JP2002069090A - エリスロマイシン誘導体の製造方法 - Google Patents

エリスロマイシン誘導体の製造方法

Info

Publication number
JP2002069090A
JP2002069090A JP2001263022A JP2001263022A JP2002069090A JP 2002069090 A JP2002069090 A JP 2002069090A JP 2001263022 A JP2001263022 A JP 2001263022A JP 2001263022 A JP2001263022 A JP 2001263022A JP 2002069090 A JP2002069090 A JP 2002069090A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
formula
lower alkyl
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001263022A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3978006B2 (ja
Inventor
Yutaka Miura
裕 三浦
Kazuhiro Oishi
和弘 大石
Yasushige Kawasaki
安重 川崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chugai Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Chugai Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chugai Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Chugai Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP2001263022A priority Critical patent/JP3978006B2/ja
Publication of JP2002069090A publication Critical patent/JP2002069090A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3978006B2 publication Critical patent/JP3978006B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エリスロマイシン誘導体の工業的製造方法を
提供すること。 【解決手段】 エリスロマイシンAの2'位の水酸基を
アセチル化、4"位の水酸基をホルミル化およびヘミケ
タール化反応を行い、次いで11位の水酸基を酸化した
後、12位の水酸基をアルキル化、さらに2'位のアセ
チル基および4"位のホルミル基を除去して得られる化
合物に、塩基性条件下、ベンジルオキシカルボニルクロ
リドを反応させた後、導入されたベンジルオキシカルボ
ニル基を除去し、次いで3'位の窒素原子をアルキル化
した後、フマル酸塩とすることを特徴とする、一般式
(II) 【化1】 (式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキ
ル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩を製造する
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエリスロマイシン誘
導体の製造方法およびこの製造方法により得られるエリ
スロマイシン誘導体のフマル酸塩結晶に関する。
【0002】
【従来の技術】一般式(II)
【化12】 (式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキ
ル基を示す)で表される化合物は、特開平6−5687
3号公報などに記載されており、消化管運動促進作用を
有することが知られている。
【0003】これらの化合物の製造方法は、特開平6−
56873号公報、バイオオーガニック アンド メデ
ィシナル ケミストリー レターズ(Bioorg.
&Med. Chem. Lett.)4巻、11号、
1347ページ、1994年などに記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
に記載されている製造方法は、工程数が多いこと、精製
にカラムクロマトグラフィーを多用すること、大量に製
造する際に使用しにくい試薬(たとえばヨウ素など)を
使用することなど、工業的な製造方法としては実用化し
にくいものであった。また、本発明の方法で製造される
ような医薬品あるいは医薬品原料を供給する際には、そ
の化合物は安定性、均一性、規格などの点においてすぐ
れた品質を要求される。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
重ねた結果、一般式(II)
【化13】 (式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキ
ル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩の効率的な
製造方法、精製方法を見いだし、さらに、この方法によ
り精製されたフマル酸塩結晶が従来得られていた結晶よ
り医薬品あるいは医薬品原料としてすぐれた品質を有し
ていることを見いだし、本発明を完成した。
【0006】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明はエリスロマイ
シンA(式(I))
【化14】 から、一般式(II)
【化15】 (式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキ
ル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩を製造する
方法において、エリスロマイシンAの2'位の水酸基を
アセチル化、4"位の水酸基をホルミル化した後ヘミケ
タール化反応を行い、式(III)
【化16】 で表される化合物を得、この化合物の11位の水酸基を
酸化し、式(IV)
【化17】 で表される化合物を得、この化合物の12位の水酸基を
アルキル化し、さらに2'位のアセチル基および4"位の
ホルミル基を除去し、一般式(V)
【化18】 (式中、R2は低級アルキル基を示す)で表される化合
物を得、この化合物に塩基性条件下、ベンジルオキシカ
ルボニルクロリドを反応させた後、導入されたベンジル
オキシカルボニル基を除去し、次いで3'位の窒素原子
をアルキル化した後、フマル酸塩とすることを特徴とす
る、一般式(II)
【化19】 (式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキ
ル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩を製造する
方法を提供する。
【0007】また、本発明はエリスロマイシンA(式
(I))
【化20】 から、一般式(II)
【化21】 (式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキ
ル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩を製造する
方法において、エリスロマイシンAの2'位の水酸基を
アセチル化、4"位の水酸基をホルミル化した後ヘミケ
