JP2001507957A - 弾性変形可能な脊柱用骨接合装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 この骨接合装置は２つの椎骨(4)に固定される２つのアンカー部材(2)と、アンカー部材を相互連結すると共にアンカー部材の互いに向かい合う直進運動に対して応力を与える連接部材(6，106)とを備える。連接部材(6，106)は変形軸心(45，47，49)周りの曲げに対して弾性変形できる。連接部材は２つのアンカー部材(2)に固定される２つの固定部(16)と中間部(40)を備える。中間部は２つの固定部(16)の整列軸心(18)からオフセットしている。連接部材(6，106)は変形軸心周りの変形に際して互いに当接する２つの当接部(39)を備える。

Description

【発明の詳細な説明】 弾性変形可能な脊柱用骨接合装置 本発明は脊柱用骨接合装置に関するものである。 フランス特許第２，６５９，５４６号公報には、脊柱の一連の椎骨に固定する ための複数のアンカー部材と、これらアンカー部材を互に接続するように設計さ れた少なくとも１つの剛性のリンクエレメントとを有する脊柱、即ち背骨用の骨 接合装置が開示されている。この装置は、ひとたび一連の椎骨に固定され、そし て一旦組み立てられると、椎骨同士が相対的に移動するのを防止する剛構造装置 を構成する。この剛構造により、対象とする一連の椎骨に代ってその応力の全て 又は一部を本装置によって負担することが可能である。この一連の椎骨に隣接す る第一椎骨は、剛固定された一連の椎骨に対して極めて自由に相対移動できるこ とは述べるまでもない。従って、上記一連の椎骨の最後の椎骨と自由な第一椎骨 との間で、脊柱に沿った応力分布に鋭い不連続性が生じる恐れがある。結果とし てこれら２つの椎骨の間の骨板に負担がかかり、実際にこのような骨板には応力 の異常な増加が見られることが多い。殆どの場合、このような症状は骨板の変性 を加速する。これは「新関節」症候群と称される。 国際公開公報ＷＯ９４／２１１８５には、Ｕ形で横方向にずれている可撓性の 中間部を有する連接部材によって２つの小ネジアンカーを相互連結した脊柱用骨 接合装置が開示されている。従って、上記二つの椎骨に、２つのアンカーを変形 軸線周りに相対回転させるように変位させる傾向のある応力が作用するような場 合には、連接部材自体が曲げモーメントを受けて変形軸線周りで弾性的に曲がる ことになる。即ち、連接部材はこれらの応力を部分的に支承するだけである。こ の装置は、椎間板と共に２つの固定された椎骨で構成される機能ユニットの生体 力学的組織を部分的に再構築する。勿論、この装置には、２つの小ネジ間におけ る相対回転の可能性が本質的に中間部の弾性変形の関数となる欠点がある。換言 すれば、変形に対する中間部の適合性はこの弾性に依存している。不幸にしてこ の弾性が相対変位を制限するほど高い場合には、椎骨は有害となるべき高レベル の応力を受けることになる。逆に、この弾性が低い場合は、椎骨に与えられる支 承の程度は平凡なものとなる。 本発明の目的は、弾性の選定の自由度を制限することなく変形に対する中間部 の変形能を制御できるようにした骨接合装置を提供することにある。 この目的を達成するため、本発明で提供する脊柱用の骨接合装置は、脊柱の２ つの椎骨に固定される少なくとも２つのアンカー部材と、これらアンカー部材を 互いに連結すると共に両アンカー部材の互いに向かい合う方向への直進運動に対 して応力を生じる連接部材とを備え、該連接部材は、少なくとも１つの変形軸心 周りに弾性曲げ変形可能であると共に、両アンカー部材に固定される少なくとも ２つの固定部と、これら２つの固定部を相互連結する少なくとも１つの中間部と を有し、この中間部は前記２つの固定部によって定められる整列軸心から偏位し ていることを特徴とするものである。連接部材は、一つの中間部につき互いに対 面する２つの当接部を更に有し、これら当接部は、連接部材がいずれかの変形軸 心即ち少なくとも１つの変形軸心周りで所定回転方向へ予め定められた限界値に 等しい角度まで変形したときに互いに当接するように形成されている。 これにより、前記回転方向への連接部材の変形量に限界が与えられている。従 って、これらの当接部は、中間部の選ばれた弾性に対して何らの影響を及ぼすこ と無く連接部材の変形能を制限する働きをもつ。 