JP2002036297A - 円盤状プラスチック成形品及びその成形方法 - Google Patents

円盤状プラスチック成形品及びその成形方法

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JP2002036297A
JP2002036297A JP2000228133A JP2000228133A JP2002036297A JP 2002036297 A JP2002036297 A JP 2002036297A JP 2000228133 A JP2000228133 A JP 2000228133A JP 2000228133 A JP2000228133 A JP 2000228133A JP 2002036297 A JP2002036297 A JP 2002036297A
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disc
cavity
plastic molded
molten resin
shaped plastic
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JP2000228133A
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English (en)
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Jun Watabe
順 渡部
Shinya Senoo
晋哉 妹尾
Toshihiro Kanematsu
俊宏 金松
Toshiharu Hatakeyama
寿治 畠山
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金型コストのアップや、成形作業の作業能率
の低下を防止しつつ、成形品の精度向上を図ることがで
きる円盤状プラスチック成形品及びその成形方法を提供
する。 【解決手段】 金型に形成された複数個のピンゲートか
ら金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出することにより
円盤状に成形され、円盤状本体13の外周側と内周側と
の少なくともいずれか一方に転写部14,15が成形さ
れた円盤状プラスチック成形品において、キャビティの
内周面形状が転写されない複数個の引け凹部17を円盤
状本体13の側面部16に放射状に配列して形成した。
この引け凹部17の形成により、円盤状本体13の外周
側や内周側の転写部14,15に波形の凹凸が発生する
ことを防止でき、転写部14,15の真円度精度が高い
円盤状プラスチック成形品を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円盤状プラスチッ
ク成形品及びその成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】歯車、プーリー等の動力駆動用部品に
は、プラスチック製のものと金属製のものとがある。プ
ラスチック製のものと金属製のものとを比較すると、プ
ラスチック製のものは、自己潤滑性があり、使用時の騒
音が低く、軽量化を図ることができ、耐腐食性が高く、
量産性が高い等の点で優れており、複写機やプリンタ等
の精密機械において広く使用されている。
【0003】このような円盤状プラスチック成形品の成
形は、金型に形成されたキャビティ内へ複数個のピンゲ
ートから溶融樹脂を射出させて行っている。
【0004】図7は、金型1に形成されたキャビティ2
内に複数個のピンゲート3から溶融樹脂を射出した場合
における、キャビティ2内での溶融樹脂の移動状態を説
明する説明図である。
【0005】各ピンゲート3からキャビティ2内へ射出
された溶融樹脂は、矢印で示すように各ピンゲート3を
中心として放射状に広がる。このため、成形される円盤
状プラスチック成形品の中心から放射状に線を引いたと
き、ピンゲート3に向けて引かれたピンゲート方向線a
上と、隣接する2つのピンゲート3の中間に向けて引か
れたピンゲート間方向線b上とでは、溶融樹脂の広がり
状態が異なり、溶融樹脂は破線で示したように花びら形
状に広がっていく。このため、成形された円盤状プラス
チック成形品の外周側では、ピンゲート間方向線b上に
おいて溶融樹脂の充填量が少なくなるという事態が発生
し易く、円盤状プラスチック成形品の外周側に波形の凹
凸が発生し易い。
【0006】円盤状プラスチック成形品の外周側は、キ
ャビティ2の内周面に形成されているギアの歯部などが
転写される転写部であり、真円度の要求が高く、この転
写部に波形の凹凸が発生した場合には製品の精度が著し
く低下する。
【0007】なお、円盤状プラスチック成形品の内周側
は、キャビティ2の内周面に形成されている軸への嵌合
面などが転写される転写部であり、この部分も外周側と
同じように真円度の要求が高いが、上述した理由と同じ
理由で、円盤状プラスチック成形品の内周側にも波形の
凹凸が発生し易い。
【0008】従来、このような円盤状プラスチック成形
品の外周側や内周側の転写部での波形の凹凸の発生を防
止するために様々な提案がなされており、例えば、金型
に形成するピンゲートの数を増やすことにより、円盤状
プラスチック成形品の外周側や内周側の転写部で発生す
る波形の凹凸を小さくすることができる。
【0009】また、特開平4−238008号公報に記
載されているように、円盤状プラスチック成形品の成形
品ディスク部の肉厚をピンゲートに対向する領域におい
て他の領域より厚くすることにより、厚さの違いによる
溶融樹脂が固まるときの収縮量の差を利用して、円盤状
プラスチック成形品の外周側や内周側の転写部での波形
の凹凸の発生を防止することができる。
【0010】また、特開平11−156892号公報に
記載されているように、ピンゲートからキャビティ内に
射出された溶融樹脂が一旦蓄える均圧部をキャビティの