タール化反応を行い、式(III)
【化22】 で表される化合物を得、この化合物の11位の水酸基を
酸化し、式(IV)
【化23】 で表される化合物を得、この化合物の12位の水酸基を
アルキル化し、さらに2'位のアセチル基および4"位の
ホルミル基を除去し、一般式(V)
【化24】 (式中、R2は低級アルキル基を示す)で表される化合
物を得、この化合物に塩基性条件下、ベンジルオキシカ
ルボニルクロリドを反応させた後、導入されたベンジル
オキシカルボニル基を除去し、次いで3'位の窒素原子
をアルキル化した後、フマル酸塩へと変換し、次いでこ
の粗結晶をアルコール系溶媒で再結晶した後、含水酢酸
エチルで再結晶することを特徴とする、一般式(II)
【化25】 (式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキ
ル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩を製造する
方法に関する。
【0008】これらの反応において、エリスロマイシン
Aの2'位の水酸基のアセチル化、4"位の水酸基のホル
ミル化およびヘミケタール化反応はワンポットで行うこ
とが好ましい。本発明において、ワンポットで行うと
は、各段階の反応生成物を単離精製することなく1工程
で反応を行うことを意味する。また、12位の水酸基の
アルキル化反応、および2'位のアセチル基と4"位のホ
ルミル基の除去反応はワンポットで行うことが好まし
い。さらに、エリスロマイシンAの2'位の水酸基のア
セチル化、4"位の水酸基のホルミル化およびヘミケタ
ール化反応をワンポットで行い、かつ、12位の水酸基
のアルキル化反応、および2'位のアセチル基と4"位の
ホルミル基の除去反応をワンポットで行うことが特に好
ましい。
【0009】また、本発明はエリスロマイシンA
【化26】 から、式(III)
【化27】 で表される化合物を製造する方法において、エリスロマ
イシンAの2'位の水酸基のアセチル化、4"位の水酸基
のホルミル化およびヘミケタール化反応をワンポットで
行うことを特徴とする式(III)
【化28】 で表される化合物の製造方法を提供する。
【0010】また、本発明は一般式(V)
【化29】 (式中、R2は低級アルキル基を示す)で表される化合
物に、塩基性条件下、ベンジルオキシカルボニルクロリ
ドを反応させ、一般式(VI)
【化30】 (式中、R2は低級アルキル基を示し、Zはベンジルオ
キシカルボニル基を示す)で表される化合物を製造する
方法を提供する。
【0011】また、本発明は一般式(II)
【化31】 (式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキ
ル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩の粗結晶を
アルコール系溶媒で再結晶した後、含水酢酸エチルで再
結晶することを特徴とする、一般式(II)
【化32】 (式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキ
ル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩の精製方法
に関する。
【0012】また、本発明は、式(VII)
【化33】 で表される化合物とフマル酸のモル比が2:1であり、
含水酢酸エチルで再結晶することにより得ることができ
る、式(VII)で表される化合物のフマル酸塩結晶に
関する。
【0013】本発明において、低級アルキル基とは、た
とえば、炭素数1から6の直鎖又は分岐鎖状のアルキル
基を示し、具体的にはたとえばメチル基、エチル基、n
−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブ
チル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基等があげられ、好ましくはメチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基があげ
られる。R1の特に好ましい例としては、イソプロピル
基があげられ、R2の特に好ましい例としてはメチル基
があげられる。
【0014】本発明の製造方法の一例を以下に図示する
(反応経路1)。
【化34】 (式中、R2は低級アルキル基を示し、Zはベンジルオ
キシカルボニル基を示す。)
【化35】 (式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキ
ル基を示し、Zはベンジルオキシカルボニル基を示
す。)
【0015】すなわち、エリスロマイシンA(式(I)
で表される化合物)の2'位の水酸基を塩基の存在下、
アセチル化した後、4"位の水酸基をホルミル化しさら
にヘミケタール化反応を行い、式(III)で表される
化合物を得る。ここでアセチル化、ホルミル化、ヘミケ
タール化の3段階の反応はワンポットで行うことが好ま
しい。
【0016】1段階目のアセチル化反応において、用い
られる塩基の例としては、たとえば無機塩基やアミンな
どの有機塩基があげられ、好ましくはピリジン、トリエ
チルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピロリジ
ン、ピペリジン、モルホリン、ジエチルアミン、ジイソ
プロピルアミンなどの有機塩基があげられ、さらに好ま
しくはピリジンがあげられる。用いられる溶媒は、アセ
チル化、ホルミル化、ヘミケタール化の3段階の反応に
おいて不活性なものが好ましく、たとえば酢酸エチル、
アセトン、ジクロロメタン、クロロホルムなどがあげら
れ、さらに好ましくは酢酸エチル、アセトンがあげら
れ、最も好ましいものとして酢酸エチルがあげられる。
アセチル化剤としては、たとえば無水酢酸、塩化アセチ
ル、酢酸ナトリウムなどがあげられ、好ましくは無水酢
酸、塩化アセチルがあげられ、最も好ましいものとして
無水酢酸があげられる。反応温度は0℃から50℃程度
が好ましく、さらに室温程度が好ましい。反応時間は、
30分から3時間程度であり、好ましくは1時間から2
時間である。
【0017】2段階目のホルミル化反応で用いられるホ
ルミル化剤の好ましい例としては、たとえばギ酸−無水
酢酸、ギ酸ナトリウム−塩化アセチルなどがあげられ、
さらに好ましくは、ギ酸−無水酢酸などがあげられる。
用いられる塩基の例としては、たとえば無機塩基やアミ
ンなどの有機塩基があげられ、好ましくはピリジン、ト
リエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピロリ
ジン、ピペリジン、モルホリン、ジエチルアミン、ジイ
ソプロピルアミンなどがあげられ、さらに好ましくはピ
リジンがあげられる。ただし、アセチル化反応から連続
して反応を行う場合には、先に用いた塩基を利用するこ
とにより、さらに塩基を加えることなく反応を行うこと
もできる。反応温度は−40℃から5℃程度が好まし
く、さらに−20℃から0℃が好ましい。反応時間は、
1時間から1日程度であり、好ましくは5時間から12
時間程度である。
【0018】3段階目のヘミケタール化反応は、酸性条
件下行われる。酸性条件下とは反応系内に酸が存在する
ことを意味する。ここで用いる酸としては、たとえば有
機酸などがあげられ、好ましくは酢酸、ギ酸などのカル
ボン酸があげられ、好ましくは酢酸などがあげられる。
1段階目からの反応をワンポットで行う場合は、先の段
階の反応で酢酸やギ酸が系内に存在しているので、あら
ためて酸を加えることをしなくても反応は進行する。反
応温度は室温程度から60℃程度が好ましく、さらに4
