JP2002032248A - データベース問合せ処理におけるトランザクションの版の提供システム及び該システムにより提供された版を用いたデータベース問合せ処理システム - Google Patents

データベース問合せ処理におけるトランザクションの版の提供システム及び該システムにより提供された版を用いたデータベース問合せ処理システム

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JP2002032248A
JP2002032248A JP2000218315A JP2000218315A JP2002032248A JP 2002032248 A JP2002032248 A JP 2002032248A JP 2000218315 A JP2000218315 A JP 2000218315A JP 2000218315 A JP2000218315 A JP 2000218315A JP 2002032248 A JP2002032248 A JP 2002032248A
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Hiroshi Takegawa
弘志 竹川
Kazushige Asada
一繁 浅田
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実装が簡略化され、維持が容易な、問合せ処
理におけるトランザクションの版の提供システムを提供
する。 【解決手段】 データベースファイルのレコードに、レ
コードデータであるフィールド５３、及びそれを一意に
識別するためのレコードＩＤ５１に加えて、レコードを
最後に更新したトランザクションのトランザクションＩ
Ｄである最終更新トランザクションＩＤ５２、更新前の
データベースのデータである更新前フィールド５４を格
納することにより、問合せを実行しているトランザクシ
ョンに対して適切な版を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、データベース問合
せ処理におけるトランザクションの版の提供システム及
びデータベース問合せ処理システムに関し、より詳細に
は、従来のデータベースファイルアクセス手段における
トランザクション同時実行制御手段の呼び出しによるト
ランザクションの版の提供や整合性制約の検査の省略が
可能で、実装が簡略化され、維持が容易な、データベー
ス問合せ処理におけるトランザクションの版の提供シス
テム及び該システムにより提供された版を用いたデータ
ベース問合せ処理システムに関する。
【０００２】
【従来の技術】あるデータベースに対して複数のトラン
ザクションが操作を行うとき、トランザクションはその
性質として隔離性（ｉｓｏｌａｔｉｏｎ）を持つため、
同じデータベースがそれぞれのトランザクションにとっ
て異なって見える。
【０００３】図５乃至図７は、各トランザクションから
のデータベースの見え方の違いを説明するための図で、
銀行の預金残高を管理するデータベースを例にその違い
を説明するための図である。今、データベースにはＡ，
Ｂ，Ｃさんの３人の預金残高が記録されており、それぞ
れ￥１００，￥５００，￥３００とする。図５中のＶ０
は、操作しているトランザクションが１つもないときの
このデータベースを表している。２つのトランザクショ
ンＴ１，Ｔ２が開始され、それぞれがこのデータベース
を操作し始めたとする。トランザクションＴ１は、Ａさ
んの残高を￥２００に修正し、Ｃさんの残高を参照す
る。トランザクションＴ２は、Ｂさんの残高を￥０に修
正し、Ｃさんの残高を参照する。このとき、トランザク
ションＴ１にとって、Ａ，Ｃさんの残高はそれぞれ￥２
００，￥３００に、トランザクションＴ２にとって、
Ｂ，Ｃさんの残高はそれぞれ￥０，￥３００に見える。
【０００４】このトランザクションごとのデータベース
の見え方、姿のことを、版（ｖｅｒｓｉｏｎ）と呼ぶこ
とにする。図５では、Ｖ１がトランザクションＴ１にと
っての版になり、Ｖ２がトランザクションＴ２にとって
の版になる。
【０００５】トランザクションがコミットして終了する
と、そのトランザクションの版のうち、トランザクショ
ンが開始されてから変更された部分が実際のデータベー
スに反映される。トランザクションがアボートして終了
すると、そのトランザクションの版の変更された部分は
捨てられ、実際のデータベースは変更されない。例え
ば、図５のトランザクションＴ１がコミットして終了す
ると、図６のＶ０’のようにトランザクションＴ１での
Ａさんの残高の￥１００から￥２００への変更が実際の
データベースに反映される。トランザクションでの更新
の結果、トランザクションごとの版の間で矛盾が生じて
はならない。
【０００６】図５のＶ１ではＡさんの残高はトランザク
ションＴ１が￥１００から￥２００に修正したので、￥
２００に見える。しかしながら、トランザクションＴ１
はまだ終了していないので、この変更は実際のデータベ
ースに反映されるかわからない。そのため、このときト
ランザクションＴ２がＡさんの残高を参照すると、Ｖ２
としてＶ０、Ｖ１のどちらのＡさんの残高が見えても矛
盾が起きる可能性がある。図７（Ａ）のように、Ｖ０の
