JP2001514850A - タンパク質のスクリーニング方法 - Google Patents

タンパク質のスクリーニング方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、個々のタンパク質/ポリペプチドのライブラリーの供給に基づいた、タンパク質/ポリペプチドのスクリーニングの新しい方法を提供するものであり、これにより、順に細胞結合活性、生物学的活性等のスクリーニングが可能となる。このようなタンパク質/ポリペプチドをコードする遺伝子の回収方法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、タンパク質及びポリペプチドのスクリーニングのための方法及び組
成物に関する。詳しくは、本発明は、遺伝子ライブラリーの形成及び様々な方法
でスクリーニング可能な個々のタンパク質又はポリペプチドの合成を含む方法に
関する。特別の態様では、いわゆる「リボソーム提示」タンパク質又はポリペプ
チドアレイの使用を含む。したがって、本発明は、生物学的活性ポリペプチド、
受容体に結合するタンパク質、及びタンパク質と他の分子との相互作用、のスク
リーニングにおける提示されたタンパク質又はポリペプチドアレイの新規な実用
的な適用を提供する。
【0002】 配列決定を先導して進めていることから、ヒトゲノムは、ヒト疾患との因果関
係を有するかも知れないヒトゲノムにおける多型性又は突然変異、さらに疾患に
関連するかも知れない遺伝子の発現変化を発見するための主な主導的役割を果た
してきた。これは、そのような多型性、突然変異又は遺伝子発現における変化を
見出すために、多くの高処理量スクリーニング技術を生じさせた。さらに、その
ような分析は、ある種の治療に対するヒトの応答を分析し、それによりこれらの
治療に対する応答性を予想するためにも現在着手されつつある。一般に、多型性
、突然変異及び遺伝子発現変化は、これらの遺伝子により産生されるタンパク質
に反映され、疾患の発生又は治療に対する応答等の生物学的な結果を直接決定す
ることができるのはこれらのタンパク質の作用である。さらに、ほとんどの真核
生物のタンパク質は翻訳後修飾される。そして、そのような修飾は遺伝子レベル
では分析することができない。したがって、タンパク質及びタンパク質修飾のス
クリーニングの分析は、DNA又はRNAの分析に比べて変化と疾患との正確な
相関関係を示す可能性がより高いということになる。
【0003】 今日までタンパク質と疾患との関連性の分析は、ヒト組織又は細胞からの2D
(二次元)タンパク質ゲル分析が優勢であった。この技術では、通常、細胞タン
パク質を一次元で電荷に基づいてそして他の次元でサイズに基づいて分離する。
タンパク質は、既知のタンパク質の電気泳動上の移動パターンを参照するか、又
は電気泳動により分離したスポットからタンパク質を溶出して質量分析及び核磁
気共鳴等の方法で分析することにより同定することができる。しかしながら、2
Dタンパク質ゲル法には、細胞由来のタンパク質の分解能及び検出の限界(通常
5000細胞タンパク質のみしか明確に検出されない)、分離したタンパク質の
同定に対する限界(例えば、質量分析は通常、同定のために100フェムトモル
以上のタンパク質を要する)及び技術の専門家的性質などの限界がある。さらに
、2Dゲル分析によるタンパク質の翻訳後修飾の分析には限界があり、タンパク
質−タンパク質結合相互作用はこの方法では検出することができない。
【0004】 細胞の多数のプロセスは、修飾酵素とそのタンパク質基質との間の一過性の相
互作用により制御される。そのような相互作用は慣用の方法により検出すること
が困難である。キナーゼ、ホスファターゼ、トランスフェラーゼ、プロテアーゼ
等のタンパク質修飾酵素は、根本的な細胞プロセスのすべての様式を制御し(ポ
ーソン(Pawson) ,Nature, 373 (1995), 573 頁) 、そして疾患経路にも関与す
ることが示された。これらの一過性タンパク質/タンパク質相互作用は幾つかの
異なる効果を生じることができ、その一部は測定可能である。タンパク質の動力
学的性質は変化させることができ、これは基質の結合の変化(プレリッヒ(Prel
ich)ら,Nature, 326, (1989), 517頁) 又は変化した触媒(ポルパシー(Porpacz
y)ら,Biochim. Biophys. Acta, 749 (1983), 172 頁) を結果として生じさせる
。タンパク質/タンパク質相互作用は新しい結合部位の形成の原因となることが
でき、例えば、ATP結合部位は、大腸菌ATPアーゼのa及びbサブユニット
間の相互作用により形成される(ウェーバー(Weber)ら,J. Biol. Chem., 268,
(1993), 6241 頁) 。タンパク質の基質特異性は、特異的プロモーターにポリメ
ラーゼを配向させる種々の転写因子とRNAポリメラーゼとの相互作用により例
示されるように、タンパク質/タンパク質相互作用により変化しうる(ホワイト
(White)とジャクソン(Jackson) 、Trends Genet., 8, (1988), 284 頁) 。また
、タンパク質/タンパク質相互作用は、例えば、タンパク質が阻害剤と相互作用
する場合に不活性化を生じさせうる(ビンセント(Vincent) とラズンスキー(Laz
dunski) ,Biochemistry, 11, (1972), 2967頁) 。
【0005】 遺伝子ライブラリー由来のタンパク質又はポリペプチドの産生に依存する諸方
法が、当該技術分野で開示されている。しかしながら、そのような方法に伴う一
つの主要な不都合は、タンパク質又はポリペプチドが「プール」として産生され
、次いでスクリーニングされるということである。個々のタンパク質又はポリペ
プチドの迅速な同定を可能にし、次にはそのようなタンパク質又はポリペプチド
をコードする遺伝子の同定をも可能にするスクリーニング方法が必要である。
【0006】 したがって、第1の側面において、本発明は遺伝子ライブラリーを作製する工
程、及び次いでスクリーニングされうる個々のタンパク質又はポリペプチドを合
成する工程を含むタンパク質又はポリペプチドのスクリーニング方法を提供する
。本発明においては、「個々のタンパク質又はポリペプチド」という用語は、遺
伝子ライブラリーから発現されたタンパク質又はポリペプチドがプールの一部を
形成するというよりはむしろ別々に同定可能であることを意味する。したがって
、例えば、タンパク質又はポリペプチドは、アレイとして発現可能である。ここ
で、各タンパク質又はポリペプチドは、アレイ内の別個の点又は領域を占有する
。例えば、遺伝子ライブラリーは、コロニー又はプラークの形で作製し、次にそ
れらを別個に拾い上げてアレイに配列することができる。次に、遺伝子を発現さ
せると、アレイフォーマット中でタンパク質又はポリペプチドのアレイが生じる
。そしてアレイ中のタンパク質又はポリペプチドのそれぞれは別個の点又は領域
を占有する。
【0007】 遺伝子ライブラリーから形成させたタンパク質又はポリペプチドは、イン・ビ
トロ転写及び翻訳、リボソーム提示並びにファージ提示等のイン・ビトロでの方
法により製造された「合成タンパク質又はポリペプチド」と称してもよい。した
がって、それらは、その基準に基づいて、組織又は細胞抽出物から直接に由来す
る「天然のタンパク質」とは区別することができる。
【0008】 こうして、本明細書に記載された方法は、「合成」タンパク質又はポリペプチ
ドの合成に関する出発点として遺伝子ライブラリーを用いて、タンパク質及びポ
リペプチド並びに翻訳後修飾のスクリーニングを可能にする。一般的に、これは
、それらをスクリーニングするための手段としてのタンパク質又はポリペプチド
のアレイの作製により達成される。特に、アレイは、イン・ビトロの転写及び翻
訳方法により作製される。
【0009】 本発明の共通のテーマは、提供される方法それぞれがその対応するmRNA又
は遺伝子配列の助けにより「合成」タンパク質又はポリペプチドの迅速な同定を
可能にすることである。
【0010】 本発明の他の態様は、リボソーム上にタンパク質を提示する新規な技術、タン
パク質又はポリペプチド及び翻訳後修飾のスクリーニングのためのそのような方
法の使用、並びに受容体等の他の分子に結合する特異的タンパク質又はポリペプ
チドのスクリーニングのための新規な方法を提供する。
【0011】 リボソームは、その協調された活性が翻訳の行為を完成させるタンパク質の集
合を表す。原核生物及び真核生物のリボソーム並びにオルガネラにおいてRNA
とタンパク質のサイズと割合にははっきりと感知できる相違があるけれども、リ
ボソームの基本的な型は保存されている。すべてのリボソームは、二つの主要な
サブユニット、細菌では50S及び30Sサブユニット、そして真核生物では6
0S及び40Sサブユニットから構成される。タンパク質合成は、真核生物では
5’キャップで又は原核生物では翻訳開始コドン(通常AUG)に隣接してリボ
ソームがmRNAに付着したときに開始し、mRNA配列に指示されながら、発
生期のポリペプチド鎖を保持するペプチジル−tRNA分子上にアミノ酸を連続
的に結合させることにより続いていく。翻訳は、通常、リボソームがmRNAか
ら解離する所である停止コドンで終結する。停止コドンの非存在下では、リボソ
ームは、解離が放出因子の助けにより起こる前にmRNA分子の末端まで進行す
ると考えられる。したがって、翻訳終結は、タンパク質をコードするmRNA分
子からそのタンパク質を切り離す。リボソームがタンパク質合成中に阻止された
ときは、タンパク質とmRNAはリボソームと複合体を形成している間は結合し
た状態に留まるであろう。
【0012】 リボソーム上で合成タンパク質を生成する生化学的過程は、生きた生物を用い
る合成タンパク質の生成のための現存する方法を越えるいくつかの利点を有する
。特定の表現型の保持体としてのタンパク質を選択し、その後に対応する遺伝型
を決定する方法は、所望のタンパク質を提示するバクテリオファージ、ウイルス
及び細菌細胞を通常用いて、遺伝子とタンパク質との間の連結を提供するために
生きた細胞に主として依存してきた。DNAライブラリーによりコードされるタ
ンパク質の多様な収集のための生きた細胞の使用は、いくつかの不都合を有する
。例えば、タンパク質の多様性は、DNAまたは感染性粒子の取り込みの低効率
により制限される細菌細胞又は真核細胞の形質転換又は感染を必要とすることに
より低下しうる。さらに、多様なタンパク質の生物学的生産は、所定のタンパク
質に対して選択可能な生きた細胞の特定の環境、及び所定のタンパク質に対して
も選択可能なタンパク質の折り畳みにおける変化を生じ得る環境に曝される。最
後に、連続的な選択ラウンドの間に個々のタンパク質の多様性が要求される場合
、遺伝子突然変異技術は、多様化及びスクリーニングのためにDNAと生きた細
胞との間の切替えが必要であることにより、イン・ビボの系に適用することが困
難である。
【0013】 ポリペプチド選択のためのイン・ビトロの方法は、遺伝子の細胞内への取り込
みの必要性を除くことにより、そしてmRNA及びタンパク質の製造のための環
境を制御することにより、イン・ビボの方法に優る長所を潜在的に提供する。イ
ン・ビトロの転写及び翻訳反応は、何年もの間DNAから直接ポリペプチドを生
産させる手段として用いられており、特異的なポリペプチドを選択するための抗
体を用いてポリソームの免疫沈降(例えば、ペイバー(Payvar, F.)とシムケ(Sch
imke, R. T.)、Eur. J. Biochem., 第101 巻 (1979) 1844-1848 頁)により特異
的なmRNAを濃縮できることがわかった。このいわゆる「リボソーム提示」技
術は、ごく最近、ペプチドの選択(マッテアキス(Mattheakis, L.)ら,PNAS 91:
9022, 1994 及びPCT95/11922)及びタンパク質の選択(カワサキ(Kawasaki, G.)
、PCT91/05058 及びハーネス(Hanes) とプラックタン(Pluckthun) ,PNAS, 第94
巻[10]: 4937, 1997) に適応されている。
【0014】 マッテアキス(Mattheakis, L.)ら(PNAS 91: 9022, 1994) により記載された方
法は、ペプチドライブラリーからリガンドを同定するためのリボソーム提示系を
用いる。前記方法は、原核細胞のリボソーム複合体の50Sサブユニットに結合
することによりリボソーム翻訳での失速を誘導するリボソーム翻訳停止用のクロ
ラムフェニコールを用いる。この方法の不利な点は、発生期のペプチドの長さに
関わらず翻訳停止を生じさせ、こうして、ほとんどのポリペプチド分子が不完全
となるという点である。転写/翻訳後のDNAライブラリーからのポリペプチド
の効率的なスクリーニングのためには、mRNAに関連する全長ポリペプチドの
収率を最大にすることが明らかに望まれる。
【0015】 マッテアキス(Mattheakis)とドーワー(Dower) がPCT95/11922 に記載した方法
は、融合ポリペプチド分子のペプチド部であり、スクリーニングのためのポリペ
プチド部に隣接し、mRNAに関連する全長のポリペプチドの収率を最大にする
ためにコードするポリヌクレオチドと相互作用するか結合する「つながれた発生
期のペプチド」の使用を通じて原理的にリボソームを失速させるさらなる手段を
含む。マッテアキス(Mattheakis, L.)ら(PNAS,同書) と同様に、この方法は、未
成熟な翻訳停止を生じさせると予想され、スクリーニングのためのいくつかのタ
ンパク質の適切な折り畳みをも歪めると予想されるであろう。従って、ポリペプ
チド分子のサイズ範囲はマッテアキスとドーワーにより記載された方法により予
想され、DNAライブラリーによりコードされる特異的なポリペプチドを単離す
る蓋然性を低減するであろう。ヘインズ(Hanes) とプラックタン(Pluckthun) (
同書)の方法において、正しく折り畳まれたタンパク質とそれをコードするmR
NAの収量をその両者がリボソームにまだ付着している間に最適化する方法が提
供される。前記方法は、酢酸マグネシウムの濃度を増加させることにより翻訳過
程を失速させる工程及び物理的反応条件の操作によるタンパク質の正しい折り畳
み工程を含む。しかしながら、全長タンパク質の収量を増加させる唯一の手段は
、リボソーム上の折り畳まれたタンパク質をつなぐために、対応する遺伝子を操
作し、3’スペーサー領域を付加することによりmRNAから停止コドンを除く
ことである。この方法は、初期の方法に比べた場合全長ポリペプチドの割合を増
加させるであろうが、一方、この方法は、mRNAの末端からのラン−オフ翻訳
を予防する何の手段も提供せず、提供された失速ストラテジーは、マッテアキス
とドーワー(同書)と同様の制限を欠点にもち、それによって未成熟な翻訳上の
停止が予想されるであろう。前記方法のそれぞれに関して記載した制限に加え、
翻訳されたポリペプチドの試験に先立って翻訳反応の後期の新しい翻訳開始を阻
止する手段を提供する方法は存在しない。したがって、ポリペプチド分子のサイ
ズ範囲はこれらの方法により予想され、DNAライブラリーによりコードされる
特異的なポリペプチドを単離する蓋然性を低下させるであろう。したがって、特
異的ポリペプチドに関してDNAライブラリーを効率的にスクリーニングするた
めに、発生期の不完全ポリペプチド鎖の存在を最小限にしながら、全長ポリペプ
チドの収量を最大にするリボソーム提示に関する新規な方法が必要である。
【0016】 したがって、本発明の別の態様(「リボソーム提示」)は、対応するmRNA
に連結したリボソーム上のタンパク質を提示するための新規なイン・ビトロの方
法を提供する。本発明のさらなる態様は、生物学的に活性な又は阻害的なポリペ
プチドをこれらのポリペプチドに対する分子標的のいかなる知識もなく特異的に
発見するため、細胞又は組織に結合するポリペプチドの分子結合部位を特異的に
発見するために、及び新規なタンパク質−タンパク質結合相互作用を特異的に発
見するために、ポリペプチド提示法、特にリボソーム提示を用いる。
【0017】 生物学的に活性なポリペプチドの発見(「生物学的スクリーニング」)のため
の本発明の特別の態様においては、DNAライブラリーによりコードされ、ポリ
ペプチド提示を介して発現される生物学的な表現型を直接選択する新規な方法が
提供される。微生物上でのポリペプチドの提示法及び転写/翻訳法が、有用な結
合表現型と遺伝子型との間の連結を提供する一方、これらの方法は、抗原又は化
学品等の既知であって、通常適度に純粋な標品で利用可能なリガンドへの結合に
よるポリペプチドの検出に大部分限定されている。生きた細胞全体への直接的な
結合により提示されたポリペプチドの同定は困難であることが証明された。多く
の場合、結合する表現型のスクリーニングは、標的の生きた細胞との相互作用の
際に有用な生物学的な表現型を提示する生物学的活性ポリペプチドの単離の代用
である。そのような場合、結合する表現型を単離し、対応する遺伝型を決定し、
次いで、生物学的活性に関して結合する表現型を試験することが必要である。特
異的な結合表現型を有するポリペプチドの割合のみが要求される生物学的活性を
提供するので、この表現型選択過程は効率的でなく、生物学的活性ポリペプチド
を選択しない代理結合スクリーンに依存する。表現型スクリーニング用のリガン
ドが利用できないか又は知られていない場合には、新規な生物学的活性ポリペプ
チドのスクリーニングは可能でないことがある。したがって、本発明は、DNA
ライブラリーによってコードされポリペプチド提示を介して発現される生物学的
な表現型を直接選択する新規な方法も提供する。
【0018】 細胞又は組織に結合するポリペプチドの分子結合部位を発見するための本発明
の特別の態様(「リガンド配向性スクリーニング」)においては、目的のタンパ
ク質分子をコードするDNA分子、特に本発明の方法で標識されるものの複製を
可能にするような様式でスクリーニング可能な、タンパク質分子をコードする大
きなDNAライブラリーに適用する方法が提供される。特定のリガンド分子に対
する標的受容体タンパク質を決定するために、標的のその後の分析及びその分子
の同定に先立ち、標的受容体の選択的単離のためにそのリガンドを用いることが
可能である。しかしながら、その受容体へのリガンドの結合親和性が低いか、リ
ガンド及び/又は受容体が豊富に存在しない場合、そのリガンドを用いて受容体
を単離することは非常に困難であり、受容体の同一性を決定するためには通常、
競合検定法等により普通の候補受容体を試験しなければならない。さらに、リガ
ンド結合を阻害する分子(受容体アンタゴニスト等)又はリガンドの結合を代替
する分子(アゴニスト等)のその後の解明のためには、精製又は濃縮受容体標品
を、リガンド結合部位で結合する分子の単離のために、結合分子候補(抗体等)
の範囲を試験しなければならない。受容体が精製又は濃縮型で利用できない場合
か、受容体の同一性が知られていない場合は、受容体結合分子の単離が非常に困
難であることは明らかである。したがって、標的受容体の効率的な単離のため、
そして、例えば、アゴニスト、アンタゴニスト又は単純な標的化分子等として作
用するかも知れない受容体上のリガンド結合部位に特異的に結合する分子の単離
のために新規な道具が要求される。細胞又は組織に結合するポリペプチドの分子
結合部位を発見しうることが、本発明の特別な側面である。この方法は、リガン
ドに直近の受容体に結合する他のタンパク質複合体を標識するため、タンパク質
性受容体に結合するリガンドを用いるという原理に基づいている。次いで、これ
に基づいて、これらの隣接して結合するタンパク質は、受容体を単離するために
、そして、場合によっては、受容体に隣接したタンパク質分子を単離するために
も、結合剤として使用することができる。さらに、これらの隣接して結合したタ
ンパク質は、リガンド結合部位で結合するタンパク質を含む他のタンパク質に沿
って受容体にその後に再結合することができる。そのときは隣接して結合したタ
ンパク質は、リガンド結合部位で結合するタンパク質を含む自身に直近して結合
する他のタンパク質複合体を標識することができる。このようにして、リガンド
結合部位で結合する一以上のタンパク質複合体を標識し、その後、単離し、そし
て受容体阻害、受容体のアゴニズム又はアンタゴニズム等の有用な性質について
試験することができる。本発明は、細胞表面上、特に組織全体の分子の標識化及
び単離に特に有用である。したがって、本発明は、目的のタンパク質分子をコー
ドするDNA分子の複製を可能にするように、タンパク質分子をコードするDN
Aライブラリーのスクリーニング方法を提供する。
【0019】 細胞内ポリペプチド間で起こるものを含め、新規なタンパク質−タンパク質結
合相互作用(「タンパク質−タンパク質相互作用」)に特異的に関連する本発明
のさらなる態様においては、次には結合するポリペプチドをコードする遺伝子の
単離を可能にする検出可能又は選択可能な特性を創出するように、ポリペプチド
とリガンド又はポリペプチドと他のポリペプチドとの結合方法が提供される。
【0020】 以下、本発明の様々な態様をさらに詳細に記載する。
【0021】 タンパク質「アレイ」−本発明のこの態様では、合成タンパク質の合成の開始
点として遺伝子ライブラリーを用いるタンパク質及びポリペプチド及び翻訳後修
飾の新規なスクリーニング方法が提供される。この態様において、これらの遺伝
子ライブラリーは、ポリペプチドの検出及びポリペプチド修飾の検出のために、
個々のタンパク質又はタンパク質群を分離する基礎を提供する。その方法は、タ
ンパク質ゲル電気泳動の使用を回避する。本発明は、原理的には正常タンパク質
と疾患タンパク質との間の相違を検出するため、また薬物と他の疾患治療との関
係におけるタンパク質の変化を分析するためにも、正常及び疾患の組織又は細胞
におけるタンパク質の高処理量分析方法を提供する。また、この方法は、生きた
細胞又は組織に曝した場合にタンパク質又はポリペプチドのライブラリーの結合
又は生物学的活性の高処理量分析をも提供する。さらに、この方法は、個体及び
異なる組織又は細胞を同定するために、遺伝子のフィンガープリント法の代替物
として、個体のタンパク質「フィンガープリント法」をも提供する。タンパク質
がプールの状態で又は個々のタンパク質のアレイ中で分析され、それにより、一
旦修飾、結合又は生物学的活性が種々の方法で検出されたならば、タンパク質の
同一性は、特定のプール中でのその局在によるか又はアレイ中での特定の位置で
のその局在のいずれかにより直接又は間接に決定されうることが、本発明の重要
な性質である。同様に、この方法が異なる組織又は細胞間でのタンパク質又はタ
ンパク質修飾の相違の比較検出を可能にし、したがって、この方法がこれらの相
違のスクリーンを構成するということが、本発明の重要な側面である。
【0022】 この方法は、第一に、組換えDNA法により形成された合成タンパク質、特に
イン・ビトロの転写及び翻訳(IVTT)により1以上の遺伝子から形成された
タンパク質、の使用に基づいている。本発明の一つの好ましい側面は、タンパク
質修飾又はタンパク質−タンパク質結合相互作用のスクリーニングに先立ち、固
相上へのその後の固定を伴う、IVTTによる合成タンパク質の形成である。合
成タンパク質がタンパク質の修飾、結合活性又は生物学的活性について試験され
た場合、これらの合成タンパク質をコードする元の遺伝子を参照することにより
容易に同定されうるように、遺伝子(IVTTを容易にするように設計されたベ
クターにクローニングされたcDNA等)のアレイからの合成タンパク質の形成
が行なわれること、そしてそれによりこの遺伝子配列がタンパク質の同一性を明
らかにすること、が本発明のこの態様の重要な側面である。そのような遺伝子ア
レイは、例えば、個々のcDNAクローン又はクローン混合物を一つのアレイの
特定の位置(ミクロタイタープレートのウェル中等)に拾い上げることにより作
成される。IVTTの後(通常、PCR等の方法によるcDNAの増幅の後)、
前記アレイ中の各位置からタンパク質試料を取り出し、別のアレイの特定の位置
、例えば、代わりのミクロタイタープレート内又は個々の位置に試料を分配でき
る固相上に固定又は分配することができる。特異的なタンパク質の修飾又はタン
パク質の結合事象が前記アレイにおけるタンパク質試料から検出されるときは、
目的のタンパク質を同定するために、これらのタンパク質をコードする特異的遺
伝子の位置を決めてその配列決定をすることができる。
【0023】 cDNAライブラリーが免疫グロブリン可変領域(通常、一本鎖Fv領域とし
て、SCAs(単鎖抗体)と称する)等の1組の可変分子をコードしてもよいこ
とも、本発明の好ましい態様の範疇である。そのような可変分子は、アレイ中の
特定の位置に分配されたときは細胞又は組織の試料由来の他の特異的分子(通常
はタンパク質)に結合する能力を有する。次いで、これらの細胞又は組織の分子
は、アレイ中の可変分子への結合により、細胞又は組織の分子の整列したアレイ
を本質的に生ずる。次いで、そのようなアレイ中の細胞又は組織の分子の存在、
又はリン酸化又は他の分子との相互作用等によるのこれらの分子の修飾に対し、
アレイ中で番地を付与することができる。そのような細胞又は組織の分子の同一
性は、特に元の可変分子を単離状態で回収し、単離状態の細胞又は組織の分子(
単数又は複数)を回収するために用いる場合、その後にいくつかの方法により決
定することができる。次いで、そのような細胞又は組織の分子の同一性は、古典
的な生化学手段により、あるいはこれらがタンパク質の場合タンパク質の配列決
定又は2Dゲル移動特性等の方法により決定することができる。あるいは、その
ようなタンパク質性の細胞又は組織の分子の同一性は、本願特許に含まれるリボ
ソーム系等のタンパク質提示系を用いて決定することができ、それによりcDN
Aライブラリーを用いて、特定の可変分子に結合する際にその結合タンパク質の
同一性を関連する遺伝子のヌクレオチド配列を決定することにより決定すること
が可能であるように、それらの遺伝子(又は遺伝子のRNA表示)に連結したタ
ンパク質のライブラリーを作製する。
【0024】 タンパク質アレイの作製における合成タンパク質の生産のためのIVTTの使
用の代替として、本発明のミクロアレイ態様の別の側面は、ポリペプチドの大規
模な混合物をコードする遺伝子ライブラリーから有用な表現型を有する合成ポリ
ペプチドを生成させ、それにより対応する遺伝子が迅速かつ容易に回収可能な「
ポリペプチド提示」法の使用である。細胞に基づく提示系そして特に対応するm
RNA(次いでタンパク質の同一性を解明するために配列決定されうる)へのリ
ボソーム複合体を介して連結したタンパク質を提供可能なリボソームに関連する
タンパク質の特定の提示(「リボソーム提示」)よりもタンパク質の種類に関し
てより大きな範囲を提示させるイン・ビトロのポリペプチド提示法が、開発され
た。また、本発明の方法は、ファージ提示等の他のタンパク質提示法をも取り込
むことができる。
【0025】 本発明の方法の一つの態様において、タンパク質の修飾は、遺伝子ライブラリ
ーの形成によってスクリーニングされ、次いで、前記ライブラリーを用いて、好
ましくはmRNAから解離した全長の合成タンパク質の収量を最大にするような
条件下で、そのようなベクターから連続的にmRNAとタンパク質を製造するI
VTT等により合成タンパク質を作成する。豊富なmRNA種からのタンパク質
又はポリペプチドの過剰提示を回避するために、遺伝子ライブラリーを規格化す
る。ビオチン化リジン等の修飾アミノ酸の取り込み又はプラスミドベクターによ
りコードされるかPCRにより導入されるアミノ酸配列タグの取り込みを通じて
、あるいはタンパク質の化学修飾を通じて、次に合成タンパク質を、ビオチン結
合性タンパク質(ストレプトアビジン等)を介し又は抗タグ抗体等のタグ結合性
タンパク質配列を介し磁気ビーズ等の固相上に固定化することができる。タンパ
ク質の修飾のスクリーニングにおいて、出発遺伝子の適当な分布を通じて、タン
パク質の小さなプール又は個々のタンパク質を、ミクロタイターウェル内等のア
レイに形成させ、これらのアレイに固定する。
【0026】 あるいは、合成タンパク質は、タンパク質の個々の小さなプール又は個々のタ
ンパク質としてアレイ中に製造され、次いで、個々にガラス「チップ」上等の平
坦な固相上の異なる位置に(手動によるか又は自動分配機の使用によるかして)
移されるかも知れず、それにより、タンパク質は固相上の官能部と相互作用し、
固定化を生ずる。次に、これらの合成タンパク質を組織又は細胞の抽出物で処理
し、それにより、これらの組織又は細胞中に存在する酵素が合成タンパク質を修
飾することができる。次いで最後に、そのような修飾を、蛍光標識抗ホスホチロ
シン抗体等の特異的検出系を用いて検出する。前記検出系から得られるシグナル
を組織又は細胞の異なる抽出物により修飾した合成タンパク質の複製アレイと比
較すると、複製合成タンパク質間のこれらのシグナルの相違から、これらの異な
る組織又は細胞由来のタンパク質修飾活性における相違が示される。
【0027】 本発明の方法の別の態様において、タンパク質−タンパク質結合相互作用を遺
伝子ライブラリーの創出によりスクリーニングし、次いで、前記ライブラリーを
用いて、好ましくはmRNAから解離した全長の一次合成タンパク質の収量を最
大にするようなベクター及び条件下で、IVTT等により合成タンパク質を生成
させる。修飾アミノ酸又はアミノ酸配列タグの取り込みを通じて、あるいはタン
パク質の化学修飾を通じて、あるいは化学反応性固相の使用により、合成した一
次タンパク質を合成直後に又はタンパク質−タンパク質相互作用を形成させる二
次タンパク質との相互作用後に固相に固定化することができる。出発遺伝子の適
当な分布を通じて、タンパク質の修飾に関するスクリーニングの場合と同様に、
一次タンパク質の小さなプール又は個々のタンパク質を、ミクロタイターウェル
中又はガラスチップ上等のアレイ中で形成させ、これらのアレイに固定化する。
次に、これらの合成した一次タンパク質を任意選択的に組織又は細胞の抽出物で
処理してもよく、それによりこれらの組織又は細胞中に存在する酵素が合成タン
パク質に対して修飾をもたらしうる。次に、前記一次タンパク質と適当な二次タ
ンパク質との適当な結合相互作用を形成させるために、一以上の二次タンパク質
(二次タンパク質のライブラリーを含む)を添加する。任意選択的に、これらの
二次タンパク質を合成し、二次タンパク質の同一性がその後決定できるようにリ
ボソーム又はファージ上に提示してもよい。
【0028】 また、二次タンパク質は、組織又は細胞由来の天然のタンパク質であってもよ
いであろう。次いで、一次タンパク質と二次タンパク質の間のタンパク質−タン
パク質結合相互作用を種々の方法により検出することができる。例えば、一次タ
ンパク質を固相上に固定化し、合成した二次タンパク質の存在を、蛍光標識抗タ
グ抗体等の特異的検出系を用いる検出で、二次タンパク質内に取り込まれたアミ
ノ酸配列タグを介して決定することができる。あるいは、二次タンパク質がリボ
ソーム又はファージ提示等に関してそれをコードする核酸と会合するときは、二
次タンパク質を会合した核酸についてのPCR法により検出することができる。
あるいは、二次タンパク質の結合は、前記アッセイ系で検出されて二次タンパク
質が結合するとブロックされるようになる、合成した一次タンパク質上の部位の
