JP2002095734A - 潤滑性を有する医療用具及びその製造方法 - Google Patents

潤滑性を有する医療用具及びその製造方法

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JP2002095734A
JP2002095734A JP2000288746A JP2000288746A JP2002095734A JP 2002095734 A JP2002095734 A JP 2002095734A JP 2000288746 A JP2000288746 A JP 2000288746A JP 2000288746 A JP2000288746 A JP 2000288746A JP 2002095734 A JP2002095734 A JP 2002095734A
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compound
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vinyl lactam
anhydride group
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Keiichi Yamamoto
慶一 山本
Masanao Koyama
正直 小山
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材の材質にかかわらず、基材表面に耐久性
に富む優れた表面潤滑性を有する医療用具を提供するこ
と、及び医療用具を構成する基材の材質にかかわらず耐
久性に富む優れた表面潤滑性を付与できる簡便な医療用
具の製造方法を提供する。 【解決手段】 基材表面に酸無水物基を有するポリマー
とビニールラクタム化合物のポリマー、さらに活性水素
を2個以上有する化合物から形成される架橋被膜を有
し、潤滑性を有することを特徴とする医療用具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、湿潤時に優れた表
面潤滑性を示す医療用具及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、経皮的にカテーテルを体内に挿入
して治療や診断をおこなうことが多くなり、それに伴っ
てカテーテルやガイドワイヤー等を目的の部位に挿入す
る必要が高まっている。そのため、これらの医療用具に
は血管等の組織損傷を軽減したり、目的部位への挿入性
を向上させる目的で、材料表面の低摩擦化のために親水
性ポリマーをコーティングしている。
【0003】親水性ポリマーをコーティングする方法と
しては、米国特許第4100309号明細書にイソシア
ネートを用いてポリビニールピロリドンをコートする方
法が開示されている。また特開昭59−81341号公
報にはイソシアネートを用いて反応性官能基を有する親
水性共重合体をコートする方法が、特開昭58−193
766号公報にはアミノ基、イミノ基、カルボキシル
基、メルカプト基の少なくとも1種類以上が存在してい
る表面に、ポリイソシアネートを介してポリエーテル、
ポリアミド、ポリシロキサン等の共重合体を結合させる
方法がそれぞれ開示されている。さらに、WO90/0
1344号国際公開パンフレットには反応性官能基を有
するポリマーを基材表面に塗布した後、該反応性官能基
と反応しうる反応性官能基を有する親水性ポリマーをコ
ーティングする方法が開示されている。さらにまた、特
公平1−33181号公報には基材表面に存在する反応
性官能基と無水マレイン酸系高分子とを共有結合させる
ことにより、潤滑性を付与する方法が開示されている。
【0004】しかし、イソシアネート化合物と親水性ポ
リマーの2種類の化合物を均一にコーティングしなけれ
ばならなかったり、複数のコーティング操作を必要とす
るため、作業が煩雑であり、またイソシアネート基等の
反応性の高い官能基を有する化合物は容易に不純物と反
応するため、工程管理が困難であったり、人体に有害で
ある等の問題を有していた。さらに、特公平1−550