一部として形成し、均圧部に蓄えられた溶融樹脂をこの
均圧部からキャビティ内の外周側や内周側に向けて略均
一に流出させることにより、円盤状プラスチック成形品
の外周側や内周側の転写部での波形の凹凸の発生を防止
することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】円盤状プラスチック成
形品の外周側や内周側の転写部で発生する波形の凹凸を
小さくするために金型のピンゲートの数を増やす場合に
は、金型の構造が複雑になり、金型コストがアップす
る。さらに、ピンゲートの数を増やすことに伴って波形
の凹凸を小さくすることはできるが、依然として波型の
凹凸は残るため、円盤状プラスチック成形品の高精度化
を達成することは困難である。
【0012】特開平4−238008号公報に記載され
ているように、円盤状プラスチック成形品の成形品ディ
スク部の肉厚をピンゲートに対向する領域と他の領域と
で変える場合には、肉厚差をどの程度にすればよいのか
という予測が難しく、高精度な円盤状プラスチック成形
品を成形する場合には金型の試作を何度も繰り返す必要
があり、手間がかかるとともに金型コストのアップが著
しい。
【0013】特開平11−156892号公報に記載さ
れているように、キャビティ内に均圧部を形成した場合
には、この均圧部の容積が小さ過ぎると均圧化の効果が
少なく目的を達成できない。一方、この均圧部の容積が
大き過ぎると、この均圧部内の溶融樹脂が冷却固化され
るまでに要する時間が長くなり、円盤状プラスチック成
形品の成形サイクルが長くなって円盤状プラスチック成
形品を成形する作業能率が低下する。
【0014】そこで本発明は、金型コストのアップや、
成形作業の作業能率の低下を防止しつつ、成形品の精度
向上を図ることができる円盤状プラスチック成形品及び
その成形方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
金型に形成された複数個のピンゲートから前記金型のキ
ャビティ内に溶融樹脂を射出することにより円盤状に成
形され、円盤状本体の外周側と内周側との少なくともい
ずれか一方に転写部が成形された円盤状プラスチック成
形品において、前記キャビティの内周面形状が転写され
ない複数個の引け凹部を前記円盤状本体の側面部に放射
状に配列して形成した。
【0016】したがって、ピンゲートからキャビティ内
に射出された溶融樹脂がキャビティ内で放射状に広がる
とき、溶融樹脂がキャビティの外周側端部や内周側端部
に到達するタイミングにバラツキを生じ、到達するタイ
ミングが遅い箇所では溶融樹脂の充填量が不足ぎみとな
る。しかし、引け凹部を形成することにより、この引け
凹部の容積に相当する量の溶融樹脂がキャビティの外周
側端部や内周側端部における溶融樹脂の充填量が不足ぎ
みとなる箇所に追加して充填される状態となり、これに
より、キャビティの外周側端部や内周側端部に充填され
る溶融樹脂の充填量のバラツキを修正して略均一にする
ことができ、円盤状本体の外周側や内周側の転写部に波
形の凹凸が発生することを防止でき、転写部の真円度精
度が高い円盤状プラスチック成形品を得ることができ
る。
【0017】請求項2記載の発明は、請求項1記載の円
盤状プラスチック成形品において、成形時に前記ピンゲ
ートに対向した位置に向けて前記円盤状本体の中心から
ピンゲート方向線を前記側面部に沿って引いたとき、隣
接する2本の前記ピンゲート方向線の略中央部となる位
置に前記引け凹部を形成した。
【0018】したがって、ピンゲートからキャビティ内
に射出された溶融樹脂は、キャビティの外周側端部や内
周側端部に到達するタイミングはピンゲート方向線上で
早く、隣接する2つのピンゲート方向線の中央部におい
て遅くなり、この遅くなった箇所で溶融樹脂の充填量が
不足ぎみとなる。そこで、引け凹部を、隣接する2本の
前記ピンゲート方向線の略中央部となる位置に形成する
ことにより、溶融樹脂の充填量が不足ぎみとなる箇所に
溶融樹脂が追加して充填される状態となる。これによ
り、キャビティの外周側端部や内周側端部に充填される
溶融樹脂の充填量のバラツキを修正して略均一にするこ
とができ、円盤状本体の外周側や内周側の転写部に波形
の凹凸が発生することを防止でき、転写部の真円度精度
が高い円盤状プラスチック成形品を得ることができる。
【0019】請求項3記載の発明は、金型に形成された
複数個のピンゲートから前記金型のキャビティ内に溶融
樹脂を射出することにより円盤状本体の外周側と内周側
との少なくともいずれか一方に転写部を有する円盤状プ
ラスチック成形品を成形する円盤状プラスチック成形品
の成形方法において、前記キャビティの内周面形状が転
写されない複数個の引け凹部を前記円盤状本体の側面部
に放射状に配列して形成するようにした。
【0020】したがって、ピンゲートからキャビティ内
に射出された溶融樹脂がキャビティ内で放射状に広がる
とき、溶融樹脂がキャビティの外周側端部や内周側端部
に到達するタイミングにバラツキを生じ、到達するタイ
ミングが遅い箇所では溶融樹脂の充填量が不足ぎみとな
る。しかし、引け凹部を形成することにより、この引け
凹部の容積に相当する量の溶融樹脂がキャビティの外周
側端部や内周側端部における溶融樹脂の充填量が不足ぎ
みとなる箇所に追加して充填される状態となり、これに
より、キャビティの外周側端部や内周側端部に充填され
る溶融樹脂の充填量のバラツキを修正して略均一にする
ことができ、円盤状本体の外周側や内周側の転写部に波
形の凹凸が発生することを防止でき、転写部の真円度精
度が高い円盤状プラスチック成形品を成形することがで
きる。
【0021】請求項4記載の発明は、請求項3記載の円
盤状プラスチック成形品の成形方法において、成形時に
前記ピンゲートに対向する位置に向けて前記円盤状本体
の中心からピンゲート方向線を前記側面部に沿って引い
たとき、隣接する2本の前記ピンゲート方向線の略中央
部に前記引け凹部を形成するようにした。
