JP2002128521A - 炭酸カルシウムの製造方法 - Google Patents

炭酸カルシウムの製造方法

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JP2002128521A
JP2002128521A JP2000321554A JP2000321554A JP2002128521A JP 2002128521 A JP2002128521 A JP 2002128521A JP 2000321554 A JP2000321554 A JP 2000321554A JP 2000321554 A JP2000321554 A JP 2000321554A JP 2002128521 A JP2002128521 A JP 2002128521A
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carbon dioxide
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JP2000321554A
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Yutaka Yamashita
豊 山下
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HOKKAIDO KYODO SEKKAI KK
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HOKKAIDO KYODO SEKKAI KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉砕後も白色度は高いものであり、また、白
色度、隠蔽率が高い製品を安定して得る炭酸カルシウム
の製造方法を提供する。 【解決手段】 貝殻を焼成して得られる生石灰又は前記
生石灰を消化して得られる消石灰と、酸化チタンと、水
とからなる懸濁液中に炭酸ガスを導通させることを特徴
とする炭酸カルシウムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、貝殻を原料とする
炭酸カルシウムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】我が国においては、石灰石が国内で豊富
に産出する。この石灰石を用いて製造する炭酸カルシウ
ム製品は、安価なこと、白色度が高いこと、無害である
こと、各種粒度の製品が得られること等から、ゴム、プ
ラスチック用の充填剤、塗料、インク用の体質顔料、紙
漉込み用の填料、紙コート用顔料、医薬品、化粧品、食
品、農業用品等の添加剤などとして多方面の分野に利用
されている。
【0003】この炭酸カルシウム製品は、一般に重質炭
酸カルシウムと、沈降製炭酸カルシウム(合成炭酸カル
シウム)の二種に大別される。
【0004】重質炭酸カルシウムは、石灰石を機械的に
粉砕し、該粉砕物を分級することにより、各種粒子径範
囲の重質炭酸カルシウムが製造される。
【0005】しかし、上記重質炭酸カルシウムは、その
製法上の理由から粒度分布がブロードである。そのた
め、いずれのグレードの重質炭酸カルシウムにおいて
も、微細な粒度、かつ、狭い粒度分布を有するものは製
造できない。このため、上記重質炭酸カルシウムは微細
な粒度、狭い粒度分布を要求される高度の用途には使用
できないのが現状である。
【0006】一方、沈降製炭酸カルシウムは、炭酸ガス
化合プロセス、石灰ソーダプロセス、又はソーダプロセ
ス等の化学的方法によって製造されるものである。炭酸
ガス化合プロセスは、石灰石を高温で焼成して得られる
生石灰と水とを反応させ石灰乳を調製後、石灰乳中に石
灰石焼成時に発生する炭酸ガスを導通させることによ
り、炭酸カルシウムを合成する方法である。石灰ソーダ
プロセスは、石灰乳に炭酸ソーダを反応させることによ
り、炭酸カルシウムを合成する方法である。ソーダプロ
セスは、塩化カルシウムに炭酸ソーダを反応させること
により、炭酸カルシウムを合成する方法である。
【0007】以上のような化学的方法で製造される沈降
製炭酸カルシウムは、微細な粒度、かつ、狭い粒度分布
を有し、このためこれらが要求される用途にも対応でき
るものである。
【0008】上記の沈降製炭酸カルシウムの製造方法の
うち、実用上、経済的な観点から炭酸ガス化合プロセス
が一般的に用いられている。
【0009】しかし、近年、上記炭酸カルシウムの用途
において、要求される炭酸カルシウムの品質の水準がま
すます高くなっている。特に紙漉込み用の填料、紙コー
ト用顔料等の製紙用の炭酸カルシウムについては、白色
度の要求水準が極めて高いものになっている。そのた
め、従来の炭酸ガス化合プロセスによって製造される沈
降製炭酸カルシウムは、原料の石灰石の品質のバラツキ
があるので、上記の高い白色度の要求水準に対応できな
い場合が生ずるという問題がある。従って、高品質の炭
酸カルシウムを安定して供給ができる炭酸カルシウムの
製造方法が切望されている。
【0010】更に、従来の炭酸ガス化合プロセスによっ
て製造される沈降製炭酸カルシウムは、隠蔽率が低いと
いう問題もある。
【0011】ゴム、プラスチック用の充填剤、塗料、イ
ンク用の体質顔料、紙漉込み用の填料、紙コート用顔
料、医薬品、化粧品、食品、農業用品等の添加剤などに
使用される白色粉体としては、炭酸カルシウム以外に酸
化チタンがある。また、この酸化チタンは隠蔽率が高い