0℃から50℃が好ましい。反応時間は、1時間から1
日程度であり、好ましくは2時間から12時間程度であ
る。
【0019】得られた式(III)で表される化合物を
酸化反応に付し、11位の水酸基を酸化する。酸化剤と
してはたとえばジメチルスルホキシド、Dess−Ma
rtin Periodinane試薬などの有機酸化
剤や四酸化ルテニウムなどの金属酸化物などがあげら
れ、好ましくはジメチルスルホキシド−ジシクロヘキシ
ルカルボジイミド、ジメチルスルホキシド−無水トリフ
ルオロ酢酸などがあげられ、特に好ましいものとして、
ジメチルスルホキシド−無水トリフルオロ酢酸があげら
れる。用いられる溶媒は、反応に不活性なものであれば
かまわないが、酸化剤としてジメチルスルホキシド−無
水トリフルオロ酢酸を用いる場合には、クロロホルム、
ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒が好ましく、さら
に、ジクロロメタンなどが好ましい。反応温度は−60
℃から0℃程度が好ましく、さらに−20℃から−10
℃程度が好ましい。反応時間は、30分から5時間程度
であり、好ましくは1時間から2時間である。
【0020】得られた式(IV)で表される化合物に、
塩基性条件下、アルキル化剤を作用させ、12位の水酸
基をアルキル化する。次いで、2'位と4"位の保護基の
除去を行う。ここでアルキル化、保護基の除去反応はワ
ンポットで行うことが好ましい。
【0021】1段階目のアルキル化反応において、用い
るアルキル化剤の例としては、たとえば、ハロゲン化ア
ルキル、アルキルトシレート、アルキルイミデートなど
があげられ、好ましくはアルキルトシレート、ハロゲン
化アルキルなどがあげられる。ここで、アルキル部分と
しては特にメチル基が好ましい。メチル化剤の具体的な
例としてはヨウ化メチル、メチルトシレートなどがあげ
られるが、好ましくはメチルトシレートがあげられる。
用いる塩基としては、たとえば金属水素化物、水酸化金
属、金属アルコキシドなどがあげられ、好ましくは、金
属水素化物などがあげられ、特に好ましくは水素化ナト
リウムである。用いられる溶媒は、反応に不活性なもの
であればかまわないが、非プロトン性極性溶媒などが好
ましく、さらにジメチルイミダゾリジノン、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラ
ン、アセトニトリルなどが好ましく、特にジメチルイミ
ダゾリジノン、ジメチルホルムアミドが好ましい。反応
温度は0℃から60℃程度が好ましく、さらに0℃から
30℃が好ましい。反応時間は、1時間から12時間程
度であり、好ましくは2時間から8時間である。
【0022】2段階目の保護基の除去反応は、通常のア
セチル基、ホルミル基の除去反応の方法で行われ、塩基
性条件下での除去が好ましい。用いられる塩基として
は、たとえば、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなど
の無機塩基があげられ、さらに炭酸水素ナトリウムが好
ましい。用いられる溶媒は、反応に不活性なものであれ
ばかまわないが、アルコール系溶媒などが好ましく、さ
らに、メタノール、エタノールなどが好ましい。反応温
度は40℃から80℃程度が好ましく、さらに50℃か
ら60℃が好ましい。反応時間は、1時間から12時間
程度であり、好ましくは3時間から8時間である。
【0023】この、アルキル化、脱保護反応をワンポッ
トで行う場合には、1段階目のアルキル化反応の際、塩
基を過剰に、たとえば2当量以上、好ましくは2当量程
度用いることにより、この塩基性を利用することで、2
段階目の反応の際にさらに塩基を加える必要はない。こ
の場合、1段階目の反応溶媒に2段階目の反応溶媒を加
えるなど、各段階で必要に応じ溶媒を交換することもで
きる。
【0024】得られた一般式(V)で表される化合物に
塩基性条件下、過剰量のベンジルオキシカルボニルクロ
リドを作用させ、一般式(VI)で表される化合物へと
変換した後、常法により、導入されたベンジルオキシカ
ルボニル基を除去し、一般式(VIII)で表される化
合物へと変換し、さらに塩基性条件下アルキル化剤を作
用させ、一般式(II)で表される化合物へと変換し、
この一般式(II)で表される化合物を常法によりフマ
ル酸塩へと変換する。これらのベンジルオキシカルボニ
ル化、脱ベンジルオキシカルボニル化、アルキル化、フ
マル酸塩への変換の一連の反応は、それぞれの段階の生
成物を精製することなく、一般式(II)で表される化
合物のフマル酸塩まで得ることができる。
【0025】第1段階で用いられるベンジルオキシカル
ボニル化剤としては、たとえばベンジルオキシカルボニ
ルクロリドが好ましい。用いられる塩基としては、たと
えば炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基
があげられ、好ましくは炭酸水素ナトリウムなどがあげ
られる。用いられる溶媒は、反応に不活性なものであれ
ばかまわないが、芳香族炭化水素系溶媒などが好まし
く、さらに、トルエンなどが好ましい。反応温度は30
℃から80℃程度が好ましく、さらに45℃から70℃
が好ましく、特に60℃程度が好ましい。反応時間は、
2時間から12時間程度であり、好ましくは4時間から
8時間である。ここでベンジルオキシカルボニル化剤は
一般式(V)で表される化合物に対し過剰量必要であ
り、好ましくは9当量から15当量であり、さらに好ま
しくは10当量から12当量である。
【0026】第2段階のベンジルオキシカルボニル基の
除去反応は、通常の脱保護法により行われる。脱保護法
としてはたとえば、接触水素化などがあげられ、好まし
くはパラジウム−炭素触媒を用いる接触水素化などであ
る。水素源としては水素の他ギ酸アンモニウムなども用
いることができる。水素源として水素を用いる場合に
は、接触水素化は加圧下で行ってもよく、加圧下の場合
の圧力としては、好ましくは2気圧から5気圧程度であ
り、さらに好ましくは3気圧から4気圧である。用いら
れる溶媒は、反応に不活性なものであればかまわない
が、アルコール系溶媒などが好ましく、さらに、メタノ
ール、エタノールなどが好ましい。反応温度は0℃から
50℃程度であり、好ましくは10℃から30℃程度、
さらに好ましくは室温付近である。反応時間は、30分
から3時間程度であり、好ましくは1時間から2時間で
ある。水素源としてギ酸アンモニウムを用いる場合に
は、用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればか
まわないが、アルコール系溶媒などが好ましく、さら
に、メタノール、エタノールなどが好ましい。反応温度
は50℃から100℃程度が好ましく、さらに60℃か
ら90℃が好ましい。反応時間は、30分から3時間程
度であり、好ましくは1時間から2時間である。
【0027】第3段階のアルキル化反応において用いる
アルキル化剤の例としては、たとえば、ハロゲン化アル
キル、アルキルトシレートなどがあげられ、好ましくは
ハロゲン化アルキルなどがあげられる。ここで、アルキ
ル部分としては特にイソプロピル基が好ましい。イソプ
ロピル化剤の好ましい例としてはヨウ化イソプロピル、
などがあげられる。用いる塩基としては、たとえばアミ
ンなどの有機塩基のほかに無機塩基などがあげられ、好
ましい例としては、ジイソプロピルエチルアミン、トリ
エチルアミン、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、
ピリジンなどがあげられ、特に好ましくはトリエチルア
ミンである。用いられる溶媒は、反応に不活性なもので
あればかまわないが、非プロトン性極性溶媒、アルコー
