JP2001525339A - Igf受容体に対するアゴニストおよびアンタゴニストの設計方法 - Google Patents

Igf受容体に対するアゴニストおよびアンタゴニストの設計方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、図1のIGF−1受容体結晶の3D構造座標に基づき、インスリン受容体ファミリーの分子に結合して、受容体により仲介される活性を制御することができる化合物を設計する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受容体構造、及び受容体/リガンド相互作用の分野に関する。本発
明は特に、受容体構造を使用して関連した受容体の構造を予測すること、並びに
決定した構造及び予測した構造を使用してポリペプチドリガンドのアゴニスト及
びアンタゴニストを選択又はスクリーニングすることに関する。
【0002】
【従来の技術】
インスリンは、グルコースの取り込み及び代謝を制御するペプチドホルモンで
ある。二つのタイプの糖尿病が、膵臓島細胞の破壊によるインスリン産生不能(
Homo-Delarche, F. & Boitard, C., 1996, Immunol. Today 10:456-460)か、又
は標的組織でのインスリン抵抗性若しくは当該島による不十分なインスリン分泌
又は肝機能不全により生じるグルコース代謝の不足(Taylor, S.I., et al., 19
94, Diabetes, 43:735-740)の何れかに関連している。
【0003】 インスリン様成長因子1及び2(IGF−1及び2)は、構造的にインスリン
に関連しているが、組織の増殖及び発達においては、代謝におけるよりも更に重
要である。これらは主に成長ホルモンに反応して肝臓内で産生されるが、他の多
くの組織においても産生され、そこではこれらは膵臓/オートクライン制御因子
として機能する。IGFは、強力な***促進剤であり、数多くの生理的状態、及
びある種の癌において関与する(Baserga, R., Tib Tech 14:150-152)。
【0004】 表皮増殖因子(EGF)は、インスリン/IGFファミリーとは関連性のない
小型のポリペプチドサイトカインである。これは、表皮組織の増殖を強く刺激し
、又、構造的に関連したより大型のファミリー、たとえば形質転換性増殖因子α
、アンフィレギュリン(amphiregulin)、ベータセルリン(betacellulin)、ヘ
パリン結合性EGF、及びある種のウイルス遺伝子産物である。異常なEGFフ
ァミリー信号伝達は、ある種の癌の特徴である(Soler, C. & Carpenter, G., 1
994 In Nicola, N. (ed) Guidebook to Cytokines and Their receptors, Oxfor
d Univ. Press, Oxford, pp194-197; Walker, F. & Burgess, A. W., 1994, In
Nicola, N. (ed) Guidebook to Cytokines and Their receptors, Oxford Univ.
Press, Oxford, pp 198-201)。
【0005】 これらの増殖因子のそれぞれは、対応する受容体に結合してその生物学的活性
を介在する。IR、IGF−1R及びインスリン受容体関連受容体(IRR)は
、それらに対するリガンドが知られてはいないが、それぞれが互いに関連しあっ
ていて、インスリン受容体サブファミリーと呼ばれている。これらインスリン受
容体サブファミリーメンバーの一次構造については、多くの情報が現在入手可能
である(Ebina, Y., et al., 1985 Cell 40: 747-758; Ullrich, A., et al., N
ature 313:756-761; Ullrich, A., et al., 1986, EMBO J 5:2503-2512; Shier,
P, & Watt, V.M., 1989, J. Biol. Chem. 264:14605-14608)。また、これらの
機能性領域のいくつかも同定されている(レビューについては、De Meyts, P.,
1994, Diabetologia 37: 135-148; Lee, J. & Pilch, P.F. 1994 Amer. J. Phys
iol. 266:C319-C334; Schaffer,L. 1994, Eur. J. Biochem. 221: 1127-1132を 参照)。IGF−1R、IR、及びIRRは、チロシンキナーゼ受容体スーパー
ファミリーのメンバーであり、表皮増殖因子受容体(EGFR)サブファミリー
に類似していて、これらと細胞外領域並びに細胞質キナーゼ領域において顕著な
配列相同性を有している(Ullrich, A. et al., 1984 Nature 309:418-425; War
d, C.W., et al., 1995 Proteins:Structure Function & Genetics 22:141-153 )。 インスリン及びEGF受容体サブファミリーの双方は、22−24のcy s残基を有するcys豊富な約160アミノ酸で分離された二つの相同性領域(
L1及びL2)の同様の配列を有している(Bajaj, M. , et al., 1987 Biochem
. Biophys. Acta 916: 220-226; Ward, C.W. et al., 1995 Proteins: Structur
e Function & Genetics 22: 141-153)。IGF−1Rの外側領域(ectodomain )(463−906残基)のC末端部は、4つの領域、即ち連結領域、2のフィ
ブロネクチン3型(Fn3)反復配列、及び挿入領域からなる(O'bryan, J. P.
, et al., 1991 Mol Cell Biol 11: 5016-5031)。EGFRの外側領域(477
−621残基)は、二つ目のcys豊富領域であって20のcys残基を含むも
ののみからなる(Ullrich, A. et al., 1984, Nature 309:418-425)。
【0006】 これらの受容体サブファミリーの二次構造、三次構造、及び四次構造について
はほとんど知られていない。リガンドに結合すると二量体化する膜貫通モノマー
であるEGFRサブファミリーのメンバーとは異なり、IRサブファミリーはホ
モ二量体であり、ジスルフィド結合により互いに保持されている。IR/IGF
−1R/IRRの細胞外領域には、α鎖(約703−735アミノ酸残基)及び
192−196残基のベータ鎖が含まれる。約23残基の膜貫通セグメントは、
その後に細胞質部分(354−408)を有しており、これには近接した膜とC
末端制御領域ではさまれた触媒性のチロシンキナーゼ領域が含まれ、これは受容
体特異性機能の全ての介在の原因である(White, M. F. & Kahn, C. R. 1994 J.
Biol. Chem. 269: 1-4)。 受容体の化学分析により、α鎖は単一のジスルフィ
ド結合を介してベータ鎖に連結していて、IR二量体が少なくとも二つのα−α
ジスルフィド結合により形成されることが示されている(Finn, F.M., et al.,
1990, Proc. Natl. Acad. Sci. 87:419-423; Chiacchia, K. B., 1991, Biochem
. Biophys. Res. Commun. 176, 1178-1182; Schaffer. L. & Ljungqvist, L.,19
92 Biochem. Biophys. Res. Comm. 189; 650-653; Sparrow, L.G. et al., 1997
, J. Biol. Chem. 47: 29460-29467)。
【0007】 リガンドEGF、TGF−アルファ(Hommel, U., et al., 1997, J. Biol. C
hem. 227:271-282)、インスリン(Dodson, E. J., et al., 1983, Biopolymers
22:281-291)、IGF−1(Sato, A., et al., 1993, Int. J. Peptide Prote
in Res. 41:433-440)、及びIGF−2(Torres, A.M., et al., 1995, J. Mol
. Biol. 248:385-401)の三次元(3D)構造は知られていて、またEGFR(S
oler, C. & Carpenter, G., 1994 In Nicola (ed) Guidebook to Cytokines and
Their receptors, Oxford Univ. Press, Oxford, pp194-197)、IGF−1R 及びIR(De Meyst, P., 1994 Diabetologia, 37:135-148参照)へ結合するリ ガンドの数多くの分析及び機能的研究が行われているが、リガンド結合及びその
後の膜貫通信号伝達は不明である。
【0008】 リガンド誘導性、受容体介在性のリン酸化は、ほとんどの細胞キナーゼ(cyto
kinase)、ポリペプチドホルモン及び膜に包埋されたリガンドが生物学的効果を
発揮する信号伝達の機構である。チロシンキナーゼ受容体のように(レビューは
、Yarden Y., et al., 1988, Ann Rev. Biochem. 57:443-478を参照)、又はS er/Thrキナーゼ受容体のように(Alevizopoulos, A. & Mermod, N., 1997
, BioEssays, 19:581-591)、一次的キナーゼ(primary kinase)が、膜貫通受 容体蛋白質の細胞内部分の一部であることがあり、または造血性増殖因子受容体
の場合のように(Stahl, N., et al., 1995, Science 267: 1349-1353)、受容 体複合体を形成している膜貫通蛋白質の細胞質テールと非共有的に結合している
こともある。最終的な結果は同じであり、リガンド結合により受容体の二量体化
、又はオリゴマー化が起こるか、あるいはすでに存在していた受容体の二量体又
はオリゴマーのコンホメーション変化が起きて、共有結合的に結合するか又は非
共有結合的に結合した蛋白質キナーゼ領域のリン酸基転移による活性化が起こる
(Hunter, T., 1995, Cell 80:225-236)。
【0009】 多くの癌遺伝子が、増殖因子、増殖因子受容体、又は信号変換経路における分
子と相同的であることが示されている(Baserga, R., 1994 Cell, 79:927-930;
Hunter, T., 1997 Cell, 88:333-346)。最良の例の一つは、(EGFRに関連 している)vErbである。多くの増殖因子受容体の過剰発現は、リガンド依存
性の形質転換を生じるので、癌遺伝子に対する代替戦略は、増殖因子受容体又は
そのリガンドの発現を制御すること、又は受容体に直接的に結合して同じ効果を
刺激することである(Baserga, R., 1994 Cell, 79:927-930)。例には、IGF
−1Rを細胞内で活性化するv−Src;IGF1Rの発現を促進して細胞を形
質転換するc−Myb;そしてIGF−1Rと相互作用してIGF−1の分泌を
促進するSV40T抗原がある(レビューは、Baserga, R., 1994 Cell, 79:927
-930を参照)。IGF−1Rが崩壊しているか、又は欠失している細胞は、SV
40T抗原では形質転換されない。癌遺伝子が増殖因子及びその受容体を活性化
すれば、腫瘍抑制遺伝子は反対の効果を有するはずである。このよい一の例は、
ウィルムス腫瘍抑制遺伝子、WT1であるが、これはIGF−1Rの発現を抑制
する(Drummond, J.A., et al., 1992, Science, 257:275-277)。癌遺伝子によ
り増殖するようにされた細胞は、増殖因子受容体が除去されるとアポトーシスを
広汎に行うが、これは正常な細胞とは異なりこれらの細胞は細胞周期から脱出し
てG0期に入ることができないからである(Baserga, R., 1994 Cell 79:927-93
0)。
【0010】 インスリン様増殖因子1受容体(IGF−1R)は、ほ乳類細胞の増殖を制御
するいくつかの増殖因子のうちの一つである。しかしながら、その偏在性及びそ
の機能のある種の独自性により、正常細胞へはほとんど影響を与えずに、IGF
−1Rを、異常な増殖に対する特別の治療的干渉用の理想的な標的とする(Base
rga, R., 1996 TIBTECH, 14:150-152)。この受容体は、IGF1,IGF2及 びインスリンにより活性化され、少なくとも3つの方法で細胞増殖において役割
を有する。即ちこれは細胞がin vitro及びin vivoで最適に増殖するのに必須で あること、いくつかの細胞種では、形質転換状態を維持するのにIGF−1Rが
必要であること、そして活性化されたIGF−1Rにはアポトーシス性細胞死に
対する予防効果があることである(Baserga. R., 1996 TIBTECH, 14:150-152) 。これらの性質のみにより、これは治療的干渉に対する理想的な標的となる。ト
ランスジェニック実験により、IGF−1Rは細胞増殖にとっての絶対的必要条
件ではないが、形質転換状態の確立には必須であるとが示された(Baserga, R.,
1994 Cell: 79:927-930)。ある場合には(ヒトの神経グリア芽腫、ヒトのメラノ
ーマ、ヒトの乳癌、ヒトの肺癌、ヒトの卵巣癌、ヒトの横紋筋肉腫、マウスのメ
ラノーマ、マウスの白血病、ラットの神経グリア芽腫、ラットの横紋筋肉腫、ハ
ムスターの中皮腫)、形質転換された表現型は、IGF−1Rのアンチセンスを
使用して、又はその機能をIGF−1Rに対する抗体で阻害して(ヒトの乳癌、
ヒトの横紋筋肉腫)、又はIGF−1Rの優勢ネガティブにより(ラットの神経
グリア芽腫;Baserga. R., 1996 TIBTECH 14:150-152)、IGF−1Rの発現を
減少させることにより復帰させることができる(Baserga. R., 1996 TIBTECH 14
:150-152)。
【0011】 IGF−1Rの機能が損なわれたときには、3つの影響が観察されている。即
ち、腫瘍細胞が、広汎なアポトーシスを行い、結果として腫瘍形成が阻害され。
また生存している腫瘍細胞が、特定の免疫反応により除去される。そしてこのよ
うな宿主反応により、確立されている野生型の腫瘍の退行が引き起こされる(Re
snicoff, M., et al., 1995, Cancer Res. 54:2218-2222)。これらの影響に加 えて、更にはIGF−1R機能の干渉が正常な細胞へはほとんど影響しない(ア
ポトーシスを行わずに増殖が一部阻害される)という事実により、IGF−1R
は治療的干渉のユニークな標的となる(Baserga, R., 1996 TIBTECH 14: 150-15
2)。更にIGF−1Rは、多くの増殖因子受容体の下流にあり、このため、よ り一般的な標的となっている。細胞上のIGF−1Rの数を減少させたり、又は
その機能を拮抗させることができれば、腫瘍の増殖を停止させて免疫学的に除去
することができることを、これらの発見は示唆している。これらの研究により、
IGF−1Rアンタゴニストは、治療的には非常に重要であることが確立された
【0012】 数多くの細胞が、構成的に活性なEGFR(Sandgreen, E.P., et al., 1990,
Cell, 61:1121-135; Karnes, W.E.J., et al., 1992, Gastroenterology, 102:
474-485)、又は他のEGFRファミリーメンバー(Hines, N.E., 1993, Demin.