例えば３つのアンカー部材を並べて配置し、その配列の一端側では２つの隣接 アンカー部材同士を剛性に連結し、他端側では２つの隣接アンカー部材同士を変 形可能な連接部材で互いに連結し、これを一連の椎骨に装着すると、脊椎の硬直 部と自由可動部との間に剛性の遷移勾配部を形成することができる。その結果、 脊椎に沿って適切な応力分布を得ることが可能となる。これは、硬直椎骨列の最 後の椎骨と最初の自由可動椎骨との間の応力分布に急激な不連続性が現れるのを 回避する一方で、脊椎に沿って調和した応力分布を得ることを容易にするもので ある。また、２つの椎骨だけに関与する装置の場合は、これら２つの椎骨の間に 可撓性の関節を提供することも可能である。 本発明の１つの好適な態様では、いずれかの変形軸心、即ち少なくとも１つの 変形軸心がアンカー部材の長手方向と連接部材の長手方向との双方に対して直交 している。 本発明の別の好適な態様では、いずれかの変形軸心、即ち少なくとも１つの変 形軸心が実質的にアンカー部材の長手方向と平行である。 本発明の更に別の好適な態様では、いずれかの変形軸心、即ち少なくとも１つ の変形軸心が連接部材の長手方向と平行である。 即ち、いずれにせよ変形軸心の向きは、椎骨の動きによる２つのアンカー部材 同士の相対回転運動における相対変位の軸心に対応させればよい。これにより、 椎間板は状況に応じて個々の変位に対応する応力から少なくとも一部について開 放されることになる。 本発明の更に別の好適な態様では、整列軸心は中間部と２つの当接部との間を 通っている。 本発明の更に別の好適な態様では、中間部は球面状の外面を有している。 本発明の更に別の好適な態様では、２つの当接部が各々球面状の外面を有して いる。 本装置は体の内部に位置付けられるべきものであるので、このように中間部お よび当接部の外面を球面状とすることにより、鋭いエッジ部の存在数が制限され ると共に、たとえ鋭いエッジ部が形成されるとしても本装置が患者の体内に存在 することによる負傷の恐れを少なくするような部位に位置させることができる。 この場合、中間部の球面状外面と２つの当接部の球面状外面は共通の曲率中心 を有することが有利である。 本発明の更に別の好適な態様では、固定部の各対について、連接部材は２つの 固定部と一連の接合部を有し、対となった固定部の少なくとも１つに属する接合 部は該固定部と単一の部材を形成している。 本発明の更に別の好適な態様では、固定部の各対について、連接部材は２つの 固定部と一連の接合部を有し、対となった固定部の少なくとも１つに属する接合 部は第１と第２の分離した連接エレメントとこれら第１及び第２連接エレメント を一体に固定する固定手段とを備えている。 このように、接合部を二部品構成とし、或いは連接部材が接合部の総数より多 い個数の二部品の接合部をもつようにすると、連接部材の製作組立てが容易とな る。 この場合、前記固定手段は所属の２つのアンカー部材間の距離を連接部材の長 手方向に調節可能とする構成を備えていることが好ましい。 このようにして連接部材の長さを調節可能とすることができる。従って本装置 の装着作業中に２つのアンカー部材間の距離を装着対象の２つの椎骨のために必 要な位置に適合させることが可能となる。 本発明の好適な一態様によれば、第２連接エレメントはロッドを備え、第１連 接エレメントはこのロッドを受け入れ可能なハウジングを備え、更に第１連接エ レメントは連接部材の長手方向の複数の位置においてハウジング内で前記ロッド を固定可能なロック手段を含んでいる。 本発明による装置は、前記整列軸心が中間部と椎骨の間に位置するように構成 されていることが好ましい。 この構成では、整列軸心に沿って互いに向かい合う直進運動を２つのアンカー 部材に引き起こすような応力が２つの椎骨に作用する場合、１つの変形軸心周り の曲げモーメントの腕の長さが増加する。従って中間部は大きい曲げモーメント を受けて弾性変形量も増加する。この場合、前記変形軸心周りの曲げのための本 発明による骨接合装置を装着した椎骨区間における耐力容量を増加でき、しかも 無段階の良好な応力遷移を創出することができる。 本発明の上述以外の特徴と利点は、以下に述べる限定を意図しない単なる例示 のための２つの好適な実施形態の説明から更に明らかである。 