JP2002112475A - 永久磁石式回転電機、これを用いた空気圧縮機および発電機 - Google Patents

永久磁石式回転電機、これを用いた空気圧縮機および発電機

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JP2002112475A
JP2002112475A JP2000297052A JP2000297052A JP2002112475A JP 2002112475 A JP2002112475 A JP 2002112475A JP 2000297052 A JP2000297052 A JP 2000297052A JP 2000297052 A JP2000297052 A JP 2000297052A JP 2002112475 A JP2002112475 A JP 2002112475A
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春雄 小原木
Tsukasa Taniguchi
谷口　　司
Miyoshi Takahashi
身佳 高橋
Shinichi Wakui
真一 湧井
Yasuo Fukushima
康雄 福島
Haruo Miura
治雄 三浦
直彦 ▲高▼橋
Naohiko Takahashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】数百Ｈｚ以上の基本周波数で動作するインバー
タで駆動しても巻線の温度上昇や回転子の振動に関する
課題の発生がなく、安定した高速回転が得られる永久磁
石式回転電機とこれを用いた空気圧縮機や高速発電機を
提供する。 【解決手段】固定子鉄心の複数のスロット中に電機子巻
線を巻装した固定子と、導電性で磁性体のシャフトの外
周に電磁鋼板リングを設け、電磁鋼板リング内の永久磁
石挿入孔に永久磁石を挿入した回転子を有する超永久磁
石式回転電機において、固定子鉄心の板厚を０.１〜０.
２mmとし、電磁鋼板リングを引張強さが８０kg／mm2以
上の高張力電磁鋼板を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石式回転電
機に関し、特に永久磁石式回転電機を用いた空気圧縮機
やマイクロタービン発電機などの高速の発電機に関する
ものである。
【０００２】
【従来の技術】永久磁石式同期電動機は、電動機効率が
高いことから、産業用駆動源として多用されている。電
動機の回転数が低い場合はシャフトに永久磁石を貼り付
けて使用されているが、電動機の回転数が高い場合は永
久磁石が飛散する恐れがある。
【０００３】上記不具合を解決するもの、高速の永久磁
石式同期電動機においては、永久磁石の外周にカーボン
繊維やチタンリングを設ける方法が、例えば、特開平１
０−２４３５８６号公報で開示されている。
【０００４】上記従来技術においては、永久磁石の飛散
を防止できるが、永久磁石式同期電動機がインバータで
運転され、高調波電流による脈動磁束によって巻線温度
が上昇するという課題や回転子の振動に関する課題につ
いては考慮されていない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、数百
Ｈｚ以上の基本周波数で動作するインバータで駆動して
も巻線の温度上昇や回転子の振動に関する課題の発生が
なく、安定した高速回転が得られる永久磁石式回転電機
とこれを用いた空気圧縮機や高速発電機を提供すること
にある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明の一つの特徴は、
固定子鉄心の複数のスロット中に電機子巻線を巻装した
固定子と、導電性で磁性体のシャフトの外周に電磁鋼板
リングを設け、電磁鋼板リング内の永久磁石挿入孔に永
久磁石を挿入した回転子を有する超永久磁石式回転電機
において、固定子鉄心の板厚を０.１〜０.２mmとし、電
磁鋼板リングを引張強さが８０kg／mm2以上の高張力電
磁鋼板を採用している。
【０００７】本発明の他の特徴は、上記永久磁石式回転
電機を空気圧縮機に適用した点である。
