JP2002011090A - 吸収性生体材料とその製造方法 - Google Patents

吸収性生体材料とその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】吸収性生体材料におけるトリミングの際の強度
および生体内環境下での強度を向上させ、また、生体内
での吸収速度を十分遅くさせる。 【解決手段】カルシウムを含み、且つエポキシ化合物に
より架橋されたキチン誘導体からなる吸収性生体材料と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、疾患、事故、老齢
などにより失われた骨組織および軟骨欠損を修復するた
めに充填使用する吸収性生体材料とその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】吸収性生体材料として、従来、化学架橋
剤を用いずに熱架橋したカルボキシメチルキチン(以下C
Mキチンと略する)の多孔質マトリックス中に、顆粒状の
ハイドロキシアパタイト、第三リン酸カルシウム(以下
TCPと略する)などのリン酸カルシウム系材料を分散
させたものがあった。この吸収性生体材料は、全体とし
てスポンジのような素材であることから充填する骨欠損
部の形状に合わせて、はさみ等によりトリミングし、所
定箇所の形状に適合させて詰め込むことが可能であっ
た。したがって、充填箇所から脱落するおそれがなく、
本格的な骨形成反応が起こるまでの不安定な期間、CMキ
チンのマトリックスによりリン酸カルシウム系材料の顆
粒が保持された状態で、CMキチンのマトリックス中に存
在するポア内に多量の液成分の透過吸収が可能で各種細
胞が貯留される環境を提供する。この環境の下、リン酸
カルシウム系材料の顆粒が新生骨の起因となり、CMキチ
ンの分解吸収と併行して、CMキチンが新生骨に置換さ
れていくというものであった。
【0003】また、最近、学会で発表された比較的新し
い生体材料として、カルシウム塩を導入したCMキチン
をジビニルサルフォンで架橋して得たゲル状物を擬似体
液中に浸漬することでその表面にアパタイトを形成する
ことができることが報告されている("Spontaneous Form
ation of Bonelike Apatite on Carboxymethyl-Chitin
Gel in Simulated Body Fluid" Sixth World biomateri
als Congress Transaction)。このCMキチンについ
て、具体的な用途は言及されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の吸収性生体
材料のうち、前者のものは、リン酸カルシウムの顆粒を
保持することで、効率的な新生骨置換を促すことができ
るものであった一方、機械的強度が低かったため、トリ
ミングや充填の際の取扱いに細心の注意を払わなければ
ならなかった。さらに、生体内環境下で生体内に吸収さ
れる速度が比較的速い場合があり、そのようなときに、
骨の形成が不活発になる傾向があった。
【0005】一方、前記学会で発表された生体材料は、
ジビニルサルフォンにより架橋されたCMキチンからな
るものであり、かかる材料は十分大きな機械的強度と十
分遅い生体吸収速度が得られるものではない。
【0006】本発明の目的は、上記従来技術の問題を解
消し、トリミングの際の強度および生体内環境下での強
度を向上させ、また、生体内での吸収速度を十分遅くさ
せることが可能な吸収性生体材料とその製造方法を提供
することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明の吸収性生体材料は、カルシウムを含み、且つエ
ポキシ化合物により架橋されたキチン誘導体からなるこ
とを特徴とする。
【0008】この構成によれば、上記カルシウムを含
み、エポキシ化合物により架橋されたキチン誘導体が非
常に優れた弾性を持ち、トリミングの際或いは生体内環
境下での形態保持性を有しているので、術中の取扱いが
非常に容易である。また、上記キチン誘導体は生体内吸
収速度が十分遅いので、骨の形成を活発にすることがで
きる。加えて、カルシウムイオンが吸収性生体材料内に
