JP2002089382A - エンジン用リード弁装置 - Google Patents

エンジン用リード弁装置

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JP2002089382A
JP2002089382A JP2000273507A JP2000273507A JP2002089382A JP 2002089382 A JP2002089382 A JP 2002089382A JP 2000273507 A JP2000273507 A JP 2000273507A JP 2000273507 A JP2000273507 A JP 2000273507A JP 2002089382 A JP2002089382 A JP 2002089382A
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Japan
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reed valve
valve plate
engine
rigidity
reed
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JP2000273507A
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Kanji Imazaike
幹治 今在家
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Imazaike Seiko KK
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Imazaike Seiko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 模型ヘリコプタなどに搭載される小型エンジ
ンのリード弁としての機能を高め、低速時の作動性と高
速時の追従性を共に満たすと共に、特にリード弁板の耐
久寿命を高めて長期使用に耐えるリード弁装置を提供す
ること。 【解決手段】 弁口を有するリード弁ボディーと、上記
弁口を覆う状態で基端部がリード弁ボディーに固着され
たリード弁板とを有し、エンジンの吸気通路に取付けら
れて、エンジンの作動に伴い上記リード弁板が弁口を開
閉する様に構成されたリード弁装置であって、上記リー
ド弁板をポリエーテルエーテルケトン樹脂主体の素材で
形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの吸気通
路に設けられてエンジンの作動に応じて開閉するリード
弁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2サイクルエンジン等において、エンジ
ンのクランクケース等に連通する吸気通路に、エンジン
の作動に応じて開閉作動するリード弁を設け、このリー
ド弁を介して吸気が行われる様にしたものが一般に知ら
れている。尚、他の2サイクルエンジンの吸気方式とし
て、エンジンと同期して回転するロータリー弁を介して
吸気が行われる様にしたものも知られているが、このタ
イプのロータリー弁では、エンジン回転数等に応じて開
閉タイミングを変更することが困難であり、必ずしも種
々の運転状態に適合した開閉タイミングが得られない。
これに対しリード弁は、クランクケース内等の圧力変動
に応じて開閉し、エンジン回転数等に応じてタイミング
良く開閉作動するので、運転状態に適合した開閉タイミ
ングを得ることが期待できる。
【0003】上記リード弁装置は、弁口を有するリード
弁ボディーと、上記弁口を覆う状態で基端部がリード弁
ボディーに固着されたリード弁板とを有し、エンジンの
クランクケース等に通じる吸気通路に上記リード弁ボデ
ィーが固定される様になっている。
【0004】この様なリード弁装置において、追従性や
耐久性等の改善を図ったものとしては、例えば実開昭6
2−190175号公報に示されている様に、リード弁
板を樹脂製とし、弁口の先端側弁座に当接するリード弁
板先端部を厚肉に形成すると共に、リード弁板の基端部
から厚肉部までを薄肉に研摩加工したものがある。この
リード弁装置によると、リード弁板の大部分が薄肉・軽
量化されることで応答性が高められ、しかも弁座に当接
するリード弁板先端部の損傷も抑えられることが強調さ
れている。
【0005】ところでこの種のリード弁装置は、エンジ