ので、この高隠蔽率の面からは上記白色粉体として好ま
しいものである。
【0012】しかし、この酸化チタンも、上記炭酸カル
シウムと同様に、上記の高い白色度の要求水準に対応で
きない場合が生ずるという問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は上記問題を
解決するために種々検討した結果、炭酸ガス化合プロセ
スにおいて、原料に貝殻を焼成して得られる生石灰又は
前記生石灰を消化して得られる消石灰を用いると、高い
白色度の要求水準に安定して対応できる炭酸カルシウム
が得られることを見出し、先に出願した(特願平11−
197843)。
【0014】また、原料に貝殻を焼成して得られる生石
灰又は前記生石灰を消化して得られる消石灰を用い炭酸
ガス化合プロセスにおいて得られる上記炭酸カルシウム
は粉砕後も、原料に石灰石を用いて得られる炭酸カルシ
ウムや酸化チタンと比較して著しく白色度が高い。
【0015】しかも前記炭酸ガス化合プロセスにおい
て、原料の貝殻を焼成して得られる生石灰又は前記生石
灰を消化して得られる消石灰に、酸化チタンを所定量加
えると、得られる炭酸カルシウムは、白色度が高いばか
りでなく、隠蔽率も高くできることを知得し、本発明を
完成するに至った。
【0016】よって、本発明の目的とするところは、上
記問題を解決し、粉砕後も白色度は高いものであり、ま
た、白色度、隠蔽率が高い製品を安定して得られる炭酸
カルシウムの製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、以下に記載するものである。
【0018】〔1〕 貝殻を焼成して得られる生石灰又
は前記生石灰を消化して得られる消石灰と、酸化チタン
と、水とからなる懸濁液中に炭酸ガスを導通させること
を特徴とする炭酸カルシウムの製造方法。
【0019】〔2〕 生石灰中のCaO成分が95質量
%以上である〔1〕に記載の炭酸カルシウムの製造方
法。
【0020】〔3〕 酸化チタンの存在量が、貝殻を焼
成して得られる生石灰の存在量又は前記生石灰を消化し
て得られる消石灰の存在量と、酸化チタンの存在量との
合計量に対して0.2質量%以上である〔1〕に記載の
炭酸カルシウムの製造方法。
【0021】〔4〕 貝殻がホタテ貝殻である〔1〕に
記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【0022】以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】
【発明の実施の形態】炭酸カルシウムの原料である貝殻
としては、何れの貝殻でも用いることができ、ホタテ
貝、かき、あこや貝、あさり貝、バカ貝、赤貝等の貝殻
が例示できる。
【0024】貝殻の入手の容易さからは、採取又は養殖
が大規模に行われており、更に採取又は養殖後の加工が
工場などで行われている貝の貝殻がまとまって入手でき
るので好ましい。この観点からは、ホタテ貝、かき、あ
こや貝等が好ましいものである。
【0025】粒度調整した貝殻は、850〜1200℃
で焼成することで貝殻生石灰を得る。焼成温度が850
℃未満では焼成が不十分で未反応の炭酸カルシウムが多
く残っており、好ましくない。また、1200℃を超え
ても過焼となり、熱エネルギー的に不経済であまり意味
がない。
【0026】炉形式により、均一混合の方法は異なる。
すなわち、貝殻の大きさが5mm以上で使用する場合、
炉はベッケンバッハ炉やメルツ炉やロータリーキルン等
となり、この場合は貝殻を焼成して得た生石灰を粉砕し
て、均一混合する。
【0027】しかし、貝殻の大きさが5mm以下の場合
は流動焼成炉で貝殻を定量混合し、必要であれば粉砕後
定量混合し、焼成することで均一混合が可能となる。
【0028】上記のようにして得られた生石灰を本発明
の炭酸カルシウムの製造方法の原料として用いることも
できるが、上記生石灰を水和することによって得られる
消石灰を本発明の炭酸カルシウムの製造方法の原料とし
て用いることもできる。以下、本発明の炭酸カルシウム
の製造方法の原料として消石灰を用いる場合について説
明する。
【0029】上記の貝殻生石灰は、平均粒子径で1mm
以下、好ましくは1〜150μmに粉砕する。貝殻生石
灰の平均粒子径が1mmを超える場合は、次工程の生石
灰が水和によって消石灰になる反応(以下、消化とい
う。)速度、消石灰の溶解速度、及び炭酸ガスの吸収反
応(以下、炭酸ガス化という。)速度が遅くなり、炭酸
カルシウムの生産性が低下するので、好ましくない。
【0030】上記の粉砕された貝殻生石灰は、水を加え
て5〜15質量%濃度の生石灰スラリーにすることが好
ましい。この生石灰スラリーは、40〜80℃の乳化槽
で撹拌消化後、異物を篩分けることが好ましい。次い
で、熟成槽で撹拌熟成を行い、炭酸ガス化反応のための
石灰乳を得ることが好ましい。
【0031】このようにして得られた石灰乳について炭
酸ガス化反応を行う。その後、必要に応じて常法に従い
適宜異物を除去、脱水、乾燥、分級を行い炭酸カルシウ
ムの製品、即ち貝殻を原料として製造される沈降製炭酸
カルシウム(以下、貝殻PCCと略す)を得る。
【0032】炭酸ガス化反応において、カルサイト型貝
殻PCCを生成させる場合、温度は40℃以下、好まし
くは10〜25℃であり、CO2濃度は20%以上とす
ることが好ましい。CO2流量は、CO2濃度が100%
の場合、40L/min・kgCa(OH)2以下が好ま
