JP2002052307A - フィルター - Google Patents

フィルター

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JP2002052307A
JP2002052307A JP2000242844A JP2000242844A JP2002052307A JP 2002052307 A JP2002052307 A JP 2002052307A JP 2000242844 A JP2000242844 A JP 2000242844A JP 2000242844 A JP2000242844 A JP 2000242844A JP 2002052307 A JP2002052307 A JP 2002052307A
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fiber
filter
heat
halogen
fibers
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JP2000242844A
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Shinichiro Okada
慎一郎 岡田
Kenji Okuda
健二 奥田
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に家庭レンジ用の、耐炎性、耐熱性、油滴
等の除去性等フィルター本来の性能のみならず、油滴等
の付着具合が容易にわかったり、目立ち難くするため清
潔性や清潔感の維持に優れ、更に見栄えや価格や廃棄処
理更には環境保護の面からも優れたシート状のフィルタ
ーを提供する。 【解決手段】 羊毛を主成分とし、これに炭素繊維と非
ハロゲン系の熱融着性化学繊維や難燃性接着剤等を所定
量配合したシート状繊維フィルターとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフィルターに関し、
特に家庭用レンジに使用する使い捨て型のそして羊毛を
使用したフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、家庭や料理店では調理用ガス
コン炉台の上部等に、熱排気中のダストや油分を除去す
るためにフィルター装置が使用されている。
【0003】そしてこのフィルター装置用のフィルター
本体としては、耐熱性や耐炎性が必要なこと、この一方
でガラス繊維や金属繊維では製造、価格、廃棄等に問題
が多いこと等から難燃処理等を施した化学繊維が多く使
用されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、如何に
難燃処理等を施しているとはいえ、化学繊維であるため
万が一にも一旦吸着している油分等に火花がついたりす
れば、炎がひろがったりはしないものの熱で収縮し、こ
のため取付け枠からはずれて落下したりしかねず、ひい
ては調理者の安全上必ずしも完全なものとは言い難い。
【0005】また、中華料理やフランス料理の場合特に
そうであるが、調理の途中で鍋やフライパンのアルコー
ルを燃やしたり、多量の高温の油滴を飛ばしたりする
が、このような場合はもとより、何等かの理由で急に炎
が舞い上がったりしたときでも、燃えたり、動圧で破れ
たりしないという面からもより安全なものとする必要が
ある。
【0006】また、使用済フィルターを廃棄物処理場で
焼却する場合には、材料そのものが塩素を含有していた
り、難燃材(剤)としてハロゲン(特に、塩素)を含有
しておればダイオキシン等の有害物質が発生したりしか
ねず、環境汚染の面から決して好ましいものではない。
と言って、通常の化学材料であれば、難燃材(剤)にハ
ロゲンを含有していなければ、難燃性に問題が生じかね
な。
【0007】また、製造の面からは、極力廃棄物の処理
が楽なことが望ましい。
【0008】また、家庭の調理用ガスコン炉の上部等で
使用する場合には、どの程度ダストや油分が付着したか
を素人の家庭の主婦でも容易に認識しえるものであるの
が好ましい。
【0009】また、同じく家庭で使用する場合には、極
力明るい色彩であるのが美観の面から好ましい。
【0010】また、業務用に使用する場合には、フィル
ターが黒色であるのは顧客に不潔な感じを与えかねない
ので好ましくない。
【0011】また、如何に明るい色彩であるといって
も、下方には調理中の食品が存在するため、塗料等で着
色しているのはあまり好ましくない。更に、塗料等で着
色すれば、下手をすると塗布時にフィルターそのものの
塗料による目詰まり等が生じかねない。
【0012】また、この一方でダストや油分の付着が余
り目立ち過ぎるのも問題である。
【0013】更に、使用している期間中、材料としての
腐蝕や劣化が少ない、あるいはある程度の耐久性が必要
である。
【0014】このため、単に耐炎性、耐熱性があるだけ
でなく、万が一付着している油分への飛火等が発生した
場合でも熱収縮したりせず、そして勿論発熱源のそば
(下方)にいる人にとり危険の生じ難いかつ廃棄処理や
製造の面からも問題のないフィルターの実現が望まれて
いた。
【0015】また、同じく清潔性の保持や維持、そして
美観の面からも問題のないフィルターの実現が望まれて
いた。
【0016】更には、フィルター背面の排気路(口)が
暗いダクトの場合には、極力暗さを隠したいと言う様な
要望まである。
【0017】そして当然、ダストや油滴の除去や空気抵
抗等、フィルター本来の機能発揮のために必要な性能も
優れかつ安価、製造容易なものの実現が望まれていた。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、羊毛が、難燃
性や耐熱性や耐炎性等のフィルタにとり重要な性質に優
れているのみならず、美観や価格はもとより、シートの
製造の面からも優れたものであることに着眼してなされ
たものである。特に、毛糸、羊毛製繊維製品を製造した
際に廃棄物として出るそして安価な反毛でもフィルタに
とっては充分な性質を有していることに着眼してなされ
たものである。
【0019】具体的には、以下の構成としている。
【0020】請求項1記載の発明においては、毛(繊