ンの低速域から高速域に亘ってエンジンの作動に対する
応答性や追従性等を満足する必要がある。特に、模型ヘ
リコプタや模型飛行機などの如き小型模型のエンジンに
適用する場合、低速性能を確保すべく低速時の作動を円
滑にすると共に、トルクを稼ぐため、高速での追従性を
向上して限界回転数を例えば15000rpm程度以上
に高めることが要求されるが、このような要求に対して
次の様な課題が残されている。
【0006】すなわち、エンジンの低速時はリード弁板
に作用する吸入負圧が比較的小さいため、低速時にリー
ド弁を良好に作動させるにはリード弁板を薄くしなやか
に形成することが好ましい。ところがこの様にすると、
エンジンの高速作動時における吸入負圧が大きくなると
共に弁の開閉作動速度が高まるので、作動中にリード弁
板が波状に屈曲変形する所謂波打ちが生じ、追従性が悪
くなって開閉作動の遅れによる混合気の吹き返し等が生
じ、エンジン出力が上がらなくなる。その結果、限界回
転数を高めることが困難になる。一方、この様な波打ち
を抑制して高速時の追従性を高めるには、リード弁板を
厚肉にして腰を強くしなければならないが、この様にす
ると吸入負圧の小さい低速時にリード弁板が開き難くな
り、低速性能が損なわれる。
【0007】この様に従来のリード弁装置は、広い回転
数域で用いようとする場合、低速時の作動性と高速時の
追従性とを両立させることが難しく、この問題は上記公
報に示されている様な構造によっても充分に解消するこ
とができない。なお最近、リード弁の素材としてFRP
(繊維強化プラスチック)を用いることにより追従性等
の向上を図ったものも開発されているが、FRPを用い
たものでも限界回転数は15000rpm程度までであ
り、小型模型エンジン等では更なる限界回転数の向上が
要求される。
【0008】そこで本発明者は、吸入負圧が小さい低速
時にも円滑に作動して低速性能を確保することができ、
しかも、高速時の追従性を改善して限界回転数を高め得
る様なエンジン用リード弁装置の開発を期してかねてよ
り研究を進めており、先に特開平9-209768号公
報に開示のリード弁装置を提案した。
【0009】この公報に開示したリード弁装置の特徴的
構成は、リード弁板の構造を工夫したところにあり、リ
ード弁板を、その先端側の剛性が低くて先端から中間部
まで剛性が次第に高くなり、中間部及びこれより基端寄
りの部分で高剛性となり、かつ基端部近傍では中間部よ
り剛性が低くなる様に形成したもので、こうした形状・
構造面からの改善により、低速時の作動性と高速時の追
従性とを両立させることが可能になってきた。
【0010】本発明者はその後もリード弁装置の一層の
改善を期して研究を進めているが、今回は特にリード弁
板の材質面から検討を重ねた。即ちリード弁板は、上記
の如く高速作動時には15000rpmを超える高速で
開閉作動を繰返すため、こうした苛酷な使用条件下にお
いても適度の弾性と剛性を長期的に持続し得る耐久性が
求められる。ところが、一般のリード弁装置に用いられ
る金属製(ステンレス鋼、りん青銅、ベリリウム銅な
ど)のリード弁板は、耐熱性には優れているものの、高
速作動によって疲労劣化を起こし易くて比較的短期間の
うちに弾性を失い、リード弁板としての機能を失う。ま
た前述したFRP製のリード弁板では、高速開閉作動に
よる衝撃の繰り返しによって特に先端部の破損が急激に
進行し、やはり満足のいく耐久寿命を得ることができな
い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、特に
リード弁板を素材面から改善し、低速時の作動性と高速
時の追従性を共に満たすと共に、耐久寿命が良好で長期
使用にも耐え得る様なリード弁装置を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係るリード弁装置とは、弁口を有する
リード弁ボディーと、上記弁口を覆う状態で基端部がリ
ード弁ボディーに固着されたリード弁板とを有し、エン
ジンの吸気通路に取付けられて、エンジンの作動に伴い
上記リード弁板が弁口を開閉する様に構成されたリード
弁装置であって、上記リード弁板がポリエーテルエーテ
ルケトン樹脂主体の素材で形成されているところに要旨
を有している。
【0013】上記リード弁板は、その主たる構成素材で
あるポリエーテルエーテルケトン樹脂(以下、PEEK
と略記する)の優れた特性により、形状・構造の如何を
問わず、金属やFRPからなる従来のリード弁板に比べ