ル系溶媒などが好ましく、さらに好ましくはジメチルイ
ミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタ
ノール、エタノールなどがあげられ、さらにジメチルイ
ミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリ
ルなどが好ましい。反応温度は50℃から100℃程度
が好ましく、さらに60℃から80℃が好ましい。反応
時間は、3時間から10日程度であり、好ましくは5時
間から10時間である。
【0028】第4段階のフマル酸塩への変換反応は通常
の塩を形成する方法により行われる。用いられる溶媒
は、アルコール系溶媒、テトラヒドロフランなどのエー
テル系溶媒、アセトンなどが好ましく、さらに、メタノ
ール、エタノール、イソプロパノールなどが好ましい。
反応温度は−20℃から50℃程度が好ましく、さらに
−15℃から室温程度が好ましい。反応時間は、1時間
から6時間程度であり、好ましくは3時間から4時間で
ある。
【0029】得られた一般式(II)で表される化合物
で表される化合物のフマル酸塩は必要に応じ精製され
る。精製法としては再結晶が好ましい。再結晶溶媒とし
ては、たとえば水を含有していてもよい、エステル系溶
媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒や、それらの混
合溶媒等が用いられ、好ましくは、エタノール、メタノ
ールとイソプロパノールの混合溶媒、酢酸エチルと水の
混合溶媒などであり、さらに好ましくはメタノールとイ
ソプロパノールの混合溶媒、酢酸エチルと水の混合溶媒
などである。ここで、メタノールとイソプロパノールの
比は、たとえば10:90から50:50程度、好まし
くは20:80から30:70程度である。酢酸エチル
と水の混合溶媒の比は、たとえば99.5:0.5から
97:3、好ましくは99:1から98:2、さらに好
ましくは98.5:1.5程度である。
【0030】酢酸エチルあるいは酢酸エチルと水の混合
溶媒を用いて再結晶を行うと、特開平6−56873号
公報に記載されているメタノールとイソプロパノールの
混合溶媒で再結晶した場合(A形結晶)とは異なる結晶
形(C形結晶およびD形結晶)の結晶が得られた。これ
らの結晶の粉末X線回折や熱分析(DSC)のデータを
図に示す(図1、図2、図3、図4、図5、図6)。こ
こで、メタノールとイソプロパノールの混合溶媒で再結
晶した場合に得られる結晶(A形結晶)の式(VII)
で表される化合物とフマル酸のモル比は、2:1であっ
た。また、酢酸エチルあるいは酢酸エチルと水の混合溶
媒を用いて再結晶した場合に得られた結晶には、式(V
II)で表される化合物とフマル酸のモル比が、1:1
のもの(C形結晶)と2:1のもの(D形結晶)があっ
た。これらの結晶のうち、特にメタノールとイソプロパ
ノールの混合溶媒で再結晶するなどの方法により粗精製
された式(VII)で表される化合物のフマル酸塩(た
とえばA形結晶)を、酢酸エチルと水の混合溶媒で再結
晶することにより得られる結晶(D形結晶)は、他の結
晶形の結晶に比べ、安定性の点ですぐれているなど医薬
品あるいは医薬品原料としてすぐれた品質を有している
ことが明かとなった。このD形結晶を得るには、酢酸エ
チルと水の混合溶媒で再結晶する際に、まず、式(VI
I)で表される化合物のフマル酸塩の粗精製物を、室温
程度で酢酸エチルに懸濁または溶解し、これに水を加
え、−10℃から−20℃程度に冷却する方法が好まし
い。
【0031】
【発明の効果】本発明の製造方法は、(1)最終生成物
の精製品を得るのに必要な各反応段階での精製を再結晶
のみで行うことが可能であること、(2)エリスロマイ
シンAの2'位の水酸基のアセチル化、4"位の水酸基の
ホルミル化およびヘミケタール化反応をワンポットで行
え、また、12位の水酸基のアルキル化反応、および
2'位のアセチル基と4"位のホルミル基の除去反応をワ
ンポットで行うことができるなど、従来の製造方法にく
らべ、工程数の減少が可能であること、など工業的製造
方法としてすぐれたものといえる。さらに、本発明によ
り得られた式(VII)で表される化合物のフマル酸塩
結晶は、従来得られていた結晶に比べ、安定性の点です
ぐれているなど医薬品あるいは医薬品原料としてすぐれ
た品質を有している。
【0032】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこの実施例によりなんら制限される
ものではない。なお、1H−NMRについては、特徴的
なピークのみ示す。
【0033】
【実施例1】 ヘミケタール体(式(III)で表され
る化合物)の合成 エリスロマイシンA(20.0g,0.027mol)
を無水酢酸(3.34g,0.033mol),ピリジ
ン(3.45g,0.044mol)と酢酸エチル(8
0ml)に溶解後、室温にて1時間撹拌した。その後氷
冷(0℃)下、ギ酸(11.29g,0.245mo
l)、無水酢酸(12.52g,0.123mol)を
滴下し、氷冷のまま3時間撹拌した。その後徐々に室温
に戻し、一夜放置した。40〜50℃にて約2時間加温
した。室温に戻し酢酸エチル(120ml)に溶解後氷
水(60mlx2)にて洗浄した。酢酸エチル層を飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液(120ml)、固型炭酸水
素ナトリウム(8g)にて中和した。分液し、水洗し
(40 mlx3)、飽和食塩水(40ml)で洗った
後、無水硫酸ナトリウムにて一晩乾燥した。濾過後減圧
濃縮した。残渣をヘキサン(136ml)にて約30分
間還流後冷却した。酢酸エチル(24ml)を加え撹拌
下0℃まで冷却した。結晶を分離後、ヘキサン(20m
l)にて洗浄した。標記化合物(15.8g,74%)
の白色結晶を得た。 融点:200−208℃(酢酸エチル−ヘキサン).1 H−NMR(CDCl3):0.89(3H,t,13
−CH2 3),2.05(3H,s,2'−OCOC
3),2.27(6H,s,3'−N(C 3 2),
3.36(3H,s,3"−OC 3),3.83(1
H,s,11−C(OH)),8.20(1H,s,
4"−OCO).
【0034】
【実施例2】 オキソ体(式(IV)で表される化合
物)の合成 実施例1で得られた化合物(10.0g,0.013m
ol)、ジメチルスルホキシド(2.64g,0.03
2 mol)をジクロロメタン(50ml)に溶解し
た。氷−食塩にて系内を−20℃まで冷却し、無水トリ
フルオロ酢酸(3.36g,0.016mol)を−1
0℃以下にて滴下し、20分間撹拌した。更に−20℃
にてトリエチルアミン(3.49g,0.034mo
l)を同様に−10℃以下にて滴下し、20分間撹拌し
た。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)を添加
し、20分間撹拌した。水洗(50mlx3)後、無水
硫酸ナトリウムにて一晩乾燥した。ジクロロメタンを減
圧濃縮後、アメ状の残渣にヘキサン(100ml)を添
加し、熱時撹拌溶解した。冷却後ジクロロメタン(2.
5ml)を添加し、室温にて2.5時間撹拌後、結晶を
濾取した。2.5%ジクロロメタン−ヘキサン(30m
l)にて洗浄し、標記化合物(6.49g,65 %)
の白色結晶を得た。 融点:186−188℃(ジクロロメタン−ヘキサ
ン).1 H−NMR(CDCl3):0.90(3H,t,13
−CH2 3),2.04(3H,s,2'−OCOC
3),2.26(6H,s,3'−N(C 3 2),
3.33(3H,s,3"−OC 3),4.53(1
H,d,1'−H),4.84(1H,d,1"−H),
