JP2002080395A - 心筋傷害処置剤 - Google Patents

心筋傷害処置剤

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JP2002080395A JP2000264527A JP2000264527A JP2002080395A JP 2002080395 A JP2002080395 A JP 2002080395A JP 2000264527 A JP2000264527 A JP 2000264527A JP 2000264527 A JP2000264527 A JP 2000264527A JP 2002080395 A JP2002080395 A JP 2002080395A
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Takumi Kobayashi
小林  巧
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 心筋傷害、特に抗腫瘍性抗生物質投与による
心筋傷害に有用な処置剤を提供する。 【解決手段】 レシチン化スーパーオキシドジスムター
ゼを含有する心筋傷害処置剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レシチン化スーパ
ーオキシドジスムターゼ(以下、単にPC−SODとも
いう)を含有する心筋傷害処置剤に関する。
【0002】
【従来の技術】Clin. Exp. Metastasis, 17(3), p239-2
44 (1999)には、アントラサイクリン系抗腫瘍性抗生物
質であるアドリアマイシンと、スーパーオキシドジスム
ターゼ(以下、単にSODともいう)との併用投与によ
る、癌転移に対する効果についての記載がある。
【0003】しかしながらこの先行技術には、PC−S
OD投与について、およびこれによる心筋傷害に対する
効果については記載されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、PC−SO
Dを含有する、より有効な心筋傷害処置剤を提供するこ
とを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を行った結果、PC−SOD
が、アドリアマイシンの投与により引き起こされる心筋
傷害を有意に抑制することを見い出し、これにより上記
課題を解決しうる心筋傷害処置剤を提供するに至り、本
発明を完成した。
【0006】すなわち本発明は、PC−SODを含有す
る心筋傷害処置剤(以下、本発明処置剤という)を提供
する。
【0007】
【発明の実施の形態】<1>PC−SOD 本明細書における「レシチン」とは、フォスファチジル
コリンを意味する通常のレシチンをいい、「リゾレシチ
ン」とは、レシチンのグリセロールの2位に結合してい
る脂肪酸1分子がとれて、2位の炭素原子に水酸基が結
合した化合物をいう。
【0008】本発明に用いられるPC−SODは、通
常、リゾレシチンの2位の水酸基に化学的架橋剤を結合
させたレシチン誘導体を、SODに1個以上結合させて
得ることができる。このPC−SODは一般式(I)で
表わされる。 SOD’ (Q−B)m (I) 一般式(I)中、SOD’はスーパーオキシドジスムタ
ーゼの残基を表す。
【0009】SOD’は、生体内の活性酸素O2 -の分解
というその本来の機能を発揮し得る限りにおいて、その
起源等は特に限定されるものではなく、各種の動植物又
は微生物に由来するSOD残基を広く用いることができ
る。しかしながら、医薬品用途においては、生体内での
抗原性をできる限り減らすのが好ましいことから、SO
D’は、本発明処置剤を投与する動物種に応じて、適宜
適切なSOD残基を選択することが好ましい。例えば、
最も本発明処置剤が必要であると考えられるヒトを対象
とする場合のSOD残基には、ヒト体内における抗原性
をできる限り減らすために、ヒト由来のSOD残基を用
いることが好ましい。
【0010】ヒト由来のSODとしては、ヒト由来のC
u/Zn SOD(活性中心に銅と亜鉛を含むヒト由来
のSOD;以下、ヒトCu/Zn SODと略記するこ
ともある)が、細胞内における発現量が多く、また遺伝
子工学的手法による生産技術が確立しており、大量に調
製することが可能であるため、特に好ましい。
【0011】このヒトCu/Zn SODには、ヒト組
織から製造される天然のヒトCu/Zn SOD;遺伝
子工学的手法により製造されるヒトCu/Zn SO
D;天然のヒトCu/Zn SODと実質上同一のアミ
ノ酸配列を有する組換えヒトCu/Zn SOD、これ
らのヒトCu/Zn SODのアミノ酸配列中の一部の