Cancer Biol. 4:19-26)を有している。膀胱、胸、肺、及び脳における腫瘍で は、活性化されたEGFRのレベルが上昇する(Harris, A. L., et al., 1989,
In Furth & Greaves (eds) The Molecular Diagnostics of human cancer. Col
d Spring Harbor Lab. Press, CSH, NY, pp353-357)。EGFRに対する抗体は
、EGFRのリガンド活性化(Sato, J. D. et al., 1983 Mol. Biol. Med. 1:5
11-529)、及び多くの上皮細胞株の増殖(Aboud-Pirak E., et al., 1988, J. N
atl. Cancer Inst. 85:1327-1331)を阻害することができる。ヒト化したキメラ
の抗−EGFRモノクローナル抗体を反復して投薬された患者は、疾患が安定化
する兆候を示した。大量の投薬及びヒト化したモノクローナル抗体の産生のコス
トのため、このタイプの治療を適用するには限界があると思われる。これらの発
見は、EGFアンタゴニストが抗がん剤として魅力的であることを示している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題および課題を解決するための手段】
発明の要約 本発明者らは、インスリン様成長因子受容体(IGF−1R)についての3D
構造に関する情報を取得した。この情報を使用して、インスリン受容体ファミリ
ーの関連したメンバーの構造を予測し、特定の治療的適用のためのリガンドを開
発するための合理的な基礎を提供することが可能である。 したがって、本発明の一の態様においては、インスリン受容体ファミリーの分
子に結合して、当該分子により介在される活性を調節させることができる化合物
を設計する方法であって、当該化合物と当該分子の受容部位との間の立体化学的
相補性を評価する工程を含むものが提供されるが、ここで、当該受容部位には、
次のものが含まれる: (a)IGF−1に対する受容体の1乃至462位のアミノ酸であって、図1に
示される原子配位を実質的に有するもの; (b)当該アミノ酸のサブセット;又は (c)インスリン受容体ファミリーのメンバーのアミノ酸配列に存在するアミノ
酸であって、図1に示される受容体分子のものと同等の3次元構造を形成するも
の。
【0014】 「インスリン受容体ファミリー」という用語は、たとえばIGF-1R、IR 、IRRなどを含む。一般に、インスリン受容体ファミリーメンバーは、同様の
領域配置を有し、顕著な配列同一性(好ましくは少なくとも40%が同一である
)を有する。 「立体化学的相補性」とは、生物学的に活性な物質又はその一部が、リガンド
−受容体相互作用についての、古典的な「錠前とかぎ」のような可視化において
、受容部位中の溝と相関することを意味する。
【0015】 本発明の好ましい態様において当該化合物は、データベースより同定される既
知の化合物より選択されるか、又はそれより改変させられたものである。 別の好ましい態様においては、当該化合物は図1に示されている受容体分子の
構造に相補的となるように設計される。 別の好ましい態様においては、当該化合物は、図2に示される溝に沿った受容
部位の表面のアミノ酸と近接することが可能な構造領域を有する。 別の好ましい態様において当該化合物は、受容部位のL1領域及びL2領域の
双方と相互作用することができる立体化学を有する。
【0016】 別の好ましい態様において当該化合物は、受容体ホモ二量体の一のモノマーの
L1領域、及び受容体ホモ二量体のもう一方のモノマーのL2領域と相互作用す
ることが可能な立体化学を有する。 別の好ましい態様においては、当該化合物と受容部位との相互作用は、受容体
分子のL1、L2又はシステイン豊富領域のうちの少なくとも一の位置を、当該
領域の他の少なくとも一のものに対して変化させる。好ましくは当該化合物は、
受容体分子のL1領域のβシートと相互作用し、これによりL1領域の位置を、
システイン豊富領域又はL2領域の位置に対して変化させる。あるいは当該化合
物は、受容体分子のL1領域及びシステイン豊富領域の間の界面の領域における
受容部位と相互作用し、これによりL1領域及びシステイン豊富領域を互いに離
れさせる。別の好ましい態様においては、当該化合物は、受容体分子のL2領域
及びシステイン豊富領域のヒンジ領域と相互作用し、これによってL2領域とシ
ステイン豊富領域の位置を互いに変化させる。
【0017】 別の好ましい態様においては、当該化合物と受容部位との立体化学的相補性は
、受容部位に対して10-6M未満、好ましくは10-8M未満未満のKbを有する 。 別の好ましい態様又は本発明の第一の態様においては、当該化合物は、受容体
分子により介在される活性を増強する能力を有する。 別の好ましい態様においては、当該化合物は受容体分子により介在される活性
を減少させる能力を有する。好ましくは、当該化合物と受容部位との間の立体化
学的相互作用は、受容体分子の天然のリガンドがその受容部位へ結合するのを防
止するようにして適合されている。当該化合物は好ましくは10-6M未満のK1 、より好ましくは10-8M未満、更に好ましくは10-9M未満のK1を有する。 本発明の第一の態様における好ましい例では、受容体はIGF−1R又はイン
スリン受容体である。
【0018】 第二の態様において本発明は、インスリン受容体ファミリーの分子に結合して
、当該分子により介在される活性を調節させることが可能な潜在的な化合物を同
定するための、コンピュータにより補助される方法であって、プロセッサ、入力
装置、及び出力装置を含んだ、プログラムされたコンピュータを使用して、以下
の工程を行うことを含むものを提供する: (a)プログラムされたコンピュータへ、入力装置を介して、図1に示されるI
GF-1Rの原子配位又はそのサブセットを具備したデータを入力する工程; (b)コンピュータ法を使用して、図1に示されるIGF−1Rの原子配位又は
そのサブセットに対する立体化学的相補性を有する構造を作製し、これによって
基準となるデータの組を作製する工程; (c)プロセッサを使用して、基準となるデータの組を、化学構造についてのコ
ンピュータデータベースと比較する工程; (d)コンピュータ法を使用して、前記の基準となるデータの組の一部に対して
構造的に同等である化学構造を選択する工程;及び (e)前記の基準のデータの組の一部と同等の、前記の選択した化学構造を、出
力装置に出力する工程。
【0019】 第二の好ましい態様においてプログラムされたコンピュータには、化学構造の
データベースが含まれるデータ蓄積システムが含まれる。 第二の態様の好ましい例においては、当該方法を使用して当該受容体により介
在される活性を減少させる能力を有する潜在的化合物を同定する。 第二の好ましい別の態様においては、コンピュータにより補助される方法は、
受容部位への天然リガンドの結合を阻害するようにして分子中の受容部位と相互
作用する一以上の化学構造を工程(e)より選択する工程を更に含む。 別の好ましい態様においては、コンピュータにより補助される方法は更に、工
程(d)及び(e)で選択された化学構造を有する化合物を得て、当該化合物を
当該受容体により介在される活性を減少させる能力に関して試験する工程を含む
。 別の好ましい態様においては、コンピュータにより補助される方法を使用して
、当該受容体分子により介在される活性を増大させる能力を有する潜在的化合物
を同定する。 別の好ましい態様において、コンピュータにより補助される方法は更に、工程
(d)及び(e)で選択された化学構造を有する化合物を得て、当該化合物を当
該受容体により介在される活性を増大させる能力に関して試験する工程を含む。 本発明の第二の態様の別の好ましい例においては、当該受容体はIGF−1R
又はインスリン受容体である。
【0020】 第三の態様において本発明は、インスリン受容体ファミリーの受容体活性を調
節する能力を有することが推定される化合物をスクリーニングする方法であって
、第一及び第二の態様の方法により推定の化合物を同定する工程、及び当該化合
物を受容体により介在される活性を増大させるか又は減少させる能力について試
験する工程を含むものを提供する。 第三の態様の好ましい例においては、当該試験は、in vitroで行われる。 第三の態様の別の好ましい例においては、当該試験は、高スループットアッセ
イである。 第三の態様の好ましい例においては、当該試験は、in vivoで行われる。
【0021】 [発明の詳細な説明] 本願においては、組換え体の端切りIGF−1R断片(残基1−462)であ
って、外側領域のL1領域−システイン豊富領域−L2領域を含むものの発現、
精製、及び結晶化を記載する。端切りするのに選択した部位は、エクソン6/エ
クソン7連結部(Abbott, A.M., et al., 1992, J. Biol. Chem., 267:10759-10
763)のすぐ下流であって、IR及びEGFRファミリーの配列が顕著に分枝す る個所(Ward, C.W., et al., 1995, Proteins: Struct., Funct., Genet. 22:1
41-153; Lax, I., et al., 1988, Molec. Cellu. Biol. 8:1970-1978)であって
、領域の境界を示すことを示唆する個所である。糖付加の影響を制限するため、
IGF−1R断片は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の糖付加変異
体であるLec8細胞内で発現したが、その定義された糖付加欠失により、マン
ノース残基から離れたN−アセチルグルコサミン残基で端切りされたN−連結型
オリゴ糖が産生される(Stanley, P. 1989, Molec. Cellul. Biol. 9:377-383)
。このような方法により、糖蛋白質の結晶化が容易になる(Davis, S.J., et al
., 1993, Protein Eng. 6:229-232; Liu, J., et al., 1996, J. Biol. Chem. 2
71, 33639-33646)。
【0022】 本願に記載のIGF−1R構築物には、c−mycペプチドのタグ(Hoogenbo
om, H.R. et al., 1991, Nucleic Acids Res. 19:4133-4137)であって、Mab
9E10(Evan, G. I. et al., 1985, Mol. Cell. Biol. 5:3610-3616)により
認識されるものを含むが、これは、抗体アフィニティーカラムからのペプチド溶
出を行い、次にSuperdexS200でゲルろ過することにより発現産物の
精製を可能にする。精製された蛋白質は、希薄マトリックススクリーン(sparse
matrix screen)下で結晶化したが(Jancarrik, J. & Kim, S.-H., 1991, J. A
ppl. Cryst. 24:409-411)、結晶はその質において変動しており、最良のものは
3.0−3.5Åの回折性を有していた。アニオン交換クロマトグラフィーでの
定組成溶離により、より不均一でない蛋白質が生じ、ヒトIGF−1Rの最初の
3つの領域の構造を決定するのに十分な質の結晶が得られた。
【0023】 IGF−1R断片は、エンテロキナーゼで開裂可能なペンタペプチド配列を経
由して、C末端において11残基のc−mycペプチドタグに連結したIGF−
1Rの残基1−462からなる。この断片は、多孔性キャリアディスクを使用し
たバイオリアクター中で連続培地環流によりLec8細胞で発現した。これは培
地中に分泌され、抗−c−myc抗体カラムからのペプチド溶出を行い、次にS
uperdexS200ゲルろ過を行って精製した。受容体断片は、コンホメー
ション的エピトープを認識する二つの抗−IGF−1Rモノクローナル抗体(2
4−31、及び24−60)に結合したが、IGF−1にもIGF−2にも結合
することはなかった。種々の質の結晶を1.7M硫酸アンモニウム(pH7.5
)中で、菱形プリズムに成長させたが、最良のものは3.5Åの回折性を有して
いた。アニオン交換カラムでの定組成溶離による更なる精製により、より良質な
結晶が生じたが、これは2.6Åの回折性を有していて、X線構造決定に適して
いた。
【0024】 この断片(IGF−1R残基1−462;L1−cys豊富−L2領域)の構
造は、X線回折により2.6Åの分解能で決定した。L領域はそれぞれ、単一鎖
の右旋性βヘリックスからなるコンパクトな形状をとっている。cys豊富領域
は、ジスルフィド結合した8つのモジュールからなっていて、その内の7つは、
新規の方法でモジュール同士が連結した、棒状形状の領域を形成する。この合理
的な伸長構造の中心には空間があり、3つ全ての領域に囲まれており、リガンド
分子を収納するのに十分なサイズである。IGF−1R及びインスリン受容体フ
ァミリーのその他のメンバーの機能的研究により、ホルモン結合に主として関与
する領域がこの中心部位にマッピングされることが示された。従って、この構造
はインスリン受容体ファミリーのメンバーがいかにそのリガンドと相互作用する
かについての一の見方を提供する。
【0025】 別のグループにより、関連受容体であるEGFRの、リガンドEGFとの複合
体中における結晶化が報告されている(Weber, W., et al., 1994, J. Chromat.
679:181-189)。 しかしながら、これらの結晶は6Åでの回折性しかなく、こ の複合体の原子分解構造(atomic resolution structure)を決定するためにも (Weber, W., et al., 1994, J. Chromat. 679:181-189)、及びIGF−1R及
びIR等の構造的に関連した受容体領域の正確なモデルを相同性モデリングを作
製するためにも、不十分であるという問題が生じた。
【0026】 本発明者は、リガンドの結合がどのようにして信号変換へと導くのかをより正
確に理解するために、サイトカイン受容体についての3D構造の情報を開発した
。このような情報により、特定の治療への適用のためのリガンドの開発の合理的
な基礎が提供されるが、これは入手可能な配列データ自身からはこれまでは得る
ことができなかったものである。
【0027】 アゴニスト及びアンタゴニストがIGF−1R部位に結合する際の正確な機構
は完全には解明されていない。しかし、受容部位へのリガンドの結合は、天然の
IGF−1リガンドに対する促進された立体化学的相補性から、好ましくは10
-8M以上のオーダーの親和性でもって起こることが理解されている。
【0028】 このような立体化学的相補性は本発明に沿ったものであるが、これは図1に定
義された配位により番号付けられた、受容部位の溝に沿った部内表面残基とマッ
チする分子の特徴である。溝に沿った残基は、図2に描画してある。「マッチす
る」とは、同定した領域が、たとえば部位内の生物学的活性物質の脱溶媒和を促
進する、水素結合又はエンタルピー低減性ファン・デル・ワールス結合により、
当該溝内の当該生物学的に活性な物質の保持がエネルギー的に好まれるようにし
て、表面残基と相互作用することを意味する。
【0029】 受容部位の形状に相補的な物質は、図1に定義した原子配位に位置するアミノ
酸により特徴付けられるが、これは受容部位に結合することが可能であり、結合
が十分に強いときには、天然のリガンドが当該部位に結合するのを実質的に阻害
する。
【0030】 天然のリガンドの結合を阻害するためには、リガンドと受容部位との間の相補
性が、溝に沿った残基の全部に渡っていることは必ずしも必要ではないことがわ
かるであろう。従って、溝に沿った残基の一部と結合するアゴニスト又はアンタ
ゴニストはが本願に含まれる。
【0031】 一般には、立体化学的相補性を有する分子の設計は、分子と標的受容体との間
の「適合性(fit)」を、化学的又は幾何学的の何れかにより最適化する技術に より達成される。この種の既知の技術は、Scheridan及びVenkataraghavan(Acc.
Chem. Res. 1987, 20 322);Goodford, J(J. Med. Chem. 1984, 27 557);B
eddell(Chem. Soc. Reviews 1985, 279);Hol, (Angew Chem. 1986, 25 767 );並びにVerlinde, C.L., 及びHol, W.G.(J. Structure 1994, 2, 577)にレ
ビューされているが、これらのそれぞれの内容を参照することにより本願に組み
込む。Blundellら(Nature 1987 326 347(drug development based information
regarding receptor structure))も参照されたし。
【0032】 従って、本発明によれば、IGF−1R又は関連受容体分子の形状と相補的な
分子を設計する好ましい方法が二つある。幾何学的方法によれば、内部の自由度
の数(及び対応した、分子コンホメーション空間内の局所的最小)は、二つの剛
体の幾何学的(硬球)相互作用のみを考慮することにより減少されるが、ここで
一の物体(活性部位)には、第二の物体(リガンドのような相補的分子)の結合
部位を形成する「ポケット」又は「溝」が含まれる。第二の好ましい方法は、そ
れぞれの化学基(プローブ)と、当該部位内又は周囲の試験部位における活性部
位との相互作用を調査することを必要とするが、これにより一連のエネルギー値
が得られ、これから選択したエネルギーレベルでの三次元輪郭表面を作製するこ
とができる。
【0033】 この幾何学的方法は、Kuntz ら(J. Mol. Biol. 1982, 161 269)に例示され ていおり、この内容を参照することにより本願に組み込むが、リガンド設計のア
ルゴリズムはカリフォルニア大学評議員(Regents of the University of Calif
ornia)により配付される商業的ソフトウェアパッケージにより実行され、更な る詳細は、”Overview of the DOCK Package, Version 1.0”のタイトルのもと 、配付者より提供される資料中に記載されており、この内容を参照することより
本願に組み込む。Kuntzのアルゴリズムに従い、IGF−1R部位が示す空洞の 形状は、異なる半径の重なり合った一連の球として定義される。次に、一以上の
現存する結晶学的データ、たとえばCambridge大学(University Chemical Labor
atory, Lensfield Road, Cambridge CB2 1EW, UK)により維持されるCambridge
Structural Database Systemや、Brookhaven National Laboratory(Chemistry
Dept. Upton, NY1973, U.S.A.)により維持されるProtein Data Bankを検索し、
しかるべく定義された形状とほぼ一致する分子を探す。
【0034】 このようにして同定された分子を、幾何学的変数に基づいて、たとえば水素結
合、イオン性相互作用、及びファン・デル・ワールス相互作用などの化学的相補
性と関連する基準を満たすようにして修飾する。
【0035】 リガンド設計のための化学的プローブ法は、たとえばGoodford, J.(J. Med.
