JP2002058506A - 靴用滑り止め具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】湿地や山林その他の傾斜地など滑り易い場所で
の刈り払い作業などに際して、ゴム製の長靴などに容易
に装着することができる滑り止め具を提供する。 【解決手段】滑り止めの爪を装着したつま底部１と、つ
ま底部の上面を覆うつまカバー部２と、つま底部１の後
端から後方に延長して靴の腰部分に係止することができ
る腰ベルト部３を天然ゴムや合成ゴム、合成樹脂材など
伸縮性を有する柔軟な素材で一体に成型する。つま底部
１後端の左右両側に右甲ベルト12及び左甲ベルト13を設
けておき、靴に装着した状態で甲ベルトで滑り止め具と
靴をよりしっかりと固定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、湿地や荒れ地、雪
道、凍結地など滑り易い場所での作業に際し、ゴム長靴
その他の靴に手軽に装着して滑りを防止し、安全に作業
を進めることができるようにするための靴用滑り止め具
に関する発明である。

【０００２】

【従来の技術】靴の滑り止め具として、古くからアイゼ
ンが知られている。従来のアイゼンは主として凍結地や
山岳地帯で滑りを防止するために利用されるものであっ
て、基本的に爪が形成された頑丈な金属製の部材を紐な
どで登山靴、キャラバンシューズなどに固定するもので
ある。また、実開昭６０−１８５９０７号に開示される
ように、硬質粒子の滑り止め面を持つ滑り止め具を普通
の革靴などの靴底に着脱するものも知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来のアイゼンは、爪
が形成されている硬く頑丈な金属製の部材を靴底に装着
するため、ある程度頑丈な靴底を備えた登山靴やキャラ
バンシューズなどに利用されるが、ゴム製の長靴や作業
たびのように底が比較的柔らかい作業用の靴に装着して
は使用されていない。ところが、湿地や山林その他の傾
斜地での刈り払い作業などでは、湿った土や土の表面に
ある草などによって非常に滑り易く危険な場合があり、
足元をしっかりと安定させることが作業能率を向上させ
る上で望ましい。

【０００４】ゴム製の長靴や作業たびのように底が比較
的柔らかい靴に、従来の金属製のアイゼンをしっかりと
装着することは困難であるとともに、仮に装着したとし
ても硬いアイゼンが足に負担をかけ、快適に作業を進め
ることができない。また、アイゼンを装着するための布
製や革製の紐といった装着具に泥水が付着して、安定し
た装着状態を維持することが困難であったり、アイゼン
全体に土が付着して滑り止めの機能を十分に発揮できな
いことがある。上記、従来技術の欠点に鑑み、本発明は
ゴム製の長靴や作業たびのように底が比較的柔らかい靴
にも簡単に着脱することができるとともに、より確実な
滑り止め効果を発揮し、傾斜地での刈り払い作業を安全
に進めることができる靴用滑り留め具、あるいは雪道で
安全に歩行をすることができる滑り留め具を提供するこ
とを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の滑り止め具は爪８を一体的に装着したつま
底部１と、つま底部１の上面を覆うつまカバー部２と、
つま底部１の後端部から後方に延長して靴の腰部分に係
止することができる腰ベルト部３とを伸縮性を有する柔
軟な素材で一体に形成する。

【０００６】つまカバー部２は、つま底部１の左右両側
から連続する右側面ベルト４と左側面ベルト５及びつま
底１の先端部から連続する広幅のつま先ベルト６を上面
において連続させ、つま先ベルト６に靴のつま先が係合
する切欠部７を形成しておくとよい。また、腰ベルト部
3 は、つま底部１の後端部左右両側からつま底部１と同
一平面で後方に延長する平面的な帯状のベルト右辺部９
とベルト左辺部10を上面に折り返し、ベルト右辺部９と
ベルト左辺部10に連続する平面的なベルト腰部11とで形
成すると、ベルト右辺部９及びベルト左辺部10が靴の側
面に密着し、かつベルト腰部11が靴の腰部分に密着する
状態で装着することができる。さらに、つま底部１後端
の左右両側方につま底部１と連続させて右甲ベルト12及
び左甲ベルト13を突出させておくと、右甲ベルト12と左
甲ベルト13とで滑り止め具をより確実に靴に装着するこ
とができる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る靴用滑り止め
具の、実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。図
１は滑り止め具全体の斜視図、図２は平面図、図３は図
２のII−II線断面図である。図４は底面図、図５は全体
の中央縦断面図である。

