JP2002063745A - 情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

情報記録媒体の製造方法

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JP2002063745A
JP2002063745A JP2000246663A JP2000246663A JP2002063745A JP 2002063745 A JP2002063745 A JP 2002063745A JP 2000246663 A JP2000246663 A JP 2000246663A JP 2000246663 A JP2000246663 A JP 2000246663A JP 2002063745 A JP2002063745 A JP 2002063745A
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groove
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recording
pit
layer
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Toshifumi Kawano
敏史 川野
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピットと溝の深さを独立に制御し、ピット信
号、溝信号及び再生信号の全てが大きく、かつ再生信号
のノイズが小さい光記録媒体の製造方法を提供する。 【解決手段】 原盤に、ピット及び該ピットよりも浅い
溝を形成したのち、該原盤を用いて、ピット及び該ピッ
トよりも浅い溝を有する基板を作製し、該基板上に情報
層を形成する情報記録媒体の製造方法であって、ピット
及び溝が形成された原盤又は基板に平滑化処理を行う工
程を含む情報記録媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光記録媒体等の情報
記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光磁気ディスク、相変化ディスク、無機
穴開け型ディスク、色素ディスク等の光ディスクに代表
される光記録媒体は、ユーザーが記録可能な大容量情報
記録媒体であり、コンピュータの外部記憶装置に用いる
媒体として広く普及している。また音楽や写真、画像、
動画などの情報を記録するため音楽プレーヤーやデジタ
ルカメラ、ビデオ、セットトップボックスなどの記録再
生装置に用いる媒体としても急速に普及しつつある。
【0003】光磁気ディスクとしては3.5インチ型の
640MB製品、230MB製品、128MB製品、G
IGAMO、5.25インチ型の650MB〜4.8G
Bの製品、ミニディスク等が知られ、相変化ディスクと
してはCD−RW、DVD−RAM等が製品化され、D
VD+RW、DVD−RWなども開発されている。ま
た、色素ディスクとしては、CD−R、DVD−Rとい
った製品が知られている。
【0004】これらの光記録媒体には一般に記録トラッ
クが設けられ、記録再生装置の光ヘッドなどの記録再生
系がトラックに沿って移動し(トラッキング)、記録再
生光を照射することにより、上記の各種情報(データ)
を記録トラックに記録し、再生し、あるいは消去する。
トラッキングは、通常、光記録媒体上に設けられた凹凸
溝あるいは凹凸ピットを頼りに行われる。溝に記録再生
光が照射されると、溝部の反射光と溝間部(溝と溝の
間)の反射光とが干渉して反射率が変化するため、これ
を利用してトラッキングできる。ピットの場合も同様で
ある。
【0005】多くの記録可能な光ディスクには螺旋状又
は同心円状の凹凸溝が設けられ、該溝に沿って記録トラ
ックが形成されている。これには、溝部(基板の凹部)
を記録トラックとして記録を行う溝記録タイプと、隣接
する溝部の間に位置する溝間部(基板の凸部)を記録ト
ラックとして記録を行うランド記録タイプと、両方を記
録トラックとして記録を行うランド&グルーブ記録(L
&G記録)タイプとがある。
【0006】また通常、溝とともに、情報を示すピット
が設けられる。ピットは穴状の凹凸からなりその位置や
長さ等の組み合わせによって様々な情報を表す。例え
ば、媒体上の情報の記録位置(アドレス)を示したり、
媒体自体の種類や使用条件、製造情報などの情報を表し
たりする。このような溝やピットを持つ基板は以下のよ
うに作製される。
【0007】精密に研磨された、表面の清浄なガラス板
(基体)に、フォトレジストをスピンコート法などによ
り塗布し、所定厚さのフォトレジスト層を形成する。こ
ののち適当な温度でベーキングを行い、フォトレジスト
中の残留溶媒を飛ばす。次にフォトレジスト層に所定の
信号に従いレーザー露光を行ったのち現像し、再度ベー
キングののち、表面に溝やピットなどの所定の凹凸パタ
ーンが形成されたフォトレジスト層を有する原盤を得
る。
【0008】なお、本発明においては、原盤の基体とし
てガラスを例に説明するが、ガラスに限らず平滑で所定
の固さがあれば金属、セラミック、樹脂等でも良い。次
に、原盤のフォトレジスト層表面にNiなどの金属薄膜
をスパッタリング成膜し、これを電極としてNiなどの
金属の電解メッキを行う。その後、金属部分を原盤から