留まることにより、近傍及び材料内で石灰化を引き起こ
す核となり、早期の骨修復を促すことができる。その結
果、骨修復量を最大限大きくすることが可能である。
【0009】また、上記吸収性生体材料の製造方法とし
て、本発明の製造方法は、カルボキシメチル基、硫酸
基、リン酸基の少なくとも一種を官能基とするキチン誘
導体をカルシウム塩水溶液に溶解し、この溶解液にエポ
キシ化合物を添加したものを型に流し込み凍結乾燥する
工程、及びこの凍結乾燥した成型物を加熱処理する工程
を含むことを特徴とする。
【0010】かかる構成によれば、カルボキシメチル
基、硫酸基、リン酸基の少なくとも一種を官能基とする
キチン誘導体が水溶性であるのでカルシウム塩水溶液中
にキチン誘導体を溶解することで容易にカルシウムを導
入することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を詳細に
説明する。
【0012】本発明の吸収性生体材料は、カルシウムを
含み、且つエポキシ化合物により架橋されたキチン誘導
体からなる。この吸収性生体材料は、スポンジのような
素材であることから充填する骨欠損部の形状に合わせ
て、はさみ等により所望形状にトリミングし、所定箇所
に詰め込むことが可能である。
【0013】上記キチン誘導体としては、カルボキシメ
チルキチン、硫酸キチン、リン酸キチン、カルボキシメ
チル硫酸キチン、カルボキシメチルリン酸キチン等のカ
ルボキシメチル基、硫酸基、リン酸基の何れか一種類、
あるいは二種類以上の官能基を有する水溶性キチン誘導
体などがある。
【0014】上記エポキシ化合物としては、エチレング
リコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジル
エーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、
ソルビトールポリグリシジルエーテル等のエポキシ基を
分子内に2ヶ以上導入した化合物などがある。
【0015】上記吸収性生体材料は、前述のようにスポ
ンジ状をしているので、骨形成誘導能を有するリン酸カ
ルシウム系材料および/または生理活性物質を担持する
ことができる。これにより、骨形成をより活発にするこ
とができる。なお、生理活性物質とは、細胞表面のレセ
プターに結合するなどして生化学反応に関与するタンパ
ク質などのことで、骨組織内に存在する未分化な間葉系
細胞の骨芽細胞への分化を促進する骨形成タンパク質
(BMP)やTransforming Growth Factor β(TGF
β)または、繊維芽細胞増殖塩基性因子(bFGF)やIns
ulin-like Growth Factor(IGF)など間接的に骨形成
を誘導する機能性タンパク質などがある。また、生理活
性物質として化学合成された(リコンビナント)骨形成
因子を用いることも可能である。
【0016】かかる吸収性生体材料は次のようにして製
造する。すなわち、カルボキシメチル基、硫酸基、リン
酸基の何れか一種類、あるいは二種類以上の官能基を有
するキチン誘導体をカルシウム塩水溶液に溶解し、この
溶解液にエポキシ化合物を添加撹拌したものを型に流し
込み凍結乾燥する。そして、凍結乾燥した成型物を熱処
理する。
【0017】上記カルシウム塩としては、水酸化カルシ
ウム、塩化カルシウム等の水溶性のカルシウム塩などを
用いることができる。
【0018】前記キチン誘導体をカルシウム塩水溶液に
溶解した溶解液のキチン誘導体濃度は、20wt%以下
であることが好ましい。これは、20wt%より大きい
濃度では水溶液にするのが困難となる場合があるからで
ある。
【0019】前記エポキシ化合物の添加量は、キチン誘
導体の重量に対して3〜30%であることが好ましい。
エポキシ化合物の添加重量が3%未満では機械的強度向
上および生体内での吸収速度を遅くする作用が小さくな
る傾向があり、他方30%を越えると生体が異物反応を
起こす可能性があるためである。
【0020】また、前記溶解液にエポキシ化合物を添加
して撹拌した後、さらに、リン酸カルシウム系材料およ
び/または生理活性物質の粉末を添加してもよい。これ
らの添加により、骨形成能等の機能を向上させることが
できる。
