JP2002096222A - ドリルシャンク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 径の小さいダイヤモンド砥粒焼結体のセグメ
ントを採用する際、穿孔時にシャンクにかかる応力は極
めて不安定である。人が穿孔機を手で持って作業したり
更には作業しにくい環境であることも多いため、径の大
きいパイプのシャンクに比べパイプの軸心方向以外にも
応力がかかる。また穿孔面積が小さくなった分穿孔速度
は早まるため、シャンクには強度が求められる。従って
穿孔による不安定な負荷に耐えるためパイプとボスの接
合強度が確保されたドリルシャンクを提供する。 【解決手段】 ボス１の穿孔機に取り付けられる反対側
にパイプ２を焼きバメで固定させる。ボスが焼きバメで
パイプを固定する長さはパイプの径の３の倍ないし４倍
以上が強度上および使用上適当である。次にボス１とパ
イプ２の端面を溶接部４でボス１と溶接する。パイプの
長手方向の端面で溶接されることによりパイプに及ぼす
溶接歪みは最小に押さえらる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は石材・セラミックス・
コンクリート等に小さい穴をあける際に用いられるダイ
ヤモンドドリルのシャンクに係わり、より詳しくは精度
・強度に優れたシャンクに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】穴あけ加工により冷却材を導入する貫通
孔を有する金属、あるいは中空材にボスとパイプが一体
になったものを旋削加工により成形する。しかしこの加
工では、細いパイプの部分を加工する際に加工応力によ
り歪み・曲がりを発生させる。この際このシャンクの軸
心と加だいやもんど工後のパイプの芯がずれ、数千回転
あるいは１万回転以上で使用される場合、異常な振動を
生じたり更には工具の芯が定まらないために工具の破損
にまで進むことがある。

【０００３】またボスとパイプを本発明同様個々に製作
し外周側から溶接して一体にした場合にも、パイプにか
かった溶接残留応力によりパイプに歪み・曲がりを発生
させる。

【０００４】ボスとパイプの接合部にネジ加工を施すこ
とにより接合する方法も工具としての芯が定まりにく、
また接合強度は弱い。また使用時にネジが緩むことがあ
る。

【０００５】また量産する場合には、金型冷間成形の絞
り加工による方法もある。しかし冷間成形後に熱処理を
施しても完全に残留応力を除去することは難しく、工具
として穴あけ作業に使用する際、シャンクにコンクリー
ト・石材等の被作物との摩擦熱や切り屑との摩擦熱、ま
た先端の刃先に発生する研削・切削熱がシャンクに伝達
した際、冷間成形時の加工残留応力により歪み・曲がり
が生じる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】この発明は以上の点を
鑑み、精度・強度とも優れたシャンクを提供することに
ある。

【０００７】

【問題を解決するための手段】請求項１の発明は特殊鋼
によるパイプ２とボス１とが高精度・高強度で接合され
ることを目的としており、ボス１がパイプ２全体を均等
になおかつ精度を損なう過度の応力がかからないように
接合させるためのものである。

【０００８】ボス１の穿孔機に取り付けられる反対側に
パイプ２を焼きバメで固定させる。ボスが焼きバメでパ
イプを固定する長さはパイプの径の３倍ないし４倍以上
が強度上および使用上適当である。次にボス１とパイプ
２の端面を溶接部４でボス１と溶接する。パイプの長手
方向の端面で溶接されることによりパイプに及ぼす溶接
歪みは最小に押さえられる。

【０００９】請求項２の発明はさらに直径の小さい孔を
開ける際、特殊鋼によるパイプ２とボス１とが高精度・
高強度で接合されることを目的としており、ボス１がパ
イプ２全体を均等になおかつ精度を損なう過度の応力が
かからないように接合させるために、ボスとパイプの間
に保護パイプを挿入したものである。

