JP2002020869A - ダイヤモンド状炭素膜の形成方法及び表面処理方法 - Google Patents

ダイヤモンド状炭素膜の形成方法及び表面処理方法

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JP2002020869A
JP2002020869A JP2000203926A JP2000203926A JP2002020869A JP 2002020869 A JP2002020869 A JP 2002020869A JP 2000203926 A JP2000203926 A JP 2000203926A JP 2000203926 A JP2000203926 A JP 2000203926A JP 2002020869 A JP2002020869 A JP 2002020869A
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gas
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carbon
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Shogo Nasu
昌吾 那須
Yoshinori Yoshiji
慶記 吉次
Tatsutoshi Suenaga
辰敏 末永
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜磁気ヘッドスライダーの摺動面保護膜と
して信頼性の高い、超薄膜化と高耐摩耗性とを両立させ
たダイヤモンド状炭素膜の形成方法を提供する。 【解決手段】 成膜原料ガスであるメタン、またはエチ
レン中に、フッ素炭素化合物CF4、CHF3、C26
38、及びC48のガスから選ばれた少なくとも一種
のガスを混合して用いるとともに、基板面に遠赤外線か
ら紫外線域までのいずれかの波長の光を照射しながら、
プラズマCVDにより成膜する。また、上記のフッ素炭
素化合物ガスから選ばれた少なくとも一種のガスを含む
プラズマにより、基板面に遠赤外線から紫外線域までの
いずれかの波長の光を照射しながら、ダイヤモンド状炭
素膜の表面を処理する。あるいは同様のガスとアルゴン
ガスとを含むイオンビームにより、ダイヤモンド状炭素
膜の表面を処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイヤモンド状炭
素膜の形成方法、および形成されたダイヤモンド状炭素
膜の表面処理方法に関する。特に、磁気ディスク装置
(HDD)等の磁気記録媒体に対して記録・再生する装
置に適用される薄膜磁気ヘッドスライダーの摺動面(A
BS面)にダイヤモンド状炭素膜を形成するのに適した
薄膜形成方法、およびダイヤモンド状炭素膜の表面処理
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータの外部記録装置であ
るハードディスク装置において、高記録密度化が急速に
高まり、この傾向は将来的にはさらに高まっていくこと
は確実である。
【0003】この要求に対し、磁気ヘッドスライダ−は
0.05μm以下の非常に低い浮上高さや、記録媒体の
周速によって変化することのない安定した浮上特性を有
することが求められるようになる。更に今後は、高記録
密度においても高い電磁変換特性が要求されるため、浮
上量はより低減され、かつ安定に走行させることが強く
要求される。
【0004】これらの中で、電磁変換特性は、磁気スペ
ーシングといわれるヘッドと記録媒体との距離に大きく
依存する。この距離は浮上量と摺動面に形成されている
保護膜の厚さに分けることができる。実際浮上量が、
0.05μm以下でも保護膜の厚みが更に付加されて磁
気スペーシングとなる。従って、保護膜の厚さは直接磁
気スペーシングとして大きく影響する。更に浮上量の低
減が要求されると更に保護膜は、薄層化しなければなら
ないため、薄層化と耐摩耗性、耐腐食性の確保を同時に
実現することが要求される。
