JP2002062308A - 衝突形態判定装置 - Google Patents

衝突形態判定装置

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JP2002062308A
JP2002062308A JP2000246497A JP2000246497A JP2002062308A JP 2002062308 A JP2002062308 A JP 2002062308A JP 2000246497 A JP2000246497 A JP 2000246497A JP 2000246497 A JP2000246497 A JP 2000246497A JP 2002062308 A JP2002062308 A JP 2002062308A
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collision
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soft crash
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Katsuji Imai
勝次 今井
Noribumi Iyoda
紀文 伊豫田
Masuji Oshima
満寿治 大嶋
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は車両が低速正突した場合と高速でソ
フトクラッシュした場合とを簡易に判別することが可能
な衝突形態判定装置を提供する。 【解決手段】 車両の衝突形態を判定する衝突形態判定
装置20であって、車両の減速度を検出する減速度検出
手段(Gセンサ)22と、減速度検出手段22により検
出される減速度が所定の閾値を越えたときから時間によ
り積分演算を開始する演算手段28と、演算手段28に
より算出された減速度積分値が予め設定した設定減速度
積分値を越えたときに、ソフトクラッシュ判定用のパラ
メータとして超過時刻を検出する時刻検出手段29と、
複数の車両衝突情報から得た前記超過時刻に関するデー
タにファジー変換処理を施したファジー変換データ40
を用い、超過時刻tsとファジー変換データ40とを比
較して車両10がソフトクラッシュ状態にあるか、否か
の判定を行うソフトクラッシュ判定手段30とを備えて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の衝突形態判
定装置に関し、特に車両の衝突形態が正突(フルラッ
プ)状態であるか、ポール・アンダーライド等のソフト
クラッシュ状態であるかを簡易かつ迅速に判定可能な衝
突形態判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両に搭載されたエアバッグ装置等の乗
員保護装置は、車両の衝突形態に基づいてその起動タイ
ミングの調整が行われている。衝突の形態としては、車
両の正面全面が衝突するフルラップ衝突や車両の正面の
片側が衝突するオフセット衝突、車両が所定の角度を持
って衝突する斜突等に分類される。さらに、車両が障害
物と正面で衝突する形態として、ポールに衝突する例に
見られるように車両の正面の略中央部が衝突するポール
衝突、トラックなどの後部の下にめり込むように衝突す
るアンダーライド衝突がある。図11では(A)で正
突、(B)ポール衝突、(C)アンダーライド衝突の様
子を示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような衝突形態の
相違は、衝突の際の乗員移動方向やその移動量、移動タ
イミング等の相違として現われることが多いため、乗員
保護装置をより的確なタイミングで起動させるためには
衝突初期においてその形態を迅速に判定することが重要
である。
【0004】しかしながら、衝突が発生した初期におい
て、上記正突とポール衝突及びアンダーライド衝突とを
判別することは一般に困難とされている。ポール衝突及
びアンダーライド衝突は車両の比較的変形し易い中央部
やボンネットに障害物が衝突するのでソフトクラッシュ
とも称され、車両本体側に設けた減速度センサ(Gセン
サ)の出力を参照しても乗員保護装置を起動させる適切
なタイミングを知ることが困難であるとされている。
【0005】そしてさらに、例えば時速15km程度の
低速で車両が正突した場合と時速40km程度の車両が
ソフトクラッシュした場合とは、初期の減速度の波形が
近似している(衝突後半の減速度の波形は異なる)。そ
のために衝突初期において、この異なる2つの衝突形態
を判別することはさらに困難であるとされている。
【0006】したがって、本発明の目的は、車両が低速
で正突した場合とある程度の高速でソフトクラッシュし
た場合とを簡易に判別することが可能な衝突形態判定装
置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は請求項1に記
載される如く、車両の衝突形態を判定する衝突形態判定
装置であって、前記車両の減速度を検出する減速度検出
手段と、前記減速度検出手段により検出される減速度が
所定の閾値を越えたときから時間により積分演算を開始
する演算手段と、前記演算手段により算出された減速度
積分値が予め設定した設定減速度積分値を越えたとき
に、ソフトクラッシュ判定用のパラメータとして超過時
刻を検出する時刻検出手段と、複数の車両衝突情報から
得た前記超過時刻に関するデータにファジー変換処理を
施したファジー変換データを用い、前記時刻検出手段に
より検出された超過時刻と前記ファジー変換データとを
比較して該車両がソフトクラッシュ状態にあるか、否か
の判定を行うソフトクラッシュ判定手段とを備えた構成
により達成される。
【0008】請求項1記載の発明によれば、演算手段に
より順次算出される減速度積分値が予め設定した設定減
