JP2002106550A - スパイラル状軸受とその製造方法 - Google Patents

スパイラル状軸受とその製造方法

Info

Publication number
JP2002106550A
JP2002106550A JP2000293350A JP2000293350A JP2002106550A JP 2002106550 A JP2002106550 A JP 2002106550A JP 2000293350 A JP2000293350 A JP 2000293350A JP 2000293350 A JP2000293350 A JP 2000293350A JP 2002106550 A JP2002106550 A JP 2002106550A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spiral
sliding
cylindrical body
bearing according
spiral bearing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000293350A
Other languages
English (en)
Inventor
Takemori Takayama
武盛 高山
Yoshikiyo Tanaka
義清 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Komatsu Ltd filed Critical Komatsu Ltd
Priority to JP2000293350A priority Critical patent/JP2002106550A/ja
Publication of JP2002106550A publication Critical patent/JP2002106550A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Support Of The Bearing (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高面圧、低摺動速度においても耐凝着性に優
れ、かつ土砂の侵入に対しても有効な耐摩耗性を示すス
パイラル状軸受とその製造方法を提供する。 【解決手段】 耐摩耗性および耐凝着性に優れた摺動材
料よりなり、断面が略円形もしくは略角形の線材または
帯材をスパイラル状の円筒体に形成してなる構成とす
る。また、このスパイラル状の円筒体を円筒状金属管の
内周面および/または外周面に接合してなる構成とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性および耐
凝着性に優れたスパイラル状軸受とその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、建設機械の作業機に用いられるブ
ッシュは、高面圧、低速の条件下で使用されることか
ら、その材質として通常の青銅系軸受材を用いた場合に
は、簡単に摩耗し、硬度が十分に高くないことから容易
にへたってしまう。このため、耐摩耗性を重視した浸炭
焼入れもしくは高周波焼入れを施した鋼製のものが用い
られている。しかし、この作業機ブッシュにおいては、
作業中に偏荷重がかかり易く、より高面圧で潤滑条件が
厳しくなって作業時に不快な異音を発生することが多い
ため、これを防止するために、高力黄銅製のブッシュや
鋼製ブッシュに潤滑皮膜処理を施したものも多く使用さ
れている。このうち、特に高力黄銅製ブッシュは馴染み
性に優れていることから注目されている。
【0003】また、作業機の軸受部への給脂時間間隔を
伸ばすために、高力黄銅製ブッシュに機械加工穴を設
け、この穴部に多孔質黒鉛を埋め込んで含油させた軸受
材料(例えばオイレス工業社製、500SP)や、含油
焼結鋼軸受および固体潤滑剤を多量に添加した金属焼結
体(例えば東芝タンガロイ社製、SL合金)等も利用さ
れている。
【0004】さらに、特開平3−232905号公報に
おいては、高荷重、衝撃荷重が断続的に作用する過酷な
条件下においても使用可能な摺動部材を得ることを目的
として、表面に複数個の独立した突出部を備えた鋼板か
らなる裏金、または表面に連続した突出部と各突出部に
よって形成された複数個の独立した凹部とを備えた鋼板
からなる裏金と、この裏金の表面の突出部を覆って一体
に被着形成された潤滑性成分として少なくとも3重量%
の黒鉛を分散含有した銅系焼結合金層とからなり、この
焼結合金層には低密度高含油合金層と高密度低含油合金