【0005】ところで、実際に実用化されている保護膜
は、ダイヤモンド状炭素膜(DLC膜)である。その形
成法としては、スパッタリング法、イオンプレーティン
グ法、プラズマCVD法、電子サイクロトロン共鳴(E
CR)プラズマCVDなどがある。いずれも膜厚は、5
nm以下で使用される。また、膜構成も付着力の向上を
狙ったシリコン下地を設置した二層膜がしばしば使用さ
れる。
【0006】スパッタリング法は、グラファイトなどの
炭素系ターゲットを直接スパッタリングして膜を成膜す
る方法であるが、膜の硬度が小さく、耐摩耗性が十分で
ない。また、イオンプレーティング法は、高硬度の膜を
得ることができるが、生産性に懸念が残る。従って、プ
ラズマを利用した成膜方法が、最も利用されている。
【0007】本発明者らは、ECRプラズマCVD法を
用いて薄膜磁気ヘッドのスライダー摺動面に下地層を設
置したDLC膜を成膜する薄膜形成を検討してきた。特
にDLC膜の性質には、ECRプラズマCVDの成膜条
件が大きく影響する。そこで、最も硬度の大きなDLC
膜を得るための探索、検討を行った。その結果、原料ガ
スとしてメタンを使用した場合で、膜の硬度が23GP
a、エチレンガスを使用した場合で、30GPaの硬度
が得られている。尚、ここで、硬度は、ナノインデンテ
ーションによる方法で求められたものである。
【0008】更に本発明者らは、膜の硬度と膜中の水素
量との関係に着目した。プラズマCVDにより薄膜磁気
ヘッドのスライダー摺動面にDLC膜を成膜する薄膜形
成法において、成膜原料ガス中に一酸化炭素あるいは二
酸化炭素ガスや、窒素酸化物ガスを混合させること、形
成する際に、遠赤外から紫外域までのいずれかの波長の
光を照射しながら成膜すること、下地層成膜後に、下地
層表面に酸素原子を吸着させた後、DLC膜を成膜する
ことなどによって、DLC膜の水素量を低減できること
を見出し、その結果膜の硬度を向上させることが可能と
なった。
【0009】しかしながら、今後更に低浮上量化が要求
されて、スライダー摺動面がディスク表面に接触する機
会が増え、またコンタクトスタートストップ(CSS)
方式のように、スライダー摺動面がディスク表面と接触
する機会が多い場合等には、従来方法による高硬度な膜
を形成するのみでは、ABS面あるいはディスク表面
に、接触による破壊を生じるおそれが高まる。その破壊
の機構は極めて複雑で明らかではないが、スライダー表
面、ディスク表面、潤滑剤層の物理、化学的特性が複雑
に絡んでいるもの考えられる。
【0010】これらを解決する手段として、プラズマを
利用してフッ素系のガスであるCHF4などを添加し
て、DLC表面にフッ素を含有させる方法が、例えば特
開平10−68083号公報に記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
プラズマのイオン化率は低く、フッ素系のガスを入れて
も効率良く膜表面及び膜中にフッ素基を取り込むことは
困難である。
【0012】また、実際にディスクとの摩擦を通して得
られる摺動特性評価が不十分である。
【0013】以上のように、高い信頼性を得るために、
DLC膜の硬度を上げることは、超薄膜化と高耐摩耗性
とを両立させる上での必要条件であるが、接触による破
壊の対策としては十分ではないという課題があった。更
に、表面改質においても効率の良い処理が行われていな
いという課題があった。
【0014】本発明は、上記の課題を解決し、DLC膜
の超薄膜化と高耐摩耗性とを両立させ、耐摩耗性に優れ
た信頼性の高いDLC膜の形成方法を提供することを目
的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、DLC膜中または表面にフッ素原子
を添加し、動摩擦係数を低減させる方法を検討した。そ
して、成膜プロセスにおいて、フッ素を含有しているガ
スを原料ガス中に混合すること、及びフッ素を含有して
いるガスで表面処理を行うことなどを検討した。その結
果、以下の手段が極めて有効であることを見出した。
