JP2001516334A - セレクチン結合の阻害 - Google Patents

セレクチン結合の阻害

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、2つの細胞(一方は表面上にPまたはLセレクチンを発現し、そして他方は対応するリガンドを発現する)の間の結合を阻害するための系を提供する。別々の脂質上にサッカライドおよび酸性基を有する、共有的に架橋した脂質組成物が調製される。次いで、組成物は、結合を阻害するように、細胞間に挿入される。阻害は、遊離サッカライドの濃度よりも106倍も低い、有効オリゴサッカライド濃度で達成され得る。セレクチンは、傷害部位に細胞を補充するのに関与するので、この系を用いて特定の炎症状態および免疫学的状態を軽減し得る。

Description

【発明の詳細な説明】 セレクチン結合の阻害 関連出願の相互参照 本出願は、その全体を参考として本明細書中で援用される、係属中の、1996年 3月1日に出願された米国仮出願番号第60/012,894号の先願の利点を請求する。 技術分野 本発明は、一般に、炭水化物リガンドと細胞表面上のそれらのレセプターとの 結合を干渉するように設計された治療化合物の分野に関する。さらに詳細には、 本発明は、ポリマー化糖リポソームを使用して、P-およびL-セレクチンを介する 細胞の移動および活性化を阻害する生成物および方法を提供する。 発明の背景 内皮細胞への循環している好中球の接着は、炎症のプロセスにおいて生じる重 要な事象の1つである。組織への好中球の補充は、接着カスケードによって開始 される。このプロセスを通じて、細胞が運ばれ、そして最終的に内皮に堅く接着 する。この相互作用の高い結合強度に寄与する因子は、完全には理解されていな い。しかし、1つの細胞上のセレクチンと別の細胞上の炭水化物リガンドとの相 互作用が関係すると考えられている。これらの成分の間の結合を妨げることによ って、細胞の移動に関連する病理学的な後遺症に対抗することが可能であり得る 。 多数の接着分子が、好中球および他の白血球の内皮への相互作用を媒介する。 中でも、ICAM、VCAM、CDI11、CD18、インテグリンα4β1、およびセレクチンと して集合的に現在公知であるいくつかのレセプターが存在する。これらの各分子 は、リガンドレセプター対の一部であり、それらの1つは、2つの相互作用する 細胞のそれぞれの上で発現される。一般的な概説については、読者は、Bevilacq ua(Annu.Rev.Immunol.11:767,1993)を参照する。種々の組合せにおいて、 これらおよび他の分子は、脈管壁および血管外遊出物への白血球の接着を支持し 、 そしてまた、細胞エフェクター機能の活性化に関係し得る。多くのこれらの分子 の発現は、サイトカインのような可溶性因子によってアップレギュレートされ、 それにより、罹患した領域への白血球の補充を増大するように作用する。 記載されている多数の接着分子の中でも、3つが、セレクチンとして公知のカ テゴリーにともに集められる。1つめの分子は、ELAM-1として以前から公知であ り、そしてこれは、サイトカイン活性化内皮細胞に対する阻害性モノクローナル 抗体を使用して同定された。別の分子は、PADGEM、GMP-140、またはCD61と以前 に称された。これは、元々、血小板上で同定され、そして現在はP-セレクチンと して公知である。リンパ球上で同定された3つめの分子は、mLHR,Leu8、TQ-1、 gp90MEL、Lam-1、またはLecam-1と以前に称され、そして現在はL-セレクチンと して公知である。セレクチンは、それらの結合特異性が知られるかなり前に、構 造的類似性に基づいてともにグループ化された。全ては、N末端付近に炭水化物 結合ドメイン、EGF反復、およびそれぞれが相補的な結合タンパク質と相同性を 共有する約60アミノ酸の2〜9の間のいずれかのモジュールを有する単鎖ポリペ プチドである。一般的な概説については、読者は、Lasky(Annu.Rev.Biochem .64:113,1995)およびKansas(Blood 88:3259,1996)を参照する。 3つのセレクチンは、多数の重要な局面において互いに異なる。図2に示すよ うに、セレクチンは、接着プロセスにおいて異なるリガンド相対物(counterpar t)を有する。各セレクチンは別々に調節され、そして炎症または免疫のプロセ スにおいて異なる様式で関与している。セレクチン間のリガンド結合要件におけ る差異についての認識がまた、増大している。 E-セレクチンは、炎症におけるその役割に帰因して、有意な量の最近の研究の 関心を集めている。炎症部位への炎症性メディエーター細胞の移動は、血管内皮 細胞への細胞の接着によって部分的に媒介されると考えられる。インビトロの研 究は、E-セレクチンが好中球の接着だけではなく、好酸球、単球、およびメモリ ーT細胞の亜集団(subpopulation)の、内部毒素、IL-1、またはTNFによって活 性化されている内皮への接着にもまた関係していることを示唆している。内皮単 層によるE-セレクチンの発現は、約10倍まで増大し、そして、IL-1での刺激の約 4時間後にピークに到達し、24時間以内に基底レベル付近まで降下する。E-セレ クチンの生物学的な役割は、20分から1時間の時間経過にわたる(特に、局部的 な炎症の経過中の)、適切なE-セレクチンリガンドを有する細胞の強力な結合で あると考えられる。 Phillipsら(Science 250:1130,1990)は、E-セレクチンの結合標的を、オリ ゴサッカライドシアリルLewis X(sLex)(NeuAcα2,3Galβ1,4(fucα1,3)GlcNa c-)として最初に同定した。これは、好中球の細胞表面糖タンパク質に見出され る末端構造である。これは、セレクチンのクラスについての原型の炭水化物リガ ンドとなる。このオリゴサッカライドおよび関連のオリゴサッカライドは、米国 特許第5,576,305号およびPCT出願第WO 92/07572号の対象である。 sLexユニットは、セレクチンに対するその弱い結合を改善するための試みにお いて、種々のポリマー構造に組み立てられている。例えば、米国特許第5,470,84 3号およびDeFreesら(J.Am.Chem.Soc.117:66,1995)は、二価のシアリルX サッカライドを開示する。米国特許第5,470,843号は、10〜20のsLex、sLea、ま たは二官能性スペーサーを介して連結されたGlcNacを含む合成のポリマー骨格を 有する、炭水化物含有ポリマーを開示する。 DeFreesら(J.Am.Chem.Soc.118:6101,1996)は、従来のリン脂質リポソ ーム技術を使用して生成されたsLex調製物を記載する。このリポソームは、ホス ファチジルコリン、コレステロール、メトキシポリエチレングリコールと結合し たリン脂質、およびポリエチレングリコールスペーサーを通じてsLexと結合した リン脂質を含む。この組成物が、細胞へのE-セレクチンの結合の阻害において、 sLexモノマーよりも5×103倍さらに有能であることを示すデータが、提示されて いる。Muroharaら(Cardiovasc.Res.30:965,1995)は、心筋の再灌流モデル においてsLexホスホリポソームを試験し、そして400μg/kg体重の用量が危険性 および壊死の領域の比例的なサイズを減少させることを見出した。 P-セレクチンは、約140kDaの膜貫通糖タンパク質であり、E-セレクチンよりも 実質的に大きい。P-セレクチンが、血小板についてα顆粒および濃密顆粒(dens e-granule)において見出され得ることが、最初に記載された。メディエーター 様トロンビンでの血小板の活性化の際に、P-セレクチンは、細胞表面に迅速に再 分配される。内皮細胞において、P-セレクチンは、Weibel-Palade体として公知 の顆粒中に見出され、ヒスタミンでの活性化の際に、そこから表面に再分配され る。顆粒の貯蔵のためのP-セレクチンの輸送は、細胞質ドメインに存在するシグ ナルを分類することによって媒介されるようであり、そしてE-セレクチンとの比 較において明らかに独特である。 従って、P-セレクチンは、新たな合成に必要とされるよりも、貯蔵顆粒から迅 速に発現され得る点で、E-セレクチンとは異なる。P-セレクチンは、好中球、単 球、およびメモリーT細胞上に存在する炭水化物リガンドに結合する。予め形成 された状態のP-セレクチンだけではなく、その発現は、炎症性細胞の顆粒中で順 番に予め形成され、そして貯蔵される、ヒスタミンのようなメディエーターによ って刺激される。内皮細胞上のE-セレクチンよりも、P-セレクチンに対する白血 球の接着が、おそらく、損傷部位に対するこれらの細胞の補充のために生じる最 初の事象である。P-セレクチン結合の干渉は、白血球の移動を制限することが所 望される場合、特に重要であり得る。 血小板上のP-セレクチンの存在は、他のセレクチンと比較される、さらなる独 特の生物学的役割を示唆する。1つの仮説において、組織損傷の部位は、短作用 性(short-acting)血小板アクチベーターで実際に富化され得、そしてP-セレク チンを発現する活性な血小板は、他の白血球を直接補充し得る。別の仮説におい て、炎症部位における好中球または単球が、順番に、血餅の形成またはさらなる メディエーターの放出を導き得るP-セレクチンによって血小板を捕獲し得る。実 験的な血栓モデルにおいて、血小板が損傷部位にまず蓄積し、続いて、白血球が 接着し、そしてフィブリンが蓄積することが観察されている。後ろの2つの工程 の両方は、P-セレクチンに対する抗体によって阻害された(Palabricaら、Natur e 359:848,1992)。 L-セレクチンは、他の公知のセレクチンとは異なる多数の特徴を有する。第1 に、組織分布パターンが、P-およびE-セレクチンとは反対である-L-セレクチン は、内皮よりもむしろ白血球の表面で発現される;一方、L-セレクチンが結合す るリガンドは、白血球よりもむしろ内皮上にある。第2に、L-セレクチンは、炎 症中にアップレギュレートされるよりもむしろ構成的に発現され、そして実際、 続く活性化を生じる。このことは、放出されるべき細胞を結合後に活性化するこ とを可能にするように作用し得るか、または、細胞の活性化におけるL-セレクチ ンの役割を示し得る。第3に、L-セレクチンは、好中球および単球上だけではな く、ほとんどのリンパ球上にもまた存在する;一方、リガンド相対物は、内皮上 だけではなく、またリンパ節HEV上にも存在する。L-セレクチンは、リンパ節へ の回帰において重要な役割を果たすようである(Shimizuら、Immunol.Today 13 :106,1992;Pickerら、Annu.Rev.Immunol.10:561,1992)。免疫系を含む病 理学的状態において、最も中心的な役割を担うものはL-セレクチンであり得る。 米国特許第5,489,578号は、L-セレクチンのための硫酸化したリガンド、およ び炎症を処置する方法を記載する。このリガンドは、天然のL-セレクチンリガン ドGlyCAM-1上に存在する炭水化物構造に基づくスルホオリゴサッカライドである 。 米国特許第5,486,536号は、抗炎症性化合物としてのスルファチドの使用を記 載する。結合活性は、ガラクトースのピラノース環の3位の重要なスルフェート 基に帰する。1つの実験において、スルファチドはタンパク質含有緩衝液中で超 音波処理されて微小滴(microdroplet)を産生する。この調製物が、急性の肺の 損傷および炎症についての2つの動物モデルにおいて保護効果を有することが明 らかにされた。 各セレクチンは、結合のための炭水化物の要件に関して細密な特異性を示す。 全てのこれらのセレクチンは、シアル酸化フコオリゴサッカライドに結合し、そ の中の原型は、テトラサッカライドシアリルLewisx(sLex)である。合成の炭水 化物と単離されたセレクチンとの間の直接的な結合実験は、結合要件のさらに詳 細な考察を可能にしている(例えば、Brandleyら、Glycobiology 3:633,1993) 。E-およびL-セレクチンは、sLex中のシアル酸についてα2-3結合を必要とする が、P-セレクチンは、α2-6結合におけるシアル酸を認識し得る。P-セレクチン はまた、フコースの2-および4-位の水酸基を必要としない。P-およびL-セレクチ ンは、硫酸化した構造様のスルホ-Lex-(Glc)-セル(sulpho-Lex-(Glc)-cer)お よびスルファチドに、二価のカチオンの明らかに無関係な様式で結合するが、E- セレクチンの結合は、カチオンの存在に正確に感受性である。硫酸化された炭水 化物へのP-およびL-セレクチンの結合は、他の硫酸化された炭水化物によっての み阻害可能であるが、E-セレクチンはこの要件を有さない。 生物学的反応におけるセレクチンの特異性が、リガンドの炭水化物成分によっ てさらにより媒介されることを強調することが、重要である。例えば、P-および L-セレクチン(E-セレクチンではない)は、スルファチド(Aruffoら、Cell 67: 35,1991)およびヘパリンの特定の亜種(Norgard-Sumnichtら、Science 261:48 0,1993)のような、シアル酸およびフコースを欠如する硫酸化された分子に結 合する。セレクチンによって認識される種々の炭水化物の一般的な概説について は、Varkiら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:7390,1994)を参照のこと。 各セレクチンは、妨害する細胞の表面上の天然のリガンドの異なるファミリー を有する(McEverら、270:11025,1995を参照のこと)。E-セレクチンは、ESL-1 と称されるリガンドに強く結合する。対照的に、抗体のブロッキングの研究は、 白血球上のP-セレクチンのための不可欠な全ての結合部位が、PSGL-1(P-セレク チン糖タンパク質リガンド1)と称されるO-グリコシル化タンパク質に帰するこ とを示す(Mooreら、J.Cell.Biol.128:661,1995)。L-セレクチンについて 同定された天然のリガンドはこれらのいずれでもないが、名称GlyCAM-1、CD34、 およびMAdCAM-1を有する他の糖タンパク質を含む。 結合特異性は、3つのセレクチンのうち少なくとも2つが、sLex構造の範囲を 超えてリガンド成分を認識しなければならないことを示す。オリゴサッカライド に加えて、P-セレクチンが、ESL-1、およびCD34のような他のムチン様O-グルコ シル化タンパク質とは異なる特徴を有してPSGL-1上の部位に結合しなければなら ない。 天然のリガンドの高親和性結合のための第2のリガンド要件が、P-およびL-セ レクチンの両方について同定されている。第2のリガンド要件は、E-セレクチン 結合には明らかに必要とされず、そして有効な阻害化合物の開発に密接な関係を 有するスルフェート残基である。 Imaiら(Nature 361:555,1993)は、リンパ節HEV上のリガンドに対するL-セ レクチンの結合についての要件を試験した。放射活性無機スルフェートは、塩化 ナトリウムによって阻害可能な様式で、50kDaおよび90kDaの糖タンパク質中に取 り込まれる。低硫酸化(undersulfated)糖タンパク質は、沈澱分析においてL- セレクチンキメラとはもはや相互作用しなかった。阻害実験は、炭水化物または タンパク質骨格のために必要とされるスルフェート基の位置を正確に指摘しない 。いずれによっても、スルフェートの要件は、L-セレクチンの結合特異性をE-セ レクチンの特異性と区別する。 スルフェート成分は、P-セレクチンリガンドPSGL-1の構造においてさらに詳細 にマップされている。P-セレクチンにおける要件は、グリコシル化部位とは異な る、ポリペプチド骨格のN末端付近の1つ以上の硫酸化チロシンによって提供さ れる。 Wilkinsら(J.Biol.Chem.270:22677,1995)は、ヒトHL-60細胞中で合成さ れたPSGL-1が[35S]スルフェートで代謝的に標識され得ることを示した。ほと んどの35S標識が、チロシンスルフェートの形態でポリペプチドに取り込まれ得 たことが示された。細菌のアリールスルファターゼでのPSGL-1の処理は、チロシ ンからスルフェートを放出し、そしてP-セレクチンへの結合において一致する減 少を生じる。 Pouyaniら(Cell 83:333,1995)は、硫酸化の選択的なインヒビターが、E-セ レクチンではなく可溶性のP-セレクチンへのHL-60細胞の結合を傷つけることを 示した。sLexまたはポリペプチドの細胞表面発現は、処理によっては傷つけられ なかった。