【０００８】本発明の更に他の特徴は、上記永久磁石式
回転電機を高速の発電機に適用した点である。
【０００９】本発明の更に他の特徴は、永久磁石式回転
電機で、空気圧縮機の回転子が磁気軸受で支承され、磁
気軸受の回転子側の電磁鋼板と固定子鉄心の電磁鋼板と
を同一にしたことである。
【００１０】本発明の更に他の特徴は、固定子鉄心の複
数のスロット中に電機子巻線を巻装した固定子と、導電
性で磁性体のシャフトの外周に電磁鋼板リングを設け、
電磁鋼板リング内の永久磁石挿入孔に永久磁石を挿入し
た回転子を有する超永久磁石式回転電機において、電磁
鋼板リングを引張強さが８０kg／mm2 以上の高張力電磁
鋼板とするとともに、永久磁石挿入孔を各極当たり１２
〜１６個としたことである。
【００１１】本発明の更に他の特徴は、永久磁石式回転
電機で、各極当たり１２〜１６個の永久磁石挿入孔間に
スリットを介在させたことである。
【００１２】本発明の更に他の特徴は、永久磁石式回転
電機で、スリット形状がＲ形状を有していることであ
る。
【００１３】本発明の更に他の特徴は、固定子鉄心の複
数のスロット中に電機子巻線を巻装した固定子と、導電
性で磁性体のシャフトの外周に電磁鋼板リングを設け、
電磁鋼板リング内の永久磁石挿入孔に永久磁石を挿入し
た回転子を有する永久磁石式回転電機において、固定子
鉄心の板厚を０.１〜０.２mmとし、電磁鋼板リングを引
張強さが８０kg／mm2 以上の高張力電磁鋼板とするとと
もに、永久磁石挿入孔を各極当たり１２〜１６個とした
ことである。
【００１４】本発明の更に他の特徴は、永久磁石式回転
電機で、各極当たり１２〜１６個の永久磁石挿入孔間に
スリットを介在させたことである。
【００１５】本発明の更に他の特徴は、永久磁石式回転
電機で、スリット形状がＲ形状を有していることであ
る。
【００１６】本発明の更に他の特徴は、永久磁石式回転
電機で、空気圧縮機の回転子が磁気軸受で支承され、磁
気軸受の回転子側の電磁鋼板と固定子鉄心の電磁鋼板と
を同一にしたことである。
【００１７】本発明の更に他の特徴は、永久磁石式回転
電機で、永久磁石挿入孔と永久磁石間に隙間を設け、隙
間に充填材を充填させたことである。
【００１８】本発明の更に他の特徴は、永久磁石式回転
電機で、永久磁石挿入孔を電磁鋼板リングの中心径近傍
に配置したことである。
【００１９】本発明の更に他の特徴は、永久磁石式回転
電機で、固定子鉄心の内径と電磁鋼板リングの外径の差
であるギャップ長を２〜３mmとしたことである。
【００２０】本発明の更に他の特徴は、永久磁石式回転
電機で、永久磁石内外周面が曲率を有していることであ
る。
【００２１】本発明の更に他の特徴は、磁石式回転電機
で、永久磁石内外周面が平面であることである。
【００２２】本発明の更に他の特徴は、永久磁石式回転
電機で、永久磁石挿入孔と永久磁石の径方向幅を異なら
せていることである。
【００２３】本発明は、上記に限定されず、上記の特徴
の組み合わせも含む。
【００２４】
【発明の実施の形態】永久磁石同期式回転電機におい
て、永久磁石の磁束は回転子のシャフト，高張力電磁鋼
板を介して固定子に導かれる。そして、永久磁石式回転
電機を基本周波数の数百Ｈｚ以上のインバータで駆動し
たとき超高速回転電機又は超高速の回転電機と称する場
合が有る。このような場合、インバータからの高調波電
流に起因して高調波の磁束が発生する。この高調波の有
力次数は基本周波数の５倍，７倍，１１倍，１３倍，１
７倍，１９倍になり、各構成部材で高調波損失を発生さ
せる。この結果、各構成部材にヒートスポットを生じ、
回転子に振動に関する課題が発生し、また、固定子巻線
の温度上昇が絡まって超高速の永久磁石同期式回転電機
が成立しない。しかし、永久磁石式回転電機において、
固定子鉄心の板厚を０.１〜０.２mmとし、回転子のシャ
フトの外周に設けた磁性体の電磁鋼板リングを引張強さ
が８０kg／mm2 以上の高張力電磁鋼板を採用すること
が、基本周波数の５倍，７倍，１１倍，１３倍，１７
倍，１９倍の高調波電流を含むインバータで運転しても
各構成部材にヒートスポットを発生せず、このため回転
子に振動に関する課題が発生しないために望ましい。ま