ブロッキングにおける二次タンパク質の作用を通じて検出してもよい。あるいは
、二次タンパク質が天然のタンパク質の場合、UV活性化が可能なビオチン分子
の付加等により、結合後に直接標識化して直接検出してもよく、又は二次タンパ
ク質をレーザー気化してMALDI(マトリックス補助レーザー脱着イオン化)
及び質量分析法により検出してもよい。合成した一次タンパク質の複製アレイへ
の二次タンパク質の結合を組織又は細胞の異なる抽出物間で比較すると、複製し
た合成タンパク質間のこれらのシグナルにおける相違から、これらの異なる組織
又は細胞由来のタンパク質−タンパク質結合活性における相違が示される。
【0029】 タンパク質の修飾の範囲を検出することにより、そしてタンパク質タグ又はエ
ピトープに対する蛍光標識抗体の使用による等の慣用の検出フォーマットでタン
パク質−タンパク質結合を検出することにより、多数の異なるタンパク質の修飾
についての同時スクリーニングが、異なる組織及び細胞間の相違をスクリーニン
グするために行ないうるであろうことは明らかである。
【0030】 本発明の別の態様においては、タンパク質−タンパク質相互作用は、二次タン
パク質、特に標準的な技術を用いて包括的に整列化させることが通常非常に困難
であると思われる天然の組織又は細胞由来のタンパク質のアレイを形成させるた
めの基礎として用いられる。一次タンパク質には、組織若しくは細胞抽出物由来
の天然のタンパク質又はリボソーム若しくはファージに提示されたタンパク質ラ
イブラリー由来の合成タンパク質等の二次タンパク質のセットに対する様々なセ
ットの結合特異性を提供する免疫グロブリン等の高度に多様なセットのタンパク
質が含まれる。一例として、一次タンパク質は、哺乳動物Bリンパ球由来の免疫
グロブリン可変領域の直接PCR増幅により形成され、イン・ビトロ転写用の適
当なベクターにクローニングされたリボソームに提示された単鎖抗体(SCA)
可変領域ライブラリーから誘導されるであろう。SCAライブラリーの構成物は
、ミクロタイターウェル中に別々に又は群として、又はガラスチップ等の固相上
に直接のいずれかで整列させ、SCAタンパク質をIVTTにより形成させ、タ
ンパク質タグを介し又は直接化学カップリングにより固相に固定化する。次いで
、組織若しくは細胞抽出物由来の天然のタンパク質の混合物又は遺伝子ライブラ
リーに起源を有する合成タンパク質の混合物(例えば、リボソーム又はファージ
に提示されたタンパク質)を、SCAs等の一次タンパク質のアレイにまとめて
添加し、それにより、一次タンパク質により二次タンパク質に伝えられる結合特
異性が、個々のSCAsに結合する単一の二次タンパク質又は二次タンパク質群
のいずれかを有する二次タンパク質の整列化に導く。達成された二次タンパク質
のアレイを組織又は細胞の異なる抽出物の間で比較し、次いで、複製した合成タ
ンパク質間のこれらのシグナルにおける相違がこれらの異なる組織又は細胞由来
のタンパク質の存在における相違を示すことになる。あるいは、これらのタンパ
ク質を、リン酸化等の種々の修飾を例えば、これらの修飾を検出する蛍光標識化
抗体を用いることにより試験することもできる。
【0031】 アレイの個々の単一又は複数のタンパク質の構成物の存在又は修飾を異なる組
織又は細胞抽出物間で比較するために、あるいは、生きた細胞又は組織上のこれ
らのタンパク質構成物の結合又は生物学的活性を分析するために、合成か又は天
然のタンパク質を単一又は複数のタンパク質のアレイ中に分配することは、本発
明の具体的な側面である。ミクロタイタープレートの個々のウェル中のcDNA
ライブラリー由来のクローン群の個々の構成物を分配することにより、アレイを
そのプレート中で容易に行なうことができるが、この手動の(又はロボット管理
の)整列化技術は、異なる試料間でウェルの壁という物理的バリアーを生じさせ
、これは、洗浄溶液や二次タンパク質ライブラリー等のその後の溶液を迅速かつ
正確に添加することを困難にする。さらに、ミクロタイタープレートの使用は、
整列化したタンパク質の密度に対して一つの制限を与え、そのような制限は、利
用可能なミクロタイタープレート内のウェルの密度により規定される。したがっ
て、タンパク質間に物理的なバリアーなしにタンパク質の整列化を要しない方法
が望まれる。
【0032】 タンパク質のアレイが物理的なバリアーなしに形成される本発明の別の態様に
おいては、アレイ内のタンパク質の空間的な分布は、リボソーム提示等の遺伝子
ライブラリーに由来する個々の合成タンパク質を直接空間的に固定化させること
によるか、あるいは、タンパク質ライブラリーの構成物を間接的に空間的に固定
化させるために合成タンパク質ライブラリーと会合した核酸がアニーリングする
核酸、特に合成DNAを空間的に固定化することのいずれかにより達成される。
直接の空間的固定化のためには、組織又は細胞遺伝子ライブラリー由来の合成タ
ンパク質を固定化するか又は、二次タンパク質の混合物を次に添加でき、それに
より、これらは個々のタンパク質プローブに対する結合特異性に従って空間的に
分配されるであろうように、SCAs等の合成タンパク質プローブを固定化する
。したがって、本発明は、新規な型のタンパク質チップを提供する(ハッチェン
ス(Hutchens)とイップ(Yip) 、Rapid Comms. Mass Spec. 7, (1993), 576頁を参
照のこと) 。チップ上の合成タンパク質の固定化は、共有結合又は非共有結合の
いずれかにより達成される。翻訳反応中にビオチン化リジンtRNAの添加によ
りタンパク質に取り込まれたビオチン部分を用いる固定化が、特に便利である。
ビオチンを取り込むと、合成タンパク質分子は、次に、固相ストレプトアビジン
又は固相抗ビオチン抗体上に容易に固定化することができる。典型的には、これ
は、イン・ビトロ転写及び翻訳により製造されたタンパク質試料を、マルチウェ
ルプレートの特定の位置又はガラスチップ等の固相上に等分に分けることができ
るロボット分配機の使用により簡便化される。そのようなロボット分配機は、複
製固相内の同一の位置で同一のタンパク質を固定化して作成する合成タンパク質
の複製アレイを作製するのに特に重要である。ビオチン化リジンを用いる直接固
定化に関連して、合成タンパク質中に取り込まれなかった遊離のビオチン化リジ
ンtRNAは、いくつかの試料で、遊離のビオチン基が、固定化されたストレプ
トアビジン分子へのアクセスをブロックするという困難な問題を生じうる。都合
のよいことに、これは、翻訳反応混合物中のビオチン化リジンtRNAの枯渇を
確保することにより克服することができる(次いで、発生期のタンパク質は、非
修飾リジンtRNAの添加により完成されうる);これに代わるストラテジーは
、固相のビオチン結合部位数に比べて過剰のリジン結合ビオチン分子数を使用す
るか又はビオチン化リジンtRNA等の小分子を除去するための分子ふるい濾過
工程の使用である。別のストラテジーは、翻訳期間の終わりにリジンの豊富な(
ポリ)ペプチドをコードする合成mRNA鋳型を翻訳反応混合物中に添加するこ
とである。この鋳型は過剰の遊離ビオチン化tRNAを取り込むことが可能であ
る。そのような鋳型は、反応混合物からリジンの豊富な合成タンパク質を除去す
るために後で使用できる(例えば、ポリヒスチジンテールに対する抗体を有する
ビーズを用いて)ペプチド配列(例えば、ポリヒスチジンテール)もコードする
であろう。そのような様式で、合成タンパク質の固定化に先立ち、遊離のビオチ
ン化リジン基は翻訳混合物から除去されるであろう。
【0033】 また、タンパク質の非共有結合による付着は、次にはアビジンと反応するSu
lfo−SBED(Pierce & Wariner, Chester, UK) 等の市販の試薬を用い、ビ
オチン等でタンパク質を標識することによっても容易にできる。タンパク質の共
有結合による付着は、オーサリバン(OSullivan) ら(Anal. Biochem. 100 (1979)
, 108)に記載されたもの等のいかなる慣用の方法でも架橋を容易にする反応種で
、タンパク質を活性化させることによっても達成されうる。タンパク質の付着は
、固定化の達成手段として次に固相のニッケルキレートか又は抗ポリヒスチジン
抗体に結合可能な末端のポリヒスチジン配列等の合成タンパク質内の特異的アミ
ノ酸配列を包含させることによっても容易になりうる。合成タンパク質の直接結
合の代替法には、例えば、RNA結合タンパク質(HIVtatタンパク質等)
を用いて会合したRNAを固定化することによるか又は固相上の合成DNA分子
にRNAをアニーリングさせることによるリボソーム提示タンパク質の結合が含
まれよう。
【0034】 核酸を介するタンパク質の間接的な固定化に関しては、タンパク質−リボソー
ム−mRNA複合体中の会合したmRNAを、そのmRNAをコードするプラス
ミドベクターにより元々コードされるヌクレオチド配列タグとともに調製しても
よい。ヌクレオチド配列タグは可変性であってもよく、例えば、(ベクターにア
ニーリングする適当な末端を有する)ランダムオリゴヌクレオチド混合物により
コードされる合成領域を用いてプラスミドベクターを作成して、例えば、mRN
Aの5’末端に配列標識をランダムに置くことにより、プラスミドベクター標品
中でランダム化されてもよい。遺伝子ライブラリーからタンパク質−リボソーム
−mRNA複合体を調製した後、mRNA配列タグを、スライドグラス(「DN
Aバイオチップ」)等の固相表面に個々に位置する合成オリゴヌクレオチドのア
レイにアニーリングさせてもよい。このようにして、個々のタンパク質を、バイ
オチップ上の特定の位置に最後に配置してもよい。次いで、空間的に整列化され
たタンパク質を、これらの修飾のスクリーニングのために蛍光抗体等を用いて組
織又は細胞抽出物による修飾について分析してもよい。さらに、アレイは、バイ
オチップ上の個々のタンパク質に結合するかそのタンパク質を修飾するタンパク
質の同定に使用してもよい。修飾されたタンパク質、又はタンパク質−タンパク
質相互作用に関わるタンパク質の同一性については、前記チップ上に固定化され
たオリゴヌクレオチドの知られた配列からその後に決定してもよく、それにより
、この配列は、プラスミドライブラリー中の相補的配列タグと会合する特定の遺
伝子を同定するために、(例えば、PCRにより)プラスミドライブラリーを探
索するために用いられる。あるいは、タンパク質の同一性は、個々のタンパク質
に会合するmRNA配列のPCR増幅により達成されてもよい。したがって、こ
の態様は、原理的にはチップ上の個々の位置に配置された個々のタンパク質を有
するタンパク質アレイバイオチップに関連する。あるいは、タンパク質の同一性
は、一次又は二次合成タンパク質が生産されているかどうかをタンパク質配列タ
グに対する抗体の混合物等を用いて探索可能なタンパク質配列タグのランダムセ
ットを用いて、決定してもよい。例えば、合成タンパク質は、一方の末端がアミ
ノ酸のランダム又はセミランダムストレッチのいずれかを含み、その各々が適当
な標識を有する抗体のライブラリー由来の抗体により検出可能なときは、一以上
の特異的抗体の結合が合成タンパク質の同一性を決定することができる。例えば
、タンパク質の一方の末端がランダムな8アミノ酸配列タグを含み、そしてSC
Asのライブラリーが構築され合成ペプチドの等価な混合物に対するSCAsの
結合が濃縮されているときは、個々の又は小さい群のSCAsは特異的ペプチド
に結合し、そのペプチド(したがって合成タンパク質)は、個々のSCAsの特
異性という知見により同定することができる。
【0035】 また、異なる組織又は細胞間の相違の分析に先立って、修飾されたタンパク質
又は相互作用するタンパク質の混合物が予め選択されるという方法も、本発明に
包含される。例えば、タンパク質をコードする個々のmRNA分子がタンパク質
に付着したままであるリボソーム提示等の提示法により作製される一次合成タン
パク質 を、組織又は細胞の抽出物による処理に付し、次いで、固相に固定化さ
れたこれらの修飾に対する抗体を用いる選択に付す。こうして、会合した核酸を
有する修飾されたタンパク質を単離し、例えば、アガロースゲル電気泳動等のP
CR産物の単純分析及び異なる細胞又は組織での処理から得られる結果の比較を
含むいくつかの手段により、単離されたタンパク質のプロフィールを決定するこ
とができる。同様に、タンパク質−タンパク質結合による二次合成タンパク質を
「捕捉」するために次に使用される一次天然タンパク質に関しては、相互作用す
るタンパク質を、例えば、二次合成タンパク質上のタグに対する抗体及び前記合
成タンパク質と会合する核酸由来のPCR産物の分析により再び決定される相互
作用するタンパク質のプロフィールを用いて単離することができる。
【0036】 また、遺伝子ライブラリーから作製された合成タンパク質を、タンパク質の修
飾又はタンパク質−タンパク質結合の分析用のタンパク質ゲル電気泳動に付す方
法も本発明に包含される。タンパク質の加水分解又はリン酸化等の翻訳後修飾が
タンパク質の電気泳動上の移動度を変化させることは、よく証明されている(フ
ィジッキー(Phizicky)とフィールド(Fields) Microbiol. Rev., 59, (1995), 94
頁) 。したがって、本発明の1つの態様は、疾患に関連するタンパク質の修飾が
2Dゲル電気泳動を用いて検出される方法を提供する。例えば、その後のIVT
T又はリボソーム提示用のcDNAライブラリーを構築することになろう。タン
パク質のその後の精製を容易にするために、His又はFlag等の3タグを、
用いる転写ベクター中に取り込んでもよい。これは、当業者によく知られた標準
的な分子生物学的技術により達成される。タンパク質のその後の検出を容易にす
るために、それらを35S又はビオチン等の標識で翻訳過程中に標識してもよい
。翻訳後、必要ならばタンパク質を精製して、例えば、タンパク質が3flag
又はポリヒスチジンタグを有する場合抗Flag抗体又はニッケル等のリガンド
を含むアフィニティー媒体に翻訳混合物を通過させることにより、抗リボソーム
抗体を用いてリボソーム成分を固相上に除去することにより、あるいはリボソー
ムの単純な限外濾過によりリボソーム及び他の因子を除去することができよう。
次いで、臨床試料由来のタンパク質(未標識又は蛍光部との反応等を通じて標識
された)を、精製したイン・ビトロ翻訳ライブラリーと共にインキュベートし、
修飾したり又は合成タンパク質とのタンパク質相互作用を生じたりするであろう
。次いで、全反応物を2Dゲル電気泳動により分離し(キャッシュ(Cash)、J. C
hromatography 698 (1995), 203 頁) 、Phoretix−2D(Phoretix Inte
rnational, Newcastle upon Tyne, UK) 等の適当なコンピュータソフトウエアを
用いて得られたゲルを分析することになろう。対照反応は、合成タンパク質ライ
ブラリーが臨床試料代替物、例えば、最初の試料が疾患試料の場合は正常試料、
由来の全タンパク質と反応するように行なうことになろう。疾患関連修飾又はタ
ンパク質/タンパク質相互作用は、疾患試料で見られ、対照タンパク質では見ら
れないユニークバンドとして同定されるであろう。2Dゲル分析により同定され
たタンパク質に関連する遺伝子の迅速な同定を容易にするために、合成タンパク
質ライブラリーを最初に、各プールがライブラリーの一部を含むようないくつか
のプールに再分割することができる。これは、遺伝子の最初の混合物を分割する
ことにより達成される。次いで、各プールを前記したようにスクリーニングして
、目的のタンパク質を含むプールを同定することになろう。次いで、そのプール
に対する転写混合物を再び細分割して、スクリーニング過程を繰り返す。この手
法は、目的のタンパク質をコードする単一のクローンが同定されるまで、リボソ
ームに提示されたタンパク質を段々小さくしたプールを用いて繰り返されるであ
ろう。あるいは、2Dゲル分析による潜在的な疾患関連タンパク質の同定の後、
そのタンパク質を標準的なプロトコールによりゲルから精製し(ハガー(Hager)
とバーゲス(Burgess) 、Anal. Biochem., 109, (1980), 76 頁)、精製したタン
パク質をscFvライブラリーで探索し、そのタンパク質を認識する抗体(1又
は複数)を同定する。次いで、その抗体(単数又は複数)を用いて、疾患試料の
cDNAから構築された合成タンパク質ライブラリーをスクリーニングし、会合
した遺伝子タグを有するタンパク質を同定することになろう。タンパク質の同定
のための代替となる高度に革新的な方法として、例えば、ベクター由来の若しく
はベクターへのその後のクローニングのためのcDNAをコピーするために使用
される合成オリゴヌクレオチドの混合物由来のクローニングされたcDNA中に
リーダー配列を取り込むことにより、元々プラスミドベクターにコードされ、そ
の後にタンパク質中に取り込まれるアミノ酸配列タグを持つ各組換えタンパク質
を作成してもよい。ヌクレオチド配列タグは可変性であってもよく、例えば、(
ベクターにアニーリングする適当な末端を有する)ランダムオリゴヌクレオチド
混合物によりコードされる合成領域を用いてプラスミドベクターを作成し、mR
NAの5’末端等に配列タグをランダムに置くことにより、プラスミドベクター
標品中でランダム化されてもよい。IVTT又はリボソーム提示等によるタンパ
ク質混合物の製造及び2Dゲル電気泳動によるこれらのタンパク質の分離後、個
々のタンパク質を、配列の様々な並べ替えに特異的な抗体を用いる探索により分
析することができよう。
【0037】 主な適用がヒト疾患又はヒトの健康管理、個体若しくは薬物治療状態に関連す
るタンパク質、タンパク質の修飾及びタンパク質−タンパク質相互作用の分析に
あるであろうことは、本発明にとって自明である。本発明は、「臨床試料」の使
用を取り込み、そのような用語は、組織、血液又は特定の疾患により影響される
と予想されうるその他のものであってもよい試料をいう。疾患試料とは疾患、健
康管理又は薬物治療状態により影響されると示唆されうる試料をいう。正常試料
とは、疾患により影響されない試料をいい、正常な健康管理状態を表すが、個体
間で変化してもよく、その後の薬物治療の結果に関連性があってもよい。疾患に
関連するタンパク質又はタンパク質修飾/相互作用の探究における比較目的のた
めに、正常及び疾患試料は、集団に誘導された不均一性を低減するように理想的
に適合されるであろう。これは、ひとりの患者から正常及び疾患試料を得ること
(例えば癌の胸部組織と癌に冒されていない胸部組織)により、あるいは、多数
の異なる患者から疾患及び正常試料をプールすることにより達成してもよい。
【0038】 正常及び臨床試料の両方からのcDNAライブラリーの作製は、mRNAの単
離後に逆転写によるcDNAを生成させることを含む標準的な技術により行なう
(サムブルック(Sambrook)ら、Molecular Cloning: A Laboratory Mannual, 第
2 版,Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989))か、あるいは、PolyA
Tract System(Promega, Southampton, UK)等の市販のキットを用い
て達成してもよい。リボソーム提示によるイン・ビトロ提示及びタンパク質のイ
ン・ビトロ提示に関する条件等の合成タンパク質の生成に適するベクターへのc
DNAのクローニングは、以前に記載された通りである(例えば、ハーネス(Han
es) とプラックタン(Pluckthun) 、Proc. Natl. Acad. Sci. 94 (1997) 4937 頁
に記載) 。試料からの全タンパク質の単離は、ボラーグ(Bollag)とエーデルスタ
イン(Edelstein)(Protein Methods, Wiley-Leiss, 1991) に詳細に記載されてい
る標準的な方法で達成される。リボソーム提示−本発明の第2の態様において、
リボソーム複合体が全長ポリペプチドに連結したままであるように、mRNAの
3’末端でmRNAの翻訳を選択的に停止することによりリボソームからの全長
ポリペプチドの発現を最大にする新規なイン・ビトロリボソーム提示法が提供さ
れる。本発明は、mRNA分子の特異的部位に結合したタンパク質がポリペプチ
ドに会合したmRNA−リボソーム複合体の失速を可能にするmRNAのさらな
る翻訳をブロックするであろうという発見に基づいている。また、本発明は、ポ
リペプチドのスクリーニングの直前に新規な翻訳開始を防止する任意の手段をも
含む。
【0039】 まず、本発明の方法は、通常プラスミドベクター中にDNA分子のライブラリ
ーの創出を含む、そのようなDNA分子は様々なポリペプチドをコードし、それ
により、これらのポリペプチドをコードするDNAがmRNA分子に転写される
。通常、DNA分子のクローニングベクターは、T7RNAポリメラーゼのプロ
モーター等の上流のプロモーターを含む。したがって、DNA分子のプールされ
たライブラリーを、例えば、T7RNAポリメラーゼ及びリボヌクレオチドの添
加により転写し、mRNA分子のライブラリーを作製する。その後、RNA分子
のライブラリーを大腸菌S−30画分等のリボソーム標品を用いて翻訳する(チ
ェン(Chen H Z)とツバイ(Zubay G), Methods in Enzymology, 第101 巻 (1983)
674-690 頁) 。その後、連結したポリペプチド、リボソーム及びmRNAを含有
するリボソーム複合体を、典型的には固相に固定化したリガンドへの結合に関し
てスクリーニングし、標的リガンドに結合するポリペプチドをコードするDNA
分子を濃縮するための逆転写及びPCRによる増幅のため、生じた固定化複合体
からmRNAを放出する。これらのDNA分子は、直接転写に使用可能であり、
あるいは標的分子に結合するポリペプチドをコードするDNAの配列を決定する
ためにクローニングすることができる。本発明のこの態様に目的のため、DNA
分子によりコードされるmRNAは、5’から3’にむかって、任意に可変セグ
メントの5’側に抗開始セグメントを有する可変セグメント、スペーサーセグメ
ント及び終結セグメントを含有する3つのセグメントを含むと考えられる。ポリ
ペプチドは、リボソーム複合体を介してmRNAの可変セグメントからタンパク
質に翻訳されたタンパク質又はペプチド配列を意味する。可変セグメントは、全
長のポリペプチドをコードするmRNA配列を意味する。スペーサーセグメント
は、完成したタンパク質がリボソームから完全に現われ、かつ、リボソーム複合
体を通じてコードするmRNAにまだ付着している間最適の三次元構造を採用す
ることを可能にする可変セグメントにつながったタンパク質セグメントをコード
するmRNA配列を意味する。終結セグメントは、直接若しくは間接に結合部が
付着するmRNA配列、あるいは、翻訳をブロックするために特異的タンパク質
が付着するスペーサーセグメントにつながって若しくは上流にポリペプチド結合
部をコードするmRNAを意味する。結合部は、リボソーム複合体上のmRNA
に結合可能ないかなる分子又は翻訳の停止を生じさせるリボソーム複合体上の翻
訳されたポリペプチドに結合可能ないかなる分子のいずれかを意味する。通常、
結合部は、配列特異的様式でmRNAに直接結合するか又は、合成DNA若しく
はRNA分子をmRNAにアニーリング後にこれらの分子上のリガンドを介する
結合部の付加等、mRNAに間接的に結合してもよい。任意の抗開始セグメント
は、翻訳開始コドンに隣接し、異なる結合部の付着のための配列を通常提供する
。抗開始セグメントは、翻訳されたポリペプチドのスクリーニングの直前の新規
な翻訳開始を防止するであろう。標的リガンドは、特異的タンパク質の結合及び
会合したmRNAのその後の回収に関してライブラリーをスクリーニングする対
象である。
【0040】 mRNA分子の可変セグメントは、単鎖抗体(SCAs、重鎖及び軽鎖に由来
し、共に連結して一官能性結合ドメインを生じる免疫グロブリン可変領域を含有
する)等の全長の公知のポリペプチド型又はランダム又はセミランダム配列のい
ずれかを含有する。公知のポリペプチド型又は領域のランダム/セミランダム会
合により創出されたキメラ配列も使用してもよい。SCAs等の公知のポリペプ
チド型に関しては、遺伝子の特異的セグメントを、SCAsにおけるCDRsの
ようにランダム化してもよい。公知、ランダム又はセミランダム配列をコードす
るDNA分子の大収集物を最初に製造し、次いで、転写ベクターにクローニング
する。この転写ベクターは、以下に詳細に記載するその後のmRNA分子におけ
る封入に関して他のセグメントを提供する。通常、前記ベクターは、翻訳開始コ
ドン及びmRNAに対するリボソーム結合部位をも提供するであろう。DNAに
よりコードされるさらに長いポリペプチド分子に関しては、翻訳を終結させるm
RNAの停止コドンの存在を減らすか除去する必要があるであろう。特定のタン
パク質にとっては天然である停止コドンを含むそのような停止コドンを、全長の
ポリペプチドを得るために除去することは、本発明の必要条件である。単鎖抗体
等の公知のタンパク質をコードするDNAに関しては、これは、通常の停止コド
ンの除去かあるいは、停止コドンの位置で特異的アミノ酸を挿入するために翻訳
反応でナンセンスサプレッサーtRNAの使用を単に要求するだけである。化学
合成により製造されたランダム又はセミランダムDNAの混合物に関しては、い
かなる特定の配列に存在する停止コドンの頻度は、合成反応中のDNA塩基組成
の操作により低下させることができ、ナンセンスサプレッサーtRNAも、翻訳
反応に使用することができるであろう。mRNA分子のスペーサーセグメントは
、全長ポリペプチドをリボソームから十分に出現することを可能にして適切なタ
ンパク質の折り畳み及び標的リガンドへの妨害されない接近を可能にするために
、リボソームの溝にまたがる可変セグメントの下流のポリペプチド領域を提供す
る。通常、このセグメントは、50アミノ酸を越える領域をコードし、別のタン
パク質由来の完全なドメイン等の全長ポリペプチド又は(Gly4Ser)10
等のグリシン/アラニンの豊富なリンカーの折り畳みを妨害しそうにない領域を
コードするであろう。いくつかの翻訳されたタンパク質に関しては、スペーサー
セグメントは、タンパク質自体から連続する部分を含み、この部分は、可変セグ
メントの正しい折り畳み又は標的リガンドへの結合には要求されない。
【0041】 終結セグメントは、完全な可変セグメントの翻訳後の翻訳終結を防止するよう
設計された結合部の直接又は間接付着のための下流のmRNA配列を提供する。
結合部の特に好ましい結合方法は、終結セグメントに最初に付着する中間の合成
オリゴヌクレオチド分子を間接的に用いることである。そのような合成ヌクレオ
チドを結合部の特異的結合部位に装着した場合、そのときは、結合部が今度はア
ニーリングされた合成オリゴヌクレオチドに結合し、それによりmRNAの下流
端に付着して翻訳をブロックすることができる。この好ましい方法の一例は、そ
の後にストレプトアビジンが結合し、よって翻訳をブロックする分子を提供する
1以上のビオチン化ヌクレオチドを取り込んだオリゴヌクレオチドを使用するこ
とである。また、ストレプトアビジン等の分子の使用は、発生中のタンパク質が
イン・ビトロ翻訳反応混合物中で取り込まれたビオチン化リジン(又は別のビオ
チン化アミノ酸)によりそれ自体ビオチン化されうる、発生中のタンパク質のm
RNA分子への架橋の単なる可能性をも提供する。この好ましい方法の別の例は
、次にはモノクローナル抗体若しくはその断片に結合しうる蛍光又はジニトロフ
ェノール等のリガンドを有する1以上のヌクレオチド誘導体を取り込んだオリゴ
ヌクレオチドを使用することである。また、これは、一方で合成オリゴヌクレオ
チドを介してmRNAに結合し、他方が翻訳されたタンパク質又はポリペプチド
上のアミノ酸配列により翻訳されたタンパク質又はポリペプチドにも結合する二
重特異性抗体等の二重特異性分子の使用も可能にする。その他の方法は、いかな
る中間のアニーリング工程もなく直接特異的タンパク質が結合する配列を有する
終結セグメントを提供することを含む。そのような結合部の一例は、鉄制御タン
パク質(IRP)である。終結セグメントは、低濃度の鉄の条件下でのIRPの
添加により安定化され、よってリボソーム翻訳に対して立体障害を生じさせるス
テム−ループ構造を提供するであろう。この後、発生中のペプチドの選択が起こ
りうる。リボソームを停止させるためのIRPの使用は、鉄の添加が翻訳を再開
させそして終結させるように可逆的なブロックを導入する。これは、その後の転
写、配列決定又はcDNAクローニングに関するポリペプチドの選択後にmRN
Aの放出を容易にするであろう。終結セグメント中の配列に結合するmRNA結
合部のさらなる例は、TARと称するRNAステム−ループに結合するHIVタ
ンパク質tat(ディングウォール(Dingwall)ら,PNAS, 第86巻 (1989) 6925-6
929 頁)、RNPモチーフに結合するLa抗原(チャン(Chan E K L)とタン(Tan
E M), Mol. Cell. Biol. 第7 巻 (1987) 2588-2591 頁)及び一本鎖若しくは二
本鎖RNAのいずれかで、後者はヘアピンループを介してmRNAに創出可能な
特異的RNA配列に結合するその他のRNAウイルス由来のタンパク質を含む。
あるいは、終結セグメントは、翻訳終結の防止に関して結合部をさらに安定化さ
せるために合成されたポリペプチド自体又はリボソームタンパク質複合体に付加
的に結合する結合部の付着部位をコード可能である。任意に、終結セグメントは
、lpp(大腸菌リポタンパク質)及びファージT3ターミネーター等のエキソ
ヌクレアーゼに対するmRNAの安定性を高める1以上のさらなるmRNAの領
域を含むであろう。本発明のこの他の主要な側面に関して、mRNAは、様々な
結合部が合成オリゴヌクレオチド若しくは他の分子の最初のアニーリングを通じ
て間接的に、又はmRNA分子に対する直接的な認識及び直接的な結合部の結合
を介してのいずれかで結合可能な様々な終結セグメントとともに製造することが
できる。
【0042】 隣接する任意の抗開始セグメントは、全長のポリペプチドを生ぜずそれ故に標
的リガンドへの非特異的結合を提供する恐れのある不完全な折り畳みを有するポ
リペプチドを提供するかもしれない翻訳反応の後期で翻訳開始を防止するように
設計される。抗開始セグメントは、例えば、シグナル認識タンパク質(SRP)
が結合可能な翻訳されたポリペプチド中の分泌性リーダー配列をコードしてもよ
い。一旦、SRPがポリペプチドに結合したならば、ポリペプチドとmRNAと
の架橋によりさらなる翻訳の停止を生じさせる。また、翻訳停止は、発生中のペ
プチド及びmRNAにそれぞれ結合するSRPのSRP54とSRP9/14サ
ブユニットとの組合せを用いることによっても達成されるかもしれない(シーゲ
ル(Siegel)とウォルター(Walter),Cell Biol., 第100 巻 (1985) 1913-1921)。
抗開始配列の別の例は、下流のシストロンの翻訳を抑制する上流の22コドンを
含むヒトサイトメガロウイルスgp48遺伝子のもの等の一定の真核細胞転写リ
ーダーにより提供される(ガオ(Gao J) とゲバーレ(Geballe A P), Mol. Cell.
