JP2002020845A - 耐熱フェライト系ステンレス鋼およびそれを用いた自動車排気マニホールド - Google Patents

耐熱フェライト系ステンレス鋼およびそれを用いた自動車排気マニホールド

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JP2002020845A
JP2002020845A JP2000207039A JP2000207039A JP2002020845A JP 2002020845 A JP2002020845 A JP 2002020845A JP 2000207039 A JP2000207039 A JP 2000207039A JP 2000207039 A JP2000207039 A JP 2000207039A JP 2002020845 A JP2002020845 A JP 2002020845A
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ferritic stainless
exhaust manifold
steel
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Yoshio Taruya
芳男 樽谷
Yoshitaka Nishiyama
佳孝 西山
Mitsuo Miyahara
光雄 宮原
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高温特性と冷間加工性を両立させた、冷間加工
性に優れた耐熱フェライト系ステンレス鋼と、その鋼か
らなる内燃式自動車の燃焼ガス排気マニホールドの提
供。 【解決手段】質量%で、C:0.015%以下、N:
0.01%以下、Si:0.1〜0.6未満%、Mn:
0.01〜0.6%、P:0.03%以下、S:0.0
025%以下、Ni:0.01〜0.5%、Cr:16
〜21%、Mo:0.75〜2%、Nb:0.3〜0.
85%、Ti:0.03〜0.15%、Al:0.01
〜0.5%、Cu:0.4〜1%未満およびREM:
0.0003〜0.2%を含有し、残部Feおよび不純
物からなり、かつC+Nが0.02%以下であるステン
レス鋼およびこのステンレス鋼からなる排気マニホール
ド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱フェライト系
ステンレス鋼およびそれを用いた内燃式自動車エンジン
燃焼ガス排気マニホールドに関する。さらに詳しくは、
このフェライト系ステンレス鋼は、900℃以上の高温
域で、耐酸化性、熱疲労特性および高温強度(以下、こ
れらの特性を高温特性と総称する場合がある)に優れて
いると共に、冷間での加工性に優れており、燃焼排ガス
温度が900℃以上となる自動車エンジン燃焼ガス排気
マニホールドに好適である。
【0002】
【従来の技術】内燃式エンジン燃焼ガス排気系装置のひ
とつである排気マニホールドは、燃焼直後の高温の排ガ
スが最初に触れる排気系部品であり、800℃を超える
ような高温ガスに曝される。この排気マニホールドは、
水冷されているエンジンシリンダーブロックと異なり、
空冷のみであるため、排気系部品の中でも最も高い温度
に曝される部品である。排気マニホールド材料には、優
れた耐酸化性、高温強度、耐熱疲労特性、加工性および
溶接性がともに要求される。
【0003】現在においても、量産されている排気マニ
ホールドの半数以上がコスト的に有利な鋳物である。し
かし、近年のエンジン性能向上に伴うエンジン燃焼ガス
温度の上昇、軽量化要求および排ガス規制強化に伴う低
熱容量化の観点から、高純度フェライト系耐熱ステンレ
ス鋼の溶接鋼管の溶接組み立て、あるいは板金プレス材
の溶接組み立ての排気マニホールドが使われるようにな
り、“ステンレスエキマニ”の呼称で呼ばれている。年
々、エンジンが高性能化し、排ガス規制も厳しくなって
ステンレス鋼の適用環境が厳しくなっており、その環境
に対応できるフェライト系ステンレス鋼の開発がなされ
ている。
【0004】排気マニホールドに最も一般的に用いられ
ているフェライト系耐熱ステンレス鋼は、SUH409
(11.2%Cr−Ti)であるが、適用時の温度が8
00℃を超えるような条件では、異常酸化と呼ばれるよ
うな激しい高温酸化が進行し、エキマニとしての機能を
維持できなくなる。また、フェライト系の宿命とも言え
る高温強度不足も顕在化する。
【0005】SUH409では耐久寿命が確保できない
適用環境に対しては、SUS430M(17%Cr−N
b系あるいは19Cr−Nb系耐熱フェライト系ステン
レス鋼)が適用されている。このSUS430Mは、鋼
中C、Nの安定化元素としてのTiを含有するSUH4
09と異なり、Nbを含有していることが特徴である。
Nbは、固溶あるいはLaves相(例えば、Fe2
b)として微細に分散析出して、700℃から800℃
