JP2001520206A - 上皮細胞標的化結合体としてのj鎖およびアナログ - Google Patents

上皮細胞標的化結合体としてのj鎖およびアナログ

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Abstract

(57)【要約】 非分極化上皮細胞に生物学的薬剤を送達する際に使用するための標的化分子が開示される。送達の際に、生物学的薬剤は、上皮細胞内に対して致死的である。標的化分子は、例えば、転移性の上皮細胞の根絶のために使用され得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、概して、特異的な細胞への、治療的化合物の標的化に関する。本発
明は、より詳細には、非分極化上皮細胞への化合物の送達において使用するため
の標的化分子に関する。このような標的化分子は、種々の治療的手順において使
用され得る。
【0002】 (発明の背景) 標的組織への、薬物および他の薬剤の送達を改良することは、何年もの間、か
なりの研究の焦点である。現在、非経口的に患者に投与されるほとんどの薬剤は
、標的化されていないので、送達が必要とされない(そしてしばしば望ましくな
い)身体の細胞および組織への、薬剤の全身性の送達を生じる。このことは、有
害な薬物の副作用を生じ得、そして投与され得る薬物(例えば、細胞傷害性薬剤
、および他の抗ガン薬物または抗ウイルス薬物)の用量を頻繁に制限する。比較
すると、一般的に薬物の経口投与は、簡便なおよび経済的な投与の方法として認
識されるが、経口投与は、(a)上皮障壁を通じる薬物の取込み(これは望まし
くない全身性の分配を生じる)または(b)胃腸管内の一時的な薬物滞留、のい
ずれかを生じ得る。従って、主要な目標は、処置によって利益を受け得る細胞お
よび組織に、薬剤を特異的に標的化するための方法を開発すること、そしてこの
ような薬剤の不適切な送達による他の細胞および組織への全身的な生理学的影響
を回避することであった。
【0003】 この問題を何とかするため、胃腸管上皮細胞上の増殖因子レセプターに結合す
るキメラ分子を使用して治療学的薬剤の経上皮輸送を容易にすることを、数名の
研究者らが試みた(WO 93/20834を参照のこと)。しかし、これらの
方法は、いくつかの不都合を有している。例えば、このようなキメラ分子は、腸
管腔から上皮を通じてトランスサイトーシスされ、そして血流に吸収され、全身
性の分配および固有上皮(epithelium proper)からの除去を
生じる。治療学的薬剤は、全身性の分配のために上皮から離れて特異的に標的化
されるので、上皮関連性の状態の処置について、これらのキメラ分子は一般的に
有用ではない。さらに、TGF−γ、またはEGFレセプターに結合する他の分
子は、多数のまたは全てのEGFの見かけの生物学的活性(例えば、腸細胞の有
糸***誘発の刺激、または胃液分泌の抑制)を示す。治療的薬剤のトランスサイ
トーシス性の取込みに付随的なこのような効果は、上皮関連性の状態または疾患
の介入のために望ましくないかもしれず、または禁忌であり得る。さらに、EG
Fレセプターは、胃腸管の上皮細胞に独特ではなく、そして腎臓細胞および肝細
胞を含む多数の他の細胞上で見出され得る。従って、EGFレセプターに対する
親和性を有し、および血液中で全身的に分配される分子は、循環から迅速に除去
され、特定の器官に蓄積され、そして潜在的に分解または分泌され得る。
【0004】 代わりのアプローチにおいて、他の研究者らは、抗重合体免疫グロブリンレセ
プターIgGのFabフラグメントを、このようなレセプターを含む上皮細胞に
対してインビトロでDNAを標的化するために、用いてきた(Ferkolら、
J.Clin.Invest.92:2394−2400、1993を参照のこ
と)。さらに他の研究者らは、インビトロでの上皮細胞の単層を横切るキメラI
gA構築物のトランスロケーションを記載した(Terskikhら、Mol.
Immunol.31:1313−1319、1994を参照のこと)。他の研
究者らはマウスにおいてインビボで腹水腫瘍インプラントを使用し、そして皮下
腫瘍細胞によって産生されるIgA二量体抗体が糞便に蓄積することを観察し、
このことはIgAが胃腸管の上皮障壁を横切って輸送されることを示唆する(G
reenbergら、Science 272:104−107、1996を参
照のこと)。
【0005】 上皮細胞は、毒素および病原体の侵入を物質的に防ぐ、防御障壁を形成するた
めにお互いに通常、整列しているが、この細胞整列における異常はしばしば、疾
患の指標である。特に、血液中またはリンパ液中に存在する非分極化上皮細胞 は、しばしば転移性疾患の指標である。転移性細胞の根絶は、癌治療の基本的な
目標であるが、化学療法のような従来の方法はしばしば、所望されない副作用を
生じる。
【0006】 当該分野において、標的上皮細胞、特に別の上皮細胞または細胞と整列してい
ない非分極化上皮細胞に対して、薬剤を送達するためのシステムに対する必要性
が依然として残っている。本発明は、これらの必要性を満たし、そしてさらに他
の関連する利点を提供する。
【0007】 (発明の要旨) 簡潔に記載すると、本発明は、上皮細胞に、生物学的薬剤を特異的に送達する
ための標的化分子を提供する。特定の局面において、本発明は、少なくとも1つ
の生物学的薬剤に連結される標的化分子を提供する。ここで、この標的化分子は
、(a)閉環された共有結合ループを形成し;そして(b)ドメインの各々がβ
シート特徴を欠損するドメインによって分離された、βシート特徴を有する少な
くとも3つのペプチドドメインを含む;ポリペプチドを含み、この結果、この生
物学的薬剤は、非分極性上皮細胞に入り得、そして殺傷し得る。特定の実施態様
において、この標的化分子は、非分極性上皮細胞と会合した、またはこれから分
泌された細胞内または細胞外酵素の基質により、少なくとも1つの生物学的薬剤
に連結される。
【0008】 別の局面において、本発明は、上記のような少なくとも1つの生物学的薬剤に
連結される標的化分子を含む薬学的組成物を、薬学的に受容可能なキャリアと組
合せて提供する。
【0009】 さらなる局面において、非分極化上皮細胞と関連する疾患に罹患した患者を処
置する方法が提供され、この方法は、上記のような薬学的組成物を患者に投与す
る工程を包含する。このような疾患としては、非小細胞癌、乳癌、結腸癌、卵巣
癌、前立腺癌、および子宮内膜症が挙げられる。
【0010】 関連の局面において、本発明は、非分極性上皮細胞と関連する疾患の患者にお
ける発症を阻害するための方法を提供し、上記のような薬学的組成物を、患者に
投与する工程を包含する。
【0011】 本発明のこれらのおよび他の局面は、以下の詳細な説明および添付の図面を言
及する際に明らかになる。本明細書中に開示される全ての参考文献は、それぞれ
が個々に援用されるように、それらの全体が本明細書中に参考として援用される
【0012】 (発明の詳細な説明) 上記のように、本発明は、一般的に、生物学的薬剤の非分極化上皮細胞への送
達において使用するための標的化分子(TM)に関する。上皮細胞への送達の際
、薬剤は、細胞内に残存し得るか、またはトランスサイトーシスを介する経上皮
輸送を受け得る。例えば、薬剤およびTMは、原形質膜を横切って輸送され得、
そして上皮細胞内に残存し得るか、または、薬剤は細胞内に残存し得、一方TM
は経上皮輸送を受ける。上皮細胞内に残存する薬剤は、細胞成分もしくは外来成
分(例えば、ウイルス)の活性または機能を改変し得る。
【0013】 本発明を詳細に記載する前に、本明細書中で使用される特定の用語の定義が提
供される。
【0014】 上皮表面(または、上皮障壁):身体の外部、身体の内部の閉鎖された腔また
は外部環境と連絡する身体の管を裏打ちする表面。上皮表面は、通常、整列した
上皮細胞を含み、そして尿生殖器、呼吸、栄養、接眼結膜、鼻、口、および咽頭
の腔、ならびに腺の管および分泌部分、および感覚器官のレセプターを包含する
。本明細書中で使用される用語、「上皮表面」は、「上皮障壁」と同義である。
上皮表面の一方の側面は、被覆物質および分泌物以外は、細胞成分および細胞外
成分の付着がない。表面の他方の側面は、通常、基底膜に近接し、そして下にあ
る組織の間質液および成分に曝されている。上皮表面は、代表的には、互いに密
接に並置される細胞から形成され、近接細胞の原形質膜間の接触は、堅固な接合
部(閉鎖帯)によって特徴付けられ、これは、上皮表面の外側ドメインおよび内
側ドメインの境界を定める。実験的な上皮様表面は、培養中に上皮様表面を形成
する、自己複製する細胞株(例えば、MDCK、ATCC番号CCL34;HE
C−1A、ATCC番号HTB112)を用いて、インビトロで作成され得、堅
固な接合部を有し得、ならびに1つの遊離ドメイン(先端)および1つの付着ド
メイン(基底外側)を区別し得る。
【0015】 非分極化上皮(NPE)細胞:上皮表面から生じるが、上皮表面には存在しな
い細胞で、基底外側のドメイン、先端ドメインまたは閉鎖帯を有している細胞。
上皮表面は、腫瘍形成性、腫瘍転移および炎症性過形成を含む種々のプロセスに
よりNPE細胞を生成および放出し得る。NPE細胞は、体液中に遊離で存在し
得、または閉鎖帯、基底外側のドメインまたは先端ドメインを含まない異常な会
合で、他の個々の上皮細胞と結合され得る。NPE細胞は、腫瘍性の上皮増殖、
潰瘍性大腸炎、および過形成細胞増殖を生じる上皮炎症と関連する。NPE細胞
は、例えば、Brandtzaeg、Scand.J.Immunol.22:
111−146、1985によって記載されたように、抗分泌成分、抗IgA、
または抗IgMのいずれかを利用する免疫組織化学的染色技術により同定され得
る。NPE細胞はまた、抗分泌成分またはモノクローナル抗体Ber−EP4を
利用する免疫組織化学技術によって同定され得る(Latzaら、J.Clin
.Path.43:213−220、1990参照のこと。)。
【0016】 先端ドメイン:身体の外部環境、または身体の腔もしくは身体の管の容量に近
接する上皮表面の外側。細胞の外側は、閉鎖帯によって境界を定められ、被覆物
質、分泌物、および上皮表面の外側に面する細胞膜からなる。
【0017】 管腔区画:上皮表面によって裏打ちされ、そして先端ドメインに近接する身体
の管、腔、または導管の内部空間。
【0018】 基底外側ドメイン:閉鎖帯によって先端ドメインから境界を定められる上皮表
面の内部。基底外側ドメインは、基底膜に近接し、そして上皮表面の下にある組
織の間質液および成分に曝される。基底外側ドメインは、上皮表面の細胞の内側
にある。
【0019】 基底外側膜:基底外側ドメイン内にある上皮表面の細胞の原形質膜の部分。
【0020】 基底外側因子:インビボで基底外側膜の天然に存在する要素である基底外側ド
メインの成分。「上皮表面と会合する基底外側因子」は、基底外側ドメインまた
は基底外側ドメイン中の固有膜(membrane propoer)の成分へ
の、共有結合もしくは非共有結合によって付着される基底外側因子をいう。
【0021】 インターナリゼーション:原形質膜によって境界を示される細胞区画への取込
みのプロセス。
【0022】 特異的結合:TMがNPE細胞の原形質膜上のレセプターと特異的に相互作用
する場合、TMは、NPE細胞に特異的に結合する。TMが上皮表面の基底外側
ドメインで特異的に相互作用する場合、TMは基底外側ドメインに特異的に結合
する。定量的アッセイおよび定性的アッセイの両方が、本発明の状況において、
非特異的な結合から特異的な結合を区別するために使用され得る。結合親和性(
aff)の定量的測定は、特異的に結合する成分を同定するために使用され得る 。一般に、104-1以上のkaffは、2つの結合成分間の特異的な結合を構成す
る。結合相互作用の同族成分に対する結合親和性は、当該分野において周知であ
る多様な方法(平衡透析アッセイ、ラジオ免疫沈降アッセイ、固定化されたリガ
ンドを使用するアッセイ、単離された細胞または膜を使用するアッセイ、ELI
SA、または他の直接的もしくは間接的な測定もしくは結合(例えば、プラズモ
ン共鳴)を含む)によって、実験的に評価され得る。
【0023】 結合の定性的な特異性は、2つ以上の化学的、空間的、または時間的ドメイン
間の因子の結合の差次的な、または非対称性の分布によって実証され得る。この
差次的な分布は、視覚的に、または化学的もしくは物理的手段によって観察され
得、そして、一般に、NPE細胞と非上皮原形質膜との間のシグナル強度におい
て、少なくとも約3〜1の差を反映する。TMはまた、上皮表面から始まるNP
E細胞上の因子に結合し得る。このような定性的な特異性は、原形質膜上の同族
の結合部位の数または有効性に対する薬剤の結合親和性の実質的な違いから得ら
れ得る。いくつかの細胞型の間での薬剤結合の定性的な特異性は、競合実験にお
いて観察され得る。このような実験において、TMは、細胞型の間での分布を可
能にされて、そして平衡で、他の細胞型以上にNPE細胞に優先的に結合するこ
とが観察される。
【0024】 標的化分子(TM):NPE細胞原形質膜上のコグネイト因子および上皮表面
上のコグネイト因子に対して特異的に結合し得る分子であって、ここでコグネイ
ト因子は均一に分布していない、分子。
【0025】 生物学的薬剤:細胞によってまたはエクスビボで合成される、任意の分子、分
子の群、ウイルス、ウイルスの成分、細胞、または細胞成分は、細胞に由来し得
るか、および/または細胞の特性を改変することが実証され得る。生物学的薬剤
は、治療的薬剤(すなわち、疾患を処置もしくは防止するために、または患者の
生理機能を調節するために有用な、薬物および他の医療用化合物)を含む。好ま
しい生物学的薬剤は、TM促進性侵入の後に細胞を殺傷し得る。このような薬剤
は、本明細書において致死性薬剤といわれ得る。
【0026】 連結化:イオン性相互作用によっておよび/もしくは疎水性相互作用によって
、または生理学的条件のpH、イオン強度、および浸透ポテンシャルのもとで、
連結された実体が平衡時に互いに会合されるような他の手段によって、共有結合
する場合、生物学的薬剤は、TMに連結される。
【0027】 本明細書中で記載されるTMは、一般に上皮表面上に優先的に分布する因子(
例えば、基底外側因子)に特異的に結合し得る。TMはまた、NPE細胞中にお
ける、上皮表面から生じるような因子に結合し得る。TMは、このような因子へ
の結合を介して、TMに連結された生物学的薬剤のインターナリゼーションを生
じ得る。本明細書中に記載されるTMは、異なる3次元構造を有する。一般に、
TMは、本明細書中で「コア」とよばれる、閉じた共有結合ループを形成するポ
リペプチドを含む。ポリぺプチドの全てのサブユニットは、同一の化学結合によ
って連結され得るが、そうである必要はない。好ましい実施態様において、ポリ
ぺプチドは、ペプチド結合および1つ以上のシステインジスルフィド架橋によっ
て共有結合されるアミノ酸および/またはイミノ酸を含む。
【0028】 TMのコアは、代表的に、βシートの特徴を欠損する領域の中に分散した、β
シートの特徴を有する少なくとも3つのペプチドドメインを含む。このことにつ
いては、「ペプチドドメイン」は、少なくとも3つのアミノ酸残基を含むポリぺ
プチドの一部である。ペプチドドメインは、ほぼ平面の側鎖基、および近接した
β鎖の骨格のカルボニル基とNH基との間で水素結合が生じ得るような交互の配
置を有する広がったコンフォメーションをペプチド骨格が有する場合、βシート
の特徴を有するといわれる。さらに、TMは、一般に、分子内シスチン内に存在
しない少なくとも1つのシステイン残基を含む。このようなシステインは、1つ
以上の生物学的薬剤をTMに連結するために使用され得るが、生物学的薬剤を連
結する他の手段もまた、意図される。
【0029】 1つ以上の多様な他の構造が、TM内にさらに存在し得るが、そうである必要
はない。例えば、第2のペプチドループが、コア配列内に存在し得る。さらなる
N末端および/またはC末端配列が存在し得る。N末端配列は、存在する場合、
通常、直鎖状である。好ましいN末端配列は、短い(約1〜20アミノ酸残基)
ペプチドドメインである。C末端配列は、直鎖状であり得、および/または1以
上のループを形成し得る。このような配列はβシートの特徴を有するドメインを
保有し得るが、そうである必要はない。これらの、および/または他のタンパク
質ドメインは、遺伝的手段によって、または化学的に、共有結合的なまたは非共
有結合的な相互作用を使用して、コアに付加され得る。
【0030】 好ましい実施態様において、TMは、ネイティブなJ鎖配列の全てもしくは部
分、またはその改変体を含む。J鎖は、インビボでIgM単量体またはIgA単
量体を連結して、五量体IgMまたは二量体IgAを形成する、15kDのタン
パク質である(MaxおよびKorsmeyer,J. Exp. Med.