た、この場合、固定子巻線の温度上昇が抑制されて高速
回転可能な永久磁石式回転電機を提供できる。
【００２５】このような永久磁石式回転電機を空気圧縮
機に適用することは、メンテナンスフリーの空気圧縮機
を提供できるので、望ましい。また、発電機に適用する
ことは、高速回転の発電機が提供できるので、望まし
い。
【００２６】また、空気圧縮機の回転子が磁気軸受で支
承され、磁気軸受の回転子側の電磁鋼板と固定子鉄心の
電磁鋼板とを同一にすることは、安価な空気圧縮機を提
供する上で望ましい。
【００２７】また、永久磁石式回転電機の電磁鋼板リン
グを引張強さが８０kg／mm2 以上の高張力電磁鋼板とす
るとともに、永久磁石挿入孔を各極当たり１２〜１６個
とすることは、回転子に振動に関する課題が発生しない
ため、高速回転可能な永久磁石式回転電機を提供する上
で望ましい。
【００２８】また、永久磁石式回転電機の各極当たり１
２〜１６個の永久磁石挿入孔間にスリットを介在させる
ことは、回転子にヒートスポットを発生せず、このため
回転子に振動に関する課題が発生しないため、高速回転
可能な永久磁石式回転電機を提供する上で望ましい。
【００２９】また、永久磁石式回転電機で、スリット形
状がＲ形状を有することは、永久磁石の配置位置を固定
でき、回転子に振動に関する課題が発生しないため、高
速回転可能な永久磁石式回転電機を提供する上で望まし
い。
【００３０】また、永久磁石式回転電機であれば、固定
子鉄心の板厚を０.１〜０.２mmとし、電磁鋼板リングを
引張強さが８０kg／mm2以上の高張力電磁鋼板とすると
ともに、永久磁石挿入孔を各極当たり１２〜１６個とす
ることは、基本周波数の５倍，７倍，１１倍，１３倍，
１７倍，１９倍の高調波電流を含むインバータで運転し
ても各構成部材にヒートスポットを発生せず、このため
回転子に振動に関する課題が発生しないため、また、固
定子巻線の温度上昇が抑制されて高速回転可能な永久磁
石式回転電機を提供する上で望ましい。
【００３１】更に、各極当たり１２〜１６個の永久磁石
挿入孔間にスリットを介在させることは、回転子にヒー
トスポットを発生せず、このため回転子に振動に関する
課題が発生しないため、高速回転可能な永久磁石式回転
電機を提供する上で望ましい。
【００３２】更に、スリット形状がＲ形状を有している
ことは、永久磁石の配置位置を固定でき、回転子に振動
に関する課題が発生しないため、高速回転可能な永久磁
石式回転電機を提供する上で望ましい。
【００３３】更に、永久磁石式回転電機で、永久磁石挿
入孔と永久磁石間に隙間を設け、隙間に充填材を充填さ
せることは、永久磁石の配置位置を固定でき、回転子に
振動に関する課題が発生しないため、高速回転可能な永
久磁石式回転電機を提供する上で望ましい。
【００３４】更に、永久磁石式回転電機で、永久磁石挿
入孔を電磁鋼板リングの中心径近傍に配置することは、
回転子に振動に関する課題が発生せず、高速回転可能な
永久磁石式回転電機およびこれを用いた空気圧縮機およ
び発電機を提供する上で望ましい。
【００３５】更に、永久磁石式回転電機で、固定子鉄心
の内径と電磁鋼板リングの外径の差であるギャップ長を
２〜３mmとすることは、基本周波数の５倍，７倍，１１
倍，１３倍，１７倍，１９倍の高調波電流を含むインバ
ータで運転しても固定子に発生する損失が少なく、巻線
の温度上昇を抑制し、高速回転が可能な永久磁石式回転
電機およびこれを用いた空気圧縮機および発電機を提供
する上で望ましい。
【００３６】更に、永久磁石式回転電機で、永久磁石内
外周面が曲率を有することは、磁石の遠心力が均等に電
磁鋼板リングに作用し、回転子に振動に関する課題が発
生せず、高速回転可能な永久磁石式回転電機およびこれ
を用いた空気圧縮機および発電機を提供する上で望まし
い。
【００３７】更に、永久磁石式回転電機で、永久磁石内
外周面が平面であることは、安価な磁石を使用でき、安
価な永久磁石式回転電機およびこれを用いた空気圧縮機
および発電機を提供する上で望ましい。
【００３８】更に、永久磁石式回転電機において、永久
磁石挿入孔と永久磁石の径方向幅を異ならせることは、
永久磁石の配置位置を固定でき、回転子に振動に関する
