JP2002041059A - 音楽コンテンツ配信装置およびその方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンテンツ検索労力の軽減および未知のコン
テンツとの遭遇機会創出が可能な音楽コンテンツ配信装
置およびその方法を提供する。 【解決手段】 コンテンツ配信サーバ１は、オフライン
処理部１１とオンライン処理部１２とを含み、オフライ
ン処理部１１は、ユーザに選択されたコンテンツの音響
パラメータを抽出してユーザ情報データベースＤＢ２に
格納しておく。２回目以降のユーザアクセスに際して
は、オンライン処理部１２が、音楽コンテンツデータベ
ースＤＢ１の全音楽コンテンツの音響パラメータを抽出
し、これとユーザ情報データベースＤＢ２に格納された
音響パラメータとを用いて、ユーザの趣向に合う推奨の
音楽コンテンツを提示する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワークを介
して音楽コンテンツを配信する音楽コンテンツ配信装置
およびその方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、データ符号化方式の標準化が進ん
だことにより、インターネットなどのコンピュータネッ
トワークを介した音楽コンテンツの配信サービスが普及
しつつある。この配信サービスにより、ＣＤの販売店も
しくはレンタル店などでしか入手できなかった最新のコ
ンテンツが、家庭や街中にいながら、早く手軽に入手で
きるようになっている。

【０００３】従来の音楽コンテンツ配信は、インターネ
ット上のホームページ上で、主に以下の２つの形態で行
われる。

【０００４】第１の配信形態としては、音楽コンテンツ
プロバイダがホームページを開設して、そこに大量の音
楽コンテンツを集めて配信するというものである。それ
らはジャンル（ジャズ、ポップス、ロックなど）に分類
・整理され、さらに各ジャンルでアーティスト別に分類
される。ユーザはジャンルを手がかりにして、所望のコ
ンテンツを検索し、試聴するなどしてダウンロードして
いた。なお、特定ジャンルの音楽コンテンツだけを集め
たホームページもこの形態に属するといえる。第２の配
信形態としては、アーティストが自分のホームページを
開設し、創作したコンテンツをアップロードして配信す
るというものである。そのアーティストの音楽を趣向す
るユーザは、ホームページにアクセスして気に入ったコ
ンテンツをダウンロードする。ただし、この場合も、イ
ンターネット上を検索して１人のアーティストのホーム
ページを見つけるというユーザの操作を考慮すると、イ
ンターネット上でアーティスト別に分類・整理されてい
るといえる。

【０００５】よって、これら２つの配信形態に共通して
いえることは、どちらも音楽コンテンツが、従来のジャ
ンル別、またはアーティスト別に分類・整理されてユー
ザに提示されていたことである。

【０００６】以上のようにしてユーザは、家庭や街中に
いながら音楽コンテンツを入手し、コンピュータや携帯
端末などを利用して音楽を鑑賞する。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、インタ
ーネット上にアップロードされる音楽コンテンツが増大
する今日にあっては、ユーザーにとって、所望する音楽
コンテンツの検索作業が極めて煩雑であり、その労力が
多大になっているのが現状である。

【０００８】しかも、音楽ジャンルの多様化・融合化が
進む中で、コンテンツプロバイダの分類とユーザの分類
とが食い違い、ユーザが所望のコンテンツを検索できな
いという問題点も指摘されている。

【０００９】さらに、ユーザが従来の分類に従ってコン
テンツ検索を行っても、これまで聴いたことがないジャ
ンルあるいはアーティストのコンテンツと出会える機会
が少なく、したがって、ユーザの音楽的趣向が画一化さ
れる傾向にある。