161:832−849、1985を参照のこと)。今日までに、6つの生物体
由来のJ鎖の配列が推定されている(図1および配列番号1〜配列番号6;Ku
lsethおよびRogne、DNA and Cell Biol.13:3
7−42、1994;Matsuuchiら、Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 83:456−460、1986;MaxおよびKorsme
yer、J. Exp. Med. 161:832−849、1985;Hu
ghesら、Biochem J. 271:641−647、1990;Mi
koryakら、J. Immunol.140:4279−4285、198
8;Takahashiら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
93:1886−1891、1996を参照のこと)。TMは、これらの生物体
の1つからの、または任意の他の生物体からのネイティブなJ鎖を含み得る。
【0031】 あるいは、TMはネイティブなJ鎖配列の部分または改変体を含み得る。改変
体は、1つ以上の置換および/または修飾においてのみ、ネイティブな配列から
異なるポリぺプチドである。本発明によって意図されるネイティブなJ鎖配列の
部分および改変体は、ネイティブなJ鎖が、上皮表面と会合する基底外側因子に
特異的に結合し、そして連結された生物学的薬剤のインターナリゼーションを引
き起こす能力を実質的に保持する、部分および改変体である。このような部分お
よび改変体は、例えば、本明細書中に記載される代表的なアッセイを使用して同
定され得る。
【0032】 本明細書中に提供されるTM組成物の状況内で、TMは完全長の二量体IgA
ではない。より詳細には、TMは、天然に存在するIgA内に存在する全ての成
分(すなわち、連続的な可変ドメイン、CH1αドメイン、CH2αドメイン、お
よびCH3αドメインを含む重鎖、ならびに連続的な可変ドメインおよびCLドメ
インを含む軽鎖)を含むわけではない。このようなTMは、もちろん、IgA分
子の1つ以上の部分を含み得、これはIgMを含む。
【0033】 上記のように、特異的結合は、定量的方法および/または定性的方法を使用し
て評価され得る。1つの代表的な定量的アッセイにおいて、標準的なイムノアフ
ィニティークロマトグラフィー法(Underdownら、Immunoche
mistry 14:111−120、1977)により、ヒト乳汁から単離さ
れた分泌成分(SC)は、第一級アミンカップリングによって、BIACORE
装置(Pharmacia,Piscataway,NJ)を使用してCM5セ
ンサーチップ上に固定化される。センサーチップは、30μLの0.05M N
−ヒドロキシスクシンイミドおよびN−エチル−N−(3−ジエチルアミノプロ
ピル)カルボジイミドの注入、次いで25μLの、10mM 酢酸ナトリウム(
pH5.0)中のヒトSC(15μg/mL)の注入によって活性化される。次
いで、未反応のカルボジイミドは、30μLのエタノールアミンでクエンチング
される。全ての試薬は、1分間あたり5μLの流速で送達される。結合および脱
離の反応速度を評価するために、100μMと100nMとの間の濃度でのTM
の段階2倍希釈物が、1分間あたり20μLの流速で、結合緩衝液:25mM
Tris(pH7.2)、100mM NaCl、10mM MgCl2中に注 入される。希釈の間に、50μLの25mM Tris(pH7.2)200m
M NaCl、2M 尿素を注入し、次いで、50μLの結合緩衝液を注入する
ことによって、表面は再生される。会合定数および解離定数は、BIAeval
uation 2.1ソフトウエアを使用するセンソグラム(sensogra
m)に由来し、単純な会合定数(ka)および解離定数(kd)を導き出す。kaf f は、ka/ kdとして評価される。
【0034】 1つの代表的な定性的アッセイにおいて、HEC−1A細胞の単層が、TMの
定性的な結合を測定するために使用され得る。手順は以前に刊行されたプロトコ
ル(Ballら、In Vitro Cell Biol.31:96、199
5を参照のこと)に基づく。HEC−1A細胞は、24mmフィルタートランス
ウェル(transwell)(Costar、#3412、0.4μm)上で
、1週間、細胞がコンフルエントになるまで培養される。単層で覆われたフィル
タートランスウェルは、冷却PBS(4℃)で両表面を2回洗浄される。1.0
μgのビオチン化されたリガンドを含む、1mlの冷却MEM−BSAが、先端
のチャンバーに添加され、そして1.5μgのビオチン化されたリガンドを含有
する、1.5mlの冷却MEM−BSA緩衝液(MEM−BSA(4℃):ハン
クス塩、および0.5% BSA(これは、56℃で30分間処理されて、内因
性プロテアーゼを不活性化し、そしてフィルター滅菌される)を含有する、L−
グルタミン非含有の25mM HEPES緩衝液(Life Technolo
gies,Gaithersburg、MD;カタログ番号12370)を含有
する最小必須培地)は、基底外側チャンバーに添加される。培養物は、4℃で2
時間、静置されて、インターナリゼーションの不在下で、最大の結合を達成させ
る。両方のチャンバーから培地は除去され、そしてフィルターは冷却PBSで2
回洗浄される。次いで、フィルターは、メスを用いてトランスウェル支持体から
取り出され、そしてストレプトアビジン−フルオレセイン結合体(#21223
、Pierce Chemical Company,Rockford,IL
)(冷却PBS中に0.1μg/mL)とともにインキュベートされ、次いで、
冷却PBSで3回洗浄される。次いで、1cm平方の切片のフィルターは、24
mmフィルターから切断され、そして顕微鏡スライド上に取りつけられ、そして
上部蛍光(epifluorescence)照明(励起490nm、発光52
0nm)下で顕微鏡観察される。これらの条件下、先端膜は、ほとんどまたは全
く蛍光を示さないが、基底外側膜は、明るい蛍光(すなわち、シグナル強度にお
いて、3〜1差よりも大きい)を実証し、このことは、基底外側ドメインに特異
的に結合することを示す。類似のアッセイが、胃腸、口、または気管支の上皮組
織層から単離された上皮組織とともに用いられ得る。
【0035】 別の代表的な定性的アッセイにおいて、個々のHEC−1A細胞がTMの定性
的な結合を測定するために使用され得る。HEC−1A細胞は、細胞がコンフル
エントになるまで1週間、24mmフィルタートランスウェル(Coster、
♯3412、0.4μm)上で培養される。次いで、細胞はトリプシン処理によ
り破壊され得、そして個々の破壊された細胞は遠心分離により回収され得る。細
胞ペレットは冷却PBSで2回洗浄される。次いで、1.0μgのビオチン化リ
ガンドを含有する1mlの冷却MEM−BSAが細胞に添加される。細胞は4℃
で2時間、静置されて、インターナリゼーションの不在下で最大の結合を達成さ
せる。培地は細胞から除去され、細胞は冷却PBSで2回洗浄される。次いで細
胞は、ストレプトアビジン−フルオレセイン結合体(♯21223、Pierc
e Chemical Company、Rockford、IL)(冷却PB
S中に0.1μg/mL)とともにインキュベートされる。次いで冷却PBSで
3回洗浄される。次いで細胞は顕微鏡スライド上に取りつけられ、そして上部蛍
光照明下(励起490nm、発光520nm)で顕微鏡観察される。これらの条
件下で、NPE細胞の原形質膜は、明るい蛍光(すなわち、非上皮細胞と比較し
て、シグナル強度において3〜1差よりも大きい)を示し、このことはNPE細
胞表面へ特異的に結合することを示す。類似のアッセイが胃腸、口または気管支
の上皮組織層から単離された上皮組織またはNPE細胞とともに使用され得る。
【0036】 一旦、NPE細胞の原形質膜に結合すると、TMはNPE細胞中へインターナ
リゼーションされ得る。インターナリゼーションを評価するための適切な細胞と
しては、ヒトのポリ免疫グロブリンレセプター(pIgR)を発現するMDCK
細胞(Tamerら、J.Immunol.155:707−714、1995
を参照のこと)およびHEC1−A細胞、ならびにポリ免疫グロブリン遺伝子を
発現する非上皮トランスジェニック細胞が挙げられる。インターナリゼーション
が観察され得るあるアッセイは、透析膜支持体(例えば、Costar、Cam
bridge、MA、♯3412)上でコンフルエントな単層になるまで増殖さ
せたHEC1−A細胞株を使用する。簡単に述べると、100ng〜10μgの
TM(例えば、標識されたフルオロセイン)が細胞単層の基底外側の区画におい
て1.5mLのアッセイ緩衝液に添加され得、TMの結合およびインターナリゼ
ーションは可能であるがトランスサイトーシスを阻害する温度(例えば、16℃
で90分)でインキュベートされ得る。次いで、両方の区画から培地が除去され
、そしてフィルターメンブレンが洗浄される(例えば、4℃においてPBSで2
回)。このメンブレンは、例えば、3%(w/v)パラホルムアルデヒド、1%
(w/v)グルタルアルデヒド、5%(w/v)スクロース、100mM リン
酸ナトリウム(pH7.4)を含む固定溶液中に氷上で30分浸される。このメ
ンブレンは、メスで周囲を切り取ることによりプラスチック挿入物から取り出さ
れ得、そして5mm平方の切片に切られ得る。これら全取りつけ切片は顕微鏡ス
ライド上に配置され得、そして上部蛍光照明下(励起490nm、発光520n
m)で顕微鏡により、または蛍光共焦点顕微鏡により観察され得る。インターナ
リゼーションされたTMは、細胞内小胞における明るい黄緑色の蛍光の存在によ
り示される。
【0037】 インターナリゼーションが観察され得る別のアッセイはまた、透析膜支持体(
例えば、Costar、Cambridge、MA、#3412)上でコンフル
エントな単層になるまで増殖させたHEC1−A細胞株を用いる。細胞はトリプ
シン処理により破壊され、そして個々の破壊された細胞は遠心分離により回収さ
れる。細胞ペレットは冷却PBSで2回洗浄される。このアッセイを実施するた
めに、100ng〜10μgのTM(例えば、フルオレセイン標識された)が、
1.5mLの細胞緩衝液に添加され得、そしてTMの結合およびインターナリゼ
ーションは可能であるが、トランスサイトーシスを阻害する温度(例えば、16
℃で90分間)で細胞とともにインキュベートされ得る。次いで、両方の区画か
ら培地が除去され、そして細胞は洗浄される(例えば、4℃にてPBSで2回)
。細胞は、例えば、氷上で、30分間、3%(w/v)パラホルムアルデヒド、
1%(w/v)グルタルアルデヒド、5%(w/v)スクロース、100mM
リン酸ナトリウム(pH7.4)の固定溶液中に、浸される。固定された細胞は
顕微鏡スライド上に配置され得、そして上部蛍光照明(励起490nm、発光5
20nm)下で、顕微鏡によってまたは蛍光共焦顕微鏡によって観察され得る。
インターナリゼーションされたTMは、細胞内小胞中の明るい黄緑色の蛍光の存
在によって示される。
【0038】 基底外側因子および/またはNPE細胞についての定性的な結合特異性(すな
わち基底外側ドメインと非基底外側ドメインとの間または上皮細胞と非上皮細胞
との間のシグナル強度における3〜1以上の差)を保持する改変体を生じる置換
および修飾は、保存的であると考えられる。好ましい保存的置換および修飾は、
少なくとも部分的には、1つ以上の他の種のJ鎖と一致させる、配列中の変化を
含む。また、あるいは、TMはネイティブなJ鎖に存在しない特性を付与する他
の配列を含み得る。他の好ましい修飾は、N末端および/もしくはC末端での1
つ以上のタンパク質ドメインの付加、ならびに/またはネイティブなJ鎖配列内
に存在するドメインの順番の変化を包含する。ただし改変体が、上皮基底外側因
子またはNPE細胞に特異的に結合し、そして連結された生物学的薬剤のインタ
ーナリゼーションを引き起こす能力が実質的に減少しないという条件では、改変
体は、このような置換および/または修飾の任意の組み合わせを含み得る。
【0039】 ネイティブなJ鎖は、代表的に6つのドメインを有する。第1(N末端)のド
メインは、シグナルペプチドとコアTM分子との間の接合部として(インビボで
)作用する、短い直鎖状(すなわち、ループと対照して)ペプチドである。ドメ
イン1は、代表的に1〜20個のアミノ酸残基を含み、そして第1のアミノ酸は
一般的に、D、E、またはQである。図1において、ドメイン1は、残基番号1
1まで、そして残基番号11を含むアミノ酸を含む。ドメイン1はTM機能のた
めに必須でなく、そしてこのドメインを含まない改変体は本発明の範囲内である
【0040】 ドメイン2は代表的に90アミノ酸を含み、そして実質的なβシートの特徴を
有する。このβシート領域は、β鎖の特徴を欠損した様々の長さのペプチド(例
えば、残基26〜31、残基49〜53)を含み、通常、このペプチドは極性ア
ミノ酸および/または荷電性アミノ酸を含む。TMにおいて、ドメイン2は、コ
アと呼ばれる、共有結合的により閉じたペプチドループであり、代表的に、これ
はドメイン2の最初の残基および最終の残基(図1の残基12および101)か
ら構成される分子内シスチンによって形成される。ドメイン2内で、ドメイン3
(コア内にネスティングされるペプチドループ)を規定する別のシスチン結合が
存在し得る。本発明の状況内で、コア(ドメイン3を有するかまたは有さない)
は、TM機能を提供するのに十分であることが見出されている。従って、好まし
いTMは、ドメイン2(すなわち、図1の残基12〜70および残基92〜10
1)、またはTM機能を実質的に保持するその部分もしくは改変体を含む。
【0041】 ドメイン2内で、第2のシステインは、一般に単一のアミノ酸残基によって、
ドメイン2の最初のシステインから離されている(例えば、図1を参照のこと)
。ドメイン2の第2のシステインと第3のシステインとの間は、主にβシートの
特徴の領域である。これらの2つのシステイン(2および3)が存在する場合、
代表的にコア内にシスチンを形成しない。第4のシステインは、代表的に、2つ
の塩基性アミノ酸残基によって第3のシステインから離されており、そしてドメ
イン3を開始する。ドメイン3は、第4のシステインによって酸化される第5の
システインで終わる。生じるシスチンは、ドメイン2内に完全に含まれるドメイ
ン3を規定する共有結合ペプチドループを形成する。システイン6は、ドメイン
2の最終の残基であり、そしてドメイン2の最初の残基によってシスチンへと酸
化される。
【0042】 N結合型グリコシル化についての規範的なペプチド配列(例えば、NIS)が
、コア内にある。真核生物細胞によって生成される場合、炭水化物部分は、この
部位で、TMのN残基に共有結合され得る。
【0043】 存在する場合、ドメイン3は、代表的に、21個のアミノ酸長のペプチドであ
る。このドメインは、コア内に完全に含まれる分子内シスチン結合を形成する、
アミノ末端およびカルボキシ末端のシステイン残基によって境界が定められる。
【0044】 ドメイン4〜6は、ネイティブなJ鎖中のカルボキシ末端ドメインであり、こ
れは、TM内に存在し得るが、そうである必要はない。ドメイン4は、代表的に
、7個のアミノ酸のペプチドである。ネイティブなJ鎖において、このペプチド
は、システイン残基を含まず、そしてドメイン5にコアを結合する。ドメイン5
は、存在する場合、代表的に、共有結合によって閉じたループを生じる分子内シ
スチン結合を形成する、アミノ末端およびカルボキシ末端のシステイン残基によ
って境界が定められる26個のアミノ酸のペプチドである。ネイティブなJ鎖に
おいて、ドメイン5のアミノ末端およびカルボキシ末端の部分は、実質的なβシ
ートの特徴を有し、そして低いβシート傾向を有する短い3〜6残基のペプチド
によって離されている。ドメイン6は、代表的に、5アミノ酸以下の短いペプチ
ドであり、これはTMのカルボキシ末端として作用する。ドメイン4〜6は、T
Mの機能に必須でない。
【0045】 上記のように、ネイティブなJ鎖配列の多数の改変体は、本明細書中に記載さ
れるように、TM内で使用され得る。例えば、TMコアは、上記のように、ドメ
インおよび/またはさらなる分子成分の付着および/または置換のための分子骨
格として作用し得る。可能な改変体は、以下を含む: ・ドメイン1が、約13アミノ酸のペプチドを含み、そのうちの真ん中の3分
の1が、実質的なβシートの特徴を有する(例えば、DQEDERIVLVDN
K;配列番号37)、TM; ・48位のアスパラギン残基が、ヒスチジンに変更されている(例えば、AA
TからCAC)、TM; ・ドメイン1が、3アミノ酸ペプチドであるDNKを含む、TM; ・ドメイン1が、近位の同直線上の(colinear)ペプチドまたはタン
パク質から、TMの遠位の部分を放出するために使用され得るプロテアーゼによ
る認識および切断に特異的な配列を有するペプチド(例えば、タバコエッチウイ
ルスプロテアーゼNiaによって認識されるペプチド:ENLYFQS;配列番
号38)を含む、TM; ・ドメイン1が、連続的なペプチドの細胞内標的化を特定するペプチド配列(
例えば、核標的化ペプチド)を含む、TM; ・ドメイン2内のネイティブなシステイン残基2または3の一方または両方が
、分子間架橋の可能性を排除するために、除去または置換されている(例えば、
ネイティブなCについての、S、T、A、V、またはM残基の置換)、TM; ・ドメイン3の一部が欠失され、それによってドメイン3の第3のβシートの
末端から遠位のアミノ酸と、ドメイン3の最終ペプチドの最初の残基との間のペ
プチド結合が存在する、TM; ・ループ構造または他の逆平行ペプチドドメインを形成する他のペプチドが、
ドメイン3の代わりに、またはその規定するシステインの間に含まれ、TMに対
して官能性または認識ドメイン(例えば、ウイルスキャプシドタンパク質ループ
)を提供する、TM; ・ドメイン4が、短縮されて、ドメイン5および6を含まないTMを形成する
、TM; ・ドメイン4が、上記のようにドメイン3について置き換えられて、TMに対
して新規な官能性、特異性、および/または構造を導入する、TM ・ドメイン4が、細胞性区画において、2つの分子へのTMの切断を生じる、
細胞性区画に特異的なタンパク質分解性部位を含む、TM; ・ドメイン5のループ構造が、ペプチド配列で置き換えられ、TMに対して官
能性または認識ドメイン(例えば、単鎖抗体の可変領域またはウイルスキャプシ
ドタンパク質ループ)を提供する、TM; ・ドメイン6が、ペプチド配列において終結されるか、または細胞内標的へと
連続的なTMタンパク質を標的化するペプチド配列(例えば、内膜系における保
持のために、KDEL、配列番号44、またはHDEL、配列番号90)で置き
換えられる、TM; ・1つ以上のジスルフィド結合および/またはペプチド結合を介して連結され
る、1つ以上の免疫グロブリン由来配列(例えば、Ig重鎖クラスのドメイン:
α3、α2、α1、mu4、mu3、mu2、mu1)をさらに含む、TM。こ
