JP2002013639A - 内燃機関のピストン装置 - Google Patents

内燃機関のピストン装置

Info

Publication number
JP2002013639A
JP2002013639A JP2000198488A JP2000198488A JP2002013639A JP 2002013639 A JP2002013639 A JP 2002013639A JP 2000198488 A JP2000198488 A JP 2000198488A JP 2000198488 A JP2000198488 A JP 2000198488A JP 2002013639 A JP2002013639 A JP 2002013639A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ring
piston
oil
groove
outer peripheral
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000198488A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukio Tateishi
幸男 立石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Piston Ring Co Ltd
Original Assignee
Nippon Piston Ring Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Piston Ring Co Ltd filed Critical Nippon Piston Ring Co Ltd
Priority to JP2000198488A priority Critical patent/JP2002013639A/ja
Publication of JP2002013639A publication Critical patent/JP2002013639A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスシール性能およびオイルコントロール性
能を両立でき、かつ潤滑油の消費量を抑制可能な1本リ
ング構成の内燃機関のピストンを提供する。 【解決手段】 ピストンリングをリング本体と、該リン
グ本体に張力を付与するエキスパンダとを備えたものと
し、リング本体の下部のリング厚みをセカンドランドの
外周面とシリンダ壁面との間隔の2倍以上、リング本体
のリング幅の1.5倍以下とし、かつリング本体の上部の
リング厚みより厚くした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、唯一のピストンリ
ングを装着してシリンダ内で往復移動する内燃機関のピ
ストン装置に関し、特に、コイルエキスパンダの張力に
よりリング本体の外周面をシリンダ壁面に接触させるこ
とが可能なピストンリングを装着したピストン装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来の4サイクルエンジンのピストンに
は、図6および図7の要部縦断面図に例示するようなピ
ストン100 、200 が通常使用されている。3つのリング
溝を有する3本リング構成のピストン100 には、図6に
示すように、トップリング溝1、セカンドリング溝2、
オイルリング溝3がピストン上部から順にピストン頭部
の外周部に設けてある。この3つのリング溝には、それ
ぞれ図示しないトップリング、セカンドリング、および
オイルリングが装着されるように構成してある。また、
ピストン100 のピストン頭部の外周部には、トップラン
ド4、セカンドランド5、サードランド6がピストン上
部からこの順に形成してある。
【0003】2つのリング溝を有する2本リング構成の
ピストン200 には、図7に示すように、トップリング溝
1、オイルリング溝3がピストン上部からこの順にピス
トン頭部の外周部に設けてあり、それぞれ図示しないト
ップリング、およびオイルリングが装着される。このピ
ストン200 には、トップランド4、およびセカンドラン
ド5がそれぞれ形成されている。
【0004】なお、8はスカート部、9はピストン頂面
であり、107 、207 は、ピストンの外周部からピストン
内部に貫通するオイル逃し孔である。オイル逃し孔107
は、図6に示すように、ピストン100 頭部のオイルリン
グ溝3の下部に外側面からピストン内部空間に貫通する
孔を穿孔して設けてある。また、オイル逃し孔207 は、