Chem. 1985 28 849)に記載されており、この内容を参照することにより本願に 組み込むが、これはまた、GRID(Molecular Discovery Ltd., West Way Hou
se, Elms Parade, Oxford OX2 9LL, U.K.の製品)等の複数の商業的ソフトウェ アパッケージで実行される。この方法に従うと、部位相補的分子の化学的必要条
件は、初めに、(図1に示される原子配位により表現される)活性部位を、異な
る化学プローブ、たとえば水、メチル基、アミン窒素、カルボキシル酸素、及び
ヒドロキシル等とプローブすることにより同定される。活性部位とそれぞれのプ
ローブとの相互作用に好ましい部位は、このようにして決定され、そのような部
位について得られる三次元パターンから、推定の相補的分子を作製することがで
きる。
【0036】 化学的プローブ法は、標的受容体に結合することが既知の分子の変異体を同定
するのに特に有益である。従って、受容部位に結合したIGF−1の結晶学的分
析は、興味ある活性部位と原形リガンドとの間の相互作用に関する有益な情報を
提供することが期待される。
【0037】 三次元データベースを検索して所望の薬学基(pharmacophore)を同定するの に適したプログラムには、MACCS-3D及びISIS/3D(Molecular Design Ltd., San
Leandro, CA)、ChemDBS-3D(Chemical Design Ltd., Oxford, U.K.)、及びSyb
yl/3DB Unity(Triops Associates, St. Louis, MO)が含まれる。 薬学基の選択及び設計に適したプログラムには、DISCO(Abbott Laboratories
, Abbott Park, IL)、Catalyst(Bio-CAD COrp., Mountain View, CA)、及びC
hemDBS-3D(Chemical Design Ltd., Oxford, U.K.)が含まれる。
【0038】 化学構造のデータベースは、数多くの供給源より入手可能であるが、これには
、 Cambridge Crysallographic Data Centre (Cambridge, U.K. )及びChemical A
bstracts Service(Columbus OH)が含まれる。 デ・ノボ設計プログラムには、Ludi(Biosym Technologies Inc., San Diego,
CA)、Sybyl(Tripos Associates)、及びAladdin(Daylight CHemical Inform
ation Systems, Irvine, CA)が含まれる。 当業者ならば、模倣物の設計には本発明の方法を使用して、構造をわずかに変
更するか、又は設計若しくは同定した化学構造を調節することが必要であること
がわかるであろう。
【0039】 本発明は、ハードウェア又はソフトウェア、或いはその両方の組み合わせによ
り実行することができる。しかし本発明は好ましくは、それぞれがプロセッサ、
データ保存システム(揮発及び不揮発メモリー及び/又は保存要素を具備するも
の)、少なくとも一の入力装置、及び少なくとも一の出力装置を具備しているプ
ログラム可能なコンピュータ上で動作するコンピュータプログラムで実行する。
プログラムコードを入力装置に入れて、上記した機能を実行し、出力情報を作製
する。出力情報を一以上の出力装置に、既知の方法で入れる。コンピュータは、
たとえば通常の設計のワークステーション、パーソナルコンピュータ、又はマイ
クロコンピュータとすることができる。
【0040】 それぞれのプログラムは好ましくは、高レベルプロセス(high level procedu
ral)又はオブジェクト指向プラグラム言語で実行して、コンピュータシステム とコミュニケートする。しかしながらプログラムは所望ならば、アセンブリー又
は機械語で実行することもできる。いかなる場合にも、言語はコンパイル又は翻
訳言語とすることができる。
【0041】 このようなそれぞれのコンピュータプログラムは好ましくは、一般的な又は特
定の目的のプログラム可能なコンピュータにより読み取り可能な保存媒体又は保
存装置(たとえばROMや磁気ディスク)であって、保存媒体又は保存装置がコ
ンピュータにより読み取られて本願に記載した手順を実行する場合に、コンピュ
ータを構成及びオペレートするためのものに保存される。この独創的システムは
また、コンピュータ読み取り可能な保存媒体であって、コンピュータプログラム
で構成されているものとして実行されるものとすることもできるが、ここで、そ
のように構成される保存媒体により、コンピュータは特定の、且つ、あらかじめ
決定しておいた方法により、本願で記載した機能を実行するように操作される。
【0042】 本発明の方法により設計される化合物は、ホルモン機能についての数多くのin
vitro及びin vivoアッセイにより調査することができる。たとえば、IGF− 1Rアンタゴニストの同定は、固相の受容体結合アッセイを使用して行うことが
できる。潜在的なアンタゴニストは、ユーロピウム標識済IGFリガンドが、可
溶性の組換え体IGF−1Rに対して、マイクロプレートベースのフォーマット
での結合を阻害する能力を調べてスクリーニングすることができる。ユーロピウ
ムは、ランタニド蛍光体であり、その存在は時間分析フルオロメトリーを使用し
て測定することができる。このアッセイの感度は、放射性同位元素により達成さ
れるものに匹敵し、測定は迅速であり、またマイクロプレートフォーマットで実
行して高−試料スループットとすることができるが、更にこの方法は受容体アゴ
ニスト/アンタゴニストのスクリーニングの開発において選択される方法として
広く許容され始めている(Apell et al., J. Biomolec. Screening 3:19-27, 19
88; Inglese et al., Biochemistry 37:2372-2377, 1998を参照されたし)。
【0043】 結合親和性及び阻害能力は、バイオセンサー技術を使用して候補の阻害剤につ
いて測定することができる。 安定にトランスフェクションされたIGF−1R応答性リポーター遺伝子を導
入している細胞ベースのアッセイを使用して、IGF−1Rアンタゴニストの試
験を行い、リポーター遺伝子活性を変化させる能力について調べることができる
(Souriau, C., Fort, P., Roux, P., Hartley, O., LeFranc, M-P. and Weill,
M., 1997, Nucleic Acids Res. 25, 1585-1590)。IGF−1応答性のルシフ ェラーゼリポーター遺伝子を構築し、293細胞をトランスフェクションしてい
る。このアッセイでは、IGF−1が新規のリガンド存在下でリポーター遺伝子
を活性化できるかが調べられている。これは、非常に高感度な検出システム(化
学蛍光)を使用して、迅速で(ホルモンの露出後6−8時間以内の結果)、高ス
ループットな(アッセイは96穴の自動計測用フォーマットで行うことができる
)分析を提供する。候補の化合物が同定されれば、たとえばIGF−1介在性細
胞増殖の阻害、IGF−1存在下でのアポトーシス誘導、及びソフトアガー上で
のIGF−1駆動性のアンカーレージ非依存性細胞増殖といった、ルーティン的
な数多くのin vitro細胞アッセイを使用し、IGF−1Rを介する信号変換を拮
抗する能力を調べることができる(D'Ambrosio, C., Ferber, A., Resnicoff, M
. and Baserga, R., 1996, Cancer Res. 56, 4013-4020)。このようなアッセイ
は、IGF−1Rの構成的過剰発現(45-50,000リポーター)の結果、 IGFに非常に応答性の高いものとなっているP6細胞株で行うことができる(
Pietrzkowski, Z., Sell, C., Lammers, R., Ullrich, A., and Baserga, R., C
ell Grouwth. Diff. 3, 199-205)。究極においては、腫瘍の治療薬としてのい かなるアンタゴニストも、記載された同種同系の及び異種の腫瘍移植片を有する
動物においてin vivoで試験することができる(Resnicoff, M., Burgaud, J-L.,
Rotman, H.L., Abraham, D. and Baserga, R., 1995, Cancer Res. 55, 3739-3
741; Resinicoff, M., Sell, C., Rubini, M., Coppola, D., Ambrose, D., Bas
erga, R., and Rubin, R., 1994 Cancer Res. 54:2218-2222)。
【0044】 腫瘍増殖阻害アッセイは、一連の細胞株を使用して、ヌードマウス異種移植片
モデルに基づいて設計することができる。受容体アンタゴニスト及び阻害剤の影
響は、皮下腫瘍の増殖において試験することができる。
【0045】 本願で記載したIGF−1R断片の構造についての更なる使用は、関連蛋白質
、たとえばこの受容体のより大型の断片、インスリン受容体ファミリーの別のメ
ンバー、又はEGF受容体ファミリーの構造決定を容易にすることである。この
新しい構造は、蛋白質のみのもの、又はリガンドとの複合体におけるものの何れ
かとすることができる。結晶学的分析の場合、これは、XPLOR等のプログラムに おいて、分子再配置の方法(Brunger, Meth. Enzym. 1997 276 558-580, Navaza
and Saludjian, ibid, 581-594, Tong and Rossman, ibid. 594-611, Bentley,
ibid. 611-619)を使用して行うことができる。この方法においては、回折デー
タを未知の構造の結晶蛋白質から収集する。これらのデータを変換したもの(パ
ターソン関数)を、既知の構造より計算したパターソン関数と比較する。まず、
一のパターソン関数を他のものに関して回転して、結晶中の未知の分子について
の正しい向きを決定する。次に翻訳関数(translation function)を計算して、
結晶軸に対する当該分子の位置を決定する。一旦、分子がユニットセル中で正確
に位置づけられたら、実験データに関する初期相(initial phase)を計算する ことができる。これらの相は、構造の差異を観測することができる電子密度マッ
プの計算、及び構造の改善に必要である。方法の限界のため、検索する分子は決
定する分子と構造的に関連している必要がある。しかし、検索する分子に類似す
るのは、未知の構造の一部のみ(たとえば<50%)である。従って、IGF−
1Rの1−462残基の三次元構造を使用して、関連受容体からなる構造を解読
し、これにより上に概略をのべた薬剤設計のプログラムが可能になる。
【0046】 要約すると、当業者は上記した結晶学の結果を使用して受容体ベースの薬剤設
計の一般原理を適用し、IGF−1R又は受容部位に高親和性で結合するのに十
分な立体化学的相補性を有する他の関連受容体のリガンドを産生することができ
る。 本発明を更に、以下の非限定的実施例を参照することにより詳細に記載する。
【0047】
【実施例】
実施例1 IGF−1R断片の発現、精製および結晶化 いくつかの因子は、試料選択、純度、安定性、溶解性(McPherson,A.ら、1995
,Structure 3:759-768);Gilland,G.L.,およびLadner.J.E.,1996,Curr.Opin.Str
uct.Biol.6:595-603)およびグリコシル化の性質と延長(Davis,S.J.ら,1993,Pro
tein Eng.6:229-232)を含む高分子結晶化を阻止する。Lec8細胞(Stanley,P.19
89,Molec.Cellul.Biol.9:377-383)で発現され、アフィニティークロマトグラフ
ィによって精製された、可溶性IGF−1Rエクトドメイン(残基1−906)
タンパク質からの構造データを得るための最初の試みは、無識別(no discernib
le)のX線回折パターンを与える、大きな、良く形成された結晶を生産した。原
子解像構造の測定には足りない、わずか6Åで回折した、構造的に関連している
上皮増殖因子受容体(EGFR)エクトドメインの結晶で同様の困難性に遭遇し
た(Weber,Wら、1994、J.Chromat 679:181-189)。このことは、我々に、X線結
晶研究により修正可能なIGF−1Rの断片を検索することを促した。
【0048】 発現された断片(残基1−462)は、エクトドメインのL1−システイン豊
富−L2領域を含む。Val462における選択された端切り(truncation)位置 は、エクソン6/エクソン7接合部の下流の4つの残基であり(Abbott,A.M.ら
、1992、J.Biol.Chem.267:10759−10763)、IRの配列と構造的関連EGFRファミリ
ーが非常に分かれる(diverge)位置でおこり(Lax,I.ら、1988、Molec Cell Bi
ol.8:1970−1978;Ward,C.W.ら、1995,Proteins:Struct.Funct.,Genet.22:141-
153)、ドメインの境界を表していることを示唆している。発現の戦略は、末端 ガラクトースとN-アセチルノイラミン酸残基を欠いたN-結合オリゴ糖を生産する
(Davis,S.J.ら、1993、Protein Eng.6:229-232:Liu,T.ら、1996、J.Biol.Che
m 271:33639−33646)、グリコシダーゼ欠損Lec8細胞(Stanley,P.,1989、Molec
.Cellul.Biol.9:377−383)中のpEE14ベクター(Bebbington,C.R.およびHen
tschel,C.C.G.1987,In:Glover,D.M.編、DNA Cloning.Academic Press、サンディ
エゴ、3巻、163頁)の使用を含んでいた。構築物は、C末端c-mycアフ ィニティータグ(Hoogenboom,H.R.ら,1991,Nucl Acids Res. 19:4133-4137)を 含んでおり、特異的ペプチド溶出による免疫アフィニティー精製を容易にし、過
激な精製条件を防止していた。これらの方法は、さらなるゲルろ過精製工程の後
容易に結晶化するタンパク質をもたらした。このことは、不安定な、多重ドメイ
ン糖蛋白質の結晶可能性を増大させるための、一般的なプロトコールを提供した
【0049】 この断片の構造は、それがインスリンとIGF−1結合特異性を支配する主な
決定因子を含み(Gustafson,T.A.およびRutter,W.J.1990,J.Biol.Chem.265:186
63-18667;Andersen,A.S.ら、1990、Biochemistry,29:7363-7366;Schumacher,R.