【0022】したがって、ピンゲートからキャビティ内
に射出された溶融樹脂は、キャビティの外周側端部や内
周側端部に到達するタイミングはピンゲート方向線上で
早く、隣接する2つのピンゲート方向線の中央部におい
て遅くなり、この遅くなった箇所で溶融樹脂の充填量が
不足ぎみとなる。そこで、引け凹部を、隣接する2本の
前記ピンゲート方向線の略中央部となる位置に形成する
ことにより、溶融樹脂の充填量が不足ぎみとなる箇所に
溶融樹脂が追加して充填される状態となる。これによ
り、キャビティの外周側端部や内周側端部に充填される
溶融樹脂の充填量のバラツキを修正して略均一にするこ
とができ、円盤状本体の外周側や内周側の転写部に波形
の凹凸が発生することを防止でき、転写部の真円度精度
が高い円盤状プラスチック成形品を成形することができ
る。
【0023】請求項5記載の発明は、請求項3又は4記
載の円盤状プラスチック成形品の成形方法において、前
記引け凹部の形成領域と深さとの少なくともいずれか一
方を調節自在とした。
【0024】したがって、引け凹部の容積を必要に応じ
て調節することができ、これにより、キャビティの外周
側端部や内周側端部へ追加して充填される状態となる溶
融樹脂の量を適宜調節することができ、この調節によっ
て円盤状本体の外周側や内周側の転写部に波形の凹凸が
発生することをより確実に防止でき、転写部の真円度精
度がより高い円盤状プラスチック成形品を得ることがで
きる。
【0025】請求項6記載の発明は、請求項3ないし5
のいずれか一記載の円盤状プラスチック成形品の成形方
法において、前記金型に前記キャビティ内に連通する連
通孔を形成し、前記キャビティ内に溶融樹脂を射出した
後に前記連通孔から圧縮気体を付与することにより前記
引け凹部を形成するようにした。
【0026】したがって、キャビティ内に溶融樹脂を射
出した後、連通孔から圧縮気体を付与することにより、
キャビティ内で成形される円盤状本体の側面部に引け凹
部を容易に形成することができ、これにより、円盤状本
体の転写部に波形の凹凸が発生することを防止できる。
【0027】請求項7記載の発明は、請求項6記載の円
盤状プラスチック成形品の成形方法において、圧縮気体
の付与量と付与タイミングとの少なくともいずれか一方
を調節することにより前記引け凹部の形成領域と深さと
の少なくともいずれか一方を調節するようにした。
【0028】したがって、引け凹部の容積を必要に応じ
て調節することができ、これにより、キャビティの外周
側端部や内周側端部へ追加して充填される状態となる溶
融樹脂の量を適宜調節することができ、この調節によっ
て円盤状本体の外周側や内周側の転写部に波形の凹凸が
発生することをより確実に防止でき、転写部の真円度精
度がより高い円盤状プラスチック成形品を成形すること
ができる。
【0029】請求項8記載の発明は、請求項3ないし5
のいずれか一記載の円盤状プラスチック成形品の成形方
法において、前記キャビティ内に射出された溶融樹脂か
ら離反する方向へ摺動自在な摺動壁部を前記金型に形成
し、前記キャビティ内に溶融樹脂を射出した後に前記摺
動壁部を離反方向へ摺動させることにより前記引け凹部
を形成するようにした。
【0030】したがって、キャビティ内に溶融樹脂を充
填した後、摺動壁部を溶融樹脂から離反する方向へ摺動
させることにより、キャビティ内で成形される円盤状本
体の側面部に引け凹部を容易に形成することができ、こ
れにより、円盤状本体の転写部に波形の凹凸が発生する
ことを防止できる。
【0031】請求項9記載の発明は、請求項8記載の円
盤状プラスチック成形品の成形方法において、前記キャ
ビティ内に連通する連通孔を前記摺動壁部に形成し、前
記キャビティ内に溶融樹脂を射出した後に前記摺動壁部
を離反方向へ摺動させることにより前記引け凹部を形成
し、この引け凹部に前記連通孔から圧縮気体を付与する
ことにより前記引け凹部の形成領域と深さとの少なくと
もいずれか一方を調節するようにした。
【0032】したがって、摺動壁部を摺動させて引け凹
部を形成し、この引け凹部へ連通孔から圧縮気体を付与
することにより、引け凹部の容積を必要に応じて調節す
ることができ、これにより、キャビティの外周側端部や
内周側端部へ追加して充填される状態となる溶融樹脂の
量を適宜調節することができ、この調節によって円盤状
本体の外周側や内周側の転写部に波形の凹凸が発生する
ことをより確実に防止でき、転写部の真円度精度がより
高い円盤状プラスチック成形品を成形することができ
る。
【0033】請求項10記載の発明は、請求項6,7又
は9記載の円盤状プラスチック成形品の成形方法におい
て、前記連通孔の内径寸法を0.001〜0.5mmとし
た。
【0034】したがって、連通孔の内径寸法が小さいの
でこの連通孔内へ溶融樹脂の入り込みが発生せず、連通
孔内に溶融樹脂が入り込むことが原因となるバリの発生
が防止される。
【0035】請求項11記載の発明は、請求項3ないし
5のいずれか一記載の円盤状プラスチック成形品の成形
方法において、前記キャビティの表面温度を調節する温
度調節機構を前記金型に設け、前記キャビティの表面温
度を調節することにより前記引け凹部を形成するように
した。
【0036】したがって、キャビティの表面温度を温度
調節機構で調節することによりこのキャビティ内で成形
される円盤状本体の側面部に引け凹部を形成することが
でき、これにより、円盤状本体の外周側や内周側の転写
部に波形の凹凸が発生することを防止でき、転写部の真
円度精度が高い円盤状プラスチック成形品を成形するこ
とができる。
【0037】請求項12記載の発明は、請求項3ないし
5のいずれか一記載の円盤状プラスチック成形品の成形
方法において、前記キャビティ内に射出された溶融樹脂
との密着強度が低くなる密着強度低下部を前記金型に設
け、この密着強度低下部と対向する位置に前記引け凹部
を形成するようにした。
【0038】したがって、キャビティ内に溶融樹脂を射
出してこのキャビティ内で円盤状本体を成形したとき
に、密着強度低下部の形成位置に対向する位置に引け凹