剥離し、フォトレジスト層の凹凸パターンが逆に転写さ
れたスタンパーを得る。スタンパーを形成する金属はN
i以外であってもよい。
【0009】スタンパーをもとに、ポリカーボネート等
の樹脂を射出成形することで、スタンパー表面の凹凸パ
ターンが正確に逆に転写された基板を得る。或いは、ス
タンパーを紫外線硬化樹脂に押しつけた状態で樹脂を硬
化することでも同様の基板が得られる。つまり、基板に
は原盤と同じ凹凸パターンが形成される。続いて記録
層、保護層、反射層などの情報層をスパッタリングや真
空蒸着等の真空プロセスや、スピンコートによる塗布法
で形成し、さらに紫外線硬化性樹脂からなる保護コート
層を形成し、光記録媒体を得る。
【0010】なお、以下では、実際に情報を蓄える層
(以下、記録層と称する)、及びその前後に設けられる
保護層、反射層等の薄膜を全て含んだものを情報層と総
称する。光磁気ディスクや相変化ディスク等、無機物材
料からなる情報層を用いる場合は通常スパッタリング法
あるいは真空蒸着法(電子ビーム蒸着、熱蒸着等)が用
いられる。緻密で良好な膜質が得られることからスパッ
タリング法が用いられることが多い。
【0011】また、上述のように作製したスタンパーを
マスタースタンパーとし、剥離処理ののち電解メッキを
行い金属層を形成し剥離して凹凸パターンの転写された
マザースタンパーを作製し、さらにもう一度電解メッキ
で凹凸の転写を行うことで最終的なサンスタンパーを
得、これをもとに射出成形を行うこともできる。こうい
った複製技術を用いることで、一枚のガラス原盤から、
より多くのスタンパーが作製できる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】近年、従来主流であっ
たランド記録タイプの光ディスクに加えて、溝記録タイ
プも用いられるようになった。さらにはランド&グルー
ブ記録タイプも実用化され始めた。ランド&グルーブ記
録は、記録トラックピッチを極めて高密度にすることが
可能であり、高密度記録に有用である。
【0013】しかしながら、溝部を記録トラックとして
情報を記録する媒体には、溝の内部に均一に情報層が付
着しにくいという問題点があった。さて、情報を正確に
再生するためには、ピットからの再生信号(ピット信
号)は大きいほど好ましく、一般に、ピット深さがλ/
4程度のときピット信号が最大となる。一方、記録トラ
ックへのトラッキングをうまく行うためには、溝からの
プッシュプル信号が大きいほど好ましく、一般に、溝深
さがλ/8程度のときプッシュプル信号が最大となる。
従って両方を最適にするためには、溝をピットより浅く
形成する必要がある。なお、λはピットや溝に入射する
時点での再生光の波長を指す。
【0014】図2は、従来のランド記録用基板のピット
及び溝の形状を示す断面図である。この基板の原盤は以
下のように作製される。レーザー露光機の強度をそれぞ
れ調整して、ピットの露光をフォトレジスト層の底部ま
で行い、溝の露光をフォトレジスト層の厚さ方向の中途
で止めるようにする。すなわち、現像後にピットの底は
基体面にほぼ達しており、溝部にはフォトレジストが残
る。このようにフォトレジストの露光を途中まで行った
溝は断面がV字型に近くなるので、一般にV溝と称す
る。
【0015】こうすることにより、ピット深さと溝深さ
を違うものとすることができ、ピット信号及びプッシュ
プル信号共に大きくできる。ところが、V溝は露光を途
中まで行った状態なので溝の壁面や底面にフォトレジス
トの粒子が露出し荒れが非常に大きい。従って、V溝の
内部に記録を行うと荒れのためにノイズが著しく上昇し
てしまうので、V溝は溝記録やL&G記録には不向きで
ある。
【0016】そこで、溝記録(又はL&G記録)用に
は、溝部もフォトレジスト層の底部まで露光し、現像後
に溝の底が基体面にほぼ達するようにする。このような
溝は断面がU字型に近くなるので、一般にU溝と称す
る。U溝は、溝の底部がガラスなどの基体面となるので
平坦であり、溝の内部に記録を行ってもノイズが低い。
ところが、U溝を用いた場合、ピットと溝の両方を基体
面まで露光するので、両者の深さが同じになってしまう
(図3)。そこで、溝記録においては、やむをえず、ピ
ット信号及び溝信号の両方をある程度満足する、中間的
な深さが用いられてきた。
【0017】さらに、L&G記録の場合には、溝間部
(ランド)と溝部とのクロストークを小さくする必要が
ある。ランドの記録層に記録した記録マークからの再生
信号と、溝部の記録層に記録した記録マークからの再生
信号とが干渉(クロストーク)すると再生信号が低下し
てしまうので、これを抑えるために溝深さを考慮する必
要がある。再生信号のクロストークが最小となる溝深さ
はλ/6程度である。
【0018】ただし、MSR(磁気誘導超解像)等の手
法を用いればクロストークを低下できるので、溝をλ/
6より浅くして再生信号をより強くするのが好ましい。
つまり、L&G記録においては、ピット信号、溝信号及
び記録マークからの再生信号の全てをある程度満足する
中間的な深さを用いる。しかし、この手法では全ての信
号がその最大値に比べれば低下してしまう。
【0019】記録密度が高密度化するに従い、ピット信
号、溝信号及び再生信号ともに余裕が無くなってきてい
るため、全ての信号を大きくしたいとの課題があった。
本発明は、ピットと溝の深さを独立に制御し、ピット信