【0021】前記リン酸カルシウム系材料あるいは生理
活性物質の粉末の重量は、前記エポキシ化合物を添加し
た溶解液の重量に対して、10%〜200%であること
が好ましい。10%未満では骨形成能の機能を向上させ
る作用が小さい傾向があり、他方200%を越えると、
得られる吸収性生体材料が脆くなり、容易に型くずれす
る可能性があるからである。
【0022】さらに、前記加熱処理後、未反応のカルシ
ウム塩及びエポキシ化合物を洗浄除去した後、再度凍結
乾燥を行うことが好ましい。これは、残存しているエポ
キシ化合物のモノマー成分等を洗浄工程で除去し、生体
内での異物反応の危険性を低減できるからである。
【0023】なお、前記加熱処理温度が110℃〜16
0℃であることが好ましい。110℃では、架橋に時間
がかかり効率的に製造ができない傾向があり、他方、1
60℃以上の加熱処理では、キチン誘導体分子が低分子
化し、その結果、埋入初期において、低分子成分の大量
溶出に伴う強い炎症反応が引き起こされる恐れがある。
【0024】次に、本発明の具体的な実施例と比較例に
ついて、並びに、これら実施例品、比較例品を用いた実
験例について、そして、実験の結果について説明する。実施例 以下の順序で本発明の吸収性生体材料(実施例品)を作製
した。 カルボキシメチル化度75%のCMキチン粉末をCa(O
H)2水溶液に溶解し、5wt%溶解液を調製した。
【0025】CMキチン添加重量に対して1〜30w
t%のエポキシ化合物系の化学架橋剤、エチレングリコ
ールポリグリジルエーテル(製品名:デナコール、ナガ
セ化成工業(株)製)を添加して撹拌した。
【0026】上記溶解液の重量に対し、等重量または
1/5倍重量のα-TCP粉末を混入し、スターラーで
撹拌した。
【0027】また、α-TCP粉末を混合しない水溶液
も準備した。 上記の溶解液を金属製、硬質ガラス製あるいはポリ
プロピレン製の容器中に適量を注入し、超低温保冷庫
(−80℃)で冷凍し、φ4mm、厚さ2〜3mmの形状
に整形した。 上記の成形物を24時間凍結乾燥した。 上記の乾燥物を110℃の温度で2時間の真空熱処
理を行い、架橋剤の反応を完了させた。 上記を蒸留水中に浸漬し、残余架橋剤とCa(OH)2
洗浄した。(24時間、8時間ごとに水を交換する)。 再度凍結及び凍結乾燥処理を行った。比較例 以下の順序で比較例品の吸収性生体材料を作製した。 カルボキシメチル化度75%のCMキチン粉末を蒸留水
に溶解し、5wt%水溶液を調製した。 上記の水溶液を金属製、硬質ガラス製あるいはポリ
プロピレン製の容器中に適量を注入し、超低温保冷庫
(−80℃)で冷凍し、φ4mm、厚さ2〜3mmの形状
に成形した。 上記の成形物を凍結乾燥した。 上記の乾燥物を160℃の温度で24時間の真空熱
処理を行い、熱架橋を施した。 上記を蒸留水中に浸漬させて洗浄し、再度凍結及び
凍結乾燥処理を行った。
【0028】これら実施例品と比較例品を用いて以下の
要領で実験を行った。実験例1 所望の形状にトリミングする際の前記吸収性生体材料の
強度特性を確認するために乾燥状態における圧縮強度実
験を実施した。圧縮方向の厚みが半分になるまで圧縮
し、そのときの応力値を圧縮強度とした。実験例2 吸収性生体材料を生体組織内に埋入した場合を想定し、
材料の強度特性を確認するため含水状態における圧縮強
度実験を実施した。
【0029】吸収性生体材料を、蒸留水に5分間浸漬し
た後、水中から取り出して、圧縮方向の厚みが半分にな
るまで圧縮し、そのときの応力値を圧縮強度とした。実験例3 カルシウムイオンが吸収性生体材料内に留まることで近
傍及び材料内で石灰化を引き起こす核となり、早期の骨
修復を促す。そこで、吸収性生体材料中のカルシウムイ
オン貯留量の指標としてその保持率を以下の手順で求め
た。
【0030】吸収性生体材料を蒸留水中に24時間浸漬
し、溶出したカルシウムイオン量(A)をICPにて測定し
た。さらに、浸漬後の吸収性生体材料を水酸化ナトリウ
ム水溶液で溶解させた後、溶解液中のカルシウムイオン
量(B)をICPにて測定した。カルシウムイオンの保持
率は以下の式で算出した。 カルシウムイオンの保持率(%)= A/(A+B) ×10
実験例4 生体内におけるキチン誘導体の分解性を比較するため、