部を形成することができ、これにより、円盤状本体の外
周側や内周側の転写部に波形の凹凸が発生することを防
止でき、転写部の真円度精度が高い円盤状プラスチック
成形品を成形することができる。
【0039】請求項13記載の発明の円盤状プラスチッ
ク成形品の成形方法は、請求項5ないし12記載の円盤
状プラスチック成形品の成形方法の少なくとも2つ以上
を併用するようにした。
【0040】したがって、円盤状本体の側面部へ引け凹
部を形成するときに、希望する領域に希望する深さで確
実に形成することができ、これにより、円盤状本体の転
写部における波形の凹凸の発生をより一層確実に防止で
き、転写部の真円度精度が非常に高い円盤状プラスチッ
ク成形品を成形することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態を図1
ないし図3に基づいて説明する。図1は、金型の構造を
示す縦断正面図、図2は成形された円盤状プラスチック
成形品を示す平面図、図3はその縦断正面図である。
【0042】金型4は、固定式の上型5と可動式の下型
6とから構成され、上型5の空隙部と下型6の空隙部と
に挟まれた部分にキャビティ7が形成されている。キャ
ビティ7は円盤状に形成された空隙であり、このキャビ
ティ7内に溶融樹脂が射出されて冷却固化されることに
より円盤状プラスチック成形品8が成形される。
【0043】上型5には、溶融樹脂が供給される流路9
と、流路9内を供給された溶融樹脂がキャビティ7内に
射出される複数個のピンゲート10とが形成されてい
る。
【0044】上型5と下型6とにはそれぞれキャビティ
7内に連通される複数個の連通孔11が形成されてい
る。これらの連通孔11は、圧縮気体供給源12に接続
されている。連通孔11の内径寸法、より詳しくは、連
通孔11におけるキャビティ7に開口する部分の内径寸
法は、0.001〜0.5mmとされている。
【0045】図2及び図3は、金型4で形成された円盤
状プラスチック成形品8を示すもので、この円盤状プラ
スチック成形品8は、円盤状本体13と、円盤状本体1
3の外周側に形成されてキャビティ7の外周側端部に形
成されている形状(例えば、ギアの歯部形状)が転写さ
れた転写部である外周側転写部14と、円盤状本体13
の内周側に形成されてキャビティ7の内周側端部に形成
されている形状(例えば、軸への嵌合穴形状)が転写さ
れた転写部である内周側転写部15とから構成されてい
る。円盤状本体13の上下の側面部16には、連通孔1
1からキャビティ7内に圧縮気体が供給されることによ
り形成された複数個の引け凹部17が等間隔で放射状に
配列して形成されている。なお、図2に示した符号10
aは、キャビティ7内へ溶融樹脂の射出が行われたピン
ゲート10の痕跡を示したものである。
【0046】図2に示されたように、円盤状本体13の
中心からピンゲート痕跡10a(即ち、成形時にピンゲ
ート10に対向した位置)に向けてピンゲート方向線a
を引いたとき、隣接する2本のピンゲート方向線aの略
中央部に位置して引け凹部17が形成されている。
【0047】このような構成において、上述した金型4
を用いて行われる円盤状プラスチック成形品8の成形時
においては、溶融樹脂が流路9内を流れて供給され、こ
の溶融樹脂がピンゲート10からキャビティ7内に射出
される。キャビティ7内に射出された溶融樹脂は図7に
おいて説明した場合と同じように、各ピンゲート10を
中心にして放射状に広がるとともにキャビティ7内全体
としては破線で示すように花びら形状に広がる。
【0048】このため、キャビティ7内に射出された溶
融樹脂がキャビティ7の外周側端部や内周側端部に到達
するタイミングは、破線で示す花びら状となり、バラツ
キが生じる。そして、キャビティ7の外周側端部や内周
側端部における溶融樹脂の到達タイミングが遅い箇所で
は、溶融樹脂の充填量が不足ぎみとなる。
【0049】キャビティ7内に射出された溶融樹脂は時
間の経過とともに冷却固化され、この冷却固化される過
程で樹脂圧力が所定の値になったとき、圧縮気体供給源
12を駆動させ、円盤状本体13の側面部16に対向し
て形成されている連通孔11からキャビティ7内へ圧縮
気体を吹き付ける。この圧縮気体の吹き付けにより、円
盤状本体13の側面部16における連通孔11に対向し
ている部分には引け凹部17が形成される。
【0050】このような引け凹部17が形成されること
により、この引け凹部17の容積に相当する量の溶融樹
脂がキャビティ7の外周側端部や内周側端部に追加して
充填される状態となる。そして、この引け凹部17が形
成される位置が、隣接する2本のピンゲート方向線aの
略中央部であってキャビティ7内に射出された溶融樹脂
がキャビティ7の外周側端部や内周側端部に到達するタ
イミングが遅れるとともに溶融樹脂の充填量が不足ぎみ
になる箇所に対応する位置であるので、溶融樹脂の充填
量が不足ぎみとなる箇所に溶融樹脂が追加して充填され
る状態となる。
【0051】これにより、キャビティ7の外周側端部や
内周側端部に充填される溶融樹脂の充填量のバラツキを
修正して略均一にすることができ、円盤状本体13の外
周側転写部14や内周側転写部15に波形の凹凸が発生
することを防止でき、外周側転写部14や内周側転写部
15の真円度精度が高い円盤状プラスチック成形品8を
得ることができる。
【0052】なお、圧縮気体供給源12の駆動タイミン
グや出力を調節することにより、圧縮気体の付与量と付
与タイミングとを適宜調節することができ、それによっ
て、引け凹部17の形成領域や深さを調節することがで
きる。このため、引け凹部17の容積を調節することが
でき、キャビティ7の外周側端部や内周側端部へ追加し
て充填される状態となる溶融樹脂の量を調節することが
できる。そして、この調節によって円盤状本体13の外
周側転写部14や内周側転写部15に波形の凹凸が発生
することをより確実に防止でき、外周側転写部14や内
周側転写部15の真円度精度がより高い円盤状プラスチ