ると卓越した耐久寿命を示すものとなるが、その特性を
リード弁板としてより有効に活かすには、形状・構造面
からの工夫も有効であり、該リード弁板を、例えば先に
提案した如くその先端側の剛性が低くて先端から中間部
まで剛性が次第に高くなり、中間部及びこれより基端寄
りの部分で高剛性となり、かつ基端部近傍では中間部よ
り剛性が低くなるように形成し、より具体的には、その
先端側の肉厚が薄くて先端から中間部まで肉厚が次第に
増加し、中間部及びこれより基端寄りの部分が厚肉とな
り、基端部近傍には剛性が低下する形状の低剛性部分を
設けたものは、PEEK素材の選択使用とも相俟って、
低速時の作動性と高速時の追従性において卓越した性能
を兼備すると共に、耐久寿命にも著しく優れたリード弁
装置となるので好ましい。
【0014】そして、こうした優れた作動性や追従性と
耐久寿命は、エンジンの中でもとりわけ高い限界回転数
が要求されると共に、高速・低速の変動量の多い模型ヘ
リコプタや模型飛行機などの小型模型エンジン、中でも
2サイクルエンジンなどに適用することによって有効に
発揮される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明者は前述した様な課題の下
で、特に過酷な条件が強いられる模型ヘリコプタや模型
飛行機用の小型エンジンに使用されるリード弁装置を対
象として、リード弁板の素材面から検討を重ねた。
【0016】かかるリード弁板の構成素材に求められる
特性としては、 1)適度の剛性と弾性を兼ね備えたものであること(低速
時の作動性と高速時の追従性とを両立し得る物理的特性
を有していること、より具体的には、例えば16000
rpmといった高速開閉作動に追従すると共に、低速開
閉作動にも円滑に適用する広い開閉作動サイクルに順応
する物理的特性を備えていること)、 2)耐熱持続性に優れたものであること(具体的には、1
50℃以上の高温での連続使用に耐えること)、 3)耐油性および耐薬品性に優れたものであること(燃料
中に含まれる合成油やひまし油、更にはメチルアルコー
ルやニトロメタンなどに侵されないこと)、 4)耐加水分解性に優れたものであること(燃焼によって
生成する高温の水分により加水分解を起こして劣化する
ことがないこと)、 5)入手が容易で加工性に優れたものであること(リード
弁板の寸法・形状等に応じて容易に加工し得ること)な
どが挙げられる。
【0017】上記1)の特性は、求められる限界回転数が
非常に高く且つ低速から高速に亘るサイクル変動の大き
い模型ヘリコプタの如き小型エンジン用のリード弁板と
して不可欠の要求特性となる。また上記2)〜4)の特性
は、リード弁板の耐久寿命を高める上で極めて重要とな
り、更に上記5)の特性は、素材面および加工性の面から
リード弁板として実用規模での実施を具現する上で欠く
ことのできない要件となる。
【0018】本発明者は上記の様な要求特性を全て満た
し得る様な素材を模索して、金属やプラスチック、更に
は比較的新しい素材といて注目されているエンジニアリ
ングプラスチックなどを始めとする多数の素材につい
て、リード弁板としての前記要求性能について検討を重
ねた。
【0019】そして、数ある素材の中から先ず前記1)の
要求特性を一応満足する素材として下記表1に示すもの
を選別し、選別した各素材について前記2)〜5)の要求特
性を含めて、高速サイクルエンジン用リード弁板として
の特性を詳細に検討したところ、表1に併記する結果が
得られた。
【0020】尚、下記表1に示す夫々の評価実験は次の
様にして行なった。
【0021】[一般性能]各供試素材片(厚さ0.4m
m×幅17.5mm×長さ18mm)について下記の方
法で評価した。
【0022】耐薬品性および耐油性:各供試片を、メチ
ルアルコール、ニトロメタンおよびひまし油を含む燃料
油中に常温で60日間浸漬し、寸法変化が見られなかっ
たものを○、寸法変化がみられたものを×とした。
【0023】耐加水分解性:各試料片を25℃の水中に
60日間浸漬し、寸法変化がなかったものを○、寸法変
化があったものを×とした。
【0024】剛性、弾性:GFRP製の供試片を基準と
し、これと同等であったものを△、これより良好であっ
たものを○とした。
【0025】耐熱性、耐熱持続温度:耐熱温度が140
℃以下のものを×、これ以上のものを○とし、各温度で
長時間使用に耐える温度域を耐熱持続温度とした。
【0026】成形加工性:原料素材自体の入手容易性を