【００１０】そこで本発明は、上記従来の課題を解決す
べくなされたものであり、その目的とするところは、コ
ンテンツ検索労力の軽減および未知のコンテンツとの遭
遇機会創出を可能とする音楽コンテンツ配信装置および
その方法を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記従来の課題を解決す
るために、本発明の請求項１に係る音楽コンテンツ配信
装置は、蓄積された音楽コンテンツの中からユーザに選
択されたものをネットワークを介して配信する音楽コン
テンツ配信装置において、前記選択された音楽コンテン
ツの音響パラメータを第１の音響パラメータとして抽出
する第１の音響パラメータ抽出手段と、前記第１の音響
パラメータが少なくとも格納されるユーザ情報記憶手段
と、前記ユーザによる音楽コンテンツの再度の選択に際
し、前記蓄積された音楽コンテンツの音響パラメータを
第２の音響パラメータとして抽出する第２の音響パラメ
ータ抽出手段と、前記ユーザによる音楽コンテンツの再
度の選択に際し、前記ユーザ情報記憶手段に格納された
第１の音響パラメータと、前記抽出された第２の音響パ
ラメータとを用いて、前記蓄積された音楽コンテンツの
中から推奨の音楽コンテンツを検索して提示する推奨コ
ンテンツ検索提示手段とを具備することを特徴とする。

【００１２】請求項１に係る本発明によれば、第１の音
響パラメータ抽出手段が、ユーザに選択された音楽コン
テンツの音響パラメータを第１の音響パラメータとして
抽出すると、この第１の音響パラメータがユーザ情報記
憶手段に格納され、そのユーザが、装置にアクセスし
て、音楽コンテンツを再度選択してダウンロードしよう
とした際には、第２の音響パラメータ抽出手段により、
蓄積された音楽コンテンツの音響パラメータが第２の音
響パラメータとして抽出され、推奨コンテンツ検索提示
手段により、ユーザ情報記憶手段に格納された第１の音
響パラメータと、抽出された第２の音響パラメータとを
用いて、蓄積された音楽コンテンツの中から推奨の音楽
コンテンツが検索されユーザに提示されるので、ユーザ
の趣向に合う音楽コンテンツの推奨が可能となり、ユー
ザにとっても、検索作業の煩雑さが解消される。

【００１３】本発明の請求項２に係る音楽コンテンツ配
信装置は、請求項１記載の装置であって、前記推奨コン
テンツ検索提示手段は、前記音楽コンテンツの検索に際
し、音響パラメータを説明変数とする統計的手法を用い
ることを特徴とする。

【００１４】請求項２に係る本発明によれば、音響パラ
メータを説明変数とする統計的手法を用いることでユー
ザの趣向にあった音楽コンテンツの検索精度を向上させ
ることができる。

【００１５】本発明の請求項３に係る音楽コンテンツ配
信装置は、請求項１又は請求項２記載の装置であって、
前記ユーザに提示されたにも拘わらず選択されなかった
音楽コンテンツの音響パラメータを第３の音響パラメー
タとして抽出する第３の音響パラメータ抽出手段と、こ
の抽出された第３の音響パラメータと前記第１の音響パ
ラメータとを用いて重み付け変換係数を予め算出する重
み付け変換係数算出手段とを備え、前記推奨コンテンツ
検索提示手段は、前記音楽コンテンツの検索に当たり、
前記第２の音響パラメータに前記重み付け変換係数を乗
じることを特徴とする。

【００１６】請求項３記載の本発明によれば、第３の音
響パラメータ抽出手段が、ユーザに提示されたにも拘わ
らず選択されなかった音楽コンテンツの音響パラメータ
を第３の音響パラメータとして抽出してユーザ情報記憶
手段に格納し、一方、重み付け変換係数算出手段が、第
３の音響パラメータと第１の音響パラメータとを用いて
重み付け変換係数を予め算出し、ユーザの再度のコンテ
ンツ選択に際しては、推奨コンテンツ検索提示手段が、
音楽コンテンツの検索に当たり、第２の音響パラメータ
に重み付け変換係数を乗じるので、ユーザの趣向を一層
強く検索結果に反映させ提示することができる。

【００１７】本発明の請求項４に係る音楽コンテンツ配
信装置は、請求項３記載の装置であって、前記重み付け
変換係数は、前記第１の音響パラメータが複数あるとき
の該音響パラメータ内分散と前記第３の音響パラメータ
が複数あるときの該音響パラメータ内分散との比を最大
とするものであることを特徴とする。