ック成形品8を得ることができる。
【0053】また、連通孔11の内径寸法が0.001
〜0.5mmと小さいので、キャビティ7内へ射出され
た溶融樹脂の連通孔11への入り込みが発生せず、溶融
樹脂が連通孔11内に入り込むことが原因となるバリの
発生が防止される。
【0054】つぎに、本発明の第2の実施の形態を図4
及び図5に基づいて説明する。なお、図1ないし図3に
おいて説明した部分と同じ部分は同じ符号で示し、説明
も省略する。
【0055】図4及び図5はともに金型4aの構造を示
す縦断正面図である。この金型4aは、固定式の上型5
aと可動式の下型6aとから構成され、上型5aの空隙
部と下型6aの空隙部とに挟まれた部分にキャビティ7
が形成されている。キャビティ7は円盤状に形成された
空隙であり、このキャビティ7内に溶融樹脂が射出され
て冷却固化されることにより円盤状プラスチック成形品
8が成形される。
【0056】上型5aには、溶融樹脂が供給される流路
9と、流路9内を供給された溶融樹脂がキャビティ7内
に射出される複数個のピンゲート10とが形成されてい
る。
【0057】上型5aと下型6aとには、それぞれ複数
の摺動壁部18が形成されている。これらの摺動壁部1
8は、キャビティ7内に射出された溶融樹脂から離反す
る方向へ、言い換えれば、キャビティ7内で成形される
円盤状本体13の側面部16から離反する方向へ摺動自
在に設けられている。摺動壁部18には圧力制御装置1
9が連結されている。
【0058】このような構成において、上述した金型4
aを用いて行われる円盤状プラスチック成形品8の成形
時においては、溶融樹脂が流路9内を流れて供給され、
この溶融樹脂がピンゲート10からキャビティ7内に射
出される。キャビティ7内に射出された溶融樹脂は図7
の矢印で示す場合と同じように、各ピンゲート10を中
心にして放射状に広がるとともにキャビティ7内全体と
しては破線で示すように花びら形状に広がる(図2参
照)。また、キャビティ7内への溶融樹脂の射出時に
は、摺動壁部18は、図4に示すように、キャビティ7
の内周面であって円盤状本体13の側面部16に対向す
る他の部分と同一面となる位置に位置している。
【0059】ここで、キャビティ7内に射出された溶融
樹脂がキャビティ7の外周側端部や内周側端部に到達す
るタイミングは、破線で示す花びら状となり、バラツキ
が生じる。そして、キャビティ7の外周側端部や内周側
端部における溶融樹脂の到達タイミングが遅い箇所で
は、溶融樹脂の充填量が不足ぎみとなる(図2参照)。
【0060】キャビティ7内に射出された溶融樹脂は時
間の経過とともに冷却固化され、この冷却固化される過
程で樹脂圧力が所定の値になったとき、圧力制御装置1
9を駆動させ、図5に示すように、摺動壁部18をキャ
ビティ7内に射出された溶融樹脂から離反させる方向
(矢印方向)へ摺動させる。これにより、キャビティ7
内で成形される円盤状本体13の側面部16であって摺
動壁部18に対向する部分に引け凹部17が形成され
る。
【0061】このような引け凹部17が形成されること
により、第1の実施の形態での説明と同じように、この
引け凹部17の容積に相当する量の溶融樹脂がキャビテ
ィ7の外周側端部や内周側端部に追加して充填される状
態となり、キャビティ7の外周側端部や内周側端部に充
填される溶融樹脂の充填量のバラツキを修正して略均一
にすることができ、円盤状本体13の外周側転写部14
や内周側転写部15に波形の凹凸が発生することを防止
でき、外周側転写部14や内周側転写部15の真円度精
度が高い円盤状プラスチック成形品8を得ることができ
る。
【0062】つぎに、本発明の第3の実施の形態を図6
に基づいて説明する。なお、図1ないし図5において説
明した部分と同じ部分は同じ符号で示し、説明も省略す
る。
【0063】本実施の形態は、上型5bと下型6bとか
ら構成される金型4bに、第2の実施の形態で説明した
摺動壁部18と圧力制御装置19とを設け、さらに、第
1の実施の形態で説明した連通孔11と圧縮気体供給源
12とを設けたものである。連通孔11は、摺動壁部1
8に形成されている。
【0064】このような構成において、上述した金型4
bを用いて行われる円盤状プラスチック成形品8の成形
時においては、溶融樹脂が流路9内を流れて供給され、
この溶融樹脂がピンゲート10からキャビティ7内に射
出される。キャビティ7内に射出された溶融樹脂は時間
の経過とともに冷却固化され、この冷却固化される過程
で樹脂圧力が所定の値になったとき、圧力制御装置19
を駆動させ、摺動壁部18をキャビティ7内に射出され
た溶融樹脂から離反させる方向(矢印方向)へ摺動させ
る。これにより、キャビティ7内で成形される円盤状本
体13の側面部16であって摺動壁部18に対向する部
分に引け凹部17が形成される。
【0065】さらに、このような引け凹部17が形成さ
れた後に圧縮気体供給源12を駆動させ、連通孔11か
ら引け凹部17に圧縮気体を吹き付け、引け凹部17の
形成領域や深さを調節する。
【0066】これにより、引け凹部17の容積調節を高
精度に行え、キャビティ7の外周側端部や内周側端部へ
追加して充填される状態となる溶融樹脂の量を高精度に
調節することができる。そして、この調節によって円盤
状本体13の外周側転写部14や内周側転写部15に波
形の凹凸が発生することをより確実に防止でき、外周側
転写部14や内周側転写部15の真円度精度がより高い
円盤状プラスチック成形品8を得ることができる。
【0067】つぎに、本発明の第4の実施の形態につい
て説明する。本実施の形態の説明では図面を使用しない
が、本実施の形態は、円盤状プラスチック成形品を成形
する金型に、キャビティの表面温度を調節する温度調節
機構を設け、この温度調節機構での調節によりキャビテ
ィの表面温度を調節し、円盤状プラスチック成形品の円
盤状本体の側面部に引け凹部を形成するようにしたもの
である。
【0068】温度調節機構としては、金型を冷却する冷
