JP2002115019A - 耐溶接割れ性に優れたアルミニウム合金材 - Google Patents
耐溶接割れ性に優れたアルミニウム合金材Info
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Abstract
れたアルミニウム合金材を提供することを目的とする。 【解決手段】 溶接されるアルミニウム合金材の凝固
過程における熱的変化を示差熱分析により測定して得ら
れた融液からの冷却曲線において、550 ℃以下における
発熱ピークが実質的に認められないアルミニウム合金材
とすることである。
Description
溶接される際の、耐溶接割れ性に優れたアルミニウム合
金材 (以下、アルミニウムを単にAlと言う) に関するも
のである。
3、5154、5182などのAA乃至JIS 規格に規定される5000
系 (以下、AA乃至JIS は省略) や、7N01、7003などの70
00系などのAl合金展伸材 (圧延板材、押出形材、鍛造材
などの総称、以下、Al合金材とも言う) が汎用されてい
る。
加工性や成形性、あるいは耐蝕性に優れ、また、合金元
素が少ないのでリサイクル性にも優れている、6063、6N
01、6061などのAA乃至JIS 規格に規定される6000系Al合
金材も、自動車などの輸送機用などの構造材として注目
されている。
主としてティグ(TIG) 、ミグ(MIG)などのアーク溶接方
法によって、継手など溶接構造部材として溶接接合され
る。また、これらAl合金材のアーク溶接の際には、母材
の合金種の組み合わせに応じて、JIS Z 3604に規定され
ているように、代表的には、4043、4047、BA4145B、535
6、5183等の溶加材が適宜使用されている。
を母材として、アーク溶接方法などにより接合した場
合、継手強度が低下するという問題が起こりうる。この
原因はこれらAl合金材を溶接した際の溶接割れが原因と
考えられる。
レータ割れ、微小割れ (ミクロフィッシャー) などの溶
接金属部(Depo)の割れや、継手溶接部近傍の熱影響部
(以下、HAZ と言う) に生じる割れがあるが、前記6000
系などのAl合金材の場合に問題となるのは、HAZ に生じ
る溶接割れである。
単に溶接割れと言う) に対しては、溶加材の選定、拘束
条件、隙間や開先条件、溶接速度や溶接電流の選定な
ど、主として、ティグ(TIG) 、ミグ(MIG) などの溶接施
工の側からの、溶接施工条件の改善が行なわれてきた。
例えば、「アルミニウム合金ミグ溶接部の溶接割れ防止
マニアル」 (軽金属溶接構造協会編、昭和58年発行) に
は、過少入熱や、過大入熱となる溶接施工条件を避ける
べきことが開示されている。
いる。例えば、6000系Al合金について、特開平9-41063
号、特開平9-279280号公報などに開示されるような、過
剰Si量の抑制やScなどの高価な元素の添加など、成分や
結晶粒径からの制御が提案されている。
3 号公報などに開示されるような、溶加材の成分の制御
なども提案されている。
接施工側から改善は、実際に溶接した上で、溶接割れを
トライアンドエラーで防止乃至抑制してきたのが実情で
ある。しかも、母材側からの改良に比して、著しく効果
が少ないのも実情である。
の防止にはなっても、強度やコストなどの他の基本特性
を犠牲にするため実用的ではない。また、溶加材の改良
も、母材側からの改良に比して、著しく効果が少なく、
やはり実用的ではない。
質などの母材側の条件が大きく変わった場合や、継手構
造などの溶接構造部材側の条件が大きく変わった場合
に、前記溶接割れを、再現性よく抑制することが困難で
ある。また、前記トライアンドエラーによる、溶接施工
効率の低下の問題も無視できない。
簡便に評価、予測できれば、実際に溶接をせずとも、Al
合金母材側の耐溶接割れ性の効果的な改善や、Al合金溶
加材の適切な選択や改良、更には、前記溶接施工条件の
効果的かつ効率的な改善を行うことができる。また、Al
合金材の、Al合金母材製品としての耐溶接割れ性の品質
管理を行うこともできるようになる。
ものであって、その目的は、アークなどの溶融溶接にお
ける耐溶接割れ性に優れたAl合金材を提供しようとする
ものである。