【００１８】請求項４に係る本発明によれば、ユーザの
趣向をより一層的確に検索結果に反映させることができ
る。

【００１９】本発明の請求項５に係る音楽コンテンツ配
信装置は、請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の装
置であって、抽出される音響パラメータは、ケプストラ
ム、音声パワー、発音時刻ベクトルのいずれかを少なく
とも含むことを特徴とする。

【００２０】請求項５に係る本発明によれば、上記のパ
ラメータを用いることにより、ユーザの趣向を反映した
コンテンツを提示することができる。

【００２１】本発明の請求項６に係る音楽コンテンツの
配信方法は、蓄積された音楽コンテンツの中からユーザ
に選択されたものをネットワークを介して配信するとき
の音楽コンテンツの配信方法において、前記選択された
音楽コンテンツの音響パラメータを第１の音響パラメー
タとして抽出して格納するステップと、前記ユーザによ
る音楽コンテンツの再度の選択に際し、前記蓄積された
音楽コンテンツの音響パラメータを第２の音響パラメー
タとして抽出するステップと、前記ユーザによる音楽コ
ンテンツの再度の選択に際し、前記ユーザ情報記憶手段
に格納された第１の音響パラメータと、前記抽出された
第２の音響パラメータとを用いて、前記蓄積された音楽
コンテンツの中から推奨の音楽コンテンツを検索して提
示するステップとを具備することを特徴とする。

【００２２】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る音楽コンテン
ツ配信装置およびその方法の実施の形態を図面を参照し
て詳細に説明する。

【００２３】先ず、実施の形態の概略を説明する。本実
施の形態の装置にあっては、１回目のユーザアクセス
と、２回目以降のユーザアクセスとでは異なる処理を行
う。１回目は、音楽コンテンツプロバイダ等（以下、適
宜プロバイダと略記する）が保有する全音楽コンテンツ
をユーザに提示し、ユーザが取得（ダウンロード）した
コンテンツおよび取得しなかったコンテンツの双方から
音響パラメータを求め、オフラインにてＦ比が最大にな
るパラメータ変換係数を求めることによりユーザの趣向
を学習しておく。

【００２４】２回目以降のアクセスでは、前回までに学
習したユーザの好むコンテンツと好まないコンテンツの
それぞれの音響パラメータおよび前述のパラメータ変換
係数を用いて、全音楽コンテンツを判別分析してユーザ
の好むものと好まないものとに分類し、その前者をユー
ザに提示する。

【００２５】ユーザはその中から所望のコンテンツを選
択して取得する。なお、当該回にユーザが取得したコン
テンツについてもオフライン処理による学習を行うこと
で、学習内容を次回以降の処理に反映できるようにす
る。

【００２６】以上の処理により、本実施の形態の装置
は、ユーザの趣向に合う音楽コンテンツをジャンルに拘
わらずに提示することができる。

【００２７】図１は、本発明の実施の形態を適用するコ
ンテンツ配信サーバ１の構成および利用形態を示す図で
ある。プロバイダが運営するコンテンツ配信サーバ１
は、ゲートウェイまたはルータ（共に図示せず）を介し
てインターネットＮＥＴに接続されたコンピュータであ
る。一方、インターネットサービスプロバイダ（ＩＳ
Ｐ）のコンピュータ２には、ウェブブラウザを備えたユ
ーザ端末３が接続されている。コンテンツ配信サーバ１
は、インターネットＮＥＴを介して、ＴＣＰ／ＩＰプロ
トコルによるユーザ端末３と間でのデータ送受が可能と
なっている。なお、インターネットＮＥＴに接続される
これ以外のユーザ端末については図示省略する。

【００２８】コンテンツ配信サーバ１は、接続された記
憶装置上に、プロバイダが保有する全コンテンツが格納
された音楽コンテンツデータベースＤＢ１とユーザ情報
が格納されるユーザ情報データベースＤＢ２を有してい
る。