図7に示すように、ピストン200 頭部のオイルリング溝
3の底部に外周部からピストン内部空間に貫通する孔を
穿孔して設けてある。オイル逃し孔107 、207 は、ピス
トン100 、200 頭部の各リング溝にそれぞれの対応ピス
トンリングを装着してエンジンに組み込み、エンジンを
運転してピストンがシリンダ内を往復運動する際、オイ
ルリングで掻き落とした潤滑油をクランク室のオイルパ
ンに戻すための孔である。
【0005】また、上述したピストンリングの主な機能
はピストン上部からの配置によって異なり、トップリン
グ、セカンドリングの主たる役割は、燃焼ガスの漏れ防
止であり、ピストンリングによるリング外周面とシリン
ダ壁面間のガスシールおよびリング下面とリング溝下面
間のガスシールである。オイルリングの主たる役割は、
ピストン外周面とシリンダ壁面間の潤滑油量を適切にコ
ントロールすることである。
【0006】図6と図7を比較するとわかるように、2
つのリング溝を有する2本リング構成のピストン100 で
は、セカンドリングを装着してないため、これの役割を
補うのに2本リング構成の各リングには、3本リング構
成の各リングよりも各部に高精度が要求されている。と
ころで、図7に示す2本リング構成のピストンでは、3
本リング構成のピストンに比較して、ピストンリングが
1本少ないため、ピストンリングの摺動抵抗による摩擦
損失を減少できる可能性がある。また、図7に示す2本
リング構成のピストンでは、3本リング構成のピストン
に比較してピストンリングが1本少ない。従ってリング
溝間のランドも少なくピストン頂面とスカート部8との
間隔を短縮でき、この間のピストン頭部質量が軽くなれ
ば、クランク周りの摩擦損失が低減可能である。
【0007】内燃機関のピストン装置において、ガスシ
ール性能やオイルコントロール性能を損なわずに、ピス
トンリングを少なくできれば、ピストンリングの摺動抵
抗による摩擦損失およびピストン軽量化による摩擦損失
の減少により、燃費が改善できる。たとえば、2本リン
グ構成のピストンからピストンリングを1本省略した、
1本リング構成のピストン装置が特開平6-147005号公報
に開示されている。
【0008】特開平6-147005号公報において提案されて
いるピストン装置は、図8に示すように、ピストン300
頭部の外周部に1つのトップリング溝1と、その下部の
セカンドランド5とスカート部8との間にオイル溜まり
溝301 とを設け、かつ外周部から内部に貫通するオイル
逃し孔307 をピストン300 頭部に設け、上記トップリン
グ溝1にピストンリング302 を装着してシリンダ内に組
み入れたものである。
【0009】しかしながら、特開平6-147005号公報に記
載されているピストン装置は、ピストンリングの外周面
における上側と下側の2ヶ所でシリンダ壁面と接触させ
ているため、シリンダ壁面に対する張力を3本リング構
成のオイルリングの張力と同程度にすると、3本リング
構成のピストン装置に比べ、潤滑油の消費量が増大して
しまい、ガスシール性能およびオイルコントロール性能
を両立できないという問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、従来技術の上記問題点を解消することにあり、ガス
シール性能およびオイルコントロール性能を両立でき、
かつ潤滑油の消費量を抑制可能な1本リング構成の内燃
機関のピストンを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、唯一のピ
ストンリングの断面形状を略矩形状とし、かつピストン
リングの外周部にテーパを付与してピストンリングの外
周面の下側1ヶ所でシリンダ壁面と接触させることによ
り、ガスシール性能を維持でき、かつピストン下降の
際、ピストンリングの外周面とシリンダ壁面間の潤滑油
の油膜厚さを薄くできるという知見を得て、本発明を完
成させた。
【0012】本発明は、1つのトップリング溝と、セカ
ンドランドと、オイル溜め溝とを上部からこの順にピス
トン頭部の外周部に設け、かつ外周部から内部に貫通す
るオイル逃し孔を前記オイル溜め溝に設け、前記トップ
リング溝にピストンリングを装着してシリンダ内に組み
入れたピストン装置において、前記ピストンリングをリ
ング本体と、該リング本体に張力を付与するエキスパン
ダとを備えたものとし、前記リング本体の下部のリング
厚みを前記セカンドランドの外周面とシリンダ壁面との
間隔の2倍以上、前記リング本体のリング幅の1.5 倍以
下とし、かつ前記リング本体の上部のリング厚みより厚
くしたことを特徴とする内燃機関のピストン装置であ