4.97(1H,dd,13−H),8.21(1H,
s,4"−OCO).13 C−NMR(CDCl3): 208.4(11−
O).
【0035】
【実施例3】 脱保護体(式(V)で表される化合物
(R2:メチル))の合成 ジメチルホルムアミド(30ml)に60%水素化ナト
リウム(1.02g,0.026mol)を添加し、氷
冷(0℃)にてさらに実施例2で得られた化合物(1
0.0g,0.013mol)を添加し、30分間撹拌
した。メチルトシレート(2.38g,0.013mo
l)を滴下後、0〜5℃にて1時間、15〜20℃にて
1.5時間それぞれ撹拌した。メタノール(60ml)
を添加し、60℃にて5時間加熱した。加熱後そのまま
一晩放置した。全体を減圧濃縮後、40℃の温水(15
0ml)に濃縮液を撹拌下滴下して、析出した結晶を分
離した。得られた結晶を再度40℃温水(150ml)
にて30分間撹拌し、分離した。50℃にて4時間乾燥
後、粗脱保護体(7.9g,85%)を得た。粗脱保護
体をアセトン(12.6ml)に溶解後、10%アンモ
ニア水(5.9ml)を添加し、晶析した。15〜25
℃にて1時間、さらに−5〜−10℃にて1時間撹拌
し、分離および洗浄を行った。50℃にて3時間乾燥
し、標記化合物(5.5g,59%)の淡黄色結晶を得
た。 融点:168−174℃(アンモニア水−アセトン).1 H−NMR(CDCl3):0.85(3H,t,13
−CH2 3),1.68(3H,s,8−C 3),
2.28(6H,s,3'−N(C 32),3.06
(3H,s,12−OC 3),3.34(3H,s,
3"−OC 3),4.37(1H,d,1'−H),
4.97(1H,d,1"−H),5.63(1H,d
d,13−H).
【0036】
【実施例4】 ベンジルオキシカルボニル体(式(V
I)で表される化合物(R 2:メチル))の合成 トルエン(55ml)に実施例3で得られた化合物
(5.5g,0.0076mol)と固型炭酸水素ナト
リウム(9.5g,0.113mol)を添加した。次
いで、撹拌下、70〜80℃にてベンジルオキシカルボ
ニルクロリド(18.0g,0.106mol)を滴下
しそのままの温度で4時間加熱した後、反応混合液を一
夜室温放置した。この反応混合液にピリジン(4.02
g,0.05mol)添加し、30分間撹拌した。次い
で、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(38.5ml)を
添加して10分間撹拌した後、酢酸エチル(38.5m
l)を添加した。これを撹拌し、分液して、得られた有
機層を水洗した。さらに、この有機層を飽和食塩水で
(38.5ml)洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。全体を減圧濃縮して残渣を得た。この残渣にアセト
ニトリル(27.5 ml)を加えて溶解し、ヘキサン
(187mlx5)にて分液洗浄した。アセトニトリル
層を減圧濃縮して残渣を得た。得られた残渣にメタノー
ル(13.5 ml)を添加し、まず15〜25℃にて
1時間撹拌し、さらに0℃以下にて1時間撹拌した。そ
の後、析出した結晶を濾取した。この結晶を50℃にて
3時間乾燥し、白色結晶の標記化合物(4.0g,54
%)を得た。 融点:122−126℃(メタノール),1 H−NMR(CDCl3):0.96(3H,t,13
−CH2 3),1.68(3H,s,8−C 3),
3.03−3.37(3H,d,3"−OC 3),3.
06(3H,s,12−OC 3),5.03−5.2
1(4H,m,C 265x2),5.63(1H,
dd,13−H),7.28−7.34(10H,m,
2'−OCOCH26 5,3'−NOCOCH2
6 5).
【0037】
【実施例5】 脱ベンジルオキシカルボニル体(式(V
III)で表される化合物(R2:メチル))の合成 メタノール(36.8ml)に実施例4で得られた化合
物(4.0g,0.004mol)、10%パラジウム
−炭素(0.4g)及びギ酸アンモニウム(1.03
g)を添加し、1時間加熱還流した。パラジウム−炭素
を濾去後にメタノールを減圧留去した。残渣を酢酸エチ
ル(40ml)に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶
液(16ml)にて洗浄して、分液した。得られた有機
層を水洗し(16mlx2)、さらに飽和食塩水で(1
6ml)洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水
硫酸ナトリウムを濾去後この有機層を減圧濃縮し、粗脱
ベンジルオキシカルボニル体(2.0g,69%)の白
色結晶を得た。 融点:187−190℃(ヘキサンにて懸濁精製)1 H−NMR(CDCl3):0.95(3H,t,13
−CH2 3),1.68(3H,s,8−C 3),
2.47(3H,s,3'−NHC 3),3.06(3
H,s,12−OC 3),3.21(1H,dd,2"
−H),3.33(3H,s,3"−OC 3),4.3
7(1H,d,1'−H),4.96(1H,d,1"−
H),5.61−5.65(1H,dd,13−H).
【0038】
【実施例6】 フマレート体(式(VII)で表される
化合物のフマル酸塩)の合成 ジメチルイミダゾリジノン(35ml)に実施例5で得
られた化合物(10g,0.014mol)、ヨウ化イ
ソプロピル(23.8g,0.14mol)、トリエチ
ルアミン(16.95g,0.17mol)を添加溶解
し、70−75℃にて7−8時間加熱した後、一夜放置
した。酢酸エチル(200ml)、2.5%アンモニア
水(75ml)にて抽出洗浄した液を、水洗し(150
mlx2)、さらに飽和食塩水(100ml)で洗浄
後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。酢酸エチルを減
圧濃縮後、残渣をフマル酸(0.84g,0.0073
mol)とともにメタノール(25ml)に溶解し、撹
拌下イソプロパノール(75ml)を徐々に滴下し、室
温で1時間、0℃で1時間、−15℃で1時間それぞれ
撹拌した。析出した結晶を減圧濾取し、白色結晶の標記
化合物(7.9g,69%)を得た。 融点:194−197℃(メタノール−イソプロパノー
ル),1 H−NMR(CDCl3+DMSO−d6):0.94
(3H,t,13−CH2 3),1.73(3H,
s,8−C 3),3.05(3H,s,12−OC
3),3.08(1H,dd,4"−H),3.35
(3H,s,8"−OC 3),4.43(1H,d,
1'−H),4.96(1H,d,1"−H),5.60
−5.63(1H,dd,13−H),6.78(1
H,s,1/2(=C−COOH)2).
【0039】
【実施例7】 フマレート体(式(VII)で表される
化合物のフマル酸塩)の粗精製 実施例6で得られた化合物(10.0g,0,0123
mol)をメタノール(25ml)に溶解し、この溶液
にイソプロパノール(75ml)を徐々に滴下した。こ
の反応混合液を室温で1時間、0℃で1時間、−15℃
で1時間それぞれ撹拌して晶析し、減圧濾取した。白色
結晶の標記化合物の粗精製物(9.25g,92.5
%)を得た。 融点:194−197℃(メタノール−イソプロパノー
ル),1 H−NMR(CDCl3+DMSO−d6):0.94
(3H,t,13−CH2 3),1.73(3H,
s,8−C 3),3.05(3H,s,12−OC
3),3.08(1H,dd,4"−H),3.35
(3H,s,8"−OC 3),4.43(1H,d,
1'−H),4.96(1H,d,1"−H),5.60