しく、更に好ましくは、0.1〜4L/min・kgC
a(OH)2である。CO2流量は多いほど炭酸ガス化速度
が速くなるが、40L/min・kgCa(OH)2を超
える場合は炭酸ガス化速度はあまり変わらなくなり、C
2流量当りの反応効率が低下するので好ましくない。
【0033】また、アラゴナイト型貝殻PCCを生成さ
せる場合、水溶性マグネシウム塩を石灰乳に添加すると
きは、炭酸ガス化反応温度は0〜80℃とすることが好
ましく、水溶性マグネシウム塩を石灰乳に添加しないと
きは、炭酸ガス化反応温度は80℃以上とすることが好
ましい。
【0034】以上のように、炭酸ガス化反応の条件を変
えることによって、カルサイト型貝殻PCC、又はアラ
ゴナイト型貝殻PCCを、その使用目的等に応じて適宜
生成させることができる。
【0035】例えば、アラゴナイトは、上記のカルサイ
ト、更に別の種類の炭酸カルシウムであるバテライトと
は、結晶系、配位数が異なり、比重、モース硬度が大き
い。このような構造上の違いのため、アラゴナイトは化
学成分としては炭酸カルシウムであるが、その性質はむ
しろ陽イオン半径のより大きい炭酸ストロンチウムや炭
酸バリウムに似通っている。
【0036】炭酸カルシウムは、前記3種の何れの結晶
系においても、白色で、純水に難溶で、適度な比重を持
つなどの特徴から、ゴム、プラスチック、塗料の増量・
充填剤や製紙用塗工剤などの重要な工業原料として使用
されている。
【0037】アラゴナイトは、上記のようにカルサイト
及びバテライトとは異なる構造及び性質を持っており、
上記の工業原料としての用途において、前記3種の炭酸
カルシウムの結晶系のうちでも特にアラゴナイトを適用
すると更に高機能を付与できる。そのため、更に高機能
を付与できる工業原料としてのPCCを製造する場合
は、アラゴナイト型貝殻PCCを生成する炭酸ガス化反
応の条件にすることが特に好ましいものである。
【0038】なお、上記の条件で得られる貝殻PCC
は、従来の炭酸カルシウムと比べて、白色度は極めて高
いものである。
【0039】また、原料の貝殻のCaO成分が多いほ
ど、得られる貝殻PCCの白色度は高くなる傾向にあ
る。貝殻を焼成して得られる生石灰のCaO成分が95
質量%以上、例えば96質量%の貝殻を原料とした場合
には、得られる貝殻PCCの白色度はハンター白度で9
9以上であり好ましいものである。要求される炭酸カル
シウムの白色度は、炭酸カルシウムの用途によって高い
ものから低いものまで種々ある。要求白色度の高い用途
のなかには、ハンター白度で93以上のものもある。そ
こで、安全をみて、目標とするハンター白度は95以上
とした(以下、このハンター白度を目標白色度とい
う。)。
【0040】これに対して、貝殻PCCを製造する場合
と同様の条件で、石灰石を原料として製造される沈降製
炭酸カルシウム(以下、石灰石PCCと略す)の白色度
は、一般の石灰石を原料とする場合、CaO成分含有量
が上記の貝殻の場合と同じ96質量%のときでも、ハン
ター白度で93程度である。
【0041】なお、石灰石PCCを製造する条件は、貝
殻を原料とする場合と同じ範囲の条件である。
【0042】また、酸化チタンは隠蔽率が高いが、ハン
ター白度は90以下と、石灰石PCCにも及ばないほど
低い。
【0043】以上のように、貝殻PCCと、石灰石PC
C又は酸化チタンとでは、その白色度において著しい差
がある。
【0044】次いで、貝殻PCCは、必要に応じて粉砕
する。
【0045】ところで、上記の貝殻PCCは、平均粒子
径が50μm以下、好ましくは0.001〜30μm、
更に好ましくは0.01〜10μmの一次粒子が集合し
た二次粒子から形成されている。前記一次粒子の大きさ
は、PCCを生成する炭酸ガス化反応の条件によるとこ
ろが大きく、生成後のPCCの粉砕条件による差異は認
められないほどに安定していることを特徴とするもので
ある。しかも、上記の貝殻PCCは、粉砕における白色
度の低下が極めて僅かであることも特徴とするものであ
る。
【0046】例えば、粉砕方法が、上記炭酸ガス化反応
において得られる炭酸カルシウムスラリーを濾過後、
50℃以下で真空乾燥し、付着水分が3質量%以上であ
る炭酸カルシウムをコーヒーミルにより粉砕する方法、
前記付着水分が3質量%以上である炭酸カルシウム
を、100℃以上の温度で付着水分を3質量%未満にし
た後、コーヒーミルにより粉砕する方法、並びに、前
記付着水分が3質量%以上である炭酸カルシウムをコー
ヒーミルにより粉砕し、この粉砕品を100℃以上の温
度で付着水分を3質量%未満にした後、更にコーヒーミ
ルにより粉砕する方法の何れの粉砕方法においても、得
られる粉砕品の一次粒子の大きさ及び白色度に差異は認
められないほどに、粉砕性が極めて容易であり且つ安定
していることを特徴とするものである。
【0047】なお、一般の粒子は粉砕において、粒子の
付着水分が高いと、粉砕性が困難になったり、不安定に
なったりする。また、過度の粉砕をしたり、高温で乾燥
したものを粉砕する場合、得られる粉砕品の白色度が低
下する虞もある。
【0048】このことに対して、上記したように、上記
炭酸ガス化反応において得られる炭酸カルシウムは、粉
砕性が極めて容易であり且つ安定している。
【0049】また、粉砕後においても貝殻PCCの一次
粒子の平均粒子径は、50μm以下、好ましくは0.0
01〜30μm、更に好ましくは0.01〜10μmで
ある。しかも、この範囲の平均粒子径であれば、何れの
貝殻PCCであっても、その白色度は極めて高いことも
特徴とするものである。