る。
【0013】また、前記リング本体の外周面と前記シリ
ンダ壁面との接触幅を0.1 〜0.2mmとすることが好まし
い内燃機関のピストン装置である。また、前記トップリ
ング溝の上部にスプリング挿入溝を設け、該スプリング
挿入溝と前記リング本体間に該リング本体をトップリン
グ溝の下面に押しつけるスプリングを装着することが好
ましい内燃機関のピストン装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の内燃機関のピストン装置
について、図1〜図3を用いて詳細に説明する。図1は
ピストンリング装着前のピストンの要部の縦断面図であ
り、図2は、図1に示すトップリング溝1にピストンリ
ング22を装着した本発明のピストン装置の要部縦断面図
である。また、図3は本発明のピストン装置の作用を説
明する要部の縦断面図である。
【0015】図1で、1はトップリング溝、11はオイル
溜め溝、4はトップランド、5はセカンドランドであ
り、8はスカート部、9はピストン頂面、10はピストン
である。また、17はオイル逃し孔、21はシリンダ壁面、
22はピストンリングである。また、図2で、22A はリン
グ本体、22B はエキスパンダであり、この図ではコイル
エキスパンダを例にとって示してあるがプレートエキス
パンダに変えてもよい。a1 は下部のリング厚み(a1
寸法ともいう)、h1 はリング幅、gはセカンドランド
5の外周面とシリンダ壁面21との間隔、Cはリング本体
22A の外周面とシリンダ壁面21との接触幅、Sはトップ
リング溝1の下面と密着しているリング本体22A の下面
の半径方向長さである。
【0016】また、図3で、Lは潤滑油である。図2お
よび図3で、図1と同じもにについては同じ符号を付し
てある。本発明に用いるピストン10は、図1に示すよう
に、ピストン10頭部の外周部に唯一の環状のトップリン
グ溝1を備えている。ピストン10頭部のトップリング溝
1の上部には、トップランド4が形成され、トップリン
グ溝1の下部には、セカンドランド5が形成されてい
る。セカンドランド5とスカート部8間には、1つの環
状のオイル溜め溝11が設けてあり、オイル逃し孔17は、
オイル溜め溝11の底部上端からピストン内面に貫通させ
て設けてある。
【0017】なお、9はピストン頂面である。本発明の
ピストン装置は、図2に示すように、上記ピストン10の
トップリング溝1にピストンリング22を装着し、シリン
ダ内に組み入れたものである。ピストンリング22は、リ
ング本体22A とコイルエキスパンダ22B とを備えてい
る。コイルエキスパンダ22B は、環状のコイルバネであ
り、リング本体22A のみでは張力が不十分であるので、
リング本体22A に張力を付与するものである。リング本
体22A の張力は、3本リング構成のオイルリングにおけ
る張力相当とすることができる。
【0018】コイルエキスパンダ22B の材質はとして
は、硬鋼線材、ピアノ線材、バネ用線材等を用いること
ができる。リング本体22A は、縦断面形状が略矩形の合
い口を有するリングであり、図2に示すように、ピスト
ンリングの外周部にテーパを付与してある。本発明に用
いるリング本体22A においては、図2に示す下部のリン
グ厚みa1をセカンドランド5の外周面とシリンダ壁面2
1との間隔gの2倍以上、リング本体22A のリング幅h
1 の1.5 倍以下としてある。
【0019】この理由は、リング本体22A の下部のリン
グ厚みa1 をセカンドランド5の外周面とシリンダ壁面
21との間隔gの2倍未満とした場合には、下部リング厚
みa 1 の1/2 以上がトップリング溝1の下面に密着せ
ず、リング本体22A の下面とトップリング溝1の下面間
のガスシール性が不十分となり、ガスが漏れることがわ
かった。
【0020】一方、リング本体22A の下部のリング厚み
1 がリング幅h1 の1.5 倍を超えた場合には、リング
本体22A の曲げ剛性が大きくなって、リング本体22A の
シリンダ壁面21への追従性が悪くなり、リング本体22A
の外周面とシリンダ壁面21間のガスシール性が不十分と
なることがわかった。このときには、両面間の隙間を燃
焼ガスが吹き抜け、これにより両面間の潤滑に必要な油
膜が破壊され、両者の焼き付きおよび異常摩耗が発生し
た。
【0021】そこで、ピストン挙動を考慮して、下部の
リング厚みa1 をセカンドランド5の外周面とシリンダ
壁面21との間隔gの2倍以上、リング本体22A のリング
幅h 1 の1.5 倍以下とすることにより、リング本体22A
の曲げ剛性を小さくし、常に下部リング厚みa1 の1/2