維)若しくはこれを主成分〔必ずしもいわゆる「主また
は重量で大半」と言う意味でなく、シート状のレンジフ
ードフィルターとして使用する際にその難燃性、耐熱
性、耐炎性や繊維の絡みつきやシートの嵩高さの保持等
のフィルターシートとしての性能発揮に重要な役割を果
たすと言う意味である。このため、本明細書に記載して
いる他の耐熱性非ハロゲン系繊維としてのアラミド繊
維、メラミン繊維若しくは炭素繊維の少くも一を耐熱性
非ハロゲン系繊維の25重量%含んでいる場合には該耐
熱性非ハロゲン系繊維の25重量%以上を指し(従っ
て、毛と他の炭素繊維等の合計で耐熱性非ハロゲン系繊
維の50重量%以上含まれる)、その他の場合では50
重量%以上、好ましくは70重量%以上を指す。〕とす
る耐熱性非ハロゲン系繊維55〜85重量%、好ましく
は60〜80重量%と、毛若しくはこれを主成分とする
耐熱性非ハロゲン系繊維に加熱により融着することによ
り該繊維と混合したシートを形成する熱融着性非ハロゲ
ン系化学繊維15〜45重量%、好ましくは20〜40
重量%とを含んでなり(従って、毛繊維若しくはこれを
主成分とする耐熱性非ハロゲン系繊維と熱融着性非ハロ
ゲン系化学繊維とが上記重量%を充たす限り、他の何ら
かの目的でセルロース繊維等他の繊維が数重量%等多少
混入されている場合をも含む)、更にシート状に形成さ
れた繊維状のフィルターとしている。
【0021】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0022】毛(ここに、「毛」とは、製品としてのフ
ィルターの直接の材料として毛布状の緻密な物やフェル
トの如く押し固めた物を除くと言う意味である。このた
め、フィルター製造直前の材料としては、細い糸や繊維
状の毛そのままのみならず、布や毛糸等の製造時の廃品
や余剰物としての幾本かの毛がまとまった毛糸状の物等
や予備開織によりかかる状態となしうる物、例えば脱脂
綿状の物を含む。また、本請求項に関しては「毛」と
は、羊のみならず、ラクダ、馬、ラマ、山羊等の毛をも
含む。)若しくはこれを主成分とする耐熱性非ハロゲン
系繊維(ここに、非ハロゲン系繊維とは、ハロゲンを含
まず、更にガラス繊維や金属繊維等と異なり繊維やその
分子の骨格の形成に炭素が大きく寄与している繊維と言
う意味であり、石油系の樹脂のみならずピッチを原料と
して製造される炭素繊維や耐熱性を有する状態のセルロ
ース繊維等をも含む。)と熱融着性非ハロゲン系化学繊
維とが混合され、シート状に成形され、これにより(い
わゆる)毛を含んでなるシート状のフィルターを形成す
る。
【0023】さてこの際、毛繊維は、熱的安定性が高く
本質的に難燃性、耐熱性、耐炎性が良好(延焼したりす
ることがない)なため、シート状の繊維フィルターの性
能向上に大きく寄与する。
【0024】また、万が一、付着した油分、それどころ
か必ずしも耐熱性等が完全とは言えない熱融着性非ハロ
ゲン系化学繊維に飛火、着火したりしても、シート状の
フィルターは全体として着火、消失したりしない。更に
また、万が一熱融着性非ハロゲン系化学繊維の着火が有
ったとしても、毛が主成分の耐熱性非ハロゲン系繊維は
相互に絡み合っている上に毛それ自体がその外表面の鱗
状層のため絡みやすい性質を有しているので、シートが
バラバラになったりしない。
【0025】また、毛は本来が明るい色彩であるため、
他の耐熱性非ハロゲン系繊維として例え黒色の炭素繊維
等をある程度含有していても、フィルターの色彩を明る
い色調のものとする。
【0026】また同じく、多くの場合巻縮しているた
め、フィルターは自然に適切な嵩高さを有することな
る。
【0027】また、ポリエステル等の熱融着性非ハロゲ
ン系化学繊維は、毛(繊維)やこれに混合された耐熱性
の非ハロゲン系の繊維相互及び自身とを熱融着によりし
っかりと結合する。
【0028】また、フィルターの繊維は非ハロゲン系
(特に、塩素、臭素を含まない)であるため、最終的に
焼却炉で焼却する場合にダイオキシン等の有害物の発生
がない、あるいは少ない。このため、勿論オゾン層等の
生活環境の破壊にもつながらない。
【0029】また、シアン等の人体に有害なガスを発生
しないのは勿論である。
【0030】また、各繊維は当然化学的に安定であり、
清潔そして耐久性も優れたものとなる。
【0031】また、シート状繊維を乾式法で製造した場
合には、繊維長を10〜80mmの範囲になしえ、この
ため繊維長さが短か過ぎることによる繊維落ちがない。
更にこの際、毛は本来的に丁度良い長さであり、それ自
体はもとより他の繊維の抜け落ちもない。
【0032】また、同じく湿式法で製造した場合には、
特にその長さ(繊維長)が10〜40mmの範囲の場合
水中での繊維の分散、混合が容易となり、これまた繊維
が短か過ぎることによる繊維落ちがない。更に、紙を抄
くようにフェルトコンベアで抄くので、シートの均一性
も優れたものとなる。
【0033】なお、勿論何れの製法であっても、衣料と
して使用される毛繊維は、一般に羊等の動物の表面にあ
って防熱、防雨を目的とするため嵩と表面積が充分に大
きく保油性も優れている。このため、排気中の油分等の
ダストを物理的に、そして多量に吸着するため優れたフ
ィルター性能が発揮されるのは勿論である。
【0034】請求項2記載の発明においては、耐熱性非
ハロゲン系繊維は、アラミド繊維、メラミン繊維、炭素
繊維あるいはそれらの少くも2種を最大でフィルターの
40重量%含むものであることを特徴としている。
【0035】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0036】アラミド繊維は、防弾服や防弾板に使用さ
れるほど機械的強度が大きいため、シート状のフィルタ
ーの機械的強度が向上し、取扱いが容易となる。なお、
参考までに記載するならば、アラミド繊維のLOI(限
界酸素指数)は25〜37であり(空気中の酸素は21
%であるため、この値が21より大ならば難燃性とな
る。なお、実際の使用では、雰囲気は燃焼した排気であ
る。このため酸素は21%未満であり、より難燃性とな
る。)、分解温度や融点は400℃以上である。
【0037】更に、本来が明るい黄色(パラ系)やクリ
ーム色(メタ系)であるため、フィルターの清潔感の向
上と色彩の自由度の増大にも寄与する。