付近での高温強度低下を軽減する効果を有している。ま
た、Nbは熱疲労特性を改善する効果も大きい。
【0006】自動車エンジンの起動−停止に伴い、排気
マニホールドは繰り返しの温度変化を受けるが、固定し
拘束された状態で、900℃超えの温度領域への加熱と
室温付近の低温領域への冷却との繰り返しから熱疲労が
問題となる。最近になって、SUS430M規格以外に
も900℃付近での耐高温酸化特性を顕著に改善する効
果を有するSiを1%前後も含有する耐熱フェライトス
テンレス鋼が、Crを11〜14%と低Crにして加工
性低下の問題を解消して実用化され、量産車にも用いら
れ始めている(例えば、特開平7−145453号公
報)。しかし、Cr含有量が低いため、耐酸化性が十分
とは言えない。そこで、さらなる高温特性改善を図る目
的より、高価なMoを多量に添加した耐熱フェライト系
ステンレス鋼も開発され、適用され始めている。
【0007】排気マニホールドへの適用を想定したMo
含有の耐熱フェライト系ステンレス鋼として、例えば特
開昭64−8254号公報に開示されているCr:17
〜20%、Mo:1%以下を含有するフェライト系ステ
ンレス鋼がある。また、特開平5−171360号公報
には、Mo:1%を超え3%を含有する、より高温での
適用を想定した自動車排ガスエキゾーストマニホールド
用耐熱フェライト系ステンレス鋼がある。
【0008】しかしながら、高温での耐酸化性に優れた
これらの高性能な鋼も、高Cr、高Mo化による加工性
の悪さが指摘され、エンジンルーム内の限られたスペー
スに搭載可能な形状への加工の困難さが問題となってい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高温
特性と冷間加工性を両立させた、これまでの耐熱フェラ
イト系ステンレス鋼では提供できなかったような冷間加
工性に優れた耐熱フェライト系ステンレス鋼と、その鋼
からなる内燃式自動車燃焼ガス排気マニホールドを提供
することにある。さらに詳しくは、自動車エンジン燃焼
ガス排気マニホールド等の自動車部品のように、繰り返
し加熱と冷却を受ける条件での900〜1000℃での
耐酸化性、熱疲労特性および高温強度を犠牲とすること
なく、ますますコンパクトとなるエンジンルーム内での
空間的設計自由度を確保するための冷間加工性、成形性
に優れた耐熱フェライト系ステンレス鋼と、これを用い
た自動車エンジン燃焼ガス排気マニホールドを提供する
ことにある。
【0010】本発明の耐熱鋼のより具体的な特性は、
(1)980℃乾燥大気中にて、200h異常酸化発生
なし、(2)980℃での高温強度が13r.5MPa
以上、(3)200℃と980℃の繰り返しでの熱疲労
寿命が破断寿命で750サイクル以上、(4)常温での
板引張り評価で伸びが32%以上、(5)38.1mm
径×2mm板厚の高周波誘導加熱方式溶接鋼管で常温引
張り評価で伸び42%以上である。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高温特性
に優れた高Cr、高Mo高純度耐熱ステンレス鋼に着目
し、高温特性を犠牲にすることなく、冷間加工性を改善
した“空間設計自由度の高い”安価な耐熱ステンレス鋼
を開発するため、化学組成について鋭意実験、検討した
結果、以下の知見を得た。
【0012】a)Crは耐酸化性、Moは高温強度に必
要な重要な元素であるが、安価な鋼とするためおよび限
られたスペース内に搭載できる自動車燃焼排ガス系部品
形状に成形するのに必要な冷間加工性を確保するために
は、Cr含有量の上限は21%、Mo含有量の上限は2
1%とする必要がある。 b)さらに、冷間加工性を向上させるにはNbとTiを
複合して含有させるのがよい。特に張り出し特性が改善
されて成形性が向上する。 c)CuとNbとを複合で含有させると、高温強度と耐
熱疲労性を向上させることができ、CrおよびMoの低
減による高温特性の低下を補うことができる。
【0013】d)また、Cr低減による耐酸化性の劣化
は、REMを含有させることにより補うことができる。
【0014】e)Siは、高温での耐酸化性を改善する
効果があるが、多量に含有させると加工性を劣化させ
る。しかし、Cr、Al、REMと共存させることによ
り耐酸化性の改善効果は一層高まるので、Siの含有量
を0.6%未満にまで下げることができ、低Si化によ
りCr含有量を21%まで許容することができて自動車
燃焼排ガス系部品を成形するのに必要な冷間加工性を確
保することができる。
【0015】本発明は、このような知見に基づきなされ
たもので、その要旨は以下の通りである。
【0016】(1)質量%で、C:0.015%以下、
N:0.01%以下、Si:0.1〜0.6未満%、M
n:0.01〜0.6%、P:0.03%以下、S:
0.0025%以下、Ni:0.01〜0.5%、C
r:16〜21%、Mo:0.75〜2%、Nb:0.
