JP2002005163A - 非接触軸受スピンドル装置 - Google Patents

非接触軸受スピンドル装置

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JP2002005163A
JP2002005163A JP2000180888A JP2000180888A JP2002005163A JP 2002005163 A JP2002005163 A JP 2002005163A JP 2000180888 A JP2000180888 A JP 2000180888A JP 2000180888 A JP2000180888 A JP 2000180888A JP 2002005163 A JP2002005163 A JP 2002005163A
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Nobuyuki Suzuki
伸幸 鈴木
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 主軸のタッチダウン時の保護が行え、かつそ
の保護用の摺動材に主軸が熱膨張によって接触すること
を防止できるものとする。 【解決手段】 ラジアル型の静圧磁気複合軸受6,7に
より主軸4を支持する。主軸4にラジアル隙間を介して
近接する摺動材41をハウジング5に設ける。摺動材4
1のラジルア隙間d3を、静圧磁気複合軸受6,7を構
成する軸受面6A,7Aの軸受隙間d以下に設定する。
摺動材51と主軸4の間に冷却気体を供給する給気孔5
1を摺動材41に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高速切削加工装
置や研削加工装置等に装備される静圧磁気複合軸受スピ
ンドル装置等の非接触軸受スピンドル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】高能率で高精度な加工を行うためには、
高速回転が可能であって、高回転精度を有し、静剛性・
動剛性が高いスピンドル装置が必要となる。この要求に
対して本出願人は、静圧気体軸受と磁気軸受とを複合化
したハイブリッド型の非接触軸受を提案した(特願平1
0−097505号など)。これによれば、静圧気体軸
受の優れた動剛性および回転精度と、磁気軸受の優れた
静剛性という両軸受の特長を生かしたコンパクトな軸受
とできる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】静圧磁気複合軸受は非
接触軸受であるが、過大な負荷が作用した場合などに、
主軸が軸受面に接触する恐れがある。このような主軸の
接触、いわゆるタッチダウンに対して、従来の磁気軸受
スピンドルでは、転がり軸受からなる保護軸受が使用さ
れている。しかし、静圧磁気複合軸受は、磁気軸受部に
静圧気体軸受を形成したものであるため、軸受部の主軸
と磁気軸受ステータ間の隙間が、例えば数十ミクロン以
下と狭く、磁気軸受スピンドルで通常使用されている転
がり軸受からなる保護軸受が使用できない。また、その
静圧気体軸受面が磁気軸受の電磁石を形成することか
ら、静圧気体軸受面の材質は潤滑性のない磁性金属に限
られる。そのため、スピンドルに過大な負荷が印加され
た場合には、主軸と軸受面との接触によって、軸受部に
悪影響を及ぼす恐れがある。
【0004】このようなタッチダウン時の保護を目的と
して、本出願人は、摺動材を静圧磁気複合軸受スピンド
ル装置に設けることを提案した(特願平11−7150
2号)。しかし、摺動材と主軸の間の微小な隙間(軸受
隙間以下)を介して主軸が高速回転すると、軸受内にお
ける空気摩擦熱により主軸が膨張し、摺動材に接触して
しまう恐れがある。このような課題は、静圧磁気複合軸
受を用いる場合に限らず、静圧気体軸受など、微小隙間
を介して主軸を支持する非接触軸受を用いるスピンドル
装置一般に生じる。また、上記提案例は、ラジアル軸受
への対策であり、スラスト軸受部の保護については考慮
