JP2002069059A - ピラジノン環を含む新規なオピオイドペプチド誘導体 - Google Patents

ピラジノン環を含む新規なオピオイドペプチド誘導体

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JP2002069059A
JP2002069059A JP2000257244A JP2000257244A JP2002069059A JP 2002069059 A JP2002069059 A JP 2002069059A JP 2000257244 A JP2000257244 A JP 2000257244A JP 2000257244 A JP2000257244 A JP 2000257244A JP 2002069059 A JP2002069059 A JP 2002069059A
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Junko Fukumizu
淳子 福水
Motohiro Takahashi
源浩 高橋
Yoshiro Shimizu
芳郎 清水
Hiroko Tsuda
裕子 津田
Toshio Yokoi
利夫 横井
Yoshio Okada
芳男 岡田
D Bryant Sharon
シャロン・ディ・ブライアント
H Lazaras Lawrence
ローレンス・エイチ・ラザラス
Akihiro Anpo
明博 安保
Yusuke Sasaki
有亮 佐々木
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Teikoku Seiyaku Co Ltd
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Teikoku Seiyaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 優れた鎮痛作用物質の提供 【解決手段】 下記式 (式中nは同一または異なって1−8を表す。)で表さ
れるオピオイドペプチド誘導体またはその塩。特に5−
メチル−3,6−ビス[4−(2′,6′−ジメチルチ
ロシル)アミノブチル]−2−(1H)−ピラジノン及
びその塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オピオイドレセプ
ターを介して優れた生理活性作用を有し、特にμ−オピ
オイドレセプターに低濃度で親和性を示す新規ペプチド
誘導体及びその塩に関する。更には、少なくとも一種の
該ペプチド誘導体またはその塩を有効成分として含んで
なる医薬に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ペプチ
ドは、単位構造であるアミノ酸の配列により様々な生理
活性を示すことが知られている。またペプチドを構成す
るアミノ酸を他のアミノ酸または他の基等に変換するこ
とによりペプチドミメティクスとして得られた化合物は
固有の異なる生理活性を示す。脳内に存在する生理活性
ペプチドとして、鎮痛効果等に関わっているエンケファ
リン(Enkephalin)等、オピオイドと総称されるペプチド
について数多くの研究がなされており、その過程でオピ
オイド及びオピオイド構造を模したオピオイドミメティ
クス(opioidmimetics)に関する多くの研究がなされてい
る。鎮痛効果の発現は、リガンド−レセプター間の相互
作用によることが報告されている。オピオイドレセプタ
ー作用物質としては、従来からモルヒネが広く知られて
おり、その類縁体であるオピオイド(モルヒネ様)鎮痛
剤が、癌性疼痛及び皮膚移植や水痘−帯状疱疹発症後の
激しい痛みを抑えるために臨床的に使用されている。し
かしながら、これらの呼吸中枢抑制作用などの中枢神経
抑制作用、消化管の平滑筋緊張や耽溺性、耐性などの副
作用も重篤であり、一層改善された鎮痛剤の開発が、特
に強度の痛みをもたらす癌末期、帯状疱疹における疱疹
後痛の症例等多くの分野で強く要請されている。本発明
者らは、最近、ジペプチジルクロロメチルケトンからピ
ラジノン環を形成させる反応を完成し、該ピラジノン環
を鋳型とするオピオイドミメティクスの合成に成功し、
これらオピオイドミメティクスのなかに、弱いながらμ
−オピオイドレセプターと特異的に結合する化合物を見
出し、報告した[Okada et al., Tetrahedron 55, 14391
-14406 (1999)]。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ピラジノ
ン環を鋳型にもち、強い鎮痛効果を示す新たなオピオイ
