JP2002088315A - コーティング組成物および被コーティング物 - Google Patents
コーティング組成物および被コーティング物Info
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Abstract
工程数も少なく超はっ水性コーティングを形成すること
ができるコーティング組成物、および、当該コーティン
グ組成物を塗布して形成される被コーティング物を提供
する。 【解決手段】表面が親水性である微粒子と、直鎖状ポリ
マーの一末端に疎水基、他末端に親水基を有するブロッ
クポリマーとを少なくとも含有するコーティング組成物
とする。本コーティング組成物をコーティング対象物の
表面に塗布、乾燥することで、コーティング対象物10
の表面に微粒子11による凹凸が形成され、凹凸を被覆
してブロックポリマーが吸着してポリマー層12が形成
される。ここで、ポリマー層12においてブロックポリ
マーは、親水基12c側が微粒子11による凹凸の表面
側に、また、疎水基12b側がポリマー層12の表面側
に、それぞれ配向してコーティング対象物の表面に吸着
する。
Description
および被コーティング物に関し、特に乗用車におけるサ
イドミラーなどの室外に設置されるミラー表面などにお
いて、はっ水性を付与するコーティング組成物および当
該コーティング組成物を塗布して形成される被コーティ
ング物に関する。
に設置されるミラー表面などにおいては、降雨により水
滴が付着すると視認性が悪くなるという問題があり、こ
れらの表面に、はっ水性を付与することが求められてお
り、特に実質的に水に濡れることがない超はっ水性を付
与することが求められていた。
が、大阪府立大学のグループにより開発された。上記の
方法においては、アルミニウムアルコキシドなどのアル
ミニウム化合物を溶かしたアルコール溶液中にコーティ
ング対象物を浸漬し、すぐに引き上げて乾燥させ、酸化
アルミニウムの薄膜を形成する。次に、60℃の温水に
浸漬し、表面にベーマイトと呼ばれるアルミニウム化合
物の結晶を成長させることにより、約50nmの微細な
凹凸を形成する。次に、フッ素化合物(フルオロアルキ
ルトリメエトキシシラン)の溶液に浸漬して、薄膜を形
成する。以上で、被コーティング対象物の表面に超はっ
水性コーティングを形成することができる。
方法では、コーティング対象物をアルミニウム化合物溶
液中に浸漬する工程や温水に浸漬する工程など、工程数
が多く、煩雑であるという欠点がある。また、コーティ
ング対象物をアルミニウム化合物溶液中に浸漬するた
め、大きなコーティング対象物の表面に処理をするのは
困難であった。
であり、従って本発明の目的は、大きなコーティング対
象物であっても容易に、工程数も少なく超はっ水性コー
ティングを形成することができるコーティング組成物、
および、当該コーティング組成物を塗布して形成される
被コーティング物を提供することである。
め、本発明のコーティング組成物は、表面が親水性であ
る微粒子と、直鎖状ポリマーの一末端に疎水基、他末端
に親水基を有するブロックポリマーとを少なくとも含有
する。
グ対象物であるガラス基板などの基板表面へ塗布され、
また乾燥されることで、コーティング対象物の表面(以
下、被コーティング表面ともいう)に微粒子による凹凸
を形成し、また、凹凸が形成された被コーティング表面
にブロックポリマーが吸着してポリマー層を形成し、被
コーティング物を形成することができる。ここで、ポリ
マー層において、ブロックポリマーは親水基側が微粒子
による凹凸の表面側に、また、疎水基側がポリマー層の
表面側にそれぞれ配向して、被コーティング表面に吸着
する。
物は、コーティング対象物の表面に微粒子により形成さ
れた凹凸を被覆して形成され、ブロックポリマーの疎水
基側が表面側に配向したポリマー層表面により、水滴の
接触角度が150〜175°であるような超はっ水性を
示す。
物は、塗布工程と乾燥工程のみの少ない工程数で、被コ
ーティング表面に超はっ水性コーティングを形成するこ
とができる。また、さらに、被コーティング表面への塗
布により処理液の供給が可能で、処理液に浸漬せずにす
むので、大きなコーティング対象物に対しても容易に超
はっ水性コーティングを形成することができる。
適には、分散媒として有機溶媒をさらに含有する。有機
溶媒は、コーティング組成物において微粒子とブロック
ポリマーを安定に分散させることができ、塗布された後
には蒸発して微粒子とブロックポリマーのみを被コーテ
ィング表面に残すことができる。
適には、上記微粒子の平均粒径が、10〜100nmの
範囲内にある。上記粒径の微粒子により形成される凹凸
は該微粒子と同様の大きさとなり、これにより、塗布お
よび乾燥後に得られる被コーティング表面において光の
散乱を防止することができる。
適には、上記微粒子が、オルガノシリカゾルである。あ
るいは好適には、上記微粒子が、酸化亜鉛あるいは酸化
チタンを含有する。上記により、被コーティング表面
に、表面が親水性の凹凸を形成できる。さらに、酸化亜