アミノ酸を化学的に修飾もしくは改変したSOD等があ
り、いずれのヒトCu/ZnSODであってもよい。
【0012】参考のため、この天然のヒトCu/Zn
SODのタンパク質のアミノ酸配列を配列番号1に示
す。なお、実際のヒトCu/Zn SODは、このアミ
ノ酸配列を有するタンパク質が二量体(ダイマー)とな
っている。
【0013】このタンパク質におけるアミノ酸配列に示
すごとく、天然のヒトCu/ZnSODの111位のア
ミノ酸はシステインであるが、蛋白工学的手法、例えば
部位特異的変異法により、この111位をセリンに変換
したヒトCu/Zn SOD(特開昭62-130684号公報)
や、化学的にこの111位のシステインを修飾したヒト
Cu/Zn SOD(特開平6-199895号公報)も報告さ
れており、これらのヒトCu/Zn SODを素材とし
て、本発明におけるPC−SODを得ることができる。
そして、これらのヒトCu/Zn SODの中でも、電
荷的及び分子量的に均一でかつSOD活性が安定してい
る、111位のシステインを化学的に修飾した、例えば
このシステインをS−(2−ヒドロキシエチルチオシス
テイン)としたヒトCu/Zn SODを素材として、
本発明におけるPC−SODを得るのが好ましい。
【0014】なお本明細書においては、このようにヒト
Cu/Zn SODにおいて部位特異的変異法等により
一部アミノ酸を変換したものや、ヒトCu/Zn SO
Dの一部のアミノ酸を化学的に修飾して得られるものも
含めて、単にヒトCu/ZnSODという。
【0015】また、一般式(I)中のBで示される「グ
リセロールの2位に水酸基を有するリゾレシチンの、そ
の水酸基の水素原子を除いた残基」は、次式(II)で表さ
れる。
【0016】 -O-CH(CH2OR)[CH2OP(O)(O-)(OCH2CH2N+(CH3)3)] (II) (式中、Rは脂肪酸残基(アシル基)である。) Rは、炭素数10〜28の飽和又は不飽和の脂肪酸残基
が好ましく、より好ましくはミリストイル基、パルミト
イル基、ステアロイル基、イコサノイル基、ドコサノイ
ル基、その他炭素数が14〜22の飽和脂肪酸残基であ
り、特に好ましくは炭素数16の飽和脂肪酸残基である
パルミトイル基である。
【0017】また一般式(I)中のQは化学的架橋を表
す。化学的架橋は、SODとレシチンとを架橋して化学
的に結合(共有結合)させ得るものであれば特に限定さ
れない。化学的架橋としては、残基−C(O)−(C
2)n−C(O)−が好ましい。この残基は、 式HO−
C(O)−(CH2)n−C(O)−OHで表される直鎖状
ジカルボン酸、このジカルボン酸の無水物、このジカル
ボン酸のエステル、このジカルボン酸のハロゲン化物、
又はこのジカルボン酸の他の反応性誘導体等を化学的架
橋剤分子として、該分子の両端に存在する水酸基(無水
物、エステル、ハロゲン化物等の反応性誘導体の場合
は、このジカルボン酸の両端に存在する水酸基に対応す
る部分)を除いた残基である。
【0018】一般式(I)中のQが上記直鎖状ジカルボ
ン酸の残基である場合、Qは、その一端において、前記
式(II)のリゾレシチン残基の水酸基由来の酸素とエス
テル結合により結合している。
【0019】また、この場合、このQの他端は、SOD
のアミノ基とアミド結合などにより直接結合していると
考えられる。従ってこの場合、SOD’は、SODの結
合に関与するアミノ基から水素原子を除いた残基を示
す。なお前記の化学的架橋において、基−(CH2)n−に
おけるnは2以上の整数であり、好ましくは2〜10の
整数であり、特に好ましくは3である。
【0020】また一般式(I)中のmは、SOD1分子
に対するリゾレシチンの平均結合数を表している。mは
1以上の正数であり、1〜12の範囲の正数が好まし
く、4であることが特に好ましい。
【0021】PC−SODの製造方法、すなわち、レシ
チン誘導体とSODとの結合方法は、公知の方法、例え
ば特開平6−54681号公報に記載された方法が採用
できる。PC−SODの製造については、実施例中に具
体的に記載する。
【0022】また、本発明処置剤に用いるPC−SOD
は、医薬として使用できる程度に精製され、医薬として
混入が許されない物質を実質的に含まないものであるこ
とが好ましい。
【0023】例えばPC−SODは、2,500 U/mg(PC-SO
D)以上の比活性を有する精製されたものを用いるのが好
ましく、3,000 U/mg(PC-SOD)以上の比活性を有する精製
されたものがより好ましい。なお、本明細書において1
U(ユニット)とは、pH7.8、30℃下でNBT(ニトロブル
ーテトラゾリウム)を用いてJ.Biol.Chem. Vol.244, No.