Biol. 第16巻 (1996) 7109-7114 頁) 。そのようなリーダーは、下流のシストロ
ンに対するリボソームの進行をブロックするペプチドをコードすると考えられる
。抗開始配列のさらなる例は、前記した終結セグメント等の結合部により認識さ
れる配列であり、これらは、IRP、tat、La抗原及びその他のウイルスタ
ンパク質により結合される配列を含む。
【0043】 したがって、本発明は、任意に抗開始セグメントを有する可変、スペーサー及
び終結セグメントを有するmRNA分子をコードするcDNAライブラリーの組
成物を提供する。好ましくは、本発明は、スペーサー及び終結セグメントをコー
ドし、抗開始セグメントは任意であるDNAベクターを提供する。通常、DNA
ベクターは、翻訳開始コドンも提供し、原核細胞のリボソームを用いる翻訳に対
しては、リボソーム結合部位はシャイン−ダルガーノ配列を含む。真核細胞の翻
訳系に対しては、共通のGCCGCCACCATGGを有するコザックの翻訳開
始配列を含んでもよく、翻訳開始部位から上流に、タバコモザイクウイルス等の
ある種のウイルス由来の非翻訳リーダー配列を含むエンハンサー又はアクティベ
ーター配列等の翻訳を促進する他の公知の配列を含むことが望ましい。通常、D
NAベクターは、RNAポリメラーゼとともに用いてDNAライブラリーに対応
するmRNA分子のライブラリーを作製する強力な転写プロモーターも提供する
。そのようなプロモーターには、T7RNAポリメラーゼ、T3RNAポリメラ
ーゼ及びSP6RNAポリメラーゼのものが含まれ、さらに、RNA依存性ポリ
メラーゼ、QbレプリカーゼのプロモーターもDNAによりコードされてもよい
。DNAベクターは、例えば、大腸菌リポタンパク質のターミネーター又はファ
ージT3の初期ターミネーター等の強力な転写ターミネーターも提供する。本発
明の方法において、可変セグメントを含むDNA断片をDNAベクターにクロー
ニングし、それによりDNA断片は最小の停止コドンを持つか全く持たない。S
CAs等の公知のポリペプチド型をコードするライブラリーに関しては、DNA
断片を適当な制限部位を用いて単一の方向にクローニングする。プラスミド、バ
クテリオファージ、ファージミド及びウイルスベクターを含む様々な複製可能な
DNAベクターを本発明の方法に用いることができることは当業者にとって明ら
かであろう。PCR等の方法によるDNA増幅を生きた細胞中のDNAの複製の
ための代替として使用できることも、明らかであろう。DNAライブラリーを創
出するための可変セグメントが、DNA断片、合成DNA又は増幅したDNAの
ベクターライブラリーを含む多数の供給源から提供されうることも、明確であろ
う。また、可変セグメントは、エラーしやすいPCR等を用いて、固定された鋳
型を用いる突然変異導入反応の結果として提供されうる。可変セグメントIRP
は、生きた生物のゲノムから直接に又はその生物のmRNAのcDNAコピーか
らDNAを構成させうることも、明確である。例えば、DNAライブラリーが単
鎖抗体断片を含有する場合、これらの断片は、免疫グロブリン可変領域をコード
するmRNAに由来し、生物内でB細胞により発現されうる。あるいは、前記断
片は、ゲノムの可変領域に由来することができる。そのような様式で、本発明は
、ヒト等の特定の生物由来の単鎖抗体ライブラリーの創出を提供する。
【0044】 また、本発明は、任意に抗開始セグメントを有する可変、スペーサー及び終結
セグメントを有するmRNA分子のライブラリーの組成物をも提供する。好まし
くは、本発明は、スペーサー及び終結セグメントをコードし、任意に抗開始発現
を有するmRNA分子のライブラリーを提供する。mRNA分子は、それぞれ、
翻訳開始コドンを含み、原核細胞のリボソームを用いる翻訳に対しては、リボソ
ーム結合部位はシャイン−ダルガーノ配列を含む。真核細胞のリボソームを用い
る翻訳に対しては、mRNAは、5’キャッピングヌクレオチドとともに合成さ
れてもよく、あるいは、これは、前もって合成されたmRNAに酵素により導入
されてもよい。翻訳開始部位から上流に、共通のコザックの翻訳開始配列及びあ
る種のウイルス由来の非翻訳リーダー配列を含むエンハンサー又はアクティベー
ター配列等の翻訳を促進する他の公知の配列をも含まれてもよい。翻訳過程の前
に又は最中に、1以上の結合部をmRNA分子の終結セグメントと会合するよう
にし、よって、翻訳を失速させるであろう。また、翻訳過程の最中に、1以上の
結合部をmRNA分子内又はmRNA分子にコードされる任意の抗開始セグメン
トに会合するようにし、よって、新規な翻訳の開始を防止してもよい。
【0045】 また、本発明は、任意に抗開始リーダー配列を有する可変及びスペーサーセグ
メントを有する翻訳されたポリペプチド分子のライブラリーの組成物をも提供す
る。これらのタンパク質分子は、結合部とmRNAとの相互作用を介してリボソ
ーム内に引き止められたさらに長いポリペプチドの一部として全長の可変セグメ
ントを提供する。ポリペプチドの5’末端 本発明は、リボソームとの作用に関し、よって、mRNA分子上のさらなる翻訳
を防止する。あるいは、5’末端は、5’末端の相補的配列への合成オリゴヌク
レオチドのアニーリングし、合成オリゴヌクレオチド中に取り込まれたビオチン
分子を介する等のその後の結合部のこのオリゴヌクレオチドへの結合等を介して
、間接的に結合部と会合するようになってもよい。
【0046】 本発明の方法の範疇において、様々な手段を用いて、特にRNAseによる分
解からmRNA分子の安定性を最適化することは、当業者にとって明らかであろ
う。例えば、Rnasin及びバナジルリボヌクレオシド複合体等のRNAse
の様々な阻害剤を転写反応に使用することができる。
【0047】 代替として又は追加として、様々な構造が、通常、転写のターミネーターによ
り提供されるもののような3’ステム−ループを含むmRNA分子に含まれうる
。また、転写及び翻訳反応は別々に行なわれるか又は特に原核細胞系を用いて、
共役したイン・ビトロ転写/翻訳反応に結合されるかのいずれかであることは、
当業者にとって明らかである。好ましくは、転写及び翻訳反応は、異なる最適試
薬を要求するであろうmRNA及びポリペプチドの産生を最適化するために別々
に行なう。
【0048】 本発明の方法の範疇で、様々な手段を用いてタンパク質分子の折り畳み及び特
にプロテアーゼによる分解からタンパク質分子の安定性を最適化することは、当
業者にとって明らかである。正しいタンパク質の折り畳みに関しては、例えば、
タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ等の分子シャペロンの使用を通じて、ジス
ルフィド結合の形成を最適化するための特別の手段で、最適の酸化的タンパク質
折り畳み条件を翻訳反応に使用する。安定性に関しては、大腸菌のペプチドタグ
付加システムは、ハーネス(Hanes) とプラックタン(Pluckthun) (同書)の方法
等の方法を用いて、ssrA RNAの阻害により機能停止されうる。一旦最終
のポリペプチド/リボソーム/mRNA複合体が形成されたなら、クロラムフェ
ニコール等の標準的な翻訳阻害剤を用いてこれらの複合体を安定化させることが
有益であるかもしれない。ポリペプチド鎖及び/又はmRNAとリボソームとの
追加の化学的、光化学的又は酵素的架橋も有益であるかもしれない。例えば、酵
素トランスグルタミナーゼは、発生中のポリペプチド鎖上に位置するC末端グル
タミンを使用して用い、遊離のアミノ基に架橋するための基質を提供してもよく
、好ましくは相補的合成オリゴヌクレオチドを使用してRNA分子の3末端に提
供する。代替例として、化学的に修飾したアミノ酸(セレニウムアミノ酸等)を
、チオール化ヌクレオチド等の化学的に修飾したRNAヌクレオチドとのその後
の反応にために、タンパク質鎖中に取り込む。
【0049】 一旦ポリペプチド/リボソーム/mRNA複合体が形成されたなら、次いで、
うまく結合した複合体を連続的に回収できるような様式で、標的リガンドへの結
合に関して、混合物をスクリーニングすることができる。これは、プラスチック
若しくはガラス表面又はラテックス若しくは磁気ビーズの表面等の固相上に固定
した標的リガンドへの結合により達成されうる。本発明の他の態様は、細胞及び
組織への結合並びにポリペプチド/リボソーム/mRNA複合体を形成するため
に使用したのと同じmRNAによりコードされるタンパク質分子を含有する溶液
中の他の分子への結合を含む。また、これは、その後に複合体の分離の基礎を提
供する別の反応又は一連の反応に影響を及ぼす標的リガンドの結合によっても達
成することができ、例えば、ここで、細胞の表面での標的リガンドへの結合は、
表面抗原の出現等のその細胞における変化を生じさせ、それにより、その細胞は
、結合したポリペプチド/リボソーム/mRNA複合体とともに集団内の他の細
胞から分離することができる。
【0050】 別法として、ポリペプチドを特定の酵素活性に関してスクリーニングすること
ができ、それにより、標的リガンドは、例えば、酵素に不可逆的に結合する酵素
基質であり、又は、ここで、基質は酵素により、ポリペプチド/リボソーム/m
RNA複合体に結合できるか又は酵素活性を含むポリペプチド/リボソーム/m
RNA複合体の全混合物から分離できるようにある種の他の変化を及ぼすことが
できる産物に変換される。
【0051】 標的リガンドへの非特異的結合を回避するために、様々なブロッキング剤を、
特にmRNAと標的との非特異的会合を回避するために、標的リガンドとのイン
キュベーションの際にポリペプチド/リボソーム/mRNA複合体に添加する。
血清アルブミン又はカゼイン等の様々な標準ブロッキング剤が有益であるが、非
特異的mRNA結合を特異的にブロックする好ましい方法は、合成オリゴヌクレ
オチド及び逆転写酵素を用いてポリペプチド/リボソーム/mRNA複合体の結
合の前にcDNAを生成させることである。標的リガンドへの結合後に、mRN
A:cDNAハイブリッド中のmRNAを分解するRNアーゼHを用いるmRN
Aのその後の酵素による破壊を可能にするが、この工程の使用は、酵素による分
解からのmRNAの保護をも提供する。
【0052】 一旦、ポリペプチド/リボソーム/mRNA複合体が標的リガンドへの結合に
より分離されたなら、その複合体を標準法により調製的に精製するか又はEDT
A等を用いて単にRNAを放出させるか又はcDNAへの逆転写の前に単に加熱
するかのいずれかが可能である。あるいは、mRNAを、ポリペプチド/リボソ
ーム/mRNA複合体の結合の前にcDNAにコピーし、次いで、前記したよう
にRNアーゼHで破壊することができる。次いで、PCR等の方法によるcDN
Aの増幅が行なわれる。次いで、増幅したDNAを、ライブラリーをさらに分割
するために再び転写及び翻訳するか又はサブライブラリーを作製するためのクロ
ーニングすることのいずれかができる。標的リガンドに結合するポリペプチドが
突然変異により進化する分子進化ストラテジーに関しては、突然変異導入は、エ
ラーしやすいPCR等を用いるcDNAの増幅の段階で影響されうるか又はポリ
ペプチドをコードするDNAセグメントの特異的領域に突然変異を導入する混合
オリゴヌクレオチド等を用いて、クローニングされたサブライブラリーを突然変
異導入に付すことにより影響されうるのいずれかである。必要ならば、転写/翻
訳用の最初のDNAライブラリー又はスクリーニング後のサブライブラリーを、
スクリーニングに付されたポリペプチドの混合物の複雑さを低下させるために、
スクリーニング用のプール又は個々のクローンに再分割することができる。DN
Aライブラリー由来の1以上のポリペプチドを最終的に同定した後、次いで、必
要ならばスペーサーセグメント又はいかなるその他のフランキングセグメントな
しに高レベルの所望タンパク質を製造するために、目的の特定のポリペプチドを
コードするDNAを発現ベクターにサブクローニングすることができる。
【0053】 本発明は、SCAs等の公知のポリペプチド型の改変体又は現存するタンパク
質よりも優れた生化学的若しくは生物学的活性を有する全体的に新規なタンパク
質の単離を含む様々な適用を有することは、当業者にとって明らかであろう。公
知のポリペプチド由来の領域と新規なポリペプチド配列の領域とのハイブリッド
として創出されたキメラタンパク質も、製造されるかもしれない。抗体等の複数
鎖ポリペプチド型に関しては、重鎖及び軽鎖可変領域の機能的又は新規な組合わ
せも製造されるかもしれない。
【0054】 生物学的スクリーニング−本発明の第3の態様において、DNAライブラリー
によりコードされポリペプチド提示を介して発現される生物学的表現型を直接選
択する新規な方法が提供される。前記方法は、提示されたポリペプチドの結合表
現型の前知識を要することなく、生物学的表現型と遺伝子型との直接な連結を提
供する。本発明のこの態様の1つの側面において、提示された生物学的に活性な
ポリペプチドの結合による生物学的応答の刺激(又は阻害)は、標的の生きた細
胞での変化を生じさせ、このことは変化した細胞の分離の基礎を提供する。次に
は、生物学的に活性なポリペプチドをコードする1又は複数の遺伝子が、変化し
た細胞の回収を介して次いで回収されうる。この態様の別の好ましい側面におい
て、提示された生物学的に活性なポリペプチドの結合による生物学的応答の刺激
(又は阻害)は、標的の生きた細胞からの分子(本明細書において「モジュレー
ター」と称する)の製造(又は製造の休止)を生じさせ、このことは、次には生
物学的に活性なポリペプチドをコードする遺伝子の回収に導く。本発明は、以下
のように、生物学的に活性なポリペプチドをコードする遺伝子の2つの広範な回
収方法を提供する。
【0055】 (1)「タグ付加」−この方法において、標的の生きた細胞により製造されたモ
ジュレーターは、提示されたタンパク質/ポリペプチドを含む複合体に結合し、
よって、その後の単離のためにこの複合体にタグを付加する。例えば、標的の生
きた細胞は、生物学的に活性なポリペプチドの結果として、そのポリペプチドを
コードするmRNAを含む生物学的に活性なポリペプチドを提示するリボソーム
複合体に結合するタンパク質又はタンパク質性複合体を生成するかもしれない。
モジュレーターと生物学的に活性なポリペプチドを提示する複合体との好ましい
結合は、例えば、標的細胞の表面で又は標的細胞内で、この複合体の標的の生き
た細胞への非常な接近の結果としてであろう。標的細胞によるモジュレーターの
製造後、次いで、提示されたポリペプチドを含むタグ付加複合体を、例えば、モ
ジュレーターに結合して生物学的に活性なポリペプチドを提示する複合体を生物
学的に活性なポリペプチドを欠く他の複合体から分離する抗体を用いることによ
り、単離することができる。これらの複合体を分離した後、生物学的に活性なポ
リペプチドをコードする遺伝子型を決定することができる。リボソーム提示にお
けるその適用に加えて、タグ付加法は、生きた微生物を用いるポリペプチド提示
法とともに用いることもできる。例えば、モジュレーターを用いて、その後のタ
グ付加ファージの単離及び生物学的に活性なポリペプチドをコードする遺伝子の
回収のためにバクテリオファージにタグを付加する。
【0056】 (2)「相補性」−この方法において、標的の生きた細胞により製造されたモジ
ュレーターは、生きた微生物のその後の生存力に必要である。例えば、標的の生
きた細胞は、生物学的に活性なポリペプチドの結果として、生物学的に活性なポ
リペプチドを提示する欠陥バクテリオファージの感染能を回復させるのに必要な
モジュレーターを製造し、それによりそれをコードする遺伝子を含む。次いで、
感染能の回復の際に、バクテリオファージを、生物学的に活性なポリペプチドを
コードする遺伝子を増幅するために、感染した宿主を通じて増殖することができ
る。モジュレーターと生物学的に活性なポリペプチドを提示するバクテリオファ
ージとの好ましい結合は、例えば、標的細胞の表面で又は標的細胞内で、この複
合体が標的の生きた細胞に非常に接近したことの結果としてであろう。バクテリ
オファージの増幅後、生物学的に活性なポリペプチドをコードする遺伝子型を決
定することができる。バクテリオファージ提示におけるその適用に加え、相補性
方法も、生きた細菌を用いるポリペプチド提示法とともに使用できるであろう。
例えば、モジュレーターは、適当な選択条件下で、標的の生きた細胞に非常に接
近した細菌の選択的生育を可能にし、よって、生物学的に活性なポリペプチドを
コードする遺伝子型の増幅を可能にする抗生物質、薬剤耐性酵素/因子又は必須
栄養素でありうる。
【0057】 タグ付加又は相補性方法のための標的の生きた細胞から放出されたモジュレー
ターが、例えば、誘導されたリポソームの溶解を介するリポソーム又は他の分子
区画からのこれらの放出により、間接的にタグ付加又は相補性部をも提供でき、
ここでモジュレーターはホスホリパーゼ又はある種のリポポリサッカリドに基づ
くリポソーム、ガラクトシダーゼ等であることは、当業者にとって明らかであろ
う。リポソーム又は他の分子区画から放出された可能なタグ付加部又は相補的部
の中では、核酸又は感染性微生物でありうる。放出された核酸は、アニーリング
により提示された生物学的に活性なポリペプチドを含むリボソーム複合体のmR
NA又はrRNA成分にタグを付加することができる合成オリゴヌクレオチドを
含有することができる。放出された感染性微生物は、生物学的に活性なポリペプ
チドを提示する細菌細胞に感染し、その細胞のその後の生存力、よって遺伝子型
の増幅につながる1以上の遺伝子を提供することができることができるバクテリ
オファージを含みうる。放出されたモジュレーターは、基質をタグ付加部又は相
補性部として作用する産物に変換する効果を有する酵素でもありうる。モジュレ
ーターが、そのような放出が生物学的に活性なポリペプチドによりブロックされ
うる標的細胞から構成的に放出されうることも当業者にとって明らかであろう。
また、生物学的に活性なポリペプチドによる結合の結果として、標的の生きた細
胞中の他の変化が、タグ付加又は相補性のいずれかに生じるということも自明で
ある。例えば、標的の生きた細胞中の生物学的な変化は、生物学的に活性なポリ
ペプチドを含む複合体又は微生物との相互作用のために放出されるモジュレータ
ーを含むリポソームを有するその細胞の融合に導くかもしれない。
【0058】 本発明のこの態様を実施するための最初の方法において、異なる遺伝子を含む
プラスミドのライブラリーを、転写及び次いで、哺乳動物細胞で生物学的効果を
試験するポリペプチド分子に翻訳する。具体的には、プラスミドライブラリーは
、RNAポリメラーゼのプロモーターの下流にクローニングされ、mRNA転写
物を生成し、次いでイン・ビトロで翻訳される遺伝子のライブラリーを含む。次
いで、そのRNAがまだ会合したままの翻訳されたポリペプチド混合物を、細胞
に投与して細胞の表現型の変化が測定される。次いで、所望の変化した表現型を
有する細胞を単離し、リボソーム/ポリペプチド複合体にまだ会合したままのm
RNA分子に特異的なプライマーを用いるPCRに付す。この様式において、所
望の細胞表現型効果を誘導するポリペプチドをコードする遺伝子を増幅し、配列
を決定し、遺伝子によりコードされるタンパク質のその後の再試験のために発現
ベクターに再クローニングするか転写ベクターに再クローニングすることができ
る。したがって、エラーしやすいPCRの使用等による突然変異導入ストラテジ
ーの使用を通じて、タンパク質は、最大の生物学的活性を有するポリペプチドを
生成させるために、必要な表現型の誘導のための連続回の試験を通じて進化され
うる。
【0059】 転写され、mRNAが翻訳されるプラスミドベクターの代替として、他の方法
を本発明の範囲内で使用し、決定可能な遺伝子型に連結したポリペプチドを製造
してもよく、そのような方法は、バクテリオファージ粒子の表面上でのタンパク
質の提示用のバクテリオファージベクター及びこのポリペプチドをコードするD
NAに結合することを試験されるポリペプチドを生じさせるDNA結合ポリペプ
チドに融合するポリペプチドをコードするプラスミドベクターを含む。
【0060】 決定可能な遺伝子型に連結したポリペプチドを製造し、本発明は、標的の生き
た細胞で生物学的な活性を誘導するための方法の範囲を提供し、それにより生物
学的な活性の遺伝子型を決定することができる。1つの単純な方法は、細胞表面
マーカーの出現又は消滅により生物学的な活性を検出することであり、そのマー
カーは、次いで、生物学的に活性な細胞を不活性な細胞から分離するための基礎
として使用することができる。通常、これは、細胞表面マーカーに結合する抗体
を用いて、次いで抗体結合細胞を未結合細胞から分離するための方法を用いて達
成されるであろう。そのような方法は、抗体への磁気ビーズの結合を介する(例
えば、ビーズ会合抗免疫グロブリンを用いて)か又は蛍光標示式細胞分取法(F
ACS)を介するものであり、それにより、抗体(又は二次抗体)を蛍光標識す
る。要求される生物学的な活性を有する細胞を単離し、次いで、対応する遺伝子
型を、試験ポリペプチドと会合した核酸のPCRによる増幅か又は分離した細胞
に結合したバクテリオファージの増殖により決定することができる。
【0061】 遺伝子型に対して生物学的な活性を連結する別の方法は、試験ポリペプチドを
その遺伝子型に連結する複合体に直接結合する1以上のタグ付加部を製造(又は
製造を中断する)ために、標的細胞を操作することである。例えば、細胞を操作
して、mRNA/リボソーム/ポリペプチド複合体と会合するmRNAに結合す
るRNA結合ポリペプチド(HIV tatタンパク質等)を製造する。そのよ
うなプロモーターの一例は、T細胞受容体の刺激等の結果として活性化されたI
L−2プロモーターである。このRNA結合ポリペプチドは、生物学的効果の一
部として活性化されたプロモーターに連結してもよく、生物学的効果の一部とし
て活性化された別のポリペプチドに関連した融合タンパク質として製造してもよ
い。細胞溶解又は試験ポリペプチドの生物学的に活性な細胞への結合の他の放出
後、次いで、mRNAを、タグ付加部に結合する抗体等を用いて単離することが
できる。また、細胞を操作して、損傷したファージにおける他のポリペプチドを
相補可能なバクテリオファージポリペプチドを製造し、よって、そのファージを
感染性にしてもよい。
【0062】 生物学的な活性が細胞表面マーカーの出現又は消滅により伴う場合において、
本発明の別の適用は、この表面マーカーをタグ付加部又は相補性部の放出又は創
出に関連付けることである。これは、例えば、様々なタグ付加部又は相補性部を
放出するためにホスホリパーゼC(又はある種のリポポリサッカリドを含むリポ
ソームに対してはβ−ガラクトシダーゼ)によるリポソームの酵素による溶解に
より、あるいは例えば、反応性ビオチン部を創出させるためにビオチニル−チラ
ミドの西洋ワサビペルオキシダーゼによる酵素による変換により、細胞表面マー
カーに結合しその後タグ付加部又は相補性部の放出を触媒する抗体−酵素コンジ
ュゲート等の使用により達成することができる。
【0063】 表面抗原に対する代替として、細胞内で製造された部分を選択の基礎として使
用することができることは、当業者により理解されるであろう、それにより、生
物学的応答の刺激(又は阻害)の後に細胞を浸透性にし、この部分を抗体等の結
合タンパク質により接近させるか、又はタグ付加部若しくは相補性部が最終的に
創出され次いでポリペプチド提示複合体に結合できるような方法で、酵素による
変換のために使用する。
【0064】 リガンド指向スクリーニング−本発明のこの態様は、表面受容体の付近で分子
を標識するために、細胞又は組織の表面に受容体を結合するリガンドを用いる方
法を提供する。特に、本発明は、細胞表面上のリガンドに付着した別の分子を案
内するためのリガンドを使用し、ここで、この他の分子は、次いで、標識反応を
行なうことができる。特に、この態様は、提示されたタンパク質をコードする対
応する遺伝子を単離することができるように、リガンドの付近で細胞/組織に前
もって結合した提示されたタンパク質の標識を提供する。以下の本明細書におい
て、受容体という用語は、リガンドが結合できるタンパク質性部分をいう。リガ
ンドという用語は、受容体に結合する通常はタンパク質の分子をいう。結合タン
パク質という用語は、DNAライブラリーによりコードされるタンパク質をいう
。タンパク質−複合体とは、結合タンパク質と核酸との複合体をいい、それによ
り、標的分子に結合する際に、結合タンパク質をコードする個々の遺伝子は結合
タンパク質が再生できるように回収することができる。標識とは、標識部により
放出され、かつ、標識−受容体を介してタンパク質−複合体と結合又は反応可能
な分子をいう。標識部とは、一般に、その後に標識の放出を触媒することが可能
な酵素をいう。標識−受容体とは、標識な結合するタンパク質−複合体上の部位
をいう。
【0065】 本発明のこの態様の好ましい特徴は、リガンドに隣接して直結したタンパク質
−複合体を標識する標識を提供するための標識部としてのリポソームの使用であ
り、それにより、リガンドは、リガンドの付近で包まれた内容物を放出させるリ
ポソームと会合するか又は会合するようになりうる。これは、本発明の方法にお
ける異なる標識の使用での多用途性を提供する。US5196306に記載の酵
素活性化系等の他の標識系も、本発明の方法の範疇で使用することができる。
【0066】 この態様の好ましい特徴は、それぞれがmRNA分子、1以上のリボソーム及
び1以上の翻訳されたタンパク質を含有するタンパク質−複合体の使用である。
そのような複合体において、1又は複数のタンパク質は、1又は複数の結合タン
パク質として作用し、それにより、うまく結合した際に、タンパク質−複合体を
回収することができ、mRNAは、cDNAへの変換、一般にはPCRを用いて
、及びその後の転写(合成DNAにより導入された転写プロモーターにより)又
は複製可能なベクターへのクローニングにより、通常複製される。この態様の別
の好ましい特徴は、タンパク質−複合体が派生されうる複製可能な核酸遺伝子ラ
イブラリーである。他のタンパク質のライブラリーは、外部アミノ酸及びタンパ
ク質構造/形の変化を有する保存された内部タンパク質枠組みをコードするライ
ブラリーをも特に使用することができるけれども、一般に、このライブラリー由
来の遺伝子は、抗体可変領域(一般に、単鎖Fv’s又はscFvsの型で)を
コードする。タンパク質−複合体を、標識されたタンパク質−複合体が未標識タ
ンパク質−複合体から優先的に単離できるような方法で、標識により標識できる
ことは、本発明の態様の必要条件である。
【0067】 好ましくは、本発明のこの態様において、細胞又は組織切片の表面で前もって
キャラクタライズされていない受容体に結合するタンパク質性リガンドが提供さ
れる。前記リガンドは、化学結合による細菌性ホスホリパーゼC(PLC)との
結合前に直接結合されるか又は通常PLCにコンジュゲート化した抗リガンド抗
体自体等との結合後に間接的に結合される。リガンドの細胞への結合後に、DN
Aライブラリーに由来するタンパク質−複合体を細胞/組織に添加してタンパク
質成分を細胞/組織に結合させ、過剰の非結合剤を洗浄により除去する。これは
、そのリガンドのキャラクタライズされていない受容体に実際に結合したものを
含む結合したリガンドに非常に近接したいくつかの複合体を含む表面に結合した
タンパク質−複合体の多重度のままに細胞又は組織を有効にしておく。次の工程
で、標識を包むリポソームの標品を添加する。リポソームと表面に結合したタン
パク質−複合体を有する細胞又は組織との接触の際に、脂質の頭部を分解してP
LCの接触点でリポソームを脱安定化させるPLCとの接触を通じてリポソーム
の溶解のみが起こるであろう。これは、リポソームからの標識の漏れとなる。
【0068】 標識がPLCの接触部位から拡散されうる間、適当な標識がPLCの付近のみ
の適当な標識受容体と効率的に反応することができることは、本発明の原理であ
る。そのような標識は、通常、アニーリングした合成オリゴヌクレオチドにより
mRNA成分上で、タンパク質−複合体と会合したビオチン分子と強固に結合可
能なストレプトアビジンである。代替標識は、適当なmRNA分子上のヘアピン