【００２９】コンテンツ配信サーバ１は、音楽コンテン
ツデータベースＤＢ１の全音楽コンテンツから、ユーザ
の趣向にあったコンテンツを提示するようになっている
が、ユーザの利便性を考慮して、旧来のジャンルによっ
ても分類できるように、全音楽コンテンツにジャンルＩ
Ｄが対応づけられている。ユーザ情報データベースＤＢ
２には、コンテンツプロバイダと契約した会員（ユー
ザ）の会員番号、氏名、住所、電子メールアドレスなど
が予め登録されている。

【００３０】コンテンツ配信サーバ１は、ユーザとの間
がオフラインの時に処理を行うオフライン処理部１１お
よびオンラインの時に処理を行うオンライン処理部１２
を備えている。これら処理部は、記憶装置に格納された
制御プログラムをＣＰＵが実行することにより実現され
るが、その一部の機能をＤＳＰ(Digital Signal Proces
sor)などの半導体集積回路を用いて構成してもよい。

【００３１】オフライン処理部１１は、ユーザが過去に
選択した音楽コンテンツと、提示されたにも拘わらず選
択しなかった音楽コンテンツについて、その各コンテン
ツごとに音響パラメータを抽出する音響パラメータ抽出
部１１１と、重み付け変換係数であるパラメータ変換係
数を計算するパラメータ変換係数計算部１１２（重み付
け変換係数算出手段）とを備えている。なお、抽出され
た音響パラメータおよび算出されたパラメータ変換係数
は、ユーザごとにユーザ情報データベースＤＢ２に格納
される。また、音響パラメータ抽出部１１１は、本発明
の第１の音響パラメータ抽出手段と第３の音響パラメー
タ抽出手段とを兼ね備えた構成となっている。

【００３２】オンライン処理部１２は、プロバイダが保
有する全コンテンツから音響パラメータを抽出する音響
パラメータ抽出部１２１と、抽出された音響パラメータ
を、ユーザ情報データベースＤＢ２に格納されたパラメ
ータ変換係数により変換するパラメータ変換部１２２
と、変換されたパラメータを説明変数として統計手法を
利用した音楽コンテンツの判別分析を行う判別分析部１
２３とを備えている。音響パラメータ抽出部１２１は、
本発明の第２の音響パラメータ抽出手段に相当する。

【００３３】図２は、１回目のユーザアクセスに対する
処理を示すフローチャートである。

【００３４】ステップＳ１においてユーザから音楽コン
テンツの検索要求があると、ステップＳ３で、音楽コン
テンツデータベースＤＢ１内の全音楽コンテンツをユー
ザ端末３の画面へ提示する。この提示および以下に説明
する同様なコンテンツ提示はｈｔｔｐプロトコルを使用
してＨＴＭＬ文書を送信することなどにより容易に行う
ことができる。

【００３５】ステップＳ５で、提示されたコンテンツの
中からユーザが所望のコンテンツを選択すると、選択さ
れたコンテンツのダウンロードが開始される。ダウンロ
ードが終了すると、ステップＳ７でオフライン処理部１
１がオフライン処理を行う。オフライン処理では、以下
のように、音楽コンテンツの音響特性の学習が行われ
る。

【００３６】図３は、ステップＳ７のオフライン処理の
詳細を示すフローチャートである。オフライン処理部１
１の音響パラメータ抽出部１１１は、ステップＳ１１
で、ユーザが選択したコンテンツのそれぞれから音響パ
ラメータ（第１の音響パラメータ）を求め、コンテンツ
に対応づけてユーザ情報データベースＤＢ２に格納す
る。一方、ステップＳ１３では、提示したにも拘わらず
選択されなかったコンテンツそれぞれの音響パラメータ
（第３の音響パラメータ）を求め、コンテンツに対応づ
けてユーザ情報データベースＤＢ２に格納する。なお、
ダウンロード（取得）されたコンテンツに限って音響パ
ラメータを抽出するのではなく、ユーザに選択されたコ
ンテンツを抽出対象としたのは、ダウンロード失敗を考
慮したからである。つまり、ダウンロード失敗があって
も、ユーザに選択されたコンテンツのパラメータ抽出が
中断／中止されることはない。

