JP2002019343A - 多層カード及びその製造方法 - Google Patents

多層カード及びその製造方法

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JP2002019343A
JP2002019343A JP2000201378A JP2000201378A JP2002019343A JP 2002019343 A JP2002019343 A JP 2002019343A JP 2000201378 A JP2000201378 A JP 2000201378A JP 2000201378 A JP2000201378 A JP 2000201378A JP 2002019343 A JP2002019343 A JP 2002019343A
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ink
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JP2000201378A
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Giichi Ito
義一 伊藤
Koji Mizuno
耕治 水野
Kazuhiko Yanagisawa
和彦 柳澤
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Nichiban Co Ltd
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Nichiban Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録方式により印字された画
像情報を有する多層カードであって、印字画像の耐擦過
性、耐水性、耐候性、耐汚染性などに優れた多層カード
及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 コアシートの少なくとも片面にオーバー
シートが一体的に積層された多層カードにおいて、
(a)コアシートの片面もしくは両面とオーバーシート
との間に、オーバーシートに隣接して、さらに、インク
ジェット記録方式により印字されたインク受容層が一体
的に積層されており、かつ、(b)該インク受容層は、
多孔質樹脂層から形成されており、インクジェット記録
方式により印字された後、熱圧処理を受けて、多孔質構
造が閉孔させられていることを特徴とする多層カード、
及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層カードとその
製造方法に関し、さらに詳しくは、学生証、診察証、免
許証、メンバー証等の証明書カード;ATMカード、ク
レジットカード、キャッシュカード、IDカード、ヘル
スカード(Health Card)、デビットカード
(Debit Card)等の磁気カード;ICチップ
等が内蔵されたスマートカード;などに好適に使用する
ことができる多層構成のカードとその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気カードなどのカード類が生活
の中に深く浸透している。これらのカードは、データの
入力、画像情報の表示、耐久性などの観点から、プラス
チックシートや紙などを複数枚積層した多層構成を有し
ている。例えば、磁気カードを例にとると、その多く
は、図6に示すように、白色に着色した2枚のコアシー
ト81,82の両面を透明なオーバーシート71,72
で被覆した多層構成を有している。コアシートの片面も
しくは両面には、文字や絵柄、写真などの画像情報が印
刷されている。
【0003】上記の印刷面は、透明なオーバーシートに
より保護されるとともに、オーバーシートを通して見る
ことができるようになっている。オーバーシートの一方
もしくは両方の外面には、磁気ストライプ92などの磁
気層が形成されている。これらの各層は、接着剤や熱圧
により一体的に積層されている。磁気ストライプなどの
磁気層は、一般に、他の層を一体的に積層した後、その
外面に塗布もしくは熱転写により形成される。一般的
に、積層体は、連続的なシート材料として形成され、そ
して、最終的に、カードの形状に裁断されて、多層構成
のカード100とされる。
【0004】磁気カードを含む多くの多層カードは、コ
アシートとオーバーシートを含む上記の如き基本的な層
構成を有しており、これに加えて、着色層や保護層など
の付加的な層を有していることがある。また、スマート
カードなどでは、ICチップや電気回路が少なくともい
ずれか1つの層に配置されている。
【0005】このような多層カードにおいては、コアシ
ートなどに文字や絵柄、写真などの画像情報が印刷(印
字・記録)されている。画像の形成方法としては、スク
リーン印刷による方法が一般的である。しかし、スクリ
ーン印刷は、大量生産の場合に、画一的な画像情報を印
刷するのに適しているものの、コストや設備などの点
で、小量生産には必ずしも適していない。特に、少量生
産で多種類の画像情報を印刷するのには、スクリーン印
刷は適していない。
【0006】多層カードに画像情報を形成する方法とし
て、小量生産の場合、サーマルヘッドによる熱転写方式
が有利である。熱転写方式としては、感熱昇華転写記録
法が諧調再現性に優れ、精細な画像を形成することがで
きるため、一般に採用されている。この感熱昇華転写方
式による画像情報の印字は、一般に、インクリボンを介
してサーマルヘッドをコアシートやオーバーシートなど
の記録媒体に接触させて、インクリボンから染料を移行
せることにより行われている。しかし、感熱昇華転写方
式は、コストが比較的高いという問題に加えて、コアシ
ートやオーバーシートなどの記録媒体表面の凹凸による
印字むらが頻繁に発生する。特に、ICチップや電気回
路などを埋め込んだコアシートや多層カード表面に印字
すると、凹凸による印字むらがひどくなる。また、この
方式では、染料インクを用いる必要があるため、画像の
耐光性を向上させることが困難である。
【0007】一方、インクジェット記録方式は、インク
をノズルから噴出して微小な液滴をつくり、この液滴を
電気入力信号に応じた画素として紙などの基材に付着さ
せ、文字や絵柄などの画像を形成する記録方式であり、
低雑音、高解像度、高速記録などの特徴を有している。
インクジェット記録方式では、プリンターヘッドやイン
クカートリッジなどの印字に必要な部品を備えた簡単で