に、本発明請求項1 の耐溶接割れ性に優れたアルミニウ
ム合金材の要旨は、溶接されるアルミニウム合金材の凝
固過程における熱的変化を示差熱分析により測定して得
られた融液からの冷却曲線において、550 ℃以下におけ
る発熱ピークが実質的に認められないことである。
る熱的変化を示差熱分析により測定して得られた融液か
らの冷却曲線 (所謂DTA 曲線) の550 ℃以下における発
熱ピークの有無や、ピークの大きさ、などの発熱ピーク
の出方が、溶融溶接における耐溶接割れ性 (耐HAZ 割れ
性) に相関すること、および、同じくAl合金材の融解過
程における熱的変化を示差熱分析により測定して得られ
た固相からの加熱曲線(所謂DTA 曲線) の600 ℃以下に
おける吸熱ピークの出方が、溶融溶接における耐溶接割
れ性に相関すること、を各々知見して本発明をなしたも
のである。
される公知の分析方法である。そして、その概要は、測
定温度範囲において熱的に変化しない基準物質と、測定
対象物質とを各々相等しい容器に入れ (基準物質自体を
容器とする場合もある) 、両者を、等価な条件のもとで
(周囲の温度を) 、一定速度で加熱または冷却しなが
ら、両者間の温度差 (示差温度) を連続的に測定して行
く。 そして、この温度変化の状況から、定性的定量的
な分析を行うものである。
て、Al合金材の凝固過程 (降温過程) や融解過程 (昇温
過程) における熱的変化の状況から、耐溶接割れ性を評
価する。即ち、前記した通り、Al合金材の凝固過程にお
ける熱的変化を示差熱分析により測定して得られた融液
からの冷却曲線の550 ℃以下における発熱ピークおよび
Al合金材の融解過程における熱的変化を示差熱分析によ
り測定して得られた固相からの加熱曲線の600 ℃以下に
おける吸熱ピークが実質的に認められないものを耐溶接
割れ性に優れたAl合金材と評価する。
耐溶接割れ性との相関は、前記冷却曲線の550 ℃以下に
おける発熱ピークの有無の方が、前記加熱曲線の600 ℃
以下における吸熱ピークの有無よりも強い。
550 ℃以下における発熱ピークの有無をAl合金材が耐溶
接割れ性に優れるための必須の要件とする。そして、前
記加熱曲線の600 ℃以下における吸熱ピークの有無を、
請求項2 に記載のように、より好ましい要件とする。
れたAl合金材を提供できるとともに耐溶接割れ性のデー
タが今だ十分に無いようなAl合金母材の耐溶接割れ性の
評価方法としても用いることができる。そして、実際に
溶接をせずとも、Al合金母材側の耐溶接割れ性の効果的
な改善や、Al合金溶加材の適切な選択や改良、更には前
記溶接施工条件の効果的かつ効率的な改善を行うことが
できる。
て、耐溶接割れ性に優れたAl合金材として、Al合金材の
Al合金母材製品としての耐溶接割れ性の品質管理を行う
こともできる。
を有するため、請求項3 の通り、耐溶接割れ性の問題が
厳しいAA乃至JIS 規格に規定される6000系Al合金に適用
されて好ましい。
定示差温度は、溶接後のAl合金材の降温過程において
は、Al合金材の凝固過程における熱的変化を示す。ま
た、溶接時のAl合金材の昇温過程においては、Al合金材
の融解過程における熱的変化を示す。また、Al合金材の
降温過程における発熱反応の開始温度が液相線、終了温
度が固相線を各々表わし、Al合金材の昇温過程における
吸熱反応の開始温度が固相線、終了温度が液相線を各々
表わす。
を示差熱分析により測定して得られた融液からの冷却曲
線や固相からの加熱曲線を、一般には、示差熱分析によ
る曲線、即ち、DTA 曲線と称される (前記冷却曲線や加
熱曲線を以下ではDTA 曲線と言う) 。また、同種の熱分
析方法としては、示差走査熱量測定方法(DSC法) なども
あるが、測定の再現性を考慮して、本発明では示差熱分
析方法のみに定式化する。
質としては、測定対象Al合金材よりも融点の十分高い金
属を選択する。そして、この基準物質の種類により、測
定示差温度は大きく変化することはないものの、測定の
再現性を考慮して、本発明では、基準物質として、白金
を選択する。
分析計は、前記耐溶接割れ性の評価に必要な測定温度域
の示差温度を正確かつ再現性よく測定可能な、市販の示
差熱分析計を適宜選択することができる。