加味し、プレス成形や仕上げ加工などの容易性を総合的
に評価した。
【0027】[実用性能]各素材を用いて、前記と同じ
サイズのリード弁板の試験片(厚さ0.4mm×幅1
7.5mm×長さ18mm)を作製し、夫々をエンジン
性能試験機に組み込んで18000rpm×30分の性
能評価実験を行ない、GFRP製試験片を用いたときの
性能を標準として、これと同等であったものを○、これ
より劣るものもを△、これより優れたものを◎として評
価した。また上記試験後にリード弁板の損傷状況を観察
し、亀裂の発生や靭性劣化で再使用できない状態となっ
ていたものを耐久寿命×、亀裂や靭性劣化が軽微乃至ほ
とんど認められず再使用可能な状態のものを耐久寿命○
と評価した。
【0028】またクッションゴムの要否については、従
来のリード弁板では弁板と弁口の間にクッション材(通
常はニトリルゴム製)を必須とするので、原則的には該
ニトリルゴム製のクッションゴムを装着した状態で試験
を行なった。ところが一部のリード弁板については、ク
ッションゴムを装着せずとも実用化できることが確認さ
れたので、各素材のリード弁板についてクッションゴム
有りおよび無しで夫々実験を行ない、クッションゴム無
しで実用不可のものは×、クッションゴム無しで実用可
能なものを○と評価した。
【0029】
【表1】
【0030】表1からも明らかな様に、金属製リード弁
板の一般性能は全て良好であるが、実用性能については
弁性能、耐久寿命共に不良であり、しかもクッションゴ
ム無しでは実用できない。また、樹脂製のリード弁板で
も、ポリアセタール系樹脂やポリアミド系樹脂製のもの
では、耐熱性や弾性が不十分で弁性能が不足する他、満
足な耐久寿命を得ることができず、また従来のガラス繊
維や炭素繊維を強化材として含む強化プラスチック性の
ものは、成形性や弁性能が不足する他、使用時特に弁先
端部が短時間の使用でボロボロに劣化し、十分な耐久寿
命が得られない。
【0031】更に、ポリエチレンテレフタレート樹脂
は、弾性不足で弁性能に劣る他、耐熱持続性不足や耐加
水分解性不足が耐久寿命を阻害している。また耐熱性や
強度特性に優れた代表的なポリイミド樹脂は、耐熱性や
耐熱持続性を含めて一般性能は良好であるが成形性が悪
く、また衝撃の繰り返しに対する抵抗力が不足するため
か弁性能や耐久寿命も満足し得るものではない。しかも
これら樹脂製のリード弁板は、何れも衝撃吸収のためク
ッションゴムの併用が必須とされる。
【0032】これらに対し、樹脂製のもののうちPEE
Kのみは、弾性や耐熱性、耐熱持続性、成形性などを含
めて全ての一般性能を満足すると共に、弁性能や耐久寿
命においても優れた性能を示している。しかもPEEK
製のリード弁板は優れた耐衝撃性を有しているので、ク
ッションゴムを併用せずとも十分な耐久性能を示し、従
来必須とされていたクッションゴムの省略も可能とな
り、リード弁板用の素材として非常に優れたものである
ことが分かる。
【0033】本発明で使用する上記PEEKの好ましい
物性としては、結晶化度が30〜40%、引張強度が9
5〜100MPa(ISO R527法:50mm/m
in、常温)、引張弾性率が3〜4GPa(ISO R
527法、常温)、曲げ弾性率が4〜4.5GPa(I
SO R178、常温)、曲げ強度が160〜200M
Pa(ISO R178法、常温)、ガラス転移温度が
140〜150℃の範囲のものであり、こうした物性を
満たすPEEKは、例えばビクトレックス・エムシー社
製の商品名「PEEKTM450P」等として入手でき
る。
【0034】これらのPEEK素材は板状や棒状の押出
し素材として入手できるし、或いは射出成形や押出成形
の可能なペレット状や粉末状のものとして得ることがで
きる。これらPEEK素材は、実質的に他の成分を含ま
ないPEEK単独のものでもよく、若しくは必要により
強化用の繊維や微粉末などを適量複合したものであって
もよく、更には熱安定化剤などの添加剤が少量含まれて
いても勿論構わない。
【0035】上記の様に本発明では、リード弁板として
PEEK主体の素材を使用したところに特徴を有し、P
EEKの有する前述した特長をリード弁板としての性能
に有効に反映させたところに特徴を有しており、従って
リード弁板の形状・構造などは特に制限されないが、形
状・構造面からもリード弁板としての前記実用性能を一
層高めるには、先に提案した様な工夫を加えることも極
めて有効であるので、以下、好ましいリード弁板の形状
・構造について説明を加える。