安価なインクジェットプリンターを使用することができ
る。それに加えて、インクジェットプリンターは、ヘッ
ドの増設だけでカラー印字も簡単に打ち出すことが可能
である。
【0008】このように、インクジェット記録方式によ
れば、鮮明な画像を形成することができ、カラー印字も
容易で、入力に応じて所望の形状の画像を形成すること
も簡単である。したがって、インクジェット記録方式
は、一般に、小量生産の場合であっても、さらには、小
量生産で多種類の画像情報を印字する必要がある場合で
あっても、十分に対応することが可能である。
【0009】しかしながら、インクジェット記録方式に
より多層カードに画像情報を形成するには、以下の如き
問題点があった。インクジェット記録方式では、インク
ジェットプリンターのジェットノズル部において、イン
クの乾燥によりインクの粘度が上昇して噴出不良となる
のを防ぐために、比較的乾燥し難いインクが用いられて
いる。すなわち、インクジェット記録方式では、一般
に、水溶性の染料、バインダー、添加剤等を水に溶解し
た水性インクが汎用されている。このような水性インク
は、例えば、白色塩化ビニル樹脂シートなどのコアシー
トに印字すると、インクの乾燥や定着が不良となってし
まい、満足な画像を形成することができない。
【0010】従来より、合成樹脂シートをインクジェッ
ト記録媒体として使用するために、合成樹脂シート上
に、急速な吸水性を示すインク受容層を形成する方法が
知られている。そこで、このようなインク受容層をコア
シート上に設けて、インクジェット記録方式により印字
する方法が考えられる。あるいは、合成樹脂シート上に
インク受容層を形成した記録媒体を用いて、インクジェ
ット記録方式により印字し、これを多層カードの多層構
成の中に組み込む方法が考えられる。
【0011】しかし、従来のインク受容層は、ポリビニ
ルアルコールやポリビニルピロリドンなどの水溶性また
は親水性の樹脂を基剤とするものであるため、吸水性に
優れている反面、印字面が水や汗、コーヒーなどの液体
と接触して汚染するという問題がある。この問題は、印
字面をオーバーシートで被覆した場合であっても、側面
からの液体の侵入があるため、克服することが難しい。
さらに、このようなインク受容層は、コアシートに比べ
て非常に柔らかいために、オーバーシートを被覆した
り、その他の保護層を設けたりしても、傷つきやすいと
いう問題がある。別の問題としては、従来のインク受容
層は、染料インクを用いて印字する必要があったが、染
料インクを用いると、印字面の耐光性が不十分になる点
も挙げられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イン
クジェット記録方式により印字された画像情報を有する
多層カードであって、印字画像の耐擦過性、耐水性、耐
候性、耐汚染性などに優れた多層カード及びその製造方
法を提供することにある。また、本発明の目的は、イン
クジェット記録方式による耐光性に優れた印字画像を有
する多層カード及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0013】本発明の他の目的は、インクジェット記録
方式により印字された画像情報を有するとともに、キャ
ッシュカード、クレジットカードなどの磁気カード、非
接触ICカードなどに求められる各種機能を付加するこ
とができる多層カード及びその製造方法を提供すること
にある。
【0014】本発明者らは、前記課題を解決するために
鋭意研究した結果、インクジェット記録方式によるイン
ク受容層として多孔質樹脂層を使用し、この多孔質樹脂
層にインクジェット記録方式により印字した後、熱圧処
理して、多孔質構造を閉孔する方法に想到した。より具
体的には、支持体上に多孔質樹脂層からなるインク受容
層を設けたインクジェット記録媒体を用いるか、あるい
はコアシートの上に多孔質樹脂層からなるインク受容層
を設けたものをインクジェット記録媒体として使用し、
インクジェット記録方式により所望の画像を印字する。
【0015】印字したインク受容層上(印字面)にオー
バーシートを重ね、インクジェット記録媒体を用いた場
合には、下層にコアシートを配置し、さらに必要に応じ
て、もう一方のコアシート面にもオーバーシートを重ね
て、両側から熱圧すると、各層が熱融着により一体的に
積層されるとともに、インク受容層の多孔質構造が閉孔
する。インク受容層として多孔質樹脂層の使用と、印字
後の多孔質構造の閉孔と、オーバーシートの一体的な被
覆とによって、耐擦過性、耐水性、耐候性、耐汚染性な
どに優れ、適度の表面硬度を有する多層カードを得るこ
とができる。インクジェット記録方式により印字したイ
ンク受容層を熱圧処理した後、他の層を重ねて熱圧する
こともできる。また、必要に応じて、各層間に接着剤層
を配置することもできる。
【0016】本発明の方法によれば、顔料インクを用い
て印字することが可能であり、それにより、画像の耐光
性を向上させることができる。また、このような多層構
成を採用することにより、各層を利用して、磁気層の形
成などにより種々の機能を付加することができる。本発
明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったもので
ある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、コアシ
ートの少なくとも片面にオーバーシートが一体的に積層
された多層カードにおいて、(a)コアシートの片面も
しくは両面とオーバーシートとの間に、オーバーシート
に隣接して、さらに、インクジェット記録方式により印
字されたインク受容層が一体的に積層されており、か
つ、(b)該インク受容層は、多孔質樹脂層から形成さ
れており、インクジェット記録方式により印字された
後、熱圧処理を受けて、多孔質構造が閉孔させられてい
ることを特徴とする多層カードが提供される。
【0018】また、本発明によれば、コアシートの少な
くとも片面にオーバーシートを配置して一体的に積層す
る工程を含む多層カードの製造方法において、(1)コ
アシートの片面もしくは両面とオーバーシートとの間
に、オーバーシートに隣接して、さらに、インクジェッ
ト記録方式により印字された多孔質樹脂層からなるイン
ク受容層を配置し、次いで、(2)配置した全層を熱圧
して、各層を一体的に積層するとともに、インク受容層
の多孔質構造を閉孔させる一連の工程を含むことを特徴
とする多層カードの製造方法が提供される。
【0019】さらに、本発明によれば、コアシートの少