【0050】本発明の炭酸カルシウムの製造方法におけ
る別の実施の形態は、貝殻を焼成して得られる生石灰又
は前記生石灰を消化して得られる消石灰と、酸化チタン
と、水とからなる懸濁液中に炭酸ガスを導通させるもの
である。
【0051】本発明に用いる酸化チタンは、例えば、硫
酸チタン溶液を加水分解し、得られた含水酸化チタンを
焼成していわゆる硫酸法で製造されたもの、並びに、ハ
ロゲン化チタンを気相酸化するいわゆる塩素法で製造さ
れたもの等を用いることができる。
【0052】また、本発明に用いる酸化チタンの一次粒
子径は、電子顕微鏡写真によるもので5μm以下、好ま
しくは0.001〜1μm、更に好ましくは0.1〜
0.3μmである。
【0053】なお、本発明に用いる酸化チタンの結晶形
は、アナタース型、ルチル型のいずれでも良く、更にア
ナタース型酸化チタンとルチル型酸化チタンとの混合物
でも良い。
【0054】炭酸ガス化反応において、上記酸化チタン
の石灰乳への添加量は、酸化チタンと貝殻消石灰との合
計量を100質量%として0.2質量%以上、好ましく
は0.5〜50質量%、更に好ましくは1〜10質量%
である。
【0055】以上の方法のよれば、原料の酸化チタンが
90以下のハンター白度のものでも、得られる貝殻PC
Cのハンター白度は、粉砕後においても95以上と高い
ものである。
【0056】このことは、隠蔽率が高い酸化チタン粒子
表面を白色度の高い貝殻PCCが被覆しているものと推
測される。
【0057】言い換えれば、得られる貝殻PCCは、隠
蔽率が高い酸化チタンが加わることによって、白色度が
高いうえに隠蔽率が高くなり、白色度の高さが更に有効
になるということである。
【0058】なお、得られる貝殻PCCにおいて、原料
の貝殻のCaO成分、有色成分、及び炭酸ガス化反応条
件などのPCC粒度以外の要因によっても大きく影響を
受けるが、他の要因が同程度の場合には、PCC粒度が
細かくなるほど白色度は高くなる傾向にある。
【0059】
【実施例】以下、本発明を実施例により、具体的且つ詳
細に説明するが、本発明は実施例により限定されるもの
ではない。実施例中、「%」とあるのは、断りない限り
「質量%」であり、「部」とあるのは、断りない限り
「質量部」である。
【0060】なお、得られた生成物、又は中間生成物の
主な物性については、次の方法で求めた。
【0061】ハンター白度:日本電色工業株式会社製
モデルZ−1001DP を用いて測定した。ハンター
白度の数値は、ドロマイトの白色度を75.4%、光を
反射しない黒板を0%とした時の相対値で示した。
【0062】粒子形状及び粒度:日本電子株式会社製電
子顕微鏡JSM−5800LVを用いて得た写真及びM
O保存のデータから解析した。
【0063】pH:東亜電波工業株式会社製 TOA H
M−14P を用い、pHの経時変化を測定した。
【0064】3本ロール混練機:井上製作所製を用いて
原料配合物を混練りし、隠蔽力試験用の塗料を調製し
た。
【0065】隠蔽率試験紙への塗料の塗布:R.D.
S.Webster(N.Y)社製バーコーダーRDS
22(約50μm用)を使用して、JIS K 5400
に規定する隠蔽率試験紙への塗布と、乾燥とを3回繰り
返し同塗料を塗り重ねた。
【0066】視感反射率及び隠蔽率の測定:カラーコン
ピューター(スガ試験機株式会社製SM−3)を使用し
て、白地及び黒地で各3回視感反射率を測定した。これ
らの視感反射率を基に隠蔽率を算出した。
【0067】貝殻消石灰としては、ホタテ貝殻を原料と
するCa(OH)2を使用した。この消石灰の組成分析結
果は、P 52.5mg/100g、Fe 3.67mg
/100g、Ca 51.4g/100g、Mg 87.
2mg/100g、Zn 1.2ppm、Mn 10.1
ppm、Ni 0.9ppm、Al 40ppm、S0.
42質量%、Sr 1320ppmであった。
【0068】酸化チタンとしては、トーケム プロダク
ツ株式会社製 TCA888(アナターゼ)を使用し
た。
【0069】工業用の塩化マグネシウム六水和物として
は、馬居化成株式会社製 マグランドを使用した。
【0070】食添用の塩化マグネシウム六水和物として
は、馬居化成株式会社製 クリスタリンを使用した。
【0071】試薬の塩化マグネシウム六水和物として
は、和光純薬工業株式会社製 試薬特級を使用した。
【0072】市販炭酸カルシウムとしては、日東粉化工
株式会社製 NS100(重質炭酸カルシウム)を使用
した。
【0073】バインダーにおけるエポキシエステル(常
温硬化)としては、大日本インキ株式会社製 ベッコゾ
ールを使用した。
【0074】バインダーにおける硬化触媒としては、日
本化学産業株式会社製 ナフテン酸コバルト(エポキシ
エステル100gに対する使用量0.03g)及び日本
化学産業株式会社製 ナフテン酸鉛(エポキシエステル
100gに対する使用量0.3g)を上記エポキシエス
テルに含ませて使用した。
【0075】検討例1 発泡スチロール製蓋付ガラス二重筒(10L反応槽)
に、純水10L(100質量部)を入れ、次に試薬の塩
化マグネシウム六水和物3613g(36質量部)を添
加して溶解させた。この塩化マグネシウム水溶液に、貝
殻消石灰823.04g(8質量部)を添加し、スクリ
ュー型の撹拌羽根を用い、2000rpmの速度で撹拌
し、懸濁させた。この懸濁液中に、高純度二酸化炭素を
0.9L/minの速度で吹き込んだ。反応槽の温度調
整には LAUDA RM20 の恒温槽を使用し、表1