−5.63(1H,dd,13−H),6.78(1
H,s,1/2(=C−COOH)2).
【0040】
【実施例8】 フマレート体(式(VII)で表される
化合物のフマル酸塩)の精製 室温下、実施例7で得られた粗精製物(10g,0.0
123mol)を酢酸エチル(100ml)に溶解し、
水(1.5ml)を滴下後、室温で1時間、0℃で1時
間、−10℃で4時間それぞれ撹拌後減圧濾取し、白色
結晶の標記化合物の精製物結晶(9.04g,90.4
%)を得た。 融点:199〜200℃(1.5%水−酢酸エチル)1 H−NMR(CDCl3+DMSO−d6):0.94
(3H,t,13−CH2 3),1.73(3H,
s,8−C 3),3.05(3H,s,12−OC
3),3.08(1H,dd,4"−H),3.35
(3H,s,8"−OC 3),4.43(1H,d,
1'−H),4.96(1H,d,1"−H),5.60
−5.63(1H,dd,13−H),6.78(1
H,s,1/2(=C−COOH)2).
【0041】
【実施例9】 フマレート体(式(VII)で表される
化合物のフマル酸塩)の合成 トルエン(55ml)に実施例3で得られた化合物
(9.5g,0.013mol)と固型炭酸水素ナトリ
ウム(16.4g,0.195mol)を添加した。撹
拌下、70℃前後にてベンジルオキシカルボニルクロリ
ド(31.1g,0.183mol)を滴下後そのまま
の温度で4時間加熱し、次いで一夜室温放置した。この
反応混合液にピリジン(6.94g,0.086mo
l)を添加し、30分間撹拌した。さらに、これに飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液(66.5ml)を添加し、
10分間撹拌後、酢酸エチル(66.5ml)を添加し
た。得られた混合液を撹拌し、有機層を分液した。この
有機層を水洗し、さらに飽和食塩水(66.5ml)で
洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥した。全体を減圧濃縮
し、その残渣をメタノール(128ml)に溶解した。
これに10%パラジウム−炭素(1.28g)を添加
し、水素雰囲気加圧下(3から4気圧)1時間室温で撹
拌した。パラジウム−炭素を濾去後メタノールを減圧留
去した。残渣を酢酸エチル(120ml)に溶解し、飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)にて洗浄し、
分液した。得られた有機層を水洗し(50mlx2)、
さらに飽和食塩水(50ml)で洗浄後、無水硫酸ナト
リウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウム濾過後、酢酸エ
チルを減圧濃縮し、オイル状の脱ベンジルオキシカルボ
ニル体(式(VIII)で表される化合物(R2:メチ
ル))を得た。これを精製する事なくヨウ化イソプロピ
ル(20.0g,0.118mol)、トリエチルアミ
ン(13.2g,0.131mol)とともに、ジメチ
ルイミダゾリジノンに溶解し、70−75℃にて7−8
時間加熱後、一夜放置した。次いで、これを酢酸エチル
(100ml)、2.5%アンモニア水(50ml)に
て抽出洗浄後、水洗し(50mlx2)、飽和食塩水で
(50ml)洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し
た。酢酸エチルを減圧濃縮後、フマル酸(0.76g,
0.0066mol)とともにメタノール(25.0m
l)に溶解し、撹拌下イソプロパノール(75.0m
l)を徐々に滴下し晶析した。室温で1時間、0℃で1
時間、−15℃で1時間それぞれ撹拌し、減圧濾取し
た。乾燥後白色結晶の標記化合物(6.5g,60.0
%)を得た。 融点:194〜197℃(メタノール−イソプロパノー
ル),1 H−NMR(CDCl3+DMSO−d6):0.94
(3H,t,13−CH2 3),1.73(3H,
s,8−C 3),3.05(3H,s,12−OC
3),3.08(1H,dd,4"−H),3.35
(3H,s,8"−OC 3),4.43(1H,d,
1'−H),4.96(1H,d,1"−H),5.60
−5.63(1H,dd,13−H),6.78(1
H,s,1/2(=C−COOH)2).
【0042】
【実施例10】 式(VII)で表される化合物のフマ
ル酸塩結晶の安定性試験 式(VII)で表される化合物のフマル酸塩結晶の結晶
形の違いによる安定性の差について試験を行った。結晶
としては式(VII)で表される化合物のフマル酸塩を
メタノール−イソプロパノールから再結晶して得られた
結晶(A形結晶)と酢酸エチルまたは酢酸エチルと水の
混合溶媒から再結晶して得られた結晶(C形結晶、D形
結晶)を用いた。各結晶を精秤し、80℃空気恒温槽内
で苛酷試験を行った。サンプルを経時的に取り出し、全
量を約1mg/mlの濃度となるように50%アセトニ
トリルで溶解し、この溶液2mlに、内部標準溶液2m
l(パラ安息香酸シクロヘキシル100μgを50%ア
セトニトリル2mlに溶解したもの)を加えた後、総量
を10mlとして以下の条件のHPLCに100μl注
入し、用いた試料と内部標準のピーク面積比より残存率
を求めた。HPLC測定条件 使用機器:M600マルチソルベント送液システム(W
aters社製)、490型多機能検出機(Water
s社製)、M712全自動サンプルプロセッサ(Wat
ers社製)、740型データモジュール(Water
s社製)、温度コントロールモジュール(Waters
社製)、カラムヒーターモジュール(Waters社
製) カラム:YMC A−212,C8((株)ワイエムシ
イ社製) 溶出液:50%アセトニトリル+PIC B−5試薬低
波長用(Waters社製) 流量:1ml/分 検出波長:205nm カラム温度:40℃ 内部標準:パラ安息香酸シクロヘキシル
【0043】結果を図7に示す。A形結晶はこの条件下
で70日で残存率が60%程度に低下するのに対し、C
形結晶およびD形結晶は70日後で80%程度残存して
いた。
【0044】
【実施例11】 式(VII)で表される化合物のフマ
ル酸塩結晶の加湿条件下での安定性試験 式(VII)で表される化合物のフマル酸塩結晶の結晶
形の違いによる加湿条件下での安定性の差について試験
を行った。飽和塩化ナトリウム水溶液で相対湿度75%
に調整した80℃のデシケータ中で苛酷試験を行うこと
以外は実施例10と同様の方法により試験を行った。
【0045】結果を図8に示す。グラフより明らかなよ
うにA形結晶、D形結晶の加湿安定性はC形結晶に比
べ、非常に高いことが明らかになった。以上の結果よ
り、D形結晶は、他の結晶形の結晶に比べ安定性におい
てすぐれているということができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A形結晶の粉末X線スペクトルを示す。
【図2】C形結晶の粉末X線スペクトルを示す。
【図3】D形結晶の粉末X線スペクトルを示す。
【図4】A形結晶の熱分析におけるDSC曲線を示す。
【図5】C形結晶の熱分析におけるDSC曲線を示す。
【図6】D形結晶の熱分析におけるDSC曲線を示す。
【図7】各結晶の加熱安定性試験における残存率を示す
図である。
【図8】各結晶の加湿安定性試験における残存率を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川崎 安重 東京都北区浮間5丁目5番1号 中外製薬 株式会社内 Fターム(参考) 4C057 AA03 BB02 CC03 DD01 KK12 4C086 AA01 AA03 AA04 EA13 MA01 MA04 NA20 ZA66