層が形成された複層焼結摺動部材が提案されている。
【0005】一方、潤滑が行き届かない部位において、
FRPプラスチック、セラミックスを一体成形したブッ
シュを用いることも知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
浸炭焼入れもしくは高周波焼入れを施した鋼製ブッシュ
においては、材料自身の耐焼付き性が十分でないため
に、耐焼付き性不足による不愉快な異音の発生や焼付き
による急速摩耗の発生、さらには軸受ピンなどの折損事
故などが起こり易く、このため、軸受摺動部への給脂作
業を頻繁に実施することが必要となり、常にメインテナ
ンスを行わねばならないという問題がある。
【0007】また、潤滑皮膜処理を施した鋼製ブッシュ
を用いる場合には、一般に潤滑膜を厚く形成することが
困難で、かつ高価な処理となるため、この潤滑膜が摩耗
除去されると前述の鋼製ブッシュと同様の異音発生と焼
付きの問題が発生する。
【0008】また、へたりをほぼ無くする高硬度で、か
つ耐焼付き性に優れているとされる高力黄銅系摺動材料
を作業機ブッシュに用いた場合にも、異音発生の防止お
よび急速な摩耗の防止を図る上では不十分である。
【0009】さらに、高力黄銅製ブッシュに形成した穴
に、潤滑油を含有させた黒鉛を埋め込むようにしたもの
では、高い自己潤滑性を得るために非常に多数の穴加工
工程と黒鉛の充填工程を経る必要があるために、コスト
を顕著に引き上げてしまうという問題点がある。また、
土砂などの侵入し易い部位に使用するときには、十分な
耐摩耗性を発揮するほどに硬化されず、使用寿命が短く
なるなどの問題点がある。
【0010】また、固体潤滑剤(黒鉛、BN、MoS
等)を多量に添加した金属焼結体では、焼結性が困難と
なり、高密度化を図るためにホットプレス等の加圧焼結
手段が必要となってより高価になるという問題点がある
ほか、高密度化された金属焼結体においても従来の固体
潤滑剤がきわめて軟質であるために脆弱性が高く、土砂
侵入による耐摩耗性が悪いなどの問題点がある。
【0011】さらに、焼付き性に優れたセラミックス材
等を利用した作業機ブッシュにおいては、衝撃的な偏荷
重がかかった場合の破損が問題となる。
【0012】本発明は、このような問題点を解消するた
めになされたもので、高面圧、低摺動速度においても耐
凝着性に優れ、かつ土砂の侵入に対しても有効な耐摩耗
性を示し、潤滑剤を多量に含有して摺動時に摺動面全体
に潤滑剤が均一かつ十分に供給でき、偏荷重に対しても
衝撃的な荷重に対しても柔軟な構造体で、機械加工コス
トも低減することのできるスパイラル状軸受とその製造
方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段および作用・効果】前記目
的を達成するために、第1発明によるスパイラル状軸受
は、耐摩耗性および耐凝着性に優れた摺動材料よりな
り、断面が略円形もしくは略角形の線材または帯材をス
パイラル状の円筒体に形成してなることを特徴とするも
のである。
【0014】本発明によれば、線材または帯材をスパイ
ラル状の円筒体に形成したものが用いられているので、
このスパイラル状の円筒体の間隙部がグリースなどの潤
滑剤の供給路となり、摺動面全体に潤滑剤が供給される
とともに、その間隙部にグリースなどの潤滑剤が十分に
溜められることになり、耐凝着性を顕著に向上させるこ
とができる。また、このようにスパイラル状の円筒体と
いう柔軟な構造が採用されているので、偏荷重や衝撃的
な荷重が付加された場合においても、セラミックスなど
の脆性的な摺動材が用いられていてもその摺動材が破壊
するのを防止することができる。また、スパイラルの巻
数を調整することによって、面圧に対する耐荷重性の調
整や、巻直径もしくは巻数を部分的に変えることによっ
て面圧の平均化や衝撃荷重の緩衝役割を付加することが
できる。
【0015】次に、第2発明は、第1発明において、ス
パイラル状の円筒体を円筒状金属管の内周面および/ま
たは外周面に接合するように構成したものである。耐凝
着性および耐摩耗性に優れた摺動材料はきわめて高価な
材料であることが多いことから、本発明のように例えば
鋼のような円筒状金属管の内周面および/または外周面
に前記円筒体を接合するようにすれば、材料使用量を低
減することができて効果的である。なお、前記スパイラ
ル状の円筒体を円筒状金属管の内周面に配する際には、
円筒状金属管の内周面部に円筒体の外周面が固定される
ことが必要となるが、その固定方法としては一般的なロ
ー付けや接着などの方法を用いることが有効である。
【0016】この場合、スパイラル状の円筒体と円筒状