【0038】メラミン繊維は、有機繊維の中でも熱的安
定性が高く、熱硬化性であり、このため本質的に耐熱
性、耐炎性が良好であり、シート状のフィルターの性能
向上に大きく寄与する。また、白色であり、清潔感に優
れる。
【0039】なお、参考までに、フィルター材料として
のメラミン樹脂繊維の主な性質を以下に記載する。
【0040】BASF社製のBasofil(商標)の
場合であるが、繊維長は約50mmであり、繊維直径は
8〜20μmであり、やや巻縮した白色のステープルフ
ァイバーである。そして勿論、炎にあてても炭化や延焼
したりせず、たとえ更なる高熱で燃焼、熱分解してもシ
アン等の有毒ガスを発生せず、更にまた200℃、1h
rで2%以下の熱収縮という良好な耐熱性、耐炎性等を
有する。
【0041】炭素繊維は、単に難燃性に優れる(LOI
は、おおよそ49〜61)だけでなく、一定条件下80
0℃までの耐熱性を有し、更に耐炎性、そして特に機械
的強度に優れ、かつ熱で収縮しない。このため、シート
状のフィルターの機械的強度と耐熱性のみならず非熱収
縮性が一層向上する。
【0042】また、これらの繊維を(更には、耐熱、防
炎処理を施したセルロース繊維等をも)毛繊維に混合す
ることにより、繊維フィルターの材料や目付け量の自由
度も増す。なお、毛繊維の難燃性と耐熱性については、
後に説明する。
【0043】その結果、各種のシート状フィルターを用
途(個建て、マンション、業務)や取付け場所(位置や
寸法)等に応じて色彩で区別したり、材料や目付け量を
変化させたりすることも可能となる。
【0044】請求項3記載の発明においては、耐熱性非
ハロゲン系繊維は、耐熱性、耐炎性、そして特に機械的
強度に優れ、かつ熱で収縮しない炭素繊維を最大でフィ
ルターの40重量%含む(含む、その他に例えばアラミ
ド繊維を含んだりしている場合)ものであることを特徴
としている。
【0045】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0046】炭素繊維を最大でその40重量%含むた
め、シート状の繊維フィルターの耐熱性、耐炎性、機械
的強度は一層向上する。
【0047】しかもこの際、炭素繊維は最大40重量%
しか含まないため、フィルターはその色彩にある程度の
明るさを有しており、このため清潔感が損なわれないだ
けでなく、条件によっては、シートに付着したダスト
(多くの場合、黒色)が目立たなくなり、一層清潔感が
増大する。
【0048】これらのため、シート状の繊維フィルター
の利用分野は一層拡がる。
【0049】請求項4記載の発明においては、熱融着性
非ハロゲン系化学繊維は、熱融着性ポリエステル繊維
(含む、最大15%までの他の材料の混入。すなわち、
いわゆるポリエステル系繊維)としている。
【0050】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0051】熱融着性非ハロゲン系化学繊維は熱融着性
ポリエステル繊維、特にPET、であるため、安価、製
造容易、環境への悪影響が少なくかつ油分等の除去、化
学的安定性、耐火性等のフィルター性能も優れたものと
なる。
【0052】なお、熱融着ポリエステル繊維は、平行型
等種々のタイプの物を使用可能であるが、芯鞘タイプを
採用するのが好ましいであろう。
【0053】熱融着ポリエステル繊維を使用して各繊維
を加熱融着させると、例えば芯鞘タイプの場合を例にと
ると、その芯部の融点は200〜255℃程度、芯部の
外周の鞘部の融点は100〜110℃程度(なお、これ
らはメーカや製品により異なる。あるいは、各種のもの
がある。)と融点の異なる2種の材料を使用しているた
め、熱融着性ポリエステル繊維が開繊混合時の形状や絡
みつきを保持しつつ、毛繊維を主成分とする耐熱性非ハ
ロゲン繊維相互及び自身を熱融着で接合、固着する様に
処理する際の温度管理(通常120〜220℃、好まし
くは130〜180℃)が楽なだけでなく、この際の熱
による変形、各繊維の炭化や酸化減量等がなく、ひいて
は製品の質がすぐれ、また製造も容易となる。
【0054】また、鞘部の融点は100℃程度以上であ
るため、ガス調理器台上のレンジフード(排気)用フィ
ルターとして、充分な耐熱性も有していることとなる。
【0055】また、色彩もある程度の自由度があるた
め、この面からもシート状繊維フィルターの清潔感の維
持、汚れを目立たなくすること、生産や販売や使用の際
の色彩による管理等にも寄与する。
【0056】請求項5記載の発明においては、毛(繊
維)若しくはこれを主成分とする耐熱性非ハロゲン系繊
維50〜80重量%と、毛に混合されることにより、シ
ートに高熱でのより一層の非収縮性を与える耐熱非ハロ
ゲン系非収縮性繊維50〜20重量%と、両繊維を結合
する、そして耐熱性、非ハロゲン系の難燃性接着剤とを
ふくんでなり、シート状に成形されたことを特徴として
いる。
【0057】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0058】毛繊維若しくはこれを主成分とするため、
単に耐熱性が優れるだけでなく、シートに自然と嵩高さ
が生じ、この面からも油滴の吸着力、保持量ともすぐれ
たフィルターシートとなる。また、ファンの風圧や振動
による繊維の脱落もない。
【0059】また、耐熱非収縮性繊維を適量含むため、
万が一炎に晒される等しても、シートの非収縮性が優れ
ているため、収縮して落下する危険性が少ない。
【0060】更に、毛繊維若しくはこれを主成分とする
耐熱性非ハロゲン繊維と耐熱非収縮性繊維の結合は、非
ハロゲン系の難燃性接着剤であるため、この面からもフ
ィルターの安全性が向上する。
【0061】請求項6記載の発明においては、耐熱非ハ
ロゲン系非収縮性繊維は、炭素繊維を最大でフィルター
の40重量%含有してなることを特徴としている。
【0062】上記構成により、請求項3記載の発明と同
じくシート状の繊維フィルターの耐熱性、耐炎性、機械
的強度は一層向上する。
【0063】請求項7記載の発明においては、非ハロゲ
ン系の難燃性接着剤は、ポリアクリル酸エステル、ポリ
アクリル酸エステル誘導体、ジエン系ゴムラテックス、
ポリエチレン誘導体、酢酸ビニル誘導体若しくはEVA
とリン系難燃剤からなる難燃性接着剤であることを特徴
としている。