のような配列は、1つ以上の生物学的薬剤についての付着部位として作用し得る
【0046】 代表的な改変体の上記の列挙は、例示の目的のためにのみ提供される。当業者
は、上述で引用される修飾は、単一のTM内で組み合わされ得ること、および多
くの他の改変が、本発明の文脈において用いられ得ることを認識する。
【0047】 TMは、一般に、任意の種々の周知の精製法、化学的方法、および/または組
換え方法を使用して調製され得る。天然に存在するTM(例えば、ヒトJ鎖)は
、本明細書中に記載されるように、適切な生物学的物質から精製され得る。TM
の全てまたは部分は、生細胞において、普遍的な遺伝子コードによって規定され
る配列および成分、生存細胞に特異的な遺伝子コードのサブセットまたは修飾さ
れた遺伝子コードを用いて、合成され得る。当業者に公知の任意の種々の発現ベ
クターは、任意の適切な宿主細胞における発現を達成するために用いられ得る。
適切な宿主細胞としては、昆虫細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞、植物細胞、藻類
、細菌、および他の動物細胞(例えば、ハイブリドーマ、CHO、黒色腫)が、
挙げられる。
【0048】 標的化分子をコードする合成遺伝子の例は、配列番号7に提供される。このよ
うな合成遺伝子は、例えば、ポリヘドリンベースのバキュロウイルス移入ベクタ
ー(例えば、pMelBac A、pMelBac B、またはpMelBac
C(Invitrogen、San Diego、CA)へ、適切な制限部位
(例えば、BamHI部位およびSalI部位)の間に連結され得、そして標準
的な方法に従って、Bac−N−Blu AcMNPV DNA(Invitr
ogen、San Diego、CA)を使用する同時トランスフェクション事
象において、昆虫細胞(例えば、High Five、Sf9、またはSf21
)へ導入され得る。他の適切なベクターおよび宿主細胞は、当業者に容易に明ら
かである。
【0049】 合成ポリぺプチドTMまたは約100のアミノ酸未満、および一般に50アミ
ノ酸未満を有するその部分は、当業者に周知の合成技術を使用して作製され得る
。例えば、このようなポリぺプチドは、任意の市販の固相技術(例えば、Mer
rifield固相合成法)を使用して合成され得、ここではアミノ酸は、伸長
するアミノ酸鎖に連続的に付加される。Merrifield、J.Am.Ch
em.Soc.85:2149−2146、1963を参照のこと。ポリぺプチ
ドの自動化合成についての装置は、Applied BioSystems I
nc.、Foster City、CAのような業者から容易に入手可能であり
、そして製造業者の指示に従って操作され得る。
【0050】 上記のTMに加えて、TMでなく上皮細胞および/またはNPE細胞と会合す
る基底外側因子に特異的に結合し得、そして上皮細胞へのインターナリゼーショ
ンを続いて生じ得る、他の分子が存在する。このような分子は、ポリ免疫グロブ
リンレセプターに結合する抗体ドメインを含むペプチドまたはタンパク質を含む
。分子のこのタイプは、培養における上皮様表面を用いるスクリーニングアッセ
イにおいて同定され得る。
【0051】 1つの適切なスクリーニングアッセイにおいて、ペプチドのコンビナトリアル
ライブラリーが用いられ、この各ペプチドは、容易に検出可能な生化学的マーカ
ーまたは化学的マーカー(例えば、ビオチニル−リジン残基または放射性標識さ
れたヨウ素への共有結合によって修飾されるチロシン残基)を含む。このような
アッセイにおいて、個々のペプチドまたは8〜15アミノ酸残基を有するぺプチ
ドのファミリーは、上皮様単層細胞培養物および/またはNPE細胞の基底外側
ドメインに曝露される溶液中でインキュベートされる。ペプチド溶液のインキュ
ベーション後、細胞培養物の先端ドメイン上の溶液は、合成の間に誘導された生
化学的マーカーまたは化学的マーカーについての分析によって、輸送されたペプ
チドの存在についてアッセイされる。例えば、質量分析による、輸送されたペプ
チドのペプチド配列のその後の分析が、培養物において上皮様表面および/また
はNPE細胞原形質膜を横切って輸送され得るペプチドの同定を示すために使用
される。次いで、この様式において同定される任意のペプチドは、蛍光マーカー
を含むための化学的手段によって合成される。次いで、蛍光マーカーを含むペプ
チドは、結合を可能にするが、インターナリゼーションを可能しない条件下(例
えば、4℃)、または取込みを可能にするが、トランスサイトーシスを可能にし
ない条件下(例えば、16℃)で、上皮様単層細胞培養物またはNPE細胞の基
底外側ドメインに曝露された溶液中でインキュベートされ、そして細胞は、顕微
鏡観察されて、ペプチドが、上皮様層の細胞と結合する能力、またはこれによっ
てインターナリゼーションされる能力を決定する。
【0052】 類似のアッセイが、ポリ免疫グロブリンレセプターを含有する上皮細胞に結合
する能力、これによってインターナリゼーションおよびトランスサイトーシスさ
れる能力について、モノクローナル抗体、1本鎖抗体、抗体結合領域、またはF
abフラグメントの集団をスクリーニングするために使用され得る。分泌性の成
分で、ポリ免疫グロブリンレセプターで免疫された動物、またはこのような免疫
に対してネイティブな動物において惹起される抗体は、上皮様単層細胞培養物ま
たはNPE細胞の基底外側ドメインに曝露された溶液中でインキュベートされる
。抗体のインキュベーション後、細胞培養物の先端ドメイン上の溶液が、抗体ま
たは抗体フラグメントの存在についての分析によって、輸送抗体の存在について
アッセイされる。この評価は、酵素連結免疫吸着アッセイについての市販の抗体
を使用して、またはイムノブロット技術によって、行われ得る。これらのアッセ
イのいずれも、抗体を特徴付けする分野の当業者によって、容易に行われ得る。
【0053】 次いで、この様式において同定される、任意の抗体または抗体フラグメントは
、単離され、そして蛍光マーカーに結合され得る。従って、蛍光マーカーに付着
された免疫グロブリンは、次いで、結合を許容するが、インターナリゼーション
を許容しない条件下(例えば、4℃)、または取込みを許容するが、トランスサ
イトーシスを許容しない条件下(例えば、16℃)で、上皮様単層細胞培養物の
基底外側ドメインに曝露された溶液中でインキュベートされ、そして細胞は、顕
微鏡観察されて、抗体が、上皮様層の細胞を結合する能力、またはこれによって
インターナリゼーションされる能力を決定する。Ferkolら、J. Cli
n.Invest.92:2394−2400は、類似の方法によって抗体結合
ドメインを同定した。
【0054】 1つ以上の生物学的薬剤へのTMの連結は、当業者に公知の任意の手段(例え
ば、遺伝子融合、共有結合的な化学的付着、非共有結合的付着(例えば、吸着)
またはこのような手段の組合せ)によって達成され得る。生物学的薬剤にTMを
連結するための方法の選択は、一部、薬剤の化学的性質に依存して、そして薬剤
が、上皮細胞内で、基底外側ドメインで機能するか否か、またはトランスサイト
ーシスを受けるか否かに依存して、変化する。遺伝子融合による連結は、生物学
的薬剤およびTMの両方を含む単一の融合ペプチドをコードする核酸分子を作製
するために、標準的な組換えDNA技術を使用して行われ得る。必要に応じて、
融合ペプチドは、1つ以上のリンカー配列および/または細胞内標的化について
の配列(例えば、KDEL、プロテアーゼ切断部位、核標的化配列など)を含み
得る。次いで、組換え核酸分子は、適切なベクターに導入され、そして適切な宿
主細胞において発現される。このような組換え分子を作製するための、およびペ
プチドを発現するための技術は、当業者に周知である(例えば、Sambroo
kら、Molecular Cloning:A Laboratory Ma
nual、第2版、Cold Spring Harbor Laborato
ry、Cold Spring Harbor、NY、1989を参照のこと)
。公知のポリぺプチド配列を有する任意の生物学的薬剤は、遺伝子融合によって
、TMに連結され得る。例えば、組換え技術を使用して、1つ以上の免疫グロブ
リン由来の配列(例えば、1本鎖抗原結合タンパク質、ヒンジ、FvγまたはF
vκ)は、N末端および/またはC末端で、TMに連結され得る。
【0055】 連結はまた、任意の種々の適切な方法を使用して、共有結合的付着によって達
成され得る。例えば、TMおよび生物学的薬剤は、TMおよび生物学的薬剤の両
方に反応し得、そして2つの間の架橋を形成し得る二官能性試薬(リンカー)を
使用して、連結され得る。一般に利用可能な二官能性のクロス−リンカーは、炭
水化物、アミン、スルフヒドリル、およびカルボキシル官能基を結合し得るか、
または共有結合を可能にするために、光反応基を用い得る。これらの試薬は、例
えば、さらなるペプチドリンカー(次いで、これは生物学的薬剤に付着される)
の付着のために特に有用である。リンカーの共有結合的付着は、TMに連結され
る抗体の抗原結合部位に存在するアミノ酸側鎖への結合を介して、達成され得る
。簡潔には、このような残基へのリンカーの付着は、リンカーが抗原として認識
され、そして適合性の反応残基が、リンカー上におよび抗体の結合ドメイン中に
存在する場合、それ自身の抗体認識プロセスの結果として生じ得る。このような
反応性の抗体は、代表的に、求核基(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、
グルタミン、リジン、および/またはアスパラギン)として作用し得る側鎖を有
するアミノ酸残基を含む抗原結合部位を有する。上皮細胞内に残存する薬剤の送
達のために、標的細胞内で切断されるリンカーは、特に有用であり得る。細胞内
の生物学的薬剤の放出は、細胞の遺伝子能力を導入または増加し得る(例えば、
ガン腫細胞において、P53タンパク質レベルを増加する)か、または既存の細
胞活性を阻害し得る(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、腫瘍形成、
腫瘍維持、および/または転移に必須である機能的な細胞内転写物(例えば、高
レベルの糖分解酵素を生成する転写物)を結合し得る)。
【0056】 任意の種々の分子は、本発明におけるリンカーとして作用し得る。ポリヌクレ
オチドおよび/またはペプチドリンカーが、使用され得る。次いで、このような
分子は、例えば、腸内ヌクレアーゼおよびプロテアーゼ(例えば、エンテロキナ
ーゼ、トリプシン)によって、それぞれ消化されて、生物学的薬剤を放出し得る
。好ましいリンカーは、上皮障壁と会合されるプロテアーゼ(すなわち、上皮細
胞もしくは表面内、上皮細胞もしくは表面上に存在するか、または上皮細胞もし
くは表面に近接するプロテアーゼ)についての基質を含む。
【0057】 多数のプロテアーゼは、上皮細胞に存在するか、またはこれらに会合する。分
泌されるタンパク質のプロセシングは、例えば、細胞内膜系からの分泌の前に、
新規に合成されたタンパク質(プレタンパク質とよばれる)の一部分のタンパク
質分解性の切断を必要とする。さらなるプロセシングは、細胞から活性酵素を遊
離するために必要とされ得、例えば、さらなるタンパク質分解から生じ得、ここ
では基質は、プロタンパク質またはプロ酵素と呼ばれ得る。これらのプロタンパ
ク質の特異的なタンパク質分解性の切断部位は、新規に合成されたタンパク質の
配列と、最終的な分泌タンパク質とのアミノ酸配列の比較によって同定され得る
。これらの切断部位は、特定の細胞内プロテアーゼの基質認識配列を同定する。
上皮細胞に特異的な、1つのこのようなプロテアーゼ認識部位は、ヒトポリ免疫
グロブリンレセプターの残基585〜600(pIgR、配列番号45;Pis
kurichら、J.Immunol.154:1735−1747、1995
に従う番号づけ)からのアミノ酸配列内に存在し得る。あるいは、pIgRの細
胞内切断は、残基601〜630(VRDQAQENRASGDAGSADGQ
SRSSSSKVLF、配列番号91)内に含まれ得る。成熟SCを得るための
カルボキシ末端からのSCのその後の短縮化は、粘膜環境におけるカルボキシペ
プチダーゼに起因して生じ得る。残基601〜630からの配列の全てもしくは
部分を含むペプチドは、トランスサイトーシスするTM−薬物結合体のエンドソ
ーム放出のために有用であり得る。別のこのようなプロテアーゼ認識部位は、多
くのマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)についてのペプチド基質を同定
し、アミノ酸配列PLGIIGG(配列番号92)を含む。ガン細胞は、しばし
ば、豊富な量のMMPを含み、そしてこれを分泌するので、この配列は、ガン細
胞中またはその周辺で、効率よく、特異的に切断されることが期待される。別の
このようなプロテアーゼ認識部位は、ガン細胞中にまた豊富であり得るプロテア
ーゼを同定し、プロカテプシンEの残基30〜40(配列番号39)を含む。し
かし、別のタイプのプロテアーゼ認識配列は、ヒトIgA1のCH2領域におけ
る残基(VPSTPPTPSPSTPPTPSPSCCHPRL、配列番号93
)を含み、そして微生物によって分泌されるIgA特異的プロテアーゼによって
切断可能である。
【0058】 これらのプロテアーゼ認識部位は、一般に、上皮細胞の細胞内環境に、または
上皮障壁に、薬物、画像化化合物、または他の生物学的薬剤を送達することを可
能にする、切断しやすい(scissile)リンカーを設計するにおいて極め
て有用である。上皮細胞へのこのような化合物の送達は、ヒトpIgRの残基5
85〜600(配列番号45)、または残基601〜630(配列番号91)を
、生物学的化合物をTMに結合する切断しやすいリンカーの部分として使用する
ことによって、達成され得る。上皮起源の腫瘍への、抗ガン薬物の送達は、MM
Pの基質認識配列(配列番号92)またはプロカテプシンEの残基30〜40(
配列番号39)を、TMに対する切断しやすいリンカーの部分として使用して、
達成され得る。あるいは、切断しやすいリンカーは、新規に合成され、そして分
泌されたタンパク質の比較、または類似の技術によって同定され得る、他のガン
細胞特異的なまたは上皮障壁特異的なプロセシングプロテアーゼから設計され得
る。切断しやすい結合を切断するために使用され得る、他のタイプのプロテアー
ゼは、例えば、哺乳動物十二指腸において見出され得る。エンテロキナーゼ認識
配列の(Asp)4−lysは、十二指腸上皮障壁を横切るTM媒介性のトラン スサイトーシスによって、生物学的化合物を十二指腸に送達するための切断しや
すいリンカーとして使用され得る。タンパク質分解性の切断は、小さなフラグメ
ントのリンカー(例えば、VQYT、配列番号40、プロカテプシン由来;EK
VAD。配列番号41、pIgR由来;またはIIGG、配列番号94、一般的
なMMP基質配列由来)を有する生物学的薬剤を放出する。次いで、このような
残基のリンカーセグメントはさらに、タンパク質分解酵素(例えば、カルボキシ
ペプチダーゼIIまたはアミノペプチダーゼI)によって消化され、未修飾の生
物学的薬剤を生じ得る。
【0059】 切断しやすいペプチドリンカーは、一般に、約5〜約50のアミノ酸残基長で
ある。これらは、遺伝子融合技術よって(すなわち、TMコドンもしくは付加物
コドンの5'または3'配列とインフレームに)、または種々の官能基(例えば、
NH2、COOH、SH)の結合を可能にする、任意の種々の化学的手順によっ て、TMに、もしくはTMに付着される付加物に、共有結合的に連結され得る。
あるいは、切断しやすいペプチドは、それ自身、抗原を含み得、次いで抗原は、
コグネイト抗原結合能力を含むTMに結合され得る。例えば、配列−Glu−G
ln−Lys−Leu−Ile−Ser−Glu−Asp−Leu−(配列番号
95)を含む切断しやすいペプチドは、抗myc抗体(カタログ番号R950−
25、Invitrogen、Carlsbad、CA)によって認識および結
合される。同様に、そのカルボキシ末端でオリゴヒスチジンを含有する切断しや
すいペプチドは、抗His(C−末端)抗体(カタログ番号R930−25、I
nvitrogen、Carlsbad、CA)によって認識および結合される
【0060】 上皮細胞と会合される細胞内プロテアーゼについての他の基質としては、ホス
ホリパーゼまたはグリコシダーゼについての基質が挙げられるが、これらに限定
されない。あるいは、リンカーは、細胞における放出のために、負に荷電された
核酸分子を結合する、反復する正に荷電されたリジン残基を含み得る。ペプチド
リンカーは、ペプチド生物学的薬剤(例えば、抗生物質のセクロピン、マゲイニ
ン(magainin)、およびマストパリン(mastoparin))につ
いて、特に有用であり得る。
【0061】 炭水化物は、ネイティブな炭水化物に、またはTMのポリぺプチド骨格に、共
有結合的に付着され得、そしてリンカーとして用いられ得る。適切な炭水化物と
しては、ラクトース(これは、例えば、小腸に存在するラクターゼによって分解
され得る)、スクロース(スクラーゼによって消化され得る)、およびα−限定
デキストリン(デキストラーゼによって消化される)が挙げられるが、これらに
限定されない。炭水化物リンカーの切断を担う酵素が上皮障壁の管腔ドメインの
刷子縁膜に付着されることが見出され得る。例えば、スクラーゼ−イソマルター
ゼは、マルトース、マルトトリオース、およびマルトペントースの1,4−α結
合を切断する。それゆえ、腸刷子縁特異的リンカーは、1,4−α結合によって
連結されるマルトースの任意のポリマーから構成される。TMに付着される場合
、このリンカーは、トランスサイトーシスによって上皮障壁を介して通過し、そ
して上皮障壁の先端ドメイン上に存在するスクラーゼ−イソマルターゼによって
切断されるのみである。
【0062】 脂質はまた、またはあるいは、リンカーとしての使用のために、ポリぺプチド
骨格に、共有結合的に付着され得る。次いで、この様式において用いられるモノ
グリセリドは、グリセロールまたは脂肪酸に連結される生物学的薬剤を放出する
ために、腸リパーゼによって消化され得る。リン脂質は、ホスファチジルセリン
極頭基へのペプチド結合を介して、またはホスファチジルイノシトールの頭基の
水酸基の1つへのエーテル結合またはエステル結合によって、TMに付着され得
る。非極性頭基(ジアシルグリセロール)は、活性形態または不活性形態の生物
学的薬剤によって、全体が置換され得る。例えば、R基を介して、1−ホスホ−
myo−イノシトール−TMのリン酸に連結されたペニシリンは、細菌感染に由
来するホスホリパーゼCによって放出されるまで、不活性である。他の適切なリ
ンカー部分は、当業者に明白である。
【0063】 連結はまた、TMと生物学的薬剤との間で、直接的な共有結合を形成すること
によって、行われ得る。リンカーが用いられるか否かに関わらず、任意の種々の
標準的な方法が、共有結合を形成するために使用され得る。ペプチド生物学的薬