金属管とを樹脂などの防振機能部材を介して一体化する
のが好ましく(第3発明)、こうすることで、異音発生
のない複層軸受を提供することが可能となる。
【0017】前記各発明において、スパイラル状の円筒
体における、潤滑油の溜りを形成する間隙部の面積は摺
動面の面積の20%以上になるようにするのが好ましい
(第4発明)。このようにすれば、潤滑油が摺動面に良
く行き渡るようになり、摩擦係数を高面圧側においても
より低く安定させることができる。
【0018】また、前記スパイラル状の円筒体に使用す
る摺動材料としては特に制限はないが、例えば作業機ブ
ッシュのように高面圧で、摺動速度が遅いといった、鋼
に対し凝着し易い環境下で使用する際には、前述の高力
黄銅材も良いが、土砂の侵入に対する耐摩耗性をより重
視する場合には、炭化物、窒化物、炭窒化物、とりわけ
Cr炭化物、Cr窒化物、Cr炭窒化物のいずれかが分
散された高Cr鋼材を用いることが好ましい(第5発
明)。この他に、金属間化合物系摺動材料(第6発
明)、耐火金属系摺動材料(第7発明)、セラミックス
系摺動材料(第8発明)などを使用することができる。
【0019】ここで、前記炭化物、窒化物、炭窒化物を
含有する耐摩耗摺動材料としては、高Cr鋼材のほか、
Cr,Mo,V,Ti,W等の炭化物、窒化物形成能の
大きい元素を多量に添加した各種工具鋼が好ましく、超
硬、サーメット等も好ましい。これら超硬、サーメット
は切削工具に多数利用されていることからも明らかに耐
摩耗性と耐凝着性に優れている。コスト的な観点から
は、熱間鍛造性に優れた工具鋼を利用することが好まし
いが、スプリング様のスパイラル加工をより簡単にする
ためには、例えばCrを高濃度に含有するステンレス鋼
や、V,Ti,Mo,W,Al等を含有する線状、リボ
ン状、帯状、バー状の鋼をスパイラル状に曲げ加工した
後に、浸炭、浸窒、浸炭浸窒処理を施して利用すること
がより好ましい。
【0020】また、前記金属間化合物系摺動材料として
は、TiNi、CuAlZn等の形状記憶合金やNiA
l、CoAl等の金属間化合物が好ましい。このうち、
形状記憶合金TiNi(Hv=500)はきわめて耐土
砂摩耗性に優れており、かつ耐凝着性に対して優れてい
る。これは摺動時の凝着点における過負荷状態が形状記
憶効果の発現する変態塑性によって緩和されることによ
り耐摩耗性および耐凝着性を発揮することによるものと
考えられる。このTiNiはブッシュ材として用いるの
にきわめて有効である。
【0021】さらに、セラミックス系摺動材料として
は、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素、アルミナ、サイ
アロン、Al−TiC、黒鉛−SiC等を適用す
るのが好ましい。
【0022】また、前記第4発明において、前記潤滑油
の溜りを形成する間隙部に、黒鉛、二硫化モリブデン、
含油プラスチック、ワックス類等の潤滑機能剤が配置さ
れるのが好ましい(第9発明)。
【0023】前記各発明における軸受を作業機ブッシュ
として利用するに際して、スパイラル状の円筒体の内周
面を摺動面として利用する場合には、ブッシュを挿入す
る穴部内周面にスパイラル状の円筒体の外周面がスプリ
ング力によって押し付けられた状態になるようにセット
するのが好ましい。また、外周面接触面積が内周面接触
面積よりも大きくなるようにし、かつ外周面の面粗さを
内周面の面粗さより荒くするなどの工夫によって稼動時
のブッシュの供回りを防止することが好ましい。
【0024】さらに、稼動中の軸受(例えば作業機ブッ
シュ)の両端面からグリースなどの潤滑剤が流出し易
く、長期間の連続使用において潤滑切れが起こり易くな
ることが懸念される場合には、この軸受の両端部での隙
間が詰まるように加工を行うのが好ましい。
【0025】次に、前記第2発明によるスパイラル状軸
受に関して、第10発明によるスパイラル状軸受の製造
方法は、耐摩耗性および耐凝着性に優れた線状もしくは
帯状の摺動部材をスパイラル状の円筒体に曲げ加工した
後、この円筒体を円筒状金属管の内周面および/または
外周面に配置して両者間を接合することを特徴とするも
のである。
【0026】本発明においても、前記スパイラル状の円
筒体における、潤滑油の溜りを形成する間隙部の面積が
摺動面の面積の20%以上になるようにされるのが好ま
しい(第11発明)。また、前記潤滑油の溜りを形成す
る間隙部に、黒鉛、二硫化モリブデン、含油プラスチッ
ク、ワックス類等の潤滑機能剤が配置されるのが良い
(第12発明)。さらに、前記摺動部材がCr炭化物、
Cr窒化物、Cr炭窒化物のいずれかを分散させた高C