されていなかった。
【0005】この発明の目的は、軸受隙間が微小な非接
触軸受を用いながら、主軸タッチダウ時における軸受や
主軸への影響が防止でき、またその影響防止用の摺動材
に主軸が熱膨張によって接触することを防止できる非接
触軸受スピンドル装置を提供することである。この発明
の他の目的は、スラスト型の非接触軸受におけるタッチ
ダウン時の耐摩耗性,摺動特性を向上させることであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の非接触軸受ス
ピンドル装置は、主軸をラジアル形式の非接触軸受で支
持したスピンドル装置において、主軸にラジアル隙間を
介して近接する摺動材を、上記非接触軸受の設置された
ハウジングに設け、この摺動材のラジアル隙間を、上記
非接触軸受のラジアル軸受隙間以下に設定し、上記摺動
材の上記ラジアル隙間に冷却気体を供給する冷却気体供
給手段を設けたことを特徴とする。この構成によると、
主軸に過大な負荷が印加し、タッチダウン、つまり主軸
と静止側の部材との間に機械的接触があった場合にも、
その機械的接触は摺動材と主軸との接触に止まる。摺動
材は、例えばカーボンまたは黒鉛など、摩擦係数の小さ
い材質が使用でき、そのためスピンドル装置は、タッチ
ダウンによっても、主軸にも、軸受面や摺動材にも損傷
が生じない。摺動材と主軸との隙間は微小隙間となる
が、摺動材と主軸間のラジアル隙間に冷却気体を供給す
る冷却気体供給手段を設けたため、微小隙間内における
空気摩擦熱による主軸の熱膨張が抑制できる。このた
め、主軸が熱膨張して摺動材に接触することが回避され
る。
【0007】上記冷却気体供給手段は、上記摺動材の内
周面に開口する給気孔と、この給気孔に冷却気体を供給
する冷却気体供給路とを有するものであっても良い。こ
のように摺動材の内周面に開口する給気孔を設けること
で、簡単な構成で摺動材と主軸間の微小な隙間に効率的
に冷却気体を供給することができる。このように給気孔
を設ける場合に、上記摺動材の内周面を、上記給気孔か
ら吐出する気体による静圧で主軸を支持する静圧気体軸
受面としても良い。摺動材の内周面を静圧気体軸受面と
すると、摺動材と主軸との正確な心合わせがなされてい
なくても、静圧による自動調心作用が得られる。そのた
め、摺動材を交換した場合に、取付誤差による微小な偏
心で主軸との微小隙間が局部的に小さくなりすぎること
がなく、摺動材の交換が実際的に可能になる。
【0008】この発明において、上記非接触軸受は、静
圧気体軸受と磁気軸受とが複合化されたラジアル型の静
圧磁気複合軸受であり、上記摺動材のラジアル隙間を、
上記静圧磁気複合軸受を構成する静圧気体軸受および磁
気軸受のラジアル軸受隙間以下に設定したものであって
も良い。静圧磁気複合軸受は、静圧気体軸受の優れた動
剛性および回転精度と、磁気軸受の優れた静剛性という
両軸受の特長を生かしたコンパクトな軸受とできるが、
その反面、静圧気体軸受の軸受面と主軸間の隙間が微小
となる。そのため、摺動材と主軸の隙間がそれ以上に微
小となり、上記の空気摩擦熱による主軸の熱膨張による
接触の問題が生じ易いが、上記のように冷却気体供給手
段を設けて主軸を冷却することにより、主軸の膨張によ
る接触を防止できる。上記非接触軸受が静圧気体軸受で
ある場合も、静圧磁気複合軸受と同様に摺動材と主軸の
隙間を非常に小さくする必要があるが、冷却気体供給手
段を設けて主軸を冷却することにより、主軸の膨張によ
る接触を防止できる。
【0009】この発明の非接触軸受スピンドル装置は、
上記主軸に形成された鍔に対面して主軸を非接触で支持
するスラスト型の非接触軸受を設け、このスラスト型の
非接触軸受における軸受面およびこの軸受面に対面する
主軸の鍔面のいずれか一方の面に、モリブデンまたはカ
ーボンの溶射層を設け、上記軸受面および主軸鍔面の他
方の面にセラミックスの溶射層を施しても良い。スラス
ト型の非接触軸受を設けた場合、ラジアル型の非接触軸
受の使用とあいまって、主軸の運転時の支持が完全に非