なくとも片面にオーバーシートを配置して一体的に積層
する工程を含む多層カードの製造方法において、(A)
コアシートの片面もしくは両面とオーバーシートとの間
に、オーバーシートに隣接して、さらに、インクジェッ
ト記録方式により印字された多孔質樹脂層からなるイン
ク受容層であって、熱圧処理を受けて多孔質構造が閉孔
させられているインク受容層を配置し、次いで、(B)
配置した全層を熱圧して、各層を一体的に積層する一連
の工程を含むことを特徴とする多層カードの製造方法が
提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の多層カードは、コアシー
トの片面もしくは両面にオーバーシートが一体的に積層
された多層構成を有しており、いずれか一方もしくは両
方のオーバーシートに隣接して、その下層にインク受容
層が配置されている。
【0021】1.コアシート コアシートは、図6に示されているように、一般に、2
枚のコアシートを用いることにより、多層カードが湾曲
するのを防ぎ、また、適度の厚みと強度を付与してい
る。コアシートは、通常、体質顔料などを充填して白色
もしくは乳白色に着色した塩化ビニル樹脂シートなどの
熱可塑性樹脂シートが用いられている。コアシートを白
色もしくは乳白色に着色することにより、隠蔽性を付与
し、かつ、その上に印刷による文字や絵柄、写真などの
画像を形成させることができるようにしている。
【0022】本発明では、このような着色した熱可塑性
樹脂シートをコアシートとして用いることができるが、
インク受容層が隠蔽性のある場合、それらに限定されな
い。所望により、紙をコアシートとして用いることも可
能であるが、耐水性や耐久性の観点からは、熱可塑性樹
脂シートの方が好ましい。また、コアシートとして、熱
可塑性樹脂シートを用いると、接着剤を用いなくても、
熱圧により、他の層と容易に一体的に積層することがで
きるので好ましい。コアシートは、2枚に限定されず、
その厚みや強度、コア層に要求される機能などに応じ
て、1枚または3枚以上であってもよい。コアシートの
総厚は、多層カードの使用目的に応じて適宜定めること
ができるが、磁気カードなどの場合には、合計厚みで、
通常100〜2000μm、好ましくは100〜100
0μm程度である。
【0023】2.オーバーシート オーバーシートとしては、下層の印字面が見えるよう
に、一般に、透明な塩化ビニル樹脂シートなどの熱可塑
性樹脂シートが用いられる。ここで、「透明」であると
は、目視により下層に印字面が見える程度に透明である
ことを意味しており、場合によっては、半透明の状態や
着色された状態でもよい。オーバーシートは、印字面な
どの下層を保護し、表面に適度の硬度を付与し、さらに
は、その上に磁気層を形成するなどの役割を持ってい
る。オーバーシートは、一般に、多層カードの両面に配
置されるが、必要に応じて、片面に配置するだけでもよ
い。オーバーシートの厚みは、特に制限されないが、通
常4〜500μm、好ましくは10〜200μm程度で
ある。
【0024】3.インク受容層 本発明の多層カードでは、コアシートとオーバーシート
との間であって、オーバーシートに隣接して、インクジ
ェット記録方式により印字されたインク受容層が一体的
に積層されている。オーバーシートが両面にある場合に
は、両方のオーバーシートの下層にインク受容層を配置
してもよい。あるいは、一方のオーバーシートの下層に
インク受容層を配置し、他方のオーバーシートの下層に
は、スクリーン印刷などの他の方式により印字されたコ
アシートを配置してもよい。
【0025】インク受容層は、多孔質樹脂層から形成さ
れており、インクジェット記録方式により印字された
後、熱圧処理を受けて、多孔質構造が閉孔させられてい
る。このような多孔質樹脂層としては、好ましくは非水
溶性樹脂、例えば、多孔質ポリエチレンフィルム、多孔
質ポリプロピレンフィルム、多孔質ポリビニルブチラー
ル樹脂層、多孔質ポリビニルアセタール樹脂層などの多
孔質熱可塑性樹脂層を挙げることができる。
【0026】多孔質ポリエチレンフィルムなどの疎水性
の多孔質プラスチックフィルム(シートを含む)の場合
には、インクジェット記録方式に用いられる水性インク
の吸収性、定着性などの印字性を向上させるために、界
面活性剤で表面処理することが望ましい。
【0027】多孔質ポリビニルブチラール樹脂層、多孔
質ポリビニルアセタール樹脂層などの高分子多孔質層か
らなるインク受容層を形成する方法としては、例えば、
高分子材料をアミド系溶媒に溶解させた溶液をフィルム
上に塗布し、次いで、塗布層表面に貧溶媒の水を噴霧水
として接触させる方法が知られている(特開平8−90
944号公報、特開平9−290577号公報)。接触
した噴霧水は、塗布層内の溶媒中に拡散し、高分子材料
を凝固させ、それによって、多孔質構造を形成してい
る。
【0028】多孔質樹脂層の孔径などの多孔質構造を精
密に制御することができる方法としては、例えば、ポリ
ビニルブチラール樹脂、その良溶媒、及びその貧溶媒を
含有する塗工液を支持体上に塗布し、乾燥する方法があ
る。より具体的には、良溶媒としてメタノールなどの低
沸点有機溶媒を使用し、貧溶媒としてイオン交換水など
を使用する。塗工液を支持体上に塗布し、乾燥温度を制
御して、良溶媒から先に乾燥させると、ポリビニルブチ
ラール樹脂の凝集が起こり、その結果、連続孔からなる
多孔質構造が形成される。この方法によれば、溶媒の種
類の選択、乾燥温度の制御などにより、孔径などの多孔
質構造を精密に制御することができ、顔料インクを用い
た場合でも優れた印字性を示すインク受容層を形成する
ことができる。
【0029】多孔質樹脂層からなるインク受容層は、イ
ンクジェット記録方式により印字された後、熱圧処理を
受けて、多孔質構造が閉孔させられるが、閉孔を効率よ
く行うには、多孔質樹脂層のなかに、熱可塑性微粒子を
均一に分散させる方法が効果的である。熱可塑性微粒子
としては、ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチ
ル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン
−酢酸ビニル共重合体などのスチレン系(共)重合体;
ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポ
リオレフィン;ポリ酢酸ビニル;ポリアミドなどの熱可
塑性(共)重合体の微粒子を挙げることができる。
【0030】例えば、前述の如き方法により、塗工液を
