JP2002071658A - 液体クロマトグラフィ装置及びフローセル - Google Patents

液体クロマトグラフィ装置及びフローセル

Info

Publication number
JP2002071658A
JP2002071658A JP2000259628A JP2000259628A JP2002071658A JP 2002071658 A JP2002071658 A JP 2002071658A JP 2000259628 A JP2000259628 A JP 2000259628A JP 2000259628 A JP2000259628 A JP 2000259628A JP 2002071658 A JP2002071658 A JP 2002071658A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pipe
test liquid
flow cell
liquid
test
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000259628A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Shirota
修 城田
Kazuhiko Mitsuhayashi
和彦 三林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shiseido Co Ltd
Original Assignee
Shiseido Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shiseido Co Ltd filed Critical Shiseido Co Ltd
Priority to JP2000259628A priority Critical patent/JP2002071658A/ja
Publication of JP2002071658A publication Critical patent/JP2002071658A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Optical Measuring Cells (AREA)
  • Automatic Analysis And Handling Materials Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は注入される被検液の温度を安定化さ
せる機構を有した液体クロマトグラフィ装置及びフロー
セルに関し、被検液の変質防止とベースラインにおける
ノイズ低減を共に図ることを課題とする。 【解決手段】 カラム36で分離処理された被検液が注
入配管20を介して注入されると共に注入された被検液
に対してUV光が照射される本体部11と、注入配管2
0が巻回される配管巻回部12とを具備するフローセル
であって、本体部11及び注入配管20を共に樹脂によ
り形成する。かつ、注入配管20の肉厚を、被検液が配
管巻回部12を通過する過程において被検液と配管巻回
部12との間で熱の授受が行なわれ、被検液と配管巻回
部12との温度が実質的に同一となる厚さに設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液体クロマトグラフ
ィ装置及びフローセルに係り、特に注入される被検液の
温度を安定化させる機構を有した液体クロマトグラフィ
装置及びフローセルに関する。
【0002】
【従来の技術】液体クロマトグラフィ装置は化学物質を
分離・定量する化学分析手段として広く使われている。
特に、内径が1〜2mmのセミミクロカラムを使った液
体クロマトグラフィ装置は高感度、高分解能および高精
度な分析結果を提供できる利点を有しており、活発な研
究がなされている。
【0003】この液体クロマトグラフィ装置は、ポンプ
により流れる移動相に被検液を注入した上でカラムに導
入して被検液の各成分を分離し、カラムから流出する分
離された各成分を検出器で検出することにより被検液の
成分分析を行なう構成とされている。
【0004】また、液体クロマトグラフィ装置に設けら
れる検出器は分析方法に応じて各種提供されているが、
その一つとして吸光光度検出器がある。この吸光光度検
出器はフローセルを有しており、カラムで分離された被
検液は配管を介してフローセル内に注入される構成とさ
れている。また、フローセルは、注入された被検液に紫
外線或いは可視光を照射しうる構成とされており、被検
液に含まれる各成分の吸光率差を利用して被検液の成分
分析を行なう。
【0005】また、上記のように被検液はポンプにより
移動相と共に移動するため、被検液の移動にはポンプに
起因した脈動が必然的に発生する。この脈動により被検
液の移動速度も変動し、これにより被検液には温度差が