r鋼材よりなり、この摺動部材の曲げ加工後に、浸炭、
浸窒、浸炭浸窒によってそれらCr炭化物、Cr窒化
物、Cr炭窒化物の分散粒子が微細に析出されるように
するのが好ましい(第13発明)。
【0027】これら各発明において、外周用金属円筒管
としては焼結金属円筒管を用いるのが好ましい。この場
合、焼結金属円筒管を成形する際に前記スパイラル状の
円筒体を埋めた状態で成形し、この後に焼結するのが好
ましい。とりわけ、この外周用金属円筒管としては、コ
ストおよび強度の点で鋼系の材料を用いるのが好まし
く、これらを成形する際には、例えば冷間静水圧加機
(CIP)等を用いてスパイラル状の円筒体の半径方向
への加圧力が作用するように成形するのが好ましい。こ
の理由は、円筒体の半径方向およびそれと直角方向への
両方の加圧力が作用するような成形を実施した場合に
は、加圧力を除去した後にスパイラル状の円筒体のスプ
リングバック力によって成形体が破損するためである。
なお、内径部にマンドレルを配置して成形すると、スパ
イラル状の円筒体の内径面が精度良く成形され、内周面
部の後加工量を低減することができる。
【0028】前記スパイラル状の円筒体の断面形状とし
ては、線材を使用した場合には略円形となるが、焼結体
に埋め込んで利用する場合には、アンカー効果によって
焼結体との接合が安定するように略四角形形状もしくは
略台形形状であるのが好ましい。
【0029】さらに、焼結材に例えば銅系摺動材料に用
いられるSn,Pb,Ni,Zn等を含有する銅合金を
溶浸して、鉄系焼結材料の摺動特性を改質したり、強度
を高めたり、焼結温度を調整したりすることが好まし
い。また、これ以外に、焼結材の空孔中に潤滑油を含有
させることによって耐凝着性を高めるようにすることも
できる。
【0030】
【実施例】次に、本発明によるスパイラル状軸受とその
製造方法の具体的な実施例について、図面を参照しつつ
説明する。
【0031】(実施例1)図1には、本実施例で使用さ
れたブッシュ(スプリングタイプ)1が一部破断して示
されている。本実施例において使用した摺動材料は、S
US410相当材(Fe−0.3Mn−16.7Cr−
1.1Si−2Mo−1Ni−1.4V−0.8A
l)、SCM420およびZrO(3%Y部分
安定ジルコニア)であり、内周面は直径40mmに加工
してある。SUS410相当材については、スパイラル
の隙間がそれぞれ0.1〜0.2,1,2,4,6mm
になるようにそれぞれの水準で巻加工し、この後100
0℃で2hrの浸炭焼入れおよび浸炭浸窒焼入れ処理を
施して、Cr炭化物およびCr窒化物を析出分散させた
ものを使用した。浸炭、浸炭浸窒したSUS410材の
表面炭素濃度および表面窒素濃度はそれぞれ3.4重量
%C、1.6重量%Nであった。また、ZrOとSC
M420材のスパイラルブッシュについては隙間が2m
mのもののみを準備した。
【0032】また、比較のために、図2に示されるよう
な内周面に溝加工2を施したSUS410材、SCM4
20材の浸炭焼入れブッシュを準備した。なお、ZrO
材のブッシュには溝加工を実施していない。
【0033】上述のように準備したブッシュについて、
図3(a)の設備概念図に示される往復動軸受試験装置
を用い、図3(b)に示される試験条件にて摺動試験を
行った。この摺動試験は、一定の面圧で1000回の往
復動を行った後に順次面圧を上げていき、その摩擦係数
が急上昇する面圧とそのときの摩耗量(摩耗深さmm)
または異音の発生する面圧を測定した。図4にはその試
験結果が示されている。
【0034】この試験結果から次のことがわかる。 (1)SUS410材およびSCM420材において、
スパイラル構造のブッシュとすることによって、グリー
ス潤滑が摺動面に良く行き渡るようになり、とりわけス
パイラルの隙間が摺動面の20%以上においては、摩擦
係数が高面圧側でもより低く安定する。 (2)SCM420材に比べて、Cr炭化物、Cr窒化
物を分散させたSUS410材の方が摩擦係数がより高
面圧側まで低く安定する。 (3)SUS410材のスパイラルブッシュにおいて、
スパイラルの隙間が大きくなるにしたがって、グリース
潤滑効果が大きくなり、摩擦係数が高面圧側において低
く安定するが、その隙間が大きくなり過ぎると摺動面積
が小さくなり過ぎることによる凝着性が問題となるの
で、摺動材料に合わせた最大隙間がある。 (4)ZrOにおいては、1000kg/cmの最
高面圧まで凝着性が認められなかったが、スパイラル化
することによって、グリース潤滑性が向上して、低摩擦
係数化している。なお、ZrO一体ブッシュでは、面
圧700〜800kg/cmで欠損していることか