速度積分値を越えると時刻検出手段がその時の時刻を超
過時刻としてソフトクラッシュ判定手段へ供給する。ソ
フトクラッシュ判定手段はこの超過時刻をパラメータと
して超過時刻に関するファジー変換データと比較して、
車両がソフトクラッシュ状態にあるか否かを判定する。
このファジー変換データは複数の車両衝突情報から得た
前記超過時刻に関するデータにファジー変換処理を施し
て得たものであるから、実際に車両が衝突状態にあると
きに検出された超過時刻と比較することで、低速で正突
状態の車両とソフトクラッシュ状態の車両とを簡易かつ
迅速に判定することができる。
【0009】ここで、図1に基づき本発明の前提となる
車両の減速波形について説明する。図1は横軸に時間
t、縦軸には車両本体側に設けたGセンサにより検出さ
れる減速度を取った時間―減速度波形の例である。図1
(A)はソフトクラッシュ、図1(B)は中・高速での
正突、図1(C)は低速での正突について示す波形であ
る。
【0010】なお、ここで言う「低速」とは具体的な数
値で限定されるものではないが、例えば時速15km程
度で、車両が障害物に衝突したときに前部バンパは破損
する程度ではあるが、車両本体はほぼ無傷の状態で停止
できる程度の速度である。
【0011】図1(A)に示すソフトクラッシュの減速
度波形は、一般に第1ピークの立上がりは緩慢であり、
図1(B)に示す中・高速の正突の場合と比較して、第
1ピークの時刻は遅く、高さが低くなるという傾向があ
る。よって、図1(A)のソフトクラッシュと、図1
(B)の中・高速の正突とはこの波形の違いに基づいて
判定が可能である。
【0012】ソフトクラッシュでは前述したように車両
の変形部位に障害物が当たるので、低速のソフトクラッ
シュで衝突後、車両の軽微な損傷で車両が停止するよう
なときにはGセンサにより十分に減速が検出されない場
合がある。その一方で、乗員保護の観点からソフトクラ
ッシュで問題となるのは、ある程度速度を有した車両が
衝突し、車両本体が潰れ乗員への適切な保護が必要とな
る場合である。よって、図1(A)で示すソフトクラッ
シュの減速度波形は、特に車両の速度を限定するもので
はないが、ある程度の高速、例えば時速40km程度で
あり、第1ピークの後により大きい第2ピークが発生し
て車両本体側の破壊に及ぶような場合である。
【0013】ここで、上記ソフトクラッシュ状態を示す
図1(A)と、図1(C)に示す低速の正突波形が衝突
の初期で近似してしまうため特に問題となる。前述した
ように低速の正突は車両本体にまで破壊が及ばない程度
の衝突で車両が停止するので、エアバッグ等の乗員保護
装置を起動する必要がなく、起動すると却って不都合と
なる場合がある。その一方、ソフトクラッシュの場合は
第1ピークの後に車両破壊が大きくなる第2ピークがあ
り、この第2ピーク前に乗員保護装置を適切に起動させ
る必要がある。
【0014】よって、減速度波形は近似するが、衝突形
態が異なる図1(A)と、図1(C)の状態を判定する
ことが重要となる。そのために、本発明では減速度の時
間積分値である減速度積分値が予め設定した設定減速度
積分値を越える時刻(超過時刻)をパラメータとして採
用し、これに基づいて問題となる低速正突とソフトクラ
ッシュとの判別を行うものである。低速正突の場合は車
両が停止するので、短時間でGセンサで検出される減速
度がゼロとなる。一方、ソフトクラッシュの場合はGセ
ンサで検出される減速度は低レベルであるが継続的であ
り、第2ピークに向け増加するとう傾向がある。このよ
うな相違があることを前提とし、前記超過時刻をパラメ
ータとして採用すると精度よく低速正突とソフトクラッ
シュとの判別を行うことができることを見出し、本発明
に至ったものである。
【0015】なお、上記設定減速度積分値は全車両に対
して設定される共通の値ではなく、車種毎に独自に設定
される個別の値である。
【0016】そして、複数の車両衝突情報から得た前記
超過時刻に関するデータにファジー変換処理を施したフ
ァジー変換データを予め用意しておき、実際の車両衝突
時に検出された超過時刻をこの変換データと比較するこ
とで、簡易且つ迅速に低速正突とソフトクラッシュとの
判別を可能とする。このように、本発明によれば、車両
の低速正突とソフトクラッシュとを簡易且つ迅速に判定
することができるので、乗員保護装置の前処理装置とし
て有効である。
【0017】また、請求項2に記載される如く、請求項
1記載の衝突形態判定装置において、前記減速度検出手
段により検出される減速度の第1ピークを検出するピー
ク検出手段をさらに備えると共に、前記演算手段は前記
減速度検出手段により検出される減速度が前記閾値を越
えたときから前記ピーク検出手段により第1ピークが検
出されるまでの時間tpを積分区間として該減速度を積
分する積分演算及び該積分演算により得た第1ピーク減
速度積分値を前記時間tpで除算する演算が可能に設定
され、前記演算手段により算出される平均速度変化量、
前記第1ピーク減速度積分値及び前記第1ピーク時にお
ける減速度が、ソフトクラッシュ判定用のパラメータと
してさらに追加されている構成とすることもできる。
【0018】請求項2記載の発明によれば、平均速度変
化量、前記第1ピーク減速度積分値及び前記第1ピーク
時における減速度が、ソフトクラッシュ判定用のパラメ
ータとしてさらに追加され、ソフトクラッシュ判定手段
による判定が行われる。平均速度変化量等は車両の衝突
状態をよく反映するので、上記低速正突と高速ソフトク
ラッシュとのように判定が困難である場合以外のソフト
クラッシュ判定については迅速な処理が実行できるよう
になる。
【0019】また、請求項3に記載される如く、請求項
2記載の衝突形態判定装置において、前記追加のパラメ
ータの各々についても前記複数の車両衝突情報から得た
データにファジー変換処理を施したファジー変換データ
が用意されていることが好ましい。
【0020】請求項3記載の発明によれば、追加のパラ