発生する。
【0006】具体的には、被検液の移動速度が速い部分
における温度は低下し、移動速度が遅い部分における温
度は上昇する。このように、移動する被検液に温度差が
存在すると、これがノイズとなり分析結果のベースライ
ンに大きな変動が発生し、分析精度が低下してしまう。
【0007】このため、フローセルには配管巻回部が設
けられており、この配管巻回部にカラムから被検液を搬
送する配管を巻回することにより上記の温度変動を低減
する構成としている。即ち、被検液を搬送する配管をフ
ローセルの配管巻回部に巻回することにより、この巻回
された配管内を被検液が通過する過程においてフローセ
ルと被検液との間に熱の授受が行なわれ、これによりフ
ローセル内に注入される時点において被検液の温度変動
は低減される。
【0008】従来、この配管及びフローセルは全て金属
により形成されており、よって被検液は配管及びフロー
セルを構成する金属に触れつつ移動する構成とされてい
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、被検液
に含まれる成分には、金属と反応する物質(以下、金属
反応物質という)を含む場合がある。よって、このよう
な金属反応物質を含む被検液を従来のフローセル(液体
クロマトグラフィ装置)及びで分析処理すると、金属反
応物質が金属と反応することにより変質してしまい、精
度の高い分析処理ができなくなるという問題点があっ
た。
【0010】この問題点を解決する手段として、配管及
びフローセルの材質として被検液に反応しない樹脂を用
いることが考えられる。しかしながら、従来の金属配管
に代え、同一の外径及び内径を有する樹脂配管を用いた
場合には、樹脂は金属に比べて熱伝導率が低いため、配
管巻回部に巻回された配管内を被検液が通過する過程に
おけるフローセルと被検液との間に熱の授受が良好に行
なわないという問題点が生じる。フローセルと被検液と
の間における熱の授受が適正に行なわれないと、被検液
の温度変動は維持されてしまい、前記のようにベースラ
インにおけるノイズが増大して分析精度が低下してしま
う。
【0011】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、被検液の変質防止とベースラインにおけるノイズ
低減を共に図り得る液体クロマトグラフィ装置及びフロ
ーセルを適用することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴
とするものである。
【0013】請求項1記載の発明は、カラムで分離処理
された被検液が配管を介して注入されると共に注入され
た前記被検液に対して前記紫外線或いは可視光線が照射
される本体部と、前記配管が巻回される配管巻回部とを
具備するフローセルを設けてなる液体クロマトグラフィ
装置であって、前記本体部及び前記配管を共に樹脂によ
り形成し、かつ、前記配管の厚さを、前記被検液が前記
配管巻回部を通過する過程において前記被検液と前記配
管巻回部との間で熱の授受が行なわれ、前記被検液と前
記配管巻回部との温度が実質的に同一となる厚さに設定
したことを特徴とするものである。
【0014】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の液体クロマトグラフィ装置において、前記配管の外
径を0.40mm以上1.60mm以下に設定し、かつ、前記配管の
厚さを0.15mm以上0.50mm以下に設定したことを特徴と
するものである。
【0015】また、請求項3記載の発明は、請求項1ま
たは2記載の液体クロマトグラフィ装置において、前記
樹脂としてポリエーテルエーテルケトンを用いたことを
特徴とするものである。
【0016】また、請求項4記載の発明は、被検出体と
なる被検液が配管を介して注入されると共に注入された
前記被検液に対して前記紫外線或いは可視光線が照射さ
れる本体部と、前記配管が巻回される配管巻回部とを具
備するフローセルであって、前記本体部及び前記配管を
共に樹脂により形成し、かつ、前記配管の厚さを、前記
被検液が前記配管巻回部を通過する過程において前記被
検液と前記配管巻回部との間で熱の授受が行なわれ、前
記被検液と前記配管巻回部との温度が実質的に同一とな
る厚さに設定したことを特徴とするものである。
【0017】また、請求項5記載の発明は、請求項4記
載の液体フローセルにおいて、前記配管の外径を0.40mm
以上1.60mm以下に設定し、かつ、前記配管の厚さを0.1
5mm以上0.50mm以下に設定したことを特徴とするもので
ある。
【0018】また、請求項6記載の発明は、請求項1ま
たは2記載のフローセルにおいて、前記樹脂としてポリ
エーテルエーテルケトンを用いたことを特徴とするもの
である。
【0019】上記した各手段は、次のように作用する。
【0020】請求項1及び請求項4記載の発明によれ