接触で行える。この場合に、上記のように軸受面および
主軸鍔面に上記材質の溶射層を設けることで、スラスト
方向のタッチダウン時の耐摩耗性,摺動特性を向上させ
ることができる。スラスト軸受部に関しては、ラジアル
軸受と同様にして並列に摺動材を置くことは困難であ
る。本来の軸受面積を減らすこと無く摺動材を置くため
には、主軸の鍔部の径を大きくすることになるが、固有
振動数は著しく低下することになる。しかし、上記のよ
うに軸受面に溶射層を設けることにより、鍔径を大きく
することなく、タッチダウン時の保護が行える。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態を図1ない
し図4と共に説明する。この非接触軸受スピンドル装置
1は、主軸4を、ハウジング5に設置された複数のラジ
アル型の非接触軸受である静圧磁気複合軸受6,7と、
スラスト型の非接触軸受である静圧磁気複合軸受8,9
とで支持し、スピンドル駆動源10を設けた静圧磁気複
合軸受スピンドル装置である。スピンドル駆動源10
は、ハウジング5に内蔵のモータであって、主軸4に一
体に設けられたロータ21と、ハウジング5に設置され
たステータ22とで構成され、ビルトインモータ形式の
スピンドル装置1を構成する。主軸4の先端には、工具
11を取付けるチャック12が設けられている。各軸受
6〜9とスピンドル駆動源10の配置は、この例では、
主軸4の前部(工具側部)および後部をラジアル型の静
圧磁気複合軸受6,7で支持し、その中間をスラスト型
の静圧磁気複合軸受8,9で支持し、後端にスピンドル
駆動源10を配置した構成としてある。
【0011】この構成のスピンドル装置1において、主
軸4に内径面がラジアル隙間を介して近接する摺動材4
1をハウジング5に設置してある。摺動材41は、ラジ
アル型静圧磁気複合軸受6,7の並びよりも主軸4の前
端側および後端側に各々配置してある。各摺動材41
は、リング状の部材であって、ハウジング5に設けられ
た摺動材嵌合部に嵌合状態に取付けられている。摺動材
41の内径面41aは円筒面状とされ、この内径面41
aと主軸4の外径面との間のラジアル隙間d3(図3)
は、ラジアル型の各静圧磁気複合軸受6,7を構成する
静圧気体軸受6A,7Aおよび磁気軸受6B,7Bのラ
ジアル軸受隙間d以下(図3)に設定してある。摺動材
41の材質は、カーボンまたは黒鉛であって、硬さがシ
ェア硬度で50以上、曲げ強さが400Kgf/cm2 以上、
圧縮強さが700Kgf/cm2 以上で、かつ熱膨張係数が5
×10-6以下としてある。
【0012】摺動材41には、ラジアル隙間d3に冷却
気体を供給する冷却気体供給手段50が設けられてい
る。図3において、冷却気体供給手段50は、摺動材4
1の内周面に開口する給気孔51と、この給気孔51に
冷却気体を供給する冷却気体供給路52とを有し、冷却
気体供給源53に接続されている。摺動材41の内周面
41aは、給気孔51から吐出される気体による静圧で
主軸4を支持する静圧気体軸受面とされている。給気孔
51は、摺動材41の円周方向複数箇所に設けられてい
る。これら各給気孔51は、一つの冷却気体供給路52
から分岐されている。冷却気体供給源53は、空気等の
冷却気体を供給するものであり、ポンプまたはブロワー
等が用いられる。冷却気体供給源53は、静圧磁気複合
軸受6,7に作動気体を供給する静圧軸受用気体供給源
を兼ねるものであっても、静圧軸受用気体供給源とは別
に設けられたものであっても良い。
【0013】図1の各静圧磁気複合軸受6〜9の構成を
説明する。ラジアル型の各静圧磁気複合軸受6,7は、
互いに同じ構成のものであり、片方の軸受6につき、図
2に横断面を示すと共に、図3に縦断面を拡大して示
す。静圧磁気複合軸受6,7は、各々静圧気体軸受6
A,7Aと磁気軸受6B,7Bとを複合化させたもので
ある。この明細書で言う複合化とは、静圧および磁気の
両形式の軸受を共通部分が生じるように組み合わせるこ
とを意味し、例えば、静圧気体軸受面と磁気軸受面とに
共通部分(ラジアル軸受では軸方向の重なり部分)を生