23号公報に開示されている方法や、特公平1−331
81号公報に開示されている方法では、潤滑性を付与し
ようとする基材表面に反応性官能基が必要であるため、
潤滑性を付与できる材料が限定されると言う問題を有し
ていた。
【0005】これに対して、医療用具を構成する基材の
材質にかかわらず、基材表面が湿潤時に優れた表面潤滑
性を有する医療用具の提供、及びそれら医療用具の簡便
な製造方法として、特開平10−248918号及び特
開平10−248920号が開示されている。これらに
記載の方法は、いずれも高度な潤滑性を基材表面に容易
に付与できるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、医療用
具の中には、例えば上記表面潤滑性を有するカテーテル
と表面凹凸を有するコイル型ガイドワイヤーあるいはメ
ッシュ状金属ステンレス等との摩擦等、その使われ方に
おいて基材表面から見れば非常に過酷な場合がある。こ
の様なケースにおいても医療用具の表面は、良好な潤滑
性を高度に維持する必要があるが、上記表面処理方法で
は経済的な潤滑性の喪失は免れえない。このことから本
発明は基材表面の潤滑性が高度の耐久性を有する方法を
示したものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討を重ねた結果、医療用具を構成
する基材表面で酸無水物基を有するポリマーとビニール
ラクタム化合物のポリマー、さらに活性水素を2個以上
有する化合物とからなる架橋膜を形成させることによ
り、医療用具を構成する基材の材質に係わらず、湿潤時
に永続的な潤滑性を有する医療用具が得られることを見
出し、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は、基材表面に酸無水物
基を有するポリマーとビニールラクタム化合物のポリマ
ー、さらに活性水素を2個以上有する化合物から形成さ
れる架橋被膜を有し、潤滑性を有することを特徴とする
医療用具を要旨とするものであり、特に好ましくは、酸
無水物基を有するポリマーに対するビニールラクタム化
合物のポリマーの重量比率が、0.01%〜5%である
ことを特徴とするものであり、また、特に好ましくは、
酸無水物基を有するポリマーは、酸無水物基の0.1〜
10モル%が反応して架橋被膜を形成していることを特
徴とするものである。また、本発明は、酸無水物基を有
するポリマーとビニールラクタム化合物のポリマー、さ
らに活性水素を2個以上有する化合物を基材表面で反応
させて基材表面に架橋被膜を形成させ、次いで水系媒体
中に浸漬することを特徴とする潤滑性を有する医療用具
の製造方法を要旨とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を説明する。
本発明における医療用具は、主として体内への留置また
は体内からの抜去操作がおこなわれるものであり、例え
ば、IVHカテーテル、サーモダイリューションカテー
テル、血管造影用カテーテル、血管拡張用カテーテル、
人工血管、シャントチューブ、カニューラー、ダイレー
ター、留置針、ガイドワイヤー、血流量や血中ガス濃度
を測定する各種センサー等の血管内に挿入ないし留置さ
れる医療用具、導尿カテーテル等の尿道又は尿管に挿入
ないしは留置される医療用具、気管切開チューブ、気管
内チューブなどの気管に挿入ないしは留置される医療用
具、経管栄養チューブ、栄養カテーテル、胃管チューブ
等の経口ないしは経鼻的に挿入ないしは留置される医療
用具、さらには腹腔ドレナージチューブ、人工腎臓、人
工心臓、人工弁、人工肺等が挙げられる。
【0010】これら医療用具を構成する基材は、特に限
定されるものではないが、高分子材料が好適であり、ポ
リウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン樹脂な
どが特に好適である。金属等の高分子材料以外の材料に
潤滑性を付与する場合には、直接酸無水物基を有するポ
リマーとビニールラクタム化合物のポリマー、さらには
活性水素を2個以上有する化合物とを材料表面で架橋さ