剤およびリンカーについて、このような共有結合は、TMおよび生物学的薬剤の
システイン残基間のジスルフィド結合であり得る。簡潔には、このような結合は
、高等生物体の内膜系からの分泌のプロセス中に形成され得る。このような場合
において、ぺプチド生物学的薬剤およびTMは、内膜上での合成を特定する適切
なシグナルを含まなければならない。このようなシグナルは、当業者に周知であ
る。反応性抗体は、生物学的薬剤またはリンカーに直接的に共有結合的に付着さ
れ得る。反応基または特定の反応についての遷移状態アナログを含む抗原に対し
て惹起される抗体は、抗原と、または類似の分子と、共有結合的な相互作用を形
成し得る結合部位における、残基を含み得る。このような反応の例は、ジケトン
とビニル様の(vinylogous)アミド結合を形成するために反応するモ
ノクローナル抗体38C2の結合部位におけるリジン残基と他の密接に関連する
分子との間で生じる(Wagnerら、Science 270:1797−1
800、1995)。反応性抗体もしくは反応性抗体の結合部位を含むTMは、
脂質、ペプチド、炭水化物、核酸、または他の組成物のリンカーとの共有結合を
形成するために使用され得る。結合部位において共有結合を介してTMに付着さ
れた生物学的薬剤を含むTMは、抗体ドメインにおいて正常な配座および機能を
有することが予測され得る。抗原結合部位の外側の抗体構造に対する改変の非存
在は、身体に導入される場合、外来としてのこのような分子の認識が変化する可
能性を最小にする。さらに、ヒト起源の抗体の結合部位を介してつながれる分子
は、血清および他の身体区画において、ネイティブな抗体の半減期に類似する半
減期を有し、そしてTMに対する抗体応答を刺激する低い傾向を有することが期
待される。
【0064】 上記のように、任意の治療学的な生物学的薬剤は、TMに連結され得る。生物
学的薬剤としては、タンパク質、ペプチド、およびアミノ酸;核酸およびポリヌ
クレオチド;ステロイド;ビタミン;多糖;無機物;脂肪;無機化合物、および
細胞または細胞成分が挙げられるが、これらに限定されない。生物学的薬剤はま
た、インビボで生物学的活性を有する薬剤を作製するプロドラッグであり得る。
一般に、生物学的薬剤は、上記のような種々の技術を用いて結合され得、そして
任意の方向で存在し得る。
【0065】 ペプチド生物学的薬剤の分類は、種々の結合薬剤を含む。本明細書で使用され
る「結合薬剤」とは、細胞内で分子に結合し、かつその分子の不活性化および/
または分子の除去を促進する任意の化合物である。結合薬剤は、例えば、細胞内
部の必須成分および頂面の境界を横切る続いてトランスサイトーシスする成分を
結合することによるウイルス性の病原集合体を阻害するため;トランスサイトー
シスによる細菌性の毒素を結合し、そして除去するため;血清または細胞毒素も
しくは代謝物を結合し、そして除去するため;あるいは環境毒素を結合し、そし
て除去するために使用され得る、単鎖抗原結合タンパク質を含む。
【0066】 結合薬剤はまた、例えば、反応抗原結合部位であるが、これに限定されない抗
原結合部位であり得る。例えば、抗原結合部位は、酵素(例えば、活性部位)に
結合し得、そして酵素の活性を阻害し得る。抗原結合部位もまた、他の分子に結
合し得、そして他の細胞機能(例えば、リボソームまたはトランスポーターのよ
うな)を阻害し得る。
【0067】 例えば、エステラーゼ、ホスファターゼ、グリコシダーゼ、およびペプチダー
ゼのような、キナーゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、イソメラーゼ、プ
ロテアーゼ、リガーゼ、およびオキシドレダクターゼを含む酵素もまた、使用し
得る。例えば、TMに連結した酵素は、細菌毒素の特異的なタンパク質分解性切
断、タンパク質または必須細胞表面機能への付着(ウイルス性または細菌性)、
腫瘍の維持または転移に不可欠である分泌されたガン細胞特異的タンパク質(例
えば、プロテアーゼ)のタンパク質分解性切断、ウイルスまたは細菌の病原性に
不可欠である細胞表面炭水化物の分解、あるいは細胞外性のガン細胞特異的機能
または病原体特異的機能を阻害する生化学的な機能(例えば、リン酸化)の特異
的な移行を生じ得る。
【0068】 ペプチド生物学的薬剤はまた、酵素インヒビター(例えば、ロイペプチン、キ
モスタチンまたはペプスタチン);ホルモン(例えば、インスリン、プロインス
リン、グルカゴン、副甲状腺ホルモン、コロニー刺激因子、成長ホルモン、甲状
腺ホルモン、エリトロポエチン、濾胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、腫瘍壊
死因子);ホルモン放出ホルモン(例えば、成長ホルモン放出ホルモン、コルチ
コトロピン放出因子、黄体形成ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出抑制ホ
ルモン(ソマトスタチン)、絨毛膜性腺刺激ホルモン放出因子および甲状腺ホル
モン放出ホルモン);細胞レセプター(例えば、エストロゲンレセプター等のホ
ルモンレセプター)および細胞レセプターサブユニット;成長因子(例えば、腫
瘍血管新生因子、上皮増殖因子、神経成長因子、インスリン様成長因子);サイ
トカイン(例えば、インターフェロンおよびインターロイキン);組織適合抗原
;細胞接着分子;神経ペプチド;アセチルコリン等の神経伝達物質;α−リポプ
ロテインなどのリポタンパク質;ヒアルロン酸等のプロテオグリカン;性腺刺激
ホルモンなどの糖タンパク質;抗体(ポリクローナル、モノクローナルまたはフ
ラグメント);ならびに、上述のいずれかのアナログおよび化学改変誘導体であ
り得る。
【0069】 ポリヌクレオチド生物学的薬剤としては、HIV、EBV、EBNa−1また
は逆転写酵素アンチセンスヌクレオチドなどのアンチセンスオリゴヌクレオチド
(DNAまたはRNA);活性ガン遺伝子またはウイルス特異的遺伝子産物に特
異的なポリヌクレオチドおよび自己免疫B細胞免疫グロブリン遺伝子またはT細
胞レセプター遺伝子における独特な配列あるいは変異タンパク質対立遺伝子(例
えば、変異βアミロイドタンパク質)に相補的なポリヌクレオチド;ならびに薬
物耐性遺伝子を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド(例えば、発現ベ
クター内のDNA、またはRNA)が挙げられる。また、触媒活性を有するポリ
ヌクレオチド剤(例えば、リボザイム)、あるいは細胞もしくはウイルスのDN
A,RNAまたはタンパク質に共有結合する能力を有するポリヌクレオチド剤も
含まれる。ヌクレオチド(例えば、チミン)および放射性核種(例えば、ヨウ素
、臭素、鉛、パラジウム、銅)もまた使用され得る。
【0070】 広範な種々のステロイド生物学的薬剤も使用され得、プロゲステロン、アンド
ロゲンおよびエストロゲン(エチニルエストラジオールなどの避妊薬を含む)が
挙げられる。同様に、ビタミン類(ビタミンA、D、EおよびKなどの脂溶性ビ
タミンならびにそれらのアナログを含む)などの薬剤も、TMに連結され得る。
無機生物学的薬剤としては、酸化鉄などの酸化物が挙げられる。多糖類生物学的
薬剤は、種々の炭水化物、ならびにリポ多糖類およびへパリン等の化合物のいず
れかを含む。
【0071】 特定の好ましい実施態様の中で、TMに連結する生物学的薬剤は、NPE細胞
死を誘導する。広範な種々のこのような致死性の生物学的薬剤のいずれもが、本
目的に使用され得、そして有効性は、一般的に、TMにより媒介されるNPE細
胞への送達により増強される。例えば、生物学的薬剤は、抗腫瘍薬剤(例えば、
ドキソルビシン、カルボプラチン、ダクチノマイシン、フルオロウラシル、また
はマイトマイシン)、抗転移性細胞薬剤(例えば、タモキシフェン、エトポシド
、ダカルバジン、クロラムブシル、またはシクロホスファミド)、または抗子宮
内膜症性細胞薬剤であり得る。さらに、他の生物学的薬剤によって、その作用様
式を考慮することなしにNPE細胞を殺傷することは、NPE細胞への標的化送
達がない場合、他になければ、はるかに有毒すぎる酵素および毒素により成し遂
げられ得る。例えば、サパリン(saparin)のような毒性酵素、ならびに
リシンのような毒素が、TMに連結され得、そして治療目的に使用され得る。他
の適切な生物学的薬剤は、抗体、核酸および炭水化物を含む。
【0072】 もちろん、上記の生物学的薬剤の例は、単に例示する目的で示したのであって
、本発明の範囲を限定するためのものではない。本発明の範囲内で用いられ得る
他の試薬は、当業者にとって明白である。
【0073】 1つの実施態様において、上述の標的分子は、天然ではこの標的分子と会合し
ない生物学的薬剤と連結される。この実施態様の状況では、生物学的薬剤はヨウ
素ではない。生物学的薬剤は、例えば、酵素、結合剤、インヒビター、核酸、炭
水化物または脂質であり得る。1つの好ましい実施態様において、生物学的薬剤
は抗原結合部位を含む。
【0074】 1つ以上の生物学的薬剤に連結されたTMは、上皮組織またはNPE細胞に生
物学的薬剤を送達するために有利である場合(インターナリゼーションおよび/
またはトランスサイトーシスのために)はいつでも使用され得る。例えば、上皮
表面またはNPE細胞に関連した種々の状態は、TMに連結された致死性または
非致死性の生物学的薬剤を用いて処置および/または予防され得る。一般的に、
致死性の生物学的薬剤を使用するこのような処置は、NPE細胞死を生じる。細
胞死は、NPE細胞をTM生物学的薬剤と接触させる直接の結果、または他の分
子により媒介される間接の結果であり得る。例えば、直接の細胞殺傷は、TM−
毒素(例えば、TM−ドキソルビシンまたはTM−サパリン)の取り込みから生
じ得る。間接の殺傷は、次いで、プロドラッグを活性毒素に変換するTM−酵素
の取り込みから生じ得る(例えば、DeonarianおよびEpenetos
、Br.J.Cancer 70:786〜94、1994の表1を参照のこと
)。このような状態は、ガン、ウイルス感染、および炎症性障害を含むがこれら
に限定されない。適切な生物学的薬剤は、処置および/または予防される状態の
性質に依存して変化し、上記に提供された薬剤、ならびに、当業者に公知の他の
薬剤を含む。
【0075】 本明細書で使用される「処置」とは、状態の症状を軽減すること、または進行
を遅延または抑止することをいう。TMに連結した生物学的薬剤は、一般に、状
態に罹患した患者に対し、薬学的組成物の形態で治療有効投薬量が投与される。
薬学的組成物を調製するために、有効濃度の一種以上のTM−生物学的薬剤複合
体を、適切な薬学的キャリアまたはビヒクルと混合する。あるいは、薬学的組成
物は、宿主に由来する細胞または別の生物に由来する細胞(例えば、骨髄腫細胞
、幹細胞、樹状細胞、肝細胞または基底細胞)を含み得、これらの細胞は、宿主
の体内に導入される場合、TMを産生する。投与の際に症状を改善するか、また
は疾患を処置するTM(またはTMをインビボ産生する細胞)の量を有効量とみ
なす。治療有効濃度および量は、公知のインビトロおよびインビボ系におけるT
Mの試験によって経験的に決定され得る;次いで、ヒトまたは他の動物に対する
投薬量はこれらに基づいて推定され得る。薬学的キャリアまたはビヒクルには、
投与の特定形態に適することが当業者に公知であるような任意のキャリアが含ま
れる。
【0076】 本発明の組成物は、種々の異なる経路(経口、非経口、静脈内、皮内、皮下ま
たは局所を含む)による、液状、半液状または固形の形態での投与のために調製
され得、そして各投与経路に適した様式で処方される。好適な投与態様は、処置
される適応性に依存する。
【0077】 経口、非経口、皮内、皮下または局所の適用に使用する溶液または懸濁液は、
一種以上の以下の成分:滅菌希釈剤、生理食塩水(例えば、リン酸緩衝化生理食
塩水)、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコ
ールまたは他の合成溶媒;ベンジルアルコールおよびメチルパラベン等の抗菌剤
;アスコルビン酸および亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジア
ミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩およびリン酸塩等
の緩衝剤;ならびに塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの毒性の調整のた
めの薬剤を含み得る。さらに、他の薬学的活性成分および/または適切な賦形剤
、例えば、塩、緩衝剤、安定剤などが組成物中に存在し得るが、これは必要では
ない。リポソーム懸濁液もまた、薬学的に受容可能なキャリアとして適切であり
得る。これらは、当業者に公知の方法により調製され得る。
【0078】 TMは、これが体内から急速に排出されるのを防ぐキャリア、例えば、時期放
出性処方物またはコーティングとともに調製され得る。このようなキャリアとし
ては、例えば、これらに限定されないが、移植片およびマイクロカプセル化送達
系等の徐放処方物ならびにエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸
、ポリオルトエステル、ポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーが挙げら
れる。
【0079】 薬学的組成物は、一般的には、望ましくない副作用を最小限に抑えて治療的に
有用な効果を発揮するように処方され、そして投与される。受容可能な副作用の
数および程度は、組成物が投与される状態に依存する。例えば、重篤度の低い障
害を処置する場合は耐性でない、毒性でかつ望ましくない特定の副作用は、腫瘍
等の致命的な疾患を処置する場合は耐性である。組成物中の生物学的薬剤の濃度
は、これらの吸収、不活化および排出速度、投薬スケジュールおよび投与される
量ならびに当業者にとって公知の他の要因に依存する。
【0080】 組成物は、一度に投与され得るか、または時間間隔毎に投与されるように多数
のより少ない用量に分割され得る。正確な投薬量および処置期間は、処置される
疾患の関数であり、そして公知の試験プロトコルを用いるか、またはインビボあ
るいはインビトロ試験データからの推定により経験的に決定され得る。投薬量は
また、緩和すべき状態の重篤度に応じて異なり得る。任意の特定の被験体につい
て、患者の個々の必要に従って、時間の経過とともに具体的な投薬計画は調整さ
れ得る。
【0081】 以下の実施例は、例示のために提供され、そしてこれは限定のためでない。
【0082】 (実施例) (実施例1) (標的分子の調製) この実施例では、代表的な標的分子の調製を示す。
【0083】 (A. 生物学的供給源からの代表的TMの精製) 2量体IgA(dIgA)の調製:10mLのヒトIgA骨髄腫血漿(Int
ernational Enzymes,;Inc.Fallbrook,CA
)を、等量のPBSと混合し、そして20mLの飽和硫酸アンモニウム(H2O )を攪拌下で滴下した。一晩4℃でインキュベートした後、沈殿物を17,00
0×gでの15分間の遠心分離によりペレット化し、そして上清画分を除いた。
このペレットを2mlのPBSに再懸濁した。得られた画分を、13,500×
gで5分間遠心分離して明澄化し、そして0.45μmフィルター(Nylon
66、直径13mm、Micron Separations,Inc.,We
stborough,MA)を通過させる。2ml(約半分)の明澄化画分をS
ephacryl(登録商標)S−200カラム(1.6×51cm;0.25
ml/分PBSおよび0.1%アジ化ナトリウム)(Pharmacia,Pi
scataway,NJ)に適用し、そして2mlの画分を採集する。最高濃度
のdIgAを有することが(各画分10μlのSDS−PAGE分析により)見
出された画分を凍結乾燥し、200μlの脱イオンH2Oに再懸濁し、Supe rose(登録商標)6カラム(1.0×30cm;0.25ml/分PBSお
よび0.1%アジ化ナトリウム)(Pharmacia,Piscataway
,NJ)に適用する。1mlの画分を採取し、そしてSDS−PAGEにより分
析を行う。第13画分が90%を超える純度でdIgAを含むことが見出される
【0084】 dIgAの緩和な還元によるJ鎖の調製:10mg未満のdIgAを含むサン
プル1mlを上述のようにして調製し、そして100mMリン酸ナトリウム(p
H6.0)および5mM EDTAを含む緩衝液に対して透析する。6mgの2
−メルカプトエチルアミンHClを終濃度0.05Mとなるように加え、そして
サンプルを37℃で90分間インキュベートする。還元されたタンパク質を、P
BS+1mM EDTAで平衡化した脱塩カラムに通す。タンパク質含有画分を
、BCA試薬を用いるアッセイにより検出する。次いで、J鎖をゲル濾過および
イオン交換クロマトグラフィーによりさらに精製する。
【0085】 分泌型IgA(sIgA)の調製:100mLのヒト母乳(Lee Scie
ntific,Inc.;St.Louis,MO)を100mlのPBSと混
合し、そして17,000×gで1時間、4℃で遠心分離する。脂肪層の下の明
澄層をきれいな遠心分離ボトルに移し、そして17,000×gで30分間、4
℃で遠心分離する。サンプルのpHを2%酢酸で4.2に調整する。4℃で1時
間インキュベートした後、サンプルを17,000×gで1時間、4℃で遠心分
離し、そして上清画分を新たな試験管に移し、そして0.1M NaOHでpH
7に調整する。等量の飽和硫酸アンモニウムを攪拌下で加え、そしてサンプルを
4℃で一晩インキュベートする。沈殿物を遠心分離(17,000×g、90分
間、4℃)によりペレット化し、約7mlのPBSに再懸濁し、そして4℃でP
BSに対して徹底的に透析する。
【0086】 得られた約25mlのうち、1.1mlをさらに精製する。不溶固形分を遠心
分離(13,500×g、10分間)により除去し、そしてこの明澄化上清画分
に等量の0.05M ZnSO4を加える。pHを約40μlの1M NaOH を加えることにより6.85に調整する。この物質を室温で5分間放置した後、
サンプルを13,500×gで、10分間、室温で遠心分離する。1.5mlの
上清を1.5mLの飽和硫酸アンモニウムと混合し、そして4℃で1時間放置す
る。沈殿物質を遠心分離(13,500×g、10分間、室温)によりペレット
化し、そしてSDS−PAGE分析により90%を超えるsIgAが含まれてい
ることが見出される。
【0087】 2つのα鎖由来ペプチドと架橋したニックJ鎖からなる分子(CNBr切断フ
ラグメント)の調製:上述(「sIgAの調製」)のようにして調製したsIg
Aを含むペレットを、375μlの脱イオンH2Oに再懸濁する。サンプルをガ ラスバイアルに移し、そしてバイアルを、ほぼ縁まで875μlのギ酸で満たす
。約20mgの固体CNBrを加え、そしてテフロン製中蓋を使用してバイアル