課題が発生しないため、高速回転可能な永久磁石式回転
電機およびこれを用いた空気圧縮機および発電機を提供
する上で望ましい。
【００３９】以下、本発明の実施例を図１〜図８に基づ
いて説明する。各図中において、共通する符号は、同一
物又は相当物を示す。
【００４０】図１に本発明の実施例に係る永久磁石式回
転電機の径方向断面図、図２に本発明の実施例に係る回
転子の径方向断面図を示す。図３には本発明の実施例に
係る空気圧縮機、図４には本発明の実施例に係る電磁鋼
板板厚と回転子振動および巻線温度、図５には本発明の
実施例に係る電磁鋼板引張強さと回転子振動を示す。
【００４１】図１において、永久磁石式回転電機は固定
子１と回転子５から構成される。固定子１は固定子鉄心
２に設けられた複数のスロット３中に巻装された三相
Ｕ，Ｖ，Ｗの電機子巻線４から構成される。回転子５は
導伝性で磁性体のシャフト６の外周に電磁鋼板リング７
を設け、電磁鋼板リング７に周方向均等配置した永久磁
石挿入孔８内に永久磁石９を収め、永久磁石挿入孔８に
永久磁石９間の隙間には充填材１３を詰め、永久磁石挿
入孔８間に設けたスリット１０から構成される。永久磁
石９は電磁鋼板リング７の内外周中央部近傍に設け、内
外周を外方向に凸の曲率を有する。これにより、永久磁
石９の遠心力が均等に電磁鋼板リング７の内周面に作用
する。この永久磁石式回転電機は電動機運転の場合は、
インバータ１１からリアクトル１２を介して交流電流が
供給され、その周波数を変化することによって可変速駆
動される。また、発電機運転の場合は、回転電機が高周
波の発電機となり、その発電出力がリアクトル１２とイ
ンバータ１１（コンバータを含む場合がある）を介して
商用電源を得る構成となる。
【００４２】本実施例の対象としている永久磁石式回転
電機は、空気圧縮機などの羽根車を駆動するもので、回
転数が３０,０００rpm以上の超高速機である。ここで、
課題となるのはインバータからの高調波電流である。イ
ンバータの駆動周波数の関係から、回転電機はおのずと
２極機となる。したがって、駆動周波数は５００Ｈｚ以
上となる。この５００Ｈｚ以上のインバータからの電流
は、ＰＷＭで印加電圧調整されるため、高調波が重畳さ
れ、周波数分析すると、基本周波数の５倍，７倍，１１
倍，１３倍，１７倍，１９倍が重畳される。空気圧縮機
１４はフレーム１５（全部の収納フレームを総称する）
中に、シャフト６が磁気軸受１６（シャフト６の勘合し
た回転子リングを１６ａ），１７（シャフト６の勘合し
た回転子リングを１７ａ）で支承され、シャフト６に回
転子５（電磁鋼板リング７，永久磁石９）が勘合され、
電機子巻線４を巻装した固定子鉄心２が収容されてい
る。空気圧縮工程はシャフト６の一方の軸端に設けられ
た第１段の圧縮段である羽根車１８で空気２０ａを圧縮
して空気２０ｂを排出する。空気２０ｂの一部である空
気２０ｃを中間冷却器２５で冷却し、その冷却された空
気２０ｄ，バルブ21ａを介して磁気軸受１６を冷却し、
冷却された空気２０ｅ，バルブ２１ｂを介して永久磁石
式回転電機を冷却し、冷却された空気２０ｆ，バルブ２
１ｃを介して磁気軸受１７を冷却し、それらの冷却空気
は集められて排出される構成となっている。第２段の圧
縮段である羽根車１９は第１段の圧縮段である羽根車１
８で圧縮した空気２０ｇ（第１段の圧縮空気は２０ｂと
２０ｃの和となる）を圧縮して空気圧縮機１４の出力で
ある空気２０ｈを排出する構成となっている。
【００４３】ここで、重要なことは空気圧縮機１４の出
力である空気を永久磁石式回転電機の冷却空気として使
用していることである。永久磁石式回転電機の電機子巻
線４は直接冷却された空気２０ｅで冷却できるが、所望
の電機子巻線温度にするためには冷却空気を多く必要と
する。また、回転子５は冷却効率が悪い。その理由は永
久磁石式回転電機が超高速で回転しているため、回転子
５の外周は超高速で回転している空気の層が存在し、冷
却空気２０ｅを回転子５に当てても発生した熱を奪い難
いことによる。これより、固定子１，回転子５に発生す
る損失が大きい場合は冷却空気２０ｇの量も大きくせざ
るを得なくなり、その値は数１０ｋＷにもなり、空気圧