【0064】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0065】これらの難燃性接着剤は、ハロゲン系(特
に、塩素系)でなく燐系であるため、フィルターの焼却
廃棄時に環境破壊の恐れがない。そして勿論、両繊維の
結合性、自身の耐熱性とも充分である。
【0066】更に、フィルターの製造に際して、その量
あるいは割合は、フィルターの保形性維持の面からフィ
ルターの全重量に対して15%以上、シートの厚みや吸
油性と耐火性維持の面からフィルターの全重量に対して
50%以下、好ましくは30%以下とするのが良い。ま
たこの範囲であれば、ディッピング、吹き付けの何れで
も問題なく付着可能である。また、何れの方法であって
も両繊維の表面全体に薄く付着し、これにより特に毛繊
維の耐熱性を向上させる。
【0067】請求項8記載の発明においては、炭素繊維
は、炭素の体積固有抵抗値が100〜1000Ω・cm
のものから形成されている。
【0068】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0069】炭素繊維を構成する炭素は、原料を比較的
低い温度で炭化させ、体積固有抵抗値が上記範囲内であ
るようにしているため、近くに存在する排気ファン用モ
ータの存在等何らかの原因によるショート、スパーク等
が発生し難い。ひいては、排気中に可燃物の粉塵、特に
油滴等があっても発火の危険性がそれだけ少ない。
【0070】更に、体積固有抵抗値がこの範囲内にある
と、炭素繊維の弾性率が比較的低く、ひいてはガラス繊
維と異なり、人の皮膚に繊維が突き刺さったりすること
による不快感、いわゆるチクチクが発生し難い。その結
果、家庭内での主婦等素人にとって取扱い易いのはもと
より、製造時にも作業者のために特別のチクチク対策を
施す必要がなく、それだけ製造容易で使い易くしかも安
価なものとなる。
【0071】なお、毛繊維等その他の繊維及び難燃性接
着剤は、もともと電気を通さず、かつチクチクを発生さ
せたりする危険性がないのは勿論である。
【0072】請求項9記載の発明においては、炭素繊維
は、曲状炭素繊維としている。ここに曲状炭素繊維と
は、アスペクト比(長さ/直径)が50以上であって、
直状炭素繊維に比べて比容積が大であるものをさす。具
体的には、アスペクト比が500のものにおける比容積
が9cm3 /g以上となる曲状性をもつ炭素繊維であっ
て、かつアスペクト比が50以上のものである。
【0073】ここで、かかる数値範囲としたのは、アス
ペクト比500での比容積が9cm 3 /g未満のものは
曲状性に劣り、またアスペクト比が50未満のものは曲
状性の発現が小さくなることによる。 なお通常の直状
炭素繊維でのアスペクト比500での比容積は約7〜8
cm3 /gである。
【0074】また、ここでいう比容積は、500mlビ
ーカーの容積を満たすように試料を入れ、150g/ c
2 の押圧(荷重)下でされたものである。
【0075】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0076】炭素繊維が直状と異なり曲状であるため、
単に炭素繊維フィルターの繊維相互や他の耐熱性化学繊
維とのからみつきがよくなるだけでなく、網目も自然と
3次元構造となり、強度、繊維落ち防止の面からより一
層優れたものとなる。また、自然と嵩高のシートと成し
えるため保有吸着量も大きくなしえる。更に、曲状であ
るとそれだけ人の皮膚に突き刺さり難く、いわゆるチク
チク感も生じない。
【0077】請求項10記載の発明においては、毛繊維
は羊毛であることを特徴としている。
【0078】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0079】羊毛は、木綿等の植物繊維のLOIが18
〜20程度であるのに対して、そのLOIは24〜25
と充分に高く、このため難燃性に優れる。更に、90℃
までは充分にたえるだけでなく、100℃以上の温度に
晒されても、粗剛となり強伸を減じるも(ただし、もと
もとの伸縮性は大である)空気中に放置しておけば空気
中の水分を吸収して回復するため、耐熱性も充分であ
る。また、衣服としての様々な要求、用途を充たすべ
く、羊の品種改良により様々な性質を有する物がある。
具体的には、大凡以下の性質のものが容易に入手可能で
ある。
【0080】直径は、0.00163〜0.00437
cm 長さは、2.5〜30cm 引っ張り強さは、1.9〜39g/本 伸びは、20〜50% 更に、元々他の獣毛に比較して絡み合い性と巻縮性に優
れているだけでなく、これまた主な用途である毛糸、衣
服に適する様に品種改良により一層の絡み合い性と巻縮
性を有する様になっている。
【0081】このため、フィルターの用途、特性、更に
は製造設備等に併せて様々な繊維径、繊維長さ、繊維密
度、曲がり状態や巻縮状態の毛繊維の入手が容易であ
る。ひいては安価で優れたフィルターとなる。
【0082】請求項11に記載の発明においては、羊毛
は反毛であることを特徴としている。
【0083】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0084】反毛は、衣服、毛糸等を製造した際に生じ
るくず糸(言わば廃棄物)や消費者から回収した再生繊
維原料であるため、安価であり、更に廃物利用の面から
も好ましい。
【0085】請求項12記載の発明においては、シート
状に成形されたフィルターは、その嵩密度が、25g/
100cm2 の押圧(荷重)下で0.005〜0.03
g/cc(好ましくは、0.008〜0.01g/c
c)としている。
【0086】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0087】25g/100cm2 の押圧(荷重)下で
嵩密度が、0.005〜0.03g/ccである(従っ
て、非押圧時は多少厚くなる)ため、特に家庭のレンジ
フード用フィルターとして使用した場合、過度の流路抵
抗とならず、しかもダスト、特に油滴の除去と保持能力
の面から充分なフィルター性能を発揮しうるためコスト
的に有利となる。
【0088】また、強度の面からも充分なものとなる。
【0089】請求項13記載の発明においては、シート