を封止する。4℃で一晩反応を進行させる。次に、サンプルを脱イオンH2O( 2回交換)およびPBSに対して4℃にて透析し、そして凍結乾燥し、200μ
LのH2Oで再懸濁し、そしてSuperose(登録商標)6カラム(1.0 ×30cm、0.25ml/分PBSおよび0.1%アジ化ナトリウム)に適用
する。1mLの画分を採取する。J鎖を含む画分を各画分のアリコート由来のS
DS−PAGEにより分離したタンパク質をイムノブロットすることにより、同
定する。
【0088】 最高濃度のJ鎖を有する画分を、50mMTris−CL(pH8.1)で平
衡化したPD−10カラム(Pharmacia,Uppsala,Swede
n)に通し、そして20 PI Poros陰イオン交換カラム(4.6mm×
100mm;PerSeptive Biosystems,Inc.,Fra
mingham,MA)に適用する。カラムを、10mlの50mM Tris
−CL(pH8.1)で洗浄し、そして50mM Tris−Cl pH8.1
中の0〜1.0M NaClの直線勾配(15ml勾配)を用いて溶出する。カ
ラムからのタンパク質の溶出は、280nmでの吸収度としてモニタリングし、
そしてSDS−PAGEにより分離したアリコートのイムノブロッティングによ
り、J鎖含有画分を同定する。
【0089】 J鎖精製についての代替法:種々の供給源が、ヒトJ鎖を単離するための出発
物質として適切である。IgA多発性骨髄腫患者の血清由来の高分子IgA、ワ
ルデンストレームマクログロブリン血症患者の血清由来の分泌IgAまたはIg
M、ならびにヒト母乳由来の分泌型IgAを、J鎖精製の出発物質として用い得
る。J鎖(16,000)およびL鎖(22,500)の分子量の差は、ゲル濾
過によるこれらの2つの鎖の満足行く分離を可能にするために充分大きいはずで
あるが、J鎖の独特なコンフォメーションおよびその二量体化能力により、しば
しばL鎖とJ鎖との同時溶出が生じる。単離手順は、J鎖の陰電荷(アスパラギ
ン酸およびグルタミン酸残基の高含量に起因する)が、ヨード酢酸を用いた還元
システイン残基のS−亜硫酸分解またはアルキル化によりさらに増大することを
利用する。続いてJ鎖は、塩の直線勾配を用いたDEAE−またはCM−セルロ
ースクロマトグラフィー、あるいは解離剤の存在下または非存在下での調製用電
気泳動によりH鎖およびL鎖から分離され得る。
【0090】 免疫化学的および物理化学的に均一なJ鎖の単離を生じるDEAEセルロース
による精製:出発物質として、部分的酸化亜硫酸分解および続く5Mグアニジ−
HClにおけるSephadex(登録商標)G−200によるゲル濾過により
得られた、重合性IgA、S−IgA、またはIgMのJ鎖含有L鎖画分を使用
し得る。あるいは、S−スルホン化IgAまたはS−IGAが、直接DEAE−
セルロースにかけられ得る。しかし、通常は、夾雑しているH鎖を除去するには
5Mグアニジン−HClでのSephadex(登録商標)G−200によるゲ
ル濾過を用いてさらなる分離を行なう必要がある。
【0091】 出発物質は以下の試薬からなる:血清の重合性IgAもしくはIgM、または
初乳S−IgAのL鎖画分;0.01Mリン酸二ナトリウムの脱イオン8M尿素
溶液および0.7M NaCl含有の同緩衝液;8M尿素含有0.01Mリン酸
二ナトリウムで平衡化したDEAEセルロース;1%NH4HCO3溶液における
Sephadex(登録商標)G−25カラム。
【0092】 凍結乾燥したL鎖画分を8M尿素の0.01Mリン酸二ナトリウムに溶解し、
同リン酸溶液で平衡化したDEAE−セルロースカラムにかける。このカラムを
この緩衝液で完全に洗浄する。吸着されたタンパク質を、8M尿素の0.01M
リン酸二ナトリウムおよび0.7M NaClの0.01Mリン酸二ナトリウム
の直線勾配により溶出する。2画分を得、後者の画分はJ鎖を含有している。
【0093】 J鎖含有画分を、CO2でバブリング(bubbling)して中性に調節し た1%NH4HCO3でのSephadex(登録商標)G−25カラムにより脱
塩する。J鎖の純度を、抗L鎖、抗H鎖、および抗J鎖試薬とのアルカリ性尿素
ゲル電気泳動または免疫電気泳動により評価し得る。
【0094】 (B.TMポリペプチドの直接合成) 手動による合成を、Biosearch−Milligen (Bedfor
d、MA)から購入したBOC−Lアミノ酸を用いて行う。機械補助合成を、P
eptide Institute(大阪、日本)およびPeptides I
nternational (Louisville、KY)からのBOC−L
−アミノ酸を用いて行う。BOC−Dアミノ酸は、Peptide Insti
tuteからである。BOC−L−His(DNP)およびBOC−L−Aba
は、Bachem Bioscience(Philadelphia、PA)
から購入する。Boc−アミノ酸−(4−カルボキシアミドメチル(carbo
xamidomethyl))−ベンジル−エステル−コポリ(スチレン−ジビ
ニルベンゼン)樹脂[Boc−アミノ酸−OCH2−Pam樹脂]は、Appl
ied Biosytems(Foster City、CA)から、4−メチ
ルベンズヒドリルアミン(4MeBHA)樹脂は、Peninsula Lab
oratories Inc.,(Belmont、CA)から入手する。ジイ
ソプロピルカルボジイミド(DIC)は、Aldrichからであり、そして2
−(IH−ベンゾトリアゾール−t−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウ
ロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)は、Richelieu B
iotechnologies(Quebec、Canada)から入手する。
手動合成については、NN−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、NN−
ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン(DCM)(全てペプチド合
成等級)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)を、Ausp
ep(Melbourne、Australia)から購入する。機械補助合成
については、DIEAおよびDCMをABIから、そしてDMFをAuspep
から購入する。トリフルオロ酢酸(TFA)は、Halocarbon(New
Jersey)からである。アセトニトリル(HPLC等級)は、Water
s Millipore(Milford、MA)から入手する。HFは、Ma
llinckrodt(St.Loius、MO)から購入する。他の試薬およ
び溶媒は、ACS分析試薬等級である。#2焼結ガラスフィルターフリットでの
スクリューキャップガラスペプチド合成反応容器(20mL)は、Embel
Scientific Glassware(Queensland、Aust
ralia)から入手する。固相ペプチドの手動合成のための振盪機は、Mil
ligen(Bedford、MA)から入手する。all−Kel F装置(
Toho;Peptide Institute、大阪から)を、HF切断のた
めに用いる。アルゴン、ヘリウム、および窒素(全て超純粋等級)を、Pars
ons(San Diego、CA)から購入する。
【0095】 (鎖アセンブリ) 合成を、Bocアミノ酸−OCH2−Pam樹脂あるいは4−MeBHA樹脂
上で行う。Bocアミノ酸類を、以下の側鎖の保護に用いる:Arg(Tos)
;Asp(OBzl)(手動合成)およびAsp(OcHxl);Cys(Bz
l)(機械補助合成);Asn、非保護の(手動合成)およびAsn(Xan)
(機械補助合成);Glu(OcHxl);His(DNP);Lys(2CI
Z);Thr(Bzl);Trp(InFormyl);およびTyr(BrZ
)。GlnおよびMetは、非保護の側鎖に用いる。
【0096】 (手動プロトコル) 合成を、0.2 mmolスケールで行う。Na−Boc基を、100%TF Aで1分間、2回処理し、次いでDMFでの30分間流により除去する。活性化
剤としてHOBt/DIC(30分間の活性化)あるいはHBTU/DIEA(
2分間の活性化)のいずれかを用いて、DMF中で予め形成した活性エステルと
して、ペプチド樹脂塩を事前に中性にせずに、Bocアミノ酸(0.8 mmo
l)を結合させる。HOBt/DICにより形成させた活性エステルによる結合
のために、TFA O-+NH3ペプチド樹脂塩の量に対して1.5当量のDI
EAを活性化Bocアミノ酸/樹脂混合物に添加してインサイチュで中和する。
HBTU/DIEAにより形成された活性エステルとの結合のために、TFA
-+NH3ペプチド樹脂塩の量に対してさらに2当量のDIEAを、活性化混
合物に添加する。結合時間は、その間いかなる二重結合も生じさせずに、10分
である。結合工程の後、ニンヒドリン定量法により残余遊離Bocアミノ基の測
定のために、ペプチド−樹脂のサンプル(3〜5mg)を取り出す。結合収量は
、代表的には>99.9%である。操作を全て、テフロン(Teflon)裏打
ちのスクリューキャップの20mLのガラス反応容器で手動で行う。NII脱保
護工程および結合工程の間、ペプチド−樹脂を振盪機で穏やかに転倒撹拌する。
【0097】 (脱保護および切断) Boc基を除去する前に、DNP基を取り除くために、His(DNP)含有
ペプチドを30分間、2回、20%メルカプトエタノール/10%DIEAのD
MF溶液で処理する。清浄TFA処理(1分間2回)により、NaBoc基をペ プチド−樹脂から除去する。ペプチド−樹脂をDMFで洗浄し、DMF中の10
%DIEAで中和する(1分間、1回)。DNPおよびBoc基を除去した後に
、ペプチド−樹脂を30分間、2回、エタノールアミンの水/DMF溶液で処理
し、Trpのホルミル基(InFormyl)を除去する。
【0098】 DMFおよびDCMでの洗浄後、減圧下で部分的に脱保護したペプチド−樹脂
を、乾燥させる。側鎖の保護基を取り除き、そして同時にHF/p−クレゾール
(9:1 v/v、0℃、1時間)あるいはHF/pクレゾール/チオクレゾー
ル(容量で、9:0.5:0.5、0℃、1時間)処理により、このペプチドを
樹脂から切断する。HFを0℃で減圧下で除去し、そして粗ペプチドを沈澱させ
、そして氷冷ジエチルエーテルで洗浄し、次いで20%または50%のいずれか
の酢酸水に溶解し、H2Oで希釈し、そして凍結乾燥する。
【0099】 (ペプチドの連結) 上記の合成手順により生成したTMのペプチドセグメントの連結を、例えば、
Bacaら、J.A.C.S. 117:1881−1887、1995;およ
びDawsonら、Science 266:776−779, 1994に記
載される手順を用いて、非保護ペプチドの化学連結により行う。これらの手順に
より、連結性ペプチド結合での遊離スルフヒドリルが得られ得るか、またはジス
フィド結合が得られ得る。あるいは、特定位のシステイン残基がL−アミノ酪酸
と置換される。
【0100】 一つの手順では、(カルボキシル基にチオエステルを含有する合成セグメント ペプチド1は、ペプチド2のアミノ末端でのCys残基の側鎖チオールによる求
核的攻撃を受ける。ペプチド2の(アミノ基の有利な幾何的配置(五員環を含む )のために、最初のチオエステル連結産物は、迅速な分子内反応を受け、連結部
位でのシステイン部分のネイティブなペプチド結合を有する産物を生じる。両方
の反応性ペプチドセグメントは、完全な非保護形態であり、そして標的ペプチド
は、さらなる操作を行うことなく最終形態で得られる。ペプチド1あるいはペプ
チド2のさらなるシステイン残基いずれも還元状態で残余する。この手順を、ネ
イティブな化学的連結と言及する。
【0101】 別の手順において、非保護ペプチドセグメントを、ブロモアセチル部分上に脱
プロトン化α−チオ酸基を求核的攻撃により連結し、チオエステルを介して化学
的に連結した二量体を生成する。さらに、2,2'−ジピリジルジスルフィドに よるシステアミン含有単量体の誘導体化後、C末端システアミン部分を、N末端
メルカプトアセチル基に連結し得る。ジスルフィド連結二量体を、S−(2−ピ
リジルスルフェニル)システアミン誘導体のチオリシスにより形成する。
【0102】 これらの手順を使用して、以下に提供された代表的なTMのような、種々のT
M立体配置を誘導体化させる。TMコアは、残基12〜101からなり、そして
伸長したTMは、残基1〜136からなる。
【0103】
【表1】 (C.TMをコードする合成DNAの合成および発現) DNA鎖を、ホスホルアミダイト法(これは、当該分野で周知である)により
合成し得、それにより、個々の構成ブロックのヌクレオチドをアセンブルして、
所望の配列を作製する。TM DNAのDNA自動合成は、所望の配列全体を形
成するための、TMの個々のオリゴヌクレオチドコード部分の合成および結合を
含む。合成DNAは、多数の商業的供給源から購入し得る。
【0104】 TMのトランスジェニック発現は、合成コードDNAの、適切な生物の形質転
換のためのベクターへの連結を必要とする。ベクターへの連結の技術については
文献に充分に記載されている。例えば、昆虫細胞でのTMの導入および発現を可
能にするために、合成TM DNAをpFastBac1ベクター(Gibco
BRL)に連結させて、pFastBac1−TM組換え体を形成する。次いで
、この組換えベクターを使用して、ヘルパープラスミドおよびバキュロウイルス
シャトルベクターを含有するE.coli細菌を形質転換する。次いで、置換さ
れたTMコード配列を含有する高分子量シャトルベクターDNAを単離し、そし
て昆虫細胞のトランスフェクションに用いる。組換えバキュロウイルスをトラン
スフェクトされた細胞から採取し、そしてタンパク質発現のための昆虫細胞培養
物の続く感染に用いる。
【0105】 TMは、TMをコードするDNA分子を細胞で発現することにより合成され得
る。このDNAは、染色体外DNAエレメントに含まれ得るか、またはこのTM
を発現する細胞の染色体DNAに組み込まれ得る。あるいは、このTM DNA
は、DNAあるいはRNAウイルス(それらが常在する細胞内でTMの発現に指
向する)のゲノムの部分として含まれ得る。TMをコードするDNA配列の例を
配列番号7に示す。このDNA配列およびこのTM DNAによりコードされる
アミノ酸配列(配列番号17)もまた表IIに示す。
【0106】 そのようなTM遺伝子を合成する一つの方法は、完全なTM遺伝子へのTM遺
伝子の部分をコードするオリゴヌクレオチドの連続的アセンブリを包含する。こ
のTM遺伝子の最終的なアセンブリは、細胞系での発現に適したDNA発現ベク
ターを生じ得るか、またはこのTM遺伝子は、簡便なクローニングベクターに構
築され得、次いで細胞系での発現に適したDNA発現ベクターに移動され得る。
部分コード領域からのTM遺伝子の連続的なアセンブリの利点は、TM遺伝子の
アセンブリの間、1つ以上の個々の部分についての別の配列を用いることにより
、TM遺伝子の改変バージョンを生成する能力である。あるいは、TM遺伝子に
おいてコードされる制限エンドヌクレアーゼ部位を、TM遺伝子の一部または全
てのアセンブリの後に使用して、TMコード配列の部分を置き換えて、別のTM
コード配列を産生し得る。これは、Sambrookら、Molecular
Cloning: A Laboratory Manual, 第2版, C
old Spring Harbor Laboratory, Cold S
pring Harbor, NY, 1989により記載されるような周知の
技術を使用する。TM遺伝子は、表IIに示される配列のいくつかの部分コード
領域:約−2〜20のD1コードアミノ酸;約19〜66のC2コードアミノ酸
;約65〜102のL3コードアミノ酸;および約102〜142のT4コード
アミノ酸に分けられる。他に示されることがなければ、以下の節のアミノ酸残基
数に対する参照は、表IIに示される残基に対する。
【0107】 (TMコアポリペプチドをコードする合成遺伝子のアセンブリ) TMコア遺伝子の配列は、C2,D1.1(D1の改変バージョン)、および
L3Δ(L3の改変バージョン)の組合せによって規定され得る。TMコアの1
つのバージョンは、表IIIに列挙されたオリゴヌクレオチド1.1、2.1、
3、4、5、6、7、8、9L3Δおよび10L3Δ(配列番号48、49、5
4〜56、58、60、61、63、64)から生成され得、そして以下の配列
のポリペプチドをコードする: DQKCKCARITSRIIRSSEDPNEDIVERNIRIIVPLN
NRENISDPTSPLRTRFVYHLSDLCKKDEDSATETC(
表IXおよび配列番号18)。D1.1、C2およびL3Δを含有する遺伝子ま
たは、保存的置換もしくは修飾のみが相違する配列をコードする代替物は、完全
なTMコア遺伝子である。
【0108】 (C2のアセンブリ) 一例として、TM遺伝子(TMコアを含む)のデノボ合成は、部分遺伝子(C
2と称し、TMのアミノ酸19〜66をコードする)のアセンブリによって開始
され得る。C2 DNAの配列およびC2 DNAによりコードされたペプチド
の配列を、表IVならびに配列番号9および19に示す。表IIIのオリゴヌク
レオチド3、4、5、6、7および8(それぞれ、配列番号54、55、56、
58、60および61)を、TMコアポリペプチドの約48個のアミノ酸をコー
ドするDNAフラグメントにアニーリングすることにより、C2を生成する。オ
リゴヌクレオチド3と4、5と6、および7と8の対が、重複DNA二重鎖へと
まず一対がアニーリングされ、次いで3個の二本鎖DNAは、互いにアニーリン
グされ、6個の個々のオリゴヌクレオチドから構成される二本鎖DNA複合体を
形成する。オリゴヌクレオチド1および8は、それぞれ酵素Xba IおよびB
gl IIにより制限されるDNA不対末端と適合可能である突出した不対末端
を有している。C2を、複数のクローニング領域のXbaIおよびBgl II
制限エンドヌクレアーゼ部分でベクターpMeIBacXPにアニーリングし、
そしてこのDNAフラグメントを酵素学的に連結してベクターpTMCを形成す
る(方法1)。
【0109】 (方法1:pTMCを形成するための、オリグヌクレオチドからのC2 DN
Aの合成およびpMelBacXpへの挿入) 個々のオリゴヌクレオチド3、4、5、6、7、および8(配列番号54〜5
6、58、60、61)を、1mM(1ナノモル/μl)の濃度で別々にTE緩
衝液に溶解する(Sambrookら、Molecular Cloning:
A Laboratory Manual,第2版, Cold Spri
ng Harbor Laboratory, Cold Spring Ha
rbor, NY, 1989)。2ナノモルの各オリゴヌクレオチドを微量遠
沈管において、10μLのアニーリング緩衝液(10mM Tris pH8.