ば、被検液が内部を流れる配管、及び被検液が注入され
る本体部及び配管を共に樹脂により形成したため、被検
液が配管及び本体部に触れても被検液に対し配管及び本
体部が反応することを防止できる。即ち、配管及び本体
部として金属製のものを用いた場合には、被検液によっ
ては金属と反応してしまい、正確な分析処理が実施でき
ないおそれがある。しかしながら、上記各発明のように
配管及び本体部を共に樹脂により形成することにより、
被検液が配管及び本体部により変質されることを防止で
き、精度の高い分析処理を行なうことができる。
【0021】また、配管の厚さを、被検液が配管巻回部
を通過する過程において被検液と配管巻回部との間で熱
の授受が行なわれ、被検液と配管巻回部との温度が実質
的に同一となる厚さに設定したことにより、被検液が本
体部に注入される時点において被検液の温度変動を減少
させることができる。よって、分析結果のベースライン
に発生する変動幅を減少させることができ、分析精度の
向上を図ることができる。
【0022】また、請求項2及び請求項5記載の発明に
よれば、配管の外径を0.40mm以上1.60mm以下の細管と
し、かつ、配管の厚さを0.15mm以上0.50mm以下と肉薄
としたことにより、配管巻回部と配管内を通過する被検
液との間における熱伝導、及び配管巻回部において隣接
する配管内を通過する被検液同士の間における熱伝導を
速やかに行なうことができ、被検液の温度変動を速やか
に減少させることができる。
【0023】また、請求項3及び請求項6記載の発明に
よれば、樹脂としてポリエーテルエーテルケトン(PE
EK)を用いたことにより、PEEKは熱伝導性が高
く、また機械的強度及び耐薬品性も高いため、フローセ
ルの信頼性を向上させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面と共に説明する。
【0025】図1及び図2は、本発明の一実施例である
フローセル10を示しており、また図3はフローセル1
0を用いた液体クロマトグラフィ装置30を示してい
る。先ず、図3を用いて液体クロマトグラフィ装置30
の全体構成について説明する。
【0026】液体クロマトグラフィ装置30は、移動相
用容器31,ポンプ33,試料注入装置35,カラム3
6,検出器37,及び廃液用容器38等により構成され
ている。移動相用容器31は、移動相32を貯めておく
容器である。本実施例では単一の移動相32を用いる構
成のフローセル10であるため、移動相用容器31は1
個のみ配設されている。尚、グラディエント溶出法を用
いる場合等においては、複数の移動相用容器31を配設
することも可能である。
【0027】ポンプ33は、配管39を用いて移動相用
容器31内の移動相32を吸引すると共に、吸引された
移動相32を配管40に所定の圧力で吐出する機能を奏
するものである。このポンプ33としては、例えばプラ
ンジャータイプポンプ,シリンジタイプポンプ,ダイヤ
フラムタイプポンプ,エアシリンダータイプポンプ等を
用いることができる。
【0028】これら各タイプのポンプは、吐出圧力を可
変することができ、液送精度が高く、また機構が簡単で
ある等の特徴があるため、移動相32を搬送するポンプ
として好適である。しかしながら、各タイプのポンプ
は、その構造上必然的に配管40に吐出される移動相3
2に脈動が生じてしまう。
【0029】即ち、配管40以降の移動相32の流れ速
度には、所定の周期で速い部分と遅い部分が発生してし
まう。よって、移動相32の移動速度が速い部分におけ
る温度は低下し、移動速度が遅い部分における温度は上
昇する。
【0030】このように、移動相32に温度差が存在す
ると、移動相32と共に移動する被検液(成分分析処理
がされるサンプル)にも周期的な温度差が発生する。従
って、前記したように、この温度差を無くさないと、こ
れに起因して分析結果のベースラインに大きな変動が発
生し分析精度が低下してしまう。尚、本実施例における
移動相32の脈動による被検液の温度変動を抑制する手
段については、説明の便宜上、後述するものとする。
【0031】ポンプ33から移動相32が吐出される配
管40は、試料注入装置35に接続されており、また配
管40の途中位置には圧力計34が配設されている。圧
力計34は例えばブルドン管圧力計であり、ポンプ33
から吐出される移動相32の圧力を測定できるよう構成
されている。この圧力計34で測定された配管40内の
移動相32の圧力は、ポンプ33にフィードバックさ
れ、これにより配管40内の移動相32の圧力が一定と
なるよう制御される構成となっている。
【0032】試料注入装置35は、例えばユニバーサル
インジェクタであり、注入ポート43から成分分析処理
がされるサンプルである被検液が注入される。注入ポー
ト43から注入された被検液は、試料注入装置35にお
いて移動相32と混合され、配管41を介してカラム3