に示す温度58.4℃に設定した。反応中の懸濁液のp
Hは、上記の TOA HM−14P を用いて測定し、
pHが7になった時点で二酸化炭素の吹込みを停止し、
炭酸ガス化反応を終了させ、炭酸カルシウムスラリーを
得た。炭酸ガス化反応時間は表1に示す通り28Hrで
あった。
【0076】得られた炭酸カルシウムスラリーを濾過に
より固液分離した。分離後の固形物を純水0.4Lで1
回洗浄した。洗浄後の固形物を40℃で真空乾燥させ、
付着水分が5質量%になったものをコーヒーミルにより
粉砕し、表1に示す一次粒子、ハンター白度の粉砕品を
得た。
【0077】検討例2 検討例1で得られた炭酸カルシウムスラリーを濾過によ
り固液分離し、分離後の固形物を純水0.4Lで1回洗
浄し、洗浄後の固形物を40℃で真空乾燥させ、付着水
分が5質量%になったものを、更に110℃で常圧乾燥
して付着水分を1質量%以下にした後、コーヒーミルに
より粉砕した以外は検討例1に準じて試験を行い、表1
に示す一次粒子、ハンター白度の粉砕品を得た。
【0078】検討例3 炭酸カルシウムスラリーの調製において、炭酸ガス化反
応槽の温度を表1に示す温度36.1℃に設定した以外
は検討例1に準じて炭酸ガス化反応を行い、炭酸カルシ
ウムスラリーを得た。炭酸ガス化反応時間は表1に示す
通り28Hrであった。
【0079】得られた炭酸カルシウムスラリーを濾過に
より固液分離した。分離後の固形物を純水0.4Lで1
回洗浄した。洗浄後の固形物を40℃で真空乾燥させ、
付着水分が5質量%になったものをコーヒーミルにより
粉砕し、表1に示す一次粒子、ハンター白度の粉砕品を
得た。
【0080】検討例4 検討例3で得られた炭酸カルシウムスラリーを濾過によ
り固液分離し、分離後の固形物を純水0.4Lで1回洗
浄し、洗浄後の固形物を40℃で真空乾燥させ、付着水
分が5質量%になったものを、更に110℃で常圧乾燥
して付着水分を1質量%以下にした後、コーヒーミルに
より粉砕した以外は検討例3に準じて試験を行い、表1
に示す一次粒子、ハンター白度の粉砕品を得た。
【0081】検討例5 検討例3で得られた炭酸カルシウムスラリーを濾過によ
り固液分離し、分離後の固形物を純水0.4Lで1回洗
浄し、洗浄後の固形物を40℃で真空乾燥させ、付着水
分が5質量%になったものをコーヒーミルにより粉砕
し、この粉砕品を110℃で常圧乾燥して付着水分を1
質量%以下にした後、更にコーヒーミルにより粉砕した
以外は検討例3に準じて試験を行い、表1に示す一次粒
子、ハンター白度の粉砕品を得た。
【0082】検討例6 炭酸カルシウムスラリーの調製において、炭酸ガス化反
応槽の温度を表2に示す温度17.4℃に設定した以外
は検討例1に準じて炭酸ガス化反応を行い、炭酸カルシ
ウムスラリーを得た。炭酸ガス化反応時間は表2に示す
通り34Hrであった。
【0083】得られた炭酸カルシウムスラリーを濾過に
より固液分離した。分離後の固形物を純水0.4Lで1
回洗浄した。洗浄後の固形物を40℃で真空乾燥させ、
付着水分が5質量%になったものをコーヒーミルにより
粉砕し、表2に示す一次粒子、ハンター白度の粉砕品を
得た。
【0084】検討例7 検討例6で得られた炭酸カルシウムスラリーを濾過によ
り固液分離し、分離後の固形物を純水0.4Lで1回洗
浄し、洗浄後の固形物を40℃で真空乾燥させ、付着水
分が5質量%になったものを、更に110℃で常圧乾燥
して付着水分を1質量%以下にした後、コーヒーミルに
より粉砕した以外は検討例6に準じて試験を行い、表2
に示す一次粒子、ハンター白度の粉砕品を得た。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】表1及び2に示す結果から以下のことが明
らかになった。
【0088】PCC粉砕品の一次粒子について、反応温
度58.4℃で10〜20μm、反応温度36.1℃で
8〜10μm、反応温度17.4℃で1〜2μmと、反
応温度により大きく異なり、反応温度が低いほど粒度は
小さくなる。
【0089】PCC粉砕品の一次粒子について、付着
水分が3質量%以上である炭酸カルシウムをコーヒーミ
ルにより粉砕したもの、前記付着水分が3質量%以上
である炭酸カルシウムを、100℃以上の温度で付着水
分を3質量%未満にした後、コーヒーミルにより粉砕し
たもの、並びに、前記付着水分が3質量%以上である
炭酸カルシウムをコーヒーミルにより粉砕し、この粉砕
品を100℃以上の温度で付着水分を3質量%未満にし
た後、更にコーヒーミルにより粉砕したものを、それぞ
れ同じ反応温度で得られたもので比較したところ、何れ
の粉砕方法においても粒度の差異は認められなかった。
そのため、検討例1乃至7の条件で得られるPCCは、
得られる粉砕品の一次粒子の粒度に差異が認められない
ほどに、粉砕性は極めて容易であり且つ安定しているこ
とが解る。
【0090】PCC粉砕品のハンター白度について、反
応温度58.4℃で96.2〜96.6、反応温度3
6.1℃で95.8〜97.5、反応温度17.4℃で
97.5〜97.7と、反応温度が低いほどハンター白
度は高くなる。
【0091】上述したように、反応温度が低いほど一次
粒子の粒度は小さくなることから、粒度が小さいほどハ
ンター白度は高くなる。しかし、検討例1乃至7におい
ては、何れの反応温度及びPCCの粉砕手順について
も、得られたPCC粉砕品のハンター白度は、95以上
と極めて高いものであった。
【0092】実施例1 反応槽に、純水500mL(100質量部)を入れ、次
に工業用の塩化マグネシウム六水和物36質量部を添加