縮機の効率が悪くなる。反面、空気圧縮機の効率を考
え、冷却空気を抑えると、電機子巻線温度が高くなり、
かつ回転子温度が高くなり、回転子にヒートスポットが
生じ、回転子の振動から高速回転が困難であるという課
題がある。
【００４４】本実施例はこれに鑑み、高速回転が可能な
超高速の永久磁石式回転電機の使用材料と構成を種々の
実験を通して明確化したものである。
【００４５】固定子鉄心に使用する電磁鋼板の板厚に対
する回転子振動と電機子巻線温度を求めると、図４に示
すようになった（回転子５に引張強さ８０(kg／mm2）の
高張力電磁鋼板を使用）。回転子振動は高速領域まで安
定に回転試験できたものを〇印で示し、回転子振動の課
題で高速領域まで駆動できない場合を×印で示した。図
４において、固定子鉄心２の電磁鋼板板厚を０.３５mm
から０.０５mmまで変化した場合、板厚を０.０５mm に
すると回転振動が大きくなり、板厚を０.１mm 以上にす
ると回転振動の課題がなく、安定に高速回転領域まで運
転できた。この理由は明確でないが、板厚を薄くする
と、フレーム１５内に固定子１を圧入（あるいは焼き嵌
め）すると、固定子鉄心２内径が歪んだり、あるいは固
定子鉄心２端部の変形によるものと考えられる。また、
電機子巻線温度については、板厚の０.０５mm について
はデータがないが、０.１mmから０.２mmまでは所望の温
度範囲に収まったが、０.２５mm 以上では、電機子巻線
温度が所望の温度範囲を越えてしまった。この原因は明
確でないが、基本周波数のみ（正弦波駆動）で運転する
と、板厚０.３５mmも電機子巻線温度が所望の温度範囲
に収まったので、インバータ運転時の高調波電流による
ものと考えている。
【００４６】したがって、永久磁石式回転電機を高速領
域まで安定に駆動するには、回転子５に引張強さ８０(k
g／mm2）の高張力電磁鋼板を用いて、固定子鉄心２に使
用する電磁鋼板の板厚を０.１mm〜０.２mmに設定すれば
良い。
【００４７】また、高張力電磁鋼板引張強さと回転子振
動を求めると、図５に示すようになった（固定子鉄心２
の電磁鋼板板厚は０.１mm を使用）。回転子振動につい
ては、１極分の永久磁石の周方向分割個数をパラメータ
とし、高速領域まで安定に回転試験できたものを〇印で
示し、回転子振動の課題で高速領域まで駆動できない場
合を×印で示した。図５において、電磁鋼板リング７の
高張力電磁鋼板引張強さを５５から９０(kg／mm2）まで
変化した場合、磁石分割個数が１０個までの場合はいず
れの高張力電磁鋼板引張強さを用いても回転振動が大き
くなり、安定な高速回転が得られなかった。磁石分割個
数が１２個の場合は、高張力電磁鋼板引張強さが５５か
ら７０(kg／mm2）の場合は回転振動が大きくなったが、
高張力電磁鋼板引張強さが８０と９０(kg／mm2）の場合
は回転振動が収まり、安定な高速回転が得られた。磁石
分割個数が１４，１６個の場合は１２個の場合と同様
に、高張力電磁鋼板引張強さが８０と９０(kg／mm2）の
場合に回転振動が収まり、安定な高速回転が得られた。
しかし、磁石分割個数を１８個に増加すると、いずれの
高張力電磁鋼板引張強さを用いても回転振動が大きくな
り、安定な高速回転が得られなかった。この理由は明確
でないが、磁石の分割個数を小さくすると、永久磁石９
の永久磁石挿入孔８内における配置誤差が関係している
ものと考え、磁石の分割個数を多くすると、永久磁石９
の表面積が減少してインバータからの高調波電流が多く
なることに関係しているものと考えている。
【００４８】したがって、永久磁石式回転電機を高速領
域まで安定に駆動するには、固定子鉄心２に電磁鋼板板
厚０.１mm を使用し、回転子５の電磁鋼板リング７に引
張強さ８０(kg／mm2）以上の高張力電磁鋼板を用いて、
永久磁石９の周方向分割個数を１２〜１６個に設定すれ
ば良い。
【００４９】言い換えると、永久磁石式回転電機を高速
領域まで安定に駆動するには、回転子５に引張強さ８０
(kg／mm2）以上の高張力電磁鋼板を用いて、固定子鉄心
２に使用する電磁鋼板の板厚を０.１mm〜０.２mmに設定
すれば良い。また、固定子鉄心２に電磁鋼板板厚が０.
