cm2)=V/(W×v)
【0034】ただし、 V(リットル/min):ノズル流液量 W(cm):ノズル当たり噴射液が鋼板表面に当たって
いる幅 v(cm/min):通板速度 衝突圧P×流量Lの上限は本発明の効果を得るためには
特に定める必要はないが、ノズル流液量を増加させると
ノズルの摩耗が激しくなる等の不都合が生じるため、
0.02以下とすることが望ましい。
【0035】さらに、仕上げ圧延後の鋼板の最大高さR
yが15μm(15μmRy,l2.5mm,ln1
2.5mm)以下であることが望ましい。これは、例え
ば金属材料疲労設計便覧、日本材料学会編、84ページ
に記載されている通り熱延または酸洗ままの鋼板の疲労
強度は鋼板表面の最大高さRyと相関があることから明
らかである。また、その後の仕上げ圧延はデスケーリン
グ後に再びスケールが生成してしまうのを防ぐために5
秒以内に行うのが望ましい。
【0036】仕上圧延を終了した後の工程は、まず、A
3変態点からAr1変態点までの温度域(フェライトと
オーステナイトの二相域)で1〜20秒間滞留する。こ
こでの滞留は、二相域でフェライト変態を促進させるた
めに行うが、1秒未満では、二相域におけるフェライト
変態が不十分なため、十分な延性が得られない。一方、
20秒超では、パーライトが生成し、目的とするミクロ
組織が得られない。また、1〜20秒間の滞留をさせる
温度域はフェライト変態を容易に促進させるためAr1
変態点以上800℃以下が望ましく、そのためには、仕
上げ圧延終了後20℃/s以上の冷却速度で当該温度域
に迅速に到達させることが望ましい。
【0037】さらに、1〜20秒間の滞留時間は生産性
を極端に低下させないためには1〜10秒間とすること
が望ましい。また、これらの条件を満たすためには、仕
上げ圧延終了後20℃/s以上の冷却速度で当該温度域
に迅速に到達させることが必要である。冷却速度の上限
は特に定めないが、冷却設備の能力上300℃/s以下
が妥当な冷却速度である。さらに、あまりにもこの冷却
速度が早いと冷却終了温度を制御できずオーバーシュー
トしてAr1変態点以下まで過冷却されてしまう可能性
があるのでここでの冷却速度は150℃/s以下が望ま
しい。
【0038】次に、その温度域から巻取温度(CT)ま
では20℃/s以上の冷却速度で冷却するが、20℃/
s未満の冷却速度では、パーライトもしくは炭化物を多
く含むベイナイトが生成してしまい十分な残留オーステ
ナイトが得られず目的とするミクロ組織が得られない。
巻取温度までの冷却速度の上限は特に定めることなく本
発明の効果を得ることができるが、熱ひずみによる板そ
りが懸念されることから、300℃/s以下とすること
が望ましい。
【0039】次に、巻取温度は450℃以上では、炭化
物を多く含むベイナイトが生成して十分な残留オーステ
ナイトが得られず目的とするミクロ組織が得られないた
め、巻取温度は、450℃未満と限定する。また、巻取
温度が350℃以下では、マルテンサイトが多量に生成
して十分な残留オーステナイトが得られず目的とするミ
クロ組織が得られないため、巻取温度は、350℃超と
限定する。熱間圧延工程終了後は必要に応じて酸洗し、
その後インラインまたはオフラインで圧下率10%以下
のスキンパスまたは圧下率40%程度までの冷間圧延を
施しても構わない。
【0040】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに説明す
る。表1に示す化学成分を有するA〜Oの鋼は、転炉に
て溶製して、連続鋳造後、表2に示す加熱温度(SR
T)で再加熱し、粗圧延後に同じく表2に示す仕上げ圧
延温度(FT)で1.2〜5.4mmの板厚に圧延した
後、表2に示す巻取温度(CT)でそれぞれ巻き取っ
た。なお一部については粗圧延後に衝突圧2.7MP
a、流量0.001リットル/cm2 の条件で高圧デス
ケーリングを行った。ただし、表中の化学組成について
の表示は質量%である。
【0041】
【表1】
【0042】このようにして得られた熱延板の引張試験
は、供試材を、まず、JIS Z2201記載の5号試
験片に加工し、JIS Z 2241記載の試験方法に
従って行った。表2にその試験結果を示す。表2のミク