生体内でキチン誘導体を主に分解する酵素であるリゾチ
ームを用いて酵素分解性を確認した。
【0031】リゾチームを添加したリン酸緩衝液(p
H:7.4)中に、実施例品及び比較例品の吸収性生体
材料を24時間浸漬させ、重量減を測定した。酵素分解性
の指標として残存率を浸漬前重量(α)と浸漬後の重量
(β)を用いて以下の式で算出した。
【0032】キチン誘導体残存率(%)= (β/α)×100実験例5 実施例品、およびα−TCP粉末(平均粒径10μm)を混
合した実施例品、比較例品を家兎脛骨骨幹部に形成した
骨欠損部(動物実験1)、大腿骨関節面(動物実験2)
に形成した骨、軟骨欠損部に吸収性生体材料を埋入し、
骨の経時的な修復状態を観察した。
【0033】α-TCPを含有しない実施例品、含有し
た実施例品は、いずれもエポキシ化合物をCMキチン重
量に対して5重量%添加したものである。また、α-TC
Pを含有した実施例品は、α-TCPをCMキチン・エ
ポキシ化合物溶解液の重量に対して等重量分添加したも
のである。
【0034】この動物実験の手順を以下に説明する。 1.全身麻酔下に家兎(ニュージーランドホワイト、生後
12週、オス)の脛骨骨幹部、大腿膝関節面を露出し
た。 2.脛骨骨幹部の露出箇所、関節面の中央部から大腿骨長
軸方向にドリルにて直径4mm、深さ10mmの孔を形
成した。ここで、直径を4mmとした理由は、家兎軟骨
層の自然治癒限界を超える径4mmというサイズを設定
し、実施例品と比較例品の軟骨修復効果を明確に把握す
るためである。 3.直径4mm、長さ10mmに調整した実施例品、α-
TCP粉末混合の実施例品、比較例品をそれぞれ埋入し
た。 4.吸収性生体材料の埋入後、関節包および皮膚を縫合し
た。なお、孔形成後、吸収性生体材料を埋入せずにその
ままの状態で縫合したものを自然治癒(ブランク)例と
した。また、孔形成を行わず、全く処置を行わなかった
ものを無処置例とした。実験結果 実験例1〜4の試験の結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】表1から明らかなように、乾燥時の強度は
実施例品が比較例品よりも高い強度を示し、エポキシ化
合物の添加量に関しては、20wt%までは添加量が増
加するほど高強度を示した。また、α−TCPの添加量
を増やした方がより高い強度を示した。トリミング時の
操作性の点ではエポキシ化合物及びα-TCPの添加量
を増やした方が望ましいことが分かる。ただし、エポキ
シ化合物を20%以上加えても強度が増加せず、20〜
30%の間で極値となる傾向がある。
【0037】含水時の圧縮強度も乾燥時と同様の傾向を
示している。生体内環境下での強度においても、添加量
20wt%まではエポキシ化合物の添加量を増加させた
方が望ましいことがわかった。また、全実施例品につい
て含水時の圧縮強度測定後、圧縮応力を取り除いた際に
元の形状に完全に復元することを確認した。この復元力
は、吸収性生体材料の埋入時に欠損部位形状に形状適合
するのに寄与するものである。
【0038】カルシウム保持率とキチン誘導体残存率に
関しては、架橋剤を5wt%まで添加したものは、添加
量の増加に応じて率も増加するが、5wt%を超えると
添加量を増加しても率の変化が少なかった。
【0039】生体内での吸収性生体材料の吸収速度の指
標としての(キチン誘導体)残存率に関しては、熱架橋
で架橋された比較例品に比べて、実施例品のすべてが遅
い結果であった。
【0040】これら実験例1〜4の結果を総合的にみ
て、エポキシ化合物の添加量としては、20〜30wt
%の範囲が特に好ましい。
【0041】次に、実験例5の結果を表2〜表4に示
す。これらの表において試料a)実施例品は表1におけ
る試料3、試料b)α−TCP含有の実施例品は表1に
おける試料8、試料c)比較例品は前述の比較例により
得られた表1における試料9、試料d)ブランク(欠損
自然治癒例)は骨に孔形成後、吸収性生体材料を埋入せ
ずにそのままの状態で縫合したもの、試料e)無処置例
は、孔形成を行わず、全く処置を行わなかったものであ
る。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】表2から明らかなように、自然治癒困難と