【００３７】ここで、音響パラメータ抽出部１１１での
音響パラメータの抽出処理をさらに詳細に説明する。

【００３８】図４は、１つの音楽コンテンツからの音響
パラメータの抽出処理を示すフローチャートである。な
お、音響パラメータ抽出部１２１においても、同様の処
理がなされる。

【００３９】先ず、ステップＳ２１では、音楽コンテン
ツからフレームバイフレームで音声パワーを求める（フ
レーム長：３０ｍｓ程度、フレームシフト：５ｍｓ程度
が好ましい）。次に、ステップＳ２３で、音声パワーの
大きい区間（１０秒程度の区間）を抽出する。これをサ
ビの一区間（サビ部）とみなす。サビ部の音声パワー
は、音響パラメータの要素となる。

【００４０】そして、ステップＳ２５で、音楽コンテン
ツをフィルタバンクにより帯域分割する。なお、分割
数：１０〜２０程度が好ましい。そして、ステップＳ２
７では、各帯域の出力ごとにケプストラムを抽出する。

【００４１】なおケプストラムの次数は、音楽データの
サンプリング周波数が４４．１ｋＨｚの場合、３０次程
度とするのが好ましい。また、図示しないが、デルタ
（微分）ケプストラムも抽出しておく。

【００４２】ステップＳ２７の処理と平行して、ステッ
プＳ２９では、各帯域ごとのフィルタ出力から発音時刻
ベクトルを抽出し、続く、ステップＳ３１では、抽出さ
れたベクトルから発音時刻ベクトル強度を計算する。

【００４３】発音時刻ベクトルの抽出アルゴリズムは、
例えば（長嶋洋一、橋本周司、平賀譲、平田圭二編，
「コンピュータと音楽の世界〜基礎からフロンティアま
で」，共立出版、ＩＳＢＮ４−３２０−０２９４２−９
（９９年８月））中の（後藤、「拍節認識（ビートトラ
ッキング）」，第３章３節，ｐｐ．１００−１１６）に
掲載されたものを利用できる。

【００４４】図５は、コンテンツから抽出する音響パラ
メータの構成を示す図である。

【００４５】各帯域のケプストラムについては、時間方
向で平均して各コンテンツごとに１つのベクトル（要素
数：ケプストラム次数と同じ）を求めて音響パラメータ
の要素とする。また、デルタケプストラムも同様に、時
間方向で平均して各コンテンツごとに１つのベクトル
（要素数：ケプストラム次数と同じ）を求めて音響パラ
メータの要素として用いる。

【００４６】音声パワーについては、１次〜４次モーメ
ントをそれぞれ求めて音響パラメータとする。なお１次
モーメントは平均値、２次モーメントは分散、３次モー
メントは歪度、４次モーメントは尖度に相当する。

【００４７】また音声パワーのデルタ（差分）について
も同様に１次〜４次モーメントを計算する。最後に発音
時刻ベクトル強度に関しても１次〜４次モーメントを計
算する。以上により、抽出される音響パラメータの次数
は、２ＸＮＸＣ＋１２となる。ここでＮは帯域分割数、
Ｃはケプストラム次数を表わす。

【００４８】図３に戻り、説明を続ける。ステップＳ１
５では、抽出された音響パラメータを用いて、パラメー
タ変換係数λを計算し、コンテンツに対応づけてユーザ
情報データベースＤＢ２に格納する。ここでは、変換係
数の計算にあっては、グループ内分散とグループ外分散
の比であるＦ比を最大になるようにする。Ｆ比は、以下
の式（１）で表される統計パラメータである。

【００４９】

【数１】 式（１）では、ｍは判別されるグループの個数を表わ
し、本実施の形態のように、ユーザに選択された音楽コ
ンテンツのグループとそうでないグループの２グループ
があるときは、ｍ＝２とする。