【0016】本発明のダイヤモンド状炭素膜の形成方法
は、プラズマCVDによりダイヤモンド状炭素膜を成膜
する方法であって、成膜原料ガス中に、フッ素炭素化合
物CF4、CHF3、C26、C38、及びC48のガス
から選ばれた少なくとも一種のガスを混合するととも
に、基板面に遠赤外線から紫外線域までのいずれかの波
長の光を照射しながら成膜することを特徴とする。成膜
原料ガスとしては、メタン、エチレン、及びアセチレン
等の炭素水素系のガスから選ばれた少なくとも一種を用
いることができる。
【0017】この方法によれば、遠赤外線から紫外線域
までのいずれかの波長の光を照射しながら成膜すること
で、原料ガス及び添加ガスの分子を励起し反応性を高め
る効果が得られる。それにより、膜中及び表面のフッ素
基を安定化でき、膜中及び膜表面にフッ素基を効率的に
固定することができる。その結果、動摩擦係数を低下さ
せる効果が大である。
【0018】次に、本発明のダイヤモンド状炭素膜の表
面処理方法は、プラズマCVDにより基板上に成膜され
たダイヤモンド状炭素膜の表面処理方法であって、フッ
素炭素化合物CF4、CHF3、C26、C38、及びC
48のガスから選ばれた少なくとも一種のガスを含むプ
ラズマにより、基板面に遠赤外線から紫外線域までのい
ずれかの波長の光を照射しながら表面を処理することを
特徴とする。
【0019】この方法によれば、DLC膜表面にフッ素
原子が打ち込まれ、動摩擦係数を小さくする効果が得ら
れる。また、光の照射によりガス分子が励起され、反応
性が高まり、DLC膜表面のフッ化がより進行する効果
も得られる。更に、この方法を用いれば、DLC膜とデ
ィスクとの動摩擦係数を設定することが可能となり、低
浮上量化による耐摩耗性向上、DLC膜厚の薄層化など
様々な要求に対する自由度が拡がる。更に成膜と同じ装
置で処理が行えるため、連続してDLC膜の処理を行う
ことができるので、新規設備の必要が無い。
【0020】本発明の他のダイヤモンド状炭素膜の表面
処理方法は、基板上に成膜されたダイヤモンド状炭素膜
の表面処理方法であって、アルゴンガスと、フッ素炭素
化合物CF4、CHF3、C26、C38、及びC48
ガスから選ばれた少なくとも一種とを含むガスのイオン
ビームを表面に照射することを特徴とする。
【0021】この方法によれば、イオンビームを表面に
照射することによって、DLC膜表面にフッ素基が打ち
込まれ、膜の硬度はあまり変化させないで、表面での動
摩擦係数を小さくするととともに、膜表面にフッ素基を
打ち込む深さを制御できるいう効果が得られる。また、
上記処理方法の場合と同様に、DLC膜とディスクとの
動摩擦係数を設定することが可能となる。
【0022】以上の方法は、薄膜磁気ヘッドのスライダ
ー摺動面にダイヤモンド状炭素膜を形成するために、特
に効果的に適用できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下の実施の形態は、薄膜磁気ヘ
ッドスライダーの摺動面に相当する面への成膜を例とし
たものである。
【0024】(実施の形態1)図9は、本発明の実施の
形態1におけるダイヤモンド状炭素膜の形成方法を実施
するための、ECRプラズマCVD装置の概要図であ
る。ECRプラズマCVD装置2は、主にプラズマ室
7、ECRプラズマを生成するマイクロ波発振器4、励
磁用のマグネット6、マイクロ波をプラズマ室7に導く
導波管5から構成されている。薄膜が形成される基板1
0は、基板ホルダー9に保持されており、高周波電源3
により基板バイアスが印加される。1はガス導入口、8
はプラズマ室7に生成されたプラズマを示す。
【0025】本実施の形態に基づく実施例では、基板1
0として、アルミナと炭化チタンとの複合焼結体(Al
TiC)製のピンを使用した。ピンのサイズは、直径4
mm、長さ10mmで、ディスクに接触する面(摺動
面)の曲率半径は10mm、表面粗さは5nmであっ
た。
【0026】成膜方法は以下のとおりである。すなわ
ち、同じ装置内に設置されているスパッタ室で、まず下