号、溝信号及び再生信号の全てが大きく、かつ再生信号
のノイズが小さい光記録媒体の製造方法を提供すること
を目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、原盤
に、ピット及び該ピットよりも浅い溝を形成したのち、
該原盤を用いて、ピット及び該ピットよりも浅い溝を有
する基板を作製し、該基板上に情報層を形成する情報記
録媒体の製造方法であって、ピット及び溝が形成された
原盤又は基板に平滑化処理を行う工程を含むことを特徴
とする情報記録媒体の製造方法に存する。
【0021】本発明によれば、ピットとV溝を原盤に形
成し、或いは原盤からピットとV溝を有する基板を作製
するので、ピット深さと溝深さを独立に制御できる。従
って、ピット信号、溝信号及び再生信号の全てが大きく
なるように各々の深さを設定できる。そして、平滑化処
理を施すことによって、溝内部の荒れを小さくでき、再
生信号のノイズを低下できる。このように製造した光記
録媒体は、溝記録及びL&G記録に特に適している。
【0022】なお、平滑化処理は、基板或いは原盤の、
少なくとも溝壁部又は溝底部の表面粗さを小さくする処
理を言う。また、溝はピットより浅ければ特に深さは限
定されないが、例えば溝深さがピット深さの90%以下
であることが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の製造法により得られる光記録媒体用基板
の溝及びピットの断面形状の一例を図1に示す。基板1
0には、ピット3と、それより浅い溝部1が形成され、
隣接する溝と溝との間には溝間部2が形成されている。
この上に、記録層、保護層、反射層などの情報層をスパ
ッタリングや真空蒸着等の真空プロセスや、スピンコー
トによる塗布法で形成し、さらに紫外線硬化性樹脂から
なる保護コート層を形成し、光記録媒体を得る。
【0024】このような光記録媒体用基板は、次のよう
にして得られる。基体と基体上に形成されたフォトレジ
スト層からなる原盤に、露光及び現像を行うことでピッ
トと溝を形成する。ピットは、露光をフォトレジスト層
の底部まで行い現像して得られる。溝は、フォトレジス
ト層の厚さの中途まで露光し現像することで得られる。
この原盤からスタンパーを経て、ピット及び溝が形成さ
れた基板を得る。
【0025】本発明では、上記工程中で原盤又は基板に
平滑化処理を行う。本発明の実施態様について説明す
る。本発明は、以下の2種の実施態様を取りうる。 態様1:ピット及びピットより浅い溝(V溝)が形成さ
れた基板に平滑化処理を行う。
【0026】態様2:ピット及びピットより浅い溝(V
溝)が形成された原盤に平滑化処理を行う。 [1]態様1の説明 常法により、ピット及びV溝を原盤に形成し、原盤から
スタンパーを経て、ピット及びV溝が形成されたポリカ
ーボネートなどの基板を得る。次いで、基板に平滑化処
理を行う。
【0027】平滑化処理としては、エネルギー線を照射
することにより表面をエッチングし平滑化する手法、基
板の軟化点付近まで昇温し基板の凹凸を変形させ平滑化
する手法、溝を完全に埋めない程度の薄い樹脂を塗布し
硬化することで平滑化を行う手法などが挙げられる。中
でもピット形状に大きなダメージを与えず、かつ処理の
制御性に優れたエネルギー線照射が好ましい。エネルギ
ー線としては酸素を励起しやすい紫外線が好ましい。紫
外線照射処理は、照射時間や照射強度、雰囲気ガスな
ど、制御可能因子が多く、平滑化処理の程度や溝形状の
再現性が得やすい点で、他の加熱処理や樹脂塗布より優
れている。
【0028】紫外線照射の場合、照射する紫外線は少な
くとも300nm以下の波長を含むことが好ましい。波
長300nm以下の光はポリカーボネートや非晶質ポリ
オレフィン、フォトレジストのような樹脂表面の結合を
切断すると共に大気中の酸素を励起することで、表面を
エッチングするとされている。本手法では、表面が平滑
化されるとともに、体積あたりの表面積の大きい角部や
突起部はエッチング速度が大きく、優先的に削れるの
で、この結果樹脂表面は全体の表面積を減少させるべく
溝壁面の角部が削れ、滑らかな曲面形状となる。紫外線
の光源としては低圧水銀ランプやエキシマランプが使用
可能である。低圧水銀ランプは185nm及び254n
mの波長を含んでいる。エキシマランプを用いることは
低圧水銀ランプに比べ処理時間が短縮されて好ましい。
例えば172nmの波長のランプを用いることができ
る。
【0029】基板は空気中で処理しても良いが、処理速
度を落とし処理時間を長めにして制御を行い易くするた
めに、雰囲気中に窒素やアルゴン等を導入することもで
きる。あるいは、処理を高速で行うために一部酸素を導
入することも可能である。ランプと基板の距離は15m
m以下が好ましい。距離が遠過ぎると紫外線が空気中で
吸収されてしまい効果が小さくなる。また2mm以上で
あることが好ましい。近すぎるとランプの輻射熱で樹脂
が加熱される上、光強度にむらが生じやすい。
【0030】紫外線照射時間は、ランプと基板の距離や
元々の溝形状等により細かくは異なるが、1分以上であ
ることが好ましい。さらに好ましくは2分以上である。
また、照射時間が長すぎると溝が削れすぎて浅くなって
しまうので、30分以下が好ましい。照射する紫外線の
パワーは、0.5W/cm2以上であることが好まし