単離されたPSGL-1構築物の欠失分析は、残基20〜40に結合成分を局在 化した。セグメントは、3つのチロシン残基を含み、そしてこれらがフェニルア ラニンに変換される場合、P-セレクチン結合活性が完全に破壊された。さらに、 20アミノ酸のセグメントが異なるタンパク質上に融合される場合、それは生合成 の間に再び硫酸化され、そしてP-セレクチンについて結合活性を有した。これら の著者は、硫酸化したチロシンが、P-セレクチンの炭水化物結合ドメインを介し てではなく、膜貫通ドメインのタンパク質配列に密接して配置されるEGF様ドメ インを介してP-セレクチンと相互作用することを示唆した。 Sakoら(Cell 83:323,1995)は、融合タンパク質として発現される、PSGL-1 の細胞外ドメインを使用して別の一連の結合実験を行った。このアッセイは、タ ンパク質のフコシル化およびアッセイ培地中のカチオンを必要とし、これは、炭 水化物様sLexについての依存性と一致する。推定のN-結合グリコシル化部位の変 異は、セレクチン結合に効果を有さず、このことは、炭水化物の要件がO-結合で あったことを示唆する。しかし、3つのチロシンのフェニルアラニンへの変異は 、P-セレクチンの結合活性を廃止する。PSGL-1がまたリガンドとして作用し得る E-セレクチンの結合は、硫酸化部位の除去によって影響されなかった。 sLexに対するP-およびL-セレクチンの結合親和性は、mMの範囲である(Nelson ら、J.Clin Invest.91:1157,1993)。対照的に、天然のリガンドに対するP-セ レクチンの親和性は、nMの範囲であり(Mooreら、J.Cell Biol.112:491,1991 )、約106倍の能力の差異である。複数のsLexユニットを含む合成オリゴサッカ ライドは、部分的に差異を形成し、そのような効果は、リガンドの結合価のみに はよらない。格差はまた、PSGL-1上のスルホチロシンのような、強力なアニオン 決定基についてP-およびL-セレクチンの要件に寄与し得る。PSGL-1と同じ濃度範 囲において有効な化合物は、類似の効果的な決定基の組合せを供給し得るはずで ある。 セレクチン−リガンド相互作用を干渉し得る新規の治療組成物の開発の必要性 が存在する。なぜなら、細胞性の接着は、多数の炎症性の現象および免疫学的現 象における初期の事象であるからである。全身的な投与のために、組成物は、ナ ノモルの範囲で有効であるはずであり、その結果、有効量は、実施可能な用量で 提供され得る。推定の組成物が天然の相互作用の要件を適切に提示する系におい て試験されるはずであることを強調することが重要である。1成分の相互作用を 効果的にブロックする1成分インヒビターは、代表的には、2成分の相互作用を ブロックすることにおいて有効ではない。 この開示は、リガンド結合について適切な細胞生物アッセイにおいて試験した 場合、ナノモル濃度でP-またはL-セレクチンを阻害するために必要な全ての特徴 を示す、ポリマー化脂質組成物を記載する。ポリマー化リポソームおよび脂質の シートは、他の状況において提案されている(Spevakら、Adv.Mater 7:85,199 5;Reichertら、J.Am.Chem Soc.117:829,1995;Charychら、Science 261:585 ,1993;Charychら、Chem.Biol.3:113,1996)。しかし、本発明は、ポリマー 化糖リポソームが2つの真核生物細胞の相互作用を含む生物学的系において有効 であることが示されている場合の、最初の事例である。本発明はまた、ポリマー 化糖リポソームが多数の別々の決定基を有する結合系について効果的なリガン ドであることが示されている場合の、最初の事例である。 発明の要旨 本発明の脂質組成物は、安定な足場を提供し、これによりリガンド結合のため に必要とされる複数の特徴を提供する。PおよびLセレクチンインヒビターは、 活性に必須である、負に荷電した脂質の頭部基が散在した炭水化物の多価アセン ブリを含む。これらの組成物は、セレクチンにより媒介される生物学的現象(好 中球および単球の粘着性および溢出、ならびに血管、リンパ管、および疾患を罹 った組織を通してのリンパ球の輸送を含む)を阻害する際の使用のために提案さ れる。 従って、本発明の特定の実施態様は、PまたはLセレクチンを有する第1の細 胞と、セレクチンについてのリガンドを有する第2の細胞との間の結合を阻害す る方法に関する。この方法は、脂質組成物を第1の細胞と相互作用させる工程を 含み;ここで、脂質組成物は、脂質のシートを含み、ここで、脂質の一部は共有 的に架橋しており、脂質の一部は結合したサッカライドを有し、そして結合した サッカライドを有さない脂質の一部は中性pHで負に荷電する酸性基を有する。結 合したサッカライドまたは酸性基を有する脂質の一部は、シートにおいて他の脂 質に共有的に架橋し得、そして一部は他の脂質に共有的に架橋しないかもしれな い。 これは、脂質シートにおける脂質の一部が第1の結合したサッカライドを有し 、そして脂質シートにおける脂質の異なる一部が第1とは異なる第2の結合した サッカライドを有する実施態様を含む。組成物は、好ましくは、モノマーsLeXの 50%阻害濃度(IC50)よりも102倍または104倍低い50%阻害濃度を有する。 本発明はまた、白血球の付着または移動を阻害する方法;白血球の粘着性また はフィブリン沈着を阻害するための方法;白血球の付着または移動を阻害する方 法、リンパ球付着およびセレクチンにより媒介される細胞相互作用の他のタイプ の介入を阻害する方法を実施し、これは、既に概説したように、PまたはLセレ クチンを有する第1の細胞と、セレクチンについてのリガンドを有する第2の細 胞との間の結合を阻害する工程を含む。 本発明の別の実施態様は、PまたはLセレクチンと、セレクチンについてのリ ガンドとの間の結合を阻害する方法である。この方法は、セレクチンがリガンド と接触する環境において脂質組成物をセレクチンと相互作用させる工程を含み; ここで、脂質組成物は脂質のシートを含み、ここで、該脂質の一部は共有的に架 橋しており、脂質の一部は結合したサッカライドを有し、そして結合したサッカ ライドを有さない脂質の一部は中性pHで負に荷電した酸性基を有する。この実施 態様は、細胞表面上とは限らないセレクチン−リガンド対の間の阻害プロセスに 関する。 また、セレクチン結合活性を有するポリマー化糖リポソームを選択する方法を 実施する。この方法は、共有的に架橋した脂質を有する糖リポソーム、および共 有的に架橋した脂質の一部に結合したサッカライドを提供する工程;糖リポソー ムを、セレクチンおよびセレクチンリガンドを有する細胞を含む環境に導入する 工程;ならびに相対阻害濃度がモノマーsLexの相対阻害濃度よりも低い場合、糖 リポソームを選択する工程を含む。 また、血管内皮、血小板、またはリンパ組織への白血球またはガン細胞の粘着 性における局所的変更により特徴付けられる疾患;特に炎症性または免疫学的病 因の疾患を処置する際に使用するための医薬品の製造におけるポリマー化脂質組 成物の使用を実施する。ここで、ポリマー化脂質組成物は、脂質のシートを含み 、ここで、脂質の一部は共有的に架橋しており、脂質の一部は結合したサッカラ イドを有し、そして結合したサッカライドを有さない脂質の一部は、中性pHで負 に荷電する酸性基を有する。 また、血管内皮、血小板、またはリンパ組織への白血球またはガン細胞の粘着 性における局所的変更により特徴付けられる疾患を処置するための方法を実施す る。この方法は、脂質のシートを含むポリマー化脂質組成物の有効量を投与する 工程を含み、ここで脂質の一部は共有的に架橋しており、脂質の一部は結合した サッカライドを有し、そして結合したサッカライドを有さない脂質の一部は、中 性pHで負に荷電する酸性基を有する。目的の疾患は、心臓病(例えば、虚血再灌 流傷害、心筋梗塞、心筋炎、再狭窄、および深部静脈血栓)、出血性ショック、 関節炎、喘息、および転移性ガンを含むがこれらに限定されない。 また、上記の方法のいずれかに記載され得るかまたは以下に記載されるように 、PおよびLセレクチン阻害活性を有する組成物およびそれから調製される薬学 的組成物を実施する。 図面の簡単な説明 図1は、化学構造の拡大した詳細を示している、2つのポリマー化糖リポソー ムの図である。構造「A」は、2nM未満のオリゴサッカライド濃度でHL-60細胞 へのPセレクチンの結合を阻害し得るが、一方構造「B」は、本質的に活性を有 さない。小胞は、単層であり、UV光を用いて架橋されたジイン基を有する単鎖脂 質からなる。約5%の脂質に結合しているのはsLexオリゴサッカライドのアナロ グである。調製物は、隣接する脂質により呈示される、外面に面している決定因 子に関して異なる。構造「A」において、隣接する脂質は、中性pHで負の荷電を 有するカルボン酸基を提供する。構造「B」において、隣接する脂質は中性であ る。負に荷電した脂質は、ちょうどスルホチロシンが天然のリガンドにおいてsL exと相乗的に作用するように、sLexアナログと相乗的に作用してPセレクチン結 合活性を供給する。PおよびLセレクチンは、結合における負に荷電した決定因 子についての必要条件がEセレクチンとは異なる。 図2は、セレクチン結合のいくつかの局面を示している漫画である。囲んだパ ネルは、L、P、およびEセレクチンについて公知のレセプターリガンド対を示 す。これらは、便宜上、同じ細胞上に示すが、細胞の付着および移動に対して異 なる方法で関与する。下は、Pセレクチンについての二重結合部位モデルを示し ている詳細図である。リガンドPSGL-1において、負の基は3つのスルホチロシン 残基に対応する。対照的に、Eセレクチンについての異なる陰イオン結合部位に ついての証拠はない。 図3は、本発明の糖リポソーム中へのアセンブリのために選択され得る特定の 成分の図である。 図4は、糖リポソームによるHL-60細胞へのPセレクチン結合の阻害について の滴定曲線である。有効性が減少する順番で(左から右)、組成物は以下からな る:sLexアナログおよび酸性脂質;ラクトースおよび酸性脂質;マルトースお よび酸性脂質;ならびにsLexアナログおよび中性脂質。 図5は、種々の糖リポソーム調製物の50%阻害濃度を示している棒グラフであ る。 図6は、実施例3において結合について試験したポリマー化リポソームの詳細 図である。試験した成分の中でも、スルホLexアナログは、最良の炭水化物であ り、そして異なる負に荷電した基についての必要条件を最も満たす硫酸基を有す る脂質であることが見出された。 図7および8は、ポリマー化糖リポソームに含まれるためのさらなる例示的な 炭水化物決定因子の図面である。 図9は、sLex構造と、架橋したマトリックスにおいて隣接している脂質上にシ アル酸およびフコース残基を含む新規な糖リポソームを有する、sLexに係留した (tethred)アナログとを比較する図である。 詳細な説明 本発明の目的は、特に2つの細胞間の相互作用の間の、PおよびLセレクチン のそれらの対応するリガンドへの結合の阻害のための系を提供することである。 ポリマー化脂質組成物は、相互作用している細胞の1つと接触するか、または細 胞が相互作用すると予測される環境に導入される。この型の介入は、細胞の粘着 性、移動、または活性化がセレクチンにより媒介され、そして宿主の健康に有害 である任意の状況における治療目的である。 本発明における使用のためのポリマー化糖脂質組成物は、最少でも以下の3つ の要素を含む: 1.脂質の一部の間で共有的に架橋することにより安定化した脂質シートから なる安定なプラットフォーム。 2.セレクチンの炭水化物結合の必要条件を満たす脂質シートにおける脂質に 結合した、サッカライドまたは類似の構造体。代表的には、糖脂質は、この構造 体における架橋した脂質の1つであるが、代わりに、架橋した足場を形成する他 の脂質の間に捕獲され得る。 3.PおよびLセレクチンの陰イオン結合の必要条件を満たす、負に荷電した または電気的に陰性の基(通常、カルボン酸または酸素酸)。陰イオン結合の必 要条件が満たされる限り、この基が、PSGL-1のスルホチロシンと正確に同一の役 割を果たさなければならないという必要条件はない。 例示的な組成物が調製され、そして細胞バイオアッセイにおいて阻害活性につ いて試験された場合、この技術により提供される改良を強調する多くの重要な観 察がなされた。 ・ポリマー化リポソームは、複数成分の結合の阻害について以前に試験されて いない。サッカライドと負に荷電した基との相対的な位置決めは、偶然のランダ ムなポリマー化であり、低分子の段階的化学合成におけるような制御された構造 ではない。有効な方向がもたらされるとは予測され得ないが、活性な組成物が困 難性なく再現的に生成されることが見出された。新たな決定因子の組み合わせは 、容易にアセンブルされ、そして活性について試験される。 ・中性リガンドPSGL-1の負に荷電した基はスルホチロシンであり、そしてリポ ソームにおける陰イオン結合の必要条件を満たすために必要とされる性質は未知 であった。陰イオン結合の必要条件は、陰イオンがタンパク質または炭水化物成 分上にあることを必要としないが、脂質シートの一部となる脂質に直接結合し得 ることが見出された。驚くべきことに、陰イオン性成分は、硫酸基である必要は ないが、脂質上の単純なカルボン酸頭部基として提供され得る。 ・隣接している脂質上での酸性基の存在は、オリゴサッカライドの必要条件の 厳密性を予想外に減少させた。中性のジサッカライド(例えば、ラクトースおよ びマルトース)は、何らかのセレクチン結合活性を有するとは以前に示されてお らず、そして最初の実験において「ネガティブコントロール」として含まれてい た。予想外に、これらの糖および陰イオン脂質を含有する組成物は、強力なセレ クチンインヒビターであった。これは、重要な商業目的となる。なぜなら、ラク トースのような糖類を含有する組成物の製造は、さらに複雑な糖類(例えば、sL ex)を含有する組成物よりも容易でかつ廉価であるからである。 ・阻害活性は、著しく高かった。細胞バイオアッセイにおいて、sLexアナログ ー陰イオン脂質の組み合わせは、2nMという低いIC50を有した。これは、sLexモ ノマーよりも106倍も低い。ラクトース陰イオン脂質の組み合わせは、15nM で有効であった。これは、有効治療用量がより低いコストで調製され、そして先 行技術の組成物よりも小さな容量で投与され得ることを意味する。 図1は、本発明の例示的な脂質組成物を示す。ここで、sLexのアナログは、ポ リマー化単層リポソームの表面上に提示される。第一の構造のみがバイオアッセ イにおいてPセレクチン結合についての阻害活性を実証し、組成物における陰イ オン成分の重要性を強調した。 炭水化物および陰イオン性決定因子は、ポリマー化脂質組成物の別々の脂質上 に存在するので、本明細書に記載したアプローチの別の利益は、成分が、別々に スクリーニングされ、そして力価決定され洗練された結合特徴を有する改良され た組成物を生成し得ることである。ポリマー化脂質組成物の調製 図1の図面および実施例2に提供するデータから、本発明の実施が組成物の化 学的な詳細にそれほど依存しないことが容易に認識される。上記の3つの必要条 件の拘束内で、当業者は、多くの異なるアプローチに従って組成物を自由にアセ ンブルする。ポリマー化化学および決定因子の結合の変化は、本発明の範囲にお いて可能とされ、そしてこの内に含まれる。炭水化物と脂質との間の特定の結合 を設計することは、充分に当業者の技術範囲内である。組成物の最適化は、日常 的な調整により、そして当該分野で確立された多くのアッセイの1つにおけるセ レクチン結合への調整の影響に従って達成され得る。 以下の節は、読者の便宜のために可能なアプローチの例示を提供するにすぎな い。 脂質組成物の成分の調製:本発明は、セレクチン結合を阻害するために必要とさ れる決定因子を有するため、および脂質のアセンブリを形成するための成分の両 方として、脂質を使用する。本発明に使用され得る脂質の例は、好ましくは約8 〜30個の炭素原子を飽和、単不飽和、または多数不飽和の形態で含有する、脂肪 酸;ポリアミノ、ポリヒドロキシ、または混合アミノヒドロキシ化合物のアシル 化誘導体;グリコシルアシルグリセロール;リン脂質;ホスホグリセリド;スフ ィンゴ脂質(スフィンゴミエリンおよび糖スフィンゴ脂質を含む);コレステロ ールのようなステロイド;テルペン;プロスタグランジン;および鹸化不能脂質 (non-saponifiable lipid)である。 組成物の負に荷電した基は、代表的には、脂質シートの外部表面から接近可能 な酸である。所定の実施態様では、この酸は、有機酸、特にカルボン酸である。 他の実施態様では、この酸は形態(XOn)(O--)pの酸素酸であり、ここでn+p>2で ある。