3〜0.85%、Ti:0.03〜0.15%、Al:
0.01〜0.5%、Cu:0.4〜1%未満およびR
EM:0.0003〜0.2%を含有し、残部Feおよ
び不純物からなり、かつC+Nが0.02%以下である
耐熱フェライト系ステンレス鋼。
【0017】(2)上記(1)記載の耐熱フェライト系
ステンレス鋼からなる内燃式自動車エンジンの燃焼ガス
排気マニホールド。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明のフェライトステン
レス鋼の化学組成を規定した理由について詳細に説明す
る。以下化学組成の%表示は全て質量%とする。
【0019】C、N:鋼中のCは0.015%を、Nは
0.015を超え、またC+Nが0.02%を超える
と、本発明の高純度耐熱フェライト系ステンレス鋼の常
温靭性を著しく低下させる。また、溶接部の常温靭性低
下は言うに及ばず、加工性も劣化させる。したがって、
鋼中C、Nは低い程好ましい。下限は限定するものでは
ないが、C、Nの低減は、精錬費用の大幅な上昇要因と
なるので、C、Nとも0.001%程度としてもよい。
【0020】また、量産規模の実生産においては、鋼中
C、Nの悪影響を軽減する目的から、後述するように
C、Nとの化学的結合力が強いTi、Nbといった安定
化元素を添加するが、Nb、Tiといった安定化元素
は、安定化に寄与しなかった固溶残留分が素材の常温靭
性を低下させる悪影響を及ぼす。鋼中C、N量が多い場
合には、量に見合った多量の安定化元素を添加すること
となり、固溶残留分も多くなるので、この観点からも少
ない方が好ましい。
【0021】Si:Siは、基本となる脱酸元素である
と同時に、高温での耐酸化性を改善する効果があり、
0.1〜0.6%の範囲で含有させる。Cr、Alおよ
びREMと共存させることによりその効果は一層高ま
る。含有量が0.1%以下では、脱酸挙動が不安定とな
り、Al添加量、REM添加量の調整が難しくなる。一
方、0.6%以上では常温での加工性の劣化が顕著とな
り、従来にない冷間加工性および耐熱耐久性にに優れ、
低コストのステンレス鋼を提供することが困難となる。
冷間での加工性は、共存するCr、Mo、Cu、Niお
よびNb量とも関係があり、Si量のみで一義的に決定
されるものではないが、本発明においては、これら元素
を下記の成分範囲に調整することで、目的を満足する性
能が得られる。
【0022】Mn:Mnは、鋼中のSをMnS系硫化物
として固定する働きがあるとともに、Siによる脱酸を
助ける働きを有している。これらの効果を得るためには
0.01%以上必要である。本発明では、量産性を考慮
してMnは0.01〜0.6%とする。0.6%を超え
て多量に含有させると耐酸化性が劣化するので上限を
0.6%とする必要がある。
【0023】P、S:P、Sともに、本発明鋼において
は不純物である。Pは通常の精錬で除去できる0.03
%以下とする。一方、Sは0.0025%以下と通常の
量産実績値レベルよりもより積極的に低減する。これ
は、Sが高温酸化特性に悪影響を及ぼすためである。S
含有量が0.0025%を超えると、Sの悪影響を軽減
するためにREMを含有させても、本発明の目的とする
“空間的設計自由度、耐熱耐久性、および低コストを備
えた”ステンレス鋼(以下、本発明の目的とするステン
レス鋼と記す)が得られない。
【0024】Ni:Niは、0.01〜0.5%の範囲
で含有させる。NiはCuと並んで、本発明鋼での高温
特性を細かく調整する機能を有する元素であり、0.0
1%以上必要である。
【0025】Cr:Crは、本発明鋼における耐酸化性
を支配する極めて重要な合金元素である。16〜21%
の範囲で含有させる。950℃付近での適用を前提とす
る場合には、鋼中に16%以上のCr量が必要である。
Cr量は高いほど耐酸化性を改善するが、製造時の靭性
劣化問題が顕在化する影響がある。本発明の目的とする
ステンレス鋼を提供するためには、21%以下とする必
要がある。
【0026】Mo:Moは、Cr、NbおよびCu等と
並んで、本発明に用いる耐熱フェライト系ステンレス鋼
の高温強度に大きな影響を及ぼす。Moは、比較的高価
で、原料価格変動の激しい元素であると共に加工性を劣
化させるので0.75〜2%の範囲で含有させる。本発
明の目的とするステンレス鋼とするためには、上限を2
%とする必要がある。
【0027】Nb:Nbは、後で述べるTiとともに、
鋼中のCを固定する安定化元素としての役割を有すると
同時に、高温強度および熱疲労特性を大きく改善する効
果を有している。本発明では重要な元素の一つで、0.