ら、スパイラルブッシュが偏荷重下での耐欠損性にも優
れている。
【0035】なお、本実験中において比較例のブッシュ
では、摩擦係数が増大し始める付近において異音が発生
し易くなるが、本実施例のスパイラルブッシュにおいて
は、SCM420材が僅かに鈍い音を発生したことを除
けば、その他の材料では摩擦係数の増大によっても異音
が発生することがなかった。
【0036】(実施例2)図5には、本実施例で使用さ
れたブッシュ(接合タイプ)3が一部破断して示されて
いる。本実施例において使用した摺動材料は、実施例1
と同じ浸炭焼入れ処理を施したSUS410相当材(F
e−0.3Mn−16.7Cr−1.1Si−2Mo−
1Ni−1.4V−0.8Al)、SCM420、Ni
Ti、Wであり、内周面は直径40mmに加工してあ
る。なお、スパイラル間の隙間は2mmに統一してあ
る。外周用金属円筒管4にはS45C炭素鋼の素材調質
管を用いた。そのビッカース硬さはほぼHv=400に
なるようにした。
【0037】また、外周用金属円筒管4の内径はスパイ
ラル円筒体5の外周面より僅かに小さいものとして、ス
パイラル円筒体5を外周用金属円筒管4の内周面に配し
て、金属用アラルダイト接着剤を用いて両者間を接着し
た。また、この接着後に内径を加工した。
【0038】摺動試験は実施例1と同じ条件で実施し
た。この試験結果が図6に示されている。この結果か
ら、形状記憶合金であり、防振合金であるNiTiの摩
擦係数が低く、かつ最高面圧まで焼付くことなく、異音
発生のない、優れた摺動材料としての機能を有している
ことがわかる。
【0039】また、実施例1の摩擦係数の増大に伴って
異音を発生したSCM420材においても異音の発生が
なく焼付いた。これは外周用金属円筒管4とスパイラル
円筒体5との間を弾性係数のより小さな有機接着剤をも
って接着したことによる防振作用に起因する。このこと
から、スパイラル円筒体5と外周用金属円筒管4とを有
機材料などの防振材料を介して接合することは、異音の
発生を防止できるブッシュを得る上で効果的であること
が明らかである。
【0040】(実施例3)本実施例では、油潤滑下での
SiC含有(20重量%)ポルトランドセメント円盤に
摺動材料を押し付けた時の土砂摩耗性を調査した。図7
には、本実施例で用いられた試験装置の概念図が示され
ている。この試験装置は、ドーナッツ形の砥石6を回転
させながら、その表面に潤滑剤7を供給しつつ、基準材
(S45C焼入れ焼戻し材)8と試験材9とを同時に取
り付けてそれらを自転させて摩耗量を測定するように構
成されている。なお、試験条件は図7中に示されている
とおりである。
【0041】図8には、この試験結果が示されている。
この結果は、試験材9の摩耗性を基準材8に対する摩耗
量の比で評価したものである。この結果から明らかなよ
うに、NiTi,CoTiなどの形状記憶金属間化合物
の耐摩耗性が硬さの割りにきわめて優れていることがわ
かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で使用されたブッシュの一部
破断正面図である。
【図2】図2は、実施例1の比較例のブッシュを示す断
面図である。
【図3】図3は、実施例1で用いた試験装置の概念図
(a)と試験条件(b)である。
【図4】図4は、実施例1の試験結果を示すグラフであ
る。
【図5】図5は、実施例2で使用されたブッシュの一部
破断正面図である。
【図6】図6は、実施例2の試験結果を示すグラフであ
る。
【図7】図7は、実施例3に用いた試験装置の概念図で
ある。
【図8】図8は、実施例3の試験結果を示すグラフであ
る。
【符号の説明】 1 ブッシュ(スプリングタイプ) 2 溝加工 3 ブッシュ(接合タイプ) 4 外周用金属円筒体 5 スパイラル円筒体 6 砥石 7 潤滑剤 8 基準材 9 試験材
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年10月18日(2000.10.
18)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21D 1/06 C21D 1/06 A F16C 27/02 F16C 27/02 Z 33/10 33/10 D 33/12 33/12 A 33/14 33/14 Z 33/24 33/24 A // C10N 10:12 C10N 10:12 40:02 40:02 Fターム(参考) 3J011 BA20 DA02 KA02 SB02 SB12 SC01 SD01 SE05 SE06 3J012 AB07 BB01 CB04 EB20 HB01 4H104 AA04A AA19A BA02A CA01A DA05A FA06 PA01 QA21 RA03