報告されている大きな欠損部において[試料dブランク
(欠損自然治癒例)を参照]、試料a)実施例品および
試料b)α−TCP含有の実施例品では、試料c)比較
例品に比較して極めて早期の段階で新生骨形成を導き、
骨性封鎖の状態を達成し、最終的には試料e)無処置例
の骨厚みと同等の皮質骨再生が確認された。
【0046】また、表3から明らかなように関節面欠損
部においても試料a)実施例品および試料b)α−TC
P含有の実施例品では、試料c)比較例品に比較して関
節内の海綿骨と軟骨下骨の早期骨形成を導き、表4から
明らかなように、同時に硝子軟骨を多く含む軟骨層の再
生も確認された。
【0047】軟骨組織は、硝子軟骨と繊維性軟骨とが混
在したものであり、硝子軟骨を多く含む状態が、より正
常な治癒であると言える。
【0048】なお、これら表2〜4において試料e)無
処置例の値が2、4、8週で若干変化しているのは、家
兎の固体差と成長の度合いの違いによるものである。ま
た、表3の第8週で、α−TCP含有の実施例品の値が
無処置例の値よりも大きくなっているのは、組織の修復
過程ではまず過剰気味に組織が形成され、その後、適量
に落ち着くことが一般的であり、この8週目の値は過剰
気味に組織が形成されている段階のものである。
【0049】
【発明の効果】以上のように本発明の吸収性生体材料に
よれば、カルシウムを含み、エポキシ化合物により架橋
されたキチン誘導体が非常に優れた弾性を持ち、トリミ
ングの際或いは生体内環境下での形態保持性を有してい
るので、術中の取り扱いが非常に容易である。また、上
記キチン誘導体は生体内吸収速度が十分遅いので、骨の
増殖が活発にすることができる。加えて、カルシウムイ
オンが吸収性生体材料内に留まることにより、近傍及び
材料内で石灰化を引き起こす核となり、早期の骨修復を
促すことができる。これらの結果、骨修復量を最大限大
きくすることが可能である。
【0050】また、上記吸収生体材料の製造方法によれ
ば、カルボキシメチル基、硫酸基、リン酸基の少なくと
も一種を官能基とするキチン誘導体が水溶性であり、カ
ルシウム塩水溶液に溶解することで、容易にカルシウム
を導入することがでる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルシウムを含み、且つエポキシ化合物に
    より架橋されたキチン誘導体からなる吸収性生体材料。
  2. 【請求項2】前記キチン誘導体がリン酸カルシウム系材
    料および/または生理活性物質を担持していることを特
    徴とする請求項1記載の吸収性生体材料。
  3. 【請求項3】カルボキシメチル基、硫酸基、リン酸基の
    少なくとも一種を官能基とするキチン誘導体をカルシウ
    ム塩水溶液に溶解し、この溶解液にエポキシ化合物を添
    加したものを型に流し込み凍結乾燥する工程、及びこの
    凍結乾燥した成型物を加熱処理する工程を含むことを特
    徴とする吸収性生体材料の製造方法。
  4. 【請求項4】前記エポキシ化合物の添加重量がキチン誘
    導体重量に対して3〜30%であることを特徴とする請
    求項3記載の吸収性生体材料の製造方法。
  5. 【請求項5】前記溶解液にエポキシ化合物を添加した
    後、さらに、リン酸カルシウム系材料および/または生
    理活性物質の粉末を添加することを特徴とする請求項3
    記載の吸収性生体材料の製造方法。
  6. 【請求項6】前記リン酸カルシウム系材料および/また
    は生理活性物質の添加重量は、前記エポキシ化合物を添
    加した溶解液の重量に対して10〜200重量%である
    ことを特徴とする請求項5記載の吸収性生体材料の製造
    方法。
  7. 【請求項7】前記加熱処理後、未反応のカルシウム塩及
    びエポキシ化合物を洗浄除去した後、再度凍結乾燥を行
    うことを特徴とする請求項3記載の吸収性生体材料の製
    造方法。
  8. 【請求項8】前記加熱処理温度が110℃〜160℃で
    あることを特徴とする請求項3記載の吸収性生体材料の
    製造方法。
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