せることもできるが、上記のような高分子材料で被覆し
た後に架橋させるとより効果的である。
【0011】本発明において、酸無水物基を有するポリ
マーとは、酸無水物基を有する単量体単位が1分子中に
少なくとも2個以上含まれるような重合体及び共重合体
であり、例えば無水マレイン酸−エチレン共重合体、無
水マレイン酸−スチレン共重合体、無水マレイン酸−メ
チルビニルエーテル共重合体等の無水マレイン酸系ポリ
マー、ポリ無水アクリル酸、無水アクリル酸−スチレン
共重合体等の無水アクリル酸系ポリマー、ポリ無水メタ
クリル酸、無水メタクリル酸−スチレン共重合体等の無
水メタクリル酸系ポリマー等が挙げられる。
【0012】酸無水物基を有するポリマーの分子量は特
に限定されるものではないが、例えば、100万以下、
好ましくは1000〜50万、さらに好ましくは100
0〜10万である。分子量が100万を超えると、活性
水素を2個以上有する化合物やビニールラクタム化合物
のポリマーとの混合状態が均一でなかったり、活性水素
を2個以上有する化合物やビニールラクタム化合物のポ
リマーとの反応性が低下したり、また溶液を調製して基
材を処理する際に溶解度が低くなり処理がおこないにく
くなることもある。
【0013】また酸無水物基を有するポリマーが反応性
官能基として有する1分子中の酸無水物基の数は、2個
以上であれば本発明の目的を達することができるが、1
分子中の酸無水物基の数が少ないと架橋被膜を形成させ
る反応に長時間要し、また、反応条件が穏やかであると
架橋被膜の強度が充分でなかったり、湿潤時の潤滑性の
持続性が低下することがあるので、1分子中の酸無水物
基を有する単量体単位の数が多い方が好ましい。単量体
単位数としては、例えば5以上好ましくは50〜5万、
さらに好ましくは100〜1万である。
【0014】本発明に用いられるビニールラクタム化合
物は、N−ビニールピロリドン、N−ビニールブチロラ
クタム、N−ビニールカプロラクタム等があり、ビニー
ルラクタム化合物のポリマーは、これらビニールラクタ
ム化合物の単独重合体および共重合体並びにビニールラ
クタム化合物と共重合可能な他のビニール単量体の1種
又は混合物からなる重合体である。ビニールラクタム化
合物と共重合可能な他のビニール単量体の1種又は混合
物からなる重合体中のビニールラクタム化合物含量は、
30モル%以上、好ましくは55%以上、さらに好まし
くは65%以上である。ビニールラクタム化合物のポリ
マーの分子量は、例えば1万〜500万、好ましくは1
0万〜500万である。
【0015】この様なビニールラクタム化合物のポリマ
ーは、例えば、ポリN−ビニルピロリドン、N−ビニル
ピロリドン−酢酸ビニル共重合体、N−ビニルピロリド
ン−アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、N−ビニル
ピロリドン−四級化ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト共重合体等が挙げられるが、好ましくはポリN−ビニ
ルピロリドンである。
【0016】本発明で用いられる活性水素を2個以上有
する化合物とは、1分子中に水酸基、アミノ基、チオー
ル基のような活性水素を含む官能基を少なくとも2個有
する化合物のことであり、具体的には、ポリオールやポ
リアミンなどが挙げられる。
【0017】本発明におけるポリオールとは、1分子中
に少なくとも2個のヒドロキシル基を有する化合物を指
し、例えばエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリ
トール、ソルビトール、ジグリセリン、ポリビニルアル
コール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリブチレングリコール等が挙げられ、特にポリ
アルキレングリコールが好ましい。
【0018】本発明におけるポリアミンとは、1分子中
に少なくとも2個のアミノ基を有する低分子化合物ある
いは高分子化合物をいう。この様な例としては、低分子
ポリアミン及び高分子ポリアミンが挙げられる。