メータの各々についても、超過時刻をパラメータとした
場合と同様にファジー変換データが用意されているの
で、簡易にソフトクラッシュ判定が行えるようになる。
【0021】また、請求項4に記載される如く、請求項
3記載の衝突形態判定装置において、前記追加のパラメ
ータに基づくソフトクラッシュ判定処理を前段の処理と
し、その後必要によりさらに前記超過時刻に基づくソフ
トクラッシュ判定処理を後段の処理として実行する構成
とすることが好ましい。
【0022】請求項4記載の発明によれば、比較的判別
が容易な高速正突とソフトクラッシュの判定の場合は前
段の処理で、判定が困難である低速正突と高速ソフトク
ラッシュの判定は後段の処理で実行するように分け、複
数段によりソフトクラッシュ判定処理が実行される。よ
って、車両の衝突時に得られた減速度が所定の特徴的な
波形を示し、前記追加のパラメータに基づくソフトクラ
ッシュ判定処理で適正な判定が可能であれば前段で判定
処理を終了でき、早期のソフトクラッシュ判定処理が可
能となる。一方、判別が困難である低速正突と高速ソフ
トクラッシュの場合ついては、パラメータを超過時刻に
変更してソフトクラッシュ判定が実行されるので精度良
く衝突状態を判別できる。
【0023】また、請求項5に記載される如く、請求項
3又は4記載の衝突形態判定装置において、前記ファジ
ー変換データは、各々のパラメータについて特定される
パラメータ値に対して所定範囲内にあるファジー推定値
を有するように変換されたデータとされている、ことと
することができる。
【0024】請求項5記載の発明によれば、あるパラメ
ータに関して衝突時に検出された減速度から定められる
パラメータ値を前記ファジー変換データと比較すること
で、パラメータ毎に所定範囲内にあるファジー推定値が
特定されるのでソフトクラッシュ判定を簡素化すること
ができる。
【0025】また、請求項6に記載される如く、請求項
5記載の衝突形態判定装置において、前記ソフトクラッ
シュ判定手段は、各々のパラメータについて得たファジ
ー推定値と所定の基準値との比較によりソフトクラッシ
ュ判定を行う、こととすることができる。
【0026】請求項6に記載の発明によれば、上記ファ
ジー推定値と所定の基準値とを比較するという簡易な処
理により判定を行うことができるので、車両がソフトク
ラッシュ状態であるか否かを迅速に判定できることにな
る。
【0027】なお、請求項7に記載される如く、請求項
2から6いずれかに記載の衝突形態判定装置において、
前記ピーク検出手段はウェーブレット変換法を用いて前
記第1ピークを検出する構成とすることが好ましい。本
発明で減速度の第1ピークを検出する方法は特に限定さ
れるものではないが、時間周波数解析法の一種でありフ
ーリエ変換等のように時間分解能が落ちるという欠点が
ないウェーブレット変換法を用いることが推奨される。
【0028】請求項7に記載の発明によれば、より適正
に車両がソフトクラッシュ状態であるか否かを判定でき
ることになる。
【0029】
【発明の実施の形態】次に本発明の好ましい実施形態を
実施例を用いて説明する。図2は一実施例の衝突形態判
定装置20の概略構成を機能ブロックで示す図であり、
図3は同衝突形態判定装置20のハード構成の概略を示
す構成図である。また、図4は同衝突形態判定装置20
が車両10に搭載されている様子を例示した図である。
【0030】本実施例の衝突形態判定装置20は、図2
に示すように、例えば車両10の中央コンソール近傍に
設置されて車両の前後方向の減速度を検出するGセンサ
22(図4)と、このGセンサ22により検出された減
速度を入力する信号入力部24と、この信号入力部24
からの信号を受けるピーク検出部26及び演算部28
と、演算部28で算出される減速度積分値について設定
減速度積分値を越えた時刻(超過時刻ts)を検出する
時刻検出部29、及びこれら時刻検出部29等から複数
のパラメータが供給され総合的にソフトクラッシュ判定
を行うソフトクラッシュ判定部30とを備えている。
【0031】ソフトクラッシュ判定部30は、上記時刻
検出部29から供給される超過時刻tsをパラメータの
1つとして用いており、これにより従来においては困難
とされていた低速正突と高速ソフトクラッシュとの判別
を可能としている。そして、このパラメータ超過時刻t
sによりソフトクラッシュを判定するために、超過時刻
に関するデータをファジー変換処理したファジー変換デ
ータ40を備えている。さらに、ソフトクラッシュ判定
部30は平均速度変化量並びに第1ピーク減速度積分値
及び第1ピーク時刻における減速度(第1ピーク減速
度)の3種をパラメータとして採用している。これら3
つのパラメータについても、ファジー変換処理したファ
ジー変換データ40が用意されている。ファジー変換デ
ータ40の詳細については、後述する。
【0032】よって、衝突形態判定装置20は実際の車
両衝突時において上記4種のパラメータに関して算出さ
れる具体的なパラメータ値と、上記ファジー変換データ
40とを比較することによりソフトクラッシュ状態にあ
るか、否かの判定を実行する。本実施例ではソフトクラ
ッシュの判定を迅速かつ精度良く行うために、平均速度
変化量等の3つのパラメータを用いたソフトクラッシュ
判定処理を前段で行い、判別が困難である低速正突と高
速ソフトクラッシュについてはパラメータを超過時刻t
sに変更して精度よい後段のソフトクラッシュ判定処理
を行うようにしている。
【0033】上記衝突形態判定装置20のハード構成
は、図3に示すように、Gセンサ22を除いて、CPU
32を中心として構成されたマイクロコンピュータ31
により構成されている。マイクロコンピュータ31はC
PU32の他、所定の処理プログラムを記録したROM
34、一時的にデータを記憶するRAM36と、入力処
理回路38とを備える。図3に例示する実施例の衝突形
態判定装置20の各部は。ROM34に記憶された処理