【００５０】また、Ｘｉｋはユーザに選択されたコンテ
ンツ群（ｉ＝０の場合）もしくは選択されなかったコン
テンツ群（ｉ＝１の場合）のうちｋ個目のコンテンツの
音響パラメータを、μｉはユーザに選択されたコンテン
ツ群（ｉ＝０の場合）もしくは選択されなかったコンテ
ンツ群（ｉ＝１の場合）の音響パラメータの平均値を、
μは提示した全音楽コンテンツの音響パラメータの平均
値をそれぞれ表わす。

【００５１】Ｆ比の値が大きいほどコンテンツの判別に
有効なパラメータである。

【００５２】具体的には、このＦ比を基準に用いて多数
のパラメータを線形結合して少ない数で有効なパラメー
タセットを生成するために、以下の式（２）のような固
有方程式を解いてパラメータ変換係数λを求める。

【００５３】

【数２】 式（２）のＢは、ユーザに選択されたコンテンツ群と選
択されなかったコンテンツ群の間の共分散行列、Ｗは両
コンテンツ群内の共分散行列を表わす。その定義を以下
の式（３）および式（４）に示す。

【００５４】

【数３】 なお、得られたパラメータ変換係数λは、音響パラメー
タの個数×音響パラメータの個数の行列となる。

【００５５】図６は、２回目以降のユーザアクセスに対
する処理の流れを示すフローチャートである。ステップ
Ｓ５１で、ユーザからの音楽コンテンツの検索要求があ
ると、ステップＳ５３で、オンライン処理部１２が、オ
ンライン処理を行う。オンライン処理では、以下のよう
に、音楽コンテンツデータベースＤＢ１内の全音楽コン
テンツについて、ユーザの趣向に合うか否かの判別を行
う。図７は、ステップＳ５３のオフライン処理を示すフ
ローチャートである。

【００５６】ステップＳ６１では、音楽コンテンツデー
タベースＤＢ１内の各コンテンツの音響パラメータ（第
２の音響パラメータ）を抽出する。なお、かかる処理は
オフライン時でも可能である。続くステップＳ６３で
は、ステップＳ６１で抽出した音響パラメータを、ユー
ザ情報データベースＤＢ２に保存されたユーザのパラメ
ータ変換係数λを用いて変換する。具体的には、パラメ
ータ変換係数λと音響パラメータとを乗ずる（掛け合わ
せる）という行列計算を行う。この処理を音楽コンテン
ツデータベースＤＢ１内の全コンテンツに対して行うこ
とでコンテンツ数分の音響パラメータが求まる。

【００５７】次に、ステップＳ６５では、判別分析部１
２３が、コンテンツ数分のパラメータのそれぞれを説明
変数として、マハラノビス距離を用いた判別分析を行
い、全コンテンツ中で、ユーザが過去に選択したコンテ
ンツ群の重心に、マハラノビス距離尺度で最も近いもの
から順に、例えば１００個程度のコンテンツ抽出する。
ここで抽出されたものが、ユーザが好むと思われる音楽
コンテンツである。なお、ユーザが好まないと思われる
音楽コンテンツについてはその後の処理は行わない。

【００５８】ステップＳ６７では、ステップＳ６５で抽
出されたコンテンツを、対応するジャンルＩＤを基に、
ジャズ，ロックなどの旧来の音楽ジャンルに分類する。

【００５９】図６に戻り、ステップＳ５５では、オンラ
イン処理部１２が、分類されたコンテンツをユーザに提
示する。ステップＳ５３およびＳ５５は、本発明の推奨
コンテンツ検索提示手段に相当する。

【００６０】図８は、ユーザへの音楽コンテンツの提示
画面の構成例を示す図である。図８では、「自動検出結
果」として、画面左側に、ユーザが好みそうな音楽コン
テンツを旧来のジャンル別に整理して提示している。ユ
ーザは、マウスの操作などによりこの中から所望のコン
テンツを選択し取得することができる。一方、画面右側
には、「一般検索画面」として、コンテンツ名やアーチ
スト名などのキーワードを入力するための画面を提供し
て、提示されなかった音楽コンテンツについても検索可
能としている。また、画面右下のように、音楽コンテン
ツデータベースＤＢ１へ最近に格納された新作コンテン
ツを提示してもよい。