地層となるシリコン層を約1.5nm成膜した後、真空
中でプラズマ室7に基板を移動した。次に原料ガスをガ
ス導入口1より導入し、マイクロ波発振器でプラズマ8
を生成させた。そして、マグネット6に磁場を発生させ
て、原料ガスのプラズマを基板側に引き出した。この
時、基板ホルダー9に高周波電源3により基板バイアス
を印加した。
【0027】実施例における成膜の条件は、原料ガスと
してメタンガスを用い、ガス圧は5Pa、入力電力は2
00W、高周波バイアス電力は200Wとした。DLC
とシリコンの全膜厚は、5nmとした。DLC膜の特性
は、マイクロ波電力、バイアス電圧、成膜時の圧力など
に支配されるが、実施例では、最も硬度の高い成膜条件
を選んだ。この時のDLC膜の硬度は、原料ガスとして
メタンガスを用いた場合、23GPaであった。
【0028】本実施の形態において用いるフッ素炭素化
合物CF4、CHF3、C26、C38、C48などのガ
スは、ガス導入口1よりプラズマ室7に導入した。これ
らのガスの量は、流量によって制御し、原料ガスである
メタンガスの流量に対する割合を変えて、効果を調べ
た。
【0029】光照射は、プラズマ室7でプラズマの影響
が少ない位置で、基板10に直接光が照射される位置に
光源を設置して(図示せず)実施した。また、プラズマ
室7に設置できない場合は、光を導く管を利用して光照
射を行った。光照射用の光源は、波長約185nm、4
30nm、1.1μmの3種類を使用した。
【0030】図1は、本実施の形態に基づく実施例にお
いて、フッ素炭素化合物CF4またはCHF3のガスを、
原料ガスであるメタンガスのプラズマに混合して成膜し
た膜についての、動摩擦係数の測定結果を示す。測定方
法は、ピンオンディスク法を用いた。測定は、アルミナ
と炭化チタンとの複合焼結体(AlTiC)製のピンに
DLC膜を5nmコーティングしたものについて行っ
た。DLC膜をコーティングした後の摺動面の曲率半径
は10mm、表面粗さは約4nmであった。測定時に
は、ディスクを回転数30rpmで30パス回転させな
がら、動摩擦計数を測定した。この時ピンは荷重0.5
gでディスクに接触させた。
【0031】尚、動摩擦係数の絶対値は、材料、雰囲
気、被測定物の表面状態、装置などに依存するため、本
発明の実施例では、ピンの摺動面に、本発明の方法によ
りDLC膜を成膜し、あるいは成膜後の処理を行い、評
価は動摩擦係数の相対比較で行うものとする。
【0032】ガス量は、CF4またはCHF3ガス流量
を、原料ガスであるメタンガスとの混合ガス総量で割っ
た割合であり、図1の実施例では、4%とした。また成
膜に使用した光照射用光源の波長は185nm、出力電
力は、15mWであった。
【0033】図1には、従来例としてメタンガスのみで
成膜した、硬度が23GPaのDLC膜についての測定
データも示した。
【0034】図1から判るように、回転回数の増加にと
もない、DLC膜の動摩擦係数は大きくなるが、5回転
ほどで安定化する。CF4の場合、安定した時の回転回
数での動摩擦係数は、0.18,CHF3の場合、安定
した時の回転回数での動摩擦係数は、0.25であっ
た。従来例の混合ガス無しの場合は、回転回数とともに
動摩擦係数は大きくなるが、20回転で安定化する。安
定した時の回転回数での動摩擦係数は、0.6であっ
た。
【0035】実施例と従来例とを比較すると、実施例の
場合、動摩擦係数を3分の1程度に低減でき、かつ安定
な摺動状態に早く到達することが判る。
【0036】以上のように本実施例では、原料ガスであ
るメタンガスのプラズマに、フッ素炭素化合物CF4
たはCHF3のガスを混合してDLC膜を成膜すること
によって、従来例と比較してDLC膜とディスクとの間
の動摩擦係数を大幅に低下させることができた。
【0037】ここで、本発明の実施の形態では、動摩擦
係数の値として、図1の測定結果に示されるような安定
化した状態での値を用いて、比較検討する。
【0038】図2、3、4は、実施の形態1に基づいて
実施されたDLC膜の形成の結果における、動摩擦係数
とガス量との関係を示す。CF4、CHF3、またはC2