却配管のレイアウトを変更したり、金型を加熱するヒー
ターとして部分的に加熱温度を変更できる分割ヒーター
を用いたりすることにより実現できる。
【0069】このような構成において、金型内に溶融樹
脂を射出した後、金型温度を部分的に下げることによ
り、温度が下がった部分と対向する部分に引け凹部を形
成することができる。
【0070】そして、上述した各実施の形態と同じよう
に、必要な箇所に引け凹部を形成することにより、円盤
状本体の外周側転写部や内周側転写部に波形の凹凸が発
生することを防止でき、外周側転写部や内周側転写部の
真円度精度が高い円盤状プラスチック成形品を得ること
ができる。
【0071】つぎに、本発明の第5の実施の形態につい
て説明する。本実施の形態の説明では図面を使用しない
が、本実施の形態は、円盤状プラスチック成形品を成形
する金型におけるキャビティの内周面の一部に、キャビ
ティ内に射出された溶融樹脂との密着強度が低くなる密
着度低下部を設け、円盤状プラスチック成形品の円盤状
本体の側面部における密着度低下部に対向する位置に引
け凹部を形成するようにしたものである。
【0072】密着度低下部としては、キャビティの内周
面を溶融樹脂との密着度が低い材料で表面処理すること
で実現でき、その材料としては、窒化チタン(TiN)、
シアン化チタン(TiCN)、タングステンカーバイト(W2
C)、テフロン(登録商標)系樹脂を用いることができ
る。
【0073】金型内に溶融樹脂を射出した後、溶融樹脂
が冷却固化される過程において、密着度低下部に対向す
る位置に引け凹部に自動的に形成され、このような引け
凹部が形成されることにより、上述した各実施の形態と
同じように、円盤状本体の外周側転写部や内周側転写部
に波形の凹凸が発生することを防止でき、外周側転写部
や内周側転写部の真円度精度が高い円盤状プラスチック
成形品を得ることができる。
【0074】なお、円盤状プラスチック成形品8の成形
時における引け凹部17の形成に際しては、上述した各
実施の形態の方法を単独で実施するのではなく、2つ以
上の方法を併用してもよい。例えば、摺動壁部18を摺
動させる方法と温度調節機構とを使用する方法との併用
や、連通孔11から圧縮気体を吹き出す方法と密着度低
下部を用いる方法との併用等である。
【0075】このように2つ以上の方法を併用すること
により、引け凹部17の形成をより一層確実に行うこと
ができるようになり、円盤状本体13の外周側転写部1
4や内周側転写部15における波形の凹凸の発生をより
一層確実に防止でき、外周側転写部14や内周側転写部
15の真円度精度が非常に高い円盤状プラスチック成形
品8を得ることができる。
【0076】
【発明の効果】請求項1記載の発明の円盤状プラスチッ
ク成形品によれば、キャビティの内周面形状が転写され
ない複数個の引け凹部を円盤状本体の側面部に放射状に
配列して形成したので、ピンゲートからキャビティ内に
射出された溶融樹脂がキャビティ内で放射状に広がり、
溶融樹脂がキャビティの外周側端部や内周側端部に到達
するタイミングにバラツキを生じて到達するタイミング
が遅い箇所で溶融樹脂の充填量が不足ぎみとなったと
き、引け凹部の容積に相当する量の溶融樹脂がキャビテ
ィの外周側端部や内周側端部における溶融樹脂の充填量
が不足ぎみとなる箇所に追加して充填される状態とな
り、これにより、キャビティの外周側端部や内周側端部
に充填される溶融樹脂の充填量のバラツキを修正して略
均一にすることができ、円盤状本体の外周側や内周側の
転写部に波形の凹凸が発生することを防止でき、転写部
の真円度精度が高い円盤状プラスチック成形品を得るこ
とができる。
【0077】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の円盤状プラスチック成形品において、成形時にピン
ゲートに対向した位置に向けて円盤状本体の中心からピ
ンゲート方向線を側面部に沿って引いたとき、隣接する
2本のピンゲート方向線の略中央部となる位置に引け凹
部を形成したので、キャビティの外周側端部や内周側端
部に充填される溶融樹脂の充填量のバラツキを有効に修
正して略均一にすることができ、円盤状本体の外周側や
内周側の転写部に波形の凹凸が発生すること有効に防止
できるとともに転写部の真円度精度が高い円盤状プラス
チック成形品を得ることができる。
【0078】請求項3記載の発明の円盤状プラスチック
成形品の成形方法によれば、キャビティの内周面形状が
転写されない複数個の引け凹部を円盤状本体の側面部に
放射状に配列して形成するようにしたので、ピンゲート
からキャビティ内に射出された溶融樹脂がキャビティ内
で放射状に広がり、溶融樹脂がキャビティの外周側端部
や内周側端部に到達するタイミングにバラツキを生じて
到達するタイミングが遅い箇所で溶融樹脂の充填量が不
足ぎみとなったとき、引け凹部の容積に相当する量の溶
融樹脂がキャビティの外周側端部や内周側端部における
溶融樹脂の充填量が不足ぎみとなる箇所に追加して充填
される状態となり、これにより、キャビティの外周側端
部や内周側端部に充填される溶融樹脂の充填量のバラツ
キを修正して略均一にすることができ、円盤状本体の外
周側や内周側の転写部に波形の凹凸が発生することを防
止でき、転写部の真円度精度が高い円盤状プラスチック
成形品を成形することができる。
【0079】請求項4記載の発明によれば、請求項3記
載の円盤状プラスチック成形品の成形方法において、成
形時にピンゲートに対向する位置に向けて円盤状本体の
中心からピンゲート方向線を側面部に沿って引いたと
き、隣接する2本のピンゲート方向線の略中央部に引け
凹部を形成するようにしたので、キャビティの外周側端
部や内周側端部に充填される溶融樹脂の充填量のバラツ
キを有効に修正して略均一にすることができ、円盤状本
体の外周側や内周側の転写部に波形の凹凸が発生するこ
と有効に防止できるとともに転写部の真円度精度が高い
円盤状プラスチック成形品を成形することができる。
【0080】請求項5記載の発明によれば、請求項3又