6に送られる。
【0033】カラム36は、例えば内径が1〜2mmの
ガラス製のセミミクロカラムであり、その内部には被検
液の分離処理を行なうためのカラム充填材(例えば、シ
リカゲルの粉体)が充填されている。このカラム36で
成分分離された被検液は、注入配管20を介して検出器
37に注入される。
【0034】検出器37は、大略すると光源(例えば、
紫外線発射装置),フローセル10,及び光センサ等に
より構成されている。カラム36で分離処理された被検
液は注入配管20を介してフローセル10に注入される
よう構成されており、また光源はフローセル10に注入
された被検液に紫外線(以下、UV光という)を照射す
る構成とされている。
【0035】この際、被検液に含まれる成分によりUV
光の吸収率が異なるため、被検液を通過したUV光は被
検液に含まれる成分の情報が重畳されたものとなる(以
下、この成分の情報が重畳されたUV光を情報光とい
う)。この情報光は、光センサにより検出される。そし
て、この光センサから出力される信号を解析することに
より、被検液に含まれる成分を分析することができる。
尚、検出器37で検出処理が終了した被検液は、廃液配
管21を介して廃液用容器38に排気される。
【0036】続いて、検出器37を構成するフローセル
10について、図1及び図2を用いて説明する。図1は
フローセル10の斜視図であり、図2はフローセル10
の断面図である。
【0037】フローセル10は、大略すると本体部1
1,配管巻回部12,及びベース部13等により構成さ
れている。また、本実施例に係るフローセル10は、注
入配管20の一部も構成要素の一部としている。
【0038】本体部11(図2に梨地で示す)は、樹脂
により形成されている。具体的には、本体部11はポリ
エーテルエーテルケトン(以下、PEEKと略称する)
により成形されている。この本体部11には注入口1
4,排出口15,及び本体部11が形成されている。
【0039】注入口14は、注入配管20の端部に配設
された注入用ジョイント22が接続されることにより、
カラム36で分離処理された被検液が注入される構成と
されている。また、排出口15は、廃液配管21の端部
に配設された廃液用ジョイント23が接続されることに
より、吸光光度検出が行なわれた被検液が廃液用容器3
8に向け排出される構成とされている。
【0040】また、セル部16は本体部11の中心位置
に図中上下に形成されており、上端部に注入口14が接
続され、下端部に排出口15が接続されている。従っ
て、注入配管20から注入された被検液は、セル部16
を図中上から下に向け流れる。
【0041】前記したように、本体部11は、PEEK
等の樹脂により形成されている。また、内部を被検液が
流れる注入口14,排出口15,及びセル部16は、全
て樹脂製の本体部11に形成されている。
【0042】PEEKは、耐溶剤性,耐薬品性,耐加水
分解性に優れ、よって被検液が触れても従来の金属のよ
うに反応することはない。即ち、本実施例の構成とする
ことにより、被検液の変質を防止することができ、従っ
て精度の高い分析処理を行なうことが可能となる。ま
た、PEEKは機械的強度も高いため、注入用ジョイン
ト22及び廃液用ジョイント23が接続される構成とし
ても各ジョイント22,23を確実に固定することがで
き、フローセル10の信頼性を向上させることができ
る。また、本実施例では上記したように光源としてUV
光を用いているが、UV光を照射されても劣化するよう
なことはなく、これによってもフローセル10の信頼性
を向上させることができる。
【0043】配管巻回部12は、本体部11の図中上部
に配設されている。本実施例では、配管巻回部12はス
テンレス等の金属により形成しているが、配管巻回部1
2を本体部11と同様に樹脂により成形することも可能
である。この配管巻回部12は、円筒形状を有してお
り、その外周には注入配管20が所定ターン数で巻回さ
れている。
【0044】即ち、カラム36からの被検液は、配管巻
回部12に巻回された注入配管20内を通過した上で、
注入用ジョイント22を介して本体部11(セル部1
6)に注入される構成となっている。そして、配管巻回
部12に巻回された注入配管20内を通過する過程にお
いて、被検液と配管巻回部12との間で熱の授受が行な
われ(一部、本体部11との間での熱の授受も存在する
と思われる)、被検液が本体部11に注入される時点に
おいて被検液の温度変動は変動のない一定の温度とな
る。
【0045】また、配管巻回部12の図中中央上部には
光通過部24が配設されており、この光通過部24の下
部には石英ガラスよりなる窓部26が形成されている。
光源からのUV光は、配管巻回部12に形成された光通
過部24,窓部26を介し、本体部11に形成されたセ
ル部16内を流れる被検液に照射されるよう構成されて
いる。
【0046】ベース部13は、本体部11の図中下部に