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エリスロマイシンA(式(I)) 【化1】 から、一般式(II) 【化2】 (式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキ
    ル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩を製造する
    方法において、エリスロマイシンAの2'位の水酸基を
    アセチル化、4"位の水酸基をホルミル化した後ヘミケ
    タール化反応を行い、式(III) 【化3】 で表される化合物を得、この化合物の11位の水酸基を
    酸化し、式(IV) 【化4】 で表される化合物を得、この化合物の12位の水酸基を
    アルキル化し、さらに2'位のアセチル基および4"位の
    ホルミル基を除去し、一般式(V) 【化5】 (式中、R2は低級アルキル基を示す)で表される化合
    物を得、この化合物に塩基性条件下、ベンジルオキシカ
    ルボニルクロリドを反応させた後、導入されたベンジル
    オキシカルボニル基を除去し、次いで3'位上の窒素原
    子をアルキル化した後、フマル酸塩とすることを特徴と
    する、一般式(II) 【化6】 (式中、R1は低級アルキル基を示し、R2は低級アルキ
    ル基を示す)で表される化合物のフマル酸塩を製造する
    方法。
  2. 【請求項2】 エリスロマイシンAの2'位の水酸基の
    アセチル化、4"位の水酸基のホルミル化およびヘミケ
    タール化反応をワンポットで行うことを特徴とする請求
    項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 12位の水酸基のアルキル化反応、およ
    び2'位のアセチル基と4"位のホルミル基の除去反応を
    ワンポットで行うことを特徴とする請求項1又は2に記
    載の製造方法。
  4. 【請求項4】 R1がイソプロピル基であり、R2がメチ
    ル基であることを特徴とする請求項1から4何れか1項
    に記載された製造方法。
  5. 【請求項5】 エリスロマイシンA 【化7】 から、式(III) 【化8】 で表される化合物を製造する方法において、エリスロマ
    イシンAの2'位の水酸基のアセチル化、4"位の水酸基
    のホルミル化およびヘミケタール化反応をワンポットで
    行うことを特徴とする式(III) 【化9】 で表される化合物の製造方法。
  6. 【請求項6】 一般式(V) 【化10】 (式中、R2は低級アルキル基を示す)で表される化合
    物に、塩基性条件下、ベンジルオキシカルボニルクロリ
    ドを反応させ、一般式(VI) 【化11】 (式中、R2は低級アルキル基を示し、Zはベンジルオ
    キシカルボニル基を示す)で表される化合物を製造する
    方法。
  7. 【請求項7】 R2がメチル基であることを特徴とする
    請求項6記載の製造方法。
JP2001263022A 1995-08-03 2001-08-31 エリスロマイシン誘導体の製造方法 Expired - Fee Related JP3978006B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001263022A JP3978006B2 (ja) 1995-08-03 2001-08-31 エリスロマイシン誘導体の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7-229598 1995-08-03
JP22959895 1995-08-03
JP2001263022A JP3978006B2 (ja) 1995-08-03 2001-08-31 エリスロマイシン誘導体の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20591096A Division JP3258914B2 (ja) 1995-08-03 1996-08-05 エリスロマイシン誘導体の製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007113410A Division JP2007204490A (ja) 1995-08-03 2007-04-23 エリスロマイシン誘導体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002069090A true JP2002069090A (ja) 2002-03-08
JP3978006B2 JP3978006B2 (ja) 2007-09-19