プログラムが起動されたときに、ソフトウエアとハード
ウエアが一体となって機能する。
【0034】以下、上記衝突形態判定装置20内の各部
についてより詳細に説明する。信号入力部24は、Gセ
ンサ22からの減速度を所定のサンプリング周波数(例
えば、2k[Hz]等)でサンプリングする。そして、G
センサ22からの減速度が所定の閾値Gth(例えば、
2G〜4G)を越えたときに、ソフトクラッシュの判定
をすべくピーク検出部26、演算部28、時刻検出部2
9及びソフトクラッシュ判定部30を機能させる。
【0035】ピーク検出部26は、信号入力部24から
供給された減速度信号の第1ピーク時刻t1を検出し、
演算部28及びソフトクラッシュ判定部30へ供給す
る。
【0036】演算部28は複数の演算機能を有してい
る。まず、演算部28はGセンサ22により検出された
減速度が所定の閾値Gthを越えた時t0から時間につ
いての積分を開始して、その減速度積分値を時刻検出部
29ヘ供給する。さらに演算部28は減速度が閾値Gt
hを越えた時t0から前記第1ピークが検出されるまで
の時間tpを積分区間とし、当該減速度を積分演算して
得た第1ピーク減速度積分値を算出し、さらに前記時間
tpで除して得た平均速度変化量を算出して、第1ピー
ク減速度積分値及び平均速度変化量をソフトクラッシュ
判定部30へ供給する。
【0037】時刻検出部29は演算部28から供給され
る減速度積分値が前述した設定減速度積分値を越えたと
きの時刻(超過時刻ts)をソフトクラッシュ判定部3
0ヘ供給する。前述したようにこの設定減速度積分値は
多くの車両衝突データ等から車種別に予め設定される値
である。
【0038】ソフトクラッシュ判定部30は、パラメー
タとして超過時刻ts並びに平均速度変化量、第1ピー
ク減速度積分値及び第1ピーク減速度の4つのパラメー
タを用いる。本実施例のソフトクラッシュ判定部30
は、前述したようにソフトクラッシュの判定処理を前段
・後段に分けて実行する。先ず、前段の処理として車両
の衝突時に生じた減速度波形に特徴がありソフトクラッ
シュ判定が比較的容易である場合には、3つのパラメー
タ、平均速度変化量、第1ピーク減速度積分値及び第1
ピーク減速度を用いたソフトクラッシュ判定を行う。例
えば、高速正突等はソフトクラッシュとの判別が比較的
容易であることから、これら3つのパラメータを用いた
ソフトクラッシュ判定が可能であり、この前段処理で判
定を完了できる。この前段処理は1段に限らず複数段で
実行する様にしてもよい、本実施例では後述するように
前段で2つのソフトクラッシュ判定を行っている。
【0039】一方、低速正突と高速ソフトクラッシュの
ように判別が困難である場合には、上記上記3つのパラ
メータに基づく判定では判別できない場合がある。この
場合には、パラメータを超過時刻tsに変更して、後段
のソフトクラッシュ判定処理が実行される。このよう
に、必要に応じて超過時刻tsによるソフトクラッシュ
判定処理を採用することで、より迅速で正確なソフトク
ラッシュ判定が可能となる。
【0040】前記のような基本構成を有する本実施例の
衝突形態判定装置20は、例えば車両に搭載されたエア
バッグ装置等の乗員保護装置の起動における前処理を行
うために用いられる。車両の衝突形態がソフトクラッシ
ュ状態であるか否かを衝突の初期において判定すること
で、乗員保護装置の起動処理を適切なタイミングで行う
ことができるようになる。本実施例では衝突形態判定装
置20として構成して説明するが、乗員保護装置の一部
に組込まれるものとして考えても差支えないのは勿論で
ある。この場合、マイクロコンピュータ31は乗員保護
装置の電子制御ユニット(ECU)として機能する。
【0041】上記のように本実施例では、前段のソフト
クラッシュ判定処理と、後段のソフトクラッシュ判定処
理とが設定されている。前段のソフトクラッシュ判定処
理では、減速度波形の第1ピークを検出することによ
り、前記3つのパラメータについて車両衝突時に所定の
パラメータ値が算出される。
【0042】そこで、次にピーク検出部26により第1
ピークを検出する好ましい方法について説明する。ピー
ク検出部26は信号入力部24により供給された信号に
対してウェーブレット変換法を用いて第1ピーク(第1
極大値)の時刻t1を検出する。ウェーブレット変換
は、フーリエ変換が定常な正弦波の重ね合わせとして時
系列信号を表すのに対し、時間的に局在した波(ウェー
ブレット)の重ね合わせとして表現する方法であり、非
定常信号のスペクトル解析、音声認識・合成、画像の情
報圧縮、ノイズ除去、異常の検出等の様々な分野で近年
広く応用されているデータ変換方法である。
【0043】ピーク検出部26では、入力された信号に
対して積分の基底として所定の複素関数を用いて積和演
算し、ウェーブレット変換値の実数部Rと虚数部Iとに
基づいてその大きさの位相θを演算する。この演算され
た位相θに基づいて第1極大値の時刻を検出する。以
下、ピーク検出部26におけるウェーブレット変換法を
用いた第1極大値の時刻検出の原理について簡単に説明
する。
【0044】時系列信号X(t)のウェーブレット変換
係数(a,b)は、時間的にも周波数的にも局在した基
本ウェーブレット関数ψ(t)を用意し、これを次式
(1)に示すようにa倍スケール変換した後に原点bだ
けシフト変換(平行移動)して得られる相似関数の組ψ
a,b(t)を基底関数とする式(2)に例示する展開
となる。なお、スケール変換パラメータaは、変換周波
数fに対して逆関数に比例する関係を有している。
【0045】 ψa,b(t) = a−1/2ψ((t−b)/a)……(1) X(a,b) = X(t)ψa,b(t) ……(2) 本実施例では、基本ウェーブレット関数ψ(t)とし
て、実数部Rに対して虚数Iがπ/2だけ位相がずれた
複素関数として次式(3)に示すGabor関数を用い
ている。ここで、式(3)中のω0は周波数fによって
定まる定数(ω0=2πf)であり、αも定数である。 ψ(t)=exp(−αt2+iω0t) =exp(−αt2)・(cos(ω0t)+isin(ω0t))…( 3) 式(3)において、α=πとしたときのGabor関数
の時間軸上の表現を図5に示す。図示するように、Ga
bor関数は、時間軸上の−T〜Tの範囲に局在してお
り、実数部と虚数部の波形の位相がπ/2だけずれてい
る。時系列信号X(t)に対するウェーブレット変換
は、具体的には、スケール変換パラメータa(式(3)
中ではω0)を適当に選択した関数と時系列信号X
(t)との積和演算となる。演算の区間としては、波形
が局在している範囲(図5中−T〜Tの範囲)である。
この範囲はウインドウと称される。
【0046】時系列信号X(t)のGabor関数によ
るウェーブレット変換X(a,b)は、Gabor関数
が複素関数であることから複素数になる。図6にウェー
ブレット変換X(a,b)の実数部Rと虚数部Iと大き
さPと位相θとの関係を示す。大きさPは次式(4)に
より算出され、位相θは式(5)により求められる。こ
こで、大きさPは、ウェーブレット変換X(a,b)の
便宜的な大きさを意味し、無次元量である。また、位相
θは実数部Rと虚数部Iの大きさと符号とにより0〜2
πの範囲となる。
【0047】P=√(R2+I2) ……(4) θ=tan−1(I/R)…(5) ここで、時系列信号X(t)の周波数に近い変換周波数
fの位相θ(t)では、時系列信号X(t)の振幅が極
大(ピーク)となる時刻に2πからゼロに変化し、極小
(ボトム)となる時刻にπとなる。よって、本実施例の
ピーク検出部26では最初に現われる第1ピーク(第1
極大値)の時刻t1を検出し、これを本ソフトクラッシ
ュ判定の前段の処理で用いる。
【0048】図7は、下段にGセンサ22で検出された
減速度の波形、その上段はこの波形にウェーブレット
(Wavelet)変換の処理を施して求めた位相波形
が、時間tに対応して示されている。前述したようにウ
ェーブレット変換法を用いることで、2πからゼロに反
転する時刻t1において第1ピークを検出できることに
なる。
【0049】なお、図7では減速度の閾値Gthが示さ
れている。演算部28は減速度の波形がこの閾値Gth
を越えた時刻t0から積分演算を開始しサンプリング周
期に従って減速度の時間積分値を算出している。
【0050】次に、ソフトクラッシュ判定部30で用い
ファジー変換データ40の具体的な内容について説明す
る。ソフトクラッシュ判定部30は4種のパラメータ、
超過時刻ts並びに平均速度変化量、第1ピーク減速度
積分値及び第1ピーク減速度を用いてソフトクラッシュ
を判定するために、予め用意されているファジー変換デ
ータ40を用いる。
【0051】ファジー変換データ40は、複数の車両衝
突情報から得た衝突データにファジー変換処理を施して
加工し、予め用意したデータである。ファジー変換デー
タ40は、パラメータとして用いる超過時刻tsや平均
速度変化量等の各々に対応するように4種が用意されて
いる。
【0052】一例として図8に示すように、複数の正突
とソフトクラッシュの衝突データに対してファジー変換
処理したものである。ファジー変換データ40は、車両
衝突の減速度から算出されるパラメータ値PAに対応し
て横軸が設定されている。このパラメータ値PAに対し
て所定範囲でファジー推定値が対応するように加工した
データである。図8に示す例では、縦軸F(PA)に所
定範囲として−1〜1の範囲が設定されている。横軸側
は中央値PAcをゼロとし、この中央値から最も離れる
最大値F(PA)max又は最小値F(PA)min
範囲内に含まれるように変動幅±ΔPAを設定し、PA
c−ΔPAからPAc+ΔPAをファジー変換領域とし
ている。
【0053】例えば、車両が衝突してピーク検出がされ
ると、パラメータの1つである平均速度変化量について
具体的に特定されたパラメータ値PAaveが演算部28
からソフトクラッシュ判定部30へ供給される。ソフト
クラッシュ判定部30は図8に示すPA軸(横軸)とこ
のPAaveとを比較し、縦軸F(PAave)に対応する値
としてファジー推定値を特定する。よって、ファジー推
定値は−1〜1の範囲内の所定値となる。
【0054】なお、パラメータ値PAaveとファジー変
換データ40を比較してファジー推定値を特定するとき
の処理は、ファジー変換データ40側の横軸をパラメー
タ値PAに対応するレベルに設定しておいてもよいし、
パラメータ値PAaveにファジー変換データ40を作成
したときのロジック処理を施してファジー変換データ4
0と比較するようにしてもよい。
【0055】図8に示したファジー変換された衝突デー
タは、第1ピーク減速度積分値及び第1ピーク減速度に
ついても同様に設定されており、それぞれ特定されたパ
ラメータ値PAint、PApeekについてもF(PAin
t)、F(PApeek)に対応するファジー推定値が−1
〜1の範囲内で特定されることになる。
【0056】さらに、パラメータ超過時刻tsに関する
ファジー変換データも同様に用意されている。時刻検出
部29で超過時刻tsが検出されるとソフトクラッシュ
判定部30へ供給され、ファジー変換データ40との比
較により具体的に特定されたパラメータ値PAtimeが定
まる。ソフトクラッシュ判定部30は図8に示すPA軸
(横軸)とこのPAtimeとを比較し、縦軸F(PAtim
e)に対応する値としてファジー推定値を特定する。同
様にファジー推定値は−1〜1の範囲内の所定値とな
る。
【0057】次に、ソフトクラッシュ判定部30が実行
するソフトクラッシ判定について、その前段、後段を順
に説明する。上記3種のパラメータ、平均速度変化量、
第1ピーク減速度積分値及び第1ピーク減速度のそれぞ
れについては、例えば正突についてはファジー推定値
0.7、ソフトクラッシュについてはファジー推定値−
0.7を所定の基準値とすることで、ソフトクラッシュ
判定を行うこができる。この第1のソフトクラッシュ処
理は前段において、ソフトクラッシュであるか,否かを
簡易に判定する。
【0058】このような基準値を設定すると、3つのパ
ラメータの全てがファジー推定値0.7以上の値を有す
る時は正突、逆に全てがファジー推定値−0.7以下の
値を有する時はソフトクラッシュであるとの簡易な判定
を行うことができる。この判定は前述した図1(A)と
図1(B)との減速度波形の相違に基づくものである。
【0059】よって、ソフトクラッシュ判定部30は、
F(PAave)≧0.7、F(PAint)≧0.7かつF
(PApeek)≧0.7であるときに、正突であるとの判
定を行う。その逆にソフトクラッシュ判定部30は、F
(PAave)≦−0.7、F(PAint)≦−0.7かつ
F(PApeek)≦−0.7であるときに、ソフトクラッ
シュであるとの判定を行う。なお、ここで用いるファジ
ー推定値に対する基準値は所定の値ではなく、複数の車
両衝突データ等に基づいて車種別に設定されるものであ
る。
【0060】さらに、上記3種のパラメータ、平均速度
変化量、第1ピーク減速度積分値及び第1ピーク減速度
を用いる前段の処理に関して、前述した第1処理の条件
を満す程、ファジー推定値の絶対値は大きくないが、こ
れに準じるファジー推定値が生じている場合には判定条
件(基準値)を変更することでソフトクラッシュ判定を
可能とする。これは前段の第2処理である。
【0061】例えば、3種のパラメータ、平均速度変化
量、第1ピーク減速度積分値及び第1ピーク減速度の
内、いずれか1つのパラメータがファジー推定値0.7
より小さい(或いはファジー推定値−0.7より大き
い)場合には上記第1処理によりソフトクラッシュの判
定はできない。
【0062】よって、この場合にはこの第2処理を実行
することになる。第2処理では、いずれか1つのパラメ
ータがファジー推定値0.2〜0.7の間にあり、かつ
他の2つのいずれかがファジー推定値0.9以上であれ
ば正突と判定する。一方、1つのパラメータがファジー
推定値−0.2〜−0.7の間にあり、かつ他の2つの
いずれかがファジー推定値−0.9以下であればソフト
クラッシュと判定する。このように前段におけるソフト
クラッシュ判定処理をさらに2段として処理すること
で、一般的な車両衝突で必要なソフトクラッシュ判定処
理が実行されている。そして、この前段での第1及び第
2のソフトクラッシュ処理は所定の基準値との比較によ
り判定を行うので迅速なソフトクラッシュ判定が可能と
なっている。
【0063】ところが、前述したように低速正突と高速
のソフトクラッシュは減速度波形が近似するので、第2
処理の判定条件からも漏れる場合がある。すなわち、上
記3種全てパラメータについてそのファジー推定値がゼ
ロに近い値を有する傾向を示した場合である。本実施例
ではこの場合、第3の処理としてパラメータを超過時刻
tsに変更した後段のソフトクラッシュ判定処理を行
う。本実施例では、この後段のソフトクラッシュ判定処
理を実行すると、低速正突の場合は少なくとも正であり
1に近いファジー推定値が算出され、ソフトクラッシュ
の場合は少なくとも負であり−1に近いファジー推定値
が算出される。よって、最終的に全てのソフトクラッシ
ュ判定が確実に実行できることになる。
【0064】次に、図9及び図10は上記のように構成
されている衝突形態判定装置20の動作、すなわちソフ
トクラッシュ判定で実行されるソフトクラッシュ判定処
理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このル
ーチンは、例えばGセンサ22により減速度が検出され
た時点から実行される。図9はソフトクラッシュ判定の
前段処理について示すフローチャートであり、図10は
ソフトクラッシュ判定の後段処理について示すフローチ
ャートである。
【0065】本ソフトクラッシュ判定処理されると平均
速度変化量等の3種のパラメータを用いる前段のソフト
クラッシュ判定処理が実行される。この処理では、まず
Gセンサ22により検出される減速度が所定の閾値Gt
hを越えたときに、演算部28により減速度を時間によ
り積分する演算が開始される(ステップS100、10
2)。この減速度の時間積分は、閾値Gthを越えたと
きからサンプリングされた信号値を加算処理することに
より行ってもよいし、信号の値にサンプリング周期を乗
じて加算するものとしてもよい。
【0066】ピーク検出部26により第1極大値(ピー
ク)が検出されると(ステップS104)、平均速度変
化量、第1ピーク減速度積分値及び第1ピーク減速度の
パラメータの内、平均速度変化量、第1ピーク減速度積
分値については減速度に基づいて演算された特定のパラ
メータ値が算出され、第1ピーク減速度についてはピー
ク時の減速度が特定のパラメータ値として用いられる
(ステップS106)。
【0067】これらのパラメータ値のそれぞれに対し
て、ファジー変換データ40との比較により、−1から
1の範囲のファジー推定値が特定される(ステップS1
08)。
【0068】次に、3種のファジー推定値の全てが−
0.7以下であればソフトクラッシュとの判定を行い、
全てが−0.7以下でなければ次のステップに進む(ス
テップS110)。次のステップでは、逆に3種のファ
ジー推定値の全てが基準値0.7以上であれば正突との
判定を行い、全てが0.7以上でなければ次のステップ
に進む(ステップS112)。ここまでの処理が前段で
の第1処理に相当する。
【0069】次に、基準値を変更し、3種のファジー推
定値の内いずれか1つが−0.2〜−0.7の値であ
り、他のいずれかが−0.9以下であればソフトクラッ
シュとの判定を行い、この条件を満たさなければ次のス
テップに進む(ステップS114)。次のステップで
は、逆に3種のファジー推定値の内いずれか1つが0.
2〜0.7の値であり、他のいずれかが0.9以上であ
れば正突との判定を行い、この条件を満たさなければ、
図10に示す後段の処理に進む(ステップS116)。
ここまでの処理が前段での第2処理に相当する。
【0070】図10に示す後段の処理では、演算部28
から供給される減速度積分値が設定減速度積分値を超え
たときを時刻検出部29が超過時刻tsとして検出し、
この超過時刻tsをパラメータ値に設定する(ステップ
S200、ステップS202)。次に、このパラメータ
値に対して、ファジー変換データ40との比較により、
−1から1の範囲のファジー推定値が特定される(ステ
ップS204)。
【0071】最後に、ファジー推定値が負であるか、否
か判定を行う(ステップS206)。判定結果が、負で
あればソフトクラッシュ(ステップS208)、正であ
れば正突(ステップS210)との判定を行い、本ルー
チンを終了する。
【0072】以上説明した本実施例によれば、前段処理
では3種のパラメータを用い比較的判別の容易な正突と
ソフトクラッシュを迅速に判定し、後段の処理では低速
正突と高速ソフトクラッシュを精度よく判定する。
【0073】また、車両の減速度に基づいて求められる
複数のパラメータと予め用意したファジー変換データと
を比較するという簡易な手法で、迅速かつ正確にソフト
クラッシュの判定を行うことができる。よって、乗員保
護装置の起動タイミングを適正に制御する前処理装置と
して有効である。
【0074】なお、前述した実施例ではより好ましい例
として、平均速度積分値等の3つのパラメータを用いた
前段のソフトクラッシュ判定処理と超過時刻tsをパラ
メータとして用いる後段のソフトクラッシュ判定処理と
を組合せたソフトクラッシュ判定手段を示したが、勿
論、超過時刻tsをパラメータとして用いるソフトクラ
ッシュ判定処理のみを実行するソフトクラッシュ判定手
段を用いた衝突形態判定装置であってよい。
【0075】以上本発明の好ましい実施例について詳述
したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるもの
ではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の
範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0076】なお、特許請求範囲の減速度検出手段はG
センサ22に、演算手段は演算部28に、時刻検出手段
は時刻検出部29に、ソフトクラッシュ判定手段はソフ
トクラッシュ判定部30に、それぞれ対応している。
【0077】
【発明の効果】以上詳述したところから明らかなよう
に、請求項1記載の発明によれば、ソフトクラッシュ判
定手段は超過時刻をパラメータとして超過時刻に関する
ファジー変換データと比較して、車両がソフトクラッシ
ュ状態にあるか否かを判定する。このファジー変換デー
タは複数の車両衝突情報から得た前記超過時刻に関する
データにファジー変換処理を施して得たものであるか
ら、実際に車両が衝突状態にあるときに検出された超過
時刻と比較することで、低速正突とソフトクラッシュと
を簡易かつ迅速に判定することができる。
【0078】また、請求項2記載の発明によれば、平均
速度変化量等3つのパラメータが追加され、ソフトクラ
ッシュ判定手段による判定が行われる。平均速度変化量
等は車両の衝突状態をよく反映するので、上記低速正突
と高速ソフトクラッシュとのように判定が困難である場
合以外のソフトクラッシュ判定については迅速な処理が
実行できるようになる。
【0079】また、請求項3記載の発明によれば、追加
のパラメータの各々についても、超過時刻をパラメータ
とした場合と同様にファジー変換データが用意されてい
るので、簡易にソフトクラッシュ判定が行えるようにな
る。
【0080】また、請求項4記載の発明によれば、比較
的判別が容易な高速正突とソフトクラッシュの判定の場
合は前段の処理で、判定が困難である低速正突と高速ソ
フトクラッシュの判定は後段の処理で実行するように分
け、複数段によりソフトクラッシュ判定処理が実行され
る。よって、早期のソフトクラッシュ判定処理が可能と
なると共に、必要な場合には精度が高いソフトクラッシ
ュ判定が実行されるので効果的に車両の衝突状態を判別
できる。
【0081】また、請求項5記載の発明によれば、パラ
メータ値をファジー変換データと比較することで、パラ
メータ毎に所定範囲内にあるファジー推定値が特定され
るのでソフトクラッシュ判定を簡素化することができ
る。
【0082】また、請求項6に記載の発明によれば、フ
ァジー推定値と所定の基準値とを比較するという簡易な
処理により判定を行うことができるので、車両がソフト
クラッシュ状態であるか否かを迅速に判定できることに
なる。
【0083】なお、請求項7に記載の発明によれば、よ
り適正に車両がソフトクラッシュ状態であるか否かを判
定できることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両の減速波形を説明するために示した図であ
る。
【図2】一実施例の衝突形態判定装置の概略構成を機能
ブロックで示す図である。
【図3】図2に示す衝突形態判定装置のハード構成の概
略を示す構成図である。
【図4】図2に示す衝突形態判定装置が車両に搭載され
ている様子を例示した図である。
【図5】Gabor関数の時間軸上の表現を例示する説
明図である。
【図6】ウェーブレット変換X(a,b)の実数部Rと
虚数部Iと大きさPと位相θとの関係を示す説明図であ
る。
【図7】Gセンサで検出された減速度の波形と、この波
形にウェーブレット変換を行い求めた位相波形を示す図
である。
【図8】車両衝突情報から得た衝突データにファジー変
換処理を施して得たデータについて示す図である。
【図9】実施例の衝突形態判定装置により実行されるソ
フトクラッシュ判定処理ルーチンの前段処理の一例を示
すフローチャートである。