22, 6049-6055(1969)に準じた方法により測定し、NB
Tの還元速度を50%阻害するPC−SODの酵素量を
表す。
【0024】PC−SODは、例えば注射(静脈内、筋
肉内、皮下、皮内等)、経口、吸入等の投与方法によっ
て、経口あるいは非経口的に投与することができる。投
与方法に応じてPC−SODを適宜製剤化して、本発明
処置剤とすることができる。剤形としては、注射剤(溶
液、懸濁液、乳濁液、用時溶解用固形剤等)、錠剤、カ
プセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、リポ化剤、ゲル剤、外
用散剤、スプレー剤、吸入散剤等が挙げられるが、注射
剤が好ましい。
【0025】本発明処置剤を注射剤として提供する場
合、その形態は、溶液状、凍結状、または凍結乾燥状の
いずれであっても良い。これをアンプル、バイアル、注
射用シリンジ等の適当な容器に充填・密封し、そのまま
流通させあるいは保存して、注射剤として投与できる。
【0026】本発明処置剤の製剤化は、公知の方法を用
いることができる。また製剤化にあたり、PC−SOD
に悪影響を与えず、かつ本発明の効果に悪影響を与えな
い限りにおいて、他の医薬活性成分や、慣用の賦形剤、
安定化剤、結合剤、滑沢剤、乳化剤、浸透圧調整剤、緩
衝剤、等張化剤、保存剤、無痛化剤、着色剤、崩壊剤
等、通常医薬に用いられる成分を使用できる。
【0027】<3>本発明処置剤の投与対象等本発明処
置剤が投与される動物は、脊椎動物、特に哺乳動物が好
ましく、とりわけヒトが好ましい。本発明処置剤は、こ
れら動物における心筋傷害の処置のために投与されるも
のであるが、心筋傷害の抑制又は予防のために投与され
ることが好ましい。本発明にいう心筋傷害は、当分野に
おいてこれらの用語により理解される意味を有し、例え
ば心電図でモニターした場合にST部分の間隔の有意な
延長が認められる状態が該当する。本発明処置剤は、自
然発症する心筋傷害、薬剤投与により引き起こされる心
筋傷害のいずれにも適用できる。
【0028】心筋傷害を引き起こす可能性がある薬剤と
しては抗腫瘍剤が例示され、本発明処置剤は、抗腫瘍剤
投与により引き起こされる心筋傷害を抑制するために、
より好ましく適用することができる。抗腫瘍剤のなかで
も抗腫瘍性抗生物質が好ましく、アントラサイクリン系
抗腫瘍性抗生物質が好ましい。アントラサイクリン系抗
腫瘍性抗生物質とは、7,8,9,10-テトラヒドロ-5,12-ナ
フタセンキノンをアグリコンとする配糖体からなる抗腫
瘍性抗生物質であり、アドリアマイシン(ドキソルビシ
ン)、ダウノマイシン(ダウノルビシン、ルビドマイシ
ン、ルボマイシンC)、アクラルビシン(アクラシノマ
イシンンA)、ピラルビシン、エピルビシン等が例示さ
れるが、これらに限定されない。本発明処置剤の特に好
ましい適用疾患は、特にアントラサイクリン系抗腫瘍性
抗生物質の投与により引き起こされる心筋傷害、特に心
筋症、うっ血性心不全等である。ただし本発明処置剤の
適用疾患の範囲はこれらに限定されない。本発明処置剤
は、上記薬剤の投与により引き起こされる副作用(心筋
傷害)に対して、顕著な予防・抑制効果を有することか
ら、これらの副作用の予防剤としても適用できる。よっ
て本発明処置剤の投与は、このような副作用(心筋傷害)
を惹起する可能性がある薬剤の投与後だけでなく、その
投与前、あるいは該薬剤の投与と同時であってもよい。
【0029】本発明処置剤におけるPC−SODの配合
量、1回あたりの投与量、投与間隔等は、本発明処置剤
の投与方法、投与形態、使用目的等、患者の具体的症
状、年齢、性別、体重等に応じて個別に決定されるべき
事項であり、特に限定されないが、PC−SODの臨床
量として成人1人1回当り1〜100 mg(3,000〜300,000
U)が例示される。