ロ組織中、「その他」はパーライトまたはマルテンサイ
トであった。ここで、残留オーステナイト,フェライ
ト、ベイナイト、パーライト及びマルテンサイトの体積
分率とは鋼板板幅の1/4Wもしくは3/4W位置より
切出した試料を圧延方向断面に研磨し、ナイタール試薬
および特開平5−163590号公報で開示されている
試薬を用いてエッチングし、光学顕微鏡を用い200〜
500倍の倍率で観察された板厚の1/4tにおけるミ
クロ組織の面積分率である。ただし、一部は前述のX線
回折法にて得られた値も含まれている。なお、フェライ
ト平均粒径の測定法はJIS G0552鋼のフェライ
ト結晶粒度試験法に記載の切断法に準じ、残留オーステ
ナイト平均粒径については平均円相当径と定義し、画像
処理装置等より得られる値を採用した。
【0043】また、残留オーステナイトの炭素濃度はX
線回折法より実験的に求めた。格子定数の測定はCo、
Cu、FeのKα線を用いて、オーステナイトの(00
2)、(022)、(113)、(222)面の反射角
度を測定し、文献(「X線回折概論」:B.D.Cul
lity著(松村源太郎訳)、株式会社アグネ)記載の
反射角度から格子定数を計算する方法にて得ることがで
きる。ここで、cos 2θ(ただし、θは反射角度)と
格子定数aには直線関係があることから、真の格子定数
0は、この直線をcos2θ=0に外挿して得られる。
【0044】さらに、この真のオーステナイトの格子定
数a0の値から、オーステナイトの炭素濃度は、例えば
文献(R.C.Ruhl and M.Cohen、T
ransaction of the Metallu
rgical Society of AIME、vo
l 245(1969)pp241)記載のオーステナ
イト格子定数a0とオーステナイト炭素濃度の関係を示
した式であるa0=3.572+0.033%C(炭素
濃度)を用いて得た値とした。ただし、測定した残留オ
ーステナイト粒は5個以上であり炭素濃度はその平均値
とした。
【0045】さらに、図3に示すような長さ98mm、
幅38mm、最小断面部の幅が20mm、切り欠きの曲
率半径が30mmである平面曲げ疲労試験片にて、完全
両振りの平面曲げ疲労試験を行った。鋼板の疲労特性
は、10×107回での疲労限σWを鋼板の引張り強さσ
Bで除した値(疲労限度比σW/σB)で評価した。ただ
し、疲労試験片の表面は研削など一切行わず酸洗ままの
表面とした。一方、バーリング加工性(穴拡げ性)につ
いては日本鉄鋼連盟規格JFS T1001−1996
記載の穴拡げ試験方法に従って穴拡げ値にて評価した。
【0046】
【表2】
【0047】本発明に沿うものは、鋼A−1、E、I、
J、K、L、M,N、Oの9鋼であり、所定の量の鋼成
分を含有し、そのミクロ組織が、体積分率5%以上25
%以下の残留オーステナイトを含み、残部が主にフェラ
イト、ベイナイトからなる複合組織であり、フェライト
平均粒径が2μm以上20μm以下、残留オーステナイ
ト平均粒径をフェライト平均粒径で除した値が0.05
以上0.8以下且つ、残留オーステナイトの炭素濃度が
0.2%以上3%以下であることを特徴とする、バーリ
ング加工性に優れる加工誘起変態型複合組織鋼板が得ら
れている。
【0048】上記以外の鋼は、以下の理由によって本発
明の範囲外である。すなわち、鋼A−2は、仕上圧延終
了温度(FT)が本発明の範囲より低く、ひずみが残留
して強度―延性バランス(TS×El)が低く、穴拡げ
値(λ)も低い。鋼A−3は、仕上圧延終了温度(F
T)が本発明の範囲より高く、目的とするミクロ組織が
得られていないため強度―延性バランス(TS×El)
が低く、疲労限度比(σ W/σB)も低い。鋼A−4は、
滞留温度(MT)が本発明の範囲より低く、目的とする
ミクロ組織が得られていないため強度―延性バランス
(TS×El)が低く、疲労限度比(σW/σB)も低
い。
【0049】鋼A−5は、滞留温度(MT)が本発明の
範囲より高く、目的とするミクロ組織が得られていない
ため強度―延性バランス(TS×El)が低く、疲労限
度比(σW/σB)も低い。鋼A−6は、滞留時間(M
T)がなく、目的とするミクロ組織が得られていないた
め強度―延性バランス(TS×El)が低く、疲労限度