以上をトップリング溝1の下面に密着させ、低張力でシ
リンダ壁面21へ追従できるようにして、ガスシール性を
確実にした。
【0022】その際、リング本体22A の張力は、3本リ
ング構成のオイルリングにおける張力相当としてある。
また、本発明に用いるリング本体22A の内周面には、図
2に示すように、リング幅の中央部に凹部が形成してあ
り、リング本体22A の外周部には、テーパが形成されて
おり、上部から下部に向かってリング厚みが厚くなって
いる。
【0023】リング本体22A の外周面の下側には、図2
に示すシリンダ壁面21と平行な当たり面が形成されてい
る。この当たり面の幅は、リング本体22A の外周面とシ
リンダ壁面21との接触幅Cが0.1 〜0.2mm となるように
されている。なお、リング本体22A の外周部のテーパ量
は、30′〜5°とすることができる。
【0024】また、リング本体22A の材質としてはねず
み鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、鋼、耐熱樹脂あるいはこれら
の組み合わせのもの等を用いることができる。図2で
は、リング本体22A の外周部を1段のテーパと、シリン
ダ壁面21と平行な当たり面で形成し、上部より下部のリ
ング厚みを厚くしているが、上部より下部のリング厚み
を厚くするには、段付きにして、リング本体22A の外周
面とシリンダ壁面21との接触幅Cを0.1 〜0.2 mmとする
こともできる。
【0025】本発明のピストン装置においては、図2に
示すように、リング本体22A の凹部にコイルエキスパン
ダ22B の外周部を当接してコイルエキスパンダ22B を装
着し、リング本体22A に張力を付与してシリンダ内に組
み込んである。リング本体22A の外周部には、リング本
体の上部のリング厚みより下部のリング厚みを厚くし、
図2に示す接触幅Cが狭くなるようにしてあるので、コ
イルエキスパンダ22B で付与されたリング本体22A の張
力が低くても、リング本体22Aの外周部とシリンダ壁面2
1との接触面圧を高くできるのである。
【0026】そこで、本発明のピストン装置では、リン
グ本体22A の張力を3本リング構成のピストン装置にお
けるオイルリングの張力相当とした場合、ピストンリン
グの外周面とシリンダ壁面との接触面圧を3本リング構
成のオイルリングにおける接触面圧より高めることがで
きる。本発明のピストン装置においては、リング本体22
A の外周面とシリンダ壁面21A との接触幅を0.1 〜0.2m
m とすることが好ましい。
【0027】この理由は、リング本体22A の外周面とシ
リンダ壁面21A との接触幅を0.1 mm未満とした場合、エ
ンジンの運転条件によっては、摩耗が早く進むのでエン
ジンを再調整することが必要になることがあり、一方、
リング本体22A の下部外周面とシリンダ壁面21A との接
触幅が0.2mm を超えた場合、エンジンの運転条件によっ
ては、リング本体22A の外周面とシリンダ壁面21A 間の
潤滑油の油膜厚みが厚くなり、潤滑油の消費量減少効果
が小さくなるからである。
【0028】このため、リング本体22A の外周部とシリ
ンダ壁面21A との接触幅を0.1 〜0.2mm とすることが好
ましい。また、本発明のピストン装置においては、リン
グ本体22A の外周面に耐摩耗性に優れたPVD処理を施
すことが、接触幅Cを長期間一定にできるので望まし
い。
【0029】つぎに、本発明のピストン装置の作用につ
いて図3を用いて説明する。図3は、本発明のピストン
装置をシリンダ内に組み入れて、上下に往復運動させた
ときのピストン装置が下降している過程を示している。
本発明のピストン装置では、唯一のピストンリング22を
トップリング溝1に装着してあり、オイル逃し孔17をオ
イル溜め溝11の上端に設けてあるので、ピストン装置が
下降する際、ピストンリング22でシリンダ壁面21の余剰
な潤滑油Lを掻き落としつつ、図3に示すように、オイ
ル逃し孔17から潤滑油Lをピストン内部に逃がすことが
できる。
【0030】ピストン内部に逃がした余剰な潤滑油L
は、クランク室のオイルパンに戻される。オイルパンに
戻された潤滑油は、ピストン装置が上昇する過程でスカ
ート部8の下方から上がってきて、シリンダ壁面21を潤
滑しつつ、オイル溜め溝11に溜まり、慣性によりピスト
ンリング22の下端に突き当たって、余剰な潤滑油Lはオ
イル逃し孔17からピストン内部に排出される。
【0031】なお、オイル逃し孔17をオイル溜め溝11の
上端に設けてあるので、ピストンリング22の下方のピス
トン外周面とシリンダ壁面21間の空間を潤滑油Lが充満