は4記載の円盤状プラスチック成形品の成形方法におい
て、引け凹部の形成領域と深さとの少なくともいずれか
一方を調節自在としたので、引け凹部の容積を必要に応
じて調節することができ、これにより、キャビティの外
周側端部や内周側端部へ追加して充填される状態となる
溶融樹脂の量を適宜調節することができ、この調節によ
って円盤状本体の外周側や内周側の転写部に波形の凹凸
が発生することをより確実に防止でき、転写部の真円度
精度がより高い円盤状プラスチック成形品を成形するこ
とができる。
【0081】請求項6記載の発明によれば、請求項3な
いし5のいずれか一記載の円盤状プラスチック成形品の
成形方法において、金型にキャビティ内に連通する連通
孔を形成し、キャビティ内に溶融樹脂を射出した後に連
通孔から圧縮気体を付与することにより引け凹部を形成
するようにしたので、連通孔から圧縮気体を付与するこ
とによって円盤状本体の側面部に容易に引け凹部を形成
することができる。
【0082】請求項7記載の発明によれば、請求項6記
載の円盤状プラスチック成形品の成形方法において、圧
縮気体の付与量と付与タイミングとの少なくともいずれ
か一方を調節することにより引け凹部の形成領域と深さ
との少なくともいずれか一方を調節するようにしたの
で、キャビティの外周側端部や内周側端部へ追加して充
填される状態となる溶融樹脂の量を適宜調節することが
でき、この調節によって円盤状本体の外周側や内周側の
転写部に波形の凹凸が発生することをより確実に防止で
き、転写部の真円度精度がより高い円盤状プラスチック
成形品を成形することができる。
【0083】請求項8記載の発明によれば、請求項3な
いし5のいずれか一記載の円盤状プラスチック成形品の
成形方法において、キャビティ内に射出された溶融樹脂
から離反する方向へ摺動自在な摺動壁部を金型に形成
し、キャビティ内に溶融樹脂を射出した後に摺動壁部を
離反方向へ摺動させることにより引け凹部を形成するよ
うにしたので、摺動壁部を溶融樹脂から離反する方向へ
摺動させることによって円盤状本体の側面部に容易に引
け凹部を形成することができる。
【0084】請求項9記載の発明によれば、請求項8記
載の円盤状プラスチック成形品の成形方法において、キ
ャビティ内に連通する連通孔を摺動壁部に形成し、キャ
ビティ内に溶融樹脂を射出した後に摺動壁部を離反方向
へ摺動させることにより引け凹部を形成し、この引け凹
部に連通孔から圧縮気体を付与することにより引け凹部
の形成領域と深さとの少なくともいずれか一方を調節す
るようにしたので、摺動壁部を摺動させて引け凹部を形
成し、この引け凹部へ連通孔から圧縮気体を付与するこ
とにより、引け凹部の容積を必要に応じて調節すること
ができ、これにより、キャビティの外周側端部や内周側
端部へ追加して充填される状態となる溶融樹脂の量を適
宜調節することができ、この調節によって円盤状本体の
外周側や内周側の転写部に波形の凹凸が発生することを
より確実に防止でき、転写部の真円度精度がより高い円
盤状プラスチック成形品を成形することができる。
【0085】請求項10記載の発明によれば、請求項
6,7又は9記載の円盤状プラスチック成形品の成形方
法において、連通孔の内径寸法を0.001〜0.5mm
としたので、連通孔内へ溶融樹脂の入り込みを防止し、
連通孔内に溶融樹脂が入り込むことが原因となるバリの
発生を防止できる。
【0086】請求項11記載の発明によれば、請求項3
ないし5のいずれか一記載の円盤状プラスチック成形品
の成形方法において、キャビティの表面温度を調節する
温度調節機構を金型に設け、キャビティの表面温度を調
節することにより引け凹部を形成するようにしたので、
キャビティの表面温度を温度調節機構で調節することに
よりこのキャビティ内で成形される円盤状本体の側面部
に引け凹部を形成することができ、これにより、円盤状
本体の外周側や内周側の転写部に波形の凹凸が発生する
ことを防止でき、転写部の真円度精度が高い円盤状プラ
スチック成形品を成形することができる。
【0087】請求項12記載の発明によれば、請求項3
ないし5のいずれか一記載の円盤状プラスチック成形品
の成形方法において、キャビティ内に射出された溶融樹
脂との密着強度が低くなる密着強度低下部を金型に設
け、この密着強度低下部と対向する位置に引け凹部を形
成するようにしたので、キャビティ内に溶融樹脂を射出
してこのキャビティ内で円盤状本体を成形したときに、
密着強度低下部の形成位置に対向する位置に引け凹部を
形成することができ、これにより、円盤状本体の外周側
や内周側の転写部に波形の凹凸が発生することを防止で
き、転写部の真円度精度が高い円盤状プラスチック成形
品を成形することができる。
【0088】請求項13記載の発明の円盤状プラスチッ
ク成形品の成形方法によれば、請求項5ないし12記載
の円盤状プラスチック成形品の成形方法の少なくとも2
つ以上を併用するようにしたので、円盤状本体の側面部
へ引け凹部を形成するときに、希望する領域に希望する
深さで確実に形成することができ、これにより、円盤状
本体の転写部における波形の凹凸の発生をより一層確実
に防止でき、転写部の真円度精度が非常に高い円盤状プ
ラスチック成形品を成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の金型の構造を示す
縦断正面図である。
【図2】成形された円盤状プラスチック成形品を示す平
面図である。
【図3】成形された円盤状プラスチック成形品を示す縦
断正面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の金型を示す縦断正
面図である。
【図5】摺動壁部を離反位置へ摺動させた状態の金型を
示す縦断正面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の金型を示す縦断正
面図である。
【図7】金型内での溶融樹脂の移動状態を説明する説明
図である。
【符号の説明】