の内のNo.8の比較例の6000系Al合金押出材の測定したDT
A 曲線を各々示す。図1 はAl合金材の融液からの降温過
程におけるDTA 曲線であり、630 ℃付近の最大発熱ピー
クがAl合金材の主たる凝固反応を示す。また、図2 はAl
合金材の昇温過程におけるDTA 曲線であり、660 ℃付近
の最大吸熱ピークがAl合金材の主たる融解反応を示す。
系Al合金材のDTA 曲線は、前記主たる凝固反応域 (最大
発熱ピーク) 以外に、本発明で言う、550 ℃以下におけ
る、530 ℃付近での発熱ピーク (最終発熱ピーク) が小
さいながらも認められる。
金材のDTA 曲線は、前記主たる融解反応域 (最大吸熱ピ
ーク) の660 ℃以外に、本発明で言う、600 ℃以下にお
ける、570 〜580 ℃付近での吸熱ピーク (最初の吸熱ピ
ーク) が認められる。
定すると、前記図1 の結果からは、Al合金材のHAZ が一
旦溶融した後に再凝固するに際し、HAZ では630 ℃付近
だけで凝固が完了せず、部分的に溶融状態 (未凝固部
分) が残存し、550 ℃以下の領域の、530 ℃付近で再
度、未凝固部分 (合金成分の化合物) が凝固するものと
考えられる。
接金属部(Depo)の凝固が完了しても、HAZ の部分の凝固
が完了しない凝固遅れが生じ、HAZ の部分に溶接割れが
生じ易くなると言える。
系Al合金材の溶接部が、前記主たる溶解域の660 ℃以外
に、本発明で言う、600 ℃以下における570 〜580 ℃付
近での吸熱ピークが認められ、この570 〜580 ℃付近
で、融点の低い合金成分の化合物の一部が一旦溶融した
後に、再度、660 ℃付近で主たる溶解が生じるものと考
えられる。
同様に、溶接金属部において、No.8の6000系Al合金材で
は、溶接金属部(Depo)の凝固が完了しても、HAZ で凝固
が完了しない、凝固遅れが生じ、HAZ の部分に溶接割れ
が生じ易くなると言える。
いて、550 ℃以下における発熱ピークや600 ℃以下にお
ける吸熱ピークが実質的に認められない場合、前記した
ような凝固遅れは生じず (凝固遅れを生じるような合金
成分の化合物が無く) 、HAZの部分に溶接割れは生じな
くなると言える。
線において、550 ℃以下および600℃以下における曲線
がなだらかに変化推移し、550 ℃以下における発熱ピー
クおよび600 ℃以下における吸熱ピークが不明瞭であ
り、ピーク (変曲点) の存在が特定できない場合に、こ
れらピークが実質的に認められないものとする。
Al合金材をMIG 溶接試験し、溶接割れを確認した結果と
比較すると、DTA 曲線における、550 ℃以下および600
℃以下のピークとHAZ 溶接割れとの関係が明確になる。
即ち、DTA 曲線における、550 ℃以下および600 ℃以下
のピークが認められたこのNo.8の6000系Al合金材は溶接
割れが生じている。これに対し、前記ピークが実質的に
認められない発明例には溶接割れが生じていなかった。
における、550 ℃以下および600 ℃以下のピークの有無
が、前記耐溶接割れ性に相関していることが裏付けられ
る。また、これらピークが実質的に認められないAl合金
材は、耐溶接割れに優れた材料と評価することができ
る。
に汎用されるTIG 、MIG 、アークスポットなどのアーク
溶接方法や、レーザ、電子ビーム、プラズマなど、種々
の溶融溶接方法に適用される。また、溶接される継手
は、通常のAl合金継手と同様に、同じAl合金材同士、あ
るいは目的に応じて、後述する成分の違うAl合金材同士
を接合しても良い。
れ性の改善のためには、前記Al合金母材HAZ の凝固遅れ
を低減すべく、Al合金母材の合金元素量を制御すること
が好ましい。
どの遷移元素を含有させる。これらの元素は、均質化熱
処理時およびその後の押出や圧延などの熱間加工時に分
散粒子を生成する。これらの分散粒子は再結晶後の粒界
移動を妨げる効果があるため、微細な結晶粒を得ること
ができる。添加する場合のこれらの元素量は、各々、F
e:0.2〜1.0%、Mn:0.2〜1.0%、Cr:0.01 〜1.0%の範囲で
調整する。
00系Al合金母材の場合には、強度などの溶接構造材とし
ての要求特性を阻害しない範囲内で、主要元素であるS