0、100mM NaCl、1mM EDTA)中で同量のその対(例えば、(
3と4)、(5と6) または(7と8))と合わせ、そしてその管を5分間5
0mLの沸騰水に浸す。次いで、微量遠沈管を入れた沸騰水浴全体を熱源から取
り出し、そして室温(約24℃)まで放冷し、オリゴヌクレオチドに塩基対DN
A二重鎖を形成させる。室温で30分間インキュベートした後、1ナノモルの各
オリゴヌクレオチド対(例えば、(3と4)、(5と6)および(7と8))を
1つの微量遠沈管中に合わせる。これらのDNA二重鎖を含む管を加熱ブロック
中で15分間55℃でインキュベートし、その加熱ブロックから取り出し、そし
て室温に対して平衡化し、DNA二重鎖の重複相補領域をアニーリングさせ、T
MD DNA C2の部分をコードするDNA二重鎖を形成する。
【0110】 次いで、1ナノモルのオリゴヌクレオチド二重鎖を、エンドヌクレアーゼXb
aIおよびBgl IIで予め制限した0.1ピコモルのpMelBac XP
と混合する。pMelBac XPは、pMelBac B(Invitrog
en, San Diego, CA)由来の、合成TM遺伝子のクローニング
および昆虫細胞での続く発現のためのDNAベクターである。分泌シグナルと複
数クローニング部位の配列(配列番号42および43)は:
【0111】
【化1】 である。
【0112】 次いで、Sambrookら(Molecular Cloning: A
Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Ha
rbor Laboratory, Cold Spring Harbor,
New York, 1989に記載されているように、ベクターDNAと合
成遺伝子フラグメントとの混合物を、15分間35℃まで加熱し、次いで1/1
0容量のLigation Stock Bufferを加え、DNAリガーゼ
を添加し、そして反応混合物を12時間12℃でインキュベートして、オリゴヌ
クレオチドとベクターDNAとの間のホスホジエステル結合を連結する。次に、
DNAを、標準法(Sambrookら、前出を参照のこと)によりコンピテン
トE.coli細胞のトランスフェクションに用いる。合成DNAのアセンブリ
およびクローニングがうまく行われているかを評価するために、プラスミドDN
Aを、これらの細胞から単離し、そして制限エンドヌクレアーゼ消化、またはD
NA配列決定により評価する。次いで、得られたプラスミド、pTMCを、合成
TM配列の連続的付加のためのフレームワークとして使用する。
【0113】 (D1.1のアセンブリおよびTM合成遺伝子への挿入) C2近位のTM DNAのフラグメント(D1.1と称す)は、TMのアミノ
酸9〜20をコードする。D1.1のDNA配列および一次アミノ酸ペプチド配
列を、表Vならびに配列番号10および20に示す。D1.1は、TMコアポリ
ペプチドの近位アミノ酸(残基12〜20)、およびこのTMコアをリーダーペ
プチド(TM合成に用いられる発現系に適切である)と結合する作用のある3つ
のアミノ酸の短いペプチドをコードする。方法1に記載したように、D1.1を
、オリゴヌクレオチド1.1および2.1(それぞれ、配列番号48および51
)のDNA二重鎖へのアニーリングにより作製する。オリゴヌクレオチド1.1
および2.1は、それぞれBamHI(またはBgl II)およびXba I
の不対末端と適合性のある突出不対末端を有する。D1.1を、pTMCについ
て方法1に記載したものと類似した様式で、複数のクローニング領域のBamH
IおよびXba I制限エンドヌクレアーゼ部位でアニーリングし、そしてDN
Aフラグメントを酵素学的に連結して、ベクターpTMD1.1Cを形成する。
【0114】 (L3ΔのアセンブリおよびTM合成遺伝子への挿入) C2遠位のTM DNAのフラグメント(L3Δと称す)は、表IIに示した
TMのアミノ酸66〜70および92〜101の連続的なポリペプチドをコード
する。L3のDNA配列およびペプチド配列を表VIならびに配列番号11およ
び21に示す。方法1に記載したように、L3Δを、オリゴヌクレオチド9L3
Δおよび10L3Δ(それぞれ配列番号63および64)をDNA二重鎖にアニ
ーリングすることにより生成して、約14のアミノ酸をコードするTMコアDN
Aの遠位部分を生成する。オリゴヌクレオチド9L3Δおよび10L3Δは、そ
れぞれBgl IIおよびEcoRIの不対末端と適合性のある突出不対末端を
有する。L3Δを、pTMCについて方法1に記載したものと類似した様式で、
Bgl IIおよびEcoRIの制限エンドヌクレアーゼ部位でベクターpTM
D1.1Cに連結して、そしてDNAフラグメントを酵素学的に連結し、ベクタ
ーpTMコアを形成する。
【0115】 TMもまた、L3(以下に示す)をL3Δの代わりに用いることを除いて上記
のように合成され得る。TMのような配列は、表Xおよび配列番号13に提供さ
れる。
【0116】 (全長TMポリペプチドをコードする合成遺伝子のアセンブリ) 全長TM遺伝子配列を、D1、C2、L3およびT4の組み合わせにより決定
し得る。全長TM遺伝子の一例(配列番号7)は、表IIIに列挙したオリゴヌ
クレオチド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、1
4、15、および16(それぞれ、配列番号46、47、54〜56、58、6
0〜62、73〜79)から生成する。D1、C2、L3およびT4を含む遺伝
子または保存的置換もしくは修飾でのみ相違するコード配列は、全長TM遺伝子
である。
【0117】 D1のアセンブリおよびTM合成遺伝子への挿入。C2近位のTM DNAの
フラグメント(D1と称す)は、TMのアミノ酸−2〜20をコードする。D1
のDNA配列とペプチド配列を表VIと配列番号15と25に示す。D1は、T
Mコアポリペプチドの近位アミノ酸(残基12〜20)、およびリーダーペプチ
ド(TM合成に用いられる発現系に適切である)とTMコアを結合するのに役立
つ13のアミノ酸のペプチドをコードする。D1を、オリゴヌクレオチド1と2
(表III)をアニーリングすることにより生成する。オリゴヌクレオチド1と
2とは、それぞれBamHI(あるいはBgl II)とXba Iの不対末端
と適合性のある突出不対末端を有する。D1を、pTMCの方法1に記載したも
のと類似した様式で、複数のクローニング領域のBamHIとXba I制限エ
ンドヌクレアーゼ部位でpTMCにアニーリングし、DNAフラグメントを酵素
学的に連結し、ベクターpTMDCを形成する。
【0118】 L3のアセンブリおよびTM合成遺伝子内への挿入。 L3と呼ばれる、C2
に対して遠位のTM DNAのフラグメントは、TMの66〜101のアミノ酸
をコードする。L3のDNA配列およびペプチド配列は、表VII.Aおよび配
列番号14および24に示される。約35個のアミノ酸をコードするTMコアD
NAの遠位部分を生成するために、オリゴヌクレオチド9、10、11、および
12(それぞれ、配列番号62、73〜75)(表III)を、DNA二重鎖に
アニーリングすることにより、L3を生成する。4個の個々のオリゴヌクレオチ
ドから構成される二本鎖DNA複合体を形成するために、まずオリゴヌクレオチ
ド対の9および10、ならびに11および12を一緒にアニーリングする。オリ
ゴヌクレオチド9および12は、それぞれBgl IIおよびPst Iの不対
末端と適合する突出不対末端を有する。ベクターpTMDCLを形成するため、
pTMCの方法1に記述したのと類似の様式で、Bgl IIおよびPst I
制限エンドヌクレアーゼ部位でのベクターpTMDCならびに酵素的に連結した
DNAフラグメント内にL3をアニーリングする。
【0119】 T4のアセンブリおよびTM合成遺伝子内への挿入。T4と呼ばれるL3に対
して遠位のTM DNAフラグメントは、TMの102〜141のアミノ酸をコ
ードする。L4のDNA配列およびペプチド配列を、表VIIIならびに配列番
号12および22に示す。約36個のアミノ酸をコードする全長TM DNAの
遠位部分であるDNAフラグメント内に、オリゴヌクレオチド13、14、15
、および16(それぞれ、配列番号76〜79)(表III)をアニーリングす
ることにより、L3を生成する。オリゴヌクレオチド対の13および14、なら
びに15および16を、まず重複DNA二重鎖内に対合させてアニーリングし、
そして続いて2本の二本鎖DNAを一緒にアニーリングして、4つの個々のオリ
ゴヌクレオチドから構成される二本鎖DNA複合体を形成する。オリゴヌクレオ
チド13および16は、それぞれPst IおよびEcoRIの不対末端に適合
する突出不対末端を有する。pTMCについて方法1で記述したのと類似の様式
で、Pst IおよびEcoRI制限エンドヌクレアーゼ部位でベクターpTM
DCLにT4をアニーリングし、そしてDNAフラグメントを酵素的に連結して
ベクターpTMを形成する。
【0120】 改変TMポリペプチドをコードする合成遺伝子のアセンブリ:表IIIに掲げ
た、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1
5、または16(それぞれ、配列番号46、47、54〜56、58、60〜6
2、73〜79)に対する代替のオリゴヌクレオチドを使用することにより、全
長TMまたはTMコアからペプチド配列を改変した、他のTM遺伝子のバージョ
ンを合成し得る。これら代替のオリゴヌクレオチドは、部分TM遺伝子の合成の
間に使用し得るか、または制限エンドヌクレアーゼでDNAフラグメントを除去
し、そして元の配列を代替のコード配列に置換することより、アセンブリされた
TM遺伝子またはTM遺伝子フラグメントのコード配列を置換し得るDNAフラ
グメントを生成するために使用し得る。さらに、TMと関連のないポリぺプチド
をコードするDNA配列を、種々の位置で、TMコード配列に挿入し得る。
【0121】 非グリコシル化TMポリペプチドをコードする合成遺伝子のアセンブリ。 1
つの実施例では、C2Δglycoと呼ばれる新たなフラグメントを形成するた
めに、C2と、オリゴヌクレオチド5.1dgおよび6.1dg(配列番号57
および59)(表III)とをアセンブリする間に、オリゴヌクレオチド5およ
び6を置換する。このオリゴヌクレオチド置換によって、残基48でコードされ
るアスパラギンがヒスチジンに変わるように、改変C2 DNA配列を生じる。
オリゴヌクレオチド5.1dgおよび6.1dgを除いて、C2と同様な様式で
、C2Δglycoを作製する。TMコアおよび全長TM配列について記載した
ものと類似の様式で、種々のTM配列の合成において、C2Δglycoを使用
し得る。
【0122】 TMポリヌクレオチドをコードする合成遺伝子と改変L3ドメインとのアセン
ブリ。 別の実施例では、TMアミノ酸残基71〜91は、3アミノ酸ペプチド
:ser−asp−ileで置換される。この実験例では、オリゴヌクレオチド
9.2Δ3および10.2Δ3(配列番号67および68)(表III)を、ま
ずDNA二重鎖内にアニーリングし、続いてBgl IIおよびEcoRI制限
エンドヌクレアーゼ部位でベクターpTMDC内にアニーリングする。次いで、
アニーリングされたDNAフラグメントは、酵素的に連結されて、ベクターpT
MLΔ3を形成する。
【0123】 TMポリペプチドをコードする合成遺伝子と置換したシステイン残基68との
アセンブリ。 他の実施例では、オリゴヌクレオチド対9.3Δ3serおよび
10.3Δ3ser(配列番号69および70)または9.3Δ3valおよび
10.3Δ3val(配列番号71および72)を、DNA二重鎖内にアニーリ
ングし、そして酵素ClaIで消化し、続いて制限酵素ClaIおよびPst
Iで消化されているpTMLΔ3内にアニーリングする。これら2個のオリゴヌ
クレオチド対は、pTM1Δ3内に挿入した場合、位置68のシステインがそれ
ぞれセリンまたはバリンで置換されたTMΔ3分子を生じる。
【0124】 TMポリペプチドをコードする合成遺伝子と置換されたシステイン残基14と
のアセンブリ。 別の実施例では、オリゴヌクレオチド対1.2serおよび2
.2ser(配列番号50および51)または1.2valおよび2.2val
(配列番号52および53)をアニーリングし、システイン残基14がそれぞれ
セリンまたはバリンで置換されているD1に対する代替のドメインを生成し得る
。次いで、これらオリゴヌクレオチド対を、D1について上述したのと同じ様式
で、多重クローニング領域のBamHIおよびXbaI制限エンドヌクレアーゼ
部位でpTMC内にアニーリングし、そしてそのDNAフラグメントを酵素的に
連結して、ベクターpTMD1Cに対する代替を形成する。
【0125】 内膜保持シグナル(endomembrane retention sig
nal)を含む、TMコアポリペプチドをコードする合成遺伝子のアセンブリ。
【0126】 さらなる実施例では、TMコアは、カルボキシ末端アミノ酸残基として、内膜
保持シグナルKDEL(配列番号44)とともに合成される。この実施例では、
オリゴヌクレオチド9L3ΔKDELおよび10L3ΔKDEL(配列番号65
および66)で、上述のTMコア合成時にオリゴヌクレオチド9L3Δおよび1
0L3Δを置換して、ベクターpTMLΔ3KDELを形成する。
【0127】 内膜保持シグナルを含む、全長TMポリペプチドをコードする合成遺伝子のア
センブリ。 別の実施例では、TMはカルボキシ末端アミノ酸残基として、内膜
保持シグナルKDEL(配列番号44)で合成される。この実施例では、T4の
合成について上述したように、オリゴヌクレオチド15KDELおよび16KD
EL(配列番号80および81)でオリゴヌクレオチド15および16を置換す
る。これら2個のオリゴヌクレオチドの置換により、コード配列T4KDELが
形成されるが、これはpTMの上述の合成で、T4に置換する場合には、ベクタ
ーpTMKDELを形成する。
【0128】 さらなるアミノ末端配列を含む、TMポリペプチドをコードする合成遺伝子の
アセンブリ。 ある実施例では、TM遺伝子は、アミノ末端ドメインの一部とし
て含まれる残基585〜600(AIQDPRLFAEEKAVAD;配列番号
45)からのポリ免疫グロブリンレセプター配列とともに合成される。オリゴヌ
クレオチドP1およびP2(配列番号82および83)は、このポリ免疫グロブ
リンレセプター配列とD1のアミノ酸残基をコードする。P1およびP2は、そ
れぞれBamHIおよびXbaIの不対末端と適合する突出不対末端を有する。
上述のように、TM発現ベクターの合成において、D1.1またはD1の代わり
に使用し得るDNA二重鎖内にオリゴヌクレオチドP1およびP2をアニーリン
グする。
【0129】 TM成分が別のペプチドドメイン(TpS2)により置換されているTMポリ
ペプチドをコードする合成遺伝子のアセンブリ。 この実施例では、TM遺伝子
は、TMドメイン4、5、および6を置換するペプチドとともに合成される。T
pS2と称するこのペプチドは、ドメイン2の末端残基と三葉型(trefoi
l)ペプチドpS2(Suemoriら、Proc.Natl.Acad.Sc
i.88:11017−11021,1991に報告されている)のコード配列
との間のエンテロキナーゼ切断可能なペプチドをコードする。DNA配列および
TpS2のペプチド配列は、表XIならびに配列番号16および26に示されて
いる。TpS2は、オリゴヌクレオチドTp1、Tp2、Tp3、Tp4、Tp
5、およびTp6(それぞれ、配列番号84〜89)(表III)を、約64個
のアミノ酸をコードするDNAフラグメント内にアニーリングすることにより生
成する。オリゴヌクレオチド対Tp1およびTp2、Tp3およびTp4、なら
びにTp5およびTp6を、まず重複DNA二重鎖内に対合させてアニーリング
し、続いて2つの二重鎖DNAを一緒にアニーリングして、6個の個々のオリゴ
ヌクレオチドから構成される二重鎖DNA複合体を形成する。オリゴヌクレオチ
ドTp1およびTp6は、それぞれPst IおよびEcoRI制限部位の不対
末端と適合する、突出不対末端を有する。pTMCについて方法1で記述してい
るのと類似の様式で、Pst IおよびEcoRI制限エンドヌクレアーゼ部位
でのベクターpTMDCLにTpS2をアニーリングし、そしてそのDNAフラ
グメントを酵素学的に連結して、ベクターpTMpSp2を形成し、これは、三
葉型ペプチドpS2がTMドメイン4、5、および6の置換として含まれる、T
Mをコードする。
【0130】 D.ヒトJ鎖をコードするcDNAの単離および発現 ヒトJ鎖メッセンジャーRNAの5’末端に相補的な合成DNAを使用して、
2つのヒト小腸cDNAライブラリー(Clontech Laborator
ies,Palo Alto,CA;カタログ番号HL1133aおよびdHL
1133b)をスクリーニングする。標準反応におけるポリヌクレオチドキナー
ゼを使用して、プローブを[32P]で標識する。製造業者(Clontech)
によって記述されているように、ライブラリースクリーニングを行う。Chur
chおよびGilbert,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
81:1991−1995,1984に従って、ハイブリダイゼーションを行な
う。オートラジオグラフィー後、陽性プラークを単離し、そしてファージを10
分間煮沸することによって破壊する。標準PCR緩衝液、ヒトJ鎖cDNAの5
’および3’末端に相補的なプライマーの25pmole、各dNTPの200
μM、およびTaqポリメラーゼの1.0単位を含む総容量50μL中で、cD
NA挿入をPCRにより増幅する。35サイクルの増幅の前に、94℃、3分間
でDNAを変性する。各サイクルは、94℃で1分間、62℃で1分間、および
72℃で1分間からなっていた。PCRフラグメントを、pUC19内にクロー
ン化して、配列決定する。次いで、全長cDNA挿入物を、2つのPCRプライ
マー内に配置された制限部位を利用して適切な昆虫発現ベクター(pMelBa
cXP)内にサブクローン化する。
【0131】 (表II) (代表的な全長TM分子のDNA配列および一次アミノ酸構造)
【0132】
【表2】 (表III) (代表的な部分TM遺伝子の構築のためのオリゴヌクレオチド)
【0133】
【表3】 (表IV) (TMのドメインC2のペプチドおよびDNA配列(TM aa残基19〜
65))
【0134】
【表4】 (表V) (TMのドメインD1.1のDNA配列および一次アミノ酸構造(TM a
a残基9〜20))
【0135】
【表5】 (表VI) (TMのドメインD1のDNA配列および一次アミノ酸構造(TM aa残
基2−20))
【0136】
【表6】 (表VII) (TMのドメインL3ΔのペプチドおよびDNA配列(TM aa残基66
−70および92−101))
【0137】
【表7】 (表VII.A) (TMのドメインL3のペプチドおよびDNA配列(TM aa残基66〜
101))
【0138】
【表7A】 (表VIII) (T4フラグメントのDNAおよび一次アミノ酸配列(TM aa残基10
2〜141))
【0139】
【表8】 (表IX) (代表的なTMコアエレメントのDNA配列および一次アミノ酸配列)