3〜0.85%の範囲で含有させる。0.3%未満で
は、Nbを含有させる効果が十分に得られず、一方、
0.85%超えて含有させると、常温加工性、靭性問題
が顕在化し、本発明の目的とするステンレス鋼が得られ
ない。
【0028】Ti:Tiは、0.03〜0.15%の範
囲で含有させる。一般的に、Tiは鋼中のCおよびNと
強い結合力を有しているので、鋼中C、Nの安定化元素
として添加する。含有量が多いほど、安定化効果は高ま
るが、TiNクラスター生成に伴い、素材表面きずの発
生の原因となりやすい。本発明では、表面きずがほとん
ど問題とならないレベルとなる0.03%から0.15
%の範囲で含有させ、Nb、Ti複合添加による冷間加
工性改善効果を発揮させる。詳細な理由は明確ではない
が、Nbと0.1%前後のTiとを共存させることによ
り、常温での成形性、特に張り出し特性が顕著に改善さ
れる。降伏点を下げる効果もあり、本発明の目的とする
ステンレス鋼にする上で、極めて重要な要素の一つであ
る。
【0029】Al:Alは、0.01〜0.5%の範囲
で鋼中に残留させる。本発明の耐熱フェライト系ステン
レス鋼中のSiは、0.1〜0.6%未満の範囲で含有
させるが、Al含有量が0.01%未満では鋼の脱酸が
不安定になりやすい。Alは加工性を減ずることなく、
有効に機能する脱酸元素である。ただし、Alは電解A
lを粒状で添加するためコスト高となる。多量の添加
は、製造コスト上昇となるので上限を0.5%とした。
【0030】Cu:Cuは、0.4〜1%未満の範囲で
含有させる。Cuは、Nbと共存させることで、高温強
度と耐熱疲労特性を改善する効果がある。その効果を得
るためには、0.4%以上含有させることが必要であ
り、一方1%を超えて含有させると、常温での成形性を
劣化させる。本発明の目的とするステンレス鋼を得るこ
とができない。
【0031】REM:REMは、ミッシュメタルと呼ば
れる溶解原料で添加する。希土類元素であれば、La、
CeおよびYなどいずれでもほぼ同じ耐酸化性改善効果
が得られる。その効果を得るには、0.0003%以上
が必要で、一方0.2%を超えると製造性が劣化するの
で、REM含有量は0.0003〜0.2%とした。
【0032】上記化学組成を有するフェライト系ステン
レス鋼は、特に高温の燃焼排ガスに触れるマニホールド
に好適であり、その他フロントパイプ、マフラー等の燃
焼排ガス系部品に使用して優れた効果を発揮する。
【0033】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明の効果をより
詳細に説明する。
【0034】(実施例1)表1に示す化学組成の7種の
鋼を、60ton規模のVOD精錬炉で量産規模で溶製
した後、連続鋳造法で厚さ190mm、幅1220mm
のスラブに連続鋳造機で鋳込んだ。
【0035】
【表1】 スラブは、常温まで放冷することなく、300℃以上の
熱間でスラブ表面の手入れを行い、再度1100℃以上
に加熱し、熱間圧延して板厚6mmのコイルとした。そ
の際、熱間圧延最終タンデム圧延機入り側でのスラブ表
面温度を1080℃とし、900℃以下でタンデム最終
ロールを通過させて、800℃以下の低温域でコイルに
巻き取った。巻き取りの前に、スプレー冷却を行い巻取
り温度を制御した。コイルは、980℃で中間焼鈍を行
い、硝ふっ酸中で酸洗して表面スケールを除去し、ゼン
ジミアミルによる冷間圧延を行い、1.2mmの板厚に
仕上げた。
【0036】冷延コイルは最終仕上げ焼鈍温度1080
℃、3分保持となるように調整された焼鈍炉内で連続焼
鈍を行い、最終酸洗、スキンパス圧延にて仕上げを行っ
た。
【0037】この冷延コイルから、常温引張試験片、エ
リクセン試験片、酸化試験片および高温引張試験片を採
取して、試験に供した。試験条件は下記の通りであっ
た。
【0038】 1)常温引張試験 試験片:JIS 13号(厚さ1.2mm) 2)エリクセン試験 試験片:直径30mm、厚さ1.2mm 試験条件:JIS Z 2247 A法 3)酸化試験 試験片 :厚さ:1.2mm、幅:30mm、長さ:30mm 試験条件:1000℃、200時間、大気中、 600番エミリー研磨面 評価方法:剥離スケールを含めた重量変化 4)高温引張試験 試験片 :厚さ1.2mmの板状、平行部6mm幅、長さ:50mm 全長101mm 試験条件:900℃、大気中 また、上記スキンパス圧延した冷延コイルを用いて、通
常の量産ラインで、高周波誘導加熱方式(通称ERW)
製管機にて80m/minのライン速度で連続製管し、