この場合には、脂質は、代表的には、形態Rm(XOn)(O--)pであり、ここで 各Rは脂肪族炭化水素(これらは同じである必要はない)を含み、mは1または 2であり、(XOn)(O--)pは酸素酸であり、そしてn+p>2である。好ましい酸素酸 は、スルフェート、SO3 -、およびホスフェートである。ホスフェートは、その酸 素の1つまたは2つを介して脂肪酸炭化水素に結合し得る。組成物の任意の負に 荷電した成分について、任意のさらなる特徴が、酸と脂肪族または膜固着基との 間に存在し得る。これらは、ポリエチレングリコールおよび他のヘテロ原子含有 炭化水素のようなスペーサーを含む。酸基はまた、アミノ酸、糖、または偽糖の ような置換基上に存在し得、これは、リン酸化または硫酸化形態のシクロヘキシ ジン、特にヘキサホスファチジルイノシトールおよびヘキサスルファチジルイノ シトールを含む。 負に荷電した基は、脂質にすでに存在し得るか、または合成によって導入され 得る。負に荷電した頭部を有する脂質の例は、脂肪酸それ自身(ここで、負の電 荷はカルボキシレートの基によって提供される)、カルジオリピン(リン酸基) 、ジオレオイルホスファチジン酸(リン酸基)、および硫酸コハク酸の1,4-ジヘ キサデシルエステル(硫酸基)を含む。 市販されていない負に荷電した脂質は、標準的な技術によって合成され得る。 2、3の非限定的な説明が続く。1つのアプローチにおいて、脂肪酸は、塩化メ チレン中のN-ヒドロキシサクシンイミド(NHS)および1-(3-ジメチルアミノプロ ピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)で活性化される。脱離基N-ヒドロキシサ クシンイミドは、広範な範囲の求核試薬で置換され得る。1つの例では、グリシ ンが、負に荷電した頭部を有する脂肪酸-アミノ酸結合体を産生するために用い られる。グルタミン酸は、活性化脂肪酸に結合して、その頭部に2つの荷電を有 する脂肪酸-アミノ酸結合体を産生し得る。別の合成アプローチでは、2,3-ビス( (1-オキソテトラデシル)オキシ)-ブタンジオール酸が、トルエン中のミリストイ ルクロライドをd1-酒石酸のピリジン溶液に添加することにより調製される。清 澄溶液が濃縮されて、産物を産生し、これはヘキサンから再結晶化される(Kuni takeら、Bull.Chem.Soc.Japan,51:1877,1978)。 硫酸化脂質、スルホコハク酸の1,4-ジヘキサデシルエステルが、以下のように 調製される:2、3滴の濃縮されたスルホン酸を有するトルエン中の無水マレイ ン酸およびヘキサデシルアルコールの混合物が、3時間、水の共沸除去とともに 加熱される。ジヘキサデシルマレイン酸が再結晶化され、次いで100℃で2〜3 時間水中で等モル量のNaHSO3とともに加熱される。水を蒸発させ、そして脂質を メタノール中に抽出することによって産物が回収される(Kunitakeら、前出)。 アルキルスルホネートが以下のように合成され得る。脂質アルコールがSigmaか ら入手されるか、または脂肪酸の酸基が、エーテル中のリチウムアルミニウム水 和物と反応して、カルボキシレートをアルコールに変換することによって還元さ れる。このアルコールは、塩化メチレン中でのトリフェニルホスフィンおよび四 臭化炭素との反応によって臭化物に変換され得る。次いで、臭化物は、亜硫酸水 素イオンと反応してアルキルスルホネートを産生する。スルフェートは、活性化 脂肪酸とスルホネート含有アミンとを反応させることにより調製され得る。例え ば、10,12-ペンタコサジノン酸のN-ヒドロキシサクシンイミドエステルは、タウ リンと反応してN-10,12-ペンタコサジイノイルタウリンを産生する。スルフェー トはまた、アルコール(例えば、ラウリルアルコール)を無水ジメチルホルムア ミド中の三酸化硫黄-トリメチルアミン複合体と2.5時間反応させることによって 調製され得る(Bertozziら、Biochemistry 34:14271,1995)。 市販されていないリン酸含有脂質もまた容易に合成される。例えば、ジアルキ ルホスフェート化合物を調製するために、ホスホリルクロライドを対応するアル コールと反応させる。ジヘキサデシルホスフェートを作製するために、ホスホリ ルクロライドが20時間ベンゼン中で3当量のヘキサデシルアルコールを用いて還 流され、続いて産物が再結晶化される(Kunitakeら、前出)。モノアルキルホス フェートは、例えば、10,12-ヘキサコサジイン-1-オール(1当量)とホスホリ ルクロライド(1.5当量)とを乾燥CCl4中で室温にて約12時間反応させ、次いで 6時間還流下で煮沸することによって調製され得る。溶媒の除去、および残渣を 水で1時間加熱することにより、所望の10,12-ヘキサコサジイン-1-ホスフェー トが産生される(Hupferら、Chem.Phys.Lipids 33:355,1983)。あるいは、NHS で活性化された脂肪酸は、2-アミノエチルホスフェートと反応して、アミノエチ ルホスフェートのアクリル化誘導体を産生し得る。 本発明での使用に適切な炭水化物成分は、ポリマー化脂質シートに取り込まれ た場合にセレクチン結合活性を有する、任意のモノサッカライド、ジサッカライ ド、およびより大きなオリゴサッカライドを含む。単純なジサッカライド(例え ば、ラクトースおよびマルトース)は、モノマーのようなセレクチン結合活性を 有さない。しかし、ポリマー化リポソームに取り込まれた場合、実質的な活性を 獲得する。従って、適切な炭水化物の範囲は、他のセレクチンインヒビターにお いて用いられるものをかなり越えて広がる。 いくつかの実施態様において、炭水化物は、非抱合型のモノマーとして検出不 可能な結合を有するジサッカライドまたは中性のサッカライドである。他の実施 態様において、炭水化物は、モノマー形態で実質的な結合を有し、そして必要に 応じて、マルチマーのオリゴサッカライドとして合成される。しかし、これは、 代表的には必要とされない。好ましいオリゴサッカライドは、シアル酸化フコオ リゴサッカライド、特にsLexおよびsLea、シアル酸化フコオリゴサッカライド、 硫酸化フコオリゴサッカライド、特にスルホLex、および硫酸化フコオリゴサッ カライドのアナログである。ジサッカライドおよびより大きなオリゴサッカライ ドは、必要に応じて、サッカライド単位間の非炭水化物特性の他の特徴またはス ペーサー基を含み得る。 「シアル酸化フコオリゴサッカライドアナログ」は、sLexのそれと空間的に類 似した配向性でセレクチン結合に関与するsLexの最小の構造的成分を含むサッカ ライドである。これらの成分は、フコースサブユニットの3-ヒドロキシ基および sLeXのノイラミン酸サブユニットの負の基である。L-セレクチン結合の前後関係 において、好ましいアナログは、フコースサブユニットの2-、3-、および4-ヒド ロキシ基およびノイラミン酸サブユニットの負に荷電した基を含む。フコースお よびシアル酸成分は、ジサッカライドスペーサーを介して結合され得る。なぜな ら、それらは炭化水素リンカー(以下に例示される鎖アナログにおけるように) を介して、または環状基または芳香族基のような随意の特徴を含有する適切な長 さの合成スペーサーを介してsLex内に存在するからである。後者のタイプの例は 、Searsらによる総説に列挙されている(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:12086,1 996)−特に図7を参照のこと。 特定の目的の所定のアナログおよび他のオリゴサッカライドは以下を含む:1 .鎖ジサッカライドであって、2つの糖間のスペーサーを含有し、特にシアル酸 またはその硫酸化形態およびフコース、ここで、スペーサーは、直鎖または分枝 したアルキル基(図9)であるか、または混合した炭化水素である(Hanessian ら、J.Syn.Lett.868,1994)。2.水酸化環状構造によって結合されたシアル 酸のフコース残基およびカルボン酸基を含むアナログ(Linら、Biorganic Med. Chem.Lett 6:2755,1996)。3.1つ以上の位置で硫酸化されたラクトース(B ertozziら、Biochemmistry 34,14271,1995)。4.カルボン酸基へのエーテル 結合を有する中性ジサッカライド(Hirumaら、J.Am.Chem.Soc.118:9265,1996) 。5.カルボン酸基への複数の5-または6-員環構造を介して結合したモノサッカ ライド(フコースである必要はない)であって、少なくとも1つの環状構造はフ ェニル基である(Dupreら、Bioorg.Med.Chem.Lett.,6:569,1996)。7.カルボ ン酸への多数のペプチド結合によって結合したフコースまたは類似のモノサッカ ライドを含有する、糖ペプチド(Cappiら、Angew.Chem.Int.Engl.編、1996;Wan gら、Tetrahedron Lett.37:5427,1996)。8.多数のサルフェート基を有する トリ-およびテトラサッカライド(Nelsonら、Blood 82:3253,1993)。9.リン 酸化または水酸化シクロヘキサン、特にヘキサホスファチジルイノシトールおよ びヘキササルファチジルイノシトール(Cacconiら、J.Biol.Chem.269:15060,1 994)。 多くのモノおよびジサッカライドが市販されている。セレクチン結合のための より複雑な炭水化物構造は、文献に広範に記載されており、そして本明細書中で 精巧に考案される必要はない。読者への目的の学術文献は、Tonneら(Tetrahedr on 45:5365,1989);Drueckhammerら(Synthesis 499,1989);Hindsgaul(Se m.Cell Biol.2:319,1991);Lookら(Anal.Biochem.202:215,1992);Itoら( Pure Appl.Chem.65:753,1993);およびDeFreesら(J.Am.Chem.Soc.117:66,1 995)を含む。 脂質への炭水化物の結合は、必要に応じて結合の間炭水化物を適切に保護する 、任意の確立されているか、または発明された合成ストラテジーによって行われ 得る。1つの方法は、N-ヒドロキシサクシンイミドによって活性化された炭水化 物とグルコサミンまたはガラクトサミンのようなアミノ糖とを反応させることで ある。オリゴサッカライド-脂質結合が所望される場合、オリゴサッカライドは 、最初にサブユニットの1つとしてアミノ糖を利用することによって合成され得 る。次いで、アミノ糖のアミノ基は、活性化脂肪酸によってアシル化され、脂質 -オリゴサッカライド結合体を産生する。オリゴサッカライドにおいて、アミノ 糖-脂肪酸結合体が、所望の標的との結合に立体的に干渉し得ることは留意され るべきである。従って、アミノ糖-脂質結合体とリガンドとしてのサッカライド 作用部分との間の他の糖サブユニットの挿入によってオリゴサッカライドを伸長 することが望ましくあり得る。例えば、sLexに対して、アミノ糖がsLexの結合部 分に接近し過ぎる場合、アミノ糖-脂肪酸結合体は結合の立体妨害を導入し得る 。従って、sLexは、結合の立体妨害を回避するために、GlcNacサブユニットをア ミノ糖で置換する代わりに、O-グルコシド結合を介してsLexのGlcNAcサブユニッ トにアミノ糖を結合させることによって拡張されるべきである。 アミノ糖のアミノ基を利用する別の方法は、アミノ基にヨードアセチル基を導 入し、それに続くさらなる誘導体化のためのさらなる官能基を含有するチオール 含有化合物(例えば、シスタミンまたはシステイン)とのアミノ基の反応である 。 O-グリコシドは、グルコースまたはマンノースのようなモノサッカライドでの アルコールの酸触媒濃縮によって容易に形成される。N-Fmoc-エタノールアミン は、グルコースの還元末端に付加され得、引き続いて、ピペリジンでアミノ基が 脱保護される。次いで、化合物の遊離アミノ基は、活性化された脂肪酸でアシル 化されて、炭水化物-脂質結合体を形成し得る。あるいは、グリコシルハライド (糖とHClのようなハロ酸とを反応させることによって形成される)が利用され 得る。ここで、アルコールによるハライドの求核置換はO-グリコシドを形成する 。 別の方法は、アミンと還元糖とを反応させることによるN-グリコシドの形成に 関する。この反応は、糖(例えば、グルコース)とアミン(例えば、デシルアミ ン)とを室温で約48時間反応させることによって容易に達成される。あるいは、 糖をアミン(例えば、ステアリルアミン)(2〜3モル過剰)とともに80℃でエタノー ル/水溶液中で加熱することは、N-ステアリルグリコシドを形成するに十分であ る(Lockhoff,Angew.Chem.Int.Eng.編、30:1161,1991)。N-グリコシドの安定 性を増大させるために、産物は、0℃で60%ピリジン/40%無水酢酸中で撹拌す ることによってペルアセチル化される。次いで、ペルアセチル化産物は、無水メ タノールに溶解され、pHを約10に調製するために1Mメトキシドナトリウムが添加 され、そしてこの混合物は、N-アセチル-N-グリコシドを産生するために室温で 3時間撹拌される。 N-グリコシドを介してさらなる機能性を導入する本方法の拡張は、糖への多機 能性アミンの添加に関する。例えば、N-アリルアミンは、遊離還元末端を有する サッカライドに付加され、脂肪酸のための付着の適切な点を提供するためのアリ ル基の反応が続く。当業者は、図3に示される糖結合体が、N-アリルアミンとsL exアナログとを反応させること、そして引き続くN-グリコシドのペルアセチル化 によって作製されることを認識する。水酸基は、触媒量のメトキシドナトリウム で脱保護され得、N-アセチル化N-アリルグリコシドを生じ得る。あるいは、N-ア リルグリコシドのアミノ基は、酸クロライドで直接アセチル化され得る(Lockho ff,Angew.Chem.Int.Eng.編、30:1161,1991)。次いで、シスタミンのようなメ ルカプトアミンは、UV光での照射によってN-アリルグリコシドに付加され得(Ro yら、J.Chem.Soc.Chem.Comm.1059,1988)、これは遊離アミノ基を有するN-グ リコシドを生じる。次いで、遊離アミノ基は、10,12-ペンタコサジン酸のN-ヒド ロキシサクシンイミドエステルのような活性化脂肪酸と容易に結合し得、結合し た糖を産生する。 炭水化物に脂肪酸または他の脂質を結合する他の方法は、適切なチオグリコシ ドまたはC-グリコシドを形成することによって達成され得る。次いで、これらの 化合物は、N-グリコシドのために用いられる方法に類似の様式でさらに誘導体化 され得る。ノイラミン酸のC-アリルグリコシドは、例えば、N-アセチルノイラミ ン酸を産生するための触媒としてのNeuAcアルドラーゼの存在下でのN-アセチル マンノースアミンとピルビン酸ナトリウムとの反応によって容易に形成される。 エタノール中のHClガスでの粗反応混合物の処理は、エチルエステルを産生し、 これはグリコシルクロライドを産生するアセチルクロライドとの反応に続けられ る(この工程はまた、水酸基のアセチル化を生じる)。UV照射(Pyrexフィルタ ーを備えた450ワットHanovlaランプ)下でのアリルトリブチルチンおよび触媒量 のビス(トリブチルチン)とのこのグリコシルクロライドの反応は、C-アリルグリ コシドを産生し;次いでアセチル基は、エタノール中のエトキシドナトリウムを 有する水酸基から除去される。これは、ノイラミン酸のC-アリルグリコシドのエ チルエステルを産生する(Nagy,J.O.ら、Tetrahedron Letters 32:3953 1991) 。 N-アリルグリコシドについて上記の反応スキームに類似の様式で、糖のC-アリ ルグリコシドが、シスタミンと反応し得、アリル基へのチオール基の付加、それ に続くアミノ基と活性化脂肪酸との反応を生じる。 アミド結合を介した脂質への炭水化物の結合は、その炭水化物が遊離カルボキ シル基を有する場合に達成され得る。炭水化物と2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エ トキシ)エトキシ)-エタンアミンとを混合することおよび塩化メチレン中で1-(3- ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)および1-ヒドロキシベ ンゾトリアゾール(HOBt)を用いることによって、カルキシル基を活性化すること 、それに続くエタノール/水/ジオキサン/酢酸(2:1:2:1)中のH2/Pd(OH)2/Cでの、 アミノ酸へのアジド基の還元は、種々の活性化ケミストリーによって次いで脂肪 酸に連結され得るアミン誘導体化炭水化物を産生する(Linら、Bioorg.