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐摩耗性および耐凝着性に優れた摺動材
    料よりなり、断面が略円形もしくは略角形の線材または
    帯材をスパイラル状の円筒体に形成してなることを特徴
    とするスパイラル状軸受。
  2. 【請求項2】 前記スパイラル状の円筒体が円筒状金属
    管の内周面および/または外周面に接合されてなる請求
    項1に記載のスパイラル状軸受。
  3. 【請求項3】 前記スパイラル状の円筒体が防振機能部
    材を介して前記円筒状金属管に一体化されている請求項
    2に記載のスパイラル状軸受。
  4. 【請求項4】 前記スパイラル状の円筒体において、潤
    滑油の溜りを形成する間隙部の面積が摺動面の面積の2
    0%以上になるようにされる請求項1〜3のうちのいず
    れかに記載のスパイラル状軸受。
  5. 【請求項5】 前記摺動材料が、Cr炭化物、Cr窒化
    物、Cr炭窒化物のいずれかが分散された高Cr鋼材で
    ある請求項1〜4のうちのいずれかに記載のスパイラル
    状軸受。
  6. 【請求項6】 前記摺動材料が、金属間化合物系摺動材
    料である請求項1〜4のうちのいずれかに記載のスパイ
    ラル状軸受。
  7. 【請求項7】 前記摺動材料が、耐火金属系摺動材料で
    ある請求項1〜4のうちのいずれかに記載のスパイラル
    状軸受。
  8. 【請求項8】 前記摺動材料が、セラミックス系摺動材
    料である請求項1〜4のうちのいずれかに記載のスパイ
    ラル状軸受。
  9. 【請求項9】 前記潤滑油の溜りを形成する間隙部に、
    黒鉛、二硫化モリブデン、含油プラスチック、ワックス
    類等の潤滑機能剤が配置される請求項4に記載のスパイ
    ラル状軸受。
  10. 【請求項10】 耐摩耗性および耐凝着性に優れた線状
    もしくは帯状の摺動部材をスパイラル状の円筒体に曲げ
    加工した後、この円筒体を円筒状金属管の内周面および
    /または外周面に配置して両者間を接合することを特徴
    とするスパイラル状軸受の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記スパイラル状の円筒体において、
    潤滑油の溜りを形成する間隙部の面積が摺動面の面積の
    20%以上になるようにされる請求項10に記載のスパ
    イラル状軸受の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記潤滑油の溜りを形成する間隙部
    に、黒鉛、二硫化モリブデン、含油プラスチック、ワッ
    クス類等の潤滑機能剤が配置される請求項11に記載の
    スパイラル状軸受の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記摺動部材がCr炭化物、Cr窒化
    物、Cr炭窒化物のいずれかを分散させた高Cr鋼材よ
    りなり、この摺動部材の曲げ加工後に、浸炭、浸窒、浸
    炭浸窒によってそれらCr炭化物、Cr窒化物、Cr炭
    窒化物の分散粒子が微細に析出される請求項10〜12
    のうちのいずれかに記載のスパイラル状軸受の製造方
    法。
JP2000293350A 2000-09-27 2000-09-27 スパイラル状軸受とその製造方法 Pending JP2002106550A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000293350A JP2002106550A (ja) 2000-09-27 2000-09-27 スパイラル状軸受とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000293350A JP2002106550A (ja) 2000-09-27 2000-09-27 スパイラル状軸受とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002106550A true JP2002106550A (ja) 2002-04-10

Family

ID=18776158