Ａさんの残高である￥１００をＶ２でのＡさんの残高と
すると、トランザクションＴ１がコミットしたとき、Ｖ
０’とＶ２の間で、Ａさんの残高が異なることになる。
また、図７（Ｂ）のようにＶ１の￥２００をＶ２での残
高にしても、トランザクションＴ１がアボートしたと
き、Ｖ０とＶ２の間で、Ａさんの残高が異なることにな
る。
【０００７】トランザクションごとの版の間でこのよう
な矛盾が生じるような操作を防ぐことによって、トラン
ザクションの隔離性を守るために、従来から２相ルール
によるロック（ｔｗｏ−ｐｈａｓｅ ｌｏｃｋｉｎｇ）
やタイムスタンプによる順序付け（ｔｉｍｅｓｔａｍｐ
ｏｒｄｅｒｉｎｇ）などのトランザクションの直列化
手法（ｓｅｒｉａｌｉｚａｔｉｏｎ）が知られている。
【０００８】しかし、このような矛盾が生じるかもしれ
ないにもかかわらず、他のトランザクションの版が参照
できると、便利な場合がある。例えば、銀行で管理して
いる総預金残高が￥８００以上でなければならないと
き、図５の状況では、Ｖ０は￥１００＋￥５００＋￥３
００＝￥９００になり、この条件を満たしている。Ｔ１
がＡさんの残高を￥２００に修正しようとしたときに、
この条件を満たしているか調べるには、Ｂさんの残高が
必要になる。Ｂさんの残高は、トランザクションＴ２に
より￥０に修正されているが、トランザクションＴ２は
終了していないので、この修正は確定されていない。こ
のような場合、Ｖ０とＶ２のＢさんの残高のそれぞれを
使って条件を満たすか調べてみて、両方とも満たしてい
れば、トランザクションＴ２がコミットしても、アボー
トしても条件を満たすことになる。Ｖ０のＢさんの残高
では、￥２００＋￥５００＋￥３００＝￥１０００で条
件を満たすが、Ｖ２のＢさんの残高では、￥２００＋￥
０＋￥３００＝￥５００で条件を満たさないので、Ｔ１
によるＡさんの残高の修正はできない。
【０００９】このようなデータベースに設定されている
条件は整合性（ｉｎｔｅｇｒｉｔｙ）制約と呼ばれ、ト
ランザクションはその実行により、この条件を守って、
データベースの一貫性（ｃｏｎｓｉｓｔｅｎｃｙ）を保
つ必要がある。整合性制約には、他にも一意性（ｕｎｉ
ｑｕｅ）制約や主キー（ｐｒｉｍａｒｙ ｋｅｙ）制約
などがあり、トランザクションはデータベースを変更す
る前に、変更してもこれらの制約を満たすことを調べな
ければならない。そのためには、先ほどの例のように、
他のすべてのトランザクションの版を必要に応じて参照
できなければならない。
【００１０】また、ＳＱＬ規格で定められているアイソ
レーションレベル（ｉｓｏｌａｔｉｏｎ ｌｅｖｅｌ）
のように、トランザクションの開始時からその隔離性を
部分的に放棄することにより、他のトランザクションの
版を参照可能にする場合もある。
【００１１】このようなトランザクションの版を実現す
る従来のトランザクション処理システムのソフトウェア
の構成を説明する。図８は、従来技術によるトランザク
ション処理システムのソフトウェア構成の一例を示す図
である。要求される問合せは、問合せ入出力手段６２に
より受け付けられる。問合せ入出力手段６２は、受け付
けた問合せを問合せ最適化手段６３に渡し、問合せをど
のように実行するか、すなわち、アクセスプランを決定
してもらう。決定されたアクセスプランは問合せ実行手
段６４に渡され、実際に問合せを実行する。問合せ実行
手段６４は、必要に応じてトランザクション制御手段６
７に対して、トランザクションの操作を指示し、データ
ベースファイルアクセス手段６５に対して、データベー
スファイルの操作を指示する。
【００１２】データベースファイルアクセス手段６５
は、問合せ実行手段６４からの指示にしたがい、データ
ベースのデータであるレコードが記録されているハード
ディスク上のデータベースファイル６８を操作する。こ
のとき、あるトランザクションが操作するデータベース
ファイル６８やそのレコードなどを、他のトランザクシ
ョンから隔離し、そのトランザクションの版を生成する
ために、２相ルールによるロックなどのトランザクショ
ン同時実行制御手段６６を呼び出す。また、操作後の状
態が定義されている整合性制約を満たすかどうかを、そ
の制約の内容にしたがって、他のトランザクションの版
である更新前のレコードと更新後のレコードを参照する
ことにより調べる。データベースファイル６８の構造や
使用する障害回復方法にもよるが、更新後のレコードは
データベースファイル６８から、更新前のレコードはロ
グファイル６９から得る方法がある。ログファイル６９
は障害回復に必要な情報が記録され、ハードディスク上
に存在する。
【００１３】トランザクション制御手段６７は、問合せ
実行手段６４からの指示にしたがい、トランザクション
の開始、終了や、トランザクション同時実行制御手段６
６を呼び出して、トランザクションのアイソレーション
レベルの変更を行う。
【００１４】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たデータベースファイルアクセス手段は、レコードを格
納するレコードファイルや、索引を提供するＢ＋木ファ
イルなど、データベースファイルの種類に応じて、その
操作手段を提供しなければならないため、実装は複雑に
なり、維持が困難である。
【００１５】上述したデータベースファイルアクセス手