ドミメティクスの探索と研究を行なった結果、上記ピラ
ジノン誘導体中のチロシンに代えて2,6−ジメチルチ
ロシン(以下Dmtと略記する。)を導入することによ
りμ−オピオイドレセプターに対して高い特異的親和性
を示し、モルヒネを凌駕する強力な、またモルヒネとは
異なった様式の鎮痛効果を示すことを見出し、本発明を
完成したものである。
【0004】即ち、本発明は下記式
【化2】 (式中nは同一または異なって1−8を表す。)で表さ
れるオピオイドペプチド誘導体またはその塩に関する。
本発明は、また上記式(1)で表されるオピオイドペプ
チド誘導体またはその塩を有効成分とする医薬に関す
る。本発明は、また上記式(1)で表されるオピオイド
ペプチド誘導体またはその塩を有効成分とする鎮痛剤に
関する。本発明は、上記式(1)によって表されるオピ
オイドペプチド誘導体またはその塩を有効成分とする、
μ−オピオイドレセプターに対して高い特異的親和性を
示すμ―オピオイドレセプターアゴニスト活性化剤にも
関する。なお、上記式(1)で表されるオピオイドペプ
チド誘導体は、ピラジノン環の3,6位側鎖にアミド結
合を介して2,6−ジメチルチロシン(Dmt)が結合し
たものであり、DmtはL体を意味する。
【0005】
【発明の実施の形態】上記式(1)で表されるオピオイ
ドペプチド誘導体及びその塩は、液相法により容易に合
成できる。例えば、式(1)においてnが4であるオピ
オイドペプチド誘導体の塩酸塩は、5−メチル−3,6
−ビス(4−アミノブチル)−2(1H)−ピラジノ
ン]とBoc−Dmt−OHをBOP試薬(ベンゾトリ
アゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホ
スホニュウムヘキサフルオロホスフェイト)により結合
させ、得られるペプチド誘導体をジオキサン中の塩酸で
処理することにより得ることができる。
【0006】オピオイドペプチド誘導体(1)の合成ル
ートをその塩酸塩を例にとり、以下に示す。
【化3】 (上記式中、nは1−8を表す。) 原料の1つである5−メチル−3,6−ビス(4−アミ
ノブチル)−2(1H)−ピラジノンはOkadaらの
方法[Tetrahedron 55, 14391-14406 (1999)]により合成
することができる。他の原料である5−メチル−3−
(4−アミノC1-8アルキル),6−(4−アミノC1-8
アルキル)−2(1H)−ピラジノンは上記方法あるい
はOkadaらの他の方法[Chem. Pharm. Bull. 46(9)1
374-1382(1998)]に準じて合成できる。また2,6−ジ
メチルチロシンは参考例に示す如く、Dygosらの方
法[Synthesis, 741 (1991)]に従って合成することがで
きる。
【0007】本発明のオピオイドペプチド誘導体(1)
の合成において、目的とするペプチド誘導体またはその
中間体は、例えば、イオンクロマトグラフィー、ゲルろ
過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、再結
晶、抽出等、種々の方法を適宜組み合せて単離、精製す
ればよい。また、かくして得られるオピオイドペプチド
誘導体(1)は、常法に従って有機もしくは無機の酸を
用いてそれぞれの塩に変換することができる。本発明の
好ましいオピオイドペプチド誘導体は式(1)において
nが3または4である化合物である。また好ましい塩は
塩酸塩、メタンスルホン酸塩等の薬学的に許容される塩
である。
【0008】本発明のオピオイドペプチド誘導体につい
て、実験例に示す通り、マウス脳由来オピオイド受容体
を用いたレセプター競合アッセイを行なうことによって
オピオイド受容体親和性を測定し、モルモット回腸(G
PI)法及びマウスの輸精管(MVD)法によりアゴニ
ストであるかアンタゴニストであるかを試験し、最終的
にTail pressure法により鎮痛効果を測定
し、本発明のピオイドペプチド誘導体の薬理効果を確認
した。
【0009】本発明の式(1)で表されるオピオイドペ
プチド誘導体及びその塩は、オピオイドレセプターに対
する特異的親和性を有し、鎮痛効果など種々のモルヒネ
様生理活性を発現する。
【0010】従って、本発明のオピオイドペプチド誘導
体(1)及びその塩は、鎮痛作用のみならずオピオイド
ペプチドがそのレセプターを経由して発現する種々の中
枢性及び末梢性反応、例えば麻酔、呼吸、脈動、消化管
機能、ホルモン分泌調節、心筋収縮調節など生理学的作
用を発揮することが明らかである。本発明のオピオイド
ペプチド誘導体(1)及びその塩は、鎮痛薬またはその
他のオピオイドレセプター活性に関連した神経疾患の治
療薬または予防薬として用いることが可能である。本発
明のオピオイドペプチド誘導体(1)またはその塩の投
与経路としては、経口投与、非経口投与、直腸投与、舌
下投与、外用塗布または脊髄管腔内の硬膜外注入や、く
も膜下注入など種々の投与経路によって、それぞれに適
した適宜の基剤、賦形剤など薬学的に許容しうる担体や
添加剤と混合して医薬製剤として患者に投与することが
できる。
【0011】本発明のオピオイドペプチド誘導体(1)
またはその塩の投与量は、投与を必要とする患者の年
齢、疾患や症状の重篤度、投与経路などによって変動す
るが、通常は0.01ないし500mg/kg体重を一
日あたり一回または数回に分けて投与すればよい。
【0012】なお、本明細書において使用する下記略号
の意味は以下の通りである。 Boc: tert-ブトキシカルボニル Z:ベンジルオキシカルボニル DIEA:ジイソプロピルエチルアミン TFA:トリフルオロ酢酸 BOP:ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス
(ジメチルアミノ)ホスホニュウムヘキサフルオロホス
フェイト NMM:N−メチルモルホリン AcOEt:酢酸エチル MeCN:アセトニトリル HEPES:N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン
−N’−(2−エタンスルホン酸) DMF:ジメチルホルムアミド GDP:グアノシン5’−ジホスフェイト DPDPE:[D−Ala2,D−Pen5]−エンケフ
ァリン DADO:[D−Ala2,Me−Phe4,Gly−o
5]−エンケファリン
【0013】以下に実施例、参考例並びに実験例を挙げ
て本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに
限定されるものではない。
【実施例】実施例1(合成実験) 融点は未補正、微量融点測定器(柳本製作所製)で測定
した。旋光度は日本分光DIP−1000型で測定し
た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)はWater
s model 600Eを使用した。保持時間はtRで
示した。カラムはCOSMOSIL C18 (4.6ラ250m
m)、移動相にはA: 0.05% TFA水溶液、B: 0.05% T
FA−MeCN溶液を用いた。流速は1ml/min、検知は
220nmで分析した。薄相クロマトグラフィー(TLC)
はKieselgel 60G(Merck社製)を用いて行っ
た。展開溶媒にはRf1(ヘキサン:AcOEt=1:1)、Rf2(C
HCl3:MeOH:AcOH=90:8:2)、Rf3(n-BuOH:AcOH:ピリジ
ン:H2O=4:1:1:2)、Rf4(CHCl3:MeOH:H2O=8:3:1, 下層)
を用いた。発色試薬としてアミノ基の検出には0.1%
ニンヒドリン−アセトン溶液を用いた。Boc保護体の
検出には臭化水素−ニンヒドリン法を用いた。ピラジノ
ン誘導体の検出には10%硫酸セリウム溶液またはUV
を用いた。質量分析にはKratos MALDI II型
質量分析装置を用い、MALDI法により行った。
【0014】Boc−Lys(Z)−Lys(Z)−CH2
Clの合成:Boc−Lys(Z)−OH(2.19g, 5.76mm
ol)のTHF(60ml)溶液を、氷−食塩で−15℃に冷却
し、N−メチルモルホリン(NMM)(0.633ml, 5.76mmol)
とクロロギ酸イソブチル(0.754ml, 5.76mmol)を加え
た。10分間撹拌後、H−Lys(Z)−CH2Cl・H
Cl[Boc−Lys(Z)−CH2Cl(1.98g, 4.80mmo
l)と8.4 N HCl/ジオキサン(2.86ml, 24.0mmol)
より調製]とNMM(0.528ml,4.80mmol)のDMF(60ml)
溶液に加え0℃にて1時間、続いて室温にて一晩撹拌し
た。減圧下溶媒を留去後、残渣をAcOEtに溶解し、
AcOEt層を10%クエン酸水溶液、5%NaHCO
3水溶液、ついで水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し
た。溶媒を留去後、残渣にエーテルを加え、生じた結晶
をろ取し、目的物を得た。 収量 1.98g (59.5%) 融点 127-129℃, [α]D 25-20.3°(c=0.5, CHCl3), Rf1
0.32. 元素分析 C34H47ClN4O8 計算値: C, 60.4; H, 7.01; N, 8.32. 実験値: C, 60.5; H, 7.01; N, 8.22.
【0015】3,6−ビス(4−ベンジルオキシカルボ
ニルアミノブチル)−5−メチル−2(1H)−ピラジ
ノンの合成:H−Lys(Z)−Lys(Z)−CH2Cl
・HCl[Boc−Lys(Z)−Lys(Z)−CH2Cl
(1.50g, 2.16mmol)と7.0 N HCl/ジオキサン(3.0
9ml,21.6mmol)より調製]のMeCN(100ml)溶液を2時
間加熱還流した。減圧下溶媒を留去後、残渣をCHCl
3に溶解し、CHCl3層を水で洗浄後、硫酸ナトリウム
で乾燥した。溶媒を留去後、残渣にエーテルを加え、生
じた結晶をろ取し、目的物を得た。 収量 558mg (49.6%) 融点 158-160℃, Rf2 0.63. 元素分析 C29H36N4O5 計算値: C, 66.9; H, 6.97; N, 10.8. 実験値: C, 66.8; H, 7.03; N, 10.7.
【0016】3,6−ビス(4−アミノブチル)−5−
メチル−2(1H)−ピラジノンの合成:3,6−ビス
(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−5−
メチル−2(1H)−ピラジノン(350mg, 0.672mmol)を
60%酢酸水溶液(30ml)に溶解し、Pd存在下接触還
元を行った。Pdをろ過により取り除き、ろ液を留去
後、残渣にエーテルを加え生じた結晶をろ取し、目的物
を得た。 収量 240mg (95.9%) 融点 170-178℃, Rf3 0.11. 元素分析 C13H24N4O ・2AcOH・0.5H2O 計算値: C, 53.5; H, 8.72; N, 14.7. 実験値: C, 53.4; H, 8.23; N, 14.6.
【0017】3,6−ビス[4−(Nα-Boc-Dm
t)−アミノブチル)−5−メチル−2(1H)−ピラ
ジノンの合成:3,6−ビス(4−アミノブチル)−5
−メチル−2(1H)−ピラジノン(50mg, 0.153mmol)]
をDMF(15ml)に溶解し、氷−食塩で−15℃に冷却し、
Boc−Dmt−OH(113mg, 0.367mmol)、BOP(162
mg, 0.367mmol)、DIEA(62.8μl, 0.367mmol)を順々
に加え、室温で4時間撹拌した。減圧下溶媒を留去後、
残渣をAcOEtに溶解し、AcOEt層を10%クエ
ン酸水溶液、5%NaHCO3、ついで飽和食塩水で洗
浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、残査
にエーテルを加え、生じた結晶をろ取し、目的物を得
た。 収量 91 mg (72.7 %) 融点 122-125℃, [α]D 25 +25.3°(c=0.5, MeOH), Rf4
0.79. 元素分析 C45H66N6O9 計算値: C, 64.7; H, 7.97; N, 10.1. 実験値: C, 64.5; H,8.01; N, 10.0.
【0018】5−メチル−3,6−ビス[4−(2’,
6’−ジメチルチロシル)アミノブチル]−2(1H)
−ピラジノン塩酸塩(化合物I)の合成:3,6−ビス
[4−(Nα−Boc−Dmt)−アミノブチル)−5
−メチル−2(1H)−ピラジノン(50mg, 0.060mmol)
をTFA(138μl, 1.80mmol)とアニソール(13.8μl)よ
り脱Boc化後、1mol dm-3 HCl(120μl, 0.12mmo
l)を加え、凍結乾燥し非晶質として目的物を得た。 収量30mg(70.7%), [α]D 25 +63.7°(c=0.17, H2O), Rf4 0.42, TOF-MS m/
z: 635.7 [(M+H)+, calc.for C35H50N6O5: 634.8], tR
20.28 (min). HPLC分析条件A:B=90:10で5分間溶出後、4
0分かけてA:B=10:90までMeCN濃度を挙げた.
【0019】参考例1 Boc−Dmt−OHの合成:Rf1の展開溶媒の組成
はクロロホルム:メタノール:酢酸(90:8:2)であり、R
2の展開溶媒の組成はブタノール:酢酸:水(4:1:5,上
層)である。3,5−ジメチルフェノール(20g,0.164mm
ol)をメタノール(300ml)に溶解し、濃塩酸(130ml)を加
えた。ヨウ素酸カリウム(10.5g, 0.049mol)とヨウ化カ
リウム(19.1g, 0.115mol)を水(260ml)に溶解し、水溶液
を上記メタノール溶液に撹拌しながらゆっくり室温で加
えた。反応溶液に飽和食塩水(200ml)を加え、さらに3
0分間撹拌し、粗結晶を吸引ろ過で集めた。粗結晶をト
ルエン(400ml)に溶解し、不溶物をセライトを通じてろ
過した。ろ液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去
し、残渣にヘキサンを加えて結晶化し、結晶を吸引ろ過
で集め4−ヨード−3,5−ジメチルフェノールを得
た。 収量 20g(収率:49%), 融点125−129℃, Rf1=0.71.
【0020】4−ヨード−3,5−ジメチルフェノール
(20.8g, 0.084mol)をピリジン(21.5ml)に溶解し、無水
酢酸(10.3ml, 0.109mol)を加えて、50℃で30分間撹
拌した。0.5mol/l 塩酸水溶液(350ml)を加えて2時
間撹拌した。生じた沈殿をろ取し、水で洗浄、乾燥し4
−ヨード−3,5−ジメチルフェニルアセテートを得
た。収量 23g(収率:95%), 融点40−42℃, Rf1=0.78.
【0021】4−ヨード−3,5−ジメチルフェニルア
セテート(23g, 0.079mol)、メチル−2−アセトアミド
アクリレート(12.5g, 0.087mol)、トリ−(2−メチル
フェニル)ホスフィン(1.2g, 0.004mol)、トリエチルア
ミン(22.3ml, 0.159mol)および酢酸Pd(II)(0.36g,
0.002mol)をアセトニトリル(8.3ml)に加え、20時間還
流した。反応溶液を室温まで冷やし、メタノールを加
え、セライトを通じて不溶物をろ過した。ろ液を濃縮
し、残渣(オイル)をAcOEtに溶かして後、AcO
Et層を飽和食塩水で洗浄した。AcOEt層を取り、
フロリジールを加えて一晩撹拌した。AcOEt層を更
に硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去し、残渣にヘキ
サンを加えて結晶化し、粗結晶を吸引ろ過で集めた(1
6.7g)。粗結晶のうち6gをクロロホルムに溶解し、ク
ロロホルムで充填したシリカゲルカラム(3.6x36cm)にア
プライした。溶出クロロホルム溶液(2.5 〜 3.0 l)の画
分を集め、溶媒を留去し、残渣にヘキサンを加え、生じ
た結晶を吸引ろ過で集め、メチル(Z)−2−アセトア
ミド−3−(4−アセトキシ−2,6−ジメチルフェニ
ル)−2−プロペネイトを得た。 収量 3.2g(収率:41%), 融点152−156℃, Rf1=0.48.
【0022】メチル(Z)−2−アセトアミド−3−
(4−アセトキシ−2,6−ジメチルフェニル)−2−
プロペネイト(2.0g, 0.007mol)を蒸留AcOEt(50ml)
に溶解し、これに窒素ガスを通しながら30分間撹拌し
た。(R,R)−(−)−1,2−ビス[(O−メトキ
シフェニル)(フェニル)ホスフィノ]エタン(1,5
−シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロ
ボレート(0.25g, 0.0003mol)を加えた後、溶液中の酸素
を除いて、水素ガス圧3kg/cm2で加圧し、60℃
で8時間反応した。HPLCで原料の消失を確認し、反
応溶液を室温まで冷却し、ロジウム触媒をろ過して除い
た。ろ液にフロリジール(2g)を加え、1時間撹拌した。
フロリジールをろ過し、溶媒を留去し、残渣にヘキサン
を加え、生じた結晶を吸引ろ過し、4−アセトキシ−N
−アセチル−2,6−ジメチル−L−チロシンメチルエ
ステルを得た。 収量 1.98g(収率:94%), 融点108−109℃, Rf1=0.48.
【0023】4−アセトキシ−N−アセチル−2,6−
ジメチル−L−チロシンメチルエステル(8.0g, 0.026mo
l)に濃塩酸(52ml, 0.52mol)を加え2時間還流した。−
5℃まで冷却し、生じた結晶を吸引ろ過し、デシケータ
で乾燥して2,6−ジメチル−L−チロシン・モノ塩酸
塩を得た。 収量 5.7g(収率:83%), 融点190℃, [α]D 25=+63.
4°(c =1.0, AcOH)
【0024】2,6−ジメチル−L−チロシン・モノ塩
酸塩(4.7g, 0.018mol)を水(20ml)に溶解し、トリエチ
ルアミン(4.9ml, 0.036mol)を加えた。ジ−t-ブチルジ
カルボネイト(3.9g, 0.020mol)をジオキサン(20ml)に溶
解し、上記水溶液に加えた。反応液を室温で一晩撹拌し
た。反応終了後、溶媒を留去し、残渣のオイルをクエン
酸水溶液に懸濁し、AcOEtで抽出した。有機層を飽
和食塩水、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し
た。溶媒を留去し、残渣にヘキサンを加えて結晶化し
た。結晶を吸引ろ過し目的のBoc−Dmt−OHを得
た。 収量 5.4g(収率:97%), 融点174−177℃, Rf2=0.80. 元素分析値 C16H23NO5・0.1H2O 計算値:C,61.8; H,7.51; N,4.50 実験値: C,61.8; H,7.54; N,4.45
【0025】実験例1 オピオイドレセプター親和性の測定:実施例1で合成し
たオピオイドペプチド誘導体[化合物(I)]について、
公知の方法に従って、μ−及びδ−オピオイドレセプタ
ー親和性をラット脳組織から得たシナプス膜分画を用い
た競合的レセプターアッセイにより求めた。即ち、平均
体重が300〜350gであるSprague−Daw
ley系ラットを断首して致死させた後、小脳を除去し
た脳組織を50μg/ml 大豆トリプシンインヒビターを
含む0.32 M ショ糖と 10 mM HEPES (pH 7.
5)でホモジナイズし、分画遠沈してシナプス膜分画(p
2分画)を得、これから内在性リガンドを除去するため
100 mM NaCl、0.1 mM GDP、大豆トリプシ
ンインヒビターを含む50 mM HEPES (pH 7.5)で
プレインキュベートした。
【0026】μ−オピオイドレセプターアゴニストであ
るトリチウム標識化[3H]DAGO及びδ−オピオイド
レセプター選択性の高いトリチウム標識化[3H]DPD
PEをそれぞれ放射性リガンドとして使用し、該シナプ
ス膜の一部を被験ペプチド誘導体と共に一定時間インキ
ュベートすることによって、シナプス膜分画に対する放
射性リガンドと化合物(I)との交換反応に基づく競合
的レセプター結合アッセイ(Radiolabeled receptor ass
ay: RRA)を行なった。この際目的リガンドとの交換反応
を一定条件下で行なった後、シナプス膜分画に残存する
放射線を測定し、シナプス膜分画に吸着したリガンド量
を算出するのであるが、放射性リガンドと目的リガンド
との間で競合してレセプターとの結合がおこるものと仮
定し、放射性リガンドの最大特異的結合を50%阻害す
る濃度(IC50)を求め、これから親和性結合定数[Aff
inity constant (Ki)]をChengらの方法[Biochem.P
harmcol., 22, 3099 (1973)]により算出した。得られた
結果を表1に示す。
【0027】
【表1】表1.化合物(I)(式(1)のn=4)のμ
−及びδ−レセプターに対する親和性と選択性 化合物(I)がμ−レセプターに対して0.114nMと
非常に低い濃度で親和性を有することが確認された。
【0028】実験例2 各種オピオイドレセプターに対するアゴニスト・アンタ
ゴニスト活性の測定:モルモット回腸(GPI)及びマ
ウスの輸精管(MVD)を用い、化合物(I)のアゴニ
スト・アンタゴニスト活性に関するアッセイ試験を行な
った。即ち、体重が300g前後の雄性モルモットを放
血死させて、回盲結合部位に直近の回腸から長さ10cm
程度の回腸片を摘出し、36℃にてイオン保持したKr
ebs等張液を満たしたマグヌス管内に、アイソトニッ
クトランスデューサーにより1gの静止張力をかけた状
態で載置し、次いで酸素通気処理(95%O2/5%CO2)を
行なった。次いで30Vで0.5ミリ秒の電気刺激を与
えてモルモット回腸縦走筋を収縮させ、収縮が安定した
後ペプチダーゼインヒビターを添加し、化合物(I)を
加えて、モルモット回腸縦走筋の電気収縮の変化増幅器
と記録計とに接続したGrassFTO 0.3トラン
スデューサーによってモニターした。オピオイド活性
は、化合物(I)添加後の収縮抑制と塩酸ナロキソン添
加による収縮抑制解除とによって判定した。なお、モル
モット回腸縦走筋の電気収縮を50%抑制する濃度を測
定し、これをIC50とした。また、マウスMVDアッセ
イにおいて、モルモット回腸の代わりにマウス輸精管を
用いて同様の操作を行ない、マウス輸精管の電気収縮を
50%抑制する濃度IC50を測定した。なお、GPIア
ッセイにおいては、オピオイド作用は主としてμ−オピ
オイド受容体によって仲介され、一方、MVDアッセイ
においては電気収縮の阻害はδ−オピオイド受容体との
相互作用によることが明らかにされているので、それぞ
れの電気収縮を50%抑制する濃度は、アゴニスト効力
であるものとみなした。化合物(I)について得られた
結果を表2に示す。
【0029】
【表2】表2.化合物(I)のμ及びδ−レセプターに
対するアゴニスト・アンタゴニスト活性 この結果から化合物(I)はアゴニストであることがわ
かる。
【0030】実験例3 動物実験による鎮痛効果:H.Takagiら(Europea
n J. Pahrmcol., 56, 205-208 (1979))のマウス大槽内
注射法によって、被験薬のそれぞれを生理食塩水に溶解
した溶液を10μl/マウスの用量でマウス大槽内(i.c.