【0030】
【実施例】以下に、本発明を製造例及び実施例により具
体的に説明する。しかしながら、これらにより本発明の
技術的範囲は限定されない。
【0031】〔製造例〕 <1>ヒトCu/Zn SODの調製 該SODは、特開平6-199895号公報に記載された方法で
調製したものを用いた。このヒトCu/Zn SODの1
11 位のアミノ酸はS−(2−ヒドロキシエチルチオ)
システインとなっている。
【0032】<2>PC−SODの調製 PC−SODは、特開平6-54681号公報に記載された方
法によって、2−(4−ヒドロキシカルボニルブチロイ
ル)リゾレシチンの活性エステル体を調製し、これと上
記<1>のSODとを反応させることによって調製し
た。精製・濃縮後、蛋白質濃度をローリー法(Lowry, O.
h.ら、J. Biol. Chem., 193 巻, 265 頁 (1951年))、S
ODの残存アミノ基をTNBS法(トリニトロベンゼン
スルホン酸塩、Goodwin, J. F.ら、Clin. Chem., 16
巻, 24頁 (1970年))で分析することにより、SOD1分
子あたりのレシチン誘導体の結合数を求めたところ、平
均4.0個であった。このPC−SODの水溶液は青緑
色〜緑色を呈し、pHは7〜8であった。また、分子量
をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により測
定したところ、PC−SODサブユニットのモノマー
(PC−SODはサブユニットのホモダイマーである)
あたり約18000であった。
【0033】〔実施例〕アドリアマイシン惹起マウス心
筋傷害モデルに対する効果の検討 (1)以下の本実施例で用いた薬剤 塩酸ドキソルビシン(ファルマシア) 塩酸ドキソルビシンを生理食塩水に溶解し、2mg/ml溶液
として用いた。PC−SODは、前記製造例で製造した
もの(比活性:3000U/mg)を、5%マンニトールで希釈し
て用いた。
【0034】(2)本実施例で用いた実験動物 Balb/cマウス(雄、体重24〜28g) マウスを、ペントバルビタール(pentobarbital)-ナトリ
ウムの腹腔内注射(110mg/kg体重)、およびブプレノルフ
ィン(buprenorfine)の皮下注射(2mg/kg体重)によって麻
酔した後、マウスの皮下にトランスミッター TA10ETA-F
20 (Data Sciences International社製)を移植した。移
植は、同社のマニュアルに従って行った。
【0035】(3)薬効薬理試験 マウスを以下の通り群分けし、薬効薬理試験を行った。 第1群:生理食塩水投与群 (n=3) 第2群:ドキソルビシン投与群 (n=6) 第3群:PC-SOD 5,000U/kg+ドキソルビシン投与群 (n=
6) 第4群:PC-SOD 20,000U/kg+ドキソルビシン投与群 (n
=6) 第5群:PC-SOD 80,000U/kg+ドキソルビシン投与群 (n
=6) 第6群:マンニトール+ドキソルビシン投与群 (n=6) 第3〜5群のマウスには、所定の投与量となるように濃
度を調整したPC-SOD溶液を、体重1gあたり3μl尾静
脈に注射した。第6群のマウスには、PC-SOD溶液の代わ
りに5%マンニトールを同様に注射した。その15分後
に、第1群のマウスには体重1gあたり2μlの生理食
塩水を、第2〜6群のマウスには、体重1gあたり2μ
lのドキソルビシン溶液をそれぞれ尾静脈に注射した。
第1回目の心電図のモニターは上記物質を投与した日の
午後12:00に行い、このデータを「第1週目」のデータ
とした。その1週間後の午後12:00に「第2回目」(第2
週目)のデータを取得し、その後同様に第8週目までデ
ータを取得した。なお、上記投与の1週間前にも同様に
心電図をモニターしておき、このデータを「第0週目」