状の繊維フィルターを、レンジフード用フィルター装置
のフィルター本体(ダスト、油滴等を付着するフィルタ
ーそのもの)として使用している。
【0090】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0091】ガス調理器の直上の排気炉等に設けられ
た、シート状のフィルター本体やその取り付け枠等から
なるフィルター装置の本来のフィルターとして、極めて
良好な性能を発揮する。しかも家庭用としても業務用と
しても明るくて見ばえが良く、ダストや油滴の付着具合
もわかり易い一方で目立ちにくく、更にチクチク等がな
く大変使い勝手のよいフィルター(装置)となる。
【0092】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態に
基づいて説明する。
【0093】(第1の実施の形態)本実施の形態は、反
毛と炭素繊維と熱融着性非ハロゲン繊維からなるシート
状の繊維フィルターに関する。
【0094】先ず、反毛であるが、これは個々の繊維径
は、0.025mm程度、繊維長は30〜50mm程度
であり、更に多数の繊維が言わば脱脂綿状になってお
り、更にその色彩は大凡白色のものである。
【0095】次に、炭素繊維であるが、これは、公知の
渦流法により繊維化し、公知の方法で不融化した等方性
不融化ピッチ繊維を、不活性ガス中で700〜800度
Cで炭化してえられた曲状の炭素繊維である。
【0096】ここで、かかる処理温度としたのは、炭素
繊維の体積固有抵抗値を100〜1000Ω・cmと
し、また適切な曲げ剛性(弾性率)を得るためである。
【0097】なお、後工程での処理温度は通常220℃
以下(通常120〜220℃、好ましくは130〜18
0℃)、製品の使用温度は通常100℃以下と比較的低
いため、炭化温度が低くても、炭素繊維内に含有されて
いる物質が揮発することもないのは勿論である。
【0098】また、炭化温度が低いため、製造(炭化)
設備も比較的簡単ですみ、コスト的にも有利となる。
【0099】熱融着性芯鞘タイプのポリエステル樹脂繊
維はPET(ポリエチレンテレフタレート)であり、繊
維束にした状態で製造メーカーより購入し、これを50
mmの長さに切断した。この際、色彩は白色のものとし
た。これは、炭素繊維を混合するためシート状の繊維フ
ィルターはどうしても黒くなるが、この黒さを弱める方
向に作用して明るい清潔な感じを与え、油滴等がどの程
度付着したかを素人の家庭の主婦が目で見て判断する場
合に少しでも容易になしえるようにするためである。
【0100】なお、本実施の形態で採用した芯鞘タイプ
の熱融着ポリエステル繊維は、融点が255℃程度と比
較的高いというよりも最高のポリエステル樹脂製繊維を
芯とし、その外周を融点が110℃程度の比較的低いポ
リエステル樹脂の鞘で囲った、すなわち断面がいわば同
心二重円型の繊維であり、広く市販されているものであ
る。そして、かかる材料温度特性のものとしたのは、芯
の融点は高く、鞘の融点は低く、熱融合性、耐熱性、温
度管理等の面から最も好ましいことによる。
【0101】次いで、このメラミン繊維と炭素繊維と熱
融着ポリエステル繊維を用いて、シート状の繊維フィル
ターを製造する様子と設備を図1に概念的に示す。
【0102】本図において、10は反毛用予備開繊機で
ある。11は、炭素繊維用予備開織機である。12は、
熱融着性ポリエステル繊維用予備開繊機である。13
は、開繊混合機である。14は、計量機である。15
は、カード機等のウェブ成型機である。16は、ニード
リング機である。17は、熱連続ホットプレス炉であ
る。18は、ホットプレスロールである。
【0103】以下、本図を参照しつつ製造の様子を説明
する。
【0104】反毛は、前述の毛の塊(繊維塊)が反毛用
予備開織機に供給され、他の繊維との混合、開織に先立
ち予備開織される。
【0105】炭素繊維は、マット状にて炭素繊維用予備
開繊機に供給され、同様に予備開繊される。
【0106】熱融着性ポリエステル繊維も、所定長さに
切断された束が熱融着性ポリエステル繊維用予備開繊機
に供給され、同様に予備開繊される。
【0107】予備開繊された各繊維は、反毛4、炭素繊
維3、熱融着性ポリエステル繊維3の割合で開繊混合機
に供給され、ここで2、3度開繊混合、特に混合され
る。
【0108】開繊混合された各繊維は、計量機にて所定
量ずつカード機に送られる。
【0109】計量機から一定量ずつ送られてくる開繊混
合された繊維は、カード機にて、各繊維の配列、並び等
が調製されてウェブ(目付け量から定まる薄い布状)と
される。
【0110】次いで、一層の厚みの調製、繊維落ち防止
そして強度の向上のため、針にて上方の繊維を下方の繊
維にからめるべく、ニードリング機にてニードリングが
なされる。なおこの際、前述の理由により、ニードリン
グの効果が大きくなる。
【0111】更に、160℃の温度条件の熱連続ホット
プレス炉内にて、広い面積のシートのまま一応の厚さで
熱融着がなされる。
【0112】最後に、上下2個の回転する熱ロールから
なるホットプレスロールを通過するが、この際、上下の
熱ロールの隙間にて精密にシートの厚さを1.2mmに
調製され、併せて最終的に熱融着がなされる。
【0113】次に、以上の方法により製造されたシート
状の繊維フィルターの本来の性能発揮に重要な耐火性、
耐熱性及び機械的強度の試験結果について説明する。
【0114】第1に、耐熱性、耐炎性の試験としてライ
ターの火に曝したが、当該部の熱融着ポリエステル樹脂
は燃えたと思われ、その結果当該部のシートは若干色彩
が黒くなった。しかし、シートの形状、寸法等はそのま
まであり、これにより反毛と炭素繊維は燃えず、かつ結
合した両繊維の形状はそのままであると判断される。
【0115】なお、熱融着性ポリエステル繊維の燃焼と
溶融にもかかわらず、シートの形状がそのままであるこ
との詳しい機構は不明であるが、基本的にライターの炎
程度では燃焼したり、炭化したり、熱収縮したりしな
い、少くもしがたいそして曲状の炭素繊維(40%)と
絡み付き性に優れる反毛とのからみ付きは解け難いため
そのままであること、反毛自体耐熱性に優れているこ
と、反毛のみならず毛は表面の吸水性にも優れているた
め表面に付着している水分が蒸発して毛を護ること、特