１mm〜０.２mmを使用し、回転子５の電磁鋼板リング７
に引張強さ８０(kg／mm2）以上のの高張力電磁鋼板を用
いて、永久磁石９の周方向分割個数を１２〜１６個に設
定すれば良い。
【００５０】図６には本発明の他の実施例に係る回転子
の径方向断面図を示す。図６において、図２と異なるの
は、永久磁石挿入孔８の一部が永久磁石９の厚みより薄
くなるように凹部２２を設けたことである。これによ
り、永久磁石挿入孔８内における永久磁石９の配置誤差
が少なくでき、永久磁石式回転電機を高速領域まで安定
に駆動できる。
【００５１】図７には本発明の更に他の実施例に係る回
転子の径方向断面図を示す。図７において、図２と異な
るのは、固定子鉄心２と磁気軸受１６，１７の回転子リ
ング１６ａ，１７ａとを同じ電磁鋼板で構成し、一体に
打ち抜き構成したことである。これにより、固定子鉄心
２の鉄心利用率を向上でき、永久磁石式回転電機を安価
に製作できる。
【００５２】図８には本発明の更に他の実施例に係る永
久磁石式回転電機の径方向断面図を示す。図８におい
て、図１と異なるのは、永久磁石２４に平板形状の永久
磁石を持ち、永久磁石挿入孔２３の上下面を直線にした
ものである。永久磁石２４には希土類磁石を用いるの
で、平板磁石の方が安価となり、引いては安価な永久磁
石式回転電機が得られる。
【００５３】本実施例の構成において、固定子鉄心２と
回転子５間のギャップ長も重要になり、ギャップ長が
０.２mm未満では巻線温度が大きくなり、ギャップ長が
０.３mmを越えると巻線温度が大きくなるため、最適な
ギャップ長は０.２mm〜０.３mmであることを理由につい
ては明確でないが、種々の実験結果から確認した。
【００５４】図９には本発明の更に他の実施例に係る回
転子の径方向断面図を示す。図９において、図１と異な
るのは、スリット１０の有無であり、スリット１０を設
けないと回転子鉄心の機械強度がアップし、より高速機
が実現できる。
【００５５】以上の説明では、空気圧縮機への適用例を
示したが、分散電源のマイクロタービン発電機（構成は
発電機，空気圧縮機，タービンからなり、軸受が空気軸
受やガス軸受になる）に利用しても同様の効果が得られ
る。
【００５６】以上詳述したように、本発明の実施例によ
れば、例えば、固定子鉄心の複数のスロット中に電機子
巻線を巻装した固定子と、導電性で磁性体のシャフトの
外周に電磁鋼板リングを設け、電磁鋼板リング内の永久
磁石挿入孔に永久磁石を挿入した回転子を有する超永久
磁石式回転電機において、固定子鉄心の板厚を０.１〜
０.２mm とし、回転子のシャフトの外周に設けた磁性体
の電磁鋼板リングを引張強さが８０kg／mm2 以上の高張
力電磁鋼板を採用している。そのため、数百Ｈｚ以上の
基本周波数で動作するインバータ（例えば、基本周波数
の５倍，７倍，１１倍，１３倍，１７倍，１９倍の高調
波電流を含むインバータ）で運転しても各構成部材にヒ
ートスポットを発生せず、このため回転子に振動に関す
る課題が発生しない。また、固定子巻線の温度上昇が抑
制される。よって、安定した高速回転が得られる永久磁
石式回転電機とこれを用いた空気圧縮機や高速発電機を
提供できる。
【００５７】
【発明の効果】本発明によれば、数百Ｈｚ以上の基本周
波数で動作するインバータで駆動しても巻線の温度上昇
や回転子の振動に関する課題の発生がなく、安定した高
速回転が得られる永久磁石式回転電機とこれを用いた空
気圧縮機や高速発電機を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例に係る永久磁石式回転電機の
径方向断面図である。
【図２】本発明の一実施例に係る回転子の径方向断面図
である。
【図３】本発明の一実施例に係る空気圧縮機である。