6ガスの量を変化させてDLC膜を成膜し、更に基板
面に照射する光の波長を変化させた。図2は185n
m、図3は430nm、図4は1.1μmの場合を示
す。照射電力は15mWとした。
【0039】図2より、ガスを混合させて成膜すること
で動摩擦係数が大幅に低減することが判る。比較例は、
混合ガスとしてCF4を使用し光照射を行わない場合で
あるが、図より明らかに動摩擦係数の低減に差がある。
光照射すると大幅に動摩擦係数を低減させることができ
る。図3の場合、図4の場合のいずれも、光を照射しな
い場合と比較して、動摩擦係数が小さくなっている。こ
こで、比較例で使用したガスは、CHF3である。ま
た、前記フッ素炭素化合物ガスを混合させないガス量0
の従来例と比較しても大きく改善されている。
【0040】本実施例では、波長約185nm、430
nm、1.1μmの3種類の光照射を実施したが、光照
射の波長による効果の相違については、以下のように考
えられる。すなわち、遠赤外から紫外域までの波長の中
で、より短波長の185nm、430nmの場合は、照
射光がガス分子を光励起する効果、一方1.1μmの場
合は、基板表面を熱的に励起する効果によって、DLC
膜中及び表面にフッ素基が安定に固定される。
【0041】尚、C38、C48ガスを用いた場合につ
いても上記と同様な効果が得られる。また、混合するガ
スは、一種類のみに限らず、複数種を適宜併用してもよ
い。更に、他の目的によるガスを併せて混合することも
可能である。
【0042】以上のように、フッ素炭素化合物のガスを
混合した成膜原料ガスを用いてECRプラズマCVDに
よってDLC膜を成膜する際に、光照射を行いながら成
膜することで、大幅に動摩擦係数を低減できる。 (実施の形態2)図10は、実施の形態2におけるダイ
ヤモンド状炭素膜の表面処理方法を実施するための、ス
パッタ装置の概要図である。スパッタ室11に、ターゲ
ット12、基板ホルダー13、ガス導入口16が設けら
れている。基板ホルダー13には、バイアス電圧電源1
5が接続されている。DLC膜をコーティングした表面
処理する基板14を基板ホルダー13に固定し、スパッ
タ室11に搬送して、高真空になるまで真空引きを行
う。その後、ガス導入口16よりアルゴンガスを導入
し、続いてフッ素炭素化合物CF4、CHF3、C26
38、C48のガスのいずれかのガスを導入する。以
下に言及するガス量は、アルゴンガスと混合させたフッ
素炭素化合物ガスの全ガス量に対する、フッ素炭素化合
物ガスの割合である。
【0043】次に基板14表面に内部に固定した光源
(図示せず)から光を照射する。光源は、プラズマの影
響が少なく、基板14表面に光が照射される位置に固定
した。光の照射を開始した後、バイアス電圧電源15を
入れて放電させ、基板14表面のDLC膜の処理を行っ
た。ここで、電源は、直流でも高周波の交流でもどちら
でも用いることができる。処理は、光の波長を変えて最
大30秒間行った。この時のプラズマ生成のための投入
電力は50W、ガス圧は3mTorrであった。
【0044】図5は、実施の形態2に基づく実施例にお
いて表面処理されたDLC膜について、動摩擦係数を測
定した結果を示す。各例はそれぞれ、CF4、CHF3
26、C38、C48のガスを、ガス量として3%ア
ルゴンガスに混合して使用した場合である。光照射光源
の波長は185nmである。動摩擦係数の値としては、
実施の形態1で用いたピンオンディスク法より求めた値
で、図1に示したような安定化した状態における値を用
いた。比較例としては、CHF3ガスを使用し、光を照
射せずに処理を行った場合を示した。図5より、比較例
と比較して、185nmの光を照射して処理すること
で、動摩擦係数は小さくできることが判る。同様に、図
6は波長430nm、図7は波長1.1μmの光を照射
した場合を示す。図6、7の例では、いずれも光を照射
することで、動摩擦係数が大幅に低減している。
【0045】以上のように、フッ素炭素化合物CF4
CHF3、C26、C38、またはC 48ガスを含むプ