4,4a,4b 金型 7 キャビティ 10 ピンゲート 11 連通孔 13 円盤状本体 14,15 転写部 16 側面部 17 引け凹部 18 摺動壁部 a ピンゲート方向線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金松 俊宏 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 畠山 寿治 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 4F202 AH12 AM32 AR06 CA11 CB01 CK06 CK54 CN01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型に形成された複数個のピンゲートか
    ら前記金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出することに
    より円盤状に成形され、円盤状本体の外周側と内周側と
    の少なくともいずれか一方に転写部が成形された円盤状
    プラスチック成形品において、 前記キャビティの内周面形状が転写されない複数個の引
    け凹部を前記円盤状本体の側面部に放射状に配列して形
    成したことを特徴とする円盤状プラスチック成形品。
  2. 【請求項2】 成形時に前記ピンゲートに対向した位置
    に向けて前記円盤状本体の中心からピンゲート方向線を
    前記側面部に沿って引いたとき、隣接する2本の前記ピ
    ンゲート方向線の略中央部となる位置に前記引け凹部を
    形成したことを特徴とする請求項1記載の円盤状プラス
    チック成形品。
  3. 【請求項3】 金型に形成された複数個のピンゲートか
    ら前記金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出することに
    より円盤状本体の外周側と内周側との少なくともいずれ
    か一方に転写部を有する円盤状プラスチック成形品を成
    形する円盤状プラスチック成形品の成形方法において、 前記キャビティの内周面形状が転写されない複数個の引
    け凹部を前記円盤状本体の側面部に放射状に配列して形
    成するようにしたことを特徴とする円盤状プラスチック
    成形品の成形方法。
  4. 【請求項4】 成形時に前記ピンゲートに対向する位置
    に向けて前記円盤状本体の中心からピンゲート方向線を
    前記側面部に沿って引いたとき、隣接する2本の前記ピ
    ンゲート方向線の略中央部に前記引け凹部を形成するよ
    うにしたことを特徴とする請求項3記載の円盤状プラス
    チック成形品の成形方法。
  5. 【請求項5】 前記引け凹部の形成領域と深さとの少な
    くともいずれか一方を調節自在としたことを特徴とする
    請求項3又は4記載の円盤状プラスチック成形品の成形
    方法。
  6. 【請求項6】 前記金型に前記キャビティ内に連通する
    連通孔を形成し、前記キャビティ内に溶融樹脂を射出し
    た後に前記連通孔から圧縮気体を付与することにより前
    記引け凹部を形成するようにしたことを特徴とする請求
    項2ないし5のいずれか一記載の円盤状プラスチック成
    形品の成形方法。
  7. 【請求項7】 圧縮気体の付与量と付与タイミングとの
    少なくともいずれか一方を調節することにより前記引け
    凹部の形成領域と深さとの少なくともいずれか一方を調
    節するようにしたことを特徴とする請求項6記載の円盤
    状プラスチック成形品の成形方法。
  8. 【請求項8】 前記キャビティ内に射出された溶融樹脂
    から離反する方向へ摺動自在な摺動壁部を前記金型に形
    成し、前記キャビティ内に溶融樹脂を射出した後に前記
    摺動壁部を離反方向へ摺動させることにより前記引け凹
    部を形成するようにしたことを特徴とする請求項3ない
    し5のいずれか一記載の円盤状プラスチック成形品の成
    形方法。
  9. 【請求項9】 前記キャビティ内に連通する連通孔を前
    記摺動壁部に形成し、前記キャビティ内に溶融樹脂を射
    出した後に前記摺動壁部を離反方向へ摺動させることに
    より前記引け凹部を形成し、この引け凹部に前記連通孔
    から圧縮気体を付与することにより前記引け凹部の形成
    領域と深さとの少なくともいずれか一方を調節するよう
    にしたことを特徴とする請求項8記載の円盤状プラスチ
    ック成形品の成形方法。
  10. 【請求項10】 前記連通孔の内径寸法を0.001〜
    0.5mmとしたことを特徴とする請求項6,7又は9
    記載の円盤状プラスチック成形品の成形方法。
  11. 【請求項11】 前記キャビティの表面温度を調節する
    温度調節機構を前記金型に設け、前記キャビティの表面
    温度を調節することにより前記引け凹部を形成するよう
    にしたことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか一
    記載の円盤状プラスチック成形品の成形方法。
  12. 【請求項12】 前記キャビティ内に射出された溶融樹
    脂との密着強度が低くなる密着強度低下部を前記金型に
    設け、この密着強度低下部と対向する位置に前記引け凹
    部を形成するようにしたことを特徴とする請求項3ない
    し5のいずれか一記載の円盤状プラスチック成形品の成
    形方法。
  13. 【請求項13】 請求項5ないし12記載の円盤状プラ
    スチック成形品の成形方法の少なくとも2つ以上を併用
    するようにしたことを特徴とする円盤状プラスチック成
    形品の成形方法。
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