& Med.Ch em.Lett.6:2755,1996)。 炭水化物はまた、酵素的方法を用いて脂質に結合され得る。糖は、ホスホリパ ーゼDの存在下でジアシルホスファチジルコリンと糖とを反応させることによっ てトランスホスファチジル化され得、ジアシルホスファチジル-糖を生じる(Wan gら、J.Am.Chem.Soc.115:10487,1993)。 脂質組成物のアセンブリ:適切に誘導体化された脂質は組み合わされ、適切な組 成物に形成され、そして架橋される。 適切である場合、組み合わせ工程は、セレクチン結合に必要とされる炭水化物 を有する脂質とアニオン性要求を有する脂質とを混合することを含む。さらなる 脂質がまた、種々の目的のために含まれ得る。さらなる脂質は異なる炭水化物を 有し得るか、またはそれらは架橋に関与するが、結合決定基を有さない骨格脂質 であり得るか、またはそれらは架橋基を有さないフィルター脂質であり得る。非 架橋脂質は、炭水化物決定基、またはアニオン性決定基のいずれか、あるいは両 方を有し得、そして他の架橋脂質間での包括によって組成物中で安定になる。 次いで、脂質は、脂質組成物に形成される。脂質組成物は、最も典型的にはリ ポソームであるが、任意の他の配列が、それが作用の意図される部位に送達可能 であり、そしてセレクチン結合に必要とされる決定基を示すことを提供するため に用いられ得る。関与する脂質は、脂質シートの架橋メンバーであるが、脂質シ ートは、脂質二重層の一部である必要はない。ミセルおよび微小液滴は、結合決 定基を示すのに適切な代替的粒子性形態の例である。単一の脂質シートはまた、 適切な脂肪族化合物の疎水性中心の周辺に形成され得る。脂質はまた、タンパク 質複合体のような別の中心物質の周辺の単一シートまたは二重層として植え付け られ得る。リポソームに言及する本開示のいかなる記載もまた、他に必要とされ ない限り、他の型の脂質組成物に適用する。 リポソームは、その製造の容易さからより通常の形態の組成物である。多数の 方法が、リポソームを調製するために当該分野で利用可能である。読者は、Greg oriadis(編):「Liposome technology第2版、第1巻、Liposome preparation an d related techniques」、CRC Press,Boca Raton,1993;Watweら、(Curr.Sci. 68:715,1995)、Vemuriら、(Pharm.Acta Hellvetiae 70:95 1995)、および米国 特許第4,737,323号;同5,008,050号;および同5,252,348号を参照のこと。頻繁 に用いられる技術は、脂質フィルムの水和、注入、超音波処理および界面活性剤 透析を含む。架橋のためにジインケミストリーおよび単鎖脂肪酸を用いる場合、 好ましい方法は、本来の文献(Hubら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.19:938,1980 )の1つに記載されるような超音波処理である。この方法は、使用するのが容易 であり、そして小さくそして均一のサイズの単層の球状小胞を産生する。簡潔 には、脂質の薄膜が、水で90℃以上に加熱され、次いで約4℃に冷却される。こ れは、Tc(Lopezら、Biochim.Biophys.Acta 693:437,1982)よりも低く、脂質に 「固体類似」状態を形成させる。次いで、この混合物は、数分間超音波処理され 、より長い時間(約15分)で典型的により均一な小胞を産生する。 形成の後、小胞は、所望であれば、凍結融解サイクルまたは次第に小さくなる 細孔サイズのフィルターを押し出すことによって、サイズを減少され得る。任意 の直径の小胞が、本発明の範囲内に含まれるが、それらは好ましくは約400nm未 満の中央直径であり、そしてより好ましくは約200nm未満の直径である。より小 さなサイズの小胞が、濾過滅菌され得、そして食細胞による取り込みに対して感 受性がより低い。 任意のこれらの組成物に用いられる脂質は、一旦脂質シートが形成されると共 有結合的に架橋され得る官能基を用いて調製されている。 共有結合的に架橋する脂質に関して、いくつかのアプローチが当該分野で公知 である。ポリマー化は、紫外線の照射によって、あるいは適切な水素またはベン ゾイルペルオキシドのような化合物での脂質ジイン、スチレン含有脂質、アクリ ル含有脂質、および脂質ジインのラジカル開始;遊離(無防備)のアミノおよび カルボキシル基を含む脂質のポリマー化(アミド結合を形成させることによる); およびチオール含有脂質(ここで、各々の脂質は架橋されるための少なくとも2 つのチオール基を有さねばならない)のポリマー化(チオール基の酸化による) によって達成され得る。アジド、エポキシド、イソシアネートおよびイソチオシ アネート、ならびにベンゾフェノンもまた、脂質を架橋する方法を提供する(Wo ng,S.S.,Chemistry of Protein Conjugation and Cross-Linking,Boston:CRC Press,1993;Hermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,San Diego:Academi c Press,1996)。 アミド結合を形成させることによる脂質のポリマー化の例は、カルボジイミド によるN-ε-パルミトイル-L-リジン-N-β-(2-アセチルアミノ-2-デオキシ-β-グ ルコピラノシル)-L-アスパラギンのポリマー化である。炭水化物、脂質-修飾ジ ペプチドは、市販のN-α-Fmoc-N-β-(3,4,6-トリ-0-アセチル-2-(アセチルアミ ノ)-2-デオキシ-β-グルコピラノシル)-L-アスパラギン(Novabiochem由来)お よびN-α-Fmoc-N-ε-パルミトイル-L-リジン(これは、N-ヒドロキシスクシンイ ミドで活性化されたパルミチン酸を市販のN-α-Fmoc-L-リジンの遊離ε-アミノ にカップリングすることによって容易に合成される)を用いて標準的な固相ペプ チド合成法によって容易に構築される。固相樹脂からの修飾ジペプチドの除去お よび官能基の脱保護は、標準的な方法によって実行される。炭水化物、脂質修飾 ジペプチドは、その表面に炭水化物を有する基および負に荷電した基の両方を有 するリポソームを提供するために、第2のジペプチド、N-ε-パルミトイル-L-リ ジン-L-アスパラギン酸と共ポリマー化され得る。 チオール基の酸化による脂質のポリマー化の例は以下のようである:10-ウン デセン酸(10-ウンデシレン酸)は、二重結合を横切るMarkonikov付加によるHBr の付加によってブロム化され、10-ブロモウンデカン酸を生じる(Streitweiser ら、Introduction to Organic Chemistry,New York:Macmillan,1976,pp.278- 285)。10-チオウンデカン酸は、エタノール中のチオウレアでの10-ブロモウン デカン酸の処理、および続く水性NaOHによる加水分解によって調製される。(st reitweiserら、Introduction to Organic Chemistry,New York:Macmillan,197 6,pp.242-243)。次いで、チオールは、氷酢酸中のトリフェニルメタノールお よびボロントリフルオライドエーテレート(etherate)基とともに加熱すること によってトリチル基で保護され、引き続いてエタノール、水、および粉末酢酸ナ トリウムで検査される(Bodanszkyら、The Practice of Peptide Synthesis,Ne w York:Springer-Verlag,1984,p.83)。次いで、保護されたチオール脂肪酸は 、N-ヒドロキシスクシンイミドで活性化され、そしてS-トリチル-L-システイン (Novabiochem)と反応される。次いで、脂肪酸-アミノ酸結合体は、トリフルオ ロ酢酸で処理され、トリチル基を除去され、N-(10'-チオウンデカノイル)-シス テインを生じる。次いで、ジチオールは、酸素分子での酸化によってポリマー化 され得る。 架橋され得る脂質のさらなる例は、Ringsdorfら、Angew.Chemie Int.Ed.Eng. ,27:113-158(1988)、およびその中の引用文献、およびJohonston,D.S.ら、「P olymerized Liposomes and Vesicles,」Liposome Tchnology,第1巻の9章(G. Gregoriadis,編),BocaRaton,Florida:CRC Press,1984,pp.123-129およ びその中の引用文献に総説される。 脂質をポリマー化する好ましい方法は、紫外線によって脂質ジイン(例えば、 10,12-ペンタコサジイン酸(Farchan Laboratories,Gainesville,FL))のポリ マー化による。ジアセチレン化合物のポリマー化反応は、広範に研究されており 、そしてポリマー化リポソーム、ミセル、および他の超分子構築の形成において 利用されている(Frankelら、J.Am.Chem.Soc.113:7436,1991;Furhopら、J.Am.C hem.Soc.113:7437-7439,1991;Spevakら、Advanced Materials 7:85,1995)。 ジインは、紫外光を用いて容易にポリマー化され、ラジカル発動因子の必要性を 除去するので、好都合である。さらに、ポリマー化脂質は呈色し、そしてポリマ ー化の程度が容易にモニターされ得る。 架橋可能ジアシル脂質、1,2,3-トリアミノ-(ビス-N1,N3-ペンタコサ-10,12-ジ イノイル)プロパンの調製の例は、以下のようである。t-ブチルオキシカルボニ ル(Boc)基は、2-アミノ-1,3-プロパンジオールのアミノ基を保護するのに用いら れる。ジオールは、塩化メシルを用いてジーメシレートに変換され、そしてDMF 中のテトラブチルアンモニウムアジドとの即時反応が続く。アジド基は、PtO2/H2 との反応によってアミンに変換される。次いでこの化合物は、10,12-ペンタコ サジイン酸のN-ヒドロキシサクシンイミド誘導体と反応される。最後に、Boc基 は、トリフルオロ酢酸で除去されて、1N,3N-ビス(10,12-ペンタコサジイノイル) -1,2,3-トリアミノプロパンを産生する。 この組成物の脂質は、用いられるポリマー化学の型に適切である活性化によっ て架橋される。ジイン脂質は、最初に記載(Hubら、前出)されたように、U.V. 照射によって架橋され、反応(通常20〜60分で完了する)の経過を追跡するため に可視吸収をモニターされる。遊離ラジカル発動因子は、用いられる場合、透析 のような適切な技術によるポリマー化の後に調製物から除去される。ポリマー化脂質組成物の特徴 架橋組成物の利点の1つは、異なる置換基がセレクチン結合についてスクリー ニングされそして滴定され得る容易さである。特定の炭水化物決定基の至適な比 率および特定の陰イオン性決定基が、組成物に各置換基を滴定するおよび適切な セレクチン活性アッセイを行うことによって経験的に決定される。このアプロー チは、実施例2および3にさらに説明される。 sLex様複合体オリゴサッカライドを生じる脂質の比率は、好ましくは、約1% と25%との間、好ましくは約2%〜10%、至適には約5%である。低い値は、お そらく十分な結合価を提供せず、一方、より高い値は、ポリマー化および結合接 触性の両方のために立体的問題を創出すると考えられる。電気陰性決定基を産生 する脂質の比率は、決定基の強度に依存する。多くの適用に関して、シート中の 脂質のバランスのために水酸化脂質またはカルボキシル脂質を用いることに害は ない。しかし、より強い酸は、より注意を必要とし得る。スルフェートまたはホ スフェートの過剰な比率は、組成物に他の生物学的反応(特に、ヘパリンのよう な高度に荷電した分子により天然に阻害される反応)に対する阻害活性を与え得 る。これが問題である場合、このような酸の比率は、適切に、約1%〜50%、ま たは1%〜10%、または0.5%〜2%の範囲に滴定され得る。 脂質シート中の脂質間のポリマー化の程度は、架橋可能置換基を有する脂質の 比率の因子およびポリマー化反応の完全さの因子である。当業者は、架橋に関与 しない調製物中に脂質を含ませることによってポリマー化の量を制限し得る。理 論により制限されることを意図しないが、炭水化物と陰イオン性成分との間の相 乗作用が、ポリマー化脂質構造の硬性によって部分的に付与されることが本開示 の仮説である。シート中の少なくとも25%、好ましくは50%、より好ましくは75 %、さらにより好ましくは90%、さらにより好ましくは95%、そしてなおさらに より好ましくはほとんど100%の脂質が架橋することが推奨される。完全なシー トが1つのユニット、あるいは分離したパッチまたはタイルにポリマー化される 。 非反応性脂質の比率は、架橋の程度を減少するフィルターとして含まれる場合 、炭水化物決定基および陰イオン性決定基は、代表的には、フィルター脂質より むしろ架橋脂質上にある。しかし、フィルター脂質が隣接する架橋によって包括 される限り、反対の配列が可能である。従って、本発明の所定の実施態様におい て、炭水化物決定基またはセレクチン結合のための陰イオン性決定基のいずれか 、あるいは両方が、架橋する他の脂質を含む脂質シート中に存在する非架橋脂質 によ って提供される。このアプローチは、炭水化物決定基を満足させるスフィンゴ糖 脂質を用いる場合に特に適切である。このタイプの好ましい脂質は、スルホグル クロニルスフィンゴ糖脂質である(Needhmら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:1359 ,1993)。 炭水化物基および電気陰性基は両方とも、必要に応じて、スペーサー基を介し て脂質に結合される。上記の合成方法からすでに理解されるように、約2炭素長 の炭化水素スペーサーは、結合のための簡便なアプローチを提供する。所定の実 施態様において、スペーサー基は、細網内皮性細胞による取り込みからリポソー ムが隠れることを改善するポリエチレングリコールである。陰イオン性基および 炭水化物基は協同して働かねばならないので、スペーサーアームの長さが一致す べきである。ポリマー化脂質組成物の作用強度は、構造的硬性に部分的に由来す ると考えられ、そして多くの実施態様は最小の長さのスペーサーを有する。 本発明の特定の実施態様において、脂質シートにおける一定の割合の脂質は第 1の結合したサッカライドを有し、そして別の割合の脂質は第1のサッカライド とは異なる第2の結合したサッカライドを有する。2つのサッカライド脂質は、 好ましくは架橋構造の一部である。多くの複数の異なる別々に結合したサッカラ イドが存在する実施態様が、包含される。セレクチン炭水化物結合要件を満たす 、この仕組みにおける脂質の任意の組合せが適切である。1つの例において、第 1の結合した炭水化物は、シアル酸または類似のサッカライドのような酸性モノ サッカライドであり、そして第2の炭水化物はフコースまたは類似のサッカライ ドである。異なるモノサッカライドもしくはジサッカライドまたはそれらのアナ ログに結合した脂質の組合せは、その合成が容易なので商業的な目的である。 本発明のポリマー化リポソームは、当該分野に公知の種々の試験アッセイにお けるその力価に基づいて分類され得る。例えば、PSGL-1のようなセレクチンリガ ンドを発現する細胞への結合の単離セレクチンの阻害について試験される場合、 リポソームは、好ましくは、オリゴサッカライド等価物の濃度が約10μM未満、 好ましくは約1μM未満、なおより好ましくは約100nM未満、そしてさらにより好 ましくは約10nM未満で、最大阻害50%(IC50)に達する様式において結合を阻害し 得る。この型の好ましい結合アッセイはHL-60細胞を用い、そして実施例2に例 示される。ポリマー化リポソームはまた、適切な標準に比較した相対的なIC50に 基づいて、任意のアッセイにおいて分類され得る。標準は、リポソームに複合体 化されずに存在する、またはモノマー形態(例えば、sLeXまたはsLeXアナログ) のオリゴ糖であり得る。標準はまた、オリゴサッカライドを有さないが同じ脂質 組成物を有するリポソームであるか、または100%カルボキシ末端化またはヒド ロキシ末端化脂質から作製されたリポソームであり得る。特定の実施態様におい て、ポリマー化リポソームは、標準のIC50よりも好ましくは102倍低い、より好 ましくは約103倍低い、より好ましくは104倍低い、さらにより好ましくは105倍 低い、そしてさらにより好ましくは106倍低いIC50を有する。 