じさせるか、あるいは両形式の軸受に少なくとも一部の
部品が共通化されるものであれば良い。
【0014】この実施形態では、図3に示すように、磁
気軸受6B,7Bの電磁石のコア23に、静圧気体軸受
6A,7Aの絞り24aを設けることで、コア23で静
圧気体軸受面の一部を構成している。コア23は、軸方
向に離れた一対の主コア部23a,23aと、これら主
コア部23a,23aを連結した連結コア部23bと、
両主コア部23a,23aの主軸側端から対向して延び
る延出部23c,23cとで、縦断面がC字状に形成さ
れている。主コア部23aと延出部23cの内径側面
は、主軸4と所定の磁気ギャップを形成する円筒面とさ
れている。磁気軸受6B,7Bは、このコア23の連結
コア部23bにコイル25を巻装したものである。コイ
ル25は、樹脂材等の非磁性体26に埋め込まれてい
る。
【0015】静圧気体軸受6A,7Aは、コア23およ
び非磁性体26の内径側面で形成されて主軸4との間に
軸受隙間dを形成する静圧磁気受面6Aa,7Aaと、
コア23の各主コア部23a,23aに設けられて静圧
軸受面6Aa,7Aaに開口する絞り24aとで構成さ
れる。絞り24aは、各主コア部23aの外径側面に開
口した給気孔24の先端に設けられている。図2に階段
断面を示すように、コア23は、主軸4の回りの円周方
向複数箇所(同図の例では4箇所)に配置されてハウジ
ング5に固定されている。円周方向に隣合うコア23間
の隙間は、樹脂材等の非磁性体27で埋められている。
この非磁性体27は、コイル25の周囲の非磁性体26
(図4)と一体のものであっても良い。これら非磁性体
26,27と、コア23とで、前記静圧磁気軸受面6A
a,7Aaが構成される。
【0016】磁気軸受6B,7Bは、主軸4とコア23
との磁気ギャップの変位を検出する変位検出手段28を
有している。この変位検出手段28は、変位量を直接に
検出するものであっても良いが、この例では、静圧軸受
隙間dの静圧(気体の圧力)を検出することで、その圧
力検出値を変位量に換算して磁気ギャップの変位を検出
するものとしてある。具体的には、変位検出手段28
は、静圧軸受隙間dに先端が開口した圧力検出用の通気
路28aと、この通気路28aに連通したセンサ28b
とで構成される。センサ28bは、図1のようにコア2
3から軸方向に離れた位置に配置されている。通気路2
8aは、細孔またはパイプで形成されていて、静圧軸受
隙間dにはコア23の延出部23c,23c間における
非磁性体26の部分で開口している。図2は、図面を見
易くするために絞り24aと通気路28aの開口位置を
周方向にずらせて図示してあるが、実際は互いに周方向
の同じ位置とされている。
【0017】図4は、スラスト型の静圧磁気複合軸受
8,9の拡大図である。この一対の軸受8,9は、主軸
4に設けられた鍔部4aの両面に対向してハウジング5
内に設置されたものであり、互いに一つの両面式スラス
ト型静圧気体軸受30を構成する。両側の静圧磁気複合
軸受8,9は、互いに同じ構成のものである。これら静
圧磁気複合軸受8,9は、各々静圧気体軸受8A,9A
と磁気軸受8B,9Bとを複合化させたものである。こ
の実施形態では、磁気軸受8B,9Bの電磁石のコア3
3に、静圧気体軸受8A,9Aの絞り34aを設けるこ
とで、軸受構成部品の共通化と共に、軸受面の一部が軸
方向に重なるようにしてある。コア33は、スピンドル
鍔部4aの対向面に開き部33dが生じるように、縦断
面形状がC字状に形成され、その内部にコイル35が収
められている。開き部33dは非磁性体で埋められてい
る。コア33は、図示の例では断面L字状の内周コア部
33aと外周コア部33bとの組立構成としてあるが、
一体物であっても良い。コア33には軸方向に間座29
が隣接している。
【0018】スラスト型の静圧気体軸受8A,9Aは、
コア33の側面で形成されてスピンドル鍔部4aとの間
に軸受隙間d2を形成する静圧軸受面8Aa,9Aa
と、コア33に設けられて静圧軸受面8Aa,9Aaに