ら、1991、J.Biol.Chem.266:19288-19295;Schumacher,R.ら、1993、J.Biol.Chem
.268:1087-1094;Schaffer,L.ら、1993、J.Biol.Chem.268:3044-3047;Williams,
P.F.ら、1995.、J.Biol.Chem.270:3012-3016)、いくつかの成長機能に対して 強く優勢的に否定するものとして作用し、in vivoで腫瘍細胞のアポトーシスを 誘導すると報告されている(D'Ambrosio,C.ら、1996、Cancer Res.56:4013-4020
)IGF−1R断片(残基1−486)非常に類似しているために、非常に興味 深い。発現プラスミドpEE14/IGF−1R/462は、哺乳類の発現ベク
ターpECE(Ebina,Y.ら、1985、Cell,40:747-758;W.J.Rutter、UCSF,米国、 の好意で提供された)Igf−1r cDNAのAatII部位(コドン462以内)
内に、エンテロキナーゼ開裂部位、c−mycエピトープタグ(Hoogenboom,H.R
.ら、1991,Nucleic acid Res.19:4133−4137)、および終止コドン
をコードし、かつ哺乳類プラスミド発現ベクターpEE14(Bebbington,C.R. およびHentschel,C.C.G.1987、In:Glover,D.M.編、DNA Cloning。Academic Pres
s、サンディエゴ、3巻、163頁:Celltech Ltd.,UK)のEcoRI部位内のオリゴ
ヌクレオチドカセットに結さつされたcDNAの5’ 1521bpを含むDN A(Ullrich,A.ら、1986、EMBO J.5:2503-2512)を導入する、オリゴヌクレオチ
ドカセット:
【0050】
【化1】
【0051】 を挿入することにより構築した。プラスミドpEE14/IGF−1R/462
を、American Tissue Culture Collection(CRL:1737)から、リポフェク
チン(Lipofectin)(Gibco-BRL)を用いて得られるLec8変異体CHO細胞 (Stanley,P.1989、Molec.Cellul.Biol.9:377-383)にトランスフェクションし た。トランスフェクションの後、記載されたように(Bebbington,C.R.およびHen
tschel,C.C.G.1987、In:Glover,D.M.編、DNA Cloning、Academic Press、サンデ
ィエゴ、3巻、163頁)、グルタミン非含有培地(Eagle's培地のGlascow修正
(GMEM;ICN Biomedicals,オーストラリア))および25μMメチオニンスル
ホキサミン(MSX;Sigma,オーストラリア)含む10%透析FCS(Sigma,オ ーストラリア)中で、細胞系を保持した。トランスフェクタントは、ウェスタン
ブロティングと、捕捉(capture)抗体としてモノクローナル抗体(Mab)9 E10(Evanら、1985)、および検出のためにビオチン化抗IGF−1RMab
24−60または24−31のいずれか(Soosら、1992;Ken Siddle、ケンブリ ッジ大学、英国、より寄贈)を用いたサンドイッチ酵素結合免疫吸着検出法(E
LISA)(Cosgrove,L.ら、1995)によって、タンパク質発現についてスクリ ーニングした。IGF−1R/462を発現する選択されたクローンのラージス
ケールの培養を、1.25Lの作業容量(working volume)中に担体として70
gのFibra-Cel Disks(Sterlin,英国)を含むCelligan Plusバイオリアクター(
New Brunswick Scientific,米国)で行なった。非必須アミノ酸、核酸、25μ M MSXおよび10%のFCSを補ったGMEM培地を用いた連続的潅流培養
を、1から2週間の間保持し、グルタミン無添加で同じ補充物を有する、より富
化されたDMEM/F12で4から5週間保持した。ファーメンテーション生産
の実施は、同様の条件下で3回行ない、収穫培地の430Lからの受容体タンパ
ク質の全体の 見積収率は50mgであった。細胞増殖は、GMEM培地が用いられた醗酵の最
初のステージの間は低かったが、より富化された培地に変えられた後は劇的に高
められた。捕捉抗体としてMab 9E10とデベロッピング抗体としてビオチ
ニル化Mab 24−31を用いたELISAで測定された目的のタンパク質生
産性は、760時間の醗酵の中で−100から700時間の期間の間実質的に一
定であった。
【0052】 可溶性IGF−1R/462タンパク質は、製造者の薦めるように、採収した
醗酵培地から、Mab 9E10をジビニルスルホン活性化アガロースビーズ(
Mini Leak;Kem En Tec. デンマーク)に結合させることにより調製したカラム上
のアフィニティークロマトグラフィによって、回収した。抗体負荷量1.5−4
.5mg/mlの水和マトリックスのMini-Leak LowおよびMediumアフィニティ ーカラムを得、2.5−3mg/mlの負荷範囲で最適な結果を得た。Celligen
Plusバイオリアクター中の血清無添加培地でハイブリドーマ細胞(American Ti
ssue Culture Collection)を増殖させ、分泌された抗体(4g)をプロテイン Aガラスビーズ(Prosep-A、Bioprocessing Limited,米国)を用いて回収するこ
とにより、Mab 9E10を作製した。IGF−1R/462タンパク質を含
む採収した培地を、Tris−HCl(Sigma)でpH8.0に調整し、アジ化 ナトリウム中で0.02%(w/v)とし、3−5ml/分で50mlのMab
9E10抗体カラムに4℃で通した。結合タンパク質は、0.02%アジ化ナ トリウム(TBSA)を含む、20mlのTris緩衝生理食塩水中の2−10mgのウ
ンデカマーc−mycペプチドEQKLISEEDLN(Hoogenboomら、1991)
溶液のリサイクルで、回収した。ELISAでの評価で、65%と75%の間の産物 が培地から回収され、さらに15−25%が、2回目のカラム通過で回収された 。カラムを通したペプチド再循環(〜10回)が、結合タンパク質を、1回のよ り遅い溶出よりもより効率的に溶出した。残りの結合タンパク質は、pH3.0
のクエン酸ナトリウムバッファーで溶出し、1M Tris HCl pH8.0 中で溶出液を中和し、カラムをTBSAで再平衡化した。
【0053】 アフィニティー精製材料の、Superdex S2000(Pharmacia、スウェーデン)で のゲルろ過は、より少ない量の凝集タンパク質と共に、−63KDaに優勢なタ
ンパク質ピークを示した(図3a)。還元されたドデシル硫酸ナトリウムポリア
クリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE;図3b)上で、ピークタンパク
質が、最初に2つの接近して間のあいたバンドとして移動し、ELISAでMa
b24−60とMab24−31の両方に陽性に反応し、IGF−1RのN−末
端14残基に対応する単一の配列を与えた。IGF−1またはIGE−2の結合
は、固相結合アッセイ(Cosgroveら、1995、Protein Express Purif.6:789−79
8)で検出することができなかった。IGF−1R/462断片は、Resource Q (Pharmaciaスウェーデン)イオン交換クロマトグラフィでさらに精製した。浅 い塩勾配を用いて、最も遅い移動SDS−PAGEバンドで濃縮されたタンパク
質が得られ(データは示さず)、比較的多く、よく形成された結晶(後述)を形
成した。等電点電気泳動は、1つの主な、2つの少ない、アイソフォーム(isof
orm)の存在を示した。Resouece Qで、20mM TrisCl pH8.0中の
0.14M NaClの定組成溶離工程で、精製されたタンパク質は(画分2、
図4)、等電点電気泳動(図4差込)およびSDS−PAGE(データ示さず)
より低い不均一性を示し、構造決定のために十分な量の結晶を生産した(後述)
【0054】 結晶は、Centricon10濃縮器(Amicon Inc,米国)で、10−20mM Tr is−HCl pH8.0および0.02%(w/v)アジ化ナトリウム、また は100mM硫酸アンモニウムおよび0.02%(w/v)アジ化ナトリウム中
、5−10mg/mlに濃縮した精製タンパク質を用いたドロップ蒸気拡散方法
をかけることにより、成長した。結晶化条件は最初に階乗スクリーン(Jancarik
,J.およびKim,S.-H,1991、J Appl Cryst 24:409-411)を用いて同定し、ついで
最適化した。結晶は、Franksミラー(MSC、米国)とRAXIS IICおよ びIVイメージプレート検出器(Rigaku、日本)を備えたM18XHF回転アノ
ードジェネレーター(Siemens、ドイツ)で調べた。
【0055】 このタンパク質の最初の結晶化のスクリーニングから、約0.1mmのサイズ
の結晶が1週間で成長した。精製条件において、1.7−2.0M硫酸アンモニ
ウム、0.1M HEPES、pH7.5の溶液から、0.6×0.4×0.4 mmまでの結晶を成長させることができた。結晶は、形と回折能においてかなり
変化し、横幅に対する長さの比が5:1の斜方晶系プリズムとして、しかしある
場合には斜方晶系両錐として、優勢に成長し、後者の形は、Mab 9E10カ
ラムからpH3.0で溶出される材料を用いるときに好ましい。各結晶は、中央
から頂点まで非常に弱い線の形において、わずかな欠陥を示した。溶解した結晶
からのタンパク質は、等電点電気泳動ゲル上で実施した時のタンパク質ストック
溶液と異なっていないようであった。X線試験で、結晶は3.0−4.0Åに回
折し、a=76.8Å、b=99.0Å、c=119.6Åを有するスペースグ
ループP2111属することが見出された。回折パターンにおいて、上記の結 晶の変動は、解像(resolution)において、共変して、大きく(1−2°)、異
方性モザイクスプレッドとして、明白であった。結晶の質を改善させるために、
種々の添加物の存在で成長させ、あるいは再結晶化した。再結晶化によってより
大きな結晶が得られたが、これらの方法は、実質的に結晶の性質を改善すること
に失敗した。結晶の質の変動は、Resource Qカラムから定組成溶離され、等電点
電気泳動上(図4、差込み)で1つの主なバンドを示した、より高い精製タンパ
ク質が構造決定のために十分な質の結晶を生成するという観察によって示された
ように、タンパク質の異質性のためであるようであった。これらの結晶は、セル
寸法、a=77.0Å、b=99.5Å、c=120.1Å、モザイクスプレッ
ド0.5°を有する2.6Å解像で回折した。IGF−1R/462結晶の重金
属誘導体が得られ、ヒトIGF−1RのL1システイン豊富およびL2ドメイン
を含むこの断片の原子解像構造の決定に用いる。
【0056】 実施例2 IGF−1R/1−462の構造 結晶は、20%グリセロール、2.2M硫酸アンモニウム、および100mM TrispH8.0を含む母液中で、−170℃まで冷凍冷却(cryo-cool)し た。天然あるいは誘導体の回折データを、Yale/MSC鏡光学器(mirroroptics)を
有するSiemens回転アノードジェネレータからの銅Kα放射を用いてRigaku RAXIS
IIcまたはIV領域検出器に記録した。スペースグループは、a=77.39Å、
b=99.72Å、c=120.29Åを有するP2111であった。データ は、DENZOとSCALEPACKを用いて減少した(Otwinowski,ZおよびMinor,W.,1996,Mo
de.Meth.Enzym.276:307-326)。回折は、すべての試験した結晶について非常に 異方性であった。
【0057】 多重同形置換(MIR)による位相調整を、UO2とPIP誘導体の両方につい て変則スキャッタリングを用いてPROTEINで行なった(Steigeman,W.Dissertatio
n(Technical Univ.ミュンヘン、1974))。データ収集と位相調整のための
統計を表1に示す。最初のMIRで、タンパク質と溶媒のマップ領域が、明瞭に
見られたが、ポリペプチドの経路は全く明らかではなかった。そのマップは、D
Mにおいて溶媒平坦化とヒストグラムマッチングに供した(Cowtan,K.,1994,Joi
nt CCP4 およびESF-EACBM newslett.Protein Crystallogr.31:34-38)。構造は 、O(Jones,T.A.ら、1991,Acta Crystallogr.A47:110-119)を用いてトレース および再構築し、X−PLOR 3.851(Brunger,A.T.,1996,X-PLOR Refere
nce Manual 3.851,Yale Univ.,New Haven,CT)で精製した。再構築とエネルギー
の最小化の5ラウンドの後、R−ファクターは0.279に下がり、データ7−
2.6Å解像についてRfree=0.359であった。現在のモデルは458アミ
ノ酸と3つのN−連結炭水化物を含むが、溶媒分子は含んでいない。B(Ca)
>70を有する残基では、Å原子位置は信頼性が低い(37−42、155−1
59、305、336−341、404−406、453−458)。残基45
9−461に弱い電子密度が存在するが、c−myc末尾は完全に不規則である
【0058】 1−462断片は、IGF−1RのN−末端の3つのドメイン(L1、cys
豊富、L2)からなり、リガンド特異性を命ずる分子の領域を含む(17−23
)。分子は、ドメイン1(L1)の長さに沿って接触するが第3ドメイン(L2)と
はほとんど接触していないドメイン2(cys豊富領域)を有する合理的に伸長
した構造(約40×48×105Å)を採用する(図5参照)。このことは、分
子の第3のドメインによって3つの側面で結合されている約24Å×24Å×2
4Åの分子の中心に空間を残す。空間は、リガンド、IGF−1を収容するのに
十分な大きさである。
【0059】
【表1】
【0060】 Lドメイン 各Lドメイン(残基1−150および300−460)は、一本鎖の右回り(r
ight handed)β-ヘリックスからなり、末端が短αへリックスとジスルフィド 結合により覆われているコンパクトな形(24×32×37Å)を採用する。ド
メインのボディは、1個のパンのようであり、平坦な6つの鎖が撚り合わされた
β-シート、5残基長、および3残基長のβ-シートの側面から形成された底(ba
se)を有する(図5および6)。頂点は不規則であるが、所々、2つのドメイン
に関して類似している。2つのドメインは、重畳可能で、109原子について1
.6ÅのCα部分のrms偏差を有している。(図7)。この折畳は、他のβ- へリックスタンパク質を連想させるが、それは、あまり精巧でなく、よりシンプ
ルで小さい。したがってドメインの新しいスーパーファミリーを示している。2
つのドメインの間の1つの特記すべき相違点は、cys豊富領域(図6b)から
のTrp176のインドール環が、L1の疎水性コア中に挿入されており、C−
末端へリックスが痕跡だけである点である(図8)。インスリン受容体ファミリ
ーについて、L1中にTrpポケットを形成する残基の配列モチーフは、L2で
は起こらない(図6a)。しかしながら、EGF受容体では、L2ドメインの後
に付加的なcys豊富領域を有しており(14,15)、ポケットモチーフは、
両方のLドメインに見出すことができ、Trpはcys豊富領域で保存されてい
る(図6b)。
【0061】 β-へリックスの反復性は、配列に反映されており、最初の5つのターンは、B
ajaj,M.(1987,Biochem.Biophys.Acta 916:220-226)によって正確に同定され、保
存されているGly残基は1つの底辺を形成するターンに見出される。しかしな
がら、折畳についてのそれらの結論は、正しくなかった。”ヘリックス様”反復
は、ドメインの頂角における、正確にはベンド(bends)の対である。それらの モチーフVで、Glyはベンド中ではなく、7−8残基の保存されたループの挿
入の後である(図6a)。グリシンは構造的には、これらの残基の変異が受容体
の折畳を損ねるために、Glyベンドで重要である(van der Vorm E.R.ら、199
2,J.Biol.Chem.267,66-71;Wertheimer,E.ら、1994,J.Biol.Chem.269,7587-7592 )。
【0062】 Lドメインと、ペクテートリアーゼ(pectate lyase)(Yoder,M.D.ら、1993,
Structure 1:241-251-1507)、p22テールスパイク(tailspike)タンパク質 (Steinbacher,S.ら、1997,J.Mol.Biol.267:865-880)などの他の右回りβ-ヘリ
ックス構造との比較は、相違点と共にいくつかの強い類似性を示した。すべての
場合で、ドメインの末端はα-へリックスで覆われているが、Lドメインも末端 を指示する各端にジスルフィド結合を有している。他のβ-へリックスドメイン はもっとより長く、それらのシートに対して著しいねじれを有しているが、Lド
メインは平坦なシートを有している。ヘリックス反復のサイズは類似しているが
(ペクテートリアーゼで22−23に対してここでは24−25残基)、断面は
、かなり異なっている。Lドメインは四角形の断面を有しているが、ペクテート
リアーゼとp22テイルスパイクタンパク質はV型であり、多くの、時には非常
に大きな挿入を有している(Yoder,M.D.ら、1993,Structure,1:241-251-1507;S
teinbacher,S.ら、1997,J.Mol.Biol.267:865-880))。疎水性コアにおいて、共
通の特徴は、β-へリックスの連続するターンからの脂肪族残基の積み重ね(stac
king)であり、各LドメインのC末端の近傍には、短いAsnラダーがあり、ペ クテートリアーゼで観察される長いAsnラダー(Yoder,M.D.ら、1993,Structu
re 1:241-251-1507)を連想させる。Lドメインの反対側に、2つのベンドとそ れに先行するシートと同様に、Glyベンドは、他のβ-へリックスドメインに は等価物はない。こうしてLドメインは、他のβ-へリックスドメインと同様の 原理で構築されたが、それらは別個のスーパーファミリーを構成する。
【0063】 Cys豊富ドメイン cys豊富ドメインは、8つのジスルフィド結合分子からなり(図6b)、そ
れらのうちの第1は、L1の末端に配置しており、残りは、L1を横切ってL2
に至る対角線方向に走る曲がったロッドを形成している(図5)。モジュール2
−7中の鎖は、TNF受容体(Banner,D.W.ら、1993,Cell,73:431-445)よりも ラミニン(Stetefeld,J.ら、1996,J.Mol.Biol.257:644-657)により近いように 、ロッドの軸に対してほぼ垂直に走っているが、cysドメインのモジュールの
配置は、構造が知られている他のcys豊富タンパク質のそれとは異なっている
。IGF−1Rの最初の3つのモジュールは、一対のジスルフィド結合を含む共
通のコアを有しているが、ループにかなりのバリエーションを示す(図6b)。
これらのモジュールの連結性は、EGFのはじめの半分(Cys1−3と2−4
)と同じであるが、それらの構造は、EGFファミリーのメンバーのいずれにも
あまり関連していないようである。モジュール4から7は異なるモチーフ、β- フィンガーを有しており、フィブリンの残基2152−2168(Dowling,A.K.