配設されている。本実施例では、ベース部13はステン
レス等の金属により形成しているが、ベース部13を本
体部11と同様に樹脂により成形することも可能であ
る。このベース部13のセル部16と対向する位置には
光通過部25が配設されており、この光通過部25の図
中上部には石英ガラスよりなる窓部27が形成されてい
る。
【0047】更に、ベース部13の図中下部で、光通過
部25と対向する位置には、図示しない光センサが配設
されている。よって、セル部16内を通過した情報光
(UV光)は、ベース部13に敬意瀬された窓部27,
光通過部25を介して光センサに受光され、これにより
光センサは情報光に対応した信号を出力する。
【0048】ここで、配管巻回部12に巻回されている
注入配管20に注目する。本実施例では、注入配管20
を樹脂により形成している。具体的には、注入配管20
は、本体部11と同様にPEEKにより形成している。
前記したように、PEEKは、耐溶剤性,耐薬品性,耐
加水分解性に優れている。よって、注入配管20をPE
EKにより形成することにより、被検液が触れても従来
の金属配管のように反応することはなくなり、注入配管
20内を通過する過程において被検液が変質することを
防止することができる。従って、注入配管20を樹脂に
より形成することにより、精度の高い分析処理を行なう
ことが可能となる。
【0049】また、本実施例で用いる注入配管20は、
従来用いられていた金属配管に比べて細管化されてい
る。これについて、図4を用いて説明する。図4(A)
は本実施例で用いている注入配管20の断面図であり、
図4(C)は従来用いられていた金属配管20Bの断面
図である。尚、図4(A)に示す注入配管20と、図4
(C)に示す注入配管20Bは、等倍率で描いている。
【0050】先ず、従来用いられていた図4(C)に示
す注入配管20Bに注目すると、注入配管20Bの外径
D3は1/16inch(約、1.6mm)であり、また内径R1は
0.13mmであった。従って、注入配管20Bの肉厚W3は
約0.74mmとなる。
【0051】このように、従来用いられていた金属製の
注入配管20Bは、被検液が流れる内径に対して肉厚な
構成とされていた。しかしながら、金属は樹脂に比べて
熱伝導率が高いため、図4(C)に示されるように、注
入配管20Bの肉厚W3を厚く設定しても、配管巻回部
12と注入配管20B内を流れる被検液との間で熱の授
受を十分行なうことができ、よって被検液がセル部16
に注入される時点では温度の変動をなくすことができ
た。
【0052】しかしながら、図4(C)に示す形状の樹
脂製の注入配管を作製し、これを配管巻回部12に巻回
して分析処理を行なったところ、図5に矢印Bで示すよ
うに、分析結果のベースラインが大きく変動し、注入配
管を配管巻回部12に巻回せずに直接被検液をセル部1
6に注入したと同様の検出結果を得た。これは、樹脂の
熱伝導率が金属に比べて小さいため、配管巻回部12と
注入配管20B内を流れる被検液との間で熱の授受が行
なわれず、被検液がセル部16に注入される際に依然と
して温度の変動が存在しているからである。尚、図5は
分析処理結果の一例を示す図であり、図6に矢印Cで示
すベースラインを拡大して示すものである。
【0053】そこで本実施例では、注入配管20を図4
(A)に示す構成とした。即ち、本実施例では、注入配
管20の外径D1を0.50mmとし、その内径R1は注入配
管20Bと同様に0.13mmとした。従って、本実施例に係
る注入配管20の肉厚W1は約0.19mmとなる。
【0054】そして、図4(A)に示す本実施例に係る
注入配管20を配管巻回部12に巻回して分析処理を行
なったところ、図5に矢印Aで示すように、分析結果の
ベースラインの変動を大幅に小さくすることができた。
【0055】これは、樹脂の熱伝導率が金属に比べて小
さくても、注入配管20の肉厚W1を約0.19mmと薄く設
定したことにより、配管巻回部12と注入配管20内を
流れる被検液との間で熱の授受が速やかにかつ良好に行
なわれると共に、配管巻回部12に巻回されている隣接
する注入配管20内を通過する被検液同士の間における
熱伝導も速やかにかつ良好に行なわれるため、被検液が
セル部16に注入される時点において温度の変動が減少
されていることによる。
【0056】従って、上記のように樹脂製の注入配管2
0の肉厚W1を従来の金属製の注入配管20Bの肉厚W
3に対して薄く設定し、被検液が配管巻回部12を通過
する過程において被検液と配管巻回部12との間で熱の
授受が行なわれ、被検液と配管巻回部12との温度が実
質的に同一となるよう設定することにより、被検液が本
体部11(セル部16)に注入される時点において被検
液の温度変動を減少させることが可能となる。これによ
り、分析結果のベースラインに発生する変動幅を減少さ
せることができ、分析精度の向上を図ることができる。