い。さらに好ましくは0.8W/cm2である。ただし
強すぎると反応の制御が困難になる上、樹脂が加熱され
てしまうので5W/cm2以下であることが好ましい。
さらに好ましくは4W/cm2以下である。全面均一に
処理を行うために、紫外線を照射しながら基板を移動さ
せるのは好ましい手法である。複数の基板をホルダーに
載せ、回転あるいは往復運動させながら全て同時に処理
を行うこともできる。
【0031】また、樹脂基板を軟化点付近まで昇温し基
板の凹凸を変形させ平滑化する手法を取る場合は、加熱
温度は120℃以上150℃以下が好ましい。 [2]態様2の説明 常法により、ピット及びV溝を原盤に形成し、原盤に平
滑化処理を行ったのち、原盤を用いてスタンパーを経
て、ピット及びV溝が形成されたポリカーボネートなど
の基板を得る。
【0032】平滑化処理の手法、条件等は基板への処理
の場合とほぼ同様であるが、原盤を軟化点付近まで昇温
し凹凸を変形させ平滑化する手法を取る場合は、昇温温
度は150℃以上180℃以下が好ましい。原盤を処理
する本態様は、基板を処理する場合に比べ一回の処理で
多数の基板作製を可能にするという点で優れている。
【0033】例えば、全ての樹脂基板を紫外線照射処理
する方法は、製造ラインに数分間に及ぶ処理時間を持っ
た紫外線照射装置等を導入する必要がある。通常の連続
製造ラインは数秒の製造タクトで稼働するため、この流
れの中で数分間の処理を行うには大量の基板を導入でき
る巨大な照射装置を必要とし、コストが膨大なものとな
る。さらに紫外線ランプの連続照射を行うのでランプ交
換等のメンテナンスが頻繁となり稼働コストの上昇及び
稼働率の低下を招く。処理時間によっては製造タクトが
長くなり、生産性を低下させてしまう。
【0034】これに比べて、原盤の状態で紫外線照射処
理を行うと、処理後の原盤からスタンパーを製造するこ
とで、わずか一回の処理により大量の良好な基板を作製
できる。紫外線照射装置もガラス原盤が一枚乃至数枚入
る程度のもので良く低コストですむ上、基板を全て処理
するのに比べて遥かに使用時間が短くて済むので稼働コ
ストも小さい。 また、紫外線照射の場合、樹脂基板を
処理すると表面の極性基を無くしてしまい、基板と無機
物からなる情報層の密着性を損なう事があるが、原盤へ
の処理はこういった問題を生じないため、この点でも原
盤の処理のほうが好ましい。
【0035】原盤の基体はガラスが好ましいが、これに
限られるものではなく、他の平滑な金属、セラミック、
樹脂等でも良い。次に、本発明による作用効果を詳細に
説明する。本発明によれば、ピットとV溝を原盤に形成
した後、或いは原盤からピットとV溝を有する基板を作
製した後、平滑化処理を施すので、ピット深さと溝深さ
を独立に制御できる。従って、ピット信号、溝信号及び
再生信号の全てが大きくなるように各々の深さを設定で
きる。そして、平滑化処理を施すことによって、溝内部
の荒れを小さくでき、再生信号のノイズを低下できる。
このように製造した光記録媒体は、溝記録及びL&G記
録に特に適している。
【0036】本発明によれば、まず図2に示すごとく、
ピットとV溝を原盤に形成し、或いは原盤からピットと
V溝を有する基板を作製するので、ピット深さと溝深さ
を独立に制御できる。従って、ピット信号、溝信号及び
再生信号の全てが大きくなるように各々の深さを設定で
きる。そして、平滑化処理を施すことによって、溝内部
の荒れを小さくでき、再生信号のノイズを低下できるの
で、溝への記録が良好に行える。このように製造した光
記録媒体は、溝記録及びL&G記録に特に適している。
【0037】V溝に対する平滑化処理後は、溝部は完全
に平坦とならず、図1の様な凹状の曲面からなる溝1と
なるのが普通である。平滑化処理を強く行った場合は溝
間部2もまた、凸状の曲面となる。溝形状が矩形ではな
くこういった波形であっても、溝内部が充分に平滑な場
合は良好な再生信号を得ることができる。本発明の製造
方法は、ユーザーが記録可能である情報記録媒体に好ま
しく適用できる。記録層としては、各種のものを用いる
ことができ、例えば光磁気記録層や相変化型記録層、色
素型記録層、無機追記型記録層が用いられる。また、層
構成としても各種のものを採用することができる。
【0038】本発明は特に、情報層が無機物層を含み、
該無機物層をスパッタリング法或いは真空蒸着法により
形成する場合に、シャドウイングを大きく低減すること
で溝部と溝間部での膜厚差を低減し、ノイズを低下さ
せ、CNRの高い再生信号を得ることができる。加え
て、ランドと溝との再生信号をともに向上させ、かつ両
者の信号特性差の小さいL&G記録タイプの光記録媒体
が得られる。
【0039】基板にスパッタリング法或いは真空蒸着法
により情報層の成膜を行うと、成膜粒子は様々な角度か
ら基板に向かって飛来する。通常のU溝では、溝内部が
溝の角部の陰になって、基板に向かって斜めに入射する
スパッタリング粒子が溝内部まで入りこみにくい。この
効果をシャドウイングと呼ぶ。シャドウイングの結果、
成膜後の溝は深くかつ狭くなり溝形状が大きく変化す
る。
【0040】また、通常、基板表面にはある程度の荒れ
(微細な凹凸)が存在するが、溝壁面の荒れ、すなわち
斜面の角度の変化はシャドウイングの状態を変動させ成
膜速度を変化させるため、成膜が進むに従い、壁面の荒
れは著しく強調されていくため、再生信号のノイズ上昇
の原因ともなることが分かった。光記録媒体の記録再生
方式には、基板を通して記録再生光を入射させ記録再生
を行う基板面入射方式と、基板を通さずに(記録層側か
ら)記録再生光を入射させる膜面入射方式とがあるが、
膜面入射方式の光記録媒体では、シャドウイングによる
特性悪化がより大きな問題となる。
【0041】一般に、基板面入射方式の光記録媒体の層
構成は、基板/第1誘電体層/記録層/第2誘電体層
(/反射層)であり、膜面入射方式の光記録媒体の層構
成は、基板(/反射層)/第1誘電体層/記録層/第2
誘電体層となっている。いずれの方式でも、再生光は記
録層表面において反射され、この光が検出器により検出
されて再生信号となる。つまり、基板面入射方式では、
再生光は第1誘電体層/記録層の界面で反射され、膜面
入射方式では、再生光は記録層/第2誘電体層の界面で
反射される。
【0042】ここで、シャドウイングによる溝壁面荒れ
の増幅、変形は、成膜が進むほど大きくなるから、基板
から離れた膜の表面ほどその変形は顕著になる。膜面入
射方式では、再生光は、より変形の大きい記録層表面で
反射されるため、ノイズが大きくなりやすいのである。
また、上述したように、成膜に伴い膜表面の溝形状はよ
り狭く深くなっていくという溝形状の変形そのものも、
基板から離れた膜表面ほど大きくなるため、ランド&グ
ルーブ記録タイプでの溝部と溝間部の特性差といった問
題もやはり膜面入射方式のほうが大きい。
【0043】しかしながら、本発明によりV溝を平滑化
処理したものは、溝部が曲面であるためシャドウイング
が小さく、溝形状変化に伴うノイズが著しく低下する。
特に膜面入射タイプの媒体においてノイズ低下が著し
い。さらに、光磁気記録媒体の場合、信号強度は反射
率、カー回転角及び楕円率によって決まる。溝部と溝間
部からの各々の反射光は、その光路長の違いから位相の
違いを持つ。従って全体の楕円率はそれらの合成によっ
て決定される。溝幅、深さが変化すると反射光の楕円率
は変動し、反射率変動と相まって大きなノイズを発生す
る。
【0044】従って、無機物層として光磁気記録層を有
する光磁気記録媒体の場合は、反射率変動、楕円率変動
ともにノイズを発生させるシャドウイングに伴うノイズ
は特に大きくなってしまうので、本発明を適用すると効
果が高い。膜厚が厚いほどシャドウイングによる溝形状
変動は激しいため、本発明は、記録層を厚く設ける媒
体、例えば光磁気記録媒体における光変調オーバーライ
ト媒体、磁気超解像(MSR)媒体等に用いて特に好ま
しい。好ましくはスパッタリングないし真空蒸着により
作製される記録層の膜厚が100nm以上の媒体であ
り、さらに好ましくは200nm以上の媒体である。
【0045】本発明により製造できる光記録媒体の層構
成及び各層の材料について説明する。光磁気記録層とし
ては、例えばTbFe、TbFeCo、TbCo、Gd
FeCo、DyTbFeCo等の希土類と遷移金属との
非晶質磁性層、MnBi、MnCuBi等の多結晶垂直
磁化層、Pt/Co多層膜等が用いられる。
【0046】光磁気記録層は単層であっても良いし、オ
ーバーライトやMSR(磁気超解像)を可能とするため
にGdTbFe/TbFeのように2層以上の磁性層を
重ねて用いても良い。相変化型記録層としては、例えば
GeSbTeやInSbTe、AgSbTe、AgIn
SbTeといった化合物が使用できる。
【0047】好ましくは、{(Sb2Te31-x(Ge
Te)x1-ySby(0.2<x<0.9、0≦y<
0.1)合金、及び該3元合金に10原子%程度までの
In、Ga、Zn、Sn、Si、Cu、Au、Ag、P
d、Pt、Pb、Cr、Co、O、S、Se、Ta、N
b、Vのうち少なくとも1種を含む合金薄膜があげられ
る。
【0048】あるいは、高速でのオーバーライトが可能
な材料として、Sb70Te30共晶点近傍のSbTe合金
を主成分とする、MSbTe(M=In、Ga、Zn、
Ge、Sn、Si、Cu、Au、Ag、Pd、Pt、P
b、Cr、Co、O、S、Se、Ta、Nb、Vのうち
少なくとも1種)合金薄膜が好ましい。無機追記型記録
層としてはTeSe等、色素型記録層としては、シアニ
ン色素、フタロシアニン色素、含金属アゾ色素、又はそ
れらの混合物などを用いることができる。
【0049】記録層の上部及び/又は下部には耐候性、
高硬度、高滑性などの性質を備えた透明中間層を設ける
のが好ましい。中間層の材質はこれら性質を考慮の上選
ばれる。耐候性、高硬度といった点では誘電体が好まし
い。誘電体としては金属酸化物、窒化物、カルコゲン化
物、炭化物、フッ化物、およびその混合物などが用いら
れる。
【0050】金属酸化物としてはAl23、Ta25
SiO2、SiO、TiO2等の金属酸化物単独又はこれ
らの混合物、或いはAl−Ta−Oの複合酸化物等が挙
げられる。金属窒素物としては、窒化ケイ素、窒化アル
ミニウム等が挙げられる。カルコゲン化物としては、Z
nS、ZnSe等のカルコゲン化亜鉛、CdS、CdS
e等のII−V族化合物、La23、Ce23等の希土
類硫化物、TaS 2、MgS、CaS等があげられる。
カルコゲン化亜鉛は化学的にも安定で、その中でも特に
ZnSは毒性も低く最も好ましい。
【0051】さらに、高反射率の金属又は合金からなる
反射層を設けても良い。反射層材料としては、Al、A
g、Au、Pt又はこれらの合金、或いはこれらの一種
以上を主成分とする合金などが用いられる。本発明にお
いては、上記の層を総称して情報層と称する。さらにこ
れらの層の上の最表面に、紫外線硬化性樹脂などからな
る厚さ3〜200μm程度の保護コート層を形成しても
良い。
【0052】ところで、平滑化処理を行うと、処理前に
対し溝深さが変化する場合がある。従って処理後に最適
な形状をとるように、処理前の溝形状を調整しておくこ
とが好ましい。ランド&グルーブ記録(L&G記録)に
用いる場合は、溝間部の平坦部を溝ピッチの半分より若
干広めにしておくことが好ましい。但し、溝の中心から
隣接する溝の中心までの間隔を溝ピッチとする。これは
平坦部と溝部の境界の位置が最も削れやすく、処理後に
溝間部の幅が減少してしまうからである。
【0053】本発明ではユーザーへの配布情報又はアド
レス情報、媒体の記録再生に関する情報等があらかじめ
記録されている凹凸ピットも、基板に形成されている。
ピットの形状に関しては、処理による形状変化を考慮し
て最適化されていることが好ましい。より具体的には、
処理により一般にピットは拡大するので、あらかじめ最
適値より小さめのピットを作製しておくことが好まし
い。ピット深さは、平滑化処理後にほぼλ/2.5以
下、λ/6以上になるようにフォトレジストの膜厚によ
って設定されていることが好ましい。さらに好ましくは
λ/3以下、λ/6以上である。特に好ましくはλ/3
以下、λ/5以上である。なお本発明における再生光波
長λは、光が凹凸に入射する際の波長、すなわち基板面
入射の場合は基板中での波長、空気より入射する膜面入
射の場合は空気中での波長、透明樹脂層を介して入射す
る膜面入射の場合は透明樹脂中での波長とするものであ
る。
【0054】凹凸ピットの信号をなるべく損なわないよ
うに、凹凸ピットの入った領域が平滑化処理されないよ
うに何らかの方法でマスクすることも好ましい方法であ
る。例えば紫外線でエッチングする際に、紫外線を局所
的にカットするマスク板を紫外線ランプと基板の間に挿
入しても良い。以上のようにして作製した基板に情報層
を成膜する。無機物層の成膜はスパッタリング又は真空
蒸着方法を用いることができる。これらの方法では粒子
が蒸発源から直線的に基板に到達するためシャドウイン
グの影響が強く、本発明の基板との組み合わせによる改
善効果が大きい。それ以外であっても例えばスピンコー
ティング法でも従来溝部に塗布液がたまり、溝間部より
も厚く塗布されるという問題があったが、本発明の作製
方法を用いた基板と組み合わせることで改善される。
【0055】さて、本発明は溝部を平滑化するものであ
るから、溝部を記録トラックとして情報記録を行う方式
の媒体に用いて顕著な効果がある。特に、溝部と溝間部
の両方に記録を行うランド&グルーブ記録用媒体に用い
ると、溝部と溝間部の特性差が小さくなり好ましい。こ
の場合、凸状の溝間部と凹状の溝部とが、ほぼ反転した
同一形状(回転対称な形状)となることが望ましい。
【0056】本発明ではピットと溝の深さを独立に制御
できるため、ピット信号を考慮せずに溝形状の最適化を
実施できる。好ましい溝深さは、下限がλ/15以上で
あり、より好ましくはλ/12以上である。また上限は
λ/5以下であり、より好ましくはλ/6以下である。
再生時に媒体の高温部のみ信号を発生する超解像媒体の
ような場合は、低温部である隣接トラックの信号の漏れ
込みは減少するので、媒体自体によりクロストークを低
減できる。この場合は溝部、溝間部ともに再生信号が強
くとれ、かつノイズの低いλ/17以上、λ/7以下の
比較的浅い溝を用いることが好ましい。
【0057】ピットは、再生光がピット上にあるとき、
ピット内とピット外の再生光量がほぼ等しくなり、十分
な干渉効果が起きるような幅に形成することが好まし
い。すなわち再生光のスポット径により最適な値が変化
する。集光スポット直径Lが最大値から1/e2の光量
位置でで定義されるとき、ピット幅はL/2以下、L/
5以上であることが好ましい。
【0058】溝幅はL&G記録の場合、溝ピッチの半分
程度であることが好ましい。溝記録の場合は溝ピッチの
1/2以上、3/4以下であることが好ましい。なお上
記のピット幅、溝幅は、各々の深さが最大値の半値をと
る幅で定義される。平滑化処理後に上記の値に入るよう
に、初期の幅があらかじめ設定されていることが好まし
い。
【0059】また本発明は、特に膜面入射方式に用いて
効果が高い。このような方式では、基板に伴う収差の発
生が無いので、基板面入射方式と比べ高い開口数のレン
ズを使用可能である。また対物レンズを膜面に近接可能
であるため、SIL(SolidImmersion Lens)を用いる
ことで1を越える大きな開口数を得ることができる。対
物レンズを膜面に近接させる記録再生方法としてはま
た、例えば対物レンズを浮上型ヘッドに搭載する方法も
ある。光磁気記録媒体の場合は浮上型ヘッドに磁気コイ
ルを搭載して磁界変調記録を行うこともできる。
【0060】本発明によればこのような膜面入射方式の
媒体のCNRを大きく向上させることができるため、非
常に高密度の情報記録が可能となる。
【0061】
【実施例】以下に実施例をもって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例に限定されるものではない。 実施例1 ガラスからなる基体上にフォトレジスト層を130nm
の厚さに塗布し、レーザー露光機で露光し続いて現像す
ることで、溝幅0.42μm、溝深さ51nm、溝ピッ
チが1.2μm、溝間部の平坦部が0.58μmのV溝
を有する原盤を作製した。
【0062】溝は内径30mmから60mmまで螺旋状
に入れた。記録長32キロバイト毎に溝を分断して、ア
ドレスを表すピット列を入れた。ピットはフォトレジス
トの底まで感光させることで130nmの深さに作製し
た。ピットの横幅は0.34μmであった。ピットの長
さは情報に応じ、0.53μmから2.1μmまでのも
のを形成した。
【0063】この原盤に、出力200W、波長172n
mのエキシマランプで紫外線照射を行った。原盤とラン
プの距離は5mm、照射時間は4分であった。照射後、
溝部、溝間部は殆ど曲面よりなる波状溝を形成してお
り、溝深さは46nm、溝幅は0.52μmであった。
ピット深さは115nm、ピット幅は0.39μmであ
った。紫外線照射であれば、ランプの種類、出力、距
離、時間等を制御することで、所望の程度に平滑化処理
を行うことができる。
【0064】次に、これらガラス原盤上にNi薄膜をス
パッタリングした後、これを電極として電解メッキで3
00μmの厚みまでNiを堆積させた。この後ガラス原
盤からNiを剥離してスタンパーとした。これを射出成
形機に取り付け、ポリカーボネート樹脂により、1.2
mm厚、直径130mmの基板を射出成形した。ポリカ
ーボネートの屈折率は1.58であった。
【0065】これら基板上に、スパッタリングにより膜
厚70nmの酸化Ta、膜厚100nmのTb21(Fe
80Co20)79 、膜厚70nmの窒化Siを成膜し、光磁
気ディスクを作製した。酸化Taと窒化Siは直流反応
性スパッタリング、TbFeCoは直流スパッタリング
により成膜した。波長680nm、対物レンズの開口数
NA=0.55、集光スポット直径1.1μmの評価機
で、このディスクを線速8m/sで回転させながら、膜
面入射方式及び基板面入射方式の両方で評価を行った。
なお、評価機の対物レンズが1.2mmの基板を介して
用いるように最適化されて設計されていたため、膜面入
射方式での評価の際は、ディスクと対物レンズのあいだ
に1.2mmのガラス板を挿入した。
【0066】まず、1.52μmのマーク長で記録し、
再生した信号特性CNR(dB)を表−1に示す。CN
Rは45dB以上得られるのが好ましい。また、溝部と
溝間部との差が小さいほど好ましい。また、基板側から
溝信号、ピット信号の測定も行った。溝信号及びピット
信号はISO/IEC FCD 15286で定義され
る溝プッシュプル信号及びピットVFO信号(0.53
μmピットの連続パターン)で評価した。ピットVFO
信号は0.53μm長ピットの連続パターンを用いて測
定した。結果を表−1に示す。溝プッシュプル信号はだ
いたい0.5以上得られるのが好ましく、ピットVFO
信号は0.15以上得られるのが好ましい。
【0067】表−1から分かるとおり、溝信号、ピット
信号ともに大きな値が得られ、かつ溝部、溝間部ともに
良好な再生信号が得られることがわかった。
【0068】
【表1】
【0069】実施例2 実施例1と同様に原盤に溝及びピットを形成した。これ
に、160℃で2時間加熱することでレジスト表面を平
滑化した。加熱後、溝部、溝間部は殆ど曲面よりなる波
状溝を形成しており、溝深さは41nm、溝幅は0.5
3μmであった。ピット深さは103nm、ピット幅は
0.42μmであった。
【0070】この原盤から、実施例1と同様にポリカー
ボネート基板を作製し、情報層の成膜を行った。こうし
て得られた媒体を実施例1と同様に評価した。結果を表
−1に示す。この結果、溝信号、ピット信号ともに大き
な値が得られ、かつ溝部、溝間部ともに良好な再生信号
が得られることがわかった。
【0071】比較例1 紫外線照射を行わない以外は実施例1と同様に媒体作製
及び評価を行った。結果を表−1に示す。溝信号、ピッ
ト信号は大きな値が得られたが、溝部においてCNRが
著しく低かった。溝部の荒れが激しいためと考えられ
る。
【0072】比較例2 ガラスからなる基体上にフォトレジスト層を65nmの
厚さに塗布し、レーザー露光機で露光し現像すること
で、溝幅0.42μm、溝深さ65nm、溝ピッチが
1.2μm、溝間部の平坦部が0.58μmのU溝を有
する原盤を作製した。
【0073】溝は内径30mmから60mmまで螺旋状
に入れた。記録長32キロバイト毎に溝を分断して、ア
ドレスを表すピット列を入れた。ピットはフォトレジス
トの底まで感光させることで65nmの深さに作製し
た。ピットの横幅は0.37μmであった。ピットの長
さは情報に応じ、0.53μmから2.1μmまで幅を
持たせた。
【0074】この原盤から、実施例1と同様にポリカー
ボネート基板を作製し、情報層の成膜を行った。こうし
て得られた媒体を実施例1と同様に評価した。結果を表
−1に示す。この結果ピットVFO信号が実施例1と比
較して著しく小さかった。またCNRも全般的に実施例
1に比べ低かった。
【0075】比較例3 フォトレジスト層を120nmの厚さに塗布し、溝深さ
とピット深さをともに120nmとした以外は比較例2
と同様に、媒体作成及び評価を行った。溝幅は比較例2
と同様に0.42μmとした。この原盤から、実施例1
と同様にポリカーボネート基板を作製し、情報層の成膜