【０００８】本発明に係る滑り止め具は、全体を天然ゴ
ム、合成ゴムなどのゴム材や軟質の合成樹脂材などのあ
る程度伸縮性を有する比較的柔軟な素材で一体に形成す
る。一体に形成する滑り止め具は、靴の前半部すなわち
つま部底面に位置する平面的なつま底部１と、靴のつま
部上面を覆うつまカバー部２と、靴の腰部に掛け渡す腰
ベルト部３とで構成する。平面的なつま底部１は、滑り
止め具の主体をなすものであって、図３に示すように滑
り止めの爪８を一体的に装着している。爪８をつま底部
１に一体的に装着するには、円板状など平面的な形状の
座8aを備えた爪８を用い、座8a部分をつまカバー部２に
インサート成型し爪を下方に向けて突出させておくよう
にするとよい。図示実施形態では、座8aのインサート部
分14を肉厚とし、一本の爪がしっかりと保持されるよう
にしている。

【０００９】図示例では、座8aのインサート部分14だけ
を肉厚とする結果、表面に円形の突部が表れているが、
つま底部１全体をある程度の肉厚で一定の厚みに形成し
てもよい。この場合、靴に装着したときの違和感がなく
なるとともに、全体を肉厚に形成することによって、し
っかりとした安定感のあるものとなる。また、図示例で
は独立した５本の爪８，８をつま底部１にインサート成
型しているが、爪８の形態はこれに限定されるものでは
ない。図示していないが、例えばアイゼンのように一枚
の鋼板から切り起こしによって複数の爪８を形成した爪
体を用い、この爪体の平板部分をゴムなどの柔軟な材質
にインサート成型することによって、下方に突出する爪
８を備えたつま底部１を形成するようにしてもよい。こ
の場合、つま底部１自体が頑丈なものになるとともに、
ゴムなどの柔軟な材質によって、当たりの柔らかい状態
を実現することができる。

【００１０】つま底部１には、左右及び前方の外周から
連続させてつま底部１の上面を覆うつまカバー部２を形
成する。つまカバー部２は、靴やスリッパのつま部のよ
うに全体をすっぽりと覆うものであってもよいが、図示
例ではつま底部１の左右両側から連続する右側面ベルト
４と左側面ベルト５及びつま底１の先端部から連続する
つま先ベルト６を上面において連続させて形成してい
る。

【００１１】靴やスリッパのつま部のように、すっぽり
と覆う形のつまカバー部２の中に、ゴム長靴などの靴の
つま先部分を挿入しようとすると、滑り止め具の材質と
靴の材質の組合せによっては抵抗が大きく、軋んで装着
しにくい現象が生じる。またこのようなものでは、装着
した後のズレなどを矯正することが困難となる。これに
対し、図示実施形態のようにつまカバー部をベルト状に
形成したものでは容易に靴に装着することができる。ま
た、装着したベルト状のつまカバー部は、靴のつま先部
分を締め付けるように作用して比較的広い面で適度な摩
擦抵抗を生じ、作業中や歩行中にズレたりしないように
しっかりと装着される。なお、つま先ベルト６を広幅に
形成し、靴のつま先が係合する切欠部７を形成しておく
と、切欠部７に靴の先端を入れ込むことにより、つま底
部１に対する靴の位置ズレを防止することができる。