用いてポリビニルブチラール樹脂層を形成する際に、熱
可塑性微粒子を熱可塑性(共)重合体のエマルジョンも
しくはディスパージョンとして、塗工液中に供給するこ
とが好ましい。熱可塑性微粒子の平均粒子径は、好まし
くは0.01〜20μm、より好ましくは0.03〜1
5μmである。平均粒子径は、コールター・カウンター
法により測定した値である。熱可塑性微粒子は、乾燥工
程で造膜しないように、最低造膜温度、融点、もしくは
軟化点が乾燥温度より高いものを用いることが望まし
い。熱可塑性微粒子は、多孔質樹脂層を形成するポリマ
ー100重量部に対して、10〜250重量部の割合で
用いられる。
【0031】多孔質樹脂層には、無機微粒子を含有させ
ることが、インク吸収性を高める上で好ましい。無機微
粒子としては、アルミナ、シリカ、チタニア、炭酸カル
シウムなどが挙げられる。アルミナとしては、γ型結晶
形態の酸化アルミニウム微粉末(例えば、一次粒子の平
均径が約13nmの微粉末)が好ましい。シリカとして
は、コロイダルシリカ及びヒュームドシリカが好まし
い。無機微粒子は、多孔質樹脂層を形成するポリマー1
00重量部に対して、通常200重量部以下、より好ま
しくは150重量部以下の割合で用いられる。無機微粒
子の使用割合が小さすぎると、インク吸収性の改善効果
が小さく、大きすぎると、多孔質樹脂層が脆くなる恐れ
が生じる。
【0032】多孔質樹脂層をポリビニルブチラール樹脂
などから形成する場合には、造膜性に優れ、強度や耐水
性、耐候性などの特性を向上させるために、疎水性熱可
塑性樹脂を含有させることができる。このような疎水性
熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、スチレンア
クリロニトリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル酸エ
ステル樹脂、これらの樹脂のアニオンまたはカチオン変
性物等を挙げることができる。疎水性熱可塑性樹脂を用
いる場合には、多孔質樹脂層を形成するポリマー100
重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは30
重量部以下、より好ましくは10重量部以下の割合で用
いられる。また、多孔質樹脂層の耐候性向上のために、
紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色剤、顔
料、その他の充填剤などを含有させることができる。
【0033】多孔質樹脂層の平均孔径は、使用するイン
クの種類に応じて適宜選択することができるが、通常
0.01〜10μm、好ましくは0.1〜8μm程度で
ある。多孔質樹脂層の厚みは、特に限定されないが、通
常、5〜100μm、好ましくは10〜80μm程度で
ある。
【0034】4.インクジェット記録媒体 インク受容層を構成する多孔質樹脂層は、インクジェッ
ト記録方式により印字するために、通常、支持体上に設
けられる。多孔質樹脂層が多孔質ポリエチレンフィルム
などの独立したフィルムである場合には、支持体とラミ
ネーションさせることにより、支持体上に該多孔質ポリ
エチレンフィルムからなるインク受容層を設けることが
できる。多孔質ポリビニルブチラール樹脂層のように、
塗工液を用いて多孔質樹脂層を形成する場合には、支持
体上に塗工液を塗布し、乾燥させることにより、支持体
と一体となったインクジェット記録媒体を設けることが
できる。
【0035】支持体としては、特に限定されず、種々の
材質の種々の形態のものを使用することができるが、通
常、シート状基材が好適に用いられる。シート状基材と
しては、耐熱性、寸法安定性、剛性などを備えた合成樹
脂シートが好ましい。このような合成樹脂シートとして
は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)な
どのポリエステル、セルローストリアセテート、ポリカ
ーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリイ
ミドなどの合成樹脂から形成されたシート(フィルムを
含む)を挙げることができる。シート状基材の厚さは、
用途に応じて適宜定めることができるが、通常10〜1
00μm程度である。これらの中でも、厚さ25〜10
0μmの延伸PETフィルムが特に好ましい。
【0036】支持体として、透明性に優れた合成樹脂シ
ートを用いることができるが、写真調の画像が望ましい
場合には、酸化チタン等の体質顔料を練り込んで、白色
隠蔽性を付与した合成樹脂シートを用いる。また、合成
紙、コート紙等の合成樹脂シート以外のシート状基材を
支持体として使用することができる。支持体の表面に
は、必要に応じて、接着性を向上させるために、プライ
マー層を設けたり、コロナ放電処理を行ったりした後、
その上に多孔質樹脂層を形成してもよい。
【0037】本発明では、支持体上に多孔質樹脂層を形
成したものをインクジェット記録媒体として使用し、イ
ンクジェットプリンターを用いて印字させる。また、支
持体に代えて、コアシートを使用し、その上に多孔質樹
脂層をインク受容層として形成してもよい。あるいは、
前述の如き白色隠蔽性を付与した合成樹脂シートを支持
体として用いる場合には、この合成樹脂シートをコアシ
ートとすることもできる。
【0038】かくして、本発明では、図1に示すよう
に、支持体2上に多孔質樹脂層1を設けたインクジェッ
ト記録媒体10(図1a)またはコアシート3上に多孔
質樹脂層1を設けたインクジェット記録媒体11(図1
b)を用いて、インクジェット記録方式により、多孔質
樹脂層の表面に印字する。コアシートの両面にインク受
容層を形成してもよい。
【0039】多孔質樹脂層の表面にインクジェット記録
方式により印字した後、熱圧処理を行って、多孔質構造
を閉孔させる。多孔質構造の閉孔は、前述のインクジェ
ット記録媒体の状態で熱圧処理することにより行っても
よいし、あるいは、印字後のインクジェット記録媒体を
オーバーシートなどの他の層と重ねて、全層を熱圧して
一体的に積層する際に、同時に閉孔させる方法を採用し
てもよい。
【0040】5.多層カード 本発明の多層カードの層構成の具体例を図2及び図3に
示す。図2(2a)には、支持体2上にインク受容層
(多孔質樹脂層)1を設けたインクジェット記録媒体
をオーバーシート41の下層に隣接して配置し、その
下に、2枚のコアシート31,32、及びオーバーシー
ト42が配置された層構成を有する多層カード51が示