【００６１】図６に戻り、ステップＳ５７で、提示され
たコンテンツの中からユーザが所望のコンテンツを選択
すると、選択されたコンテンツのダウンロードが開始さ
れる。続く、ステップＳ５９では、図３に示したオフラ
イン処理（学習）を行い、得られたの音響パラメータお
よびパラメータ変換係数で、ユーザ情報データベースＤ
Ｂ２内のユーザ情報を更新する。

【００６２】なお、本実施の形態では、ユーザの利便性
を考慮して、検索されたコンテンツをさらに、旧来の音
楽ジャンルにより分類したが、かかる付加的な処理を省
略すれば、ジャンルＩＤなどの属性情報が不要となり、
音楽コンテンツを一元的に扱うことができる。

【００６３】なお、オンライン処理部１２は、音楽コン
テンツデータベースＤＢ１から、ユーザが過去に選択し
た音楽コンテンツと音響パラメータが類似するものを検
索してユーザに提示する構成にもでき、この場合は、パ
ラメータ変換係数λによる処理を省略できる。

【００６４】また、１回目のユーザアクセス時には、音
楽コンテンツデータベースＤＢ１の全音楽コンテンツを
提示したが、例えば、旧来のジャンルから数曲づつを選
択して提示しても構わない。

【００６５】また、インターネット上でのコンテンツ配
信サーバ１の位置は何ら限定されるものではなく、必要
に応じて、構内ネットワーク（ＬＡＮ）に設けることも
可能である。その際には、ＴＣＰ／ＩＰ以外のプロトコ
ルが使用可能となる。

【００６６】以上説明したように、本発明の実施の形態
に係る音楽コンテンツ配信装置またはその方法によれ
ば、ユーザが選択した音楽コンテンツの音響パラメータ
を抽出して格納しておき、ユーザによる音楽コンテンツ
の再度の選択に際し、蓄積された音楽コンテンツから抽
出した音響パラメータと格納された音響パラメータとを
用いて、推奨の音楽コンテンツを検索し提示する構成を
有するので、ユーザの趣向に合う音楽コンテンツの推奨
が可能となる。

【００６７】その結果、ユーザにとっては、旧来のジャ
ンルにとらわれずに音楽コンテンツを選択できることか
ら、コンテンツ検索労力が軽減され、しかも、異ジャン
ルのコンテンツとの遭遇機会が増すので、音楽的趣向の
幅を広げることができる。

【００６８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る音楽
コンテンツ供給装置またはその方法によれば、ユーザが
選択した音楽コンテンツの音響パラメータを抽出して格
納しておき、ユーザによる音楽コンテンツの再度の選択
に際し、蓄積された音楽コンテンツから抽出された音響
パラメータと格納された音響パラメータとを用いて、推
奨の音楽コンテンツを検索し提示するので、コンテンツ
検索労力の軽減および未知のコンテンツとの遭遇機会創
出が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を適用するコンテンツ配信
サーバ１の構成および利用形態を示す図である。

【図２】１回目のユーザアクセスに対する処理の示すフ
ローチャートである。

【図３】オフライン処理を示すフローチャートである。

【図４】音響パラメータの抽出処理を示すフローチャー
トである。

【図５】音響パラメータの構成を示す図である。

【図６】２回目以降のユーザアクセスに対する処理のフ
ローチャートである。

【図７】オフライン処理を示すフローチャートである。

【図８】音楽コンテンツの提示画面の構成例を示す図で
ある。

【符号の説明】

１ コンテンツ配信サーバ（音楽コンテンツ配信装置） ２ インターネットサービスプロバイダのコンピュータ ３ ユーザ端末 １１ オフライン処理部 １２ オンライン処理部 １１１ 音響パラメータ抽出部（第１の音響パラメータ
抽出手段、第３の音響パラメータ抽出手段） １１２ パラメータ変換係数計算部 １２１音響パラメータ抽出部（第２の音響パラメータ抽
出手段） １２２ パラメータ変換部 １２３ 判別分析部 ＤＢ１ 音楽コンテンツデータベース ＤＢ２ ユーザ情報データベース ＮＥＴ インターネット