本発明はまた、E-セレクチンに比較してP-およびL-セレクチンについて選択的 であるか、または他の2つのセレクチンに比較してP-またはL-セレクチンについ て選択的である実施態様を含む。ポリマー化リポソームは、所定のセレクチンを 阻害するアッセイにおいて、別のセレクチンを阻害するアッセイにおけるそのIC50 よりも高いIC50を有する場合に選択的である。好ましくは、特定のセレクチン が唯一の変量であることを可能にするアッセイが、この測定のために使用され得 る。実施例1に概説したHL-60セレクチン結合アッセイは、同じ細胞とスイッチ キメラとを用いるP-およびE-セレクチン阻害を比較するために使用され得る。同 様な様式で、実施例3に記載のELISAにおけるプレートされたムチンは、3つの セレクチンのいずれかのキメラを結合し、そして3つ全てのセレクチンに対する 特定の組成物の阻害能力を比較するために使用され得る。選択的インヒビターは 、好ましくは、標的セレクチンについて別のセレクチンと比較して、約5倍高い ;より好ましくは25倍高い;なおより好ましくは100倍高いIC50を有する。 P-および/またはL-セレクチンについて選択的であるインヒビターga、特に目 的である。なぜなら、最近の観察では、E-セレクチンアンタゴニストが白血球接 着欠損症(LAD-2)を連想させる症状に導き得るからである。白血球接着欠損症に おいて、好中球は内皮組織に正常に接着せず、そして肺、皮膚、および歯肉組織 の細菌感染の再発が普通である。実施例3は、選択的ポリマー化リポソームの例 示を提供する。sLeXのような非硫酸化サッカライドおよび中性ジサッカライドラ クトースおよびマルトースは、カルボキシ末端化脂質の環境に存在する場合に、 L-およびP-セレクチンについて選択的である。sLeXはまた、ヒドロキシ末端化脂 質の環境において選択的である。スルホLeXか、またはsLeXと組み合わせた脂質 のいずれかの上に硫酸基を有するリポソームは、選択的ではなかった。 複数のセレクチンへの結合を最適化するように設計された実施態様も、また含 まれる。これらの組成物は、複数の異なる炭水化物、および別々の脂質上の複数 の異なるアニオン性基または電気的陰性基を有し得る。ポリマー化脂質組成物の試験 組成物のインビトロ試験および最適化:ポリマー化脂質組成物のセレクチンリ ガンドを表示する能力を決定するためのアッセイは、直接結合アッセイかまたは 阻害アッセイかのいずれかに分類され得る。 直接結合アッセイは、組成物をセレクチンかまたはセレクチンを発現する細胞 かのいずれかに直接相互作用させることにより行われる。種々の試験セレクチン 結合決定因子を含む脂質シートは、顕微鏡スライド上で直接ポリマー化され(Spe vakら、Adv.Mater.7:85,1995)、そしてセレクチンで力価決定され得るか、ま たは逆にセレクチンがマイクロタイタープレートウェル上にコートされそして標 識されたポリマー化脂質粒子で力価決定され得る。ポリマー化粒子はまた、セレ クチンリガンド発現細胞(例えば、HL-60細胞)への直接的結合について試験さ れ得る。 本発明に従うポリマー化リポソームのほとんどの適用が、セレクチンリガンド -レセプター対の間の結合の阻害に関するので、阻害アッセイにおいて組成物を 開発かつ試験することはより通常である。 阻害能力は、セレクチンリガンド-レセプター対の1つのメンバーが固体表面 に結合され、そして第2のメンバーが潜在的インヒビターの存在下で結合につい て提示される、無細胞アッセイにおいて試験され得る。洗浄後、結合した第2の メンバーの量が、標識系と予め結合するかまたは後で結合する方法により定量さ れる。この型のアッセイは、多数の異なる脂質組成物の比較スクリーニング(例 えば、異なる炭水化物およびアニオン性決定因子を表示する)のために便利であ る。 最近の無細胞セレクチンアッセイ系の多くは、セレクチンキメラを使用する。 セレクチンキメラにおいて、結合ドメインを含むセレクチンのN末端部分が、標 識系のための結合手段として使用され得る第2のタンパク質フラグメントに融合 される。頻繁に使用される第2のフラグメントはIgG Fc領域であり、これは、次 いで、プロテインAまたは抗Fcで作製された接合体を用いて検出され得る。キメ ラの構築および関連するアッセイは、Watsonら(J.Cell Biol.115:235,1992) 、Aruffoら(Cell 67:35,1991)、およびFoxallら(J.Cell Biol.117:895,1992 )により記載される。 便利な無細胞アッセイの1つの例は、Bertozziら(Biochemistry 34:14275,19 95)に記載されたL-セレクチンELISAである。簡潔には、GIyCAM-1の粗調製物がマ ウス血清から得られる。マイクロタイタープレートはムチンのペプチド骨格に特 異的なポリクローナル抗体でコートされ、ムチンでオーバーレイされ、次いで洗 浄される。Fcに融合されたL-セレクチンのキメラがビオチン化F(ab')2抗Fcと複 合体化され、これは、順番にストレプトアビジンアルカリホスホターゼ接合体に 複合体化される。合わせた接合体は、潜在的インヒビターと30分間プレインキュ ベートされ、次いでマイクロタイタープレートウェルに移される。室温で30分後 に、ウェルは洗浄され、そして酵素基質で現像される。この型のアッセイの変形 において、プレート上に直接コートされ得るスルファチドのようなセレクチンリ ガンド置換物が使用される。別の変形において、固形基質もまた、ポリマー化脂 質(Spevakら、Adv.Mater.7:85,1995)であり、セレクチン結合について、イン ヒビターとして試験されるべき組成物と少なくとも同じ程度の強力な決定因子を 発現する。 最初のスクリーニング段階の後、生物学的系における阻害のより代表的なもの としての組成物の開発の間において、好ましくは1または2細胞バイオアッセイ が使用される。 P-セレクチンインヒビターのための便利な1細胞アッセイは、ATCCから入手可 能なHL-60細胞を使用する。HL-60細胞は、1細胞当たり約36,000の部位でPSGL-1 抗原を天然に発現する(Ushiyamaら、J.Biol.Chem.268:15229,1993)。このア ッセイは、Brandleyら(Glycobiol,3:633,1993)に記載される。簡潔には、Eまた はP-セレクチンキメラは、ビオチン化ヤギF(ab')、抗ヒトIgGFc、およびアルカ リホスファターゼ-ストレプトアビジン接合体と30分間インキュベートされる。 次いで、この複合体は、潜在的インヒビターと37℃で約45分間インキュベートさ れる。50μLの混合物が事前にBSAでブロックされた丸底マイクロタイタープレー トの各ウェルに添加される。等容量のHL-60細胞懸濁液が添加され、そしてプレ ートは4℃で45分間インキュベートされる。細胞は遠心分離によってウェル底に ペレット化され、洗浄され、そしてp-ニトロフェニルホスフェートを用いて現像 される。 他の1細胞アッセイは、細胞株ではなく細胞単離体を用いて行われる。プラス ティックウェル上に固定化された精製P-セレクチンへの好中球接着を阻害する能 力は、Gengら(Nature343:757,1990)により記載されたアッセイを用いて決定さ れ得る。簡潔には、ヒト好中球は、ヘパリン化全血からMono-PolyTM溶解培地(Fl ow Laboratories)上での密度勾配遠心分離により単離され、そしてCa++、Mg++、 およびヒト血清アルブミン(HBSS/HSA)を含むハンク平衡塩溶液に懸濁される。P- セレクチンは、組換え発現により得られるか、または古いヒト血小板ライセート から、抗体S12-SepharoseTM上での免疫アフィニティクロマトグラフィーおよびM ono-QTMカラム上でのイオン交換クロマトグラフィーにより単離される(米国特 許第5,464,935号)。P-セレクチンは、5μg/mLでマイクロタイタープレートウ ェル上にコートされる。細胞は、1ウェル当たり約2×105で添加され、22℃で2 0分間インキュベートされる。次いで、ウェルはHBSS/HSAで充たされ、アセテー トテープでふさがれ、そして遠心分離される。非接着細胞および上清を捨てた後 、各ウェルの内容物はリン酸緩衝液中の0.5%ヘクサデシルトリメチルアンモニ ウム臭化物で可溶化され、そしてミエロペルオキシダーゼ活性についてアッセイ される(Leyら、Blood 73:1324,1989)。 2細胞接着アッセイは、セレクチンを有する1つの細胞と、セレクチンのリガ ンドを有する別の細胞との接着を妨害する組成物の能力を試験することにより行 われる。1つの例は、適切なセレクチンを発現するためにトランスフェクトされ たCOS細胞を用いる(一般にはAruffoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:8573 ,1987を参照のこと)。トランスフェクト細胞クローンは、HL-60細胞接着を支 持 するその能力について選択される。次いで、クローンは、小ウェル培養プレート においてアッセイのための基質として拡大され、そして増殖される。別の適切な 基質細胞は、Cell Systems,Incから入手可能なヒト請静脈内皮細胞(HUVEC)であ り、そして100U/mL IL-1βで4時間刺激される(Martensら、J.Biol.Chem.270 :21129,1995)。HL-60細胞は、1μCi/mL[3H]チミジンまたは10μg/mLカルセイ ンの取り込みにより標識される。推定上のインヒビターは標識HL-60細胞とプレ インキュベートされ、基質細胞に提示され、次いでウェルは洗浄されそして計数 される。 リンパ球接着は、Stamperら(J.Exp.Med.144:828,1976)により最初に記載 され、以後Stoolmanら(J.Cell Biol.96:722,1988)、Arbonesら(Immunity 1:2 47,1994)、およびBrandleyら(前出)により改変された凍結切片アッセイを用 いて決定され得る。簡潔には、マウス腸間膜リンパ節または牌細胞由来のリンパ 球はCMFDAで蛍光的に標識され、そして試験インヒビターと0℃で約30分間イン キュベートされる。次いで、リンパ球懸濁液は10μm腸間膜または末梢リンパ節 (約3×104細胞/切片)の凍結切片上にオーバーレイされ、そして氷上でロー テータで30分間インキュベートされる。懸濁液はスライドから緩やかに流され、 そして切片は3%グルタルアルデヒドで固定され、そしてアクリジンオレンジで 対比染色される。フコイダンが阻害のポジティブコントロールとして使用され得 る。このアッセイにおいて観察された接着は、L-セレクチン結合に起因し得る。 白血球フロー(ローリング細胞)アッセイもまた、Martensら(前出)に記載 される。好中球は、デキストラン沈降およびFicoll-HypaqueTM遠心分離により静 脈血から単離される。HUVEC単層はコラゲナーゼ処理によって採取され、0.1%ゼ ラチンコートフラスコ上にプレートされ、そして培養される。HUVEC単層は、フ ローチャンバーにマウントされ、そしてカルシウムおよびグルコースを含む緩衝 液で2分間灌流される。単離された好中球は、同じ緩衝液中で試験インヒビター とプレインキュベートされる。次いで、好中球懸濁液は、約1.85ダイン/cm2の壁 ずり応力でHUVEC単層に通過される。相互作用は位相差顕微鏡を用いて約10〜20 分間ビデオ撮影され、そして画像処理ソフトウエアプログラムを使用していくつ かの異なる視野において、単層上で回転している(rolling)好中球の平均数を決 定する。 インビボ試験:炎症性または免疫学的病因を有する種々の疾患についての動物モ デルは当該分野において公知であり、そして有望なセレクチン阻害活性を示す任 意の組成物の試験に使用され得る。再灌流損傷のような超急性疾患のモデルにお いて、代表的には、組成物は臨床的設定を刺激する誘発事象の数分または数時間 以内に投与される。慢性疾患のモデルにおいて、代表的には、組成物は進行相の 間に1週間またはそれ以上の定期的な期間で投与される。動物は、組成物の症状 を緩解する能力について、細胞的および臨床的判断基準により評価される。 セレクチンインヒビターの試験に適切なモデルには、以下が挙げられる:Weyr ichら(J.Clin.Invest.91:2620,1993)、Muroharaら(Cardiovasc.Res.30:96 5,1995)、Maら(Circulation 88:649,1993)、Tojoら(Glycobiology 6:463,199 6)およびGarcia-Criadoら(J.Am.Coll.Surg.181:327,1995)の心虚血再灌流 モデル;Silverら(Circculation 92:492,1995)の心梗塞モデル;Steinbergら(J .Heart Lung Transplant 13:306,1994)およびKapelanskiら(J.Heart Lung Tra nsplant 12:294,1993)の肺虚血再灌流モデル;米国特許第5,486,536号のコブラ 毒液急性肺損傷モデルおよび免疫複合体肺炎症モデル;Kushimotoら(Thrombosis Res.82:97,1996)の出血性(hemmhoragic)ショックモデル;WO 96/35418の腹膜 浸出性およびエンドトキシン誘導性ブドウ膜炎モデル;Shararら(J.Immunol.1 51:4982,1993)の細菌性腹膜炎モデル;Tangら(J.Clin.Invest.97:2485,1996 )の髄膜炎モデル;Meenanら(Scand.J.Gastroenterol.31:786,1996)の大腸炎 モデル;Palabricaら(Nature 359:848,1992)のDacron移植片実験血栓モデル;W O 96/34609の腫瘍転移モデル;WO 96/35418のアレルギー性喘息モデル;Gundel ら(Am.Rev.Respir.Dis.146:369,1992)のアレルゲン媒介性肺過敏症モデル ;Martinら(J.Autoimmunity 9:637,1996)およびYangら(Proc.Natl.Acad.Sc i.USA 90:10494,1993)の糖尿病モデル;Mulliganら(J.Clin.Invest.88:139 3,1991)による免疫複合性肺胞体および真皮脈管炎モデル;Hickeら(J.Clin.I nvest.98:2688,1996)のリンパ球輸送モデル;Wadaら(J.Med.Chem.39:2055, 1996)のIgE媒介性皮膚反応モデル;ならびにZeidlerら(Autoimmunity 21:245,19 95)のコラーゲン誘導性関節炎および遅延型皮膚過敏症モデル。以上に列記した 動物モデルの記載の全ては、本明細書中にそれらの全体が参照として引用される 。ポリマー化リポソームの使用 研究使用:本発明のポリマー化脂質組成物は、推定リガンド-レセプター結合細 胞の間の結合の性質を特徴付けるために使用され得る。例えば、本発明のリポソ ームにより阻害可能な様式で単離好中球またはHL-60細胞に結合する、新たに単 離されたタンパク質レセプターはセレクチンとして考えられる。本発明のリポソ ームにより阻害可能な様式でHUVECまたはセレクチンでトランスフェクトされた 細胞に結合する、新たに単離されたムチンはセレクチンリガンドであると考えら れる。本発明のリポソームにより阻害可能な様式での別の細胞による所定の細胞 の接着または活性化は、セレクチン-リガンド結合により媒介されていると考え られる。 診断使用:ポリマー化脂質組成物はまた、セレクチンのリガンドが欠損している かもしれないヒト疾患の検出のために使用され得る。このような疾患は、白血球 移動またはリンパ球活性における異常を伴う感染に対して増大した感受性を有す る患者において最も見られるようである。 インビトロ診断手順について、試験されるべき細胞は血液から収集され、Fico ll-HypaqueTM遠心分離により分離され、次いでセレクチン結合活性を有するポリ マー化リポソームに結合する能力について試験される。リポソームは、放射性同 位体または蛍光マーカーで標識され得、またはジイン(diyne)化学に基づいた場 合、その内因性色の方法によりモニターされ得る。細胞への組成物の直接結合は 、細胞表面上のセレクチンの測定を提供し得る。1つの例において、T細胞また は腫瘍生検から分散された細胞は単離され、そして組成物はセレクチンの密度を 測定するために使用される。別の例において、組成物は、混合白血球集団におい てセレクチンを発現する細胞の数を計数するために使用される。 インビボ診断手順について、脂質組成物は適切な試薬との結合またはカプセル 化により標識される。