ら、1996,Cell,85:597-605)によく一致した。各々は、3つのポリペプチド鎖か
らなり、第1と第3はジスルフィド結合され、後者の2つはβ-リボンを形成し ている。各β-フィンガーモジュールのβ-リボンは、逆平行に整列して、ねじれ
た8本鎖のβ-シートを形成している(図5および8)。モジュール6は、共通 のパターンから由来しており、第1のセグメントは、α-へリックスにより、そ の後、リガンド結合に役割を果たしているらしい大きなループにより置換されて
いる(下記参照)。モジュール5はモジュール7に最も類似しているので、4つ
のモジュールが連続遺伝子複製から生じる可能性がある。最後のモジュールは、
5つの残基のジスルフィド結合ベンドである。
【0064】 2つの主な型のcys豊富モジュールは別個に起こるという事実は、多くのタ
ンパク質に見出されるcys豊富ドメインの最小限の構築阻害が存在しているこ
とを暗示している。それは16残基の短いものであり得るが、モジュール4−7
のモチーフは明確に異なっており、規則的な伸長構造を形成することができる。
こうして、このようなcys豊富ドメインは、各々が少数のモジュールからなる
反復ユニットからなるものとして考慮されることができる。
【0065】 ホルモン結合 IGF−1(およびインスリン)結合部位を、天然(Taylor,S.I.,1992,Diabe
tes,41:1473-1490)および部位特異的変異体(Williams,P.F.,1995,J.Biol.Chem
.270:3012-3016;Mynarcik,D.C.ら,1996,J.Biol.Chem.271:2439-2442;Mynarcik,D
.C.ら,1997,J.Biol.Chem.272:2077-2081)、キメラ受容体(Andersen,A.S.ら,19
90,Biochemistry 29:7363-7366;Gustafson,T.A.,およびRutter,W.J.,1990,J.Bio
l.Chem.265:18663-18667;Schaffer,L.ら、1993,J.Biol.Chem.268:3044-3047;Sch
umacher,R.1993,J.Biol.Chem.268:1087-1094;Kjeldsen,T.,ら,1991,Proc.Natl A
cad.Sci.USA,88:4404-4408)を調べることにより、および架橋研究(Wedekind,F
.,ら、1989,Biol.Chem Hoppe-Seyler,370:251-258;Fabry,M.1992,J.Biol.Chem.2
67:8950-8956;Waugh,S.M.ら、1989,Biochemistry,28:3448-3458;Kurose,T.ら、1
994)J.Biol.Chem.269:29190-29197-34)することにより、位置付けする試みがな
された。IGF−1R/IRキメラは、受容体のどの領域がリガンド特異性の原
因となっているかを示すだけでなく、ホルモン結合部位のある部位を同定する効
果的な手段を提供する。逆説的に、特異性を制御する領域は、インスリンとIG
F−1では同じではない。IGF−1Rの最初の68残基を、IRのそれと置換
することは、キメラIGF−1Rにインスリン結合活性を与え(Kjeldsen,T.,ら
,1991,Proc.Natl Acad.Sci.USA,88:4404-4408)、IRのcys豊富領域中の残 基198−300を、IGF−1Rの対応する残基191−290で置換するこ
とは、キメラ受容体をIGF−1に結合させる(Schaffer,L.ら、1993,J.Biol.C
hem.268:3044-3047)。こうしてIGF−1とインスリンの両方に、ほとんど天 然の親和性で結合する受容体を構築することができる。構造から、もしホルモン
が中央空間に結合すると、それはこれらの領域の両方に接触できるであろうこと
は明白である。
【0066】 Gistafson,T.A.およびRutter,W.J.(J.Biol.Chem.265:18663-18667,1990)によ り調べた、一連のキメラの分析から、cys豊富領域の特異性決定基は、さらに
残基223−274に限定され得る。この領域は、モジュール4−6に対応して
おり、たくさんの、そしていくらか可動性で、中央空間に伸びているループ(残
基255−263、平均B[Cα原子]=57Å2)を含む(図5参照)。IR
では、このループは、4残基分大きく、付加的なジスルフィド結合により安定化
される(Schaffer,L.およびHansen,P.H.1996,Exp.Clin.Endocrinol.Diabetes,10
4:Suppl.2,89)。IRのより大きなループは、IGF−1を、ホルモン結合部位
から排除し、より小さなインスリン分子を結合させることに寄与しているかもし
れない。哺乳類のIRよりも2残基分長いループを有する蚊のIR相同体も、イ
ンスリンには結合するが、IGF−1には結合しないらしい(Graf,R.ら、1997,
Insect Molec.Biol.6:151-163)ことを記すことは興味深いことである。構造の 分析は、インスリン/IGF−1特異性は、このループの中の残基(IGF−1
Rではアミノ酸253−272;IRではアミノ酸260−283)によって制
御されることを示す。
【0067】 キメラは、2つの受容体の間で異なる残基のみに向かっている(address)の で、部位のより正確な分析を、単一部位変異体から得ることができる。特に、ア
ラニン置換研究から、インスリン結合のために重要であるL1の4つの領域が同
定された(Williams,P.F.ら、1995,J.Biol.Chem.270:3012-3016)。最初の3つ は、β−へリックスの連続するターン上で同様の位置にあり、第4番目は、大き
なβ-シート上の保存された膨らみ(bulge)上にある。このように、中央空間内
に面している大きなβ-シートの最初の半分上にある、L1ドメインへのインス リン結合の足跡(footprint)が存在する。さらに、IGF−1R中で保存され ているシートに沿っている残基もまた重要であり得る。IRの残基119(IG
F−1Rの113)におけるメチオニンからロイシンの保存的置換は、穏やかな
形式の妖精症[Hone,J.ら、1994,J.Med.Genet.31,715-716]を生じる。この残基は
埋もれており、変異体は、近隣の残基を混乱させて、インスリン結合を変化させ
ることができる。
【0068】 L2ドメインの軸は、L1ドメインのそれに対して垂直であり、そのβ-へリ ックスのN−末端は、ホルモン結合部位に差し出されている。L2ドメインのこ
の面上で、これまで研究した唯一の変異は、天然に生じるIR変異体、S323
Lであり、これはラブソン−メンデハル(Rabson-Mendehall)症候群と重篤なイ
ンスリン耐性を起こす(Roach,P.1994,Diabetes 43:1096-1102)。この変異体が
インスリン結合を変化させるだけで、細胞表面発現を変化させないため、IRの
残基323(IGF−1Rの残基313)は、おそらく結合部位、あるいはその
近くである。構造的に、この残基は、領域の中間(IGF−1Rの残基309−
318)に位置しており、これは、IRとIGF−1Rの両方で保存されており
、周囲の領域332−345(IGF−1Rの)も、これらの受容体で非常によ
く保存されている(図6a)。したがって、この領域は、ホルモン結合部位の一
部を形成する可能性が高いが、キメラでは検出されていなかったであろう。この
領域においてIRRは、他の2つの受容体ほど保存されていないことを記すこと
は興味深い(Shier,P.およびWatt,V.M.1989,J.Biol.Chem.264:4605-14608)。
【0069】 L2上の推定ホルモン結合領域からL1で見出されたものまでの距離は、約3
0Åである(図5)。したがってL1とL2は、IGF−1またはインスリンと
結合するには離れすぎているように思われる。しかしながら、結晶構造において
、cys豊富ドメイン(残基262)の一部とL2(残基305)との間に深い
割れ目が存在し、この割れ目は近くの分子のループで占められる。こうしておそ
らく受容体構造またはホルモン受容体複合体でのL2ドメインの位置は、cys
豊富ドメインに対して、結晶で見出されるものとは異なる位置を採用するようで
ある。L2をL1に十分近づけるために必要な動きはわずかであり、すなわちお
よそ残基298の約25°の回転である。
【0070】 構成的に受容体を活性化する多くのIR変異体が同定されており、それらの大
部分がα鎖に見出される。興味深いことに、すべてのα鎖変異体が、プロリンへ
またはプロリンからの変化、あるいはアミノ酸欠失に関与しており、局所的な構
造再配置を起こしていることを示唆している。変異R98Nは野生型に類似して
いるが、R86Pは細胞表面発現とインスリン結合を減少させるが、自己リン酸
化を構成的に活性化する[Gronskov,K.ら、1993,Bichem.Biphys.Res.Commun.192,
905-911]。プロリン変異はおそらく、L1とcys豊富ドメインとの間の界面に
ある、87を先行する残基を妨げるが、インスリン結合もまた変化させることが
できた。IRのcys豊富ドメイン残基233,281,244,および247
は、IGF−1Rで保存されていない(図6b)が、さらにL233P[Klinkha
mer,M.P.ら,1989,EMBO J.8,2503-2507]、N281[Debois-Mouthon,C.ら、1996,
J.Clin.Endochronol.Metab.81,719-727]の欠失、または三重変異体P243R,
P244R,およびH247D[Rafaeloff,R.ら、1989,J.Biol.Chem.264,15900-
15904]は構成的なキナーゼ活性化を起こす。それらの位置のために、これらの3
つの変異体の各々が、β-フィンガードメインの折畳と、順に、ロッド様cys 豊富ドメインの構造全体性を妨げていると思われる。L1/cys豊富界面を乱
すこと、あるいはロッド様ドメインを曲げることは、この文脈でL1とcys豊
富ドメインの関連位置を変化させるために、これらの変異体の構造の細分化は、
全体の受容体エクトドメイン(ectodomain)にとって重要であり得る。
【0071】 L1はさらに、cys豊富ドメインからの、L1の反対側のK121の欠失が
、自己リン酸化を起こすことも見出されたことを示唆する[Jospe,N.ら,1994,J.C
lin.Endochronol.Metab.79,1294-1302]。それに対して、この変異体はインスリ ン結合を変化させない。こうして、インスリン結合とシグナルトランスダクショ
ンの潜在的な機構が明らかになる。インスリンがL1とL2の間に結合するとき
、それは、おそらく上述のごとく示唆されたL2とcys豊富ドメインの間のヒ
ンジ動作によって、受容体中のL1とcys豊富ドメインの関連位置を修飾し、
構造的再配列がプラスマ膜を横切って透過される。インスリン欠如において、同
じシグナルが、cys豊富領域またはL1/cys豊富界面で変異によって開始
され得るが、インスリン結合を犠牲にしている。シグナルはL1の他のエクトド
メインの一部、恐らく受容体二量体の他方の半分、との相互作用を変化させるL
1の反対側の変異によってより直接的に開始され得る。
【0072】 リガンド研究 IGF−1/IGF−1R複合体に関する構造的な情報はないが、多くの研究
がこの相互作用の性質を詳しく調べている。IGF−1とインスリンおよびそれ
らの同源受容体の架橋実験からの結果は、上記で提案されたホルモン結合部位と
一致している。例えばインスリンのB29は、cys豊富領域(残基205−3
16(Yip,C.C.ら、1988,Biochem.Biophys.Res.Commun.157:321-329))または L1ドメイン(Wedekind,F.ら、1989,Biol.Chem Hoppe-Seyler,370:251-258)と
架橋することができる。しかしながら、これらの2つの領域は合理的によく分離
されており、それらの研究はB29が可動であることを示しているかもしれない
。他の研究は残念なことに正確な部位を位置決め(map)していない。
【0073】 IGF−1およびIGF−2のアナログおよび部位特異的変異体は、より有益
である。IGF−1およびIGF−2は、インスリンに対して2つの余分な領域
、BとAの間のC領域とC末端のDペプチド、を含む。IGF−1について、C
領域の4つのGlyリンカーによる置換は、IGF−1Rに対する親和性を、4
0倍減少させたが、IRに対する親和性を5倍増加させた(Bayne,M.L.ら,1988,
J.Biol.Chem.264:11004-11008)。親和性における変化は、上記のIGF−1R とIRのcys豊富領域における相違を補足するIGF−1中の欠失と一致して
いる。C領域のいずれかの面の残基の変異(IGF−1については残基24[Cas
cieri,M.A.ら、1988,Biochemistry 27:3229-3233]、IGF−2については残基 27,43[Sakano,K.ら、1991,J.Biol.Chem.266:20626-20635])も、IGF− 2中の隣接するDペプチドの端切りと同じように(Roth,B.V.ら,1991,Biochem.B
iophys.Res.Commun.181:907-914)、IGF−1Rに対するホルモンの親和性に 対して有害な効果を有している。
【0074】 インスリンは広範囲で変異されている。結合研究[Kristensen,C.ら、1997,J.B
iol.Chem.272,12978-12983に要約されている]は、インスリンがその受容体に疎 水性パッチ(patch)(残基A2、A3、A19、B8、B11、B12、B1 5および潜在的にB23およびB24)を介して結合するかもしれないことを示
している。しかしながら、このパッチは通常埋もれており、観察される位置から
のB鎖のC末端の除去が必要である。IGF−1、IGF−2およびインスリン
がそれらの受容体に同じ位置で結合すると推測すると、これらのデータは受容体
に結合したときのホルモンのおおよその位置を示唆する。
【0075】 IGF−1とIGF−2の1つの特記すべき特徴は、表面全体における多数の
チャージされた残基とそれらの不均一な分配である。塩基性残基がC領域で優勢
なものとしてみいだされ、溶液では、この領域は、IGF−1または2のいずれ
でもあまり規則正しくない(Sato,A.,ら、1993,Int J Peptide Protein Res.41:
433-440;Torres,A.M.ら、1995,J.Mol.Biol.248:385-401)。これに対して、受容
体の結合部位は、cys豊富ドメインがL1から外れる角に酸性残基のかなりの
大きさのパッチを有している。この受容体に特異的な他の酸性残基は、cys豊
富ドメインの内面とモジュール6から伸びるループ(残基255−263)に沿
って見出される。こうして静電的相互作用が、L1の近くのcys豊富領域の酸
性パッチと、L2のN末端の塩基性残基(残基307−310)の小さなパッチ
に向けられたホルモンの他の面の酸性パッチに結合するC領域によって、IGF
−1結合において、重要な役割を果たしている可能性がある。
【0076】 この断片の構造が、ホルモン結合部位の性質に関する重要な情報を与えるにも
かかわらず、この領域の外側の残基はリガンドの結合を変化させることも示され
ている。多くの研究が、IRの残基704−715(Mynarcik.D.C.ら、1996,J.