【図10】実施例の衝突形態判定装置により実行される
ソフトクラッシュ判定処理ルーチンの後段処理の一例を
示すフローチャートである。
【図11】車両の正突、ポール衝突、アンダーライド衝
突の様子を示す図である。
【符号の説明】
10 車両 20 衝突形態判定装置 22 Gセンサ(減速度検出手段) 24 信号入力部 26 ピーク検出部 28 演算部(演算手段) 29 時刻検出部(時刻検出手段) 30 ソフトクラッシュ判定部(ソフトクラッシ
ュ判定手段) 40 ファジー変換データ
フロントページの続き (72)発明者 伊豫田 紀文 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 大嶋 満寿治 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 3D054 EE14 EE15 EE19 EE30 EE60 FF16 FF18

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の衝突形態を判定する衝突形態判定
    装置であって、 前記車両の減速度を検出する減速度検出手段と、 前記減速度検出手段により検出される減速度が所定の閾
    値を越えたときから時間により積分演算を開始する演算
    手段と、 前記演算手段により算出された減速度積分値が予め設定
    した設定減速度積分値を越えたときに、ソフトクラッシ
    ュ判定用のパラメータとして超過時刻を検出する時刻検
    出手段と、 複数の車両衝突情報から得た前記超過時刻に関するデー
    タにファジー変換処理を施したファジー変換データを用
    い、前記時刻検出手段により検出された超過時刻と前記
    ファジー変換データとを比較して該車両がソフトクラッ
    シュ状態にあるか、否かの判定を行うソフトクラッシュ
    判定手段とを、備えた衝突形態判定装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の衝突形態判定装置におい
    て、 前記減速度検出手段により検出される減速度の第1ピー
    クを検出するピーク検出手段をさらに備えると共に、前
    記演算手段は前記減速度検出手段により検出される減速
    度が前記閾値を越えたときから前記ピーク検出手段によ
    り第1ピークが検出されるまでの時間tpを積分区間と
    して該減速度を積分する積分演算及び該積分演算により
    得た第1ピーク減速度積分値を前記時間tpで除算する
    演算が可能に設定され、 前記演算手段により算出される平均速度変化量、前記第
    1ピーク減速度積分値及び前記第1ピーク時における減
    速度が、ソフトクラッシュ判定用のパラメータとしてさ
    らに追加されている、ことを特徴とする衝突形態判定装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の衝突形態判定装置におい
    て、 前記追加のパラメータの各々についても前記複数の車両
    衝突情報から得たデータにファジー変換処理を施したフ
    ァジー変換データが用意されている、ことを特徴とする
    衝突形態判定装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の衝突形態判定装置におい
    て、 前記追加のパラメータに基づくソフトクラッシュ判定処
    理を前段の処理とし、その後必要によりさらに前記超過
    時刻に基づくソフトクラッシュ判定処理を後段の処理と
    して実行する、ことを特徴とする衝突形態判定装置。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4記載の衝突形態判定装置
    において、 前記ファジー変換データは、各々のパラメータについて
    特定されるパラメータ値に対して所定範囲内にあるファ
    ジー推定値を有するように変換されたデータとされてい
    る、ことを特徴とする衝突形態判定装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の衝突形態判定装置におい
    て、 前記ソフトクラッシュ判定手段は、各々のパラメータに
    ついて得たファジー推定値と所定の基準値との比較によ
    りソフトクラッシュ判定を行う、ことを特徴とする衝突
    形態判定装置。
  7. 【請求項7】 請求項2から6いずれかに記載の衝突形
    態判定装置において、 前記ピーク検出手段はウェーブレット変換法を用いて前
    記第1ピークを検出することを特徴とする衝突形態判定
    装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100737536B1 (ko) 2005-11-25 2007-07-10 현대자동차주식회사 퍼지 알고리즘을 이용한 에어백 시스템의 제어방법
US7506437B2 (en) 2004-09-18 2009-03-24 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Printed circuit board having chip package mounted thereon and method of fabricating same
JP2010195154A (ja) * 2009-02-24 2010-09-09 Aisin Seiki Co Ltd 叩き操作判定装置
US10196023B2 (en) 2017-02-13 2019-02-05 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Vehicle collision detection system

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