【００１２】つま底部１の後端部には、後方に延長して
靴の腰部分に係止することができる腰ベルト部３を設け
る。この腰ベルト部3 は、平面的なつま底部１の後端部
左右両側からつま底部１と同一平面で後方に延長する平
面的な帯状のベルト右辺部９とベルト左辺部10を上面に
折り返し、ベルト右辺部９とベルト左辺部10に連続する
平面的なベルト腰部11とで形成している。もっとも腰ベ
ルト部3 の具体的な形態は、例えば円形断面の紐状とす
ることもできる。

【００１３】本発明に係る靴用滑り止め具は、図７に示
すようにゴム製の長靴Ａなどの靴を履いた状態でそのつ
ま先部分をつま底部１とつまカバー２の間に挿入し、腰
ベルト部３をゴム製の長靴Ａの腰部分に巻回させて使用
する。腰ベルト部３の長さは、少なくとも靴用滑り止め
具を装着したときに弛むことのない長さ、好ましくは適
度な引っ張り力が発生する程度に伸びる状態で使用する
ことができる長さとしておく。これによって、靴を履い
た足に滑り止め具を履くような簡単な操作で装着するこ
とができる。

【００１４】腰ベルト部３は、円形断面などの紐状であ
ってもよいことは先にのべたとおりである。しかしなが
ら、図示例のように腰ベルト部3 を所定幅で平面的な帯
状のベルトとし、折り返してベルト腰部11で連続させる
ことによって、より大きな引っ張り力に耐え、しかも、
ベルトが靴の表面に広い面で接することから捩じれるこ
とがなく、また適度な摩擦抵抗によってズレることもな
く、長靴Ａ表面の側面から腰部にかけて連続的に密接す
るためしっかりと安定した状態に装着することが可能と
なる。

【００１５】装着した靴用滑り止め具が靴から脱落しな
いように、よりしっかりと安定させるには、つま底部１
に甲ベルトを形成しておく。図示例の甲ベルトは、つま
底部１後端の左右両側方につま底部１と連続させて右甲
ベルト12及び左甲ベルト13を突出させている。そして、
右甲ベルト12及び左甲ベルト13の先端部分にそれぞれ面
ファスナー15，16を設けてある。これにより、靴を履く
ような要領で靴用滑り止め具を装着した後、右甲ベルト
12及び左甲ベルト13で甲部分を締め付け、面ファスナー
15，16で係止する。右甲ベルト12と左甲ベルト13の係止
は、面ファスナー以外にもバックルなど任意の係止手段
で止めることができる。また、右甲ベルト12と左甲ベル
ト13をアーチ状に連続する一本の甲ベルトとし、装着し
た時に靴の甲部分を常に適度な力で締め付けることがで
きるように、長さやベルト幅や厚みを設定したものであ
ってもよい。

【００１６】図示実施形態の靴用滑り止め具のつま底部
１は、左右対称形に形成しているため、同じもの二つを
一組として使用する。しかしながら、つま底の平面形状
を靴の形にフィットする足型に形成するものであっても
よい。この場合、左右対称形の二つを一組として使用す
る。また、図示実施形態の靴用滑り止め具は全体を比較
的薄いゴム材で全体を一体成型するものを示している
が、必ずしも各部の全てが一体成型されるものである必
要はなく、溶着や接着、縫着といった接合手段で一体に
形成するものであってもよい。その場合、各部の特性に
適した材質を選択し、かつ十分な接合強度が得られるよ
うに考慮するのが望ましい。しかしながら、合成ゴム材
などで全体を一体成型するものでは、接合強度などを考
慮する必要がなく、比較的高品位のものを安価に提供す
ることが可能となる。

【００１７】図示実施形態の爪８は、その先端が尖って
いない。軟弱な地盤上で作業をする時に滑るのを防止す
る目的で利用するものでは、爪８は尖っていなくても十
分にその機能を発揮することができる。しかしながら、
凍結路上での滑りを防止するといった目的で使用する場
合ものでは、爪８を尖らせておくと、より大きな滑り止
め効果を発揮することができる。