【0019】低分子ポリアミンに属するものの具体例と
しては、エチレンジアミン、1,3ージアミノブタン、プ
トレッシン、カダベリン、ヘキサメチレンジアミン、オ
クタデカメチレンジアミン、カルジン、スペルミジン、
アミノプロピルカダベリン、テルミン、スペルミン、
N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリ
エチルエチレンジアミン、1,3−ビス(2'−アミノエチ
ルアミノ)プロパン、トリス(2−アミノエチル)アミ
ン、N−アミノプロピル−2−モルホリン、フェニレン
ジアミン、ピペラジン、カナバルミン、カルドペンタミ
ン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N,
N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等が挙げ
られる。
【0020】高分子ポリアミンに属するものの具体例と
しては、アミンとアルキレンジハライドあるいはエピク
ロルヒドリンから合成されるポリ(アルキレンポリアミ
ン)(エンサイクロペディア・オブ・ポリマー・サイエ
ンス・アンド・テクノロジー、10巻、616頁)、エチ
レンイミン、プロピレンイミン等のアルキレンイミンの
開環重合によって得られるアルキレンイミン重合体(エ
ンサイクロペディア・オブ・ポリマー・サイエンス・ア
ンド・テクノロジー、1巻、734頁)又はポリビニル
アミン、ポリリジン等が挙げられる。これらポリアミン
のうち、ポリ(オキシエチレン)ジアミン及びポリエチ
レンイミンは安価でかつ効果的である点で特に好適に用
いられる。
【0021】本発明では、酸無水物基を有するポリマー
とビニールラクタム化合物のポリマー、さらに活性水素
を2個以上有する化合物とを基材表面上にて反応させ
て、基材表面に架橋被膜を形成させるが、基材表面に架
橋被膜を形成させる方法としては、例えば酸無水物基を
有するポリマーとビニールラクタム化合物のポリマー、
さらに活性水素を2個以上有する化合物を溶解した溶液
に基材表面を接触させ、次いで基材表面を加熱する方法
が好適である。
【0022】酸無水物基を有するポリマーとビニールラ
クタム化合物のポリマー、さらに活性水素を2個以上有
する化合物とを溶解する溶媒としては、それらを溶解す
る溶媒であればいずれのものでもよい。例えばジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、メチ
ルエチルケトン、クロロホルム、ニトロメタン、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メチルアル
コールやエチルアルコールさらにはプロピルアルコール
などの低級脂肪族アルコール等を単独ないしは2種類以
上組み合わせて使用することができる。
【0023】酸無水物基を有するポリマーとビニールラ
クタム化合物のポリマー、さらに活性水素を2個以上有
する化合物とを溶解した溶液を得るには、上記溶媒でこ
れら物質を一度に溶解する方法や、予めそれぞれの物質
を溶解した後、混合する方法、あるいはいずれか2種類
の物質を溶解後、残りの物質の溶解液を添加する方法な
どいずれの方法によっても得ることができる。
【0024】酸無水物基を有するポリマーとビニールラ
クタム化合物のポリマー、さらに活性水素を2個以上有
する化合物は、いずれも溶液に完全に溶けていることが
好ましく、一部不溶化している場合は、濾過等によって
不溶化物質を予め除去することが好ましい。
【0025】溶液中の酸無水物基を有するポリマーの濃
度は、例えば、0.1重量%以上好ましくは0.2〜1
0重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%であり、
また溶液中のビニールラクタム化合物のポリマーは、酸
無水物基を有するポリマーに対する重量比率が0.01
%〜5%であるのが好ましく、溶液中の濃度は、例えば
10-5重量%以上好ましくは10-4〜1重量%、さらに
好ましくは10-4〜10-1重量%である。また溶液中の
活性水素を2個以上有する化合物の濃度は、例えば0.