Family

ID=26528897

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001263022A Expired - Fee Related JP3978006B2 (ja) 1995-08-03 2001-08-31 エリスロマイシン誘導体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3978006B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP3978006B2 (ja) 2007-09-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR920002142B1 (ko) 에리트로마이신 a 유도체의 선택적인 메틸화 방법
US6825327B2 (en) Process for preparing 4″-substituted-9-deoxo-9a-aza-9a-homoerythromycin a derivatives
JPH08239374A (ja) 2,2−ジフルオロ−3−カルバモイルリボーススルホネート化合物およびβ−ヌクレオシドの製造方法
JPS6328438B2 (ja)
KR970002659B1 (ko) 2', 2'-디플루오로뉴클레오시드 및 중간체의 제조 방법
US5959088A (en) Process for producing erythromycin derivatives
EP0245013B1 (en) Erythromycin derivatives
JP3258914B2 (ja) エリスロマイシン誘導体の製造方法
KR100908363B1 (ko) 트라이-O-아세틸-5-데옥시-β-D-라이보퓨라노즈의입체선택적 제조방법 및 이의 분리방법
KR100554562B1 (ko) 에리트로마이신 유도체의 제조 방법
JP2002069090A (ja) エリスロマイシン誘導体の製造方法
JP2007204490A (ja) エリスロマイシン誘導体の製造方法
CA2513545A1 (en) Processes for production of nucleosides
WO2004007518A1 (en) Erythromycin a 9-o-pseudosaccharinyloxime derivatives and process for the preparation of clarithromycin using the same
WO1998041532A1 (en) Erythromycin a oxime dihydrate
US20050159371A1 (en) Process for producing erythromycin a derivative
CN101326193B (zh) 红霉素化合物中3'-二甲基氨基的脱甲基化方法
JPS6117836B2 (ja)
Limberg et al. Synthesis of modified aldonic acids and studies of their substrate efficiency for dihydroxy acid dehydratase (DHAD)
CN118005706A (zh) 一种2',3'-双脱氧核苷酸的制备方法
JPH07224067A (ja) 7−アルコキシまたはヒドロキシスタウロスポリン系物質の製造法
JPH023799B2 (ja)
JP2007137843A (ja) リボフラノース化合物およびプリンヌクレオシド化合物の製造方法
JPH10130294A (ja) 4’−エピ−ダウノルビシンの製造法及びその中間体
JP2004175694A (ja) 没食子酸配糖体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20031209

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040209

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20040520

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20040924

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070423

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070622

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100629

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100629

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100629

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110629

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110629

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120629

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120629

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees