JP2002069017A - フッ素アルコールの製造方法 - Google Patents

フッ素アルコールの製造方法

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JP2002069017A
JP2002069017A JP2000257838A JP2000257838A JP2002069017A JP 2002069017 A JP2002069017 A JP 2002069017A JP 2000257838 A JP2000257838 A JP 2000257838A JP 2000257838 A JP2000257838 A JP 2000257838A JP 2002069017 A JP2002069017 A JP 2002069017A
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hcf
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acid acceptor
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JP2000257838A
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Fumihiko Yamaguchi
史彦 山口
Shoji Takagi
祥二 高木
Toru Yoshizawa
透 吉沢
Kazuyoshi Ichihara
一義 市原
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Daikin Industries Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C29/00Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring
    • C07C29/32Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring increasing the number of carbon atoms by reactions without formation of -OH groups

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  • Organic Chemistry (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 不純物を実質的に含まず、またメタノールを
再利用できる一般式(1) H(CFR1CF2nCH2
OH (1)〔n=1又は2。n=1のときR1
F又はCF3を示す。n=2のときR1はFを示す。〕で
表されるフッ素アルコールの製造方法を提供する。 【解決手段】 ラジカル発生剤及び受酸剤の存在下に、
(i) メタノールとテトラフルオロエチレンなどとを反
応させ(ii) 得られた反応粗製物から受酸剤の反応生成
物及び未反応の受酸剤を除去する(iii) 上記(ii)で処理
した反応粗製物を蒸留塔に導いて、メタノールを該反応
粗製物に残存するラジカル発生剤と共に塔頂より留出せ
しめ、塔底から式(1)で表されるフッ素アルコールを
含むボトム成分を取り出す(iv)塔頂より得られた留分
を反応器に戻して再利用する(v) 前記ボトム成分を精
製して式(1)で表されるフッ素アルコールを回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般式(1) H(CFR1CF2nCH2OH (1) 〔n=1又は2。n=1のときR1はF又はCF3を示
す。n=2のときR1はFを示す。〕で表されるフッ素
アルコールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】H(CF2CF2nCH2OH(n=1、
2)の製造法としては、特開昭54−154707号公
報及び米国特許2559628号に、メタノールとテト
ラフルオロエチレンをラジカル発生剤であるt−ブチル
オクチルパーオキサイドの存在下に反応させることによ
り、H(CF2CF2nCH2OH(nは最高12)のテ
ロマー混合物が得られることが記載されている。
【0003】この方法では、過剰量のメタノールを用い
ているため、反応粗製物に含まれるメタノールを回収し
て再利用するのが望ましい。例えば、特許第30280
4号公報にはメタノールの再利用工程を含むフッ素アル
コールの製造法が開示されている。一方、反応粗製物中
にラジカル発生剤が未分解のまま残存した状態、或いは
反応に受酸剤を用いて、反応粗製物中に未反応の受酸剤
等が残存した状態でテロマー混合物を蒸留して目的とす
るフッ素アルコールを得ようとする場合、蒸発残分,U
V吸収成分等の不純物が回収されたフッ素アルコールに
含まれ、例えばCD−RやDVD−R等の基板上にレー
ザーによる情報の書き込み及び/又は読みとり可能な記
録層が設けられてなる情報記録媒体製造時の溶剤として
使用した場合、高品質の情報記録媒体の製造に適してい
ないという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、不純
物を実質的に含まず、またメタノールを再利用できる一
般式(1) H(CFR1CF2nCH2OH (1) 〔n=1又は2。n=1のときR1はF又はCF3を示
す。n=2のときR1はFを示す。〕で表されるフッ素
アルコールの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の各項に
示す発明に係るものである。
【0006】項1 ラジカル発生剤及び受酸剤の存在下
に、メタノール及びテトラフルオロエチレン又はヘキサ
フルオロプロピレンを出発原料として、下記式(1) H(CFR1CF2nCH2OH (1) 〔n=1又は2。n=1のときR1はF又はCF3を示
す。n=2のときR1はFを示す。〕で表されるフッ素
アルコールを製造する方法において、下記(i)〜(v)工程
を含むことを特徴とする方法: (i) メタノールとテトラフルオロエチレン又はヘキサ
フルオロプロピレンとを反応させる工程、(ii) 得られ
た反応粗製物から受酸剤の反応生成物及び未反応の受酸
剤を除去する工程、(iii) 上記(ii)工程で処理した反応
粗製物を蒸留塔に導いて、メタノールを該反応粗製物に
残存するラジカル発生剤と共に塔頂より留出せしめ、塔
底から式(1)で表されるフッ素アルコールを含むボト
ム成分を取り出す工程、(iv)塔頂より得られた留分を
反応器に戻して再利用する工程、及び(v) 前記ボトム
成分を精製して式(1)で表されるフッ素アルコールを
回収する工程。
【0007】項2 ラジカル発生剤及び受酸剤の存在下
に、メタノール及びテトラフルオロエチレンを出発原料
として、HCF2CF2CH2OHを製造する方法におい
て、下記(i)〜(vi)工程を含むことを特徴とする方法: (i) メタノールとテトラフルオロエチレンとを反応さ
せる工程、(ii) 得られた反応粗製物から受酸剤の反応
生成物及び受酸剤の残分を除去する工程、(iii) 上記(i
i)工程で処理した反応粗製物を第一蒸留塔に導いて、メ
タノールを該反応粗製物に残存するラジカル発生剤と共
に塔頂より留出せしめ、塔底から一般式(2) H(CF2CF2lCH2OH (2) 〔l=1〜5の整数〕で表されるフッ素アルコールを含
むボトム成分を取り出す工程、(iv)塔頂より得られた
留分を反応器に戻して再利用する工程、及び(v) 前記
工程(iii)で得られたボトム成分を第二蒸留塔に導い
て、塔頂よりHCF2CF2CH2OHを留出せしめ、塔
底より一般式(2)においてlが2以上のフッ素アルコ
ールを含むボトム成分を取り出す工程、及び(vi) 上記
(v)工程において塔頂より留出せしめたHCF2CF2
2OHを、塩基と接触させた後又は塩基の存在下に蒸
留してHCF2CF2CH2OHを回収する工程。
【0008】項3 項2の方法において、(vi)工程にお
けるHCF2CF2CH2OHを回収する方法が、HCF2
CF2CH2OHを含む成分を蒸留して低沸点成分を除去
した後、ボトム成分として得られたHCF2CF2CH2
OHを含む成分を再度蒸留してHCF2CF2CH2OH
を回収する方法である含フッ素アルコールの製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】メタノールとテトラフルオロエチ
レン又はヘキサフルオロプロピレンとをラジカル発生剤
の存在下に反応させる工程において、テトラフルオロエ
チレン又はヘキサフルオロプロピレンに対しメタノール
を過剰量使用する。反応温度は40〜140℃程度、反
応時間は3〜12時間程度、反応圧力は0.2〜1.2
MPa程度である。反応は、例えばオートクレーブのよ
うな高圧反応釜で行うことができる。反応系内は窒素、
アルゴン等の不活性ガスで置換するのが好ましい。
【0010】ラジカル発生剤としては、蒸留した場合に
メタノールと共に留出し得るようなものを用いる。これ
らラジカル発生剤は、メタノールと共に留出できればよ
く、蒸留の過程で分解するようなものであってもよい。
【0011】具体的には、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド[沸点109〜110℃](商品名“パーブチルD”
(日本油脂(株)製)として入手可能)、t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名“パーブチ
ルO”(日本油脂(株)製)として入手可能)、t−ブチ
ルパーオキシイソプロピルカーボネート(商品名“パー
ブチルI”(日本油脂(株)製)として入手可能)等の過
酸化物が好ましく例示される。これらの中でも、ジ−t
−ブチルパーキサイドを用いるのが好ましい。
【0012】ラジカル発生剤の使用量は、テトラフルオ
ロエチレン又はヘキサフルオロプロピレン1モルあた
り、通常0.005〜0.1モル程度である。
【0013】上記反応は、受酸剤の存在下に行う。受酸
剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸
水素カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の
炭酸塩及び炭酸水素塩、酸化カルシウム、水酸化カルシ
ウム、ソーダライム、炭酸バリウム等が挙げられる。受
酸剤は、反応系を強アルカリ性にすることなく、反応時
に発生するHF等の酸をトラップできるものが好まし
い。
【0014】受酸剤の使用量は、特に限定されないが、
テトラフルオロエチレン又はヘキサフルオロプロピレン
1モルあたり、0.001〜0.1モル程度とすればよ
い。
【0015】上記した方法によって得られた反応粗製物
は、図1に示すように、反応器から蒸留塔に導かれ、蒸
留塔は、メタノールを塔頂から留出させるために加熱さ
れる。上記したような条件で反応を行えば、通常反応粗
製物中にラジカル発生剤の一部が未分解のまま残存して
いるが、本発明で用いるラジカル発生剤は蒸留した場合
にメタノールと共に留出し得るラジカル発生剤であるの
で、メタノールの通常の蒸留条件、例えば、蒸留塔の圧
力を−0.05〜0.1MPa程度(ゲージ圧を示す。
以下同じ。)に制御しながらスチルを加熱して蒸留し、
メタノールを40〜90℃程度で留出させれば、反応粗
製物に残存していたラジカル発生剤がメタノールと共に
留出される。かくして反応粗製物から未分解のまま残存
していたラジカル発生剤を除去することができる。
【0016】本発明においては、反応粗製物に残存する
未分解のラジカル発生剤を反応粗製物から除去すること
ができればよく、ラジカル発生剤そのものがメタノール
と共に留出してもよく、蒸留の過程でラジカル発生剤が
分解し、その分解物がメタノールと共に留出してもよ
い。従って、メタノールを含む留分には、未分解のラジ
カル発生剤が含まれていてもよいし、ラジカル発生剤の
分解物が含まれていてもよいし、これら両者が含まれて
いてもよい。例えば、上記に例示したラジカル発生剤の
中では、t−ブチルパーオキサイドを用いた場合には、
蒸留の過程においてもほとんど分解しないので、t−ブ
チルパーオキサイドがメタノールと共に留出する。
【0017】メタノール及びテトラフルオロエチレン又
はヘキサフルオロプロピレンの反応粗製物には、HF及
び水が含まれている場合があるが、これらは蒸留塔の中
段において濃縮される。HF及び水が濃縮された層は、
図2に示すように、サイドカット留分として蒸留塔から
抜き出すことができる。サイドカット留分の温度は、8
0〜120℃/0.1MPa程度である。
【0018】本発明では、反応粗製物を蒸留塔に導く前
に、反応粗製物からCaF2、NaF等の受酸剤の反応
生成物を及び未反応の受酸剤を除去する。この操作につ
いては特に限定的ではなく、受酸剤の反応生成物及び未
反応の受酸剤を反応粗製物から除去できる方法であれば
よく、例えば、図1に示すように、遠心分離機を用いる
ことによって効率よく除去できる。
【0019】塔頂より得られた留分は、図1及び2に示
すように、反応器に戻して再利用される。該留分にラジ
カル発生剤が未分解のまま含まれている場合は、ラジカ
ル発生剤も再利用することができる。該留分にラジカル
発生剤の分解物が含まれている場合であっても、該留分
をそのまま反応器に戻して再利用することができる。
【0020】メタノールの蒸留後、スチルに残ったフッ
素アルコールの混合物を含むボトム成分からは、残存し
ていたラジカル発生剤が全て除去されていることが好ま
しいが、ボトム成分に含まれるラジカル発生剤の量が
1,000mass ppm以下程度、望ましくは50mass ppm
以下程度となればよい。
【0021】ボトム成分は、塔底より取り出され、図1
及び2に示すように蒸留による精製工程に導かれ、反応
粗製物中に存在するH(CF2CF2nCH2OH(nは
3以上)、H(CF(CF3)CF2nCH2OH(nは
2以上)等の不純物を除去して、一般式(1) H(CFR1CF2nCH2OH (1) 〔n=1又は
2。n=1のときR1はF又はCF3を示す。n=2のと
きR1はFを示す。〕で表されるフッ素アルコールが回
収される。なお、原料としてテトラフルオロエチレンを
用いた場合、ボトム成分にはHCF2CF2CH2OH及
びH(CF2CF22CH2OHが含まれるので、精製工
程において、ボトム成分から、HCF2CF2CH2OH
及びH(CF2CF22CH2OHを順次分離してもよ
い。
【0022】本発明の方法においては、上記の精製工程
の後に、式(1) H(CFR1CF2nCH2OH
(1) 〔n、R1は前記に定義された通りである。〕
で表されるフッ素アルコールを含む留分を、塩基と接触
させた後、又は塩基の存在下で蒸留して回収してもよ
い。かかる操作を行うことにより、不純物含有量がより
少ない式(1)のフッ素アルコールが得られる。この
際、蒸留塔の中段部又はスチルに直接塩基を添加しても
よく、或いは蒸留塔の前に処理槽(塩基処理槽)を設け
てもよい。塩基処理槽を設ける場合には、該処理槽にお
ける操作条件については特に限定的ではないが、通常、
塩基を添加した後、20〜150℃程度で0.5〜3時
間程度反応させればよい。或いは、メタノールとテトラ
フルオロエチレンを原料として用いてHCF2CF2CH
2OHを製造する場合、一般式(2) H(CF2CF2lCH2OH (2) 〔l=1〜5の
整数〕で表されるフッ素アルコールを含むボトム成分を
蒸留塔に導いて蒸留を行い、塔頂よりHCF2CF2CH
2OHを留出せしめ、該留分を塩基と接触させた後又は
塩基の存在下にさらに蒸留することにより、HCF2
2CH2OHを回収することができる。なお、塔底から
は一般式(2)においてlが2以上のフッ素アルコール
を含むボトム成分が取り出される。
【0023】塩基としては、pKbが2以下の塩基が好
適である。このような塩基としては、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナト
リウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸水素
塩;ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、ナ
トリウムプロピラート、カリウムt−ブトキシド、リチ
ウムエチラート等のアルカリ金属アルコラート;水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアル
カリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネ
シウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化
物;水酸化アルミニウム、ソーダライム等が挙げられ
る。これら塩基は単独で用いてもよく、2種以上組み合
わせて用いてもよい。
【0024】塩基の使用量は適宜設定することができる
が、通常、塩基と接触させる一般式(1)のフッ素アル
コールの重量1kgあたり0.05〜1.0モル程度、
好ましくは0.1〜0.5モル程度である。
【0025】塩基で処理する際には、使用した塩基の種
類に応じてアルコールや水等が反応生成物として生じ、
該反応生成物や塩基の溶媒として用いたアルコール等の
低沸点成分が式(1)のフッ素アルコールに混入する。
従って、高純度の式(1)のフッ素アルコールを得るた
めには、まず、第一段階の蒸留操作として、低沸点成分
であるアルコール、水等を式(1)のフッ素アルコール
から分離除去するための蒸留を行い、次いで、第二段階
として第一段階の蒸留操作によってボトム成分として得
られた式(1)のフッ素アルコールを含む成分を蒸留し
て式(1)のフッ素アルコールを回収することが好まし
い。このような蒸留方法の一実施態様を図3に示す。こ
の様な蒸留方法によれば、アルコールや水の混入が無
く、実質的に不純物を含まない式(1)のフッ素アルコ
ールを得ることができる。
【0026】また、このような二段階の蒸留操作に変え
て、アルコール、水等の低沸点成分を順次蒸留除去した
後、式(1)のフッ素アルコールを蒸留塔の塔頂部又は
中段部より回収することも可能である。
【0027】本発明の方法においては、いずれの蒸留方
法を採用してもよいが、二段階の蒸留方法の方が簡単に
高純度の式(1)のフッ素アルコールを回収できる。
【0028】メタノールとテトラフルオロエチレン又は
ヘキサフルオロプロピレンとの反応は、通常バッチ工程
により行われるが、該反応後の工程は、バッチ工程であ
っても連続工程であってもよい。
【0029】本発明の製造方法によれば、蒸発残分が5
0ppm以下、好ましくは25ppm以下、より好まし
くは10ppm以下である式(1)のフッ素アルコール
が得られる。
【0030】蒸発残分は、以下のようにして求めること
ができる。即ち、フッ素アルコールを40℃、5mmH
gで蒸発させたときの残分の重量を測定し、フッ素アル
コールに対するmass ppmで表わす。
【0031】本発明で得られる一般式(1)のフッ素ア
ルコールの205nmにおけるメタノール中でのUV吸
光度は、0.1abs以下、好ましくは−0.1abs以下、
より好ましくは−0.2abs以下である。メタノール中
のUV吸光度は、一般式(1)のフッ素アルコール1m
lにメタノール3mlを加えたものを測定試料とし、リ
ファレンスとしてメタノールを用いて測定される。
【0032】本発明製造方法により得られるフッ素アル
コールが「実質的に不純物を含まない」とは、(i)フ
ッ素アルコールの蒸発残分が50ppm以下、好ましく
は25ppm以下、より好ましくは10ppm以下であ
り、及び/又は、(ii)メタノール中でのUV吸光度
(205nm)が0.1abs以下、好ましくは−0.1a
bs以下、より好ましくは−0.2abs以下であることを
意味する。
【0033】基板上にレーザーによる情報の書き込み及
び/又は読みとり可能な記録層が設けられてなる情報記
録媒体は、本発明の一般式(1)のフッ素アルコールを
含む溶剤、好ましくは該フッ素アルコールを含むフッ素
系溶剤に色素を溶解し、得られた溶液を基板上に塗布、
乾燥する等の常法に従い、色素を含む記録層を形成して
製造できる。該色素としては、シアニン系色素、フタロ
シアニン系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系
色素、スクワリリウム系色素、アズレニウム系色素、イ
ンドフェノール系色素、インドアニリン系色素、トリフ
ェニルメタン系色素、キノン系色素、アミニウム系色
素、ジインモニウム系色素、金属錯塩系色素等が挙げら
れる。基板としては、ポリカーボネート、ポリメチルメ
タクリレート、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフ
ィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等のプラスチッ
ク、ガラス、セラミックスが挙げられる。尚、平面性の
改善、接着力の向上、記録層の変質防止等の目的で記録
層と基板の間に下塗層を設けてもよく、記録層の上には
保護層を設けてもよい。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、基板上にレーザーによ
る情報の書き込み及び/又は読みとり可能な記録層が設
けられてなる情報記録媒体(CD−R、DVD−R等の
光ディスク等)、フィルムの感光体等の製造に好適な、
実質的に不純物を含まないHCF2CF2CH2OH、H
(CF2CF22CH2OH及びHCF(CF3)CF2
2OHを容易に製造することができ、且つ、回収した
メタノールを含む留分及び該留分に含まれるラジカル発
生剤を有効に利用することができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説
明する。
【0036】実施例1−1 高圧反応釜にメタノール(1500g)、パーブチルD
(ジ−t−ブチルパーオキサイド,31.25g)及び
炭酸カルシウム(6.5g)を仕込んだ。反応釜を窒素
置換した後、125℃まで昇温し、テトラフルオロエチ
レンを、圧力0.85MPaとなるよう制御して仕込み
ながら2.6時間反応させた。反応粗製物を冷却後、重
量を測定したところ2270gであり、ガスクロマトグ
ラフィーにて分析したところ、15.5gのパーブチル
Dが未分解のままで残存していた。
【0037】得られた反応粗製物について、図3に示す
フロー図に従って、次の方法で処理した。
【0038】まず、反応粗製物を反応釜1から遠心分離
機3に導き、遠心分離法により受酸剤の反応物及び未反
応の受酸剤を除去した後、第一蒸留塔4に導いた。
【0039】次いで、蒸留塔の圧力を0.1MPaに制
御しながらスチルを加熱した。第一蒸留塔4の塔頂より
メタノールを、留出温度80〜90℃で留出させた。得
られた留分は1261.5gであった。この留分を分析
したところパーブチルDが13.0g含まれており、メ
タノールと共に反応粗製物に残存していたパーブチルD
が、ほとんど分解せずに留出していることがわかった。
ボトム成分にはパーブチルDは全く含まれていなかっ
た。
【0040】次いで、ボトム成分を第一蒸留塔4の塔底
から取り出し、蒸留による精製工程に導いた。ボトム成
分は、第二蒸留塔5に導かれ、塔頂よりHCF2CF2
2OH(648.3g)を留出せしめ、H(CF2CF
2lCH2OH(lは2以上の整数)を塔底より取り出
した。得られたHCF2CF2CH2OHの一部(150
g)を取り出し、塩基処理槽6に導き、該留分にナトリ
ウムメチラート(6g、約0.03モル;28%メタノ
ール溶液として)を添加した。次いで、塩基で処理され
たHCF2CF2CH2OHをアルカリ蒸留塔7に導き、
蒸留してメタノール及び水を塔頂から留出させ、HCF
2CF2CH2OHを含むボトム成分をアルカリ蒸留塔8
に送った。最後に、アルカリ蒸留塔8で蒸留することに
よって、中段部の留分としてHCF2CF2CH2OHを
回収した。得られたHCF2CF2CH2OHの蒸発残分
は10ppmであり、UV吸光度(205nm)は−
0.2abs以下であった。
【0041】実施例1−2 実施例1−1で回収した、パーブチルD(13.0g)
を含むメタノール1261.5gを、反応釜1に戻し、
再利用した。即ち、回収したメタノールに新品のメタノ
ール254gを加え、パーブチルD(15.75g)及
び炭酸カルシウム(6.5g)を仕込み、実施例1−1
と同様にして反応を行った。反応時間は2.7時間であ
った。反応終了後、反応粗製物を冷却し、重量を測定し
たところ2265gであり、ガスクロマトグラフィーに
て分析したところ、15.1gのパーブチルDが分解せ
ずに残存していた。
【0042】得られた反応粗製物についても、上記実施
例1−1と同様に、図3に示すフロー図に従って処理し
た。
【0043】即ち、まず反応粗製物を反応釜1から遠心
分離機3に導き、受酸剤の反応物及び未反応の受酸剤を
除去した後、第一蒸留塔4に導いた。
【0044】次いで、蒸留塔の圧力を0.1MPaに制
御しながらスチルを加熱した。第一蒸留塔4の塔頂より
メタノールを、留出温度80〜90℃で留出させた。得
られた留分は1262.3gであった。この留分を分析
したところパーブチルDが12.6g含まれており、メ
タノールと共に反応粗製物に残存していたパーブチルD
が、ほとんど分解せずに留出していた。ボトム成分には
パーブチルDは全く含まれていなかった。
【0045】次いで、ボトム成分を第一蒸留塔4の塔底
から取り出し、蒸留による精製工程に導いた。ボトム成
分は、第二蒸留塔5に導かれ、塔頂よりHCF2CF2
2OH(644.1g)を留出せしめ、H(CF2CF
2lCH2OH(lは2以上の整数)を含むボトム成分
を塔底より取り出した。得られたHCF2CF2CH2
Hの一部(150g)を取り出し、塩基処理槽6に導
き、該留分に28%ナトリウムメチラート(6g、約
0.03モル)を添加した。次いで、塩基で処理された
HCF2CF2CH2OHをアルカリ蒸留塔7に導き、蒸
留してメタノール及び水を塔頂から留出させ、HCF2
CF2CH2OHを含むボトム成分をアルカリ蒸留塔8に
送った。最後に、アルカリ蒸留塔8で蒸留することによ
って、中段部の留分としてHCF2CF2CH2OHを回
収した。得られたHCF2CF2CH2OHの蒸発残分は
10ppmであり、UV吸光度(205nm)は−0.
2abs以下であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を示す工程図である。
【図2】サイドカット留分を抜き出す工程を含む、本発
明の一実施態様を示す工程図である。
【図3】二段階のアルカリ蒸留工程を含む、本発明の一
実施態様を示す工程図である。
【符号の説明】
1 反応釜 2 蒸留塔 3 遠心分離機 4 第一蒸留塔 5 第二蒸留塔 6 塩基処理槽 7、8 アルカリ蒸留塔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉沢 透 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内 (72)発明者 市原 一義 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC21 AD11 AD17 BA92 BA93 BD40 BD52 BD60 BE10 BE11 BE12 BE13 FE11 FE71 FE74

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラジカル発生剤及び受酸剤の存在下に、
    メタノール及びテトラフルオロエチレン又はヘキサフル
    オロプロピレンを出発原料として、下記式(1) H(CFR1CF2nCH2OH (1) 〔n=1又は2。n=1のときR1はF又はCF3を示
    す。n=2のときR1はFを示す。〕で表されるフッ素
    アルコールを製造する方法において、下記(i)〜(v)工程
    を含むことを特徴とする方法: (i) メタノールとテトラフルオロエチレン又はヘキサ
    フルオロプロピレンとを反応させる工程、(ii) 得られ
    た反応粗製物から受酸剤の反応生成物及び未反応の受酸
    剤を除去する工程、(iii) 上記(ii)工程で処理した反応
    粗製物を蒸留塔に導いて、メタノールを該反応粗製物に
    残存するラジカル発生剤と共に塔頂より留出せしめ、塔
    底から式(1)で表されるフッ素アルコールを含むボト
    ム成分を取り出す工程、(iv)塔頂より得られた留分を
    反応器に戻して再利用する工程、及び(v) 前記ボトム
    成分を精製して式(1)で表されるフッ素アルコールを
    回収する工程。
  2. 【請求項2】ラジカル発生剤及び受酸剤の存在下に、メ
    タノール及びテトラフルオロエチレンを出発原料とし
    て、HCF2CF2CH2OHを製造する方法において、
    下記(i)〜(vi)工程を含むことを特徴とする方法: (i) メタノールとテトラフルオロエチレンとを反応さ
    せる工程、(ii) 得られた反応粗製物から受酸剤の反応
    生成物及び受酸剤の残分を除去する工程、(iii) 上記(i
    i)工程で処理した反応粗製物を第一蒸留塔に導いて、メ
    タノールを該反応粗製物に残存するラジカル発生剤と共
    に塔頂より留出せしめ、塔底から一般式(2) H(CF2CF2lCH2OH (2) 〔l=1〜5の整数〕で表されるフッ素アルコールを含
    むボトム成分を取り出す工程、(iv)塔頂より得られた
    留分を反応器に戻して再利用する工程、及び(v) 前記
    工程(iii)で得られたボトム成分を第二蒸留塔に導い
    て、塔頂よりHCF2CF2CH2OHを留出せしめ、塔
    底より一般式(2)においてlが2以上のフッ素アルコ
    ールを含むボトム成分を取り出す工程、及び(vi) 上記
    (v)工程において塔頂より留出せしめたHCF2CF2
    2OHを、塩基と接触させた後又は塩基の存在下に蒸
    留してHCF2CF2CH2OHを回収する工程。
  3. 【請求項3】 請求項2の方法において、(vi)工程にお
    けるHCF2CF2CH2OHを回収する方法が、HCF2
    CF2CH2OHを含む成分を蒸留して低沸点成分を除去
    した後、ボトム成分として得られたHCF2CF2CH2
    OHを含む成分を再度蒸留してHCF2CF2CH2OH
    を回収する方法である含フッ素アルコールの製造方法。
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