【００１８】その他、図示実施形態では図４に示すよう
につま底部１表面には、滑り止めの小突起17，17を多数
形成し、状況によっては補助的に滑り止めの効果を向上
させるようにしている。また、腰ベルト３のベルト腰部
11に摘み片18を突出させ、この摘み片18を手指で掴むこ
とによって本発明に係る靴用滑り止め具の着脱を容易に
行うことができるようにしている。

【００１９】

【発明の効果】請求項１記載の本発明の靴用滑り止め具
によれば、ゴム製の長靴など比較的柔らかい材質の靴に
簡単に装着して、湿地や荒れ地、雪道、凍結地など滑り
易い場所での作業に際し滑りを防止し安全に作業を進め
ることができる。また、滑り止め具の全体を非常に簡単
な構造一体に形成することによって安価に提供すること
ができる。

【００２０】請求項２記載の発明によれば、靴の材質と
滑り止め具との材質の摩擦抵抗が大きく、軋んで装着し
にくいといった事態を回避することができるとともに、
つま先ベルトの切欠部に靴のつま先を入れ込んで係合さ
せることによって、滑り止め具と靴を最も安定した位置
にしっかりと装着することができる。

【００２１】請求項３記載の発明によれば、装着した靴
用滑り止め具を平面的な腰ベルトによってしっかりと保
持させることができる。このとき、平面的な腰ベルトは
捩じれを生じることなく靴の側面と腰部分とに連続的に
面接触をする安定した状態であるため、滑り止め具とし
てをしっかりと靴に装着し安心して歩行や作業を行うこ
とができる。

【００２２】請求項４記載の発明によれば、甲ベルトを
靴の甲部分に固定することにより、より確実に靴用滑り
止め具を靴に装着することができ、不用意に滑り止め具
が外れるような事態を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明に係る滑り止め具全体の斜視
図、

【図２】図２は、本発明に係る滑り止め具全体の平面
図、

【図３】図３は、図２のII−II線断面図、

【図４】図４は、本発明に係る滑り止め具全体の底面
図、

【図５】図５は、本発明に係る滑り止め具全体の中央縦
断面図、

【図６】図４は、本発明に係る滑り止め具全体の側面
図、

【図７】図５は、本発明に係る滑り止め具の使用状態を
示す側面図である。

【符号の説明】

１…つま底部、 ２…つまカバー部、 ３…腰ベルト
部、 ４…右側面ベルト、５…左側面ベルト、 ６…つ
ま先ベルト、 ７…切欠部、 ８…爪、 ９…ベルト右
辺部、 10…ベルト左辺部、 11…ベルト腰部、 12…
右甲ベルト、 13…左甲ベルト、 14…インサート部
分、 15，16…面ファスナー、 17…小突起、18…摘み
片。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】滑り止めの爪８を一体的に装着したつま底
   部１と、該つま底部１の上面を覆うつまカバー部２と、
   つま底部１の後端部から後方に延長して靴の腰部分に係
   止することができる腰ベルト部３とを伸縮性を有する柔
   軟な素材で一体に形成したことを特徴とする靴用滑り止
   め具。
2. 【請求項２】つまカバー部２は、つま底部１の左右両側
   から連続する右側面ベルト４と左側面ベルト５及びつま
   底１の先端部から連続する広幅のつま先ベルト６を上面
   において連続させるとともに、つま先ベルト６に靴のつ
   ま先が係合する切欠部７を形成してなる請求項１記載の
   靴用滑り止め具。
3. 【請求項３】腰ベルト部3 は、つま底部１の後端部左右
   両側からつま底部１と同一平面で後方に延長する平面的
   なベルト右辺部９とベルト左辺部10を上面に折り返し、
   該ベルト右辺部９とベルト左辺部10に連続する平面的な
   ベルト腰部11とで形成する請求項１又は２記載の靴用滑
   り止め具。
4. 【請求項４】つま底部１後端の左右両側方につま底部１
   と連続させて右甲ベルト12及び左甲ベルト13を突出さ
   せ、該右甲ベルト12及び左甲ベルト13に締め付け固定す
   る係止手段を設けてなる請求項１ないし３のいずれかに
   記載の靴用滑り止め具。