されている。図2(2b)には、支持体21上にインク
受容層(多孔質樹脂層)1を設けたインクジェット記録
媒体10Aと、支持体22上にインク受容層1を設けた
インクジェット記録媒体10Bとが両方に配置された層
構成を有する多層カード52が示されている。
【0041】図3(3a)には、コアシート31の上に
インク受容層(多孔質樹脂層)1を設けたインクジェッ
ト記録媒体11をオーバーシート41の下層に隣接して
配置し、その下に、コアシート32、及びオーバーシー
ト42が配置された層構成を有する多層カード61が示
されている。図2(2b)には、コアシート31の上に
インク受容層1を設けたインクジェット記録媒体11A
と、コアシート32の上にインク受容層1を設けたイン
クジェット記録媒体11Bとが両方に配置された層構成
の多層カード62が示されている。
【0042】これらの多層カードの層構成は例示であっ
て、本発明は、これらに限定されるものではない。前述
した通り、コアシートを1層にしたり、あるいは3層以
上にすることが可能である。コアシートを一層にし、そ
の両面にインク受容層を形成することもできる。また、
インク受容層が形成されていない側のオーバーシートを
省略することもできる。さらに、本発明の多層カード
は、他の付加的な層が配置されていてもよい。
【0043】本発明の多層カードは、画像情報をインク
ジェット記録方式により印字することができるため、小
量生産の場合であっても、さらには、小量生産で多種類
の画像情報を印字する必要がある場合であっても、対応
することが可能である。その画像は、鮮明で、カラー化
も容易であり、入力に応じて所望の形状とすることも簡
単である。
【0044】本発明の多層カードは、染料インクだけで
はなく、耐候性や耐光性に優れた顔料インクを用いて印
字することもできる。インクジェットプリンターを用い
て印字した後には、多孔質構造を閉孔し、かつ、インク
受容層の上にオーバーシートを一体的に積層するため、
耐擦過性、耐水性、耐候性、耐汚染性などに優れた多層
カードを得ることができる。特に、インク受容層が印字
後、熱圧処理により多孔質構造が閉孔させられているた
め、インク受容層の横からの水の染み込みが防止され、
そして、耐水性や色濃度の改善、受容層の高凝集力化な
どが図られている。
【0045】本発明の多層カードは、磁気カードやIC
カードなどとして用いる場合には、例えば、磁気層を設
けたり、ICチップや電気回路パターンを埋め込んだり
することができる。磁気層は、通常、オーバーシートの
上に塗布もしくは熱圧転写などにより形成される。磁気
層をオーバーシートの内面側に設けてもよい。あるい
は、オーバーシートの外面に磁気層を形成し、その上
に、さらに保護層として別のオーバーシートを設けても
よい。磁気層は、多層カードの片面または両面に形成す
ることができる。ICチップや電気回路パターンは、オ
ーバーシートやコアシートに設けることができる。IC
チップや電気回路パターンをコアシートに埋め込んだ
り、コアシート間に挟み込んだりする場合には、予めそ
のような処理をしたコアシートを使用して、積層するこ
とができる。このようにして、各種機能部品を搭載させ
ることにより、機能性が付与された多層カードとするこ
とができる。
【0046】6.多層カードの製造方法 図4及び図5に、本発明の多層カードの製造方法の具体
例を示す。ただし、図4及び図5に示す製造方法におい
て、各層構成は例示であって、これに限定されない。前
述した通り、多層カードの層構成には多くの種類があ
る。
【0047】図4に示す方法では、(1) 支持体2上にイ
ンク受容層1(多孔質樹脂層)を設けたインクジェット
記録媒体10のインク受容層の表面に、インクジェット
プリンターを用いてインクジェット記録方式で印字する
工程、(2) 印字したインクジェット記録媒体のインク受
容層の上にオーバーシート41を配置し、インクジェッ
ト記録媒体の支持体の下にはコアシート31,32を配
置し、さらに、コアシート32の下にオーバーシート4
2を配置する工程、(3) これら配置された全層を加熱加
圧(熱圧)して、各層間を一体的に積層し、同時に、イ
ンク受容層の多孔質構造を閉孔させる工程の一連の工程
を経て、多層カード51Aが製造される。
【0048】図5に示す方法では、(1) 支持体2上にイ
ンク受容層1(多孔質樹脂層)を設けたインクジェット
記録媒体10のインク受容層の表面に、インクジェット
プリンターを用いてインクジェット記録方式で印字する
工程、(2) 印字したインクジェット記録媒体を熱圧処理
して、インク受容層の多孔質構造を閉孔させる工程、
(3) インク受容層の上にオーバーシート41を配置し、
インクジェット記録媒体の支持体の下にはコアシート3
1,32を配置し、さらに、コアシート32の下にオー
バーシート42を配置する工程、(4) これら配置された
全層を加熱加圧(熱圧)して、各層間を一体的に積層す
る工程の一連の工程を経て、多層カード51Bが製造さ
れる。
【0049】これらの製造方法によれば、インク受容層
の表面に印字した後、各層を積層するため、例えば、I
Cチップや電気回路を埋め込んだり、挟み込んだりした
層を介在させた場合であっても、それによって生じた凹
凸により印字品質が損なわれることがない。
【0050】全層に熱圧を加えたり、インク受容層を熱
圧処理するには、プレス機を用いたり、熱ロール間に通
したりする方法を採用することができる。熱圧処理の条
件は、各層が一体的に積層可能な条件であれば特に制限
されない。熱処理温度は、通常、60〜180℃程度で
ある。加圧の圧力は、通常、1〜40kg/cm2 程度
である。
【0051】積層体をカードの形状に打ち抜くのは、通
常は、熱圧により一体化した積層体を製造した後、ある
いは、積層体に磁性層を形成するなどの付加的な処理工
程を経た後である。ただし、場合によっては、予め各層
をカードの形状に裁断したものを用いて、熱圧により一
体的に積層することにより多層カードの形状で得ること
も可能である。あるいは、オーバーシート以外の各層を
カードの形状に打ち抜き加工しておき、その上にオーバ
ーシートを被覆してもよい。
【0052】
【実施例】[実施例1]メタノール130gにポリビニ
ルブチラール樹脂10gを溶解させ、次いで、得られた
溶液にアエロジルAl23 ・C(平均一次粒子径13
nmのγ型酸化アルミニウム微粒子、日本アエロジル社
製)6gを混合し、溶液Aを作製した。AP−6730
〔スチレン・アクリル型熱可塑性微粒子、固形分濃度4
5%、昭和高分子(株)〕28gにイオン交換水13.