Biol.Chem.271,2439-2442;Kurose,T.ら、1994,J.Biol.Chem.269:29190-29197) を示唆している。これらの残基は、現在の構造において開かれたままの面の一方
でインスリンに接触することができた。B1残基でインスリンを用いて、Fabry,
M.ら(1992,J.Biol.Chem.267:8950-8956)は、インスリンを、その一部が上記部位
の近くではない断片390−488と架橋した。領域390−488がホルモン
結合部位までもどって達するか、またはこの領域で受容体の他方の半分と結合し
た他のホルモンと接触するであろうかで、このことの説明は可能であろう。さら
なる構造情報は、いかにこれら他の領域がホルモンと接触するかを構築するため
に、およびホルモンの結合がいかに細胞内キナーゼに伝達されるかを解明するた
めに必要とされる。
【0077】 ここに提示されるIGF−1RのL1−cys豊富−L2ドメインの構造は、
インスリン受容体ファミリーのメンバーの細胞外部分の最初の構造情報を示す。
Lドメインは、EGF受容体ファミリーに共通する新規の折畳を示し、cys豊
富ドメインのモジュールの建築物は、より小さな建築阻害が、システイン豊富ド
メインの組成物を記載するために用いられるべきであることを示唆する。この断
片は、それらのリガンドに対する、このクラスの受容体の主な特異性決定因子を
含む。それは、リガンドを収容することができると思われる中間に空間を有する
伸長した構造を有している。この部位のこれらの側面は、ホルモン結合で示唆さ
れてきた領域に対応している。他の部位は、リガンドと相互作用する受容体エク
トドメインに存在するが、この構造は我々にいかにインスリン、IGF−1およ
びIGF−2がそれらの細胞表面受容体と相互作用してそれらの代謝と有糸***
促進を制御するであろうかについて最初の観点を与える。
【0078】 そのような情報は、関連するEGFRファミリーのメンバー(Bajaj,M,ら、19
87,Biochim Biophys Acta 916:220-226;Ward,C.W.ら、1995,Proteins:Struct Fu
nct Genet 22:141-153)と同様に、IRとインスリン受容体関連受容体の対応す
るドメインの構造に関する有益な洞察を提供するであろう。
【0079】 実施例3 IGF−1R断片の構造に基づく、IRRとIRの対応するドメインの3D構
造の予測 インスリン受容体ファミリーの異なるメンバーの間の配列同定は、相同性モデ
ルによる3D構造予測を容易にするための正確な配列アラインメントを可能にす
るために十分である。ヒトIGF−1R、IR、およびTRRのエクトドメイン
のアラインメントを図9および図10に示す。
【0080】 実施例4 ヒトインスリン受容体エクトドメインとそのFah複合体の一分子画像化 hIR−11エクトドメインタンパク質のクローニングおよび発現 ヒトIRエクソン−11型の全長クローン(hIR−11)を、hIR(Ebina ら,1985,Cell 40,747-758)のエクソン+11クローン(プラスミドpET;Elli
sら,1986;W.J.Rutter博士,UCSFより寄贈)のAatII断片、ヌクレオチド1195
から2987を、hIR−11(Ullrichら、 1985,Nature313,765-761)の細胞
外ドメインと全サイトプラスマドメインの一部をコードするプラスミド(pHIR/P
12-1,ATCC57493)からの等価AatII断片で交換することにより調製した。hIR エクソン+11エクトドメインについてすでに記載されているように(Cosgrove
ら,1995,Protein Expression and Purification 6,789-798)、hIR−11の エクトドメイン断片(2901bp、27残基シグナル配列と残基His1−A
sn914をコードしている)を、SalIとSspI消化により作製し、中に
終止コドンが挿入された哺乳類発現ベクターpEE6.HCMV-GS(Celltech Limited, S
lough, Berkshire,英国)内に挿入した。
【0081】 得られた組換えプラスミドpHIRII(2μg)を、グリコシル化欠損チャイニー
ズハムスター卵巣(Lec8)細胞(Stanley,1989,Molec.Cellul.Biol.9,377-383)
に、リポフェクチン(Gibco-BRL)と共にトランスフェクションした。トランス フェクションの後、すでに記載されているように(BebbingtonおよびHentschel,
1987,In DNA Cloning(Glover,D.,ectodomain),III巻,Academic Press,サンディ エゴ;Cosgroveら、1995、Protein Expression and Purification.6:789−798 )、細胞はグルタミン無添加培地GMEM(ICN Biomedicals,オーストラリア)
中で保持された。発現細胞系は、25μMメチオニンスルホキシミン(MSX,
Sigma)を含むGMEM中の増殖について選択された。トランスフェクタントを 、抗IRモノクローナル抗体83−7および83−14でのサンドイッチELI
SAを用いたタンパク質発現でスクリーニングした。細胞の代謝標識、免疫沈降
、インスリン結合アッセイとスキャッチャード分析を、hIRエクトドメインの
エクソン+11型について記載されたように(Cosgroveら,1995,Protein Expres
sion and Purification 6,789-798)行った。
【0082】 hIRエクトドメイン生産と精製 選択されたクローン(1.28×108細胞の接種)を、10%胎児ウシ血清 (FCS)と25μM MSXを含む500mlのGMEM培地中に10gのFib
ra-celディスク担体(Sterlin,英国)を詰めた回転フラスコ中で増殖させた。培
養の持続で選択圧を保持した。
【0083】 エクトドメインを収集培地から固定化インスリン上のアフィニティークロマト
グラフィによって回収し、さらに、前に記載されたように(Cosgroveら,1995,Pr
otein Expression and Purification 6,789-798)、0.02%アジ化ナトリウ ム(TBSA)を含むトリス緩衝生理食塩水中のSuperdex S200(Pharmacia;1 ×40cm)ゲルろ過クロマトグラフィにより精製した。精製hIR−11エク
トドメインの溶液は、使用前に4℃で保存した。
【0084】 Fab断片とそれらのエクトドメインとの複合体の生産 腹水から、プロテインA−Sepharoseを用いたアフィニティークロマトグラフ ィによってMabs83−7、83−14、および18−44の精製とFabs
の生産は、Coliganら,1993,Current Protocols in Immunology,1巻、pp.2.7.1-2
.8.9,Greene Publishing Associates & Wiley-Interscience,John Wiley and So
nsに記載された方法論に基づいた。Fabを、1−4時間の水銀パパイン消化と
、その後のSuperdexS200でのゲルろ過によってモノクローナル抗体から
生産した。産物を、還元および非還元SDS−PAGEによってモニターした。
83−7Mab、IgG1型モノクローナル抗体について、この方法により精製
された二価(Fab)2’を、100mMトリスpH8.0中のmM L−シス テイン.HClを用いた穏やかな還元によって、一価Fab83−7に還元した
(Coliganら,1993,Current Protocols in Immunology,1巻、pp.2.7.1-2.8.9,Gre
ene Publishing Associates & Wiley-Interscience,John Wiley and Sons)。
【0085】 FabのhIR−11エクトドメインとの複合体を、〜2.5から3.5モル
過剰のFabとhIR−11エクトドメインとを、周囲温度でpH8.0のTB
SA中で混合することにより生産した。1から3時間後、複合体を、同じバッフ
ァー中で、Superdex S200カラムでのゲルろ過によって、非結合Fabから分離 した。
【0086】 電子顕微鏡 非複合化hIR−11エクトドメインと上記Fab複合体を、リン酸緩衝生理
食塩水(PBS)中で、0.01−0.03mg/mlのオーダーの濃度に希釈
した。希釈の前に、10%グルタルアルデヒド(Fluka)をPBSに添加して、 最終濃度1%グルタルアルデヒドとした。30秒間の窒素中のグロー放電の後、
700−メッシュ金格子上のカーボンフィルムにこの溶液の〜3mlの滴下を行
った。1分後、過剰タンパク質溶液を落とし、その後、陰性染色[2%酢酸ウラ ニル(寒天)、2%ギ酸ウラニル(KおよびK)、KOHでpH6.0に調整し
た2%ホスホタングステン酸カリウム(プローブ化と構造)、またはNH4OH でpH6.8に調整した2%タングステン酸メチルアミン(寒天)]の4−5滴 の適用および除去を行った。酢酸ウラニルとギ酸ウラニル染色の両方の場合で、
2または3滴のPBSでの中間洗浄が、染色を行う前に含まれた。格子は空気乾
燥し、ついでJEOL 100B透過形電子顕微鏡で100,000倍の倍率、 60kVの加速電圧で調べた。Fabが最も容易に見られる陰性染色の典型的な
厚みがあることが見出された。よって、写真の領域は、格子の特定のゾーンから
選ばれなければならなかった。電子顕微鏡写真を、Kodak SO−163フ ィルムに記録し、非希釈Kodak D19現像液中で現像した。電子光学倍率 は、インフルエンザウィルスノイラミニダーゼヘッドとNC10 MFabとの 抗原抗体複合体(Tullochら,1986,J.Mol.Biol.190,210-225;Malbyら,1994,Struc
ture,2,733-746)の一分子画像を記録することによって、理想的な画像条件にお
いて校正した。
【0087】 画像処理 制限された数の同定可能な投影の中の粒子を示す電子顕微鏡写真をデジタル化
のために選んだ。顕微鏡写真は、Perkin-Elmerモデル1010 GMS PDSフ
ラットベッドスキャンニングミクロ濃度計で、試料の0.2nmの距離に対応し
て、スキャンニング孔(正方形)サイズ20mm、ステッピング増加分20mm
でデジタル化した。デジタル化顕微鏡写真から、SPIDER画像処理システム
(Frankら, 1996,J.Struct. Biol, 116,190-199)の双方向ウィンドウイング(w
indowing)機能を用いて、粒子を選択した。粒子を、0.0−2.0の光学密度
範囲とし、PSPC参照フリーアラインメントアルゴリズムによって整列させた
(Marcoら,1996,Ultramicroscopy,66,5-10)。平均はついで、粒子の単一の見方
を代表するように双方向的に選ばれた正しく配列された粒子のサブセットで計算
した。ここで示された最終的な平均画像は、94画像のライブラリーから由来す
る。
【0088】 発現されたhIR−11エクトドメインの生化学的特徴づけ 調べた組換えタンパク質は、ヒトインスリン受容体のエクソンー11型(Ullr
ichら、1986,Nature 313,765-761)の917残基のエクトドメインの最初の91
4残基に対応していた。発現されたタンパク質は、代謝標識された細胞から免疫
沈降した産物のSDS−PAGEとオートラジオグラフィにより、見かけの質量
〜270−320kDaのホモ二量体複合体として存在し、還元条件において各
みかけ質量〜120kDAと〜35kDAのモノマーαとβ’サブユニットに解
離するすることが示された(データは示さず)。
【0089】 Lec8細胞中で発現されインスリンアフィニティーカラムのアフィニティー
クロマトグラフィで精製された、精製IR−11エクトドメインは、Superdex S
200ゲルろ過カラムで対称ピークとして溶出した(図11)。タンパク質は、標 準タンパク質の溶出位置から得た標準曲線から計算した、〜400kDaの見か
け質量で溶出した(示さず)。グリコシル化欠損が端切りされたオリゴ糖を生産
するLec8細胞(Stanley,1989,Molec.Cellul.Biol.9,377-383)で発現された
タンパク質で期待されるように、この値は、野生型CHO−K1細胞(Johnson ら,1988,Proc.Natl Acad.Sci,USA 85,7516-7520;Cosgroveら,1995,Protein Exp
ression and Purification 6,789-798)で発現されたhIR+11エクトドメイ
ンで報告された見かけの質量(450−500kDa)より小さい。
【0090】 精製エクトドメインへのインスリン結合の放射線分析は、直線スキャッチャー
ドプロットと1.5−1.8×10-9MのKd値を与え、hIR−11エクトド
メインで報告されている2.4−5.0×10-9M(Andersenら,1990,Biochemi
stry 29,7363-7366;Markussenら,1991,J.Biol.Chem.266,18814-18818;Schaffer,
1994,Eur.J.Biochem.221,1127-1132)と、hIR+11エクトドメインで報告さ
れている〜1.0−5.0×10-9Mの値(Schaeferら,1992,J.Biol.Chem.267,
23393-23402;Whittakerら,1994,Molec.Endocrinol.8,1521-1527;Cosgroveら,199
5,Protein Expression and Purification 6,789-798)に類似している。
【0091】 hIGF−1Rエクトドメインの発現 このタンパク質のクローニング、発現、および精製は、hIR−11エクトド
メインで記載されたそれら(Cosgroveら,1995,Protein Expression and Purific
ation 6,789-798)に共通する因子を用い、受容体特異的Mabs17−69、 24−31および24−60(Soosら,1992,J.Biol.Chem.267,12955-63)により
認識され、hIRエクトドメインのそれに類似する質量のαとβ’サブユニット
からなる精製産物の結果を得た。
【0092】 IR−11エクトドメイン/MFab複合体の調製 hIR−11エクトドメインと、抗体83−14からのFabとの複合体は、
hIR−11エクトドメインと抗体18−44からのFabとの混合物、および
hIR−11エクトドメインと抗体83−7からのFabとの混合物から生成さ
れた複合体と同様に(示さず)、460−500kDa(図11)の対称ピーク
として溶出した。エクトドメインと抗体18−44と83−14からのFabと
の複合体は、MFabs18−44/83−7との共複合体とMFabs83−
7/18−44との別の共複合体と同様に(示さず)、〜620kDaで溶出し
た。hIR−11エクトドメインと、3つすべてのMFab誘導体、18−44
、83−7、83−14との複合体は、〜710kDaの見かけの質量で溶出し
た(図11)。
【0093】 電子顕微鏡 hIR−11とhIGF−1Rエクトドメインの画像化 非複合化二量体hIR−11エクトドメインの一分子画像化を、分子エンベロ
ープの構造の異なる面を強調する種々の陰性染色条件で実施した。この調査で得
られた画像を、図12に表す。 一番攻撃的でなく、浸透的でない染色は、ホスホタングステン酸カリウム(K
PT)であり、これは、2つの平行したバーに分割されているという示唆に比べ
て内部構造の非常に少ない一貫した球形の粒子を明らかにした。タングステン酸
メチルアミンでの染色もまた平行なバーの画像を明らかにした。 進歩的により浸透的な、しかしより破壊的な可能性のある染色を用いたさらな
る調査は、上記の観察を確認した。酢酸ウラニルとギ酸ウラニルでの染色は、最
も明白に、平行なバーの分離を示したが、酢酸ウラニルは、染色の前に化学的に
架橋したにもかかわらず、粒子の構造を破壊する証拠、すなわち粒子形状の一貫
性の減少と、ほどかれて変性したようにみえる粒子の傾向を示した。より濃い染