段において、（１）トランザクション同時実行制御手段
の呼び出しによってトランザクションの版を提供するこ
と、（２）データベースに定義されている整合性制約
を、操作後のデータベースが満たすかを検査すること、
（３）この検査のためのデータベースファイル、ログフ
ァイルからの他のトランザクションの版、すなわち更新
前、更新後レコードを参照することは、データベースフ
ァイルの操作手段の提供をより困難にすることになる。
【００１６】また、問合せ最適化手段によるアクセスプ
ランの生成時に、トランザクションの版の提供や整合性
制約の検査を後回しにしたり、まったく必要ないことが
わかっても、データベースファイルを操作したときに、
データベースファイルアクセス手段内部で必ずこれらの
操作が行われてしまう。
【００１７】本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなさ
れたものであり、従来のデータベースファイルアクセス
手段におけるトランザクション同時実行制御手段の呼び
出しによるトランザクションの版の提供や、整合性制約
の検査の省略により、実装が簡略化され、維持が容易
な、データベース問合せ処理におけるトランザクション
の版の提供システム及びデータベース問合せ処理システ
ムを提供することをその目的とする。
【００１８】
【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、デー
タベースへの問合せ要求に応じた問合せ処理の過程にお
いて、前記データベースに対して複数のトランザクショ
ン処理を行うとき、前記データベースのファイルのレコ
ードに、レコードデータに加えて、前記レコードを更新
したトランザクションのＩＤ及び更新前のレコードデー
タをそれぞれフィールド値として格納することにより、
問合せを実行しているトランザクションに対して適切な
版を提供することを特徴としたものである。
【００１９】請求項２の発明は、請求項１の発明のデー
タベース問合せ処理におけるトランザクションの版の提
供方法により提供された版を用いて、トランザクション
における所望のアイソレーションレベルを実現してデー
タベースの問合せ処理を行うことを特徴としたものであ
る。
【００２０】請求項３の発明は、請求項１の発明のデー
タベース問合せ処理におけるトランザクションの版の提
供方法により提供された版を用いて、データベースの整
合性制約の検査を行い、該検査結果にしたがってデータ
ベースの問合せ処理を行うことを特徴としたものであ
る。
【００２１】請求項４の発明は、データベースへの問合
せ要求に応じた問合せ処理の過程において、前記データ
ベースに対して複数のトランザクション処理を行うと
き、前記データベースのファイルのレコードに、レコー
ドデータに加えて、前記レコードを更新したトランザク
ションのＩＤ及び更新前のレコードデータをそれぞれフ
ィールド値として格納することにより、問合せを実行し
ているトランザクションに対して適切な版を提供するこ
とを特徴としたものである。
【００２２】請求項５の発明は、請求項４の発明のデー
タベース問合せ処理におけるトランザクションの版の提
供システムにより提供された版を用いて、トランザクシ
ョンにおける所望のアイソレーションレベルを実現して
データベースの問合せ処理を行うことを特徴としたもの
である。
【００２３】請求項６の発明は、請求項４の発明のデー
タベース問合せ処理におけるトランザクションの版の提
供システムにより提供された版を用いて、データベース
の整合性制約の検査を行い、該検査結果にしたがってデ
ータベースの問合せ処理を行うことを特徴としたもので
ある。
【００２４】請求項７の発明は、データベースのファイ
ルを有するサーバと、該データベースに対して問合せ要
求を行うためのクライアント端末と、前記サーバ及びク
ライアント端末を接続するネットワークとからなるトラ
ンザクションの版の提供装置であって、前記クライアン
ト端末からの前記データベースへの問合せ要求に応じた
問合せ処理の過程において、前記データベースに対して
複数のトランザクション処理を行うとき、前記データベ
ースのファイルのレコードに、レコードデータに加え
て、前記レコードを更新したトランザクションのＩＤ及
び更新前のレコードデータをそれぞれフィールド値とし
て格納することにより、問合せを実行しているトランザ
クションに対して適切な版を提供することを特徴とした
ものである。
【００２５】請求項８の発明は、請求項７の発明のデー
タベース問合せ処理におけるトランザクションの版の提
供装置により提供された版を用いて、トランザクション
における所望のアイソレーションレベルを実現してデー
タベースの問合せ処理を行うことを特徴としたものであ
る。
【００２６】請求項９の発明は、請求項７の発明のデー
タベース問合せ処理におけるトランザクションの版の提
供装置により提供された版を用いて、データベースの整
合性制約の検査を行い、該検査結果にしたがってデータ
ベースの問合せ処理を行うことを特徴としたものであ
る。
【００２７】請求項１０の発明は、データベースへの問
合せ要求に応じた問合せ処理の過程において、前記デー
タベースに対して複数のトランザクション処理を行うと
き、前記データベースのファイルのレコードに、レコー