−ループ(TAR)に結合可能なHIV tatタンパク質又はそのペプチド断
片である。隣接するタンパク質−複合体と反応させ、過剰のリポソーム及び標識
を細胞/組織から洗浄除去し、標識されたタンパク質−複合体を回収する。回収
は、通常、固定化された標識又は標識誘導体(ビオチン等)又は標識に特異的に
結合する抗体(抗ビオチン、抗tat等)を用いて行なうことができる。タンパ
ク質−複合体の遺伝子成分は、EDTA等の添加によい優先的に除去さてmRN
A/リボソーム/タンパク質複合体を解離することもできるけれども、様々な手
段を用いて、タンパク質−複合体を解離させることなく、細胞/組織表面から標
識したタンパク質−複合体を除去することができる。次いで、回収された標識さ
れたタンパク質−複合体又はタンパク質−複合体の遺伝子成分は、核酸分子の数
を拡大させて適当な複製可能なベクターへのDNAのその後の再クローニングを
容易にするために、転写/翻訳を用いる場合は、遺伝子増幅に使用した合成DN
Aを介して導入したプロモーターによるその後の転写を可能にするために、核酸
増幅に付すことができる。したがって、リガンドに近接した細胞/組織に結合す
る1以上の結合タンパク質をコードする遺伝子は、それ故に、受容体の分子単離
及び恐らく細胞内部へのシグナル伝達において受容体により活性化される分子を
含むかもしれない受容体付近の分子の分子単離をもを容易にする豊富な結合タン
パク質源を提供するために単離することができる。
【0069】 受容体の分子単離を容易にすることに加えて、本発明のこの態様の方法により
単離された結合タンパク質は、それ自体、細胞/組織結合のその後のラウンドの
リガンドとして有効に使用することができ、それにより、最初の結合タンパク質
は、それ自体、1以上のPLC分子にコンジュゲート化又は付着化される。細胞
/組織への受容体部位でのこれらの結合タンパク質−PLCコンジュゲートの結
合後、次いで、遺伝子−由来タンパク質−複合体のライブラリーを細胞/組織へ
の結合のために添加する。適当なライブラリーから、これは、受容体自体の天然
のリガンド結合部位に及び受容体の付近の他のタンパク質にも両方に結合する結
合タンパク質を提供するだろう。PLC分子との接触の際のリポソームの添加と
溶解の際に、新規なタンパク質−複合体をその後の単離又は濃縮を可能にするス
トレプトアビジン又はtat等の標識で標識する。これらの標識された結合タン
パク質−複合体における結合タンパク質をコードする遺伝子の回復により、受容
体及び隣接する分子の単離のための多数の追加の道具が提供されるかもしれない
。しかしながら、より望ましいいくつかの場合において、1以上の新らしく標識
されたタンパク質−複合体が天然のリガンド結合部位に結合し、よって、天然の
リガンドの結合をブロックするか又は受容体の活性化において天然のリガンドと
置換するか又は天然のリガンドにより正常にアップ−レギュレーションされた活
性の受容体により誘導されたダウンレギュレーションを通じて受容体でアンタゴ
ニスト様の応答を誘導する新規の結合タンパク質を提供するだろう。いくつかの
場合において、個々の結合タンパク質は、医薬候補分子を提供するであろう。
【0070】 本発明のこの態様の方法は、その内のいくつかは標的受容体に結合するかもし
れない異なるタンパク質型をコードする遺伝子のコレクションを含有するDNA
ライブラリーを用いて通常行なわれるであろうことは、当業者により認識される
であろう。
【0071】 リガンド分子は、直接若しくは間接のいずれかで付着可能であり、標識部が標
識を放出してタンパク質−複合体に付着可能な天然のタンパク質性又は非タンパ
ク質性のいかなる分子でもありうるということは、当業者により認識されるであ
ろう。
【0072】 結合タンパク質は、いくつかの分子型に基づきうることは、当業者により認識
されるであろう。タンパク質型が通常抗体可変領域によりコードされる抗体であ
ろうが(通常、単鎖Fv’s又はscFvsの型で)、他のタンパク質は、特に
保存された内部タンパク質の枠組みを有するものも使用可能であり、それにより
、外部アミノ酸における変化及びタンパク質の構造/形は、異なるタンパク質分
子のライブラリーを創出するであろう。そのような非抗体タンパク質分子に採用
される形のいくつかは、比較的平らな結合面を有する他のタンパク質分子への結
合に適するが大きなタンパク質性リガンドを適応させるための凹状等の複雑な形
を有するタンパク質分子への結合にはあまり適さない抗体自体よりも、標的受容
体への結合により適合するかもしれない。
【0073】 タンパク質−複合体は複数の型の内の1つでありうるし、それにより、結合タ
ンパク質が直接又は間接のいずれかでそれをコードする核酸配列に連結するとい
うことは、当業者により認識されるであろう。好ましい態様において、タンパク
質−複合体は、すでに終結してリボソームよってmRNAとの会合から遊離する
ようになる翻訳されたタンパク質にとって好ましいように複合体の収量を最適化
するように設計された条件下で、mRNAの翻訳により形成されたmRNA/リ
ボソーム/タンパク質の複合体である。他の態様において、タンパク質−複合体
は、ファージ表面に結合タンパク質を提示する遺伝子ライブラリー由来のバクテ
リオファージ粒子を含有するであろう。
【0074】 あるいは、タンパク質−複合体は、細菌表面に結合タンパク質を提示する遺伝
子ライブラリー由来の細菌粒子を含有するであろう。他の態様は、lacIと結
合タンパク質との融合物を含有するlacI融合タンパク質を含むであろう、そ
れにより、lacは、結合タンパク質をコードするプラスミド並びにバキュロウ
イルス及びレトロウイルスを含む他のウイルスタンパク質提示系上のlacオペ
レーターに結合する。
【0075】 標識は、標識を放出する標識部の付近でタンパク質−複合体中の他のタンパク
質性分子又は核酸分子に結合可能な多くの分子の内の1つでありうることは、当
業者により認識されるであろう。また、対応する標識受容体は、標識に適合する
いくつかの分子の内の1つでありうることも、当業者により認識されるであろう
。適する標識(及び標識受容体)は、ストレプトアビジン(ビオチン)、tat
(mRNA上のTARヘアピンループ)、シグナル認識粒子(SRP)(タンパ
ク質の真核細胞リーダー配列)、抗体(抗原)、RNA結合分子(mRNA)、
特異的タンパク質結合分子(タンパク質の結合配列)、F線毛(バクテリオファ
ージF受容体)及びニッケル(タンパク質上のヒスチジン「タグ」)を含むであ
ろう。
【0076】 標識部は、通常、標識の放出を生じさせる酵素であろうことは、当業者により
認識されるだろう。そのような標識部は、PLC(リポソーム、赤血球又は他の
細胞の溶解用)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(ビオチン化チラミド用)及び細
菌酵素β−ガラクトシダーゼ(グリコリポソームの溶解用)を含むであろう。
【0077】 他のリポソームの溶解機構は、酵素溶解に対する代替として本発明の範囲内で
用いられうることは、当業者により認識されるであろう。例えば、受容体へのリ
ガンド結合をまだ可能にするような様式で、脂質尾部でリガンドをリポソーム膜
にカプセル化することによる等の直接的に、又は表面抗体で飽和させたリポソー
ム若しくはリポソームをリガンドに標的化させる他の結合タンパク質を用いるこ
とによる等の間接的にのいずれかでリポソーム全体をリガンドに付着することは
、可能であるかもしれない。そのような環境下では、リポソーム溶解は、界面活
性剤による溶解又は加熱又はリポソーム溶解を達成させる他のいかなる方法によ
り単純に達成されうるであろう。
【0078】 本発明の方法を用いて、タンパク質−複合体を標識することよりもむしろ受容
体の付近で受容体及び他の分子を直接標識することができることは、当業者によ
り認識されるであろう。例えば、ストレプトアビジンを含むPLCをコンジュゲ
ートしたリガンド及びリポソームを用いて、ビオチン−NHSエステル等を用い
て細胞/組織全体を化学的にビオチン化することができ、次いで、PLC−リガ
ンド及びその後のリポソーム溶解を、受容体を含むリガンドの付近で特異的にス
トレプトアビジン分子を置くであろう、よって、それはストレプトアビジンで標
識されるようになり、固定化されたビオチン等を用いる分子分離の基礎を提供す
るであろう。
【0079】 タンパク質−タンパク質相互作用 −本発明のこの態様は、遺伝子の単離の基
礎としてタンパク質/ポリペプチドとリガンドの両方に分子タグを提供すること
により、リガンドに結合する提示されたタンパク質又はポリペプチドをコードす
る遺伝子の単離方法を提供する。前記方法は、特に、リガンド自体が提示された
タンパク質/ポリペプチドである遺伝子の単離を含む。本発明のこの態様は、ポ
リペプチドのリガンド(又は他のポリペプチド)への結合に基づいており、それ
により、ポリペプチド及びリガンド上の分子タグを未結合のポリペプチド及びリ
ガンドから結合したポリペプチド−リガンドの分子分離の基礎として使用するこ
とができ、それにより、ポリペプチドはその遺伝子(又は遺伝子転写物)と会合
したままである。リガンドに結合するポリペプチドの選択に関して、特に好まし
い方法は、ポリペプチドとそのリガンドの両方に分子タグを提供することであり
、それにより、方法は、次いで、両方の分子タグを含む複合体の単離に適用され
る。例えば、リポソーム提示の技術を用いて、mRNAをRNA結合タンパク質
(HIV tatタンパク質等)でタグ付加してもよいが、リガンド(ポリペプ
チドの場合)は、抗タグ抗体及びニッケルを含有するアフィニティーマトリック
スでのmRNA−リポソーム−ポリペプチド複合体のライブラリーの連続的な継
代がポリペプチドの会合したmRNAへの結合を選択するように、ポリヒスチジ
ンテールでタグ付加されてもよく、次いで、これは、結合したポリペプチドをコ
ードする遺伝子配列を提供することができる。あるいは、リポソーム提示を用い
て、例えば、ポリヒスチジンテールでポリペプチドのみをタグ付加し、ニッケル
キレート等のアフィニティーマトリックスを通過させてもよく、会合したいかな
るRNAも、PCRによるcDNAコピーへの変換により単純に入手してもよい
。2以上の結合ポリペプチドの選択に関して、特に好ましい方法は、1以上のD
NAライブラリー由来の結合ポリペプチド候補の生成のためにジ(又はポリ)シ
ストロニックmRNAを使用するリポソーム提示の技術を用いることである。ポ
リペプチドの内の一方に対するシストロンが、翻訳されたポリペプチドを翻訳後
にmRNAから解離するように構築され、他方のポリペプチドに対するシストロ
ンが、翻訳されたポリペプチドが翻訳後もmRNAと会合したままであるように
構築される場合、そのときは、2つのポリペプチドの翻訳の並置は、適用可能な
らばこの並置により会合が容易になるようなものであり、よって、結合ポリペプ
チド(単数又は複数)及びmRNAを含む複合体の分離のための分子的基礎を提
供し、後者は、次いで、結合ポリペプチド(単数又は複数)をコードする遺伝子
の同一性のために使用されうる。
【0080】 本発明のこの態様の別の側面は、2つのポリペプチドの結合に基づいており、
その内の1つ又は両方は、対応する遺伝子と会合し、他のポリペプチド鎖と融合
(又は会合)し、並置された場合に選択可能な特性を生じ、次いで、結合ポリペ
プチド(1又は複数)に対する遺伝子(1又は複数)をコードする生きた微生物
の単離を可能にする。この態様の範囲内では、2つのポリペプチドの会合による
酵素活性の生成が特に興味深い。そのように生成された酵素活性は、様々な選択
方法に使用することができる。これらは、うまく対合したポリペプチドと、会合
した遺伝子(又はmRNA)との複合体に付着する分子タグを生成する酵素活性
を含む。微生物でのポリペプチド提示に関して、これらは、リガンドに結合する
DNAライブラリーに由来するポリペプチドを提示する微生物の選択に導く微生
物の付近で分子を生成(又は放出)する酵素活性をも含む。この態様の範囲内で
は、2つのポリペプチドの会合による結合タンパク質活性の生成が特に興味深く
、それにより、結合タンパク質は、結合タンパク質(1又は複数)をコードする
遺伝子の同定の基礎として使用することができる選択可能な特性を間接的に生じ
させる。例えば、結合タンパク質は、抗生物質耐性タンパク質又は栄養素生成タ
ンパク質等の微生物に対して有利な選択を提供する遺伝子を活性化する転写活性
因子等のDNA結合タンパク質でありうる。
【0081】 微生物に提示された結合ポリペプチドに対する本発明の適用に関して、ポリペ
プチドとリガンドとの会合が、結合ポリペプチドを提示する微生物の選択又は分
離の基礎を提供する新しい分子(1又は複数)を生成させうる両方の場合におい
て、本発明は、リガンド(又は第2のポリペプチド)を外部から微生物に添加す
る方法又はリガンドが微生物中で内部から合成される方法を提供する。本発明は
、ともに会合した場合に酵素活性を再構成する酵素の2つ(以上)のサブユニッ
トの組合せを通じた酵素活性の相補性に基づくことができる。次いで、酵素活性
の再構成は、酵素活性を提供する微生物の正又は負の選択のいずれかを提供する
であろう。本発明のこの態様の1例において、微生物又は細胞で発現可能な改変
体ポリペプチドをコードするDNAライブラリーが提供され、それにより、結合
ポリペプチドをコードする遺伝子が酵素の酵素的に不活性な断片をコードする遺
伝子の一部に融合し、それにより、酵素のこの部分は、酵素活性を再構成するた
めに酵素の別の部分を相補することができる。適する酵素は、大腸菌β−ガラク
トシダーゼ及びシー.ペルフリンゲンス(C. perfringens) ホスホリパーゼCを
含む。酵素の他の部分は、イン・ビトロ選択用の微生物培養培地中に提供される
か又はイン・ビボ選択用の同一の微生物内でこの部分をコードする遺伝子の発現
により提供されるかのいずれかである。大腸菌β−ガラクトシダーゼ及びシー.
ペルフリンゲンス(C. perfringens) ホスホリパーゼC等の酵素は、酵素の不活
性サブユニットが溶液中で自己会合して酵素活性を再構成することができるとい
う特性を有し、よって、本発明は、不活性な酵素断片をコードする遺伝子に融合
された結合ポリペプチドがそのリガンドに結合して、結合を促進(リガンドが他
の不活性サブユニットに融合する場合)又は抑制(立体障害を通じてポリペプチ
ド−リガンド結合が不活性な酵素サブユニットにより酵素活性の再構成を抑制す
る場合)のいずれかをすることができる。酵素活性の回復又は廃止は、ポリペプ
チド/酵素サブユニット遺伝子融合物を発現する微生物に有益な又は有害な効果
を有するかもしれない。これは、非毒性基質の毒性基質への変換を生じさせる等
、再構成された酵素の直接的な酵素作用によるものか又は、毒物若しくは微生物
の成長/増殖用の必須の栄養素/因子を含む外部からのリポソームの溶解を生じ
させる等、再構成された酵素の間接的な酵素作用によるものかのいずれかであろ
う。
【0082】 本発明のこの態様の別の側面は、非タンパク質又は一定のタンパク質部分を有
するポリペプチドの結合に基づいており、それにより、ポリペプチド又は非タン
パク質又は一定のタンパク質部分上の分子タグは、未結合のポリペプチド及び非
タンパク質又は一定のタンパク質部分から非タンパク質又は一定のタンパク質部
分と相互作用するポリペプチドの単離の基礎として使用することができ、それに
よりポリペプチドは、その遺伝子(又は遺伝子転写物)といまだ会合したままで
ある。非タンパク質部分は、核酸(DNA若しくはRNA)又は化学品(合成若
しくは天然)等の主として非アミノ酸成分からなる分子として定義してもよい。
一定のタンパク質部分は、例えば、全血清免疫グロブリン標品等のその同一性が
公知であるタンパク質であろう。それにより、血清免疫グロブリンは、一定のポ
リペプチドの相互作用するであろう。ポリペプチドとその遺伝子転写物との会合
は、ポリペプチドがリポソーム/mRNA複合体に付着したままである発生中の
タンパク質の一部であり、mRNA自体が非タンパク質又は一定のタンパク質部
分をコンジュゲートした(又は連結した)RNA結合タンパク質(HIV ta
tタンパク質等)オリゴヌクレオチドでタグ付加されてもよく、あるいはmRN
Aが非タンパク質又は一定のタンパク質部分をコンジュゲートした(又は連結し
た)ハイブリダイズする合成オリゴヌクレオチドでタグ付加されてもよいリポソ
ーム提示の技術を用いて達成されるであろう。タンパク質と非タンパク質又は一
定のタンパク質との並置は、非タンパク質部分をmRNA分子にハイブリダイズ
する合成オリゴヌクレオチドに付着させることにより達成することができる。あ
るいは、非タンパク質又は一定のタンパク質部分は、ポリヒスチジン等でタグ付
加されてもよいが、ポリペプチド部分は、mRNA−リボソーム−ポリペプチド
及び非タンパク質又は一定のタンパク質部分の複合体のライブラリーを抗タグ抗
体及びニッケルを含有するアフィニティーマトリックスを通した連続的な継代が
会合したmRNAを有する結合ポリペプチドを選択するように、前記したように
mRNAに連結される。例えば、非タンパク質部分はDNA及び結合したポリペ
プチドDNA結合タンパク質でありうるし、別の例において、一定のタンパク質
部分は、リンホカイン及び結合したポリペプチドリンホカイン受容体又はその領
域であってもよい。
【0083】 非タンパク質又は一定のタンパク質部分のハイブリダイズするオリゴヌクレオ
チド又はmRNA結合タンパク質への付着は、一般にオーサリバン(Osullivan)
ら(Anal. Biochem. 100 (1979), 108)に記載されたもの等の架橋ポリペプチドの
いかなる慣用の方法でも達成されうる。そのような架橋は、一定のタンパク質又
はmRNA結合タンパク質に、特異的アミノ酸、特に遊離のシステイン残基又は
遊離のリジン残基を導入することにより容易になるであろう。あるいは、一定の
タンパク質部分の付着は、ビオチンをハイブリダイズするオリゴヌクレオチド又
はmRNA結合タンパク質と非タンパク質又は一定のタンパク質部分との両方に
取り込んだ後(ランガー(Langer)ら, PNAS 78, (1981), 6633 により記載された
ように)、アビジンを添加してオリゴヌクレオチド又はmRNA結合タンパク質
を非タンパク質又は一定のタンパク質部分に架橋することにより達成されてもよ
い。
【0084】 本発明のこの態様の別の側面は、一定の生化学的経路のアゴニスト及びアンタ
ゴニストのスクリーニングを提供し、それにより、前記経路の成分を含有する個
々のタンパク質を、失速されたリボソームを介してポリシストロニックmRNA
に付着したままである全長のポリペプチドとして連続的に発現するであろう。例
えば、リボソーム提示の技術を用いて、生物学的経路を含有するタンパク質を適
当なベクターに連続的にクローニングして提示させることができるであろう。密
接な物理的近接により促進されたポリペプチド間の相互作用は、その経路での最
終のポリペプチドでの検出可能な変化を生じるであろう。例えば、ポリペプチド
の連続的な会合は、末端のリン酸化又は構造変化等の他の事象を生じさせるリン
酸化カスケードを生じるであろう。活性化及び非活性化の両状態での最終ポリペ
プチドのリン酸化又は構造の検出のための特に好ましい方法は、抗体を用いるこ
とであろう。前記経路のアンタゴニストの選択に関して、特に好ましい方法は、
生化学的経路におけるタンパク質の提示に対する連続的に並置されたポリシスト
ロニックmRNAを用いるリボソーム提示の技術を使用することである。次いで
、提示されたタンパク質を候補分子でスクリーニングし、それにより、候補分子
は、例えば、1以上のDNAライブラリーに由来するリボソーム提示されたポリ
ペプチドであってもよく、経路タンパク質の活性の阻害を測定する。
【0085】 以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるが、本発明の範疇を限定
するものと見なすべきではない。
【0086】 実施例1 合成タンパク質ライブラリーの新たな作成と組織による修飾 出発点は、クローンテック・ユーケー社(Clontech UK Ltd) (バサインストー
ク(Basingstoke) 、英国)から購入した「マラソン−レディー」ヒトクローンc
DNAから、cDNAライブラリーを調製することであった。アドバンテージc
DNAキットを用いて、供給者(クローンテック社)の推奨条件にて、プライマ
ーAP1[5'ccatcctaatacgactcactatagggc] とプライマーAP2[5'-ttctagaatt
cagcggccgc(t)30nn]を用いてのPCRによってこのライブラリーを増幅した。得
られたPCR産物を、マーチュック(Marchuck)ら(マーチュック ディー(March
uck D.) ら、1991, Nucl. Acids Res. 19:1154)の方法で調製した、SmaIで
直線化したpUC19中に、T/Aクローニング手法を用いてクローニングした
。一方、モレキュラークローニング、アラボラトリーマニュアル、サンブロック
ジェー、フリッツ イーエフ、マニアティス ティー編、コールドスプリング
ハーバーラボラトリープレス(Molecular Cloning, A Laboratory Manual eds. S
ambrook J, Fritsch EF, Maniatis T. Cold Spring Harbor Laboratory Press)
、1989、ニューヨーク、アメリカ合衆国に記載の標準的な方法を用いて組織から
直接的にヒトクローンmRNAを単離し、このものからヒトクローンcDNAラ
イブラリーを構築した。(前掲のモレキュラークローニング)RNアーゼH法を
用いてこのmRNAをcDNAに変換し、T7RNAポリメラーゼのプロモータ
ーを具備するpGEMT7GEMT7/SP6プラスミド(プロメガ社、サザン
プトン(Promega, Southampton)、英国)のSmaIサイトに再びクローニングし
た。ハーネスとプルクサン(Hanes and Pluckthun) 、Proc. Natl. Acad. Sci. 9
4(1997),p4937 に記載のように、長鎖の合成オリゴヌクレオチドとPCRを適用
して、上流側に細菌のリボソーム結合部位、下流側にM13ファージ遺伝子III
由来のスペーサー及び大腸菌lppターミネーター由来の3’転写ターミネータ
ーを提供した。
【0087】 RiboMAXTMキット(プロメガ社、サザンプトン、英国)を用いて、メー
カーの説明書に従って、pT7プラスミドのインビトロ転写を実施した。得られ
たmRNAを、メーカーの手順に従って精製した。35Sメチオニン含有物が備わ
った大腸菌S30エキストラクトシステム(Extract System)(プロメガ社、サザ
ンプトン、英国)を用いて、メーカーの説明書に従って、pT7プラスミドのイ
ンビトロ翻訳を実施した。(前掲の)ハーネスとプルクサンによって記載された
ように、EDTA処理を行ってタンパク質からリボソームを解離させ、(100,00
0gで30分間の)遠心分離によってリボソームを除去した。
【0088】 冷RIPA緩衝液(RIPA緩衝液=50mMのトリス−塩酸、pH7.4、
1%(v/v) のNP−40、0.25%のデオキシコール酸ナトリウム、150m
MのNaCl、1mMのEGTA、1mMのPMSF、1mMのNa3 VO4
1mMのNaF及びそれぞれ1μg/mlのアプロチニン、ロイペプチン及びペ
プスタチン)中で組織を破壊することによって、正常の結腸サンプルと結腸ガン
のサンプルから粗タンパク質抽出物を調製した。いくつかの実験では、ホスファ
ターゼ活性を示した抽出成分もあり、本ケースでは、1mMのNa3 VO4 を含
まないRIPA緩衝液を用いて溶解物を得た。組織サンプルを氷上で溶かし、滅
菌処理済みの使い捨て組織用粉砕機(「ペレットペストル(pellet pestle) 」ア
ナケム社(Anachem Ltd) 、ルートン、英国)を用いて破壊した。ホモゲナイズは
、1容量の組織に対して2容量の氷冷RIPA緩衝液を用いて実施した。この溶
解物を氷上で15分間ゆっくりとかきまぜながらインキュベートし、次いで、4
℃、13,000×gで10分間の遠心分離によって不溶性の成分の清澄化を行った。
上清を取り除き、供給者(ピアース社、チェスター、英国、カタログ番号232
25)が提供した手順に従って、ビシンコニン酸法(bicinhoninic acid method)
を用いてタンパク質濃度を測定した。この溶解物を等量ずつ複数に分割し、ドラ
イアイス上で瞬間的に凍結させ、液体チッ素中で保存した。
【0089】 1mg/mlのバナジル(vanadyl) リボヌクレオシド複合体と10単位のRN
アシンとの存在下で、溶かした溶解物を37℃で30分間インキュベートするこ
とによって、正常の結腸溶解物と結腸ガン溶解物をインビトロ翻訳化タンパク質
と反応させた。次いで、このタンパク質混合物をカッシュ(Cash)ら(Electrophor
esis 18 (1997)、p2580)のプロトコールに従って可溶化した。溶解性タンパク質
を次いで二次元PAGE(カッシュら、前掲)で分析し、オートラジオグラフィ
ーでタンパク質を検出した(パットン(Patton)ら、BioTechniques 8 (1990)、p5
18)。画像解析システムに結合したビデオカメラを用いてゲルの画像を取り込み
、次いで、さらなる分析のためにフォレティックス−2D(Phoretix-2D) に転送
した。メーカーの説明書に従って、フォレティックス−2Dを用いて分析を行っ
た。
【0090】 正常のものと結腸ガンの抽出物とを比較した場合、インビトロ翻訳化タンパク
質混合物から検出された全2262のタンパク質スポットのうちの12スポット
が異なる移動度を示していた。
【0091】 実施例2 合成タンパク質のリン酸化 ポリヒスチジンタグを含みそのタンパク質のアミノ末端が融合されている精製
組み換えラットERK−2を、ストラタジーン社(Stratagene)、ラジョラ(La Jo
lla)、アメリカ合衆国(カタログ番号20612)から購入した。この産物は、
タンパク質の非活性体であり、リン酸化部位を含まない。0.5μgの非活性化
ERK−2を、(2mg/mlの全タンパク質を含む)5μlのA431細胞溶
解物と(アップステートバイオテクノロジーズ社(Upstate Biotechnologies) 、
レークプラシッド、ニューヨーク州、アメリカ合衆国、カタログ番号12−11
0)又は組織培養中に生育した細胞からここで代替的に生産したものと反応させ
た。細胞溶解物又は組織用怪物と標的タンパク質とを反応させる手法は、コンデ
ィショニングリアクション(Conditioning Reaction) として言及している。
【0092】 500μlの氷冷RIPA緩衝液中に、約5×106 個のサブコンフルエント
な(sub-confluent) 細胞を懸濁することによって細胞溶解物を得た。氷冷PBS
を用いて、培地の洗浄を前もって行っておいた細胞を、氷上のRIPA緩衝液中
で15分間緩やかに振とうしてインキュベートした。4℃、13,000×gで10分
間遠心分離することにより、この溶解物の不溶物の清澄化を行った。上清を除去
し、供給者(ピアース社、チェスター、英国、カタログ番号23225)が提供
した手順に従って、ビシンコニン酸法を用いてタンパク質濃度を測定した。この
溶解物を等量ずつ複数に分割し、ドライアイス上で瞬間的に凍結させ、コンディ
ションリアクションで用いる前に液体チッ素中で保存した。組織サンプル及び他
の細胞型由来の溶解物を同様に処理した。
【0093】 37℃で15分間にてコンディションリアクションを実施し、次いで氷上に置
いた。磁力による分類(試験管1)又はマイクロタイタープレートウェルへの結
合(試験管2)のいずれかを用い、両者の場合のいずれも捕捉試薬として抗ヒス
チジン抗体を用いて、リン酸化ERK−2を検出するために反応物を2本の試験
管に(容量で)等量に分割した。
【0094】 試験管1では、供給者が推奨する被覆条件を用いて抗ヒスチジン抗体(シグマ
社、プール、英国、カタログ番号1029)で前もって被覆したマグネチックビ
ーズ(ダイナル社(Dynal) 、ウィラール(Wirral)、英国、カタログ番号110.