のデータとした。心電図のモニターは、マウスに移植さ
れたトランスミッターからの情報をテレメトリー受信機
RPC-1 (Data Sciences International社製)で受信する
ことにより行った。心電図のモニターは2分間行い、サ
ンプリング速度は10,000秒-1(0.1m秒まで解析可能)で
行った。記録された心電図にマウスの動作等による干渉
ノイズが入った場合には、さらに2分間測定を行った。
それぞれのマウスについて得られた心電図において9回
連続して同様の形を有する部分を選択し、それぞれ、S
-ピークからT-ピークの末端までの間隔(ST時間;ミ
リ秒)を測定し、その平均値を算出した。算出されたS
T時間の平均値から、そのマウスの「第0週目」におけ
るST時間の平均値を差し引いて、ST時間の増減値を
求めた。心筋傷害が起きるとST時間が増加することか
ら、ST時間の増減値を心筋傷害の程度の指標とした。
ST時間の増減値について、第1、2及び6群の結果を
図1に、第3、4、5及び6群の結果を図2に、第1、
3、4及び5群の結果を図3にそれぞれ示す。なお、図
1中のaは、第2群の値が第1群の値に比して有意に増
加していることを(p<0.05)、bは第6群の値が第1群の
値に比して有意差に増加していることを示す(p<0.05)。
また、図2中のaは、第3群の値が第6群の値に比して
有意に減少していることを(p<0.05)、bは第4群の値が
第6群の値に比して有意に減少していることを(p<0.0
5)、cは第5群の値が第6群の値に比して有意に減少し
ていることを示す(p<0.05)。図3中のbは、第4群の値
が第1群の値に比して有意に増加していることを示す(p
<0.05)。なお統計解析は、多重比較(LSD法)により行
った。
【0036】図1より、ドキソルビシンを投与すると、
生理食塩水の投与(第1群)に比してST時間が増加す
ることが示された(第2群)。またドキソルビシン投与
前に5%マンニトールを投与しても、ST時間の増加に
対して何ら影響がなかった(第6群)。よって、PC−
SODの溶媒であるマンニトールは、ドキソルビシンの
心筋傷害に対して効果がないことが示された。図2よ
り、ドキソルビシン投与前にPC−SODを投与するこ
とにより、ドキソルビシンにより誘発されるST時間の
増加が抑制されることが示された(第3〜5群)。図3
より、ドキソルビシン投与前にPC―SODを投与した
場合(第3〜5群)、生理食塩水のみの投与(第1群)
に比して大幅なST時間の増加は見られなかった。な
お、移植されたトランスミッターは、マウスの動作や行
動に影響を及ぼさず、移植部位の皮膚の修復も特に影響
は見られなかった。以上の結果より、ドキソルビシンの
投与前にPC―SODを投与することにより、ドキソル
ビシンによる心筋傷害を有効に抑制できることが示され
た。この効果は、今回実験したいずれの投与量(5,000、
20,000または80,000 U/kg体重)においても確認された。
このことから、本発明処置剤は心筋傷害処置剤、特にド
キソルビシン等のアントラサイクリン系抗腫瘍性抗生物
質の投与による心筋傷害抑制剤(副作用抑制剤)として
有用であることが確認された。また本発明処置剤は、ド
キソルビシンの投与前に投与することにより優れた効果
を発揮することから、このような心筋傷害の予防剤(副
作用予防剤)としても利用できることが示された。
【0037】
【発明の効果】本発明処置剤は、PC−SODを含有さ
せることにより、レシチン化していないSOD(フリー
のSOD)を投与した場合に比して顕著な心筋傷害抑制
作用を発揮することから、心筋傷害処置剤として有用で
あり、特にアドリアマイシン等のアントラサイクリン系
抗腫瘍性抗生物質の投与による心筋傷害抑制剤(副作用
抑制剤)として有用である。また本発明処置剤は、アン