ドデータに加えて、前記レコードを更新したトランザク
ションのＩＤ及び更新前のレコードデータをそれぞれフ
ィールド値として格納することにより、問合せを実行し
ているトランザクションに対して適切な版を提供するこ
とを特徴としたものである。
【００２８】請求項１１の発明は、請求項１０の発明の
データベース問合せ処理におけるトランザクションの版
の提供を実行するためのプログラムを実行することによ
り提供された版を用いて、トランザクションにおける所
望のアイソレーションレベルを実現してデータベースの
問合せ処理を行うことを特徴としたものである。
【００２９】請求項１２の発明は、請求項１０の発明の
データベース問合せ処理におけるトランザクションの版
の提供を実行するためのプログラムを実行することによ
り提供された版を用いて、データベースの整合性制約の
検査を行い、該検査結果にしたがってデータベースの問
合せ処理を行うことを特徴としたものである。
【００３０】
【発明の実施の形態】図１は本発明によるトランザクシ
ョン処理のために構成されたサーバ−クライアントシス
テムの一例を示す図、図２は図１を展開した図で、本発
明によるトランザクション処理のために構成されたコン
ピュータシステムのハードウェア構成の一例を示す図、
図３は本発明によるトランザクション処理のための機能
構成或いはシステムのソフトウェア構成の一例を示す図
である。図１及び図２中、１はメモリ１１，ＣＰＵ１
２，ハードディスク１３を有するサーバ、２は通信ネッ
トワーク等のネットワーク、３（３’）はメモリ３１
（３１’），ＣＰＵ３２（３２’），ハードディスク３
３（３３’）を有し、通信ネットワーク２を介してサー
バ１に接続された複数の端末（クライアント若しくはク
ライアント端末ともいう）、３４（３４’）は端末３
（３’）の表示装置であるモニタ、３５（３５’）は端
末３（３’）のポインティングデバイスであるマウス、
３６（３６’）は端末３（３’）の入力装置であるキー
ボードである。
【００３１】端末３（３’）は、システムの利用者が問
合せ要求を入力したり、問合せ結果を出力したりするた
めに利用する計算機である。一般に、端末３には問合せ
要求を入力するためのキーボード３６及びマウス３５な
どのポインティングデバイスや、問合せ結果を表示する
ためのディスプレイ３４が装備される。また、端末３は
メモリ３１，ＣＰＵ３２，ハードディスク３３を備え、
ソフトウェアによるプログラムが実行可能である。端末
３では、後述する図３中の問合せ入出力手段４３がプロ
グラムとして実行される。
【００３２】サーバ１は、端末３から入力された問合せ
要求に応じた問合せ処理を行い、その結果を端末３に返
すための計算機である。端末３とサーバ１は、後述する
ネットワーク２で接続される。サーバ１はメモリ１１，
ＣＰＵ１２，ハードディスク１３を備え、ソフトウェア
によるプログラムが実行可能である。サーバ１では、後
述する図３中の問合せ最適化手段４３、問合せ実行手段
４４、データベースファイルアクセス手段４５、トラン
ザクション同時実行制御手段４６、トランザクション制
御手段４７、及び削除レコード破棄問合せ発行手段４１
がプログラムとして実行される。データベースファイル
４８は、ハードディスク１３に記録される。
【００３３】ネットワーク２は、端末３及びサーバ１を
つなぐ伝送路である。一般に、ケーブルで実現され、通
信プロトコルにはＴＣＰ／ＩＰが使われる。ただし、端
末３とサーバ１との通信プロトコルが一致すれば、ケー
ブルを使用しない無線ＬＡＮや放送波を使ったネットワ
ークでも構わない。
【００３４】図３を参照して、本発明によるトランザク
ションの版の提供と問い合わせ処理の概要を機能的に説
明する。本発明による版の提供及び問い合わせ処理の機
能を実現する手段としては、削除レコード破棄問合せ発
行手段４１と、基本的に図８で説明した各手段を援用し
た、問合せ入出力手段４２，問合せ最適化手段４３，問
合せ実行手段４４，データベースファイルアクセス手段
４５，トランザクション同時実行制御手段４６，トラン
ザクション制御手段４７，データベースファイル４８を
備える。上記各手段について図８で説明した各手段との
違いを中心に以下に説明する。
【００３５】問合せ実行手段４４は、従来のデータベー
スファイルアクセス手段６５において実装されてきたト
ランザクションの版の提供や、整合性制約の検査をアク
セスプランの実行によって行う。ここで、版（ｖｅｒｓ
ｉｏｎ）とは、トランザクションごとのデータベースの
見え方、姿のことである。問合せ最適化手段４３は、問
合せ入出力手段４２から与えられた問合せにしたがっ
て、必要に応じて、トランザクションの版の提供や、整
合性制約の検査を含むアクセスプランを生成する。
【００３６】データベースファイル４８のレコードに
は、データベースのデータを表すフィールドに加えて、
以下のフィールドを定義する。 （１）レコードを最後に更新したトランザクションのト
ランザクションＩＤを表すフィールド、 （２）更新前のデータベースのデータを表すフィール
ド。
【００３７】問合せ実行手段４４によるデータベースフ
ァイル４８の更新操作は、対象となるレコードの最後に
更新したトランザクションのトランザクションＩＤと、