ラズマにより、光照射を行いながらDLC膜表面をプラ
ズマ処理することにより、DLC膜とディスクとの動摩
擦係数を大幅に低減することができる。なおフッ素炭素
化合物のガスは、一種類のみに限らず、複数種を適宜併
用してもよい。また、他の目的によるガスを併せて含む
ことも可能である。
【0046】(実施の形態3)実施の形態3は、実施の
形態1で説明したECRプラズマCVD装置を用い、混
合ガスを入れないで形成した従来例と同様のDLC膜
に、イオンビームを照射することにより動摩擦係数を低
減させるものである。
【0047】図11は、本実施の形態におけるダイヤモ
ンド状炭素膜の表面処理方法を実施するための、イオン
ビーム処理装置の概要図である。イオンビーム処理室1
7には、イオン源18、基板ホルダー19、及びガス導
入口21が設けられている。
【0048】まず、DLC膜をコーティングした表面処
理する基板20を、基板ホルダー19に固定し、イオン
ビーム処理室17に設置して、高真空になるまで真空引
きを行う。その後、ガス導入口21よりアルゴンガスを
導入し、続いてフッ素炭素化合物CF4、CHF3、C2
6、C38、C48のいずれかのガスをガス導入口2
1から導入する。以下に言及するガス量は、アルゴンガ
スと混合させたフッ素炭素化合物ガスの全ガス量に対す
る、フッ素炭素化合物ガスの割合である。イオンビーム
は、300V、400mAで生成させた。
【0049】図8は、実施の形態3に基づく実施例にお
いて表面処理されたDLC膜について、動摩擦係数を測
定した結果を示す。各例はそれぞれ、アルゴンガスにフ
ッ素炭素化合物CF4、CHF3、C26、C38、C48
のいずれかのガスを混合したときの、動摩擦係数と混合
ガス量との関係を示す。処理時間は約10秒とした。
【0050】処理時間は、長すぎるとDLC膜の膜厚に
影響を及ぼし、また、スライダーABS表面に存在する
素子に対しても劣化などの悪影響を与える。これはDL
Cの膜質とも関係があり、各要因に応じて最適処理時間
を決めればよい。
【0051】図8より、従来例の何も処理を行わないD
LC膜に対して、フッ素炭素化合物のガスを混合したイ
オンビームを表面に照射することで、動摩擦係数が大幅
に低減することが判る。
【0052】以上のように、ECRプラズマCVDによ
ってDLC膜を成膜する際に、アルゴンガスにフッ素炭
素化合物CF4、CHF3、C26、C38、C48のい
ずれかのガスを混合したイオンビームで処理を行うこと
で、大幅に動摩擦係数を低減できる。なおフッ素炭素化
合物のガスは、一種類のみに限らず、複数種を適宜併用
してもよい。また、他の目的によるガスを併せて含むこ
とも可能である。
【0053】
【発明の効果】本発明のDLC膜の形成方法によれば、
DLC膜中及び表面のフッ素基を安定化する作用によ
り、動摩擦係数を低減させ、その結果、DLC膜の超薄
膜化と高耐摩耗性とを両立させることが可能となる。従
って、薄膜磁気ヘッドスライダーに対する更なる高密度
化の要求に対して、高い信頼性を確保することができ
る。
【0054】また、本発明のDLC膜の表面処理方法に
よれば、上記と同様に動摩擦係数を低減させ、その結
果、DLC膜とディスクとの動摩擦係数を設定すること
が可能となり、低浮上量化による耐摩耗性向上、DLC
膜厚の薄層化など様々な要求に対する自由度が拡がる。
更に成膜と同じ装置で処理が行えるため、連続してDL
C膜の処理を行うことができるので、新規設備の必要が
無くコストアップを抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1における形成方法により成膜さ
れたダイヤモンド状炭素膜の動摩擦係数とディスク回転
回数の関係を示す図
【図2】 実施の形態1における形成方法により成膜さ
れたダイヤモンド状炭素膜の動摩擦係数とガス量の関係
を示す図
【図3】 実施の形態1における形成方法により成膜さ
れたダイヤモンド状炭素膜の動摩擦係数とガス量の関係
を示す図
【図4】 実施の形態1における形成方法により成膜さ