11)を用いてERK−2を捕らえた。4℃で1時間の間を通してビーズが懸濁
し続けるようなゆるやかな混合を一定的に行って捕捉反応を実施した。捕捉した
後、磁性粒子濃縮器を用いてこのビーズを集め、PBSで十分に洗浄した。ビー
ズを最終的に40μlの容量で再懸濁し、10μlずつの等量をマイクロタイタ
ープレートウェルに入れ、そして、個々のものを、抗リン酸化ERK抗体(アッ
プステートバイオテクノロジーズ社、カタログ番号05−481)、抗ホスホチ
ロシン−HRP複合モノクローナルカクテル(ザイメド社(Zymed) 、ケンブリッ
ジ、英国、番号136620)、抗ホスホセリン/ホスホトレオニン/ホスホチ
ロシンポリクローナル調製物(ザイメド社、カタログ番号90−0200)又は
ネガティブコントールとしての、ヒト免疫グロブリン軽鎖特異的抗HRP複合物
(バインディングサイト社(The Binding Site)、バーミンガム、英国、カタログ
番号APO015)のいずれかの希釈物と反応させた。それぞれの二次試薬/発
色基質で検出する前に、抗体を4℃で1時間インキュベートした。プレートを4
50nmで読んだ。
【0095】 前もって抗ヒスチジン抗体(シグマ社、プール、英国、カタログ番号H102
9)で一番被覆し、室温下PBS/5%(w/v) BSA溶液で40分間インキュベ
ートして予備ブロックしておいたマイクロタイタープレートウェルを用いて、試
験管2のERK−2を捕捉した。PBSを用いてコンディションリアクションを
希釈して総容量100μlとし、マイクロタイタープレートに添加した。捕捉反
応は室温下、1時間で行った。上記のネガティブコントロール試薬を含む抗体の
パネルを用いて、直接ELISA形式でリン酸化ERK−2を検出した。
【0096】 上記の両検出法を利用して、次の、A431細胞由来の溶解物とのインキュベ
ーションによってリン酸化ERK−2の存在を明確に示した。
【0097】 実施例3 ストレプトアビジン被覆化プレート上でのアレイング(arraying)のための、イン
ビトロ翻訳化cDNAクローンの調製方法。 ヒト胎児全脳cDNAライブラリーをストラタジーンクローニングシステム社
(Stratagene Cloning System) 、(ラジョラ、アメリカ合衆国)から得た。 供給されたそのライブラリーを、ラムダベクターUni−ZAP XRに、平均
挿入サイズが1.3kbpで一方向クローニングした。このライブラリーは2×
106 pfuを含んでいると算出され、約2.4×1010pfu/mlの力価を
与えた。原版のラムダUni−ZAP XRライブラリーを、次の単一ラウンド
の複製に付した。この1×の増幅物についての(以下の)マスエクシジョン反応
を実行することにより、生育できる大腸菌の個々のクローンであって、次に続く
ラムダファージの感染の細胞溶解性プラークとしてではないクローンの濃度にま
で実施されるプレーティング、産物の複製及び原版のストックの貯蔵等の操作を
可能とする(ジェルセス、ビー(Jerseth, B.) ら(1992)、Strategies 5:81-83)
。標準的な手法(モレキュラークローニング、アラボラトリーマニュアル、サン
ブロック ジェー、フリッツ イーエフ、マニアティス ティー編、コールドス
プリングハーバーラボラトリープレス、1989、ニューヨーク、アメリカ合衆国)
にて、残りのライブラリーをさらにもう一回増幅し、原版のストックと同じよう
に、複数のグリセリンストックを−80℃で保存した。
【0098】 マスエクシジョン反応のためと、供給者(ストラタジーン社、ラジョラ、アメ
リカ合衆国)によるプロトコールに従った、細菌コロニーとしてプレーティング
を行うために、このライブラリーを調製した。概略を言えば、ライブラリーから
供給された細菌株(XL−1 Blue及びSOLR’)を選択培地(それぞれ
LBテトラサイクリン及びLBカナマイシン)上に広げ、そして0.2%(w/v)
のマルトースと10mMのMgSO4 を追加した50mlのLBブロス(10g
/リットルのNaCl、10g/リットルのトリプトン、5g/リットルのイー
ストエキストラクト、pH7.0)中に30℃で一晩培養するために、単一のコ
ロニーを選び出した。遠心分離により細胞を集め、10mMのMgSO4 中に、
8×108 細胞/mlの濃度(OD600 =1.0)で再懸濁した。XL−1 B
lue細胞には、ラムダファージ:細胞が1:10の感染多重度にて、ラムダU
ni−ZAP XRライブラリーの一部が結合されていた。ヘルパーファージ株
ExAssistを基礎としたM13(ストラタジーン社、ラジョラ、アメリカ
合衆国)を、ヘルパーファージ:細胞が10:1の割合で添加し、この混合物を
37℃で15分間インキュベートした。20mlのLBブロスを添加し、この混
合物を37℃でさらに3時間、振とうしながらインキュベートした。この混合物
を70℃で20分間加熱し、遠心分離により細胞部分を集めた。削り取られたフ
ァージミドを含有する上清を集め、200μlのSOLR’細胞に対して1μl
添加した。この混合物をLBアンピシリンプレート上に広げ、37℃で一晩イン
キュベートした。典型的な例として、各プレートには多くの1000のコロニー
が生じ、削り取られたファージミドのさらなる希釈物には、コロニーを選び出す
ための好ましいプレーティング密度を得ることを必要とした。
【0099】 格子形成の実行を可能とするためには、ライブラリーの発現が維持できる程度
にまで個々のcDNAクローンの総数を減らすことである。この標準化は、次の
ソアレス(Soares)ら(ソアレス,エム.ビー.ら、1994、Proc. Natl. Acad. Sc
i USA vol 91:922-923)の手法により達成される。この手法には、ファージミド
ライブラリーのヘルパーファージ感染による単鎖分子の生産が必要であった。こ
の単鎖環は、制御されたプライマー伸張処理に付され、次いで、極めて多様な分
子が再会合する(低C0 t)という条件下で変性と再アニーリングが行われ、そ
してヒドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィーによって混合物から除去で
きた。再会合しない環は流出液から回収し、コンピテント細菌に直接形質転換し
た。
【0100】 ヘルパーファージVCM13と、供給者(ストラタジーン社)によるプロトコ
ールを用いて、ファージミドライブラリー上で単鎖の回収を行った。回収された
単鎖DNAをソアレスら(前掲のソアレス)の方法にしたがって精製し、特定の
工程に組み込むことにより混入した二本鎖DNAを減らした。制御されたプライ
マー伸張は、ソアレスらの条件を用いて、5'ggaaacagctatgaccatg のプライマー
を用いて単鎖環状DNAの精製を行っている。DNAポリメラーゼはベーリンガ
ー社から得、ヌクレオチドトリホスファターゼはライフテクノロジーズ社(Life
Technologies) (ペーズリー、英国)から得た。トレーサとしての32PdCTP
は、アマシャムインターナショナル社(Amersham International)(アマシャム(A
mersham)、英国)から得た。ヒドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィーは
、ソアレスらに記載の60℃にて実施した。標準化された単鎖環の回収の後、精
製DNAをコンピテントXL1−blue大腸菌細胞に直接的に形質転換し、既
に述べたようにして、LB−アンピシリンプレート上に広げた。
【0101】 標準化されたライブラリーからのXL1−blue細胞の個々のクローンを、
さらなる分析と複製の生産のために選び出した。概略は、100μlLBアンピ
シリン培地を含む96穴プレートへ、コロニーを手動で選び出し、37℃で3時
間培養した。各プレートの一つの複製を実施するために、BioRobot9600 (キアゲ
ンユーケーリミテッド(Qiagen UL Ltd) 、クローレイ(Crawley) 、英国)ラボラ
トリーワークステーションを使用した。10%(v/v) グリセリンを含む培地に培
養物の50μlをピペットで入れるようにこのロボットをプログラムし、このプ
レートを密封して原版と同じく−80℃で貯蔵した。残りの50μlの培養物を
、1.8mlのLB−アンピシリン培地を含む、2ml容の正方形ウェルを具備
する96穴平底ブロックに植菌した。各ブロックの頂部に微孔のあるシート上テ
ープを貼り、37℃にて一晩、そのブロックを軌道を描くように振とうしてイン
キュベートした。インキュベートの後、BioRobot9600 (キアゲンユーケーリミテ
ッド、クローレイ、英国)上で標準プログラムと、供給者 (キアゲンユーケーリ
ミテッド、クローレイ、英国)が提供したキューアイエーウルトラリージェント
システム(QIAwell Ultra reagent system)とを用いて、96ウェルのそれぞれか
らファージミドDNAを調製した。
【0102】 T3RNAポリメラーゼ及びプロメガユーケーリミテッド(サザンプトン、英
国)が提供するウサギ網状赤血球溶解物システムを用いて、リンクしたインビト
ロ転写翻訳(IVTT)のための精製DNAの一部を鋳型として直接使用した。
残りのDNAは密封して−20℃で保存した。IVTT反応混合物には、ストレ
プトアビジンで被覆された固相上でインビトロ翻訳化タンパク質を捕捉できるよ
うに、2%(v/v) のtRNA−ビオチニル−リジン(プロメガユーケーリミテッ
ド、サザンプトン、英国)を追加した。IVTT反応を、総容量25μlの96
ウェルアレイにて、30℃で60分間実施した。インキュベートの後、予めReac
ti-Bind TMストレプトアビジンで被覆した予備ブロック済のプレート(ピアース
社、チェスター、英国)に添加していたpH8.0、100μlのTSB(50
mMのトリス、138mMのNaCl、2.7mlのKCl)に、それぞれ5μ
lの反応物を加えた。残りのIVTT反応プレートを密閉し、−20℃で保存し
た。、スミゾノ及びタザキ(Nishiguchi, M., Yoshida, K., Sumizono, T. and T
azaki, T.)(1997)。ロビニア シュードアカシア由来樹皮レクチンの糖結合特性
についての、部位特異的突然変異誘発法による研究。FEBS Letters, 403, 294-2
98。Reacti-Bind TMストレプトアビジンプレートを室温で60分間、緩やかに振
とうさせながらインキュベートし、ビオチン化IVTT産物のプレート表面への
結合を促進した。組織タンパク質結合アッセイに使用する前に、このプレートを
3×200μlの洗浄緩衝液(TBS、0.1%(w/v) のBSA、0.05%(v
/v) のツィーン20)で洗浄した。
【0103】 実施例4 インビトロ翻訳タンパク質アレイの組織抽出物の修飾の実現方法と、アレイ化タ
ンパク質のリン酸化の検出 ニューロリソース社(NeuroResouce)(ロンドン、英国)からヒト脳組織サンプ
ルを得た。正常の脳とアルツハイマー病の脳の適合したサンプルが提供された。
一般的に、各サンプルの1〜10gが提供され、全ての症例のサンプルについて
、解剖学的に準じた位置が知られており、全ての臨床的な詳細事項について相互
に参照付けられていた。全てのサンプルはサンプリングの時点で瞬間的に凍結さ
れ、ドライアイスの上で輸送され、処理前まで液体チッ素中で保存されていた。
カテゴリー2の封じ込めレベル下で処理を実施した。
【0104】 組織を氷冷RIPA緩衝液中で破壊することにより、脳組織リン酸化成分抽出
物を得た。いくつかの実験では、ホスファターゼ活性のための抽出成分は次のよ
うにしても得た:この場合、1mMのNa3 VO4 を抜いたRIPA緩衝液を用
いて溶解物を得た。組織サンプルは氷上で溶解させ、滅菌処理済みの使い捨て組
織用粉砕機(「ペレットペストル」アナケム社、ルートン、英国)を用いて破壊
した。ホモゲナイズは、1容量の組織に対して2容量の氷冷RIPA緩衝液を用
いて実施した。この溶解物を氷上で15分間ゆっくりと振とうしながらインキュ
ベートし、次いで、4℃、13,000×gで10分間の遠心分離によって不溶性の成
分の清澄化を行った。供給者(ピアース社、チェスター、英国、カタログ番号2
3225)が提供した手順に従って、ビシンコニン酸法を用いてタンパク質濃度
を測定した。この溶解物を等量ずつ複数に分割し、ドライアイス上で瞬間的に凍
結させ、液体チッ素中で保存した。
【0105】 溶かした溶解物と、37℃で30分間洗浄したアレイとのインキュベートによ
り、96穴に区切った中で、脳組織溶解物をIVTTタンパク質アレイと反応さ
せた。一般的に、10μlの溶解物をタンパク質アレイの各ウェルに添加した。
インキュベートの後、1ウェル当たり200μlの洗浄緩衝液を用いてそのプレ
ートを3回洗浄し、いくつかの、希釈された抗リン酸化タンパク質抗体調製物の
すべてとインキュベートした。抗ホスホチロシン−HRP複合モノクローナルカ
クテル(ザイメド社、ケンブリッジ、英国、番号136620)を用いてリン酸
化タンパク質を検出した。抗ホスホセリン/抗ホスホトレオニン/ホスホチロシ
ンのポリクローナル調製物(ザイメド社、ケンブリッジ、英国、番号90−02
000)を用いてホスホセリン/ホスホトレオニン修飾を検出した。全てのケー
スにおいて、5%BSAを含むTBSで希釈した抗体を用いて、少なくとも37
℃で1時間、あるケースでは4℃で一晩の間抗体のインキュベートを実施した。
次の標準プロトコール(アンティボディーズ アラボラトリー マニュアル、
ハーロウ,イー.及びレイン,ディー編(Antibodies A Laboratory Manual eds.
Harlow, E. and Lane, D.) 、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス
、1988、ニューヨーク、アメリカ合衆国)に従って、それぞれの二次試薬/発色
基質で検出する前に、前もってプレートを洗っておいた。492nmでプレート
を読んだ。
【0106】 実施例5
インビトロ翻訳化タンパク質アレイ上での、ラベルされた組織を用いてのタンパ
ク質−タンパク質結合の検出方法 シグマ社(プール、英国)から供給されるFluroTagTMFITCコンジュゲーション
システムを用いて、脳組織溶解物のタンパク質をフルオレセインで標識化した。
典型的な例として、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)の0.1M
の炭酸−重炭酸緩衝液の溶液の1mg/ml希釈液の250μlと、5mgの脳
タンパク質を反応させた。G−25セファデックスカラムクロマトグラフィーを
用いて組み込まれていないFITCを精製する前に、標識化反応を室温で2時間
的続けた。カラムや操作はFluroTagTMキット(シグマ社、プール、英国)中にあ
った通りとした。標識化された脳タンパク質を含むカラム溶出物を、遮光下4℃
で保存した。
【0107】 標識化組織溶解物を、既述のように、IVTTタンパク質アレイと反応させた
。IVTTタンパク質アレイの一部に捕捉された標識化脳タンパク質を検出する
ために、プレートを前もって洗っておき、そして抗フルオレセイン抗体(シグマ
社番号F−5636、シグマ社、プール、英国)と共にインキュベートした。5
%のBSAを含むTBSにて1/2500に抗体を希釈し、室温で30〜60分
間インキュベートした。抗マウスHRP複合体を用いて抗体を検出し、次いで、
標準的な手法(前掲のアンティボディーズ アラボラトリー マニュアル)に従
って発色基質のo−フェニレンジアミン(シグマ社、プール、英国)と反応させ
た。492nmでプレートを読んだ。
【0108】 実施例6 リボソーム提示ライブラリーによって同定されるタンパク質−タンパク質結合パ
ートナー この実施例では、インビトロタンパク質アレイは結合パートナーのためのリボ
ソーム提示ライブラリーを検索するために用いられ、ライブラリーに存在する結
合パートナーのための遺伝子は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)
によって同定される。本実施例でのこの目的のために、リボソーム提示ライブラ
リーは実施例1に記載されているように必須であり、実際のところ、スクリーニ
ングのためにIVTTタンパク質アレイを使用する時点では、リボソーム提示ラ
イブラリーは、起源が同じmRNA分子への連鎖によって、それぞれが個々に発
生期のタンパク質につながるリボソームの大集団(109 〜1012)からなって
いる。
【0109】 氷冷希釈緩衝液(50mMのトリス酢酸、pH7.5、150mMの塩化ナト
リウム、50mMの酢酸マグネシウム、0.1%のツィーン20、200単位/
mlのRNアシン(プロメガユーケーリミテッド、サザンプトン、英国))5中
にライブラリーを1で希釈した。希釈ライブラリーの50μlを、IVTTタン
パク質アレイの各ウェルに添加し、4℃でゆるやかに振とうさせながら1時間イ
ンキュベートした。インキュベートの後、アレイのウェルを100μlの氷冷希
釈緩衝液で5回洗浄した。mRNA/リボソーム/タンパク質複合体に結合する
あらゆるものからのmRNAを、50mMのトリス酢酸、pH7.5、150m
Mの塩化ナトリウム、20mMのEDTAの20μlを加えて溶出し、氷上で1
0分間緩やかに振とうさせながらインキュベートした。溶出されたmRNAを第
二の96穴プレートに集め、グリコーゲン担体(ベーリンガー社、ルイス、英国
)の20gの存在下でエタノールを用いて−20℃で一晩かけて沈殿させること
によって濃縮した(前掲のモレキュラークローニング、アラボラトリーマニュア
ル)。得られたmRNAをM−MLV逆転写酵素(RT)による逆転写の鋳型と
して使用し、プライマーRD3[5'(T)18nn] の1nMの存在下でmRNAを70
℃、10分間で熱変性させた。200単位のM−MLV−RTと反応緩衝液(ラ
イフテクノロジーズ社、ペーズリー、英国)の添加の前に、氷上でこの混合物を
冷却した。この混合物を37℃で60分間インキュベートし、次いで、70℃で
15分間に移してRTを不活性化した。これに続くDNA:RNAハイブリッド
を、プライマーT75L[5'cggtttccctctagaaata] とRD3を用いて、PCRの
鋳型として用い、95℃で30秒間、50℃で30秒間、72℃で30秒間のサ
イクルを40回行った。耐熱性DNAポリメラーゼ(ExpandTM、ハイフィデリテ
ィ(High Fidelity) )、反応緩衝液及びヌクレオチド三リン酸は、ベーリンガー
社(べーリンガー社、ルイス、英国)から得た。PCR産物をアガロースゲル電
気泳動によって解析した(前掲のモレキュラークローニング、アラボラトリーマ
ニュアル)。PCR産物の存在により、IVTTタンパク質アレイにおける推定
される正の結合パートナーが同定された。タンパク質アレイが翻訳され、ファー
ジミドDNAが配列解析のために同定された。ポリソーム提示ライブラリーから
のPCR産物の配列解析は、プライマーT75Lを用いて直接なされた。供給者
(アマシャムインターナショナル社、アマシャム、英国)からのプロトコールに
従ったダイターミネーター現象を用いて配列解析を行った。自動化された配列解
析システム(アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems)、ウォリント
ン、英国)を用いて反応物の分析を行った。
【0110】 実施例7 表面をストレプトアビジンで被覆したガラス上でのインビトロ翻訳化タンパク質
ライブラリーのマイクロアレイ 表面をストレプトアビジンで被覆したガラス上に、ロボットに個々のIVTT
タンパク質で格子を作らせることによって、IVTTタンパク質アレイの縮小型
を作成した。一方の表面にストレプトアビジンが共有結合的に付着したガラス「
チップ」は、ラディアス社(Radius Inc)(メドフィールド(Medfield)、マサチュ
ーセッツ州、アメリカ合衆国)から購入した。ガラスチップは55mm×25m
mであった。グリッディングロボット(gridding robot)(ラディアス社、メドフ
ィールド、マサチューセッツ州、アメリカ合衆国)を使って、96IVTT反応
のそれぞれの0.5μlを、8×12の低密度アレイにてチップの乾燥面に添加
した。さらなる実験では、グラスチップ1枚あたり192の個々のタンパク質で
ある倍密度アレイが作られた。以下に続く実験では、多量のスクリーニング処理
量に適した超高密度のアレイを組み立てた。格子を作らせた後、チップの表面を
リン酸緩衝化塩水溶液(PBS)で洗浄し、3%(w/v) のBSAと0.02%の
アジ化ナトリウムを含むPBS中で4℃にてスライドガラスを保存した。
【0111】 IVTTタンパク質チップアレイを組織溶解物で処理し、脳組織溶解物のイン
キュベートの前に、実施例2で得られた抗リン酸化タンパク質抗体で広範囲に綿
密に調べた。タンパク質チップアレイをトリス緩衝化塩水溶液(TBS)で浸漬
法にて広範囲に洗浄した。15μlの脳組織溶解物を直接タンパク質アレイを包
む領域上の表面に添加する前に、残りの洗浄溶液をスライドガラスから振り落と
した。アレイの領域全体に溶解物を広げるのを助けたり、次に続くインキュベー
トの間に毛細管効果の停止による明らかな溶液の不足を抑制するために組織溶解
物溶液上にカバーガラスを置いた。加湿容器中にガラスチップを置き、37℃で
30分間のインキュベートを行った。インキュベートの後、カバーガラスを取り
除き、スライドガラスを洗浄緩衝液を用いて浸漬法にて洗浄した。実施例2のよ
うに希釈した抗リン酸化タンパク質抗体の一つかそれを組み合わせたもので、ガ
ラスチップをインキュベートした。タンパク質アレイに抗体溶液を少量(10〜
20μl)添加し、既述のようにカバーガラスの下の同じ場所で保持した。スラ
イドガラス上で得られた不溶性の沈殿の発色基質を使用して、結合した抗体の検
出を行った。典型的な例としては、基質DAB(ジアミノベンジジン テトラヒ
ロクロライド)(シグマ社、プール、英国)を用いた。低拡大率下での目視試験
により低密度アレイでの陽性シグナルを同定した。いくつかの実験のために、強
化化学ルミネセンス基質(ピアースアンドワリナー社(Pierce and Warriner Ltd
) 、チェスター、英国)を、一次又は二次抗体を結合させたペルオキシダーゼと
組み合わせて用いた。モレキュラーイメージャー(Molecular Imager)FX(バイ
オラッドラボラトリーズ社(BioRad Laboratories Ltd) 、ハートフォードシア(H
erts) 、英国)ホスホルイメージャーシステム(phosphor imager system)を用い
て陽性シグナルを検出した。
【0112】 FITC標識化脳タンパク質を使用し、実施例5であまねく記載したように、
IVTTタンパク質ガラスチップアレイ上でタンパク質−タンパク質結合アッセ
イを行った。10〜20μlのFITC標識化脳タンパク質調製物を、洗浄済み
のIVTTタンパク質アレイの表面に直接添加した。標識化組織溶解物溶液の上
にカバーガラスを置き、そして、37℃で30分間、加湿容器中で、この完成し
たスライドガラスをインキュベートした。
【0113】 いくつかの実験においては、FITC標識化タンパク質の結合したものを、蛍
光顕微鏡で直接検出した。顕微鏡観察のために、一滴の抗消失マウンタント(ant
ifade mountant) (ベクターラボズ(Vector Labs) 、ピーターバラ、英国)と油
浸蛍光顕微鏡観察のための常用のカバーガラスとでタンパク質アレイを覆った。
顕微鏡は、蛍光顕微鏡観察のためのFITC互換性フィルターセットを備えたニ
コン105型であった。蛍光照明下での顕微鏡のステージからのX−Y軸の3桁
の示数を参照して、陽性シグナルを与えるタンパク質スポットの位置を解読した
。ロボットによる格子形成の前に各ガラス表面に描いたインデックススポットの
試験の後で、これらの示数はタンパク質アレイの座標と関連性を示す。タンパク
質アレイに対応するその位置についてのX−Y示数を与える通常の照明下で、こ
のインデックススポットを同定した。
【0114】 結合した標識化タンパク質の間接検出を用いていくつかの実験を行った。この
ために、抗FITCモノクローナル抗体を用い、次いで抗マウスペルオキシダー
ゼ複合体とレポーター基質としてのDABを使用しての比色分析検出を行った。
この例においては、試薬はシグマ社(プール、英国)から得、希釈抗体を少量(
10〜20μl)用いて、直接ガラス表面に添加し、既述のようにカバーグラス
下で保持してインキュベートした。通常の照明下、低拡大率にてアレイの目視に
よる試験により、陽性シグナルを同定した。また、さらなる実験でも、強化化学
ルミネセンス基質(ピアースアンドワリナー社、チェスター、英国)と既述のホ
スホルイメージャーシステムを使用しての画像化を用いた。
【0115】 実施例8 組織抽出物との反応のための、固相アレイ上に固定化された単鎖抗体ライブラリ
ーの生産方法。 実施例4で調製された正常ヒト脳抽出物を用いて、2匹のBalbC マウスを免疫
した。投与の間としては4週間の間隔を空けて、腹膜内への2回の投与を行った
。2回目の接種後から3〜4日目にマウスを殺し、切開して脾臓を取り出した。
25cm2 の組織培養フラスコを、炭酸/重炭酸緩衝液、pH9.0の1mlあ
たり25μgの脳抽出物タンパク質で覆った。1時間で37℃のインキュベート
の後、抗原調製物を取り除き、滅菌済みブロッキング緩衝液(2%脱脂粉乳を含
むPBS)を加えて1時間インキュベートした。PBSで3回洗浄した後、組織
培養培地中の脾臓細胞懸濁液の25mlをそのフラスコに添加し、5%CO2
囲気中で37℃で一晩インキュベートした。非付着性脾臓細胞を含む培地を除去
した。次いで、QuickPrep TMmRNA精製キット(ファルマシア社、セントオー
ルバンズ、英国)の抽出緩衝液の1.5mlをフラスコに添加して表面を攪拌す
ることによって、付着した選択細胞からのRNAの調製を開始した。次いで、3
mlの溶出緩衝液を添加して混合した。次いで、このフラスコの内容物を15m
lの遠心分離に移して、メーカーの説明書に従ってQuickPrep TMmRNA精製を
続けた。
【0116】 ファルマシアリコンビナントファージアンチボディーシステム(ファルマシア
社、ミルトンキーンズ、英国)を用いて、抗ヒト脳マウス単鎖Fvs(ScFv
)のライブラリーを作成した。M−MuLV逆転写酵素とランダムの6塩基プラ
イマーを用いて、mRNAから単鎖cDNAを新たに作成した。次いで、抗体の
可変ドメインに隣接する保存配列に相補的な特定の重鎖と軽鎖プライマーを用い
て、抗体の重鎖遺伝子と軽鎖遺伝子を増幅した。重鎖DNAと軽鎖DNAのそれ
ぞれに対応して新たに作成された340塩基対生産物及び325塩基対生産物を
、次のアガロースゲル電気泳動で別々に精製した。次いで、DNAリンカー−プ
ライマー混合物を用いて、これらを一つのScFv構築物となるように組み立て
て、(Gly4Ser)3 ペプチドがVL領域に結合したVH領域を得た。それ
ぞれ5’末端と3’末端の位置にSfiIサイトとNotIサイトが挿入される
ように設計されたプライマーを用いて、組み立てられたScFvを増幅し、80
0塩基対の生成物を得た。この断片を精製し、SfiIとNotIとで連続的に
消化して再精製した。
【0117】 インビトロ転写され翻訳されたScFvライブラリーの生産のために、ベクタ
ーpBluescript SK+ の多重クローニングサイト領域中のHindIII サイトとE
coRIサイトの間に、リンカーを挿入するという修飾を施した。 リンカー配列:
【0118】
【外1】
【0119】 T7プロモーターからの転写が正しい方向となるように挿入されるように、こ
のベクターのSfiIサイトとNotIサイトの間に増幅されたScFvをクロ
ーニングした。一方、ヒトネイティブファージ抗体ライブラリー(ニッシン(Nis
sin)、MRC)を使用した。ファージミドDNAを調製し、SfiIとNotI
とで連続的に切断した。ScFv断片を精製し、上記の修飾されたpBluescript
SK+ ベクター中にクローニングした。
【0120】 固相アレイとして使用するために、個々のpBluescript クローンを取り出し、
実施例3のマルチウェルディッシュ中で培養した。DNAの調製、IVTT及び
ビオチン化タンパク質のアレイは実施例3に記載の通りとした。
【0121】 ファージ抗体ライブラリーとして使用するために、ファルマシア社のプロトコ
ールに従った。それぞれ5’末端と3’末端の位置にSfiIサイトとNotI
サイトが挿入されるように設計されたプライマーで、組み立てられたScFvを
増幅し、800塩基対の産物を得た。この断片を精製し、SfiIとNotIと
で連続的に消化し、再精製して、SfiIとNotIとで切断したpCANTAB 5 フ
ァージミドベクター中に結合した。pCANTAB 5 はファージ遺伝子3タンパク質(
g3p)をコードする遺伝子を含み、そしてg3p融合タンパク質として発現さ
れるように、g3シグナル配列に隣接したところにScFvを挿入する。pCanta
b 5/ScFvファージミドを用いて、大腸菌TG1の内容物の形質転換を行い、次に
、M13KO7ヘルパーファージを用いて連続的に感染させた。得られた組み換えファ
ージはScFv遺伝子をコードする遺伝子を含んでおり、末端の位置の融合タン
パク質としての組み換え抗体の一以上のコピーを提示した。
【0122】 次いで、ヒト脳抗原に結合するファージに提示されるScFvをパニング(pan
ning) により選択又は濃くした。概略は、96穴マイクロタイタープレートのウ
ェル上で脳抗原調製物が被覆された。2%の脱脂粉乳を含むPBSでブロッキン
グをした後、ファージ調製物を添加して1時間インキュベートした。PBSで十
分に洗浄した後、組み換えファージに反応性を示す脳抗原を含むウェルを、西洋
ワサビペルオキシダーゼ結合抗M13抗体を用いて検出し、o−フェニレンジア
ミン発色性基質で示された。
【0123】 実施例9 標識化組織タンパク質により格子を形成され、処理されたIVTT提示ライブラ
リー 単鎖抗体IVTT提示ライブラリーをインビトロにて翻訳し、実施例3に記載
のように、ストレプトアビジン表面に整列させた。単鎖抗体アレイは、実施例5
に調製されたFITC標識化タンパク質と反応した。反応の手順とタンパク質の
検出:タンパク質の結合は実施例5の通りとした。異なる組織タンパク質を用い
て処理した複製IVTTアレイからの陽性シグナルのパターンを比較した。アレ
イの特定の位置における個々のタンパク質を同定するために、cDNAライブラ
リーの原版のプレートから対応する単鎖抗体遺伝子を回収した。次いで、対象の
単鎖抗体遺伝子を、より規模の大きいIVTTに再び付し、そして、実施例6に
記載のIVTTタンパク質ライブラリーからの結合パターンの検索と同定のため
か、又は実施例1に記載の天然組織タンパク質の(二次元ゲルによる)検索と同
定のために使用した。
【0124】 実施例10 リボソーム提示を形成するためのDNAチップの使用 cDNAをIVTTベクターにクローニングするために使用するプライマーの
一つが、チップ上のDNA分子にアニーリングされるように設計され転写された
配列の中に種々の配列の広がりを伴った混合プライマーであること以外は、実施
例1の記載に本質的に従って、DNAチップ上で連続的な固定化を行うためのポ
リソーム提示ライブラリーを形成するためにライブラリーを形成した。一方、転
写された配列及びクローニングされた合成オリゴヌクレオチドの混合物の中で、
提示ライブラリーからのプラスミドプールがただ一つの制限酵素によって消化さ
れた。よって、生産されたmRNA分子のそれぞれがただ一つの配列タグ、これ
は少なくとも15ヌクレオチド、好ましくは約20ヌクレオチドである、を含む
ように、このライブラリーは構築された。
【0125】 単鎖抗体(scAbs)遺伝子の修飾されたものの一対を用いて、DNAチッ
プタンパク質アレイ法を試験するための実験を行った。二つの修飾されたscA
bsは、N末端エピトープタグ、重鎖可変領域(VH)、14アミノ酸リンカー
(EGKSSGSGSESKVD)、軽鎖可変領域(VL)を含んで調製され、
ヒトκ定常領域のcDNAに融合したものであった。ヒトκ定常領域配列、これ
はポリヒスチジンタグを3’末端に含む、は修飾を受けて停止コドンが削除され
ていた。ヒトκ定常領域はスペーサーとして機能するものが含まれ、インビトロ
翻訳システムにおいてリボソーム複合体になお付着している場合であっても、生
成期の単鎖Fvを正しくフォールディングさせる。
【0126】 これらの構築物はベクターpET 5c(ローゼンベルグ(Rosenberg AH)ら、
Gene, 56:125-135. 1987)にクローニングされ、これはT7プロモーターと、そ
れに次くT7の遺伝子10からリボソーム結合サイトを提供した。エピトープタ
グと、次のT7の遺伝子10最初のAtgとをコードする配列となるように、s
cAb構築物はベクターのNdeIの位置に挿入された。シュードモナス・アエ
ルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)に対するscAbからなる構築物(モリー
(Molloy P.) ら、Journal of applied Bacteriology, 78:359-365, 1995 )であ
って、FLAGエピトープ(MDYKDDDK)(ナピックとプルックサム(Kna