必要に応じて、更新前のデータを表すフィールドを更新
する。
【００３８】問合せ実行手段４４によるトランザクショ
ンの版の提供のうち、可能なものは、トランザクション
表中の現在実行中のトランザクションのトランザクショ
ンＩＤと、データベースファイルのレコード中のそのレ
コードを最後に更新したトランザクションのトランザク
ションＩＤを使った選択操作により行う。可能でないも
のに関しては、従来の２相ルールによるロックなどのト
ランザクション同時実行制御手段４６により行う。
【００３９】問合せ実行手段４４によるデータベースの
整合性制約の検査は、データベースファイル４８からの
更新後のデータと、他のトランザクションにより更新中
のレコードについては、更新前のデータを使用して行
う。
【００４０】トランザクション制御手段４７は、問合せ
実行手段４４からの指示に従い、（１）トランザクショ
ンの開始、（２）トランザクションの終了（コミット，
アボート）、（３）トランザクションのアイソレーショ
ンレベルの変更、の各処理を行う。トランザクション制
御手段４７は、トランザクションを開始するごとに、そ
れぞれのトランザクションを一意に識別可能なトランザ
クションＩＤを割り当てる。現在実行中のトランザクシ
ョン、つまり、終了していないトランザクションのトラ
ンザクションＩＤは、メモリ１１上のトランザクション
表に管理される。
【００４１】図４は、本発明による問合せ処理を実行す
るためのデータベースファイル及びトランザクション表
の一例を示す図である。例えば、図４のトランザクショ
ン表を見ると、現在実行中のトランザクションは２つあ
り、それぞれのトランザクションＩＤが“１１”と“１
２”であることがわかる。
【００４２】データベースファイル４８は、ハードディ
スク１３上に記憶され、データベースのデータをレコー
ドの集まりとして記録している。図４の上部は、あるデ
ータベースファイルを表している。一行一行はレコード
を表しており、それぞれのレコードには、それを一意に
識別するためのレコードＩＤ５１、レコードを最後に更
新したトランザクションのトランザクションＩＤである
最終更新トランザクションＩＤ５２、データベースのデ
ータであるフィールド５３、更新前のデータベースのデ
ータである更新前フィールド５４が格納される。
【００４３】データベースファイルアクセス手段４５
は、データベースファイル４８の種類に応じた参照、更
新操作を行う手段を提供する。従来のようなトランザク
ション同時実行制御手段４６の呼び出しによる版の提供
や、更新操作後の整合性制約の検査は行わないので、実
装が簡略化され、維持が容易になる。
【００４４】問合せ実行手段４４は、問合せ最適化手段
４３により生成されるアクセスプランによって指示され
たデータベースファイルに対する更新操作を、以下のよ
うに扱う。
【００４５】（１）レコードの挿入： 新しいレコード
を識別するレコードＩＤ５１、最終更新トランザクショ
ンＩＤ５２に挿入を行うトランザクションのトランザク
ションＩＤ、フィールド５３には挿入するデータ、更新
前フィールド５４は空であるレコードを挿入する。 （２）レコードの削除： 削除するレコードのフィール
ド５３を空にするようにレコードを修正する。 （３）レコードの修正： 修正するレコードの最終更新
トランザクションＩＤ５２を、修正を行うトランザクシ
ョンのトランザクションＩＤに、更新前のフィールド５
４を修正前のフィールドに、フィールド５３を修正後の
フィールドにそれぞれ変更する。
【００４６】例えば、図４のＩＤが“４”のレコードは
ＩＤが“１１”のトランザクションにより、フィールド
５３が空なので削除され、ＩＤが“６”のレコードは、
フィールド５３、更新前フィールド５４の両方が空でな
いので、ＩＤが“１１”のトランザクションにより修正
され、ＩＤが“７”のレコードは、更新前フィールド５
４が空のなのでＩＤが“１２”のトランザクションによ
り挿入されたことがわかる。
【００４７】問合せ最適化手段４３は、問合せ入出力手
段４２から与えられた問合せを効率よく実行するアクセ
スプランを生成する。アクセスプラン生成時、可能であ
れば、従来のトランザクション同時実行制御手段４６に
よりトランザクションの版を提供するのではなく、デー
タベースファイル４８からレコードを取り出す以下のよ
うな集合演算により版を提供するアクセスプランを生成
する。
【００４８】（１）問合せを実行しているトランザクシ
ョンの版を参照する。最終更新トランザクションＩＤ５
２が、トランザクション表から得た現在実行中のトラン
ザクションのトランザクションＩＤのうち、アクセスプ
ランを実行するトランザクション以外のものと等しく、
かつフィールド５３が空でないレコードを取り出す。 （２）すべてのトランザクションの版を参照する、すな
わちＳＱＬ規格のアイソレーションレベルのｎｏｎｒｅ
ｐｅａｔａｂｌｅ ｒｅａｄである。フィールド５３が
空でないレコードを取り出す。 （３）整合性制約の検査のための特別な版を参照する。
最終更新トランザクションＩＤ５２が、トランザクショ
ン表から得た現在実行中のトランザクションのトランザ
クションＩＤのうち、アクセスプランを実行するトラン
ザクション以外のものと等しい、またはフィールド５３
が空でないレコードを取り出す。
【００４９】また、これらの処理を新たに最適化の対象