せず、エアーギャップが存在する状態にできる。そこ
で、ピストンリング22の上方が負圧となった場合でも、
余剰な潤滑油Lがピストンリング22を越えることがな
い。
【0032】また、オイル溜め溝11は、上端をシリンダ
壁面21に対して垂直とし、かつ下部をシリンダ壁面21に
向かって下方に傾斜させてあるため、オイル溜め溝11に
溜まった潤滑油の上方への移動を抑制でき、オイル溜め
溝11に溜まった潤滑油を下方に移動させやすい。その
際、本発明のピストン装置では、下部のリング厚みa1
をセカンドランド5の外周面とシリンダ壁面21との間隔
gの2倍以上、リング本体22A のリング幅h1 の1.5 倍
以下とすることにより、リング本体22A の曲げ剛性を小
さくし、常に下部リング厚みa1 の1/2 以上をトップリ
ング溝1の下面に密着させ、低張力でシリンダ壁面21へ
追従できるようにしてあるため、ガスが洩れることも、
燃焼ガスが吹き抜けることもない。
【0033】また、本発明のピストン装置では、リング
本体22A の外周部には、リング本体の上部のリング厚み
より下部のリング厚みを厚くし、接触幅Cが狭くなるよ
うにしてあるので、ピストンリングの外周部とシリンダ
壁面との接触面圧を3本リング構成のオイルリングより
高めることができる。このため、ピストン頭部がシリン
ダ内を下降するとき、ピストンリングの外周部とシリン
ダ壁面間の油膜厚みを3本リング構成のピストン装置の
場合より薄くできる。
【0034】そこで、本発明のピストン装置では潤滑油
の消費量を抑制できるのである。また、本発明のピスト
ン装置ではピストンリングの外周部とシリンダ壁面との
接触面圧を図8に示す従来例の1本リング構成のピスト
ン装置よりも高くできるため、潤滑油の消費量を図8に
示すピストン装置より低減できる。本発明のピストン装
置においては、図4に示すように、トップリング溝1の
上部にスプリング挿入溝を設け、該スプリング挿入溝と
リング本体22A 間に該リング本体22A をトップリング溝
1の下面に押しつけるスプリング22C を装着することが
好ましいこの理由は、エンジンの運転条件によっては、
リング本体の下面がリング溝の下面に密着しなくなり、
両面の隙間からガスが漏れる場合がありうる。そこで、
リング本体22A をトップリング溝1の下面にスプリング
22C で押しつけることにより、確実に、両面間を密着さ
せガスシール性を高めることができるからである。スプ
リング22C の強さは、両面間の摩擦力以上の力でリング
本体の下面をリング溝の下面に押しつけることが可能な
強さとする。
【0035】以上説明した本発明のピストン装置では、
オイル逃し孔17をオイル溜め溝11の上端に設けたとして
説明しているが、本発明ではこの位置に限定されず、図
5に示すように、オイル溜め溝11の上端を含むセカンド
ランド5の位置にオイル逃し孔17を設けたピストン装置
とすることもできる。なお、17A はオイル逃し孔17の開
口部の上端、17B はオイル逃し孔17の開口部の下端であ
る。
【0036】本発明のピストン装置では、オイル逃し孔
の周方向の数を4〜15個、オイル逃し孔の直径を1.0 〜
2.0mm 、オイル逃し孔の長さ方向の傾斜角度をシリンダ
壁面に直角な面に対し0〜15°下向きとすることもでき
る。また、本発明のピストン装置におけるオイル逃し孔
17の位置は、図8に示すように、オイル溜め溝の底部の
中央とすることもできる。
【0037】本発明のピストン装置におけるトップリン
グ溝1の上下方向の幅は、シリンダ容量によって異なる
が、4サイクルガソリンエンジンでは0.8 〜1.5mm とす
ることができる。発明のピストン装置におけるトップラ
ンドのピストン上下方向の幅は、クレビスボリューム低
減のため低くするのがよく、シリンダ容量によって異な
るが、4サイクルガソリンエンジンでは2.5 〜5.0mm と
することができ、トップランドの形状は、特に限定され
ず、エンジンに組み込んで運転したとき、熱膨張した状
態でピストンスラップ運動の際に、トップランドがシリ
ンダ壁面と接触しない径とする。
【0038】本発明のピストン装置におけるセカンドラ
ンドの最大径は、上記トップランドの場合と同様に、エ
ンジンに組み込んで運転したとき、熱膨張した状態でピ
ストンスラップ運動の際に、セカンドランドの最大径部
がシリンダ壁面と接触しない径とする。本発明のピスト
ン装置においては、セカンドランドの外径を上部から下
部に向かって連続的または段階的に減少させることもで
きる。
【0039】
【実施例】図1に示すような1本リング構成のボア径が