111Inまた99mTcのような放射性同位体はシンチグラフィー のための標識として使用され得るか、または非放射活性密度原子はX線対比を増 強するために使用され得る。組成物は、末梢部位でまたは局所挿管を介して静脈 内 投与される。特定部位での異常局在化は、臨床的意味を有する異常な細胞輸送ま たは活性化を反映し得る。 治療使用:セレクチンは白血球接着、炎症および凝血に関連するいくつかの機能 を有するので、P-セレクチンまたはL-セレクチンとの結合を妨害する化合物は、 これらの事象の病理学的結果を調節するために使用され得る。 炎症性応答は、抑制されない場合宿主にダメージを与え得る。なぜなら、白血 球は正常組織を損傷し得る多くの毒性分子を放出するからである。これらの分子 は、タンパク質分解酵素および遊離ラジカルを含む。白血球が組織ダメージを与 え得る病理学的状況の例は、虚血および再灌流による損傷、細菌性敗血症および 播種性血管内凝固、成人性呼吸困難症候群、慢性関節リウマチ、およびアテロー ム性動脈硬化症が挙げられる。 再灌流損傷は、臨床心臓病学における大きな問題である。虚血心筋における白 血球接着を減少させる治療薬は、血栓溶解薬の治療効果を有意に増強し得る。組 織プラスミノーゲンアクチベーターまたはストレプトキナーゼのような薬剤を用 いる血栓溶解治療は、重度の心筋虚血を有する多数の患者において、不可逆的な 心筋細胞死の前に冠動脈閉塞を軽減し得る。しかし、このような患者の多くは、 血流の回復にもかかわらずなお心筋壊死を被っている。再灌流損傷は、おそらく 一部は血小板ならびに内皮を白血球に接着性にするトロンビンおよびサイトカイ ンによる活性化のために、虚血性領域における血管内皮への白血球の接着に関連 することが知られている(Romsonら、Circulation 67:1016,1983)。接着白血球 は、内皮を通って移動し、そして血流の回復によってレスキューされている最中 に虚血性心筋を破壊し得る。虚血は、心筋梗塞によって、または深部静脈血栓の ような外科的手術の合併症の結果として生じ得る。心臓病に関連する別の炎症性 症状は、再狭窄である。 白血球の血管表面への接着により媒介される、虚血および再灌流が組織損傷を 生じる多数の他の一般的な臨床的疾患(脳卒中;腸間膜血管障害および末梢血管 障害;組織移植;および循環器ショックに続く多発性器官不全が挙げられる)が 存在する。細菌性敗血症および播種性血管内凝固は、しばしば臨床的に病気の患 者において同時に存在する。これらの症状は、トロンビン、サイトカイン、およ び他の炎症性メディエータの生成、血小板および内皮の活性化、ならびに白血球 の接着および血管系全体の血小板の凝集に関連する。白血球依存性器官損傷は、 これらの症状の重要な特徴である。 成人性呼吸困難症候群は、敗血症を有するまたは外傷後の患者に生じる、肺循 環における白血球の広範な接着および凝集に関連する、荒廃的な肺疾患である。 これは大量の血漿の肺への溢血および肺組織の破壊(両方とも、大部分が白血球 産物により媒介される)をもたらす。 多数の悪性腫瘍(癌腫、リンパ腫、肉腫を含む)由来の腫瘍細胞は、血管を通 って離れた部位へ転移する。腫瘍細胞の内皮への接着およびその引き続く移動の 機構は良く理解されていないが、少なくともいくつかの場合においては白血球の 機構と類似であろう。転移性腫瘍細胞と血小板との関連は良く記載されており、 いくつかの癌の拡散における血小板の役割を示唆している。P-セレクチンがヒト 癌腫組織切片における腫瘍細胞および癌腫由来の細胞株に結合することが報告さ れている(Aruggoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:2292,1992)。さらに、特 定の腫瘍はそれ自体がセレクチンまたはセレクチンリガンドを発現し得、これは 転移細胞の新たな部位での内皮細胞またはHEVへの接着に関与し得る。 P-セレクチンのアンタゴニストは、血栓発生のような血小板-白血球相互作用 をブロックするために有益であり得る(Welpyら、Biochem.Biophys.Acta 117:2 15,1994)。ヒヒにおいて、抗P-セレクチンの投与は、移植片への血小板の蓄積 を減少させずに、Dacron移植片へのフィブリンの沈着を減少させた(Palabricaら 、Nature 359:848,1992)。この結果は、血小板との相互作用を介して白血球を 捕捉することが、フィブリンの沈着に寄与し得ることを示唆する。P-セレクチン のブロックはこの相互作用を妨害し、そして抗血栓形成治療として価値を有する 。 急性同種移植片または異種移植片拒絶反応の開始が炎症性または免疫メディエ ータ細胞のセレクチン媒介性補充を含む範囲まで、セレクチンアンタゴニストが 移植の数日後内に使用され得る。 P-およびL-セレクチンのアンタゴニストはまた、自己免疫疾患の緩解において も興味がある。これらの疾患における接着分子の役割の概説について、Murray(S emin.Artheritis Rheum.25:215,1996)を参照されたい。 慢性関節リウマチは、滑膜の張った関節の対称的、多関節の炎症により特徴付 けられ、そして関節外組織(例えば、心膜、肺、および血管)を含み得る。接着 分子が重要な役割を果たしているようである(Postigoら、Autoimmunity 16:69, 1993)。可溶性セレクチンが発症した患者の滑液および血液に存在し、高いESRお よび滑液PMN計数に相関する(Carson CWら、J.Rheumatol.21:605,1994)。従来 の抗リウマチ治療は、白血球接着を変化させることにより滑膜炎症を改変し得る 。副腎皮質ステロイド、金化合物、およびコルヒチンは、セレクチンの内皮発現 を下方調節する(Corkillら、J.Rheumatol.18:1453,1991;Moladら、Arthritis Rheum.35:S35,1992)。 全身性エリマトーデスは、抗核抗体の形成ならびに皮膚上および身体全体の炎 症病変の出現によって特徴付けられる。セレクチン発現は、増大した疾患重篤度 を有する患者の真皮血管内皮壁において増大される(Belmontら、Arthritis Rheu m.37:376,1994)。シェーグレン(Sjoren)症候群、自己免疫甲状腺疾患、多発性 硬化症、および糖尿病は、変化した接着タンパク質(例えば、ICAM-1、LFA-1とL FA-3、VCAM-1、およびセレクチン)に密接な関連を有する他の症状であり(Murra y、前出)、そしてセレクチンインヒビターを用いる治療が受け入れられ得る。 喘息は、気道閉塞、炎症および種々の刺激への応答性の増大、咳、呼吸困難、 および喘鳴の発症の出現により特徴付けられる。慢性気道炎症において提唱され る段階は、メディエータの放出を引き起こす炎症性刺激、続いて内皮への白血球 接着を生じる白血球-内皮接着カスケードの活性化を含む。関連する接着分子は 、アレルゲンチャレンジに続いて上方調節され得るセレクチン、VCAM-1、および ICAM-1を含む(Pilewskiら、Am.Rev.Respir.Dis 148:S31,1993)。 処置の時期および対象:有効量のポリマー化脂質組成物は、病因がセレクチンに より部分的に媒介される、変化した細胞輸送または活性を含む症状について個体 を処置するために使用され得る。 本発明の方法により処置される「個体」は、脊椎動物であり、特に哺乳動物( 家畜動物、スポーツ動物、およびぺットを含む)、そして代表的にはヒトである 。 「処置」は、処置されている個体の自然の経過を改変する試みにおける臨床的 介入をいい、そして予防のためにまたは臨床的症状の経過の間にのいずれかで行 われ得る。所望される効果は、疾患の発生または再発の防止、症状の軽減、疾患 の直接的または間接的のいずれかの病理学的な結果(例えば、応答性亢進、炎症 または壊死)の減少、転移の防止、疾患進行の速度の低下、疾患状態の回復また は緩和、および緩解または予後の改善を含む。疾患症状に関連する「病理学」は 、健康(well-being)、正常生理学または発症した個体の生活の質を損なうすべて のものである。 処置は、本発明のポリマー化脂質組成物の有効量の投与により行われる。「有 効量」は、有利なまたは所望の臨床的結果を与えるのに十分な量であり、そして 1回より多い用量で投与され得る。 本発明において意図される処置の様式は以下を含むが、これらに制限されない : 1.血管内皮細胞と、好中球、単球、好酸球、およびメモリーT細胞であると 考えられる、P-セレクチンリガンドを保有するリンパ球からなる群から選択され た白血球との間の結合を阻害するように、P-セレクチンインヒビターを投与する 工程を含む、白血球接着または移動の阻害。阻害は、相互作用細胞が、特に発症 部位の近くで接触する環境中にインヒビターを導入するか、またはリガンドを保 有する細胞の不存在下でセレクチンを保有する細胞をインヒビターと接触させる かのいずれかにより行われ得る。 2.血小板を含むかまたは血小板蓄積しやすい環境に、P-セレクチンインヒビ ターを投与することによる、血小板凝集またはフィブリン沈着の阻害。 3.リンパ球、好中球もしくは単球と、内皮細胞またはリンパ組織(特にHEV 細胞)との間の結合を阻害するように、L-セレクチンインヒビターを投与する工 程を含む、白血球接着または移動の阻害。 4.L-セレクチンインヒビターをリンパ球に投与する工程を含む、白血球接着 、移動、または活性化の阻害。 5.セレクチンのインヒビターを腫瘍または循環に投与することによる、セレ クチンリガンドまたはレセプターを発現すると考えられる腫瘍の転移の阻害。 本発明の脂質組成物を用いる治療的モダリティーへの応答を評価するための基 準は、特定の症状により指示される。例えば、心筋梗塞の拡大を防止するための 処置は、心筋壊死のマーカー酵素の連続的決定により、ならびにEKG、生存徴候 、および臨床的応答によりモニターされ得る。急性呼吸困難症候群の処置は、動 脈酸素レベルを追跡すること、肺浸潤の回復、および呼吸困難および頻呼吸症の 減少により測定される臨床的改善によりモニターされ得る。本発明の方法を用い て処置される他の症状は、この症状に適切な標準的医療手順に従って測定される 。 薬学的調製物および投与:本発明に従う使用のために調製される組成物は、薬学 的組成物の調製のための一般に受容される手順に従って、それを必要とする個体 (特にヒト)に投与するために調製され得る。本明細書中に記載のリポソームを 調製する好ましい方法は、5mLから数μリットル以上のバッチサイズが再現可能 かつ滅菌条件において調製され得るように、十分にフレキシブルである。 薬学的組成物を調製するための一般的な手順は、Remington's Pharmaceutical Sciences,E.W.Martin編、Mack Publishig Co.,PAにおいて記載される。液体 の薬学的に投与可能な組成物は、例えば、リポソームを液体賦形剤(例えば、水 、生理食塩水、水性デキストロース、またはグリセロール)に分散させることに より調製され得る。リポソーム懸濁液は、貯蔵時の遊離ラジカルおよび脂質過酸 化によるダメージに対して脂質を保護するための脂質保護剤を含み得る。αトコ フェロールのような親油性遊離ラジカル失活剤、およびフェリオキシアミンのよ うな水溶性鉄特異的キレート剤が使用され得る。本発明のポリマー化脂質組成物 の利点の1つは、貯蔵に際して蓄積する多くの通常の分解効果に対して安定であ る。本組成物はまた、必要に応じて他の医薬品、薬学的試薬、およびキャリアを 含み得る。 注入用組成物は、液体溶液もしくは懸濁液として、または注入前に液体に溶解 または懸濁されるに適した固体形態として供給され得る。気管または気管支上皮 への投与について、好ましい組成物は、適切なエアロゾル化装置を用いて使用さ れる場合に固体または液体エアロゾルのいずれかを提供する組成物である。必要 ではないが、薬学的組成物はいくつかの場合において、正確な量の投与のために 適切な単位用量形態で供給される。 薬学的組成物の投与経路は、とりわけ意図される標的部位、臨床的症状、およ び処置される症状の性質に依存する。静脈内もしくはリンパ内投与または発症部 位への直接注入が、最も通常の経路である。エアロゾルによる肺投与が噴霧器を 用いて行われる。エアロゾルを形成するための装置および方法はKirk-Othmer, 「Encyclopedia of Chemical Technology」第4版、第1巻、Wiley NY,670-685 頁、1991において記載される。 用量のサイズは、意図される作用部位に到達する前の組成物の分布の予測され る量を考慮し、次いで適切な細胞バイオアッセイにおいて測定されるIC50濃度を 満たすまたはこれを越える(代表的には約2〜20倍IC50濃度)のに十分なインヒ ビター(nMの糖等価物において)を提供して選択される。用量を計画する際、全 てのセレクチンレセプターを完全にブロックする必要がなくても良い。通常の治 癒の場合、少なくともいくつかの白血球が患部に移動することが必要であり得る 。インヒビターの量は、それに合うように調節される。 個々の患者に対する臨床的特徴の評価および適切な治療的措置の設計は、最終 的には処方する医者の責任である。 上記記載は、とりわけ、どのようにしてポリマー化脂質組成物がセレクチン結 合により媒介される細胞事象を阻害するために用いられるかの詳細な説明を提供 する。本発明の趣旨から離脱することなく、組成物の構造またはその実行に関し て改変がなされ得ることが理解される。 前出および後出の両方の、本明細書中で言及される全ての特許、特許出願、論 文および出版物は、その全体が本明細書中に参照として援用される。 以下に提示される実施例は、当業者へのさらなる指針として提供され、いかな る方法によっても制限されることを意味しない。 実施例 実施例1:二成分糖リポソームの開発 糖リポソームを、ポリマー化可能な脂質に炭水化物成分を結合し、極性頭部を 有する第二のポリマー化可能な脂質と混合し、リポソームを形成させ、次いで脂 質をポリマー化させることによって形成した。 図3は、シアリルLewisX(sLeX)テトラサッカライド(構造1)をリポソーム に組み立てられる成分と比較して示す。2a(sLeXアナログ)、3a(ラクトース )、および4a(マルトース)として標識した炭水化物を、ポリマー化可能な糖 脂質を合成するために用いた。以下、それぞれ2b、3b、および4bと称する。 前駆体のポリマー化可能な脂質は、10,12-ペンタコサジイノン酸(10,12-pentac osadiynoic acid)(PDA)であった。これを標準的な技術によって炭水化物に結 合させた。リポソーム形成の間に使用した第二のポリマー化可能な脂質は、化合 物5(PDA)(負に荷電した頭部を含む)または化合物6(極性であるが非荷電 の頭部を含む)のいずれかであった。 図1は、化合物2bおよび5(A)または2bおよび6(B)のいずれかを含む、ポリ マー化糖リポソームの拡大図を示す。ポリマー化糖リポソームを、以下のように 形成した:糖脂質の割合を0.5〜50%の範囲で変化させながら、総脂質において 1mMの溶液になるように、種々のモル割合の脂質を調製した。糖脂質を、プロー ブ超音波処理法(R.R.C.New,33〜104頁、"Liposomes:a practical approach" ,Oxford U.Press 1990)によってリポソームに形成した。脂質は、Langmuir等 温曲線の分析(G.L.Gaines,"Insoluble monolayers at liquid-gas interfaces ",Wiley:NY 1966)に基けば混和可能であるようであった。 リポソームのポリマー化を、254nmの紫外光にこの水溶液を曝露することによ って行った(Hubら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.19:938,1980;Spevakら、J .Amer.Chem.Soc.115:1146,1993)。脂質ジアセチレンのポリマー化には、 固体類似状態(solid analogus state)をとるために、モノマーが必要である。 本明細書に報告される炭水化物の割合は、リポソーム表面の内側および外側の両 方に現れる糖鎖の推定量である。糖脂質成分の割合が約40%を超えると、ポリマ ー化は実質的に阻害された。これは、近位のジアセチレンがポリマー化すること を妨げる、隣接する炭水化物頭部の立体的密集によって合理的に説明される。 透過型電子顕微鏡観察(TEM)によるポリマー化糖リポソームの特徴付けは、 その調製物が直径20〜100nmの間の球体からなることを示した。実施例2:セレクチン阻害活性についてのバイオアッセイ 実施例1で調製した組成物がセレクチン結合を阻害する能力を、標準的なバイ オアッセイにおいて試験した。