にできるため、従来より効率のよいアクセスプランの生
成が可能になる。
【００５０】削除レコード破棄問合せ発行手段４１は、
コミットされたトランザクションにより削除されたレコ
ードを実際に削除する問合せを、定期的に問合せ最適化
手段４３に送る。問合せ最適化手段４３は問合せ入出力
手段４２からの問合せと同様にアクセスプランを生成す
る。ただし、削除レコードの削除が問合せ実行手段４４
によってレコードの修正に扱われないように、アクセス
プランを生成する。
【００５１】上述のごとき各種機能をもつ本発明の一実
施形態としての、データベース問合せ処理におけるトラ
ンザクションの版の提供方法及びシステムを説明する。
この方法及びシステムは、データベースへの問合せ要求
に応じた問合せ処理の過程において、前記データベース
に対して複数のトランザクション処理を行うとき、前記
データベースのファイル４８のレコードに、レコードデ
ータ５３に加えて、前記レコードを更新したトランザク
ションのＩＤ５２及び更新前のレコードデータ５４をそ
れぞれフィールド値として格納することにより、問合せ
を実行しているトランザクションに適応した版を提供す
るようにしている。
【００５２】本発明の他の実施形態としての、データベ
ース問合せ処理方法及びシステムは、上述の版の提供方
法及びシステムにより提供された版を用いて、トランザ
クションにおける所望のアイソレーションレベルを実現
してデータベースの問合せ処理を行うようにしている。
【００５３】さらに、本発明の他の実施形態としての、
データベース問合せ処理方法及びシステムは、上述の版
の提供方法及びシステムにより提供された版を用いて、
データベースの整合性制約の検査を行い、該検査結果に
したがってデータベースの問合せ処理を行うようにして
いる。
【００５４】本発明の一実施形態としての、データベー
ス問合せ処理におけるトランザクションの版の提供装置
は、データベースのファイル４８（ハードディスク３３
内に格納されている）を有するサーバ１と、該データベ
ースに対して問合せ要求を行うためのクライアント端末
３と、前記サーバ１及びクライアント端末３を接続する
ネットワーク２とからなるトランザクションの版の提供
装置であって、前記クライアント端末３からの前記デー
タベースへの問合せ要求に応じた問合せ処理の過程にお
いて、前記データベースに対して複数のトランザクショ
ン処理を行うとき、前記データベースのファイル４８の
レコードに、レコードデータ５３に加えて、前記レコー
ドを更新したトランザクションのＩＤ５２及び更新前の
レコードデータ５４をそれぞれフィールド値として格納
することにより、問合せを実行しているトランザクショ
ンに適応した版を提供するようにしている。
【００５５】本発明の他の実施形態としての、データベ
ース問合せ処理装置は、上記の版の提供装置により提供
された版を用いて、トランザクションにおける所望のア
イソレーションレベルを実現してデータベースの問合せ
処理を行うようにしている。
【００５６】さらに、本発明の他の実施形態としての、
データベース問合せ処理装置は、上記の版の提供装置に
より提供された版を用いて、データベースの整合性制約
の検査を行い、該検査結果にしたがってデータベースの
問合せ処理を行うようにしている。
【００５７】最後に、本発明による版の提供及び問合せ
処理の機能を実現するためのプログラムやデータを記憶
した記録媒体の実施形態を説明する。記録媒体として
は、具体的には、ＣＤ−ＲＯＭ，光磁気ディスク，ＤＶ
Ｄ−ＲＯＭ，フロッピー（登録商標）ディスク，フラッ
シュメモリ，及びその他各種ＲＯＭやＲＡＭ等が想定で
き、これら記録媒体に上述した本発明の版の提供或いは
問合せ処理の機能を実現するためのプログラムを記録し
て流通させることにより、当該機能の実現を容易にす
る。そしてコンピュータ等の情報処理装置に上記のごと
くの記録媒体を装着して情報処理装置によりプログラム
を読み出すか、若しくは情報処理装置が備えている記憶
媒体に当該プログラムを記憶させておき、必要に応じて
読み出すことにより、本発明に関わる版の提供機能及び
問合せ処理機能を実行することができる。
【００５８】本実施形態におけるデータベース問合せ処
理におけるトランザクションの版の提供を実行するため
のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記
録媒体は、データベースへの問合せ要求に応じた問合せ
処理の過程において、前記データベースに対して複数の
トランザクション処理を行うとき、前記データベースの
ファイル４８のレコードに、レコードデータ５３に加え
て、前記レコードを更新したトランザクションのＩＤ５
２及び更新前のレコードデータ５４をそれぞれフィール
ド値として格納することにより、問合せを実行している
トランザクションに適応した版を提供するプログラムを
記録したものである。
【００５９】本発明の他の実施形態としての、データベ
ース問合せ処理を実行するためのプログラムを記録した
コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記のトラン
ザクションに適応した版を提供するプログラムを実行す
ることにより提供された版を用いて、トランザクション