に炭素繊維は本来機械的強度が優れている上に耐熱性で
あるため変形し難いこと、また当該部のポリエステル樹
脂繊維の燃え残りや燃えカスの固着作用及び発熱により
反毛や炭素繊維の表面の空気が逃げて繊維自体が直接接
触することによる接着(一種の焼きつき)によるものと
思われる。
【0116】第2に、使用状態での試験として、フラン
ス料理や中華料理等で中華ナベやフライパン中のアルコ
ール等を燃やした場合等には大きく炎が燃え上がった
り、また高温の油滴が多量に飛び上がったりするが、か
かることを想定して実際にこれらの状態に晒したが充分
な耐熱性、耐熱性及び動圧に耐える機械的強度強度を有
していた。
【0117】また、フィルター性の試験でも、従来の難
燃処理を施した化学繊維製フィルターに比較して何等遜
色はなかった。各繊維の、ダストや油滴に対する優れた
吸着性によるものと思われる。
【0118】更に、一部の植物繊維と異なり、当然吸水
による劣化等の好ましくない現象は見出されなかった。
【0119】次に、製品としての見栄え、明るさ、清潔
感であるが、ほぼ白色の反毛を40重量%含むだけでな
く、熱融着性非ハロゲン繊維として白色のポリエステル
樹脂繊維を40重量%含んでいるため、黒色の炭素繊維
を30重量%含むにもかかわらず明るい灰色であった。
【0120】次に、本実施の形態においては、ニードリ
ング機を使用しているが、これは図で括弧で囲んでいる
様にあれば好ましいが、シートの目付け量や厚さ等の寸
法、原料の各繊維の長さ、径、種類等によっては必ずし
も必要なものではないのは勿論である。
【0121】また、同じく製造者の使用する設備の都合
(制限)や逆に高価ではあるが精度良好な制御手段を有
している場合等においては、図にて破線で示すように、
熱連続ホットプレス炉若しくはホットプレスロールの何
れか一方のみを使用して、一度に各繊維の熱融着とシー
トの厚さの調製を行ってもよいのも勿論である。
【0122】(第2の実施の形態)本実施の形態は、反
毛とメラミン繊維と熱融着性ポリエステル繊維からなる
シート状のフィルターに関する。
【0123】本実地の形態は、先の第1の実施の形態に
おける炭素繊維(30重量%)を使用せず、これに換え
てメラミン繊維としたものであり、反毛が40重量%、
メラミン繊維が30重量%、熱融着性非ハロゲン繊維が
30重量%としている。
【0124】従って、その製造の様子と設備は、基本的
には先の第1の実施の形態、そして図1に示すのと同じ
である。ただし、図1における炭素繊維用の予備開繊機
に換えてメラミン繊維用の予備開繊機を使用する、ある
いは曲状炭素繊維に使用した予備開繊機に多少の調整を
して流用するのが相違する。また、炭素繊維を混合しな
いためシート状フィルターは本来的に明るい色調であ
り、清潔感に一層優れたものとなった。
【0125】本実施の形態のシート状の繊維フィルター
の試験結果であるが、羊毛とメラミン繊維の優れた性質
のもと、先の第1の実施の形態のシート状の繊維フィル
ターと同じく、充分な耐火性、耐炎性、機械的強度等を
示した。
【0126】さて、本実施の形態のシート状の繊維フィ
ルターは炭素繊維が含有されいないため単に白色で清潔
感に優れるだけでなく、着色も容易となる。このため、
顧客の好みやケースによっては調理台の種類等に応じて
の色彩を取り揃えることも可能である。
【0127】(第3の実施の形態)本実施の形態は、反
毛とメラミン繊維とアラミド繊維と熱融着性ポリエステ
ル繊維からなるシート状の繊維フィルターに関する。
【0128】本実施の形態も、その製造の様子と設備
は、基本的には先の第1の実施の形態、そして図1に示
すのと同じである。ただし、曲状炭素繊維の予備開繊機
にかえて、メラミン繊維用とアラミド繊維用に各1台予
備開繊機を使用するのが異なる。
【0129】また、各繊維の混合比は、反毛30重量
%、メラミン繊維20重量%、アラミド繊維20重量
%、熱融着性ポリエステル繊維30重量%とした。
【0130】本実施の形態のシート状の繊維フィルター
は、厚さを2.0mmと先の2つの実施の形態のものよ
り厚めとすることにより使用(取換え)期間の延長を図
っている。
【0131】ここに、アラミド繊維の役割であるが、メ
ラミン繊維に比較した場合に多少劣るが、それでも充分
な耐熱性、耐炎性を有しており、その優れた機械的性質
からフィルターシートの製造及び製造されたフィルター
シートの取扱いが容易となる。
【0132】次に、パラ系のアラミド繊維は黄色を有し
ており、これを使用した場合には、シートそのものに黄
色がつく。このため、厚さ等異なる多種のシートを色彩
で区別する際に色彩選択の範囲が拡がり、管理が容易と
なる。
【0133】また、厚めのものは使用期間にもよるがど
うしても付着した油滴等が多く、シートが黄色に汚れが
ちである、あるいは汚れが目立ってくるが、シートに予
め黄色を付すことにより、これが目立ち難くなる。
【0134】一方、メタ系のアラミド繊維は淡いクリー
ム色、あるいは略白色であり、これを使用した場合に
は、シートの色彩が一層淡くあるいは白くなる。このた
め、他種との色彩による区別に利用しえるだけでなく、
一層清潔感が増大する。
【0135】更にまた、パラ系、メタ系いずれのアラミ
ド繊維であれ、用途に応じてのシートの製造に際して、
その材料の選択の柔軟性も多少増加する。
【0136】最後に、本実施の形態のシート状メラミン
繊維フィルターの性能であるが、これも先の第1の実施
の形態のシート状の繊維フィルターと同じく、充分な耐
火性、耐炎性、機械的強度等を示した。
【0137】(第4の実施の形態)本実施の形態は、反
毛と炭素繊維と難燃性接着剤からなるシート状の繊維フ
ィルターに関する。
【0138】その製造の様子と設備を図2に示す。本図
に示す用に、これらは基本的には先の第1の実施の形
態、そして図1に示すものと同じである。ただし、熱融
着性PET繊維用の予備開繊機を有しておらず、またウ
ェブ加工後に難燃性接着剤のスプレー工程を有してお
り、このためスプレー機19を通過するのが異なる。
【0139】次に、これら各繊維の混合比であるが、反
毛60重量%、炭素繊維40重量%とした。また、難燃
性接着剤のスプレー量は、上記両繊維の合計重量の20
重量%とした。
【0140】ここで、第1に、60重量%混入された反