具体的には、図5に矢印Aで示す本実施例による分析結
果では、図中矢印Pで示すような微小なピークであって
も確実に検出することができるが、従来例による分析結
果のようにベースラインの変動が大きいと、微小なピー
クPを検出することはできない。従って、このことから
も、本実施例の構成の方が従来に比べて分析精度の向上
を図ることができることが理解できる。尚、図5では、
理解を容易にするために、従来の分析結果と本実施例の
分析結果を同一の図に示した。
【0057】一方、注入配管の寸法は、上記した注入配
管20の寸法に限定されるものではない。即ち、注入配
管内を流れる被検液と配管巻回部12との間で熱の授受
が行なえる構成であれば、この構成も本発明の範疇とな
る。
【0058】具体的には、本発明者の実験によれば、配
管の外径を0.40mm以上1.60mm以下の細管とし、かつ、配
管の厚さを0.15mm以上0.50mm以下と肉薄とした場合、
配管巻回部12と注入配管内を通過する被検液との間に
おける熱伝導、及び配管巻回部12に巻回されている隣
接する注入配管内を通過する被検液同士の間における熱
伝導を速やかに行なうことができ、被検液の温度変動を
速やかに減少させることができる。
【0059】従って、図4(B)に示す注入配管20A
のように、注入配管20Aの外径D2を1.20mmとし、そ
の内径R2を0.70mmとし、従って注入配管20Aの肉厚
W1を約0.25mmとした場合であっても、セル部16にお
ける被検液の温度変動をなくすことができ、精度の高い
分析処理を行なうことができる。
【0060】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、次に述べる
種々の効果を実現することができる。
【0061】請求項1及び請求項4記載の発明によれ
ば、被検液が配管及び本体部により変質されることを防
止でき、精度の高い分析処理を行なうことができる。ま
た、被検液が本体部に注入される時点において被検液の
温度変動を減少させることができるため、分析結果のベ
ースラインに発生する変動幅を減少させることができ、
分析精度の向上を図ることができる。
【0062】また、請求項2及び請求項5記載の発明に
よれば、配管巻回部と配管内を通過する被検液との間に
おける熱伝導、及び配管巻回部において隣接する配管内
を通過する被検液同士の間における熱伝導を速やかに行
なうことができ、被検液の温度変動を速やかに減少させ
ることができる。
【0063】また、請求項3及び請求項6記載の発明に
よれば、樹脂として熱伝導性,機械的強度,及び耐薬品
性が高いポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用
いたため、フローセルの信頼性を向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるフローセルの斜視図で
ある。
【図2】本発明の一実施例であるフローセルの断面図で
ある。
【図3】本発明の一実施例である液体クロマトグラフィ
装置の構成図である。
【図4】本発明の一実施例であるフローセルに用いる注
入配管を説明するための断面図である。
【図5】本発明の一実施例であるフローセルを用いた液
体クロマトグラフィ装置による分析結果の一例を示す図
であり、特にベースラインを拡大して示す図である。
【図6】本発明の一実施例であるフローセルを用いた液
体クロマトグラフィ装置による分析結果の一例を示す図
である。
【符号の説明】
10 フローセル 11 本体部 12 配管巻回部 13 ベース部 14 注入口 15 排出口 16 セル部 20,20A,20B 注入配管 21 廃液配管 22 注入用ジョイント 23 廃液用ジョイント 26,27 窓部 30 液体クロマトグラフィ装置 31 移動相用容器 32 移動相 33 ポンプ 34 圧力計 35 被検液注入装置 36 カラム 37 検出器 38 廃液用容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 35/00 G01N 35/00 B 35/08 35/08 E Fターム(参考) 2G057 AA01 AB03 AB06 AC01 AD13 BA05 BB06 DC06 EA06 2G058 BA08 BB02 BB10 DA07 EA19 GA06 GD01 2G059 AA05 BB04 DD01 DD16 EE01 HH03 KK01 NN01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カラムで分離処理された被検液が配管を
    介して注入されると共に注入された前記被検液に対して
    前記紫外線或いは可視光線が照射される本体部と、前記
    配管が巻回される配管巻回部とを具備するフローセルを