i、Mg含有量を調整する。特に、過剰 Si 型の6000系Al
合金母材の場合には、溶接割れ感受性が高まるので、Si
含有量を規格範囲内で下げる、Mg含有量を上げる等の調
整を行う。
によっても、言い換えると、Al合金材の合金元素量が同
じであっても、Al合金材の製造条件の違いにより、Al合
金材の組織が大きく異なれば、DTA 曲線における550 ℃
以下における発熱ピークや600 ℃以下における吸熱ピー
クが大きく異なる場合がある。このため、製品Al合金材
の耐溶接割れ性については、本発明で規定するDTA 曲線
における550 ℃以下における発熱ピークや600 ℃以下に
おける吸熱ピークにより、品質を管理する必要がある。
れ性を改善しているので、溶接施工条件の側は改善しな
くて良く、溶接速度などの溶接効率をより高めることも
可能である。ただ、必要により、入熱量や抜熱量の制御
など溶接施工条件の側を改善してもよい。更に、継手の
仕様において、突き合わせ継手やT 継手の際の開先形状
も、I 形、V 形、X 形、U 形、H 形、J 形、K 形、すみ
肉などから、ルート面や間隔開先角度などを含めて、最
適な形状を適宜選択することができる。
は、溶接継手としての強度や、高い接合強度 (継手効
率) 、耐食性などの諸要求特性を満足する必要がある。
この点、AA乃至JIS 規格に規定される5000系や6000系、
7000系などの、溶接構造用の公知のAl合金材が好適に使
用可能である。
観点からは、溶接構造用の6000系Al合金の成分規格 (60
82、6061、6N01、6151、6063など) に相当するものとし
て、基本的な組成をMg:0.2〜1.0% (質量% 、以下同じ)
、Si:0.3〜1.6%とした、6000系Al合金材を適用するの
が好ましい。以下、代表的な元素について含有量の説明
をしておく。
形成して、また、Cu含有組成では更にCu、Alと化合物相
を形成して、使用時の高強度 (耐力) を付与するために
必須の元素である。Mgの0.2%未満の含有では高強度 (耐
力) が得られない。一方、1.0%を越えて含有されると、
Al合金母材の鋳造時および焼き入れ時に、粗大な粒子が
晶出乃至析出して加工性などを阻害する。したがって、
Mgの含有量は0.2 〜1.0%の範囲とする。
i など) を形成して、使用時の高強度 (耐力) を付与す
るために必須の元素である。0.3%未満のSiの含有では十
分な強度が得られない。一方、1.6%を越えて含有される
と、Mgと同様に加工性を阻害する。したがって、Siの含
有量は0.3 〜1.6%の範囲とする。
的に応じて、選択的に含有され手も良い。
r:0.01 〜1.0%について、これらの遷移元素は、Al合金
母材の均質化熱処理時およびその後の押出や圧延などの
熱間加工時に分散粒子を生成する。これらの分散粒子は
再結晶後の粒界移動を妨げる効果があるため、微細な結
晶粒を得ることができる。各々の下限未満の含有量で
は、この効果が得られず、一方、過剰な (上限を越え
る) 含有は溶解、鋳造時に粗大な金属間化合物を生成し
やすく、加工時の破壊の起点となる。このため、含有す
る場合のこれらの元素量は各々、Fe:0.2〜1.0%、Mn:0.2
〜1.0%、Cr:0.01 〜1.0%の範囲とする。
細化する元素である。しかし、Tiの0.001%未満の含有で
は、この効果が得られず、一方、Tiを0.1%を越えて含有
すると、粗大な晶出物を形成し、加工性を低下させる。
したがって、含有する場合のTi量は0.0001〜0.1%の範囲
とすることが好ましい。
粒を微細化させるために添加する元素である。しかし、
B の1ppm未満の含有では、この効果が得られず、一方、
300ppmを越えて含有されると、やはり粗大な晶出物を形
成し、加工性を低下させる。したがって、含有する場合
のB 量は1 〜300ppmの範囲とすることが好ましい。
は、常法による圧延加工、あるいは常法による押出加工
等によって、板材や形材 (中空断面など断面形状が長さ
方向のどの位置でも本質的に同一である形材) として製
造される。即ち、成分規格範囲内に溶解調整されたAl合
金溶湯を、例えば、連続鋳造圧延法、半連続鋳造法(D
C鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造す
る。次いで、このAl合金鋳塊に均質化熱処理を施し、熱
間圧延−調質処理 (溶体化および焼き入れ処理や時効硬
化処理) 、押出加工−調質処理、熱間鍛造−調質処理、
あるいはこれらの組み合わせにより、板材、形材、鍛造
材等の所望の断面形状のAl合金材とする。
る。表1 に示す、No.1〜10までのAl合金組成の鋳塊をDC
鋳造法により溶製後、均質化熱処理を施し、押出によ
り、厚さ1.8 〜3.5mm の平板状押出材を作成した。
析して、DTA 曲線を求め、550 ℃以下における発熱ピー
クおよび600 ℃以下における吸熱ピークと、ピーク発生
温度を求めた。これらの結果を表3 に示す。
す条件で、溶加材を用いるアーク溶接方法であるMIG 自
動溶接法により突き合わせ溶接して継手を製作した。そ
して、これら継手のHAZ 部分の断面を100 倍の光学顕微
鏡により観察し、溶接割れの有無と大きさを調査した。
度) を、各々JIS 法に従い測定し、継手効率を算出し
た。これらの結果を表4 に示す。
℃以下における発熱ピークおよび600 ℃以下における吸
熱ピークが認められない、発明例No.1〜5 は、HAZ に溶
接割れはない。更に、表4 から明らかな通り、発明例N
o.1〜5 は、継手強度が高く、継手効率も70% 以上と高
く、優れている。
下における発熱ピークおよび600 ℃以下における吸熱ピ
ークが認められる、比較例No.8、9 、10は、微小な割れ
や大きな割れを含めて、HAZ に溶接割れが生じている。
この内、HAZ に大きな溶接割れが生じている比較例No.
9、10は特に継手効率が35〜41% と著しく低い。また、
継手効率が67〜69% ある比較例No.7、8 も、微小でも溶
接割れが生じている以上、継ぎ手としての信頼性に著し
く欠ける。
は、DTA 曲線の、550 ℃以下における発熱ピークが認め
られないものの、600 ℃以下における吸熱ピークが認め
られる。この結果、HAZ の溶接割れはないものの、特に
継手効率が60% と、他の発明例に比して低くなってい
る。そして、比較例No.8は、発明例No.6と反対に、DTA
曲線の、600 ℃以下における吸熱ピークが認められない
ものの、550 ℃以下における発熱ピークが認められる。
この結果、比較例No.8は、微小な割れがHAZ に生じてお
り、継ぎ手としての信頼性に著しく欠ける。
性との相関は、DTA 曲線の550 ℃以下における発熱ピー
クの有無の方が、DTA 曲線の600 ℃以下における吸熱ピ
ークの有無よりも強いことが裏付けられる。また、Al合
金材の耐溶接割れ性を評価、予測するための、そして、
耐溶接割れ性に優れたAl合金材としての、本発明要件の
臨界的的な意義が裏付けられる。
Al合金材を提供することができる。また、個々のAl合金
材のAl合金母材としての耐溶接割れ性の評価を行うこと
もできる。即ち、実際に溶接をせずとも、Al合金母材側
の耐溶接割れ性の効果的な改善を行うことができる。し
たがって、Al合金展伸材の構造材用途への適用拡大を促
進できる点で、工業的な価値が大きい。
下における発熱ピークを示す説明図である。
下における吸熱ピークを示す説明図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 溶接されるアルミニウム合金材の凝固過
程における熱的変化を示差熱分析により測定して得られ
た融液からの冷却曲線において、550 ℃以下における発
熱ピークが実質的に認められない耐溶接割れ性に優れた
アルミニウム合金材。 - 【請求項2】 前記溶接されるアルミニウム合金材の融
解過程における熱的変化を示差熱分析により測定して得
られた固相からの加熱曲線において、600 ℃以下におけ
る吸熱ピークが実質的に認められない請求項1に記載の
耐溶接割れ性に優れたアルミニウム合金材。 - 【請求項3】 前記アルミニウム合金材が、AA乃至JIS
規格に規定される6000系アルミニウム合金である請求項
1または2に記載の耐溶接割れ性に優れたアルミニウム
合金材。
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