81mmのピストン頭部において、ピストン頂面からスカー
ト部上端までの高さを8.5mm にすることができた。この
ピストンのトップリング溝に図2に示すピストンリング
を装着して、エンジンに組み込み、各種運転条件で燃
費、潤滑油の消費量およびブローバイガス量を調査し、
発明例とした。
【0040】なお、ピストンリングの張力は、3本リン
グ構成のピストン装置におけるオイルリングと同じ程度
とし、リング本体の下部リング厚みa1 寸法を1.5mm 、
リング幅を1.5mm 、リング本体の外周部とシリンダ壁面
との接触幅を0.2mm とした。またセカンドランド5の外
周面とシリンダ壁面21との間隔は、0.1 〜0.2 mmで、オ
イル逃し孔はオイル溜め溝の上端に径が1.0 mmの孔を周
方向に4個、シリンダ壁面21に垂直に穿孔した。
【0041】従来例としては、ボア径が81mm、、ピスト
ン頂面からスカート部上端までの高さが17.5mmの3本リ
ング構成のピストン装置を用い各リング溝に対応ピスト
ンリングを所定の張力で装着し、その他の条件は発明例
と同様とし、燃費、潤滑油の消費量およびブローバイガ
ス量を調査した。この結果、発明例のピストン装置では
3本リング構成のピストン装置に対し、ブローバイガス
量が同程度で潤滑油の消費量が改善された。
【0042】また、ピストン頭部の質量を減少できたの
で、3本リング構成のピストン装置に対し燃費を2%低
減できた。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、ピストンリングの外周
面とシリンダ壁面間の接触面圧を高くでき、かつピスト
ンリングの下部リング厚みの1/2 以上をリング溝の下面
に密着させつつ、ピストンリングをシリンダ壁面に追随
させることができる。この結果、燃費を低減でき、ガス
シール性能およびオイルコントロール性能の両方を満足
する1本リング構成の内燃機関のピストン装置が可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に用いるピストンの要部の縦断面
図である。
【図2】図2はトップリング溝にピストンリングを装着
した本発明のピストン装置の要部縦断面図である。
【図3】図3は本発明のピストン装置の作用を説明する
要部の縦断面図である。
【図4】図4は本発明のピストン装置の他の例を示す要
部の縦断面図である。
【図5】図5は本発明に用いるピストンの他の例を示す
要部の縦断面図である。
【図6】図6は従来例の3つのリング溝を有するピスト
ンの要部縦断面図である。
【図7】図7は従来例の2つのリング溝を有するピスト
ンの要部縦断面図である。
【図8】図8は従来例の1つのリング溝を有するピスト
ンの要部縦断面図である。
【符号の説明】
10、100 、200 、300 ピストン 1 トップリング溝 4 トップランド 5 セカンドランド 8 スカート部 9 ピストン頂面 11 オイル溜め溝 17 オイル逃し孔 21 シリンダ壁面 22 ピストンリング 22A リング本体 22B エキスパンダ 22C スプリング L 潤滑油 a1 下部リング厚み(a1 寸法) h1 リング幅 C リング本体の外周部と前記シリンダ壁面との接触幅 S トップリング溝の下面と密着しているリング本体の
下面の半径方向長さ g セカンドランド5の外周面とシリンダ壁面21との間

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1つのトップリング溝と、セカンドラン
    ドと、オイル溜め溝とを上部からこの順にピストン頭部
    の外周部に設け、かつ外周部から内部に貫通するオイル
    逃し孔を前記オイル溜め溝に設け、前記トップリング溝
    にピストンリングを装着してシリンダ内に組み入れたピ
    ストン装置において、前記ピストンリングをリング本体
    と、該リング本体に張力を付与するエキスパンダとを備
    えたものとし、前記リング本体の下部のリング厚みを前
    記セカンドランドの外周面とシリンダ壁面との間隔の2
    倍以上、前記リング本体のリング幅の1.5 倍以下とし、
    かつ前記リング本体の上部のリング厚みより厚くしたこ
    とを特徴とする内燃機関のピストン装置。
  2. 【請求項2】 前記リング本体の外周面と前記シリンダ
    壁面との接触幅を0.1 〜0.2mm とすることを特徴とする
    請求項1に記載の内燃機関のピストン装置。
  3. 【請求項3】 前記トップリング溝の上部にスプリング
    挿入溝を設け、該スプリング挿入溝と前記リング本体間
    に該リング本体をトップリング溝の下面に押しつけるス