図１は、２つの椎骨に固定された本発明による骨接合装置の第１実施形態を示 す立面図であり、 図２は、図１の連接部材のII−II矢視断面図であり、 図３は、椎骨に固定された本発明による骨接合装置の第２実施形態の一部を示 す立面図であり、 図４は、図３の連接部材の部分断面図である。 図１及び図２を参照して、本発明の第１実施形態による脊柱用骨接合装置は図 示のような骨接合具からなっている。本装置は、患者の脊柱のうちの２つの隣接 する椎骨４に対してそれぞれ固定される第１と第２のアンカー部材、即ち小ネジ ２を備えている。本装置はまた、これら２つのアンカー部材２を互いに連結する 連接部材６を備えている。 ２つのアンカー部材２の各々は、長手軸心１０をもつ細長い本体８を有し、こ の本体は軸心１０の周りで僅かに円錐形状となったネジシャンク１２を備え、該 ネジシャンクはその自由端に向かって先細となっていて、椎骨４内にねじ込んで 固定するのに適合した形態を有している。本体８はシャンクの自由端１２とは反 対側の端部にヘッドを有し、このヘッドは患者の体内で椎骨４の外部に延在する ように設計されている。 この実施例では、連接エレメント６は単一部品を構成している。この連接エレ メントは、それぞれ直線状の丸ロッド１７の形態をもつ左側の第１固定部と右側 の第２固定部１６を備えている。２本のロッド１７は互いに同軸状に整列した状 態にあり、共通の長手軸心１８を共有している。この共通長手軸心１８は連接部 材の長手軸心であると共に２つのロッド１７の整列軸心でもある。 各固定部１６は、既知の手段によってそれぞれ各一方のアンカー部材のヘッド に堅固に固定されるようになっている。この場合、連接部材の軸心１８はアンカ ー部材の軸心１０に対して実質的に直角である。 骨接合装置の装着作業中に、各アンカー部材２がそれぞれの対象とする椎骨４ にねじ込まれて固定され、次いでこれらアンカー部材２が連接部材６に堅固に固 定される。 連接部材６は更に接合部２８を有し、この接合部は、各ロッド１７の一端部に おいて２つの固定部１６と一体に連続し、２本のロッド間の長手軸心１８上に位 置している。接合部２８は、ほぼ球体の形状をなす外面３０を有し、その曲率中 心は長手軸心１８上で２つの固定部１６間の中程に位置している。 接合部２８には、前記球体の直径上を貫通する円筒孔３２が設けられている。 この円筒孔３２の軸心３４は、連接部材の長手軸心１８を両固定部１６間の中程 で横切り、該長手軸心１８に対して直角に延在している。 接合部２８には更に球体の一断片の形の切欠き３６が形成されており、この切 欠きは、それぞれ円筒孔の軸心３４を含む接合部の互いに向かい合った２つの平 面３８で画定されている。切欠き３６は、球状外面３０と円筒孔３２の間で円筒 孔の軸心３４に対して径方向に延在している。２つの平面３８によって円筒孔の 軸心３４周りに形成される切欠き３６の開き角度ａは約１５°である。２つの平 面３８のうちの一方は長手軸心１８に対して直角であり、それにより切欠き３６ は連接部材の軸心１８と直交する中央面の片側に位置するようになっている。 円筒孔３２と切欠き３６とが存在することによって、接合部２８は長手方向の 整列軸心１８の上下両側に位置する２つの部分として認識することができる。接 合部２８は、長手軸心１８の一方の側、すなわち切欠き３６が位置するほうの側 に２つの当接部３９を備えている。各当接部３９は、２つの固定部１６のそれぞ れから切欠き３６を間にして対面する平面３８まで延在し、これら平面が当接部 の２つの端面を形成している。接合部２８はまた、長手軸心１８の他方の側、す なわち切欠き３６が存在する側とは反対側に中間部４０を備えている。 かくして、２つの当接部３９は長手軸心１８の一方の側に存在し、中間部４０ は他方の側に存在している。長手軸心１８は、一方の側の中間部４０と他方の側 の２つの当接部３９との間を通過している。 球状外面３０は、当接部３９と中間部４０の外面を構成する。中間部の球状外 面と当接部の球状外面とは曲率中心が同じである。円筒孔３２は当接部３９の円 筒内周面と中間部４０の円筒内周面を画定する。 中間部４０は、２つの固定部１６の整列軸心である長手軸心１８に対してネジ シャンクから離反する外側へオフセットされている。中間部４０は曲げ変形の中 立線４２を有し、上記のオフセットの量は中立線４２と長手軸心１８のと間の距 離「ｄ」で測定され、勿論これは長手軸心１８に対して直角な方向の値である。 