    設けてなる液体クロマトグラフィ装置であって、 前記本体部及び前記配管を共に樹脂により形成し、 かつ、前記配管の厚さを、前記被検液が前記配管巻回部
    を通過する過程において前記被検液と前記配管巻回部と
    の間で熱の授受が行なわれ、前記被検液と前記配管巻回
    部との温度が実質的に同一となる厚さに設定したことを
    特徴とする液体クロマトグラフィ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の液体クロマトグラフィ装
    置において、 前記配管の外径を0.40mm以上1.60mm以下に設定し、か
    つ、前記配管の厚さを0.15mm以上0.50mm以下に設定し
    たことを特徴とする液体クロマトグラフィ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の液体クロマトグ
    ラフィ装置において、 前記樹脂としてポリエーテルエーテルケトンを用いたこ
    とを特徴とする液体クロマトグラフィ装置。
  4. 【請求項4】 被検出体となる被検液が配管を介して注
    入されると共に注入された前記被検液に対して前記紫外
    線或いは可視光線が照射される本体部と、前記配管が巻
    回される配管巻回部とを具備するフローセルであって、 前記本体部及び前記配管を共に樹脂により形成し、 かつ、前記配管の厚さを、前記被検液が前記配管巻回部
    を通過する過程において前記被検液と前記配管巻回部と
    の間で熱の授受が行なわれ、前記被検液と前記配管巻回
    部との温度が実質的に同一となる厚さに設定したことを
    特徴とするフローセル。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の液体フローセルにおい
    て、 前記配管の外径を0.40mm以上1.60mm以下に設定し、か
    つ、前記配管の厚さを0.15mm以上0.50mm以下に設定し
    たことを特徴とするフローセル。
  6. 【請求項6】 請求項4または5記載のフローセルにお
    いて、 前記樹脂としてポリエーテルエーテルケトンを用いたこ
    とを特徴とするフローセル。
JP2000259628A 2000-08-29 2000-08-29 液体クロマトグラフィ装置及びフローセル Withdrawn JP2002071658A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000259628A JP2002071658A (ja) 2000-08-29 2000-08-29 液体クロマトグラフィ装置及びフローセル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000259628A JP2002071658A (ja) 2000-08-29 2000-08-29 液体クロマトグラフィ装置及びフローセル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002071658A true JP2002071658A (ja) 2002-03-12

Family

ID=18747776

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000259628A Withdrawn JP2002071658A (ja) 2000-08-29 2000-08-29 液体クロマトグラフィ装置及びフローセル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002071658A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004245613A (ja) * 2003-02-12 2004-09-02 Japan Science & Technology Agency フロ−セル型qcm装置および試料測定方法
CN100342232C (zh) * 2003-06-18 2007-10-10 赵琛 环磷腺苷葡胺大输液制剂中环磷腺苷葡胺含量测定方法
JP2010175418A (ja) * 2009-01-30 2010-08-12 Hitachi High-Technologies Corp フローセルを用いた液体クロマトグラフ用の検出器及び液体クロマトグラフ
JP2010249622A (ja) * 2009-04-15 2010-11-04 Shimadzu Corp 液体クロマトグラフ
US8248604B2 (en) 2009-09-24 2012-08-21 On-Chip Biotechnologies Co., Ltd Flow cytometer and flow cell for the same
CN114858955A (zh) * 2021-02-03 2022-08-05 株式会社岛津制作所 液相色谱仪用检测器