【0036】即ちリード弁板の好ましい形状・構造とし
ては、その先端側の剛性が低くて先端から中間部まで剛
性が次第に高くなり、中間部及びこれより基端寄りの部
分で高剛性となり、かつ基端部近傍では中間部より剛性
が低くなる様に形成されたものが好ましい。
【0037】この様な構成とすることで、リード弁板の
先端側がしなやかとなり、吸入負圧の小さいエンジン低
速時にも圧力変動に応じてリード弁板の先端側が良好に
開閉作動し易くなる。またエンジンの高速作動時には、
吸入負圧に応じて基端部近傍が大きく屈曲し、リード弁
板の略全体が開閉作動するが、リード弁板の中間部の剛
性が構造的に高くなっていることにより、PEEK自体
の剛性とも相俟って、リード弁が作動中に波状等に屈曲
することが抑制され、追従性が高められる。
【0038】こうした形状特性を具体的に活かすための
手段としては、上記リード弁板を、その先端側の肉厚が
薄くて先端から中間部まで肉厚が次第に増加し、中間部
及びこれより基端寄りの部分が厚肉となり、基端部近傍
には剛性が低下する形状の低剛性部分を有するように形
成しておけばよい。
【0039】上記リード弁板の基端部近傍の低剛性部分
は、例えば、リード弁板の幅方向に延びる溝を設けるこ
とによって形成し、あるいはリード弁板の基端部近傍に
穴を設けることにより形成し、あるいは又、リード弁板
の基端部近傍に切欠部を設けることにより形成すること
ができる。
【0040】以下、本発明で好ましく採用される形状・
構造面からの実施形態を図面を参照しつつ説明するが、
本発明はもとより下記図示例に限定される訳ではなく、
要はリード弁板としてPEEK主体の素材を用いたもの
であれば全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0041】図1は本発明の一実施形態によるリード弁
装置を2サイクルエンジンに組み込んだ状態を示してい
る。この図において、1は2サイクルエンジンのクラン
クケース、2は上記クランクケースに開口する吸気通路
であり、この吸気通路2の上流側には気化器3が組付け
られている。この気化器3の下流において、上記吸気通
路2にリード弁5が組み込まれている。
【0042】上記リード弁5は、図2にも示す様に、リ
ード弁ボディー6と、PEEK主体の素材で形成された
一対のリード弁板10とからなっている。上記リード弁
ボディー6は、断面略V型とされ、その両傾斜壁部分に
弁口6aが形成されると共に、基端側にフランジ部6b
が設けられ、このフランジ部6bが吸気通路2の通路壁
にボルト7等で取り付けられている。また、一対のリー
ド弁板10は、リード弁ボディー6の両傾斜壁部分の外
側に位置し、上記弁口6aを覆う状態で、基端部がネジ
8等でリード弁ボディー6に取り付けられている。な
お、81はリード弁板10の基端部に設けられたネジ挿
通孔、82はリード弁ボディー6に設けられたネジ孔で
ある。
【0043】図2に示す例ではリード弁5が6葉式とな
っている。つまり、リード弁ボディー6の両傾斜壁部分
に3個ずつの弁口6aが並設されると共に、これに対応
して、一対のリード弁板10はそれぞれ、並列に配置さ
れた3個の片が基端部で連結された構造となっている。
【0044】また、上記吸気通路2の内壁面には、上記
リード弁板10の各片に対応する箇所にストッパー9が
形成されている。
【0045】上記リード弁板10は、その先端側の剛性
が低くて先端から中間部まで剛性が次第に高くなり、中
間部及びこれより基端寄りの部分で所定の高い剛性とな
り、かつ基端部近傍では中間部より剛性が低くなるよう
に形成されている。この実施形態では、リード弁板10
をPEEKで形成すると共に、図3にも示す様に各部の
肉厚を変えることで上記の如く剛性を変化させている。
【0046】すなわち、リード弁板10の中間部所定位
置より先端側の部分11(以下、先端側部分と呼ぶ)で
は、片面(表面側)が傾斜面とされることにより、先端
の肉厚が最も薄く、中間部所定位置で最大肉厚となる様
に次第に肉厚が変化している。また、中間部所定位置よ
り基端側であって、基端部近傍を除く部分12(以下、
基端寄り部分と呼ぶ)では、上記最大肉厚に相当する略
一定の厚肉となっている。基端部近傍には、リード弁板
の幅方向に延びる断面円弧状の溝13が設けられること
により、低剛性部分が形成されている。
【0047】そして、上記先端側部分11のうちでも先
端に近い部分はエンジンのアイドル運転時における比較
的小さい負圧でも開弁方向に充分に屈曲し得る程度にし