本実施例の場合、この測定値は固定部１６を構成するロッド１７の直径とほぼ等 しい。 ２つの固定部１６は中間部４０だけで互いに連結されている。この中間部によ る連結部分は、長手軸心１８に沿って互いに向かい合う方向または互いに離反す る方向の２つの固定部１６の直進運動に対する応力を与え、従って同様に２つの アンカー部材２の運動に対抗する。中間部４０は、円筒孔３２の軸心３４と平行 で中間部を中立線４２のレベルで直角に横切る第１変形軸心４５の周りに弾性変 形可能である。 中間部４０はまた、長手軸心１８と第１変形軸心４５との双方に対して直角で 前記球体の中心を通過し且つ第１変形軸心４５及び長手軸心１８を横切る第２変 形軸心４７の周りにも変形可能である。中間部４０は更に、長手軸心１８と平行 で第１変形軸心４５と直交し且つ中間部を中立線に接して通過する第３変形軸心 ４９の周りにも弾性変形可能である。第２変形軸心４７と第３変形軸心４９は中 間部４０を通過している。３本の軸心４５、４７及び４９は互いに直角であり、 共通の一点で交わって基準となるフレームを形成する。 本装置の装着作業中、連接部材６は長手軸心１８周りに位置あわせされ、それ によって当接部３９が椎骨４に隣接する側に、中間部４０が椎骨４から遠いほう の側に位置づけられる。この状態で第１変形軸心４５はアンカー部材２の長手軸 心１０に対して直角に延在し、第２変形軸心４７は軸心１０とほぼ平行になるよ うにされる。中間部４０はこれら３つの変形軸心の各々の周りに曲がることがで き、これによって、２つの椎骨の間の椎間板に通常加えられる応力の少なくとも 一部を負担する。この曲げ変形は、これら変形軸心のうちの１つ以上の軸心周り に同時に生じる。 ２つの当接部３９が互いに当接するのは、中問部４０が、第１変形軸心４５の 周りで、連接部材６の形状によって予め定められた限界値と等しい角度ａだけ、 互いに向かい合う回転方向に曲げられたときである。これは、上記限界値より大 きい角度で連接部材が変形するのを防止する。 以上に述べた構成の骨接合装置は、２つの椎骨間で可撓性の関節を提供する。 図３及び図４は本発明による骨接合装置の第２実施形態を示しており、ここで は前述第１実施形態と異なる部分に１００番台の数字の参照符号を付してある。 この実施形態の装置は、図３で装置の右側に延在する第３のアンカー部材（図 示せず）を更に備えている。３つのアンカー部材の各々は第１実施形態における アンカー部材と本質的に同じものである。さて、連接部材１０６は互いに異なる 構成の第１連接エレメント１０６ａと第２連接エレメント１０６ｂとを備えた接 合部１２８を有している。 第２連接エレメント１０６ｂは、長手軸心１８に沿って直線状に延在する円形 断面の細長い剛性ロッド１４４を備えている。図３の右側の図示しない部分では 第２連接エレメント１０６ｂが第２アンカー部材と第３アンカー部材とを第１実 施形態と同じ形式で連結しているものとし、このために第２連接エレメント１０ ６ｂと一体の第２固定部１６を特に図示してある。 第１連接エレメント１０６ａは、第１実施形態における第１固定部と同様の第 １固定部１６を備えている。この固定部の端部に一体に連続して、第１連接エレ メントは中間部４０と２つの当接部３９を更に備えている。第１連接エレメント １０６ａは円筒スリーブ１４６も備えており、このスリーブは円筒外周面１４８ と円筒内周面１５０とを有し、円筒外周面の曲率半径は中間部の球状外面３０の 曲率半径と同じである。第１固定部１６とスリーブ１４６は連接部材の長手軸心 １８を共通の軸心として共有している。外周面１４８は、球状外面３０から連続 面として長手方向に固定部１６から離れる方向へ延在している。従って、一方の 当接部３９の外周面と中間部４０の一部の外周面は形状が円筒状になっている。 スリーブ１４６の内周面１５０は内径が第２連接エレメント１０６ｂのロッド１ ４４の外径より僅かに大きくなっている。この内周面１５０は該ロッドを受け入 れ可能なハウジングを画定する。 スリーブ１４６の壁部には円筒貫通孔１５１が設けられており、この貫通孔は スリーブの長手軸心１８に対して直角な軸心上でスリーブの外周面１４８と内周 面１５０に開口している。