して溶解させた。この塩化マグネシウム水溶液に、貝殻
消石灰8質量部を添加し、交換可能な角状の4枚羽根を
有する撹拌羽根を用い撹拌回転数280rpmで撹拌
し、懸濁させた。この懸濁液中に、高純度二酸化炭素を
0.4L/minの速度で吹き込んだ。反応槽の温度変
化は、表3に示す通りであった。反応中の懸濁液のpH
は、上記の TOA HM−14Pを用いて測定し、pH
が7になった時点で二酸化炭素の吹込みを停止し、炭酸
ガス化反応を終了させ、炭酸カルシウムスラリーを得
た。炭酸ガス化反応時間は表1に示す通り8.8Hrで
あった。
【0093】得られた炭酸カルシウムスラリーを濾過に
より固液分離した。分離後の固形物を純水0.4Lで1
回洗浄した。洗浄後の固形物を110℃で常圧乾燥して
付着水分を1質量%以下にしたものを、コーヒーミルに
より粉砕し、表3に示す一次粒子、ハンター白度の粉砕
品を得た。
【0094】実施例2 炭酸カルシウムスラリーの調製において、塩化マグネシ
ウム水溶液に、酸化チタン0.8質量部、貝殻消石灰
7.2質量部を添加した以外は実施例1に準じて炭酸ガ
ス化反応を行い、炭酸カルシウムスラリーを得、得られ
た炭酸カルシウムスラリーを濾過により固液分離した。
分離後の固形物を純水0.4Lで1回洗浄した。洗浄後
の固形物を110℃で常圧乾燥して付着水分を1質量%
以下にしたものをコーヒーミルにより粉砕し、表3に示
す一次粒子、ハンター白度の粉砕品を得た。炭酸ガス化
反応において、反応温度及び炭酸ガス化反応時間は表3
に示す通りであった。
【0095】実施例3 炭酸カルシウムスラリーの調製において、純水500m
Lに塩化マグネシウムを添加しなかった以外は実施例2
に準じて炭酸ガス化反応を行い、炭酸カルシウムスラリ
ーを得、得られた炭酸カルシウムスラリーを濾過により
固液分離した。分離後の固形物を純水0.4Lで1回洗
浄した。洗浄後の固形物を110℃で常圧乾燥して付着
水分を1質量%以下にしたものをコーヒーミルにより粉
砕し、表3に示す一次粒子、ハンター白度の粉砕品を得
た。炭酸ガス化反応において、反応温度及び炭酸ガス化
反応時間は表3に示す通りであった。
【0096】実施例4 炭酸カルシウムスラリーの調製において、純水500m
L(100質量部)に食添用の塩化マグネシウム六水和
物36質量部を添加した以外は実施例1に準じて炭酸ガ
ス化反応を行い、炭酸カルシウムスラリーを得、得られ
た炭酸カルシウムスラリーを濾過により固液分離した。
分離後の固形物を純水0.4Lで1回洗浄した。洗浄後
の固形物を110℃で常圧乾燥して付着水分を1質量%
以下にしたものをコーヒーミルにより粉砕し、表3に示
す一次粒子、ハンター白度の粉砕品を得た。炭酸ガス化
反応において、反応温度及び炭酸ガス化反応時間は表3
に示す通りであった。
【0097】実施例5 炭酸カルシウムスラリーの調製において、塩化マグネシ
ウム水溶液に、酸化チタン0.8質量部、貝殻消石灰
7.2質量部を添加した以外は実施例4に準じて炭酸ガ
ス化反応を行い、炭酸カルシウムスラリーを得、得られ
た炭酸カルシウムスラリーを濾過により固液分離した。
分離後の固形物を純水0.4Lで1回洗浄した。洗浄後
の固形物を110℃で常圧乾燥して付着水分を1質量%
以下にしたものをコーヒーミルにより粉砕し、表4に示
す一次粒子、ハンター白度の粉砕品を得た。炭酸ガス化
反応において、反応温度及び炭酸ガス化反応時間は表4
に示す通りであった。
【0098】実施例6 発泡スチロール製蓋付ガラス二重筒(10L反応槽)
に、純水10L(100質量部)を入れ、次に試薬の塩
化マグネシウム六水和物36質量部を添加して溶解させ
た。この塩化マグネシウム水溶液に、酸化チタン0.8
質量部、貝殻消石灰7.2質量部を添加し、スクリュー
型の撹拌羽根を用い、2000rpmの速度で撹拌し、
懸濁させた。この懸濁液中に、高純度二酸化炭素を8L
/minの速度で吹き込んだ。反応槽の温度調整には
LAUDA RM20 の恒温槽を使用し、表4に示す温
度25℃に設定した。反応中の懸濁液のpHは、上記の
TOA HM−14P を用いて測定し、pHが7にな
った時点で二酸化炭素の吹込みを停止し、炭酸ガス化反
応を終了させ、炭酸カルシウムスラリーを得た。炭酸ガ
ス化反応時間は表4に示す通り10Hrであった。
【0099】得られた炭酸カルシウムスラリーを濾過に
より固液分離した。分離後の固形物を純水10Lで1回
洗浄した。洗浄後の固形物を110℃で常圧乾燥して付
着水分を1質量%以下にしたものをコーヒーミルにより
粉砕し、表4に示す一次粒子、ハンター白度の粉砕品を
得た。
【0100】実施例7 発泡スチロール製蓋付ガラス二重筒(0.4L反応槽)
に、純水0.4L(100質量部)に塩化マグネシウム
を添加することなく、酸化チタン0.08質量部、貝殻
消石灰7.92質量部を添加し、スクリュー型の撹拌羽
根を用い、470rpmの速度で撹拌し、懸濁させた。
この懸濁液中に、高純度二酸化炭素を0.4L/min
の速度で吹き込んだ。反応槽の温度調整には LAUD
A RM20 の恒温槽を使用し、表4に示す温度25℃
に設定した。反応中の懸濁液のpHは、上記の TOA
HM−14P を用いて測定し、pHが7になった時点
で二酸化炭素の吹込みを停止し、炭酸ガス化反応を終了
させ、炭酸カルシウムスラリーを得た。炭酸ガス化反応
時間は表4に示す通り2.8Hrであった。
【0101】得られた炭酸カルシウムスラリーを濾過に
より固液分離した。分離後の固形物を純水0.4Lで1