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004245613A (ja) * 2003-02-12 2004-09-02 Japan Science & Technology Agency フロ−セル型qcm装置および試料測定方法
CN100342232C (zh) * 2003-06-18 2007-10-10 赵琛 环磷腺苷葡胺大输液制剂中环磷腺苷葡胺含量测定方法
JP2010175418A (ja) * 2009-01-30 2010-08-12 Hitachi High-Technologies Corp フローセルを用いた液体クロマトグラフ用の検出器及び液体クロマトグラフ
JP2010249622A (ja) * 2009-04-15 2010-11-04 Shimadzu Corp 液体クロマトグラフ
US8248604B2 (en) 2009-09-24 2012-08-21 On-Chip Biotechnologies Co., Ltd Flow cytometer and flow cell for the same
CN114858955A (zh) * 2021-02-03 2022-08-05 株式会社岛津制作所 液相色谱仪用检测器
CN114858955B (zh) * 2021-02-03 2024-02-27 株式会社岛津制作所 液相色谱仪用检测器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1711806B1 (en) Gas chromatograph with column comprising open tubular capillaries
US5747350A (en) System for dosing liquids
JP3699474B2 (ja) プラスチック成形体のガスバリア性測定方法
US20120121464A1 (en) Apparatus for pretreating biological samples, and mass spectrometer equipped with same
JP5665863B2 (ja) 質量分析計の機能を点検するテスト方法および装置ならびに質量分析でのイオン収量変動の補償する方法および装置
EP3087388B1 (en) Esd protected tubing for removing charge from lumen
JPWO2008102872A1 (ja) カラムオーブン二重温調
JP2007064759A (ja) 流体移送装置
US6675636B2 (en) Continuous flow moisture analyzer
JP2002071658A (ja) 液体クロマトグラフィ装置及びフローセル
JP4219564B2 (ja) 高速液体クロマトグラフィー用カラム
JP5270771B2 (ja) 液体クロマトグラフ装置及び試料導入装置
US3661010A (en) Fluid sample analyzing apparatus
WO2014002665A1 (ja) 液体クロマトグラフ装置
CN113532585A (zh) 泵输送体积的自动的验证和再校准
RU2300101C2 (ru) Анализатор для автоматического экспресс-анализа содержания ацетальдегида в изделиях из полиэтилентерефталата, в частности в прессованных заготовках, и способ работы
CN113278509B (zh) 用于核酸检测的芯片装置
US7201874B2 (en) System for automatically extracting and analyzing residual solvents in material samples
US6679103B1 (en) Continuous flow moisture analyzer for determining moisture content in liquid sample material
JP6717435B2 (ja) フローバイアル
JP2001133445A (ja) 液体クロマトグラフ
JP2004245613A (ja) フロ−セル型qcm装置および試料測定方法
WO2022224577A1 (ja) 液体クロマトグラフ及び液体クロマトグラフの制御方法
JPH06273403A (ja) 液体クロマトグラフィ自動測定装置
KR100485637B1 (ko) 감응막-흐름계 일체형 검출장치

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20071106