このダクト１５１は内周面に雌ネジが切られており、 また第２連接エレメント１０６ｂにはこの雌ネジに螺合する雄ネジ１５２が付属 し、この雄ネジがハウジング１５０内に受け入れられたロッド１４４と当接して 前記ロッドをハウジング内で長手軸心１８に沿った複数の選択可能な位置にロッ クする。このようにして、ロッド１４４、ハウジング１５０、雄ネジ１５２は２ つの連接エレメント１０６ａ、１０６ｂをひとつに連結する手段を構成し、また 一方で２つの固定部１６間の距離を長手軸心１８方向に調節可能としている。 この骨接合装置を装着するには、まず始めに３つのアンカー部材を椎骨４に固 定し、第２連接エレメント１０６ｂのロッド１４４を第１連接エレメント１０６ ａのハウジング１５０内に挿入し、ネジ１５２は締め付けずにロッドがハウジン グ内で長手軸心１８方向に自由に摺動できる状態にしておく。連接部材１０６を 正しい位置に設定し、３つのアンカー部材の各々を連接部材１０６に固定する。 しかる後、ハウジング１５０内の棒１４４の位置を、第２連接エレメント１０６ ｂ側の椎骨４に対して隣接する第１連接エレメント１０６ａ側の椎骨４に要求さ れる長手軸心１８上の目標位置の関数として選択する。次に、これら２つの連接 エレメントをロッド１４４に対する雄ネジ１５２の締め付けによって互いにロッ クする。 ロッド１４４は連接部材１０６の一部であるが、これはまた第３アンカー部材 を第２アンカー部材に剛性連結するための部材の一部でもある。このように、本 実施例では３つのアンカー部材は１セットの連接部材１０６によって相互に連結 される。 本発明による骨接合装置の各部は、例えば生理学的適合性合金で作られる。 尚、以上に述べた２つの実施形態のいずれにおいても、患者の脊柱には同一椎 骨に固定されることによって脊椎の長手方向中間面のいずれか一方の側で対称的 に配設された２つの骨接合装置が装着されている。 最大曲げ変形量の典型値は第３変形軸心４９周り（捩じり）で2°、第２変形 軸心４７周り（横方向曲げ）で５°〜６°である。 勿論、本発明の技術的範鴫を逸脱せずに本発明に対して多くの変形態様を実現 することは可能である。例えば固定長の第１実施形態における連接部材６を少な くとも３つのアンカー部材の結合に利用することも可能である。逆に、可変長の 第２実施形態の連接部材１０６を２つのアンカー部材のみの結合に利用すること も可能である。 本発明による骨接合装置は、３つよりも多い数のアンカー部材を有することも 可能である。例えば、単一の連接部材が１つ以上の（一部品の）接合部２８およ び／または２つの別々のエレメントで構成された１組以上の接合部１２８を含ん でいてもよく、この場合、各接合部は２つのアンカー部材間に延在するよう設計 される。連接部材が複数の２エレメント形式の接合部１２８に続いて一端側に単 一の一部品形式の接合部２８を有している場合も好適である。 中間部の球状外面の曲率中心及び／又は当接部の球状外面の曲率中心は円筒孔 ３２の軸心３４上以外に位置していてもよい。 更に一般的には、当接部が存在するか否かに拘わらず、脊柱の第１、第２及び 第３の椎骨に個々に固定される少なくとも第１、第２及び第３アンカー部材と、 第２及び第３アンカー部材を相互に剛性連結すると共に、第１及び第２アンカー 部材をそれらの互いに向かい合う直進運動に対して反力を与え且つ第１及び第２ アンカー部材間の少なくとも１つの変形軸心周りの曲げに際して弾性変形可能に 相互連結する（１つ以上の部品としての）連接部材とを備えた脊柱用骨接合装置 を提供することも可能である。 この場合、第１と第２の椎骨に第１アンカー部材と第２アンカー部材とを前記 変形軸心周りに相対変位させようとする応力がかかると、連接部材は曲げモーメ ントを受けて変形軸心周りに弾性曲げ変形を起こし、この弾性によって応力が部 分的に支持される。この装置では、固定された第１と第２の椎骨及びその間の椎 間板からなる機能ユニットが生体機械システムを部分的に再構築しており、それ により、固定部分内の椎聞板に伝わる応力の大きさを減衰させることができる。 また、３つのアンカー部材を配列してなる骨接合装置では、そのうちの一端側の ２つのアンカー部材を互いに剛性連結し、他端側の２つのアンカー部材を連接部 材の変形可能部分によって相互連結し、これを一連の椎骨の端部に装着すれば、 脊椎の硬直部分と自由部分との間に剛性の遷移すなわち勾配を与えることができ るので、結果的に脊柱に沿ってより好適な応力分布を得ることができる。 