v.)に投与し、次いでH.TakagiらのTail P
ressure法に従って、投与処置したマウス尾根部
に圧力測定装置(UGO BASILE社製)を用いて加圧し、そ
の圧力を徐々に高めて、マウスがもがき反応を起こすと
きの閾値圧を測定した。なおマウスは一群5匹とし、陽
性対照薬として塩酸モルヒネを用い、また大槽内投与直
後に回転運動を示したマウスは解析から除外した。実験
結果を閾値圧の時間経過のグラフとして図1−3に示
す。これらのグラフから、化合物(I)は0.06μg/
マウスの用量で投与した場合、優れた鎮痛効果を発揮し
た。これは鎮痛効果の発現が早く、用量1μg/マウスの
塩酸モルヒネに匹敵し、持続性に関してはモルヒネのそ
れとは様式がやや異なることがわかる。また図3から化
合物(I)は塩酸ナルトレキソンの作用に拮抗すること
がわかる。
【0031】
【発明の効果】本発明のオピオイドペプチド誘導体
(1)またはその塩は、文献に未記載の新規化合物であ
り、上記した試験法において確認されたようにオピオイ
ドレセプターに対する特異的親和性を有し、鎮痛効果な
ど種々のモルヒネ様生理活性を発現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 モルヒネの鎮痛効果を示す。
【図2】 本発明のペプチド誘導体の鎮痛効果を示す。
【図3】 本発明のペプチド誘導体と塩酸ナルトレキソ
ンの併用時の鎮痛効果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 津田 裕子 兵庫県明石市魚住町清水1440−1 (72)発明者 横井 利夫 兵庫県明石市荷山町1661−27 (72)発明者 岡田 芳男 兵庫県明石市朝霧台3776−122 (72)発明者 シャロン・ディ・ブライアント アメリカ合衆国27514ノースカロライナ州 チャペル・ヒル、オーク・トゥリー・ドラ イブ805番 (72)発明者 ローレンス・エイチ・ラザラス アメリカ合衆国27707ノースカロライナ州 ダーラム、モリッシュ・ヒル・ロード4840 番 (72)発明者 安保 明博 宮城県黒川郡富谷町明石台2−14−3 (72)発明者 佐々木 有亮 宮城県仙台市泉区加茂3−16−6 Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 AA03 BC48 MA01 MA04 NA14 ZA08 ZC03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)で表されるオピオイドペプ
    チド誘導体またはその塩。 【化1】 (式中、2,6−ジメチル−チロシル基はL体であり、
    nは同一または異なって1−8を表す。)
  2. 【請求項2】 式(1)において、nが4である請求項
    1のオピオイドペプチド誘導体またはその塩。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のオピオイドペプチド誘
    導体またはその塩を有効成分とする医薬。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のオピオイドペプチド誘
    導体またはその塩を有効成分とする鎮痛剤。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載のオピオイドペプチド誘
    導体またはその塩を有効成分とする鎮痛剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003064375A1 (en) * 2002-01-29 2003-08-07 Teikoku Seiyaku Co., Ltd. New opioid derivative
JP2012077083A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 Nicholas V Perricone Szeto−Schillerペプチドの局所麻酔的使用

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11512086A (ja) * 1995-08-18 1999-10-19 アストラ・アクチエボラーグ 新規なオピオイドペプチド

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