HL-60細胞に対するP-セレクチン結合を測定する アッセイを、Brandleyらの記載から得た(Glycobiol.3:633,1993)。簡単に述 べれば、P-セレクチンキメラを、ビオチン化ヤギF(ab')抗ヒトIgGFcおよびアル カリホスファターゼストレプトアビジンと複合体を形成させ、そしてインヒビタ ーとともに予めインキュベートした後、HL-60細胞と混合する。細胞を遠心分離 によってペレット化し、そしてTBSで洗浄した。色原体(chromagen)を添加し、 そして発色した色を405nmのODとして読んだ。全てのアッセイを4連で行った。 図4は、5%の炭水化物結合脂質を含む種々のポリマー化糖リポソーム調製物 についての阻害滴定曲線を示す。白三角:sLeXアナログ結合体+酸性脂質。白丸 :sLeXアナログ結合体+中性脂質。黒丸:ラクトース結合体+酸性脂質。四角: マルトース結合体+酸性脂質。試験したもののうちで最も効果的な炭水化物結合 体(sLeXアナログ)が用いられる場合でさえ、酸性脂質の存在が測定可能な阻害 に重要であるということがこのアッセイの結果から明白である。中性ジサッカラ イドである、ラクトースおよびマルトースもまた、酸性脂質と平行して用いる場 合、セレクチン阻害活性を有する。サッカライドおよび負に荷電した脂質を有す る全ての組成物は、用量依存様式でP-セレクチン結合を阻害した。 図5は、種々のポリマー化糖脂質組成物についての50%阻害濃度(IC50)を示 す。IC50値は、糖脂質の全濃度に基づく。リポソームの内部層への取り込みに起 因して接近不可能であり得るいずれのグリコシドについても減少しなかった。従 って、これらのIC50値は、結合に利用可能な実際のグリコシドの上限を示す。 図5の左パネルは、組成物中の全脂質に対する炭水化物脂質の至適比率の滴定 分析である。この実験は、sLeXアナログ脂質結合体を用いて行われた。組成物の バランスは炭酸頭部を有する脂質であった。至適比率は約5%であるが、少なく とも50%までの組成物は阻害活性を含み、そして約20%までの組成物はnM範囲で 阻害活性を有することが明らかである。高割合での阻害活性の減少は、これらの 組成物をポリマー化することの困難さの増大と相関し、これは炭水化物による立 体障害に起因する。5%組成物についての2nM IC50は、sLeXモノマーについて のこのアッセイにおいて得られる値と約1〜5×106ほど異なる。 図5の右パネルは、異なる炭水化物構成要素を有する種々の組成物についての IC50の比較である。ラクトースおよびマルトースの両方は、酸性脂質に提供され る場合、有意な阻害活性を提供する(それぞれ、15nMおよび200nM)。特に、ラ クトースの値は、sLeX組成物の値に好ましく匹敵する。最後の2つの棒は、酸性 または中性脂質単独で作製されたポリマー化リポソームによる検出可能な阻害の 欠損を示す。 従って、適切な炭水化物および別の負に荷電した脂質の両方が、セレクチン阻 害活性を提供するために、これらの調製物に必要とされる。後から考えてみると 、本発明者らは、他の阻害化合物(例えば、特定の型のヘパリン、イノシトール ヘキサキスリン酸、スルホグルカロニル糖脂質(sulphogluconyl glycolipid) 、フコイダン(fucoidan)、スルファチド、およびsLeX-RGD結合体)の結合は、 炭水化物または炭水化物様分子と別々に配置された複数の酸性基との組合せとし て説明され得ることを推測する。 細胞へのリポソームの挿入の可能性(これにより、P-セレクチンに結合する能 力を生じる)にもまた取り組んだ。細胞をリポソームで前処理し、そして洗浄し 、P-セレクチンキメラの添加前にリポソームを除去した。これは、細胞へのセレ クチンの結合に、全く減少を生じなかった。阻害は、試薬およびインヒビターを マイクロタイタープレートに同時に添加する実験において、影響されなかった。 比較のために、このアッセイにおいてIC50に達するに必要とされる、モノマー として与えられるsLeXまたはsLeXアナログのレベルは、約1〜5mmである。ポリ マー化リポソームへの取り込みによって与えられる相対的な改良は、約106倍で ある。実施例3:負に荷電した脂質の必要性のさらなる確認 さらなるポリマー化糖リポソーム組成物を、別のアッセイ系において試験する ために調製した。 アッセイはELISAであり、ここで、ポリマー化リポソームが、単離されたGlyCA M-1に対するセレクチンキメラの結合を阻害する能力について試験される。完全 な説明は、Bertozziら(Biochemistry 34:14275,1995)に提供される。簡単に 述べれば、GlyCAM-1の粗調製物を、2:1クロロホルム/メタノール抽出、水相 の回収、および濃縮によってマウス血清から得る。このムチンは、このアッセイ において、3つのセレクチンのうち任意のもののリガンドとして作用する。マイ クロタイタープレートを、ムチンのペプチド骨格に特異的なポリクローナル抗体 でコートし、ムチンを重層し、次いで洗浄する。一方では、化合物は、a)ヒトI gG重鎖のFc領域に融合したそれぞれのセレクチンのキメラ;b)ビオチン化F(ab' )2抗Fc;c)ストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ結合体の間で形成され る。この溶液(70μl)を70μlのインヒビターと合わせ、30分間インキュベート する。次いで、マイクロタイタープレートのウェルに移動させる。室温で30分後 にウェルを洗浄し、そして酵素基質p-ニトロフェニルホスフェートで発色させる 。 図6は、試験のために調製したポリマー化リポソームを示す。5つの異なる群 を調製し、これらはオリゴサッカライド(群1)を有さないか、または5%のモ ル濃度比で脂質に結合した、4つの異なるオリゴサッカライドのうちの1つを有 するかのいずれかであった(群2〜5)。各群の内、オリゴサッカライドと結合 していない脂質の置換基(「X」として図に示す)は、以下のように様々であっ た: ・中性pHで正の電荷を有するアミン ・中性だが電気陰性である水酸基 ・中性pHで負の電荷を有するカルボン酸;または ・5%または50%の脂質を含む、オキシ酸であるスルフェートとの混合物であ って、そのバランスはヒドロキシル頭部を有する脂質である。 これらの組成物は、セレクチン阻害活性アッセイにおいて以下の結果を与えた; IC50値は、群1を除き、全てリポソームに結合した炭水化物の全量に基づく。 群Iでは、IC50値は、マトリクス頭部の全量から計算する。 結果は、以下の結論を支持する。第1に、硫酸化炭水化物スルホLeXアナログ は、酸性または極性脂質(しかし正に荷電した脂質ではない)の状況において、 L-、E-、またはP-セレクチンについて非常に低いIC50(高い阻害能力)を有する 。サッカライドが非硫酸化sLeXアナログである場合、隣接する酸性脂質が完全な 阻害活性のために必要とされ、これはL-およびP-セレクチンに関して選択性であ る。 硫酸脂質は、50%の相対比率でさえ、カルボン酸脂質より良好にsLeX結合を支持 する。上記の実施例のように、酸性脂質の存在は、ラクトースおよびマルトース の様な無効な中性ジサッカライドを有効なインヒビターに変化させる。この効果 は、L-およびP-セレクチンについてのみ生じた。なぜなら、いずれの中性ジサッ カライド組成物もE-セレクチン結合を阻害しなかったからである。L-およびP-セ レクチンの結合に対して寄与する酸性基の効果は、脂質酸性基が、スルホチロシ ンまたは生物学的リガンドにおける等価物によって提供されるものと等価なセレ クチン結合要件を満たすという作業仮説と一致する。 単純なプレート結合アッセイと組合せられたこの混合構築物アプローチは、異 なるセレクチン-リガンド対の結合を選択的に阻害し得る炭水化物と酸性基との 組合せを同定する迅速な方法を提供する。実施例4:細胞活性アッセイは糖リポソームの生物学的効力を確認する 5%のスルホLeXアナログおよび95%のヒドロキシル末端化脂質を含む糖リポ ソームを、フロー接着アッセイ(Alonら、Nature 374:539,1995)において試験 した。簡単に述べれば、P-セレクチンキメラを、フローチャンバーに固定し、そ してこの基質についてのHL-60細胞の親和性を、表面上に沿ってゆっくり回転す るこれらの能力について明らかにする。この相互作用は、HL-60細胞上のPSGL-1 ムチンドメイン、および静止条件下でなく生理学的フロー条件下で細胞接着をブ ロックするインヒビターの能力に特異的である。1μMの糖脂質濃度で、この糖 リポソーム製剤は、P-セレクチン表面上でのHL-60細胞の回転を完全に阻害し得 た。コントロールリポソーム(炭水化物を含有しない)は、効果を有さなかった 。 同様のリポソーム製剤を、Stamper-Woodruffリンパ球ホーミングアッセイ(st amperら、J.Exp.Med.144:828,1976)において試験した。このアッセイは、L -セレクチンによって媒介されることが知られているプロセスである、高内皮細 静脈(HEV)を通ってリンパ節に帰巣するリンパ球の能力を測定する。胸管リン パ球(TDC)を、リポソームの存在下でHEVの固定切片上で計数した。5%の糖リ ポソームは、1μMの濃度で、TDCがHEVに結合するのを完全に阻害した。コント ロールのリポソームは効果を有さなかった。実施例5:他のサッカライド成分 ポリマー化リポソームの炭水化物成分のさらなる精製を、いくつかの先行技術 に沿って行う。 ある実験系において、プロトタイプのオリゴサッカライドsLeXおよびスルホLeX を、種々の置換基について分析し、独立した組成物において試験する。図7は 、目的のいくつかのモノサッカライドおよびジサッカライドの脂質結合体を示す 。目的の他のサッカライドは、ラクトサミン、3’シアリルラクトサミン、およ び3’シアリルラクトースである。活性な亜成分サッカライドの同定は、2つの 目的を有する。1つの目的は、各セレクチンに対する結合要件をさらに明らかに することであり、次いで、増強された結合またはセレクチン特異性を有する安価 なアナログ構造を開発するために用いられ得る。別の目的は、以下に説明される ように、混合したサッカライドリポソームにおいて使用し得るモノサッカライド およびジサッカライドを同定することである。 別の実験系において、モノマーのようなプロトタイプに等しいかまたはより良 好な活性を有すると考えられている他のオリゴサッカライドを、リポソーム組成 物において試験し、活性がさらに増強され得るかどうかを決定する。目的の結合 体を図8に示す。目的の他の結合体は、種々のsLeXアナログおよび本開示中の他 に列挙される他の構造である。 結合体を、上記の実施例と同様に形成する:過アセチル化β-NAc-アリルグリ コシドを形成し、U.V.光の下でシスタミンハイドロクロライドと結合させ、次い で、PDAの活性化酸と直接カップリングさせた。 混合したサッカライドリポソームは、組成物中に異なる脂質に結合した異なる サッカライドを有する。異なるサッカライドは、ポリマー化脂質シートにおける アニオン性結合要件を満たす他の脂質において提供される場合、セレクチン結合 の炭水化物要求性を供給することと共同して作用し得ることが提案される。シア リル酸とフコースの組合せは特に興味深い。なぜなら、これらは、セレクチン結 合を担う、sLeX中の残基であると考えられているからである。 シアリル酸結合体を、Spevakら、J.Amer.Chem.Soc.(1993)115,1146に 記載の標準的な方法によって調製する。フコース結合体を以下のように調製する 。まず、過ベンゾイル化した、フコースの塩化グリコシルを、トリメチルアリル シランおよびトリメチルシリルトリフラートによってC-アリル化し(Hosomiら、 Tetrahedron Lett.2383,1984)、C-グリコシドを生じる。この化合物をナトリ ウム/アンモニアによって脱保護化する。フコースの過ベンゾイル化C-グリコシ ドをt-ブタノールに溶解させ、湿気から保護された還流中の無水アンモニアに添 加する。次いで、固体ナトリウム金属を、青色が少なくとも20分間持続するまで 添加する。次いで、反応を塩化アンモニウムでクエンチし、アンモニアをエバポ レートする。固体残渣を水に溶解し、濃HClでおよそpH2にし、そして酢酸エチル で数回抽出する。合わせた有機溶液を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして濾 過する。エバポレーション後、C-グリコシド産物をフラッシュクロマトグラフィ ーによって精製する。このC-グリコシドを脱気水中にシスタミン-ハイドロクロ ライド(3eq.)とともに溶解させ、1モルの糖溶液を生じる。この溶液を定常的 な一面の窒素下で維持し、UV光(254nm)で照射する。12時間後、この溶液を固 体の重炭酸ナトリウムで中和し、濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィー にかけ、アミンを得る。これを最小量のメタノールに溶解させ、NHS-PDAのこの 溶液(1.2eq.)に添加し、そして12時間撹拌する。この反応物をクロロホルムで 希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥 させ、そして濾過する。エバポレーション後、粗製糖脂質残渣をフラッシュクロ マトグラフィーによって精製する。 シアリル酸結合体およびフコース結合体を1:1の比で混合し、次いで全脂質 のモル%として5〜10%の糖結合体のPDAと合わせる。ベシクル形成および脂質 ポリマー化は正常に進行し、図9に示す表面構造を有する混合糖リポソームを形 成する。 この実施例に記載のポリマー化脂質組成物を、実施例3に記載のアッセイによ って試験する。実施例6:動物モデルにおける治療試験 セレクチン結合アッセイにおいて良好な阻害活性を有するポリマー化リポソー ム組成物を、疾患モデルにおけるそれらの効力についてさらに試験する。全ての 試行を、適切なAnimal Use Committeeの承認に基づいて行う。 心筋虚血および再灌流傷害を、Weyrichら(J.Clin.Invest.91:2620,1993 )、Muroharaら(Cardiovascular Res.30:965,1995)、およびMaら(Circulat ion 88:649,1993)と同様のプロトコルに従ってモデル化する。簡単に述べれば 、高等種の成体哺乳動物(代表的には、イヌ、ネコ、またはヒツジ)を麻酔し、 そして胸骨体開胸術を実施する。絹の結紮糸を起点から8〜10mmの左前下行冠状 動脈の周りに結ぶ。EKGおよびMABPを継続してモニターする。動物を安定化し、 次いで心筋虚血(MI)を、結紮糸を締めることによって誘導し、閉塞を完成する 。試験治療薬を、80分後にボーラスで静脈内に与える。90分の時点で結紮糸をほ どき、そして心筋に270分間灌流させる。 結紮糸を再び締め、そして危険領域(aria)を、Evansブルーを注射すること によって同定する。切開後、心臓の不可逆的に損傷した部分を、解剖および0.1 %のニトロブルーテトラゾリウムを用いる染色により同定し、そしてその器官の 質量の割合として計算する。影響した領域の割合を、成功した処置に基づいて減 少させる。Mullaneら(J.Pharmacol.Meth.14:157,1985)に従って決定した 、虚血心筋におけるミエロペルオキシダーゼ活性もまた、好ましく減少させる。 虚血再灌流冠状動脈内皮もまた、単離した自己PMNの接着性について測定され得 、そして処置した動物において好ましく減少させる。動物を3つの群において試 験する:MI誘導しインヒビター処置した群;MI誘導しコントロール処置した群; および偽MI群(手術するが血管閉塞はしない)。 上記の研究で処置した動物は、リン酸脂質リポソームとして提供された400μg /kgのsLeX、または1mg/kgの抗L-セレクチンモノクローナル抗体DREG-200に応答 した。本実験において、ポリマー化リポソームを、1kg体重あたり約10〜400μg の範囲の炭水化物当量において試験する。100%中性脂質から作製される同数の ポリマー化リポソームを、ビヒクルコントロールとして等しい用量(リポソーム あたりで)で与える。他の型の急性心臓炎症事象(例えば、心筋炎、再狭窄、お よび深静脈血栓症)によって誘導される壊死が、同様の機構によって媒介される 限りは、心臓再灌流モデルにおいて確立された有効量はまた、これらの状態につ いても考慮され得る。 肺再灌流傷害を、Steinbergら(J.Heart Lung Transplant 13:306,1994)お よびKapelanskiら(J.Heart Lung Transplant 12:294,1993)と同様のプロト コルに従ってモデル化する。