毛がフィルターに適度の嵩高さ、ひいては油の付着力と
保持量を増加させ、併せて炭素繊維が40重量%混入さ
れているにもかかわらずシートに淡い灰色を付けること
により清潔感を増す。第2に、炭素繊維が40重量%混
入されているため、混入されていない場合に比較して、
シートの耐熱性、耐炎性、そして機械的強度が向上す
る。
【0141】第3に、難燃性接着剤がシートの耐熱性、
耐炎性を一層向上させる。
【0142】次に、反毛と炭素繊維と難燃性接着剤の重
量比を種々換えてシートを製作した。具体的には、反毛
は80〜60重量%、炭素繊維は20〜40重量%、難
燃性接着剤は両繊維の合計重量の15〜30重量%の範
囲である。これらの場合にも、シートは先の実施の形態
の物と同じく優れた耐熱性、耐炎性を示した。
【0143】更にこれらの場合には、反毛と炭素繊維と
の比率によりシートの濃淡が生じる。ところで、多少黒
い目の場合には、特に油分の付着が目立ち難くなる。一
方、淡い灰色の場合には、清潔感に優れるだけでなく、
特にダストの付着が目立ち難くなる。その結果、多少と
もユーザの好みや用途に応じたシートを製造することが
可能となる。
【0144】また、材料選択の柔軟性も増加する。
【0145】以上の他、炭素繊維やその一部に換えてア
ラミド繊維やメラミン繊維を使用して反毛を主成分とす
るシート状フィルターを製造し、試験を行なったが、何
れも優れた耐熱性、耐炎性を示した。
【0146】(第5の実施の形態)本実施の形態は、湿
式法により製造するものである。
【0147】さて、羊毛製品製造の際に言わば廃棄物と
して生じる反毛は、既述の如く種々の繊維径、繊維長さ
のものがある。このため、そのサイズ等によっては、湿
式法により製造することが可能である、あるいはその方
が都合が良い。本実施の形態はこの事を考慮したもので
ある。
【0148】以下、図3を参照しつつ、この内容を説明
する。
【0149】本図において、20は反毛用供給機であ
る。21は、炭素繊維用供給機である。22は、熱融着
性ポリエステル繊維用供給機である。23は、各繊維用
の供給制御機である。24は、界面活性剤を溶かした水
を蓄えた混合槽である。25は、混合機である。26
は、抄紙機であり、図示しないフェルトローラ、抄し用
網等を有している。27は、乾燥加熱機である。
【0150】そして、各繊維は所定量ずつ混合槽に送ら
れ、ここで攪拌機により充分に混合され、抄紙機でペー
パ状に成形され、乾燥加熱機でフィルター状のシートに
される。
【0151】(その他の実施の形態)以上の他、マンシ
ョンや業務用の調理台の場合、フィルターの背面は暗い
ダクトであるが、これを少しでも感じさせたくないと言
う要望もある。
【0152】また、ダクトの口径等ひいてはフィルター
の寸法に対する要求も多種、多様である。
【0153】例えば、中華料理店の場合には油を多用す
るためダクト径は大きい。従って、フィルターの寸法も
大きく、このため機械的強度が必要である。この場合に
は、シートは厚め、炭素繊維の割合は多め、使用時の下
面への明るい繊維の散布も多めとなる。
【0154】マンション用の場合には、フィルターの寸
法は小さく、炭素繊維の割合は0か少なめ、しかし使用
時の下面への明るい繊維の散布は多めとし更にメラミン
繊維を明るい色彩のものとして背面のダクトの暗さが気
にならないようにすることとなる。
【0155】戸建住宅の場合には、背面は外界なので、
ダクトの暗さが気にならないようにすることは不必要で
ある。
【0156】更に、業務用の場合には、中華料理店、フ
ランス料理店、焼肉屋等その料理の如何に依って付着す
るダストや油分の割合、ひいてはフィルターの汚れの態
様も大きく相違する。従って、汚れを目立ち難くする色
彩等も相違する。
【0157】このため、反毛と炭素繊維と熱融着性非ハ
ロゲン系化学繊維と非ハロゲン系難燃性接着剤を中心と
して、各請求項に記載している範囲での各繊維の混合量
を種々変えてシート状の繊維フィルターを試作して性能
試験を行なった。その結果、いずれのシート状の繊維フ
ィルターも充分な性能を有しているのが判明した。
【0158】以上、本発明をその幾つかの実施の形態に
基づいて説明してきたが、本発明は何もこれら実施の形
態に限定されないのは勿論である。すなわち、例えば以
下のようにしてもよい。
【0159】1)他の獣毛を使用している。
【0160】2)炭素繊維は、メソフェーズド、PAN
系等他の系統のものを使用している。
【0161】3)炭素繊維は、コストの面から等方性ピ
ッチ系を主とし、強度の一層の向上のため高強度のメソ
フェーズドピッチ系、PAN系等を含ませている。
【0162】4)鋳物工場等熱を帯びて汚れた排気の発
生する部屋の換気フィルター等他の用途に使用してい
る。
【0163】5)業務用等に使用し、このため排気ファ
ンの吐出(排気)圧が大なこともあり、目付量、厚さと
も多少厚くしている。
【0164】6)熱融着性非ハロゲン系化学繊維とし
て、ポリエステル以外の物質を使用している。
【0165】7)将来の技術の発達のもと、何か他の方
法でシートを製造している。
【0166】同じく、他の方法で製造した炭素繊維を使
用している。
【0167】8)油滴等の付着の程度が一層明瞭にわか
るように、あらかじめシート状繊維フィルターの下面の
一部隅等に黄色の印を付しておき、当該印が見え難くな
ったなら交換する等他のアイディアをも採用している。
【0168】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、単に優れたフィルターを実用化しえるだけでなく、
調理の都合や何らかの事故で、急に立ち上がった炎に曝
されたり、多量の高温の油滴が飛来してきたときでも、
付着した油分に着火する等の事故が生じ難く、勿論熱収
縮や破損等も生ぜず、近くの人への危険性が少なく、し
かも見た目も美しいフィルターを提供しうる。
【0169】また、反毛を使用すれば、廃棄物利用、資
源の有効活用にも寄与する。
【0170】また、明るい色彩であるため、フィルター
への油滴等の付着具合が容易に判明しえる。このため、
旧い汚れたフィルターの取り換え促進にもつながり、台
所の清潔の維持にも寄与する。
【0171】また、色彩選択の自由度が増し、このため
フィルターへ付着した油滴等が目立ち難くするようなこ