色の領域において、平行なバーは優勢であるが、より薄い染色領域では、U型の
粒子が同定され、場合によっては平行なバー構造を数でまさっていた(図12)
【0094】 83−7MFabと複合化したhIR−11エクトドメインの画像化 この複合体は、特記すべきことに、粒子の形状が一貫しており、特に、KPT
およびタングステン酸メチルアミンなどの染色によりもたらされるより穏やかな
染色条件においてそうであった。粒子は、炭素支持フィルム上での空気乾燥の後
、非常に伸長した複合体構造を形成する、2つのFabアームの抗原へのほぼ全
く反対の結合により、それらが提供する視図(view)に制限を受けているとして解
釈された。これらの条件において、3つの異なる視図を認識することができた(
図12参照)。2つの視図(トップダウン/ボトムアップとして解釈される)は
、Fabアームが、2倍の対称の平行プレートの延長として時計回りまたは反時
計回りに配置されている(displaced)ことを示す。3つめの視図は、その反対 側の受容体の中央を通ってほぼ並んだ2つのFabアームを有する画像を示し、
プレートまでの半分の結合の側面投影として解釈される。
【0095】 より低いpHで行なう攻撃的なウラニル染色の使用は、粒子形態の一貫性を犠
牲にして、分子エンベロープの内部構造を明らかにした。例えば、酢酸ウラニル
またはギ酸ウラニルでの染色は、平行なバーが、Fabアームが時計回りか反時
計回りのいずれかで配置されている粒子内に見られるが、2つのFabアームの
中間の中央または軸位置が投影に示されているところでは見られないことを示し
た。これらの観察は、各hIR−11IR−11エクトドメインプレートの側端
までのほぼ中間に結合する83−7MFabを示す。Mab83−7によって認
識されるエピトープは、キメラ受容体の分析によって、cys豊富領域、残基1
91−297にマップされた(ZhangおよびRoth,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
88,9858-9862)。
【0096】 83−14MFabまたは18−44MFabのいずれかと複合体化されたhI
R−11エクトドメインの画像化 最もインスリンに擬似している抗体Mab83−14からのFabsで複合体
を形成した。U形状の粒子の塩基の近くに結合し、そこから延長したFabを示
す投影を同定した。粒子の第2のフィールドは、非修飾エクトドメインで観察さ
れたように、全く反対の端から傾いて投影するFabアームを有する、2つの平
行なバーからなるものを示した(図12参照)。類似しているが明確さに劣る画
像が、MFab18−44がhIR−11エクトドメインに結合したときに見ら
れた。Mab83−14に対するエピトープは、連結ドメイン中残基469−5
92の間である(Prigentら、1990)。このドメインは、IR二量体の2つのモ ノマーの間のジスルフィド結合(Cys524−Cys524)のうちの1つを
含む(SchafferおよびLjungqvist,1992,Biochem.Biophys.Res.Commun.189,650-6
53)。Mab18−44に対するエピトープは、直線状エピトープであり、β鎖
中残基765−770であり(Prigentら,1990,J.Biol.Chem.265,9970-9977)、
挿入ドメインの端の近くである(O'Bryanら,1991,Mol.Cell.Biol.11,5016-5031 )。挿入ドメインは、IR二量体の2つのモノマーを連結する第2のジスルフィ
ド結合を含む(Sparrowら,1997,J.Biol.Chem,272,29460-29467)。
【0097】 モノマーにつき2つの異なるMFabsと共複合体化したhIR−11エクトド
メインの画像化 hIR−11エクトドメインのMFabs83−7と18−44との二重複合
体を、pH6.0、2%KPTで染色し、分子エンベロープを解明した。粒子は
、形では複合体のようであり、炭素支持フィルム上の多くの異なる方位が想定で
き、顕微鏡写真の多くの異なる投影を行なった。優勢な見方は、非対称的なX型
である(いくつかの例を丸にした)。それは、各エクトドメインのいずれかの側
面から外へ延長するより短い投影のように見える、2つの18−44MFabs
を有する平行なバーの反対の端に結合する83−7MFabアームを示す。
【0098】 hIR−11エクトドメインの83−7および83−14MFabsとの二重
複合体の画像は、83−7/18−44二重複合体でみられるものと同様の、X
型の画像を与えた。これに対して、hIR−11エクトドメインの18−44と
83−14MFabsとの二重複合体は、上記の特徴的な非対対称X形状を示さ
なかった。かわりに分子エンベロープは、ときどきX形状投影になるだけで、多
くの見方で伸長されているようであった。これらの画像の詳しい解釈は完全では
ないだろうが、よりインスリン擬似の可能性がある抗体のうちの2つである、M
Fabs18−44と83−14が、受容体に同時に結合することができること
は明白である。
【0099】 モノマーにつき3つの異なるMFabsと共複合体化したhIR−11エクトド
メインの画像化 hIR−11エクトドメインの顕微鏡写真からの粒子のフィールドを、MFa
bs83−7、83−14、および18−44で同時に複合化した。より濃い染
色領域において、分子エンベロープはX形状であるが、hIR−11エクトドメ
インの83−7と18−44、または83−7と83−14のいずれかの二重複
合体のそれに非常に類似しているようであった。しかしながら、より薄い染色領
域において、より複雑な粒子が見え、ときには実際にエクトドメイン二量体に結
合する、4を超えるMFabが存在することを同定することが可能であった。
【0100】 ここで示されるhIR−11エクトドメインの一分子画像化は、いかなる従来
の発表された研究のそれとは非常に異なっているこの二量体種のための分子エン
ベロープを示唆している。しかしながら、本研究からでさえ、分子エンベロープ
の明白な決定は完全に直接的ではない。ここでの主な複雑化の因子は、陰性染色
による電子顕微鏡調製の厳しさにさらされたときに、発現されたエクトドメイン
がかなり脆いことである。例えば、ホスホタングステン酸での染色(KPT,p
H6.0−7.0)は、たびたび、二量体分子の変性を示唆するが、適当な条件
が満足されれば、見かけ上よく解釈し得る分子エンベロープ画像が得られた。タ
ングステン酸メチルアミンによる染色(pH〜7.0)は、最善のKPT分子エ
ンベロープ画像を支持したが、中性pHでの分子構造の膨潤を示唆した。エクト
ドメイン構造に浸透する力を有している、酢酸ウラニル(pH〜4.2)とギ酸
ウラニル(pH〜3.0)の酸性pH染色は、二量体内部の高投影タンパク質密
度のゾーンほどは分子エンベロープを解明しないように見られた。
【0101】 これらの種々の染色法からの結果を混合すると、これらの非修飾、あるいはそ
のままの、二量体の一分子画像の以下の解釈が導き出された:ここで得られた優
勢的な二量体の分子画像は、投影されたタンパク質密度の”平行なバー”のそれ
である。この見方は、本当に非常に優勢であるので、それはグロー放電された炭
素支持フィルム上の分子の単一の好ましい方位があること、あるいは密度の平行
なバーのこの結果が、表面的に類似している構造投影で、これらの異なる投影の
微細な区別は一分子直接画像化の比較的あらい解像度により隠されているものの
混合物を示しているかもしれないことのいずれかを示唆している。投影されたタ
ンパク質密度の平行なバーの結果は、より濃い陰性染色の領域で特に優勢である
。分子エンベロープの第2の見方は、より濃い染色の領域であまり示されていな
かったが薄い染色では優勢であったが、’開いた’UまたはVであった。hIR
−11エクトドメインのこれらの2つの見方は、陰性染色の比較条件下で、hI
GF−1Rエクトドメインの一分子画像化により支持された。
【0102】 もし、平行なバーと開いたU’s/V’sのそれである、これら2つの認識可
能な投影視図が、同じ二量体分子の異なる視図であると想定するならば、この想
定はMFab複合体画像化により強く支持されるが、分子エンベロープのおおま
かなモデルが合理的に説明され得る。モデル構造は、ほぼ、立方体のそれであり
、染色が浸透可能な低いタンパク質主鎖と側鎖密度の深い割れ目で分離されてい
る、高いタンパク質密度の2つのほぼ平行なプレートからなり、それらの底(す
なわち最も近い膜アンカー領域)であると考えられる中間の染色排除する密度に
より連結されている。我々はこの段階でこの割れ目中のインスリン結合を支持す
る電子顕微鏡の証拠を有していないが、低密度の割れ目の幅は、30−35Åの
オーダーで、直径ca.30Åのインスリン分子の結合を収容するために十分であ るようである。
【0103】 密度のこれらのプレートの間の膜表面に対して正常な、二量体の2つ折りの(
two-fold)軸が存在することは、結合した83−7MFabの画像化によって確
立されてきた。場合によって、二量体の画像は、密度のバーの相対的配置(disp
lacement)を示し、ここでは、膜に平行なそれらの水平軸に沿って、2つのプレ
ートの間の連結間のゾーンのせん断の限定された能力として解釈される。他の画
像は平行から斜めになっているバーを示し、プレートの2つに折り畳まれた軸の
回りを、この連結間のゾーンを介して、独立して回転する限定された能力を示唆
する。これらの2つの観察は、各々、中間タンパク質密度の膜基部領域での二量
体プレートの間の比較的自由度の高い連結を示唆し、膜貫通シグナル工程に寄与
している可能性がある。
【0104】 エクトドメイン二量体のほぼ全体の測定寸法は、110×90×120Åであ
り、解決されたX線構造から知られている、画像化されたインフルエンザノイラ
ミニダーゼヘッドの寸法(Vargheseら,1983,Nature 303,35-40)に対して校正さ
れる。これら2つの分子種の分子量と分子寸法の間にここで両立性が存在するこ
とを記載することができる:Mr〜200kDaのコンパクトなテトラマーのイ
ンフルエンザノイラミニダーゼヘッドは、約100×100×60Åの容量を占
め、ここで画像化された同様にMr〜240kDaのより開かれた二量体のイン
スリン受容体エクトドメインは、約110×90×120Åの容量を占め、ノイ
ラミニダーゼヘッドの約2倍であり、少し高い分子量と実質的に中央の低密度の
割れ目を収容する。
【0105】 ここで提案されている低い解像のほぼ立方体のコンパクトな構造は、可溶性エ
クトドメインについて、Schaeferら(1992,J.Biol.Chem.267,23393-23402)によ
り提案されている受容体全体と伸長モデルに対して、Christiansenら(1991,Pro
c.Natl.Acad.Sci.U.S.A.88,249-252)およびTranum-Jensenら(1994,J,Membrane
Biol.140,215-223)によって提案されているT形状モデルと実質的に異なって いる。重要なことに、それらの従来の研究は、画像化物が実際にインスリン受容
体であるような説得力のある独立した電子顕微鏡の証拠を提供しなかった。
【0106】 本研究において、hIR−11エクトドメインとしての画像化分子の同定を、
天然hIRに対する3つのよく確立された配置のMabs、83−7,83−1
4,18−44(Soosら、1986,Biochem.J.235,199-208;1989,Proc.Natl Acad.S
ci.USA 86,5217-5221)のFabsと、単一あるいは組み合わせて結合した、二 量体の複合体の画像化により確認した。これらすべての場合において、視界の事
実上すべての粒子が、配座エピトープへの結合を通じて、MFab修飾を示し、
画像化された粒子の同一性だけでなく、発現されたエクトドメインの配座全体性
も確立した。さらに、電子顕微鏡によってここに可視化された、そのままおよび
修飾の両方の、これらのhIR−11エクトドメイン調製物の清潔性と均一性は
、X線結晶試験のためのそれらの高い適性を示す。
【0107】 Fabアームの既知の自由度は、非修飾の二量体のエクトドメインについてす
でに記載された、制限された程度を超えて画像対画像の多様性を悪化させ、これ
らの抗原−抗体複合体のいかなる正確な解釈も複雑化させる。このような分子の
自由度はまた、画像解釈を可能にするために平均化する、いかなる一分子コンピ
ューター画像も、かなり非実用的にし、ここで研究された高いオーダーの抗原−
抗体複合体では特に攻撃的にそうである。
【0108】 画像対画像の多様性が非常に少ない、最も容易に解釈可能なそれらの画像は、
二量体に結合した、83−7MFabのそれであり、幸運なことに、抗原−抗体
複合体は、炭素支持フィルム上のその回転自由度が束縛される。多くの投影画像
は、その反対側の抗原の中央を通じてほぼ並んだ2つのFabアームを示し、そ
れらの膜基部底からプレートまでの中間で結合する側面投影として解釈される。
画像の他のサブセットは、2つ折対称で、平行のままであるが時計回りあるいは
反時計回りに変位された2つのFabアームを示し、各Fabは、抗原密度の平
行バーの1つの伸長部に接近しており、ここでは、2つ折軸に沿った上または下
投影を表すとして解釈される。第3の投影は、Fabアームの軸に沿っており、
この分子複合体の束縛された形状のために、ここでは例示することができなかっ
た。これらの観察は、83−7MFabの、hIR−11エクトドメインプレー
トの側端までのほぼ中間における結合を示唆する。そしてこのことは、インスリ
ン受容体のcys豊富領域中の残基191−297に配列マッピングされている
(ZhangおよびRoth,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA88,9858-9862)、83−7M Fabエピトープの空間的なマッピングにおける最初の試みを可能にする。ここ
で示されているような、hIR−11エクトドメイン二量体における2つの結合
エピトープのこの空間的分離と相対的方位は、Mab83−7はhIRに分子内
で結合できたという提案(O'Brienら、1987,Biochem J.6,4003-4010)と一致し ていないようである。
【0109】 エクトドメイン二量体の83−7MFabによる修飾は、高いタンパク質密度
の2つのプレートが、2つ折対称で配列されていることを確立した。83−14
または18−44のMFabのいずれかによる修飾は、他方で、83−7MFa
b結合により妨げられたエクトドメイン二量体の第3の投影のサンプル化を可能
にする。重要なことに、この第3の視図は、明確に、hIR−11エクトドメイ
ン二量体のU形状の投影を確立し、これは非修飾エクトドメイン画像ではいくら
か想定できただけであった。さらに、この投影は、83−14MFab(残基4
69−592、連結ドメイン)と18−44MFab(残基765−770、b
鎖挿入ドメイン;エクソン11プラスナンバリング、Prigentら、1990,J.Biol.C
hem.265,9970-9977)により認識されるエピトープのためのU型の二量体の底に 近いおおまかな空間マッピングを可能にした。
【0110】 膜表面に対して正常に整列した2つ折の軸で、インスリン結合が起こるかもし
れない低い密度の割れ目の開口は、膜貫通アンカーから最も遠いところにあるか
もしれないが、2つの高密度プレートを連結する中間密度のゾーンは、膜にごく
接近しているかもしれないという暗示は、モデル構造に固有である。このモデル
では、さらに、多くのインスリン結合領域を含む(Mynarcikら、1997,J.Biol.Ch
em.272,2077-2081参照)、L1/cys豊富/L2ドメイン(Bajajら、1997,Bi
ochim.Biophys.Acta 916,220-216;Wardら、,1995,Proteins:Struct.Funct.Genet
.22,141-153)が、2つのプレートの膜遠位上半分にある可能性が高いが、膜近 位下半分は連結ドメイン、フィブロネクチンタイプドメイン、挿入ドメイン、お
よび膜間ジスルフィド結合(SchafferおよびLjungqvist,1992,Biochem.Biophys.