回洗浄した。洗浄後の固形物を110℃で常圧乾燥して
付着水分を1質量%以下にしたものをコーヒーミルによ
り粉砕し、表4に示す一次粒子の粉砕品を得た。
【0102】比較例1 実施例2、3、5〜7で用いた酸化チタン自体のハンタ
ー白度を測定し、87.5の測定値を得た。
【0103】
【表3】
【0104】
【表4】
【0105】表3及び4に示す結果から以下のことが明
らかになった。
【0106】実施例2、3、5〜7に用いた酸化チタン
は、比較例1に示すようにハンター白度で87.5と白
色度が低い。これに対して、上述した検討例1乃至7、
並びに、実施例1乃至7において得られたPCC粉砕品
は、出発原料が貝殻消石灰のみのPCC粉砕品はいうま
でもなく、上記の実施例2、3、5、及び6におけるよ
うに、出発原料に貝殻消石灰に加えて白色度が低い酸化
チタンを用いたPCC粉砕品でも、そのハンター白度は
95以上と白色度が極めて高いものであった。
【0107】実施例5と実施例6とでは、出発原料につ
いて、実施例6が実施例5の20倍の量で炭酸ガス化反
応を行っていること、実施例6に比べて実施例5の反応
温度が上昇したこと、反応時間が短いこと、実施例5が
食添用の塩化マグネシウム六水和物を用いているのに対
して実施例6が試薬の塩化マグネシウム六水和物を用い
ていることなどが異なる。しかし、得られたPCC粉砕
品の粒度、ハンター白度には、差異が認められなかっ
た。このことは、出発原料の処理量が20倍になって
も、ほぼ同じ炭酸ガス化反応が再現できること、実施例
5と実施例6における、反応温度、反応時間の変動、塩
化マグネシウム六水和物の種類の違いなどでは、得られ
るPCC粉砕品の粒度、ハンター白度には、悪影響がな
いことを意味している。
【0108】なお、塩化マグネシウムについては、実施
例1及び2では、工業用の塩化マグネシウム六水和物を
用いており、実施例3及び7に至っては、全く塩化マグ
ネシウムを用いていない。しかし、これら実施例1乃至
3の何れについても、食添用の塩化マグネシウム六水和
物を用いている実施例4、5や、試薬の塩化マグネシウ
ム六水和物を用いている実施例6と比べて、得られたP
CC粉砕品のハンター白度には、差異が認められなかっ
た。
【0109】また、上記実施例1乃至7で得られたPC
Cについて、X線回折の測定を行ったところ、炭酸ガス
化反応に塩化マグネシウムを用いなかった実施例3及び
7で得られたPCCがカルサイト型PCCであり、実施
例3及び7以外の実施例1、2、4〜6で得られたPC
Cは僅かにカルサイト型結晶が認められるものもあった
が基本的にはアラゴナイト型PCCであった。しかし、
結晶の形状の違いによっても、上記したように得られた
PCC粉砕品のハンター白度には、差異が認められなか
った。
【0110】実施例8 表5に示す配合条件、即ち実施例6で得たPCC粉砕品
5g(5%)と、上記市販炭酸カルシウム65g(65
%)と、上記バインダー30g(30%)とを配合し
た。本実施例8では、酸化チタンは直接配合していない
が、次式から求められるように実施例6で得たPCC粉
砕品5g中には0.4gの酸化チタンが含まれている。
【0111】
【数1】
【0112】上式での計算結果から、本実施例8の配合
物中に含まれる酸化チタンは、表5に「全酸化チタン」
として示されるように0.4gである。
【0113】上記配合物は、上記3本ロール混練機を使
用して混練りし、この混練機に3回通して混練りを繰り
返すことにより、隠蔽力試験用の塗料を調製した。
【0114】得られた塗料について、上記バーコーダー
RDS22(約50μm用)を使用して、JIS K 5
400に規定する隠蔽率試験紙への塗布と、乾燥とを3
回繰り返し同塗料を塗り重ねた。
【0115】上記カラーコンピューターSM−3を使用
して、白地及び黒地で各3回視感反射率を測定した。こ
れらの視感反射率を基に隠蔽率を算出し、その結果を表
5に示す。
【0116】実施例9 塗料の調製において、実施例6で得たPCC粉砕品10
g(10%)と、上記市販炭酸カルシウム60g(60
%)と、上記バインダー30g(30%)とを配合した
以外は実施例8に準じて配合、混練りを行って塗料を得
た。得られた塗料について、視感反射率及び隠蔽率を求
め、その結果を表5に示す。
【0117】実施例10 塗料の調製において、実施例6で得たPCC粉砕品15
g(15%)と、上記市販炭酸カルシウム55g(55
%)と、上記バインダー30g(30%)とを配合した
以外は実施例8に準じて配合、混練りを行って塗料を得
た。得られた塗料について、視感反射率及び隠蔽率を求
め、その結果を表5に示す。
【0118】実施例11 塗料の調製において、実施例6で得たPCC粉砕品70
g(70%)と、上記バインダー30g(30%)とを
配合した以外は実施例8に準じて配合、混練りを行って
塗料を得た。得られた塗料について、視感反射率及び隠
蔽率を求め、その結果を表5に示す。
【0119】実施例12 塗料の調製において、実施例3で得たPCC粉砕品70
g(70%)と、上記バインダー30g(30%)とを
配合した以外は実施例8に準じて配合、混練りを行って
塗料を得た。得られた塗料について、視感反射率及び隠
蔽率を求め、その結果を表6に示す。
【0120】実施例13 塗料の調製において、実施例3で得たPCC粉砕品5g
(5%)と、上記市販炭酸カルシウム65g(65%)
と、上記バインダー30g(30%)とを配合した以外
は実施例8に準じて配合、混練りを行って塗料を得た。
得られた塗料について、視感反射率及び隠蔽率を求め、