外径38.1mmの溶接鋼管とした。溶接条件について
は、フェライト系材料用の通常条件であった。製管後の
焼鈍は実施しなかった。
【0039】この溶接鋼管から、常温引張試験片と完全
拘束熱疲労試験片を作製し、試験に供した。試験条件は
下記の通りであった。
【0040】 1)溶接管の常温引張試験 試験片:直径38.1mm、肉厚1.2mm、長さ30mm 評点距離:100mm 測定 :伸び率 2)完全拘束熱疲労試験 図2に示す試験片を用い、コンピュータ制御の電気油圧
式高温熱疲労試験により、図3に示す温度サイクル(2
00−980℃)、完全拘束(μ=1)にて試験した。
【0041】上記試験結果を表2に示す。
【0042】
【表2】 表2から明らかなように、本発明の耐熱鋼は下記の目標
特性を全て満足している。
【0043】1)980℃乾燥大気中にて、200h異
常酸化発生がない 2)980℃での高温強度が13.5MPa以上 3)200℃と980℃の繰り返しでの熱疲労寿命が破
断寿命で750サイクル以上 4)常温での板引張り評価で伸びが32%以上 5)38.1mm径×2mm板厚の高周波誘導加熱方式
溶接鋼管で常温引張り評価で伸び42%以上 また、エリクセン試験結果から明らかなように、本発明
例では張り出し限界高さが高く、冷間成形性にも優れて
いることがわかる。
【0044】一方、比較例では高温強度は、目標値以上
ではあるが、18〜28MPaと低く、その他の特性
は、上記目標を満足していないことが分かる。
【0045】(実施例2)表1に示した化学組成の本発
明鋼を用いて、国内A自動車会社の内容量2500cc
ガソリンエンジン向けのステンレスエキマニを5個試作
し、そのうちの1個を用いて、エンジン台上試験を行っ
た。破壊に至るまでのサイクル数を表3に示す。なお、
破壊はいずれも溶接接合部近傍で起こっていたが、母材
領域と言える領域で破壊している場合のサイクル数とし
た。
【0046】実機エンジンは、エキマニ評価用の負荷モ
ードで動いており、800rpmの低速回転域から50
00rpm以上の高速回転域までを可変的に変化する条
件で連続運転される。1サイクルは300secであ
る。評価中のエキマニ内面温度は、最高970℃となっ
ていた。外面は、エンジン前面に設置した空冷ファンで
冷却されており、約350℃から580℃で変化してい
た。測定結果を表3に示す。
【0047】
【表3】 表3から明らかなように、本発明の排気マニホールドで
は1856サイクル以上と極めて優れている。一方、比
較例では742サイクル以下であり、実用に耐えないこ
とがわかる。
【0048】
【発明の効果】以上、本発明によれば、今後の環境問題
対策、高効率のガソリン消費量削減車に要望される高温
特性を備えたフェライト系ステンレス鋼およびそのステ
ンレス鋼からなる内燃式エンジン燃焼排ガス排気マニホ
ールドを比較的安価に供給でき、今後のわが国自動車産
業の発展に寄与するところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱疲労試験片形状を示す図である。
【図2】熱疲労試験時の温度とひずみ波形を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮原 光雄 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 Fターム(参考) 3G004 AA01 BA09 DA01 EA00 FA04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%で、C:0.015%以下、N:
    0.01%以下、Si:0.1〜0.6%未満、Mn:
    0.01〜0.6%、P:0.03%以下、S:0.0
    025%以下、Ni:0.01〜0.5%、Cr:16
    〜21%、Mo:0.75〜2%、Nb:0.3〜0.
    85%、Ti:0.03〜0.15%、Al:0.01
    〜0.5%、Cu:0.4〜1%未満およびREM:
    0.0003〜0.2%を含有し、残部Feおよび不純
    物からなり、かつC+Nが0.02%以下であることを
    特徴とする耐熱フェライト系ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】請求項1記載の耐熱フェライト系ステンレ
    ス鋼からなる内燃式自動車エンジンの燃焼ガス排気マニ
    ホールド。
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