【0140】
【表9】 (表X) (代表的なTMのDNA配列および一次アミノ酸構造)
【0141】
【表10】 (表XI) (TpS2のDNAおよび一次アミノ酸配列)
【0142】
【表11】 (実施例2) (生物学的薬剤のTMへの連結) この実施例は、代表的な生物学的薬剤のTMへの結合の例示する。
【0143】 (A.TMに結合した機能遺伝子の調製) TM−ポリリジン結合体の調製:上記の生物学的供給源から単離したTMを、
Ferkolら、J.Clin.Invest.92:2394−2400,1
993によって記載されるように、ヘテロ二官能架橋試薬のN−スクシンイミジ
ル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(SPDP)を使用して、ポリ
(L−リジン)(Mr 20,000D)に共有結合する。SPDP還元後に、
TMを15倍モル過剰のポリ(L−リジン)およびSPDPとともにインキュベ
ートし、反応を、2℃で24時間行なう。結合体を透析して、低分子量反応産物
を除去し、そして0.1% SDS−7.5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動
法を使用して、生成したタンパク質を分離することによって分析する。
【0144】 遺伝子およびプラスミド調製。pRICINプラスミド(改変pBR322ベ
クターに挿入したRous肉腫ウイルス長末端反復プロモーターに連結したri
cinus communis(Shireら、Gene 93:183−18
8,1990)由来のリシン遺伝子を含有する)を、致死性遺伝的機能のNPE
細胞への導入のために使用する。そのプラスミドをE.coli DH5α中で
増殖させ、標準的な技法により抽出しそして精製する。制限エンドヌクレアーゼ
でプラスミドを消化することによって、適切なフラグメントを生じ、1.0%ア
ガロース ゲル電気泳動法により、純度を確証する。
【0145】 TM−ポリリジン−DNA複合体の調製:3M NaClで、プラスミドDN
AとTM−ポリリジンを組み合わせることにより、複合体を形成する。リジンに
対するDNAリン酸塩の荷電比は、約1.2:1である。サンプルを、22℃で
60分間インキュベートし、次いで3,500ダルトン分子量限度の膜を通して
、0.15M NaClに対して、16時間、透析する。15μm孔径のMil
liporeフィルターにより複合体をろ過して、使用前まで4℃に維持する。
最終TM複合体を、TM−pRICINと称する。
【0146】 DNAの割合に対する至適結合体の測定:DNAに対する結合体の最適な比率
を決定するために、PRSVZ10μgに結合体の漸増量を添加することにより
、1:4、1:8、1:16および1:32のキャリア(TM)に対するDNA
のモル比とする。上述のようにサンプルをインキュベートし、0.15M Na
Clに対して、一晩、透析する。使用前、複合体をろ過する。1.0%アガロー
スゲル電気泳動法により、等量のDNA(1μg)を含むサンプルを分離し、臭
化エチジウムで染色する。ニトロセルロースフィルター上にプラスミドDNAを
移し、そしてDNAプローブとして、PRSVZの2.3−kBのEcoRIフ
ラグメントを使用して、サザンブロットハイブリダイゼーション法により分析す
る。
【0147】 (B.致死性薬剤に対する種々のリンカーを用いたTMの調製) ペプチドリンカーのfmoc合成の一般的方法:反応は、一般に、0.2mm
olのスケールで行い、そして前述の手順に従う(M.Bodanszky、A
.Bodanszky、The Practice of Peptide S
ynthesis、Springer−Verlag、Berlin、1984
;M.Bodanszky、Peptide Chemistry;A Pra
ctical Textbook、Springer−Verlag、Berl
in、1988)。カップリング反応をカルボキシ末端でp−アルコキシベンジ
ルアルコール樹脂(例えば、Fmoc−Lys(Boc)−樹脂、Penins
ula Laboratories(Belmont、CA)製品#FM058
AAR、0.2〜0.5meq/g)に固定化した保護アミノ酸(アミノ酸#1
)を使用して開始する。一級アミンの保護基は、9−フルオレニルメチルオキシ
カルボニル基、fmocを含む。R基保護(例えば、トリチル、t−ブチル、ブ
トキシカルボニル、アセトアミドメチル、エチルチオ)は、R基の性質に依存す
る。反応は、二元二方コックを取付けた燒結ガラスフィルター(例えば、Kim
ax#28400−301)を含む漏斗で行う。まず、アミノ酸#1上のfmo
c保護基を、20%ピペリジンのジメチルホルムアミド(DMF)中、室温で1
5分間インキュベーションして除去する。次に、ピペリジンを過剰量のDMFで
洗浄する。最小DMF(約1ml)に溶解したfmoc保護アミノ酸#2(1
mmol)を樹脂に加えた後、最小DMFに溶かした1 mmolヒドロキシベ
ンゾトリアゾールもまた添加する。カップリングは、1 mmolジイソプロピ
ルカルボジイミドを加えて開始する。反応を室温で穏やかに振とうしながら1時
間進行させる。次に、樹脂を過剰量のDMFで洗浄し、全ての試薬を除去する。
反応効率を標準ニンヒドリンアッセイ(Pierce製品#21205)を使用
してモニターする。次に、所望の配列を含む各アミノ酸の付加のために、この手
順を繰り返す(すなわち、脱保護、洗浄、カップリング、洗浄)。最終ペプチド
は、水およびスカベンジャー(例えば、トリイソプロイルシラン(triiso
proylsilane)、エタンジチオール、チオアニソール、ブロモトリメ
チルシラン)を含む95%TFA中、室温で1〜3時間インキュベートすること
により樹脂から取り出す。この手順は、同様に全R基保護を取り除く。TFA溶
液から、4容量のジエチルエーテルを加えることによりペプチドを沈殿させ、こ
のペプチドペレットをDMFに再溶解し、そして逆相液体クロマトグラフィーに
より精製する。
【0148】 切断しやすいペプチドおよびpH−感受性ヒドラジドリンカーを介してTMに
付着した致死性薬剤:3−デアミノ−3−(4−モルホリニル)−ドキソルビシ
ン(MRA)を、Muellerら、Antibody, Immunocon
jugates, and Radiopharmaceuticals 4:
99−106、1991に記載されるように、ジアルデヒドを介して反応させた
後、シアノボロヒドレートナトリウムと反応させてドキソルビシン(Aldri
ch、Milwaukee、Wisconsin)から調製する。MRAは、シ
リカゲルカラムによる分離後、精製し、次の手順によりペプチドスペーサーで修
飾する。まず、ペプチドPLGIIGG(配列番号92)をエステル化し、相当
するメチルエステルを得る。次に、ペプチドのアミノ末端を無水コハク酸と縮合
させた後、エステル末端をヒドラジン水和物と反応させてモノヒドラジドを得る
。次に、この活性化ペプチドのヒドラジド部分をMRAのC−13カルボニル基
を介して反応させ、MRA−PLGIIGG(配列番号92)を得、これを分離
薄層クロマトグラフィー(TLC)により精製する。精製した薬物−リンカー中
間体をコハク酸末端でジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)およびN−ヒ
ドロキシスクシンイミド(NHS)と反応させる。この活性化化合物を再度TL
Cにより精製した後、20倍過剰量のMRA−PLGIIGG(配列番号92)
を精製TMにpH 8で3時間加えることにより、TMのリジン残基に結合させ
る。この調製で使用したTMを上述のように、生物供給源から単離する。この結
合体をTM(bio)−MRAと称する。
【0149】 結合反応混合物を遠心分離して、沈殿物質を除去し、50mMリン酸ナトリウ
ム、0.1M NaCl(pH 7.0)で平衡化したSephadex G−
50カラムに適用する。TM(bio)−MRA結合体を含む画分をプールし、
4℃で保存する。薬物対TMの比率を、それぞれ9.9 mM-1cm-1および1
3 mM-1cm-1の吸光係数を用い、280および480 nmにおいて分光光
度測定法により測定する。結合体をDupont GF−250ゲルろ過カラム
におけるHPLCおよび非還元条件下の7.5%アクリルアミドゲルにおけるN
aDodSO4/PAGEにより分析する。
【0150】 TMに結合した致死性酵素。サポリン(Sigma,St.Louis,MO
)を、スルホ−LC−SPDPを製造業者のプロトコル(Pierce,Roc
kford,IL)にしたがって使用して、TMに共有結合させる。そのサポリ
ンをまず、上記のようにSPDPと反応させ、次いでサポリン−SPDPを還元
し、そしてTMと反応させる。最終生成物を、上記のように精製し、そしてTM
−SAPと称する。
【0151】 切断しやすいペプチドおよびpH感受性ヒドラジドリンカーを介して二量体I
gAに結合した致死性薬剤。上述のように調製した活性化薬物リンカー化合物を
、精製dIgAに20倍過剰量のMRA−PLGIIGG(配列番号92)をp
H 8で3時間添加することにより、二量体IgAのリジン残基にカップリング
させる。この調製に使用したdIgAは、上述のように、生物供給源から単離す
る。この結合体をdIgA−MRAと称する。
【0152】 結合反応混合物を、沈殿した物質を除去するために遠心分離し、そして50m
Mのリン酸ナトリウム、0.1M NaCl(pH7.0)で平衡化したSep
hadex G−50のカラムにアプライする。dIgA−PLGIIGG(配
列番号92)結合体を含む画分をプールし、そして4℃にて保存する。薬物対d
IgA比を、それぞれ9.9mM-1cm-1および13mM-1cm-1の吸光係数を
使用して、280nmおよび480nmでの分光測定法によって決定する。結合
体を、Dupont GF−250ゲル濾過カラムでのHPLCによって、およ
び非還元条件下での7.5%アクリルアミドゲルでのNaDodSO4/PAG Eによって分析する。
【0153】 小胞体における残留について標的化された致死剤。3−デアミノ−3−(4−
モルホリニル)−ドキソルビシン(MRA)を、ジアルデヒドを介する反応、続
いてMuellerら、Antibody,Immnoconjugates,
and Radiopharmaceuticals 4:99〜106、1
991によって記載されるようなシアノボロハイドレートナトリウムとの反応に
よって、ドキソルビシン(Aldrich,Milwaukee,WI)から調
製する。MRAを、シリカゲルカラムでの分離後に精製し、そして以下の手順に
よってペプチドスペーサーで修飾する。第1に、ペプチドPLGIIGG(配列
番号92)をエステル化し、対応するメチルエステルを生成する。続いて、エス
テル末端をヒドラジンハイドレートと反応させ、モノヒドラジドを生成する。次
いで、この活性化されたペプチドのヒドラジド部分を、MRAのC−13カルボ
ニル基を介して反応させ、MRA−PLGIIGG(配列番号92)を生成し、
これを、分離用薄層クロマトグラフィー(TLC)によって精製する。精製され
た薬物−リンカー中間体を、SPDPとアミノ末端で反応させる。この活性化さ
れた化合物を、再度TLCによって精製し、次いで20倍過剰のMRA−PLG
IIGG(配列番号92)を精製されたTMにpH8にて3時間添加することに
よって、コアTMのスルフヒドリル基に結合させる。この調製において使用する
TMを、トランスジェニック昆虫細胞から単離する。ER残留シグナルKDEL
を、上記のホスホラミダイトオリゴヌクレオチド結合によってTMコアタンパク
質の部分として合成し、そして昆虫発現ベクターに連結し、pTMを作製する。
この結合体をTM(KDEL)−MRAと呼ぶ。
【0154】 結合反応混合物を、沈殿した物質を除去するために遠心分離し、そして50m
Mのリン酸ナトリウム、0.1M NaCl(pH7.0)で平衡化したSep
hadex G−50のカラムにアプライする。TM(KDEL)−MRA結合
体を含む画分をプールし、そして4℃にて保存する。薬物対TM比を、それぞれ
9.9mM-1cm-1および13mM-1cm-1の吸光係数を使用して、280nm
および480nmでの分光測定法によって決定する。結合体を、Dupont
GF−250ゲル濾過カラムでのHPLCによって、および非還元条件下での7
.5%アクリルアミドゲルでのNaDodSO4/PAGEによって分析する。
【0155】 抗原結合部位に連結される致死剤。第1に、リンカーペプチドPLGIIGG
(配列番号92)を、上記のようにヒドラジドを介してMRAに結合する。しか
し、この手順において、無水コハク酸工程を除外し、遊離のアミノ末端を含むペ
プチド−MRAを生成する。精製された薬物−リンカー中間体を、ジシクロヘキ
シルカルボジイミド(DCC)、およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS
)、および20倍過剰のジケトン1とアミノ末端で反応させる(Wagnerら
、Science 270:1797〜1800、1995)。1,3−ジケト
ン1を、Wagnerらにおいて記載されるように合成する。
【0156】 ジケトン−ペプチド−MRA結合体を、TMに共有結合するように操作された
抗体38C2(Wagnerら)の抗原結合部位と反応させる。TM−38C2
を生成するための操作手順は、本質的に、実施例2Cにおいて先に記載されると
おりである。38C2抗体を産生する細胞株由来のmRNAを、確立された手順
によって単離する。特定のリンカーを、上記のような別々の増幅反応において、
Fv−Cγ1切片およびκ鎖全体の増幅を生じるポリメラーゼ連鎖反応を開始す
るために使用する。
【0157】 重鎖および軽鎖の定常領域を介するジスルフィド架橋によって結合された、得
られる重鎖(Fv−CH1)−TM:κハイブリッド抗体を、上記のように精製 する。
【0158】 ハイブリッド抗体のジケトン−ペプチド−MRAとの反応は、ジケトン部分と
、結合ポケット中のリジン残基のεアミノ基との間の安定なビニル性アミド結合
を生じる。最終化合物を、TM(38C2)−MRAと呼ぶ。
【0159】 (実施例3 生物学的薬剤の細胞内および臨床的送達) 本実施例は、生物学的薬剤の上皮細胞への送達について、実施例2に記載され
るように調製されたTMの使用を例示する。
【0160】 (A.細胞および培養物) 培養培地。以下のストック溶液を組み合わせ、培養溶液(MDCK培地という
)を作製する。25mM Hepesとともにイーグル平衡化塩溶液を含む、最
小必須培地(MEM)、500mL;100×L−グルタミン、2.5mL;1
00×非必須アミノ酸、5.4mL;ウシ胎仔血清、27mL;ペニシリン−ス
トレプトマイシン、5.5mL;10mg/mLゲンタマイシン、220μL。
すべてのストック溶液を、Gibco−BRL、Bethesda、Mdから購
入する。
【0161】 上皮細胞単層からのNPE細胞培養物の調製。基底外側(basalater
al)ドメインも先端ドメインも含まない、非接着性上皮細胞の実験的調製のた
めに、培養皿を、アガロースの層でコートした。5mlの1%アガロース(溶解
させ、そして約50℃まで冷却させた)を、75cm2組織培養フラスコに注ぎ 、そして凝固させた。75cm2フラスコ中で増殖するコンフルエントなMDC K細胞、HEC1A細胞、またはHT−29細胞を、滅菌PBSで2回、続いて
2mlのトリプシン溶液で洗浄した。細胞を、37℃にて10分間インキュベー
トする。9mlの予め温めた培養培地を、回旋させながらフラスコに添加し、細
胞を懸濁させた。細胞を、滅菌50mlのコニカルチューブに移し、そして30
0×gで5分間遠心分離した。上清を廃棄し、そして細胞ペレットを、20ml
の新鮮な培養培地中に再懸濁させた。2mlの細胞懸濁液、続いてさらなる10
mlの予め温めた培地を、アガロースをコートしたフラスコに添加した。フラス
コを、5% CO2中で37℃にてインキュベートした。細胞は、少なくとも1 週間、生存可能である。
【0162】 ヒト胸膜液からのNPE細胞の調製。胸膜液を、悪性胸水に関して診断された
患者から得た。その液中に含まれる細胞を、胸膜腔からの取り出し後にできるだ
けすぐに、低スピードの遠心分離によって得た。細胞ペレットを、MDCK培養
培地中に再懸濁させた。この細胞を、MPEと呼ぶ。
【0163】 細胞生存率アッセイ。生細胞を、非蛍光性細胞透過可能性のカルセインAMの
、強度に蛍光性のカルセインへの酵素学的転換によって決定される、偏在性細胞
内エステラーゼ活性の存在によって識別する。試薬(キット#L3224)を、
Molecular Probes,Inc.(Eugene,OR)から得た
。細胞を、低スピードの遠心分離によって収集し、そして滅菌PBSで3回洗浄
した。細胞を、製造業者によって提供される指示書に従って、溶液中で染色した
。カルセインを産生する細胞の割合によって表される細胞生存率を、蛍光顕微鏡
によって評価した。
【0164】 NPE細胞をテキサスレッドで標識した二量体IgAで標識すること。精製さ
れた二量体IgA(1〜5mg)を、0.1Mのカルボン酸/重炭酸ナトリウム
、pH9.0中で冷却した。50マイクロリットルのテキサスレッドスルホニル
クロリド(1mg、50μlの無水アセトニトリル中に溶解)をタンパク質溶液
に添加した。反応物を、25℃にて1時間インキュベートする。反応物を、脱塩
カラムに通し、結合していない色素を除去した。脱塩されたdIgAの吸光度比
(520nm/280nm)は、0.8であった。
【0165】 細胞を、低スピードの遠心分離によって収集し、そして1mlの細胞培養培地
中に再懸濁させた。細胞を4℃まで冷却した。細胞懸濁液の200マイクロリッ
トルアリコートを、冷却した1.5mlのチューブに置いた。10マイクロリッ
トルのテキサスレッド−dIgA結合体を、各チューブに添加し;4℃にて一晩
、振盪させながら結合を進行させた。1mlの冷却した細胞培養培地を添加し、
そして細胞を、遠心分離および50mlの培地中への再懸濁によって回収した。
テキサスレッド−dIgAへの結合を、蛍光顕微鏡によって可視化させた。
【0166】 (B.TM−ポリリジンを使用する、NPE細胞への遺伝子の送達) NPE細胞へのTM−pRICIN送達。トランスフェクションの4日前、細
胞をPBS(pH7.4)で2回洗浄する。細胞の半分をRPMI 1640培
地に戻し、そして残りの半分をLeibovitz L15培地、グルコース欠
損培地中で増殖させる。ヒトγインターフェロン(100U/ml)を、トラン
スフェクションの2日前に、グルコース欠損培地中で増殖させた細胞の半分に添
加する。NPE細胞を無グルコース培地に移すことによって、ヒトγインターフ
ェロンでの処理と同様に、pIgRの発現が増加する。細胞密度は、トランスフ
ェクションの時点で、1プレートあたり約5×104細胞である。増殖培地を変 え、そして細胞をPBSで洗浄する。TM−pRICIN複合体(10、20、
40、または80pmolのTMに非共有結合した、2.5pmolのDNA)
、ポリリジン−DNA複合体(1.2nmolのポリリジンと複合体化された2
.5pmolのDNA)、TM−ポリリジン(80pmol)単独、または2.