なやかとなり、これと比べて基端寄り部分12は剛性が
充分に高くなる様に、リード弁板の材質及び各部の肉厚
が設定されている。
【0048】上記の如く、形状・構造的に工夫されたリ
ード弁装置の作用について説明すると、エンジンの作動
中はピストンの上下動等に応じて上記クランクケース内
の圧力が変動し、その圧力変動に応じて上記リード弁板
10が開閉作動する。つまり、クランクケース1内が負
圧となったときにリード弁板10が開かれ(図4参
照)、クランクケース1内の圧力が高くなると閉じられ
る。
【0049】ところで、エンジンの低速回転時には、上
記リード弁板10に作用する吸入負圧が小さいが、リー
ド弁板10の先端側部分11は肉厚が先端程薄くて、先
端に近い部分がしなやかになっているため、低速回転時
の小さい吸入負圧によっても上記先端側部分11が開弁
方向に屈曲し(図4中の二点鎖線)、圧力変動に応じた
開閉作動が良好に行われる。
【0050】この様に吸入負圧が小さい時は主に先端側
部分11が屈曲するが、上記溝13が形成されている基
端部近傍の低剛性部分も吸入負圧に応じてある程度屈曲
し、吸入負圧が大きくなるにつれて基端部近傍の屈曲度
合が大きくなる。
【0051】そして、高速回転時には、大きな吸入負圧
がリード弁板10に作用することによって基端部近傍の
低剛性部分が大きく屈曲し、リード弁板10の略全体が
ストッパー9に当接する様な状態まで開かれ(図4中の
実線)、圧力変動に応じてリード弁板10の略全体が開
閉作動する。この場合、高速回転時には吸入負圧が大き
くなると共にリード弁板10の開閉作動が高速で行われ
るため、リード弁板10がしなやかであると作動中にこ
れが波状に屈曲変形する所謂波打ち状態となって、エン
ジンの作動に対する追従性が悪くなるが、リード弁板1
0の基端寄り部分12は厚肉で剛性が充分に高くなって
いていることにより、上記波打ち状態となることが抑制
され、追従性が高められる。
【0052】また、構成素材としてPEEKを使用した
リード弁板10では、PEEK素材が有しいている優れ
た剛性と弾性によって、波打ち状態を抑制しつつ追従性
を高めることができ、しかも優れた耐熱性、耐熱持続
性、耐衝撃性、耐薬品性、耐油性、耐加水分解性によ
り、高速の繰り返し開閉作動によるリード弁板10の先
端部11や溝部13に集中しがちな疲労劣化も抑えら
れ、卓越した耐久寿命を示すものとなる。
【0053】この様に、PEEK材からなるリード弁板
10を用いた上記実施形態のリード弁装置によると、低
速回転時の動作性能が良好に保たれつつ、高速回転時の
追従性が高められ、これによってリード弁5の限界回転
数が大幅に高められる。当発明者が実験的に確認したと
ころによると、従来のリード弁(例えばリード弁板をF
RPにより一定厚さに形成したもの)では限界回転数が
15000rpm以下であったのに対し、上記実施形態
に示す構造を有し且つPEEK製のリード弁板を用いた
リード弁装置によれば、限界回転数を20000rpm
を超える高速回転にも耐えるものが得られることが確認
された。
【0054】なお、本発明の装置において、リード弁5
は上記実施形態に示す様な6葉式のものに限らず、例え
ば一対のリード弁板に1個ずつの片を設けた2葉式や2
個ずつの片を設けた4葉式等であってもよいが、葉数を
多くすれば追従性向上等に有利となる。
【0055】また、リード弁板10の基端部近傍に設け
る低剛性部分として、上記実施形態では断面円弧状の溝
13を形成しているが、図5に示す様なV形の溝13
1、図6に示す様な角形の溝132の如き種々の断面形
状の溝を採用し得る。またこの様な溝に代えて、図7に
示す様な窓穴133、図8に示す様な丸穴134等、任
意の形状の穴を配設することにより低剛性部分を形成
し、あるいは図9に示す様に切欠部135を設けること
により低剛性部分を形成してもよい。
【0056】リード弁板10の先端側部分11の肉厚を
次第に変化させる形状として、上記実施形態では表面側
を傾斜面としているが裏面側あるいは表裏両面を傾斜面
としてもよい。また、この様な傾斜面に代えて、緩やか
な湾曲面や階段状の面を片面もしくは両面に形成しても
よい。
【0057】また、上記実施例ではリード弁板10の基
端寄り部分12を略一定の肉厚としているが、図10の
様にリード弁板10の中間部から基端部近傍に近づくに
つれて肉厚が次第に薄くなる様に基端寄り部分121を
形成してもよく、また図11の様に、先端側部分11か
ら基端寄り部分122に亘り基端部近傍に近づくにつれ