001重量%以上、好ましくは0.005〜10重量
%、さらに好ましくは0.01〜5重量%である。
【0026】酸無水物基を有するポリマーとビニールラ
クタム化合物のポリマー、さらに活性水素を2個以上有
する化合物の濃度が低すぎると形成される被膜の強度が
低下する傾向があり、濃度が高すぎると被膜の厚みに斑
が生じることがある。
【0027】このため適度な強度を有し均一な架橋被膜
を形成させるには、酸無水物基を有するポリマーは、該
酸無水物基の0.1〜10モル%が反応して架橋被膜を
形成していることが好ましい。この濃度範囲において得
られる架橋被膜を有する基材表面は、湿潤時に高度な耐
久能を有した潤滑性を形成することができる。
【0028】用いる酸無水物基を有するポリマーとビニ
ールラクタム化合物のポリマー、さらに活性水素を2個
以上有する化合物の分子量が共に大きいと溶液中の混合
状態が悪くなるので、少なくともいずれかの化合物の分
子量が5,000以下であることが好ましい。この際、活性
水素を2個以上有する化合物の分子量を5,000以下のも
のとすることが好ましい。
【0029】酸無水物基を有するポリマーとビニールラ
クタム化合物のポリマー、さらに活性水素を2個以上有
する化合物とを溶解した溶液には、必要に応じて酢酸、
硫酸、p−トルエンスルホン酸等の酸、トリエチルアミ
ン、ピリジンなどの塩基を添加してもよい。
【0030】この様にして調製した溶液を基材表面に接
触させる方法としては、基材を溶液に浸漬する方法、溶
液を基材表面に噴霧する方法、溶液を基材表面に塗布す
る方法などを適宜選択することができる。基材を溶液に
浸漬する方法は、接触時間の制御が容易であるので特に
好適である。基材を溶液に浸漬する時間は、10秒〜2
4時間、好ましくは30秒〜2時間である。基材表面に
溶液を接触させた後、加熱することにより酸無水物基を
有するポリマーとビニールラクタム化合物のポリマー、
さらに活性水素を2個以上有する化合物とが反応し、基
材表面上に被膜を形成させることができる。加熱操作
は、常圧、減圧のいずれの状態でおこなってもよい。加
熱温度と時間は、例えば30℃以上、好ましくは50〜
180℃、さらに好ましくは70〜150℃で、5分〜
48時間、好ましくは10分〜24時間、さらに好まし
くは30分〜6時間である。
【0031】酸無水物基を有するポリマーとビニールラ
クタム化合物のポリマー、さらに活性水素を2個以上有
する化合物との反応によって形成された架橋被膜を表面
に有する基材は、そのままでも水系媒体と接触すると潤
滑性を示すが、一度水系媒体と接触させた後、乾燥する
ことにより、再度水系媒体と接触したときには直ちに潤
滑性を示すようになる。また架橋被膜を表面に有する基
材を酸無水物基を有するポリマーとビニールラクタム化
合物のポリマー、及び活性水素を2個以上有する化合物
を共に溶解し得る溶媒中に浸漬した後、水系媒体中に浸
漬すると湿潤時の潤滑性が向上するので好ましい。潤滑
性が向上する機序は明らかでないが、架橋を形成する3
種類の分子を共に溶解し得る溶媒は容易に架橋被膜中に
侵入し、架橋被膜を膨潤させる。このため、分子鎖の自
由度が増し、水系媒体と接触させたときに水分子が架橋
被膜中に入り易くなるのではないかと考えられる。
【0032】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 実施例1、比較例1,2 分子量約69,000の無水マレイン酸−メチルビニル
エーテル共重合体〔アイエスピー社(ISPCo.Ltd.)
製〕5重量%と分子量360,000のポリN−ビニー
ルピロリドン(和光純薬工業株式会社製)3×10-2
量%、さらに分子量400のポリエチレングリコール
(丸善薬品工業株式会社製)0.06重量%を溶解した
メチルエチルケトン/メタノール混合系溶液にナイロン
6フィルム(ユニチカ株式会社製)を室温で1時間浸漬
した後、90℃で3時間減圧下で加熱した。加熱後得ら
れたナイロン6フィルムを前述のメチルエチルケトン/
メタノール混合系溶媒に30分浸漬し、乾燥した後、水
中に24時間浸漬後、乾燥した(試料1)。
【0033】次に上記試料1及び未処理のナイロン6フ
ィルム(比較例1、試料2)の摩擦係数を以下の方法に
より測定した。各試料は、先ずアルミ版に貼付して水中
に浸漬し、下面にコラーゲンシートを貼った100gの