とも可能であり、この面からも清潔感の増大につなが
る。
【0172】また、選択の自由度が増した色彩を、製品
の販売時等の管理に使用しうる。
【0173】また、廃棄焼却に際して、有害な物質が発
生しないので、通常のゴミとして家庭からの排出、焼却
場における焼却をなしうる。
【0174】また、家庭用、料理店用等では特にそうで
あるが、ガラス繊維を使用しないため、いわゆるチクチ
クが生ぜず、製造及び使用に便利なフィルターを提供し
うる。
【0175】また、繊維径も細すぎないだけでなく伸縮
性にとむ羊毛が主成分であるため、急な着火等何らかの
不具合等で急に圧がかかったようなときでも、フィルタ
ーが破れないのは勿論のこと、繊維が千切れて飛ぶ等の
ことがない。
【0176】更に、万一繊維が千切れて飛ぶような事態
が生じたとしても、ガルバニック電流も発生せず、金属
製排気路、ダクトの腐飾も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 羊毛を主成分とするシート状の繊維フィルタ
ーを、熱融着性繊維を使用する乾式法で製造する様子と
製造設備の概略構成を示す図である。
【図2】 羊毛を主成分とするシート状の繊維フィルタ
ーを、難燃着性接着剤を使用する乾式法で製造する様子
と製造設備の概略構成を示す図である。
【図3】 羊毛を主成分とするシート状の繊維フィルタ
ーを湿式法で製造する様子と製造設備の概略構成を示す
図である。
【符号の説明】
10 反毛用予備開繊機 11 炭素繊維用予備開織機 12 熱融着性ポリエステル繊維用予備開繊機 13 開繊混合機 14 計量機 15 カード機等のウェブ成型機 16 ニードリング機 17 熱連続ホットプレス炉 18 ホットプレスロール 19 スプレー機 20 羊毛用供給機 21 炭素繊維用供給機 22 熱融着性ポリエステル繊維用供給機 23 供給制御機 24 混合槽 25 攪拌機 26 抄紙機 27 乾燥加熱機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04H 1/42 D04H 1/42 E T 1/54 1/54 B 1/58 1/58 A Fターム(参考) 4D019 AA01 BA12 BA13 BA17 BB03 BC11 BC12 BD01 4L047 AA03 AA09 AA21 AA24 AA26 AB02 BA09 BA12 BB06 BB08 BC02 BC03 BC06 BC07 CB04 CB05 CC12 CC16

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 毛若しくはこれを主成分とする耐熱性非
    ハロゲン系繊維55〜85重量%と、 前記毛若しくはこれを主成分とする耐熱性非ハロゲン繊
    維に加熱により融着することにより該繊維と混合したシ
    ートを形成する熱融着性非ハロゲン系化学繊維15〜4
    5重量%とを含んでなり、 シート状に成形されたことを特徴とするフィルター。
  2. 【請求項2】 前記耐熱性非ハロゲン系繊維は、 アラミド繊維、メラミン繊維若しくは炭素繊維又はこれ
    らのうち少くも2種の繊維を最大でフィルターの50重
    量%含有してなるものであることを特徴とする請求項1
    記載のフィルター。
  3. 【請求項3】 前記耐熱性非ハロゲン系繊維は、 炭素繊維を最大でフィルターの40重量%含有してなる
    ものであることを特徴とする請求項1記載のフィルタ
    ー。
  4. 【請求項4】 前記熱融着性非ハロゲン系化学繊維は、 熱融着性ポリエステル繊維であることを特徴とする請求
    項1、請求項2若しくは請求項3記載のフィルター。
  5. 【請求項5】 毛若しくはこれを主成分とする耐熱性非
    ハロゲン系繊維50〜80重量%と、 前記毛に混合されることにより、シートに高熱での非収
    縮性を与える耐熱非ハロゲン系非収縮性繊維50〜20
    重量%と、 前記両繊維を結合する、そして耐熱性、非ハロゲン系の
    難燃性接着剤とをふくんでなり、 シート状に成形されたことを特徴とするフィルター。
  6. 【請求項6】 前記耐熱非ハロゲン系非収縮性繊維は、 炭素繊維を最大でフィルターの40重量%含有してなる
    ものであることを特徴とする請求項5記載の繊維フィル
    ター。
  7. 【請求項7】 前記非ハロゲン系の難燃性接着剤は、 ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル誘導
    体、ジエン系ゴムラテックス、ポリエチレン誘導体、酢
    酸ビニル誘導体若しくはEVAとリン系難燃剤からなる
    難燃性接着剤であることを特徴とする請求項5若しくは
    請求項6記載のフィルター。
  8. 【請求項8】 前記炭素繊維は、 炭素の体積固有抵抗値が100〜1000Ω・cmのも
    ので形成された繊維であることを特徴とする請求項2、
    請求項3、請求項4、請求項6若しくは請求項7記載の
    フィルター。
  9. 【請求項9】 前記炭素繊維は、 曲状炭素繊維であることを特徴とする請求項2、請求項
    3、請求項4、請求項6、請求項7若しくは請求項8記
    載のフィルター。
  10. 【請求項10】 前記毛は、 羊毛であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいず
    れかに記載のフィルター。
  11. 【請求項11】 前記羊毛は、 反毛であることを特徴とする請求項1〜請求項10のい
    ずれかに記載のフィルター。
  12. 【請求項12】 請求項1〜請求項11のいずれかに記
    載のシート状に成形されたフィルターは、 25g/100cm2 の押圧下での嵩密度が、0.00
    5〜0.03g/cc、であることを特徴とするフィル
    ター。
  13. 【請求項13】 請求項1〜請求項12のいずれかに記
    載のシート状に成形されたフィルターを、 フィルター本体として使用していることを特徴とするレ
    ンジフード用フィルター装置。
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