【図４】本発明に係る電磁鋼板板厚と回転子振動および
巻線温度である。
【図５】本発明に係る電磁鋼板引張強さと回転子振動で
ある。
【図６】本発明の他の実施例に係る回転子の径方向断面
図である。
【図７】本発明の他の実施例に係る回転子の径方向断面
図である。
【図８】本発明の他の実施例に係る永久磁石式回転電機
の径方向断面図である。
【図９】本発明の他の実施例に係る回転子の径方向断面
図である。
【符号の説明】
１…固定子、２…固定子鉄心、３…スロット、４…電機
子巻線、５…回転子、６…シャフト、７…電磁鋼板リン
グ、８…永久磁石挿入孔、９，２４…永久磁石、１０…
スリット、１１…インバータ、１２…リアクトル、１３
…充填材、１４…空気圧縮機、１５…フレーム、１６，
１７…磁気軸受、１６ａ，１７ａ…回転子リング、１８
…第１段の羽根車、１９…第２段の羽根車、２０…冷却
空気、２１…バルブ、２２…凹部、２３…永久磁石挿入
孔、２５…中間冷却器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｈ０２Ｋ 1/22 Ｈ０２Ｋ 1/22 Ａ 7/09 7/09 21/14 21/14 Ｍ Ｇ (72)発明者 高橋 身佳 茨城県日立市大みか町七丁目１番１号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 湧井 真一 茨城県日立市大みか町七丁目１番１号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 福島 康雄 茨城県土浦市神立町603番地 株式会社日 立製作所産業機械システム事業部内 (72)発明者 三浦 治雄 茨城県土浦市神立町603番地 株式会社日 立製作所産業機械システム事業部内 (72)発明者 ▲高▼橋 直彦 茨城県土浦市神立町603番地 株式会社日 立製作所産業機械システム事業部内 Ｆターム(参考） 5H002 AA08 AB07 AB08 AC06 AC07 AE08 5H607 AA04 BB01 BB02 BB14 CC01 DD02 DD16 FF07 FF30 FF36 GG17 5H621 BB07 GA01 GA04 HH01 HH08 JK02 JK05 JK17 5H622 AA03 CA02 CA05 CA10 CB05 CB06 PP03 PP10 PP11 PP20

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】固定子鉄心の複数のスロット中に電機子巻
    線を巻装した固定子と、導電性で磁性体のシャフトの外
    周に電磁鋼板リングを設け、該電磁鋼板リング内の永久
    磁石挿入孔に永久磁石を挿入した回転子を有し、前記固
    定子鉄心の板厚を０.１〜０.２mm とし、前記電磁鋼板
    リングを引張強さが８０kg／mm2 以上の高張力電磁鋼板
    であることを特徴とする永久磁石式回転電機。
  2. 【請求項２】請求項１記載の永久磁石式回転電機を含む
    ことを特徴とする空気圧縮機。
  3. 【請求項３】請求項１記載の永久磁石式回転電機を含む
    ことを特徴とする発電機。
  4. 【請求項４】請求項２において、空気圧縮機の回転子が
    磁気軸受で支承され、該磁気軸受の回転子側の電磁鋼板
    と固定子鉄心の電磁鋼板とを同一にしたことを特徴とす
    る空気圧縮機。
  5. 【請求項５】固定子鉄心の複数のスロット中に電機子巻
    線を巻装した固定子と、導電性で磁性体のシャフトの外
    周に電磁鋼板リングを設け、該電磁鋼板リング内の永久
    磁石挿入孔に永久磁石を挿入した回転子を有し、前記電