鉛の場合には、該被コーティング表面に抗菌・抗カビ作
用を付与することができる。
明の被コーティング物は、表面が親水性である微粒子
と、直鎖状ポリマーの一末端に疎水基、他末端に親水基
を有するブロックポリマーとを少なくとも含有するコー
ティング組成物を、コーティング対象物の表面に塗布し
て乾燥させることにより形成され、上記微粒子により上
記コーティング対象物の表面に形成された凹凸と、上記
凹凸が形成されたコーティング対象物の表面に上記ブロ
ックポリマーが吸着して形成されたポリマー層とを有
し、上記ポリマー層において、上記ブロックポリマーは
上記親水基側が上記微粒子による凹凸の表面側に、上記
疎水基側が該ポリマー層の表面側に、それぞれ配向し
て、コーティング対象物の表面に吸着している。
の本発明のコーティング組成物をコーティング対象物の
表面に塗布し、乾燥させて形成された被コーティング物
であり、上記のように、コーティング対象物の表面に微
粒子により凹凸が形成され、この凹凸を被覆するように
ブロックポリマーの疎水基側が表面側に配向して吸着し
て形成されたポリマー層の表面により、超はっ水性を示
す。上記の本発明の被コーティング物は、本発明のコー
ティング組成物を用い、塗布工程および乾燥工程のみの
少ない工程数で、大きなコーティング対象物に対しても
容易に形成することができる超はっ水性のコーティング
表面を有する被コーティング物である。
には、上記ポリマー層の膜厚が、上記微粒子により上記
コーティング対象物の表面に形成された凹凸形状を上記
ポリマー層の表面に反映させる程度の膜厚である。ポリ
マー層が微粒子により形成される凹凸を埋め込んでしま
うほどの膜厚となってしまうと超はっ水性が得られない
が、上記の膜厚とすることで超はっ水性コーティングを
形成することができる。
物の実施の形態について詳細に説明する。本実施形態の
コーティング組成物は、表面が親水性である微粒子と、
直鎖状ポリマーの一末端に疎水基、他末端に親水基を有
するブロックポリマーとを少なくとも含有する。
100nmの範囲内にあり、オルガノシリカゾルからな
る材料、あるいは、酸化亜鉛あるいは酸化チタンを含有
する材料などからなる表面が親水性の微粒子である。
子量が300〜1500であり、直鎖状ポリマーの一末
端にメチル基、エチル基あるいはフッ素原子などの疎水
基を有し、他末端に水酸基あるいはエーテル結合などの
親水基を有する。
例えばプロピレングリコールなどの有機溶媒、あるいは
その他の溶媒中に分散される。有機溶媒は、コーティン
グ組成物において微粒子とブロックポリマーを安定に分
散させることができ、コーティング組成物が塗布された
後には蒸発して微粒子とブロックポリマーのみを被コー
ティング表面に残すことができる。
ィング組成物を表面に塗布し、乾燥して得た被コーティ
ング表面を有する被コーティング物の断面図であり、図
1(b)は(a)中のA部を拡大した模式図である。
などの基板10の被コーティング表面において、表面が
親水性である微粒子11が付着することで凹凸が形成さ
れている。凹凸の高さや径などは、コーティング組成物
中に分散された時点の微粒子の径と同程度とである。例
えば10〜100nmの範囲内の場合、被コーティング
表面において光の散乱が防止されている。
被コーティング表面に、上記の凹凸を被覆するようにブ
ロックポリマーが吸着して、ポリマー層12が形成され
ている。ポリマー層12の膜厚は、微粒子11による凹
凸形状をポリマー層12の表面に反映させる程度の膜厚
となっている。
クポリマーは直鎖状ポリマー12aの一末端に上記の疎
水基12bを有し、他末端に上記の親水基12cを有し
ており、一方、表面が親水性である微粒子11による凹
凸の表面には親水基11aが存在しており、上記親水基
(11a,12c)同士の水素結合により、ブロックポ
リマーはポリマー層12において親水基12c側が微粒
子による凹凸の表面側に、また、疎水基12b側がポリ
マー層12の表面側に、それぞれ配向して吸着してい
る。
微粒子による凹凸が形成され、この凹凸を被覆して疎水
基側が表面側に配向したポリマー層が形成され、これに
より水滴の接触角度が150〜175°であるような超
はっ水性を示す。
よれば、熱処理などが不要であり、塗布工程と乾燥工程
のみの少ない工程数で、被コーティング表面に超はっ水
性コーティングを形成することができる。また、さら
に、コーティング組成物の供給は、被コーティング表面
への塗布により可能で、コーティング組成物処理液に浸
漬したりせずにすむので、大きなコーティング対象物に
対しても容易に超はっ水性コーティングを形成すること
ができる。
水性コーティング面は、空気中で、即ち乾燥状態で、ゴ
ミの付着エネルギーが小さく、ゴミが付着しにくいとい
う特徴がある。
表面に凹凸を形成する微粒子が酸化亜鉛の場合には、該
被コーティング表面に抗菌・抗カビ作用を付与すること
ができる。
ては、特に限定はないが、強化ガラス、無アルカリガラ
ス、石英ガラスなどのガラス基板の他、例えば、鉄、ア
ルミニウム、ステンレス鋼、銅などの金属基板、ポリエ
チレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系樹脂、ポリ
エチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリ
メタアクリル酸メチルなどのアクリル樹脂、ポリスチレ
ン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
(ABS樹脂)、ポリカーボネートなどのプラスチック
基板など、各種基板を用いることができる。
組成物をコーティングする方法としては、例えば通常の
ディップコート、スプレイコート、グラビアコート、ロ
ールコート、バーコートまたはスクリーン印刷法、ある
いはこれらの組み合わせなど、種々の方法を用いること
ができる。
体的に説明する。
グ剤Aを塗布量15g/m2 の割合で塗布し、乾燥させ
て、実施例1のサンプルを作成した。
グ剤Bを塗布量15g/m2 の割合で塗布し、乾燥させ
て、実施例2のサンプルを作成した。
グ剤C塗布量15g/m2 の割合で塗布し、乾燥させ
て、実施例3のサンプルを作成した。
ンプルについて、水の接触角度を測定したところ、いず
れも150〜175°の範囲となり、超はっ水性が付与
されたことが確認された。
い。例えば、ブロックポリマーの疎水基としては、フッ
素原子などのその他の疎水基を用いることができる。ま
た、プロピレングリコール以外の有機溶媒などを用いる
こもできる。また、コーティング組成物の供給は、コー
ティング対象物をコーティング組成物処理液に浸漬する
ことによってもよい。その他、本発明の要旨を変更しな
い範囲で種々の変更をすることができる。
ング組成物によれば、大きなコーティング対象物であっ
ても容易に、工程数も少なく超はっ水性コーティングを
形成することができる。
明のコーティング組成物を用い、塗布工程および乾燥工
程のみの少ない工程数で、大きなコーティング対象物に
対しても容易に形成することができる超はっ水性コーテ
ィング表面を有する被コーティング物である。
物を基板上にコーティングして形成した被コーティング
物の断面図であり、(b)は(a)中のA部を拡大した
模式図である。
a,12c…親水基、12a…直鎖状ポリマー、12b
…疎水基。
Claims (7)
- 【請求項1】表面が親水性である微粒子と、 直鎖状ポリマーの一末端に疎水基、他末端に親水基を有
するブロックポリマーとを少なくとも含有するコーティ
ング組成物。 - 【請求項2】分散媒として有機溶媒をさらに含有する請
求項1に記載のコーティング組成物。 - 【請求項3】上記微粒子の平均粒径が、10〜100n
mの範囲内にある請求項1または2に記載のコーティン
グ組成物。 - 【請求項4】上記微粒子が、オルガノシリカゾルである
請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング組成物。 - 【請求項5】上記微粒子が、酸化亜鉛あるいは酸化チタ
ンを含有する請求項1〜3のいずれかに記載のコーティ
ング組成物。 - 【請求項6】表面が親水性である微粒子と、直鎖状ポリ
マーの一末端に疎水基、他末端に親水基を有するブロッ
クポリマーとを少なくとも含有するコーティング組成物
を、被コーティング対象物の表面に塗布して乾燥させる
ことにより形成され、 上記微粒子により上記被コーティング対象物の表面に形
成された凹凸と、 上記凹凸が形成された被コーティング対象物の表面に上
記ブロックポリマーが吸着して形成されたポリマー層と
を有し、 上記ポリマー層において、上記ブロックポリマーは上記
親水基側が上記微粒子による凹凸の表面側に、上記疎水
基側が該ポリマー層の表面側に、それぞれ配向して、被
コーティング対象物の表面に吸着している被コーティン
グ物。 - 【請求項7】上記ポリマー層の膜厚が、上記微粒子によ
り上記被コーティング対象物の表面に形成された凹凸形
状を上記ポリマー層の表面に反映させる程度の膜厚であ
る請求項6に記載の被コーティング物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000276793A JP2002088315A (ja) | 2000-09-12 | 2000-09-12 | コーティング組成物および被コーティング物 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2002088315A true JP2002088315A (ja) | 2002-03-27 |
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Family Applications (1)
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- 2000-09-12 JP JP2000276793A patent/JP2002088315A/ja active Pending
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