開口する絞り34aとで構成される。絞り34aは、コ
ア33の外径側面に開口した給気孔34の先端に設けら
れている。
【0019】スラスト型の静圧磁気複合軸受8,9にお
ける軸受面8Aa,9Aaには、モリブデンまたはカー
ボンの溶射層61を施し、主軸4の鍔面にはセラミック
スの溶射層62を施してある。なお、溶射層61,62
の材質は、上記と互いに逆に、軸受面の溶射層61をセ
ラミックス、主軸鍔面の溶射層62モリブデンまたはカ
ーボンとしても良い。
【0020】スラスト型の磁気軸受8B,9Bは、図1
に示すように、スピンドル鍔部4aとコア33との磁気
ギャップの変位を検出する変位検出手段38を有してい
る。この変位検出手段38も、変位量を直接に検出する
ものであっても良いが、この例では、静圧軸受隙間d2
の静圧を検出することで、その圧力検出値を変位量に換
算して磁気ギャップの変位を検出するものとしてある。
具体的には、変位検出手段38は、静圧軸受隙間d2に
先端が開口した圧力検出用の通気路38aと、この通気
路38aに連通したセンサ38bとで構成される。
【0021】図1の各静圧磁気複合軸受6〜9における
静圧気体軸受6A〜9Aの給気孔24,34には、ハウ
ジング5内に設けられた給気孔40の給気入口40aか
ら、圧縮空気またはその他の圧縮気体が供給される。
【0022】この構成のスピンドル装置1によると、主
軸4に近接する摺動材41を設け、そのラジアル隙間d
3(図3)を、各ラジアル型静圧磁気複合軸受6,7の
静圧気体軸受面6Aa,7Aaのラジアル隙間d以下に
したため、主軸4に過大な負荷が印加し、主軸4と静止
側の部材との間に機械的接触があった場合にも、その機
械的接触は摺動材41と主軸4との接触に止まる。ま
た、摺動材41はカーボンまたは黒鉛であるため、摩擦
係数が小さい。そのためスピンドル装置1は、前記接触
によっても、主軸4にも、また軸受面6Aa,7Aaや
摺動材41にも損傷が生じない。
【0023】磁気軸受6B,7Bのコア23で静圧気体
軸受面6Aa,7Aaを形成したため、軸受構成が簡素
化されるが、静圧気体軸受面6Aa,7Aaの材質は潤
滑性のない磁性金属に限られ、主軸4との接触回避が重
要となる。そのため、摺動材41で主軸4を受けること
による損傷防止が効果的である。また摺動材41を静圧
磁気複合軸受6,7の並びよりも主軸端部側に配置した
ため、主軸4が過大なラジアル負荷で傾きを生じた場合
でも、摺動材41で主軸4を確実に受け、主軸4が軸受
面6Aa,7Aaに接触することが防止される。摺動材
41は、硬さがシェア硬度で50以上、曲げ強さが40
0Kgf/cm2 以上、圧縮強さが700Kgf/cm2 以上で、か
つ熱膨張係数が5×10-6以下であるが、このような硬
さ、曲げ強さ、および圧縮強さを持つ材質とすること
で、主軸4の接触が生じた場合の摺動材41の損傷が防
止される。また摺動材41の熱膨張係数を上記の範囲と
することで、静圧磁気複合軸受6,7の磁気軸受6B,
7Bのコア23に一般に用いられる軟磁性金属に対して
熱膨張係数が同等以下となり、摺動材41の熱膨張に伴
う内径の増大がコア23と同等以下となる。そのため、
温度上昇時に主軸4に過大なラジアル負荷が作用して
も、確実に摺動材41で受けることができる。カーボン
および黒鉛は、上記の各材質上の要求を満足するものと
できる。
【0024】また、摺動材41と主軸4との隙間d3は
微小隙間となるが、この隙間に冷却気体供給手段50で
冷却気体を供給するようにしたため、微小隙間内におけ
る空気摩擦熱による主軸4の熱膨張が抑制できる。この
ため、主軸4が熱膨張して摺動材41に接触することが
回避される。冷却気体供給手段50は、摺動材41の内
周面41aに開口する給気孔51で構成したため、簡単
な構成で摺動材41と主軸4間の微小な隙間に効率的に
冷却気体を供給することができる。また、摺動材41の
内周面41aを静圧気体軸受面としたため、摺動材41
と主軸4との正確な心合わせがなされていなくても、静
圧による自動調心作用が得られる。そのため、摺動材4