における所望のアイソレーションレベルを実現してデー
タベースの問合せ処理を行うプログラムを記録したもの
である。
【００６０】さらに、本発明の他の実施形態としての、
データベース問合せ処理を実行するためのプログラムを
記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、同様
に上記のトランザクションに適応した版を提供するプロ
グラムを実行することにより提供された版を用いて、デ
ータベースの整合性制約の検査を行い、該検査結果にし
たがってデータベースの問合せ処理を行うプログラムを
記録したものである。
【００６１】実際には、前述のごとく、メモリ３１，Ｃ
ＰＵ３２，ハードディスク３３を備えた端末３では、問
合せを要求するための問合せ入出力手段４２がプログラ
ムとして実行される。加えて、メモリ１１，ＣＰＵ１
２，ハードディスク１３を備えたサーバ１では、端末３
からの問合せ要求に対し、上述の問合せ最適化手段４
３、問合せ実行手段４４、データベースファイルアクセ
ス手段４５、トランザクション同時実行制御手段４６、
トランザクション制御手段４７、及び削除レコード破棄
問合せ発行手段４１がプログラムとして実行される。デ
ータベースファイル４８は、ハードディスク１３に記録
される。
【００６２】
【発明の効果】本発明によれば、従来のデータベースフ
ァイルアクセス手段におけるトランザクション同時実行
制御手段の呼び出しによるトランザクションの版の提供
や、整合性制約の検査の省略が可能なので、実装が簡略
化され、維持が容易になる。
【００６３】本発明によれば、問合せ実行手段における
トランザクションの版の提供や整合性制約の検査を、最
終更新トランザクションＩＤや更新前データを表すフィ
ールドを使って、問合せ処理において従来使用されてい
る集合演算で処理できる。
【００６４】本発明によれば、問合せ最適化手段によ
り、従来は最適化の対象でなかったトランザクションの
版の提供や整合性制約の検査を含めたアクセスプランを
生成できるので、従来より効率的な問合せを実行でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明によるトランザクション処理のために
構成されたサーバ−クライアントシステムの一例を示す
図である。
【図２】 図１を展開した図で、本発明によるトランザ
クション処理のために構成されたコンピュータシステム
のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図３】 本発明によるトランザクション処理のための
機能構成或いはシステムのソフトウェア構成の一例を示
す図である。
【図４】 本発明による問合せ処理を実行するためのデ
ータベースファイル及びトランザクション表の一例を示
す図である。
【図５】 各トランザクションからのデータベースの見
え方の違いを説明するための図である。
【図６】 各トランザクションからのデータベースの見
え方の違いを説明するための図である。
【図７】 各トランザクションからのデータベースの見
え方の違いを説明するための図である。
【図８】 従来技術によるトランザクション処理システ
ムのソフトウェア構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
１…サーバ、２…ネットワーク、３，３’…クライアン
ト端末、１１，３１，３１’…メモリ、１２，３２，３
２’…ＣＰＵ、１３，３３，３３’…ハードディスク、
３４，３４’…モニタ、３５，３５’…マウス、３６，
３６’…キーボード、４１…削除レコード破棄問合せ発
行手段、４２，６２…問合せ入出力手段、４３，６３…
問合せ最適化手段、４４，６４…問合せ実行手段、４
５，６５…データベースファイルアクセス手段、４６，
６６…トランザクション同時実行制御手段、４７，６７
…トランザクション制御手段、４８，６８…データベー
スファイル、５１…レコードＩＤ、５２…最終更新トラ
ンザクションＩＤ、５３…フィールド、５４…更新前フ
ィールド、６９…ログファイル。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 データベースへの問合せ要求に応じた問
    合せ処理の過程において、前記データベースに対して複
    数のトランザクション処理を行うとき、前記データベー
    スのファイルのレコードに、レコードデータに加えて、
    前記レコードを更新したトランザクションのＩＤ及び更
    新前のレコードデータをそれぞれフィールド値として格
    納することにより、問合せを実行しているトランザクシ
    ョンに適応した版を提供することを特徴とするデータベ
    ース問合せ処理におけるトランザクションの版の提供方
    法。
  2. 【請求項２】 請求項１に記載のデータベース問合せ処
    理におけるトランザクションの版の提供方法により提供
    された版を用いて、トランザクションにおける所望のア
    イソレーションレベルを実現してデータベースの問合せ
    処理を行うことを特徴とするデータベース問合せ処理方
    法。
  3. 【請求項３】 請求項１に記載のデータベース問合せ処
    理におけるトランザクションの版の提供方法により提供