ppik A and Pluckthum A) 、Bio Techiques, 17:754-761, 1994 )を持つ最初の
ものをN末端に加えた。第二のものは、抗体340(デュラント(Durrant LG)ら
、Prenatal Diagnosis, 14:131-140, 1994)のN末端にポリヒスチジンタグが付
いたものから構築されたscAbからなっていた。
【0127】 これらのプラスミドは次の誘導タンパク質の親の役割をした。抗シュードモナ
ス・アエルギノーサ(α−Ps)とその340scAbは次のようにして構築し
た。それぞれ5’FLAGエピトープ配列を導入し、3’停止コドンを除去する
プライマーRD5’FLAG:5'gcggatcccatatggactacaaagacgatgacgacaaacagg
tgcagctgcag3' (ゲノシスバイオテクノロジーズユーラポ社(Genosys Biotechno
logies Europe Ltd)、ケンブリッジ、英国)及びRD3’:5'gcgaattcgtggtggt
ggtggtggtgtgactctcc3' (ゲノシス社)を用いて、ベクターpPM1His(前
掲のモリーら)中のα−PsscAbDNAを増幅した。反応混合物は、0.1
μgの鋳型DNA、2.6単位のExpandTMハイフィデリティPCR酵素混合物(
ベーリンガーマンハイム社、ルイス、英国)、エキスパンドHF緩衝液(ベーリ
ンガーマンハイム社)、1.5mMのMgCl2 、200μMのデオキシヌクレ
オチド三リン酸(dNTPs)(ライフテクノロジーズ社、ペーズリー、英国)
及び25ピコモルの各プライマーを含んでいた。サイクルは、96℃で5分間、
次いで〔95℃で1分間、50℃で1分間、72℃で1分間〕を5回、〔95℃
で45秒間、50℃で1分間、72℃で1分30秒間〕を8回、〔95℃で45
秒間、50℃で1分間、72℃で2分間〕を5回、最後に72℃で5分間という
ものであった。得られた1123塩基対生成物をBamHIII とEcoRIとで
切断し、ベクターpUC19(ベーリンガーマンハイム社)中にクローニングし
た。[33P] ジデオキシヌクレオチドを用いたサーモシーケナーゼラジオラベルド
ターミネーターサイクルシーケンシングキット(Thermo Sequenase radiolabeled
terminator cycle sequencing kit) (アマシャムライフサイエンス社(Amersha
m Life Science) 、アマシャム、英国)を使用してこのDNA配列を確認した。
この構築物を、NdeIからEcoRIへの断片(モレキュラークローニング、
アラボラトリーマニュアル、サンブロック ジェー、フリッツ イーエフ、マニ
アティス ティー編、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス、1989、
ニューヨーク、アメリカ合衆国を参照すること)としてpET5cベクター(プ
ロメガユーケー社、サザンプトン、英国)中にクローニングした。Wizard(登録
商標)プラスエスブイミニプレップスディーエヌエーピューリフィケーションシ
ステム(Plus SV Minipreps DNA purifications System)(プロメガユーケー社)
を使用して、又はより大規模のキアゲンプラスミドミディキット(Qiagen Plasmi
d Midi Kit) (キアゲン社、クローレイ、英国)を使用してプラスミドDNAを
調製した。新しく作成されたこの新規プラスミドを、pET5c FLAG−α
Ps scAbと名付けた。
【0128】 ppM1HisのαPsVHとVKの代わりに抗体340のVHとVKを置換
することによって、340scAbを生産した。プライマー5'cagctgcaggagtctg
ggggaggcttag3'(ゲノシス社)や5'tcagtagacggtgaccgaggttccttgaccccagta3'(
ゲノシス社)を用いて340VHを増幅した。反応混合物は、0.1μgの鋳型
DNA、2.6単位のExpandTMハイフィデリティPCR酵素混合物、エキスパン
ドHF緩衝液、1.5mMのMgCl2 、200μMのdNTPs及び25ピコ
モルの各プライマーを含んでいた。サイクルは、96℃で5分間、次いで〔95
℃で1分間、50℃で1分間、72℃で1分間〕を5回、〔95℃で45秒間、
50℃で1分間、72℃で1分30秒間〕を8回、〔95℃で45秒間、50℃
で1分間、72℃で2分間〕を5回、最後に72℃で5分間というものであった
。得られた357塩基対生成物をPstIとBstEIIとで切断し、PstIと
BstEIIとで切断したpPM1His(前掲のモレキュラークローニング、ア
ラボラトリーマニュアル)中にクローニングした。同様に、プライマー5'gtgaca
ttgagctcacacagtctcct3'や5'cagcccgttttatctcgagcttggtccg3'(ゲノシス社)を
用いて340VKを増幅した。339塩基対生成物をSstIとXhoIとで切
断し、SstIとXhoIとで切断した、修飾されたpPM1His(上記で生
産されたもの)中にクローニングした。[33P] ジデオキシヌクレオチド(アマシ
ャム)を用いたサーモシーケナーゼラジオラベルドターミネーターサイクルシー
ケンシングキットを使用してこのDNA配列を確認した。それぞれ5’末端にヒ
スチジン6残基を導入し、3’停止コドンを除去するプライマーRD5’HIS
:5'gcggatcccatatgcaccatcatcaccatcaccaggtgcagctgcag3' (ゲノシス社)及び
(上記の)RD3’を用いてベクターpPM1His中の340scAbのDN
Aを増幅した。試薬と増幅条件は、α−Ps構築物のそれと全く同じであった。
得られた1114塩基対の産物を、BamHIとEcoRIとで切断し、ベクタ
ーpUC19にクローニングした(前掲のモレキュラークローニング、アラボラ
トリーマニュアルを参照すること)。このDNA配列を前記のようにして確認し
、この構築物をNdeIからEcoRIへの断片としてベクターpET5cにク
ローニングして、プラスミドpEt5c HIS 340 scAbを新たに作
成した。
【0129】 核酸「捕捉ドメイン」配列を含有させるためにモデル遺伝子を修飾した。使用
した合成オリゴヌクレオチドは次の通りであった。
【0130】
【外2】
【0131】 捕捉ドメイン配列は、SFFVフレンド赤白血病ウイルス由来であり、哺乳動物c
DNAデータベースには相補的配列がないことが以前より知られている(タビチ
アン(Tavitian)ら(1998)、Nature Medicine 4:467-471 )。捕捉ドメインは上記
のモデル遺伝子の5’UTR配列中に挿入されているか、又は該遺伝子の3’領
域に融合されている。構築物はそれぞれCAP5変異体又はCAP3変異体と名
付けられた。CAP5ドメイン及びCAP3ドメインの挿入は、利用可能なモデ
ル遺伝子のそれぞれに万能となるように設定されたプライマーを用いてのPCR
により実施された。CAP5の挿入のために、プライマーCAP5インナーとR
D3とを用い、次いで、プライマーCAP5アウターとRD3を用いる第二のP
CRという二連続のPCRを実施した。得られた産物を精製し、インビトロ転写
反応に直接使用した。同じ計画にてCAP3ドメインの挿入を続けたものの、プ
ライマーCAP3インナーはプライマーT7ループと共に最初のPCRにて使用
し、次いで、第二のPCRにてプライマーCAP3アウターとT7ループを使用
した。精製産物はインビトロ転写反応に直接使用した。T7ポリメラーゼとRibo
MAX システム(プロメガ社、サザンプトン、英国)を使用し、供給者の推奨する
条件にて転写反応を実施した。
【0132】 マイクロタイタープレートの表面に共有結合させた合成オリゴヌクレオチドに
RNAをハイブリダイズさせた。捕捉オリゴヌクレオチドはRNA内の捕捉ドメ
インと相補的な配列であった。いくつかの実験において、捕捉オリゴヌクレオチ
ドは5’アミノ−リンカー部位を介して付着しており、他の実験においては、付
着はその分子の3’末端を介したものであった。オリゴヌクレオチドが付着した
マイクロタイタープレートは、ゲノシスバイオテクノロジーズユーラポ社(ケン
ブリッジ、英国)と契約して提供を受けた。ハイブリダイズ反応は、マスコスと
サザン(Maskos and Southern)(Maskos U and Southern E.M. (1992) Nucleic Ac
ids Res. 20:1675-1678)の記載に従って、テトラメチルアンモニウムクロライド
を含有する反応緩衝液中で55℃、60分間で実施した。ハイブリダイズ後の洗
浄を、0.1%(v/v) SDSを含むSSPE緩衝液(1×SSPE緩衝液=18
0mMのNaCl、10mMのリン酸ナトリウム、pH7.7、1mMのエチレ
ンジアミン四酢酸)の希釈液を用いて高いストリンジェンシーで行った。
【0133】 最後の洗浄に続けて、完全アミノ酸混合物を追加したウサギ網状赤血球溶解物
(プロメガ社)の25μlを添加することによりインビトロ翻訳反応を開始した
。いくつかの実験においては、アミノ酸混合物からメチオニンを引いたものを使
用し、この場合、35S−メチオニン(アマシャム)を加えた。30℃で60分間
の翻訳反応を行い、次いで氷上に置いた。1%(w/v) のBSAを含む氷冷PBS
を用いてウェルを洗浄した。モデル遺伝子構築物のそれぞれについて計画された
Flagか又はhis6エピトープのいずれかに対する抗体を用いて翻訳産物を
検出した。希釈したPBSで洗浄したウェルに抗体を添加した。ゆるやかに混合
しながら、4℃で60分間インキュベートした。推奨された希釈の程度となるよ
うに二次試薬(抗マウス−HRP複合体)をPBS中に加え、4℃で30分間イ
ンキュベートした。発色基質で発色させる前に、200μlのPBSを用いてウ
ェルを3回洗浄した。492nmでプレートを読んだ。反応混合物に35S−メチ
オニンを含めたものについては、シンチレーションの測定により翻訳産物を検出
した。この結果から、会合したmRNAへの付着によって正しいタンパク質の固
定化が成功したことが、次には相補領域の配列によって対応する固定化DNAに
アニーリングすることが示された。
【0134】 実施例11 tat及びSRPによるリボソーム提示 抗体340由来の上皮増殖因子レセプター(EGFR)に特異的な、そして抗
体J591由来の前立腺表皮膜抗原(PSMA)に特異的な二つの単鎖抗体遺伝
子(scFv)、それぞれ大腸菌発現ベクターpPMhisにクローニングされ
ている、が出発点であった。長鎖合成オリゴヌクレオチドとPCRとを使用する
T7RNAポリメラーゼのためのプロモーターを上流に備えたpGEM T7/
SP6プラスミド(プロメガ社、サザンプトン、英国)にscFv断片が再クロ
ーニングされ、そして上流の細菌リボソーム結合部位、下流のM13ファージ遺
伝子III 由来のスペーサーセグメント、及び大腸菌lppターミネーター由来の
3’転写末端領域が提供された。scFvの両者について、翻訳停止コドンをP
CR反応により除去した。結果として得られたプラスミドを、pT7340A(
EGFRのためのもの)及びpT7591A(PSMAのためのもの)と名付け
た。
【0135】 上記の基本的なプラスミドの変異体として、ストランドオーバーラップエクス
テンションPCRによって抗開始セグメントと下流側の末端セグメントとが提供
され、ATG開始コドンとscFv遺伝子間の分泌性リーダー配列と、スペーサ
ーセグメントと転写末端配列間の末端配列TAR配列のそれぞれを挿入した。結
果として得られたプラスミドを、pT7340B(EGFRのためのもの)及び
pT7591B(PSMAのためのもの)と名付けた。
【0136】 RiboMAXTMキット(プロメガ社、サザンプトン、英国)を用いて、メー
カーの説明書に従ってpT7プラスミドのインビトロ転写を行った。得られたm
RNAをメーカーのプロトコールに従って精製した。
【0137】 (前掲の)ハーネスとプルクサンに記載されたように変更し、そしてHIVの
Tat37〜72ペプチドを追加した(前掲の)チェンとズバイ(Chen and Zuba
y)に記載されたように、大腸菌S−30システム中でインビトロ翻訳を行った。
翻訳から10分後、(ロミシュ、ウェブ、ヘルツ、プレーン、フランク、ブレナ
ー及びワルター(Romisch K, Webb J, Herz J, Prehn S, Frank R, Brenner S an
d Walter P) 、Nature vol 340 (1989) p478-482の方法で生産された)SRPの
調製物を添加し、翻訳をさらに10分間続けた。翻訳を停止し、混合物を(前掲
の)ハーネスとプルクサンに記載されたように遠心分離した。次いで、プレート
内をEGFR又はPSMAのいずれかで被覆したマイクロタイタープレート上で
、翻訳反応物を室温で1時間インキュベートした。残ったリボソーム複合体を洗
浄して解離させ、mRNAの単離、逆転写PCR及び転写−翻訳の繰り返しを、
(前掲の)ハーネスとプルクサンに記載されたように行った。配列決定と、選択
された遺伝子集団における原版のscFvの発現の測定のために、リボソーム提
示の5ラウンド後のPCR産物をpUC18中にクローニングした。この測定の
ために、少なくとも50のpUC18クローン中の挿入物の配列を決定した。
【0138】 EGFR抗原調製物のスクリーニングのために、1:1のモル比のpT734
0A:pT7591Aを含む原版のプラスミド混合物を、最終的なpUC18ラ
イブラリーが84%のpT7340A配列と16%のpT7591Aからなるよ
うに上昇させた。1:1のモル比のpT7340A:pT7340B、又は1:
1のモル比のpT7340B:pT7591Bによって、最終的なpUC18ラ
イブラリーは、両方のケースともにpT7340Bが100%となった。
【0139】 実施例12 出発点は、二つの単鎖抗体(scFv)、一方がジゴキシンに特異的なもの(
タン(Tang)ら、Journal of Biological Chemistry 270 (1995) p7829-7835 )で
、もう一方がフルオレセインに特異的なもの(デンジンとボス(Denzin and Voss
) 、Journal of Biological Chemistry 267 (1992) p8925-8931 )であった。フ
ォワードプライマー、fdig1:CCG TAT AGA TCT CAG GTC AAA CTG CAG GAG
TCT 及びリバースプライマー、rdig1:CCG TAT GGA TCC CCG TTT TAT TTC
CAA CTT TGT を用いて、pCANTABベクター(タンら)から抗ジゴキシンs
cFvをPCR増幅した。ベーリンガーエキスパンドハイフィデリティPCRシ
ステムを用いてPCR増幅反応を行った。DNA断片の増幅のための反応条件は
、1×エキスパンドHF緩衝液、2.5mMのMgCl2 、4mMの各種dNT
P、2.5単位のポリメラーゼ、10ngの鋳型DNA及び30ピコモルのプラ
イマーDNAであった。反応物をサーマルサイクラー中で、次のプログラム:9
2℃で5分間、(プライマー配列によって)53〜67℃で5分間、72℃で1
分間、次いで、92℃で1分間、53〜67℃で1分間、72℃で1分間の30
サイクルにてインキュベートした。得られた720塩基対断片を、次に、ウィザ
ードPCR精製カラム(プロメガ社)を用いて精製し、メーカーの説明書に従っ
てPCR産物とベクターとをBglIIとBamHIとで消化することにより、大
腸菌発現ベクターpET−9(プロメガ社)のBamHIサイトにクローニング
した。このプラスミドは、バクテリオファージT7遺伝子10由来のプロモータ
ー、翻訳開始サイト、及びターミネーターを含むものである。得られたプラスミ
ドをpDIG1と名付けた。マレンダー、カレロ及びボス(Mallender, Carrero
and Voss) 、(Journal of Biological Chemistry 271 (1996), p5338-5346)に記
載のようにして、フォワードプライマー、fox1:CCG TAT AGA GAT GTC GTG
ATG ACC CAA ACT 及びリバースプライマー、rox1:CCG TAT GGA TCC TGA GG
A GAC GGT GAC TGA GGT を用いて、発現ベクターpGX8773から抗フルオレ
セインscFvDNA配列を新たに作成した。この断片はPCRによって新たに
作成されたものであり、次いで、上記のようにしてpET−9ベクター中へクロ
ーニングされてpOX1と名付けた。
【0140】 次の2セットのプライマーを用いての、二本鎖M13DNAの調製物について
のPCRの実施によって、繊維状ファージM13の遺伝子III のグリシンリッチ
リンカーに基いたスペーサー配列を新たに作成した。
【0141】
【外3】
【0142】 m13f1とm13r1とのプライマーの組み合わせ、又はm13f2とm1
3r2とのプライマーの組み合わせを用いて、2セットのPCR反応を行った。
これら2セットの反応によって、二つの産物の集団、一つは5’BglIIと3’
XhoIに制限サイトを持つものであり、もう一つは5’SalIと3’Bcl
Iに制限サイトを持つものが新たに作成された。制限サイトには、30アミノ酸
のリンカーの多量体の構築を促進するものが含まれていた。BglII/XhoI
PCR産物を2回消化し、リン酸化して、次に、SalI/BclIで消化した
もののPCR産物と結合した。このようにして、5’から3’のみに結合された
多量体(これは消化によって確認できた。)を形成させた。900塩基対の断片
を、アガロースゲル電気泳動によって単離し、そして、メーカーの説明書に従っ
て、ウィザードPCR精製カラム(プロメガ社)を用いて精製した。次いで、こ
の断片をBglIIとBclIで消化し、そしてscFv断片の下流にある、pD
IG1とpOX1のBamHIサイトにクローニングして、それぞれpDIG2
とpOX2とを新たに作成した。
【0143】 上記の基本的なプラスミドの変異体として、AUG開始コドンとscFv遺伝
子間に上流の抗開始セグメントを挿入したものがあった。これは、ネズミVhシ
グナル配列をこのscFvプライマーfdig1とfox1とに組み込むことに
よって実施した。
【0144】
【外4】
【0145】 rdig1とrox1を組み合わせてPCRを行った後、得られたそれぞれの
PCR産物をBglIIとBamHIとで消化して、既に記載したようにしてpE
Tベクター中にクローニングし、pDIG3とpOX3を新たに作成した。
【0146】 さらに、(上記のようにして新たに作成された)BclIで消化した900塩
基対を次のとおりのHIVのTARをコードする自己アニーリングしたオリゴヌ
クレオチドへ結合することにより、HIVのトランスアクチベーション応答因子
(TAR)配列をM13スペーサーセグメントから下流側に挿入した。
【0147】
【外5】
【0148】 この断片を精製し、pDIG3とpOX3のBamHIサイトにクローニング
してpDIG4とpOX4を新たに作成した。
【0149】 クローニングの後に、PCRで新たに作成した挿入物の配列解析を、二本鎖プ
ラスミドDNA鋳型(クラフト(Kraft) ら、Bio Techniques 6 (1988), p544 )
とT7シークエンシングプライマーを用いるシークエナーゼ(アマシャム社)を
用いてのチェインターミネーター法にて行った。
【0150】 メーカーの説明書に従って、RiboMAX ラージスケールRNA生成システム(プ
ロメガ社)を用いて、構築物pDIG3、pOX3及びpDIG4、pOX4の
インビトロ転写を行った。得られたmRNAを、ポリAトラクトシステム(プロ
メガ社)を用いて精製した。
【0151】 (前掲の)ハーネスとプルクサンに記載されたように変更し、そして10μg
/mlのHIVのTat37〜72ペプチド(ナリシュキン(Naryshkin) ら、Bi
ochemistry 36 (1997), p3496-3505)の存在下又は非存在下で、(前掲の)チェ
ンとズバイに記載されたように、大腸菌S−30システム中で抗ジゴキシンsc
FvのmRNAと抗フルオレセインscFvのmRNAの混合物のインビトロ翻
訳を行った。いくつかのサンプルでは、翻訳から10分後、(ロミシュら、Natu
re vol 340 (1989) p478-482の方法で生産された)SRPの調製物を添加し、翻
訳をさらに10分間続けた。翻訳を停止し、混合物を(前掲の)ハーネスとプル
クサンに記載されたように遠心分離した。次いで、プレート内をジゴキシン又は
フルオレセインのいずれかで被覆したマイクロタイタープレート上で、翻訳反応
物を室温で1時間インキュベートした。残ったリボソーム複合体を洗浄して解離
させ、mRNAの単離、逆転写PCR及び転写−翻訳の繰り返しを、(前掲の)
ハーネスとプルクサンに記載されたように行った。配列決定と、選択された遺伝
子集団における原版のscFvの発現の測定のために、リボソーム提示の5ラウ
ンド後のPCR産物をpUC18中にクローニングした。この測定のために、少
なくとも50のpUC18クローン中の挿入物の配列決定を行った。
【0152】 表1には、SRPの添加による選択の増加を示唆するいくつかのものと共に、
tatを添加したことによる翻訳反応が標的リガンドに対するscFvをコード
するmRNAの選択を増加させたことを示す分析結果が示されている。
【0153】 実施例13 ジシストロニック(dicistronic) mRNA由来のタンパク質−タンパク質結合 ジシストロニック構築物の使用によって、リボソーム提示がタンパク質の相互
作用を同定するのに使用できることを示すために、ヒトIL−5タンパク質が用
いられた。三つの基本的な発現プラスミドが、下記のようにして構築された。
【0154】 構築物1: ヒトIL−5遺伝子を、下記のプライマーを用いてpUC18(アールアンド
ディーシステムズ社(R and D Systems) 、アビンドン(Abingdon)、英国)から増
幅した。
【0155】
【外6】
【0156】 ベーリンガーエキスパンドハイフィデリティPCRシステム(ベーリンガー社
、ルイス、英国)を用いてPCR増幅反応を行った。DNA断片の増幅のための
反応条件は、1×エキスパンドHF緩衝液、2.5mMのMgCl2 、4mMの
各種dNTP、2.5単位のポリメラーゼ、10ngの鋳型DNA及び30ピコ
モルのプライマーDNAであった。反応物をサーマルサイクラー中で、次のプロ
グラム:92℃で5分間、(プライマー配列によって)53〜67℃で5分間、
72℃で1分間、次いで、92℃で1分間、53〜67℃で1分間、72℃で1
分間の30サイクルにてインキュベートした。得られた448塩基対断片を、次
に、ウィザードPCR精製カラム(プロメガ社)を用いて精製し、メーカーの説
明書に従ってPCR産物とベクターとをBglIIとBamHIとで消化すること
により、大腸菌発現ベクターpET−9(プロメガ社)のBamHIサイトにク
ローニングした。このプラスミドは、バクテリオファージT7遺伝子10由来の
プロモーター、翻訳開始サイト、及びターミネーターを含むものである。得られ
たプラスミドをpIL5aと名付けた。
【0157】 構築物2: 下記のプライマーを用いてpUC18からヒトIL−5遺伝子を増幅した。
【0158】
【外7】
【0159】 PCR増幅と精製は上記のようにして行った。PCR産物を次にBglIIとB
amHIとで消化し、pET9ベクター(プロメガ社)のBamHIサイトにク
ローニングして、pIL5bと名付けた。 配列が上記にある、次のプライマーm13f1、m13r1、m13f2、m
13r2を用いての、二本鎖M13DNAの調製物についてのPCRの実施によ
って、繊維状ファージM13の遺伝子III のグリシンリッチリンカーに基いたス
ペーサー配列を新たに作成した。
【0160】 m13f1とm13r1とのプライマーの組み合わせ、又はm13f2とm1
3r2とのプライマーの組み合わせを用いて、2セットのPCR反応を行った。
これら2セットの反応によって、二つの産物の集団、一つは5’BglIIと3’
XhoIに制限サイトを持つものであり、もう一つは5’SalIと3’Bcl
Iに制限サイトを持つものが新たに作成された。制限サイトには、30アミノ酸
のリンカーの多量体の構築を促進するものが含まれていた。BglII/XhoI
PCR産物を2回消化し、リン酸化して、次に、SalI/BclIで消化した
もののPCR産物と結合した。このようにして、5’から3’のみに結合された
多量体(これは消化によって確認できた。)を形成させた。900塩基対の断片
を、アガロースゲル電気泳動によって単離し、そして、メーカーの説明書に従っ
て、ウィザードPCR精製カラム(プロメガ社)を用いて精製した。
【0161】 (上記のようにして新たに作成された)BclIで消化した900塩基対のス
ペーサーセグメントを、HIVのTARをコードする自己アニーリングしたオリ
ゴヌクレオチドTAR1、TAR2へ結合することにより、HIVのトランスア
クチベーション応答因子(TAR)配列をM13スペーサーセグメントから下流
側に挿入した。
【0162】 この断片を再精製し、BglIIで消化してpIL5bのBamHIサイトにク
ローニングしてpIL5cを新たに作成した。
【0163】 構築物3: pIL5cをHindIII とBamHIとで消化して、構築物2において記載
の挿入物を放出させ、次いで、これを、同じくHindIII とBamHIとで消
化しておいたpIL5aの中にクローニングした。得られた構築物をpIL5d
と名付けた。
【0164】 クローニングの後に、PCRによって新たに作成された挿入物の配列解析を、
二本鎖プラスミドDNA鋳型(クラフトら、Bio Techniques 6 (1988), p544 )
とT7シークエンシングプライマーを用いるシークエナーゼ(アマシャム社、リ
トルカルフォント(Little Chalfont) 、英国)を用いてのチェインターミネータ
ー法にて行った。
【0165】 メーカーの説明書に従って、RiboMAX ラージスケールRNA生成システム(プ
ロメガ社)を用いて、構築物pIL5a、pIL5c及びpIL5dのインビト
ロ転写を行った。得られたmRNAを、ポリAトラクトシステム(プロメガ社)
を用いて精製した。
【0166】 (前掲の)ハーネスとプルクサンに記載されたように変更し、そしてHIVの
tat37〜72ペプチド(ナリシュキンら、Biochemistry 36 (1997), p3496-
3505)を追加して、(前掲の)チェンとズバイに記載されたようにして大腸菌S
−30システム中でインビトロ翻訳を行った。翻訳を停止し、混合物を(前掲の
)ハーネスとプルクサンに記載されたように遠心分離した。ノバジェン(Novagen
) (ケンブリッジバイオサイエンス社(Cambridge Biosciences) 、ケンブリッジ
、英国)に記載されたようにpET−His−Tagシステムを用いての迅速ア
フィニティーカラムクロマトグラフィーを使用して、変性条件下で翻訳混合物の
精製を行った。結合したタンパク質をメーカーの説明書に記載の方法によって溶
出した。
【0167】 前掲のアンティボディーズ、アラボラトリー マニュアルに記載のMBSを使
用し、N末端システイン残基を介してKLHに複合化したtatペプチド37〜
72を用いて抗tat抗体を作成した。上記のようにして、10μgの複合体を
用いてBalb/cマウスを免疫し、血清を集めて1:100に希釈してさらなる実験
に使用した。上記からのpET−His−TagA−溶出物を希釈したものを、
メーカーの説明書に従って、イムロン2 96穴マイクロタイタープレート(ダ
イナテック社(Dynatech)、シャンティー(Chantilly) 、バージニア州、アメリカ
合衆国)に添加し、次いで、抗tat抗体を添加して室温下2時間インキュベー
トした。次に、プレートをPBSで3回洗浄し、HRP標識化ヤギ抗マウス抗体
複合体(番号A4416、シグマ社、プール、英国)の1:1000希釈液を添
加し、さらに室温で1時間インキュベートした。PBSで3回洗浄後、前掲のア
ンティボディーズ、アラボラトリー マニュアルに従ってTMB基質を添加した
【0168】 この結果から、ジシストロニックプラスミドpIL5d由来のELISAアッ
セイにおいて、溶出されたHisタグが付着したタンパク質はtatタンパク質
と関係があることが示され、しかしながら、tatの結合が検出されなかったモ
ノシストロニックプラスミドpIL5aとpIL5cとの1:1混合物に由来し
ないことが示された。このことは、翻訳されたIL−5はジシストロニックプラ
スミドからホモダイマー化されたものであり、モノシストロニックプラスミドか
らではないことを示した。
【0169】 実施例14 ビオチン化オリゴヌクレオチド及びストレプトアビジンを用いるリボソーム提示
ヒトκ定常領域のcDNAに融合させたN−末端エピトープ・タグ、重鎖可変
領域(VH )、14アミノ酸リンカー(EGKSSGSGSESKVD)、軽鎖
可変領域(VL )からなる二個の修飾単鎖抗体(scAb’s)を調製した。こ
のヒトκ定常領域配列は、3’末端にポリ−ヒスチジンタグを含んでおり、停止
コドンを欠失するように修飾したものであった。
【0170】 修飾された抗−シュードモナスscAb及び修飾された340scAbは、実
施例10に記述したように構築した。上記プラスミドのイン・ビトロの共役した
転写及び翻訳は、環状DNAに対する大腸菌T7S30エキストラクト・システ
ム(プロメガ社)を用い、すべての反応にRNasin(登録商標)(プロメガ
社)を80ユニット/反応加えて、プロメガ・テクニカル・ブレタンNo.21
9に記述されたように行った。ビオチン化オリゴヌクレオチドCκ3’ブロック
(5’TTGAAGCTCTTTGTGACGGGCGAACTC3’)及びス
トレプトアビジンを添加しそして添加せずに、2μgの鋳型DNA,pET5c
FLAG−αPs・scAb又はpET5cHIS−340scAbを反応混合
物中で転写及び翻訳した。さらに、反応混合物には、総量50μlに1μlのU
TPα33P(0.37MBq)(ICNリミティッド、テーム、オックスフォー
ドシャー、英国)を含ませた。これらの反応液は、5μMの3’ビオチン化Cκ
3’ブロックオリゴヌクレオチド及び1ngのストレプトアビジン(ベーリンガ
ー・マンハイム)を含んでいた。反応液を30℃で30分間インキュベートし、
50mMまで酢酸マグネシウムを添加し氷上で冷却して反応を停止させた(ヘイ
ンズ及びプルックサン,Proc. Natl. Acad. Sci. 94: 4937-4942, 1997)。20
0μlの氷冷洗浄緩衝液(50mMのトリス−塩酸,pH7.5、150mMの
塩化ナトリウム、50mMの酢酸マグネシウム、0.1%のトゥイーン20(ヘ
インズ及びプルックサン,上記)並びに1μl(40ユニット)のRNasin
(登録商標)(プロメガユーケイリミティッド))を添加して、反応混合物を五
倍に希釈した。
【0171】 生産されたタンパク質は、標準的プロトコル(アンティボディーズ アラボラ
トリー マニュアル、 ハーロウ,イー.及びレイン,ディー編、コールドスプ
リングハーバーラボラトリープレス、1988、ニューヨーク、アメリカ合衆国、並
びにキアゲンウエスタンアンドドットブロッティングプロトコールズ 1997年9
月)を用い、翻訳されたタンパク質をPenta His(登録商標)抗体(0
.1μg/ml)(キアゲンリミティッド)又は抗−FLAGM2抗体(1.4
μg/ml)(コダック・サイエンティフィック・イメージング・システムズ・
リミティッド、ニューヨーク、アメリカ合衆国)を用いて検出するウエスタン・
ドットブロットにより、そしてその後抗−マウスIgGHRP複合体(0.5μ
g/ml)(シグマ、プール、英国)で処理することにより、特性決定を行った
。抗−ヒトCκ特異的HRP複合体(0.5μg/ml)(ザ・バインディング
・サイト、バッキンガム、英国)は直接使用した。タンパク質は化学発光検出法
(ECL、アマシャム・インターナショナル・リミティッド)によりそしてオー
トラジオグラフィーにより可視化した。既知の濃度の抗−シュードモナス・アエ
ルギノーザscAb(モロイら,上記)及びT7S30エキストラクト(プロメ
ガユーケイリミティッド)と共に供給されたPinpoint(登録商標)対照
プラスミドから転写翻訳されたタンパク質をそれぞれ正及び負の対照として使用
するウエスタン・ドット・プロットによる分析に付した。
【0172】 イミュロン4HBX96ウェルプレート(ダイナテック)のウェルを、50m
Mの炭酸−重炭酸緩衝液pH9.5(シグマ)中の2μg/ウェルでの抗−FL
AGM2抗体、50mMの炭酸−重炭酸緩衝液pH9.5中の2μg/ウェルで
のPenta−His(登録商標)抗体、50mMの炭酸−重炭酸緩衝液pH9
.5中の5μg/mlBSA(シグマ)又は50μl/ウェルの加熱殺菌したシ
ュードモナス・アエルギノーザ調製物(マックグレゴル,ディーら、上記)で被
覆した。ウェルを1% ベーリンガーブロック剤(ベーリンガー・マンハイム)
で室温で60分間ブロックした。氷冷洗浄緩衝液でウェルを3回洗浄した後、転
写/翻訳反応物の試料50μlを種々の捕獲ウェル中に注入して0度で60分間
ゆすりながらインキュベートした。未結合の物質を新たなチューブに除去した。
このウェルを氷冷洗浄緩衝液で5回洗浄した。50mMのトリス−塩酸pH7.