5gを添加した後、ショックが起きないように注意深く
メタノールを17g添加して溶液Bを作製した。その
後、溶液Aと溶液Bを混合して、インク受容層用の塗工
液を得た。
【0053】厚さ36μmのポリエステルフィルム〔メ
リネックス339、易接着処理フィルム、帝人デュポン
フィルム(株)製〕の片面に、該塗工液を乾燥後の塗布
厚さが50μmになるようにバーコーターにて塗布し、
次いで、65℃で1分間、さらに75℃にて1分間の条
件で乾燥して、多孔質ポリビニルブチラール樹脂層から
なるインク受容層が形成されたインクジェット記録媒体
を得た。
【0054】このインクジェット記録媒体のインク受容
層の表面に、インクジェットプリンターを用いて目的の
印字を記録した後、インク受容層の上に厚さ100μm
の透明塩化ビニルシート、支持体(ポリエステルフィル
ム)の下に厚さ280μmの白色塩化ビニルシート2枚
と、さらに下層に厚さ100μmの透明塩化ビニルシー
トを配置した。これら全層の両面に、鏡面を有するプレ
ス板をあてがい、プレス機にて圧力15kg/cm2
温度120℃の条件で1時間かけて熱圧処理を行った。
その後、打抜き機にてカードサイズに打抜き、平滑な表
面をもつカードを得た。
【0055】[実施例2]厚さ36μmのポリエステル
フィルム〔メリネックス339、易接着処理フィルム、
帝人デュポンフィルム(株)製〕に、接着剤〔セイカボ
ンドE−263(固形分濃度63%)/架橋剤C−26
(固形分濃度40%)=15/3の混合液、固形分濃度
10wt%、大日精化製〕をグラビアコーター(120
斜、版深55μm)にて塗布し、乾燥後、多孔質ポリエ
チレンフィルムであるKH2055M(三菱化学製)と
ドライラミネーションを行った。接着した多孔質なフィ
ルム面にグラビアコーター(120斜、版深55μm)
にて界面活性剤エマルゲン408〔花王(株)製〕固形
分濃度10wt%で処理し、インクジェット記録媒体を
得た。
【0056】このインクジェット記録媒体のインク受容
層(多孔質ポリエチレンフィルム)表面にインクジェッ
トプリンターで目的の印字を記録した後、インクジェッ
ト記録媒体のインク受容層上に厚さ100μmの透明塩
化ビニルシート、下に厚さ280μmの白色塩化ビニル
シート2枚と、さらに下層に厚さ100μmの透明塩化
ビニルシートを配置した。全層の両面に、鏡面を有する
プレス板をあてがい、プレス機にて圧力15kg/cm
2 、温度120℃の条件で1時間かけて熱圧処理を行っ
た。その後、打抜き機にてカードサイズに打抜き、平滑
な表面をもつカードを得た。
【0057】[実施例3]メタノール130gにポリビ
ニルブチラール樹脂10gを溶解させ、次いで、得られ
た溶液にアエロジルAl23 ・C(平均一次粒子径1
3nmのγ型酸化アルミニウム微粒子、日本アエロジル
社製)6gを混合し、溶液Aを作製した。AP−673
0〔スチレン・アクリル型熱可塑性微粒子、固形分濃度
45%、昭和高分子(株)〕28gにイオン交換水1
3.5gを添加した後、ショックが起きないように注意
深くメタノールを17gを添加して、溶液Bを作製し
た。その後、溶液Aと溶液Bを混合して、インク受容層
用の塗工液を得た。
【0058】厚さ36μmのポリエステルフィルム〔メ
リネックス339、易接着処理フィルム、帝人デュポン
フィルム(株)製〕の片面に、該塗工液を乾燥後の塗布
厚さが50μmになるようにバーコーターにて塗布し、
次いで、65℃で1分間、さらに75℃にて1分間の条
件で乾燥して、インク受容層が形成されたインクジェッ
ト記録媒体を得た。
【0059】このインクジェット記録媒体のインク受容
層(多孔質ポリビニルブチラール樹脂層)上に、インク
ジェットプリンターを用いて目的の印字を記録した後、
インクジェット記録媒体を130℃に設定された加熱ロ
ールと加圧ロールの間を通して熱圧処理し、インク受容
層の多孔質構造を閉孔させた。次に、インクジェット記
録媒体のインク受容層上に厚さ100μmの透明塩化ビ
ニルシート、下に厚さ280μmの白色塩化ビニルシー
ト2枚と、さらに下層に厚さ100μmの透明塩化ビニ
ルシートを配置した。これら全層の両面に、鏡面を有す
るプレス板をあてがい、プレス機にて圧力15kg/c
2 、温度120℃の条件で1時間かけて熱圧処理を行
った。その後、打抜き機にてカードサイズに打抜き、平
滑な表面をもつカードを得た。
【0060】[実施例4]厚さ36μmのポリエステル
フィルム〔メリネックス339、易接着処理フィルム、
帝人デュポンフィルム(株)製〕に、接着剤〔セイカボ
ンドE−263(固形分濃度63%)/架橋剤C−26
(固形分濃度40%)=15/3の混合液、固形分濃度
10wt%、大日精化製〕をグラビアコーター(120
斜、版深55μm)にて塗布し、乾燥後、多孔質ポリエ
チレンフィルムであるKH2055M(三菱化学製)と
ドライラミネーションを行った。接着した多孔質フィル
ム面にグラビアコーター(120斜、版深55μm)に
て界面活性剤エマルゲン408〔花王(株)製〕固形分
濃度10wt%を処理し、インクジェット記録媒体を得
た。
【0061】このインクジェット記録媒体のインク受容
層(多孔質ポリエチレンフィルム)の表面に、インクジ
ェットプリンターを用いて目的の印字を記録した後、イ
ンクジェット記録媒体に熱圧処理を行い、インク受容層
の多孔質構造を閉孔させた。その後、インクジェット記
録媒体のインク受容層上に厚さ100μmの透明塩化ビ
ニルシート、下に厚さ280μmの白色塩化ビニルシー
ト2枚と、さらに下層に厚さ100μmの透明塩化ビニ
ルシートを配置した。これら全層の両面に、鏡面を有す
るプレス板をあてがい、プレス機にて圧力15kg/c
2 、温度120℃の条件で1時間かけて熱圧処理を行
った。その後、打抜き機にてカードサイズに打抜き、平
滑な表面をもつカードを得た。
【0062】[比較例1]固形分30重量%のアエロジ
ルAl23 ・C(平均一次粒子径13nmのγ型酸化
アルミニウム微粒子、日本アエロジル社製)水分散液1
50gとポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA2
35)固形分10%の120gとを混合し塗工液を調製
した。この塗工液を、厚さ36μmのポリエチレンテレ
フタレート(PET)フィルム上に乾燥後の塗工量が3
0g/m2 になるようにバーコーターを用いて塗工し
た。乾燥後、インクジェット記録媒体を得た。
【0063】このインクジェット記録媒体のインク受容
層(PVA層)の表面に、インクジェットプリンターを
用いて目的の印字を記録した後、インクジェット記録媒
体のインク受容層上に厚さ100μmの透明塩化ビニル
シート、下に厚さ280μmの白色塩化ビニルシート2
枚と、さらに下層に厚さ100μmの透明塩化ビニルシ
ートを配置した。これら全層の両面に、鏡面を有するプ
レス板をあてがい、プレス機にて圧力15kg/cm
2 、温度120℃の条件で1時間かけて熱圧処理を行っ
た。その後、打抜き機にてカードサイズに打抜き、平滑
な表面をもつカードを得た。