トラサイクリン系抗腫瘍性抗生物質の投与前に投与する
ことにより優れた効果を発揮することから、このような
心筋傷害の予防剤(副作用予防剤)としても有用であ
る。
【配列表】 <110> Seikagaku Corporation <120> Suppressing agent for cardiomyopathy <130> <160> 1 <210> 1 <211> 153 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 1 Ala Thr Lys Ala Val Cys Val Leu Lys Gly Asp Gly Pro Val Gln Gly 1 5 10 15 Ile Ile Asn Phe Glu Gln Lys Glu Ser Asn Gly Pro Val Lys Val Trp 20 25 30 Gly Ser Ile Lys Gly Leu Thr Glu Gly Leu His Gly Phe His Val His 35 40 45 Glu Phe Gly Asp Asn Thr Ala Gly Cys Thr Ser Ala Gly Pro His Phe 50 55 60 Asn Pro Leu Ser Arg Lys His Gly Gly Pro Lys Asp Glu Glu Arg His 65 70 75 80 Val Gly Asp Leu Gly Asn Val Thr Ala Asp Lys Asp Gly Val Ala Asp 85 90 95 Val Ser Ile Glu Asp Ser Val Ile Ser Leu Ser Gly Asp His Cys Ile 100 105 110 Ile Gly Arg Thr Leu Val Val His Glu Lys Ala Asp Asp Leu Gly Lys 115 120 125 Gly Gly Asn Glu Glu Ser Thr Lys Thr Gly Asn Ala Gly Ser Arg Leu 130 135 140 Ala Cys Gly Val Ile Gly Ile Ala Gln 145 150
【図面の簡単な説明】
【図1】 ドキソルビシン投与による心電図のST時間
の増加程度を示す図である。
【図2】 ドキソルビシン投与前にPC−SODを投与
することによるST時間の増加程度を示す図である。
【図3】 ドキソルビシン投与前にPC―SODを投与
した場合のST時間の増加程度と、生理食塩水のみ投与
した場合のST時間の増加程度を比較した図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レシチン化スーパーオキシドジスムター
    ゼを含有する心筋傷害処置剤。
  2. 【請求項2】 心筋傷害が薬剤投与により引き起こされ
    るものである、請求項1に記載の心筋傷害処置剤。
  3. 【請求項3】 心筋傷害が抗腫瘍剤により引き起こされ
    るものである、請求項1に記載の心筋傷害処置剤。
  4. 【請求項4】 抗腫瘍剤が抗腫瘍性抗生物質である、請
    求項3に記載の心筋傷害処置剤。
  5. 【請求項5】 抗腫瘍性抗生物質がアントラサイクリン
    系抗腫瘍性抗生物質である、請求項4に記載の心筋傷害
    処置剤。
  6. 【請求項6】 心筋傷害の抑制又は予防のために投与さ
    れることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に
    記載の心筋傷害処置剤。
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Cited By (3)

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