5、150mM塩化ナトリウム、20mMのEDTAの20μlを添加し、氷上
で10分間インキュベートすることによりmRNAを溶出した。収穫したRNA
の量を定性的に評価するため、未結合物質の2μl及び溶出された物質の20μ
lニトロセルロース膜上にスポットし、風乾してオートラジオグラフにかけた。
より定量的測定のために、未結合物質及び溶出物質の二連各5μlをマークされ
たGF/Cガラスファイバーフィルター(ワットマン・インターナショナル・リ
ミティッド、メイドストーン、ケント、英国)上にスポットし、室温で乾燥させ
た。フィルターの各対の一方を氷冷した5%トリクロロ酢酸(TCA)及び20
mMのピロリン酸ナトリウムを含むビーカーに移し、2分間かき混ぜた。フィル
ターを次いで、TCA/ピロリン酸塩を含む新たなビーカーに移し、そしてこの
洗浄操作をさらに2回繰り返した。洗浄したフィルターを70%エタノールに短
時間移し、ついで室温で乾燥した。洗浄したフィルター及び洗浄しないフィルタ
ーをシンチレーションバイアルに移し、シンチレーション液を添加した。液体シ
ンチレーションカウンター中でフィルターのカウントを行った。洗浄しないフィ
ルターは試料中の放射活性の総量を示し、洗浄したフィルターは核酸に取り込ま
れた放射活性の量を示す。
【0173】 この分析の結果を表1に示す。表1は、ビオチン化ブロッキングオリゴヌクレ
オチド及びストレプトアビジンを添加した翻訳反応液が標的リガンドに対するs
cFvをコードするmRNAの選択を増加させる結果となることを示す。
【0174】 これらの実験は環状DNAに対する大腸菌T7S30エキストラクト・システ
ムの代わりにTNT(登録商標)カプルッド・レティキュロサイト・ライゼート
・システム(プロメガユーケイリミティッド)を用いて繰り返された。転写翻訳
反応液は、プロメガ・テクニカル・ブレタンNo.126の指示のように構成し
、TNT(登録商標)ラビット・レティキュロサイト・ライゼート、TNT(登
録商標)緩衝液、完全アミノ酸混合物、RNasin(登録商標)リボヌクレア
ーゼ阻害剤、TNT(登録商標)T7RNAポリメラーゼ、1μgの鋳型DNA
,pET5cFLAG−αPsscAb又はpET5cHIS−340scAb
を含んでいた。この反応は30℃で行われた。
【0175】 この実験の結果は、表2に要約されている。表2は、ビオチン化ブロッキング
オリゴヌクレオチド及びストレプトアビジンを添加した翻訳反応は標的リガンド
に対するscFvをコードするmRNAの選択を増加させる結果となることを示
す。
【0176】 実施例15 実施例14に詳述した実験を大腸菌T7S30エキストラクト・システムを用
いて繰り返した。転写/翻訳反応は、1ngのストレプトアビジンに対しブロッ
キングオリゴヌクレオチドの濃度をそれぞれ10nM及び20nMに増加させた
こと及び反応を二時間行わせたことを除き、上に述べたと全く同様に行った。
【0177】 翻訳されたタンパク質の部分標本を上述のようにウエスタン・ドット・ブロッ
トにより特性決定した。反応混合物の残りの45μlを氷上で急速に冷却し、酢
酸マグネシウムを最終濃度が50mMになるまで添加した。ついで、この反応混
合物を氷冷洗浄緩衝液で200μlに希釈した。この反応混合物の50μlを4
本の被覆したELISAプレートウェル(50μlの加熱殺菌したシュードモナ
ス・アエルギノーザ細胞又は100μlの抗−FLAGM2モノクローナル抗体
(2.8μg/ml)、又は100μlのPenta−His(登録商標)抗体
(0.2μg/ml)又は100μlの2%BSA)のそれぞれに添加し、次い
で洗浄し、そしてブロック(上述のように)し、そして氷上で1.5時間インキ
ュベートした。ウェルを氷冷洗浄緩衝液で5回洗浄した。溶出緩衝液(上述のよ
うな)と共に氷上でさらに10分間振盪しながらインキュベートすることにより
洗浄したプレートからmRNAを溶出した。
【0178】 このmRNAを20μgのグリコーゲンキャリア(ベーリンガー・マンハイム
)の存在下に−20℃に一晩おいてエタノールで沈殿させた(モレキュラー・ク
ローニング,ア・ラボラトリー・マニュアル,上記)。その結果得られたmRN
AをM−MLV逆転写酵素(RT)と共に逆転写反応の鋳型として使用した。簡
単に述べれば、mRNAを70℃、10分間で加熱変性させ、そして氷上で冷却
して1nMのプライマーHuCK・FOR:5’AGGCAGTTCCAGAT
TTC3’、配列2scAb:5’GTGAGCTCGATGTCATCC3’
及びRD3’とアニーリングさせた。M−MLV・RT(ライフテクノロジーズ
)の200ユニットを添加しそして37℃で60分間インキュベートし、その後
70℃で15分間加熱してこのRTを失活させた。次に、その後得られるDNA
:RNAハイブリッドを、上記の正向きプライマー(10nM)と共にRD5’
Flag逆向きプライマーを用いるPCRの鋳型として使用した。サーマルサイ
クラー中で、反応液を96℃で5分間、それに続く40サイクルの95℃で30
秒間、50℃で30秒間、72℃で30秒間、次いで72℃で6分間、インキュ
ベートした。PCR産物はアガロースゲル電気泳動により分析した。
【0179】 この実験から得られた結果から、ブロッキングオリゴヌクレオチドの濃度を増
加するとscFv遺伝子の選択を増加させる結果となることが証明された。
【0180】 実施例16 実施例14に記述した実験を繰り返した。転写/翻訳反応は、鋳型がpET5
cFLAGαPsscAb及びpET5cHIS340scAbの等量混合物で
あったことを除き、上に述べた方法と全く同様に行った。ELISAプレートの
ウェルを、前と同様に、100μlの2.8μg/mlαFLAGM2抗体及び
50μlの加熱殺菌ピー.アエルギノーザ調製物で被覆した。タンパク質−リボ
ソーム−mRNA複合体を捕獲し、溶出し、そして核酸を沈殿させた後、DNア
ーゼ処理を実施例4で述べたように行った。この生産物を低溶融点アガロースゲ
ル(ライフ・テクノロジーズ)を通す電気泳動により分離し、そして全長PCR
生産物(約1100bp)を単離した。これは、それぞれ原核的及び真核的翻訳
に対するT7プロモーター、リボソーム結合部位及びKozak配列(Koza
k,M.Nucl. Acids Res. 18: 2828, 1990)を含む上流の非翻訳DNA配列、及
び翻訳開始コドンを導入するためのプライマーを用いるさらなるラウンドのPC
Rのための鋳型として使用した。その結果得られるPCR産物を、次に、直鎖状
DNA(プロメガユーケイリミティッド)用に調製されたS30抽出物を用いて
転写し翻訳した。前と同様に、タンパク質−リボソーム−mRNA複合体を捕獲
し、mRNAを溶出し、核酸を回収し、そしてDNアーゼで処理した後、RT・
PCR及び次のラウンド用の鋳型DNAを作成するためPCRによるプロモータ
ー及びリボソームの結合部位の導入を行った。リボソーム提示の4から5ラウン
ドの後に、回収したDNAを元のベクター中に挿入しそし20クローンのDNA
配列を決定した。20クローンすべてが抗−シュードモナスscFv配列を含む
ことが見出された。
【0181】 実施例17 生物学的スクリーニング 生物学的応答の刺激の結果としてモジュレーターを生産する細胞系のモデルと
して、細胞系A431(ECACC No.85090402, ECACC、ポートンダウン
、英国から)及びヒーラのEGFR変異体(ECACC No.85060701)(ホスフォ
リパーゼCに結合した抗−EGFR抗体を用いて選択される)がこの実験に使用
された。両ケース共、モジュレータータンパク質であるHIVtatを分泌する
変異体を使用した。細胞を10%FBSを補足したDMEM中で生育させた。両
方の系から下記のように、tatタンパク質を分泌する組み換え体細胞系が誘導
された。すなわち、合成HIVtat遺伝子をアールアンドディー・システムズ
(エイビングドン、英国)から購入し、そして下記のプライマーを用いてPCR
増幅した。
【0182】
【外8】
【0183】 その結果得られるPCR産物をXhoI及びEcoRIで消化しそしてXho
I及びEcoRIで消化したpCI−neoベクター(プロメガ、サウサンプト
ン、英国)中にサブクローニングした。このtat発現プラスミドをA431及
びEGFRヒーラ中にバイオラド・ジーンパルサーII(バイオラド、ヘメル・ヘ
ンプステッド、英国)を用いる電気穿孔法によりトランスフェクトさせ、そして
G418で選択した。tatの選択は次のようにしてELISAにより確認した
。すなわち、tatペプチド37−72を用いて抗−tat抗体を作成した。こ
れを Antibodies, A Laboratory Manual上記に従ってMBSを用いてそのN−末
端システイン残基を介してKLHに結合させた。この複合体の10μgを用いて
、上記のように、Balb/cマウスを免疫化し、そして血清を集め、1:10
0の希釈でELISA実験に用いた。抗体の10μg部分を、製造業者の指示に
従ってイミュロン2・96ウェルミクロタイタープレート(ダイナテック、チャ
ンティリー、VA、米国)中に注入し、次いで細胞上清の試料を添加して室温で
二時間インキュベートし、プレートを次にPBSで3回洗浄し、そして1:10
00希釈のHRP−標識化ヤギ抗−マウス抗体複合体(#A4416、シグマ、
プール、英国)を添加し、室温でさらに 1時間インキュベートした。PBSで3
回洗浄した後、 Antibodies, A Laboratory Manual(上記)に従ってTMB基質
を添加した。これにより、トランスフェクトされたA431及びEGFRヒーラ
細胞の培養上清中にHIVtatタンパク質が存在することそしトランスフェク
トされていないA431及びEGFRヒーラ細胞の培養上清中には存在しないこ
とが確認された。
【0184】 モデルのタンパク質リガンドとしては、抗−EGFR(表皮成長因子受容体)
(PCT 00443) 及び抗−フルオレッセイン(デニジン及びボス,Journal of B
iological Chemistry, vol267 (1992) p8925-8931)をコードする二個の単鎖抗体
(scFv)遺伝子を使用した。この抗−EGFRscFvは下記のプライマー
を用いてクローニングされたVh及びVk鎖からPCR修飾されたものであった
【0185】
【外9】
【0186】 PCR増幅反応は拡大高忠実度PCRシステム(ベーリンガー、リューズ、英
国)を用いて行った。DNA断片の増幅のための反応条件は、1×拡大HF緩衝
液、2.5mMのMgCl2 、4mMの各dNTP、2.5ユニットのポリメラ
ーゼ、10ngの鋳型DNA及び30pモルのプライマーDNAであった。反応
液は、サーマルサイクラー中、次のプログラムを用いてインキュベートした。す
なわち、92℃で5分間、53−67℃(プライマー配列に依存する)で5分間
、72℃で1分間、その後92℃で1分間、53−67℃で1分間、そして72
℃で1分間の30サイクル。その結果得られた断片を、次に、ウィザードPCR
精製カラム(プロメガ)を用いて精製した。Vh及びVkのこのPCR断片をP
stI/BstEII及びSacI/XhoIでそれぞれ消化した。このscFv
ベクターはpPM1His(モロイら、上記)であった。これをPstI及びB
stEIIで消化し、その3.5kbベクター断片を精製し、そしてPstI/B
stEIIVhPCR断片をライゲートして大腸菌TG1中に形質転換して340
Vh組み換え体を作成した。この340Vhプラスミドを次にSacIとXho
Iで消化し、そしてSacI/XhoIVkPCR断片をそのベクター断片中に
クローニングして340scFv−生産性TG1細胞を作成した。
【0187】 T7ポリメラーゼ転写ベクター中にクローニングするため、前向きプライマー
5’−CCGTATAGATCTATGGAAGTGCAGCTGCAGGAG
TCTGGG−3’及び逆向きプライマー5’−CCGTATGGATCCTG
CAGCCACAGTCCGTTTGAT−3’を用いて前記340scFvを
増幅した。このPCR断片をBglII及びBamHIで消化し、そして大腸菌発
現ベクターpET−9(プロメガ)のBamHI部位にクローニングした。この
プラスミドはバクテリオファージT7遺伝子10由来のプロモーター、翻訳開始
部位及び翻訳停止部位を含んでいる。その結果得られるプラスミドはpEGFR
1と名づけた。抗−フルオレセインscFvDNA配列は、前向きプライマー、
fox1 5’−CCGTATAGATCTGATGTCGTGATGACCC
AAACT−3’及び逆向きプライマー、rox1 5’−CCGTATGGA
TCCTGAGGAGACGGTGACTGAGGT−3’を用い、発現ベクタ
ーpGX8733から、マレンダー、カレロ及びボス(Journal Biological Che
mistry, vol 271 (1996), p5338-5346) により記述されたように形成した。この
断片をPCRにより形成させ、ついで上述のようにpET−9ベクター中にクロ
ーニングし、そしてpOX1と名づけた。
【0188】 繊維状ファージM13の遺伝子III のグリシンの多いリンカーに基づくスペー
サー配列は、二本鎖M13DNAの調製に関するPCRをプライマーm13f1
、m13r1、m13f2及びm13r2を用いて従来のように行うことにより
形成させた。
【0189】 二セットのPCR反応は、m13f1とm13r1又はm13f2とm13r
2のプライマー組合せを用いて行った。これらの二セットの反応により、2集団
の生産物、すなわち、5’BglII及び3’XhoI制限部位及び5’SalI
及び3’BclI制限部位を持つ集団を形成した。これらの制限部位は、30ア
ミノ酸リンカーのマルチマーの構築を容易にするために含められた。BglII/
XhoIPCR産物は二重消化しそしてリン酸化し、次いで消化したSalI/
BclI産物と連結した。このようにして、5’から3’に連結したマルチマー
(これは消化により確認できるであろう)のみが形成されるであろう。900b
pの断片をアガロースゲル電気泳動により単離し、そして製造者の指示に従いウ
ィザードPCR精製カラム(プロメガ)を用いて精製した。次いで、この断片を
BglII及びBclIで消化し、pEGFR1のBamHI部位及びscFv断
片の下流のpOX1中にクローニングしてそれぞれpEGFR2及びpOX2を
形成させた。
【0190】 このHIVトランス活性化応答因子(TAR)配列を、BclIで消化した9
00bpのスペーサー断片(上記のようにして形成したもの)を従来のようにH
IV・TARをコードする自己アニールしたオリゴヌクレオチドTAR1及びT
AR2に連結することにより、M13スペーサー断片の下流に挿入した。
【0191】 この断片を精製し、pEGFR2及びpOX2のBamHI部位にクローニン
グしてpEGFR3及びpOX3を形成させた。クローニングの後、二本鎖プラ
スミドDNA鋳型(クラフトら,Bio Techniques 6 (1988), p544)及びT7配列
決定用プライマーを用いるシーケナーゼ(アマシャム)を用いるジデオキシ・チ
ェイン・ターミネーション法によりPCRで形成させた挿入物の配列決定を行っ
た。
【0192】 構築物pEGFR3及びpOX3のイン・ビトロ転写は、製造者の指示に従い
、リボマックス・ラージスケールRNA生産システム(プロメガ)を用いて行っ
た。その結果得られたmRNAをポリATトラクト・システム(プロメガ)を用
いて精製し、そして1:1の比(w/w)で混合した。
【0193】 イン・ビトロ翻訳は、チェン及びズベイ(上記)により記述され、ヘインズ及
びプルックサン(上記)により修正された大腸菌S−30システムで行った。翻
訳の10分後に、SRP(ロミッシュら,Nature 340, (1989), p478-482) の調
製物を添加し、そしてその翻訳をさらに10分間継続した。翻訳を停止し、混合
物をヘインズ及びプルックサン(上記)により記述されたように遠心分離した。
この翻訳反応物を次いでPBS中に希釈した。細胞を成長させ、トリプシン/E
DTA中に収穫し、PBS中で2回洗浄した後、106 A431と106 /ml
EGFR−ヒーラ細胞の混合物としてか又は個々の細胞型のそれぞれの2×10 6 /mlかの2×106 細胞/mlでDMEM/10%FBS中に再懸濁した。
それぞれの場合に、tat+ 形質転換細胞又はtat- 形質転換細胞のいずれか
を用いた。次いで、100μlの細胞懸濁液を、100μlBBS+0.1%ソ
ジウムカルボキシメチルセルロース(ICI、ティーサイド、英国)中のライブ
ラリーDNAの最初の1μg由来の翻訳反応物と37℃で1時間混合した。次い
で、細胞を遠心分離し、0.1%(v/w)BSAを含むPBS中で2回洗浄し
、この緩衝液の100μl中に再懸濁した。
【0194】 ヘインズ及びプルックサン(上記)により記述されたようにEDTA緩衝液中
でmRNAを解離させた後、Antibodies, A Laboratory Manual (上記)に従っ
て調製されたタンパク質Aビーズ上のポリクローナル抗−tat抗体を含むカラ
ムを通すことにより、tatに結合したmRNAを回収した。保持されたリボソ
ーム複合体の洗浄及び解離、mRNAの単離、逆転写PCR及び転写−翻訳の繰
り返しは、ヘインズ及びプルックサン(上記)により記述された通りに行った。
リボソーム提示の2ラウンドの後、選択された遺伝子集団における最初のscF
vの決定及び配列決定のために、そのPCR産物をpUC18中にクローニング
した。この決定のため、少なくとも50pUC18クローン中の挿入物について
、クローンの同一性を決定するため、部分的に配列決定した。その結果、表3に
示すように、A431細胞から分泌されるtatは、A431に結合しない抗−
フルオレセインscFvよりも翻訳された抗−EGFRmRNAに対し優先的な
選択性を示すことが明らかになる。tatもEGFRヒーラ細胞もそのような優
先的選択性を与えないことから、標的細胞への結合とtat分泌の両者が選択の
ために要求されることが示される。
【0195】 実施例18 リガンド配向性リボソームの提示 モノクローナル抗体340(PCT00443 )を表皮成長因子受容体(EGFR
)リガンドとして用いた。1mgの抗体340を、架橋剤としてスルホ−MBS
(m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミド・エステル)(ピ
アス、チェスター、英国、#22312 )を用いて10mgのPLC(シグマ、プー
ル、英国、#P4039)に結合させた。結合は、製造者の推奨するプロトコルを用
いて行った。試薬類は結合の後G25セフェデックスカラム(ファルマシア、ミ
ルトンケインズ、英国、#17-0851-01)及び透析を用いて脱塩し精製した。結合
は、標準的プロトコル( Antibodies, A Laboratory Manual、上記)に従って、
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動及びクーマシーブルー染色により確認し
た。
【0196】 モノクローナル及びポリクローナル抗−EGFR抗体を生産する方法は、実質
的には Antibodies, A Laboratory Manual、上記に記述された通りの標準的方法
であった。EGFRに反応性のマウスモノクローナル抗体は、ヒト乳癌MDA−
MB468をBALB/cマウスに対する免疫原として用いて得た。一次及び二
次注射は両方とも5×105 細胞を用いて腹腔内に行い、3週間後に尾部静脈に
2日にわたって4回の注射を行った。さらに5日後に、脾臓を取り出し、ケネッ
ト,R.H.Methods Enzymol. vol 58 (1978) p345-359 の手順に従って、SP
2/0マウス骨髄腫細胞に融合させた。プールしたハイブリドーマを、モジタヘ
ディ,エイチら、Br. J. Cancer, vol 67 (1993) p247-253 により記述されたよ
うに、EGFR結合活性についてテストし、そして5×107 細胞まで増殖させ
、ファスト・トラックmRNA単離キット(インビトロゲン、NVリーク、オラ
ンダ国)を用いてmRNAを単離した。次いで、ファルマシア・リコンビナント
・ファージ・抗体・システム・キット(ファルマシア、ミルトンケインズ、英国
)を用い、製造者の指示に従ってmRNAを処理し、pCANTAB5ベクター
から107 cfuのライブラリーを作成した。
【0197】 転写のために、バクテリオファージT7遺伝子10由来のプロモーター、翻訳
開始部位及び停止部位を具備するベクターpET−5(プロメガ、サウサンプト
ン、英国)を使用した。まず、3’スペーサー配列を繊維状ファージM13の遺
伝子III のグリシンの多いリンカーに基づき、従来のように、下記のプライマー
m13f1、m13r1、m13f2及びm13r2を用いてPCRにより作成
されたこのベクターの中にクローニングした。
【0198】 2セットのPCR反応をm13f1とm13r1又はm13f2とm13r2
のプライマー組合せを用いて行った。これらの2セットの反応は2集団の生産物
を形成した。すなわち、5’BglIIと3’XhoIの制限部位を持つもの及び
5’SalIと3’BclIの制限部位を持つものである。この制限部位は30
アミノ酸リンカーのマルチマーの構築を容易にするために含められた。BglII
/XhoIPCR産物を二重に消化しそしてリン酸化し、ついで消化したSal
I/BclIPCR産物と連結した。このようにして、5’から3’に連結した
マルチマーはだけが形成された。900bpのマルチマーを選択し、BclIで
消化し、従来同様に、HIV・TAR応答因子をコードする自己アニールした合
成オリゴヌクレオチドTAR1及びTAR2に連結した。
【0199】 この断片を精製し、BglIIで消化し、pET−5のBamHI部位にクロー
ニングして、遺伝子III /TAR挿入物、下流のBamHI部位を含むが下流に
は部位を持たないプラスミドpET−5III を作成する。
【0200】 pCANTAB5中の挿入物は下記のプライマーを用いて増幅した。すなわち
前向き:5’CCGTATGGATCCGCGGCCCAGCCGGCCATG
GC3’、 逆向き:5’CCGTATGGATCCCCCGTGATGGTGATGATG
ATG3’。 PCR増幅反応はベーリンガー拡大高忠実度PCRシステムを用いて行った。D
NA断片の増幅のための反応条件は、1×拡大HF緩衝液、2.5mMのMgC
2 、4mMの各dNTP、2.5ユニットのポリメラーゼ、10ngの鋳型D
NA及び30pモルのプライマーDNAであった。反応物はパーキンエルマー・
サーマル・サイクラー480中、次のプログラムを用いてインキュベートした。
すなわち、92℃で5分間、67℃で5分間、72℃で1分間、その後92℃で
1分間、67℃で1分間及び72℃で1分間の30サイクルであった。その結果
得られた795bpの断片を、次に、ウィザードPCR精製カラム(プロメガ)
を用いて精製し、そしてそのPCR産物をBamHIでそしてベクターをMbo
Iで消化することにより修飾されたベクターpET−5III 中にクローニングし
た。
【0201】 混合したDNAライブラリー10μgのイン・ビトロ転写を、製造者の指示に
従って、リボマックス・ラージスケールRNA生産システム(プロメガ)を用い
て行った。その結果得られたmRNAをポリATトラクトシステム(プロメガ)
を用いて精製した。
【0202】 イン・ビトロ翻訳はチェン及びズベイ(上記)により記述され、ヘインズ及び
プルクサン(PNAS,vol 94 [10]:4937, 1997) により修正された大腸菌S−
30システムに、HIVtat37−72ぺプチド(ナリシュキンら,Biochemi
stry vol 36 (1997) p3496-3505)を補足して行った。翻訳は10分後に停止させ
、混合物をヘインズ及びプルクサン(上記)が記述したように遠心分離した。
【0203】 リポソーム−tat調製のために、脂質L−ホスファチジルコリン及びオレオ
イル−パルミトイルコレステロールを混合することによりリポソーム小胞を作成
した。10mMのトリスpH8.0中100mM濃度のtat37−72ぺプチ
ドを、1.5:1のL−アルファ−ホスファチジルコリンとコレステロール(シ
グマ、プール、英国、# 13906 )の混合物10mgに添加した。激しい攪拌と室
温での放置のサイクルの繰り返しの後、小胞が形成された。このリポソーム溶液
の容積は10mMトリスpH8.0の添加により増加し、そしてホウ酸緩衝化食
塩水(BBS:0.2Mメタホウ酸ナトリウム、7.5g/lのNaCl、1.