比(σW/σB)も低い。また十分な穴拡げ値(λ)も得
られていない。鋼A−7は、滞留後の冷却速度(CR)
が本発明の範囲より遅く、目的とするミクロ組織が得ら
れていないため強度―延性バランス(TS×El)が低
く、疲労限度比(σW/σB)も低い。また十分な穴拡げ
値(λ)も得られていない。
【0050】鋼A−8は、巻取温度(CT)が本発明の
範囲より高く、目的とするミクロ組織が得られていない
ため強度―延性バランス(TS×El)が低い。鋼A−
9は、巻取温度(CT)が本発明の範囲より低く、目的
とするミクロ組織が得られていないため強度―延性バラ
ンス(TS×El)が低い。鋼Bは、Cの含有量が本発
明の範囲外であるので、目的とするミクロ組織が得られ
ず十分な強度(TS)および疲労限度比(σW/σB)が
得られていない。鋼Cは、Siの含有量が本発明の範囲
外であるので十分な強度(TS)および疲労限度比(σ
W/σB)が得られていない。
【0051】鋼Dは、Mnの含有量が本発明の範囲外で
あり、目的とするミクロ組織が得られていないため強度
―延性バランス(TS×El)が低く、疲労限度比(σ
W/σB)も低い。鋼Fは、Pの含有量が本発明の範囲外
であるので十分な疲労限度比(σW/σB)が得られてい
ない。鋼Gは、Sの含有量が本発明の範囲外であるので
十分な穴拡げ値(λ)および疲労限度比(σW/σB)が
得られていない。鋼Hは、Cの含有量が本発明の範囲外
であるので十分な伸び(El)、穴拡げ値(λ)および
疲労限度比(σW/σB)が得られていない。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、バーリ
ング加工性に優れた引張強度540MPa以上の加工誘
起変態型複合組織鋼板およびその製造方法を提供するも
のであり、これらの熱延鋼板を用いることにより、疲労
特性や延性を十分に確保しつつバーリング加工性(穴拡
げ性)の大幅な改善が期待できるため、本発明は、工業
的価値が高い発明であると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に至る予備実験の結果を、フェライト平
均粒径、残留オーステナイト粒径のフェライト粒径に対
する相対的な大きさと穴拡げ値の関係で示す図である。
【図2】本発明に至る予備実験の結果を、残留オーステ
ナイトの炭素濃度と穴拡げ値の関係で示す図である。
【図3】疲労試験片の形状を説明する図である。
フロントページの続き (72)発明者 岡田 浩幸 愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内 Fターム(参考) 4K032 AA01 AA02 AA04 AA05 AA08 AA11 AA14 AA15 AA16 AA17 AA19 AA22 AA23 AA27 AA29 AA31 AA32 AA35 AA36 AA39 AA40 BA01 CA02 CC03 CD03 CE01 4K037 EA01 EA02 EA05 EA06 EA09 EA11 EA13 EA15 EA16 EA17 EA19 EA20 EA23 EA25 EA27 EA28 EA31 EA32 EA35 EA36 EB06 EB07 EB08 EB09 EB11 FA02 FC03 FC04 FC07 FD03 FD04 FD08 FE01 FE06 FF01 JA06 JA07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%にて、 C :0.01〜0.3%、 Si:0.01〜2%、 Mn:0.05〜3%、 P:≦0.1%、 S:≦0.01%、 Al:0.005〜1%、 を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼であ
    って、そのミクロ組織が、体積分率5%以上25%以下
    の残留オーステナイトを含み、残部が主にフェライト及
    びベイナイトからなる複合組織であり、フェライト平均
    粒径が2μm以上20μm以下、残留オーステナイト平
    均粒径をフェライト平均粒径で除した値が0.05以上
    0.8以下且つ、残留オーステナイトの炭素濃度が0.