簡単に述べれば、全身麻酔を誘導し、そして左の肺 を隣接する助骨、助間筋、および神経血管組織の切除によって曝露させる。30分 間の回復期間の後、200mm Hg以上の動脈内酸素圧および45mg Hg以下の二酸化炭 素圧を有する動物を選択して継続する。全身性ヘパリン化の後、左肺の虚血を、 左主肺動脈の閉塞によって開始する。虚血の期間は約3時間であり、その後すぐ に肺を通気し、そして再灌流させる。再灌流の10分前に、動物は、試験治療化合 物のボーラスな静脈内注入を受ける。再灌流開始の10分後に、右肺動脈を結紮し 、そして気管内チューブの先端を、気管気管支開口部を越えて進め、そして右主 気管支を呼気終末時にクランプする。生理学的パラメーターを、6時間記録する 。動物を、生存データおよび以下のうちのいくつかに基づいて比較する:肺活量 (gravimetric lung water)、酸素および二酸化炭素の分圧、不活性ガスシャン ト、肺血管抵抗、ならびに循環WBC、好中球、およびリンパ球数。模擬動物は手 術するが、肺動脈は結紮しない−両方の肺を3時間通気し、次いで試験動物と同 様に準備する。 上記の最初の研究おいて、虚血性動物は1mg/kgの、L-およびE-セレクチンに 特異的なモノクローナル抗体EL-246に応答した。本実験において、ポリマー化リ ポソームを、体重1kgあたり約10〜400μgの範囲の炭水化物等量において試験す る。100%中性脂質から作製された、同数のポリマー化リポソームを、ビヒクル コントロールとして等用量(リポソームあたり)で与える。 出血性ショックによって誘導される肺血管傷害は、Kushimotoら(Thrombosis Res.82:97,1996)と同様のプロトコルに従ってモデル化する。簡単に述べれば 、成体ラットをペントバルビタールで麻酔し、右頸動脈に、血圧をモニターする ためにカニューレを挿入し、そして左大腿動脈に、採血および液の投与用にカニ ューレを挿入する。シリンジポンプを用いて15分間にわたって25mL血液/kgを徐 々に引き抜くことによって放血を誘導する。平均動脈圧を約30〜40mm Hgの間 に30分間維持し、次いでラットを、75mL/kgの乳酸化Ringer溶液を30分間にわた って注入して蘇生させる。生理学的体温を、この手順の間、熱ランプを用いて維 持した。模擬動物に、同じ様式でカニューレを挿入するが、放血しない。白血球 の肺蓄積(ミエロペルオキシダーゼ活性として測定)およびウシ血清アルブミン (BSA)に対する肺血管透過性は、6時間でピークになる。出血性ショックは回 復可能である。なぜなら、最初の6時間生存し、そして開腹させた動物は、少な くともさらに5日間生存するからである。 大腿動脈カニューレを通して、危険期間(液体蘇生後0.2および4時間)にわ たって一定の間隔で試験化合物をボーラスで投与することによって治療化合物を 、試験する。125I BSAを、6時間の時点での屠殺の30分前に注射する。正中線開 腹を行い、血液を腹部大動脈から引き抜き、そして肺血管構造を右心室穿刺を介 して生理食塩水で灌流する。肺血管透過性を肺対血漿におけるcpm比として計算 し、そしてこれは肺血管損傷の指標である。肺サンプルをホモジナイズし、そし てWarrenら(J.Clin.Invest.84:1873,1989)に従って、肺の好中球の数の指 標として、ミエロペルオキシダーゼ活性についてアッセイする。ビヒクルコント ロールと比較した、試験組成物によるミエロペルオキシダーゼ活性および/また は透過性の減少は、効力の指標である。 上記の研究において、出血動物は、1mg/kgのモノクローナル抗体PB1.3に応答 した。本実験において、ポリマー化リポソームを1投与につき1kg体重あたり約 10〜400μgの範囲の炭水化物当量において試験する。 腫瘍転移を、PCT出願WO96/34609に記載のものとと同様のプロトコルに従って モデル化する。このモデルは、B16黒色腫細胞株の高転移性BL6クローン(Dr.Je an Starkey,Montana Stane U.,Bozeman MT)、または摘出した黒色腫または悪 性腫瘍から標準的な技術によって樹立およびクローン化された同様の株に基づく 。転移細胞の懸濁物を懸濁し、そして37℃で5〜10分間、種々の濃度の治療試験 化合物、またはビヒクルコントロールとともにインキュベートする。インキュベ ーションに続いて、200μLの容量中の約2〜5×104細胞を、8週齢の同系マウ スの尾静脈に注射する。約3週間後、動物を屠殺する。肺および肝臓を摘出し、 そして10%ホルムアルデヒドで固定し、そして腫瘍細胞コロニーを解剖顕微鏡下 で 計測する。1mmより大きい直径を有するコロニーを、より小さいコロニーとは別 に計測する。ポジティブな結果は、コロニーの総数または大きなコロニーの割合 の実質的な減少によって示される。ポリマー化リポソーム調製物を、細胞インキ ュベーション混合物中の5nM〜10μMの範囲の最終濃度の炭水化物当量において 試験する。 アレルギー性喘息を、PCT出願WO96/35418に記載のものと同様のプロトコルに 従ってモデル化した。簡単に述べれば、成体ヒツジを、吸入したAscaris suum抗 原に対する確立された早期および後期気管支応答を有することに基づいて選択す る。動物を拘束し、そして鼻道をリドカイン(lidocane)で局所的に麻酔する。 動物に、カフの付いた気管内チューブを、反対の外鼻孔を通じて、ガイドとして フレキシブルな光ファイバー気管支鏡とともに挿管する。胸腔内圧を、食道バル ーンカテーテルで推定する。側圧を、気管内チューブを介して前進させ、そして その先端から遠位に位置する側孔カテーテル(内径2.5mm)で測定する。気管圧 および胸腔内圧カテーテルを、経肺圧を測定するために差圧トランスデューサー に接続する。気流を、気管内チューブの近位末端を呼吸気流計に接続することに よって測定する。肺流抵抗は、5呼吸にわたって平均した、(経肺圧の変化)/ (呼吸量中期での流量の変化)として計算する。胸部ガス容量を、定容量体プレ チスモグラフにおいて測定し、肺比抵抗(SRL)を得る。 試験治療懸濁物のエアロゾルを、ネブライザーを用いて発生させる。このネブ ライザーは、約3μmの空力学直径中央値を提供する。ネブライザーを、ソレノ イドバルブおよび圧縮空気の供給源からなる線量計システムに接続する。ソレノ イドバルブを、人工呼吸器の吸気サイクルの開始時に1秒間活性化する。エアロ ゾルを、500mLの換気容量で1分あたり20呼吸の速度で送達する。試験治療化合 物を、ネブライザーを介して投与する。気管支の応答性を評価するために、累積 濃度応答曲線を、緩衝液の吸入直後、およびカルバコールの漸増濃度(約0.25% 〜約4%(wt/vol)の範囲)の連続10呼吸のそれぞれの直後に、SRLを測定するこ とにより決定する。SRLが初期値の400%を超えるか、または最大用量に達すると 、試験を中止する。気管支の応答性を、SRLが400%に達する点を決定することに より評価する。ポリマー化リポソーム調製物を、エアロゾル溶液中の5nM〜10μ M の範囲の最終濃度の炭水化物当量において試験する。 関節炎を、Zeidlerら(Autoimmunity 21:245,1995)のコラーゲンII型誘導関 節炎モデルに従ってモデル化した。簡単に述べれば、年齢が適合したDBA/1マウ スの群を、完全Freundアジュバント中で乳化した100μgのウシ軟骨由来のコラー ゲンII型で皮内に免疫し、続いて18日後に不完全Freundアジュバント中の50μg で免疫する。試験治療組成物を、最初のコラーゲン注射後、およそ4週目からお よそ8週目まで毎週投与する。疾患を、紅斑および1箇所以上の関節の腫脹の視 覚的徴候によって毎日評価する。自己免疫の免疫学的徴候を、標準的なイムノア ッセイによって、コラーゲンII型、コラーゲンI型およびプロテオグリカンに対 する血清抗体についてモニターする。自己抗体の力価の減少、または関節炎の視 覚的徴候の出現の遅延が、効力の指標である。ポリマー化リポソームを、1kg体 重あたり約10〜400μgの範囲の炭水化物当量において試験する。本実験において 、ポリマー化リポソームを、1投与につき1kg体重あたり約10〜400μgの範囲の 炭水化物当量、または同数のコントロールリポソームにおいて試験する。 他の確立した動物モデルが、目的とするさらなる臨床的状態の処置についての ポリマー化リポソームの試験に手段を提供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 29/00 101 A61P 35/04 35/04 43/00 111 43/00 111 A61K 37/20 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ, VN (72)発明者 ダスグプタ,ファルグニ インド国 110020,ニューデリー,オクハ ラ インダストリアル エリア,エイ2フ ェイズ 1,エヌディーディーアール ラ ンバキシー リサーチ ラボラトリー内 (72)発明者 バートジー,キャロライン アメリカ合衆国 カリフォルニア 94706, アルバニー,タルボット アベニュー 937 (72)発明者 ナジー,ジョン オー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94572, ロデオ,ボニータ コート 120

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.PまたはLセレクチンを有する第1の細胞と、該セレクチンについてのリガ ンドを有する第2の細胞との間の結合を阻害する方法であって、脂質組成物を該 第1の細胞と相互作用させる工程を包含し;ここで、該脂質組成物は、脂質のシ ートを含み、ここで、該脂質の一部は共有的に架橋しており、該脂質の一部は結 合したサッカライドを有しており、そして結合したサッカライドを有さない該脂 質の一部は中性pHで負に荷電する酸性基を有する、方法。 2.前記サッカライドがシアリル化フコオリゴサッカライドまたはそのアナログ である、請求項1に記載の方法。 3.前記サッカライドが硫酸化フコオリゴサッカライドである、請求項1に記載 の方法。 4.前記サッカライドが中性サッカライドである、請求項1に記載の方法。 5.前記サッカライドが、ラクトースおよびマルトースからなる群より選択され る、請求項4に記載の方法。 6.前記サッカライドがジサッカライドである、請求項1に記載の方法。 7.前記サッカライドが、ラクトースおよびマルトースからなる群より選択され る、請求項6に記載の方法。 8.結合したサッカライドを有する前記脂質の一部が、前記シートにおいて他の 脂質と共有的に架橋している、請求項1に記載の方法。 9.結合したサッカライドを有する脂質の一部が、前記シートにおいて他の脂質 と共有的に架橋していない、請求項1に記載の方法。 10.前記脂質シートにおける前記脂質の一部が第1の結合したサッカライドを 有し、そして該脂質シートにおける該脂質の異なる一部が、第1とは異なる第2 の結合したサッカライドを有する、請求項1に記載の方法。 11.前記第1の結合したサッカライドがフコースであり、そして前記第2の結 合したサッカライドが硫酸化モノサッカライドまたは酸性のモノサッカライドで ある、請求項10に記載の方法。 12.前記酸性基がカルボン酸である、請求項1に記載の方法。 13.前記酸性基が負に荷電した硫酸基またはリン酸基である、請求項1に記載 の方法。 14.前記脂質シートがリポソームの脂質二重層において構成される、請求項1 に記載の方法。 15.前記脂質が、各々、単一の脂肪族炭化水素を含む、請求項1に記載の方法 。 16.前記組成物が、前記セレクチンへの前記リガンドの結合を阻害する、請求 項1に記載の方法。 17.前記組成物が、モノマーsLeXの50%阻害濃度(IC50)よりも102倍低い50 %阻害濃度を有する、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。 18.前記組成物が、モノマーsLeXの50%阻害濃度(IC50)よりも104倍低い50 %阻害濃度を有する、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。 19.前記組成物が、セレクチン対細胞結合アッセイにおいて100nM未満のIC50 を有する、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。 20.前記セレクチンがPセレクチンである、請求項1〜19のいずれかに記載 の方法。 21.前記セレクチンがLセレクチンである、請求項1〜20のいずれかに記載 の方法。 22.白血球の付着または移動を阻害する方法であって、請求項1〜17のいず れかに記載の方法により結合を阻害する工程を包含し、ここで、前記第1の細胞 は、血管内皮細胞であり、前記セレクチンはPセレクチンであり、そして前記第 2の細胞は、好中球、単球、好酸球、およびメモリーTリンパ球からなる群より 選択される白血球である、方法。 23.白血球の粘着性またはフィブリン沈着を阻害するための方法であって、請 求項1〜17のいずれかに記載の方法によって結合を阻害する工程を包含し、こ こで、前記第1の細胞は血小板であり、そして前記セレクチンはPセレクチンで ある、方法。 24.白血球の付着または移動を阻害する方法であって、請求項1〜17のいず れかに記載の方法によって結合を阻害する工程を包含し、ここで、前記第1の細 胞は、リンパ球、好中球、および単球からなる群より選択される白血球であり、 前記セレクチンはLセレクチンであり、そして前記第2の細胞は、血管内皮細胞 またはリンパ細胞である、方法。 25.リンパ球の付着、移動、または活性化を阻害する方法であって、請求項1 〜17のいずれかに記載の方法によって結合を阻害する工程を包含し、ここで、 前記第1の細胞はリンパ球であり、そして前記セレクチンはLセレクチンである 、 方法。 26.前記環境が、微小血管系またはリンパ組織である、請求項1〜25のいず れかに記載の方法。 27.PまたはLセレクチンと、該セレクチンについてのリガンドとの間の結合 を阻害する方法であって、該セレクチンが該リガンドと接触する環境において脂 質組成物を該セレクチンと相互作用させる工程を包含し;ここで、該脂質組成物 は脂質のシートを含み、該脂質の一部は共有的に架橋し、該脂質の一部は結合し たサッカライドを有し、そして結合したサッカライドを有さない該脂質の一部は 中性pHで負に荷電した酸性基を有する、方法。 28.セレクチン結合活性を有するポリマー化糖リポソームを選択する方法であ って、以下の工程: 共有的に架橋した脂質を有する糖リポソーム、および該共有的に架橋した脂質 の一部に結合したサッカライドを提供する工程; 該糖リポソームを、セレクチンおよびセレクチンリガンドを有する細胞を含む 環境に導入する工程;および IC50がモノマーsLexのIC50よりも102倍低い場合、該糖リポソームを選択する 工程、 を包含する、方法。 29.血管内皮、血小板、またはリンパ組織への白血球またはガン細胞の粘着性 における局所的変更により特徴付けられる疾患を処置する際に使用するための医 薬品の製造における、ポリマー化脂質組成物の使用であって;ここで、該ポリマ ー化脂質組成物は、脂質のシートを含み、ここで、該脂質の一部は共有的に架橋 しており、該脂質の一部は結合したサッカライドを有し、そして結合したサッカ ライドを有さない該脂質の一部は、中性pHで負に荷電する酸性基を有する、使用 。 30.前記疾患が炎症性病因を有する、請求項29に記載のポリマー化脂質組成 物の使用。 31.前記疾患が免疫学的病因を有する、請求項29に記載のポリマー化脂質組 成物の使用。 32.前記疾患が、心臓病、出血性ショック、関節炎、喘息、および転移性ガン からなる群より選択される、請求項29に記載のポリマー化脂質組成物の使用。 33.前記疾患が、虚血再灌流傷害、心筋梗塞、心筋炎、再狭窄、および深部静 脈血栓からなる群より選択される心臓病である、請求項32に記載のポリマー化 脂質組成物の使用。 34.前記疾患が、虚血再灌流傷害または心筋梗塞である、請求項33に記載の ポリマー化脂質組成物の使用。 35.前記疾患が、出血性ショックである、請求項32に記載のポリマー化脂質 組成物の使用。 36.前記疾患が、慢性関節リウマチである、請求項32に記載のポリマー化脂 質組成物の使用。 37.前記疾患が喘息である、請求項32に記載のポリマー化脂質組成物の使用 。 38.前記疾患が転移性ガンである、請求項32に記載のポリマー化脂質組成物 の使用。
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