【0064】[比較例2]メタノール130gにポリビ
ニルブチラール樹脂10gを溶解させ、次いで、得られ
た溶液にアエロジルAl23 ・C(平均一次粒子径1
3nmのγ型酸化アルミニウム微粒子、日本アエロジル
社製)6gを混合し、溶液Aを作製した。AP−673
0〔スチレン・アクリル型熱可塑性微粒子、固形分濃度
45%、昭和高分子(株)〕28gにイオン交換水1
3.5gを添加した後、ショックが起きないように注意
深くメタノールを17g添加して溶液Bを作製した。そ
の後、溶液Aと溶液Bを混合して、インク受容層用の塗
工液を得た。
【0065】厚さ36μmのポリエステルフィルム〔メ
リネックス339、易接着処理フィルム、帝人デュポン
フィルム(株)製〕の片面に、該塗工液を乾燥後の塗布
厚さが50μmになるようにバーコーターにて塗布し、
次いで、65℃で1分間、さらに75℃にて1分間の条
件で乾燥して、多孔質ポリビニルブチラール樹脂層から
なるインク受容層が形成されたインクジェット記録媒体
を得た。
【0066】このインクジェット記録媒体のインク受容
層(多孔質ポリビニルブチラール樹脂層)の表面に、イ
ンクジェットプリンターを用いて目的の印字を記録した
後、インクジェット記録媒体に熱圧処理を行い、インク
受容層の多孔質構造を閉孔させた。このインクジェット
記録媒体のインク受容層の上には、オーバーシートを配
置せず、下には、厚さ280μmの白色塩化ビニルシー
ト2枚と、さらに下層に厚さ100μmの透明塩化ビニ
ルシートを配置した。全層の両面に、鏡面を有するプレ
ス板をあてがい、プレス機にて圧力15kg/cm2
温度120℃の条件で1時間かけて熱圧処理を行った。
その後、打抜き機にてカードサイズに打抜き、平滑な表
面をもつカードを得た。
【0067】[比較例3]メタノール130gにポリビ
ニルブチラール樹脂10gを溶解させ、次いで、得られ
た溶液にアエロジルAl23 ・C(平均一次粒子径1
3nmのγ型酸化アルミニウム微粒子、日本アエロジル
社製)6gを混合し、溶液Aを作製した。AP−673
0〔スチレン・アクリル型熱可塑性微粒子、固形分濃度
45%、昭和高分子(株)〕28gにイオン交換水1
3.5gを添加した後、ショックが起きないように注意
深くメタノールを17g添加して溶液Bを作製した。そ
の後、溶液Aと溶液Bを混合して、インク受容層用の塗
工液を得た。
【0068】厚さ36μmのポリエステルフィルム〔メ
リネックス339、易接着処理フィルム、帝人デュポン
フィルム(株)製〕の片面に、該塗工液を乾燥後の塗布
厚さが50μmになるようにバーコーターにて塗布し、
次いで、65℃で1分間、さらに75℃にて1分間の条
件で乾燥して、多孔質ポリビニルブチラール樹脂層から
なるインク受容層が形成されたインクジェット記録媒体
を得た。
【0069】インクジェット記録媒体の下に、厚さ28
0μmの白色塩化ビニルシート2枚と、さらに下層に厚
さ100μmの透明塩化ビニルシートを配置した。全層
の両面に鏡面を有するプレス板をあてがい、プレス機に
て圧力15kg/cm2 、温度120℃の条件で1時間
かけて熱圧処理を行った。その後、インク受容層の表面
にインクジェットプリンターで印字した。
【0070】[比較例4]厚さ36μmのポリエステル
フィルム〔メリネックス339、易接着処理フィルム、
帝人デュポンフィルム(株)製〕に、接着剤〔SK、固
形分濃度10wt%、大日精化製〕をグラビアコーター
(120斜、版深55μm)にて塗布し、乾燥後、多孔
質ポリエチレンフィルムであるKH2055M(三菱化
学製)とドライラミネーションを行った。接着した多孔
質フィルム面にグラビアコーター(120斜、版深55
μm)にて界面活性剤エマルゲン408〔花王(株)
製〕固形分濃度10wt%を処理し、インクジェット記
録媒体を得た。
【0071】このインクジェット記録媒体の下に厚さ2
80μmの白色塩化ビニルシート2枚と、さらに下層に
厚さ100μmの透明塩化ビニルシートを配置した。全
層の両面に鏡面を有するプレス板をあてがい、プレス機
にて圧力15kg/cm2 、温度120℃の条件で1時
間かけて熱圧処理を行った。その後、インク受容層の表
面にインクジェットプリンターで印字した。
【0072】<物性等の評価> (1)印字評価 印字に関する評価は、顔料系インクジェットプリンタ
〔キングジム(株)製のインクジェットラベルライター
「テブラ」JET JPC770〕にて、顔料インクを
印字して行った。 ・インク吸収性 ベタ印刷部分を指で触わり、指にインクが付着するか否
かを観察した。印字の30秒後にインクが付着しない場
合を良好(○)、付着する場合を不良(×)と評価し
た。
【0073】(2)レタリング試験 レタリングスティック(No.3)を、インク受容層の
表面の垂直方向から、0.3Kg重の荷重で20秒間押
し当て、まったく跡が残らない場合を(◎)、若干残る
場合を(○)、跡が残る(×)とした。 (3)耐水性 作成した多層カードを24時間水に浸漬し、インク受容
層への水の浸入がない場合を良好(○)、インク受容層
への水の浸入がある場合を不良(×)とした。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、インクジェット記録方
式により印字された画像情報を有する多層カードであっ
て、印字画像の耐擦過性、耐水性、耐候性、耐汚染性な
どに優れた多層カード及びその製造方法が提供される。
また、本発明によれば、インクジェット記録方式による
耐光性に優れた印字画像を有する多層カード及びその製
造方法が提供される。さらに、本発明によれば、インク
ジェット記録方式により印字された画像情報を有すると
ともに、キャッシュカード、クレジットカードなどの磁
気カード、非接触ICカードなどに求められる各種機能
を付加することができる多層カード及びその製造方法が
提供される。
【0076】本発明の多層カードは、感熱昇華転写方式
と比較して、熱圧処理を行うことによって、耐光性、耐
擦過性に優れており、小量生産の印刷物にも対応でき
る。また、本発明によれば、多層カードに凹凸があって
も、再現性の高い画像を記録することができる。本発明
の多層カードの製造方法では、予め印字記録したインク
受容層を熱圧融着して多層カードを形成するため、カー
ドの平滑性が向上する。そのため、磁気情報を読み取る
際のカードの振動が減少し、磁気読み取り不良を少なく
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、インクジェット記録媒体の層構成の具
体例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の多層カードの層構成の具体例
を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の多層カードの層構成の他の具
体例を示す断面図である。
【図4】図4は、熱圧処理して各層を一体的に積層する
工程の具体例を示す説明図である。
【図5】図5は、熱圧処理して各層を一体的に積層する
工程の他の具体例を示す説明図である。