    された版を用いて、データベースの整合性制約の検査を
    行い、該検査結果にしたがってデータベースの問合せ処
    理を行うことを特徴とするデータベース問合せ処理方
    法。
  4. 【請求項４】 データベースへの問合せ要求に応じた問
    合せ処理の過程において、前記データベースに対して複
    数のトランザクション処理を行うとき、前記データベー
    スのファイルのレコードに、レコードデータに加えて、
    前記レコードを更新したトランザクションのＩＤ及び更
    新前のレコードデータをそれぞれフィールド値として格
    納することにより、問合せを実行しているトランザクシ
    ョンに適応した版を提供することを特徴とするデータベ
    ース問合せ処理におけるトランザクションの版の提供シ
    ステム。
  5. 【請求項５】 請求項４に記載のデータベース問合せ処
    理におけるトランザクションの版の提供システムにより
    提供された版を用いて、トランザクションにおける所望
    のアイソレーションレベルを実現してデータベースの問
    合せ処理を行うことを特徴とするデータベース問合せ処
    理システム。
  6. 【請求項６】 請求項４に記載のデータベース問合せ処
    理におけるトランザクションの版の提供システムにより
    提供された版を用いて、データベースの整合性制約の検
    査を行い、該検査結果にしたがってデータベースの問合
    せ処理を行うことを特徴とするデータベース問合せ処理
    システム。
  7. 【請求項７】 データベースのファイルを有するサーバ
    と、該データベースに対して問合せ要求を行うためのク
    ライアント端末と、前記サーバ及びクライアント端末を
    接続するネットワークとからなるトランザクションの版
    の提供装置であって、前記クライアント端末からの前記
    データベースへの問合せ要求に応じた問合せ処理の過程
    において、前記データベースに対して複数のトランザク
    ション処理を行うとき、前記データベースのファイルの
    レコードに、レコードデータに加えて、前記レコードを
    更新したトランザクションのＩＤ及び更新前のレコード
    データをそれぞれフィールド値として格納することによ
    り、問合せを実行しているトランザクションに適応した
    版を提供することを特徴とするデータベース問合せ処理
    におけるトランザクションの版の提供装置。
  8. 【請求項８】 請求項７に記載のデータベース問合せ処
    理におけるトランザクションの版の提供装置により提供
    された版を用いて、トランザクションにおける所望のア
    イソレーションレベルを実現してデータベースの問合せ
    処理を行うことを特徴とするデータベース問合せ処理装
    置。
  9. 【請求項９】 請求項７に記載のデータベース問合せ処
    理におけるトランザクションの版の提供装置により提供
    された版を用いて、データベースの整合性制約の検査を
    行い、該検査結果にしたがってデータベースの問合せ処
    理を行うことを特徴とするデータベース問合せ処理装
    置。
  10. 【請求項１０】 データベースへの問合せ要求に応じた
    問合せ処理の過程において、前記データベースに対して
    複数のトランザクション処理を行うとき、前記データベ
    ースのファイルのレコードに、レコードデータに加え
    て、前記レコードを更新したトランザクションのＩＤ及
    び更新前のレコードデータをそれぞれフィールド値とし
    て格納することにより、問合せを実行しているトランザ
    クションに適応した版を提供することを特徴とするデー
    タベース問合せ処理におけるトランザクションの版の提
    供を実行するためのプログラムを記録したコンピュータ
    読み取り可能な記録媒体。
  11. 【請求項１１】 請求項１０に記載のデータベース問合
    せ処理におけるトランザクションの版の提供を実行する
    ためのプログラムを実行することにより提供された版を
    用いて、トランザクションにおける所望のアイソレーシ
    ョンレベルを実現してデータベースの問合せ処理を行う
    ことを特徴とするデータベース問合せ処理を実行するた
    めのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な
    記録媒体。
  12. 【請求項１２】 請求項１０に記載のデータベース問合
    せ処理におけるトランザクションの版の提供を実行する
    ためのプログラムを実行することにより提供された版を
    用いて、データベースの整合性制約の検査を行い、該検
    査結果にしたがってデータベースの問合せ処理を行うこ
    とを特徴とするデータベース問合せ処理を実行するため
    のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記
    録媒体。
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