1を交換した場合に、取付誤差による微小な偏心で主軸
4との微小隙間が局部的に小さくなりすぎることがな
く、摺動材41の交換が実際的に可能になる。
【0025】スラスト型の静圧磁気複合軸受8,9に
は、軸受面にモリブデンまたはカーボンの溶射層61を
施し、主軸鍔面にセラミックスの溶射層62を施したた
め、スラスト方向のタッチダウン時にはこれらの溶射層
61,62が接することになり、その滑りによって保護
が行える。また、溶射層61,62を施したものである
ため、タッチダウン保護用の摺動材を静圧磁気複合軸受
8,9と並べて設ける場合と異なり、主軸鍔径を大きく
することなく、タッチダウン時の保護が行える。
【0026】なお、上記実施形態では、摺動材41に設
ける冷却気体供給手段50は、摺動材41の内周面41
aに開口する給気孔51で構成したが、冷却気体供給手
段50は、例えば図5に示すように、摺動材41の外部
から摺動材41と主軸4の隙間に向けて冷却気体を供給
するノズル51Aを用いたものでであっても良い。
【0027】図6は、この発明の他の実施形態にかかる
静圧磁気複合軸受スピンドル装置1Aを示す。同図の例
において、図1の実施形態と対応する部分には同一の符
号を付してある。この実施形態では、主軸4を支持した
前後のラジアル型の静圧磁気複合軸受6,7の中間にス
ピンドル駆動装置10を配置し、後方の静圧磁気複合軸
受7よりも端部側にスラスト型の静圧磁気複合軸受8,
9が配置してある。摺動材41は、これらの静圧磁気複
合軸受6〜9の並びよりも前端側および後端側に位置し
てハウジング5に設けられている。また、この実施形態
では、静圧磁気複合軸受6〜9の変位検出手段43,4
4は、渦電流センサ等の磁気的に主軸4の変位を検出す
るものが使用されている。この実施形態における各静圧
磁気複合軸受6〜9の具体的構成は、図1の例とは異な
るが、いずれも静圧気体軸受6A〜9Aと磁気軸受6B
〜9Bを複合化させ、また磁気軸受6B〜9Bの電磁石
コア23,33で静圧気体軸受面の一部を構成したもの
である。この実施形態における摺動材41のラジアル隙
間と各ラジアル型静圧磁気複合軸受6,7のラジアル隙
間との関係、および摺動材41の材質は、図1の実施形
態と同じである。また、摺動材41には、前記各実施形
態と同様に冷却気体供給手段50が設けられている。こ
の冷却気体供給手段50は、摺動材41の内周面に開口
する給気孔51およびこの給気孔51へ給気する給気経
路(図示せず)を備える。
【0028】上記実施形態では、ラジアル形式の静圧磁
気複合軸受6,7を備える静圧磁気複合軸受スピンドル
装置の場合につき説明したが、この発明は、静圧気体軸
受スピンドル装置にも適用することができる。例えば、
図1〜図4に示す第1の実施形態において、静圧磁気複
合軸受6,7に代えて、図7に示すように静圧気体軸受
66を設け、静圧気体軸受スピンドル装置としても良
い。その場合に、スラスト形式の静圧磁気複合軸受8,
9(図1)の代わりに、スラスト形式の静圧気体軸受
(図示せず)を設けても良い。
【0029】
【発明の効果】この発明の非接触軸受スピンドル装置
は、主軸をラジアル形式の非接触軸受で支持したスピン
ドル装置において、主軸にラジアル隙間を介して近接す
る摺動材を、上記非接触軸受の設置されたハウジングに
設け、この摺動材のラジアル隙間を、上記非接触軸受の
ラジアル軸受隙間以下に設定し、上記摺動材の上記ラジ
アル隙間に冷却気体を供給する冷却気体供給手段を設け
たため、軸受隙間が微小な非接触軸受を用いながら、主
軸タッチダウ時における軸受や主軸への影響が防止で
き、またその影響防止用の摺動材に主軸が熱膨張によっ
て接触することを防止できる。上記冷却気体供給手段
が、上記摺動材の内周面に開口する給気孔と、この給気
孔に冷却気体を供給する冷却気体供給路とを有するもの
である場合は、簡単な構成で摺動材と主軸間の微小な隙
間に効率的に冷却気体を供給できる。この場合に、上記
摺動材の内周面を静圧気体軸受面とした場合は、静圧気
体による調心作用ため、摺動材の取付け精度の厳さが幾