【図6】図6は、従来の磁気カードの層構成の具体例を
示す説明図である。
【符号の説明】
1:インク受容層 2:支持体 3:コアシート 10:インクジェット記録媒体 10A:インクジェット記録媒体 11:インクジェット記録媒体 11B:インクジェット記録媒体 21:支持体 22:支持体 31:コアシート 32:コアシート 41:オーバーシート 42:オーバーシート 51:多層カードの層構成 51A:多層カードの層構成 51B:多層カードの層構成 52:多層カードの層構成 61:多層カードの層構成 62:多層カードの層構成 71:オーバーシート 81:コアシート 82:コアシート 91:印刷 92:磁気ストライプ 100:磁気カード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G06K 19/06 B41J 3/04 101Y 19/077 G06K 19/00 B K (72)発明者 柳澤 和彦 東京都文京区関口二丁目3番3号 ニチバ ン株式会社内 Fターム(参考) 2C005 HA10 HB01 HB03 HB09 JA02 JA26 KA02 KA06 KA40 KA46 LA27 MA11 MB08 PA03 PA21 PA23 2C056 EA13 FB01 FB08 FC06 HA44 2H086 BA05 BA15 BA24 BA32 BA33 BA34 5B035 BA05 BB02 BB09 CA01

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コアシートの少なくとも片面にオーバー
    シートが一体的に積層された多層カードにおいて、
    (a)コアシートの片面もしくは両面とオーバーシート
    との間に、オーバーシートに隣接して、さらに、インク
    ジェット記録方式により印字されたインク受容層が一体
    的に積層されており、かつ、(b)該インク受容層は、
    多孔質樹脂層から形成されており、インクジェット記録
    方式により印字された後、熱圧処理を受けて、多孔質構
    造が閉孔させられていることを特徴とする多層カード。
  2. 【請求項2】 該インク受容層が、支持体上に設けられ
    たインク受容層であり、かつ、該支持体も一体的に積層
    されている請求項1記載の多層カード。
  3. 【請求項3】 該インク受容層が、コアシートの表面に
    設けられているものである請求項1記載の多層カード。
  4. 【請求項4】 該インク受容層が、多孔質熱可塑性樹脂
    層から形成されたものである請求項1ないし3のいずれ
    か1項に記載の多層カード。
  5. 【請求項5】 該インク受容層が、熱可塑性微粒子を含
    有する多孔質熱可塑性樹脂層から形成されたものである
    請求項4記載の多層カード。
  6. 【請求項6】 該インク受容層が、無機微粒子を含有す
    る多孔質熱可塑性樹脂層から形成されたものである請求
    項4記載の多層カード。
  7. 【請求項7】 該インク受容層が、熱可塑性微粒子と無
    機微粒子を含有する多孔質熱可塑性樹脂層から形成され
    たものである請求項4記載の多層カード。
  8. 【請求項8】 該インク受容層が、インクジェット記録
    方式により、顔料インクが印字されている請求項1記載
    の多層カード。
  9. 【請求項9】 少なくともいずれか一方の外層の外面ま
    たは内面に、さらに磁気層が形成されている請求項1な
    いし8のいずれか1項に記載の多層カード。
  10. 【請求項10】 少なくともいずれか1つの層に、さら
    にICチップが配置されている請求項1ないし8のいず
    れか1項に記載の多層カード。
  11. 【請求項11】 少なくともいずれか1つの層に、さら
    に電気回路パターンが配置されている請求項1ないし8
    のいずれか1項に記載の多層カード。
  12. 【請求項12】 コアシートの少なくとも片面にオーバ
    ーシートを配置して一体的に積層する工程を含む多層カ
    ードの製造方法において、(1)コアシートの片面もし
    くは両面とオーバーシートとの間に、オーバーシートに
    隣接して、さらに、インクジェット記録方式により印字
    された多孔質樹脂層からなるインク受容層を配置し、次
    いで、(2)配置した全層を熱圧して、各層を一体的に
    積層するとともに、インク受容層の多孔質構造を閉孔さ
    せる一連の工程を含むことを特徴とする多層カードの製
    造方法。
  13. 【請求項13】 該インク受容層が、支持体上に設けら
    れたインク受容層であり、かつ、該支持体をインク受容
    層とともに配置する請求項12記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 該インク受容層が、コアシートの表面
    に設けられているものである請求項12記載の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 コアシートの少なくとも片面にオーバ
    ーシートを配置して一体的に積層する工程を含む多層カ
    ードの製造方法において、(A)コアシートの片面もし
    くは両面とオーバーシートとの間に、オーバーシートに
    隣接して、さらに、インクジェット記録方式により印字
    された多孔質樹脂層からなるインク受容層であって、熱
    圧処理を受けて多孔質構造が閉孔させられているインク
    受容層を配置し、次いで、(B)配置した全層を熱圧し
    て、各層を一体的に積層する一連の工程を含むことを特
    徴とする多層カードの製造方法。
  16. 【請求項16】 該インク受容層が、支持体上に設けら
    れたインク受容層であり、かつ、該支持体をインク受容
    層とともに配置する請求項15記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 該インク受容層が、コアシートの表面
    に設けられているものである請求項15記載の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009140027A (ja) * 2007-12-03 2009-06-25 Toppan Printing Co Ltd 非接触icインレット、カバー付き非接触icインレット、非接触icインレット付き冊子、及びこれらの製造方法

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JP2009140027A (ja) * 2007-12-03 2009-06-25 Toppan Printing Co Ltd 非接触icインレット、カバー付き非接触icインレット、非接触icインレット付き冊子、及びこれらの製造方法

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