て肉厚が次第に厚くなる様に形成してもよい。
【0058】上記基端寄り部分の剛性を高くすると共に
先端側部分で剛性を次第に変化させる様にする構成とし
ては、上記実施形態の如く肉厚を変える代わりに、リブ
を配設してその突出量、配置等を各部で変化させる様に
してもよい。
【0059】また本発明のリード弁装置は、模型ヘリコ
プタ、模型飛行機等に用いられる小型の2サイクルエン
ジンに適用した場合、低速性能を確保しつつ、限界回転
数を高めることでトルクを稼ぐことができる等の点で卓
越した効果が得られるが、こうした特徴は自動二輪車用
等の2サイクルエンジンに活かすことも可能であり、更
には、4サイクルエンジン等でもリード弁が具備される
ものであれば適用可能である。
【0060】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、エ
ンジンのリード弁装置におけるリード弁板の構成素材と
してPEEKを使用し、好ましくはその形状・構造面か
らも前記の様に工夫することによって、エンジンの低速
性能を確保しつつ、限界回転数を高めることができ、し
かもエンジンの耐久寿命を延長し得ることになった。ま
た本発明によれば、PEEK主体のリード弁板を使用す
ることによって、従来は必須とされているクッションゴ
ムを省略することが可能となり、それに伴って、クッシ
ョンゴムの割れや劣化に起因するトラブルも解消でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の形状・構造面からの一実施形態による
リード弁装置を吸気通路に組付けた状態の断面図であ
る。
【図2】リード弁の分解斜視図である。
【図3】リード弁板の拡大断面図である。
【図4】リード弁の開状態の断面図である。
【図5】リード弁板の第2の実施形態を示す一部切欠斜
視図である。
【図6】リード弁板の第3の実施形態を示す一部切欠斜
視図である。
【図7】リード弁板の第4の実施形態を示す一部切欠斜
視図である。
【図8】リード弁板の第5の実施形態を示す一部切欠斜
視図である。
【図9】リード弁板の第6の実施形態を示す一部切欠斜
視図である。
【図10】リード弁板の第7の実施形態を示す一部切欠
斜視図である。
【図11】リード弁板の第8の実施形態を示す一部切欠
斜視図である。
【符号の説明】
5 リード弁 6 リード弁ボディー 10 リード弁板 11 先端側部分 12 基端寄り部分 13 基端部近傍に設けられた溝

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁口を有するリード弁ボディーと、上記
    弁口を覆う状態で基端部がリード弁ボディーに固着され
    るリード弁板とを有し、エンジンの吸気通路に取付けら
    れて、エンジンの作動に伴い上記リード弁板が弁口を開
    閉する様に構成されたリード弁装置であって、上記リー
    ド弁板がポリエーテルエーテルケトン樹脂主体の素材で
    形成されていることを特徴とするエンジン用リード弁装
    置。
  2. 【請求項2】 上記リード弁板は、その先端側の剛性が
    低くて先端から中間部まで剛性が次第に高くなり、中間
    部及びこれより基端寄りの部分で高剛性となり、かつ基
    端部近傍では中間部より剛性が低くなるように形成され
    ている請求項1に記載のリード弁装置。
  3. 【請求項3】 上記リード弁板は、その先端側の肉厚が
    薄くて先端から中間部まで肉厚が次第に増加し、中間部
    及びこれより基端寄りの部分が厚肉となり、基端部近傍
    には剛性が低下する形状の低剛性部分を有している請求
    項2に記載のリード弁装置。
  4. 【請求項4】 上記リード弁板の基端部近傍に、リード
    弁板の幅方向に延びる溝を設けることにより低剛性部分
    が設けられている請求項3に記載のリード弁装置。
  5. 【請求項5】 模型ヘリコプタまたは模型飛行機の小型
    エンジンに適用されるものである請求項1〜4のいずれ
    かに記載のリード弁装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20120095970A (ko) * 2009-11-18 2012-08-29 자루프 모하메드 리드밸브 모듈 및 어셈블리용 시스템과 방법
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