    2%以上3%以下であることを特徴とする、バーリング
    加工性に優れる加工誘起変態型複合組織鋼板。
  2. 【請求項2】 前記鋼が、さらに、質量%にて、Cu:
    0.2〜2%を含有することを特徴とする、請求項1に
    記載のバーリング加工性に優れる加工誘起変態型複合組
    織鋼板。
  3. 【請求項3】 前記鋼が、さらに、質量%にて、B:
    0.0002〜0.002%を含有することを特徴とす
    る、請求項1または請求項2に記載のバーリング加工性
    に優れる加工誘起変態型複合組織鋼板。
  4. 【請求項4】 前記鋼が、さらに、質量%にて、Ni:
    0.1〜1%を含有することを特徴とする、請求項1な
    いし請求項3のいずれか1項に記載のバーリング加工性
    に優れる加工誘起変態型複合組織鋼板。
  5. 【請求項5】 前記鋼が、さらに、質量%にて、 Ca:0.0005〜0.002%、 REM:0.0005〜0.02% の一種または二種を含有することを特徴とする、請求項
    1ないし請求項4のいずれか1項に記載のバーリング加
    工性に優れる加工誘起変態型複合組織鋼板。
  6. 【請求項6】 前記鋼が、さらに、質量%にて、 Ti:0.05〜0.5%、 Nb:0.01〜0.5%、 Mo:0.05〜1%、 V :0.02〜0.2%、 Cr:0.01〜1%、 Zr:0.02〜0.2% の一種または二種以上を含有することを特徴とする、請
    求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のバーリン
    グ加工性に優れる加工誘起変態型複合組織鋼板。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれか1項
    に記載の成分を有する鋼片の熱間圧延に際し、Ar3
    態点温度以上Ar3変態点温度+100℃以下で熱間仕
    上圧延を終了した後、Ar1変態点温度以上Ar3変態点
    温度以下の温度域で1〜20秒間滞留し、その後、20
    ℃/s以上の冷却速度で冷却して、350℃超450℃
    未満の温度範囲の巻取温度で巻き取り、そのミクロ組織
    が、体積分率5%以上25%以下の残留オーステナイト
    を含み、残部が主にフェライト及びベイナイトからなる
    複合組織であり、フェライト平均粒径が2μm以上20
    μm以下、残留オーステナイト平均粒径をフェライト平
    均粒径で除した値が0.05以上0.8以下且つ、残留
    オーステナイトの炭素濃度が0.2%以上3%以下であ
    る鋼板を得ることを特徴とする、バーリング加工性に優
    れる加工誘起変態型複合組織鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記熱間圧延に際し、粗圧延終了後、高
    圧デスケーリングを行ない、Ar3変態点温度以上Ar3
    変態点温度+100℃以下で熱間仕上圧延を終了するこ
    とを特徴とする請求項7記載のバーリング加工性に優れ
    る加工誘起変態型複合組織鋼板の製造方法。
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