    磁鋼板リングを引張強さが８０kg／mm2 以上の高張力電
    磁鋼板とするとともに、前記永久磁石挿入孔を各極当た
    り１２〜１６個としたことを特徴とする永久磁石式回転
    電機。
  6. 【請求項６】請求項５において、前記各極当たり１２〜
    １６個の永久磁石挿入孔間にスリットを介在させたこと
    を特徴とする永久磁石式回転電機。
  7. 【請求項７】請求項６において、前記スリット形状がＲ
    形状を有していることを特徴とする永久磁石式回転電
    機。
  8. 【請求項８】請求項７記載の永久磁石式回転電機を含む
    ことを特徴とする空気圧縮機。
  9. 【請求項９】請求項７記載の永久磁石式回転電機を含む
    ことを特徴とする発電機。
  10. 【請求項１０】固定子鉄心の複数のスロット中に電機子
    巻線を巻装した固定子と、導電性で磁性体のシャフトの
    外周に電磁鋼板リングを設け、該電磁鋼板リング内の永
    久磁石挿入孔に永久磁石を挿入した回転子を有し、前記
    固定子鉄心の板厚を０.１〜０.２mm とし、前記電磁鋼
    板リングを引張強さが８０kg／mm2 以上の高張力電磁鋼
    板とするとともに、前記永久磁石挿入孔を各極当たり１
    ２〜１６個としたことを特徴とする永久磁石式回転電
    機。
  11. 【請求項１１】請求項１０において、前記各極当たり１
    ２〜１６個の永久磁石挿入孔間にスリットを介在させた
    ことを特徴とする永久磁石式回転電機。
  12. 【請求項１２】請求項１１において、前記スリット形状
    がＲ形状を有していることを特徴とする永久磁石式回転
    電機。
  13. 【請求項１３】請求項１２記載の永久磁石式回転電機を
    含むことを特徴とする空気圧縮機。
  14. 【請求項１４】請求項１３において、空気圧縮機の回転
    子が磁気軸受で支承され、該磁気軸受の回転子側の電磁
    鋼板と前記固定子鉄心の電磁鋼板とを同一にしたことを
    特徴とする空気圧縮機。
  15. 【請求項１５】請求項１３記載の永久磁石式回転電機を
    含むことを特徴とする発電機。
  16. 【請求項１６】請求項１，５，６，７，１０，１１及び
    １２のいずれかにおいて、永久磁石挿入孔と永久磁石間
    に隙間を設け、該隙間に充填材を充填させたことを特徴
    とする永久磁石式回転電機。
  17. 【請求項１７】請求項１，５，６，７，１０，１１及び
    １２のいずれかにおいて、永久磁石挿入孔を電磁鋼板リ
    ングの中心径近傍に配置したことを特徴とする永久磁石
    式回転電機。
  18. 【請求項１８】請求項１，５，６，７，１０，１１及び
    １２のいずれかにおいて、固定子鉄心の内径と電磁鋼板
    リングの外径の差であるギャップ長を２〜３mmとしたこ
    とを特徴とする永久磁石式回転電機。
  19. 【請求項１９】請求項１，５，６，７，１０，１１及び
    １２のいずれかにおいて、永久磁石内外周面が曲率を有
    していることを特徴とする永久磁石式回転電機。
  20. 【請求項２０】請求項１，５，６，７，１０，１１及び
    １２，１６，１７，１８及び１９のいずれかにおいて、
    永久磁石内外周面が平面であることを特徴とする永久磁
    石式回転電機。
  21. 【請求項２１】請求項１，５，６，７，１０，１１及び
    １２，１６，１７，１８，１９及び２０のいずれかにお
    いて、永久磁石挿入孔と永久磁石の径方向幅を異ならせ
    ていることを特徴とする永久磁石式回転電機。
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