    プリングを装着することを特徴とする請求項1〜請求項
    2のいずれかに記載の内燃機関のピストン装置。
JP2000198488A 2000-06-30 2000-06-30 内燃機関のピストン装置 Pending JP2002013639A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000198488A JP2002013639A (ja) 2000-06-30 2000-06-30 内燃機関のピストン装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000198488A JP2002013639A (ja) 2000-06-30 2000-06-30 内燃機関のピストン装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002013639A true JP2002013639A (ja) 2002-01-18

Family

ID=18696647

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000198488A Pending JP2002013639A (ja) 2000-06-30 2000-06-30 内燃機関のピストン装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002013639A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007032734A (ja) * 2005-07-27 2007-02-08 Aisin Seiki Co Ltd 内燃機関のピストンリング保持構造
CN114738136A (zh) * 2022-05-09 2022-07-12 重庆潍柴发动机有限公司 防止机油上窜的活塞结构及柴油机

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007032734A (ja) * 2005-07-27 2007-02-08 Aisin Seiki Co Ltd 内燃機関のピストンリング保持構造
CN114738136A (zh) * 2022-05-09 2022-07-12 重庆潍柴发动机有限公司 防止机油上窜的活塞结构及柴油机

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2013513769A (ja) 内燃エンジン用シールアセンブリー
JP2014214737A (ja) 内燃機関のピストン
RU2718653C2 (ru) Поршневое кольцо со сниженным трением
US6196179B1 (en) Internal combustion engine
US4235447A (en) Low friction oil control piston ring
JP2002130049A (ja) 4サイクル式内燃機関用ピストン
US20200088128A1 (en) Piston for internal combustion engine
JP2002013639A (ja) 内燃機関のピストン装置
JP6153803B2 (ja) ピストンの摺動部潤滑構造
JPH06159135A (ja) 圧力リング
GB2370091A (en) Piston ring for a reciprocating piston machine
JP4900222B2 (ja) 内燃機関のピストン
JP2002013441A (ja) 内燃機関のピストン
US20080017025A1 (en) Variable Tension Ring Mechanism
JP2002013638A (ja) ピストンリング
JP2011052607A (ja) 内燃機関のピストン
JP2013155829A (ja) 3ピースオイルリング
JP2021032171A (ja) 内燃機関のピストン、及び内燃機関
EP1848895A2 (en) A bearing assembly
JP2002139151A (ja) 組み合わせ1本リング構成のピストン装置
JP2019190513A (ja) ピストンリング
JP2004353545A (ja) 内燃機関用ピストン
JPH10141134A (ja) 内燃機関用ピストン
JPS5853186B2 (ja) 内燃機関のピストン
JP2008240718A (ja) 二サイクル内燃機関におけるピストンの構造