その結果を表6に示す。
【0121】実施例14 塗料の調製において、実施例7で得たPCC粉砕品70
g(70%)と、上記バインダー30g(30%)とを
配合した以外は実施例8に準じて配合、混練りを行って
塗料を得た。得られた塗料について、視感反射率及び隠
蔽率を求め、その結果を表6に示す。
【0122】参考例1 塗料の調製において、上記酸化チタン5g(5%)と、
上記市販炭酸カルシウム65g(65%)と、上記バイ
ンダー30g(30%)とを配合した以外は実施例8に
準じて配合、混練りを行って塗料を得た。得られた塗料
について、視感反射率及び隠蔽率を求め、その結果を表
5に示す。
【0123】比較例2 塗料の調製において、上記市販炭酸カルシウム70g
(70%)と、上記バインダー30g(30%)とを配
合した以外は実施例8に準じて配合、混練りを行って塗
料を得た。得られた塗料について、視感反射率及び隠蔽
率を求め、その結果を表6に示す。
【0124】
【表5】
【0125】
【表6】
【0126】表5及び6に示す結果から以下のことが明
らかになった。
【0127】表6に示す比較例2の結果から、市販炭酸
カルシウム(重質炭酸カルシウム)のみでは、隠蔽率は
0.26と極めて低いものであった。
【0128】表5に示す参考例1の結果から、市販炭酸
カルシウムが配合された配合物中に酸化チタンを5%直
接配合して塗料を調製することにより、隠蔽率が著しく
向上し、また視感反射率も向上した。
【0129】表5に示す実施例8乃至10の結果から、
市販炭酸カルシウムが配合された配合物中に、実施例6
で得たPCC粉砕品を、それぞれ5%、10%、15%
配合して塗料を調製することにより、参考例1の酸化チ
タンを5%直接配合した塗料ほどではないが、隠蔽率や
視感反射率が向上した。
【0130】しかし、表5に示す「塗料中の『全酸化チ
タン』」即ちPCC中の酸化チタンの量を考慮に入れる
と、実施例8乃至10の「塗料中の全酸化チタン」は、
それぞれ0.4%、0.7%、1.1%なので、これら
の少ない「塗料中の全酸化チタン」にしては、隠蔽率や
視感反射率は極めて高いものである。
【0131】更に表5に示すように、「塗料中の全酸化
チタン」が参考例1の塗料とほぼ同等の実施例11の塗
料は、参考例1の塗料と比べても、隠蔽率が高いばかり
でなく、白地及び黒地の視感反射率が極めて高いもので
ある。このことは、実施例6で得られたPCC粉砕品
が、隠蔽率も白色度も共に極めて高いことを示すもので
ある。
【0132】また表6に示す実施例12及び13の結果
は、実施例6で得られたPCC粉砕品と同様に実施例3
で得られたPCC粉砕品も、隠蔽率も白色度も共に極め
て高いことを示すものである。
【0133】更にまた表6に示す実施例14の結果は、
貝殻を焼成して得られる生石灰又は前記生石灰を消化し
て得られる消石灰と、酸化チタンと、水とからなる懸濁
液中に炭酸ガスを導通させて得られるPCCは、たとえ
「塗料中の全酸化チタン」が0.5%と少なくても、白
地及び黒地の視感反射率も隠蔽率も共に極めて高いこと
を示すものである。
【0134】
【発明の効果】本発明の炭酸カルシウムの製造方法によ
れば、炭酸ガス化合プロセスによって製造される沈降製
炭酸カルシウムの製造方法において、原料に貝殻を焼成
して得られる生石灰又は前記生石灰を消化して得られる
消石灰を用いているので、得られる上記炭酸カルシウム
は粉砕後も、原料に石灰石を用いて得られる炭酸カルシ
ウムや酸化チタンと比較して著しく白色度が高いもので
ある。
【0135】このように、原料に貝殻を焼成して得られ
る生石灰又は前記生石灰を消化して得られる消石灰を用
いて炭酸ガス化合プロセスによって製造した沈降製炭酸
カルシウムは、粉砕後においても、特にゴム、プラスチ
ック用の充填剤、塗料、及びインク用等の白色塗料用の
炭酸カルシウム、並びに、紙漉込み用の填料、及び紙コ
ート用顔料等の製紙用の炭酸カルシウムのような極めて
高い用途要求に応えることができる。
【0136】また、本発明の炭酸カルシウムの製造方法
によれば、炭酸ガス化合プロセスにおいて、原料の貝殻
を焼成して得られる生石灰又は前記生石灰を消化して得
られる消石灰に、酸化チタンを所定量加えると、得られ
る炭酸カルシウムは、白色度が高いばかりでなく、隠蔽
率も高くできる。よって、この炭酸カルシウムは、上記
の炭酸カルシウムの用途要求よりも更に高い用途要求に
応えることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貝殻を焼成して得られる生石灰又は前記
    生石灰を消化して得られる消石灰と、酸化チタンと、水
    とからなる懸濁液中に炭酸ガスを導通させることを特徴
    とする炭酸カルシウムの製造方法。
  2. 【請求項2】 生石灰中のCaO成分が95質量%以上
    である請求項1に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
  3. 【請求項3】 酸化チタンの存在量が、貝殻を焼成して
    得られる生石灰の存在量又は前記生石灰を消化して得ら
    れる消石灰の存在量と、酸化チタンの存在量との合計量
    に対して0.2質量%以上である請求項1に記載の炭酸
    カルシウムの製造方法。
  4. 【請求項4】 貝殻がホタテ貝殻である請求項1に記載
    の炭酸カルシウムの製造方法。
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