重りを各試料の上に載せて後、板を徐々に傾斜させて重
りが動き始めたときの傾斜角(θ)を測定し、この傾斜
角からtanθを算出し、摩擦係数とした。結果を表1
に示す。
【0034】
【表1】
【0035】試料1の表面潤滑性の耐久度に関しては、
上記傾斜角測定試験を100回行った後、再度傾斜角を
測定して摩擦係数を求め、初期の値との比較から評価し
た。比較試料としては、ポリN−ビニルピロリドンを含
まない以外は試料1と全く同じ条件で作製した試料3
(比較例2)を用いた。結果は表1に示す。酸無水物基
を有するポリマーとビニールラクタム化合物のポリマ
ー、及び活性水素を2個以上有する化号物から形成され
た架橋被膜を有する基材は、優れた潤滑性の持続を示す
ことが明らかである。
【0036】実施例2、比較例3 ポリウレタン(ダウケミカル株式会社製、ペレセン)を
180℃で押し出し成形して厚さ約400μmのフィル
ムを得た。次に分子量約69,000の無水マレイン酸
−メチルビニルエーテル共重合体〔アイエスピー社(I
SPCo.Ltd.)製〕5重量%と分子量360,000の
ポリN−ビニールラクタム(和光純薬工業株式会社製)
5×10-3重量%、さらに分子量400のポリエチレン
グリコール(丸善薬品工業株式会社製)0.06重量%
を溶解したアセトン/エタノール混合系溶液に、得られ
たポリウレタンフィルムを室温で1分間浸漬した後、6
0℃で24時間加熱した。続いて前述のアセトン/エタ
ノール混合系溶媒に10分浸漬し、乾燥した後さらに水
中に24時間浸漬後、乾燥した(試料4)。得られた試
料4を実施例1と同様の方法により摩擦係数を測定した
ところ、湿潤時に摩擦係数は0.02以下であった。
【0037】試料4の表面潤滑性の耐久性に関しては、
実施例1と同様におこなった。比較試料5は、ポリN−
ビニールピロリドンを含まない以外は試料4と全く同じ
条件で作製した(比較例3、試料5)。結果を表1に示
す。
【0038】実施例3 ポリ塩化ビニル(積水化学工業株式会社製、エスメディ
カ)を170℃で押し出し成形して厚さ約400μmの
フィルムを得た。次に分子量約69,000の無水マレ
イン酸−メチルビニルエーテル共ポリマー〔アイエスピ
ー社(ISPCo.Ltd.)製〕5重量%と分子量360,
000のポリN−ビニールラクタム(和光純薬工業株式
会社製)1×10-2重量%、さらに分子量400のポリ
エチレングリコール(丸善薬品工業株式会社製)0.0
6重量%を溶解したアセトン/メタノール混合系溶液
に、得られたポリ塩化ビニルフィルムを室温で1分間浸
漬した後、80℃で24時間加熱した。さらにこれを水
中に24時間浸漬した後、乾燥した(試料6)。得られ
た試料6を実施例1と同様の方法により摩擦係数を測定
したところ、耐久試験後も湿潤時の摩擦係数は0.02
以下であった。
【0039】
【発明の効果】本発明の医療用具は耐久性に富む優れた
表面潤滑性を有する。また本発明の医療用具の製造方法
は、基材の材質にかかわらず、簡便な方法により湿潤時
に耐久性に富む優れた表面潤滑性を有する医療用具を得
ることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に酸無水物基を有するポリマー
    とビニールラクタム化合物のポリマー、さらに活性水素
    を2個以上有する化合物から形成される架橋被膜を有
    し、潤滑性を有することを特徴とする医療用具。
  2. 【請求項2】 酸無水物基を有するポリマーに対するビ
    ニールラクタム化合物のポリマーの重量比率が、0.0
    1%〜5%であることを特徴とする請求項1記載の医療
    用具。
  3. 【請求項3】 酸無水物基を有するポリマーは、酸無水
    物基の0.1〜10モル%が反応して架橋被膜を形成し
    ていることを特徴とする請求項1又は2記載の医療用
    具。
  4. 【請求項4】 酸無水物基を有するポリマーとビニール
    ラクタム化合物のポリマー、さらに活性水素を2個以上
    有する化合物を基材表面で反応させて基材表面に架橋被
    膜を形成させ、次いで水系媒体中に浸漬することを特徴
    とする潤滑性を有する医療用具の製造方法。
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