5pmol(20μg)DNA単独を含む溶液を、個々のプレートに添加する。
各サンプルを、細胞のトランスフェクション前に濾過する。細胞を、インビトロ
またはインサイチュのいずれかで37℃にて48時間インキュベートした後、生
存率アッセイを行う。
【0167】 TM−pRICINでトランスフェクトしたすべてのNPE細胞(MDCK、
HT−29、HEC−1A,MPE)は、生存率アッセイおよび蛍光顕微鏡分析
によって判断される場合、顕著に減少したカルセインの産生を示す。生存率は、
TM−ポリリジン−DNA処理の結果として、10%未満であると評価される。
細胞をまた、テキサスレッド−dIgAとともにインキュベートする。生存率の
減少した(緑色蛍光を有さない)細胞は、dIgA結合に起因して、不変に赤色
蛍光であり、このことは、細胞殺傷が細胞傷害性剤のTM送達に起因することを
示す。
【0168】 (C.リンカーでTMに結合した致死剤の送達) TMに連結した致死剤のNPE細胞への送達。上記のように調製したNPE細
胞(MDCK、HT−29、HEC−1A、MPE;1ml培養培地中、2×1
6細胞)を、TM(bio)−MRA(培養培地中1mg/mlの100μl )とともに、37℃にて2〜12時間、インキュベートする。次いで、細胞を、
低スピードの遠心分離によってペレットにし、培養培地中に再懸濁し、そして3
7℃にてさらに12〜48時間インキュベートする。次いで、細胞を、上記のよ
うに生存率およびテキサスレッド−IgA取り込みについてアッセイする。
【0169】 TM(bio)−MRAとともにインキュベートしたすべてのNPE細胞(M
DCK、HT−29、HEC−1A、MPE)は、生存率アッセイおよび蛍光顕
微鏡分析によって判断される場合、カルセインの顕著に減少した産生を示す。生
存率は、TM(bio)−MRA曝露の結果として、10%未満であると見積も
られる。減少した生存率を有する(緑色蛍光を有さない)細胞は、dIgA結合
に起因して不変に赤色蛍光であり、このことは、細胞殺傷が細胞傷害性剤のTM
送達に起因することを示す。
【0170】 TMに連結された致死酵素のNPE細胞への送達。上記のように調製したNP
E細胞(MDCK、HT−29、HEC−1A、MPE;1ml培養培地中、2
×106細胞)を、TM−SAP(培養培地中1mg/mlの100μl)とと もに、37℃にて2〜12時間インキュベートする。次いで、細胞を、低スピー
ドの遠心分離によってペレットにし、培養培地中に再懸濁し、そして37℃にて
さらに12〜48時間インキュベートする。次いで、細胞を、上記のように生存
率およびテキサスレッド−IgA取り込みについてアッセイする。
【0171】 TM−SAPとともにインキュベートしたすべてのNPE細胞(MDCK、H
T−29、HEC−1A、MPE)は、生存率アッセイおよび蛍光顕微鏡分析に
よって判断される場合、カルセインの顕著に減少した産生を示す。生存率は、T
M−SAP曝露の結果として、10%未満であると見積もられる。減少した生存
率を有する(緑色蛍光を有さない)細胞は、dIgA結合に起因して不変に赤色
蛍光であり、細胞殺傷が細胞傷害性剤のTM送達に起因することを示す。
【0172】 二量体IgAに連結した殺傷剤のNPE細胞への送達。上記のように調製した
NPE細胞(MDCK、HT−29、HEC−1A、MPE;1ml培養培地中
、2×106細胞)を、dIgA−MRA(培養培地中1mg/mlの100μ l)とともに、37℃にて2〜12時間インキュベートする。次いで、細胞を、
低スピードの遠心分離によってペレットにし、培養培地中に再懸濁し、そして3
7℃にてさらに12〜48時間インキュベートする。次いで、細胞を、上記のよ
うに生存率およびテキサスレッド−IgA取り込みについてアッセイする。
【0173】 dIgA−MRAとともにインキュベートしたすべてのNPE細胞(MDCK
、HT−29、HEC−1A、MPE)は、生存率アッセイおよび蛍光顕微鏡分
析によって判断される場合、カルセインの顕著に減少した産生を示す。生存率は
、dIgA−MRA曝露の結果として、10%未満であると見積もられる。減少
した生存率を有する(緑色蛍光を有さない)細胞は、dIgA結合に起因して不
変に赤色蛍光であり、このことは、細胞殺傷が細胞傷害性剤のTM送達に起因す
ることを示す。
【0174】 小胞体における残留について標的化された殺傷剤のNPE細胞への送達。上記
のように調製したNPE細胞(MDCK、HT−29、HEC−1A、MPE;
1ml培養培地中、2×106細胞)を、TM(KDEL)−MRA(培養培地 中1mg/mlの100μl)とともに、37℃にて2〜12時間インキュベー
トする。次いで、細胞を、低スピードの遠心分離によってペレットにし、培養培
地中に再懸濁し、そして37℃にてさらに12〜48時間インキュベートする。
次いで、細胞を、上記のように生存率およびテキサスレッド−IgA取り込みに
ついてアッセイする。
【0175】 TM(KDEL)−MRAとともにインキュベートしたすべてのNPE細胞(
MDCK、HT−29、HEC−1A、MPE)は、生存率アッセイおよび蛍光
顕微鏡分析によって判断される場合、カルセインの顕著に減少した産生を示す。
生存率は、TM(KDEL)−MRA曝露の結果として、10%未満であると見
積もられる。減少した生存率を有する(緑色蛍光を有さない)細胞は、dIgA
結合に起因して不変に赤色蛍光であり、このことは、細胞殺傷が細胞傷害性剤の
TM送達に起因することを示す。
【0176】 ハイブリッド抗体の抗原結合部位に連結された殺傷剤のNPE細胞への送達。
上記のように調製したNPE細胞(MDCK、HT−29、HEC−1A、MP
E;1ml培養培地中、2×106細胞)を、TM(38C2)−MRA(培養 培地中1mg/mlの100μl)とともに、37℃にて2〜12時間インキュ
ベートする。次いで、細胞を、低スピードの遠心分離によってペレットにし、培
養培地中に再懸濁し、そして37℃にてさらに12〜48時間インキュベートす
る。次いで、細胞を、上記のように生存率およびテキサスレッド−IgA取り込
みについてアッセイする。
【0177】 TM(38C2)−MRAとともにインキュベートしたすべてのNPE細胞(
MDCK、HT−29、HEC−1A、MPE)は、生存率アッセイおよび蛍光
顕微鏡分析によって判断される場合、カルセインの顕著に減少した産生を示す。
生存率は、TM(38C2)−MRA曝露の結果として、10%未満であると見
積もられる。減少した生存率を有する(緑色蛍光を有さない)細胞は、dIgA
結合に起因して不変に赤色蛍光であり、このことは、細胞殺傷が細胞傷害性剤の
TM送達に起因することを示す。
【0178】 TMに連結された殺傷剤の臨床的使用。悪性胸水は、通常、広範な転移に関与
する疾患である。悪性胸水の80パーセントは、上皮細胞由来である。悪性胸水
を有する患者は、臨床的に、呼吸の短さおよび胸の重さを示し;胸膜液は、頻繁
にNPE細胞を夾雑する。患者の最初の診断は、胸膜液の蓄積(通常は、片側)
を示す、胸部X線による。診断は、吸引された液の細胞学的試験(胸腔穿刺)、
または胸膜生検の組織学的試験によって確認される。胸膜液から得られるNPE
細胞を、TMに連結された致死剤に対するそれらの感受性について、上記のよう
に評価する。
【0179】 TMに連結された致死剤を利用する処置プロトコルは、NPE細胞殺傷を最適
化することが意図される。胸膜腔を覆う中皮細胞は、TM結合体によって影響を
及ぼされない。なぜなら、それらは、TM取り込みについてレセプターを含まな
いからである。薬物を、上記のように調製されるペプチドリンカーPLGIIG
G(配列番号92)を介してTMに連結する。100μg〜1gの薬物結合体を
、針吸引によって胸水容量の50%を除去した後に胸膜内に注射する。ポリエチ
レンカテーテルを有するかまたは有さない#16ゲージ針を、2%リドカインで
の局所麻酔の後に、後腋窩線(posterior axcillary li
ne)に沿って肋間アクセスによって胸膜腔に置く。胸水の半分(約1リットル
)を、減圧吸引によって除去し、その後、所定の用量の薬物結合体を、10〜5
0ccの滅菌生理食塩水の希釈容量で注射する。その後、患者を、下側位置、頭
側位置、ならびに右側位置、および左側位置に動かし、分布を増強する。選択し
た間隔で、胸膜液を吸引し、細胞生存率を決定する。この手順を、効力指数およ
び毒性に対する患者の耐性によって決定される間隔で反復する。臨床的効力を、
患者の症状の観察、内科学的兆候、体重、および連続胸部X線によって評価する
。胸水の再蓄積または分解の速度の決定を、連続X線によって決定する。細胞生
存率を用いて、生体染色および免疫学的技術を利用する細胞学的効力を決定し、
細胞機能を評価する。
【0180】 記載されるようにTM(bio)−MRAで処置された患者は、1ヶ月後に、
胸膜腔を占めるNPE細胞における顕著な減少を示す。
【0181】 前述から、本発明の特定の実施態様が例示の目的で本明細書中に記載されてい
るが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の改変がなされ得る
ことが理解される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ヒト(最上行)(配列番号1)、マウス(第2行)(配列番号2)、
ウサギ(第3行)(配列番号3)、ウシ(第4行)(配列番号4)、ウシガエル
(第5行)(配列番号5)、およびミミズ(第6行)(配列番号6)について報
告されているネイティブなJ鎖配列の比較である。各非ヒト配列について、ヒト
配列におけるアミノ酸残基に同一であるアミノ酸残基は、ダッシュ(−)によっ
て示される。ヒト配列と異なる残基は、標準的な1文字略語を使用して示される
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/42 A61P 29/00 A61P 29/00 31/12 31/12 35/00 35/00 A61K 37/48 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,L U,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO ,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG, SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,U G,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ハイアット, アンドリュー シー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 92103, サン ディエゴ, トランス ストリー ト 660 (72)発明者 フィッチェン, ジョン エイチ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 92037, ラ ホヤ, ラ ホヤ ビレッジ ドラ イブ 3874 Fターム(参考) 4C076 AA16 CC04 CC27 CC35 DD24 EE41A EE59 FF34 4C084 AA02 AA17 BA03 CA25 DC02 DC22 NA14 ZB112 ZB262 ZB332 4C086 AA01 AA02 AA03 EA01 EA16 MA01 MA04 NA14 ZB11 ZB26 ZB33

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つの生物学的薬剤に連結される標的化分子であ
    って、ここで該標的化分子が: (a)閉環された共有結合ループを形成し;そして (b)βシート特徴を有する、少なくとも3つのペプチドドメインを含む、 ポリペプチドを含み、該ドメインの各々が、βシート特徴を欠損するドメインに
    よって分離され;その結果、該生物学的薬剤が、非分極化上皮細胞に入り得、そ
    して殺傷し得る、標的化分子。
  2. 【請求項2】 前記生物学的薬剤が、酵素、結合薬剤、インヒビター、核酸
    、炭水化物および脂質からなる群から選択される、請求項1に記載の少なくとも
    1つの生物学的薬剤に連結される標的化分子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の少なくとも1つの生物学的薬剤に
    連結される標的化分子を含む薬学的組成物であって、薬学的に受容可能なキャリ
    アと組み合わされる、薬学的組成物。
  4. 【請求項4】 非分極化上皮細胞に関連した疾患に罹患した患者を処理する
    ための方法であって、請求項3に記載の薬学的組成物を患者に投与する工程を包
    含する、方法。
  5. 【請求項5】 前記患者が、癌、ウイルス感染および炎症性障害からなる群
    から選択される疾患に罹患する、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記癌が、非小細胞肺癌、乳癌、結腸癌、卵巣癌、前立腺癌
    および子宮内膜症からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 非分極化上皮細胞に関連する疾患の患者における発生を阻害
    するための方法であって、請求項3に記載の薬学的組成物を患者に投与する工程
    を包含する、方法。
  8. 【請求項8】 前記疾患が、癌、ウイルス感染および炎症性障害からなる群
    から選択される、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 生物学的薬剤が非分極化上皮細胞に入り得、そして殺傷し得
    るように少なくとも1つの該生物学的薬剤に連結される標的化分子であって、こ
    こで該標的化分子が: (a)閉環された共有結合ループを形成し;そして (b)βシート特徴を有する少なくとも3つのペプチドドメインを含む、 ポリぺプチドを含み、該ドメインの各々が、βシート特徴を欠損するドメインに
    よって分離され;ここで該標的化分子が、非分極化上皮細胞と会合されるか、ま
    たはこれから分泌される細胞内または細胞外の酵素の基質によって、少なくとも
    1つの生物学的薬剤に連結される、標的化分子。
  10. 【請求項10】 前記酵素が、プロテアーゼ、グリコシダーゼ、ホスホリパ
    ーゼ、エステラーゼ、加水分解酵素およびヌクレアーゼからなる群から選択され
    る、請求項9に記載の少なくとも1つの生物学的薬剤に連結される標的化分子。
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