【００１０】径の小さいダイヤモンド砥粒燒結体のセグ
メント６を採用する際、穿孔時にシャンクにかかる応力
は極めて不安定である。人が穿孔機を手で持って作業し
たり更には作業しにくい環境であることも多いため、径
の大きいパイプのシャンクに比べパイプの軸心方向以外
にも応力がかかる。

【００１１】また穿孔面積が小さくなった分穿孔速度は
早まるため、シャンクには強度が求められる。従って穿
孔による不安定な負荷に耐えるためパイプとボスの接合
強度を強化する必要がある。

【００１２】パイプ２の外周側に、ボス１と接する部分
に保護パイプ６を挿入させて嵌着させ２重にし、ボス１
とパイプ２・保護パイプ６を同時に溶接することにより
接合部にかかる負荷を分散させ、穿孔時にかかる接合部
の強度を大幅に向上させることができる。パイプの直径
が５ｍｍ以下の場合、用途・必要により保護パイプを２
重以上にし強度を確保する場合もある。

【００１３】

【作用】ボス１にパイプ２が焼きバメにより固定される
ため、ボス１とパイプ２の芯がずれ難く、さらに４でボ
ス１とパイプ２が溶接されるためパイプの曲がりが少な
く高い接合強度がえられる。また更に細いパイプを採用
する際には保護パイプ５を有しているので細いパイプで
あっても安定した強度が得られる。

【００１４】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に従って説明す
る。図１は本考案の縦断面図である。

【００１５】ボス１の片側には電動ドリル等に装着でき
るようにネジが施されている。取り付け方法は相手方の
機械に従うためネジに拘らない。ボス１の反対側にはパ
イプ２が挿入されるための孔加工が施されている。孔の
直径はパイプと焼きバメされる寸法とする。ボスを加熱
し（構造鋼で摂氏５００度前後）パイプを挿入したあと
冷却する。

【００１６】焼きバメされた後、パイプ２の端面を溶接
部４でボス１とパイプ２の円周部を連続に溶接する。

【００１７】このようにして直径５ｍｍの穴を開けるた
めのシャンクを製作した。材料はパイプをクロムモリブ
デン鋼ＳＣＭ４３５、ボスは機械構造用炭素鋼を採用、
パイプの直径を４．５ｍｍとしシャンクの全長を１５０
ｍｍにした場合、パイプ先端での芯ブレは０．０７以下
であり、また接合強度はトルク値で８０ないし８５ｋｇ
−ｃｍが得られた。また直径３．５ｍｍのパイプの場
合、このパイプの外側に直径６．５ｍｍ、内径３．５ｍ
ｍのパイプで抱き込むように精度良く挿入させ、ボスの
内側から溶接することによりアムスラー試験で１３５０
ｋｇ／ｍｍ^２の値を得た。これは直径３．５ｍｍのパイ
プをそのままボスに溶接した場合のアムスラー試験値２
８０ｋｇ／ｍｍ^２の値を大きく上回っており、保護パイ
プを挿入させた効果が出ている。

【００１８】

【効果】以上の方法による本発明のシャンクは、安定し
た精度が得られ、尚且つ同様に安定した接合強度を有し
ていた。またボスとパイプとの接合による加工方法は量
産にも適しており安価な生産も可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のシャンクの縦断面図である。

【図２】保護パイプの嵌着態様を示す一部断面図であ
る。

【符号の説明】

１ ボス ２ パイプ ３ 嵌着部 ４ 溶接部 ５ 保護パイプ ６ セグメント

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転機能のある機械に取り付けられるダ
   イヤモンドドリルにおいて、機械に取り付けられるボス
   の部分と刃先が取りつけられるパイプが嵌着部で焼きバ
   メで固定され、尚且つパイプ端面がボスと溶接されるド
   リルシャンクの製造方法。
2. 【請求項２】パイプの外周側に保護パイプを挿入し、ボ
   スとパイプ及び保護パイプを同時に溶接するドリルシャ
   ンクの製造方法。