分緩和され、摺動材の交換が可能となる。非接触軸受が
静圧磁気複合軸受である場合は、静圧気体軸受の優れた
動剛性および回転精度と、磁気軸受の優れた静剛性とい
う両軸受の特長を生かしたコンパクトな軸受となり、種
々の性能に優れたコンパクトなスピンドル装置になる。
上記主軸に形成された鍔に対面して主軸を非接触で支持
するスラスト型の非接触軸受を設け、このスラスト型の
非接触軸受における軸受面およびこの軸受面に対面する
主軸の鍔面のいずれか一方の面に、モリブデンまたはカ
ーボンの溶射層を設け、上記軸受面および主軸鍔面の他
方の面にセラミックスの溶射層を施した場合は、スラス
ト型の非接触軸受におけるタッチダウン時の耐摩耗性,
摺動特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかるスピンドル装置
の縦断側面図である。
【図2】同スピンドル装置の横断正面図である。
【図3】ラジアル型の静圧磁気複合軸受の拡大断面図で
ある。
【図4】スラスト型の静圧磁気複合軸受の拡大断面図で
ある。
【図5】この発明の他の実施形態にかかるスピンドル装
置の部分断面図である。
【図6】この発明のさらに他の実施形態にかかるスピン
ドル装置の断面図である。
【図7】この発明のさらに他の実施形態にかかるスピン
ドル装置の断面図である。
【符号の説明】
1…スピンドル装置 4…主軸 5…ハウジング 6〜9…静圧磁気複合軸受 6A〜9A…静圧気体軸受 6B〜9B…磁気軸受 6Aa,7Aa…静圧気体軸受面 10…スピンドル駆動源 41…摺動材 41a…内周面 50…冷却気体供給手段 51…給気孔 52…給気経路 53…冷却気体供給源 d…軸受のラジアル隙間 d3…摺動材のラジアル隙間

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主軸をラジアル形式の非接触軸受で支持
    したスピンドル装置において、主軸にラジアル隙間を介
    して近接する摺動材を、上記非接触軸受の設置されたハ
    ウジングに設け、この摺動材のラジアル隙間を、上記非
    接触軸受のラジアル軸受隙間以下に設定し、上記摺動材
    の上記ラジアル隙間に冷却気体を供給する冷却気体供給
    手段を設けたことを特徴とする非接触軸受スピンドル装
    置。
  2. 【請求項2】 上記冷却気体供給手段は、上記摺動材の
    内周面に開口する給気孔と、この給気孔に冷却気体を供
    給する冷却気体供給路とを有するものである請求項1記
    載の非接触軸受スピンドル装置。
  3. 【請求項3】 上記摺動材の内周面を、上記給気孔から
    吐出する気体による静圧で主軸を支持する静圧気体軸受
    面とした請求項2記載の非接触軸受スピンドル装置。
  4. 【請求項4】 上記非接触軸受は、静圧気体軸受と磁気
    軸受とが複合化されたラジアル型の静圧磁気複合軸受で
    あり、上記摺動材のラジアル隙間を、上記静圧磁気複合
    軸受を構成する静圧気体軸受および磁気軸受のラジアル
    軸受隙間以下に設定した請求項1ないし請求項3のいず
    れかに記載の非接触軸受スピンドル装置。
  5. 【請求項5】 上記非接触軸受が静圧気体軸受である請
    求項1ないし請求項3のいずれかに記載の非接触軸受ス
    ピンドル装置。
  6. 【請求項6】 上記主軸に形成された鍔に対面して主軸
    を非接触で支持するスラスト型の非接触軸受を設け、こ
    のスラスト型の非接触軸受における軸受面およびこの軸
    受面に対面する主軸の鍔面のいずれか一方の面に、モリ
    ブデンまたはカーボンの溶射層を設け、上記軸受面およ
    び主軸鍔面の他方の面にセラミックスの溶射層を施した
    請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の非接触軸受
    スピンドル装置。
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