を行った。
【0076】こうして得られた媒体を実施例1と同様に
評価した。結果を表−1に示す。ピット信号は大きい
が、プッシュプル信号が低く、かつ膜面入射における溝
部、基板面入射における溝間部のCNRが著しく低かっ
た。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、ピットとV溝を原盤に
形成し、或いは原盤からピットとV溝を有する基板を作
製するので、ピット深さと溝深さを独立に制御できる。
従って、ピット信号、溝信号及び再生信号の全てが大き
くなるように各々の深さを設定できる。そして、平滑化
処理を施すことによって、溝内部の荒れを小さくでき、
再生信号のノイズを低下できる。このように製造した光
記録媒体は、溝記録及びL&G記録に特に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による基板の溝形状とピット形状を説
明する断面模式図。
【図2】 従来のV溝形状とピット形状を説明する断面
模式図。
【図3】 従来のU溝形状とピット形状を説明する断面
模式図。
【符号の説明】
1 溝部 2 溝間部 3 ピット 10 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 11/105 546 G11B 11/105 546B

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原盤に、ピット及び該ピットよりも浅い
    溝を形成したのち、該原盤を用いて、ピット及び該ピッ
    トよりも浅い溝を有する基板を作製し、該基板上に情報
    層を形成する情報記録媒体の製造方法であって、ピット
    及び溝が形成された原盤又は基板に平滑化処理を行う工
    程を含むことを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 原盤が基体及び基体上に形成されたフォ
    トレジスト層からなり、該フォトレジスト層を露光及び
    現像することでピット及び溝を形成してなり、該溝はフ
    ォトレジスト層の厚さの中途まで露光及び現像すること
    により形成される請求項1に記載の情報記録媒体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 紫外線の照射により平滑化処理を行う請
    求項1又は2に記載の情報記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 照射する紫外線が300nm以下の波長
    を含む請求項3に記載の情報記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 ピット及び溝が形成された原盤に平滑化
    処理を行う請求項1乃至4のいずれかに記載の情報記録
    媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 媒体が、少なくとも溝の内部に記録を行
    う情報記録媒体である請求項1乃至5のいずれかに記載
    の情報記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 媒体が、溝の内部及び溝と溝の間の両方
    に記録を行う情報記録媒体である請求項6に記載の情報
    記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 情報層が無機物層を含み、該無機物層を
    スパッタリング法或いは真空蒸着法により形成する請求
    項1乃至7に記載の情報記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 無機物層として光磁気記録層を含む請求
    項8に記載の情報記録媒体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003023775A1 (fr) * 2001-09-05 2003-03-20 Sony Corporation Procede de fabrication d'un disque original destine a la fabrication d'un support d'enregistrement et procede de fabrication d'une matrice
WO2004055804A1 (ja) * 2002-12-13 2004-07-01 Fujitsu Limited 光磁気記録媒体及び光磁気記憶装置

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WO2003023775A1 (fr) * 2001-09-05 2003-03-20 Sony Corporation Procede de fabrication d'un disque original destine a la fabrication d'un support d'enregistrement et procede de fabrication d'une matrice
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