れたダイヤモンド状炭素膜の動摩擦係数とガス量の関係
を示す図
【図5】 実施の形態2における表面処理方法により処
理されたダイヤモンド状炭素膜の動摩擦係数とプラズマ
処理時間の関係を示す図
【図6】 実施の形態2における表面処理方法により処
理されたダイヤモンド状炭素膜の動摩擦係数とプラズマ
処理時間の関係を示す図
【図7】 実施の形態2における表面処理方法により処
理されたダイヤモンド状炭素膜の動摩擦係数とプラズマ
処理時間の関係を示す図
【図8】 実施の形態3における表面処理方法により処
理されたダイヤモンド状炭素膜の動摩擦係数とイオンビ
ーム処理時間の関係を示す図
【図9】 実施の形態1において用いるECRプラズマ
CVD装置の概要図
【図10】 実施の形態2において用いるプラズマ処理
装置の概要図
【図11】 実施の形態3において用いるイオンビーム
処理装置の概要図
【符号の説明】
1、16、21 ガス導入口 2 ECRプラズマCVD装置 3 高周波電源 4 マイクロ波発振器 5 導波管 6 マグネット 7 プラズマ室 8 プラズマ 9、13、19 基板ホルダー 10、14、20 基板 11 スパッタ室 12 ターゲット 15 バイアス電圧電源 17 イオンビーム処理室 18 イオン源
フロントページの続き (72)発明者 末永 辰敏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4G046 CA01 CB01 CB03 CB08 CC06 4K030 AA04 AA10 BA28 BB12 CA03 CA04 CA05 CA12 DA08 FA02 FA12 LA19 5D042 NA02 PA08 RA02 SA03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマCVDによりダイヤモンド状炭
    素膜を成膜する方法において、成膜原料ガス中に、フッ
    素炭素化合物CF4、CHF3、C26、C38、及びC
    48のガスから選ばれた少なくとも一種のガスを混合す
    るとともに、基板面に遠赤外線から紫外線域までのいず
    れかの波長の光を照射しながら成膜することを特徴とす
    るダイヤモンド状炭素膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 成膜原料ガスが、メタン、エチレン、及
    びアセチレン等の炭素水素系のガスから選ばれた少なく
    とも一種である請求項1に記載のダイヤモンド状炭素膜
    の形成方法。
  3. 【請求項3】 プラズマCVDにより基板上に成膜され
    たダイヤモンド状炭素膜の表面処理方法であって、フッ
    素炭素化合物CF4、CHF3、C26、C38、及びC
    48のガスから選ばれた少なくとも一種のガスを含むプ
    ラズマにより、前記基板面に遠赤外線から紫外線域まで
    のいずれかの波長の光を照射しながら表面を処理するこ
    とを特徴とするダイヤモンド状炭素膜の表面処理方法。
  4. 【請求項4】 基板上に成膜されたダイヤモンド状炭素
    膜の表面処理方法であって、アルゴンガスと、フッ素炭
    素化合物CF4、CHF3、C26、C38、及びC48
    のガスから選ばれた少なくとも一種とを含むガスのイオ
    ンビームを表面に照射することを特徴とするダイヤモン
    ド状炭素膜の表面処理方法。
  5. 【請求項5】 薄膜磁気ヘッドのスライダー摺動面にダ
    イヤモンド状炭素膜を成膜することを特徴とする請求項
    1または2に記載のダイヤモンド状炭素膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 薄膜磁気ヘッドのスライダー摺動面に形
    成したダイヤモンド状炭素膜を処理することを特徴とす
    る請求項3または4に記載のダイヤモンド状炭素膜の表
    面処理方法。
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