このような骨接合装置では、少なくとも３つの椎骨を相互連結することによっ て硬直した椎骨列の端部に位置する椎骨とその隣の自由に動き得る最初の椎骨と の間に応力分布の急激な不連続が現れないようにすることができ、脊柱に沿って 高度に調和した応力分布を実現することができる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．少なくとも脊柱の２つの椎骨(4)に固定可能な２つのアンカー部材(2)と、 これら２つのアンカー部材を互いに連結すると共に両アンカー部材の互いに向か い合う方向への直進運動に対して応力を与える連接部材(6，106)とを備え、該連 接部材(6，106)が少なくとも１つの変形軸心(45，47，49)周りに弾性曲げ変形可 能であると共に、前記２つのアンカー部材(2)に固定される少なくとも２つの固 定部(16)と、これら２つの固定部を単独で相互連結する少なくとも１つの中間部 (40)とを有し、該中間部が前記２つの固定部(16)によって定められる整列軸心(1 8)からオフセットされている脊柱用骨接合装置において、前記連接部材(6，106) が個々の中間部(40)ごとに互いに対面する２つずつの当接部(39)を更に有し、こ れら当接部は、連接部材が少なくとも１つの変形軸心(45)周りで予め定められた 回転方向に予め定められた限界値と等しい角度(ａ)だけ変形したときに互いに当 接するように配設されていることを特徴とする脊柱用骨接合装置。 ２．少なくとも１つの変形軸心(45)がアンカー部材(2)の長手方向(10)及び連 接部材(6，106)の長手方向(18)に対して直角に延在していることを特徴とする請 求項１に記載の装置。 ３．少なくとも１つの変形軸心(47)がアンカー部材(2)の長手方向(10)に対し てほぼ平行に延在していることを特徴とする請求項１又は２に記載の装置。 ４．少なくとも１つの変形軸心(49)が連接部材(6，106)の長手方向(18)に対し て平行に延在していることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の装 置。 ５．整列軸心(18)が中間部(40)と２つの当接部(39)との間に存在することを特 徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載の装置。 ６．中間部(40)が球状の外面(30)を有することを特徴とする請求項１〜５のい ずれか１項に記載の装置。 ７．２つの当接部(39)の各々が球状の外面(30)を有することを特徴とする請求 項１〜６のいずれか１項に記載の装置。 ８．中間部が球状の外面(30)を有すると共に２つの当接部も球状の外面(30)を 有し、これらの球状外面が共通の曲率中心を有することを特徴とする請求項６ま たは７に記載の装置。 ９．連接部材(6)が固定部(16)の個々の対ごとに２つの固定部と一体に連続す る接合部(28)を有し、固定部の対の少なくとも一方に属する接合部が単一部品を 形成していることを特徴とする請求項１〜８のいずれか１項に記載の装置。 10．連接部材(106)が固定部(16)の個々の対ごとに２つの固定部と一体に連続 する接合部(128)を有し、固定部の対の少なくとも一方に属する接合部が第１と 第２の互いに別体の連接エレメント(106a，106b)及びこれら第１と第２の連接エ レメントを一体に固定する固定手段とを有することを特徴とする請求項１〜９の いずれか１項に記載の装置。 11．固定手段が２つのアンカー部材(2)間の距離を連接部材(106)の長手方向(1 8)に調節可能とする機構を有することを特徴とする請求項１０に記載の装置。 12．第２の連接エレメント(106b)がロッド(144)を含み、第１の連接エレメン ト(106a)が前記ロッドを受け入れ可能なハウジング(150)を有し、第１の連接エ レメント(106a)が連接部材の長手方向(18)に沿った複数箇所においてハウジング (150)内で前記ロッドを固定するロック手段(152)を含んでいることを特徴とする 請求項１１に記載の装置。 13．整列軸心(18)が中間部(40)と椎骨(4)との間に位置するように構成されて いることを特徴とする請求項１〜１２のいずれか１項に記載の装置。