Res.Commun.189,650-652;Sparrowら,1997,J.Biol.Chem,272,29460-29467)含む 。そのようなドメインの配置は、単一のMFab修飾でみられる画像により支持
され、cys豊富領域の83−7MFabエピトープは、エクトドメインプレー
トの側端までのほぼ中間であると空間的マップされ、83−14と18−44M
Fabエピトープ(各々、連結ドメインとβ鎖挿入ドメイン)はプレートの底の
近くであるとマップされた。1つのモノマーがタンパク質密度の2つのプレート
をまたがっている可能性は無視することはできないが、我々の選択は、1つのa
−bcモノマーが1つのプレートを占めていることである。
【0111】 2つの、さらに3つすべての、MFabsの、エクトドメイン二量体の各モノ
マーへの、共結合を含むより複雑な画像は、現在、モノマー内の相対的なドメイ
ン配置に関して簡単には解釈できず、それは、二量体IRエクトドメインの内部
構造の認識され得、かつ再生産し得る詳細を強調しながら、Fab結合の全体性
を同時に保持する陰性染色の条件を見出す困難性のためでないわけではない。
【0112】 ここで提出されるデータは、一分子画像化の、hIRのエクトドメインなどの
マルチドメイン構造の位相、およびこの技術を、エピトープの潜在的手段として
モノマー当たり、単一または多重モノクローナルFab付着のいずれかのそれ、
およびドメイン、構造のマッピングと組み合わせる価値についての最初の洞察を
与える能力を示す。hIGF−1Rエクトドメインなどのファミリーの他のメン
バーのFab複合体の画像化すること、および利用可能な配列マップ化エピトー
プ情報をここで提供されたものと組み合わることによって、IRファミリーエク
トドメイン内のドメイン配置のより包括的な理解が得られるであろう。
【0113】 実施例5 IGF結合の潜在的阻害剤としてのIGF受容体のためのリガンドの構造ベース
設計 IGF受容体の構造は、受容体のための潜在的なリガンドを設計または評価す
るために、フィルターまたはスクリーンとして考慮されることができる。当業者
は、de novoリガンド設計のために多くの良く知られた方法を用いることができ 、例えば、IGF−1Rの潜在的なアゴニストまたはアンタゴニストを生成させ
るために、GRID,GREEN,HSITE,MCSS,HINT,BUCKETS,CLIX,LUDI,CAVEAT,SPLICE,HOO
K,NEWLEAD,PRO LIGAND,ELANA,LEGEND,GenStar,GrowMol,GROW,GEMINI,GroupBuild
,SPROUT,LEAPFROGを用いることができる。さらに、IGF−1R構造は、潜在的
リガンドのデータベース検索の照会として用いられることができる。検索される
データベースは例えば、ACD、ケンブリッジ結晶学、NCI,または仮想に存
在することができる。仮想データベースは、非常に多くの数の(現在1012まで
)化学的解像構造を含んでおり、当業者によって、DBMaker、ChemSpace、TRIAD およびILIADなどの技術を用いて作られることができる。
【0114】 IGFR構造は、仮想リガンドがそこに結合するかもしれない多くの部位を含む。
当業者に知られている検索戦略は、これらの部位を仮想リガンドを同定するため
に用いられるかもしれない。2つの適当な検索戦略の例は、以下の通りである:
【0115】 (i)データベース検索 仮想部位の鍵の部分の性質は、データベース検索照会として用いられることが
できる。例えば、Unity2.×データベースソフトウェアが用いられることができ る。自由な3D検索は、”直接微調整(directed tweak)”アルゴリズムが、照
会を満たす潜在的なリガンドの低エネルギー配置を見出すために用いられ、実行
されることができる。
【0116】 (ii)リガンドのDe nov設計 ソフトウウェアパッケージに取り込まれているようなリープフロッグアルゴリ
ズム、Sybyl バージョン6.4.2(Tripos Associates,セントルイス)が、I
GF−1Rのための潜在的なリガンドを設計するために用いられることができる
。部位の周囲の残基の座標は、X線構造、付加された水素および荷電(Kollman 全原子ディクショナリチャージ)から取られるかもしれない。部位のサイズ、形
、および性質から、多くの潜在的リガンドを提供することができる。リガンドの
配置と部位の位置を最適化するために、IGF−1Rとの結合相互作用の強さの
可能性をランク付けするために、および結合を増進した構造への修飾を示唆する
ために、リープフロッグを用いることができる。
【0117】 1つより多い部位と相互作用できるリガンドを設計することも可能である。こ
れをなす1つの方法は、自由なリンカーを、それと結合するように、特異的部位
に設計されたリガンドに付着させることである。リンカーは、個々の部位の結合
を妨げないように付着されことができる。
【0118】 上記すべての文献は、参照によりその全てがここに取り込まれる。 当業者によって、ここで広く記載された発明の精神または範囲から離れること
なく、特定の実施例で示された発明に、多くの変法および/または修飾がなされ
るかもしれないことは理解されるであろう。したがって、本実施例は、その全て
の面で、例示的であり、非制限的であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 IGF−1Rの1−462位の残基で2.6Åの解像度にまで厳
密にした原子配位(平均精度 ≒0.3Å)。配位は、デカルトの直交軸系に関
連している。
【図2】 IGF−1R受容体の断片1−462の溝に沿った残基の描画。
【図3】 アフィニティー精製したIGF−1R/462蛋白質のゲルろ過
クロマトグラフィー。蛋白質は、BioLogic L.C.システム(Bio
rad)に装着したSuperdexS200カラム(Pharmacia)であって、 平衡化したものにかけて、0.8ml/minの流速で、40mM トリス/1
50mM NaCl/0.02%NaN3(pH8.0に調節)で溶出させて精
製した。(a)ピーク1中に溶出する蛋白質には、凝集したIGF−1R/46
2蛋白質が含まれ、ピーク2には、モノマー蛋白質が含まれ、ピーク3にはMa
b 9E10免疫アフィニティーカラムからの溶出に使用したc−mycウンデ
カペプチドが含まれていた。(b)SuperdexS200(図1b)で得ら
れたIGF−1R/462の画分2の非還元SDS−PAGE。標準蛋白質を示
してある。
【図4】 アフィニティー精製した、端切り(truncated)IGF−1R外 側領域のイオン交換クロマトグラフィー。勾配及び定組成溶離の混合によるクロ
マトグラフィーは、BioLogicシステム(Biorad)に装着したRe
source Qカラム(Pharmacia)で行ったが、これには20mMのトリス /pH8.0を緩衝液Aとして、同じ緩衝液で1MのNaClを含むものを緩衝
液Bとして使用した。TBSA中の蛋白質溶液を少なくとも1:2に水で希釈し
てカラムの2ml/minでロードした。溶出は、吸光度(280nm)及び伝
導度(mS/cm)でモニターした。標的蛋白質(ピーク2)は20mMトリス
/0.14MNaCl、pH8.0で定組成溶離的に溶出した。Inset:画
分2の等電点電気泳動ゲル。標準蛋白質より、pIは5.1と推定された(図示せ
ず)。
【図5】 IGF−1Rの1−462位の残基に対する折畳ポリペプチド。
N末端側から見たときに、L1領域は上側に位置し、L2は下側に位置する。中
心部の空間はIGF−1を収納するのに十分な大きさである。らせんは、巻リボ
ンにより、b−鎖は矢印により示している。システイン側鎖は、球と棒により、
ジスルフィド結合を表す線とともに示してある。矢印は、図7のL1を向いた方
向を示している。
【図6】 IGF−1R及び関連蛋白質のアミノ酸配列。a.ヒトIGF−
1R及びIRのL1及びL2領域を、この二つの蛋白質の配列配置、並びにL1
及びL2領域の構造的配置に基づいて示してある。アミノ酸の物理化学的特徴が
保存されていることを示す位置は、囲ってあり、また構造的配置において使用さ
れている残基は、イタリック体で示してあり、またTrp176ポケットを形成
する残基はボールド体で示してある。L1についての二次構造的要素(配列の上
部)、及びL2についての第二構造因子(下部)を、らせんについては円筒で、
β−鎖については矢印で示してある。鎖は、それが属するβ−鎖に応じて、影(
弱、中、強)をつけてある。ジスルフィド結合もまた示してある。b.ヒトのI
GF−1R、IR、及びEGFRCys豊富な領域(領域2及び4)を、配列及
び構造について考慮しつつ配置してある。二次構造的要素及びジスルフィド結合
を配列の上に示してある。ダッシュのついた結合はIRにおいてのみ存在する。
異なるタイプのジスルフィド結合分子を、配列の下に架空の実線又は点線で標識
した。かこった残基は、保存された物理化学的特徴を示し、モジュール4−7に
ついての構造的に保存された残基をイタリック体で示してある。EGFRの残基
であって、パターンを形成しないものは、下の推定のジスルフィド結合とともに
小文字で示してあり、また保存されているTrp176及び半保存されているG
ln182はボールド体で示している。
【図7】 L1領域(白)及びL2領域(黒)の重ね合わせについての立体
図。上の残基番号はL1についてのものであり、下は、L2についてのものであ
る。Trp176の側鎖はL1に中心部に突出しているが、これは球と棒で描画
している。
【図8】 3つのβフィンガーモチーフの連結を示す概略図。β鎖は、矢印
で示し、ジスルフィド結合はジグザグで示している。
【図9】 57 Science Drive, Madison, Wisconsin, USAのGenitics Comput
er Groupのソフトウェアパッケージ中のPileUpプログラムを使用して得ら
れた、hIGF−1R、hIR、及びhIRRの外側領域の配列配置。相同性の
3D構造の割り当てについては、図6を参照のこと。
【図10】 図9の続きである。
【図11】 インスリン受容体外側ドメインとMFabとの複合体のゲルろ
過クロマトグラフィー。hIR−11外側領域の二量体(5−20mg)を、1
8−44、83−7、及び83−14(Soos et al., 1986)の抗−hIR抗体
MFab誘導物(それぞれ15−25mg)と複合体化した。溶出特性は、Bi
oLogicクロマトグラフィーシステム(Biorad)に連結されたSup
erdexS200カラム(Pharmacia)に試料をロードし、280nmでモニ ターして作製した。カラムを0.8ml/minで、40mMトリス/150m
M塩化ナトリウム/0.02%アジ化ナトリウム(pH8.0に調節済)により
溶出した。プロフィール0:hIR−1外側領域;プロフィール1:MFab1
8−44と混合した外側領域;プロフィール2:MFab18−44及びMFa
b83−44と混合した外側領域;プロフィール3:MFab18−44、MF
ab83−14、及びMFab83−7と混合した外側領域。それぞれの複合体
の見かけ質量は、以下の標準蛋白質のプロットより決定した:チログロブリン(
660kDa)、フェリチン(440kDa)、ウシガンマグロブリン(158
kDa)、ウシ血清アルブミン(67kDa)、ニワトリオバルブミン(44k
Da)、及びウマミオグロビン。
【図12】 hIR外側領域の二量体の電子顕微鏡画像の概略。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G06F 19/00 G06F 19/00 // C07K 14/705 C07K 14/705 14/71 14/71 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,L U,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO ,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG, SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,U G,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ジョン・デイヴィッド・ベントリー オーストラリア・ヴィクトリア・3440・マ セドン・マーガレット・ストリート・85 (72)発明者 リア・ジェーン・コスグローヴ オーストラリア・サウス・オーストラリ ア・5044・ソマートン・パーク・タールト ン・ストリート・22 (72)発明者 モーリス・ジョン・フレンケル オーストラリア・ヴィクトリア・3162・サ ウス・コールフィールド・エリントン・ス トリート・23 (72)発明者 トーマス・ピーター・ジョン・ギャレット オーストラリア・ヴィクトリア・3055・ブ ランズウィック・グレイ・ストリート・2 (72)発明者 ライン・ジーン・ローレンス オーストラリア・ヴィクトリア・3055・ブ ランズウィック・クック・ストリート・24 (72)発明者 マイゼン・ロウ オーストラリア・ヴィクトリア・3179・ス コーズビー・ローマ・ストリート・10 (72)発明者 ジョージ・オスカー・ロヴレックス オーストラリア・ヴィクトリア・3104・ノ ース・バルウィン・トヴェイ・ストリー ト・2 (72)発明者 ネイル・モアトン・マッカーン オーストラリア・ヴィクトリア・3170・リ リーデイル・コモ・ロード(番地なし) (72)発明者 ピーター・アーチバルド・タロック オーストラリア・ヴィクトリア・3000・メ ルボーン・クイーン・ストリート・180 (72)発明者 コリン・ウェズリー・ウォード オーストラリア・ヴィクトリア・3053・カ ールトン・ラスダウン・ストリート・903 Fターム(参考) 2G045 AA40 DA36 DA77 JA01 4H006 AA05 AC90 4H045 AA30 BA05 DA51 EA50 FA72 FA74 GA26 GA40 5B046 AA00 KA05 5B049 BB07 CC21 DD00 DD05 EE05 EE07 EE12 FF00 FF09

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インスリン受容体ファミリーの分子に結合して、当該分子によ
    り介在される活性を調節することが可能な化合物の設計方法であって、当該化合
    物と当該分子の受容部位との立体化学的相補性を評価する工程を含み、当該受容
    部位が、 (a)IGF−1に対する受容体のアミノ酸の1乃至462であって、図1に示
    す原子配位を実質的に有するもの; (b)当該アミノ酸のサブセット;または (c)インスリン受容体ファミリーのメンバーの当該アミノ酸配列中に存在する
    アミノ酸であって、図1に示される受容体分子のものと同等の3次元構造を形成
    するもの を含むことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記の化合物が、データベースより同定された既知の化合物よ
    り選択されるか、またはそれより修飾されていることを特徴とする請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 前記の化合物を、図1に示されている受容体分子の構造と相補
    的になるように設計することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記の化合物が、図2に示されるように、溝に沿った受容部位
    の表面にあるアミノ酸残基と近接することができるような構造領域を有すること
    を特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記の化合物が、前記受容部位のL1領域及びL2領域の両方
    と相互作用することができるような立体化学を有することを特徴とする請求項1
    乃至4の何れか一項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記の化合物が、前記受容体のホモ二量体の一方のモノマーの
    L1領域、及び当該受容体ホモ二量体のもう一方のモノマーのL2領域と相互作
    用することができる立体化学を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか
    一項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記の、化合物の受容部位との相互作用が、L1領域、L2領
    域またはシステイン豊富領域のうちの少なくとも一の位置を、当該領域の少なく
    とも一の他のものに対して変化させることを特徴とする請求項1乃至4の何れか
    一項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記の化合物が、前記受容体分子のL1領域のβシートと相互
    作用し、それによりシステイン豊富領域又はL2領域の位置に対する、L1領域
    の位置を変化させることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記の化合物が、前記受容体分子のL1領域及びシステイン豊
    富領域の間の界面領域の受容部位と相互作用し、それによりL1領域及びシステ
    イン豊富領域が互いに離れるように移動することを特徴とする請求項7に記載の
    方法。
  10. 【請求項10】 前記の化合物が、前記受容体分子のL2領域及びシステイン
    豊富領域の間のヒンジ領域と相互作用し、それによりL2領域及びシステイン豊
    富領域の相対的位置を変化させることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記化合物と前記受容部位との間の立体化学的相補性が、当
    該化合物の当該受容体側に対するKbが10-6M未満となるものであることを特 徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記のKbが、10-8M未満であることを特徴とする請求項 11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記の化合物が、前記受容体分子により介在される活性を増
    大する能力を有することを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の方
    法。
  14. 【請求項14】 前記の化合物が、前記受容体分子により介在される活性を低
    減する能力を有することを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 前記の化合物と前記の受容部位との間の立体化学的相互作用
    が、当該受容体分子の天然のリガンドの当該受容部位への結合を防止するように
    改変されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記の化合物が、10-6M未満のK1を有することを特徴と する請求項14又は15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記の化合物が、10-8未満のK1を有することを特徴とす る請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記の化合物が、10-9未満のK1を有することを特徴とす る請求項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記の受容体が、IGF−1Rであることを特徴とする請求
    項1乃至18の何れか一項に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記の受容体が、インスリン受容体であることを特徴とする
    請求項1乃至18の何れか一項に記載の方法。
  21. 【請求項21】 インスリン受容体ファミリーの分子に結合し、当該分子によ
    り介在される活性を調節することが可能な潜在的蛋白質を同定するための、コン
    ピュータにより補助される方法であって、プロセッサ、入力装置、及び出力装置
    を含むプログラムされたコンピュータを使用し、 (a)入力装置を通して、プログラムされたコンピュータに対して、図1に示
    されているIGF−1R分子の原子配位、又はそのサブセットを具備するデータ
    を入力する工程、 (b)コンピュータ法を使用して、図1に示されるIGF−1Rの原子配位、
    又はそのサブセットに対して立体化学的相補性を有する構造の一組の原子配位を
    作製して、それにより基準となるデータの組を作製する工程、 (c)プロセッサを使用して、前記の基準となるデータの組を、化学構造につ
    いてのコンピュータデータベースと比較する工程、 (d)コンピュータ法を使用して、前記の基準となるデータの組の一部に対し
    て構造的に同等である化学構造を、データベースより選択する工程、そして (e)前記の基準となるデータの組の一部と同等の、選択した化学構造を出力
    装置へ出力する工程 を含むことを特徴とする方法。
  22. 【請求項22】 前記の方法を、前記受容体により介在される活性を減少させ
    る能力を有する潜在的な化合物を同定するのに使用することを特徴とする請求項
    21に記載のコンピュータにより補助される方法。
  23. 【請求項23】 前記受容部位への天然のリガンドの結合を阻止するようにし
    て分子の受容部位と相互作用する一以上の化学構造を工程(e)から選択する行
    程を更に含むことを特徴とする請求項21又は22に記載のコンピュータにより
    補助される方法。
  24. 【請求項24】 工程(d)及び(e)で選択された化学構造を有する化合物
    を得る工程、及び前記受容体により介在される活性を減少させる能力について当
    該化合物を試験する工程を更に含むことを特徴とする請求項21乃至23の何れ
    か一項に記載の、コンピュータにより補助される方法。
  25. 【請求項25】 前記の方法が、前記の受容体分子により介在される活性を増
    大する能力を有する潜在的な化合物を同定するのに使用されることを特徴とする
    請求項21に記載の、コンピュータにより補助される方法。
  26. 【請求項26】 工程(d)及び(e)で選択された化学構造を有する分子を
    得る工程、及び前記受容体により介在される活性を増大する能力について当該化
    合物を試験する工程を更に含むことを特徴とする請求項25に記載の、コンピュ
    ータにより補助される方法。
  27. 【請求項27】 前記の受容体が、IGF−1Rであることを特徴とする請求
    項21乃至26の何れか一項に記載のコンピュータにより補助される方法。
  28. 【請求項28】 前記の受容体が、インスリン受容体であることを特徴とする
    請求項21乃至26の何れか一項に記載の、コンピュータにより補助される方法
  29. 【請求項29】 インスリン受容体ファミリーの受容体の活性を調節する能力
    を有する推定化合物をスクリーニングする方法であって、請求項1乃至29の何
    れか一項に記載の方法により推定化合物を同定する工程、及び当該化合物を、当
    該受容体により介在される活性を増大又は減少させる能力について試験する工程
    を含むことを特徴とする方法。
  30. 【請求項30】 前記の試験を、in vitroで行うことを特徴とする請
    求項29に記載の方法。
  31. 【請求項31】 前記の試験が、高スループットアッセイであることを特徴と
    する請求項29に記載の方法。
  32. 【請求項32】 前記の試験が、in vivoで行われることを特徴とする
    請求項29に記載の方法。
  33. 【請求項33】 前記の試験が、in vivoで行われることを特徴とする
    請求項30に記載の方法。
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