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000293350A Pending JP2002106550A (ja) 2000-09-27 2000-09-27 スパイラル状軸受とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002106550A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009108902A (ja) * 2007-10-29 2009-05-21 Denso Corp シャフト支持構造
CN102364139A (zh) * 2011-11-11 2012-02-29 济南大学 一种高温自补偿润滑轴承及其制备方法
CN102454706A (zh) * 2010-10-25 2012-05-16 鸿进科技股份有限公司 蛇腹式轴承与运用该轴承的轴承组成结构与微型旋转装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009108902A (ja) * 2007-10-29 2009-05-21 Denso Corp シャフト支持構造
CN102454706A (zh) * 2010-10-25 2012-05-16 鸿进科技股份有限公司 蛇腹式轴承与运用该轴承的轴承组成结构与微型旋转装置
CN102364139A (zh) * 2011-11-11 2012-02-29 济南大学 一种高温自补偿润滑轴承及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4823183B2 (ja) 銅系焼結摺動材料およびそれを用いる焼結摺動部材
US7648773B2 (en) Thermal spray membrane contact material, contact member and contact part, and apparatuses to which they are applied
US6334914B2 (en) Copper alloy sliding material
KR101533458B1 (ko) 내마모성이 향상된 슬라이딩 베어링 및 그 제조방법
US6962458B2 (en) Coupling device for equipment implement
KR101222882B1 (ko) 소결 슬라이딩 재료, 슬라이딩 부재, 연결장치 및 슬라이딩부재가 적용되는 장치
KR101607726B1 (ko) 슬라이딩 부재용 고력 황동 합금 및 슬라이딩 부재
JPH0949006A (ja) 自己潤滑性焼結摺動材およびその製造方法
KR100193606B1 (ko) 소결접동부재
JP4282284B2 (ja) 履帯
JP4416313B2 (ja) 摺動材料並びに複合焼結摺動部材およびその製造方法
US8815407B2 (en) Sliding bearing having improved lubrication characteristics
JPH07174143A (ja) 転がり軸受
JP2003342700A (ja) 焼結摺動材料並びに焼結摺動部材およびその製造方法
JP2002106550A (ja) スパイラル状軸受とその製造方法
KR100881935B1 (ko) 분말 야금 부품을 포함하는 구름 베어링
JP2008151236A (ja) 転がり軸受
JP2003221838A (ja) 作業機連結装置
JP4236665B2 (ja) 自己潤滑性焼結摺動材およびその製造方法
JP2007155022A (ja) 転動装置
JP2007225077A (ja) すべり軸受及びその製造方法
JP2007056940A (ja) スラスト針状ころ軸受
JP2003214430A (ja) 焼結滑り軸受
JP4928997B2 (ja) 耐摩耗性部材およびそれを用いた耐摩耗性機器
KR20160134734A (ko) 슬라이딩 베어링 또는 롤링 베어링용 베어링 요소

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060224

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081016

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20081104

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081226

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090303