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｇ１０Ｌ 15/02 Ｇ１０Ｌ 3/00 ５３１Ｎ // Ｇ１０Ｌ 101:04 9/16 ３０１Ａ Ｆターム(参考） 5B075 KK03 KK07 KK13 KK33 KK37 ND03 ND14 ND23 ND36 PQ04 PQ05 PQ75 PR03 PR08 QP10 UU40 5D015 FF04 HH05

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 蓄積された音楽コンテンツの中からユー
   ザに選択されたものをネットワークを介して配信する音
   楽コンテンツ配信装置において、 前記選択された音楽コンテンツの音響パラメータを第１
   の音響パラメータとして抽出する第１の音響パラメータ
   抽出手段と、 前記第１の音響パラメータが少なくとも格納されるユー
   ザ情報記憶手段と、 前記ユーザによる音楽コンテンツの再度の選択に際し、
   前記蓄積された音楽コンテンツの音響パラメータを第２
   の音響パラメータとして抽出する第２の音響パラメータ
   抽出手段と、 前記ユーザによる音楽コンテンツの再度の選択に際し、
   前記ユーザ情報記憶手段に格納された第１の音響パラメ
   ータと、前記抽出された第２の音響パラメータとを用い
   て、前記蓄積された音楽コンテンツの中から推奨の音楽
   コンテンツを検索して提示する推奨コンテンツ検索提示
   手段とを具備することを特徴とする音楽コンテンツ配信
   装置。
2. 【請求項２】 前記推奨コンテンツ検索提示手段は、前
   記音楽コンテンツの検索に際し、音響パラメータを説明
   変数とする統計的手法を用いることを特徴とする請求項
   １記載の音楽コンテンツ配信装置。
3. 【請求項３】 前記ユーザに提示されたにも拘わらず選
   択されなかった音楽コンテンツの音響パラメータを第３
   の音響パラメータとして抽出する第３の音響パラメータ
   抽出手段と、 この抽出された第３の音響パラメータと前記第１の音響
   パラメータとを用いて重み付け変換係数を予め算出する
   重み付け変換係数算出手段とを備え、 前記推奨コンテンツ検索提示手段は、前記音楽コンテン
   ツの検索に当たり、前記第２の音響パラメータに前記重
   み付け変換係数を乗じることを特徴とする請求項１又は
   請求項２記載の音楽コンテンツ配信装置。
4. 【請求項４】 前記重み付け変換係数は、前記第１の音
   響パラメータが複数あるときの該音響パラメータ内分散
   と前記第３の音響パラメータが複数あるときの該音響パ
   ラメータ内分散との比を最大とするものであることを特
   徴とする請求項３記載の音楽コンテンツ配信装置。
5. 【請求項５】 抽出される音響パラメータは、ケプスト
   ラム、音声パワー、発音時刻ベクトルのいずれかを少な
   くとも含むことを特徴とする請求項１乃至請求項４のい
   ずれかに記載の音楽コンテンツ配信装置。
6. 【請求項６】 蓄積された音楽コンテンツの中からユー
   ザに選択されたものをネットワークを介して配信すると
   きの音楽コンテンツの配信方法において、 前記選択された音楽コンテンツの音響パラメータを第１
   の音響パラメータとして抽出して格納するステップと、 前記ユーザによる音楽コンテンツの再度の選択に際し、
   前記蓄積された音楽コンテンツの音響パラメータを第２
   の音響パラメータとして抽出するステップと、 前記ユーザによる音楽コンテンツの再度の選択に際し、
   前記ユーザ情報記憶手段に格納された第１の音響パラメ
   ータと、前記抽出された第２の音響パラメータとを用い
   て、前記蓄積された音楽コンテンツの中から推奨の音楽
   コンテンツを検索して提示するステップとを具備するこ
   とを特徴とする音楽コンテンツの配信方法。