8g/lのCaCl2 2H2 O、pHはホウ酸で7.0に調整)を用いてG25
セファデックスカラムを通すゲル濾過により未取り込み成分からリポソームを精
製した。溶出されたリポソームの完全性は顕微鏡により評価した。顕微鏡下で、
1%(v/v)NP−40の溶液(ピアス、チェスター、英国、# 28324) で処
理することにより溶解した対照調製品と完全なリポソームを比較した。リポソー
ムは、最終濃度が10mMtat37−72ぺプチドになるようにBBSで希釈
した。
【0204】 抗−tat抗体はtatぺプチド37−72を用いて調製した。tatぺプチ
ド37−72を、Antibodies, A Laboratory Manual 上記に従いMBSを用いて
そのN−末端システイン残基を介してKLHに結合させた。その複合体10μg
を用いて上記のようにBalb/cマウスを免疫化し、血清を集め、さらなる実
験では1:100希釈で使用した。791T/36細胞(ドーラン,エムら,Br
J Cancer, vol 62 (1990) p500)に対するウサギのポリクローナル抗体をAntibo
dies, A Laboratory Manual 上記に従って調製した。
【0205】 791T/36細胞は、生育させ、トリプシン/EDTA中で回収し、RPM
I1640培地で2回洗浄した後、5×105 細胞/mlでPBS/0.1%B
SA中に再懸濁した。100μlの細胞懸濁液を、次に、0.1%(w/v)牛
血清アルブミン(BSA)(シグマ、#A7906、プール、英国)を補充したPB
S中、100μg/mlの340−PLC複合体の100μlと混合し、37℃
で1時間インキュベートした。次に、細胞を遠心分離し、氷冷PBS/0.1%
BSAで2回洗浄し、100μlのPBS中に再懸濁した。ついで、ライブラリ
ーDNAの元の1μgから誘導された翻訳反応液に100μlのPBSを添加し
てさらに1時間37℃でインキュベートした。細胞を再び遠心分離し、PBS/
0.1%BSAで2回洗浄し、そしてこの緩衝液の100μlに再懸濁した。1
00μlの調製したリポソーム懸濁液を添加し、37℃で1時間インキュベート
した。続いて細胞をPBS/0.1%BSA中で5分間×3回洗浄した。
【0206】 tat−結合mRNAは、ヘインズ及びプルクサン(上記)により記述された
ようにEDTA緩衝液中でのmRNAの解離により、そしてその後のAntibodies
, A Laboratory Manual 上記に従って調製されたタンパク質Aビーズ上のポリク
ローナル抗−tat抗体を含むカラムを通過させることにより回収された。保持
されたリボソーム複合体の洗浄及び解離、mRNAの単離、逆転写PCR、及び
50μCi/mlの35Sメチオニン標識(アマシャム・インターナショナル、
アマシャム、英国)を用いる最終ラウンドでの標識化を伴う転写−翻訳の繰り返
しは、ヘインズ及びプルクサン(上記)により記述されたとおりに行った。79
1T細胞上でのリボソーム提示の3ラウンドの後、そのPCR産物は35Sメチ
オニンで転写されそして翻訳され、そしてこの混合物は次に抗体340免疫アフ
ィニティカラム(PCT0043) を用いて調製されたヒト胎盤由来のEGFR抗原
調製物で被覆されそして製造者のプロトコルに従って被覆緩衝液中でプレート上
に被覆されたイミュロン2・96−ウェルミクロタイタープレート(ダイナテッ
ク、チャンティリ、VA、米国)に注入した。約1μgの翻訳されたタンパク質
複合体を0.1μgのBSA単独か又は1μgの340抗体又は5μgのポリク
ローナル抗−EGFR(上記のようなもの)と共に各ウェルに添加した。プレー
トを1時間インキュベートし、0.1%トゥイーン20(シグマ)を含むPBS
で5回洗浄し、そして結合しているタンパク質を0.1Mトリエチルアミンで溶
出し、シンチレーションカウンターで計測した。3回の測定の平均として(SD
<10%)表4に示すように、その結果は、抗−tatカラムを用いて791T
細胞から溶出されたmRNA/リボソーム/タンパク質の三重複合体から誘導さ
れた翻訳されたタンパク質が特異的に結合すること、しかし抗−tat富化なし
に溶出され処理された三重複合体又はDNAライブラリーから直接の三重複合体
由来のものは結合しないことが示された。さらに、340抗体による結合の阻害
の欠如、これは本実験におけるPLC−標識化リガンドを含むが、そしてポリク
ローナル抗−791T血清による陽性の阻害は、結合が340のそれ以外のEG
FR上のエピトープに特異的であることを示すものである。
【0207】 実施例19 リポソーム選択によるタンパク質−タンパク質結合 自己ダイマー化ヒトIL−5タンパク質を用いてその二つの不活性サブユニッ
ト、PLC1−246(PL1)及びPLC247−370(PL2)由来のホ
スフォリパーゼC(PLC)の相補性及びその後のリポソームの溶解を明らかに
した。ヒトIL−5遺伝子(アールアンドディー・システムズ、エイビングドン
、英国)を、下記のプライマーを用いてpUC18からPCR増幅した。
【0208】
【外10】
【0209】 IL−5の対照として、ジゴキシンに特異的な単鎖抗体遺伝子(scFv)
(タングら,Journal of Biological Chemistry 270 (1995) p7829-7835)をも、
前向きプライマー、fdig1:CCGTATAGATCTCAGGTCAAACTG
CAGGAGTCT及び逆向きプライマー、rdig1:CCGTATGGATCCC
CGTTTTATTTCCAACTTTGTを用い、pCANTABベクター(
タングら)から出発してクローニングした。
【0210】 PCR増幅反応は、ベーリンガー拡大高忠実度PCRシステム(ベーリンガー
、リューズ、英国)を用いて行った。DNA断片の増幅のための反応条件は、1
×拡大HF緩衝液、2.5mMののMgCl2 、4mMの各dNTP、2.5ユ
ニットのポリメラーゼ、10ngの鋳型DNA及び30pモルのプライマーDN
Aであった。反応物はサーマル・サイクラー中、次のプログラムを用いてインキ
ュベートした。すなわち、92℃で5分間、53−67℃(プライマー配列に依
存する)で5分間、72℃で1分間、その後92℃で1分間、53−67℃で1
分間及び72℃で1分間の30サイクルであった。その結果得られた断片を、次
にウィザードPCR精製カラム(プロメガ)を用いて精製し、製造者の指示に従
いそのPCR産物とベクターをBglII及びBamHIで消化することにより大
腸菌発現ベクターpET−9(プロメガ、サウサンプトン、英国)のBamHI
部位にクローニングした。このプラスミドはバクテリオファージT7遺伝子10
由来のプロモーター、翻訳開始部位及びターミネーターを含む。結果として得ら
れるプラスミドをpIL5a(SmaI部位)及びpIL5b(SmaI及びN
coI部位)又はpDIG(抗−ジゴキシンscFv)と名づけた。
【0211】 pIL5bとpDIGはさらに下記のように修飾した。すなわち、繊維状ファ
ージM13の遺伝子III のグリシンの多いリンカーに基づくスペーサー配列を、
実施例17に記述したように、プライマーm13f1、m13r1、m13r2
及びm13f2を用い、二本鎖M13DNAの調製品についてのPCRを行うこ
とにより作成した。
【0212】 2セットのPCR反応をm13f1とm13r1又はm13f2とm13r2
のプライマー組合せを用いて行った。これらの2セットの反応は二つの集団の生
産物を形成した。すなわち、5’BglIIと3’XhoIの制限部位を持つもの
及び5’SalIと3’BclIの制限部位を持つものである。これらの制限部
位は30アミノ酸リンカーのマルチマーの構築を容易にするために含められた。
BglII/XhoIPCR産物を二重に消化しそしてリン酸化し、ついで消化し
たSalI/BclIPCR産物と連結した。このようにして、5’から3’に
連結したマルチマーはだけが形成されるであろう(これは消化により確認される
であろう)。900bpの断片をアガロースゲル電気泳動により単離し、製造者
の指示に従ってウィザードPCR精製カラム(プロメガ)を用いて精製した。H
IVトランス活性化応答因子(TAR)配列は、実施例17に記述したように、
BclIで消化した900bpスペーサー断片(上記のようにして形成したもの
)をHIV・TARをコードする自己アニールしたオリゴヌクレオチドTAR1
及びTAR2に連結することによりM13スペーサー断片から下流に挿入した。
【0213】 この断片を再精製し、BglIIで消化し、pIL5b又はpDIGのBamH
I部位にクローニングして、それぞれpIL5b/M13/TAR及びpDIG
/M13/TARを得た。
【0214】 このPLCをコードするプラスミドpT2.2(ティトボール,アールら,In
fection and Immunity, 57 (1989) p367-376) を下記のプライマー対を用いてP
CR(条件は上記の通り)に付した。
【0215】
【外11】
【0216】 PL1プライマー対でPCRにより得られたPL1断片を、NcoI及びSm
aIで消化し、NcoI/SmaI消化pIL5b(又はpDIG)/M13/
TAR中にクローニングしてpIL5b(pDIG)/PL1/M13/TAR
を得た。PL2for1及びPL2bck1のプライマーを用いてPCRから得
られたPL2断片は、SmaI及びHindIII で消化し、SmaI/Hind
III 消化pIL5a中にクローニングしてpIL5a/PL2を生じた。PL2
for2及びPL2bck2のプライマーを用いてPCRから得られたPL2断
片をBglII及びBamHIで消化し、BamHI消化pET−9中にクローニ
ングするとPL2を生じた。
【0217】 これらのプラスミド構築物のイン・ビトロ転写は、製造者の指示に従い、リボ
マックス・ラージスケールRNA生産システム(プロメガ)を用いて行った。そ
の結果得られたmRNAはポリATトラクトシステム(プロメガ)を用いて精製
した。
【0218】 リポソーム−tat調製物のためには、脂質L−ホスファチジルコリンとオレ
オイル−パルミトイルコレステロールを混合することによりリポソーム小胞を調
製した。10mMトリスpH8.0中100mMの濃度でtat−37−72ぺ
プチドを、1.5:1のL−アルファ−ホスファチジルコリンとコレステロール
(シグマ、プール、英国、# 13906) の混合物の10mgに添加した。小胞は激
しい攪拌と室温でのその溶液の放置のサイクルを繰り返した後に形成された。リ
ポソーム溶液の容積は10mMのトリスpH8.0の添加により増加し、そして
ホウ酸緩衝化食塩水(BBS:0.2Mメタホウ酸ナトリウム、7.5g/lの
NaCl、1.8g/lのCaCl2 2H2 O、pHはホウ酸で7.0に調整)
を用いてG25セファデックスカラムを通すゲル濾過により未取り込み成分から
リポソームを精製した。溶出されたリポソームの完全性は顕微鏡により評価した
。顕微鏡下で、1%(v/v)NP−40の溶液(ピアス、チェスター、英国、
# 28324) で処理することにより溶解した対照調製品と完全なリポソームを比較
した。リポソームは、最終濃度が10mMtat37−72ぺプチドになるよう
にBBSで希釈した。
【0219】 抗−tat抗体はtatぺプチド37−72を用いて調製した。tatぺプチ
ド37−72を、Antibodies, A Laboratory Manual (上記)に従いMBSを用
いてそのN−末端システイン残基を介してKLHに結合させた。その複合体10
μgを用いて上記のようにBalb/cマウスを免疫化し、血清を集め、さらな
る実験では1:100希釈で使用した。
【0220】 イン・ビトロ翻訳は、チェン及びズベイ(上記)により記述され、ヘインズ及
びプルックサン(上記)により修正された大腸菌S−30システムで行った。翻
訳を停止し、混合物をヘインズ及びプルックサン(上記)により記述されたよう
に遠心分離した。調製されたリポソーム−tat懸濁液の100μlを100μ
lの翻訳混合物に添加し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、翻訳反
応物を Antibodies, A Laboratory Manual (上記) に従って調製されたタンパク
質Aビーズ上にポリクローナル抗−tat抗体を含むカラムを通過させた。保持
されたリポソーム複合体の洗浄及び解離、mRNAの単離、逆転写PCR及び転
写−翻訳の繰り返しはヘインズ及びプルックサン(上記)により記述された通り
であった。
【0221】 tatぺプチド−標識mRNAのその後の翻訳と分離のために、プラスミドp
IL5a、pIL5a/PL2又はpPL2(「モデルリガンド」IL5、IL
5/PL2融合タンパク質又はPL2単独をコードする)のいずれかから誘導さ
れるmRNAの部分標品とウサギベータグロブリンmRNA(「グロブリン」)
を、プラスミドpIL5b/PL1/M13/TARとpDIG/PL1/M1
3/TAR(「モデル受容体」IL−5/PL1融合タンパク質又は抗−ジゴキ
シンscFv/PL1融合体をコードする)の1:9w/w混合物と1:1w/
w比で混合した。すべての反応は三連で行った。mRNA(IL−5又はDIG
)の同一性は、pUC18中の50のクローンの最少からその後に決定された。
この分析の結果は表5に示す(3回の決定の平均、SD<10%)。表5から、
IL−5/PLCリガンドを使用すると、抗−ジゴキシンscFvに優る、IL
−5をコードするmRNAの強い選択が得られることが示される。このことは、
IL−5のホモダイマー化がPLCのPL1サブユニットとPL2サブユニット
を結合させリポソームの効率的に溶解させ、そしてIL−5ダイマーと会合した
翻訳複合体において抗−IL−5mRNAに結合するtatの放出を有利にする
ことを示す。
【0222】
【表1】
【0223】
【表2】
【0224】
【表3】
【0225】
【表4】
【0226】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07K 14/16 C07K 14/54 14/54 16/00 16/00 C12N 15/00 ZNAA (31)優先権主張番号 9720184.2 (32)優先日 平成9年9月24日(1997.9.24) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9720522.3 (32)優先日 平成9年9月29日(1997.9.29) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9720525.6 (32)優先日 平成9年9月29日(1997.9.29) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9720523.1 (32)優先日 平成9年9月29日(1997.9.29) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9720524.9 (32)優先日 平成9年9月29日(1997.9.29) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 60/070,063 (32)優先日 平成9年12月30日(1997.12.30) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/070,062 (32)優先日 平成9年12月30日(1997.12.30) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/070,037 (32)優先日 平成9年12月30日(1997.12.30) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/070,050 (32)優先日 平成9年12月30日(1997.12.30) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 9801255.2 (32)優先日 平成10年1月22日(1998.1.22) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9803828.4 (32)優先日 平成10年2月25日(1998.2.25) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9807760.5 (32)優先日 平成10年4月14日(1998.4.14) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9811130.5 (32)優先日 平成10年5月23日(1998.5.23) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 グラハム カーター イギリス国、エイビー22 8ジーユー、ア バディーン、バルゴウニー ドライブ、ア バディーン サイエンス パーク、クロム ビー ロッジ、バイオヴェイション リミ ティッド (72)発明者 アニタ アンネ ハミルトン イギリス国、エイビー22 8ジーユー、ア バディーン、バルゴウニー ドライブ、ア バディーン サイエンス パーク、クロム ビー ロッジ、バイオヴェイション リミ ティッド (72)発明者 フィオナ スザンヌ アデーヤ イギリス国、エイビー22 8ジーユー、ア バディーン、バルゴウニー ドライブ、ア バディーン サイエンス パーク、クロム ビー ロッジ、バイオヴェイション リミ ティッド (72)発明者 ステフェン ウイリアムズ イギリス国、エイビー22 8ジーユー、ア バディーン、バルゴウニー ドライブ、ア バディーン サイエンス パーク、クロム ビー ロッジ、バイオヴェイション リミ ティッド Fターム(参考) 4B024 AA11 BA26 CA04 CA09 CA12 EA04 HA01 HA12 HA15 4B033 NA22 NA42 NA45 NB15 NB22 NC04 ND05 ND08 ND12 NF07 4B063 QA01 QA18 QQ42 QQ53 QR56 QR62 QR77 QR80 QR84 QS03 QS25 QS34 QS39 4B064 AG01 AG03 CA02 CA12 CB24 DA13 DA14 4H045 AA11 AA30 CA40 CA45 DA02 DA76 DA86 EA50 FA70 FA74

Claims (57)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遺伝子ライブラリーを形成する工程、及び続いてスクリーニ
    ングされ得る、個々のタンパク質を合成する工程を含んで成る、タンパク質又は
    ポリペプチドのスクリーニング方法。
  2. 【請求項2】 その個々のタンパク質又はポリペプチドが、(a)酵素によ
    るタンパク質修飾について及び/又は(b)一以上の他の分子/リガンドとの結
    合について及び/又は(c)細胞又は組織上の結合活性又は生物学的活性につい
    てスクリーニングされ得るものである請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 その遺伝子ライブラリーが一以上の細胞又は組織からのmR
    NAに由来するものである請求項1又は請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 その遺伝子ライブラリーが、抗体の可変領域の断片等の可変
    可能な分子のライブラリーを含むタンパク質又はポリペプチドをコードするもの
    である請求項1又は請求項2記載の方法。
  5. 【請求項5】 そのタンパク質又はポリペプチドが、細胞又は組織由来の他
    の一以上のタンパク質又はポリペプチドとの結合についてスクリーニングされる
    ものである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 細胞又は組織由来の、あらゆる結合性のタンパク質又はポリ
    ペプチドそのものが、酵素による修飾についてスクリーニングされるものである
    請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 その遺伝子ライブラリーの個々の構成物が一以上のアレイに
    まず分配され、それにより、各遺伝子が次いで発現して一以上のタンパク質又は
    ポリペプチドアレイを形成するものである請求項1〜請求項6のいずれか1項に
    記載の方法。
  8. 【請求項8】 そのタンパク質又はポリペプチドが、スクリーニングの前に
    固相上に固定化されるものである請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 その固相がマルチウェルプレートである請求項8記載の方法
  10. 【請求項10】 その固相が、スライドグラス等の接触する面であり、その
    タンパク質又はポリペプチドがこの面上の特定の位置に固定されるものである請
    求項8記載の方法。
  11. 【請求項11】 そのタンパク質又はポリペプチドが、インビトロの転写及
    び翻訳によって発現されるものである請求項1〜請求項10のいずれか1項に記
    載の方法。
  12. 【請求項12】 そのタンパク質又はポリペプチドが、リボソーム上での提
    示によって発現されるものである請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の
    方法。
  13. 【請求項13】 そのタンパク質又はポリペプチドが、バクテリオファージ
    上での提示によって発現されるものである請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の方法。
  14. 【請求項14】 リボゾーム提示複合体中のmRNAの、固相上に位置する
    相補的核酸分子とのアニーリングを介して、そのタンパク質又はポリペプチドが
    間接的に固相上に固定化されるものである請求項12記載の方法。
  15. 【請求項15】 タンパク質又はポリペプチドをスクリーニングする方法で
    あって、 (i) DNA、RNA、コロニー又はプラークの形態の遺伝子ライブラリーを形
    成させる工程、 (ii)インビトロ翻訳を用いて、各クローンからの核酸を変換してタンパク質又
    はポリペプチドを形成させる工程、 (iii) マルチウェルプレート中の又は固相上の特定の位置に、各タンパク質又
    はポリペプチドを等量ずつ分配して、タンパク質又はポリペプチドアレイを形成
    させる工程、及び、 (iv)タンパク質若しくはポリペプチドの修飾について又は一以上の抽出物由来
    の一以上の分子との結合についてスクリーニングすることを目的として、(iii)
    で形成されたアレイを、細胞若しくは組織由来の一以上の抽出物と又は一以上の
    細胞若しくは組織そのものと接触させる工程を含んで成る方法。
  16. 【請求項16】 mRNAと直接的に又は間接的に結合する一以上の分子を
    、mRNA、リボソーム及びタンパク質からなる混合物に添加する工程を含む、
    該mRNA、リボソーム及びタンパク質からなる複合体を形成する方法。
  17. 【請求項17】 その添加される一以上の分子が、mRNA、リボソーム及
    びタンパク質からなる複合体中のタンパク質に結合するものである請求項16記
    載の方法。
  18. 【請求項18】 その添加される一以上の分子がタンパク質である請求項1
    6又は請求項17記載の方法。
  19. 【請求項19】 その添加される分子が二重特異性抗体である請求項18記
    載の方法。
  20. 【請求項20】 その添加される分子が、mRNAとアニールする合成オリ
    ゴヌクレオチドを介してそのmRNAと結合するものである請求項18記載の方
    法。
  21. 【請求項21】 その添加される分子がmRNAと直接結合するものである
    請求項18記載の方法。
  22. 【請求項22】 その合成オリゴヌクレオチドがビオチン部位に付加してお
    り、その添加される分子がストレプトアビジンである請求項20記載の方法。
  23. 【請求項23】 その添加される分子が、HIVtat(又はその断片)、
    鉄制御タンパク質、La抗原又はRNAウイルス由来のRNA結合性タンパク質
    である請求項21記載の方法。
  24. 【請求項24】 mRNAの翻訳開始を阻害する一以上の分子を添加する工
    程をさらに含む請求項16〜請求項23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 【請求項25】 開始を阻害するために添加されるその分子が、シグナル認
    識タンパク質、サイトメガロウイルスgp48(若しくはその断片)又はRNA
    ウイルス由来のRNA結合性タンパク質である請求項24記載の方法。
  26. 【請求項26】 タンパク質又はポリペプチドをスクリーニングする方法で
    あって、 (i) DNA、RNA、コロニー又はプラークの形態で遺伝子ライブラリーを形
    成する工程、 (ii)インビトロ翻訳を行ってタンパク質又はポリペプチドを生産する工程であ
    って、その翻訳反応がmRNAと直接的又は間接的に結合し、かつmRNA、リ
    ボゾーム及びタンパク質又はポリペプチドからなる複合体の形成を促進する分子
    の添加を含むものである工程、 を含んで成る方法。
  27. 【請求項27】 請求項1〜請求項26のいずれか1項に記載の方法を実行
    する工程、次に、一以上の提示されるタンパク質又はポリペプチドを標的細胞と
    会合させてその一以上のタンパク質又はポリペプチドをその細胞と結合させる工
    程を含む、生物学的表現型を直接選択する方法。
  28. 【請求項28】 標的細胞との結合がその標的細胞を結果として変化させ、
    それが次にその標的細胞の単離及び提示されるタンパク質又はポリペプチドをコ
    ードする遺伝子の回収を可能とさせるものである請求項27記載の方法。
  29. 【請求項29】 標的細胞との結合が結果として標的細胞を変化させ、それ
    が標的細胞からの一以上の分子の生産、又は生産の中止をもたらし、次いでそれ
    が提示されるタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の回収を可能とす
    るものである、請求項27記載の方法。
  30. 【請求項30】 標的細胞が生産する一以上の分子が、複合体の構成物の一
    以上と結合するものである請求項29記載の方法。
  31. 【請求項31】 標的細胞が生産する一以上の分子が、生きている微生物の
    その後の生存に要求されるものである請求項29記載の方法。
  32. 【請求項32】 微生物がバクテリオファージ又は細菌である請求項31記
    載の方法。
  33. 【請求項33】 標的細胞が生産する一以上の分子がその細胞から放出され
    そしてその結果リポソームから他の分子の放出が起こるものである請求項29記
    載の方法。
  34. 【請求項34】 細胞に与える変化によって、その細胞上の細胞表面マーカ
    ーの出現又は消失が生ずる結果となるものである請求項28記載の方法。
  35. 【請求項35】 標的細胞由来の分子が、HIVのtat等のRNA結合性
    ポリペプチドである請求項30記載の方法。
  36. 【請求項36】 標的細胞由来の分子が、バクテリオファージポリペプチド
    又は抗生物質若しくは薬剤の耐性酵素/因子又は必須栄養素である請求項31記
    載の方法。
  37. 【請求項37】 請求項1〜請求項26のいずれか1項に記載の方法を実行
    する工程、次に、細胞又は組織の表面レセプターと結合する修飾されたリガンド
    の近傍に一以上の合成タンパク質又はポリペプチドを持ってきて、その合成タン
    パク質又はポリペプチドを細胞/組織の表面上で標識化する工程を含んで成る、
    タンパク質又はポリペプチドのスクリーニング方法。
  38. 【請求項38】 その提示されるタンパク質又はポリペプチドが、細胞表面
    分子を単離するために用いられるものである請求項37記載の方法。
  39. 【請求項39】 そのリガンドがタンパク質であり、かつ標識の全体又は一
    部として機能し得るか標識化反応を開始し得る一以上の他の分子への付着により
    修飾されるものである請求項37又は請求項38記載の方法。
  40. 【請求項40】 ホスホリパーゼCがリガンドに付着しており、リガンドの
    細胞又は組織表面への結合の後にリポソームが加えられ、それによりホスホリパ
    ーゼCがリポソーム内容物を放出する結果となるものである請求項39記載の方
    法。
  41. 【請求項41】 リポソームがストレプトアビジン、HIVtat、シグナ
    ル認識粒子(SRP)、抗体(若しくはその断片)、特定のmRNA若しくはタ
    ンパク質結合性分子、F線毛又はニッケルを含むものである請求項40記載の方
    法。
  42. 【請求項42】 西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ又は
    ポーリンがリガンドに付着しているものである請求項39記載の方法。
  43. 【請求項43】 細胞又は組織表面上の一以上の分子を標識化し単離する方
    法であって、 (i) 細胞/組織表面上に修飾されたリガンドを結合し、平行して合成タンパク
    質/ポリペプチドのライブラリーを結合する工程、 (ii)リガンドからの標識化反応を開始し、それによりリガンド近傍の合成タン
    パク質/ポリペプチドを標識化する工程、 (iii) 合成タンパク質/ポリペプチド上の標識を用いて、合成タンパク質/ポ
    リペプチドをコードする遺伝子を回収する工程、及び (iv)細胞/組織表面上の、合成タンパク質/ポリペプチドが結合した分子を単
    離することを目的として、回収された遺伝子を用いて個々の合成タンパク質/ポ
    リペプチドを形成させる工程、 を含んで成る方法。
  44. 【請求項44】 請求項1〜請求項26のいずれか1項に記載の方法を実行
    する工程、及び合成タンパク質又はポリペプチドをリガンドと会合させて、その
    タンパク質又はポリペプチドとそのリガンドとの間の結合を生じさせ、次に合成
    タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の回収を可能とする工程を含む
    、リガンド結合性タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を単離する方
    法。
  45. 【請求項45】 回収が合成タンパク質/ポリペプチド及びリガンドの一方
    又は両方を具備する分子タグを用いることによって達成されるものである請求項
    44記載の方法。
  46. 【請求項46】 そのリガンドが、請求項1〜26のいずれか1項に記載の
    方法によって生産されたタンパク質又はポリペプチドそのものである請求項44
    又は請求項45記載の方法。
  47. 【請求項47】 タンパク質又はポリペプチドの両方が同じmRNA分子に
    コードされているものである請求項46記載の方法。
  48. 【請求項48】 その分子タグが、タンパク質又はポリペプチドをコードす
    るmRNAと結合するHIVのtatである請求項44〜請求項47のいずれか
    1項に記載の方法。
  49. 【請求項49】 その分子タグがポリヒスチジンペプチドである請求項44
    〜請求項47のいずれか1項に記載の方法。
  50. 【請求項50】 一つのタンパク質又はポリペプチド上のその分子タグがH
    IVのtatであり、他のタンパク質又はポリペプチド上のものがポリヒスチジ
    ンペプチドである請求項46又は請求項47記載の方法。
  51. 【請求項51】 個々のタンパク質又はポリペプチドが、会合して酵素活性
    を与えるものである請求項44記載の方法。
  52. 【請求項52】 その酵素活性がβ−ガラクトシダーゼ又はホスホリパーゼ
    Cである請求項51記載の方法。
  53. 【請求項53】 個々のタンパク質又はポリペプチドが、会合して転写アク
    チベーター又は転写リプレッサーを与えるものである請求項46又は請求項47
    記載の方法。
  54. 【請求項54】 個々のタンパク質又はポリペプチドが、生きている微生物
    内で会合して、その微生物に対し正の選択又は負の選択を与えるものである請求
    項46又は請求項47記載の方法。
  55. 【請求項55】 請求項1〜請求項26のいずれか1項に記載の、提示され
    たタンパク質又はポリペプチドのライブラリーを形成する工程、リガンドのライ
    ブラリーを形成する工程であって、タンパク質又はポリペプチドのライブラリー
    及びリガンドのライブラリーがそれぞれ同一又は異なる分子タグを与えられる工
    程、タンパク質又はポリペプチドのライブラリーとリガンドのライブラリーとを
    会合させる工程、及び、該分子タグの単離の一以上の工程によってリガンド結合
    性のこれらタンパク質又はポリペプチドを単離する工程を含んで成る、リガンド
    結合性タンパク質をコードする遺伝子の単離方法。
  56. 【請求項56】 提示されたタンパク質を同定することを目的として、リガ
    ンド結合性のこれらタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子が回収され
    るものである請求項55記載の方法。
  57. 【請求項57】 請求項1〜請求項26のいずれか1項に記載の方法によっ
    て生産される、タンパク質/ポリペプチドのアレイ又はライブラリー。
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